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特許7586536識別コード検出装置および識別コード検出方法
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  • 特許-識別コード検出装置および識別コード検出方法 図1
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  • 特許-識別コード検出装置および識別コード検出方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】識別コード検出装置および識別コード検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20241112BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G06K7/10 404
G06K7/10 372
G06K7/14 013
G06K7/14 047
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023129030
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】中村 康久
(72)【発明者】
【氏名】小林 道明
(72)【発明者】
【氏名】永山 佳範
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-334597(JP,A)
【文献】特開平04-346184(JP,A)
【文献】特開平08-338872(JP,A)
【文献】特開平08-129600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別コードの画像が含まれる撮影画像を取得する撮像部と、
前記識別コードとの間の距離を測定する距離測定部と、
前記撮影画像から前記識別コードの画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の情報を抽出することにより前記識別コードのコード情報を検出する識別コード検出部と
を備え、
前記識別コード検出部は、
予め前記識別コードのサイズ毎に定めた前記識別コードとの間の距離と前記周波数帯域の対応関係に基づいて、前記識別コードのサイズと前記識別コードとの間の距離に対応する前記周波数帯域を選択するように構成されている
識別コード検出装置。
【請求項2】
撮像部と、距離測定部と、識別コード検出部とを備えた識別コード検出装置において実行される識別コード検出方法であって、
前記撮像部が、識別コードの画像が含まれる撮影画像を取得するステップと、
前記距離測定部が、前記識別コードとの間の距離を測定するステップと、
前記識別コード検出部が、前記撮影画像から前記識別コードの画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の情報を抽出することにより前記識別コードのコード情報を検出するステップと、
を有し、
前記識別コード検出部は、
予め前記識別コードのサイズ毎に定めた前記識別コードとの間の距離と前記周波数帯域の対応関係に基づいて、前記識別コードのサイズと前記識別コードとの間の距離に対応する前記周波数帯域を選択する
識別コード検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物に付与された識別コードを検出する識別コード検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫における荷物を管理する技術として、荷物に付与した識別コードを読み取ることにより、倉庫内の荷物の有無や設置場所を管理する方法が実施されている。例えば、特許文献1では、スキャナーで、管理対象の商品を特定するための識別表示およびその商品が置かれている場所を特定する識別表示を読み取り、読み取った商品の実数データとデータベースに格納された商品データとを比較し、データベースの商品在庫記録を書き換えるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-101424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、管理対象の商品を特定するための複数の識別表示をスキャナーにより個別に読み込むものであるが、最近では、スマートホン等の携帯端末に搭載された高画質のカメラで複数の識別コードを同時に読み取る技術が実用化されている。携帯端末のカメラで撮影した撮影画像から、識別コードが有する周波数成分の情報を抽出することにより、複数の識別コードの情報を抽出することができるが、携帯端末と識別コードの間の距離や識別コードの大きさによって識別コードが有する周波数成分が変動するため、携帯端末と識別コードの間の距離によっては、識別コードを正確に検出することができない場合がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、携帯端末と識別コードの間の距離が異なる場合においても、複数の識別コードのコード情報を正確に検出することができる識別コード検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述したような課題を解決するために、本発明の識別コード検出装置は、識別コードの画像が含まれる撮影画像を取得する撮像部と、前記識別コードとの間の距離を測定する距離測定部と、前記撮影画像から前記識別コードの画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の情報を抽出することにより前記識別コードのコード情報を検出する識別コード検出部とを備え、前記識別コード検出部は、前記識別コードとの間の距離に応じて、前記周波数帯域を変更するように構成されている。
【0007】
