(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241112BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241112BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20241112BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241112BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241112BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/86
A61K8/60
A61K8/34
A61K8/37
A61Q1/14
(21)【出願番号】P 2023021269
(22)【出願日】2023-02-15
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000151966
【氏名又は名称】株式会社桃谷順天館
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】関根 大輝
(72)【発明者】
【氏名】野口 安則
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122198(JP,A)
【文献】特開平10-001413(JP,A)
【文献】特開2022-026739(JP,A)
【文献】国際公開第2022/172645(WO,A1)
【文献】特開2014-122197(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0053638(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0132666(KR,A)
【文献】特開2021-167292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(E):
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ノニオン性界面活性剤(但し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)
(C)多価アルコール
(D)油性成分
(E)水
を含み、
前記成分(A)は、HLBが8~17であり、かつ、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル、ジラウリン酸ポリグリセリル、トリラウリン酸ポリグリセリル、ジミリスチン酸ポリグリセリル、トリミリスチン酸ポリグリセリル、ジパルミチン酸ポリグリセリル、トリパルミチン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、及びトリステアリン酸ポリグリセリルからなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記成分(A)の含有量は、12~30質量%であり、
前記成分(B)は、以下の成分(B1)及び/又は(B2)であり、
(B1)アルキルグルコシド
(B2)ソルビタン脂肪酸エステル
前記(B1)アルキルグルコシドは、HLBが14~20であり、かつ、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、ドデシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、パルミチルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、及び(カプリリル/カプリル)グルコシドからなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記(B2)ソルビタン脂肪酸エステルは、HLBが3~10であり、かつ、ラウリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンからなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記成分(B1)の含有量は、0.5~5質量%であり、
前記成分(B2)の含有量は、1~5質量%であり、
前記成分(C)は、 炭素数2以上の2価以上のアルコール、重合度が1~20のポリグリセリン、及び糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記炭素数2以上の2価以上のアルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘプタンジオール、及びヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記重合度が1~20のポリグリセリンは、ジグリセリン、及び/又はトリグリセリンであり、
前記糖アルコールは、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、及びキシリトールからなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記成分(C)の含有量は、5~42質量%であり、
前記成分(D)は、凝固点が20℃以下の炭化水素油、脂肪酸又は多塩基酸とアルコールとのエステル体であって、凝固点が20℃以下のエステル油、及びアルコールの脱水反応物であって、凝固点が20℃以下のエーテル油からなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記成分(D)の含有量は、20~40質量%であり、
前記成分(E)の含有量は、10~25質量%であり、
バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を有し、
「ISO16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」に示された算出方法により前記(E)水を含まずに算出される自然由来指数が80%以上であるクレンジング化粧料
(但し、ポリオキシエチレンを含有するクレンジング化粧料、会合性ポリウレタンを含有するクレンジング化粧料、及び分岐鎖脂肪酸フィトステリルエステルを含有するクレンジング化粧料を除く)。
【請求項2】
