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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A47G9/10 M
A47G9/10 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020168314
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060699
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】592150930
【氏名又は名称】富士ベッド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】橋田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】菊池 崇
(72)【発明者】
【氏名】八橋 史織
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020051(JP,A)
【文献】意匠登録第1118949(JP,S)
【文献】特開2011-110338(JP,A)
【文献】意匠登録第1339908(JP,S)
【文献】米国特許出願公開第2019/0021526(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0489734(KR,Y1)
【文献】特開2002-320540(JP,A)
【文献】特開平10-179361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後縁、前縁、右縁及び左縁を有する枕であって、
前記枕内の前記右縁と前記左縁との間の左右方向中間部に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成された第1の仕切布と、
前記左右方向中間部において前記第1の仕切布と前記前縁との間に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成され、前記前縁との間が開放された第2の仕切布と、
前記後頭支持室と前記右縁との間に、前記右縁に向ってハの字状に開いて設けられた2つの第3の仕切布と、
前記後頭支持室と前記左縁との間に、前記左縁に向ってハの字状に開いて設けられた2つの第4の仕切布と
を具備し、
前記第1の仕切布と前記第2の仕切布との間が開放され、
前記第1の仕切布と前記第2の仕切布との間が後頭支持室を規定し、
前記第2の仕切布と前記前縁との間が首支持室を規定する枕。
【請求項2】
前記第3の仕切布と前記右縁との間が右横寝支持室を規定し、
前記第4の仕切布と前記左縁との間が左横寝支持室を規定する請求項に記載の枕。
【請求項3】
前記第3の仕切布の前記右縁との間の前後側端の一方又は双方が開放され、
前記第4の仕切布の前記左縁との間の前後側端の一方又は双方が開放されている請求項に記載の枕。
【請求項4】
前記第3の仕切布の前記右縁との間の前後側端の双方が閉鎖され、
前記第4の仕切布の前記左縁との間の前後側端の双方が閉鎖されている請求項に記載の枕。
【請求項5】
後縁、前縁、右縁及び左縁を有する枕であって、
前記枕内の前記右縁と前記左縁との間の左右方向中間部に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成された第1の仕切布と、
前記左右方向中間部において前記第1の仕切布と前記前縁との間に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成され、前記前縁との間が開放された第2の仕切布と、
前記後頭支持室と前記右縁との間に、前記右縁に向って前記前縁から離れて設けられた1つの第3の仕切布と、
前記後頭支持室と前記左縁との間に、前記左縁に向って前記前縁から離れて設けられた1つの第4の仕切布と
を具備し、
前記第1の仕切布と前記第2の仕切布との間が開放され、
前記第1の仕切布と前記第2の仕切布との間が後頭支持室を規定し、
前記第2の仕切布と前記前縁との間が首支持室を規定する枕。
【請求項6】
前記第3の仕切布、前記右縁及び前記前縁の間が右横寝支持室を規定し、
前記第4の仕切布、前記左縁及び前記前縁の間が左横寝支持室を規定する請求項に記載の枕。
【請求項7】
前記第3、第4の仕切布は上面視で円弧状、直線状又は段差状に延在する請求項又はに記載の枕。
【請求項8】
後縁、前縁、右縁及び左縁を有する枕であって、
前記枕内の前記右縁と前記左縁との間の左右方向中間部に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成された第1の仕切布と、
