IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 夢▲チェン▼科技知識産権有限公司の特許一覧

特許7586517枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成
<>
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図1
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図2
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図3
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図4
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図5
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図6
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図7
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図8
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図9
  • 特許-枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】枯草菌及びエンドヌクレアーゼを使用したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子の生成
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/75 20060101AFI20241112BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241112BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C12N15/75 Z ZNA
C12P21/02 C
C12N1/21
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022523843
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2021075070
(87)【国際公開番号】W WO2021179860
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】202010164821.4
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522161889
【氏名又は名称】夢▲チェン▼科技知識産権有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】鐘樹根
(72)【発明者】
【氏名】▲クァン▼緯陽
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-195327(JP,A)
【文献】特表2016-504417(JP,A)
【文献】国際公開第2012/100176(WO,A2)
【文献】特表2019-506163(JP,A)
【文献】特表2007-532116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00- 15/90
C12N 1/00- 7/08
C12P 1/00- 41/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサートを含み、前記インサートは、5’末端から3’末端にかけて、短ペプチドアフィニティタグ、アナベナ(Anabaena sp.)由来のトランススプライシングインテイン、及び外来ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、前記短ペプチドアフィニティタグは、前記トランススプライシングインテインのN-エクステインとなり、前記外来ポリペプチドは前記トランススプライシングインテインのC-エクステインとなる核酸構造体。
【請求項2】
前記インテインは、アナベナDNAポリメラーゼIIIユニットのインテイン(Asp DnaE)である請求項1に記載の核酸構造体。
【請求項3】
前記インテインは、SEQ ID NO:2と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項1又は2に記載の核酸構造体。
【請求項4】
前記インテインは、SEQ ID NO:2で示される配列からなる請求項1又は2に記載の核酸構造体。
【請求項5】
前記外来ポリペプチドは塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)である請求項1~4のいずれか1項に記載の核酸構造体。
【請求項6】
前記短ペプチドアフィニティタグは、4~15個のアミノ酸の長さを有しており、5~15xHisタグである請求項1~5のいずれか1項に記載の核酸構造体。
【請求項7】
更に、プロモーター、オペロン、エンハンサー及びリボソーム結合部位のうちの1種類又は複数種類の因子を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の核酸構造体。
【請求項8】
5’末端から3’末端にかけて、T7プロモーター-ラクトースオペロン-リボソーム結合部位(RBS)-6xHisタグ-Asp DnaEインテイン-bFGF-T7転写ターミネーターをコードするヌクレオチド配列を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の核酸構造体。
【請求項9】
更に、前記インサートの上流に位置する第1クローニングサイトと、前記インサートの下流に位置する第2クローニングサイトを含み、前記第1クローニングサイトと第2クローニングサイトは、発現ベクターへの前記核酸構造体の挿入を可能とする請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸構造体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の核酸構造体を含む発現ベクター。
【請求項11】
請求項10に記載の発現ベクターを含む形質転換された枯草菌(Bacillus subtilis)。
【請求項12】
前記外来ポリペプチドの発現が可能な条件で、請求項11に記載の形質転換された枯草菌を培養することを含む外来ポリペプチドの産生方法。
【請求項13】
更に、培養した前記枯草菌を分離し、破砕して細胞破砕液を取得したあと、陽イオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン-アガロース(HA)クロマトグラフィーを順に使用することで、前記細胞破砕液から前記外来ポリペプチドを精製することを含む請求項12に記載の外来ポリペプチドの産生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学の分野に関し、一般的には、外来ポリペプチドを発現するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
