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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
F04B49/06 311
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021064062
(22)【出願日】2021-04-05
(65)【公開番号】P2022159704
(43)【公開日】2022-10-18
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-141340(JP,A)
【文献】特開2017-097666(JP,A)
【文献】特開2020-097030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 49/10
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網を通じた無線通信を行う遠距離通信部と、
外部機器と無線通信を行う近距離通信部と、
ンプ装置の運転に関わる情報を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出結果に基づいて、前記検出結果固有の識別情報を含む通知情報を生成する通知情報生成部と、
前記遠距離通信部を制御して、前記通知情報を前記外部機器に無線送信する、または管理装置を介して前記通知情報を前記外部機器に無線送信する第1送信制御部と、
前記通知情報の基となった検出結果と、前記識別情報とを含む詳細情報を生成する詳細情報生成部と、
前記近距離通信部が前記外部機器から前記識別情報を受信した場合に、前記近距離通信部を制御して、前記識別情報に対応する詳細情報を前記外部機器に無線送信する第2送信制御部と、
を具備したことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
移動通信網を通じた無線通信を行う遠距離通信部と、
外部機器と無線通信を行う近距離通信部と、
センサの検出結果が入力されるインタフェースと、
前記インタフェースを通じて入力された検出結果に基づいて、前記検出結果固有の識別情報を含む通知情報を生成する通知情報生成部と、
前記遠距離通信部を制御して、前記通知情報を前記外部機器に無線送信する、または管理装置を介して前記通知情報を前記外部機器に無線送信する第1送信制御部と、
前記通知情報の基となった検出結果と、前記識別情報とを含む詳細情報を生成する詳細情報生成部と、
前記近距離通信部が前記外部機器から前記識別情報を受信した場合に、前記近距離通信部を制御して、前記識別情報に対応する詳細情報を前記外部機器に無線送信する第2送信制御部と、
を具備したことを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
前記通知情報生成部は、前記検出結果を予め設定された閾値と比較した結果に応じて、異常の発生を報知するための通知情報を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記通知情報生成部は、前記検出結果を予め設定された閾値と比較した結果に応じて、前記ポンプ装置が正常に運転していることを報知するための通知情報を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記詳細情報は、前記ポンプ装置の運転時間、運転回数、圧力、電流、周波数のうちの少なくとも1つを含む運転情報と、前記ポンプ装置の運転に関わる設定値と、故障履歴、操作履歴のうちの少なくとも1つを含む履歴情報のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、給液を行うポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ポンプ装置のメンテナンスにおいて、メンテナンス要員の高齢化や後継者不足が進み、遠隔地からの装置監視が望まれているが、携帯電話網などの移動通信を利用する場合、通信費が新たなコストとして発生するため、普及しづらい状況にある。
このため、通信費を抑制することが可能なポンプ装置の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-53888号公報