前記成分(D)は、スクワラン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、炭酸ジカプリリル、ラウリン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸メチルヘプチル、パルミチン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ラウリン酸イソアミル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸デシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸デシル、エルカ酸オレイル、及びジカプリリルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載のクレンジング化粧料。
【請求項3】
(F)温度安定成分をさらに含み、
前記成分(F)は、炭素数8~22の飽和又は不飽和の脂肪酸である
請求項1又は2に記載のクレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイク落とし等に利用されるクレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の汚れやメイク汚れを取り去る化粧料としてクレンジング化粧料が使用されている。最近では、肌や手が水(少量であっても)に濡れた状態で使用した場合であっても、高いクレンジング力を維持し、洗浄後のべたつき感も少なく、さっぱりとした使用感が得られるクレンジング化粧料が好まれている。このようなクレンジング化粧料として、バイコンティニュアス(両連続)マイクロエマルジョン構造を有するクレンジング化粧料が検討されている。このクレンジング化粧料においては、酸化エチレンが付加重合した非イオン(ノニオン)性界面活性剤が用いられる場合が多い。しかし、それ以外の界面活性剤を用い、油性成分を抱える能力と、水を抱える能力との双方を備えるバイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を有するクレンジング化粧料が提案されている。
【0003】
この種のクレンジング化粧料として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、バイコンティニュアス型マイクロエマルジョンからなる皮膚洗浄剤組成物(クレンジング化粧料)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたクレンジング化粧料は、メイク(メイク化粧料)等の油分との馴染み性、水洗性(水によるすすぎ性)、洗いあがりのうるおい感、保存安定性等が不十分となる虞がある。また、自然環境への配慮が不十分となる虞もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、油分との馴染み性、水洗性、洗いあがりのうるおい感及び保存安定性に優れ、しかも自然環境にも配慮されたクレンジング化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係るクレンジング化粧料の特徴構成は、
以下の成分(A)~(E):
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ノニオン性界面活性剤(但し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)
(C)多価アルコール
(D)油性成分
(E)水
を含み、
「ISO16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」に示された算出方法により前記(E)水を含まずに算出される自然由来指数が80%以上であることにある。
【0008】
本構成のクレンジング化粧料によれば、界面活性剤として成分(A)及び(B)を配合することにより、水性成分である成分(E)と、油性成分である成分(D)との間に介在する成分(A)及び(B)の会合が連続し、これにより、水性成分及び油性成分が夫々連続相をなしたバイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を形成することができる。すなわち、水相と油相とが3次元的に入り組んだ状態で夫々連続とした領域を形成することができる。また、成分(C)を含有することによって、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を安定なものとすることができるため、当該クレンジング化粧料は、保存安定性に優れたものとなる。さらに、油相と水相とが両連続となっているバイコンティニュアスマイクロエマルジョンは、油相と水相との界面張力差が非常に小さい状態となっているため、当該クレンジング化粧料は、油分との馴染み性、水洗性、及び洗いあがりのうるおい感に優れたものとなる。また、当該クレンジング化粧料は、上記自然由来指数が80%以上であることにより、自然環境にも配慮されたものとなる。
【0009】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
前記成分(A)の構成原料である脂肪酸は、35℃にて液状の脂肪酸であることが好ましい。
【0010】
本構成のクレンジング化粧料によれば、成分(A)の構成原料である脂肪酸として35℃にて液状の脂肪酸を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができる。
【0011】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
前記成分(B)は、アルキルグルコシド及び/又はソルビタン脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0012】
本構成のクレンジング化粧料によれば、成分(B)としてアルキルグルコシド及び/又はソルビタン脂肪酸エステルを選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。また、油分との馴染み性、水洗性、及び洗いあがりのうるおい感を高めることができる。
【0013】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
前記成分(C)は、炭素数2以上の2価以上のアルコール、重合度が1~20のポリグリセリン、及び糖アルコールからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0014】
