(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】燃料電池用4流体バイポーラプレート
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0245 20160101AFI20241112BHJP
H01M 8/0228 20160101ALI20241112BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20241112BHJP
H01M 8/0267 20160101ALI20241112BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20241112BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20241112BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241112BHJP
【FI】
H01M8/0245
H01M8/0228
H01M8/0258
H01M8/0267
H01M8/0276
H01M8/2483
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2023572753
(86)(22)【出願日】2022-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022032283
(87)【国際公開番号】W WO2022260972
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-01-16
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523442840
【氏名又は名称】ニンバス・パワー・システムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Nimbus Power Systems Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,マシュー ピー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーマン,マイケル イー
(72)【発明者】
【氏名】アングルス,サミュエル ジェイ
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-032092(JP,A)
【文献】特開昭58-071563(JP,A)
【文献】特開平06-218275(JP,A)
【文献】特開2003-151576(JP,A)
【文献】特開2008-282664(JP,A)
【文献】特開2006-134698(JP,A)
【文献】米国特許第05262249(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
非多孔質サブプレートであって、該非多孔質サブプレートは、第1水管理面と、該第1水管理面と反対側の第2水管理面とを含み、以下:
燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路;
酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路;
水管理供給内部マニホールド貫通路および水管理戻り内部マニホールド貫通路;
冷却剤供給内部マニホールド貫通路および冷却剤戻り内部マニホールド貫通路;および
一方の端で前記冷却剤供給内部マニホールド貫通路と流体連通し、他方の端で前記冷却剤戻り内部マニホールド貫通路と流体連通する、内部冷却剤通路であって、該内部冷却剤通路は、燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路と、酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路との間の領域にわたって延びる、内部冷却剤通路
を画定する、非多孔質サブプレート;
反応物面と、反対側の水管理面とを含む、第1多孔質サブプレートであって、該反応物面は、前記燃料供給内部マニホールド貫通路および前記酸化剤供給内部マニホールド貫通路のうちの1方と流体連通する第1反応物フローフィールドを含み、該水管理面は、前記非多孔質サブプレートの前記第1水管理面と流体連通する、第1多孔質サブプレート;および
反応物面と、反対側の水管理面とを含む、第2多孔質サブプレートであって、該反応物面は、前記燃料供給内部マニホールド貫通路および前記酸化剤供給内部マニホールド貫通路のうちの他方と流体連通する第2反応物フローフィールドを含み、該水管理面は、前記非多孔質サブプレートの前記第2水管理面と流体連通する、第2多孔質サブプレート
を含む、燃料電池用バイポーラプレート
であって、
ここで、前記第1多孔質サブプレートおよび前記第2多孔質サブプレートの少なくとも1つは、前記非多孔質サブプレートの凹んだ周囲部(recessed perimeter)内で入れ子状シールを形成する、燃料電池用バイポーラプレート。
【請求項2】
前記非多孔質サブプレートの少なくとも1つの面は、水管理フローフィールドを画定する、請求項1に記載のバイポーラプレート。
【請求項3】
前記水管理フローフィールドは水フローフィールドチャネルを含む、請求項
2に記載のバイポーラプレート。
【請求項4】
前記非多孔質サブプレートは、第2ハーフプレートに接合された第1ハーフプレートを含む、請求項1に記載のバイポーラプレート。
【請求項5】
前記内部冷却剤通路は、接合された前記第1ハーフプレートおよび第2ハーフプレートにより画定される、請求項
4に記載のバイポーラプレート。
【請求項6】
前記内部冷却剤通路は不凍液タイプの冷却剤に適合性である、請求項1に記載のバイポーラプレート。
【請求項7】
前記第1多孔質サブプレートおよび前記第2多孔質サブプレートの少なくとも1つは、気泡バリア細孔構造であって、前記細孔構造を通る液体の移送を可能にし、前記細孔構造を通る反応ガスの移送を防止するのに適した、気泡バリア細孔構造を含む、請求項1に記載のバイポーラプレート。
【請求項8】