【文献】特開2020-125748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、通信費を抑制することが可能なポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のポンプ装置は、遠距離通信部と、近距離通信部と、検出部と、通知情報生成部と、第1送信制御部と、詳細情報生成部と、第2送信制御部とを備える。遠距離通信部は、移動通信網を通じた無線通信を行い、近距離通信部は、外部機器と無線通信を行うものであって、検出部は、当該ポンプ装置の運転に関わる情報を検出し、通知情報生成部は、検出部が検出した検出結果に基づいて、通知情報を生成し、第1送信制御部は、遠距離通信部を制御して、前記情報を無線送信し、詳細情報生成部は、通知情報の基となった検出結果を含む詳細情報を生成し、第2送信制御部は、近距離通信部を制御して、詳細情報を無線送信する。
【0006】
また、ポンプ装置は、遠距離通信部と、近距離通信部と、インタフェースと、通知情報生成部と、第1送信制御部と、詳細情報生成部と、第2送信制御部とを備える。遠距離通信部は、移動通信網を通じた無線通信を行い、近距離通信部は、外部機器と無線通信を行うものであって、インタフェースは、センサの検出結果が入力され、通知情報生成部は、インターフェースを通じて入力された検出結果に基づいて、通知情報を生成し、第1送信制御部は、遠距離通信部を制御して、通知情報を無線送信し、詳細情報生成部は、通知情報の基となった検出結果を含む詳細情報を生成し、第2送信制御部は、近距離通信部を制御して、詳細情報を無線送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信費を抑制することが可能なポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ポンプ管理システムの概略構成を示す図。
図2図1に示したポンプ装置の構成例を示す図。
図3図2に示したポンプ装置の監視処理を説明するためのフローチャート。
図4図2に示したポンプ装置の報告処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態に係わるポンプ装置について説明する。
図1は、実施形態に係わるポンプ装置100-1~100-nを管理するポンプ管理システムの概略構成を示す図である。
【0010】
このポンプ管理システムは、ポンプ装置100-1~100-nを移動通信網NWを通じてポンプ管理装置200が管理するものである。移動通信網NWは、例えば携帯電話システムのネットワークである。
【0011】
ポンプ装置100-1~100-nは、それぞれ例えば、建物や施設の地下などに設けられた設備室に設置され、受水槽に貯められた水や水道管本管から供給される水をモータの力によって駆動されたポンプで送水するものである。なお、このような浄水以外の液体を対象としたポンプ装置であってもよい。
【0012】
またポンプ装置100-1~100-nは、設置される施設などに応じて好適するさまざまなタイプのポンプが存在するが、本実施形態の説明において、いずれのタイプのポンプ装置にも共通する点については、「ポンプ装置100」として説明する。すなわち、ポンプ装置100として説明する場合、いずれのポンプ装置100-1~100-nにも共通する構成と動作の説明である。
【0013】
ポンプ装置100は、後に詳述するように、移動通信網NWの基地局BSと無線通信する遠距離通信機能と、作業員が携帯するスマートフォンやタブレット端末、ラップトップ型パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)と無線通信する近距離無線通信機能を備える。
【0014】
基地局BSは、通信事業者が運営する移動通信システムの基地局装置であって、主として、スマートフォンや携帯電話機などと無線通信するものであるが、ポンプ装置100をはじめ、種々のIoT(Internet of Things)機器に搭載された通信ユニットと通信することも可能であり、これらの通信デバイスを移動通信網NWに接続する。
【0015】
ゲートウェイ装置GWは、移動通信網NWに接続され、移動通信網NWとポンプ管理装置200の間で、例えばプロトコル変換を行うネットワークノードとしての役割を果たし、移動通信網NWとポンプ管理装置200を相互接続する。
【0016】
ポンプ管理装置200は、ポンプ装置100-1~100-nの運用状態などを監視および管理するものであって、ゲートウェイ装置GWおよび移動通信網NWを通じて、ポンプ装置100-1~100-nの運用状態の情報を収集、記録のほか、遠隔制御などを行う。
【0017】
次に、図2を参照して、ポンプ装置100について説明する。
ポンプ装置100は、ポンプ部100Pと、制御盤100Cとを主な構成要素として備える。
【0018】
ポンプ部100Pは、1つまたは複数のポンプユニット、アキュムレータ、これらを繋ぐ給水路、逆止弁、各種センサを備え、例えば、制御盤100Cから供給される電力が制御されることにより、一次側のポンプ吸込口から吸い込んだ液体を増圧して圧送を行い、二次側のポンプ吐出口より液体を送出する。
【0019】
