(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】超小型衛星システム用電源モジュール
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20241112BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241112BHJP
B64G 1/42 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H02J7/35 J
H02J7/35 A
H02J1/00 304H
H02J1/00 306A
B64G1/42
(21)【出願番号】P 2022538217
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(86)【国際出願番号】 BG2020000038
(87)【国際公開番号】W WO2021119768
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BG
(73)【特許権者】
【識別番号】522244067
【氏名又は名称】エンデュロサット ジョイント ストック カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ENDUROSAT JOINT STOCK COMPANY
【住所又は居所原語表記】Manastirski Livadi,1A’Flora’Street,’Obsidian’Business Building BG-1404 Sofia BULGARIA
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】チャットジス,アントニオス ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】コレフ,ニコライ アタナソフ
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103414236(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108321786(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0044837(US,A1)
【文献】特開2014-143903(JP,A)
【文献】特開昭59-188345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 1/00
B64G 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超小型衛星システム用電源モジュールであって、
少なくとも1つのバッテリーパックおよび少なくとも1つの制御・エネルギー分配モジュールを備え、
それぞれの前記バッテリーパックは、ソーラーパネルバスバーを介して
、X入力ステージ(1.1)、Y入力ステージ(1.2)およびZ入力ステージ(1.3)と接続された充電ステージ(2.1)を備え
、
前記充電ステージは、システムバスバーを介してバッテリーセル(4.1)と接続され、補助電源(5.1)
は第1制御ユニット(6.1)と接続され
、
前記充電ステージ(2.1)は、バッテリーバスバーを介して
前記補助電源(5.1)と接続され、
前記バッテリーセルユニット(4.1)は、バランシングステージ(3.1)と接続され、
前記第1制御ユニット(6.1)は
、前記充電ステージ(2.1)、前記バランシングステージ(3.1)、第1コネクタユニット(7.1)、および第1及び第2アドレッシングコネクタ(7.2)、(7.3)と双方向に接続され
、
前記
第1制御ユニット(6.1)は、前記X入力ステージ(1.1)、前記Y入力ステージ(1.2)、および前記Z入力ステージ(1.3)と
一方向に接続され、
それぞれの前記制御・エネルギー分配モジュールは
、第1電圧コンバータ(9.1)を介して、順に単一の出力電力チャネル(7.6)用の第1コネクタに接続された第1電流リミッタ(10.1)と接続された第1正電位ラインスイッチ(8.1)を備え
、
それぞれの前記制御・エネルギー分配モジュールは、第2電圧コンバータ(9.2)を介して、順に単一の出力チャンネル電源(7.7)用の第2コネクタに接続された第2電流リミッタ(10.2)と接続された第2正電位ラインスイッチ(8.2)を備え、
前記第1正電位ラインスイッチ(8.1)は、前記第2正電位ラインスイッチ(8.2)と並列に接続され、
前記第1電圧コンバータ(9.1)は、前記第2電圧コンバータ(9.2)と並列に接続され、
前記第1電流リミッタ(10.1)は、
第3正電位ラインスイッチ(8.3)
を介して前記第2電流リミッタ10.2と並列に接続され、
それぞれの前記制御・エネルギー分配モジュールは、第2制御ユニット(6.2)を備え、
