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特許7586453着用物サイズ取得システム、着用物サイズ取得プログラム、及び着用物選択支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】着用物サイズ取得システム、着用物サイズ取得プログラム、及び着用物選択支援方法
(51)【国際特許分類】
   A41H 1/02 20060101AFI20241112BHJP
   G01G 19/44 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A41H1/02 Z
G01G19/44 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019094551
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020190043
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】和智 湧斗
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210699(JP,A)
【文献】特開2007-265077(JP,A)
【文献】特開2004-029909(JP,A)
【文献】特開2018-124946(JP,A)
【文献】特開2014-018444(JP,A)
【文献】特開2010-204697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0180447(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 1/02
G01G 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報を記憶した記憶手段と、
前記生体情報取得手段が取得した前記対象者生体情報と前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、
前記対象者生体情報は、前記推定対象者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報であり、
前記生体情報は、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内蔵脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量の少なくとも1つを含み、
前記着用物サイズ推定手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報に対して近傍である前記生体情報に対応する前記着用物サイズを前記推定対象者の前記着用物サイズとして推定する、
着用物サイズ取得システム。
【請求項2】
前記着用物サイズ推定手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報に対して近傍である前記生体情報をユークリッド距離、近傍データ群、又は密度準拠クラスターに基づいて抽出し、抽出した前記生体情報に対応する前記着用物サイズを前記推定対象者の前記着用物サイズとして推定する、請求項1に記載の着用物サイズ取得システム。
【請求項3】
推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報を記憶した記憶手段と、
前記生体情報取得手段が取得した前記対象者生体情報と前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、
前記着用物サイズ推定手段で推定した前記着用物サイズの前記推定対象者に対する適正度を演算する適正度演算手段を備え、
前記対象者生体情報は、前記推定対象者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報であり、
前記適正度演算手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報に基づいて、前記着用物サイズ推定手段によって推定された前記着用物サイズが前記推定対象者の前記着用物サイズである確率を、前記適正度として演算する、
着用物サイズ取得システム。
【請求項4】
前記適正度演算手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報を基準とした所定範囲に含まれる前記生体情報に対応付けられた前記着用物サイズの割合又は分布から前記確率を演算する請求項3記載の着用物サイズ取得システム。
【請求項5】
推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報を記憶した記憶手段と、
前記生体情報取得手段が取得した前記対象者生体情報と前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、
前記着用物サイズ推定手段で推定した前記着用物サイズの前記推定対象者に対する適正度を演算する適正度演算手段と、
を備え、
前記対象者生体情報は、前記推定対象者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報であり、
前記適正度演算手段は、前記推定手段によって推定された前記着用物サイズにおける前記生体情報の代表値と前記対象者生体情報との差、又は推定された前記着用物サイズにおける寸法の代表値と前記対象者生体情報から得られる寸法との差である修正度を、前記適正度として演算する、
着用物サイズ取得システム。
【請求項6】
前記適正度演算手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報に基づいて、前記着用物サイズ推定手段によって推定された前記着用物サイズが前記推定対象者の前記着用物サイズである確率を演算し、
前記適正度演算手段は、前記生体情報と前記確率とに基づいて前記代表値を算出する請求項5記載の着用物サイズ取得システム。
【請求項7】
前記着用物サイズ推定手段によって推定された前記推定対象者の前記着用物サイズは、画像表示手段に表示される請求項1から請求項6の何れか1項に記載の着用物サイズ取得システム。
【請求項8】
推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報を記憶した記憶手段と、
前記生体情報取得手段が取得した前記対象者生体情報と前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、
以前に取得された前記対象者生体情報と新たに取得された前記対象者生体情報との近似線に基づいた外挿により、前記推定対象者の前記着用物サイズが変化する時期を推定するサイズ変化時期推定手段と、
を備え
前記対象者生体情報は、前記推定対象者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報である、
着用物サイズ取得システム。
【請求項9】
前記着用物は、衣服である請求項1から請求項8の何れか1項記載の着用物サイズ取得システム。
【請求項10】
前記記憶手段は、各々に着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報をデータベースとして記憶し、
前記データベースは、前記着用物サイズが対応付けられた新たな前記生体情報が追加されて更新される請求項1から請求項9の何れか1項記載の着用物サイズ取得システム。
【請求項11】
コンピュータを、
推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられて記憶手段に記憶された複数の生体情報と生体情報取得手段が取得した前記推定対象者の生体情報である対象者生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、
して機能させ、
前記対象者生体情報は、前記推定対象者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報であり、
