(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
F25D23/00 302B
F25D23/00 302A
(21)【出願番号】P 2020212832
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】星野 仁
(72)【発明者】
【氏名】小松 肇
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 昌志
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-030648(JP,A)
【文献】特開平04-166035(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105650990(CN,A)
【文献】特開2009-255970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室内に配設される密閉容器と、密閉容器内の圧力を減圧する真空ポンプと、密閉容器の気密状態を解除する気密状態解除手段と、を備え、
密閉容器は、食材を収める容器本体と、容器本体の開口部を塞ぐ蓋部と、を備え、
蓋部は、容器本体内と連通する第1の貫通孔と、第1の貫通孔を閉塞可能な第1の弁と、第1の貫通孔及び第1の弁に臨む一端と、蓋部外と連通して真空ポンプに臨む他端とを備える第1の連通路と、を備え、
真空ポンプの減圧動作に伴い、第1の貫通孔を閉塞する第1の弁は、真空ポンプに吸引されて第1の貫通孔から離れる一方、真空ポンプの減圧動作の停止に伴い、第1の弁は、第1の貫通孔に向けて移動し、第1の貫通孔を塞
ぎ、
真空ポンプの吸気口に接続する管路と、真空ポンプと前記管路を収めると共に、密閉容器と対向するケースと、ケースと密閉容器との間に配設され、密閉容器に押圧される際、ケース側に向かって窪むよう弾性変形する封止部と、を更に備え、
密閉容器と対向する側のケース壁面であって、上下方向に伸びる壁面に、水平方向に貫通する壁面貫通孔が形成され、前記管路は、壁面貫通孔に臨み、
封止部は、前記ケースの前記壁面貫通孔と前記密閉容器の前記第1の連通路とを連通する封止部貫通孔を備え、
前記ケース壁面に、封止部を収容する封止部収容壁が突設され、封止部収容壁の突出方向の長さは、封止部の厚みより短いことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
蓋部は、
容器本体内と連通する第2の貫通孔と、
第2の貫通孔を閉塞可能な第2の弁と、
第2の貫通孔及び第2の弁に臨む一端と、蓋部外と連通する他端とを備える第2の連通路と、
を備え、
気密状態解除手段は、
第2の弁を押動可能に第2の連通路に挿入される作用部と、
作用部を進退させる作用部進退機構と、
を備え、
密閉容器の気密状態を解除する際、第2の貫通孔を閉塞する第2の弁は、作用部の前進によって押し動かされ、第2の貫通孔を開き、
作用部の後退によって、第2の弁は、作用部に押し動かされる前の位置に戻り、第2の貫通孔を閉塞する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
密閉容器は、冷蔵室内の所定位置に着脱可能に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
真空ポンプの吸気口に接続する管路と、
真空ポンプと前記管路を収めると共に、密閉容器と対向するケースと、
ケースと密閉容器との間に配設され、密閉容器に押圧される際、ケース側に向かって窪むよう弾性変形する封止部と、
を更に備え、
密閉容器と対向する側のケース壁面に、壁面貫通孔が形成され、
前記管路は、壁面貫通孔に臨み、
封止部は、前記ケースの前記壁面貫通孔と前記密閉容器の前記第1の連通路とを連通する封止部貫通孔を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記ケース壁面に、封止部を収容する封止部収容壁が突設され、
封止部収容壁の突出方向の長さは、封止部の厚みより短い
ことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプと、真空ポンプによって内部が減圧される密閉容器(密閉区画)を備え、密閉容器に収容される食材の保存性を高める冷蔵庫が、従来から提供されている(例えば、特許文献1)。また、例えば、蓋や容器本体に装着された減圧弁によって、内部を真空状態(大気圧より低い状態)とすることが可能な密閉容器(真空キャニスタ)も、従来から提供されている。予め食材を収容し内部が減圧された状態の真空キャニスタを冷蔵庫内に収めることで、食材の保存性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に開示の冷蔵庫は、密閉構造を有する真空容器を備えた貯蔵室と、貯蔵室又は真空容器を冷却する冷却手段と、真空容器内の圧力を可変させる減圧手段と真空容器内に大気圧を導入する大気圧導入手段とを備える圧力変動装置と、真空容器内部に収納された小片の集合体からなる食品を、所定の凍結温度に達するまで冷却する過程の少なくとも一部の過程において、食品と接する気体空間の圧力を前記圧力変動手段によって変動させる制御装置を備える。
【0005】
また、特許文献1の発明は、真空容器を開閉する第一の開閉弁と第二の開閉弁を備える。より詳しくは、真空ポンプの動作開始に伴い第一の開閉弁を開き、真空容器を減圧すると共に、真空ポンプの動作停止後、第二の開閉弁を開き、真空容器に大気を導入する(真空容器の気密状態を解除する)。この構成により、減圧された状態で大気圧導入手段により大気圧を導入または加圧し、食品に風圧をかけて食品をバラ状凍結することができる。
【0006】
しかしながら、第一の開閉弁と第二の開閉弁の具体的な構造に関しては、特許文献1に開示も示唆もされていない。ここで、冷蔵庫のコスト高騰を避けるなどの観点から、シンプルな構造を有し、冷蔵庫内に容易に導入可能な弁機構が求められる。ただし、前述のように、特許文献1に開示の第一の開閉弁と第二の開閉弁の構造が具体的でないため、特許文献1の発明において、そのような課題が解決可能か否か明らかでない。
【0007】
前述の課題に鑑み、本発明は、シンプルな構造を有しながら、密閉容器の減圧状態を適切に維持でき、且つ密閉容器の気密状態を所望のタイミングで解除可能な弁機構(密閉容器を減圧する際に用いられる弁と、気密状態を解除する際に用いられる弁)を備えた冷蔵庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る冷蔵庫は、
冷蔵室内に配設される密閉容器と、密閉容器内の圧力を減圧する真空ポンプと、密閉容器の気密状態を解除する気密状態解除手段と、を備え、
密閉容器は、食材を収める容器本体と、容器本体の開口部を塞ぐ蓋部と、を備え、
蓋部は、容器本体内と連通する第1の貫通孔と、第1の貫通孔を閉塞可能な第1の弁と、第1の貫通孔及び第1の弁に臨む一端と、蓋部外と連通して真空ポンプに臨む他端とを備える第1の連通路と、を備え、
真空ポンプの減圧動作に伴い、第1の貫通孔を閉塞する第1の弁は、真空ポンプに吸引されて第1の貫通孔から離れる一方、真空ポンプの減圧動作の停止に伴い、第1の弁は、第1の貫通孔に向けて移動し、第1の貫通孔を塞ぎ、
真空ポンプの吸気口に接続する管路と、真空ポンプと前記管路を収めると共に、密閉容器と対向するケースと、ケースと密閉容器との間に配設され、密閉容器に押圧される際、ケース側に向かって窪むよう弾性変形する封止部と、を更に備え、
密閉容器と対向する側のケース壁面であって、上下方向に伸びる壁面に、水平方向に貫通する壁面貫通孔が形成され、前記管路は、壁面貫通孔に臨み、
封止部は、前記ケースの前記壁面貫通孔と前記密閉容器の前記第1の連通路とを連通する封止部貫通孔を備え、
前記ケース壁面に、封止部を収容する封止部収容壁が突設され、封止部収容壁の突出方向の長さは、封止部の厚みより短いことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る冷蔵庫において、
蓋部は、
容器本体内と連通する第2の貫通孔と、
第2の貫通孔を閉塞可能な第2の弁と、
第2の貫通孔及び第2の弁に臨む一端と、蓋部外と連通する他端とを備える第2の連通路と、
を備え、
気密状態解除手段は、
第2の弁を押動可能に第2の連通路に挿入される作用部と、
作用部を進退させる作用部進退機構と、
を備え、
密閉容器の気密状態を解除する際、第2の貫通孔を閉塞する第2の弁は、作用部の前進によって押し動かされ、第2の貫通孔を開き、
作用部の後退によって、第2の弁は、作用部に押し動かされる前の位置に戻り、第2の貫通孔を閉塞する