前記第2制御ユニット(6.2)は、前記第1、前記第2及び前記第3正電位ラインスイッチ(8.1)、(8.2)、(8.3)と一方向に接続され、
前記第1及び
前記第2電圧コンバータ(9.1)、(9.2)、
前記第1及び
前記第
2電流リミッタ(10.1)、(10.2)、および第2コネクタユニット(7.5)と双方向に接続され、
前記充電ステージ(2.1)は、
前記システムバスバーを介して、前記第1、前記第2、第4正電位ラインスイッチ(8.1)、(8.2)、(8.4)と接続され、
前記第4正電位ラインスイッチ(8.4)は、コネクタ(7.8)と接続され、
前記補助電源(5.1)は
、前記第2制御ユニット(6.2)および
前記制御・エネルギー分配モジュールからの補助電源用コネクタ(7.4)の両方と接続されていることを特徴とする、
超小型衛星システム用電源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙技術や衛星通信の分野、特に超小型衛星の電源としての応用が期待される超小型衛星システム用電源モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超小型衛星は、質量が10キログラム以下の宇宙船とされている。超小型衛星の中でもキューブサット級は、製造および軌道への打ち上げを含めて数十万円という非常に安価であるため、ここ10年で人気が高まっている。このタイプの宇宙船のコンセプトは、人類が従来の大型宇宙船の代わりに小型衛星のネットワークを利用すれば、宇宙についてより多くのことを学ぶことができるという考えに基づいている。かつては10トン級の巨大衛星に搭載されていた機器が、今ではこの小型衛星に収まり、これまでにない量と再訪回数で幅広いデータを生成することが可能になった。超小型衛星は、地球観測、通信目的、情報伝達、研究・訓練にますます利用されている。
【0003】
現在、超小型衛星は主に大学で利用されているが、データや画像などを収集するために、このような機械を軌道上に打ち上げている民間企業も少なくない。
【0004】
宇宙研究および関連するインフラは、今日の世界においてますます重要性を増している。宇宙分野は驚異的なスピードで進化しており、今後10年間で多くの産業に大きな変化をもたらすであろう。今後10年間で、世界中で7,000機以上の新たな超小型衛星が打ち上げられると予想されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型衛星は、必要なエネルギーを供給するために、重いリチウムイオン電池および大きな太陽電池パネルを搭載している。超小型衛星の場合、電力容量は劣るが、体積が非常に小さいため、特定のタスクを効率的に実行することができる。一方、小型であるため、大型で強力なアンテナを設置することができない。
【0006】
本発明の目的は、自律的かつ高効率で、超小型衛星に安全かつ無停電の電力供給を行う超小型衛星システム用電源モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このソリューションは、少なくとも1つのバッテリーパックと、制御およびエネルギー分配のための少なくとも1つのモジュールを備えた超小型衛星システム用電源モジュールによって実現される。各バッテリーパックは、ソーラーパネルバスバーを介してXの入力ステージ、Yの入力ステージ、およびZの入力ステージと入力側で接続された充電ステージを備えている。一方、充電ステージの出力は、システムバスバーを介してバッテリーセルおよび補助電源と接続され、補助電源は順に第1制御ユニットと接続されている。また、充電ステージの出力は、バッテリーバスバーを介して補助電源と接続されている。バッテリーセルユニットは、バランシングステージと接続されている。一方、第1制御ユニットは、一方では、充電ステージ、バランシングステージ、第1コネクタユニット、および第1及び第2アドレッシングコネクタと双方向に接続されている。一方、第1制御ユニットの入力は、Xの入力ステージ、Yの入力ステージ、およびZの入力ステージと一方向に接続されている。
【0008】
各制御・エネルギー分配モジュールは、一方では、第1電圧コンバータと第1電流リミッタとを介して、単一の出力電源チャネル用の第1コネクタに順に接続された第1正電位ラインスイッチを備えている。各制御・エネルギー分配モジュールは、第2電圧コンバータと第2電流リミッタとを介して、単一の出力電源チャネル用の第2コネクタに順に接続された第2正電位ラインスイッチを備えている。第1正電位ラインスイッチは、第2正電位ラインスイッチと並列に接続されている。第1電圧コンバータは、第2電圧コンバータと並列に接続されている。第3正電位ラインスイッチを介して、第1電流リミッタは、第2電流リミッタと並列に接続されている。各制御・エネルギー分配モジュールは、また、第1、第2および第3正電位ラインスイッチと一方向に接続され、第1及び第2電圧コンバータ、電流に応じて第1及び第2電流リミッタ、および第2コネクタユニットと双方向に接続された第2制御ユニットを備えている。