前記第1多孔質サブプレートおよび前記第2多孔質サブプレートのいずれもが、気泡バリア細孔構造であって、前記細孔構造を通る液体の移送を可能にし、前記細孔構造を通る反応ガスの移送を防止する、気泡バリア細孔構造を含む、請求項
7に記載のバイポーラプレート。
【請求項9】
燃料電池バイポーラプレートアセンブリ用の非多孔質サブプレートであって、
第1水管理面と、該第1水管理面の反対側の第2水管理面とを含み、
前記非多孔質サブプレートは、以下:
燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路;
酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路;
水管理供給内部マニホールド貫通路および水管理戻り内部マニホールド貫通路;
冷却剤供給内部マニホールド貫通路および冷却剤戻り内部マニホールド貫通路;および
一方の端で前記冷却剤供給内部マニホールド貫通路と流体連通し、他方の端で前記冷却剤戻り内部マニホールド貫通路と流体連通する、内部冷却剤通路であって、該内部冷却剤通路は、燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路と、酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路との間の領域にわたって延びる、内部冷却剤通路
を画定する、非多孔質サブプレート
であって、
前記第1水管理面は、第1多孔質サブプレートを受け入れるのに適した第1の凹んだ周囲部を含み、
前記第1の凹んだ周囲部はさらに、前記第1多孔質サブプレートと共に入れ子状シールを与えるのに適している、非多孔質サブプレート。
【請求項10】
前記第2水管理面は、第2多孔質サブプレートを受け入れるのに適した第2の凹んだ周囲部を含む、請求項
9に記載の非多孔質サブプレート。
【請求項11】
前記第2の凹んだ周囲部はさらに、前記第2多孔質サブプレートと共に入れ子状シールを与えるのに適している、請求項
10に記載の非多孔質サブプレート。
【請求項12】
第2ハーフプレートに接合された第1ハーフプレートをさらに含み、それにより内部冷却剤通路を画定する、請求項
9に記載の非多孔質サブプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年6月10日に出願された「FOUR-FLUID BIPOLAR PLATE FOR FUEL CELL(燃料電池用4流体バイポーラプレート)」のタイトルの米国特許出願第17/344,377号を参照し、該出願からの優先権およびその利益を主張するものであり、該出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
本開示は概して、燃料電池バイポーラプレートに関し、より具体的には、加湿された反応物の改善されたデリバリー、および、生成水のより良好な除去を提供するバイポーラプレート構造に関する。
【0003】
プロトン交換膜(PEM)燃料電池では、水素燃料が負極(アノード)に供給され、そこで酸化反応 H2→2H++2e-によりプロトンと電子に触媒的に解離される。プロトン(H+)は膜電解質を通り正極(カソード)に到達するが、電子(e-)は外部経路を通って伝導され、外部負荷を介してアノードとカソードの間に電流が生成される。カソードでは、還元反応:O2+4e-+4H+→2H2Oに従って、プロトンと電子が酸素の存在下で再結合し、水を形成する。PEM燃料電池反応の副生成物は水と熱であり、該熱は、許容可能な内部温度を維持するために燃料電池を冷却することを必要とする。
【0004】
単一の燃料電池は、一対の電極(アノードおよびカソード)の間に挟まれた膜電解質を含む膜電極接合体(MEA)と、膜電解質とは反対側で各電極に隣接する、反応ガスフローフィールドを画定する導電性プレートとを含む。典型的なフローフィールドプレートは、反応ガスをガス拡散層と微多孔質層を通ってそれぞれの電極に導く。一部の設計では、フローフィールドプレートは水副生成物をセルから運び出すこともできる。
【0005】
電気化学変換アセンブリまたは燃料電池の電気出力を高めるために、複数の燃料電池が、一般的に、スタックで連続して配置および接続される。この配置において、2つの隣接するセルユニットは、共通のポーラプレートを共有することができ、これは、直列に接続された2つの隣接するセルユニットのアノードおよびカソードとして機能する。このようなポーラプレートは一般に、「バイポーラプレート」と称される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、燃料電池用バイポーラプレートは、少なくとも1つの水管理面と内部冷却剤通路とを含む非多孔質サブプレートを含む。バイポーラプレートは、反応物面と、反対側の水管理面とを含む、多孔質サブプレートをさらに含む。多孔質サブプレートの反応物面は、第1反応物フローフィールドを含み、水管理面は、非多孔質サブプレートの水管理面に流体接続される。
【0007】
別の実施形態では、燃料電池用バイポーラプレートは、酸化剤フローフィールド、燃料反応物フローフィールド、専用冷却剤通路、および水管理フローフィールドを含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、燃料電池用バイポーラプレートは、水管理面と反応物面とを備える非多孔質サブプレートを含む。該反応物面は、第1反応物フローフィールドを含む。バイポーラプレートは、反応物面と、反対側の水管理面とを備える多孔質サブプレートをさらに含む。該反応物面は、第2反応物フローフィールドを含む。多孔質サブプレートの水管理面は、非多孔質サブプレートの水管理面に流体接続されている。
【0009】
本明細書で説明する特徴は、以下に説明する図面を参照するとよりよく理解できる。図面は必ずしも縮尺通りではなく、該して本発明の原理を説明することに重点が置かれている。図面では、様々な図を通して同様の部分を示すために同様の番号が使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、典型的な燃料電池の概略断面分解図を示す。
【
図2】
図2は、典型的な燃料電池パワープラントの概略断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるバイポーラプレートのアノード側の分解斜視図を示す。
【
