(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】シール装置及び袋状フィルム体
(51)【国際特許分類】
A47K 11/04 20060101AFI20241112BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20241112BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20241112BHJP
B65F 1/06 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A47K11/04
B65B51/10 Z
B65F1/00 R
B65F1/06 Z
(21)【出願番号】P 2021113133
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391046610
【氏名又は名称】日本セイフティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 司
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-175508(JP,A)
【文献】特開昭61-90902(JP,A)
【文献】登録実用新案第3161376(JP,U)
【文献】登録実用新案第3173148(JP,U)
【文献】特開2001-299638(JP,A)
【文献】実開昭54-68482(JP,U)
【文献】特開平11-77855(JP,A)
【文献】特開平11-343003(JP,A)
【文献】特開2010-13283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00-11/12
B65B 51/00-51/32
B65F 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状フィルム体の開口を封止するシール装置であって、
前記袋状フィルム体が挿通される開口部と、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における第一部分が係止される係止部と、前記係止部の近傍に設けられたヒータ部と、を有するフレーム部材と、
前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分に対向する位置にある第二部分が取り付けられる取付部と、前記取付部の近傍に設けられたヒータ受け部と、を有する移動部材と、
前記フレーム部材に対してスライド自在に挿設され、前記移動部材に連結されたハンドル部材と、を備え、
前記移動部材が前記開口部内を前記係止部に向かって移動可能に配設されており、
前記ハンドル部材によって前記移動部材を前記係止部近傍まで移動させた状態において、前記ヒータ部と前記ヒータ受け部とによって挟持された前記袋状フィルム体を加熱してシールするように構成されて
おり、
前記移動部材の前記係止部方向への移動に連動して、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分と前記第二部分との間にある第三部分及び第四部分を、前記開口部の中心方向に押し込む左右一対の押込部材を備える、シール装置。
【請求項2】
袋状フィルム体の開口を封止するシール装置であって、
前記袋状フィルム体が挿通される開口部と、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における第一部分が係止される係止部と、前記係止部の近傍に設けられたヒータ部と、を有するフレーム部材と、
前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分に対向する位置にある第二部分が取り付けられる取付部と、前記取付部の近傍に設けられたヒータ受け部と、を有する移動部材と、
前記フレーム部材に対してスライド自在に挿設され、前記移動部材に連結されたハンドル部材と、を備え、
前記移動部材が前記開口部内を前記係止部に向かって移動可能に配設されており、
前記ハンドル部材によって前記移動部材を前記係止部近傍まで移動させた状態において、前記ヒータ部と前記ヒータ受け部とによって挟持された前記袋状フィルム体を加熱してシールするように構成されており、
前記ハンドル部材が、平行に配置された左右一対の棒状部と、前記左右一対の棒状部の端部間に跨設された把持部と、を備え、
前記左右一対の棒状部が、前記フレーム部材の前記開口部の左右に設けられた一対の挿通部に摺動自在に挿通されており、
前記左右一対の棒状部のそれぞれが、前記把持部に接続しているロッド部と、前記移動部材に連結されている基端部と、を有し、
前記ロッド部が前記基端部に対して傾動可能に軸着されており、
前記ロッド部を前記挿通部から引き出した状態で前記基端部に対して所定の位置まで傾動させると、前記ヒータ部が加熱状態になるように構成されている
、シール装置。
【請求項3】
袋状フィルム体の開口を封止するシール装置であって、
前記袋状フィルム体が挿通される開口部と、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における第一部分が係止される係止部と、前記係止部の近傍に設けられたヒータ部と、を有するフレーム部材と、
前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分に対向する位置にある第二部分が取り付けられる取付部と、前記取付部の近傍に設けられたヒータ受け部と、を有する移動部材と、
前記フレーム部材に対してスライド自在に挿設され、前記移動部材に連結されたハンドル部材と、を備え、
前記移動部材が前記開口部内を前記係止部に向かって移動可能に配設されており、
前記ハンドル部材によって前記移動部材を前記係止部近傍まで移動させた状態において、前記ヒータ部と前記ヒータ受け部とによって挟持された前記袋状フィルム体を加熱してシールするように構成されており、
前記袋状フィルム体に当接する当接面を備える空気抜き部材が前記移動部材に吊設されている
、シール装置。
【請求項4】
前記当接面が、前記係止部方向に張り出した凸面形状を有する、請求項
3に記載のシール装置。
【請求項5】
前記空気抜き部材が、前記移動部材の前記係止部方向への移動を制限しないように、前記移動部材に対して揺動可能に吊設されている、請求項
3又は4に記載のシール装置。
【請求項6】
袋状フィルム体の開口を封止するシール装置であって、