なお、ポンプ部100Pの形態については、様々なものが考えられるが一般的なタイプでも特殊なタイプでも、ポンプであればよいので、メカニズムやその動作などの詳細については省略する。またポンプ部100Pは、上述したような構成に限定されるものではない。
【0020】
制御盤100Cは、作業員からの指示や設定を受け付け、その指示や設定にしたがってポンプ部100Pの動作を制御するものであって、電源回路110と、蓄電池111と、表示部120と、遠距離通信部130と、近距離通信部140と、操作部150と、通信コネクタ160と、センサインタフェース(I/F)170と、記憶部180と、制御部190とを備える。
【0021】
電源回路110は、インバータを備え、分電盤から供給される電力を上記ポンプユニット内のモータを駆動させるための交流電力に変換して供給することで、例えば、吐出する液体が目標の圧力となるように制御する機能を有するものである。
【0022】
蓄電池111は、停電などにより分電盤から電力が供給されない場合に、制御盤100Cの一部機能を動作させるためのバックアップ電力を蓄えるためのものである。
【0023】
表示部120は、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル、7セグメントLED、LEDランプなどのデバイスを用いた表示装置であって、制御部190から与えられる情報を作業員に対して視覚的に示すものである。
【0024】
制御部190の制御によって表示部120に示される情報としては、当該ポンプ装置100の運用の状態や設定を示す情報(通信属性を含む)、作業員の入力操作に対する応答、処理の結果などである。なお、視覚的な方法以外に、音(音声)などにより、作業員に情報を報知するようにしてもよい。
【0025】
遠距離通信部130は、例えば、LTE(登録商標)(Long-Term Evolution)、4G(4th Generation)あるいは5G(5th Generation)といった通信規格に準拠した通信ユニットであって、基地局BSと無線通信して、移動通信網NWおよびゲートウェイ装置GWを通じて、ポンプ管理装置200と通信する。
【0026】
また遠距離通信部130は、制御部190に接続されるインタフェース131に着脱自在な機構とインタフェースを備えており、故障やアップグレード、ファームウエアやプログラムの更新などのメンテナンスなどの場合に、必要に応じて取り外したり、交換されうる。
【0027】
なお、遠距離通信部130は、通信事業者が提供する通信サービスを利用するための加入者識別情報として、SIM(Subscriber Identity Module)を搭載し、上記加入者識別情報を用いて通信を行う。すなわち、遠距離通信部130を利用した通信では、通信事業者から通信料金の請求が生じる。
【0028】
SIMは、SIMカードでもよいし、eSIM(Embedded SIM)であってもよい。SIMカードの場合には、上記通信ユニットに、インタフェースとなるカードスロットを備え、着脱(交換)することが可能な機構を有する。
【0029】
また、通信事業者がSIM以外の方法でサービス加入者を識別(特定)する場合には、その方法に準じた識別情報(ID情報)を記憶する記憶デバイスを備える。
【0030】
近距離通信部140は、Bluetooth(登録商標)や無線LAN、NFC(Near Field Communication)などの通信規格に準拠した通信ユニットであって、これらの通信規格に対応した種々の機器(パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット機器、その他の通信機器)と直接的な無線通信を行う。すなわち、近距離通信部140を利用した通信では、通信のための費用は発生しない。
【0031】
また近距離通信部140は、制御部190に接続されるインタフェース141に着脱自在な機構とインタフェースを備えており、故障やアップグレード、ファームウエアやプログラムの更新などのメンテナンスなどの場合に、必要に応じて取り外したり、交換されうる。
【0032】
操作部150は、表示部120に表示されるソフトウェアキー上に設けられるタッチパネルや、複数のキースイッチなどであって、作業員からの要求や指示を受け付け、これを制御部190に伝達する。
【0033】
なお、操作部150は、上述したような物理的な入力手段以外に、マイクロホンを備えて、入力された音声が示すコマンドを制御部190が認識して、作業員からの要求や指示を制御部190が受け付けるようにしてもよい。
【0034】
通信コネクタ160は、例えばRS-232Cなどのシリアル通信の規格に準拠した通信ケーブル(シリアルケーブル)を接続するためのコネクタであって、パーソナルコンピュータなどの制御機器を接続し、制御や情報入力を行うために使用される。なお、信号を送受信するための通信インタフェースとしての機能は、制御部190が備える。
