(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】グラフェンの生成方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/62 20060101AFI20241112BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20241112BHJP
C01B 32/184 20170101ALI20241112BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C30B29/62 S
C23C14/14 D
C01B32/184
B01J23/755 M
(21)【出願番号】P 2021042623
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-10-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年10月7日、第39回 電子材料シンポジウムの予稿集に要約として、金属触媒層、金属触媒層の生成方法、グラフェンの生成方法、及びグラフェンに関する研究について公開した。 2020年10月7日、第39回 電子材料シンポジウムにて、金属触媒層、金属触媒層の生成方法、グラフェンの生成方法、及びグラフェンに関する研究について公開した。 2021年2月10日、中島 諒人 名城大学理工学研究科 材料機能工学専攻 修士論文に、金属触媒層、金属触媒層の生成方法、グラフェンの生成方法、及びグラフェンに関する研究について公開した。 2021年2月10日、名城大学 修士論文公聴会にて、金属触媒層、金属触媒層の生成方法、グラフェンの生成方法、及びグラフェンに関する研究について公開した。 2021年2月26日、第68回 応用物理学会春季学術講演会の予稿集に要約として、金属触媒層、金属触媒層の生成方法、グラフェンの生成方法、及びグラフェンに関する研究について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成塚 重弥
(72)【発明者】
【氏名】中島 諒人
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-000382(JP,A)
【文献】国際公開第2013/038623(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/086387(WO,A1)
【文献】特開2015-072767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/62
C23C 14/14
C01B 32/184
B01J 23/755
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コランダム構造を有する基板のc面上に積層して結晶化した
触媒金属の第1層を形成する第1積層工程と、
前記第1層の表面に非結晶状態の前記第1層と同じ種類の前記触媒金属の第2層を形成する第2積層工程と、
前記第1積層工程と前記第2積層工程を実行後、熱処理を行い前記第2層を結晶化して前記第1層及び前記第2層を有する金属触媒層を生成する第1熱処理工程と、
を備え、
前記金属触媒層は、面心立方構造を有し、
前記金属触媒層の[111]方向は、前記基板のc面軸方向であり、
前記金属触媒層の[01-1]方向は、前記基板の[11-20]方向である
グラフェンの生成方法。
【請求項2】
前記第1熱処理工程を実行後、前記金属触媒層の表面に炭素原料を積層する炭素原料積層工程と、
前記炭素原料積層工程を実行後、熱処理を行い前記基板と前記金属触媒層との間にグラフェンを析出させる第2熱処理工程と、
を備える請求項1に記載のグラフェンの生成方法。
【請求項3】
前記炭素原料は、ナノダイヤモンドである請求項2に記載のグラフェンの生成方法。
【請求項4】
0.01cm
2
から180cm
2
の面積において、しわを有さないグラフェンを生成する請求項
1に記載のグラフェンの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグラフェンの生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、絶縁基板上に、蒸着により触媒金属の膜パターンを形成し、その膜パターン上にグラフェンを成長させた後、このグラフェンの両側にドレイン電極及びソース電極を形成すると共に、このグラフェン上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成している。特許文献1には、触媒金属の膜パターンは絶縁膜で分離されているが、グラフェンは膜パターンの端では横方向に伸びることから、絶縁分離膜の両側の膜パターンからグラフェンが伸びて絶縁分離膜上でつながった構造が得られると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の方法でグラフェンを生成する場合、両側の膜パターンから伸びたグラフェンがつながる境界で電子の移動度が低下する場合があった。