前記生体情報は、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内蔵脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量の少なくとも1つを含み、
前記着用物サイズ推定手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報に対して近傍である前記生体情報に対応する前記着用物サイズを前記推定対象者の前記着用物サイズとして推定する、
着用物サイズ取得プログラム。
【請求項12】
顧客が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられて記憶手段に記憶された複数の生体情報と生体情報取得手段が取得した前記顧客の生体情報である対象者生体情報とに基づいて、前記顧客の前記着用物サイズを推定する第1工程と、
前記第1工程で推定された前記着用物サイズを店舗の情報処理装置によって出力する第2工程と、
前記情報処理装置によって出力された前記着用物サイズを店員が確認し、前記顧客に対する前記着用物の選択支援を行う第3工程と、
を有し、
前記対象者生体情報は、前記顧客の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報であり、
前記生体情報は、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内蔵脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量の少なくとも1つを含み、
前記第1工程は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報に対して近傍である前記生体情報に対応する前記着用物サイズを前記顧客の前記着用物サイズとして推定する、
着用物選択支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用物サイズ取得システム、着用物サイズ取得プログラム、及び着用物選択支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人が着用する衣服等の着用物のサイズは、身長、腹囲、肩幅等の情報に基づいて決定される。このため、店舗で衣服を購入する場合には、店員によって購入者の腹囲や肩幅等の計測が行われるが、これらの計測は店員にとって煩雑な作業である。また、購入者自身が、他者の補助なしに腹囲や肩幅等の計測を行うことも難しい。一方で、身長や体重のような全身に関する値であれば、比較的簡易に計測が可能である。しかしながら、一般的に衣服は、ジャケットやパンツのように上半身又は下半身に着用するものであるため、全身に関する計測値では衣服サイズを正確に判断できない。
【0003】
そこで、特許文献1に開示されているように、身体の外形の3次元形状を表す身体形状データを取得し、対象者の身体情報を取得する装置が開発されている。
【0004】
特許文献1に開示されている身体情報取得装置は、身体形状データにより表される対象者の身体の3次元形状を平行投影した平行投影像を生成し、身体形状データに対し、身体情報を取得すべき1つ以上の特定Y位置を設定し、特定Y位置におけるY軸に直交する方向の平行投影像の長さを、対象者の身体情報の1つとして取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-123589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているような身体の3次元形状を計測する方法では、計測部位が多く、計測や演算処理に時間を要し煩雑であり、被計測者が衣服を着用していると被計測者の体計情報を正しく取得できない。また、身体の3次元形状を計測するためには、例えば人をスキャンできる3Dスキャナ等を必要とし新たな設備投資を必要とする。
【0007】
そこで、本発明は、着用物の着用者にとってより適正な着用物サイズを簡易に取得できる着用物サイズ取得システム、着用物サイズ取得プログラム、及び着用物選択支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の着用物サイズ取得システムは、推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報を記憶した記憶手段と、前記生体情報取得手段が取得した前記対象者生体情報と前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、を備える。
【0009】
この構成により、推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報に基づいて、推定対象者の着用物サイズが推定されるので、本構成によれば、着用物の着用者にとってより適正な着用物サイズを簡易に取得できる。
【0010】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記着用物サイズ推定手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報に対して近傍である前記生体情報に対応する前記着用物サイズを前記推定対象者の前記着用物サイズとして推定してもよい。
【0011】
この構成により、推定対象者の生体情報を示す対象者生体情報から推定対象者の着用物サイズを簡易に推定できる。
【0012】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記着用物サイズ推定手段で推定した前記着用物サイズの前記推定対象者に対する適正度を演算する適正度演算手段を備える。
【0013】
この構成により、推定された着用物サイズの着用物が推定対象者に合うか否かを判断可能となる。
【0014】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記適正度演算手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報に基づいて、前記着用物サイズ推定手段によって推定された前記着用物サイズが前記推定対象者の前記着用物サイズである確率を、前記適度として演算してもよい。
【0015】
この構成により、推定された着用物サイズが適正であるか否かを簡易に判断できる。
【0016】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記適正度演算手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報のうち、前記対象者生体情報を基準とした所定範囲に含まれる前記生体情報に対応付けられた前記着用物サイズの割合又は分布から前記確率を演算してもよい。
【0017】
この構成により、推定された着用物サイズが適正であるか否かを簡易に判断できる。
【0018】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記適正度演算手段は、前記推定手段によって推定された前記着用物サイズにおける前記生体情報の代表値と前記対象者生体情報との差、又は推定された前記着用物サイズにおける寸法の代表値と前記対象者生体情報から得られる寸法との差である修正度を、前記適度として演算してもよい。
【0019】
この構成により、推定された着用物サイズが適正であるか否かを簡易に判断できる。
【0020】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記適正度演算手段は、前記記憶手段に記憶された複数の前記生体情報に基づいて、前記着用物サイズ推定手段によって推定された前記着用物サイズが前記推定対象者の前記着用物サイズである確率を演算し、前記適正度演算手段は、前記生体情報と前記確率とに基づいて前記代表値を算出してもよい。
【0021】
この構成により、推定された着用物サイズが推定対象者の着用物サイズである確率を用いて代表値を算出するので、推定された着用物サイズが適正であるか否かがより精度良く判断できる。