【0009】
バッテリーパックの充電ステージは、システムバスバーを介して、第1、第2、第4正電位ラインスイッチと接続されている。第4正電位ラインスイッチは、外部コネクタを備えている。補助電源は、第2制御ユニットと、制御・エネルギー分配モジュールからの補助電源コネクタの両方と接続されている。
【0010】
超小型衛星システム用電源モジュールの利点は、入力ステージの動作出力電圧をパネルの照度に合わせることで、与えられた照度において最大の効率を提供することである。また、モジュール内のすべてのノードが二重化されているため、モジュールの完全な冗長性が実現されている。冗長性は、メインノードに不具合が生じた場合や、このメインノードが耐えられる負荷よりも大きな負荷が掛かった場合にアクティブになる。一方、電源バスバーを使用すると、各ラインでの電圧降下が減少し、温度損失も小さくなる。ソーラーパネルの入力チャンネルはバッテリーパックに転送され、複数ある場合は並列に接続することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る超小型衛星システム用電源モジュールの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、創作された超小型衛星システム用電源モジュールは、少なくとも1つのバッテリーパック、および少なくとも1つの制御・エネルギー分配モジュールで構成されている。各バッテリーパックは、充電ステージ2.1を備え、片側はソーラーパネルバスバーによりX入力ステージ1.1、Y入力ステージ1.2、およびZ入力ステージ1.3と
入力側で接続されている。一方、充電ステージ2.1
の出力は、システムバスバーを介してバッテリーセルユニット4.1および補助電源5.1と接続されており、補助電源は、第1制御ユニット6.1と順に接続されている。また、充電ステージ2.1
の出力は、バッテリーバスバーを介して補助電源5.1と接続されている。バッテリーセルユニット4.1は、バランシングステージ3.1と接続されている。一方、第1制御ユニット6.1
の入力は、充電ステージ2.1、バランシングステージ3.1、コネクタユニット7.1、第1及び第2アドレッシングコネクタ7.2、7.3と双方向に接続される。他方、第1制御ユニット6.1は、X入力ステージ1.1、Y入力ステージ1.2、およびZ入力ステージ1.3と一方向に接続される。
【0013】
各制御・エネルギー分配モジュールは、一方では、第1電圧コンバータ9.1と第1電流リミッタ10.1とを介して、単一の出力電源チャネル7.6用の第1コネクタに順に接続された第1正電位ラインスイッチ8.1を備えている。一方、各制御・エネルギー分配モジュールは、第2電圧コンバータ9.2と第2電流リミッタ10.2とを介して、単一の出力電源チャネル7.7用の第2コネクタに順に接続された第2正電位ラインスイッチ8.2を備えている。第1正電位ラインスイッチ8.1は、第2正電位ラインスイッチ8.2と並列に接続されている。第1電圧コンバータ9.1は、第2電圧コンバータ9.2と並列に接続されている。第1電流リミッタ10.1は、第3正電位ラインスイッチ8.3を介して第2電流リミッタ10.2と並列に接続されている。各制御・エネルギー分配モジュールは、また、第1、第2および第3正電位ラインスイッチ8.1、8.2、8.3と一方向に接続され、第1及び第2電圧コンバータ9.1、9.2、第1及び第2電流リミッタ10.1、10.2、および第2コネクタユニット7.5と双方向に接続された第2制御ユニット6.2を備えている。
【0014】
バッテリーパックの充電ステージ2.1は、システムバスバーを介して、第1、第2、第4正電位ラインスイッチ8.1、8.2、8.4と接続されている。第4正電位ラインスイッチ8.4は、コネクタ7.8に接続されている。補助電源5.1は、制御・エネルギー分配モジュールの第2制御ユニット6.2および補助電源用コネクタ7.4の両方と接続されている。
【0015】
電源モジュールに使用されるソーラーパネルバスバー、システムバスバー、およびバッテリーバスバーは、大電力を必要とする電気的負荷に電流を供給するためのパワーバスバーである。さらに、パワーバスバーは、抵抗値が低く、温度損失も少ないため、ソーラーパネルの入力端子から電源モジュールを介して、バッテリーや電気的負荷に最大1kWのエネルギーを伝送することができる。
【0016】
X入力ステージ1.1、Y入力ステージ1.2、Z入力ステージ1.3は、ソーラーパネル用コネクタおよびパルス電圧コンバータを備えており、完全に冗長化されている。すなわち、一方のコンバータが故障しても、他方のコンバータがその機能を引き継ぐ。入力ステージは、創作された電源モジュールとソーラーパネルとの間の接続を確立する。入力ステージは、ソーラーパネルからの電圧レベルを、選択されたバッテリーパックの構成に適したレベルに変換する。ソーラーパネルからエネルギーを受け取る各入力ステージの動作出力電圧は、与えられた照度で効率が最大となるように、パネルの照度に合わせて調整される。