前記左右方向中間部において前記第1の仕切布と前記前縁との間に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成され、前記前縁との間が開放された第2の仕切布と
を具備し、
前記第1の仕切布と前記第2の仕切布との間が開放され、
前記第1の仕切布と前記第2の仕切布との間が後頭支持室を規定し、
前記第2の仕切布と前記前縁との間が首支持室を規定し、
さらに、前記第1の仕切布の前記後縁側にほぼ平行に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成された第5の仕切布を具備し、
前記第1の仕切布と前記第5の仕切布との間の前記枕の上面は傾斜して前記第1の仕切布から前記第5の仕切布に向って立上っている
【請求項9】
前記後頭支持室及び前記首支持室と前記右縁との間が右横寝支持室を規定し、
前記後頭支持室及び前記首支持室と前記左縁との間が左横寝支持室を規定する請求項に記載の枕。
【請求項10】
前記後頭支持室の左右端が開放端として開放され、
前記首支持室の左右端の少なくとも一方が開放端として開放されている請求項1、5又は8に記載の枕。
【請求項11】
前記後頭支持室の開放端の幅は前記首支持室の開放端の幅より大きい請求項10に記載の枕。
【請求項12】
前記各第1、第2の仕切布は上面視で円弧状、直線状又は段差状に延在する請求項1、5又は8に記載の枕。
【請求項13】
後縁、前縁、右縁及び左縁を有する枕であって、
前記枕内の前記右縁と前記左縁との間の左右方向中間部に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成されて後頭支持室を規定する第1の仕切布と、
前記左右方向中間部において前記第1の仕切布の前記後縁側にほぼ平行に設けられ、前記前縁に向って凹状に形成された第5の仕切布と
を具備し、
前記左右方向中間部において前記第1の仕切布と前記第5の仕切布との間の前記枕の上面は傾斜して前記第1の仕切布から前記第5の仕切布に向って立上っており、
さらに、
前記後頭支持室と前記右縁との間に、前記右縁に向って前記前縁から離れて設けられた1つの第3の仕切布と、
前記後頭支持室と前記左縁との間に、前記左縁に向って前記前縁から離れて設けられた1つの第4の仕切布と
を具備する枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被験者の後頭部及び首部を安定的に支持するための枕に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、枕においては、後頭支持部及び首支持部の高さを保持するために、後頭支持部及び首支持部の各充填部材が左右に逃げないように、後頭支持部及び首支持部を含めて枕を壁状に仕切布を縫合して各部屋に仕切っている。
【0003】
図10は従来の枕を示す上面斜視図である。尚、以後の図における前(頭下)、後(頭上)、左、右は仰臥位の被験者から見た方向である。
【0004】
図10においては、枕は、前後左右対称をなしており、中央に位置する後頭支持室101、後頭支持室101の前後側に対称的に位置する首支持室102、103、及び後頭支持室101、首支持室102、103の左右側に対称的に位置する横寝支持室104、105よりなる。この場合、各室101、102、103、104、105間は壁状の格子構造の仕切布106によって仕切られており、従って、各室101、102、103、104、105に開閉自在のファスナ101a、102a、103a、104a、105a(104a、105aのみ図示)を設けて充填部材を挿入する。つまり、5個のファスナを設ける。従って、各室101、102、103、104、105の充填部材たとえばパイプの量を調整することにより各室101、102、103、104、105の高さを調整できる。特に、横寝支持室104、105の高さを調整して後頭支持室101と横寝支持室104、105との段差を適正に保持し、この結果、被験者の後頭部が仰臥位から横臥位へ移動し易くなりつまり寝返りし易くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10の従来の枕においては、各室101、102、103、104、105を格子構造の仕切布106で仕切る構造をなしているので、仕切布106の複雑な縫合作業及び各室101、102、103、104、105毎の充填部材の挿入作業のために製造コストが高いという課題がある。
【0006】
また、一度、充填部材が後頭支持室101に挿入されると、後頭支持室101の高さはほぼ不変であり、この高さが不適切な場合、その都度、ファスナを開閉して充填部材の量を調整しなければならないという課題もある。
【0007】