本構成のクレンジング化粧料によれば、成分(C)として上記の化合物を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができる。
【0015】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
前記成分(D)は、凝固点が20℃以下の炭化水素油、脂肪酸又は多塩基酸とアルコールとのエステル体であって、凝固点が20℃以下のエステル油、及びアルコールの脱水反応物であって、凝固点が20℃以下のエーテル油からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0016】
本構成のクレンジング化粧料によれば、成分(D)として上記の種類を選択することにより、油分との馴染み性を高めることができる。
【0017】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
(F)温度安定成分をさらに含むことが好ましい。
【0018】
本構成のクレンジング化粧料によれば、成分(F)として温度安定成分をさらに含むことにより、保存安定性を高めることができる。
【0019】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
前記成分(F)は、炭素数8~22の飽和又は不飽和の脂肪酸であることが好ましい。
【0020】
本構成のクレンジング化粧料によれば、成分(F)として炭素数8~22の飽和又は不飽和の脂肪酸を選択することにより、保存安定性をより高めることができる。
【0021】
本発明に係るクレンジング化粧料において、
バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を有することが好ましい。
【0022】
本構成のクレンジング化粧料によれば、上述したように、保存安定性の高いバイコンティニュアスマイクロエマルション構造を有し、油分との馴染み性、水洗性、及び洗いあがりのうるおい感に優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のクレンジング化粧料の実施形態について、以下に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に記載される構成に限定されることを意図しない。なお、本明細書において数値範囲を示す表記「~」がある場合、その数値範囲には、「~」を挟む各数値が上限値及び下限値として含まれることを意味し、また、各上限値及び各下限値を適宜組み合わせて数値範囲としてもよい。
【0024】
[クレンジング化粧料]
本実施形態に係るクレンジング化粧料は、
以下の成分(A)~(E):
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(B)ノニオン性界面活性剤(但し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)
(C)多価アルコール
(D)油性成分
(E)水
を含む。
当該クレンジング化粧料は、成分(F)として温度安定成分をさらに含んでもよい。
【0025】
<(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル>
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの縮合体であるポリグリセリンの水酸基(OH基)1個以上と、脂肪酸とのエステル化物である。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、環状であっても、非環状であってもよい。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、天然由来のものを単独で使用してもよいし、天然由来のものと石油由来のものとを併用してもよい。当該クレンジング化粧料に含まれる他の成分についても同様である。天然由来のポリグリセリンは、天然由来のグリセリンを縮合することによって得られる。石油由来のポリグリセリンは、石油由来のグリシジル基を有するグリシドールやエピクロルヒドリンを開環重合することによって得られる。天然由来のポリグリセリンは、石油由来のポリグリセリンと比較して、環状のポリグリセリンの含有率が高い。
【0026】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水性-親油性比(hydrophile-lipophile balance:HLB)が8~17であることが好ましく、10~15がより好ましい。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBを上記範囲とすることにより、親水性と親油性とのバランスが適切なものとなるため、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができる。
【0027】
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、カプリル酸ポリグリセリル、カプリン酸ポリグリセリル、オクタン酸ポリグリセリル、2-エチルヘキサン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル、ベヘン酸ポリグリセリル、ジラウリン酸ポリグリセリル、トリラウリン酸ポリグリセリル、ジミリスチン酸ポリグリセリル、トリミリスチン酸ポリグリセリル、ジパルミチン酸ポリグリセリル、トリパルミチン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、(イソステアリン酸/オレイン酸)ポリグリセリル、ジ(ラウリン酸/オレイン酸)デカグリセリル、トリ(カプリン酸/イソステアリン酸)ポリグリセリル等が挙げられる。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成原料である脂肪酸としては、35℃にて液状の脂肪酸が好ましい。このような脂肪酸としては、カプリン酸(融点:31.6℃)、オレイン酸(融点:13.4℃)、イソステアリン酸(常温で液状)等が挙げられ、これらのうち、オレイン酸、イソステアリン酸が好ましい。すなわち、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、上記化合物のうち、オレイン酸ポリグリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリルが好ましい。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルとして適切な化合物を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、上記化合物を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0028】