【0022】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記着用物サイズ推定手段によって推定された前記推定対象者の前記着用物サイズは、画像表示手段に表示されてもよい。
【0023】
この構成により、推定対象者は自身に適した着用物サイズを確認できる。
【0024】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、以前に取得された前記対象者生体情報と新たに取得された前記対象者生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズが変化する時期を推定するサイズ変化時期推定手段が備えられてもよい。
【0025】
この構成により、推定対象者は自身の体型の変化とこれに伴う適切な着用物サイズを認識できる。
【0026】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、着用物は、前記推定対象者の衣服でもよい。
【0027】
この構成により、推定対象者にとってより適正な衣服サイズを簡易に取得できる。
【0028】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記記憶手段は、各々に着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報をデータベースとして記憶し、前記データベースは、前記着用物サイズが対応付けられた新たな前記生体情報が追加されて更新されてもよい。
【0029】
この構成により、データベースは逐次更新され、推定対象者の着用物サイズの推定精度を向上できる。
【0030】
上記の着用物サイズ取得システムにおいて、前記対象者生体情報は、前記推定対象者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計によって計測された生体情報であり、前記生体情報は、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内蔵脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量の少なくとも1つの情報でもよい。
【0031】
この構成により、生体インピーダンスから算出される生体情報から推定対象者の着用物サイズを推定できる。
【0032】
本発明の一態様の着用物サイズ取得プログラムは、コンピュータを、推定対象者が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報と生体情報取得手段が取得した前記推定対象者の生体情報とに基づいて、前記推定対象者の前記着用物サイズを推定する着用物サイズ推定手段と、して機能させる。
【0033】
本構成によれば、着用物の着用者にとってより適正な着用物サイズを簡易に取得できる。
【0034】
本発明の一態様の着用物選択支援方法は、顧客が着用する着用物の大きさを示す着用物サイズが対応付けられた複数の生体情報と生体情報取得手段が取得した前記顧客の生体情報とに基づいて、前記顧客の前記着用物サイズを推定する第1工程と、前記第1工程で推定された前記着用物サイズを店舗の情報処理装置に表示する第2工程と、前記情報処理装置に表示された前記着用物サイズを店員が確認し、前記顧客に対する前記着用物の選択支援を行う第3工程と、を有する。
【0035】
本構成によれば、着用物を顧客に提供する店舗の店員は、着用物の選択支援を要する顧客を認識することができるので、効率良く業務を行える。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、着用物の着用者にとってより適正な着用物サイズを簡易に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の第1実施形態の着用物サイズ取得システムを示す図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態の着用物サイズ取得システムの機能ブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態の衣服サイズデータベースの模式図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態の着用物サイズ取得方法のフローチャートである。
図5図5は、本発明の第2実施形態の着用物サイズ取得システムを示す図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態の着用物サイズ取得システムの機能ブロック図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態の着用物サイズ取得方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0039】
(第1実施形態)
本実施形態では着用物を一例として衣服とし、本発明の着用物サイズ取得システムは衣服を販売する店舗で用いられるものとする。なお、衣服は、例えば、シャツ、ジャケット、ズボン、スカート、コート、及び下着等であり、上半身、下半身、又は全身に着用するものであれば特に限定されない。図1は、本実施形態の着用物サイズ取得システムを示す図である。本実施形態では、着用物サイズ取得システム10は、計測装置12、情報処理装置である店舗端末14、及びサーバ16を備える。
【0040】
計測装置12は、被計測者の生体インピーダンスに基づいて体組成を計測する体組成計である。本実施形態の計測装置12は、衣服を販売する店舗毎に設置され、衣服の購入者(以下「顧客」という。)によって使用され、顧客の体組成を計測する。すなわち、本実施形態の被計測者は、顧客であり、後述する推定衣服サイズが推定される推定対象者である。
【0041】
本実施形態の計測装置12は、タッチパネルディスプレイ20と本体部30とを備えている。タッチパネルディスプレイ20は、本体部30から立ち上がる支柱の上端部に設けられる。また、本体部30には、被計測者が乗る載台32、右ハンドグリップ33R及び左ハンドグリップ33Lが設けられている。そして、被計測者は、裸足で載台32の上に立ち、右手で右ハンドグリップ33Rを握り、左手で左ハンドグリップ33Lを握ることで体組成を計測する。以下に計測装置12の詳細について説明する。
【0042】
タッチパネルディスプレイ20は、液晶ディスプレイパネル等の表示パネル21と、表示パネル21と一体となってタッチ入力を受け付けるタッチセンサ等の入力装置22とを備えている。なお、入力装置22として、表示パネル21とは独立したボタン、スイッチ等の入力装置が用いられてもよい。表示パネル21には、計測装置12による計測結果、及び詳細を後述する衣服サイズの推定結果(以下「衣服サイズ推定結果」という。)が表示される。
【0043】
本体部30は、上述の載台32、右ハンドグリップ33R、左ハンドグリップ33Lと共に、体組成測定部31と体重測定部34とを備えている。載台32は、右足通電電極321Rと、右足測定電極322Rと、左足通電電極321Lと、左足測定電極322Lとを備えている。また、右ハンドグリップ33Rは、右手通電電極331Rと、右手測定電極332Rとを備え、左ハンドグリップ33Lは、左手通電電極331Lと、左手測定電極332Lとを備えている。
【0044】
体重測定部34は、体重を計測するためのロードセルを備えている。ロードセルは荷重に応じて変形する金属部材の起歪体と、起歪体に貼られる歪みゲージとによって構成される。ユーザが載台32の上に乗ると、ユーザの荷重によってロードセルの起歪体が撓んで歪ゲージが伸縮する。歪みゲージの抵抗値(出力値)は、その伸縮に応じて変化する。体組成測定部31は、荷重がかかっていないときのロードセルの出力値(ゼロ点)と荷重がかかったときの出力値との差から体重を演算する。なお、ロードセルを用いた体重の測定に関する構成は、一般の体重計と同様の構成を用いればよい。
【0045】