効率的且つ高い費用対効果で、天然型の外来ポリペプチド、特にサイトカインを発現させることは、細胞生物学(例えば、幹細胞の研究)において日々重要性を増している。ここで、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor。bFGFと略称され、FGF2とも称される)を例示する。bFGFは、線維芽細胞増殖因子ファミリーのメンバーであり、神経変性疾患、心臓病、及び癒合が困難な創傷系病変において多くの治療用途を有している。また、bFGFは、線維芽細胞及び幹細胞の増殖を誘導することで、組織の発育において重要な役割を発揮する。更に、bFGFは、幹細胞の大規模生産においても重要な役割を果たす。しかし、現在のところ、bFGFタンパク質は生産コストが嵩み、産生量が低いため、医薬業界における商用利用が阻害されている。例えば、bFGFタンパク質は、幹細胞培養条件において不安定であり、容易に分解される。また、市販のbFGFを含有する新鮮な培地への定期交換は、開発コストを極めて大きく増加させる。よって、幹細胞研究の発展を促進するためには、組換えヒトbFGFの川上での生産効率を向上させることが極めて重要である。
【0003】
大腸菌(E.coli)は、細菌宿主として、翻訳後修飾されない組換えタンパク質の発現に幅広く用いられている。大腸菌は、成長速度が速く、低コストであり、且つ使用しやすい等の利点を有することから、バイオテクノロジー分野に幅広く利用されている。しかし、大腸菌はLPS外膜を有するグラム陰性菌であるため、精製された組換えタンパク質内には一般的に大量のエンドトキシンが含まれている。よって、関連する組換えタンパク質を治療組織の培養サンプルや動物被験体に使用した場合、これらのエンドトキシンが好ましくない毒性作用を発揮する恐れがある。エンドトキシンは、エンドトキシンフリーの水やエンドトキシン除去キットを使用しない限り、川下の精製プロセスでは分離が難しい。そのため、関連の試薬キットを使用するが、これにより標的タンパク質の生産コストが増加してしまう。
【0004】
一方、枯草菌(Bacillus subtilis)はグラム陽性菌であり、エンドトキシンを含まないため、FDAから「一般に安全と認められる」(GRAS)と認定されている。枯草菌は、外来ポリペプチドを安定的に発現可能であるとともに、分泌される内在タンパク質及び外来タンパク質を発現させるための工程化がすでになされている。しかし、組換え外来タンパク質は、枯草菌内での発現レベルが大腸菌内の場合に比べて低い。その理由としては、主に以下が挙げられる。
【0005】
1.枯草菌は、対数増殖末期に大量のプロテアーゼを発現及び分泌し、外来タンパク質の安定発現及び産生量に悪影響を及ぼす。
【0006】
2.一部の外来タンパク質が培地内に分泌されて、宿主菌の成長に影響を及ぼす。このことは、外来タンパク質の効率的な発現にも同様に影響を及ぼす。
【0007】
3.大腸菌の場合と比較して、遺伝子工学操作が難しい。
【0008】
これらの要因が、宿主細胞としての枯草菌の使用を制限していると考えられる。
【0009】
インテイン(intein)は、宿主タンパク質から自動的に切除されて、ペプチド結合によるフランキング配列(エクステイン(extein))の連結を触媒する内部タンパク質因子である。インテインの切除には、補助酵素又は補因子の翻訳後加工を必要としない。当該自動切除プロセスを「タンパク質スプライシング」と称する。タンパク質配列の内側部分を「インテイン」と称し、タンパク質配列の外側部分を「エクステイン」と称する。また、上流のエクステインを「N-エクステイン」、下流のエクステインを「C-エクステイン」と称する。
【0010】
タンパク質のインテインは、遺伝情報の翻訳後加工の内容を充実させるだけでなく、タンパク質の精製面においても幅広く応用されている。インテインの内部にホーミングエンドヌクレアーゼドメインが存在するか否かによって、インテインは2つのタイプに分けられる。一つは、マキシインテイン(maxi-intein)であり、タンパク質スプライシング活性とホーミングエンドヌクレアーゼ(homing endonuclease)配列を有している。また、もう一つは、ミニインテイン(mini-intein)であり、タンパク質スプライシング活性のみを有している。また、インテインは、存在形態によって一体型インテインと分離インテインに分けられる。前者は、2つのスプライシング領域が同一のポリペプチド断片に存在している。これに対し、後者は、2つのスプライシング領域が異なるポリペプチド断片に存在しているため、分離インテイン又はスプリットインテインと称される。一体型インテインはシススプライシング作用を奏するが、分離/スプリットインテインはトランススプライシング作用を奏する。
【0011】
インテインは、タンパク質の精製に幅広く応用されており、現在までに、生物体から400種あまりのインテインが発見されている。また、取得源や構造の異なる複数のインテインがタンパク質発現・精製システムの作製に使用されている。インテインの違いによって開裂反応の速度や条件は異なり、精製効率にも大きな違いが存在する。しかし、現在のところ、インテインの開裂に影響を及ぼす要因については十分明らかになっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
当該分野では、高い費用対効果で外来ポリペプチドを発現可能なシステム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施方案において、本発明は、核酸構造体を提供する。当該核酸構造体は、インサートを含み、前記インサートは、5’末端から3’末端にかけて、短ペプチドアフィニティタグ、アナベナ(Anabaena sp.)由来のトランススプライシングインテイン、及び外来ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。前記短ペプチドアフィニティタグは、前記トランススプライシングインテインのN-エクステインとなり、前記外来ポリペプチドは前記トランススプライシングインテインのC-エクステインとなる。
【0014】
一局面において、前記インテインは、アナベナDNAポリメラーゼIIIユニットのインテイン(Asp DnaE)である。
【0015】
一局面において、前記インテインは、SEQ ID NO:2と少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それにより構成される。
【0016】
一局面において、前記外来ポリペプチドは線維芽細胞増殖因子(FGF)であり、例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)であり、特に、ヒトbFGFである。
【0017】
一局面において、前記短ペプチドアフィニティタグは、約4~15個のアミノ酸の長さを有しており、例えば、5~15xHisタグであり、特に、6xHisタグである。
【0018】
一局面において、前記核酸構造体は、更に、プロモーター、オペロン、エンハンサー及びリボソーム結合部位のうちの1種類又は複数種類の因子を含む。
【0019】
一局面において、前記核酸構造体は、5’末端から3’末端にかけて、T7プロモーター-ラクトースオペロン-リボソーム結合部位(RBS)-6xHisタグ-Asp DnaEインテイン-bFGF-T7転写ターミネーターをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0020】