当該クレンジング化粧料における(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、12~30質量%が好ましい。具体的には、(B)ノニオン性界面活性剤として後述する(B1)アルキルグルコシドを配合する場合、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、14~19質量%が好ましい。(B)ノニオン性界面活性剤として後述する(B2)ソルビタン脂肪酸エステルを配合する場合、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、24~30質量%が好ましい。(B)ノニオン界面活性剤として後述する(B1)アルキルグルコシド及び(B2)ソルビタン脂肪酸エステルを併用する場合、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、13~17質量%が好ましい。上記含有量を上記範囲とすることにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性を高めることができる。
【0029】
<(B)ノニオン性界面活性剤(但し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)>
(B)ノニオン性界面活性剤としては、(B1)アルキルグルコシド及び/又は(B2)ソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。(B)ノニオン性界面活性剤として適切な種類を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。また、油分との馴染み性、水洗性、及び洗いあがりのうるおい感を高めることができる。(B)ノニオン性界面活性剤は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0030】
(B1)アルキルグルコシドは、糖と、炭素数8~16の高級アルコールとがグルコシド結合してなる化合物である。(B1)アルキルグルコシドは、高い起泡性と油汚れに対する洗浄力とに優れたノニオン性界面活性剤であり、天然由来のものが好ましい。(B1)アルキルグルコシドは、HLBが14~20であることが好ましい。(B1)アルキルグルコシドのHLBを上記範囲とすることにより、親水性と親油性とのバランスが適切なものとなるため、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができ、保存安定性を高めることができる。また、(B1)アルキルグルコシドの優れた洗浄力により、油分との馴染み性、及び水洗性を高めることができる。
【0031】
(B1)アルキルグルコシドとしては、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、ドデシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、パルミチルグルコシド、ヤシ油由来のアルキルグルコシド(ヤシ油アルキルグルコシド)、(カプリリル/カプリル)グルコシド等が挙げられる。これらのうち、ヤシ油アルキルグルコシド、ラウリルグルコシド、デシルグルコシドが好ましい。(B1)アルキルグルコシドとして適切な化合物を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。また、(B1)アルキルグルコシドの優れた洗浄力により、油分との馴染み性、及び水洗性を高めることができる。(B1)アルキルグルコシドは、上記化合物を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0032】
(B2)ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと脂肪酸とのエステル化物である。(B2)ソルビタン脂肪酸エステルは、水との水和物を形成し易く、その水和物の形成作用を利用し、洗いあがりのしっとり感を付与させる目的で洗顔料等に使用されるものであり、天然由来のものが好ましい。(B2)ソルビタン脂肪酸エステルは、HLBが3~10であることが好ましい。(B2)ソルビタン脂肪酸エステルのHLBを上記範囲とすることにより、親水性と親油性とのバランスが適切なものとなるため、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができ、保存安定性を高めることができる。また、(B2)ソルビタン脂肪酸エステルが親油性であることから、油分との馴染み性を高めることができる。また、水和物の形成効果により、洗いあがりのうるおい感にも優れている。
【0033】
(B2)ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、カプリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらのうち、イソステアリン酸ソルビタンが好ましい。(B2)ソルビタン脂肪酸エステルとして適切な化合物を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。また、(B2)ソルビタン脂肪酸エステルが親油性であることから、油分との馴染み性を高めることができる。また、水和物の形成効果により、洗いあがりのうるおい感にも優れている。(B2)ソルビタン脂肪酸エステルは、上記化合物を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0034】
当該クレンジング化粧料における(B)ノニオン性界面活性剤の含有量は、0.01~10質量%であることが好ましい。(B)ノニオン性界面活性剤が溶媒に溶解又は分散されている場合、その含有量は、固形分に換算した含有量である。例えば、(B)ノニオン性界面活性剤が(B1)アルキルグルコシドである場合、その含有量は、0.5~5質量%が好ましい。(B)ノニオン性界面活性剤が(B2)ソルビタン脂肪酸エステルである場合、その含有量は、1~5質量%が好ましい。上記含有量とすることにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。また、油分との馴染み性、水洗性、及び洗いあがりのうるおい感を高めることができる。
