(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 5/04 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
F16K5/04 E
F16K5/04 Z
(21)【出願番号】P 2023111594
(22)【出願日】2023-07-06
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 勇紀
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌久
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-237344(JP,A)
【文献】米国特許第02945668(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0052292(US,A1)
【文献】特開2021-148241(JP,A)
【文献】特開2017-003064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸線を有する弁体と、第2軸線を有するハウジングと、前記弁体を前記ハウジングに回転可能に支持する支持機構と、を備え、
前記ハウジングは、流体の流入口及び流出口を有し、
前記弁体は、前記第1軸線を前記第2軸線に合致させた状態で前記ハウジングに収容される弁本体部を有し、
前記第1軸線を中心とした前記弁体の回転により、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、
前記弁体の回転は、前記第1軸線を前記第2軸線に合致させた状態でのみ行われ、
前記支持機構は、前記ハウジング及び前記弁本体部の一方において前記第2軸線に沿う方向へ延び、かつ一端に開口部を有するとともに他端に内底面を有する軸受穴と、他方から前記第2軸線に沿う方向へ突出し、かつ前記軸受穴に挿入される軸部とを備え、
前記内底面は、前記第2軸線に直交する平面により構成され、
前記軸部の先端面のうち、少なくとも前記第2軸線を含む領域は、前記内底面側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、
前記先端面は、前記先端面の前記湾曲面のうち前記第2軸線が通る箇所において前記内底面に接触しているロータリバルブ。
【請求項2】
第1軸線を有する弁体と、第2軸線を有するハウジングと、前記弁体を前記ハウジングに回転可能に支持する支持機構と、を備え、
前記ハウジングは、流体の流入口及び流出口を有し、
前記弁体は、前記第1軸線を前記第2軸線に合致させた状態で前記ハウジングに収容される弁本体部を有し、
前記第1軸線を中心とした前記弁体の回転により、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、
前記支持機構は、前記ハウジング及び前記弁本体部の一方において前記第2軸線に沿う方向へ延び、かつ一端に開口部を有するとともに他端に内底面を有する軸受穴と、他方から前記第2軸線に沿う方向へ突出し、かつ前記軸受穴に挿入される軸部とを備え、
前記内底面は、前記軸受穴において、前記第2軸線に沿う方向のうち、前記開口部とは反対側の端面のみにより構成され、
前記内底面
の全体は、前記開口部側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、
前記軸部の先端面のうち、少なくとも前記第2軸線を含む領域は、前記内底面
が膨らむ側
とは反対側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、
前記先端面は、前記先端面の前記湾曲面のうち前記第2軸線が通る箇所において前記内底面に
点接触しているロータリバルブ。
【請求項3】
前記先端面は、前記軸部の前記湾曲面の外周囲であり、かつ前記軸部の前記湾曲面に隣接する箇所に、前記第2軸線を中心とする環状面を有し、
前記環状面は、前記軸部の前記湾曲面よりも前記内底面から遠ざかった箇所に位置し
、
前記環状面は、前記軸部の基端部から遠ざかるに従い縮径するように前記第2軸線に対し傾斜することでテーパ状をなしている請求項1又は2に記載のロータリバルブ。
【請求項4】
第1軸線を有する弁体と、第2軸線を有するハウジングと、前記弁体を前記ハウジングに回転可能に支持する支持機構と、を備え、
前記ハウジングは、流体の流入口及び流出口を有し、
前記弁体は、前記第1軸線を前記第2軸線に合致させた状態で前記ハウジングに収容される弁本体部を有し、
前記第1軸線を中心とした前記弁体の回転により、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、
前記支持機構は、前記ハウジング及び前記弁本体部の一方において前記第2軸線に沿う方向へ延び、かつ一端に開口部を有するとともに他端に内底面を有する軸受穴と、他方から前記第2軸線に沿う方向へ突出し、かつ前記軸受穴に挿入される軸部とを備え、
前記内底面は、前記開口部側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、
前記軸部の先端面のうち、少なくとも前記第2軸線を含む領域は、前記第2軸線に対し直交する平面により構成され、
前記先端面は、前記平面のうち前記第2軸線が通る箇所において前記内底面に
点接触しているロータリバルブ。
【請求項5】
前記先端面は、前記平面の外周囲であり、かつ前記平面に隣接する箇所に、前記第2軸線を中心とする環状面を有し、
前記環状面は、前記平面よりも前記内底面から遠ざかった箇所に位置し
、
前記環状面は、前記軸部の基端部から遠ざかるに従い縮径するように前記第2軸線に対し傾斜することでテーパ状をなしている請求項4に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
弁体を回転させることにより、流路での流体の流れ態様を切り替えるロータリバルブが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図17及び
図18に示すように、ロータリバルブ100は、第1軸線AL1を有する弁体105と、第2軸線AL2を有するハウジング101と、弁体105をハウジング101に回転可能に支持する支持機構M1とを備える。ハウジング101は、流体FLの流入口及び流出口104を有する。弁体105は、第1軸線AL1を第2軸線AL2に合致させた状態でハウジング101に収容される弁本体部106を有する。
【0003】