前記袋状フィルム体が挿通される開口部と、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における第一部分が係止される係止部と、前記係止部の近傍に設けられたヒータ部と、を有するフレーム部材と、
前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分に対向する位置にある第二部分が取り付けられる取付部と、前記取付部の近傍に設けられたヒータ受け部と、を有する移動部材と、
前記フレーム部材に対してスライド自在に挿設され、前記移動部材に連結されたハンドル部材と、を備え、
前記移動部材が前記開口部内を前記係止部に向かって移動可能に配設されており、
前記ハンドル部材によって前記移動部材を前記係止部近傍まで移動させた状態において、前記ヒータ部と前記ヒータ受け部とによって挟持された前記袋状フィルム体を加熱してシールするように構成されており、
前記ヒータ受け部の両端部の下側に、前記ヒータ受け部の両端部から中央部に向かって前記袋状フィルム体を誘導するヒータ受け部ガイド板が設けられており、及び/又は、前記ヒータ部の両端部の下側に、前記ヒータ部の両端部から中央部に向かって前記袋状フィルム体を誘導するヒータ部ガイド板が設けられている
、シール装置。
【請求項7】
複数の短冊状のプレート部を複数の曲折自在部によってそれぞれ連結してなる平面視多角形環状のプレート部材が、開口の端縁部に周設されている、袋状フィルム体であって、
前記プレート部材が、順に第1プレート部、第2プレート部、第3プレート部、第4プレート部、第5プレート部及び第6プレート部の6つのプレート部を有し、6つの前記曲折自在部によって連結されており、
6つの前記曲折自在部を、前記第1プレート部と前記第2プレート部との間の曲折自在部から順に第1曲折自在部、第2曲折自在部、第3曲折自在部、第4曲折自在部、第5曲折自在部及び第6曲折自在部とし、
前記第1曲折自在部、前記第3曲折自在部、第4曲折自在部及び前記第6曲折自在部が、前記開口の外側が山になって折れ易く形成されており、
前記第2曲折自在部及び前記第5曲折自在部が、前記開口の内側が山になって折れ易く形成されており、
前記第2プレート部及び前記第5プレート部が、それぞれの長手方向中央付近に、前記開口の外側が山になって折れ易く形成されている補助曲折自在部を備える
、袋状フィルム体。
【請求項8】
請求項1
、2、3及び6のいずれか1項に記載のシール装置に取り付けられる場合に、
前記第1プレート部が前記第一部分として前記移動部材に取り付けられ、
前記第4プレート部が前記第二部分として前記係止部に取り付けられる、請求項
7に記載の袋状フィルム体。
【請求項9】
前記プレート部材が紙製であり、
前記曲折自在部がスジ入れ加工によって形成されている、請求項
7又は8に記載の袋状フィルム体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製フィルムをシールするシール装置及び、当該シール装置によってシールされる袋状フィルム体に関する。
【背景技術】
【0002】
人の排泄物や使用済みオムツ、生ゴミ等の廃棄物を処理するための装置として、廃棄物をチューブ状の樹脂製フィルムに収容し、ヒートシールにより封止するシール装置が知られている。例えば特許文献1には、チューブ状の樹脂製フィルムをモータによって駆動される送りローラで送り出し、排泄物等が収容された状態で、当該フィルムの開口をヒートシールにより封止するフィルムシール装置を備えたトイレ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているトイレ装置は、廃棄物を収容する樹脂製フィルムとしてチューブ状のものを使用するものであり、フィルムの封止と切断を繰り返すことでチューブ状の樹脂製フィルムを連続的に供給するものとなっている。このように廃棄物を収容するフィルムを連続的に供給するためには、フィルムを送り出すという動作を繰り返すことがシール装置に要求されるが、このフィルムの送り出し動作のためには、ローラやそのローラを駆動するためのモータ、モータを制御する制御部等がシール装置に備えられていることが必要となる。しかしながら、このような駆動系や制御系を備えるシール装置は、どうしても構造が複雑になり、修理やメンテナンスが面倒なものになるという問題があった。また、構造が複雑になることで装置の小型化や軽量化が阻まれる問題があり、さらには構成部材が多くなることによって製造コストが嵩むという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながらも、廃棄物等を収容した袋状フィルム体をシールすることができるシール装置を提供することを目的とする。また、そのシール装置によってシールされるのに適した構造を有する袋状フィルム体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第一に本発明は、袋状フィルム体の開口を封止するシール装置であって、前記袋状フィルム体が挿通される開口部と、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における第一部分が係止される係止部と、前記係止部の近傍に設けられたヒータ部と、を有するフレーム部材と、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分に対向する位置にある第二部分が取り付けられる取付部と、前記取付部の近傍に設けられたヒータ受け部と、を有する移動部材と、前記フレーム部材に対してスライド自在に挿設され、前記移動部材に連結されたハンドル部材と、を備え、前記移動部材が前記開口部内を前記係止部に向かって移動可能に配設されており、前記ハンドル部材によって前記移動部材を前記係止部近傍まで移動させた状態において、前記ヒータ部と前記ヒータ受け部とによって挟持された前記袋状フィルム体を加熱してシールするように構成されている、シール装置を提供する(発明1)。
【0007】
かかる発明(発明1)によれば、袋状フィルム体をフレーム部材の開口部に挿通させた状態で、袋状フィルム体の開口の端縁部の一部をフレーム部材の係止部に係止させるとともに、それに対向する位置にある袋状フィルム体の別の一部を移動部材の取付部に取り付け、取り付けた移動部材をハンドル部材によって係止部に向かって移動させることができる。移動部材を係止部に向かって移動させることにより、袋状フィルム体の開口の端縁部が折り畳まれながら収束していき、フレーム部材において係止部の近傍に設けられたヒータ部と、移動部材において取付部の近傍に設けられたヒータ受け部との間に折り畳まれた袋状フィルム体が挟持され、この状態で袋状フィルム体を加熱することでシールすることができる。このようなシール装置であれば、修理やメンテナンスが容易な簡易な構造でありながらも、廃棄物等を収容した袋状フィルム体を確実にシールすることができる。