ことを特徴とする。
【0010】
更に、本発明に係る冷蔵庫において、
密閉容器は、冷蔵室内の所定位置に着脱可能に設けられる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷蔵室の冷蔵環境下で密閉容器内を減圧できる。その結果、密閉容器に収容される食材の保存性を高めることができる。また、本発明によれば、蓋部に設けられた第1の連通路に臨み、真空ポンプの動作に応じて動作する第1の弁により、容器本体内と連通する第1の貫通孔を開閉できる。すなわち、本発明によれば、このようなシンプルな機構によって、密閉容器を減圧し、且つ所定の閾値以下の減圧状態を適切に維持できる。そのため、製品の過度なコスト高騰を招かない。更に、本発明によれば、気密状態解除手段を備えるため、密閉容器の気密状態を所望のタイミングで解除することができる。更に、本発明によれば、密閉容器の気密状態を冷蔵室内で解除できる。そのため、気密状態解除手段により密閉容器が開いても、食材の臭いが冷蔵庫外に漏れない。
【0014】
また、本発明によれば、蓋部の第2の連通路に挿入された作用部の進退動作に応じて動作する第2の弁により、容器本体内と連通する第2の貫通孔を開閉できる。すなわち、本発明によれば、このようなシンプルな機構によって、所定の閾値以下に減圧された密閉容器の気密状態を解除できる。そのため、製品の過度なコスト高騰を招かない。
【0015】
更に、本発明によれば、密閉容器が冷蔵室内の所定位置に着脱可能に設けられるため、密閉容器に食材を収める作業を冷蔵庫外で行うことができる。そのため、密閉容器に食材を収め、これを冷蔵室内にセットするまでの作業を簡便に行うことができる。
【0016】
更に、本発明によれば、真空ポンプを収めるケースと密閉容器との間に、密閉容器に押圧される際、ケース側に向かって窪むよう弾性変形する封止部を配設することで、密閉容器の蓋部に形成される第1の連通路から、真空ポンプに接続する管路に至る流路からの空気漏れを確実に防ぐことができる。
【0017】
更に、本発明によれば、封止部を囲むよう、封止部収容壁が取り付けられるため、ケースの外側から管路に侵入する冷気や結露水の経路が塞がれる。その結果、冷気や結露水が、真空ポンプ内に吸い込まれることを防止できる。また、本発明によれば、封止部収容壁の突出方向の長さを、弾性変形前の封止部の厚みより短くすることで、封止部を囲むよう封止部収容壁を設けても、密閉容器を封止部に押し当てることができる。その結果、密閉容器と封止部とを空気漏れのないよう確実に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の側面視垂直断面図。
【
図2】本実施形態における密閉容器及び真空ポンプを収容する冷蔵室の部分斜視図。
【
図3】冷蔵室に収容された密閉容器及び真空ポンプの水平断面図。
【
図4】
図3に示された密閉容器と真空ポンプのB-B’断面図。
【
図5】
図3に示された密閉容器と真空ポンプのC-C’断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る冷蔵庫1を詳細に説明する。なお、本実施形態に係る冷蔵庫1を説明するにあたり、「上下」方向は、冷蔵庫1の高さ方向に対応し、「左右」方向は、冷蔵庫1の幅方向に対応し、「前後」方向は、冷蔵庫1の奥行き方向に対応する。
【0020】
初めに、本実施形態に係る冷蔵庫1の全体構成に関し、
図1を参照して説明する。ここで、
図1は、冷蔵庫1の側面視垂直断面図である。
図1に示されるように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、冷蔵庫本体に相当する断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、鋼板製の外箱2aと、合成樹脂製の内箱2bと、外箱と内箱との間に形成された間隙内に充填される発泡ポリウレタン(ウレタンフォーム)製の断熱材2cを備える。
【0021】
また、断熱箱体2は、複数の貯蔵室3,4,5を備える。各貯蔵室は、断熱仕切壁6a,6bによって仕切られる。本実施形態における複数の貯蔵室は、上から順に冷蔵室3、野菜室4、冷凍室5に対応する。ただし、各貯蔵室の配置順は、これに限られない(例えば、上から順に冷蔵室、冷凍室、野菜室が配置されていてもよい)。