【0035】
また、(B)ノニオン性界面活性剤を含有する分、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量を減らすことができるため、当該クレンジング化粧料の匂いを低減することができる。
【0036】
<(C)多価アルコール>
(C)多価アルコールとしては、炭素数2以上の2価以上のアルコール、重合度が1~20のポリグリセリン、糖アルコール等が挙げられる。炭素数2以上の2価以上のアルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられ、これらのうち、グリセリン、ペンチレングリコール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオールが好ましい。重合度1~20のポリグリセリンとしては、ジグリセリン、トリグリセリン等が挙げられ、これらのうち、ジグリセリンが好ましい。糖アルコールとしては、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール等が挙げられ、これらのうち、ソルビトールが好ましい。(C)多価アルコールとして適切な化合物を選択することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができる。(C)多価アルコールは、上記化合物を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0037】
当該クレンジング化粧料における(C)多価アルコールの含有量は、5~42質量%であることが好ましい。例えば、(C)多価アルコールとしてペンチレングリコールとグリセリンとを併用する場合、ペンチレングリコールの含有量は、3~7質量%、グリセリンの含有量は、10~35質量%が好ましい。上記含有量とすることにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性を高めることができる。
【0038】
<(D)油性成分>
(D)油性成分は、上述した(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び(B)ノニオン性界面活性剤以外の油性成分である。すなわち、(D)油性成分は、油性成分(但し、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びノニオン性界面活性剤を除く)である。(D)油性成分としては、凝固点が20℃以下の炭化水素油、脂肪酸又は多塩基酸とアルコールとのエステル体であって、凝固点が20℃以下のエステル油、アルコールの脱水反応物であって、凝固点が20℃以下のエーテル油等が挙げられる。上記炭化水素油としては、スクワラン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が好ましい。上記エステル油としては、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、炭酸ジカプリリル、ラウリン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸メチルヘプチル、パルミチン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、ラウリン酸イソアミル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸デシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸デシル、エルカ酸オレイル等が好ましい。上記エーテル油としては、ジカプリリルエーテル等が好ましい。(D)油性成分として適切な種類を選択することにより、油分との馴染み性を高めることができる。(D)油性成分は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0039】
当該クレンジング化粧料における(D)油性成分の含有量は、20~40質量%であることが好ましい。上記含有量とすることにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性を高めることができる。
【0040】
<(E)水>
水の自然由来指数は100%である。当該クレンジング化粧料における(E)水の含有量は、10~25質量%であることが好ましい。上記含有量とすることにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性を高めることができる。
【0041】
<(F)温度安定成分>
本実施形態のクレンジング化粧料は、(F)温度安定成分をさらに含むことが好ましい。「温度安定成分」とは、温度変化が生じた際に、当該クレンジング化粧料の外観を変化させることなく維持させることが可能な成分をいう。(F)温度安定成分をさらに含有することにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性を高めることができる。(F)温度安定成分としては、炭素数8~22の飽和又は不飽和の脂肪酸を使用することができる。当該脂肪酸は、直鎖状、分岐状の何れの脂肪酸であってもよい。当該脂肪酸は、R-COOH(Rは、炭素数7~21の炭化水素基である)の構造を有するものである。当該脂肪酸は、それ自体単独ではバイコンティニュアスマイクロエマルジョン等の会合体を形成する性質を有していないが、バイコンティニュアスマイクロエマルジョンを形成する界面活性剤と共存させることにより、R-COOHの構造を有することに起因して、界面活性剤とともに水相と油相との界面膜に存在するコサーファクタントとして作用するものと推察される。そして、当該脂肪酸がコサーファクタントとして上記界面膜に作用することにより、この作用がバイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造の維持に寄与するため、温度安定性が向上するものと考えられる。このような脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、ヒドロキシステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸、リシノレイン酸、ポリリシノレイン酸、サフラワー油脂肪酸、コメヌカ脂肪酸、トール油脂肪酸、ヤシ脂肪酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、これらのうち、カプリン酸(直鎖状、飽和、炭素数10)、ラウリン酸(直鎖状、飽和、炭素数12)、ミリスチン酸(直鎖状、飽和、炭素数14)、オレイン酸(直鎖状、不飽和、炭素数18)、イソステアリン酸(分岐状、飽和、炭素数18)が好ましい。(F)温度安定成分として適切な化合物を選択することにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性をより高めることができる。(F)温度安定成分は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0042】