支持機構M1は、弁本体部106に設けられた軸受穴107と、ハウジング101に設けられた軸部111とを備える。軸受穴107は、弁本体部106において第2軸線AL2に沿う方向へ延びる。軸受穴107は、第2軸線AL2に沿う方向における一端に開口部108を有し、かつ他端に内底面109を有する。軸部111は、ハウジング101から第2軸線AL2に沿う方向へ突出し、かつ軸受穴107に挿入される。
【0004】
内底面109及び軸部111の先端面112は、いずれも、第2軸線AL2に対し直交する平面によって構成されている。そして、内底面109及び先端面112が互いに接触されることにより、弁体105が軸部111を介してハウジング101に支持されている。
【0005】
上記の構成を有するロータリバルブ100では、第1軸線AL1を中心として弁体105が回転されると、弁体105による流入口及び流出口104の連通状態が変更される。これに伴い、流路での流体FLの流れ態様が変更される。例えば、流入口及び流出口104が連通されると、流体FLがロータリバルブ100を通じて流路を流れることが可能となる。また、流入口及び流出口104が連通されなくなると、流体FLがロータリバルブ100を通じて流路を流れることが遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来のロータリバルブ100では、平面からなる内底面109が、同じく平面からなる先端面112に対し面接触した状態で、弁体105がハウジング101に対し回転される。内底面109及び先端面112が接触する面積(接触面積)が大きい。そのため、内底面109と先端面112との間に生ずる摩擦力が大きい。従って、弁体105を回転させるのに必要な回転トルクが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのロータリバルブの各態様を記載する。
[態様1]第1軸線を有する弁体と、第2軸線を有するハウジングと、前記弁体を前記ハウジングに回転可能に支持する支持機構と、を備え、前記ハウジングは、流体の流入口及び流出口を有し、前記弁体は、前記第1軸線を前記第2軸線に合致させた状態で前記ハウジングに収容される弁本体部を有し、前記第1軸線を中心とした前記弁体の回転により、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、前記支持機構は、前記ハウジング及び前記弁本体部の一方において前記第2軸線に沿う方向へ延び、かつ一端に開口部を有するとともに他端に内底面を有する軸受穴と、他方から前記第2軸線に沿う方向へ突出し、かつ前記軸受穴に挿入される軸部とを備え、前記内底面は、前記第2軸線に直交する平面、又は前記開口部側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、前記軸部の先端面のうち、少なくとも前記第2軸線を含む領域は、前記内底面側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、前記先端面は、前記先端面の前記湾曲面のうち前記第2軸線が通る箇所において前記内底面に接触しているロータリバルブ。
【0009】
上記の構成によれば、弁体が支持機構によりハウジングに支持された状態では、軸受穴の内底面と、軸受穴に挿入された軸部の先端面とが互いに接触する。
ここで、軸部の先端面のうち、少なくとも第2軸線を含む領域を構成する湾曲面は、内底面側へ膨らむように球面状に湾曲する。この湾曲面のうち第2軸線の通る箇所は、先端面のうち、軸部の基端部から最も遠ざかった箇所に位置する。
【0010】
これに対し、内底面が平面によって構成されている場合、その平面は第2軸線に対し直交する。内底面が湾曲面によって構成されている場合、その湾曲面は、開口部側へ膨らむように球面状に湾曲する。
【0011】
従って、上記のように弁体がハウジングに支持された状態では、先端面の湾曲面のうち第2軸線の通る箇所が、内底面に点接触する。
内底面及び先端面が接触する箇所の面積(接触面積)も、接触に伴い内底面及び先端面の間に生ずる摩擦力も、それぞれ平面からなる内底面及び先端面が互いに面接触する場合よりも小さくなる。
【0012】
弁体は、上記のように小さな摩擦力に抗して、ハウジングに対し第1軸線を中心として回転される。この回転により、流入口及び流出口の連通状態が変更される。
[態様2]前記先端面は、前記湾曲面の外周囲であり、かつ前記湾曲面に隣接する箇所に、前記第2軸線を中心とする環状面を有し、前記環状面は、前記湾曲面よりも前記内底面から遠ざかった箇所に位置している[態様1]に記載のロータリバルブ。
【0013】
上記の構成によれば、先端面は、第2軸線を含む箇所に位置する湾曲面と、その湾曲面の外周囲の環状面とを備える。環状面は、湾曲面よりも内底面から遠ざかった箇所に位置する。従って、先端面の全体が湾曲面によって構成される場合よりも、軸部を小型化することが可能である。
【0014】
[態様3]第1軸線を有する弁体と、第2軸線を有するハウジングと、前記弁体を前記ハウジングに回転可能に支持する支持機構と、を備え、前記ハウジングは、流体の流入口及び流出口を有し、前記弁体は、前記第1軸線を前記第2軸線に合致させた状態で前記ハウジングに収容される弁本体部を有し、前記第1軸線を中心とした前記弁体の回転により、前記流入口及び前記流出口の連通状態が変更されるロータリバルブであって、前記支持機構は、前記ハウジング及び前記弁本体部の一方において前記第2軸線に沿う方向へ延び、かつ一端に開口部を有するとともに他端に内底面を有する軸受穴と、他方から前記第2軸線に沿う方向へ突出し、かつ前記軸受穴に挿入される軸部とを備え、前記内底面は、前記開口部側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面により構成され、前記軸部の先端面のうち、少なくとも前記第2軸線を含む領域は、前記第2軸線に対し直交する平面により構成され、前記先端面は、前記平面のうち前記第2軸線が通る箇所において前記内底面に接触しているロータリバルブ。
【0015】
上記の構成によれば、弁体が支持機構によりハウジングに支持された状態では、軸受穴の内底面と、その軸受穴に挿入された軸部の先端面とが互いに接触する。
ここで、軸部の先端面のうち、少なくとも第2軸線を含む領域を構成する平面は、第2軸線に対し直交する。
【0016】
これに対し、内底面を構成する湾曲面は、開口部側へ膨らむように球面状に湾曲する。この湾曲面のうち第2軸線の通る箇所は、内底面のうち軸受穴の開口部に最も近い箇所に位置する。
【0017】
従って、上記のように弁体がハウジングに支持された状態では、内底面のうち、第2軸線の通る箇所が、先端面の平面に点接触する。
内底面及び先端面が接触する箇所の面積(接触面積)も、接触に伴い内底面及び先端面の間に生ずる摩擦力も、それぞれ平面からなる内底面と先端面とが互いに面接触する場合よりも小さくなる。