一局面において、前記核酸構造体は、更に、前記インサートの上流に位置する第1クローニングサイトと、前記インサートの下流に位置する第2クローニングサイトを含む。前記第1クローニングサイトと第2クローニングサイトは、発現ベクターへの前記核酸構造体の挿入を可能とする。
【0021】
他の実施方案において、本発明は、本発明の核酸構造体を含む発現ベクターを提供する。
【0022】
他の実施方案において、本発明は、本発明の発現ベクターを含む形質転換された枯草菌(Bacillus subtilis)を提供する。
【0023】
他の実施方案において、本発明は、外来ポリペプチドの産生方法を提供する。当該方法は、外来ポリペプチドの発現が可能な条件で、本発明の形質転換された枯草菌を培養することを含む。
【0024】
一局面において、上記の外来ポリペプチドの産生方法は、更に、培養した前記枯草菌を分離し、破砕して細胞破砕液を取得したあと、陽イオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン-アガロース(HA)クロマトグラフィーを順に使用することで、前記細胞破砕液から前記外来ポリペプチドを精製することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施方案に基づくH6-DnaE-bFGFインサート発現カセットを発現するプラスミド構築ベクター(10.4kb)の概略図である。ori=枯草菌の複製開始点、AmpR=アンピシリン耐性遺伝子、lacI=lacI遺伝子、T7 RNAP=T7 RNAポリメラーゼ遺伝子、bFGF=bFGF遺伝子、Asp DnaE=Asp DnaEインテイン、H6=6xHisタグ、RBS=リボソーム結合部位であり、矢印は遺伝子発現の方向を示している。
図2図2は、本発明の一実施方案に基づく枯草菌宿主細胞破砕液サンプルにおけるbFGFタンパク質の免疫ブロット試験の結果を示している。レーン0h、2h、4h、6h及び8hは、誘導から0h、2h、4h、6h及び8h後の培養物からそれぞれ収集したサンプルを示している。各レーンには5μlの細胞破砕物をサンプル投入した。また、レーン-veは、誘導から8時間後のpECBS1ベクター培養物から取得した5μlの細胞破砕物である。
図3図3は、本発明の一実施方案に基づく枯草菌bFGFを振とうフラスコ培養した際の経時変化研究を示している。培養サンプルは、IPTG誘導前及び誘導後の異なるタイミングで取得した。図3Aは、細胞破砕物(CL)サンプルに存在するbFGFについてのウエスタンブロット試験の分析結果である。各レーンには、5μlの細胞破砕物をサンプル投入した。図3Bは、細胞活性及びbFGFを定量化したものである。(--●--)は検出したbFGFレベルを示しており、CFUはコロニー形成単位を意味する。生細胞のカウントは、それぞれ、通常の寒天プレート、及びカナマイシンを添加したプレート上で測定し、それぞれを(--●--)及び(―■―)で示している。形質転換体の成長試験は3回繰り返した。また、エラーバーを示している。
図4図4は、本発明の一実施方案に基づく流加発酵により枯草菌中のbFGFタンパク質を発現させた際の経時変化研究を示している。培養サンプルは、IPTG誘導前及び誘導後の異なるタイミングで取得した。図4Aは、細胞破砕物(CL)サンプルに存在するbFGFについてのウエスタンブロット試験の結果である。各レーンには、5μlの細胞破砕物をサンプル投入した。図4Bは、細胞活性及びbFGFを定量化したものである。(--●--)は検出したbFGFレベルを示しており、CFUはコロニー形成単位を意味する。生細胞のカウントは、それぞれ、通常の寒天プレート、及びカナマイシンを添加したプレート上で測定し、それぞれを(--●--)及び(―■―)で示している。形質転換体の成長試験は3回繰り返した。また、エラーバーを示している。
図5図5は、本発明の一実施方案に基づくpECBS1-H6-DnaE-bFGF構造体由来の精製bFGFサンプルについて、質量分析法で測定した結果(分子サイズ)を示している。
図6図6は、本発明の一実施方案に基づくbFGFタンパク質の有糸分裂促進活性についての実験結果を示している。pECBS1-H6-DnaE-bFGF構造体由来の異なる濃度の精製bFGFタンパク質サンプルが線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を示している。
図7図7は、構造体pECBS1-H6-DnaE-bFGFの酵素切断の鑑定結果を示している。
図8図8は、H6及びCBDアフィニティタグをそれぞれ使用したbFGFタンパク質発現のWB結果を示している。レーン0h、4h、8hは、誘導から0h、4h、8h後の培養物からそれぞれ収集したサンプルを示しており、レーン+ve及びレーン-veはそれぞれ陽性対照及び陰性対照を示している。
図9図9は、H6及びGSTアフィニティタグをそれぞれ使用したbFGFタンパク質発現のWB結果を示している。レーン0h、4h、8hは、誘導から0h、4h、8h後の培養物からそれぞれ収集したサンプルを示しており、レーン+ve及びレーン-veはそれぞれ陽性対照及び陰性対照を示している。
図10図10は、ヘパリン-アガロースクロマトグラフィーのみを使用して精製した結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、複数種類の外来ポリペプチド、特に、天然型の外来ポリペプチドの発現に使用可能な発現システム及び方法について述べる。これらのシステム及び方法は、当該分野に存在する少なくとも1つのニーズを満足させる。
【0027】
本文中で使用する章節の見出しは構成を目的としたものにすぎず、記載する主題を何らかの方式で制限するものと解釈すべきではない。
【0028】
別途明確に定義している場合を除き、本文中で使用する用語は当該分野における通常の意味に従って理解すべきである。また、本文中で別途規定又は指示している場合を除き、数量詞で修飾していない名詞は、1つ/1種類又はより多くの/複数種類を示す。
【0029】
通常、標準技術及びフローについては、当該分野における一般的な方法及び一般的な複数の参考文献に従って実施する(通常は、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照すればよい)。
【0030】
一実施方案において、本発明は、核酸構造体を提供する。当該核酸構造体はインサートを含む。前記インサートは、5’末端から3’末端にかけて、短ペプチドアフィニティタグ、アナベナ由来のトランススプライシングインテイン、及び外来ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。前記短ペプチドアフィニティタグは、前記トランススプライシングインテインのN-エクステインとなり、前記外来ポリペプチドは前記トランススプライシングインテインのC-エクステインとなる。
【0031】
説明すべき点として、コンフリクトが存在しない場合には、本願の実施方案及び実施方案の特徴を互いに組み合わせ可能である。
【0032】
インテイン
インテインは、宿主タンパク質から自動的に切除されて、ペプチド結合によるフランキング配列の連結を触媒可能なタンパク質因子である。
【0033】