図4】
図4は、
図3に示すバイポーラプレートのカソード側の分解斜視図を示す。
【
図5】
図5は、
図3に示すバイポーラプレートのさらなる分解図を示す。
【
図6】
図6は、
図4に示すバイポーラプレートのさらなる分解図を示す。
【
図7】
図7は、
図3に示すバイポーラプレートのカソード側の斜視断面図を示す。
【
図8】
図8は、
図7に示すバイポーラプレートの拡大断面図を示す。
【
図9】
図9は、
図3に示すバイポーラプレートのカソード側の別の斜視断面図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池のスタックの断面図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態による燃料電池パワープラントの概略断面図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【
図15】
図15は、本発明の第3の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【
図16】
図16は、本発明の第4の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【
図17】
図17は、本発明の第5の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【
図18】
図18は、本発明の第6の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【
図19】
図19は、本発明の第7の実施形態によるバイポーラプレートを有する燃料電池の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には、典型的な高分子電解質膜(PEM)燃料電池10が示され、これは一般に、アイオノマー膜16によって分離された負極(アノード)12および正極(カソード)14を含む。アノード触媒層18
aおよびカソード触媒層18
cは、該して平面の膜のそれぞれの面に形成され、水素および酸素反応ガスを電気と水に変換する。この接合体は通常、膜電極接合体(MEA)20と称される。触媒層18
a、18
cは、アノード12およびカソード14について同一であってよいが、通常これらは異なる。例えば、アノード触媒層18
aは、水素原子を水素イオンおよび電子に分ける機能を有してよく、一方、カソード触媒層18
cは、酸素ガスと電子を反応させ水を形成する機能を有し得る。
【0012】
反応物(すなわち、水素および空気)は、典型的には反応物フローチャネル(破線で示す)を含むフローフィールドプレート22によって、MEA20に導かれる。フローフィールドプレート22は、バイポーラプレートとして示され、燃料と酸化剤の両方のための反応物フローチャネルを含む。反応物は、該チャネルからフローフィールドプレート22に隣接するガス拡散層(GDL)24a、24cを通り、その後、GDLとそれぞれの触媒層18a、18cとの間に位置するマイクロポーラス層(MPL)26a、26cを通過する。GDLは、反応ガス流の触媒層への拡散、液体および蒸気の水副生成物の触媒層からカソードガスチャネルへの輸送(これはガス流によって運ばれる)、電気化学反応から生成された電流の収集、および、触媒被覆膜を支持および保護するための機械的強度の付与などの、いくつかの機能を有し得る。GDLは、典型的には、高多孔質(例えば、60%~90%)の炭素繊維不織紙または炭素繊維織布であり、厚さは約0.25~0.35mmであり、孔径は数百ミクロンのオーダーであり、性能を向上させるためにさまざまな独自の物質で処理されていてよい。MPLは、GDLと触媒層との間の接触抵抗を最小限に抑えるように機能し、水の輸送を改善するのを助ける。MPLは通常、GDLに被覆されたカーボン粉末とPTFE粒子の薄層で構成され、1ミクロンオーダーの孔径を有する。一部の燃料電池は、膜電極接合体(MEA)、マイクロポーラス層(MPL)、およびガス拡散層(GDL)を、ユニット化電極接合体(UEA)28として知られる、一体型接合体として製造するように組み立てられている。
【0013】
図2は、
図1で説明したような燃料電池10のスタックを用いる、一般的な燃料電池パワープラント30を示す。水素(H
2)などの燃料は、燃料入口32に供給され、アノードフローフィールドプレートを通って流れ、アノード触媒層に分配される。未消費の燃料は燃料出口34から流出し、リサイクルポンプ(図示せず)を通って燃料入口32に戻り、定期的に周囲環境にパージしてもよい。空気などの酸化剤は、送風機(図示せず)によって空気入口36に供給され、カソードフローフィールドプレートを通って流れ、カソード触媒層に分配される。水副生成物によって加湿された過剰なプロセス空気は、空気出口38から流出し、環境に排出される前に、ラジエータおよび/またはコンデンサ(図示せず)を通過してよい。
【0014】
パワープラント30は、燃料電池から熱を除去するための冷却剤ループ40をさらに含んでもよい。多くの自動車用途では、寒冷地での冷却剤の凍結を防ぐために、冷却剤は水とエチレングリコールの混合物である。ポンプ42は、冷却剤を冷却剤入口44に供給し、そこでこれは冷却プレート等(図示されていないが、通常、燃料電池10の間に配置される)を通して導かれ、該プレートの表面上に分配される。燃料電池10は、循環する冷却剤に顕熱を伝達するため、冷却剤は温かくなるが、相変化は起こらない。冷却剤出口46でスタックを離れると、冷却剤は熱交換装置48を通過し、そこで、入口44に循環して戻される前に顕熱が除かれる。一例では、熱交換装置48はラジエータである。流量制御弁またはオリフィス50を、冷却剤の流れを調整するために使用してよい。
【0015】
図1に示すように、反応物フローフィールドプレート20はバイポーラプレートである。多くのバイポーラプレート設計は、固体材料を使用しており、ごく一部の設計では、アノード側とカソード側の両方に多孔質材料を使用している。それぞれの設計には独自の長所および短所がある。固体バイポーラプレートは、その名前が示すように、水素燃料を透過しないため、反応ガスを分離しておくのに優れている。さらに、スタックでの固体バイポーラプレートは、その不浸透性のために、密封が比較的簡単である。したがって、パワープラントスタックを加圧することができ、これによりセルの性能が向上し、セルの劣化が減少する。個体バイポーラプレートの別の利点は、不浸透性の性質により、水/エチレングリコール混合物(WEG)などの不凍液タイプの冷却剤をスタック内で使用することができることである。この不凍液タイプの冷却剤は、自動車用途などの低温環境で動作する電池に非常に有益である。しかし、WEGは膜電極を汚染するため、WEGをMEAから隔離するよう注意せねばならない。