当該クレンジング化粧料における(F)温度安定成分の含有量は、0.01~2質量%であることが好ましい。上記含有量とすることにより、当該クレンジング化粧料の保存安定性をより高めることができる。
【0043】
<他の含有成分>
当該クレンジング化粧料には、上記成分(A)~(E)、及び上記成分(F)の他、当該クレンジング化粧料の効果を妨げない範囲において、上記以外の添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、β-カロチン、アスタキサンチン、ルテイン等の色素類、セラミド等のスフィンゴリン脂質類、フラボン、フラボノール、イソフラボン、アントシアン等のフラボノイド類、フェルラ酸等のポリフェノール類、油性のビタミン類、アミノ酸類、植物エキス類、精油、pH調整剤、防腐剤等が挙げられる。また、当該クレンジング化粧料は、ポリオキシエチレン(POE)を含有していないことが好ましく、このようにPOEを含有しない場合であっても、上述したように、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造をより安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができる。
【0044】
<クレンジング化粧料の自然由来指数>
当該クレンジング化粧料は、「ISO16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」に示された算出方法により(E)水を含まずに算出される自然由来指数(以下、単に「自然由来指数」と称する)が80%以上であり、100%が好ましい。当該クレンジング化粧料の自然由来指数が80%以上であることによって、自然環境への配慮に優れたものとなる。本発明において、クレンジング化粧料の自然由来指数は、(E)水を含まずに算出される数値である。具体的には、クレンジング化粧料に含まれる成分のうち、(E)水を含まない(水を除いた)成分に基づいて算出される数値である。
【0045】
当該クレンジング化粧料の自然由来指数は、含有成分の自然由来指数によって調整することができる。この点を考慮すると、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)ノニオン性界面活性剤、(C)多価アルコール、(D)油性成分、及び(F)温度安定成分は、自然由来指数が80%以上であることが好ましく、100%がより好ましい。これら成分の自然由来指数を80%以上とすることにより、より確実に当該クレンジング化粧料の自然由来指数を80%以上とすることができる。
【0046】
<クレンジング化粧料の特性>
当該クレンジング化粧料は、上記成分(A)~(E)、任意の上記成分(F)、及び任意の添加剤を含有することにより、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を有する液状であることが好ましい。
【0047】
バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造とは、水性成分と、油性成分と、界面活性剤とを含有する組成物において、界面活性剤の会合が連続することによって、水性成分及び油性成分が夫々連続な相をなした構造をいう。バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造の一例として、水性成分と油性成分とが界面活性剤を介した相溶状態から非相溶状態に相転移する過程において形成される共連続構造が挙げられる。ここで、共連続構造が形成される初期段階において見られる弱い濃度ゆらぎが固定されたものや、後期段階において見られる各相が部分的に切断されている状態のものも、共連続構造に含まれる。共連続構造は、位相差顕微鏡等の光学式顕微鏡を用いて視認可能なサブμmオーダー乃至サブmmオーダーの構造を有している。代表的な共連続構造は、第一相と第二相とが相互に入り込んだ周期性のある変調構造を有している。水相及び油相が共に連続相をなすバイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造は、光学的に等方性を有する透明ないし半透明な液状物である。
【0048】
当該クレンジング化粧料は、バイコンティニュアスマイクロエマルジョン構造を有することによって、水相と油相とが3次元的に入り組んだ状態で夫々連続とした領域が形成されている。また、油相と水相とが両連続となっているバイコンティニュアスマイクロエマルジョンにおいて、油相と水相との界面張力差を非常に小さい状態とすることができるため、油分との馴染み性、及び水洗性が高められたものとなる。
【0049】
当該クレンジング化粧料のHLBは、10~14であることが好ましい。HLBを上記範囲とすることにより、バイコンティニュアスマイクロエマルション構造を、より安定なものとすることができるため、保存安定性を高めることができ、また、油分との馴染み性、及び水洗性に優れたクレンジング化粧料を得ることができる。
【0050】
<クレンジング化粧料の調製方法>
当該クレンジング化粧料は、上記成分(A)~(E)、任意の上記成分(F)、及び任意の添加剤を従来公知の方法を用いて加熱溶解し、撹拌混合後に冷却することによって得られる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を示しつつ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0052】
[試験例1]