【0022】
断熱箱体2に設けられる各貯蔵室の前面は開口する。これら各開口を開閉可能に塞ぐよう、断熱扉(図示しない)が設けられる。ここで、冷蔵室3の開口を覆う断熱扉は、例えば冷蔵庫の正面視右端の上下端部が回動可能に断熱箱体2に支持されて、冷蔵室3の前面開口部を塞ぐ。また、野菜室4の開口を覆う断熱扉は、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、野菜室4の前面開口部を塞ぐ。同様に、冷凍室5の開口を覆う断熱扉は、断熱箱体2に対して前後方向に引出可能に配設され、冷凍室5の前面開口部を塞ぐ。
【0023】
次に、
図2から
図6を参照して、冷蔵室3に収容される密閉容器10と真空ポンプ20を説明する。ここで、
図2は、密閉容器10及び真空ポンプ20を収容する冷蔵室3の部分斜視図である。また、
図3は、冷蔵室3に収容された密閉容器10及び真空ポンプ20の水平断面図(
図1に示される冷蔵室3をA-A’線で切断した図)である。更に、
図4は、
図3に示された密閉容器10と真空ポンプ20のB-B’断面図である。更に、
図5は、
図3に示された密閉容器10と真空ポンプ20のC-C’断面図である。更に、
図6は、真空ポンプ20を収容するケース21の斜視図である。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、本実施形態における密閉容器10と真空ポンプ20は、冷蔵室3の底壁31側に設置される。また、冷蔵室3の前方側に密閉容器10が配置される。特に限定されないが、密閉容器10は、冷蔵室3の底壁31から上方に向けて突設されるガイドリブ32に着脱可能な状態で載せ置かれる。
【0025】
ガイドリブ32によって、密閉容器10は、所定の設置位置に案内される。そのため、密閉容器10を確実にセットでき、密閉容器10から排気される空気に漏れがないよう、密閉容器10と真空ポンプ20とを簡便に接続することができる。
【0026】
すなわち、密閉容器10は、冷蔵室3から出し入れ可能(着脱可能)な状態で収容される。密閉容器10を冷蔵室3から出し入れ可能とすることで、予め冷蔵庫1の外側で食材を密閉容器10に収めてから、その密閉容器10を冷蔵室3に収容することができる。これにより、食材を簡便に密閉容器10に収めることができる。
【0027】
本実施形態における食材は、調味料に浸漬された状態で密閉容器10に収められることが好ましい。ただし、食材は、密閉容器10に他の形態で収められてもよい。食材の例として、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉類;魚介類;野菜類等が挙げられる。また、調味料の例として、塩、糖質、酸味料、香辛料、澱粉系原料、旨味成分等を含む液状調味料、味噌等のペースト状調味料等が挙げられる。ただし、これに限定されない。
【0028】
これに対して、密閉容器10の後方側に真空ポンプ20が配置される。本実施形態における真空ポンプ20は、ケース21に収容される。本実施形態の場合、ケース21は、密閉容器10と対向する。すなわち、密閉容器10とケース21とは、前後方向に沿って並設される。ただし、真空ポンプ20の位置は、密閉容器10内を減圧可能であれば、これに限れない。また、真空ポンプ20は、冷蔵庫1における冷蔵室3以外の箇所に設けられていてもよい。
【0029】
また、密閉容器10と真空ポンプ20とに挟まれる領域に、密閉容器10が冷蔵室3内の所定位置に収容されたことを検出する密閉容器検出センサ33が設けられる。密閉容器検出センサ33の態様は、密閉容器10が所定位置に収容されたことを検出できれば特に限定されない。密閉容器検出センサ33の一例として、密閉容器10との接触に応じて検出信号を出力するマイクロスイッチの他、磁気センサ、光センサ等が挙げられる。
【0030】
次に、
図4(a)に示されるように、本実施形態おける密閉容器10は、食材を収める中空の容器本体11と、容器本体11上部の開口部を覆う中蓋12と、中蓋12に載置される上蓋13とを備える(中蓋12と上蓋13を合わせて「蓋部」と言う場合がある)。ただし、蓋部の形態は、中蓋12と上蓋13とが別部材であるものに限られず、これらが一体であってもよい。また、それ以外の形態であってもよい。
【0031】
