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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】薬剤分包装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241112BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
B65B1/30 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021031438
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132785
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】大村 司郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】米屋 和宏
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-067435(JP,A)
【文献】特開2010-202238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周方向の上面に連続した円弧状凹面が形成され、前記円弧状凹面に薬剤が供給される配分円盤と、
前記配分円盤の前記円弧状凹面に接触して回転する回転板と前記回転板に接続された掻き出し羽根とを有し、前記回転板と前記掻き出し羽根とが回転することにより前記円弧状凹面から薬剤を1包分ずつ放出する掻き出し部と、
前記回転板及び前記掻き出し羽根を挟んだ両面及び前記回転板及び前記掻き出し羽根の周方向を覆うカバーと、前記回転板及び前記掻き出し羽根を回転させながら前記カバーの内面から前記回転板の表裏の方向から回転板の面に略直交する方向に向けてそれぞれ複数個所に圧縮空気を吐出するとともに、前記回転板の外周方向から複数個所に圧縮空気を吐出する空気吐出ノズルと、前記カバーの内側の空気を吸引する吸引口とを具備し、前記回転板及び前記掻き出し羽根に付着した薬剤を前記回転板及び前記掻き出し羽根に接触するブラシを有さないで清掃する清掃装置と、
前記掻き出し部によって掻き出された薬剤を包装する包装装置と、
を有することを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項2】
前記回転板の面に向けて空気を吐出する空気吐出ノズルは前記回転板の径方向に離間して複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の薬剤分包装置。
【請求項3】
前記空気吐出ノズルからの空気吐出を断続的に放出と停止とを切り替えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の薬剤分包装置。
【請求項4】
前記吸引口を前記空気吐出ノズルより下方に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の薬剤分包装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円弧状の凹面を有する配分円盤上に薬剤を撒き、この円盤上の薬剤を更に掻き出し装置により分割して個別包装する薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤調剤業務の自動化のために長く活用されている薬剤分包装置において、要請される最も重要なポイントは、1個包された内容量が処方で指定された量であること、及びその1個包の中に処方外の物質が混入しないことである。1個包された内容量が減少してしまうのは、薬剤経路の途中から飛び出して飛散してしまうことと、その薬剤経路面に付着残留してしまうためである。
【0003】
そして、この薬剤経路面に付着した残薬が、次の処方で異なる薬剤を分包する場合において、その新たな薬剤が通過するときに、一緒に混じりあってしまうと、処方外物質の混入という事態になってしまう。
【0004】