【0018】
弁体は、上記のように小さな摩擦力に抗して、ハウジングに対し第1軸線を中心として回転される。この回転により、流入口及び流出口の連通状態が変更される。
[態様4]前記先端面は、前記平面の外周囲であり、かつ前記平面に隣接する箇所に、前記第2軸線を中心とする環状面を有し、前記環状面は、前記平面よりも前記内底面から遠ざかった箇所に位置している[態様3]に記載のロータリバルブ。
【0019】
上記の構成によれば、先端面は、第2軸線を含む箇所に位置する平面と、その平面の外周囲の環状面とを備える。環状面は、平面よりも内底面から遠ざかった箇所に位置する。従って、先端面の全体が平面によって構成される場合よりも、軸部を小型化することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、弁体の回転トルクを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態におけるロータリバルブの斜視図である。
【
図2】上記実施形態におけるロータリバルブの平断面図である。
【
図3】上記実施形態におけるロータリバルブの分解斜視図である。
【
図4】上記実施形態における弁体の軸受穴と、ハウジングの軸部との対応関係を、ハウジングの一部を破断した状態で示す分解斜視図である。
【
図7】
図6に対応する図であり、軸受穴及び軸部の変更例を示す部分断面図である。
【
図8】
図6に対応する図であり、軸受穴及び軸部の別の変更例を示す部分断面図である。
【
図9】
図6に対応する図であり、軸受穴及び軸部の別の変更例を示す部分断面図である。
【
図10】
図6に対応する図であり、軸受穴及び軸部の別の変更例を示す部分断面図である。
【
図11】
図6に対応する図であり、軸受穴及び軸部の別の変更例を示す部分断面図である。
【
図12】弁本体部における可動流路の変更例を示す断面図である。
【
図13】弁本体部における可動流路の別の変更例を示す断面図である。
【
図14】パッキンの配置態様の変更例を示す模式図である。
【
図15】パッキンの配置態様の別の変更例を示す模式図である。
【
図16】パッキンの配置態様の別の変更例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
図1、
図2及び
図5に示すように、ロータリバルブ10は、図示しないポンプ等の流体供給源から供給される水等の流体FLの流路11の途中に設けられている。ロータリバルブ10は、ハウジング12、弁体31、支持機構M1、アクチュエータ71及びパッキン73を備えている。次に、各部材について説明する。
【0023】
ここで、ロータリバルブ10における各部の位置関係を特定するために、弁体31の第1軸線AL1と、ハウジング12の第2軸線AL2とを基準とする。弁体31がハウジング12に組み付けられた状態では、第1軸線AL1及び第2軸線AL2が合致する。合致した第1軸線AL1及び第2軸線AL2に沿う方向を「軸方向」という。合致した第1軸線AL1及び第2軸線AL2を中心とする放射方向を「径方向」という。合致した第1軸線AL1及び第2軸線AL2を中心とする弁体31の回転方向を「周方向」というものとする。
【0024】
<ハウジング12>
ハウジング12は、ボディ13及びカバー27を備えている。
図1、
図3及び
図5に示すように、ボディ13は、軸方向へ延びる筒状の収容壁部14を有している。収容壁部14の内周面15は、第2軸線AL2を中心とする円筒面によって構成されている。軸方向における収容壁部14のカバー27とは反対側(
図5の下側)の端部には、同端部を塞いだ状態で閉塞部16が形成されている。軸方向における収容壁部14の閉塞部16とは反対側の端部は、開放された開放端17となっている。開放端17は、ボディ13に取り付けられた上記カバー27によって塞がれている。
【0025】
図2及び
図5に示すように、収容壁部14には、流体FLの流入口18が形成されている。また、収容壁部14において、流入口18から周方向へ離間した箇所には、流体FLの流出口22が形成されている。本実施形態では、流入口18及び流出口22が、それぞれ円形状をなしているが、楕円形、多角形等の他の形状をなしていてもよい。
【0026】
流出口22は、第2軸線AL2を挟んで流入口18に対し反対側となる箇所、表現を変えると第2軸線AL2を挟んで対向する箇所から、周方向へ離間した箇所に形成されている。本実施形態では、流入口18の中心軸線に対し、流出口22の中心軸線がなす角度が90°程度に設定されている。流入口18と流出口22とは、周方向に等角度毎に形成されていない。
【0027】
図1、
図2及び
図5に示すように、収容壁部14の外壁面における流入口18の周縁部には、接続管部19が設けられている。接続管部19は、収容壁部14から径方向における外方へ突出している。接続管部19と流体供給源とは、流体FLの流路11の一部を有する配管21によって連結されている。流体供給源から供給された流体FLは、配管21によってロータリバルブ10に導かれる。
【0028】
収容壁部14の外壁面における流出口22の周縁部には、接続管部23が設けられている。接続管部23は、収容壁部14から、径方向における外方であり、かつ接続管部19の突出方向とは異なる方向へ突出している。接続管部23には、流体FLの流路11の一部を有する配管24が接続されている。流出口22から流出された流体FLは、配管24を通って、流体FLの使用先に送られる。
【0029】
図2、
図3及び
図5に示すように、径方向における収容壁部14の内側部分であって、流入口18の周囲と、流出口22の周囲とには、それぞれパッキン装着部25が形成されている。
【0030】
<弁体31>
弁体31は、軸方向に延びる円柱状の弁本体部32を備えている。弁本体部32は、第1軸線AL1を第2軸線AL2に合致させた状態で収容壁部14内に収容されている。弁本体部32は、収容壁部14の内周面15に対向する外周面33を有している。外周面33は、第1軸線AL1を中心とする円筒面によって構成されている。
【0031】
弁本体部32は、流体FLが流れる可動流路34を1つ有している。本実施形態では、可動流路34は、直線状の第1流路部34aと、直線状の第2流路部34bとを備えている。第1流路部34a及び第2流路部34bは、第1軸線AL1上、又は第1軸線AL1の近傍で繋がっている。第1流路部34aと第2流路部34bとがなす角度αは、90°又は90°に近い値に設定されている。可動流路34は、屈曲した形状をなしている。
【0032】
可動流路34における第1流路部34aのうち、流体FLの流れ方向における上流端35は、弁本体部32の外周面33において開口している。可動流路34における第2流路部34bのうち、上記流れ方向における下流端36は、上記外周面33のうち、上流端35が流入口18に対向したときに、下流端36が流出口22に対向する箇所において開口している。本実施形態では、下流端36は、上記外周面33のうち、上記上流端35から周方向へ離間した箇所において開口している。