体組成測定部31には、被計測者の生体情報として、年齢、性別、身長が入力される。これらの生体情報は、タッチパネルディスプレイ20を介して体組成測定部31に入力される。なお、体組成測定部31には、他の装置が備える手段によって取得された生体情報が入力されてもよい。例えば、他の装置は、被計測者をカメラによって撮像した画像を解析等して被計測者の身長、年齢、性別等を推定する装置であり、体組成測定部31にはこの推定結果が生体情報として入力されてもよい。また、身長、年齢、性別だけでなく、被計測者の他の生体情報が体組成測定部31に入力されてもよい。
【0046】
体組成測定部31は、各通電用電極から被計測者の身体の所定部位に所定の周波数の微弱な電流を流す電流供給機能と、電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定機能と、このような電流及び電位差の各値に基づいて、ユーザの全身及び各身体部位の生体インピーダンスを算出する生体インピーダンス算出機能とを備えている。
【0047】
体組成測定部31による被計測者の全身及び各身体部位の生体インピーダンスの測定は、例えば以下のようにして行う。
(1)全身の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極331L及び左足通電電極321Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚部、左足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極332Lと左足に接触している左足測定電極322Lとの間の電位差を測定する。
(2)右脚の生体インピーダンスの測定では、右手通電電極331R及び右足通電電極321Rを用いて電流を供給し、右手、右腕、胸部、腹部、右脚部、右足を流れる電流経路において、その左足に接触している左足測定電極322Lと右足に接触している右足測定電極322Rとの間の電位差を測定する。
(3)左脚の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極331L及び左足通電電極321Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚部、左足を流れる電流経路において、その左足に接触している左足測定電極322Lと右足に接触している右足測定電極322Rとの間の電位差を測定する。
(4)右腕の生体インピーダンスの測定では、右手通電電極331R及び右足通電電極321Rを用いて電流を供給し、右手、右腕、胸部、腹部、右脚部、右足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極332Lと右手に接触している右手測定電極332Rとの間の電位差を測定する。
(5)左腕の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極331L及び左足通電電極321Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚部、左足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極332Lと右手に接触している右手測定電極332Rとの間の電位差を測定する。
【0048】
体組成測定部31は、入力された被計測者の生体情報と、体重測定部34で測定された体重と、算出された各生体インピーダンスを所定の回帰式に適用して演算することで、全身及び身体部位ごとの体組成測定値を算出する。体組成測定部31は、体組成測定値として、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内蔵脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量を算出する。体組成測定値の演算に関する構成も、一般の体組成計と同様の構成を用いることができる。なお、以下の説明では、体組成測定部31に入力された被計測者の生体情報や体組成測定部3で算出された体組成測定値を総称して対象者生体情報又は体組成データという。
【0049】
計測装置12は、上述のように被計測者が裸足となって計測が行われることが好ましいが、本実施形態の計測装置12は店舗の顧客が使用するため、必ずしも裸足で本体部30に乗る必要は無く、例えば、靴下を着用した状態又は靴を着用した状態で本体部30に乗って計測が行われてもよい。この場合、右脚及び左脚の通電電極及び測定電極を用いた生体インピーダンスの測定はされずに、被計測者の生体情報が取得される。このように、計測装置12は、右手、左手、右脚及び左脚の通電電極及び測定電極の全てを用いた生体インピーダンスの測定が必須ではなく、右手、左手、右脚及び左脚の中から少なくとも2箇所以上の通電電極及び測定電極を用いて生体インピーダンスを測定してもよい。
【0050】
また、計測装置12は、サーバ16等、他の情報処理装置との通信機能を有しており、計測装置12による計測結果をサーバ16へ送信したり、サーバ16からの衣服サイズ推定結果を受信する。
【0051】
次に、店舗端末14及びサーバ16の構成について説明する。
【0052】
店舗端末14は、タッチパネルディスプレイ15、アプリケーションプログラムを実行可能なコンピュータ、フラッシュメモリ等の内部ストレージ、各種のコネクタ等を備える情報処理装置である。また、店舗端末14は、インターネットに接続するための無線通信デバイス、近くの他デバイスに接続するための近距離通信デバイスを備えており、サーバ16からの衣服サイズ推定結果を受信し、タッチパネルディスプレイ15に表示する。なお、店舗端末14は、店舗の店員によって所持され、一例として、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型情報処理装置とするが、これに限らず、デスクトップ型又はラップトップ型のパソコン等、他の情報処理装置としてもよい。
【0053】
サーバ16は、プログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、インターネットやイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ等を備える情報処理装置である。本実施形態のサーバ16は、計測装置12や店舗端末14とのデータの送受信が可能とされており、計測装置12から受信した対象者生体情報に基づいて顧客の衣服サイズ等を推定し、衣服サイズ推定結果を計測装置12と店舗端末14へ送信する。なお、サーバ16は、各店舗に設置されてもよいし、複数の店舗が存在する所定エリア毎に設置されてもよい。
【0054】
図2は、本実施形態の着用物サイズ取得システム10の機能ブロック図である。着用物サイズ取得システム10は、記憶部50、体組成データ取得部52、衣服サイズ推定部54、適度演算部56、推定結果送信部58、及びデータベース更新部60を備える。なお、本実施形態において、図2に示される各機能は一例としてサーバ16が備えるコンピュータによって実行される。なお、図2に示される着用物サイズ取得システム10の各部はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。なお、以下の説明では、計測装置12の被計測者を推定対象者という。
【0055】
記憶部50は、推定対象者が着用する衣服の大きさを示す衣服サイズ(サイズデータ)が対応付けられた複数の生体情報(体組成データ)を記憶する。具体的には、記憶部50は、各々にサイズデータが対応付けられた複数の体組成データをサイズデータベース62として記憶する。
【0056】
下記数式(1)~(3)は、サイズデータベース62を表した数式であり、DBはデータベースを示し、BCは体組成データを示し、CSはサイズデータを示す。また、nは整数であり、nの値が同じ体組成データとサイズデータとは対応関係にある。このように、サイズデータベース62は、体組成データとサイズデータの組み合わせをn個有する集合である。
【0057】
【数1】
【0058】
図3は、サイズデータベース62を模式的に表した図である。図3のサイズデータベース62は、一例として、体組成データ毎に衣服サイズが対応付けられている。なお、サイズデータベース62は、一例として2種類の体組成データ要素X,Yの組み合わせを各体組成データとし、図3では各体組成データの値が(Xn,Yn)として表現されている。なお、図3の黒丸で示される(X,Y)は、計測装置12で取得された対象者生体情報であり、サイズデータベース62に含まれない。