本発明に適用可能なインテインは、アナベナ由来のトランススプライシングインテインとすることができる。一実施形態において、インテインは、アナベナDNAポリメラーゼIIIユニット由来のインテイン(Asp DnaE)とすることができる。
【0034】
本文中で使用する「トランススプライシングインテイン」との用語は、トランススプライシング活性を有するインテインを意味する。インテインは、存在形態によって一体型インテインと分離インテインに分けられる。前者は、2つのスプライシング領域が同一のポリペプチド断片に存在している。これに対し、後者は、2つのスプライシング領域が異なるポリペプチド断片に存在しているため、分離インテインと称される。一体型インテインはシススプライシング作用を奏するが、分離インテインはトランススプライシング作用を奏する。また、分離インテインは、トランススプライシングインテインとも称される。
【0035】
本文中で使用する「アナベナDNAポリメラーゼIIIユニットのインテイン」との用語は、アナベナDNAポリメラーゼIIIユニット由来のインテインを意味する。一局面において、本発明におけるインテインをコードするヌクレオチドは、SEQ ID NO:1で示される配列又はその相補的配列を有し得るか含み得る。或いは、SEQ ID NO:1で示されるヌクレオチド配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を有する配列或いはその相補的配列を有し得るか含み得る。或いは、上記のヌクレオチド配列で構成可能である。一局面において、前記インテインは、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列を有し得るか含み得る。或いは、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得るか含み得る。或いは、上記のアミノ酸配列で構成可能である。
【0036】
外来ポリペプチド
本文中で使用する「外来ポリペプチド」、「外来タンパク質」、「異種ポリペプチド」及び「異種タンパク質」との用語は互換的に使用可能である。これらは、宿主細胞に自然発現するのではなく、人為的に加えるか、遺伝子導入等の技術により宿主細胞に発現させるポリペプチド又はタンパク質である。
【0037】
いくつかの実施形態において、異種ポリペプチドは、例えば、酵素、サイトカイン(例えば、線維芽細胞増殖因子)、ホルモン(例えば、カルシトニン、エリスロポエチン、トロンボポエチン、ヒト成長ホルモン、上皮成長因子等)、インターフェロン、又は、治療、栄養医学、農業又は工業用途を有するその他のタンパク質とすることができる。また、そのほかの異種ポリペプチドとして、抗体、抗体断片及び薬物タンパク質が可能である。また、異種ポリペプチドはポリペプチド断片としてもよい。
【0038】
一実施形態において、本発明に適用可能な異種ポリペプチドは、線維芽細胞増殖因子(FGF)とすることができる。線維芽細胞増殖因子は、約150~200のアミノ酸で構成されるポリペプチドであり、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)及び酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)という密接に関連する2種類の形態で存在する。
【0039】
一実施形態において、本発明に適用可能な異種ポリペプチドは、塩基性線維芽細胞増殖因子とすることができ、特に、ヒトbFGF、より具体的には天然型のヒトbFGFとすることができる。一局面において、本発明のbFGFは、SEQ ID NO:3で示されるヌクレオチド配列を有し得るか含み得る。或いは、SEQ ID NO:3で示されるヌクレオチド配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有し得るか含み得る。或いは、上記のヌクレオチド配列で構成可能である。
【0040】
一局面において、本発明のbFGFは、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列を有し得るか含み得る。或いは、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し得るか含み得る。或いは、上記のアミノ酸配列で構成可能である。
【0041】
アフィニティタグ
本文中で使用する「アフィニティタグ」、「精製タグ」及び「タンパク質タグ」との用語は互換的に使用可能である。これらは、組換えタンパク質の生成プロセスで目的タンパク質と融合して発現するタンパク質又はポリペプチドである。アフィニティタグは、目的タンパク質の可溶性及び安定性を促進するために使用可能であり、目的タンパク質の検出及び精製を容易とする。
【0042】
理論的な拘束を意図するものではないが、本発明では、成熟し且つ生物学的に同一の(天然型の)外来タンパク質又はポリペプチドを取得するためには、相対的に分子量の小さい短ペプチドアフィニティタグが有益であることを想定外に見出した。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明に適用可能なアフィニティタグは、短ペプチドアフィニティタグとすることができ、約4~15個(例えば、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個又は15個)のアミノ酸の長さを有し得る。いくつかの実施形態において、短ペプチドアフィニティタグは、HISタグ、HAタグ(例えば、YPYDVP)、FLAGタグ(例えば、DYKDDDDK)、HSVタグ(例えば、QPELAPEDPED)、MYCタグ(例えば、ILKKATAYIL又はEQKLISEEDL)、V5タグ(例えば、GKPIPNPLLGLDST)、Xpressタグ(例えば、DLDDDDK又はDLYDDDDK)、Thrombinタグ(例えば、LVPRGS)、BAD(ビオチン受容体ドメイン)(例えば、GLNDIFEAQKIEWHE)、第Xa因子タグ(例えば、IEGR又はIDGR)、VSVGタグ(例えば、YTDIEMNRLGK)、SV40 NLSタグ(例えば、PKKKRKV又はPKKKRKVG)、プロテインCタグ(例えば、EDQVDPRLIDGK)、Sタグ(例えば、KETAAAKFERQHMDS)、SB1タグ(例えば、PRPSNKRLQQ)等を含む(ただし、これらに限らない)。一局面において、アフィニティタグは、5~15xHisタグとすることができ、より具体的には6xHisタグ(H6)とすることができる。
【0044】
いくつかの実施方案において、本発明の短ペプチドアフィニティタグは、トランススプライシングインテインのN-エクステインとなり、外来ポリペプチドはトランススプライシングインテインのC-エクステインとなる。一例において、H6タグはAsp DnaEインテインのN末端に融合し、bFGFはAsp DnaEインテインのC末端に融合する。
【0045】
bFGFは、コード配列を最初に設計してからインテインのC末端に融合する。また、短ペプチドアフィニティタグは、発現したタンパク質の精製時のアンカーとなる。実験の結果、大きなサイズを有するGST又はCBDタグをDnaEインテインのN末端に融合した場合には、前駆体の凝集形態しか得られなかった。これに対し、N-エクステインを小さなサイズを有する短ペプチドアフィニティタグ(例えば、H6タグ)に変更したところ、驚くべき結果が得られた。発現したbFGFは、溶解形態であっただけでなく、成熟した状態であり、且つ高い産生量を有していた(図2図3A及び図3B参照)。理論的な拘束を意図するものではないが、N-エクステインを相対的に小さな短ペプチドアフィニティタグに変更すると、融合タンパク質全体のコンフォメーションが変化し得るため、C-エクステインの分離に有利となり、封入体の形成が回避される。