【0017】
充電ステージ2.1の機能は、必要なレベルの充電電圧を提供すること、電池に供給される充電電流を提供し制御すること、電池の充電量に応じて充電モードを監視および/または変更することである。充電ステージ2.1は、Li-PO、Li-FePO、Li-Ion、Lead-Acid(鉛蓄電池)といった複数種類のバッテリーセルをサポートするタイプの充電器である。これらのバッテリーは、バッテリーパック自体の中に入っているもの(最初の3種類の電池)、鉛蓄電池の場合のようにバッテリーパックの外に出ているものがある。また、この充電器は完全に二重化されており、一方の充電器が故障しても、他方がその機能を引き継ぐ。
【0018】
バランシングステージ3.1は、温度センサーおよびバッテリーパックの個々のセル間の電荷をバランスさせるための回路を備えている。バランシングステージ3.1の機能は、電池の充電と放電の両方でバッテリーパックの各セルの充電を均等にすること、外部短絡から電池を保護すること、電池パックのいずれかのセルが損傷した場合に装置の電源バスバーからそのセルを切断すること、電池パックの温度を監視し必要に応じて温度保護としてモジュールの電源バスバーからそれを切断することである。
【0019】
バッテリーセルユニット4.1は、互いに直列に接続された4個、6個または8個のバッテリーセルを備えている。バッテリーセルユニット4.1は、均一に加熱するために各セルを包むヒーター、温度センサー(各セルに2つ)、バッテリーセルそのものを備えている。バッテリーセルユニット4.1の機能は、バッテリーセルの温度を必要な温度範囲に維持し、その最適な動作モードと長寿命とを確保し、各セルの温度に関する情報を第1制御ユニット6.1に提供することである。
【0020】
補助電源5.1には、2つの入力端子を持つパルス電圧コンバータを備えている。補助電源5.1の機能は、バッテリーにエネルギーがある限り、またはソーラーパネルがエネルギーを変換する限り、モジュール内の制御ユニットにエネルギーを供給し、必要な電圧レベルを維持することである。
【0021】
第1制御ユニット6.1は、マイクロコントローラ、放射線センサー、および強磁性体RAMを備えている。第1制御ユニット6.1は、全てのセンサーから情報を収集し、収集した情報をそのまま、および/または処理した形態で2つのRS-485通信チャネルを介して衛星内に位置するコンピュータに提供し、衛星内に位置するコンピュータからの要求に基づいてアンテナ又はソーラーパネルを解放するアルゴリズムを実行し、USBコネクタによる接続を介してモジュール全体の状態に関するデータを遠隔地のパーソナルコンピューターに位置するグラフィックインターフェースに送信し、グラフィックインターフェースを介してユーザが要求した値でモジュールのプログラミングパラメータをセットする。
【0022】
コネクタユニット7.1は、アンテナまたはソーラーパネルを解放するためのコネクタ、USBを通じてコンピュータと通信するためのコネクタ、衛星内の他の制御装置と通信するための2つのコネクタ、メインRS-485およびバックアップRS-485を備えている。コネクタユニット7.1は、モジュールとアンテナまたはソーラーパネルとの間を物理的に接続し、創作された電源モジュールと衛星の他のモジュールとの間を物理的に接続し、創作された電源モジュールとユーザのコンピュータとの間を物理的に接続する。
【0023】
第1及び第2アドレッシングコネクタ7.2、7.3は、完全に同一のバッテリーパックが、配置されたパケットポール内の位置によって異なるアドレスを受信することを目標として、電源モジュールと接続する各バッテリーパックに固有のアドレスを割り当てる。
【0024】
補助電源用コネクタ7.4は、衛星内の各モジュールと補助電源5.1との間を物理的に接続する。目的は、コネクタ7.4が小型バックアップバッテリーとして機能し、各モジュールにバッテリーを搭載する必要をなくすことである。
【0025】
第2コネクタユニット7.5は、衛星内の他の制御装置との通信用として、メインRS-485およびバックアップRS-485の2つのコネクタ、また、衛星のペイロードとの通信用として、ペイロード用のメインRS-485およびペイロード用のバックアップRS-485の2つのコネクタを備えている。
【0026】
出力電源7.6、7.7の1チャネル用の第1及び第2コネクタは、モジュールからの出力電圧とサテライト内の他のモジュールとの間を物理的に接続する。
【0027】
コネクタ7.8は、モジュールからの出力電圧(バッテリーバスバー)と衛星のペイロードとの間を物理的に接続する。
【0028】
第1及び第2正電位ラインスイッチ8.1、8.2は、共通システムバスバーの第1及び第2電圧コンバータ9.1、9.2をそれぞれ接続または切断する。第2正電位ラインスイッチ8.2は、第1正電位ラインスイッチ8.1を二重化している。
【0029】