この点を改善し、よりよい特性のトランジスタを作製するために、途中でグラフェンをつなぐことは避け、大きな面積のグラフェンを生成し得る技術、及び大きな面積の結晶性のよいグラフェンが望まれていた。大きな面積のグラフェンが得られるようになれば、トランジスタのみならず、より大面積の集積回路等にグラフェンを利用することも可能になる。ところで、大きな面積で結晶性が良好なグラフェンを生成するためには、グラフェンを成長させるための金属触媒層の結晶粒(グレイン)を大きくする必要がある。従って、大きな面積で結晶性が良好なグラフェンを生成するために、より結晶粒の大きな金属触媒層、及びこのような金属触媒層を簡便に生成する手法が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、品質の良好なグラフェンを生成することができる金属触媒層、金属触媒層の生成方法、グラフェンの生成方法、及び品質の良好なグラフェンを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の金属触媒層は、
コランダム構造を有する基板のc面上に積層して結晶化した金属触媒層であって、
面心立方構造を有し、
[111]方向は、前記基板のc面軸方向であり、
[01-1]方向は、前記基板の[11-20]方向である。
【0007】
第2発明の金属触媒層の生成方法は、
基板の表面に結晶化した触媒金属の第1層を形成する第1積層工程と、
前記第1層の表面に非結晶状態の前記触媒金属の第2層を形成する第2積層工程と、
前記第1積層工程と前記第2積層工程を実行後、熱処理を行い前記第2層を結晶化する第1熱処理工程と、
を備える。
【0008】
第3発明のグラフェンの生成方法は、
第2発明の金属触媒層の生成方法における前記第1熱処理工程を実行後、前記金属触媒層の表面に炭素原料を積層する炭素原料積層工程と、
前記炭素原料積層工程を実行後、熱処理を行い前記基板と前記金属触媒層との間にグラフェンを析出させる第2熱処理工程と、
を備える。
【0009】
第4発明のグラフェンは、0.01cm2から180cm2の面積において、しわを有さない。
【0010】
第1発明の金属触媒層を用いれば品質の良好なグラフェンを生成することができる。
【0011】
第2発明の金属触媒層の生成方法は、結晶品質が良好な金属触媒層を生成することができる。
【0012】
第3発明のグラフェンの生成方法は、基板と金属触媒層との界面にしわを有さない結晶性の良好な大面積のグラフェンを生成し易い。
【0013】
第4発明のグラフェンは、集積回路等の大きな面積を要するデバイスに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1の金属触媒層の生成方法、及びグラフェンの生成方法を示す概略図である。
【
図2】実施例1のグラフェンの生成方法における第1積層工程におけるNiを蒸着する温度を5種類に変化させた各サンプルの表面を、SEMを用いて観察した画像である。
【
図3】実施例1のグラフェンの生成方法における第1積層工程におけるNiを蒸着する温度を5種類に変化させた各サンプルをX線回折測定In-plane法で測定した結果である。
【
図4】サファイア基板の表面を正面から見た結晶構造を示す模式図である。
【
図5】第1積層工程を実行したサファイア基板の表面を正面から見た結晶構造を示す模式図である。
【
図6】実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルの表面を、微分干渉顕微鏡を用いて観察した画像である。
【
図7】実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルをX線回折測定Out-plane法で測定した結果である。
【
図8】実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルをX線回折測定In-plane法で測定した結果である。
【
図9】実施例2のサンプルのグラフェンの表面を、微分干渉顕微鏡を用いて観察した画像、及び実施例2のサンプルのグラフェンの表面をラマン散乱分光法で評価した結果である。
【
図10】
図9と異なる位置における実施例2のサンプルのグラフェンの表面を、光学顕微鏡を用いて観察した画像、及びこの画像に示す四角形状の枠内におけるD/Gの値の大きさを明暗によって示した図である。
【
図11】第2熱処理工程までを実行した後に実施例2のサンプルをX線回折測定In-plane法で測定した結果である。
【
図12】実施例3のサンプルの配向関係を示す模式図である。
【
図13】実施例3のサンプルのグラフェンの表面を顕微鏡を用いて観察した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0016】