【0046】
発現ベクター
一実施方案において、本発明は、発現ベクターを提供する。当該発現ベクターは本発明の核酸構造体を含む。
【0047】
本文中で使用する「ベクター」、「発現ベクター」、「組換えベクター」及び「組換えシステム」との用語は互換的に使用可能である。この用語は運搬体を意味し、当該運搬体によって、ポリヌクレオチド又はDNA分子の操作又は宿主細胞への導入が可能となる。ベクターは、線形又は環状のポリヌクレオチドとしてもよいし、大サイズのポリヌクレオチド、又はその他の任意のタイプの構造体としてもよい。例えば、ウイルスゲノム、ビリオン又はその他の任意の生物学的構造体に由来するDNA又はRNAとすることができ、DNAを操作可能とするか、DNAを細胞に導入可能とする。
【0048】
当業者であれば理解し得るように、適用可能なベクターのタイプに特に制限はなく、前記ベクターは、増殖に適用可能であり、十分なポリヌクレオチド又は遺伝子構造体を取得可能なクローニングベクターか、異なる異種生物において融合タンパク質の精製に適用される発現ベクターであればよい。一実施形態において、本発明に基づく適切なベクターには、原核生物の発現ベクターが含まれる。例えば、原核生物発現ベクターは、pET14、pET21、pET22、pET28、pET42、pMAL-2c、pTYB2、pGEX-4T-2、pGEX-6T-1、pQE-9、pBAD-his、pBAD-Myc、pECB系ベクター、pRB系ベクター等、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript及びその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pBR374、pMB9、CoIE1、pCR1、RP4、ファージ、及び「シャトル」ベクター(例えば、pSA3及びpAT28)を含む(ただし、これらに限らない)。
【0049】
一実施形態において、本発明は、更にシャトルベクターについて検討する。本文中で使用する「シャトルベクター」との用語は、2種類の異なる宿主細胞(例えば、大腸菌及び枯草菌)における複製及び増幅が可能なベクターのことである。これにより、同一の発現ベクターを異なる宿主細胞に導入可能となる。本発明に係るシャトルベクターは、pECBS1を含み得る(ただし、これに限らない)。
【0050】
通常、ベクターの構成には、プロモーター、エンハンサー、オペロン、リボソーム結合部位及び転写終結配列等の発現制御因子のうちの1種類又は複数種類が含まれ得る(ただし、これらに限らない)。
【0051】
本発明に適用可能な例示的プロモーターは、原核生物内で活性を有するプロモーター、例えば、T7プロモーター、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーターシステム、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、及びtacプロモーターのようなハイブリッドプロモーターを含み得る。
【0052】
本発明に適用可能な例示的オペロンは、ラクトースオペロン、アラビノースオペロン、トリプトファンオペロン等を含む(ただし、これらに限らない)。ラクトースオペロンは、ラクトースの分解に関与する遺伝子群であり、ラクトースシステムのリプレッサー及びオペレーター配列で構成される。これにより、ラクトースの代謝に関連する一連の遺伝子が同期して調節される。
【0053】
本文中で使用する「リボソーム結合部位」(ribosome binding site、RBSと略称する)との用語は、mRNAの開始コドンの上流に位置して、翻訳開始時にリボソームとの結合に使用可能な配列を意味する。
【0054】
本発明に基づく発現ベクターは、更に、マーカータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含み得る。本発明に適用されるマーカータンパク質は、抗生物質耐性を有するか、その他の毒性化合物に対して耐性を有するタンパク質を含む。抗生物質耐性を有するマーカータンパク質の事例には、ネオマイシン及びカナマイシンをリン酸化したネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、又はハイグロマイシンをリン酸化したhpt、又は、例えばブレオマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、アンピシリン、ゲンタマイシン、ジェネティシン(G418)、スペクチノマイシン又はブラストサイジンに対する耐性を付与するタンパク質が含まれる。一の事例において、タンパク質はクロラムフェニコールに対する耐性を付与する。例えば、当該タンパク質は、Nilsen et al,J.Bacteriol,178 :3188-3193,1996に記載されているように、大腸菌由来の遺伝子であり、CmRと命名される。
【0055】
当業者にとって公知の標準技術を使用することで、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを本発明のベクターにクローニング可能である。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを産生する。PCR操作の方法は当該分野において既知である。
【0056】
いくつかの実施方案において、本発明の核酸構造体は、更に、インサートの上流に位置する第1クローニングサイトと、インサートの下流に位置する第2クローニングサイトを含む。第1クローニングサイトと第2クローニングサイトは、発現ベクターへの核酸構造体の挿入を可能とする。
【0057】
クローニングサイトは、異種性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのクローニングを可能とする。好ましくは、クローニングサイトを組み合わせることでマルチクローニングサイトを形成する。本文中で使用する「マルチクローニングサイト」との用語は、互いに隣接して位置決めされる一連の2つ又はより多くの制限エンドヌクレアーゼの標的配列を含む核酸配列を意味する。マルチクローニングサイトは制限エンドヌクレアーゼの標的を含み、平滑末端、粘着5’末端又は粘着3’末端を有する断片の挿入を可能とする。標的ポリヌクレオチドの挿入は、分子生物学の標準的手法によって行う。例えば、Sambrook et al.(Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press,1989)、及び/又は、Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience,1988)の記載に従う。
【0058】