さらに、充填部材の挿入量によって後頭支持室101と横寝支持室104、105との段差が大きくなって寝返りしにくくなった場合、その都度、ファスナを開閉して充填部材の量を調整しなければならないという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る枕は、後縁、前縁、右縁及び左縁を有する枕であって、枕内の右縁と左縁との間の左右方向中間部に設けられ、前縁に向って凹状に形成された第1の仕切布と、左右方向中間部において第1の仕切布と前縁との間に設けられ、前縁に向って凹状に形成され、前縁との間が開放された第2の仕切布と、前記後頭支持室と前記右縁との間に、前記右縁に向ってハの字状に開いて設けられた2つの第3の仕切布と、前記後頭支持室と前記左縁との間に、前記左縁に向ってハの字状に開いて設けられた2つの第4の仕切布とを具備し、第1の仕切布と第2の仕切布との間が開放され、第1の仕切布と第2の仕切布との間が後頭支持室を規定し、第2の仕切布と前縁との間が首支持室を規定するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の仕切布及び第2の仕切布は分離されているので、縫合作業が容易となると共に充填部材の挿入容易によって製造コストを低減でき、また、後頭支持室の高さ及び首部支持室の高さを被験者の後頭部の重み及び首部の重みに応じた値に安定化できると共に、寝返りし易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る枕の第1の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は前方斜視図である。
図2図1の枕の動作を説明するための上面図であり、(A)は被験者の仰臥時の充填部材の流れを示し、(B)は被験者の横寝時の充填部材の流れを示す。
図3図1の仕切布の変更例を示す上面図である。
図4図1の後頭支持室、首支持室の形状を決定する仕切布の変更例を示す上面図である。
図5図1の第1の変更例を示し、(A)は上面図、(B)は前方斜視図である。
図6図1の第2の変更例を示し、(A)は上面図、(B)は前方斜視図である。
図7】本発明に係る枕の第2の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は前方斜視図である。
図8図7の枕の動作を説明するための上面図であり、(A)は被験者の仰臥時の充填部材の流れを示し、(B)は被験者の横寝時の充填部材の流れを示す。
図9図7の枕の写真であって、(A)は上面写真、(B)は斜視写真である。
図10】従来の枕を示す上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係る枕の第1の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は前方斜視図である。
【0012】
図1において、左右対称をなしている枕は、後縁E1、前縁E2、右縁E3、左縁E4によって囲まれ、中央部に設けられた後頭支持室1と、後頭支持室1の前側に設けられた首支持室2と、後頭支持室1及び首支持室2の右側に設けられた右横寝支持室3と、後頭支持室1及び首支持室2の左側に設けられた左横寝支持室4とによって構成される。枕の表面側及び裏面側材料は、共に、弾力性があるたとえばニット(編物)によって形成される。また、充填部材たとえばパイプを充填するための開閉自在の1個のファスナ7がたとえば枕の左縁E4に設けられる。
【0013】
枕内の中央部に、前方側が凹状の壁状の仕切布6-1を縫合し、また、枕内の前縁E1と仕切布6-1との間に、前方側が凹状の壁状の仕切布6-2を縫合する。この場合、仕切布6-1、6-2間の左右側に開放端S1が存在する。他方、仕切布6-2と前縁E2との間の左右に開放端S2を設ける。さらに、後頭支持室1側に1つの開放端S3、右縁E3側に2つの開放端S3’を有する「ハ」の字状の壁状の仕切布6-3-1、6-3-2を縫合し、後頭支持室1側に1つの開放端S4、右縁E4側に2つの開放端S4’を有する「ハ」の字状の壁状の仕切布6-4-1、6-4-2を縫合する。仕切布6-1、6-2、6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2は堅ろうなたとえば布はく(織物)によって形成されている。仕切布6-1、6-2、6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2は図10の格子状の仕切布106と異なり、分離されており、従って、仕切布6-1、6-2、6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2の縫合作業は図10の格子状の仕切布106の縫合作業より容易である。
【0014】