表1~6に示す処方に従い、各実施例及び比較例において、全成分を加熱溶解し、撹拌混合後に冷却することによって、実施例1~29、及び比較例1~3のクレンジング化粧料を得た。得られた各クレンジング化粧料のHLB、活性剤総量(質量%)、ポリオール総量(質量%)、及び自然由来指数を表1~6に示す。活性剤総量(質量%)は、(A)成分及び(B)成分の総量であり、例えば実施例1においては、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10の配合量(16.00質量%)と、52%-ヤシ油アルキルグルコシドの固形分(4.90×0.52=2.548質量%)の配合量との総和(18.548質量%)である。ポリオール総量(質量%)は、(C)成分の総量であり、例えば実施例1においては、ペンチレングリコールの配合量(4.20質量%)と、グリセリンの配合量(31.00質量%)との総和(35.20質量%)である。自然由来指数(%)は、水を含まないで計算し、小数点以下を四捨五入した値である。表5には、参考として表1の実施例1を、比較例3と併せて示す。なお、比較例3における水以外の成分のうち、自然由来原料を含む成分はジイソステアリン酸デカグリセリル(自然由来部分:0.59)及びパルミチン酸エチルヘキシル(自然由来部分:0.65)であり、残りの成分は非自然原料であるため、自然由来指数は21%となる。表6には、参考として、表1の実施例5を、実施例27~29と併せて示す。得られたクレンジング化粧料の製造直後の外観(初期外観)、メイク化粧料との馴染み性、クレンジング力、水洗性、洗いあがりのうるおい感、及び保存安定性について、下記の評価方法に従って評価した。結果を表1~6に示す。
【0053】
(外観)
外観については、25℃にて直径27mmのガラス製の円柱管に、クレンジング化粧料(検体)を入れ、横から目視により観察して評価した。目視観察により、透明一相液である場合(透明)を良好と評価した。一方、水相と油相とが分離している場合(分離)、又は円柱管を透けて向こう側が見え難い場合(半透明)若しくは向こう側が見えない場合(不透明)を不良と評価した。
【0054】
(メイク化粧料との馴染み性)
クレンジング化粧料(検体)について、10名の被験者を対象とし、何れのクレンジング化粧料を使用しているか判別できないようにブラインドで使用してもらい、メイク化粧料とクレンジング化粧料との馴染み性を評価した。具体的には、下記の評価方法及び判定基準に従って評価した。
・評価方法
メイク化粧料としてBBクリーム(ファンデーションをベースに各種の機能が一つとなった化粧料)を用いた。BBクリーム0.1gを手の甲の3cm×4cmの範囲の領域に塗布し、塗布後5分間静置した。次いで、塗布したBBクリームの上にクレンジング化粧料0.5gを落とし、指にて往復30回マッサージを行い、BBクリームと馴染ませた。その際、BBクリームとクレンジング化粧料との馴染みの程度について、下記判定基準で評価した(メイク化粧料との馴染み性の評価)。
・判定基準
A:マッサージ回数(往復)が15回以下でクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染む(優良)
B:マッサージ回数(往復)が15回超30回以下でクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染む(良好)
C:マッサージ回数(往復)が30回以下ではクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染まない(不良)
【0055】
(クレンジング力、水洗性及び洗いあがりのうるおい感)
上記「メイク化粧料との馴染み性」の評価に続けて、クレンジング力、水洗性及び洗いあがりのうるおい感を評価した。具体的には、下記の評価方法及び判定基準に従って評価した。
・評価方法
上記「メイク化粧料との馴染み性」の評価においてクレンジング化粧料と馴染ませたBBクリームを、流水下にて往復10回マッサージして洗い流した。洗い流し後、手の甲におけるBBクリームの残留状態を目視で確認し、下記の判定基準で評価した(クレンジング力の評価)。併せて、手の甲における残油感等の強弱を下記の判定基準で評価するとともに(水洗性の評価)、洗いあがりのうるおい感を下記の判定基準で評価した(洗いあがりのうるおい感の評価)。
・クレンジング力の判定基準
A:BBクリームが十分に落ちている(優良)
B:BBクリームの落ちが普通である(良好)
C:BBクリームの落ちが不十分である(不良)
・水洗性(洗浄時のさっぱり感)の判定基準
A:殆ど残油感がなく、さっぱり洗い流せる(優良)
B:やや残油感がある(良好)
C:残油感があり、さっぱりしない(不良)
・洗いあがりのうるおい感
A:うるおい感がある(優良)
B:ややうるおい感がある(良好)
C:うるおい感が不十分(不良)
【0056】
(保存安定性)
保存安定性については、室温で保存後1ヶ月(室温×1ヶ月)、50℃で保存後1ヶ月(50℃×1ヶ月)、及び5℃で保存後1ヶ月(5℃×1ヶ月)経過後の外観を、下記の判定基準に従って評価した。なお、水相及び油相の一方が他方から分離している程度が大きくなるに従って、くすみや濁りの程度が大きくなり、ひいては2相の分離に至る。
A:くすみや濁りが認められず、透明である(優良)
B:僅かにくすみや濁りが認められる(良好)
C:ややくすみや濁りが認められる(普通)
D:くすみや濁りが認められる(やや不良)
E:水相と油相との分離が認められる(不良)
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
表1~6に示すように、成分(A)~(E)を含有する実施例1~29のクレンジング化粧料は、初期外観が透明であり、水相と油相との分離が認められず、メイク化粧料との馴染み性、クレンジング力、水洗性、及び洗いあがりのうるおい感も良好であることが示された。また、室温での保存安定性が良好であることに加えて、高温(50℃)及び低温(5℃)の少なくとも一方での保存安定性も良好であることが示された。
【0064】
成分(B)としてアルキルグルコシドを配合する場合には、実施例1~2に示すように、成分(A)の含有量を16~17質量%とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に優れることが示された。実施例3~7に示すように、成分(B)の含有量を3.7~5.1質量%(52%濃度水溶液の場合)とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に優れることが示された。実施例8~11に示すように、成分(C)の含有量を32.2~37.2質量%とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の少なくとも一方での保存安定性に優れることが示された。実施例12~14に示すように、成分(D)の含有量を25~29質量%とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に優れることが示された。実施例15~16に示すように、成分(A)のHLBを適切な範囲とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の何れか一方での保存安定性に優れる傾向にあることが示された。