【0033】
弁本体部32の外径は、後述するパッキン73を、径方向に弾性変形させることで、流入口18及び流出口22の周りで、収容壁部14及び弁本体部32の間をシールすることのできる値に設定されている。
【0034】
<支持機構M1>
図3及び
図5に示すように、支持機構M1は、弁体31をハウジング12に対し回転可能に支持するための機構である。支持機構M1は、第1支持機構部40及び第2支持機構部50を備えている。
【0035】
第1支持機構部40は、弁体31及びカバー27に設けられている。より詳しくは、カバー27の中心部には、同カバー27を軸方向に貫通する軸受孔41が形成されている。カバー27において、ボディ13側の面であり、かつ軸受孔41の周りには、筒状の押さえ部42が形成されている。弁体31は、弁本体部32のうち、カバー27側の端面の中心部から軸方向へ突出する軸部43を備えている。軸部43は、軸受孔41に対し回転可能に挿通されている。押さえ部42は、軸部43の周りに位置し、弁本体部32のカバー27側の端面に接触している。これらの軸受孔41、押さえ部42及び軸部43により、第1支持機構部40が構成されている。
【0036】
図4~
図6に示すように、第2支持機構部50は、弁本体部32において軸方向へ延びる有底の軸受穴51と、閉塞部16に設けられた軸部61とを備えている。軸受穴51は、軸方向における一端に開口部54を有するとともに、他端に内底面55を有している。
【0037】
図4及び
図6に示すように、軸受穴51は、テーパ穴部52及び本体穴部53を備えている。テーパ穴部52は、軸受穴51のうち、軸方向における中間部から開口部54までの領域に形成されている。テーパ穴部52は、内底面55から遠ざかるに従い拡径するように、第1軸線AL1に対し傾斜している。
【0038】
本体穴部53は、軸部61の本体軸部63に対し、回転可能に支持される箇所である。本体穴部53は、軸受穴51のうち、上記中間部から内底面55までの領域に形成されている。本体穴部53は、軸方向のどの箇所でも円形をなし、かつ穴径が、軸方向に均一となるように形成されている。
【0039】
軸部61は、閉塞部16の中心部分から、軸方向における内底面55側へ突出している。軸部61は、テーパ部62及び本体軸部63を備えている。テーパ部62は、軸部61のうち、軸方向における中間部から基端側(閉塞部16側)の領域に形成されている。テーパ部62は、軸部61の先端面64が軸受穴51の内底面55に接触した状態で、テーパ穴部52と干渉しない箇所に形成されている。テーパ部62は、軸部61の先端面64から遠ざかるに従い拡径するように、第2軸線AL2に対し傾斜している。テーパ部62が第2軸線AL2に対し傾斜する角度は、テーパ穴部52と干渉しない値に設定されている。本実施形態では、テーパ部62が第2軸線AL2に対し傾斜する角度は、テーパ穴部52が第1軸線AL1に対し傾斜する角度と同程度に設定されているが、これに限らない。
【0040】
本体軸部63は、軸部61のうち、軸方向における上記中間部から先端側の領域を構成している。本体軸部63は、上記本体穴部53の穴径よりも若干小径であり、かつ軸方向のどの箇所でも直径が均一となる円柱状に形成されている。本体軸部63の先端面64は、上記内底面55に対向している。
【0041】
そして、先端面64が内底面55に接触された状態で、本体軸部63の多くの部分が本体穴部53内に挿入され、かつテーパ部62の多くの部分がテーパ穴部52内に挿入されている。
【0042】
本実施形態では、軸受穴51の内底面55は、第1軸線AL1に対し直交する平面56によって構成されている。また、軸部61の先端面64のうち、少なくとも第2軸線AL2を含む領域が、内底面55側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面65によって構成されている。本実施形態では、先端面64の全体が湾曲面65によって構成されている。そして、先端面64は、湾曲面65のうち第2軸線AL2が通る箇所において内底面55(平面56)に接触している。
【0043】
<アクチュエータ71>
図1及び
図3に示すように、アクチュエータ71は、第1軸線AL1を中心として弁体31を回転させて、回転位相を変更するためのものである。アクチュエータ71は、例えば、電動モータによって構成されている。アクチュエータ71の図示しない出力軸は、軸部43に対し一体回転可能に連結されている。
【0044】
<パッキン73>
パッキン73は、パッキン装着部25と同数用いられている。パッキン73は、いずれもゴム等の弾性材料によって形成されている。なお、パッキン73は、パッキン装着部25の数よりも少ない数用いられてもよい。
【0045】
図2、
図3及び
図5に示すように、各パッキン73は、上記パッキン装着部25に装着されている。各パッキン73は、収容壁部14の内周面15における流入口18の周縁部、又は流出口22の周縁部と、弁本体部32の外周面33との間に位置している。各パッキン73は、流入口18及び流出口22に対応する形状、本実施形態では円形の貫通孔74を有している。
【0046】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
<弁体31の組み付けについて>
弁体31の組み付けに際しては、
図3に示す各パッキン73が、対応するパッキン装着部25に装着される。次に、
図4に示す軸受穴51と軸部61とが軸方向に接近するように、ボディ13及び弁体31が軸方向に相対移動させられることにより、弁本体部32が収容壁部14内に挿入される。
【0047】
ここで、ロータリバルブ10では、上述したように各パッキン73を、径方向における外方へ弾性変形させることによりシールが行なわれる。そのため、弁本体部32の上記挿入時には、各パッキン73から弁本体部32に対し、径方向における内方へ向かう荷重が作用する。複数のパッキン73が用いられた本実施形態では、パッキン73毎に荷重の向かう方向が異なる。
【0048】
一方で、本実施形態では、複数(一対)のパッキン73が周方向に等角度毎に配置されていない。表現を変えると、一対のパッキン73は、第2軸線AL2を挟んで対向する箇所に配置されていない。そのため、弁本体部32がパッキン73から偏荷重を受ける。偏荷重とは、パッキン73毎の荷重を合成した荷重が、弁本体部32に対して、ある特定の方向にだけ発生する荷重である。本実施形態では、
図2において矢印Xで示すように、同
図2の右斜め上方へ向かう偏荷重が弁本体部32に作用する。
【0049】