第3正電位ラインスイッチ8.3により、ユーザは、2つの独立した出力チャネルの出力を接続または遮断することで、パルス電圧コンバータ9.1、9.2で使用可能なチャネルの使用する2つのオプションを選択することができる。2つのオプションとは、二重化チャネルをメインチャネルのバックアップとして機能させることでセキュリティは高くなるが、独立チャネルの数は少なくなる、または、両方のチャネル(メインチャネルおよび二重化チャネル)を独立チャネルとすることでセキュリティは低くなるが、独立チャネルの数は多くなる、というものである。第4正電位ラインスイッチ8.4は、コネクタ7.8を共通システムバスバーから接続または切断する。
【0030】
第1及び第2電圧コンバータ9.1、9.2は、システムバスバー内の電圧レベルを1V~12Vの範囲の低レベルに変換するパルス電圧コンバータである。第2電圧コンバータ9.2は、スイッチ8.3が設定された状態に応じて、第1電圧コンバータ9.1を二重化することができる。
【0031】
第1及び第2電流リミッタ10.1、10.2は、プリセット電流より大きい電流を通さないようにプログラム可能な作動レベルを有する電流リミッタ回路を備えている。電流リミッタ10.1、10.2は、電源モジュール自体の過負荷保護としての、また、出力に接続された負荷を保護する役割を果たす。スイッチ8.3の状態に応じて、第2リミッタ10.2が第1リミッタ10.1の機能を二重化してもよいし、または、両方の出力が独立してもよい。
【0032】
創作された超小型衛星システム用電源モジュールは、以下のように使用される。
【0033】
衛星に設置された複数の太陽電池パネルは、入力ステージ1.1および/または1.2および/または1.3のコネクタと接続されている。これらのパネルで生成されたエネルギーは、入力ステージ1.1および/または1.2および/または1.3の電圧コンバータを介して、この電源モジュールに接続されたバッテリーパックを最も効率的に充電するために最適な電位を持つ電圧に変換される。このエネルギーは、充電ステージ2.1の入力に供給される。そこから、このエネルギーの主要部分は、バッテリーセル4.1に導かれ、バランシングステージ3.1の助けを借りてその中に蓄積される。このエネルギーのより少ない部分は、補助電源5.1の1つの入力に供給される。補助電源5.1は、電源モジュールの制御ユニット6.1、6.2への無停電電源として機能する。セルが充電されると、次に、充電ステージ2.1のエネルギーのほとんどは制御・エネルギー分配モジュールに供給される。これは、それぞれの電圧コンバータ9.1または9.2への正電位ラインスイッチ8.1または8.2によって行われる。モジュールには、このような電圧コンバータが複数存在してもよく、多くの場合、10個存在する。各電圧コンバータは、所定の衛星で使用されるペイロードおよびサブシステムの要件に従って、入力電圧を異なるレベルの出力電圧に変換する役割を果たす。この出力電圧は、コネクタ7.6または7.7に供給され、そのような電位を持つ電源を使用する任意のモジュールによってアクセス可能である。第1電圧コンバータ9.1または第2電圧コンバータ9.2とコネクタ7.6または7.7との間に電流リミッタ10.1または10.2がそれぞれ接続され、この出力に接続された外部デバイスが消費する電流を制限する。保護機能の作動レベルは、USB経由で外部のコンピュータからカスタマが直接設定することが可能である。
【0034】
必要に応じて、1個から8個の間でバッテリーパックを電源モジュールに接続することができる。コネクタ7.2および7.3のアドレスを通じて、電源モジュールは、同一のバッテリーパックがいくつ接続され、そのうちいくつが一度にアクティブになっているかを認識することができる。システムのエネルギー容量を知ることで、エネルギーをより効率的に管理し、コンシューマに分配することができるため、この情報は重要である。
【0035】
さらに、複数の制御・エネルギー分配モジュールを使用することも可能である。これらのモジュールは同じもので、バッテリーパックと同様、1個から8個の間でもよい。この機能は、多くの独立したコンシューマに対して、より多くの出力チャネルの可能性を提供する。
【0036】
電源モジュールの状態は、コンピュータへのUSB接続を介して、または衛星に設置されたコンピュータモジュールから通信コネクタ7.5のRS-485通信インターフェイスを介して判断できる。この情報は、電源モジュールの監視と診断に使用される。
【0037】
また、創作された電源モジュールは、ソーラーパネルから受け取ったエネルギーの分配を2つのモードから選択することが可能である。第1のモードは「バッテリーセル優先」で、電源モジュールの出力に接続されたコンシューマよりもバッテリーへの充電が優先される。つまり、エネルギーが必要量より少なく、バッテリーおよびコンシューマにおいて不足している場合は、バッテリーセルに振り分けられ、余った分だけがコンシューマに振り分けられる。第2の「コンシューマ優先」モードでは、コンシューマが優先される。そして、エネルギーは直接コンシューマに向けられ、エネルギーが余った場合は、バッテリーセルの充電に使用される。