第3発明のグラフェンの生成方法の炭素原料は、ナノダイヤモンドであり得る。この場合、熱処理中に熱処理温度で決まる成長速度でグラフェンを連続的に成長でき、基板と金属との界面に生成されるグラフェンの層数を容易に制御することができる。
【0017】
次に、本発明を具体化した実施例1から3について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<実施例1>
先ず、所望の基板の表面の全面に亘り結晶品質の良好な触媒金属による金属触媒層を生成する生成方法、及び生成した金属触媒層と基板との界面にしわを有さないグラフェンを生成させるグラフェンの生成方法について説明する。
【0019】
先ず、
図1(A)に示すように、基板であるサファイア基板10を用意する。サファイア基板10の外形は、およそ10mm×10mmの正方形である。そして、サファイア基板10を分子線エピタキシー装置のチャンバー内にセットする(図示せず。)。分子線エピタキシー装置は、分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)(以下、単にMBE法ともいう)を実行することができる。サファイア基板10はc面((0001)面)が表面(表は
図1における上側である。以下同じ)である。サファイアの結晶構造は、コランダム構造である。つまり、サファイア基板10は、コランダム構造を有している。
【0020】
[金属触媒層の生成方法]
次に、
図1(B)に示すように、サファイア基板10の表面に結晶化した触媒金属の第1層11を形成する第1積層工程を実行する。具体的には、サファイア基板10の表面にMBE法を用いて触媒金属であるNiを結晶成長して第1層11を積層する。第1層11の厚みはおよそ100nmである。第1層11の厚みは、20nmから300nmの範囲でNiの凝集が大きく進まなければ良い。なお、第1層11の厚みが20nm未満の場合は、Ni層が島状のままとなってしまうため使用し難い。このとき、サファイア基板10の温度は、600℃から700℃である。Niの結晶構造は、面心立方構造である。つまり、Niは、面心立法構造を有している。第1積層工程を実行することによって、サファイア基板10の表面に結晶化した第1層11を積層することができる。
【0021】
次に、
図1(C)に示すように、第1層11の表面に非結晶状態の触媒金属の第2層12を形成する第2積層工程を実行する。具体的には、第1層11の表面に電子ビーム蒸着法を用いてNiを蒸着して第2層12を積層する。第2層12の厚みは、およそ300nmである。ここで、第2層12の厚さは、200nmから700nmの範囲で、次の第1熱処理工程において結晶化が可能な厚さであれば良い。なお、これよりも厚い膜厚であると、第1熱処理工程の実行時に第2層12の表面からも結晶化が開始し、第2層12の表面側において、第1層11の結晶情報を用いた結晶化ができなくなり、多結晶となってしまうことがある。第2積層工程を実行することによって、第1層11の表面に非結晶状態のNiの第2層12を積層することができる。
【0022】
次に、第1積層工程と第2積層工程を実行後、熱処理を行い第2層12を結晶化する第1熱処理工程を実行する。詳しくは、第1層11及び第2層12が積層されたサファイア基板10を真空蒸着装置のチャンバーから取り出して、熱処理装置内にセットする(図示せず。)。第1層11、及び第2層12が積層されたサファイア基板10を水素雰囲気中で1000℃に加熱した状態を30分継続する。その後、3℃/minの速度でサファイア基板10の温度を650℃に降温し、その後、常温(例えば、およそ23℃)にする。こうして、第2層12が結晶化する。こうして、
図1(D)に示すように、第1層11及び第2層12を有する金属触媒層20を生成する。ここで、降温速度は3℃/minに限らず、10℃/minでも良い。
【0023】
[グラフェンの生成方法]
次に、
図1(E)に示すように、第1熱処理工程を実行後、金属触媒層20の表面に炭素原料であるナノダイヤモンド13を塗布して積層する炭素原料積層工程を実行する。ナノダイヤモンドとは、人工ダイヤモンドの一種であり、粒径が数nmの粒子状をなしている。ナノダイヤモンドは、準安定なsp
3結合構造を有しており、安定なsp
2結合構造を有する他の炭素原料を用いる場合に比べてより低温でグラフェンを生成することができる。ナノダイヤモンド13は、水溶液中に分散され、金属触媒層20の表面にスピンコーターを用いて塗布される。金属触媒層20の表面にナノダイヤモンド13を塗布する際におけるスピンコーターの回転速度及び回転させる時間は、例えば、6000rpm、30秒間である。
【0024】
次に、
図1(F)に示すように、炭素原料積層工程を実行後、熱処理を行いサファイア基板10と金属触媒層20との間にグラフェン14を析出させる第2熱処理工程を実行する。具体的には、金属触媒層20の表面にナノダイヤモンド13が塗布されたサファイア基板10を熱処理装置内にセットする(図示せず。)。そして、サファイア基板10をセットした状態で熱処理装置内をおよそ10