後述するように、配分円盤に撒かれた薬剤は掻き出し装置により円盤上から落下ホッパに誘導され、その下部に設けられた包装紙内に収容されたうえ、一包毎に封止されるが、配分円盤に薬剤を供給するフィーダや、配分円盤、及び掻き出し装置、落下ホッパには薬剤が付着しやすいためにその清掃が大きな課題となっている。薬剤の分包作業が終了した後の掻き出し装置の清掃装置としては、特許文献1記載のように、圧縮空気を吐出するとともに、空気により吸引清掃する方式も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-67435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の装置では、掻き出し装置にブラシを接触させて舞上がった残存薬剤を圧縮空気の吐き出しと吸引ダクトによる空気の流れにより吸引するものであるが、ブラシを接触させていない仕切り板に付着した薬剤や空気が流れない空間に残存する薬剤の多くを吸引して清掃することはできない。また、清掃のために設けたブラシにも薬剤が付着することになり、ブラシ自体の清掃も行う必要が生じる。さらに、薬剤自体は重力に従って、上から下に落下するものであり、これを掻き出し装置の上部で吸引した場合は落下した薬剤の一部は吸引できない可能性があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、薬剤の配分円盤から個包に分包するための掻き出し部に付着した残薬を効率よく除去することで、処方外の物質の混入を防止した薬剤分包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の薬剤分包装置は、外周方向の上面に連続した円弧状凹面が形成され、前記円弧状凹面に薬剤が供給される配分円盤と、前記配分円盤の前記円弧状凹面に接触して回転する回転板と前記回転板に接続された掻き出し羽根とを有し、前記回転板と前記掻き出し羽根とが回転することにより前記円弧状凹面から薬剤を1包分ずつ放出する掻き出し部と、前記回転板及び前記掻き出し羽根を挟んだ両面及び前記回転板及び前記掻き出し羽根の周方向を覆うカバーと、前記回転板及び前記掻き出し羽根を回転させながら前記カバーの内面から前記回転板の表裏の方向から回転板の面に略直交する方向に向けてそれぞれ複数個所に圧縮空気を吐出するとともに、前記回転板の外周方向から複数個所に圧縮空気を吐出する空気吐出ノズルと、前記カバーの内側の空気を吸引する吸引口とを具備し、前記回転板及び前記掻き出し羽根に付着した薬剤を前記回転板及び前記掻き出し羽根に接触するブラシを有さないで清掃する清掃装置と、前記掻き出し部によって掻き出された薬剤を包装する包装装置と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の散薬自動分包機の平面図。
図2】実施形態の散薬自動分包機の正面図。
図3】実施形態の落下ホッパの構造と動作概要を示す図。
図4】実施形態の散薬自動分包機の正面図。
図5】散薬自動分包機の印刷包装機部の平面の断面図。
図6】実施形態の掻き出し部の斜視図
図7】実施形態の掻き出し部の上面図
図8】実施形態の掻き出し部の説明図
図9】実施形態の清掃装置の説明図
図10】実施形態の清掃装置の説明図
図11】実施形態の清掃装置の断面図
図12】実施形態の部品の断面図
図13】実施形態の清掃装置の説明図
図14】実施形態の清掃装置のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る散薬分包装置を、図面を用いて説明する。以下の実施形態では散薬を例にとって説明するが、散薬に限定されるものではなく顆粒などの薬剤にも適用可能なものである。
【0011】
図1は本実施形態の散薬分包装置の平面図、図2は散薬分包装置の正面図である。筐体10の中間台11の上部には薬剤供給部である円盤配分部100、中間台11の下部には、薬剤包装部である印刷包装機200が配置されている。また300は落下ホッパであって、円盤配分部100から放出される散薬をこの落下ホッパ300の内面側を通して、印刷包装機200側に導入する働きをなすものである。
【0012】
円盤配分部100には左右対称に2組の配分部が設けられているが、以下では、図中左側の配分部を用いて説明する。円盤配分部100において、101は着脱自在な散薬カセットで、事前に別の場所で当該処方に必要な分量の散薬が装填され手動で載置されるか、図示しないロボットアーム等の自動装置によって、別の棚から振動台102に載置される。振動台102は、図示しない電磁石などによって振動を発生させ、この振動力を散薬カセット101に伝達させることで、散薬カセット101内の散薬を振動輸送し、矢印103の方向に散薬を少量ずつ落下させるものである。
【0013】