本文中で使用する「制限酵素」又は「制限エンドヌクレアーゼ」との用語は、特定のデオキシヌクレオチド配列を識別して付着し、各鎖における特定部位の2つのデオキシリボヌクレオチド間のホスホジエステル結合を切断可能な酵素である。切断方法としては、糖類分子とリン酸の結合を切断し、2本のDNA鎖に切口を1つずつ生成するが、ヌクレオチドと塩基は破壊しない。切断方式には、突出した1本鎖DNAを有する粘着末端を生成可能な方式と、末端が平坦で突出のない平滑末端を生成可能な方式の2種類がある。切断したDNA断片はDNAリガーゼで連結可能なため、染色体又はDNA上の異なる制限断片は、スプライシング作用によって結合される。本発明に適用可能な制限酵素は、EcoRI、PstI、XbaI、BamHI、HindIII、TaqI、NotI、HinfI、Sau3A、PovII、SmaI、HaeIII、AluI、SalI、Dra等を含み得る(ただし、これらに限らない)。
【0059】
核酸を連結する方法は当業者にとって自明であり、例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbour Laboratory Press,1989、及び/又は、Ausubel et al.(編),Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience(1988)に記載されている。一の事例では、リガーゼ(例えば、T4DNAリガーゼ)を使用して核酸を連結する。
【0060】
宿主細胞
いくつかの実施方案において、本発明は、形質転換された宿主細胞を提供する。当該宿主細胞は本発明の発現ベクターを含む。枯草菌はエンドトキシンを含まないため、「一般に安全と認められる」と認定されている。そこで、本発明の一実施形態では、宿主細胞として枯草菌を採用する。本発明の発明者は、驚くべきことに、本発明の核酸構造体の構造を採用することで、枯草菌はインテインとエクステインの自動切除を促進可能となり、満足のいく天然型の外来ポリペプチド/タンパク質の発現レベルを得られることを見出した。これにより、枯草菌における外来ポリペプチド/タンパク質の発現レベルが低いとの課題が解決される。
【0061】
いくつかの局面において、本発明は、形質転換された枯草菌を取得する方法を提供する。当該方法は、発現ベクターを枯草菌に導入可能な条件において、枯草菌と本発明の発現ベクターを接触させることを含む。当業者は、発現ベクター及び宿主細胞のタイプに基づいて適切な条件を調整し得ることを周知しており、且つそれを実施可能である。
【0062】
本文中で使用する「形質転換」との用語は、DNAを染色体外因子とするか、染色体と統合して原核生物宿主に導入することで、DNAを複製可能とすることを意味する。使用する宿主細胞に応じて、その細胞にとって適切な標準技術を用いて形質転換を行う。通常は、塩化カルシウムを用いるカルシウム処理を堅固な細胞壁バリアを含む細菌細胞に適用する。形質転換に用いられるもう一つの方法は、ポリエチレングリコール/DMSOを使用するものである。また、使用する更に別の技術としてエレクトロポレーションがある。
【0063】
本発明の外来ポリペプチドを産生するための原核生物宿主細胞を、当該分野において既知であり、且つ当該宿主細胞の培養に適用される培地で培養する。適切な培地の事例としては、必要な栄養素を添加したLuria-Bertani(LB)培地を含み得る。いくつかの実施方案において、培地は、更に、発現ベクターを含む原核細胞の成長を選択的に可能とすべく、作製した発現ベクターに基づき選択される選択剤を含む。例えば、アンピシリン及び/又はカナマイシンを細胞の成長に用いられる培地に添加すると、前記細胞は、アンピシリン及び/又はカナマイシン耐性遺伝子を発現する。また、更に、炭素源、窒素源及び無機リン源以外の任意の必要な補充物を適切な濃度で含み得る。当該補充物は、単独で、或いは、別の補充物又は培地(例えば、複合窒素源)との混合物形式で投入可能である。
【0064】
外来ポリペプチドの産生方法
いくつかの実施方案において、本発明は、外来ポリペプチドの産生方法を提供する。当該方法は、前記外来ポリペプチドの発現が可能な条件で、本発明の形質転換された枯草菌を培養することを含む。
【0065】
遺伝子産物の集積発現ついては、遺伝子産物が十分に集積する条件で宿主細胞を培養する。この条件には、例えば、細胞発現及びタンパク質集積を可能とする温度、栄養及び細胞密度条件が含まれ得る。このほか、当業者にとって既知のように、この条件は、細胞が転写や翻訳といった基本的細胞機能及び細胞内発現を実行可能な条件である。
【0066】
適切な温度で原核生物宿主細胞を培養する。枯草菌の培養については、例えば、一般的な温度を約20℃~約39℃とする。一実施方案において、温度は約25℃~約37℃とし、例えば37℃とする。
【0067】
誘導については、通常、特定の光学密度(例えば、A55tlが約80~100)に達するまで細胞を培養し、その時点で誘導を開始する(例えば、インデューサーの添加や、リプレッサー、阻害剤又は培地成分の枯渇等による)ことで、異種ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を誘導する。
【0068】
産生物の集積後は、当該分野において既知の任意の機械的手法を使用して、培養物中に存在する細胞を機械的に破砕することで、宿主細胞から前記タンパク質を放出させればよい。また、選択的に、アルカリ溶解法、SDS溶解法等を含む(ただし、これらに限らない)その他の破砕法を使用してもよい。細胞を破砕する細胞破砕液としては、Tris-HCl、EDTA、NaCl、グルコース、リゾチーム等を含み得る(ただし、これらに限らない)。選択的に、産生物の回収前に、破砕物を十分な時間インキュベートすることで、細胞内に含まれる異種ポリペプチドを放出させる。
【0069】
更に、破砕物について、例えば、水による希釈、緩衝液又は凝集剤の添加、PH調節、或いは、後続の回収ステップに用いられる調製物内の破砕物/ホモジネートの温度変更又は維持といった処理を行ってもよい。
【0070】
後続のステップでは、回収される細胞断片及び産生物を最小化する方式で、破砕物から異種ポリペプチドを回収する。回収は、任意の方法で行えばよい。一実施方案では、異種ポリペプチドを含む屈折可能粒子を沈降させるか、可溶性産物を含む上清液を収集することを含み得る。沈降の事例としては、遠心分離とすることができる。吸着又は沈降前に、外層細胞壁を破壊して浸透性を増加させ、且つ、より多くの固体を回収可能とする試薬の存在下で回収を行う。この種の試薬の事例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤、又は、双性イオン洗浄剤(例えば、ZWITTERGENT 316(登録商標)洗浄剤)のような双性イオンが含まれる。一実施方案では、EDTAの存在下で回収を行う。
【0071】
一実施方案では、必要に応じて、更に、凝集した異種ポリペプチドを分離したあと、ポリペプチドの可溶化及びリフォールディングを同時に行うことを含み得る。好ましくは、免疫アフィニティー又はイオン交換カラムによる分別、エタノール沈殿、逆相HPLC、二酸化ケイ素又は陽イオン交換樹脂(例えば、DEAE)によるクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿法、及び、例えばSEPHADEX(登録商標)G-75を使用するゲルろ過や、ヘパリン-アガロース(HA)クロマトグラフィー等の標準技術によって可溶性産物を回収可能である。
【0072】