【0008】
上記発明(発明1)においては、前記移動部材の前記係止部方向への移動に連動して、前記袋状フィルム体の前記開口の端縁部における前記第一部分と前記第二部分との間にある第三部分及び第四部分を、前記開口部の中心方向に押し込む左右一対の押込部材を備えていてもよい(発明2)。
【0009】
かかる発明(発明2)によれば、移動部材を係止部に向かって移動させていく際に、袋状フィルム体の開口の端縁部の側部を左右から押込部材が開口部の中心方向に押し込んでくれるので、袋状フィルム体の開口近傍が確実に折り畳まれながら収束していき、外側にはみ出ることなく折り畳まれた袋状フィルム体がヒータ部とヒータ受け部との間に挟持される。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記ハンドル部材が、平行に配置された左右一対の棒状部と、前記左右一対の棒状部の端部間に跨設された把持部と、を備え、前記左右一対の棒状部が、前記フレーム部材の前記開口部の左右に設けられた一対の挿通部に摺動自在に挿通されていてもよい(発明3)。
【0011】
かかる発明(発明3)によれば、ハンドル部材がフレーム部材の開口部と干渉することがなく、また移動部材を左右両側から棒状部に連結することができるので、ハンドル部材の操作によってスムースに移動部材を移動させることができる。
【0012】
上記発明(発明3)においては、前記左右一対の棒状部のそれぞれが、前記把持部に接続しているロッド部と、前記移動部材に連結されている基端部と、を有し、前記ロッド部が前記基端部に対して傾動可能に軸着されており、前記ロッド部を前記挿通部から引き出した状態で前記基端部に対して所定の位置まで傾動させると、前記ヒータ部が加熱状態になるように構成されていてもよい(発明4)。
【0013】
かかる発明(発明4)によれば、ハンドル部材によって移動部材を移動させ、折り畳まれた袋状フィルム体がヒータ部とヒータ受け部との間に挟持された状態にした後、ロッド部を基端部に対して傾動させて初めてヒータ部による加熱が開始されるので、シール作業時の安全性を確保することができる。
【0014】
上記発明(発明1-4)においては、前記袋状フィルム体に当接する当接面を備える空気抜き部材が前記移動部材に吊設されていてもよい(発明5)。
【0015】
かかる発明(発明5)によれば、移動部材の移動とともに、当接面が袋状フィルム体に押し当てられた状態で空気抜き部材が移動するので、袋状フィルム体内の空気が開口から押し出されていき、開口をシールする際に袋状フィルム体が空気で膨らんでしまうことを防ぐことができる。
【0016】
上記発明(発明5)においては、前記当接面が、前記係止部方向に張り出した凸面形状を有していてもよい(発明6)。
【0017】
かかる発明(発明6)によれば、より効率的に袋状フィルム体内の空気を開口から押し出すことができる。
【0018】
上記発明(発明5,6)においては、前記空気抜き部材が、前記移動部材の前記係止部方向への移動を制限しないように、前記移動部材に対して揺動可能に吊設されていてもよい(発明7)。
【0019】
かかる発明(発明7)によれば、移動部材が係止部方向に移動していく途中で、袋状フィルム体内に収容された廃棄物等に空気抜き部材が当たったとしても、空気抜き部材が移動部材に対して揺動可能になっているため、移動部材がさらに係止部方向に進むことが制限されることはない。すなわち、移動部材が、袋状フィルム体内に収容された廃棄物等に空気抜き部材が干渉することによって、途中で移動できなくなることが防止される。
【0020】
上記発明(発明1-7)においては、前記ヒータ受け部の両端部の下側に、前記ヒータ受け部の両端部から中央部に向かって前記袋状フィルム体を誘導するヒータ受け部ガイド板が設けられており、及び/又は、前記ヒータ部の両端部の下側に、前記ヒータ部の両端部から中央部に向かって前記袋状フィルム体を誘導するヒータ部ガイド板が設けられていてもよい(発明8)。
【0021】
かかる発明(発明8)によれば、移動部材の移動によって折り畳まれていく袋状フィルム体の開口の端縁部が、ヒータ受け部ガイド板及び/又はヒータ部ガイド板によってヒータ受け部及びヒータ部の溶着幅よりも外側にはみ出していくことが防止される。
【0022】
第二に本発明は、複数の短冊状のプレート部を複数の曲折自在部によってそれぞれ連結してなる平面視多角形環状のプレート部材が、開口の端縁部に周設されている、袋状フィルム体を提供する(発明9)。
【0023】
かかる発明(発明9)によれば、袋状フィルム体の開口の端縁部にプレート部材を取り付けることにより、プレート部材に外部から移動させる力や押し込む力を加えることにより、容易かつスムースに袋状フィルム体の開口の端縁部を折り畳むことができる。
【0024】
上記発明(発明9)においては、前記プレート部材が、順に第1プレート部、第2プレート部、第3プレート部、第4プレート部、第5プレート部及び第6プレート部の6つのプレート部を有し、6つの前記曲折自在部によって連結されていてもよい(発明10)。
【0025】
上記発明(発明10)においては、6つの前記曲折自在部を、前記第1プレート部と前記第2プレート部との間の曲折自在部から順に第1曲折自在部、第2曲折自在部、第3曲折自在部、第4曲折自在部、第5曲折自在部及び第6曲折自在部とし、前記第1曲折自在部、前記第3曲折自在部、第4曲折自在部及び前記第6曲折自在部が、前記開口の外側が山になって折れ易く形成されており、前記第2曲折自在部及び前記第5曲折自在部が、前記開口の内側が山になって折れ易く形成されていてもよい(発明11)。
【0026】
かかる発明(発明11)によれば、第1プレート部と第4プレート部との間に、第1プレート部側から順に第2プレート部、第3プレート部、第6プレート部、第5プレート部が重なるように、プレート部材を折り畳むことができるので、プレート部材に外部から移動させる力や押し込む力を加えることにより、容易かつスムースに袋状フィルム体の開口の端縁部を折り畳むことができる。
【0027】
上記発明(発明11)においては、前記第2プレート部及び前記第5プレート部が、それぞれの長手方向中央付近に、前記開口の外側が山になって折れ易く形成されている補助曲折自在部を備えていてもよい(発明12)。
【0028】