104は水平に配置された配分円盤で、大きな円輪がステッピングモータ105によって、歯車106を介して矢印104a方向に回転させられるようになっている。さらに配分円盤104の外周方向の上面には円弧状凹面107が形成されている。ここで、ステッピングモータ105を連続的に回転しながら、振動台102を駆動すると、散薬カセット101内の散薬が配分円盤104の円弧状凹面107に少量ずつ落下して、ドーナツ状の散薬の山P1を形成することができる。この動作を「円周撒き動作」と呼ぶこととする。
【0014】
また、108は掻き出し装置で、上下駆動モータ120を動作させることにより、レバー119が軸109を中心にして上下に回動できる。このレバー119の先端には、外周部がシリコンゴム製の円形のディスク(回転板)110を有する掻き出し部117が設けられている。この掻き出し部117を構成するディスク110は、モータ111とタイミングベルト121、およびレバー119内部に設けられたタイミングベルトにより、矢印110a方向に回転可能となっている。なお、このディスク110の円板の直径は、円弧状凹面107の凹面の直径と同一である。なお、掻き出し部117のディスク110の周囲には清掃装置150が設けられているが、掻き出し部117と清掃装置150については後に詳述する。
【0015】
先の「円周撒き動作」の場合は、レバー119が反時計回り方向に回動することにより、ディスク110は円弧状凹面107の上方に待避していて、ドーナツ状の散薬の山P1の形成を妨げない。次の「1包分配分動作」時は、レバー119が時計回り方向に回動して掻き出し部117のディスク110が下方に移動して、ディスク110が、配分円盤104の円弧状凹面107に隙間なく密着する。この状態で、モータ111を駆動すると掻き出し部117のディスク110に密着して設けられた後述する掻き出し羽根115によって円弧状凹面107の上の散薬が落下ホッパ300に掻き落とされる。そして、ディスク110を回転させた状態でステッピングモータ105を所定角度Rだけ回転させると、その角度分の散薬の量が、落下ホッパ300側に払出される。
【0016】
ここで、先の所定角度Rとは、別に処方箋から指定される1個包に包装すべき用量分の角度である。例えば、処方箋で、ある散薬を1個包当たり1gで36個包作成する場合にあっては、事前に散薬カセット101に36gの散薬を装填しておき、これを「円周撒き動作」で、全量を配分円盤104の円弧状凹面107にドーナツ状に均一に撒く。次に「1包分配分動作」で、ディスク110を回転させながら、ステッピングモータ105を10度回転させると、10度/360度X36g=1gの計算で、正しく1個包分の1gの散薬が落下ホッパ300に払い出させることができるものである。このような円盤配分部100と落下ホッパ300で薬剤供給部を構成する。
【0017】
円盤配分部100には、左右に対称形に、2組の円盤部112aと112bとが配置しているが、これは、一方の円盤部112aで「円周撒き動作」しているときは、他方の円盤部112bが「1包分配分動作」を出来るようにして、複数の連続する処方において無駄時間がなく、連続的に分包できるようにするためのものである。
【0018】
図3は落下ホッパ300の形状と動作の概要を示すものである。落下ホッパ300は上ホッパ301と下ホッパ302の二重構造となっており、上ホッパの下開放部303を開閉自在なシャッタ304で閉鎖している。上ホッパの301の上端は、円盤配分部100からの散薬を受け入れる上開口部300aが形成されている。下ホッパ302の下端部は図3(a)(b)に示すように楔状に形成され、両端に突部である爪部305a、305bが形成され、その間に散薬を払出す凹部(下開口部)305cが形成されている。この落下ホッパ300は全体として上下移動できるようになっている。そして、「1包分配分動作」で、円盤配分部100から散薬を払出すタイミングでは、図3(a)(b)の上位置に位置する。この時、シャッタ304は図3(b)の側面図に示すように閉鎖しているので、落下した散薬は一旦このシャッタ304上に保持される。
【0019】
このとき落下ホッパ300の下端の左右の爪部305aと305bは、搬送される谷折り状に二つ折された分包用紙Bの開放端B1にその先端を入れ込んでいる。
【0020】
散薬の放出時は図3(c)のように、落下ホッパ300全体を下方に移動するが、左右の爪部305a、305bと楔状の形状が、落下ホッパ300が分包用紙B間に進入するときのガイドの働きをしている。この状態でシャッタを304aのように開くと、散薬は分包用紙Bの内部に収納されるものである。その後、落下ホッパ300は図3(b)の位置まで上昇する。
【0021】