そして、弁本体部32に作用する上記偏荷重により、弁本体部32が収容壁部14に挿入される途中には、弁体31の第1軸線AL1がハウジング12の第2軸線AL2に対し、径方向へずれた状態になる。
【0050】
この点、本実施形態では、弁本体部32が収容壁部14に挿入される過程で、軸部61の本体軸部63が、軸受穴51のテーパ穴部52に入り込む。ここで、軸部61の先端面64と、本体軸部63の外周面との境界部分を角部66とする。すると、図示はしないが、テーパ穴部52が角部66(
図6参照)に当たる。
【0051】
テーパ穴部52は、内底面55から遠ざかるに従い拡径するように第1軸線AL1及び第2軸線AL2に対し傾斜している。そのため、上記接近のための上記相対移動が続けられると、弁本体部32からパッキン73に対し、上記偏荷重に対向する力が加わる。この力により、弁本体部32は各パッキン73を径方向における外方へ押し込みながら、収容壁部14内にさらに挿入される。弁本体部32は、テーパ穴部52に沿ってスライドする(滑る)ことで、径方向へ移動しながら軸方向へ移動する。テーパ穴部52のうち、上記角部66に接触する箇所が、本体穴部53に近づく。第1軸線AL1が第2軸線AL2に近づく。
【0052】
軸受穴51において上記角部66に接触する箇所がテーパ穴部52を通過すると、第1軸線AL1が第2軸線AL2に対し合致、又は略合致した状態になる。
従って、上記接近のための上記相対移動が続けられると、弁本体部32がパッキン73を押し込みながら、
図6に示すように、本体軸部63が本体穴部53内に挿入されるとともに、テーパ部62がテーパ穴部52内に挿入される。そして、軸受穴51の内底面55が軸部61の先端面64に接触したところで、上記接近のための上記相対移動が停止される。
【0053】
このように、弁本体部32が収容壁部14に挿入されることで、テーパ穴部52の作用により、軸部61が軸受穴51に導かれて挿入される。そのため、軸部61が軸受穴51に挿入される前に、第1軸線AL1が第2軸線AL2に合致するように、上記偏荷重に対向する力を弁体31に加えなくてもすむ。弁本体部32を収容壁部14に挿入させるだけで、径方向における外方へパッキン73を押し込みながら、軸部61を軸受穴51に挿入させることが可能となる。その分、弁体31の組み付け性が向上する。
【0054】
<ロータリバルブ10の作動について>
ロータリバルブ10の作動時には、弁体31がアクチュエータ71によって、第1軸線AL1を中心として回転される。
【0055】
図2及び
図5は、上記回転により、可動流路34の上流端35の全体が流入口18の全体に対向し、かつ同可動流路34の下流端36の全体が流出口22の全体に対向したときのロータリバルブ10の状態を示している。この状態では、上流端35の全体と流入口18の全体とが周方向に重なり合い、かつ下流端36の全体と流出口22の全体とが周方向に重なり合っている。そのため、流路11のうち、ロータリバルブ10よりも上流側の部分を流れる流体FLは、流入口18を通って収容壁部14内に流入する。この流体FLは、可動流路34を流れた後に流出口22を通り、流路11のうち、ロータリバルブ10よりも下流側の部分へ流出される。このように、流体FLがロータリバルブ10を通過する。ロータリバルブ10を流れる流体FLの量は、採り得る最大となる。
【0056】
上記の状態から、弁体31の上記回転により、上流端35の一部と流入口18の一部とが周方向に重複するとともに、下流端36の一部と流出口22の一部とが周方向に重複すると、ロータリバルブ10を流れる流体FLの量が上記の最大量よりも少なくなる。従って、ロータリバルブ10を通過する流体FLの量は、弁体31の回転量(回転位相)を調整して、流入口18及び流出口22のそれぞれの開度(開き具合)を調整することで、変更可能である。
【0057】
なお、図示はしないが、弁体31の上記回転により、上流端35が流入口18に対向しなくなるとともに、下流端36が流出口22に対向しなくなると、流体FLの流れがロータリバルブ10によって遮断される。
【0058】
このときには、流入口18の周りと流出口22の周りとで、収容壁部14の内周面15と、弁本体部32の外周面33との間がパッキン73によってシールされる。パッキン73の外側の領域と、内側の領域との間で流体FLが行き来することを規制される。
【0059】
ところで、弁体31が支持機構M1によりハウジング12に支持された状態では、
図6に示すように、軸受穴51の内底面55と、軸部61の先端面64とが互いに接触する。
ここで、先端面64のうち、少なくとも第2軸線AL2を含む領域を構成する湾曲面65は、内底面55側へ膨らむように球面状に湾曲する。この湾曲面65のうち第2軸線AL2の通る箇所は、先端面64のうち、軸部61の基端部から最も遠ざかった箇所に位置する。これに対し、軸受穴51の内底面55は平面56によって構成されている。この平面56は、第1軸線AL1及び第2軸線AL2に対し直交する。
【0060】
従って、上記のように弁体31がハウジング12に支持された状態では、先端面64のうち第2軸線AL2の通る箇所が、内底面55のうち、第1軸線AL1及び第2軸線AL2の通る箇所に対し点接触する。
【0061】
内底面55及び先端面64が接触する箇所の面積(接触面積)も、接触に伴い内底面55及び先端面64の間に生ずる摩擦力も、内底面109及び先端面112が面接触する従来のロータリバルブ100よりも小さくなる。本実施形態の弁体31は、上記のように小さな摩擦力に抗して、ハウジング12に対し第1軸線AL1を中心として回転させられる。この回転により、流入口18及び流出口22の連通状態が上記のように変更される。
【0062】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)
図6に示すように、本実施形態では、支持機構M1における第2支持機構部50として、弁本体部32に軸受穴51を設け、ハウジング12の閉塞部16から軸部61を突出させている。軸受穴51の内底面55を、第1軸線AL1及び第2軸線AL2に直交する平面56によって構成している。軸部61の先端面64の全体を、内底面55側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面65によって構成している。そして、先端面64を、湾曲面65のうち第2軸線AL2が通る箇所において、内底面55に点接触させている。そのため、先端面64及び内底面55の間に生ずる摩擦力を小さくし、弁体31を回転させるのに必要な回転トルクを、従来のロータリバルブ100よりも小さくすることができる。
【0063】
その結果、弁体31を回転させるための機構部分に加わる負荷を小さくできる。ロータリバルブ10の製品寿命を長くできる。また、アクチュエータ71の小型化を図ることができる。