かかる発明(発明12)によれば、プレート部材を折り畳む過程で、第2プレート部及び第5プレート部が中央付近で開口外側が山になるように折れ曲がることにより、第1プレート部と第4プレート部との間に、第1プレート部側から順に第2プレート部、第3プレート部、第6プレート部、第5プレート部が重なるように、よりスムースにプレート部材を折り畳むことができる。
【0029】
上記発明(発明10-12)においては、袋状フィルム体が、発明1-8のいずれかのシール装置に取り付けられる場合に、前記第1プレート部が前記第一部分として前記移動部材に取り付けられ、前記第4プレート部が前記第二部分として前記係止部に取り付けられることが好ましい(発明13)。
【0030】
上記発明(発明9-13)においては、前記プレート部材が紙製であり、前記曲折自在部がスジ入れ加工によって形成されていることが好ましい(発明14)。
【発明の効果】
【0031】
本発明のシール装置によれば、簡易な構造でありながらも、廃棄物を収容した袋状フィルム体をシールすることができる。また、本発明によれば、そのシール装置によってシールされるのに適した構造を有する袋体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシール装置を備えたトイレ装置の構造を示す説明図である。
【
図2】シール装置によってシールされる袋状フィルム体の構造を示す説明図である。
【
図4】シール装置のハンドル部材及び移動部材の構造を示す説明図である。
【
図5】シール装置のハンドル部材を操作してヒートシールする状態を示す説明図である。
【
図6】シール装置によって袋状フィルム体をシールする流れを模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るシール装置10を備えたトイレ装置1の構成を示す説明図であり、(a)は組み立てられたトイレ装置1の外観を示し、(b)は分解された状態を示す。なお、本発明は、以下に説明する実施形態にのみ限定されるものではなく、実施形態はあくまでも本発明の技術的特徴を説明するために記載された例示にすぎない。また、各図面に示す形状や寸法はあくまでも本発明の内容の理解を容易にするために示したものであり、実際の形状や寸法を正しく反映したものではない。
【0034】
本発明における上下前後左右の方向定義は、トイレ装置1及びシール装置10の使用時の状態を前提とし、具体的には次のように行うものとする。まず、トイレ装置1において便座40が配置される側を「上」、台座30が配置される側を「下」と呼ぶ。また、トイレ装置1を構成するシール装置10において、後述するハンドル部材13の把持部130が配置される側を「前」、その反対側を「後」と呼ぶ。さらに、シール装置10を前からみた状態(把持部130に向かった状態)において、右側方向を「右」、左側方向を「左」、と呼ぶ。
図1にはこの方向定義に従って上下前後左右を示す矢印が表示されている。
【0035】
<トイレ装置>
本実施形態のシール装置10は、
図1に示すように、台座30及び便座40とともにトイレ装置1を構成する構成要素の一つとなっている。トイレ装置1においては、シール装置10に取り付けた袋状フィルム体20に人の排泄物が収容され、シール装置10が袋状フィルム体20の開口をヒートシールするものとなっている。トイレ装置1は、シール装置10、台座30及び便座40が容易に分解・組立可能に構成されており、病院や介護現場、宿泊施設等の室内のベッド脇に置かれて使用することができ、あるいは例えば災害時やイベント開催時等において、簡易的に設置されるトイレとして使用することができるようになっている。
【0036】
台座30は、上部及び底部が解放された直方体形状を有し、6枚の板状部材を連結して折り畳み可能に形成されている。台座30の上部にはシール装置10が載置され、台座30の上端縁部にシール装置10が着脱自在に固定される。また、台座30上に載置されたシール装置10の上部には、トイレ装置1の使用者が着座する便座40が取り付けられている。
【0037】
<袋状フィルム体>
図2はシール装置10によってシールされる袋状フィルム体20の構造を示す説明図である。本実施形態のシール装置10に取り付けて使用される袋状フィルム体20は、樹脂製の袋本体21の開口210の端縁部211に、複数の短冊状のプレート部を複数の曲折自在部によってそれぞれ連結してなる平面視多角形環状のプレート部材22が周設されているものである。具体的には、プレート部材22が、
図2において時計回りに順に第1プレート部A1、第2プレート部A2、第3プレート部A3、第4プレート部A4、第5プレート部A5及び第6プレート部A6の6つのプレート部を有し、6つの曲折自在部(B1、B2、B3、B4、B5、B6)によって連結されている。6つの曲折自在部は、第1プレート部A1と第2プレート部A2との間の曲折自在部から順に第1曲折自在部B1、第2曲折自在部B2、第3曲折自在部B3、第4曲折自在部B4、第5曲折自在部B5及び第6曲折自在部B6となっている。
【0038】
袋本体21を構成する材料は、後述するシール装置10のヒータ部114によってヒートシール可能である限り、特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性樹脂、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の低融点で熱加工性の高い熱可塑性樹脂が挙げられる。袋本体21へのプレート部材22の取り付けは、公知の種々の方法を用いることができ、例えば接着剤によって接着してもよいし、ステープラー等の固着具を用いて取り付けてもよいし、袋本体21の開口210の端縁部211を折り返してループ状に形成し、プレート部材22を挿通させてもよい。
【0039】
プレート部材22を構成する材料は、紙、樹脂、金属、木材、石材、ガラス、繊維等、少なくとも常温において、外部からある程度の力が加えられた場合においても形状が維持される材料で形成されている限り、特に限定されるものではないが、袋状フィルム体20が排泄物等の廃棄物を収容して廃棄されるものであることを考慮すると、紙製又は樹脂製であることが好ましく、スジ入れ加工によって複数の曲折自在部を容易に形成できる紙製であることが特に好ましい。
【0040】
