(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】フィルター清掃装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/681 20220101AFI20241112BHJP
F24F 8/90 20210101ALI20241112BHJP
F24F 1/0073 20190101ALI20241112BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20241112BHJP
B08B 1/12 20240101ALI20241112BHJP
【FI】
B01D46/681
F24F8/90 110
F24F8/90 140
F24F1/0073
B01D46/10 A
B08B1/12
(21)【出願番号】P 2021109179
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2024-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和将
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-043863(JP,A)
【文献】特開2018-140360(JP,A)
【文献】特開2013-250051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-90
B08B 1/12、32-36
F24F 1/0073、035
F24F 8/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を捕捉するフィルター体と、
前記フィルター体に当接すると共に、フィルター体に付着した塵埃を除去する回転清掃体と、
前記回転清掃体に当接すると共に、前記フィルター体から前記回転清掃体に移送された塵埃を除去する複数の櫛歯を備えた2本の除塵体と、
前記除塵体と連結し、前記除塵体が除去した塵埃を収容するダストボックスと、を有するフィルター清掃装置において、
前記ダストボックスは、上部に開口を有し、前記開口の上方近傍に前記回転清掃体が着脱可能に配置されているものであって、
前記2本の除塵体は、前記ダストボックスの開口縁近傍に、長手方向が略平行で且つ、前記櫛歯が向かい合って形成されていると共に、前記櫛歯の先端は、前記ダストボックスの下方側に向かって延出しているものであって、
塵埃の排出時に、前記回転清掃体と櫛歯の先端側から当接する一方の除塵体が、前記ダストボックスの上方に可動可能であって、該可動によって、塵埃の排出路が形成されることを特徴とするフィルター清掃装置
【請求項2】
他方の除塵体の櫛歯の位置は、一方の除塵体の櫛歯の位置よりもダストボックスの下方側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルター清掃装置
【請求項3】
回転清掃体を取り外すことによって、一方の除塵体が上方向に可動可能になることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター清掃装置
【請求項4】
一方の除塵体を上方向に可動することによって、回転清掃体が取り外し可能になることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター清掃装置
【請求項5】
一方の除塵体を上方向に可動することによって、他方の除塵体が上方向に可動可能になることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置
【請求項6】
除塵体は、ダストボックスに対して回動可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターに付着した塵埃を除去するためのフィルター清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塵埃を捕集するフィルターが設置され、このフィルターに付着した塵埃を除去するためのフィルター清掃装置がしられている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のフィルター清掃装置は、回転軸と該回転軸の軸回りに巻き付けられた清掃体とを備え、被清掃面の塵埃を除去する回転清掃体と、塵埃を収容する開口を備えたダストボックスと、ダストボックスの開口に取り付けられた蓋体と、回転清掃体に付着した塵埃を除去する為に、蓋体に備えられた複数の櫛歯を有する除塵体とを有しているものであった。
【0004】