また、前記識別コード検出部は、予め定めた前記識別コードとの間の距離と前記周波数帯域の対応関係に基づいて、前記識別コードとの間の距離に対応する前記周波数帯域を選択するように構成されてもよい。
【0008】
上述したような課題を解決するために、本発明の識別コード検出方法は、撮像部と、距離測定部と、識別コード検出部とを備えた識別コード検出装置において実行される識別コード検出方法であって、
前記撮像部が、識別コードの画像が含まれる撮影画像を取得するステップと、
前記距離測定部が、前記識別コードとの間の距離を測定するステップと、
前記識別コード検出部が、前記撮影画像から前記識別コードの画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の情報を抽出することにより前記識別コードのコード情報を検出するステップと、
を有し、
前記識別コード検出部は、前記識別コードとの間の距離に応じて、前記周波数帯域を変更する。
【0009】
また、前記識別コード検出部は、予め定めた前記識別コードとの間の距離と前記周波数帯域の対応関係に基づいて、前記識別コードとの間の距離に対応する前記周波数帯域を選択してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯端末と識別コードの間の距離が異なる場合においても、複数の識別コードのコード情報を正確に検出することができる識別コード検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態の識別コード検出装置を備えたシステム構成の一例である。
図2図2は、本発明の実施の形態の識別コード検出装置の機能ブロックの一例である。
図3図3は、本発明の実施の形態の周波数テーブルを説明するための図である。
図4図4は、本発明の実施の形態の識別コードの検出動作を説明するための図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の識別コード検出方法の動作フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本発明は、様々な実施の形態で実施することが可能であり、以下に説明する発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
<荷物管理システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態の識別コード検出装置を備えたシステム構成の一例である。図1の識別コード検出システム1は、識別コード3が含まれる撮影画像2を取得し、取得した撮影画像2を用いて識別コード3を検出する識別コード検出装置10と、識別コード検出装置10において検出された識別コードの情報を管理する識別コード管理サーバ20とから構成されている。
【0014】
識別コード3は特定の周波数成分を有するため、識別コード3が含まれる撮影画像から、識別コード3が有する周波数成分の情報を抽出することにより、複数の識別コードの情報を抽出することができる。ここで、識別コード検出装置10と識別コード3の間の距離や識別コード3の大きさによって識別コード3が有する周波数成分が変動するため、識別コード検出装置10と識別コード3の間の距離によっては、識別コード3を正確に検出することができない場合がある。
【0015】
本実施の形態では、識別コード3が含まれる撮影画像2から識別コード3の周波数成分を抽出する際に、識別コード3との間の距離に応じて、識別コード3の周波数成分を抽出する際の周波数帯域を変更する。識別コード3の周波数成分の値は、識別コード検出装置10と識別コード3の間の距離に応じて変動するが、識別コード検出装置10と識別コード3の間の距離に応じて識別コード3の周波数成分を抽出する周波数帯域を変更することで、識別コード3の周波数成分の抽出の精度を高めることができる。
【0016】
<識別コード検出装置の構成>
図2は、本発明の実施の形態の識別コード検出装置の機能ブロックの一例である。
【0017】
識別コード検出装置10は、識別コード3が含まれる撮影画像を取得するための撮像部11、識別コード3との間の距離を測定するための距離センサ部12、距離センサ部12を用いて識別コード3との間の距離を測定し、撮影画像2から識別コード3の画像の周波数成分を抽出することにより識別コード3のコード情報を検出する中央処理部13、各種情報等を保存するための記憶部16、撮影者が情報を入力するための入力部17、識別コードの検出状況を表示するための表示部18、識別コード管理サーバ20と情報を送受信するための無線部19とを備える。
【0018】
中央処理部13は、距離センサ部12を用いて識別コード3との間の距離を測定する距離測定部14、撮像部11の撮影画像2から識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の情報を抽出することにより識別コード3のコード情報を検出する識別コード検出部15として機能する。
【0019】
識別コード検出部15は、距離測定部14において測定された識別コード3との間の距離の測定結果を用いて、識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域を変更するように構成されている。これにより、識別コード3との間の距離が変動した場合でも、識別コード3の画像の周波数成分を確実に抽出することができる。
【0020】
記憶部16には、識別コード3との間の距離と識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の対応関係を示す周波数テーブルが記憶されている。識別コード検出部15は、記憶部16に記憶した識別コード3との間の距離と周波数帯域の対応関係に基づいて、識別コード3との間の距離に応じて識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域を選択することができる。
【0021】