-4Paの気圧にする。そして、サファイア基板10の温度をおよそ900℃にする。その後、サファイア基板10に対しておよそ30分間の熱処理を施す。これにより、ナノダイヤモンド13のC(炭素)が金属触媒層20に固溶し、溶解固溶したCがサファイア基板10と金属触媒層20との界面にグラフェン14として析出する。その後、3℃/minの速度でサファイア基板10の温度を300℃に降温し、その後、常温(例えば、およそ23℃)にする。このとき、サファイア基板10と金属触媒層20との界面、及びナノダイヤモンド13と金属触媒層20との界面に金属触媒層20に固溶したナノダイヤモンド13のC(炭素)がグラフェン14,24として析出する。
【0025】
次に、
図1(G)に示すように、サファイア基板10から金属触媒層20を除去するエッチング工程を実行する。詳しくは、サファイア基板10を熱処理装置内から取り出して塩化第二鉄と純水とを1対3の割合で混合した溶液に72時間浸す。これによって、サファイア基板10から金属触媒層20、金属触媒層20の表面に生成したグラフェン24、及びナノダイヤモンド13を除去する。こうして、サファイア基板10の表面の全面にわたり生成されたグラフェン14の表面を露出させる。
【0026】
[第1積層工程における温度の影響の検証]
実施例1の金属触媒層の生成方法における第1積層工程におけるNiを結晶成長する温度を5種類に変化させて第1積層工程までを実行した5種類のサンプルを用意した。各サンプルは、第1積層工程におけるNiを分子線エピタキシー(MBE法)によって結晶成長する温度を350℃、450℃、550℃、600℃、及び700℃として作製した。以下、各サンプルを、単に350℃のサンプル、450℃のサンプル、550℃のサンプル、600℃のサンプル、及び700℃のサンプルという。
【0027】
これら5種類のサンプルをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果を
図2(A)から
図2(E)に示す。350℃のサンプルは、サファイア基板10の表面にNiが僅かに荒れた表面をともない積層されている。450℃のサンプルは、サファイア基板10の表面にNiが概ね一様に平坦に積層されている。550℃のサンプルは、サファイア基板10の表面にNiが概ね一様に平坦に積層されているが、部分的にNiの厚みに斑が生じている。600℃のサンプルは、サファイア基板10の表面にNiが概ね一様に平坦に積層されているが、Niの厚みの斑が実施例4よりも顕著にあらわれている。700℃のサンプルは、Niの厚みの斑が実施例4、実施例5よりも顕著にあらわれており、Ni表面が僅かに粒状をなして成長している。
【0028】
これら5種類のサンプルをX線回折測定In-plane法で測定した結果を
図3に示す。ここで行ったIn-plane法では、第1積層工程を実行したサファイア基板10の表面(c面)に対してX線をほぼ平行になるように入射させつつ、回折したX線を受光する受光部を固定し、サファイア基板10をc軸周りに回転させて回折したX線強度を測定した。
【0029】
図3に示すように、各サンプルおけるサファイア基板10は、0°、60°、120°、及び180°の60°毎に急峻なピークがあらわれている。サファイア基板10の表面を正面から見るとO(酸素)及びAl(アルミニウム)が
図4の模式図に示すように配列している。
図3におけるサファイア基板10のピークの位置は、サファイア基板10の結晶におけるa面(11-20)からの回折X線に対応しているa面(11-20)とは、サファイア基板10の結晶における
図4に示すa軸[11-20]に直交する面である。
【0030】
これに対して、350℃、450℃、及び550℃のサンプルは、30°、90°、150°に第1層11の(01-1)面に由来するピークがあらわれている。つまり、350℃、450℃、及び550℃のサンプルにおける第1層11の[01-1]方向は、
図5(A)に示すように、サファイア基板10のa軸[11-20]に対して30°ずれており、サファイア基板の10のm軸[1-100]と平行であることがわかる。
【0031】
600℃、700℃のサンプルは、サファイア基板10と同様に、0°、60°、120°、及び180°の60°毎に第1層11の(01-1)面に由来する急峻なピークがあらわれている。つまり、600℃、700℃のサンプルにおける第1層11の[01-1]方向は、
図5(B)に示すように、サファイア基板10の結晶におけるa軸[11-20]と平行であることがわかる。
【0032】
これらの結果から、第1積層工程におけるNiを蒸着する温度を350℃から550℃にすると、第1層11の[01-1]方向は、サファイア基板10のm軸[1-100]と平行になり、第1積層工程におけるNiを蒸着する温度を600℃から700℃にすると、第1層11の[01-1]方向は、サファイア基板10の結晶におけるa軸[11-20]の向きと平行になることがわかった。
【0033】
<実施例2、比較例1、比較例2>