次に、図4図5を用いて印刷包装機(包装装置)200の構成と動作を説明する。図4は散薬分包装置の正面の断面図であって、図2で上方に位置していた落下ホッパ300は、下方に移動した状態を示している。図5は印刷包装機200を上方から見た断面図である。201は分包用紙ロールであって、熱接着性を持つ二つ折りした用紙が谷折側を下にして、リールに巻き上げたものである。リールの外周側の用紙先端から、引き出されて、一点鎖線B2からB3のような経路で搬送されるようになっている。202は印刷部で、インクリボン203、感熱印刷ヘッド204、プラテンローラ205等によって構成され、分包用紙Bの表面に、1包分ずつの処方情報を印刷するものである。
【0022】
206は縦シール機構で、分包用紙Bを前後(図5では上下)から熱板によって圧接することで、207aのように縦方向のシールが行われる。1包分移動した位置でのシールを207bに示すが、分包用紙Bの上開放端208はシールしないようになっている。これは、図3(a)のように、落下ホッパ300の爪部305a、305bが、分包用紙B間に挿入した状態で、分包用紙Bを搬送できるようにするためである。次に配置される落下ホッパ300の奥側には落下ホッパ洗浄装置310が取り付けられている。
【0023】
次の209は横シール機構で、分包用紙Bを前後から熱板によって圧接することで、210のように横方向と縦方向の未シール部とのシールが行われる。先の縦シール207と横シール210とによって、分包用紙Bは1個包としてシールされるものである。
【0024】
211は駆動ローラであって、印刷部202のプラテンローラ205と同期駆動され、分包用紙Bの1個包分ピッチB4の距離を、1工程として駆動される。出口にはカッタ212が設けられ、1処方分の連続個包が完成した時点で、分包用紙Bをカットするものである。
【0025】
また、上述の掻き出し部117の清掃装置150の補機として、集塵ブロア401と、圧縮空気発生コンプレッサ402が、筐体後方に配置されて、それぞれ、清掃装置150の空気源として利用される。なお、403は圧縮空気の流路を導通又は遮断するための開閉弁である。
【0026】
以下、図6乃至図8を用いて掻き出し装置108と、清掃装置150の構造と動作について詳細に説明する。図6は掻き出し部117、及びその清掃装置150周辺の斜視図である。図6(a)は清掃装置150の一部である掻き出し部117を覆うカバー151を外した状態の図、同図(b)はカバー151を取り付けた状態の図である。
【0027】
同図で、レバー119は、反時計回り方向に回動した「円周撒き動作」状態となっており、掻き出し部117は円弧状凹面107の上方に待避しカバー151内に入った状態となっている。この位置が掻き出し部117の清掃位置である。掻き出し部117の清掃を行うのは、処方する散薬の種類が変更になったときであるのが、「円周撒き動作」をしながら清掃装置の高圧圧縮空気を吐出すると、散薬カセット101から配分円盤104に落下中の散薬が飛散する虞がある。このため、清掃動作中は次の種類の散薬の「円周撒き動作」も一時中断するようになっている。
【0028】
また、図7は掻き出し装置108の上面図で、カバー151を透明化している。図8は掻き出し装置108の構造を示した斜視図である。
【0029】
上述のとおり本実施形態では、左右対称に2つの配分円盤104a、104bがあって、円弧状凹面107a、107b及び掻き出し装置108a、108bも左右にそれぞれ設けられている。また、落下ホッパ300のみが左右の配分円盤104a、104bで共通となっている。掻き出し装置108a、108bは左右対象な構造となっているものの、基本的な構成要素は同じであることから、以降の説明は、向かって左側の掻き出し装置108についてのみ行う。
【0030】
図8は、掻き出し装置108の構造を示したもので、回動可能なレバー119の先端には、掻き出し部117が設けられている。レバー119の基部側に設けられたモータ111とタイミングベルト121及びレバー119内に設けられた図示しないタイミングベルトにより回転軸122を反時計回り方向に回転可能になっている。
【0031】
掻き出し部117は、配分円盤104の円弧状凹面107の直径と同じ直径を有する回転可能なディスク(回転板)110と、ディスク110の直径方向に延びた掻き出し羽根115が取付けられた仕切り板114が回転軸122に着脱自在に取り付けられている。すなわち、モータ111と図示しないドライブベルトにより回転させられる回転軸122に、ディスク110と、掻き出し羽根115付き仕切り板114とを挿通させ、取付けネジ118によって固定することによって、水車状の掻き出し部117を構成している。
【0032】