これにより、複数の櫛歯を有する除塵体によって回転清掃体に付着している塵埃を除去することができ、塵埃除去性能を向上させることができるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のフィルター清掃装置は、回転清掃体を一方向に回転させる場合のものであって、回転清掃体を逆方向に回転させた場合には、除塵体で塵埃を除去する効果はほとんど無いものであった。
【0007】
また、ダストボックスに収容された塵埃を外部に排出するためには、回転清掃体及び蓋体を取り外す必要があるが、蓋体の取り外し時に、蓋体に備えられている除塵体の複数の櫛歯にダストボックス内の塵埃の塊が付着した状態となるため、塵埃を周囲にこぼすこと無く外部へ排出するためには、ごみ箱等の開口の上で蓋体を取り外す必要があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、回転清掃体を正逆両方向に回転させた場合に除塵体で回転清掃体に付着した塵埃を確実に除去することによって、塵埃除去性能を向上させることができると共に、ダストボックス内の塵埃を容易に外部へ排出することができるフィルター清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、塵埃を捕捉するフィルター体と、前記フィルター体に当接すると共に、フィルター体に付着した塵埃を除去する回転清掃体と、前記回転清掃体に当接すると共に、前記フィルター体から前記回転清掃体に移送された塵埃を除去する複数の櫛歯を備えた2本の除塵体と、前記除塵体と連結し、前記除塵体が除去した塵埃を収容するダストボックスと、を有するフィルター清掃装置において、前記ダストボックスは、上部に開口を有し、前記開口の上方近傍に前記回転清掃体が着脱可能に配置されているものであって、前記2本の除塵体は、前記ダストボックスの開口縁近傍に、長手方向が略平行で且つ、前記櫛歯が向かい合って形成されていると共に、前記櫛歯の先端は、前記ダストボックスの下方側に向かって延出しているものであって、塵埃の排出時に、前記回転清掃体と櫛歯の先端側から当接する一方の除塵体が、前記ダストボックスの上方に可動可能であって、該可動によって、塵埃の排出路が形成されることを特徴としている。
【0010】
請求項1の発明では、櫛歯を備えた2本の除塵体を回転清掃体に当接させており、回転清掃体が正回転した場合には、一方の除塵体で塵埃を除去することができ、回転清掃体が逆回転した場合には、他方の除塵体で塵埃を除去することができるので、塵埃除去性能を向上させることができる。また、塵埃排出時に、一方の除塵体をダストボックスの上方に可動可能とし、この可動によって、塵埃の排出路が形成される構造としたことから、他方の除塵体は、ダストボックス内の塵埃が上方へ移動するのを防ぎ、下方へ押さえ付けるように機能することとなるので、一方の除塵体の櫛歯に付着している塵埃の塊を剥がすことができ、ダストボックス内の塵埃を容易に外部へ排出することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、他方の除塵体の櫛歯の位置は、一方の除塵体の櫛歯の位置よりもダストボックスの下方側に形成されていることを特徴としている。これにより、他方の除塵体がダストボックス内の塵埃を強く下方へ押さえ付けることができ、一方の除塵体の櫛歯に付着している塵埃の塊を剥がすことができ、ダストボックス内の塵埃を容易に外部へ排出することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、回転清掃体を取り外すことによって、一方の除塵体が上方向に可動可能になることを特徴としている。これにより、回転清掃体と一方の除塵体が同時に可動又は取り外されるのを阻止することができ、ダストボックス内の塵埃が周囲にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、回転清掃体を先に取り外す構造となっているため、ダストボックス内の塵埃が回転清掃体に再付着することを防ぐことができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、一方の除塵体を上方向に可動することによって、回転清掃体が取り外し可能になることを特徴としている。これにより、一方の除塵体と回転清掃体が同時に可動又は取り外されるのを阻止することができ、ダストボックス内の塵埃が周囲にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、一方の除塵体を上方向に可動させる際に、回転清掃体は取り外されていないため、ダストボックス内の塵埃が周囲に飛散することを防ぐことができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、一方の除塵体を上方向に可動することによって、他方の除塵体が上方向に可動可能になることを特徴としている。