次に、550℃のサンプル、及び600℃のサンプルに対して、実施例1の金属触媒層の生成方法における第1熱処理工程までを実行した実施例2、比較例1のサンプルを用意した。実施例2のサンプルは、600℃のサンプルに対して第2積層工程を実行したものである。比較例1のサンプルは、550℃のサンプルに対して第2積層工程を実行したものである。比較例2のサンプルは、第1積層工程を実行せず、第2積層工程及び第1熱処理工程を実行したものである。
【0034】
実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルの第2層12の表面(すなわち、金属触媒層20の表面)を、第1熱処理工程を実行後、微分干渉顕微鏡を用いて観察した結果を
図6(A)から(C)に示す。図中における点線は、結晶粒の境界を示す。比較例1のサンプルは、
図6(A)に示すように、金属触媒層20が複数の結晶粒(グレイン)に分かれていることがわかった。
【0035】
これに対して、実施例2のサンプルは、
図6(B)に示すように、金属触媒層20における結晶粒の境界が形成されておらず、サファイア基板10の表面と同様の大きさの1つの結晶によって構成されていることがわかった。つまり、実施例2の金属触媒層20は、サファイア基板10の表面の全体にわたって一つの結晶として単結晶化しており、サファイア基板10のc面上に積層されている。従って、第1積層工程におけるNiを蒸着する温度を600℃にするとサファイア基板10の表面と概ね同様の大きさの1つの結晶の金属触媒層20を生成することがわかった。また、図示はしないが、第1積層工程におけるNiを蒸着する温度が700℃のサンプルに対して第1熱処理工程まで実行した場合にも同様の結果が得られた。従って、第1積層工程におけるNiを蒸着する温度は、600℃から700℃が好ましいことが分かった。
【0036】
比較例2のサンプルは、
図6(C)に示すように、比較例1のサンプルと同様に第2層12が複数の結晶粒(グレイン)に分かれていることがわかった。比較例2のサンプルの第2層12の結晶粒(グレイン)の大きさは、比較例1のサンプルの金属触媒層20の結晶粒(グレイン)よりもむしろ大きいことがわかった。
【0037】
実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルをX線回折測定Out-plane法で測定した結果を
図7に示す。ここで行ったOut-plane法では、実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルの表面に対してX線を所定の角度で入射させつつ、回折したX線を受光する受光部をサンプルの表面に交差する方向にさせて、回折したX線を測定した。
【0038】
図7に示すように、各サンプルは、概ね45°に急峻なピークがあらわれている。これは、金属触媒層20の(111)面に由来するピークである。また、金属触媒層20の(200)面、及び(220)面に由来するピークは観測されなかった。従って、実施例2、比較例1、比較例2のサンプルは、金属触媒層20の[111]方向がサファイア基板10のc面軸方向に向いていることがわかった。また、
図7に示す最も下に示すグラフは、第2積層工程を実行し、第1熱処理工程を実行する前における実施例2のサンプルにおけるものであり、この段階でも(111)面に由来するピークが僅かにあらわれている。第1熱処理工程を実行すると実施例2のスペクトルのように急峻なNi(111)ピークがあらわれることがわかる。
【0039】
実施例2、比較例1、及び比較例2のサンプルをX線回折測定In-plane法で測定した結果を
図8に示す。
図8(A)から(C)に示すように、実施例2、比較例1、比較例2の各サンプルおけるサファイア基板10は、図の下側のサファイア基板10の測定プロファイルにおいて、概ね30°、90°、及び150°の60°毎にa面に由来する急峻なピークがあらわれている。
【0040】
これに対して、比較例1のサンプルは、
図8(A)に示すように、60°、120°、及び180°に金属触媒層20の(01-1)面に由来するピークがあらわれ、サファイア基板10のピークと比べ30°ずれた配向となっている。比較例2のサンプルは、
図8(C)に示すように、0°、60°、120°、及び180°に第2層12の(01-1)面に由来するピークがあらわれており、こちらもサファイア基板10のピークと比べ30°ずれた配向となっている。比較例2のサンプルの0°、60°、120°、及び180°におけるピークのFWHM(半値全幅)の平均値は、3.7°であった。これに対して、比較例1のサンプルの60°、120°、及び180°におけるピークのFWHMの平均値は、8.3°であった。従って、比較例1のサンプルは、比較例2のサンプルよりも結晶の面内配向が良好でないことが分かった。
【0041】
一方、実施例2のサンプルは、