そして、ディスク110の外周部113、及び掻き出し羽根115の両端部116はシリコンゴム製となっており、仕切り板114の外周よりも僅かに突出している。従って、ディスク110の外周部113及び掻き出し羽根115の端部116は配分円盤104の円弧状凹面107と密着できるようになっている。このように構成することによって、配分円盤104の円弧状凹面107に撒かれた散薬は掻き出し部117が回転することによって1個包分ずつ落下ホッパ300に払い出すことができるようになっている。なお、120はレバー119を回動させるためのモータである。
【0033】
また、図6及び図7に示すように、本実施形態の清掃装置150は、掻き出し部117を構成するディスク110と掻き出し羽根115及び仕切り板114を挟んだ両面と、ディスク110と掻き出し羽根115及び仕切り板114の周方向を覆うようにカバー151が設けられている。
【0034】
また、カバー151内に圧縮空気を送り込む圧縮空気導管325、および、カバー151に設けられた後述する吸引用開口部(吸引口)176から圧縮空気により舞上がった散薬を含む空気を集塵ブロア401に導く吸引空気導管338が設けられている。なお、327は落下ホッパ300を清掃するための圧縮空気を噴出するためのノズルである。また、図6に示した90は、レバー119の基部を覆うためのカバーである。
【0035】
以下、実施形態の清掃装置150について、図9乃至図13を用いて詳細に説明する。
【0036】
図9は清掃装置150を構成しているカバー151とカバーの取付け部152とを分けて表した斜視図、図10はカバー151の分解図、図11はカバー151を図9のA-A面(垂直面)で切った断面図、図12図9のB-B面(水平面)で切った断面図で、カバー151が覆うディスク110、仕切り板114、掻き出し羽根115も合わせて図9のB-B面(水平面)で切った形となっている。さらに図13はカバー151とカバー取付け部152を組み合わせた状態を表した斜視図である。
【0037】
図9は清掃装置150の構成を表しており、清掃装置150は、掻き出し部117を覆うカバー151と、カバー取付け部152に分割される。カバー取り付け部152は図示しない筐体に固定されている。
【0038】
カバー151は、回動するレバー119が反時計方向に回動し、掻き出し部117が上方に位置するときに、カバー151が掻き出し部117を構成する回転軸122、ディスク110、掻き出し羽根115、仕切り板114、及び取り付けネジ118に接触しないようになっている。この位置が清掃装置150による掻き出し部117の清掃位置である。そして、カバー151は掻き出し部117のディスク110、掻き出し羽根115及び仕切り板114を挟んだ両面及びディスク110、掻き出し羽根115、仕切り板114の周方向を覆う構造となっている。
【0039】
なお、図6に示すように、カバー151を、取付けネジ118に面した側面を切り欠いた例を示しているが、取付けネジ118に接触しないように離間して、取付けネジ118の部分も含めてカバー151で覆うようにしても良いことは勿論である。
【0040】
カバー151は、カバー取付け部152に設けられた案内溝139にカバー151の取り付け凸部171を上部からスライドして嵌め込む構造となっている。嵌め込む際には、後述するようにカバー取付け部152から送り込まれる圧縮空気が漏出しないように、圧縮空気の通路の接続部にパッキング166を挟み込み、嵌め込み後は、板バネ140にL字型に設けられた固定部でカバー151を上下にずれないように押さえ込む構造となっている。
【0041】
カバー取付け部152には、圧縮空気を送り込む圧縮空気導管325(図7参照)を接続する、圧縮空気導管取付け部130が設けられ、カバー151と接合する空気放出口132との間を空気流路131で結んでいる。また、カバー取付け部152には吸引空気導管338(図6,7参照)を接続する、吸引空気導管接続部137が設けられ、カバーと接合する吸引口135との間を空気流路136(図13も参照)が結んでいる。
【0042】
図10は、カバー151の構造を表した図で、カバー本体160には、その下方にカバー取付け部152に上下に摺動して取り付けるための取り付け凸部171と吸引用開口部(吸引口)176が設けられている。また、カバー本体160の上方には圧縮空気取入口172とカバー内面に向けて圧縮空気を放出するための7カ所の吹付け開口174、および空気取入口172と吹付け開口174とを結ぶ空気流路173が一体加工成形された構造となっている。この空気流路173は上側に開放されているが、これを塞ぐ形でパッキング161と蓋162とを4本の固定ネジ163で固定することで、空気取入口172から送られた圧縮空気を吹付け開口174に導く構造となっている。