一実施方案において、本発明における外来ポリペプチドの産生方法は、更に、陽イオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン-アガロース(HA)クロマトグラフィーを順に使用することで、前記細胞破砕液から前記外来ポリペプチドを精製することを含む。驚くべきことに、発明者は、ヘパリン-アガロースクロマトグラフィーを使用する前に、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用して大部分のハウスキーピングタンパク質を除去したあと、透析によって高濃度の塩を除去すれば、予測不可能な高純度のbFGFタンパク質を取得し得ることを見出した。
【0073】
枯草菌は、エンドトキシンを含まないことからタンパク質産生にとって魅力的な宿主システムとなるが、これまでの研究では、高レベルの可溶性異種タンパク質の細胞内発現を得にくいことが証明されていた。また、研究者の多くが、インテイン及びタンパク質発現におけるインテインの応用を展開しているが、宿主システムの違いによるインテインの作用メカニズムは完全には明らかとなっていない。そこで、発明者は、研究及び商用を目的として、細菌宿主システムにおけるエンドトキシンフリーの組換えタンパク質の発現を試みた。その他の方法と比較して、インテインを使用するタンパク質の発現は、生物学的に同一の構造を有する組換えタンパク質の産生にとって最も簡単であり、且つ最も経済的な実行可能な方法である。また、高い生物活性を確保可能であるとともに、動物被検体における不都合な免疫応答の発生も防止される。
【0074】
従来技術の欠点を解消し、インテイン媒介性のタンパク質精製システムにおける予測可能性及び有効性を向上させるために、発明者は、完全に新しいタンパク質発現・精製システムを作製した。当該システムでは、枯草菌内における外来タンパク質(例えば、ヒトbFGFタンパク質)の細胞内発現を促進するために、アナベナ(Anabaena species)由来の、特に、DNAポリメラーゼIIIユニット由来のインテイン(Asp DnaE)を使用する。且つ、融合タンパク質のN-末端に短ペプチドアフィニティタグ(例えば、6xHisタグ)を添加することで、タンパク質精製の効率を向上させて、活性を有する天然型の外来タンパク質(例えば、ヒトbFGFタンパク質)を取得する。本発明で提供する構造体を使用して、ヒトbFGFのような外来タンパク質を発現させれば、生物活性を有する外来タンパク質(例えば、ヒトbFGFタンパク質)の発現効率を著しく向上させられる。且つ、封入体の発生が減少し、精製ステップが簡略化され、精製コストが大幅に低下する。発明者は、更に、実験によって次のことを証明した。即ち、4L規模の発酵実験において、本発明の構造体及びタンパク質精製システムは、振とうフラスコ培養の場合と比較して、外来タンパク質(例えば、ヒトbFGFタンパク質)の総産生量が著しく増加した。また、全誘導期間を通して、細胞生存能力も安定を維持していた。よって、大規模培養への使用に特に適しており、予想不可能な技術的効果が得られた。
【0075】
本発明における例示的配列を下表に示す。
【0076】
【表1】






【実施例
【0077】
本文では、下記の実施例によって本発明につき記載するが、この実施例は例示的説明を意図するものにすぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0078】
大腸菌の菌株DH5αは、ニュー・イングランド・バイオラボ(イプスウィッチ、マサチューセッツ州)から購入した。また、枯草菌の菌株WB800は従来の報告に従って取得した。合成したDNA断片、制限酵素、及びbFGF抗体は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(イプスウィッチ、マサチューセッツ州)から購入した。別途説明する場合を除き、その他全ての化学品はいずれもシグマアルドリッチ社(セントルイス、ミズーリ州)から購入した。
【0079】
実施例1:発現ベクターの作製及び宿主細胞の形質転換
大腸菌/枯草菌発現シャトルベクターの作製及び設計
pRB374及びpBR322をそれぞれ大腸菌/枯草菌発現シャトルベクターの開始ベクターとして用いた。具体的には、以下の修飾ステップによってpECBS1を作製した。まず、SalI及びBglIIでpRB374(5.9kb)を消化した。同じSalI及びBglIIを用いて2つの部位を消化したあと、ショットガンポリメラーゼ連鎖反応で産生したT7 RNAポリメラーゼ-Lacプロモーター-LacI遺伝子-LacIプロモーター-ブレオマイシン耐性遺伝子-ネオマイシン耐性遺伝子の部分断片(5.3 kb)で置換して、pECBSiベクターを形成した。続いて、形成したpECBSiベクター及びpBR322ベクターをそれぞれEcoRI及びBglIで消化し、pECBSiの消化断片をpBR322(4.3kb)の消化により取得した断片で置換して、pECBS1シャトルベクターを形成した。
【0080】
bFGF発現ベクターの作製
大腸菌/枯草菌発現シャトルベクター(pECBS1-H6-DnaE-bFGF)の作製方法は、次の通りとした。サーモフィッシャーサイエンティフィック社によって、SEQ ID NO:5で示すEcoRI-T7プロモーター(T7)-ラクトースオペロン(LacO)-リボソーム結合部位(RBS)-6x-Hisタグ(H6)-Asp-DnaE int-c(DnaE)-bFGF-T7転写ターミネーター-XbaI配列をコードするDNA断片を合成した。次に、合成した前記DNA断片をEcoRI及びXbaIで消化したあと、同様の2種類の制限酵素で枯草菌/大腸菌シャトルベクターpECBS1の連結を消化した。そして、最終的に、pECBS1-H6-DnaE-bFGF構造体を取得した(図1参照)。取得した構造体についての酵素切断の鑑定結果を図7に示す。
【0081】
枯草菌の形質転換
WB800の単一コロニーを5mlの培地A(1x Spizizen塩溶液、0.5%グルコース、0.005%トリプトファン、0.02%カザミノ酸、0.5%酵母抽出物、0.8%アルギニン、0.4%ヒスチジンを含有)に移植し、37℃、200rpmで一晩培養した。その後、一晩経過した培養物0.5mlを50mlの培地Aに継代し、37℃、200rpmでA600=1.7となるまで培養した。次に、1mlの87%グリセリンを10mlの培養物に加え、氷上に15分載置した。そして、1mlの培養物を更に20mlの培地B(1x Spizizen塩、0.5%グルコース、0.0005%トリプトファン、0.01%カザミノ酸、0.1%酵母抽出物、2.5mM MgCl、0.5mM CaClを含む)に継代し、30℃、150rpmで2時間培養した。続いて、1mlの培養物をマイクロ遠心チューブに移し、終濃度1mMでEGTAを加えて室温で5分間培養した。その後、2ugのプラスミドDNAを1mlのコンピテント状態のWB800に加え、37℃、200rpmで引き続き2時間成長させた。そして、室温、5000rpmで遠心分離し、形質転換されたWB800を収集するとともに、100ulの培養物上清液に再懸濁した。また、形質転換されたWB800をカナマイシン耐性プレートにプレーティングし、37℃で一晩培養した。
【0082】
実施例2:bFGFの発現
振とうフラスコ培養