後頭支持室1は仕切布6-1、6-2によって規定され、左右に開放端S1を有する。首支持室2は仕切布6-2と前縁E1との間によって規定され、左右に開放端S2を有する。右横寝支持室3は仕切布6-3-1、6-3-2と左縁E3との間によって規定され、中央側に開放端S3を有すると共に、右縁E3の前後側に2つの開放端S3’を有する。左横寝支持室4は仕切布6-4-1、6-4-2と左縁E4との間によって規定され、中央側に開放端S4を有すると共に、左縁E4の前後側に2つの開放端S4’を有する。従って、枕内では、充填部材は移動可能である。この結果、たとえば左横寝支持室4の左縁E4に設けられたファスナ7を介して枕内全体への充填部材の挿入が容易である。
【0015】
後頭支持室1の開放端S1の幅W1を大きくして後頭支持室1内の充填部材の流動性を大きくし、首支持室2の開放端S2の幅W2を小さくして首支持室2内の充填部材の流動性を小さくする。つまり、W1>W2。従って、後頭支持室1から右横寝支持室3及び左横寝支持室4への充填部材流動を確保しつつ、首支持室2の膨らみを維持する。この場合、首支持室2の開放端S2の幅W2をできるだけ小さくして首支持室2内の充填部材の流動性を強く抑制してもよい。
【0016】
また、右横寝支持室3、左横寝支持室4の開放端S3’、S4’の幅W3’、W4’を小さくして右横寝支持室3、左横寝支持室4内の充填部材の流動性を小さくする。つまり、W1>W3’、W1>W4’。従って、後頭支持室1から右横寝支持室3、左横寝支持室4への充填部材流動を確保しつつ、右横寝支持室3、左横寝支持室4の膨らみを維持する。この場合、右横寝支持室3、左横寝支持室4の開放端S3’、S4’の幅W3’、W4’をできるだけ小さくして右横寝支持室3、左横寝支持室4内の充填部材の流動性を強く抑制してもよい。
【0017】
図1の枕の充填部材(たとえばパイプ)の流動について説明する。
【0018】
被験者が仰臥時の充填部材の流動は図2の(A)に示される。後頭支持室1においては、被験者の頭部の重みにより充填部材は、矢印Xに示すごとく、後頭支持室1の中央から仕切布6-1、6-2によって形成された開放端S1を介して主に左右方向へ向かって動く。この場合、仕切布6-1、6-2によって形成される開放端S1の幅W1を適度な大きさにすることにより充填部材の流動性を適度に抑制し、後頭支持室1の中央部は被験者の頭部の重みに依存して安定した高さを有することになる。他方、首支持室2においても、充填部材は、矢印Yに示すごとく、やはり主に左右方向へ動く。この場合、首支持室2の仕切布6-2の開放端S2の幅W2は比較的小さく、これに応じて充填部材の流動性を強く抑制し、首支持室2の中央部は被験者の頭部及び首部の重みによっても高さの低下は小さくなり、安定した高さを維持することになる。
【0019】
尚、首支持室2には、被験者の首部が支持される。この場合、人間の首部は、7つの頸椎及び頭板状筋によって平坦状になっている。従って、上述のごとく、首支持室2の充填部材の流動性を極力抑制して平坦形状を維持することが刺激をなくすという点で好ましい。このため、枕材料のニットの裏地として立体成型生地を組合せて首支持室2をより平坦状にする。
【0020】
被験者が横寝時の充填部材の流動は図2の(B)に示される。横寝支持室3、4においては、充填部材は、矢印Zに示すごとく、主に前後方向に向かって動く。この場合、仕切布6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2の開放端S3’、S4’の幅W3’、W4’に応じて充填部材の流動性を強く抑制し、横寝支持室3、4の中央部は被験者の頭部の重みによっても高さの低下は小さく安定した高さを有することになる。従って、後頭支持室1と横寝支持室3、4との段差は安定した値となり、寝返りし易くなる。
【0021】
図3の(A)に示すごとく、首支持室2の開放端S2のいずれか一方の開放端を仕切布6-2によって閉鎖して首支持室2内の充填部材の流動性をさらに強く抑制してもよい。但し、首支持室2の左右側の開放端S2の両方を仕切布6-2によって閉鎖することはできない。なぜなら、ファスナが存在しない首支持室2内への充填部材の挿入が不可能となるからである。
【0022】
図3の(B)に示すごとく、横寝支持室3(4)の開放端S3’(S4’)のいずれか一方又は両方の開放端を仕切布6-3-1(6-3-2)、6-4-1(6-4-2)によって閉鎖して横寝支持室3(4)内の充填部材の流動性をさらに強く抑制してもよい。この場合、開放端S3’(S4’)の両方の開放端を閉鎖しても開放端S3(S4)が存在するので、充填部材の挿入は可能である。
【0023】
図4図1の後頭支持室1、首支持室2の形状を決定する仕切布の変更例を示す上面図である。図4の(A)に示すごとく、仕切布6-1、6-2は前縁E2に対して三角形状でもよく、また、図4の(B)に示すごとく、仕切布6-1、6-2は段差状でもよい。つまり、仕切布6-1、6-2は開放端S1、S2を確保できれば、種々な形状が可能である。
【0024】