これにより、一方の除塵体と他方の除塵体が同時に上方向に可動するのを阻止することができ、ダストボックス内の塵埃が周囲にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、一方の除塵体を上方向に可動させる際に、他方の除塵体は確実に固定されているため、一方の除塵体の櫛歯に付着している塵埃の塊を確実に剥がすことができる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれかの発明において、除塵体は、ダストボックスに対して回動可能であることを特徴としている。これにより、ダストボックスの開口部を拡げることができ、ダストボックス内の塵埃を容易に排出することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、塵埃除去性能を向上させることができる。また、請求項1及び2の発明は、ダストボックス内の塵埃を容易に外部へ排出することができる。また、請求項3及び4の発明は、回転清掃体と一方の除塵体が同時に可動又は取り外されるのを阻止することができ、ダストボックス内の塵埃が周囲にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。
【0017】
請求項5の発明は、一方の除塵体と他方の除塵体が同時に上方向に可動するのを阻止することができ、ダストボックス内の塵埃が周囲にこぼれ落ちるのを防ぐことができる。また、請求項6の発明は、ダストボックスの開口部を拡げることができ、ダストボックス内の塵埃を容易に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)フィルター清掃装置の斜視図(b)(a)のA-A断面図
【
図3】(a)~(d)フィルター清掃装置の第1実施形態であって、塵埃を排出する手順を示す断面図
【
図4】(a)~(d)フィルター清掃装置の第2実施形態であって、塵埃を排出する手順を示す断面図
【
図5】(a)~(d)フィルター清掃装置の第3実施形態であって、塵埃を排出する手順を示す断面図
【
図6】(a)フィルター清掃装置の第4実施形態を示す側面図(b)フィルター清掃装置の第5実施形態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1(a)は、本発明に係るフィルター清掃装置の斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)のA-A断面図である。また、
図2(a)は、除塵体の斜視図であり、
図2(b)は、除塵体の正面図である。これらの図を用いて本発明に係るフィルター清掃装置の概要について以下に説明する。
【0020】
フィルター清掃装置10は、塵埃を捕捉するフィルター体1と、このフィルター体1に当接すると共に、フィルター体1に付着した塵埃を除去する回転清掃体2と、この回転清掃体2に当接すると共に、フィルター体1から回転清掃体2に移送された塵埃を除去する複数の櫛歯を備えた2本の除塵体20a、20bと、この除塵体20a、20bと連結し、除塵体20a、20bが除去した塵埃を収容するダストボックス3とを有しており、回転清掃体2と、ダストボックス3と、除塵体20a、20bは、清掃装置本体10aを構成している。回転清掃体2は、棒状のシャフト2aと、このシャフト2aの外周に形成された複数の毛材8、8・・・を有するブラシ2bとで構成されている。
【0021】
ダストボックス3は、上部に開口3aを有しており、この開口3aの上方近傍に回転清掃体2が着脱可能に配置されている。また、2本の除塵体20a、20bは、ダストボックスの開口3a近傍に、長手方向が略平行で且つ、櫛歯が向かい合って形成されていると共に、櫛歯の先端は、ダストボックス3の下方側に向かって延出している。
【0022】
清掃装置本体10aには、フィルター体1の左右の長手方向に沿って配設されたラック4、4に噛み合いつつ回転するギアA5と、ギアA5と歯合してギアA5の回転により回転するギアB6と、図示しないモータによって回転するギアC7とが設置されており、ギアC7の回転がギアA5を回転させる構成としている。また、ギアB6は、回転清掃体2のシャフト2aと連結しており、ギアB6が回転すると回転清掃体2が回転する構成としている。
【0023】