【0064】
(2)従来のロータリバルブ100における軸部111の先端面112を、第2軸線AL2に直交する平面から、球面状に湾曲する湾曲面65に変更するだけで、上記(1)の効果を得ることができる。
【0065】
(3)軸部61の先端面64のうち、少なくとも第2軸線AL2を含む領域を、内底面55側へ突出し、かつ先端が尖った形状にすることによっても、内底面55に対し点接触させることが可能である。
【0066】
しかし、この場合には、軸部61のうち先端の尖った部分や、その周囲の部分の強度が低く、折れるおそれがある。
この点、上記実施形態のように、先端面64を、内底面55側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面65によって構成すると、軸部61の先端部分の強度を高くし、折れにくくすることができる。
【0067】
(4)
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、軸部61のうち、軸方向における中間部から基端部までの領域に、基端部に近づくに従い拡径するように第2軸線AL2に対し傾斜するテーパ部62を形成している。そのため、テーパ部62が設けられない場合に比べ、軸部61の強度を高めることができる。
【0068】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
<ハウジング12に関する事項>
・ハウジング12に対し、流入口18が1つ設けられ、かつ流出口22が複数設けられてもよい。この場合、弁体31の回転により、流入口18に連通される流出口22が切り替えられてもよい。
【0070】
また、流入口18が複数設けられ、かつ流出口22が1つ設けられてもよい。この場合、弁体31の回転により、流出口22に連通される流入口18が切り替えられてもよい。
さらに、ハウジング12に対し、流入口18及び流出口22が複数ずつ設けられてもよい。この場合、弁体31の回転により、各流入口18に連通される流出口22が切り替えられてもよい。
【0071】
<軸受穴51の内底面55、及び軸部61の先端面64に関する事項>
・平面56と湾曲面65との関係が、上記実施形態とは逆の関係となるように変更されてもよい。すなわち、
図7に示すように、内底面55の全体が、湾曲面58によって構成され、先端面64の全体が平面69によって構成されてもよい。
【0072】
ここで、先端面64を構成する平面69は、第2軸線AL2に対し直交する。これに対し、内底面55を構成する湾曲面58は、開口部54側へ膨らむように球面状に湾曲する。この湾曲面58のうち第1軸線AL1及び第2軸線AL2の通る箇所は、内底面55のうち開口部54に最も近い箇所に位置する。
【0073】
従って、弁体31がハウジング12に支持された状態では、先端面64の平面69のうち第2軸線AL2が通る箇所が、内底面55のうち、第1軸線AL1及び第2軸線AL2の通る箇所に対し、点接触する。
【0074】
内底面55及び先端面64が接触する箇所の面積(接触面積)も、接触に伴い内底面55及び先端面64の間に生ずる摩擦力も、内底面109と先端面112とが面接触する従来のロータリバルブ100よりも小さくなる。
【0075】
弁体31は、上記のように小さな摩擦力に抗して、ハウジング12に対し第1軸線AL1を中心として回転される。この回転により、流入口18及び流出口22の連通状態が変更される。
【0076】
その結果、
図7の変更例でも、弁体31を回転させるのに必要な回転トルクを小さくする上記(1)と同様の効果を得ることができる。
・内底面55及び先端面64の両方とも湾曲面によって構成されてもよい。すなわち、
図8に示すように、内底面55の全体が開口部54側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面58によって構成されてもよい。また、先端面64の全体が、内底面55側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面65によって構成されてもよい。
【0077】
ここで、湾曲面65のうち第2軸線AL2の通る箇所は、先端面64のうち、軸部61の基端部から最も遠ざかった箇所に位置する。これに対し、湾曲面58のうち第1軸線AL1及び第2軸線AL2の通る箇所は、内底面55のうち開口部54に最も近い箇所に位置する。
【0078】
従って、弁体31がハウジング12に支持された状態では、先端面64のうち、第2軸線AL2の通る箇所が、内底面55のうち、第1軸線AL1及び第2軸線AL2の通る箇所に点接触する。
【0079】
内底面55及び先端面64が接触する箇所の面積(接触面積)も、接触に伴い内底面55及び先端面64の間に生ずる摩擦力も、内底面109と先端面112とが面接触する従来のロータリバルブ100よりも小さくなる。
【0080】
弁体31は、上記のように小さな摩擦力に抗して、ハウジング12に対し第1軸線AL1を中心として回転される。この回転により、流入口18及び流出口22の連通状態が変更される。
【0081】
その結果、
図8の変更例でも、弁体31を回転させるのに必要な回転トルクを小さくする上記(1)と同様の効果を得ることができる。
<先端面64に関する事項>
・上記実施形態(
図6参照)、及び上記
図8の変更例において、湾曲面65は、先端面64のうち、少なくとも第2軸線AL2を含む領域を構成するものであればよく、必ずしも先端面64の全体の領域を構成しなくてもよい。
図9及び
図11は、その一例を示している。これらの変更例では、軸部61のうち、軸方向における中間部から先端側の領域が、テーパ軸部67によって構成されている。
【0082】
先端面64のうち、第2軸線AL2を含む領域は、上記湾曲面65によって構成されている。先端面64の外周部分、すなわち、上記湾曲面65の外周囲であり、かつ湾曲面65に隣接する箇所は、第2軸線AL2を中心とするテーパ状の環状面68によって構成されている。環状面68は、軸部61の基端部から遠ざかるに従い縮径するように第2軸線AL2に対し傾斜している。従って、環状面68は、湾曲面65よりも内底面55から遠ざかった箇所に位置している。
図9及び
図11の変更例における湾曲面65は、環状面68の形成に伴い、上記実施形態、及び上記
図8の変更例における湾曲面65よりも小さくなっている。
【0083】
図9の変更例と、
図11の変更例とでは、次の点で相違している。
図9の変更例では、内底面55の全体が上記実施形態(
図6参照)と同様に、第1軸線AL1及び第2軸線AL2に直交する平面56によって構成されている。これに対し、
図11の変更例では、内底面55の全体が
図8の変更例と同様に、開口部54側に膨らむように球面状に湾曲する湾曲面58によって構成されている。