本実施形態において、プレート部材22は紙製であり、一本の長尺短冊状の厚紙の両端部を連結することにより平面視多角形環状に形成されている。また、プレート部材22の第1曲折自在部B1、第3曲折自在部B3、第4曲折自在部B4及び第6曲折自在部B6は、開口210の外側方向が山になって折れ易いようにスジ入れ加工で形成されており、第2曲折自在部B2及び第5曲折自在部B5は、開口210の内側方向が山になって折れ易いようにスジ入れ加工で形成されている。さらに、第2プレート部A2には、長手方向中央付近に、開口210の外側方向が山になって折れ易いように、スジ入れ加工で第2プレート補助曲折自在部C2が形成されており、第5プレート部A5には、長手方向中央付近に、開口210の外側方向が山になって折れ易いように、スジ入れ加工で第5プレート補助曲折自在部C5が形成されている。
【0041】
本実施形態における袋状フィルム体20は、袋状フィルム体20の開口210の端縁部211にプレート部材22を取り付けることにより、プレート部材22に外部から移動させる力や押し込む力を加えることにより、容易かつスムースに袋状フィルム体20の開口210の端縁部211を折り畳むことができる。
【0042】
<シール装置>
図3はシール装置10の全体構造を示す説明図であり、(a)は上側(表側)からシール装置10を見た斜視図であり、(b)は下側(裏側)からシール装置10を見た斜視図である。シール装置10は、ビニル袋等の袋状のフィルム体の開口を封止するシール装置であり、フレーム部材11と、移動部材12と、ハンドル部材13と、左右一対の押込部材14とを備える。なお、
図3(b)においては、構造を把握しやすいように、シール装置10からハンドル部材13を外した状態が示されている。
【0043】
フレーム部材11は、略矩形状の外形を有し、袋状フィルム体20が挿通される開口部111が中央部に形成された平板形状の枠底110と、枠底110の周縁部に立設された側壁部112とを備える。開口部111は、シール装置10の上部に取り付けられる便座40に対応する形状・大きさとなっており、本実施形態においては平面視で略樽形の多角形状に形成されている。開口部111の形状や大きさは、上側から排泄物等が投入可能に形成されている限り、特に限定されるものではなく、例えば平面視矩形状であってもよいし、円形状、楕円形状等であってもよい。
【0044】
開口部111の前側端部には、袋状フィルム体20の第1プレート部A1が(袋状フィルム体20の開口211の端縁部212における第一部分として)係止される、2つの挟持部材113から構成された係止部が設けられている。2つの挟持部材113は、袋状フィルム体20の第1プレート部A1の両端部をそれぞれが挟持可能なように、間隔を空けてフレーム部材11の前方側壁部112aに取り付けられている。挟持部材113は2枚の板状部1131、1132間に係止溝1133が形成された断面U字状の部材であり、係止溝1133の幅は袋状フィルム体20の第1プレート部A1の厚みに略等しくなっている。このような構造を有することで、係止溝1133に第1プレート部A1を挿し込むことによって、袋状フィルム体20の第1プレート部A1が挟持部材113(係止部)に係止される。
【0045】
挟持部材113(係止部)の近傍、具体的にはフレーム部材11の前方側壁部112aの、挟持部材113が取り付けられた位置の下側にはヒータ部114が設けられている。本実施形態におけるヒータ部114は、線状のヒータ線(不図示)が組み込まれた加熱面(不図示)を開口部111に向かって備えている。当該加熱面と、後述する移動部材12のヒータ受け部121との間に袋状フィルム体20が挟み込まれた状態で袋状フィルム体20をヒータ部114によって加熱し、加熱された部分が熱溶着することを利用して袋状フィルム体20がシールされる。
【0046】
フレーム部材11の開口部111の左右には、
図3(b)に示すように、一対の挿通部115が設けられている。挿通部115は、開口部111に向いた面が開放された断面コ字状に形成されており、後述するハンドル部材13の棒状部材131が摺動自在に挿通される。(
図3(b)はハンドル部材13を外した状態を示している。)挿通部115は、ハンドル部材13の棒状部材131を摺動自在に挿通可能であり、かつ挿通された棒状部材131がフレーム部材11から脱落しなければ、その形状は特に限定されるものではなく、例えば筒状に形成されていてもよいし、棒状部材131の一部分が勘合する溝状のレール部材をフレーム部材に取り付けることによって形成されていてもよい。
【0047】
移動部材12は、フレーム部材11の開口部111内を、2つの挟持部材113から構成された係止部に向かって、すなわちフレーム部材11の前方側壁部112aに向かって移動可能に配設されている。移動部材12は、後述するハンドル部材13を操作することによって、フレーム部材11の開口部111内を移動させることができる。
【0048】
図4に示すように、移動部材12の上部には、袋状フィルム体20の第4プレート部A4が(袋状フィルム体20の開口210の端縁部211における第一部分に対向する位置にある第二部分として)取り付けられる、2つのクリップ部材120から構成された取付部が設けられている。2つのクリップ部材120は、袋状フィルム体20の第4プレート部A4の両端部をそれぞれが挟持可能なように、間隔を空けて移動部材12の上部に取り付けられている。クリップ部材120は、可動プレート部1202をブロック状のベース部1201にスプリング蝶番を用いて取り付けてなる部材であり、可動プレート部1202はスプリング蝶番の付勢力によりベース部1201に押しつけられた状態になっている。このような構造を有することで、ベース部1201と可動プレート部1202との間に第4プレート部A4を挿し込むことによって、袋状フィルム体20の第4プレート部A4がクリップ部材120(取付部)に取り付けられる。また、シールされた後の袋状フィルム体20を引っ張ると、可動プレート部1202がベース部1201から離れる方向に動き、第4プレート部A4がベース部1201と可動プレート部1202との間から外れるため、スムースに袋状フィルム体20を移動部材12から取り外すことができる。
【0049】
移動部材12において、クリップ部材120(取付部)の近傍、具体的には、クリップ部材120が取り付けられた位置の下側で、かつフレーム部材11に設けられたヒータ部114に対向する位置にはヒータ受け部121が設けられている。ヒータ受け部121はヒータ部114の長さに見合う長さを有しており、移動部材12が開口部210内をフレーム部材11の前方側壁部112aに向かって(つまり、2つの挟持部材113から構成された係止部に向かって)移動していくと、移動部材12に設けられたヒータ受け部121がフレーム部材11に設けられたヒータ部114の加熱面に当接する。
【0050】