【0035】
センサインタフェース170は、当該ポンプ装置100内(あるいは外)に配備された各種センサを接続するためのインタフェースであって、各センサに動作電力を供給するとともに、制御部190からの指示を上記各種センサに与えたり、あるいは上記各種センサが検知した情報(検出結果)を制御部190に伝達する。
【0036】
なお、図2では、センサの例として、漏水センサ171、圧力センサ172、浸水センサ173、流量センサ174を示したが、これら以外のセンサを設け、センサインタフェース170を通じて各センサが検知した情報を制御部190に入力するようにしてもよい。
【0037】
漏水センサ171は、ポンプ部100P周りからの漏水を検出する。
圧力センサ172は、ポンプ部100Pによって送出される液体の圧力を検出する。
浸水センサ173は、洪水などによって、ポンプ装置100周りに浸水が発生したことを検出する。
流量センサ174は、ポンプ部100Pによって送出される液体の量を検出する。
【0038】
記憶部180は、SDRAM(Synchronous Dynamic RAM)、NANDフラッシュメモリやEPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリを用いたものである。
【0039】
そして記憶部180は、制御部190の制御プログラムや制御データ、当該ポンプ装置100の動作ログをログデータ180aとして記憶するとともに、このログデータ180aに基づいて生成された報告データ180bを記憶する。
【0040】
ログデータ180aは、各種センサの検出結果、当該ポンプ装置100の各種設定や設定値、種々の動作についてのスケジュール情報、故障の発生を示す故障履歴(故障の発生した部位や時刻など)、作業員による操作の履歴(操作の内容、操作された時刻)を含む。
【0041】
制御部190は、当該制御盤100Cの各部を統括して制御するものであって、プロセッサやメモリを備える。メモリには、記憶部180から読み込んだ制御プログラムや制御データが記憶され、プロセッサが上記制御プログラムを実行して上記制御データにしたがって、種々の制御や処理を行う。すなわち、制御部190は、検出部、通知情報生成部、第1送信制御部、詳細情報生成部、第2送信制御部の一例である。
【0042】
上記の制御や処理において制御部190は、作業員からの指示を受け付け、その指示にしたがって当該ポンプ装置100の各部を統括して制御し、例えば、自動運転制御、監視処理、報告処理などを行う。
【0043】
自動運転制御は、例えば、運転周波数の切り替え、時刻などに応じたポンプの始動や停止、給水の圧力が目標値で一定となるような圧力制御、あるいは単位時間あたりの給水量が一定となる制御などの制御を行う。
【0044】
監視処理は、各種センサの検出結果に基づいてログデータ180aを生成して記憶部180に記録するとともに、各種センサの検出結果に例えば異常値が含まれる場合に、警報情報を遠距離通信によりポンプ管理装置200などに通知する処理である。
【0045】
報告処理は、例えば、作業員が携帯するスマートフォンなどの携帯情報機器から、近距離無線通信を通じて要求が有った場合に、上記警報情報に関連する詳細情報を上記携帯情報機器に提供する処理である。
【0046】
なお、制御部190は、現在の時刻を計時する時計機能を備える。また制御部190は、特定の処理(例えば、時計機能、通信制御、表示制御、入力受付処理など)を行わせるためのASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備えて、これが上記プロセッサと協働して動作するように構成してもよい。
【0047】
また制御部190は、1つまたは複数の回路基板で構成され、制御盤100Cの制御バスに接続されるスロットに着脱自在な機構を備えて、故障やアップグレード、ファームウエアやプログラムの更新などのメンテナンスなどの場合に、必要に応じて取り外したり、交換される構成としてもよい。
【0048】
次に、上記構成のポンプ装置100の動作について説明する。以下の説明では特に、監視処理と報告処理について説明し、ポンプ装置100における給水のためのポンピングのメカニズムやその動作についての説明は省略する。
【0049】
まず、図3を参照して、ポンプ装置100による監視処理について説明する。この監視処理は、制御部190によってなされる。図3は、上記監視処理のフローチャートである。
【0050】
以下の説明では、上記監視処理は、ポンプ装置100の電源が投入され、運用の開始に合わせて開始されるものとして説明するが、作業員の指示に応じて開始されるものであってもよい。
【0051】