【0084】
図9及び
図11のいずれの変更例でも、先端面64の全体が、内底面55側へ膨らむ湾曲面65によって構成される上記実施形態(
図6参照)及び
図8の変更例に比べて、軸部61を小型化することが可能である。なお、先端面64において内底面55との接触に関与するのは、専ら湾曲面65である。そのため、上記のように、環状面68が湾曲面65よりも内底面55から遠ざかった箇所に位置しても支障ない。
【0085】
なお、
図9及び
図11の変更例では、軸受穴51からテーパ穴部52が省略されるとともに、軸部61からテーパ部62が省略されている。
・上記
図7の変更例において、平面69は、先端面64のうち、少なくとも第2軸線AL2を含む領域を構成するものであればよく、必ずしも先端面64の全体の領域を構成しなくてもよい。
図10は、その一例を示している。この変更例では、上述した
図9及び
図11の変更例と同様、軸部61のうち、軸方向における中間部から先端側の領域が、テーパ軸部67によって構成されている。
【0086】
先端面64のうち、第2軸線AL2を含む領域は、上記
図7と同様の平面69によって構成されている。先端面64の外周部分、すなわち、上記平面69の外周囲であり、かつ平面69に隣接する箇所は、第2軸線AL2を中心とするテーパ状の環状面68によって構成されている。環状面68は、軸部61の基端部から遠ざかるに従い縮径するように、第2軸線AL2に対し傾斜している。従って、環状面68は、平面69よりも内底面55から遠ざかった箇所に位置している。
図10の変更例における平面69は、環状面68の形成に伴い、
図7の変更例における平面69よりも小さくなっている。
【0087】
図10の変更例によると、先端面64の全体が、第2軸線AL2に対し直交する平面69によって構成される
図7の変更例よりも、軸部61を小型化することが可能である。なお、先端面64において内底面55との接触に関与するのは専ら平面69である。そのため、上記のように環状面68が平面69よりも内底面55から遠ざかった箇所に位置しても支障ない。
【0088】
なお、
図10の変更例でも、
図9及び
図11の変更例と同様に、軸受穴51からテーパ穴部52が省略されるとともに、軸部61からテーパ部62が省略されている。
ところで、
図9~
図11の変更例におけるテーパ状の環状面68は、上記実施形態や、
図7及び
図8の変更例におけるテーパ穴部52と同様の機能を発揮する。
【0089】
すなわち、弁体31の組み付けに際しては、上記実施形態と同様に、各パッキン73がパッキン装着部25に装着される。次に、軸受穴51と軸部61とが軸方向に接近するように、ボディ13及び弁体31が軸方向に相対移動させられることにより、弁本体部32が収容壁部14内に挿入される。この挿入時には、上記実施形態と同様に、パッキン73から弁本体部32に対し、偏荷重が作用する。この偏荷重により、上記挿入の途中には、第1軸線AL1が第2軸線AL2に対し径方向へずれた状態になる。
【0090】
ここで、軸受穴51の内周面と、弁本体部32において軸受穴51の開口された面、すなわち、弁本体部32の閉塞部16側の面との境界部分を、角部57とする。すると、
図9~
図11の変更例では、図示はしないが、上記挿入の過程で、上記角部57(
図9~
図11参照)が、テーパ軸部67の環状面68に当たる。環状面68は、軸部61の基端部から遠ざかるに従い縮径するように第2軸線AL2に対し傾斜している。従って、上記接近のための上記相対移動が続けられると、弁本体部32からパッキン73に対し、上記偏荷重に対向する力が加わる。この力により、弁本体部32は各パッキン73を径方向における外方へ押し込みながら、収容壁部14内にさらに挿入される。弁本体部32は、環状面68に沿ってスライドする(滑る)ことで、径方向へ移動しながら軸方向へ移動する。環状面68のうち、上記角部57が接触される箇所が、軸部61の外周面に近づく。上記角部57の軸部61に対する接触箇所が環状面68を通過すると、第1軸線AL1が第2軸線AL2に対し合致、又は略合致した状態になる。
【0091】
従って、上記接近のための上記相対移動が続けられると、弁本体部32がパッキン73を径方向における外方へ押し込みながら、軸部61の多くの部分が軸受穴51内に挿入される。そして、軸受穴51の内底面55が軸部61の先端面64に接触したところで、上記接近のための上記相対移動が停止される。
【0092】
このように、弁本体部32が収容壁部14に挿入されることで、環状面68の作用により、軸部61が軸受穴51に導かれて挿入される。そのため、軸部61が軸受穴51に挿入される前に、第1軸線AL1が第2軸線AL2に合致するように、偏荷重に対向する力を弁体31に加えなくてもすむ。上記実施形態と同様、弁本体部32を収容壁部14に挿入させるだけで、パッキン73を径方向における外方へ押し込みながら、軸部61を軸受穴51に挿入させることが可能となる。その分、弁体31の組み付け性が向上する。
【0093】
<弁体31に関する事項>
・弁本体部32は、円柱状に代えて球状に形成されてもよい。この場合、収容壁部14の内面の形状も、弁本体部32の形状変更に伴い変更される。
【0094】
この変更例でも、弁本体部32及びハウジング12の一方に軸受穴51を設け、他方に軸部61を設けることが可能である。この場合、内底面55の形状、及び先端面64の形状としては、上記実施形態、及び
図7~
図11の変更例と同様の形状が採用されてもよい。
【0095】
このようにすると、弁本体部32の外形形状、及び収容壁部14の内面の形状が、上記実施形態等と異なるものの、先端面64と内底面55とが互いに点接触する点は、上記実施形態等と同様である。そのため、上記実施形態等と同様に、摩擦力を小さくして、弁体31の回転トルクを小さくする効果が得られる。
【0096】
・弁体31は、モータとは異なる種類のアクチュエータ71によって回転されてもよい。また、弁体31は、アクチュエータ71に代えて手動操作によって回転されてもよい。
・弁体31における可動流路34の形状が、上記実施形態とは異なる形状に変更されてもよい。
図12は、変更例の1つを示している。この変更例では、第1流路部34aと第2流路部34bとがなす角度αが、90°よりも大きな値に設定されている。図示はしないが、角度αは90°以下の値に設定されてもよい。
図12中の一点鎖線は、可動流路34の中心軸線を示している。
【0097】
また、図示はしないが、可動流路34は、屈曲せず、直線状をなす1つの流路によって構成されてもよい。
・弁体31における可動流路の数が、2以上に変更されてもよい。