【0016】
固体バイポーラプレートは、ステンレス鋼やチタンなどの金属から製造され得る。金属プレートは、スタンピングなどの従来の大量生産方法によってフローフィールドの形状を形成できるため、大量生産が安価になる可能性がある。固体バイポーラプレートは、非多孔質カーボンから、またはポリマー(複合)材料から、製造してもよい。固体カーボンまたは複合プレートは、モールディングなどにより大量生産でき、通常、金属成形プレートよりも寸法公差を厳しく保つことができる。しかし、固体カーボンまたは複合プレートは金属プレートよりも製造コストが高くなる。
【0017】
固体バイポーラプレートは有用であり、特定の用途では有利であり得るが、欠点がある。金属プレートの欠点の1つは、非常に高い電気化学的電位で空気と水が存在するため、腐食しやすいことである。腐食層は非導電性であり、プレートの腐食が進むと燃料電池の性能が低下する。腐食を軽減するためにコーティングが開発され、プレートに適用されてきたが、この技術にも運用上の限界がある。
【0018】
特に自動車産業は、燃料電池の動作寿命を5,000時間とすることを目標としている可能性がある。金属プレート上のいくつかのコーティングはこの目的を達成したと言われている。しかし、大型車両産業では30,000時間の動作寿命が必要とされ得る。現在の自動車のコーティングや構造は、その限界に近いものはない。したがって、大型車両産業では、おそらく30,000時間にも及ぶ、はるかに長い動作限界を備えた燃料電池を開発する必要がある。
【0019】
固体プレートの別の欠点は、それらが固有の水分管理能力を有さないことである。PEM燃料電池の動作においては、カソード電極で水(PEM電解質を通じたプロトン引き抜き(proton drag)から生じる水を含む)が生成される速度と、水がカソードから除去されるかまたはアノード電極に供給される速度との間で、適切な水のバランスを維持することが重要である。PEM燃料電池の場合、アノード電極に戻される水が不十分である場合、PEM電解質の隣接部分がドライアウトし、それにより、PEMを通過する水素イオンの移動速度が低下し、戻される流体のクロスオーバーが発生し、局所的な過熱が発生する。同様に、カソードからの水の除去が不十分である場合、カソード電極が浸水し、カソードへの酸化剤の供給が実質的に制限され、電流が減少する可能性がある。さらに、カソードから水が除去されすぎると、PEMがドライアウトし、水素イオンがPEMを通過する能力が制限され、電池性能が低下する可能性がある。通常、固体プレートでは、MEAのドライアウトや亀裂を防ぐために、外部加湿器などの外部水管理手段が必要である。
【0020】
多孔質バイポーラプレートは、水輸送プレートとも呼ばれ、燃料電池の電極のカソード側とアノード側の両方に使用される多孔質セパレータプレートである。多孔質バイポーラプレートは、細孔サイズを厳密に制御し、燃料電池の動作中に、液体の水のキャビティ中への該細孔を通る液体の移動を可能にするが、反応ガスの移動を妨げる、気泡バリアを作る。液体移動により膜の水和が可能となり、燃料電池内の電気化学反応から生じるカソード側の生成水の除去が可能となる。反応ガスの移動を防ぐことで、燃料と酸化剤のガスが液体の水のキャビティに漏れるのを防ぐ。
【0021】
多孔質プレートは、フローフィールドチャネル中の過剰の水を吸い上げ、これを、蒸発により水分を失っている領域に移動させることにより、膜電極接合体の水和を保ち、優れた水分バランスを提供する。多孔質バイポーラプレートは、燃料電池の望ましい動作を維持するために、水フローフィールドにさらされる。反応ガスが低温領域から高温領域に流れるセルの局所領域では、水が該多孔質プレートから蒸発し、ガス流が水蒸気で飽和される;反応ガスが高温領域から低温領域に流れる領域では、電気化学反応で形成される生成水と冷却ガス流から凝縮される液体の水を、該多孔質プレートによって吸い上げることができる。その結果、多孔質バイポーラプレートを備える燃料電池システムの利点の1つは、これらが非常に高い耐久性を有することである。別の利点は、多孔質バイポーラプレートを備えるシステムは外部加湿器を使用する必要がないため、重量と複雑さを軽減できることである。
【0022】
典型的には、ポンプ駆動の循環水ループを使用して、セルの冷却機能だけでなく、水輸送プレートの細孔を通して水を移動させ生成水を除去するための駆動力を提供することができる。
【0023】
多孔質バイポーラプレートは利点を有するが、欠点もある。例えば、特定の細孔サイズを有するプレートを製造するのが難しいため、大量生産するとコストが高くなり得る。別の欠点は、多孔質プレートはシールしにくく、加圧システムの信頼性の問題につながり得ることである。別の大きな欠点は、多孔質バイポーラプレートを用いる燃料電池は、冷却剤が細孔に吸収され、MEAを汚染することを回避するため、水冷ループにWEGのような不凍液タイプの冷却剤を使用することができないことである。
【0024】
本開示の発明の実施形態は、燃料反応物フローフィールド、酸化剤フローフィールド、水管理フローフィールド、および、不凍液タイプの冷却剤用の専用冷却剤通路を提供する、4流体(four-fluid)プレート構造を用いることにより、バイポーラプレートに関する前述の問題の多くを解決する。実施形態は、非多孔質プレート部分と、多孔質プレート部分の両方を含み、該関連する欠点を低減または排除しながら、両方の設計の最良の側面を獲得するように思慮深く選択される。4流体バイポーラプレートは容易に製造することができ、コストを削減することができる。
【0025】
図3および
図4を参照すると、燃料電池用バイポーラプレート100は、非多孔質サブプレート102および多孔質サブプレート104を含む。本発明の一実施形態において、非多孔質サブプレート102は、反応物面106(
図3に示す)と、反対側の水管理面108(