【0059】
体組成データ要素X,Yは、例えば、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内蔵脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量の何れか2つである。また、サイズデータベース62は、例えば、推定対象者の体重や身長毎に設けられてもよい。また、体組成データは、2種類の体組成データ要素X,Yの組み合わせに限らず、1種類の体組成データ要素X又は3種類以上の体組成データX,Y,Z,・・・の組み合わせとされ、各体組成データに衣服サイズが対応付けられればよい。また、体組成データ要素は、推定対象者が計測装置12に入力可能な値や、計測装置12で測定された生体インピーダンスから演算可能な他の値であれば他の値であってもよい。
【0060】
本実施形態の衣服サイズは、一例として、S(Small)、M(Medium)、L(Large)等で表記されるサイズであるが、これに限らず、他の表記であってもよいし、腹囲、胸囲のような衣服のサイズ推定に用いられる数値、数値範囲や比であってもよい。また、衣服サイズは、例えば、Y、A及びABといった着用者の体型に応じて変化するサイズであってもよく、ストレート、スリム及びブーツカットといった衣服の型であってもよい。
【0061】
体組成データ取得部52は、計測装置12で取得された推定対象者の体組成データを示す対象者生体情報を、通信回線を介して取得する。
【0062】
衣服サイズ推定部54は、体組成データ取得部52が取得した対象者生体情報と記憶部50に記憶された複数の体組成データとに基づいて、推定対象者の衣服サイズを推定する。すなわち、衣服サイズ推定部54は、体組成データを軸とした多次元空間において、推定対象者の体組成データとの関係が最も強い体組成データに対応するサイズデータを推定対象者の衣服サイズとして推定する。
【0063】
本実施形態の衣服サイズ推定部54は、一例として、記憶部50に記憶された複数の体組成データ(Xn,Yn)のうち、対象者生体情報(X,Y)に対して近傍である体組成データに対応する衣服サイズを推定対象者の衣服サイズとして推定する。これにより、推定対象者の体組成データを示す対象者生体情報から推定対象者の衣服サイズを簡易に推定できる。
【0064】
なお、対象者生体情報(X,Y)に対して近傍とされる体組成データ(Xn,Yn)は、下記で説明するように、複数の体組成データ(Xn,Yn)から所定の演算処理によって抽出される。この演算処置は、一例として、対象者生体情報(X,Y)に対して最も近いとされる一つの体組成データ(Xn,Yn)を抽出する。しかしながら、演算処理は、必ずしも対象者生体情報(X,Y)に対して最も近いとされる体組成データ(Xn,Yn)を抽出しなくてもよい。例えば、対応付けられている衣服サイズが適切でない体組成データ(Xn,Yn)が対象者生体情報(X,Y)に対して最も近い場合には、当該体組成データ(Xn,Yn)を抽出しない演算処理が行われてもよい。
【0065】
以下に、衣服サイズの推定方法(演算処理)の例について説明する。本実施形態では、推定方法(1)~(3)を例示するが、衣服サイズの推定方法はこれに限定されない。
【0066】
(1)ユークリッド距離に基づく推定
推定方法(1)では、対象者生体情報とのユークリッド距離が最も小さい体組成データに対応するサイズデータを推定対象者の衣服サイズとして推定する。下記数式(4)はユークリッド距離の算出式の一例である。
【0067】
【数2】
【0068】
図3の例では、対象者生体情報(X,Y)に対して体組成データ(X,Y)が最もユークリッド距離が小さいため、衣服サイズは“S”と推定される。
【0069】
(2)近傍データ群から推定
推定方法(2)では、対象者生体情報の近傍とされる体組成データの集合である近傍データ群(以下「クラスター」ともいう。)のうち、最も割合が多いサイズデータを推定対象者の衣服サイズとして推定する。近傍として採用するデータ数をkとすると、近傍データ群kDBは下記数式(5)で表される。なお、クラスターの決定方法は特に限定されないが、例えば、対象者生体情報から予め定められたユークリッド距離内に含まれる体組成データとしてもよい。
【0070】
【数3】
【0071】
そして、推定方法(2)は、数式(5)の中に含まれるサイズデータのうち、最も多いサイズデータを推定対象者の衣服サイズとして推定する。なお、k=1の場合は、対象者生体情報(X,Y)に対して最も近傍のサイズデータDが推定対象者の衣服サイズとして推定される。
【0072】
また、下記数式(6)に示されるように、サイズデータは、対象者生体情報とのユークリッド距離によって重み付けされてもよい。Countmodify_xは、kDBに含まれる衣服サイズxの数kxにユークリッド距離を重み付けした値である。そして、Countmodify_xの値が最も大きいサイズデータが、推定対象者の衣服サイズとして推定される。
【0073】
【数4】
【0074】
(3)密度準拠クラスターから推定
サイズデータベース62に含まれる体組成データのうち、下記数式(7)~(9)で表される条件を満たす体組成データの極大集合を一つのクラスター(密度準拠クラスター)とする。
【0075】
【数5】
【0076】
そして、推定方法(3)では、対象者生体情報が含まれる密度準拠クラスターにおいて、最も多いサイズデータを推定対象者の衣服サイズとして推定する。
【0077】
衣服サイズ推定部54によって推定された衣服サイズ(以下「推定衣服サイズ」という。)は、適度演算部56に出力される。
【0078】
度演算部56は、推定衣服サイズの推定対象者に対する適正度を演算する。推定衣服サイズは、推定対象者の体組成データの対象者生体情報から推定されるため、推定結果が適正でない可能性もある。そこで、適度演算部56によって推定衣服サイズの適度が算出され、この結果を顧客である推定対象者や店舗の店員が確認することで、推定された着用物サイズの着用物が推定対象者に合うか否かを判断できる。これにより、推定対象者は最適な衣服の選択が自身又は店員の援助によって可能となる。なお、本実施形態の適度演算部56は、一致確率演算部64と修正度演算部66を備える。
【0079】
一致確率演算部64は、記憶部50に記憶された複数の体組成データに基づいて、推定衣服サイズが推定対象者の衣服サイズである確率(以下「一致確率」という。)を適正度として演算する。すなわち、一致確率とは、推定衣服サイズが推定対象者に適しているかを示す指標である。なお、推定衣服サイズが推定対象者により適しているほど、一致確率の値は大きくなる。
【0080】
本実施形態の一致確率演算部64は、一例として、記憶部50に記憶された複数の体組成データのうち、対象者生体情報を基準とした所定範囲に含まれる体組成データに対応付けられた衣服サイズの割合又は分布から一致確率を演算する。これにより、適度演算部56は、推定衣服サイズが適正であるか否かを簡易に判断できる。
【0081】
以下に、一致確率の演算方法の例について説明する。本実施形態では、下記演算方法(1),(2)を例示するが、これに限定されない。
【0082】
(1)クラスターに含まれるサイズデータの割合から算出
対象者生体情報の属するクラスターのうち、推定衣服サイズと同じサイズデータの数をNとし、推定衣服サイズと異なるサイズデータの数をNとして、下記数式(10)のように一致確率Pを算出する。
【0083】
【数6】
【0084】
図3の例では、対象者生体情報(X,Y)が含まれるクラスターが一点鎖線で示されている。そして、このクラスターに含まれるSサイズとされる体組成データが7つであり、Mサイズとされる体組成データが2つであるため、推定衣服サイズ“S”の一致確率は約78%とされる。
【0085】