図13は、可動流路が弁体31に2つ設けられた変更例を示している。この変更例では、可動流路は、上記実施形態と同様に屈曲した可動流路34と、その可動流路34から離間した箇所に形成された可動流路37とを備えている。可動流路37には、可動流路34を流れる流体FLと同じ流体が流れてもよいし、異なる流体が流れてもよい。上記変更例では、可動流路37は、直線状の第1流路部37aと、直線状の第2流路部37bとを備えている。第1流路部37a及び第2流路部37bは繋がっている。
図13では、第1流路部37aと第2流路部37bとがなす角度βが、90°よりも小さな値に設定されているが、90°以上の値に設定されてもよい。
図13中の一点鎖線は、可動流路34,37の中心軸線を示している。
【0098】
第1流路部37aのうち、流体の流れ方向における上流端は、弁本体部32の外周面33において開口している。第2流路部37bのうち、上記流れ方向における下流端は、上記外周面33のうち、上記上流端に対し、収容壁部14の周方向に離間した箇所で開口している。
【0099】
なお、可動流路37は、屈曲せず、直線状をなす1本の流路によって構成されてもよい。
<パッキン73の配置に関する事項>
・弁本体部32がパッキン73から偏荷重を受ける場合としては、上記実施形態のように、複数のパッキン73が周方向に等角度毎に配置されていない場合が挙げられる。
【0100】
図14は、3つのパッキン73a,73b,73cが等角度毎に配置されていない変更例の一例を示している。ここで、パッキン73aの貫通孔の中心軸線をCL1とし、パッキン73bの貫通孔の中心軸線をCL2とし、パッキン73cの貫通孔の中心軸線をCL3とする。なお、
図14では、弁体31の弁本体部32が二点鎖線で図示されている。この点は、後述する
図15及び
図16についても同様である。
【0101】
図14の変更例では、2つのパッキン73a,73cが、第1軸線AL1及び第2軸線AL2を挟んで互いに反対側となる箇所に配置されている。中心軸線CL3と中心軸線CL1とがなす角度θ31は180°に設定されている。残りのパッキン73bは、周方向について、上記2つのパッキン73a,73cの中間となる箇所に配置されている。中心軸線CL1と中心軸線CL2とがなす角度θ12は90°に設定されている。中心軸線CL2と中心軸線CL3とがなす角度θ23は90°に設定されている。
【0102】
この変更例でも、弁本体部32が偏荷重を受ける。また、この変更例でも、弁体31の回転トルクを小さくする上記効果は得られる。
・本発明は、弁本体部32がパッキン73から偏荷重を受けない場合にも適用可能である。
【0103】
偏荷重を受けない場合としては、例えば、パッキンに対し、第1軸線AL1及び第2軸線AL2を挟んで反対側となる箇所に別のパッキンが配置された場合が挙げられる。表現を変えると、一対のパッキンが、第1軸線AL1及び第2軸線AL2を挟んで対向配置された場合が挙げられる。この場合、対向配置の関係にある2つのパッキンは1組であってもよいし、複数組であってもよい。
【0104】
図15は、対向配置の関係にある2つのパッキンの組が、2組である変更例を示している。パッキン73aとパッキン73cとが、第1軸線AL1及び第2軸線AL2を挟んで対向配置されている。パッキン73bとパッキン73dとが、第1軸線AL1及び第2軸線AL2を挟んで対向配置されている。
【0105】
ここで、パッキン73a,73b,73cの各貫通孔の中心軸線を、上記
図14の変更例と同様に、CL1,CL2,CL3とする。さらに、パッキン73dの貫通孔の中心軸線をCL4とする。
【0106】
この変更例では、中心軸線CL1と中心軸線CL2とがなす角度θ12は60°に設定されている。中心軸線CL2と中心軸線CL3とがなす角度θ23は120°に設定されている。中心軸線CL3と中心軸線CL4とがなす角度θ34は60°に設定されている。中心軸線CL4と中心軸線CL1とがなす角度θ41は120°に設定されている。
【0107】
中心軸線CL1と中心軸線CL3とがなす角度は180°に設定されている。中心軸線CL2と中心軸線CL4とがなす角度は180°に設定されている。
また、偏荷重を受けない場合として、複数のパッキン73が周方向に等角度毎に配置された場合が挙げられる。
【0108】
図16は、3つのパッキン73a,73b,73cが、等角度毎に配置された変更例を示している。
ここで、パッキン73a,73b,73cの各貫通孔の中心軸線を、上記
図14の変更例と同様に、CL1,CL2,CL3とする。中心軸線CL1と中心軸線CL2とがなす角度θ12、中心軸線CL2と中心軸線CL3とがなす角度θ23、中心軸線CL3と中心軸線CL1とがなす角度θ31のいずれも120°に設定されている。
【0109】
<その他の事項>
・上記実施形態、及び
図7~
図11の変更例とは逆に、ハウジング12に軸受穴51が設けられ、弁本体部32に軸部61が設けられてもよい。この場合、内底面55の形状、及び先端面64の形状としては、上記実施形態、及び
図7~
図11の変更例と同様の形状が採用されてもよい。
【0110】
このようにすると、軸受穴51及び軸部61が形成される対象が異なるものの、先端面64と内底面55とが互いに点接触する点は、上記実施形態、及び
図7~
図11の変更例と同様である。そのため、上記実施形態、及び
図7~
図11の変更例と同様に、摩擦力を小さくして、弁体31の回転トルクを小さくする効果が得られる。
【0111】
・上記ロータリバルブ10は、流体FLとして、水とは異なる種類の液体が流される流路に設けられるロータリバルブや、流体FLとして液体に代えて気体が流される流路に設けられるロータリバルブにも適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
10…ロータリバルブ
12…ハウジング
18…流入口
22…流出口
31…弁体
32…弁本体部
51…軸受穴
54…開口部
55…内底面
56,69…平面
58,65…湾曲面
61…軸部
64…先端面
68…環状面
AL1…第1軸線
AL2…第2軸線
FL…流体
M1…支持機構
【要約】
【課題】弁体の回転トルクを小さくする。
【解決手段】ハウジング12は、流体の流入口及び流出口を有する。弁体31は、ハウジング12に収容される弁本体部32を有する。弁体31をハウジング12に回転可能に支持する支持機構M1は、弁本体部32においてハウジング12の第2軸線AL2に沿う方向へ延び、かつ一端に開口部54を有するとともに他端に内底面55を有する軸受穴51と、ハウジング12から第2軸線AL2に沿う方向へ突出し、かつ軸受穴51に挿入される軸部61とを備える。内底面55は、第2軸線AL2に直交する平面56により構成される。軸部61の先端面64は、内底面55側へ膨らむように球面状に湾曲する湾曲面65により構成される。そして、先端面64は、湾曲面65のうち第2軸線AL2が通る箇所において内底面55に接触している。
【選択図】
図6