容器本体11内に、調味料に浸漬された食材が収められる。また、中蓋12に、容器本体11内と連通する第1の貫通孔121が形成される。更に、中蓋12は、中蓋12の第1の貫通孔121を閉塞可能な第1の弁122を備える。本実施形態における第1の弁122は、平板状の部材(例えば、ゴム製の逆止弁)であるが、第1の貫通孔121を閉塞可能であればこれに限られない。
【0032】
また、上蓋13は、第1の貫通孔121及び第1の弁122に臨む一端1311を含む第1の連通路131を備える。更に、第1の連通路131は、上蓋13外(蓋部外)に連通して真空ポンプ20(ケース21内)に臨む他端1312を含む。
【0033】
なお、特に限定されないが、第1の連通路131の他端1312と真空ポンプ20の吸気口22とは、管路24を介して接続されてもよい。本実施形態における管路24は、曲げ可能な樹脂製チューブである。ただし、これに限定されない。また、
図4(b)に示されるように、密閉容器10と対向する側のケース21の壁面(本実施形態の場合、ケース21の前壁)211に、壁面貫通孔241が形成される。管路24は、壁面貫通孔241に臨む(管路24の先端が壁面貫通孔241に挿入されてもよいし、挿入されずに互いが向き合うよう接続されてもよい)。
【0034】
真空ポンプ20における減圧動作(吸気)の開始前、第1の弁122は、第1の貫通孔121を閉塞している(
図4(b))。これに対して、真空ポンプ20における減圧動作(吸気)が開始されると、真空ポンプ20の吸気口22から周囲の空気が吸入される。それに伴い、ケース21に連通する第1の連通路131内が減圧され、第1の弁122が離れる(
図4(c))。その結果、第1の貫通孔121が開き、容器本体11内が、第1の連通路131と連通する。引き続き、真空ポンプ20が動作することで、容器本体11(密閉容器10)内が減圧される。
【0035】
また、
図4及び
図6に示されるように、ケース21の壁面211と密閉容器10の蓋部との間に、密閉容器10の蓋部の先端14を受ける封止部25が配設される。ここで、封止部25は、前後方向に貫通する封止部貫通孔251を備える。
図4(b)に示されるように、封止部貫通孔251によって、管路24と、密閉容器10の蓋部の第1の連通路131とが連通される。このような構造の封止部25によって、密閉容器10の蓋部に形成される第1の連通路131から管路24に至る流路からの空気漏れが防止される。
【0036】
更に、封止部25は、蓋部の先端14に押圧されると、ケース21側に窪むよう弾性変形することが好ましい。このような態様とすることで、第1の連通路131から管路24に至る流路からの空気漏れを確実に防ぐことができる。本実施形態における封止部25は、発泡ポリエチレン製シートであるが、これに限定されない。
【0037】
更に、
図4及び
図6に示されるように、ケース21の壁面211に、封止部25を収容する封止部収容壁26が突設される。封止部収容壁26は、密閉容器10に向けて突出するリブ状の部材であって、封止部25を囲む。
【0038】
ところで、真空ポンプ20を駆動すると、その動作熱でケース21が温められる。これに対して、ケース21の外側は、冷蔵室3の冷気で冷やされる。そのため、冷蔵室3の冷気によって、温まったケース21の外側に結露水が生成される。しかしながら、本実施形態の場合、封止部25を囲むよう、封止部収容壁26が取り付けられるため、ケース21の外側から管路24に侵入する冷気や結露水の経路が塞がれる。その結果、冷気や結露水が、真空ポンプ20内に吸い込まれることを防止できる。
【0039】
更に、
図6に示されるように、封止部収容壁26の突出方向の長さ(壁面211との境界から封止部収容壁26の先端に掛けての寸法)は、弾性変形前の封止部25の厚み(前後方向の寸法)より短いことが好ましい。このような構造とすることで、封止部25を囲むよう封止部収容壁26を設けても、密閉容器10の蓋部の先端14を封止部25に押し当てることができる。その結果、蓋部の先端14と封止部25とを空気漏れのないよう確実に密着させることができる。
【0040】
また、本実施形態は、圧力センサを備えることが好ましい。圧力センサによって、容器本体11(密閉容器10)内の圧力が所定の閾値以下(約0.5気圧以下)となったことが検出されると、真空ポンプ20の減圧動作が停止される。その結果、第1の弁122が第1の貫通孔121に向けて移動し(容器内外の差圧よって、第1の貫通孔121に落下し)、第1の貫通孔121が閉塞される。