なお、クラスター内に推定衣服サイズとは異なる衣服サイズが複数種類含まれる場合もある。このような場合、異なる種類の衣服サイズ毎にクラスターに含まれる確率も算出される。具体的には、推定衣服サイズが“M”である場合には、衣服サイズが“S”の体組成データや“L”の体組成データがクラスター内に含まれる可能性もある。このような場合、一致確率演算部64は、クラスター内に“S”の衣服サイズが含まれる確率と“L”の衣服サイズが含まれる確率も算出する。これにより、推定衣服サイズとは異なる衣服サイズの確率から、推定対象者の体形がSサイズに近いMサイズであるか、Lサイズに近いMサイズであるのかが判定可能となる。
【0086】
例えば、10個の体組成データが含まれるクラスターにおいて衣服サイズが“M”となる体組成データが7つであり、“S”となる体組成データが1つであり、“L”となる体組成データが2つの場合には、このクラスターに属する対象者生体情報の推定衣服サイズは“M”となり、一致確率は70%となる。また、“S”の衣服サイズの確率は10%であり、“L”の衣服サイズの確率は20%である。この場合、推定対象者の衣服サイズはLサイズに近いMサイズであると推定される。なお、例えば、“S”の衣服サイズの確率にはマイナスの符号が付され、“L”の衣服サイズの確率にはプラスの符号が付されて、衣服サイズ毎の確率が識別されてもよい。
【0087】
(2)クラスターに含まれるサイズ毎の体組成データの分布の差異から算出
対象者生体情報の属するクラスターのうち、推定衣服サイズと同じサイズデータとされる体組成データの確率分布をpとし、当該クラスターの体組成データの確率分布をpとしたときの分布の差異KL(pt||p)は下記数式(11)で表される。そして、差異KL(pt||p)を用いた下記数式(12)で一致確率Pを算出する。
【0088】
【数7】
【数8】
【0089】
一方、修正度演算部66は、推定衣服サイズにおける体組成データの代表値と対象者生体情報との差、又は推定衣服サイズにおける寸法(以下「推定寸法」という。)の代表値と対象者生体情報から得られる寸法(以下「対象者生体情報寸法」という。)との差である修正度を適度として演算する。すなわち、修正度とは、推定衣服サイズに適した代表的な体形に対して、推定対象者の体形がどの程度離れているかを示す指標である。これにより、適度演算部56は、推定衣服サイズが適正であるか否かを簡易に判断できる。
【0090】
ここで、推定衣服サイズにおける体組成データや推定寸法の代表値は、一例として、予めサイズデータベース62に記憶されている。また、対象者生体情報寸法は、例えば、体組成データと基準体形データとを対応付けて記憶したデータベースから対象者生体情報に対応する体形データを取得することで得られる。
【0091】
そして、修正度は、一例として、下記数式(13)のように表される。
【0092】
【数9】
【0093】
サイズmとは、推定衣服サイズであり、本実施形態では“S”、“M”、“L”の何れかである。また、BCm,medはサイズmにおける推定寸法の代表値とし、BCtは対象者生体情報寸法としてもよい。
【0094】
なお、BCm,medを体組成データの代表値とし、BCtを対象者生体情報とした場合、修正度Mm,tは一例として、百分率(%)で表され、この値が大きいほど修正が必要とされる。また、BCm,medを推定寸法の代表値とし、BCtを対象者生体情報寸法とした場合、修正度Mm,tは一例として、長さ(cm)で表され、この値が大きいほど修正が必要とされる。
【0095】
また、修正度演算部66は、算出した修正度が所定の閾値以上である場合に、推定衣服サイズに“修正が必要”であることを示すラベルを付し、修正度が上記閾値未満である場合に“修正は不必要”であることを示すラベルを付してもよい。“修正が必要”とされる場合は、後述するように店員による衣服の選択補助が行われる。さらに、修正度は計測装置12のタッチパネルディスプレイ20に表示され、推定対象者が確認可能とされ、修正度を確認した推定対象者がタッチパネルディスプレイ20を介して自身で修正の要否を選択してもよい。
【0096】
また、推定寸法の代表値は、上述のようにサイズデータベース62から取得するが、これに限らず、体組成データと上述した一致確率とに基づいて算出されてもよい。従来技術として、予め定められた関数に対して体組成データを変数として入力することで推定寸法の代表値を算出することも可能である。しかしながら、この関数は統計的手法により得られたものであり、この統計に奇異なデータも含んだ関数となる可能性もあり、当該関数を用いた代表値の算出では代表値の推定精度が下がる可能性がある。
【0097】
そこで、一致確率を用いて統計的に出現率が高いデータと低いデータとに重み付けを行って推定寸法の代表値を算出することで、推定寸法の代表値の推定精度をより高めることができる。換言すると、一致確率を推定寸法の代表値の算出に用いるということは、推定対象者の体形と衣服サイズとのずれの度合いを加味して代表値を算出することになる。より具体的には、推定衣服サイズが“S”と算出された場合において、一致確率が低いほど推定対象者の体形は衣服サイズ“M”に近いことを示している。そこで、推定寸法の代表値の算出に一致確率を用いることで、当該代表値が推定対象者に対応するより適切な値、すなわち衣服サイズ“M”に近い値として算出される。
【0098】
推定寸法の代表値の算出方法の一例として、下記数式(14),(15)に示すように、一致確率を閾値として用い、この閾値を境に異なる算出式を用いるものがある。数式(14),(15)は、衣服の腕部寸法の代表値の算出式の例であり、Larmは腕部長軸長さ、FATarmは腕部脂肪量、WEIGHTarmは腕部重量であり、これらの値は平均値として衣服サイズ毎にサイズデータベース62に予め記憶されている。すなわち、一致確率演算部64によって算出された一致確率Ptが予め定められた一致確率以上であった場合には、数式(14)によって推定寸法の代表値が算出され、一致確率Ptが予め定められた一致確率未満であった場合には、数式(15)によって推定寸法の代表値が算出される。
【0099】
【数10】
【0100】
また、推定寸法の代表値の算出方法の他の例として、例えば、下記数式(16)のように一致確率Ptを関数の変数として加えてもよい。
【数11】
【0101】
このようにして適度演算部56によって算出された一致確率や修正度といった適度は、推定衣服サイズと共に推定結果送信部58に出力される。
【0102】
推定結果送信部58は、衣服サイズ推定部54によって推定された推定衣服サイズ、適度演算部56によって演算された一致確率や修正度を、通信回線を介して計測装置12及び店舗端末14へ送信する。
【0103】
また、データベース更新部60は、サイズデータベース62に対して、サイズデータが対応付けられた新たな体組成データを追加(登録)して更新する。なお、サイズデータベース62にアクセス可能な情報処理装置は予め定められており、当該情報処理装置からデータベースに新たに追加される体組成データとサイズデータの組み合わせがデータベース更新部60に入力される。これより、サイズデータベース62は逐次更新され、推定対象者の推定衣服サイズの推定精度が向上される。なお、サイズデータベース62の更新は、一例として、着用物サイズ取得システム10のサービスの運用者(提供者)によって行われる。なお、サイズデータベース62は登録されている体組成データとサイズデータの組み合わせが削除されてもよい。
【0104】
図4は、サーバ16によって実行される衣服サイズ推定処理(衣服サイズ推定プログラム)の流れを示すフローチャートである。
【0105】
まず、ステップS100では、計測装置12から対象者生体情報が入力されたか否かを体組成データ取得部52が判定し、肯定判定の場合は対象者生体情報を取得したとしてステップS102へ移行する。否定判定の場合は、対象者生体情報が入力されるまで待ち状態となる。
【0106】
なお、計測装置12が対象者生体情報をサーバ16へ送信する場合には、推定対象者が計測装置12のタッチパネルディスプレイ20を介して、衣服サイズ推定処理の実行を選択した場合である。衣服サイズ推定処理を実行する場合には、店舗の顧客である推定対象者は、例えば、店舗における会員番号や自身の氏名等の顧客を識別するための識別情報を入力する。
【0107】
ステップS102では、サイズデータベース62に含まれる体組成データと取得した対象者生体情報とに基づいて、衣服サイズ推定部54が推定対象者の衣服サイズを推定する。
【0108】