ステップS301において制御部190は、所定の取得周期が到来すると、センサインタフェース170を通じて各種センサ(漏水センサ171、圧力センサ172、浸水センサ173、流量センサ174など)から検出結果を取得するとともに、その検出の時刻を検出し、ステップS302に移行する。なお、センサ毎に検出結果の取得周期を変えて設定するようにしてもよい。
【0052】
ステップS302において制御部190は、ステップS301で取得した検出結果を、検出した時刻、センサの種別などと対応付けてログデータ180aとして記憶部180に記録し、ステップS303に移行する。
【0053】
ステップS303において制御部190は、ステップS302で記録した検出結果を、各センサ毎に設定した閾値と比較して、上記閾値を超える異常値が発生しているか否かを判定する。
【0054】
ここで、異常値とは、作業員などに警告を知らせる必要がある値である。異常値が発生した場合には、ステップS304に移行し、一方、異常値が発生していない場合には、ステップS301に移行する。
【0055】
なお、異常値の発生の判定は、1つの検出結果と閾値を比較する方法に限らず、連続する複数の検出結果が閾値を超えたり、あるいは、複数の検出結果の平均値が閾値を超えるような場合に、異常値が発生したと判定するようにしてもよい。または、ステップS301で取得した検出結果を複数回積算してステップS302では積算値を記録するようにし、ステップS303ではその積算値を閾値と比較して判定を行うようにしてもよい。
【0056】
ステップS304において制御部190は、作業員が携帯する携帯情報機器やポンプ管理装置200に宛てた警告情報を生成し、ステップS305に移行する。なお、ステップS304では、ログデータ180aとして、故障履歴を追加して記録するようにしてもよい。
【0057】
ここで、警告情報は、異常値の発生を少なくとも知らせるための情報であって、例えば、異常の発生を知らせるための1bitの情報、異常の内容を示す数byteの情報、および当該警告情報に固有に付与した識別情報を含みうる。
【0058】
ステップS305において制御部190は、警告の詳細を記した詳細情報を生成して、記憶部180に報告データ180bとして記録し、ステップS306に移行する。
【0059】
ここで、詳細情報は、上記警告情報に固有に付与した識別情報と、例えば、警告の種類、異常値を検出したセンサの種別、異常値を検出した時刻の他、同時刻における他のセンサの検出結果や、異常値を検出したセンサの他の時刻(検出時刻の前後)の検出結果などの情報を含みうる。
【0060】
ステップS306において制御部190は、遠距離通信部130を制御して、ステップS304で生成した警告情報を、予め設定された、作業員が携帯する携帯情報機器やポンプ管理装置200に送信し、ステップS301に移行する。
【0061】
これに対して、携帯情報機器やポンプ管理装置200は、警告情報を受信したことを作業員に報知するとともに、警告情報に含まれる識別情報などの情報を表示部に表示し、ポンプ装置100にトラブルが発生した、もしくは、トラブルが発生しうる状態に陥ったことを作業員に認識させる。
【0062】
次に、図4を参照して、ポンプ装置100による報告処理について説明する。この報告処理は、制御部190によってなされる。図4は、上記報告処理のフローチャートである。
【0063】
以下の説明では、上記監視処理は、ポンプ装置100の電源が投入され、運用の開始に合わせて開始されるものとして説明するが、作業員の指示に応じて開始されるものであってもよい。
【0064】
ステップS401において制御部190は、近距離通信部140を制御してONにし、ステップS402に移行する。なお、本実施形態では、ポンプ装置100が、作業員が携帯する携帯情報機器に情報や機能を提供する側のデバイスとなるため、近距離通信部140としてBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)規格に準拠した無線モジュールを適用した場合には、ポンプ装置100がペリフェラル(Peripheral)となり、上記携帯情報機器がセントラル(Central)となる。
【0065】
ステップS402において制御部190は、近距離通信部140を制御して、近距離通信部140と接続するための情報を送信し、ステップS403に移行する。ここで送信される情報としては、ポンプ装置100の製造番号などの機器固有の情報が考えられる。ここで、近距離通信部140としてBLE規格に準拠した無線モジュールを適用した場合には、例えば上記製造番号がアドバータイズに用いられ、これをスキャンによって受信した上記携帯情報機器が、ポンプ装置100の存在を認識し、接続要求を行う。
【0066】
ステップS403において制御部190は、近距離通信部140が上記携帯情報機器から接続要求を受信したか否かを判定する。なお、この接続要求には、ポンプ装置100の製造番号(あるいは、表示部120に表示したアドバタイズキー)が含まれており、それにより制御部190は、ポンプ装置100に宛てた接続要求と判断できる。