【0065】
成分(B)としてソルビタン脂肪酸エステルを配合する場合には、実施例17~18に示すように、成分(A)の含有量を26.5質量%超、例えば28~30質量%とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に優れると推察される。
【0066】
成分(B)としてアルキルグルコシド及びソルビタン脂肪酸エステルの双方を配合する場合には、実施例19~23に示すように、これらの合計含有量を7.5~8.1質量%(アルキルグルコシドは52%濃度水溶液の場合)とすることよって、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に優れることが示された。
【0067】
成分(B)としてソルビタン脂肪酸エステルを配合する場合においても、実施例24~26に示すように、成分(A)のHLBを適切な範囲とすることにより、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に優れる傾向にあることが示された。
【0068】
成分(F)としてラウリン酸以外の脂肪酸を配合する場合においても、実施例27~29に示すように、ラウリン酸を配合する実施例5と同様に、優れた効果を奏することが示された。
【0069】
これに対し、成分(A)を含有しない比較例1~2、特許文献1の実施例1記載の処方である比較例3は、製造直後の外観に劣る場合があり、メイク化粧料との馴染み、クレンジング力、及び水洗性は良好であるものの、高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性に劣ることが示された。また、実施例1と、比較例3との比較より、実施例1は、クレンジング化粧料の自然由来指数を80%以上とし、メイク化粧料との馴染み性、クレンジング力、水洗性、並びに高温(50℃)及び低温(5℃)の双方での保存安定性を高め得ることが分かる。
【0070】
[試験例2]
表7に示す処方に従い、実施例30、及び比較例4のクレンジング化粧料を試験例1と同様にして調製した。なお、使用した原料は、何れも自然由来指数が100%であり、それゆえ、得られた各クレンジング化粧料の自然由来指数も100%であった。得られたクレンジング化粧料について、15名の被験者を対象とし、何れのクレンジング化粧料を使用しているか判別できないようにブラインドで使用してもらい、使用性及び匂いを評価した。具体的には、使用性評価については、表7に示す項目において、下記の評価方法及び判定基準に従って、数値1~5の5段階で点数評価してもらい、15名の平均値を算出した。匂い評価については、表7に示す項目において、下記の評価方法及び評価基準に従って、数値1~4の4段階で評価してもらい、15名の平均値を算出し、全項目の合計平均スコア(100%)に対する各項目の平均スコアの割合を百分率(%)で示した。結果を表7に示す。
【0071】
(使用性評価)
使用性評価として、メイク化粧料との馴染み性、クレンジング力、及び洗い流し後のさっぱり感を、下記の評価方法及び判定基準に従って評価した。
<評価方法>
メイク化粧料として、BBクリーム(ファンデーションをベースに各種の機能が一つとなった化粧料)と、口紅とを用いた。BBクリームは0.1g、口紅は0.05gを夫々手の甲の3cm×4cmの範囲の領域(異なる領域)に塗布し、塗布後5分間静置した。次いで、塗布した各メイク化粧料(BBクリーム、口紅)上に、夫々クレンジング洗浄料(検体)0.5gを落とし、指にて往復30回マッサージを行い、各メイク化粧料(BBクリーム、口紅)と夫々馴染ませた。その際、各メイク化粧料(BBクリーム、口紅)とクレンジング化粧料との馴染みの程度について、下記判定基準で評価した(メイク化粧料との馴染み性の評価)。次いで、クレンジング洗浄料を馴染ませた各メイク化粧料を流水下にて往復10回マッサージして洗い流し、洗い流し後、手の甲における各メイク化粧料の残留状態を目視で確認し、下記判定基準で評価した(クレンジング力の評価)。併せて、洗い流し後のさっぱり感を下記判定基準で評価した(洗い流し後のさっぱり感の評価)。
・メイク化粧料との馴染み性の判定基準
5:マッサージ回数(往復)が10回以下でクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染む(極めて優良)
4:マッサージ回数(往復)が10回超15回以下でクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染む(優良)
3:マッサージ回数(往復)が15回超25回以下でクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染む(良好)
2:マッサージ回数(往復)が25回超30回以下でクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染む(やや良好)
1:マッサージ回数(往復)が30回以下ではクレンジング化粧料とメイク化粧料とが完全に馴染まない(不良)
・クレンジング力の判定基準
5:メイク化粧料が十分に落ちている(優良)
4:メイク化粧料がほぼ十分に落ちている(良好)
3:メイク化粧料の落ちが普通である(普通)
2:メイク化粧料の落ちがやや不十分である(やや不良)
1:メイク化粧料の落ちが不十分である(不良)
・洗い流し後のさっぱり感の判定基準
5:さっぱり感がある(優良)
4:ややさっぱり感がある(良好)
3:普通(普通)
2:ややさっぱり感がない(やや不良)
1:さっぱり感がない(不良)
【0072】
(匂い評価)
<評価方法>
上記メイク化粧料との馴染み性の評価の際、クレンジング洗浄料とメイク化粧料と馴染ませているときの匂いを、下記の判定基準に従って評価した。
・判定基準
4:全く気にならない(優良)
3:感じるが許容範囲(良好)
2:やや気になる(やや不良)
1:かなり気になる(不良)
【0073】
【0074】
表7に示すように、成分(A)~(E)を含む実施例30は、成分(B)を含まない比較例4よりも、使用性及び匂いにおいて優れることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のクレンジング化粧料は、油分との馴染み性、水洗性及び保存安定性に優れ、しかも自然環境にも配慮されているため、メイク落とし等に好適である。