次のステップS104では、推定衣服サイズの推定対象者に対する適正度として、適度演算部56が一致確率及び修正度を演算する。
【0109】
次のステップS106では、推定結果送信部58が推定衣服サイズ、一致確率及び修正度を計測装置12及び店舗端末14に送信する。計測装置12のタッチパネルディスプレイ20と店舗端末14のタッチパネルディスプレイ15には、推定衣服サイズ、一致確率及び修正度が表示される。
【0110】
これにより、顧客は、店員に頼ることなく、自身に適した衣服サイズを確認できる。また、店員も顧客の推定衣服サイズや一致確率及び修正度を確認するので、店員は、顧客に対して必要に応じて衣服の選択を支援(以下「衣服選択支援」という。)することができる。なお、店舗端末14には推定衣服サイズ等と共に、顧客が計測装置12による計測を行った時間や顧客が入力した識別情報等が表示される。これにより、店員は、推定衣服サイズの推定を行った顧客を識別できる。
【0111】
また、店舗端末14への推定衣服サイズ等の送信は常に行われるのでは無く、例えば、下記条件の何れかを満たした場合であってもよい。これにより、店員は、顧客が必要とすると考えられる場合にのみ、顧客に声をかけて衣服選択支援を行うことができる。また、自身の体組成データや推定衣服サイズ等を、店員や店舗に知られることを望まない顧客であっても、本システムを使用することができる。
(1)顧客が計測装置12による計測を終了してから所定時間T1が経過した場合
(2)一致確率が所定値P未満の場合
(3)修正度が所定値M以上の場合
(4)顧客が“修正が必要”又は店員に対して“選択補助の要求”を選択した場合
(5)顧客の店舗での滞在時間が所定時間T2を経過した場合
(6)顧客が「推定衣服サイズの送信」を選択した場合
【0112】
(1),(5)の条件は、顧客が衣服の購入に対して迷っていると考えられる場合である。なお、所定時間T1,T2の判断は、例えば、店舗内に設置されているカメラによって顧客の顔が認識され、当該顧客が計測を終了してからの経過時間や店舗内に入店したからの経過時間を計時することで行われる。また、(2),(3)の条件は、推定衣服サイズが顧客に適していない可能性があり、このような場合には店員による選択支援が必要とされる。(4)の条件は、推定衣服サイズが適でない可能性を顧客が感じている場合である。(6)は、推定衣服サイズの適否にかかわらず顧客が自ら店員と相談して衣服を購入したい場合である。なお、顧客が「推定衣服サイズの送信」を選択した場合で、かつ(1)~(5)の条件を満たした場合に店舗端末14に推定衣服サイズ等の送信が行われてもよい。
【0113】
なお、衣服サイズ推定部54によって推定された推定衣服サイズ、適度演算部56によって演算された一致確率や修正度は情報処理装置によって出力されればよく、例えば計測装置12又は店舗端末14に接続された印刷装置によって記録媒体に印刷されてもよい。また、計測装置12には推定衣服サイズのみが送信され、店舗端末14に推定衣服サイズ、一致確率及び修正度が送信されてもよい。
【0114】
以上説明したように、本実施形態の着用物サイズ取得システム10は、推定対象者の体組成データを示す対象者生体情報に基づいて、推定対象者の衣服サイズを推定し、推定した衣服サイズが推定対象者に対して適正であるかを求める。従って、本実施形態の着用物サイズ取得システム10は、衣服の購入者である顧客が自身にとって適正な衣服サイズを簡易に取得できる。
【0115】
なお、本実施形態のサイズデータベース62は、一つだけではなく、複数設けられてもよい。メーカーやブランド等によっては、衣服サイズの表記が異なっていたり、表記が他のメーカー等と同じであっても衣服の実際の寸法が若干異なる場合があるためである。そこで、サイズデータベース62は、衣服のメーカーやブランド、ファッションカテゴリ毎に設けられてもよい。この形態の場合、顧客である推定対象者が計測装置12による計測を行う際に、タッチパネルディスプレイ20に店舗が取り扱っている衣服のメーカーやブランドの名称が表示される。そして推定対象者は自身が購入したい衣服のメーカーやブランドを選択し、着用物サイズ取得システム10に衣服サイズ推定処理を実行させる。これにより、着用物サイズ取得システム10は、選択されたメーカーやブランドに対応するサイズデータベース62を用いて衣服サイズ推定処理を実行する。
【0116】
また、サイズデータベース62は、店舗毎に設けられてもよい。この形態の場合、店舗端末14を介して店員がサイズデータベース62の生成や更新等を行ってもよい。具体的には、店舗で取り扱うメーカーやブランド等の衣服のみがサイズデータベース62に登録され、取り扱わなくなった又は在庫が無くなったメーカーやブランドの衣服がサイズデータベース62から削除される。
【0117】
また、メーカーやブランド毎のサイズデータベース62を備える着用物サイズ取得システム10は、推定対象者の対象者生体情報や過去の購入履歴に応じて、購入を推奨するメーカーやブランド等の衣服を推定衣服サイズと共に推定対象者に提示してもよい。
【0118】
また、本実施形態ではサーバ16が衣服サイズ推定処理を実行する形態について説明したが、これに限らず、計測装置12が図2に示される機能を有し、衣服サイズ推定処理を実行してもよい。この形態の場合、例えば、計測装置12と店舗端末14とはBluetooth(登録商標)等の近距離通信によりデータの送受信が可能とされ、計測装置12が算出した推定衣服サイズや適度は計測装置12から店舗端末14へ送信される。一方、サーバ16はサイズデータベース62を記憶すると共にデータベース更新部60を備え、サイズデータベース62を逐次更新する。そして、計測装置12は店舗端末14を介して新たなサイズデータベース62をサーバ16から取得して記憶する。
【0119】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態は計測装置12が店舗に設置される形態について説明したが、本実施形態では計測装置12が推定対象者の自宅に設置される形態について説明する。
【0120】
図5は、本実施形態の着用物サイズ取得システム10の概略構成図である。なお、図5における図1と同様の構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、一例として、電源のオンやオフ、機能の切り替え、及び計測結果を表示する簡易な入出力部35を本体部30に備える。また、推定対象者が所持するスマートフォン等の情報処理装置(以下「ユーザ端末」という。)18と計測装置12とは近距離通信によりデータの送受信が可能とされ、計測装置12による対象者生体情報はユーザ端末18へ送信される。そして、推定対象者がユーザ端末18を介して衣服サイズ推定処理の実行を入力した後に計測された推定対象者の対象者生体情報がサーバ16へ送信され、サーバ16によって衣服サイズ推定処理が行われる。サーバ16によって算出された推定衣服サイズは、ユーザ端末18に送信されてユーザ端末18のタッチパネルディスプレイ19に表示される。
【0121】
図6は、本実施形態の着用物サイズ取得システム10の電気的構成を示す機能ブロック図である。なお、図6における図2と同様の機能ブロックは、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0122】
本実施形態の着用物サイズ取得システム10は、記憶部50にユーザデータベース68を備える。ユーザデータベース68は、推定対象者毎に設けられており、推定対象者が過去に行った衣服サイズ推定処理の推定結果及び対象者生体情報が日付と共に記憶されている。このため、体組成データ取得部52は、対象者生体情報を取得する毎にユーザデータベース68に対象者生体情報を記憶させる。また、衣服サイズ推定部54も推定衣服サイズを推定する毎に推定に用いた対象者生体情報に対応付けて推定衣服サイズをユーザデータベース68に記憶させる。
【0123】
さらに、本実施形態の着用物サイズ取得システム10は、サイズ変化時期推定部70を備えている。サイズ変化時期推定部70は、以前に取得された対象者生体情報と新たに取得された対象者生体情報とに基づいて、推定対象者の被服サイズが変化する時期(以下「サイズ変化時期」という。)を推定する。換言すると、サイズ変化時期推定部70は、推定対象者の体組成データの変化傾向から衣服サイズが変わりそうなタイミングを推定する。すなわち、サイズ変化時期は推定対象者の体形変化を示す指標であり、推定対象者はサイズ変化時期を確認することで自身の体形の変化を認識できる。