25μg/mlのカナマイシンが添加された200mlの2x LB培地において、枯草菌の形質転換体を37℃(250rpm)で成長させた。そして、A600値が1.0に達した時点で、終濃度0.2mMのIPTGを添加した。その後、3時間間隔で1mlの培地サンプルを収集し、bFGFの発現分析に用いた。細胞沈殿を200μlの再懸濁バッファー(50mM Tris-Cl、200mM EDTA、pH8.0)に再懸濁してから、氷上で5分間培養した。次に、37℃で120μlのリゾチーム溶液(10mg/mL)を用い、混合物を20分間処理した。その後、80μlの溶解バッファー(10mM EDTA、10% Triton X-100及び50mM Tris-Cl、pH8.0)を加えた。続いて、溶液が充填された試験管を静かに倒立させて、14800rpmで5分間遠心分離を行った。そして、ウエスタンブロットによって、細胞破砕物サンプルにおけるbFGFタンパク質の発現状況を分析した。
【0083】
可溶性bFGFタンパク質の発現を成功させるために、発明者は、更に、実験によって異なるインテイン及び外来ポリペプチドの組み合わせについて測定し、最終的にAsp DnaEインテインが有効であることを見出した。また、選択的にbFGFをAsp DnaEインテインのC末端に融合させた。これは、DnaEのC末端における生体外切除は、pHの変更又は還元剤処理によって制御可能なためである。また、発明者は、GST、キチン結合ドメイン(CBD)及びH6アフィニティタグを含む数種類の異なる発現タグについて試行した。最初の2種類の発現タグを使用した場合、構造体は不溶形態の前駆体しか産生しなかった(図8及び図9参照)。一方、相対的にサイズの小さいH6タグを使用した場合には、実験より、成熟し且つ生物学的に同一のbFGFを陽性発現するとの結果が得られた(具体的には表2を参照)。振とうフラスコ培養実験の結果(図2を参照)、構造体pECBS1-H6-DnaE-bFGFが誘導によって発現した最終産物bFGFのレベルは満足のいくものであり、ウエスタンブロットによって前駆体形態は検出されなかった(図8及び図9参照)。
【0084】
【表2】
【0085】
流加発酵
25μg/mlのカナマイシンが添加された200mlの2x LB培地において、枯草菌の形質転換体を37℃(回転速度250rpm)でA600=1.0となるまで成長させた。次に、50mlの培養物を2Lフラスコ(25μg/mlのカナマイシンが添加された450mlの2x LB培地を含む)に移し、温度37℃(250rpmで回転)を条件として、A600値が1.0に達するまで引き続き培養した。続いて、25μg/mlのカナマイシンが添加された3.5Lの2x LB培地を充填した5Lの発酵槽に培養物全体を移植し、1MのNaOHを添加して培養物のpHを7.0に維持した。培養物のpO値(酸素分圧)は1.5vvmとした。また、pHが上昇し始めた場合には、50%のグルコース供給溶液を添加して、培養物のpHを7.0に維持した。そして、A600=8になったあと、終濃度0.2mMのIPTGを加えて誘導培養を行った。また、1MのHSOを用いてpH調節を維持した。そして、2時間間隔で培養物サンプルを収集し、bFGF発現の分析に用いた。
【0086】
その結果、枯草菌のbFGFタンパク質発現量と細胞量の双方が著しく増加することが分かった。具体的には、振とうフラスコ培養(図3)から大規模培養(図4)に変えることで、bFGFタンパク質の総産生量及び発現構造体の最終コロニー形成単位(CFU)はそれぞれ2倍(64mg/Lから113mg/Lに増加)及び6倍上昇した。以上から明らかなように、本発明で取得した構造体によって、振とうフラスコ培養及び大規模発酵培養の双方において予測不可能な技術的効果が得られた。
【0087】
実施例3:bFGFタンパク質の精製及び構造測定
陽イオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン-アガロースクロマトグラフィーをbFGFの精製に用いた。まず、Nanodrop Microvolume分光光度計を使用して、溶出画分のタンパク質濃度を測定した。また、有意な数値(約1mg/ml)を有する溶出画分をまとめて、0.1x PBで透析を行った。その後、クマシーブリリアントブルーR-250で染色した10% SDS-PAGEゲル電気泳動によって、精製bFGFのバンドを取得した。そして、SDS-PAGEゲルからbFGFタンパク質を含むバンドを回収し、後続のLC-MSによる分析に使用した。
【0088】
ウエスタンブロットの分析結果より、破砕液から抽出した可溶性bFGFタンパク質は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社から購入したbFGFタンパク質と同じ分子量を有することが分かった(図4)。精製bFGFタンパク質サンプルは、LC-MSによるN末端及びC末端のタンパク質シーケンシングと、MALDI-TOF質量測定を行った。その結果、H6-DnaE-bFGF構造体の発現から取得したbFGFタンパク質の最終産物は、146個のアミノ酸からなる生物学的構造を有していた(表2)。また、サイズは16.4kda(図5)であり、天然型のヒトbFGFタンパク質と一致していた。ヘパリン-アガロースクロマトグラフィーのみを使用して精製した場合(図10)と比較して、本発明では、陽イオン交換クロマトグラフィー及びヘパリン-アガロースクロマトグラフィーを使用して精製を行うことで、高純度のbFGFタンパク質が得られた。
【0089】
実施例4:bFGFタンパク質の生物学的活性測定
MTT法(MTT比色法とも称する)によって、NIH/3T3線維芽細胞の増殖に対する精製bFGFタンパク質の影響を測定した。具体的なステップは次の通りとした。NIH/3T3細胞(密度を2×10細胞とする)を96ウェルマイクロプレートに移植し、37℃、5%CO、1%ウシ胎児血清添加DMEM培地で24時間飢餓培養したあと、異なる濃度のbFGFを使用して細胞を3日間処理した。次に、終濃度0.5mg/mLの3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)をマイクロプレートの各穴に加え、37℃、5%COで4h培養した。その後、全ての溶液をプレートから除去し、150μlのDMSOを加えて紫色の結晶を溶解した。続いて、プレートを暗闇で10分間継続的に振とうし、570nmで酵素結合免疫測定装置により吸光度を読み取った。
【0090】
その結果、枯草菌に発現した精製bFGFタンパク質は、NIH/3T3細胞の細胞増殖を誘導可能であり(図6)、且つ、ヒト間葉系幹細胞の増殖も誘導可能であった(データは示していない)。以上から明らかなように、本発明で得られる精製bFGFタンパク質は、生物学的活性(有糸分裂促進活性)を有していた。
【0091】
上記の結果から明らかなように、本発明における精製bFGFタンパク質は、野生タンパク質と同じ146個のアミノ酸の一次配列を有しており、成熟した可溶性のタンパク質形態をなしていた。且つ、NIH/3T3細胞の増殖誘導において高い生物学的活性を有していた。このほか、発明者が異なる規模の発酵培養を同時に試行したところ、bFGFタンパク質の発現量及び細胞量の双方において予測不可能な技術的効果が得られた。
【0092】
更に、当業者は、本発明の精神又は中心的特徴を逸脱しなければ、その他の具体的形式で本発明を実施可能なことを認識し得る。本発明における上記の記載は例示的実施方案を開示したにすぎず、理解すべき点として、その他の変形も本発明の範囲であるとみなされる。よって、本発明は、ここで詳細に記載した特定の実施方案に限らない。反対に、本発明の範囲及び内容は、添付の請求項を参照して規定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
0007586517000001.app