仕切布6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2も、図示しないが、直線状の外に、円弧状、段差状等の他の形状になし得る。
【0025】
また、上述の第1の実施の形態においては、右横寝支持室3に右縁E3側が凹状(ハの字状)仕切布6-3-1、6-3-2を設け、左横寝支持室4に左縁E4側に凹状(ハの字状)仕切布6-4-1、6-4-2を設け、仕切布6-3-1、6-3-2と右縁E3との間で右横寝支持室3を規定し、仕切布6-4-1、6-4-2と左縁E4との間で左横寝支持室4を規定している。しかしながら、図5に示すごとく、仕切布6-3-2、6-4-2は設けなくともよい。この場合、右横寝支持室3は仕切布6-3-1、前縁E2’及び右縁E3によって規定され、左横寝支持室4は仕切布6-4-1、前縁E2及び左縁E4によって規定される。また、図6に示すごとく、仕切布6-3-1、6-3-2、仕切布6-4-1、6-4-2を設けなくともよく、この場合には、右横寝支持室3は後頭支持室1及び首支持室2と右縁E3との間で規定され、左横寝支持室4は後頭支持室1及び首支持室2と左縁E4との間で規定される。
【0026】
図7は本発明に係る枕の第2の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は前方斜視図である。図7においては、仕切布6-2の開放端S2は設けていないので、首支持室2の高さは固定である。しかし、少なくとも一方の開放端S2を設けてもよい。また、図1の仕切布6-3-2、6-4-2は省略してある。
【0027】
図7においては、図1の仕切布6-1にほぼ平行に前方側が凹状の壁状の仕切布6-5を付加してある。この場合、仕切布6-1、6-間の左右に開放端S5を設ける。また、仕切布6-5と仕切布6-1との中央間隔は仕切布6-1と仕切布6-2との中央間隔より小さい。
【0028】
図7の枕の充填部材(たとえばパイプ)の流動について説明する。
【0029】
被験者が仰臥時の充填部材の流動は図8の(A)に示される。後頭支持室1においては、被験者の頭部の重みにより充填部材は、矢印Xに示すごとく、後頭支持室1の中央から仕切布6-1、6-2によって形成された開放端S1を介して主に左右方向へ向かって動く。また、同時に、仕切布6-5、6-1間においても、被験者の頭部の重みにより充填部材は、矢印Uに示すごとく、仕切布6-5、6-1の間から開放端S5に向って動くが、矢印Uに動く充填部材は矢印Xに動く充填部材より少ない。このとき、後縁E1と仕切布6-5との間の充填部材の移動量は少ない。この結果、仕切布6-5、6-1間は傾斜して立上る。この仕切布6-5、6-1間の傾斜により、被験者の頭部は後頭支持室1により安定的に維持されることになる。
【0030】
被験者が横寝時の充填部材の流動は図8の(B)に示される。この場合も、横寝支持室3、4においては、充填部材は、矢印Zに示すごとく、主に前後方向に向かって動く。この場合、仕切布6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2の開放端S3’、S4’の幅W3’、W4’に応じて充填部材の流動性を強く抑制し、横寝支持室3、4の中央部は被験者の頭部の重みによっても高さの低下は小さく安定した高さを有することになる。従って、寝返りし易くなる。
【0031】
図9図7の枕の写真であって、(A)は上面写真、(B)は斜視写真である。
【0032】
図9に示すように、仕切布6-5、6-1間は傾斜して立上っていることが分る。
【0033】
図7に示す第2の実施の形態においても、仕切布6-1、6-2、6-5は前縁E2に対して三角形状でもよく、仕切布6-1、6-2、6-5は段差状でもよい。つまり、仕切布6-1、6-2、6-5は開放端S1、S2、S5を確保できれば、種々な形状が可能である。
【0034】
仕切布6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2、6-5も、図示しないが、直線状の外に、円弧状、段差状等の他の形状になし得る。
【0035】
また、上述の第の実施の形態においても、仕切布6-3-2、6-4-2は設けもよい。また、仕切布6-3-1、6-3-2、仕切布6-4-1、6-4-2を設けなくともよい。
【0036】
さらに、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更にも適用し得る。
【符号の説明】
【0037】
1:後頭支持室
2:首支持室
3:右横寝支持室
4:左横寝支持室
6-1、6-2、6-3-1、6-3-2、6-4-1、6-4-2、6-5:仕切布
7:ファスナ
E1:後縁
E2:前縁
E3:右縁
E4:左縁
101:後頭支持室
102、103:首支持室
104、105:横寝支持室
106:仕切布
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10