図8(B)に示すように、サファイア基板10と同様に、概ね30°、90°、及び150°の60°毎に金属触媒層20の(01-1)面に由来する急峻なピークがあらわれている。このピークは、サファイア基板10のピークと同じ位置にあらわれており、サファイア基板10のピークのa軸[11-20]方向と平行な方向を向く配向であることがわかる。実施例2のサンプルの30°、90°、及び150°における金属触媒層20の(01-1)面に由来するピークのFWHMの平均値は、0.23°であった。このことから、実施例2のサンプルは、結晶の配向が極めて良好であることがわかった。また、実施例2のサンプルの30°、90°、及び150°における金属触媒層20の(01-1)面に由来するピークのFWHMの最大値は0.25であり、最小値は0.18であった。
【0042】
[第1積層工程におけるNiを蒸着する温度を650℃にしたサンプルを用いて生成したグラフェンの評価]
次に、実施例2のサンプルに対して、実施例1のグラフェンの生成方法のうちの炭素原料積層工程と、第2熱処理工程を実行し、金属触媒層20を除去した後、ラマン散乱分光法で評価した結果を
図9(A)、(B)に示す。ラマン散乱分光法は、グラフェンの評価において一般的に用いられている。グラフェンは、Dピーク、Gピーク、及びG’ピークの3種類のラマンピークを基にして評価することができる。Dピークは、グラフェンの構造欠陥、及びグラフェンのエッジに由来するピークである。Gピークは、グラフェンの面内における伸縮の振動、及びsp
2結合に由来するピークである。G’ピークはグラフェンのバンド間遷移を含む多段遷移に関係するピークである。なお、ラマン散乱分光法を用いてグラフェンを評価した結果において、Gピーク及びG’ピークが出現している場合、グラフェンが生成されていることを示す。また、Gピーク及びG’ピークのそれぞれのピークの大きさを比べることによって生成されたグラフェンの積層された層数に関する知見を得ることができる。
【0043】
図9(B)に示すラマン散乱分光法で評価した結果は、
図9(A)に示す実施例2のサンプルのグラフェン14の表面を微分干渉顕微鏡を用いて観察した画像における、A点、及びB点におけるものである。A点におけるグラフェン14は多層である。B点におけるグラフェン14も多層であるがA点における層数よりも層数が少ない。A点におけるラマン散乱分光法で評価した結果は、D/Gが0.01であり、G’/Gが0.33であった。B点におけるラマン散乱分光法で評価した結果は、D/Gが0.08であり、G’/Gが0.29であった。これらの結果から、サファイア基板10の表面に生成したグラフェン14は、結晶性が良好であり、高品質な多層のグラフェン14であることがわかった。
【0044】
図10(A)は、
図9と異なる位置における実施例2のサンプルのグラフェン14の表面を顕微鏡を用いて観察した画像である。
図10(A)は、互いに隣合う位置に多層のグラフェン14の最上層付近のグラフェンが島状に生成しており、これら島状のグラフェン14が、点線の位置で結合した様子を示している。
図10(B)は、
図10(A)における四角形状の枠内の各部におけるD/Gの値の大きさを明暗によって示した図である。
図10(B)において、明るい色調であるほどD/Gの値が大きいことを示し、暗い色調であるほどD/Gの値が小さいことを示す。
図10(B)に示すように、
図10(A)における点線の位置は、隣り合う島状のグラフェンが結合する位置に対応するが、この部分においても、明るさは、概ね一様である。従って、実施例2のサンプルは、隣合う位置において島状に生成した複数のグラフェン14が結合する領域において、大きなD/G比で示される欠陥領域を発生することなく、結晶品質が良好な状態で結合することがわかった。このことは、以下に示すグラフェン層が結晶の方向が良く揃った、高い配向性を示すことで説明される。すなわち、結晶の方向の揃った島状のグラフェン14が結合する場合は滑らかに結合がつながり、欠陥を発生することが無くなる。
【0045】
第2熱処理工程を実行した後に実施例2のサンプルをX線回折測定In-plane法で測定した結果を
図11に示す。
図11における結果は、サファイア基板10、金属触媒層20、及びグラフェン14の回折角を37.8°、76.5°、及び65.8°の条件で測定を行ったものである。
図11に示すように、サファイア基板10のa面に由来するピークは、0°、60°、及び120°の60°毎に急峻にあらわれている。金属触媒層20の(01-1)面に由来するピークは、サファイア基板10と同様に、0°、60°、及び120°の60°毎に急峻にあらわれており、サファイア基板10のピークと同じ位置にあらわれている。
【0046】
これに対して、実施例2のサンプルにおけるグラフェン14の(10)回折は、30°、90°、及び150°の60°毎に急峻にあらわれている。実施例2のサンプルにおけるグラフェン14の30°、90°、及び150°におけるピークのFWHMの平均値は、0.18°であった。これは、実施例2のサンプルにおいて生成されたグラフェン14の結晶の配向が極めて良好であることを示している。また、実施例2のサンプルにおけるグラフェン14の30°、90°、及び150°におけるピークのFWHMの最大値は0.22であり、最小値は0.14であった。
【0047】
以上の配向関係を説明するために、各層(サファイア基板10、金属触媒層20、グラフェン14)の原子配列の関係を示す模式図を