図4に示す)を含む。示されるように、反応物面106は、燃料フローフィールドを介して水素をMEAのアノード側へ供給する。フローフィールドの非限定的な例としては、キャビティ、多孔質基材、または、該図示される実施形態に示されるように、燃料フローフィールドチャネル110が挙げられる。非多孔質サブプレート102は、WEGなどの不凍液タイプの冷却剤を燃料電池における他のコンポーネントから分離する、内部冷却剤通路112をさらに含む(
図8および11)。非多孔質サブプレート102の他の一般的な特徴には、燃料供給部114aおよび燃料戻り部114bのための、酸化剤供給部114cおよび酸化剤戻り部114dのための、水管理供給部114eおよび水管理戻り部114fのための、ならびにWEG冷却剤供給部114gおよびWEG冷却剤戻り部114hのための、内部マニホールド114が含まれ得る。シーリング手段116により、複数の燃料電池をシールし、圧力下で操作することが可能となる。
【0026】
図4は、該バイポーラプレート100の反対側を示す。非多孔質サブプレート102の水管理面108は水フローフィールドを含む。該フローフィールドの非限定的な例としては、キャビティ、多孔質基材、または、該図示される実施形態に示されるように、外部循環水管理ループ150(
図13)の一部分を形成し、以下に詳細に説明するように、カソードフローフィールドの適切な水管理を可能にする水チャネル118が挙げられる。水は、該水管理供給マニホールド114eを通って該プレートチャネルに入り、水管理戻りマニホールド114fを通って出る。
【0027】
多孔質サブプレート104は、反応物面120と、反対側の水管理面122とを含む。反応物面120は、酸化剤フローフィールドを介してMEAのカソード側に酸化剤(例えば空気)を供給する。フローフィールドの非限定的な例としては、キャビティ、多孔質基材、または、該図示される実施形態に示されるように、この実施形態において、酸化剤フローフィールドチャネル124が挙げられる。この実施形態において、水管理面122(
図3)は特徴がない(例えばフラットである)が、最適なセル性能および耐久性を維持する点で重要な役割を果たす。
【0028】
多孔質サブプレート104は、グラファイトまたは他の炭素系材料から製造してよく、チタンまたはステンレス鋼などの金属から製造してもよい。チャネルなどの特徴は、ハイドロフォーミング、鋳造、熱成形、3Dプリンティング/付加製造、またはフライス加工/機械加工によって形成してよい。
【0029】
前述したように、多孔質サブプレート104の細孔は、燃料電池の動作中に気泡バリアを形成するような大きさに作られている。細孔サイズは、特定の燃料電池動作条件および圧力によって決定される。グラファイトまたは他の炭素系材料について、既知の方法でプレートに細孔を形成してよい。例えば、米国特許第6,197,442号は、黒鉛粉末、強化繊維、セルロース系繊維、および熱硬化性樹脂を液体と混合してスラリーを形成し、スクリーン上にシャワーして平面シートを形成し、これを乾燥させて紙を形成する製造プロセスを詳述している。かかる紙を所望の大きさにカットしレイアップする。レイアップを、圧力と熱を加えて積層し、炭化し、黒鉛化させて、後で必要に応じて機械加工するための水輸送プレートが形成される。完成した多孔質プレートは、気泡圧力、透水性、メジアン細孔径、気孔率、面内抵抗率、および圧縮降伏強さに関して優れた物理的特性を示す。金属製の多孔質プレートの場合、細孔は、例えば、パンチプレスまたはレーザードリリングによって形成され得る。
【0030】
図5および6は、本発明の第1実施形態による、非多孔質サブプレート102のさらなる分解図を示す。非多孔質サブプレート102は、容易に製造され互いに接合される2つのハーフプレート102Aおよび102Bから形成され得る。例えば、該ハーフプレートはステンレス鋼やチタンなどの金属から製造することができ、フローチャネルおよび他の特徴は金属スタンピングなどによって形成することができ、これら2つのハーフプレートは溶接により互いに接合させることができる。
【0031】
接合方法の他の非限定的な例としては、例えばレーザー溶接、ろう付け、熱可塑性接着、または接着剤が挙げられる。図示される実施形態におけるハーフプレート102Aは、反応物に面する側(
図5)に、燃料フローフィールドチャネル110を含み、反対側(
図6)にWEG冷却剤ハーフチャネル126Aを含む。ハーフプレート102Bは、水管理面108(
図6)に水チャネル118を含み、反対側(
図5)に、WEG冷却剤ハーフチャネル126Bを含む。
【0032】
さらなる詳細は、
図7および8を参照して見出すことができ、ここで、
図7は、ほぼ
図4に示される位置に沿ったバイポーラプレート100のカソード側の断面図を示し、
図8は、
図7に示されるプレートの拡大図を示す。
図8を参照すると、非多孔質サブプレート102および多孔質サブプレート104がより詳細に示されている。ハーフプレート102A、102Bは、明確にするために、分離して示されている(例えば接合前)。それぞれのハーフプレートは、隆起表面128の列、および、その間に谷部130、132を含んでよく、非多孔質プレートの外表面に流体フローチャネルを画定することができる。プレートの一方の面の隆起表面128は、同じプレートの反対側に凹部134を画定する。該凹部は、2つのハーフプレート102A、102Bが共に接合される際に、内部空洞136を画定することができる。一例において、ハーフプレート102B上の谷部130は、水管理チャネル118を画定し、ハーフプレート102A上の谷部132は、燃料フローフィールドチャネル110を画定し、内部空洞136は内部不凍液冷却剤通路を画定する。
【0033】
多孔質サブプレート104の反応物面120は、MEAに空気を供給するための酸化剤フローフィールドチャネル124を含む。一例において、チャネル124は、燃料フローフィールドチャネル110に対して横断である。多孔質サブプレート104の水管理面122は、ハーフプレート102Bのフラット隆起表面128に対して配置される。このようにして、脱塩(DI)水が、水チャネル118を通り循環されると、多孔質サブプレート104中の細孔がDI水と流体連通し、サブプレート104が液体で完全に飽和され、その状態が維持される。
【0034】