移動部材12の底部122には、シール装置10に取り付けられている袋状フィルム体20に当接する当接面1231を備える空気抜き部材123が吊設されている。本実施形態における空気抜き部材123は、矩形状の平板部材1232と、当接面1231を形成するための半円筒形状の当接部材1233とを備え、平板部材1232の2つの面のうち、フレーム部材11に設けられた係止部(挟持部材113)方向にある面(前面)に、当接部材1233が配置されている。このような構造を有することで、空気抜き部材1231の当接面1231は、フレーム部材11に設けられた係止部(挟持部材113)方向に張り出した凸面形状を有するようになっている。当接部材1233の形状は、少なくとも一方向に張り出した凸面形状を有するものである限り、特に限定されるものではなく、例えば三角筒形状や四角筒形状であってもよい。
【0051】
このような空気抜き部材123が吊設されていることにより、移動部材12の移動とともに、当接面1231が袋状フィルム体20に押し当てられた状態で空気抜き部材123が移動するので、袋状フィルム体20内の空気が開口210から押し出されていき、開口210をシールする際に袋状フィルム体20が空気で膨らんでしまうことを防ぐことができる。特に当接面1231が、係止部(挟持部材113)方向に張り出した凸面形状を有していることにより、より効率的に袋状フィルム体20内の空気を開口210から押し出すことができる。
【0052】
また、空気抜き部材123は、移動部材12のフレーム部材11に設けられた係止部(挟持部材113)方向への移動を制限しないように、移動部材12に対して揺動可能に吊設されている。具体的には、空気抜き部材123の平板部材1232を、移動部材12の底部122に蝶番を用いて取り付けることにより、空気抜き部材123が移動部材12に対して揺動可能に吊設される。このように空気抜き部材123が吊設されていることにより、移動部材12が係止部(挟持部材113)方向に移動していく途中で、袋状フィルム体20内に収容された廃棄物等に空気抜き部材123が当たったとしても、空気抜き部材123が移動部材12に対して揺動可能になっているため、移動部材12がさらに係止部(挟持部材113)方向に進むことが制限されることはない。すなわち、移動部材12が、袋状フィルム体20内に収容された廃棄物等に空気抜き部材123が干渉することによって、途中で移動できなくなることが防止される。
【0053】
ハンドル部材13は、フレーム部材11に対してスライド自在に挿設されるともに、移動部材12に連結されるものであり、
図4に示すように、平行に配置された左右一対の棒状部131と、左右一対の棒状部131の端部間に跨設された把持部130とを備える。左右一対の棒状部131は、フレーム部材11の開口部111の左右に設けられた一対の挿通部115に摺動自在に挿通されている。このようにハンドル部材13が構成されていることにより、ハンドル部材13がフレーム部材11の開口部111と干渉することがなく、また移動部材12を左右両側から棒状部131に連結することができるので、ハンドル部材13の操作によってスムースに移動部材12を移動させることができる。
【0054】
左右一対の棒状部131のそれぞれは、把持部130に接続しているロッド部1311と、移動部材12に連結されている基端部1312とを有する。ロッド部1311は基端部1312に対して傾動可能に軸着されており、ロッド部1311を挿通部115から引き出した状態で基端部1312に対して所定の位置、例えばロッド部が基端部1312に対して90度立ち上げられた位置まで傾動させると、ヒータ部114が加熱状態になるように構成されている。
【0055】
フレーム部材11の枠底110には、左右一対の押込部材14が、開口部111を挟むように、枠底110における開口部111の両側に対称に設けられている。左右一対の押込部材14は、移動部材12のフレーム部材11に設けられた係止部(挟持部材113)方向への移動に連動して、シール装置10に取り付けられた袋状フィルム体20の開口210の端縁部211に周設されているプレート部材22を、開口部111の中心方向に押し込む。
【0056】
押込部材14は、棒状の軸部140の一端に平面視水滴形状を呈する押込部141が、他端に円筒形状の軸支部142がそれぞれ形成されたものであり、軸支部142がフレーム部材11の枠底110に設けられた支持部116に軸部材143を用いて軸着されていることにより、当該軸支部142及び軸部材143を回転軸として押込部141が開口部111の中心方向に移動可能な構造となっている。軸部材143はハンドル部材13の棒状部材131のスライド移動に連動して動くようになっており、ハンドル部材13の棒状部材131のスライド移動によって移動部材12がフレーム部材11に設けられた係止部(挟持部材113)方向へと移動するのであるから、すなわち、左右一対の押込部材14は、移動部材12のフレーム部材11に設けられた係止部(挟持部材113)方向への移動に連動することとなる。
【0057】
押込部141が開口部111の中心方向に移動すると、シール装置10に取り付けられた袋状フィルム体20の開口210の端縁部211に周設されているプレート部材22の(第一部分としての)第1プレート部A1と(第二部分としての)第4プレート部A4との間にある、(第三部分としての)第2プレート部A2及び第3プレート部A3を左側の押込部材14の押込部141が、(第四部分としての)第5プレート部A5及び第6プレート部A6右側の押込部材14の押込部141が、それぞれ開口部111の中心方向に押し込まれる。このように左右一対の押込部材14が設けられていることにより、移動部材12を係止部(挟持部材113)に向かって移動させていく際に、袋状フィルム体20の開口210の端縁部211の側部を左右から押込部材14が開口部111の中心方向に押し込んでくれるので、袋状フィルム体20の開口210近傍が確実に折り畳まれながら収束していき、外側にはみ出ることなく折り畳まれた袋状フィルム体20がヒータ部114とヒータ受け部121との間に挟持される。
【0058】
図3(b)に示すように、移動部材12のヒータ受け部121の両端部の下側には、ヒータ受け部121の両端部から中央部に向かって袋状フィルム体20を誘導するヒータ受け部ガイド板15が設けられている。ヒータ受け部ガイド板15は、平面視略台形状の板状部材であり、左右対称に2枚設けられている。2枚のヒータ受け部ガイド板15は、その両者間の距離が少しずつ狭くなるように、ヒータ受け部121の両端部から中央部に向かう方向かつヒータ部114に対向する方向に斜辺が来るように、移動部材12に取り付けられている。
【0059】
また、