【0124】
サイズ変化時期推定部70は、例えば、以前に取得された対象者生体情報と新たに取得された対象者生体情報との近似線に基づいた外挿により、将来において推定対象者の被服サイズが変化する時期を推定する。そして、推定されたサイズ変化時期は推定結果送信部58へ出力される。
【0125】
推定結果送信部58は、推定衣服サイズ等と共にサイズ変化時期をユーザ端末18に送信する。
【0126】
図7は、本実施形態のサーバ16によって実行される衣服サイズ推定処理(衣服サイズ推定プログラム)の流れを示すフローチャートである。
【0127】
まず、ステップS200では、ユーザ端末18から計測装置12による対象者生体情報が入力されたか否かを体組成データ取得部52が判定し、肯定判定の場合は対象者生体情報を取得したとしてステップS202へ移行する。否定判定の場合は、対象者生体情報が入力されるまで待ち状態となる。
【0128】
ステップS202では、取得した対象者生体情報を体組成データ取得部52がユーザデータベース68に記憶させる。
【0129】
ステップS204では、サイズデータベース62に含まれる体組成データと取得した対象者生体情報とに基づいて、衣服サイズ推定部54が推定対象者の衣服サイズを推定する。
【0130】
次のステップS206では、推定衣服サイズの推定対象者に対する適正度として、一致確率及び修正度を適度演算部56が演算する。
【0131】
次のステップ208では、サイズ変化時期をサイズ変化時期推定部70が推定する。
【0132】
次のステップS210では、推定衣服サイズ、一致確率、修正度、及びサイズ変化時期を推定結果送信部58が推定対象者のユーザ端末18に送信する。これにより、ユーザ端末18のタッチパネルディスプレイ19には、推定衣服サイズ、一致確率、修正度、及びサイズ変化時期が表示される。従って、推定対象者は、自身に適した衣服サイズを認識できると共に、体形の変化により衣服サイズが変化すると推定される場合にはその変化時期を認識できる。
【0133】
なお、例えば、推定対象者の被服サイズが所定期間内(例えば半年以内)に変化しないと推定される場合には、サイズ変化時期として“衣服サイズの変化なし”とのように表示されてもよい。換言すると、上記所定期間内に衣服サイズが変化する場合にその変化時期が表示される。
【0134】
また、本実施形態の着用物サイズ取得システム10は、推定対象者の推定被服サイズやサイズ変化時期を推定対象者が予め登録した店舗の情報処理装置に送信(通知)してもよい。これにより、店舗の店員は、推定対象者の来店時に推定対象者の体形を採寸する作業を行うことなく、より適切な衣服の選択補助が可能となる。
【0135】
なお、店舗の情報処理装置への推定衣服サイズやサイズ変化時期等の送信は、例えば、下記条件の何れかを満たした場合であってもよい。
(1)推定対象者の前回購入時における推定衣服サイズ又は実際に購入した衣服サイズと新たな推定衣服サイズとが異なり、新たな推定衣服サイズの一致確率が所定値P以上の場合
(2)推定対象者の前回計測時における身長や腹囲等の入力値や対象者生体情報等、衣服のサイズを判断するために必要な値が衣服サイズの変更を要するほど変化した場合
【0136】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記第1実施形態と第2実施形態の着用物サイズ取得システム10の構成は、適宜組み合わされて実施されてもよい。
【0137】
例えば、上記実施形態では着用物を衣服とする形態について説明したが、本発明はこれに限られず、着用物は推定対象者が着用するものであれば、靴下、手袋、靴、帽子、スキー靴、スノーボード靴等、他の着用物であってもよい。
【0138】
また、着用物サイズ取得システム10は、算出された一致確率と共に推定被服サイズの結果が適切であったか否かを推定対象者がフィードバックする手段を設けてもよい。これにより、推定対象者の対象者生体情報と推定対象者が適正と判断した衣服サイズがサイズデータベース62に登録される。なお、フィードバックされる情報には、推定対象者が実際に試着や購入した衣服の情報(例えば衣服のメーカー、ブランド、型番、デザイン等)がさらに追加されてもよい。
【0139】
また、上記実施形態ではサーバ16又は計測装置12が衣服サイズ推定処理を実行する形態について説明したが、店舗端末14又はユーザ端末18が衣服サイズ推定処理を実行してもよい。この形態の場合、店舗端末14又はユーザ端末18は計測装置12から対象者生体情報を受信し、対象者生体情報に基づいて衣服サイズ推定処理を実行する。なお、サイズデータベース62はサーバ16から店舗端末14又はユーザ端末18へ適宜ダウンロードされ、店舗端末14又はユーザ端末18に記憶される。なお、第2実施形態のユーザデータベース68はサーバ16に記憶されずに、ユーザ端末18に記憶されてもよい。
【0140】
また、上記実施形態ではサイズデータベース62において複数の体組成データ毎にサイズデータが対応付けられているが、さらに、色彩及び模様等の少なくとも1つが含まれる衣服のデザインに関するデザインデータが体組成データ毎に対応付けられてもよい。一例として、対象者生体情報である体組成から推定される体型に適すると想定される衣服のデザインデータが、複数の体組成データ毎にサイズデータと共に対応付けられる。具体的には、例えば、推定される体型が太めである体組成データに対しては、収縮色が色彩(デザインデータ)として対応付けられ、推定される体型が太めである体組成データに対しては、ストライプが模様(デザインデータ)として対応付けられる。
【0141】
そして、推定されたサイズデータと共にデザインデータが、計測装置12のタッチパネルディスプレイ20に表示されることで推定対象者に提示される。なお、一つの体組成データに対して複数のデザインデータが対応付けられてもよく、推定対象者の過去の購入履歴に基づいて一又は複数のデザインデータが推定対象者に提示されてもよい。
【0142】
また、上記実施形態では衣服サイズ推定部54が衣服サイズを推定する形態について説明したが、これに限らず、衣服サイズ推定部54は、上述した推定対象者の衣服サイズを推定する方法と同様の方法で、推定対象者の対象者生体情報に基づいて衣服のデザインを推定してもよい。
【0143】
この形態の場合、記憶部50には複数の体組成データ毎にデザインデータが対応付けられたデータベース(以下「デザインデータベース」という。)が記憶される。そして、衣服サイズ推定部54は、対象者生体情報とデザインデータベースとに基づいて、例えば上述した(1)ユークリッド距離に基づく推定、(2)近傍データ群から推定、(3)密度準拠クラスターから推定、等を用いて推定対象者の衣服のデザインを推定する。
【0144】
そして、推定されたサイズデータが、計測装置12のタッチパネルディスプレイ20に表示されることで推定対象者に提示される。なお、推定対象者のものとして推定されるデザインデータは複数であってもよく、推定対象者の過去の購入履歴に基づいて一又は複数のデザインデータが推定対象者に提示されてもよい。
【0145】
さらに、この形態の場合も適正度演算部56は、上述した衣服サイズ推定部54によって推定された推定対象者の衣服サイズが推定対象者に対して適正であるかを求める方法と同様の方法で、推定された衣服のデザインが推定対象者に対して適正であるかを求めてもよい。当然ながら、適正度演算部56は、上述した一致確率及び修正度のうち、一致確率のみ求めてもよい。
【符号の説明】
【0146】
10 着用物サイズ取得システム
12 計測装置
50 記憶部(記憶手段)
52 体組成データ取得部(生体情報取得手段)
54 衣服サイズ推定部(着用物サイズ推定手段)
56 適度演算部(適正度演算手段)
62 サイズデータベース(データベース)
70 サイズ変化時期推定部(サイズ変化時期推定手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7