撮像部11としては、汎用的なRGBカメラを用いることができる。撮像部11を備えた識別コード検出装置10としては、例えば、RGBカメラを搭載したデジタルカメラやスマートホン等を用いることができる。距離センサ部12としては、TOF(Time of Flight)センサやLiDARセンサ等の汎用的な測距センサを用いることができる。
【0022】
識別コード検出装置10は、CPU、メモリ、および外部機器と接続するためのインタフェースを備えたコンピュータにより構成することができる。
【0023】
<周波数テーブルの構成>
図3は、本発明の実施の形態の周波数テーブルを説明するための図である。周波数テーブルは、識別コード3との間の距離と識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の対応関係が登録されているテーブルである。
【0024】
図3の構成例では、3段階の撮影距離#1-#3(近距離~遠距離)に対応した識別コード3の周波数帯域が登録されている。識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域は、各撮影距離において得られた識別コード3の画像をフーリエ変換することにより取得することができる。
【0025】
図3の構成例では、3段階の撮影距離#1-#3(近距離~遠距離)に対応した識別コードの周波数帯域が登録されているが、これに限定されるものではなく、より多くの撮影距離に対応する周波数帯域を登録するようにしてもよい。
【0026】
識別コード3のサイズが異なると識別コード3の画像の周波数成分が異なるので、複数種類のサイズの識別コード3を検出する場合を想定して、図3に示すように、予め識別コード3のサイズ毎に撮影距離に対応した識別コード3の周波数帯域を登録しておくこともできる。
【0027】
<識別コード領域の検出動作>
図4を用いて、識別コード検出装置10において実行される識別コード3の検出動作を説明する。図4は、本発明の実施の形態の識別コードの検出動作を説明するための図である。
【0028】
識別コード検出装置10は、識別コード3の画像が含まれる撮影画像2を取得し、距離測定部14における測定結果を用いて、周波数テーブルにおける周波数帯域を選択する。
【0029】
識別コード検出装置10は、選択された周波数帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタを用いて、撮影画像2から識別コード3の画像の周波数成分の情報を抽出することにより、撮影画像2における識別コード領域を抽出する。
【0030】
識別コード検出装置10は、抽出された識別コード領域における画像を用いて、識別コード3のコード情報を検出する。識別コード3のコード情報は、識別コード領域における識別コードの画像をA/D変換することにより検出することができる。
【0031】
<識別コード検出装置の動作フロー>
図5を用いて、識別コード検出装置10において実行される識別コード検出方法の動作を説明する。図5は、本発明の実施の形態の識別コード検出方法の動作フローの一例である。
【0032】
識別コード検出装置10の撮像部11は、検出したい識別コード3が含まれる撮影画像2を取得する(S1-1)。撮影画像2に複数の識別コード3が含まれる場合には、複数の識別コード3の画像をまとめて取得してもよいし、複数の識別コード3の中から検出対象の識別コード3を選択して撮影画像2を取得してもよい。
【0033】
識別コード検出装置10の距離測定部14は、識別コード3との間の距離を測定する(S1-2)。撮影画像2に複数の識別コード3が含まれる場合には、識別コード3から代表識別コード3を選択し、代表識別コード3との距離を識別コード3との間の距離として定めてもよいし、複数の識別コード3における測定距離の平均値を識別コード3との間の距離として定めるようにしてもよい。
【0034】
識別コード検出装置10の識別コード検出部15は、距離測定部14において測定された識別コード3との間の距離に応じて、周波数テーブルにおける周波数帯域を選択する(S1-3)。
【0035】
識別コード検出装置10の識別コード検出部15は、選択された周波数帯域を用いて、識別コード3の画像が含まれる撮影画像から識別コード3の画像の周波数成分が含まれる識別コード領域を抽出する(S1-4)。
【0036】
識別コード検出装置10の識別コード検出部15は、抽出された識別コード領域における画像を用いて、識別コード3のコード情報を検出する(S1-5)。
【0037】
本実施の形態では、識別コード3が含まれる撮影画像2から識別コード3の周波数成分を抽出する際に、識別コード検出装置10と識別コード3の間の距離に応じて識別コード3の周波数成分を抽出する際の周波数帯域を変更するように構成されている。
【0038】
本実施の形態によれば、識別コード検出装置10と識別コードの間の距離が異なる場合においても、識別コード3の領域の抽出の精度を高めることができるので、複数の識別コードのコード情報を正確に検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1…識別コード検出システム、2…撮影画像、3…識別コード、10…識別コード検出装置、11…撮像部、12…距離センサ部、13…中央処理部、14…距離測定部、15…識別コード検出部、16…記憶部、17…入力部、18…表示部、19…無線部、20…識別コード管理サーバ。
【要約】
【課題】複数の識別コードのコード情報を正確に検出することができる識別コード検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の識別コード検出装置10は、識別コード3の画像が含まれる撮影画像2を取得する撮像部11と、識別コード3との間の距離を測定する距離測定部14と、撮影画像2から識別コード3の画像の周波数成分が含まれる周波数帯域の情報を抽出することにより識別コード3のコード情報を検出し、識別コード3と撮像部11の間の距離に応じて、周波数帯域を変更する識別コード検出部15を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5