多孔質サブプレート104における所望の多孔度は、燃料電池技術分野において知られる任意の適当な方法によって達成してよい。例えば、多孔質サブプレート104は、水輸送プレート(WTP)として組み立てられてよく、適切な粒子サイズを有するスラリーからネットシェイプ成型されてよく、または、所望の細孔サイズを達成するためにレーザー穴あけ加工されてよい。
【0035】
図9は、バイポーラプレート100の別の断面図を示し、該図の一部を
図10に拡大して示し、1つの考えられる構造を説明する。
図10を見ると、該断面図は、ハーフプレート102A、ハーフプレート102B、および多孔質サブプレート104を含む。
図8と同様に、ハーフプレート102Aおよび102Bは明瞭にするために多少分離して示されている。また、WEG冷却剤ハーフチャネル126Aを形成する、ハーフプレート102Aの凹部134も示されている。
【0036】
多孔質サブプレート104は、ガスまたは水の漏れを防ぐために、従来の手段によって、非多孔質サブプレート102にシールされていてよい。例えば、シーリング手段116は、接着剤、入れ子(nesting)、締りばめ(interference fit)、または、成型圧縮シール、ガスケット、もしくはO-リングを受け入れるための溝を含んでいてよい。一例において、多孔質サブプレート104は、非多孔質サブプレート102の水管理面108に形成された凹部138中に入れ子状になっていてよい。凹部138は多孔質サブプレート104の平面全体に広がり、該プレートを効果的に捉え、組み立て中の適切な位置合わせを保証する。いくつかの例では、多孔質サブプレート104は他のプレートの厚さ中に実質的に埋め込まれており、全体的な厚さ寸法の増加は最小限に過ぎないため、凹部138はバイポーラプレート100の全体の厚さを減少させることができる。
【0037】
図11は、本発明の第1実施形態のバイポーラプレート100を備えたプロトン交換膜(PEM)燃料電池140の断面図を示し、
図12は、このような燃料電池のスタックを示し、
図13は、開示されたバイポーラプレート100を備えた燃料電池パワープラント144の断面図を示す。図示される例において、酸化剤フローフィールドチャネル124は、燃料フローフィールドチャネル110と平行であるように示されているが、これは説明のためのものであり、これは他の実施形態についても同様である。燃料電池140は、上部および下部のユニット化電極アセンブリ28(UEA)の間に、バイポーラプレート100を含む。該バイポーラプレート100は各UEA28に接している。
【0038】
動作中、水素が入口114aに導入され、非多孔質サブプレート102中の燃料フローフィールドチャネル110を通って流れることにより、UEA28のアノード側に到達する。空気は、入口114cに導入され、多孔質サブプレート104中の酸化剤フローフィールドチャネル124を通って流れることにより、UEA28のカソード側に到達する。ウォーターポンプ146は、水を、水管理ループ150中の脱塩装置148を通って循環させる。脱塩水、または脱イオン(DI)水は、水管理供給部114eを通り、非多孔質サブプレート102と多孔質サブプレート104により形成されるチャネル118を通って、スタック144に流入する。多孔質サブプレート104の細孔は水で満たされ、該サブプレートは、水を保持し、UEA28の含水を維持する、スポンジとして機能する。多孔質サブプレート104は、UEA28に該液体を直接に輸送することもできるし、あるいは、該水を蒸発させ、水蒸気を空気流を通じてUEAに移動させることもできる。多孔質サブプレート104は、カソードでの反応により形成された生成水をUEA28から除去することもできる。液体形態の生成水は、水管理ループ150における圧力を反応物の圧力よりも低く維持することにより、多孔質サブプレート104の細孔中に直接送り込むこともできる。生成水が蒸気の形態である場合、これを多孔質サブプレート上で凝縮することができ、ここで吸収され、循環水ループへと戻される。
【0039】
熱管理は主に、専用の隔離された冷却剤ループ152により制御される。冷却剤ポンプ154は、冷却剤を、冷却剤供給部114gを通じてスタック144に流し、冷却剤戻り部114hを通じてスタック144に流出させる。その間に、いくつかの構成では、冷却剤はセル140の表面全体に分配される。図示される実施形態において、冷却剤は、ハーフプレート102Aとハーフプレート102Bを接合することにより形成される内部通路112を通って流れる(
図10)。冷却剤戻り部114hでスタックを離れると、冷却剤は熱交換装置156を通り、そこで顕熱が排出されたのち、供給部114gに循環され戻される。一例では、熱交換装置156はラジエータである。フロー制御バルブまたはオリフィス158は、冷却剤の流れを調整するために使用され得る。
【0040】
非多孔質サブプレート102の不浸透性により、別個の冷却剤チューブの必要性がなくなり、冷却剤通路をサブプレート102の内部に配置することが可能となり、別個の冷却プレートを追加するいくつかの設計と比較してスペースを節約することができる。前述したように、この設計では水/エチレングリコール混合物(WEG)などの不凍液タイプの冷却剤の使用が可能であり、低温環境で動作する燃料電池にとって有益である。
【0041】
図示される実施形態では、冷却剤は、ハーフプレート102Aおよび102Bを接合することによって形成された内部通路を通って流れる。しかしながら、冷却剤を分配する他の手段も本発明の範囲内で想定される。例えば、内部冷却剤通路は、冷却剤を分配する多孔質基材を含むキャビティにより定めることができる。
【0042】
ほとんどの状況下では、開示された実施形態では外部加湿器は必要ないが、外部加湿器を追加することがシステムにとって有益であるシナリオもある。例えば、バイポーラプレート100が受動的な水管理機能のみを使用し、特に高温で乾燥した環境で運転される場合には、燃料電池が生成水を作り出すよりも早く、多孔質サブプレートから水が蒸発する可能性があった。このような環境では、本明細書の他の実施形態で詳述するような能動的冷却機能を組み込むよりも、外部加湿器159(
図13)をシステムに追加することが有利である可能性がある。
【0043】
図示される実施形態では、アノードチャネル110中には多孔質媒体はない。局所的に冷たい領域が存在するなどの一部の動作条件では、アノードチャネル内で水分が凝縮し、水が蓄積し得る。アノード電極の性能低下を防止するために、水を定期的に除去する必要がある。この問題に対する従来技術の解決策には、水を吹き飛ばす試みが含まれるが、これは余分な操作手順を必要とし、寄生電力が消費される。一実施形態では、