これにより、ギアA5の回転と一体となって清掃装置本体10aがフィルター体1の長手方向に沿って移動する。そして、ギアA5と歯合するギアB6も回転し、連結している回転清掃体2が回転することとなる。尚、フィルター体1は、図示しないフィルターと、フィルターを複数に区画する格子枠とを備えている。また、図示していないモータにステッピングモータを使用して逆回転させることによって、
図1(b)の矢印で示す清掃装置本体10aの移動方向とは反対方向に移動させることができ、その場合は、回転清掃体2の回転方向も逆回転となる。これにより、清掃装置本体10aをフィルター体1の長手方向に往復動させることでフィルターに付着している塵埃の除去を確実に行うことができる。
【0024】
除塵体20a、20bは、ダストボックス3の開口の対向する位置に取り付けられており、除塵体20aの櫛歯の位置の方が除塵体20bの櫛歯の位置よりも高い位置(フィルター体1に近い位置)に取り付けられている。また、除塵体20aのフィルター体1の長手方向に対する傾斜角度は、除塵体20bの傾斜角度よりも大きくなっている。
図1(b)の矢印で示す回転清掃体2の回転方向では、除塵体20aが、主に、回転清掃体2に移送された塵埃9の除去に貢献している。一方、回転清掃体2の回転方向を逆にした場合には、除塵体20bが塵埃9の除去に貢献することとなる。そして、除塵片21、22の根元に堆積した塵埃9は、自重によってダストボックスの底部方向に落下してダストボックス内は塵埃9で満たされるようになる。
【0025】
除塵体20a、20bは、複数の櫛歯(除塵片21、22)を有する櫛歯形状であって、除塵片21、22の突出方向は、シャフト2aの長手方向と略直交するように形成されている。また、除塵片21、22は、長さの異なる2種類の除塵片が交互に連続して形成されており、隣り合う長さの長い除塵片21、21の間に、長さの短い除塵片22が1つ形成されている。これにより、隣り合う長さの長い除塵片21、21の間に広い谷部23が形成され、長い除塵片21と短い除塵片22との間に狭い谷部24が形成されることとなるので、広い谷部23から狭い谷部24へと毛材8を案内することによって、毛材8に付着している塵埃9の除去を容易に行うことができる。尚、除塵片21、22は、長さの異なる2種類に限定されるものではなく、2種類以上であれば本発明に含まれる。また、隣り合う長さの長い除塵片21、21の間に、長さの短い除塵片22が2つ以上形成されている除塵体も本発明に含まれる。
【0026】
フィルター清掃装置は、除塵体20a、20bを2つ有しており、互いの除塵体20a、20bの長手方向が略平行で且つ向かい合って配置されていると共に、各々の除塵体20a、20bの対向する位置に形成された除塵片21、22は、一方が長さの長い除塵片21である場合は、他方が長さの短い除塵片22となるようにしている。これにより、回転清掃体2の正回転と逆回転を繰り返すことによって、回転清掃体2に付着した塵埃をまんべんなく2つの除塵体20a、20bで除去することができる。
【0027】
また、除塵片21、22の突出方向は、除塵片21、22に当接する位置の毛材8の長手方向と略平行となるように形成されている。これにより、除塵片21、22の先端部に当接した毛材を隣り合う除塵片21、22の間に形成される谷部23、24へと案内することが容易となる。
【0028】
また、長さの短い除塵片22の先端は、長さの長い除塵片21の先端よりも、毛材8の先端側に当接するようにしている。これにより、毛材8の先端側は、長さの短い除塵片22でかき分けて狭い谷部24に案内することによって、毛材8に付着している塵埃の除去を容易に行うことができる。
【0029】
長さの長い除塵片21の長さは、長さの短い除塵片22の長さの1.5倍以上3.0倍以下であることが好ましい。これにより、回転清掃体2を構成するブラシ2bは、長さの長い除塵片21で毛材8の広がりが抑えられ、長さの短い除塵片22との間の狭い谷部24へと案内されるので、毛材8に付着している塵埃の除去を一層容易に行うことができる。
【0030】
また、長さの長い除塵片21は、先端が略円弧形状であると共に、両側辺が略平行となるように形成されている。これにより、毛材を傷つけずに、かき分けることができると共に、毛材の広がりを抑えることができる。
【0031】
一方、長さの短い除塵片22は、先端を略三角形状としている。これにより、谷部24を狭めて毛材を案内することができ、毛材に付着している塵埃の除去を一層容易に行うことができる。
【0032】
同様に、長さの長い除塵片21の側辺と長さの短い除塵片22の側辺との成す角が鋭角となるようにしている。これにより、谷部を狭めて毛材を案内することができ、毛材に付着している塵埃の除去を一層容易に行うことができる。
【0033】