図3(b)に示すように、ヒータ部114の両端部の下側には、ヒータ部114の両端部から中央部に向かって袋状フィルム体20を誘導するヒータ部ガイド板16が設けられている。ヒータ部ガイド板16は平面視略台形状の板状部材であり、左右対称に2枚設けられている。2枚のヒータ部ガイド板16は、その両者間の距離が少しずつ狭くなるように、ヒータ部114の両端部から中央部に向かう方向かつヒータ受け部121に対向する方向に斜辺が来るように、フレーム部材11に取り付けられている。
【0060】
シール装置10に取り付けられた袋状フィルム体20に廃棄物が収容されている状態では、その廃棄物の重みで袋状フィルム体20は張った状態でシール装置10の開口部111に吊り下げられている状態になっているので、この状態で移動部材12を動かせば、袋状フィルム体20は、2枚のヒータ受け部ガイド板15によって確実にヒータ受け部121の中央部方向に誘導されるとともに、2枚のヒータ部ガイド板16によって確実にヒータ部114の中央部方向に誘導される。ヒータ受け部ガイド板15及びヒータ部ガイド板16は、少なくともいずれか一方がシール装置10に備えられていれば、袋状フィルム体20がヒータ部114とヒータ受け部121との間に挟持されていく過程において、ヒータ部114の中央部方向に誘導されていくが、ヒータ受け部ガイド板15及びヒータ部ガイド板16の両方が備えられていれば、より確実に袋状フィルム体20がヒータ部114の中央部方向に誘導されていく。これにより、移動部材12の移動によって折り畳まれていく袋状フィルム体20の開口210の端縁部211が、ヒータ受け部121及びヒータ部114の溶着幅よりも外側にはみ出していくことが防止される。
【0061】
フレーム部材11の開口部111の四隅近傍には、
図3(a)に示すように、シール装置10に取り付けられた袋状フィルム体20のプレート部材22が折り畳まれていく過程で外側に逃げていかないようにするためのガイドウォール117が立設されている。
【0062】
本実施形態においては、ハンドル部材13によって移動部材12を係止部(挟持部材113)近傍まで移動させた状態において、ヒータ部114とヒータ受け部121とによって挟持された袋状フィルム体20を加熱してシールするように構成されている。より詳細には、ハンドル部材13のロッド部1311をフレーム部材11の挿通部115から引き出した状態で、
図5に示すように、基端部1312に対して90度立ち上げられた位置まで傾動させると、ヒータ部114が加熱状態になるように構成されている。このような構成にすることにより、ハンドル部材13によって移動部材12を移動させ、折り畳まれた袋状フィルム体20がヒータ部114とヒータ受け部121との間に挟持された状態にした後、ロッド部1311を基端部1312に対して傾動させて初めてヒータ部114による加熱が開始されるので、シール作業時の安全性を確保することができる。
【0063】
なお、袋状フィルム体20をシールする機構はこのような構造に限られるものではなく、例えば移動部材12が所定の位置まで移動したこと(折り畳まれた袋状フィルム体20がヒータ部114とヒータ受け部121との間に挟持されたこと)を検出する検出装置(センサ)を設け、検出装置が検出信号を発したときにヒータ部114による加熱が開始されるようにしてもよいし、ヒータ部114による加熱開始のオンオフを制御するスイッチを設けてもよい。
【0064】
以上説明したシール装置10によれば、袋状フィルム体20をフレーム部材11の開口部111に挿通させた状態で、袋状フィルム体20の開口210の端縁部211の一部をフレーム部材11の係止部(挟持部材113)に係止させるとともに、それに対向する位置にある袋状フィルム体20の別の一部を移動部材12の取付部(クリップ部材120)に取り付け、取り付けた移動部材12をハンドル部材13によって係止部(挟持部材113)に向かって移動させることができる。移動部材12を係止部(挟持部材113)に向かって移動させることにより、袋状フィルム体20の開口210の端縁部211が折り畳まれながら収束していき、フレーム部材11において係止部(挟持部材113)の近傍に設けられたヒータ部114と、移動部材12において取付部(クリップ部材120)の近傍に設けられたヒータ受け部121との間に折り畳まれた袋状フィルム体20が挟持され、この状態で袋状フィルム体20を加熱することでシールすることができる。このようなシール装置10であれば、修理やメンテナンスが容易な簡易な構造でありながらも、廃棄物等を収容した袋状フィルム体20を確実にシールすることができる。
【0065】
<袋状フィルム体のシールの流れ>
以下、具体的な袋状フィルム体20のシール装置10への取り付け例と、シール装置10に取り付けた袋状フィルム体20をシールする流れを説明する。
図6はシール装置10によって袋状フィルム体20をシールする流れを模式的に説明する説明図であり、説明をわかりやすくするために、袋状フィルム体20と、移動部材12と、押込部材14と、フレーム部材11の挟持部材13とのみを模式的に表している。また、袋状フィルム体20は、プレート部材22を平面視した状態で示されており、第1曲折自在部B1、第2曲折自在部B2、第3曲折自在部B3、第4曲折自在部B4、第5曲折自在部B5、第6曲折自在部B6、第2プレート補助曲折自在部C2、第5プレート補助曲折自在部C5は、それぞれ黒点で示されている。
【0066】
トイレ装置1の使用者は、袋状フィルム体20をトイレ装置1のシール装置10に取り付ける。袋状フィルム体20のプレート部材22の第1プレート部A1が(第一部分として)移動部材12のクリップ部材120(取付部)に取り付けられ、第4プレート部A4が(第二部分として)フレーム部材11の挟持部材113(係止部)に取り付けられる。
図6(a)は、シール装置10に袋状フィルム体20が取り付けられた状態を模式的に示したものである。
【0067】
使用者によって廃棄物等が袋状フィルム体20に収容された後、使用者はハンドル部材13の把持部130を手で掴み、ハンドル部材13をフレーム部材11から前方向に引き出す。ハンドル部材13には移動部材12が連結されているので、ハンドル部材13を引き出すことにより、移動部材12が前方向(フレーム部材11に設けられた挟持部材113方向)に移動する。移動部材12が前方向に移動することにより、移動部材12のクリップ部材120に取り付けられた第1プレート部A1が、フレーム部材11の挟持部材113に取り付けられた第4プレート部A4に向かって移動する。このとき、左右一対の押込部材14の押込部141が、移動部材12の移動に連動して、それぞれ開口部111の中心方向に移動する。