図11および
図12に示されるように、1つまたは複数の小さな水抜き穴142を水素チャネルの底部から穿孔して、DI水キャビティ118と連通させることができる。水抜き穴142は、燃料チャネル110から水チャネル118に、反応ガスを逃がすことなく過剰な水を輸送するための、気泡バリアとしての大きさにすることができる。DI水ループの圧力は、アノードとカソードの圧力よりも低く維持することができる。このようにして、圧力差により水の蓄積が水抜き穴142を通ってキャビティ118内に送り込まれ、そこで水はDI水ループに戻される。
【0044】
上述したように、典型的な動作条件下では、燃料電池パワープラントの熱管理は主に、不凍液冷却剤ループ152により制御され、顕熱は、冷却剤フローフィールドを通って通過する循環冷却剤に伝達される。程度は低いが、セル冷却の一部は、細孔内の生成水が蒸発する際の蒸発冷却によっても提供され得るが、蒸発冷却作用は通常、顕熱冷却剤フローシステムにおける制御パラメータとして考慮されない。
【0045】
蒸発冷却は、顕熱冷却剤フロー法と比較して、気化熱を利用して、水の体積あたりの冷却効果を最大で100対1で改善する。本開示の発明者は、特定の条件下では蒸発により冷却の強化が実現できることを確認した。したがって、本発明の一態様では、水管理ループおよび冷却剤ループの独立した操作を利用して、サーマルブーストモード、または、水回収/蓄積モードを動作させることができる。
【0046】
サーマルブーストモードでは、スタックが多量の電力を要求している場合など、有限の継続時間にわたって追加の冷却が必要である。燃料電池車両(特にトラック)では、サーマルブーストモードは、急な坂道や長い車道を登るとき、暑い日に高出力で動作するとき、または、ラジエータが冷却要求を十分に処理できるほど大きくないあらゆる他のシナリオにおいて、役立ち得る。サーマルブーストモードでは、熱管理方法が顕熱冷却から蒸発冷却に移行し、より大きい冷却能力が与えられる。蒸発冷却は、サーマルブーストモードの全冷却機能の大部分を占めることができ、一部の設計シナリオでは90%以上を占める場合がある。
【0047】
動作中、追加の冷却が必要な場合、または必要であると計算される場合、第1ステップで、冷却剤流量(すなわち、WEG)が減少し、これにより顕熱冷却能力が低下する。その結果、スタックの温度が上昇し始め、細孔からの水の蒸発速度が増加し、大幅な蒸発冷却が実現される。次に、第2のステップでは、蒸発冷却の度合いを高めるために、燃料電池の温度を上昇させるか、または温度を維持する。水の蒸発の増加を補い、細孔が乾燥して気泡バリアが失われるのを防ぐために、第3のステップで、水管理フローフィールドを通る水の流量を増加させることができる。一例では、水の流量の増加は、水管理フローフィールドと流体連通するポンプ駆動の循環水管理ループを提供し、ポンプによる水の流量を増加させることによって実現される。
【0048】
開示された蒸発冷却方式は、大きな短時間の熱要求を処理する能力がより大きいため、より優れた短期の熱管理制御戦略を提供する。冷却剤の流量を低い値に調整し、適当なレベルの蒸発冷却と所望のスタック温度を達成することができる。
【0049】
開示されたサーマルブーストモードは、水管理ループ内の水量を、生成水の形成によって同時に補充できる量以上に、枯渇させる。したがって、サーマルブーストモードは比較的短期間が意図される。しかしながら、本発明の別の態様では、水管理ループと冷却剤ループの独立した動作を、水回収/蓄積モードを操作するために利用してもよい。水回収/蓄積モードでは、冷却剤流量(すなわちWEG)を通常の速度よりも増加させ、蒸発冷却が減少し、凝縮によってセル内に過剰の水が生成される。過剰な生成水を収集し、将来のサーマルブーストモードで使用するために保持することができる。
【0050】
一実施形態において、水回収/蓄積モードを、車両が平地を走行しているときなどの、スタックを必要とせず、ラジエータを通る空気流が十分な冷却をもたらす、サイクルの一部分中に動作させることもできる。第1のステップで、追加の生成水が必要とされるか、必要と計算される際、冷却剤ループ内の冷却剤流量(すなわちWEG)を増加させ、顕熱冷却を増加させる。その結果、スタック温度が低下し、細孔から蒸発する生成水の量が減少し、代わりに凝集水が形成される。第2のステップで、余剰の生成水を凝縮させるために、燃料電池の温度を下げるが、温度を維持する。水蒸発の減少を補填し、セルフラッディングを防止するために、第3のステップで、水管理フローフィールドを通る水の流量を減少させてよい。一例では、水の流量の減少を、水管理フローフィールドと流体連通するポンプ駆動の循環水管理ループを提供し、該ポンプを用いて水の流量を減少させることにより実現してもよい。
【0051】
別の実施形態では、燃料電池コントローラは、サーマルブーストモード、または、水回収/蓄積モードが保証されるかどうか、また保証される場合にどの程度まで保証されるかを決定するために、センサ入力または環境入力を受信してもよい。センサ入力の非限定的な例としては、空気流量、カソード排気温度、カソード排気圧力、総貯水容量、水在庫、水温度、周囲温度、冷却剤戻り温度、および水ループ出口圧力などが挙げられ得る。コントローラは、センサ入力値に応じて、冷却剤ポンプおよび/またはウォーターポンプの流量設定を命令することができる。
【0052】
燃料電池コントローラは、外部環境要因からの入力も受信し得る。非限定的な例としては、ペイロードタイミング、車両ルート、GPS座標、道路勾配、天気予報、時刻、およびドライバーの行動が挙げられる。一例では、コントローラは、急勾配または延長された車道勾配が近づいていることを示すGPSルートデータを受信し得る。コントローラは、水回収/蓄積モードを動作させるように十分に前もってスタックに命令することができ、生成水を収集し、それを貯水槽に保持することができる。次いで、車両が勾配に遭遇する際、コントローラはサーマルブーストモードを動作するようスタックに命令することができる。
【0053】