図12に示す。グラフェン14の六員環のとがった方向は、サファイア基板10の[11-20]軸方向、及び金属触媒層20の[01-1]方向と同じ向きであることがわかる。さらには、グラフェン14の[10]方向がサファイア基板10のa軸方向から30°ずれており、m軸[1-100]方向を向いていることもわかる。本実施例の場合とは異なり、従来の手法を用いNi触媒上に形成したグラフェンは、これほど細い半値幅が示される優れた配向性を示さない。以上の点を鑑みると、本実施例の優れた配向性は、結晶化した金属触媒層20とサファイア基板10との界面にグラフェン14が析出成長することが大きなポイントとなるものと考える。すなわち、上下(金属触媒層20とサファイア基板10と)の配向(分子配置)が完全に揃った界面は、ある決まった界面原子位置にのみ炭素原子が析出せざるを得ず、それぞれの炭素原子がグラフェン14の六員環を形成する際に六員環の配向関係も単一に規定されることになる。その結果、グラフェン14の配向関係は、サファイア基板10及び金属触媒層20と上記に示す様な一定の関係を持ったものになるものと考えられる。
【0048】
<実施例3>
実施例1の金属触媒層の生成方法、及びグラフェンの生成方法を実行したサンプル表面を光学顕微鏡で観察した結果を
図13に示す。実施例3のサンプルに用いたサファイア基板10の外形は10mm×15mmの四角形状である。
図13に示すように、実施例3のサンプルは、画像中におけるサファイア基板10の表面の全体にわたり、欠陥の少ない高品質なグラフェン14が生成されていることがわかった。グラフェン14は、
図13の全面にわたって存在している。コントラストの白い島状の領域は、層数の多い多層のグラフェン14に対応している。
【0049】
例えば、比較例1のサンプルは、金属触媒層20が複数の結晶粒(グレイン)に分かれている。このため、比較例1のサンプルを用いてサファイア基板10の表面にグラフェン14を生成すると、結晶粒の境界(粒界)が位置する部分では、低温での炭素原子の拡散が生じ、欠陥の多い質の悪いグラフェンが昇温過程で形成されてしまう。また、比較例1のサンプルの金属触媒層20の配向は、グレイン毎に異なる。このため、それぞれのグレインで成長した島状のグラフェン14同士の配向が揃わず、島状のグラフェン14は、結合する部分で欠陥が生じる。
【0050】
これに対して、実施例3のサンプルは、実施例1の金属触媒層の生成方法を実行することによって、サファイア基板10の表面の全体にわたって金属触媒層20が単結晶化されおり、粒界が存在せず、低温での炭素の粒界拡散が生じることがなく、高品質のグラフェンが成長していた。従って、実施例3のサンプルにおけるグラフェン14は、サファイア基板10の表面全体にわたって欠陥を有さない状態で生成できたのである。また、金属触媒層20にグレインが無く単結晶化しているので、島状のグラフェンの配向方向は単一であり、島状のグラフェン同士が結合する場合にも隣合うグラフェンの結合部に欠陥が生じないのである。
【0051】
以上の高品質化に加え、本発明の手法によって単結晶化した金属触媒層20を用いると、例えば、析出成長のための第2熱処理工程後、30℃/min程度より遅い降温速度で冷却した時に、生成したグラフェンにしわが生じない。冷却時には、各々の熱膨張係数の差によって、サファイア基板10、金属触媒層20、及びグラフェン14の各々において縮み方が異なり、均一でない。このため、従来の手法では、グラフェン14に応力が加わり、グラフェン14にしわが生じていた。
【0052】
しかし、実施例3のサンプルは、サファイア基板10と金属触媒層20との間にグラフェン14が生成され、なおかつ、グラフェン14はサファイア基板10と金属触媒層20とに結合を持たないので、上下にあるサファイア基板10と金属触媒層20はお互いに滑り易くなる。これによって、それぞれの異なる熱収縮関係を整合させることが可能となり、上記の様な遅い降温速度(30℃/min程度)であれば、基板全面でサファイア基板10と金属触媒層20との滑りが十二分に生じて応力が完全に緩和し、グラフェン14にしわが入ることが無い状態が得られる。
【0053】
このとき、サファイア基板10と金属触媒層20との間にグラフェン14が生成されており、サファイア基板10と金属触媒層20とで囲まれた平坦な隙間に上下からグラフェン14が挟まれた構造(すなわち、サンドイッチ構造)も、しわを形成しないために有効である。金属触媒層20が多くのグレインを有する従来の手法では、グレインの境界において金属触媒層20とサファイア基板10との間に周囲に比べて大きな隙間が生じる。また、金属触媒層がグレインの境界でずれる等して、この部分においてグラフェン14が変形し易くなり、グラフェン14にしわが形成することもあった。従って、本実施例では、金属触媒層20が単結晶化されており、グレインを持たないこともシワが生じない一つの原因と考えられる。このシワを有さないグラフェン14の状態は、金属触媒層20をエッチングにより除去した後も保たれており、最終的にサファイア基板10全面にわたって、しわを有さないグラフェン14を得ることができる。