図3(a)~(d)は、本発明に係るフィルター清掃装置の第1実施形態を示す断面図である。尚、フィルター体は省略し描かれていない。これらの図を用いて以下に、第1実施形態のフィルター清掃装置における塵埃排出手順を説明する。
【0034】
第1実施形態のフィルター清掃装置10は、ダストボックス3の上方側の2箇所にダストボックスの開口3aが拡がる方向に回動するヒンジ11a、11bが設けられている。これにより、ダストボックスの開口縁近傍に、長手方向が略平行で且つ、櫛歯が向かい合って形成されている2本の除塵体20a、20bは、ダストボックス3に対して回動可能となっている。尚、除塵体20bの櫛歯の位置は、除塵体20aの櫛歯の位置よりもダストボックス3の下方側に形成されている。
【0035】
回転清掃体2が矢印方向に回転することによって、櫛歯の先端側から当接する除塵体20aが回転清掃体から塵埃を除去するように機能することから、
図3(a)に示すように、ダストボックス3に回収される塵埃9は、除塵体20a側に偏ることとなる。尚、回転清掃体2を逆回転させた場合は、櫛歯の先端側から当接する除塵体20bが回転清掃体2から塵埃9を除去するように機能することから、ダストボックス3に回収される塵埃9は、除塵体20b側に偏ることとなる。したがって、回転清掃体2を正回転させた場合には、一方の除塵体20aで塵埃9を除去することができ、回転清掃体2を逆回転させた場合には、他方の除塵体20bで塵埃9を除去することができるので、塵埃除去性能を向上させることができる。
【0036】
この状態で、
図3(b)において、回転清掃体2を取り外した後、左側の除塵体20aを上方向に回動する場合には、左側の除塵体20aの櫛歯に付着している塵埃9によって、ダストボックス3内の塵埃9の塊は、上方に持ち上げられるが、右側の除塵体20bに塵埃9の塊が当接することで、それ以上、塵埃9の塊は上方に移動できなくなり、左側の除塵体20aから塵埃9の塊が引き剥がされることとなるので、塵埃9の外部への飛散を防ぐことができる。
【0037】
また、
図3(b)において、左側の除塵体20aを上方向に回動した後、回転清掃体2を取り外す場合には、左側の除塵体20aを上方向に回動した段階で、左側の除塵体20aの櫛歯に付着している塵埃によって、ダストボックス3内の塵埃の塊は、上方に持ち上げられるが、回転清掃体2と、右側の除塵体20bに塵埃の塊が当接することで、それ以上、塵埃9の塊は上方に移動できなくなり、左側の除塵体20aから塵埃9の塊が引き剥がされることとなるので、塵埃9の外部への飛散を防ぐことができる。また、回転清掃体2を取り外す前は、ダストボックス3の開口が狭くなっているので、塵埃9の外部への飛散を防ぐことができる。
【0038】
そして、
図3(c)に示すように、右側の除塵体20bを上方向に回動させてダストボックスの開口3aを最大限にした後、
図3(d)に示すように、ダストボックス3を逆さまにして塵埃の排出が完了する。
【0039】
図4(a)~(d)は、本発明に係るフィルター清掃装置の第2実施形態を示す断面図である。尚、フィルター体及び回転清掃体は省略し描かれていない。これらの図を用いて以下に、第2実施形態のフィルター清掃装置における塵埃排出手順を説明する。
【0040】
第2実施形態のフィルター清掃装置40は、ダストボックス33の上方側の2箇所に除塵体30a、30bが着脱可能に係止されている。これにより、ダストボックスの開口縁近傍に、長手方向が略平行で且つ、櫛歯が向かい合って形成されている2本の除塵体30a、30bは、ダストボックス33の上方に可動可能となっている。尚、除塵体30bの櫛歯の位置は、除塵体30aの櫛歯の位置よりもダストボックス33の下方側に形成されている。
【0041】
図示しない回転清掃体が回転することによって、櫛歯の先端側から当接する除塵体30aが回転清掃体から塵埃を除去するように機能することから、
図4(a)に示すように、ダストボックス33に回収される塵埃は、除塵体30a側に偏ることとなる。
【0042】
そして、
図4(b)に示すように、左側の除塵体30aのダストボックス33に対する係止を解除して上方向に可動させた後、
図4(c)に示すように、右側の除塵体30bのダストボックス33に対する係止を解除して上方に可動させ、
図4(d)に示すように、ダストボックス33を逆さまにして塵埃の排出が完了する。尚、除塵体の可動による塵埃への作用は第1実施形態と概ね同様であることから説明は省略する。
【0043】
図5(a)~(d)は、本発明に係るフィルター清掃装置の第3実施形態を示す断面図である。尚、フィルター体及び回転清掃体は省略し描かれていない。これらの図を用いて以下に、第3実施形態のフィルター清掃装置における塵埃排出手順を説明する。