【0043】
なおここで、吹付け開口174は、図11及び図12に示すように、カバー内部に位置する掻き出し部117のディスク110の表裏の方向からそれぞれ2カ所、ディスク110の外周方向から3か所の合計7カ所から圧縮空気を吐出する空気吐出ノズル175が形成されている。ディスク110の表裏からの空気吐出ノズル175は、ディスク110の面に略直交する方向に吹き付けるようになっている。
【0044】
ここで、7カ所の吹付け開口174は図11及び図12に示すように、それぞれがカバー151の内側に設けられた空気吐出ノズル(小穴)175につながっており、7つの空気吐出ノズル175からカバー内部に向けて圧縮空気が吐出されるようになっている。
【0045】
すなわち、ディスク110の一方の面に対して、ディスクの径方向に離間した2つの空気吐出ノズル175からディスク110の面に略直交する方向に圧縮空気を吐出し、ディスク110の他方の面に対しても略直交する方向に2つの空気吐出ノズル175から圧縮空気を吐出することになる。
【0046】
ディスク110を回転させながら2つの空気吐出ノズル175から圧縮空気を吹き付けることで、ディスク110と仕切り板114のより多くの面に対して圧縮空気を吹き付けることができ、ディスク110の全面の散薬を剥離することができる。なお、一方の面に圧縮空気を吹き付ける空気吐出ノズル175は2つに限定されるものではなく、3つ以上設けても良いことは勿論である。
【0047】
以下にその空気流路に沿って清掃機能の詳細について説明する。
清掃動作開始にあたり、まず、レバー119を反時計回り方向に回動させることにより、ディスク110、掻き出し羽根115及び仕切り板114がカバー151によって覆われた位置に移動する。
【0048】
次に、図5に示すコンプレッサ(高圧空気発生装置)402で生成された圧縮空気は、開閉弁403を経由して圧縮空気導管325に接続され、カバー取付け部152に設けられた圧縮空気導管取付け部130を通じてカバー取付け部152の内部に入る。さらに、圧縮空気は圧縮空気流路131を経由して、カバー接続用に開口した空気放出部132に送られる。空気放出部132からはパッキング166を介しカバー151の空気取入口172に入る。その後空気流路173を通り7カ所設けられた吹付け部開口174に導かれ、それぞれカバー内面に設けられた7カ所の空気吐出ノズル175からカバー内面に吐出される。
【0049】
吐出された圧縮空気は、カバー151内部に位置する掻き出し部117のディスク110、掻き出し羽根115、仕切り板114、及びディスク110と掻き出し羽根115に接続されているシリコンゴム製の端部113、116に当たり、付着している散薬を剥離させてカバー151内部に拡散させる。
【0050】
一方、図13に示すように、清掃装置150の下部には、カバー151の内部に形成された、吸引用開口部(吸引口)176が、カバー取付け部152の吸引口135が重なった状態で開口しており、その先はカバー取付け部152の内部に設けられた空気流路136を通じて吸引導管取付け部137に接続された吸引空気導管338が接続されている。吸引空気導管338は集塵ブロア401に接続されているため、集塵ブロア401を稼働させると、吸引空気導管338には負圧が生じ、その負圧は吸引空気導管338、吸引導管取付け部137、吸引流路136を通じ吸引用開口部176につながっていることから、吸引用開口部176からカバー151内部の残存散薬を含む空気を吸引して集塵ブロア401に導く。集塵ブロア401の内部には、図示しない集塵袋が空気流路の途中に設けられており、この集塵袋を通過するときに空気中の紛体等を付着捕集して、それ以外の空気を装置外に廃棄することができるように構成されている。
【0051】
上述のように清掃装置150は、圧縮空気発生コンプレッサ402から送られる高圧の圧縮空気を、掻き出し部117の構成要素である、ディスク110、仕切り板114に略直交する方向からと、ディスク110、掻き出し羽根115及び仕切り板114の外周方向から噴射することで表面に付着していた残留散薬を剥離することができる。また、放出された高圧空気がカバー内部で拡散することにより、掻き出し羽根115に付着していた残留散薬をも剥離してカバー151内部の空間に放出される形となる。そして、カバー151内に舞上がった残存散薬を含む空気を、集塵ブロア401による吸引によって集塵袋に補修して清掃するものである。
【0052】
掻き出し部117に付着した残薬は質量を持っているので、自由落下する方向に移動しやすいが、吸引用開口部176は空気吐出ノズル175より下方に位置しているため、効率よく付着した残薬の除去・清掃を行うことができる。