【0054】
現在入手可能なc面サファイア基板の直径は、およそ6インチである。よって、本発明の金属触媒層の生成方法によれば、およそ直径6インチのc面サファイア基板の表面と概ね同様の大きさの1つの結晶の金属触媒層20を生成することができる。従って、直径6インチのc面サファイア基板を用い本発明の金属触媒層の生成方法、及び本発明のグラフェンの生成方法を実行すると、およそ180cm
2の面積のしわを有さないグラフェン14を生成することができる。以上により、本発明によれば、
図13に示すように、従来の手法では困難であった、少なくとも0.01cm
2よりも大きい面積においてしわを有さないグラフェン14を生成することができる。つまり、本発明のグラフェン14は、0.01cm
2から180cm
2の面積において、しわを有さないのである。
【0055】
次に、上記実施例における作用効果を説明する。
【0056】
本発明の金属触媒層20は、コランダム構造を有するサファイア基板10のc面上に積層して結晶化したものである。金属触媒層20は、面心立方構造を有している。金属触媒層20の[111]方向は、サファイア基板10のc面軸方向である。金属触媒層20の[01-1]方向は、サファイア基板10の[11-20]方向である。この金属触媒層20を用いれば品質の良好なグラフェン14を生成することができる。
【0057】
本発明の金属触媒層の生成方法は、サファイア基板10の表面に結晶化したNiの第1層11を形成する第1積層工程と、第1層11の表面に非結晶状態のNiの第2層12を形成する第2積層工程と、第1積層工程と第2積層工程を実行後、熱処理を行い第2層12を結晶化する第1熱処理工程と、を備える。この構成によれば、結晶品質が良好な金属触媒層20を生成することができる。
【0058】
本発明のグラフェンの生成方法は、上記の金属触媒層の生成方法における第1熱処理工程を実行後、金属触媒層20の表面にナノダイヤモンド13を積層する炭素原料積層工程と、炭素原料積層工程を実行後、熱処理を行いサファイア基板10と金属触媒層20との間にグラフェン14を析出させる第2熱処理工程と、を備える。この構成によれば、サファイア基板10と金属触媒層20との界面にしわを有さない結晶性の良好な大面積のグラフェン14を生成し易い。
【0059】
本発明のグラフェン14は、0.01cm2から180cm2の面積において、しわを有さない。この構成によれば、集積回路等の大きな面積を要するデバイスに用いることができる。
【0060】
本発明のグラフェンの生成方法の炭素原料は、ナノダイヤモンド13である。この構成によれば、熱処理中に熱処理温度で決まる成長速度でグラフェン14を連続的に成長でき、サファイア基板10と金属触媒層20との界面に生成されるグラフェン14の層数を容易に制御することができる。
【0061】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1、2に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、塩化第二鉄と純水との溶液を用いてエッチングしているが、これに限らず、硝酸、硫酸、塩酸、過酸化水素水、及びこれらの酸の混合液を用いてエッチングしても良い。
(2)実施例1では、c面((0001)面)を表面にしたサファイア基板を用いているが、これに限らず、酸化ガリウム等を用いても良い。
(3)実施例1では、第1層、第2層にNiを用いているが、これに限らず、Cu、Co、Fe、Mn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au等の遷移金属を含む他の金属を用いても良い。もちろん、AuNi、NiCuなどの合金を用いても良い。
(4)実施例1では、炭素原料としてナノダイヤモンドを用いているが、これに限らず、アモルファスカーボン等の他の炭素原料を用いてもよい。
(5)実施例1では、MBE法を用いているが、結晶化した触媒金属の第1層を形成し得る他の方法を用いてもよい。例えば気相成長方法による金属触媒層でも良い。また、実施例1では、電子ビーム蒸着法を用いているが、この他、抵抗加熱による蒸着法、メッキによる積層法など、第1層の表面に非結晶状態の触媒金属の第2層を形成し得る他の方法を用いてもよい。
(6)実施例1では、第1層の厚みが100nmであるが、この厚みに限らず、20nmから300nmであってもよい。
(7)実施例1では、第2層の厚みが300nmであるが、この厚みに限らず、200nmから700nmであってもよい。
(8)本特許の趣旨を越えない範囲であれば、析出する2次元材料はグラフェンだけに限定するものではなく、MoS2、MoTe2、WS、Mo1-xWxS2、FeTiS2、TaSe2、BN、WTe2などの他の2次元材料であって良い。もちろん、これらの2次元材料を層状に重ねた多層構造であっても良い。
【符号の説明】
【0062】
10…サファイア基板(基板)
11…第1層
12…第2層
13…ナノダイヤモンド(炭素原料)
14…グラフェン
20…金属触媒層