【0068】
前述のように、袋状フィルム体20の開口210の端縁部211にはプレート部材22が周設されており、プレート部材22は、順に第1プレート部A1、第2プレート部A2、第3プレート部A3、第4プレート部A4、第5プレート部A5及び第6プレート部A6の6つのプレート部を有し、それらの間に6つの曲折自在部(第1曲折自在部B1、第2曲折自在部B2、第3曲折自在部B3、第4曲折自在部B4、第5曲折自在部B5及び第6曲折自在部B6)を有する。第1曲折自在部B1、第3曲折自在部B3、第4曲折自在部B4及び第6曲折自在部B6は、開口210の外側方向が山になって折れ易いようにスジ入れ加工で形成されており、第2曲折自在部B2及び第5曲折自在部B5は、開口210の内側方向が山になって折れ易いようにスジ入れ加工で形成されている。
【0069】
袋状フィルム体20のプレート部材22がそのように構成されているため、左右一対の押込部材14の押込部141がそれぞれ開口部111の中心方向に移動すると、
図6(b)に示すように、右側の押込部材14が第2プレート部A2及び第3プレート部A3の連結部分(すなわち、第2曲折自在部B2)の近傍を左方向に押し込むとともに、左側の押込部材14が第5プレート部A5及び第6プレート部A6の連結部分(すなわち、第5曲折自在部B5)の近傍を右方向に押し込み、第2曲折自在部B2及び第5曲折自在部B5が開口210の内側方向が山になって折り曲げられる。
【0070】
さらに使用者がハンドル部材13を引き出し続けると、移動部材12がさらに前方向へと移動することによって、第1プレート部A1が第4プレート部A4により近づく方向に移動し、第2プレート部A2、第3プレート部A3、第5プレート部A5及び第6プレート部A6が、第1プレート部A1と第4プレート部A4との間に畳み込まれていく。右側から畳み込まれていく第2プレート部A2及び第3プレート部A3と、左側から畳み込まれていく第5プレート部A5及び第6プレート部A6とが干渉し始めると、第2プレート部A2の中央付近に形成された第2プレート補助曲折自在部C2と、第5プレート部A5の中央付近に形成された第5プレート補助曲折自在部C5とが、それぞれ開口210の外側方向が山になって折れ曲がることにより、第3プレート部A3と第6プレート部A6とがスムースに重なり合っていき、
図6(c)に示すような状態になる。
【0071】
図6(c)の状態からさらにハンドル部材13を引き出し、移動部材12がさらに前方向へと移動すると、第1プレート部A1が第4プレート部A4に近づいていくことにより、
図6(d)及び(e)に示すように、プレート部材22は平面視で略逆Z字状に折り畳まれていき、最終的にハンドル部材13のロッド部1311をフレーム部材11から引き出し切ると、第1プレート部A1と第4プレート部A4との間に、第1プレート部A1側から順に第2プレート部A2、第3プレート部A3、第6プレート部A6、第5プレート部A5が重なるように、プレート部材22が折り畳まれ、折り畳まれた袋状フィルム体20がヒータ部114とヒータ受け部121との間に挟持された状態になる。この状態で、使用者がハンドル部材13を上方向に90度立ち上げる(すなわち、ロッド部1311を挿通部115から引き出した状態で基端部1312に対して90度立ち上げられた位置まで傾動させる)と、ヒータ部114が加熱状態になって、袋状フィルム体20の開口210はシールされる。
【0072】
以上、本発明に係るシール装置及び袋状フィルム体について図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。例えば、本実施形態においては、シール装置10がトイレ装置1に適用され、袋状フィルム体20に収容される廃棄物がトイレでの排泄物であるものとしているが、これに限られるものではなく、シール装置10を使用済みオムツの廃棄処理装置に適用してもよいし、生ゴミ処理装置等に適用してもよい。また、上記実施形態では、プレート部材22を備えた袋状フィルム体20をシール装置10に取り付けて用いているが、これに限られるものではなく、通常市販されているビニル袋等の袋状フィルム体をシール装置10のシール対象物として使用することも可能であるし、プレート部材22を備えた袋状フィルム体20をシール装置10とは異なる構成を有するシール装置におけるシール対象物として使用することもできる。
【0073】
また、上記実施形態においては、プレート部材22を構成する各プレート部を、時計回りに順に第1プレート部A1、第2プレート部A2、第3プレート部A3、第4プレート部A4、第5プレート部A5及び第6プレート部A6とし、プレート部材22を構成する曲折自在部を、時計回りに順に第1曲折自在部B1、第2曲折自在部B2、第3曲折自在部B3、第4曲折自在部B4、第5曲折自在部B5及び第6曲折自在部B6としたが、反時計回りに順に第1、第2・・・と構成されていてもよい。その場合、プレート部材22は平面視で略Z字状に折り畳まれていくが、最終的には略逆Z字状に折り畳まれていく場合と同様に、第1プレート部A1と第4プレート部A4との間に、第1プレート部A1側から順に第2プレート部A2、第3プレート部A3、第6プレート部A6、第5プレート部A5が重なるように、プレート部材22が折り畳まれる。
【符号の説明】
【0074】
10 シール装置
11 フレーム部材
110 枠底
111 開口部
112 側壁部
112a 前方側壁部
113 挟持部材(係止部)
1131、1132 板状部
1133 係止溝
114 ヒータ部
115 挿通部
116 支持部
117 ガイドウォール
12 移動部材
120 クリップ部材(取付部)
1201 ベース部
1202 可動プレート部
121 ヒータ受け部
122 底部
123 空気抜き部材
1231 当接面
1232 平板部材
1233 半円筒部材
13 ハンドル部材
130 把持部
131 棒状部材
1311 ロッド部
1312 基端部
14 押込部材
140 軸部
141 押込部
142 軸支部
143 軸部材
15 ヒータ受け部ガイド板
16 ヒータ部ガイド板
20 袋状フィルム体
21 袋本体
210 開口
211 端縁部
22 プレート部材
A1 第1プレート部
A2 第2プレート部
A3 第3プレート部
A4 第4プレート部
A5 第5プレート部
A6 第6プレート部
B1 第1曲折自在部
B2 第2曲折自在部
B3 第3曲折自在部
B4 第4曲折自在部
B5 第5曲折自在部
B6 第6曲折自在部
C2 第2プレート補助曲折自在部
C5 第5プレート補助曲折自在部
30 台座
40 便座
1 トイレ装置