【0044】
第3実施形態のフィルター清掃装置40は、ダストボックス43の上方側の一方の除塵体40aが着脱可能に係止されており、他方の除塵体40bがダストボックスの開口が拡がる方向に回動するヒンジによって、ダストボックス43に対して回動可能となっている。これにより、ダストボックスの開口縁近傍に、長手方向が略平行で且つ、櫛歯が向かい合って形成されている2本の除塵体40a、40bは、ダストボックス43の上方に可動可能となっている。尚、除塵体40bの櫛歯の位置は、除塵体40aの櫛歯の位置よりもダストボックス43の下方側に形成されている。
【0045】
図示しない回転清掃体が回転することによって、櫛歯の先端側から当接する除塵体40aが回転清掃体から塵埃を除去するように機能することから、
図5(a)に示すように、ダストボックス43に回収される塵埃は、除塵体40a側に偏ることとなる。
【0046】
そして、
図5(b)に示すように、左側の除塵体40aのダストボックス43に対する係止を解除して上方向に可動させた後、
図5(c)に示すように、右側の除塵体40bをダストボックス43の開口が拡がる方向に回動させ、
図5(d)に示すように、ダストボックス43を逆さまにして塵埃の排出が完了する。尚、除塵体の可動による塵埃への作用は第1実施形態と概ね同様であることから説明は省略する。
【0047】
図6(a)は、フィルター清掃装置の第4実施形態を示す側面図である。尚、フィルター体は省略し描かれていない。第4実施形態のフィルター清掃装置50は、ダストボックス53の上部とヒンジ12a、12bによって連結しつつ、該ヒンジ12a、12bによって回動自在に支持された2本アーム14a、14bを有しており、この2本のアーム14a、14bの各々に除塵体50a、50bが備えられている。また、一方のアーム14aには、回転清掃体のシャフト2aを軸支する軸受16が形成されている。そして、回転清掃体2を取り外すことによって、一方の除塵体50aが上方向に回動可能(可動可能)になり、一方の除塵体50aを上方向に回動(可動)することによって、他方の除塵体50bが上方向に回動可能(可動可能)になる構成としている。
【0048】
第4実施形態のフィルター清掃装置50は、回転清掃体2を先に取り外すことによって、一方の除塵体50aを回動させた際に、塵埃が回転清掃体2に再付着するのを防ぐことができる。また、回転清掃体2の取り外しの際に、回転清掃体2の下方に付着している塵埃の塊を両方の除塵体50a、50bによってダストボックス53内へ引き戻すことで塵埃の飛散を防止することができる。
【0049】
図6(b)は、フィルター清掃装置の第5実施形態を示す側面図である。尚、フィルター体は省略し描かれていない。第5実施形態のフィルター清掃装置60は、ダストボックス63の上部とヒンジ13a、13bによって連結しつつ、該ヒンジ13a、13bによって回動自在に支持された2本アーム15a、15bを有しており、この2本のアーム15a、15bの各々に除塵体60a、60bが備えられている。また、2本のアーム15a、15bの各々には、回転清掃体のシャフト2aを軸支する軸受17a、17bが形成されている。そして、一方の除塵体60aを上方向に回動(可動)することによって、回転清掃体2が取り外し可能になり、一方の除塵体60aを上方向に回動(可動)することによって、他方の除塵体60bが上方向に回動可能(可動可能)になる構成としている。
【0050】
第5実施形態のフィルター清掃装置60は、一方の除塵体60aを上方向に回動(可動)させてもダストボックスの開口(塵埃の排出路)を回転清掃体2で塞いでいるため、塵埃をより飛散させない構造となっている。また、回転清掃体2を先に取り外せない構造となっているので、回転清掃体が外れて塵埃の排出路が拡大し、塵埃が飛散するのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るフィルター清掃装置は、空気調和機や空気清浄機に搭載されて、フィルターに付着した塵埃を除去するために利用される。
【符号の説明】
【0052】
1 フィルター体
2 回転清掃体
2a シャフト
2b ブラシ
3、33、43、53、63 ダストボックス
3a 開口
4 ラック
5 ギアA
6 ギアB
7 ギアC
8 毛材
9 塵埃
10、30、40、50、60 フィルター清掃装置
10a 清掃装置本体
11a、11b、12a、12b、13a、13b ヒンジ
14a、14b、15a、15b アーム
16、17a、17b 軸受
20a、20b、30a、30b、40a、40b、50a、50b、60a、60b 除塵体
21 長い除塵片
22 短い除塵片
23 広い谷部
24 狭い谷部