【0067】
ここで、上記携帯情報機器から接続要求を受信した場合には、ステップS404に移行し、一方、受信しない場合には、ステップS402に移行し、上記携帯情報機器からの接続要求を待機(アドバータイズを継続)する。
【0068】
ステップS404において制御部190は、近距離通信部140を制御して、上記携帯情報機器との間に通信リンクを確立する。これに対して携帯情報機器は、上記通信リンクを通じて、ポンプ装置100から受信した警告情報(ステップS306で送信)に含まれる識別情報をポンプ装置100に送信する。制御部190は、近距離通信部140が上記識別情報を受信すると、ステップS405に移行する。
【0069】
ステップS405において制御部190は、記憶部180に記録された報告データ180bを参照して、ステップS404で受信した識別情報を含む詳細情報を検出して読み出し、ステップS406に移行する。
【0070】
ステップS406において制御部190は、近距離通信部140を制御して、上記通信リンクを通じてステップS405で読み出した詳細情報を上記携帯情報機器に送信し、ステップS401に移行する。
【0071】
これに対して上記携帯情報機器は、上記詳細情報を受信し、その内容を作業員の指示に応じて、表示部に表示して、作業員は、発生した警告の詳細を把握する。
【0072】
以上のように本実施形態では、ポンプ装置100が警告を知らせる必要が発生した場合に、遠距離通信部130により警告情報を作業員が携帯する携帯情報機器やポンプ管理装置200に送信し、その後、携帯情報機器を携帯する作業員がポンプ装置100と近距離通信を行うと、携帯情報機器から送信された識別情報に対応する詳細情報を検出して、近距離通信を通じて携帯情報機器に送信するようにしている。
【0073】
したがって、上記ポンプ装置100によれば、警告情報は遠距離通信によって通知され、一方、警告情報より相対的に情報量の多い詳細情報は近距離通信によって携帯情報機器に提供されるので、遠距離通信に生じる通信費を抑制することができる。
【0074】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0075】
例えば、上記実施形態では、センサインタフェース170を通じた各種センサの検出結果に応じて、異常値の発生の判定や、警告情報や詳細情報の生成を行うようにしたが、これに限定されるものではない。
【0076】
例えば、制御部190が、当該ポンプ装置の運転時間の計測、運転回数をカウント、ポンプの1次側圧力や2次側圧力、消費電流、使用電力の周波数の測定を行って得た運転情報、当該ポンプ装置の運転に関わる設定値、故障履歴や操作履歴などに基づいて、異常値の発生の判定や、警告情報や詳細情報の生成を行うようにしてもよい。
【0077】
また詳細情報の例として、警告の種類、異常値を検出したセンサの種別、異常値を検出した時刻の他、同時刻における他のセンサの検出結果や、異常値を検出したセンサの他の時刻(検出時刻の前後)の検出結果などの情報を例に挙げて説明したが、これに加えて例えば、上述したような当該ポンプ装置の運転時間の計測結果、運転回数をカウント値、ポンプの1次側圧力や2次側圧力、消費電流、使用電力の周波数の測定結果などの運転情報、当該ポンプ装置の運転に関わる設定値などを含めるようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、異常を検出した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS303にて異常値の発生を検出しない場合には、制御部190は、正常な運転を確認したことを示す内容の警告情報をステップS304で生成し、正常な運転の詳細を記した詳細情報をステップS305で生成するようにしてもよい。
【0079】
なお、正常な運転の詳細を記した詳細情報には、正常な運転を確認したことを示す内容の警告情報に固有に付与した識別情報と、例えば、各センサの検出値、正常運転と判定した時刻などの情報を含みうる。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0080】
100,100-1~100-n…ポンプ装置、100C…制御盤、100P…ポンプ部、110…電源回路、111…蓄電池、120…表示部、130…遠距離通信部、131…インタフェース、140…近距離通信部、141…インタフェース、150…操作部、160…通信コネクタ、170…センサインタフェース、171…漏水センサ、172…圧力センサ、173…浸水センサ、174…流量センサ、180…記憶部、180a…ログデータ、180b…報告データ、190…制御部、200…ポンプ管理装置。
図1
図2
図3
図4