【0041】
これにより、容器本体11内は、減圧後の圧力に維持される。なお、圧力センサの態様は特に限定されないが、例として、真空ポンプ20のモータ駆動電流を計測する電流センサが挙げられる。より詳しくは、電流センサで検出された電流値の信号が、図示しない制御手段(例えば、演算部を備える汎用のコンピュータ)に送信され、制御手段において、受信した電流値を減圧後の圧力値に換算する。
【0042】
次に、
図5(a)に示されるように、中蓋12の第1の貫通孔121とは異なる位置に、第2の貫通孔123が設けられる。また、中蓋12は、第2の貫通孔123を閉塞可能な第2の弁124を備える。密閉容器10内が減圧されている場合、第2の貫通孔123に嵌まり込む第2の弁124に対し、密閉容器10の内側に引き込む力が働く。これにより、第2の弁124は、第2の貫通孔123に嵌まり込んだ状態で固定される。なお、本実施形態における第2の弁124は、球状の部材であるが、第2の貫通孔123を閉塞可能であればこれに限られない。
【0043】
また、上蓋13は、第2の貫通孔123及び第2の弁124に臨む一端1321を含む第2の連通路132を備える。更に、第2の連通路132は、上蓋13外(蓋部外)と連通する他端1322を含む。本実施形態の場合、他端1322は、真空ポンプ20のケース21内と連通する。
【0044】
更に、ケース21内に、ラックアンドピニオン機構(ラック51とピニオン52)が配設される。また、ラック51の先端に、第2の弁124を押動可能な長尺ピン状の作用部53が取り付けられる。作用部53は、第2の連通路132に挿入され、ラックアンドピニオン機構によって進退可能とされる。
【0045】
より詳しくは、ピニオン52の回転に伴いラック51が前方側にスライド移動する。それに従い、
図5(b)の位置にある作用部53は前進する(図の右側に進む)。これにより、第2の弁124は、作用部53によって押し動かされる(
図5(c))。その結果、第2の弁124は、第2の貫通孔123から外れるように移動し、第2の貫通孔123を開く。
【0046】
一方、作用部53を後退させる場合(図の左側に退く場合)、ピニオン52を逆回転させる。その結果、ラック51が後方側にスライド移動し、作用部53は後退する。これにより、第2の弁124は、作用部53に押し動かされる前の位置に戻り、第2の貫通孔123を閉塞する。なお、作用部53を進退可能に動作させることができれば、ラックアンドピニオン機構以外の機構が備えられていてもよい。作用部53を進退させる機構を以下「作用部進退機構」と言う場合がある。
【0047】
この一連の動作によって、容器本体11(密閉容器10)の気密状態が解除される。以下、作用部進退機構(ラック51、ピニオン52)、作用部53を備える機構を気密状態解除手段50と言う場合がある。なお、ピニオン52の駆動源の例として、モータ(例えば、ステッピングモータ)やソレノイド等の電動アクチュエータが挙げられる。ただし、これに限れない。
【0048】
気密状態解除手段50によって、密閉容器10の気密状態が解除される動作は、冷蔵室3の内部で行われる。そのため、密閉容器10内の食材や調味料の臭いを冷蔵庫1の外側に漏らすことなく、密閉容器10の気密状態を解除することができる。
【0049】
本実施形態において、減圧動作の際に作用する機構(第1の貫通孔121、第1の弁122、第1の連通路131)と、気密状態の解除動作の際に作用する機構(第2の貫通孔123、第2の弁124、第2の連通路132)が、共に密閉容器10の蓋部に設けられている。そのため、密閉容器10の構造を簡素化することができる。また、真空ポンプ20から延在する管路24と、作用部53を並設することができ、省スペース化を図ることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…冷蔵庫
2…断熱箱体
2a…外箱
2b…内箱
2c…断熱材
3…冷蔵室
4…野菜室
5…冷凍室
10…密閉容器
121…第1の貫通孔
122…第1の弁
123…第2の貫通孔
124…第2の弁
20…真空ポンプ
21…真空ポンプのケース
24…管路
25…封止部
26…封止部収容壁
40…制御手段
50…気密状態解除手段
51…ラック
52…ピニオン
53…作用部