【0053】
なお、これまでの説明では、空気吐出ノズル175をカバー内部のディスク110に略直交する方向(分包装置としては水平方向)に向けるとしたが、分包装置として少し下方に向けることにより、吸引用開口部176に向けた下向きの空気の流れができるために、清掃効果をさらに高めることができる。
【0054】
ところで、圧縮空気は放出させることでコンプレッサ402側の圧力が低下するために、継続的に放出すると圧力が低下して付着している散薬を除去する性能が低下する虞がある。また、掻き出し部117を構成する、ディスク110、掻き出し羽根115、仕切り板114、およびシリコンゴム製の端部113と116全体を清掃するためには、高圧の圧縮空気を吐出しながら、ディスク110を少なくとも1回転させる必要がある。
【0055】
圧縮空気を継続して放出させず、断続的に吐出するには、圧縮空気導管325の前段かつコンプレッサ402の後段に設けられた開閉弁403を断続的に開閉切り替えさせることで実現可能である。このため、ディスク110を回転させながら、開閉弁403を断続的に切り替え、空気吐出ノズル175からの空気吐出を断続的に放出と停止とを切り替えるとその効果が得られる。
【0056】
図14は、この圧縮空気の吐出のオンオフを表したタイミングチャートであり、横軸に時間をとり、集塵ブロア401の吸い込み、掻き出し部117のディスク110の回転、および圧縮空気の吐出のオンオフを表している。まず、集塵ブロア401をオンして清掃装置150の吸引用開口部176から空気の吸い込みを開始した後(T1)、掻き出し部117のディスク110の回転を始める(T2)。ディスク110が1/6回転ほど回転した後、圧縮空気の吐出を100msec程度行って60msec止める、といった動作を、ディスク110が1回転ほど繰り返すまで繰り返して行う(T3)。
【0057】
その後、ディスク110を回転し続け(T4)、その後、カバー内部の散薬を含む空気の吸引が終わると想定されるまで集塵ブロア401を稼働させて吸引を続け(T5)、その後集塵ブロアを停止する。
【0058】
なお、このタイミングチャートは一例であり、集塵ブロア401の稼働と掻き出し部117のディスク110の回転、圧縮空気の吐出のオンオフは必ずしもこの順番でなくても構わず前後しても構わない。また、オンオフの時間は100msec、60msecに限定されるものではない。さらに、図14の手順を1サイクルとして、これを複数回繰り返しても良いし、図14の手順でディスク110の回転数は1回転に限る必要はなく、1回転以上を回転させ、その間集塵ブロア401の稼働と圧縮空気の吐出を断続的に行っても構わない。
【0059】
また、これまでの説明では、カバー151内の掻き出し部117のディスク110に向けて圧縮空気を吹き出す空気吐出ノズル175の数を7カ所として説明してきたが、これは1例であり、7カ所に限るものではない。
【0060】
さらに、これまでの説明は、今回の例の2つある円盤配分部のうちのひとつの例として説明してきたが、他方の円盤配分部においても適用できることは前述したとおりである。
【0061】
以上、詳述したように本実施の形態によれば、掻き出し部を覆う形でカバーを設け、カバーから内部に掻き出し部を構成するディスクと掻き出し羽根に向けて、ディスクの面に略直交する方向、または少し下方方向(装置としては水平方向または下方向き)に空気吐出ノズルから圧縮空気を吐出して、掻き出し部に付着した残存散薬を剥離させ、さらにその下方に吸引開口部を設けて下への重力方向の空気の流れを作ることとにより、付着した残薬を効率よく除去・清掃を行うことが可能となり、処方外の物質の混入を防止した薬剤分包装置を提供することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態、変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
100・・・円盤配分部
104・・・配分円盤
107・・・円弧状凹面
108・・・掻き出し装置
110・・・ディスク(回転板)
114・・・仕切り板
115・・・掻き出し羽根
117・・・掻き出し部
135・・・吸引口
150・・・清掃装置
151・・・カバー
152・・・カバー取付け部
175・・・空気吐出ノズル
176・・・吸引用開口部(吸引口)
200・・・印刷包装機(包装装置)
401・・・集塵ブロア(空気吸引装置)
402・・・コンプレッサ(高圧空気発生装置)
図1
図2
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図14