サーマルブーストモード、および、水回収/蓄積モードの動作は、開示されたハイブリッドバイポーラプレートに限定されない。本発明者らは、本開示された動作方法は、米国特許第7,135,247号に開示されるような、不凍液タイプの冷却剤ループが水管理ループとは独立して動作される任意の4流体燃料電池パワープラントにおいて可能であり有益であり得ると想定する。該‘247特許は、全ての他の燃料電池間に並べられた別個の個々の冷却プレートを開示している。
【0054】
開示されたサーマルブーストモードおよび水回収/蓄積モードは、従来技術の3流体スタックに勝るいくつかの利点とアドバンテージを提供する。利点の1つは、サーマルブーストモードは、高出力の際に、ラジエータおよびファンを増やす代わりに実際にチューニングダウンするため、寄生電力を低減することである。従来技術のスタックでは、ラジエータおよびファンを激しく稼働させると効率が低下する。反対に、ラジエータのチューニングダウンは効率を高める。
【0055】
開示されたサーマルブーストモードの別の利点は、燃料電池内で達成できる代替の冷却手段があるため、ラジエータのサイズを小さくでき得ることである。従来技術の3流体設計では、はるかに大型のラジエータが使用されているが、これはより高価であり、車両の重量が増加するため、性能が低下する。これは特に燃料電池トラックに当てはまる。
【0056】
図14は、本発明の第2の実施形態による4流体バイポーラプレート200を有する燃料電池240の断面図を示す。ハーフプレート102Aは、
図11に示したものと同じ構造であってもよいが、ハーフプレート102Bは単純なフラットプレート202Bに置き換えられる。フラットプレートは、ハーフプレート102Aと同じ材料から形成され得る。この実施形態における多孔質サブプレート204は、該プレートの第1の面に酸化剤フローフィールドチャネル224を含み、反対側の第2の面にDI水チャネル218を含む。この構造では、非多孔質サブプレート102は水チャネルを有さない。この実施形態の1つの利点は、薄型であり、スタックの高さと重量が低減されることである。WEG冷却剤通路212のサイズも半分に低減されるが、これは冷却剤流量を増加させることによって補償することができる。
【0057】
図15は、本発明の第3の実施形態による4流体バイポーラプレート300を有する燃料電池340の断面図を示す。この実施形態では、DI水はスタック全体を循環せず、該水はセル340内のみを循環する。ハーフプレート102Aは、
図11に示したものと同じ構造であってよいが、ハーフプレート102Bは単純なフラットプレート302Bに置き換えられている。該フラットプレートは、ハーフプレート102Aと同じ材料から形成され得る。水輸送プレートとして構築され得るサブプレート304は、DI水のための多孔質基材として機能し、事実上はDI水「スポンジ」である:空気から生成水と加湿水を収集し、それを循環させてセル反応物チャネル324の入口に戻し、UEA28を潤す。セル内循環は、細孔内の水が反応物チャネルの入口で蒸発すると、新しい水が、細孔がまだ飽和しているチャネル324のさらに下流から吸い上げられるような、細孔ウィッキングによって起こる。このサイクルは受動的に継続し、チャネルの入口で蒸発が起こり、チャネルの出口で凝縮が起こる。この実施形態は、それほど複雑ではなく、外部ポンプおよび配管の費用を節約し、寄生電力を消費しない、受動的な水管理の利点を提供する。
【0058】
図16は、本発明の第4の実施形態による4流体バイポーラプレート400を有する燃料電池440の断面図を示す。この実施形態において、構成は、追加のセパレータプレート460が内部WEG冷却剤通路を2つの別個のチャネル(WEG1、WEG2として示す)に分割すること以外、
図11に示したものと本質的に同じである。個別のチャネルは、セル全体の熱分布を均一にするために使用され得り、すなわち、必要な箇所により高い冷却能力を追加することができる。一例では、2つの別個のチャネルは、異なる組成の冷却剤または完全に異なる流体を運ぶことができる。
【0059】
図17は、本発明の第5の実施形態による4流体バイポーラプレート500を有する燃料電池540の断面図を示す。この実施形態では、カソード側構造およびWEG内部冷却剤通路は、
図9に示したものと本質的に同じであるが、アノード側は、水素をUEA28に供給するために多孔質サブプレート562を使用する。非多孔質サブプレート102は変更されていないが、燃料反応物チャネル(
図8)を画定するサブプレート102Aの谷部132の代わりに、この実施形態では、これらが、多孔質アノードサブプレート562の水和を維持するために、水チャネル518を画定する。カソード側と同様に、多孔質アノードサブプレート562は、UEA28に隣接する燃料フローフィールドチャネル510を含む。
【0060】
図18は、本発明の第6の実施形態によるバイポーラプレート600を有する燃料電池 640の断面図を示す。この実施形態は、WEG冷却剤用の内部冷却剤通路を含まないため、3流体系である。該バイポーラプレートは、非多孔質サブプレート602および多孔質サブプレート104を含む。該多孔質サブプレートは
図11に示したものと本質的に同じである。該非多孔質サブプレート602は、単一のプレートを含み、それに溶接または別の方法で接合されたフラットプレートがない点において、前の実施形態とは異なる。したがって、サブプレート602は、水チャネル618を画定する水管理面と、反対側の、燃料フローフィールドチャネル610を画定する反応物面を含む。
【0061】
図19は、本発明の第7の実施形態による4流体バイポーラプレート700を有する燃料電池740の断面図を示す。この実施形態では、バイポーラプレート700は、カソード側に多孔質サブプレート704を含み、アノード側にハイブリッドサブプレート766を含む。サブプレート704は、サブプレート204(
図14)と本質的に同じであり、一方の側に酸化剤フローフィールド724を有し、反対側に水フローフィールド718を有する。ハイブリッドサブプレート766は、多孔質部分と非多孔質部分とを含む。非多孔質部分は、冷却剤が他のセル構成要素にさらされるのを隔離する内部冷却剤通路712を画定する。冷却剤は、WEGなどの不凍液タイプの冷却剤であってよい。多孔質部分は、燃料反応物フローフィールド710を水フローフィールド718に流体接続する複数の細孔768を画定する。細孔768は、水素ガスを水の空洞に逃がすことなく、過剰な水を燃料フローフィールド710から水フローフィールド718に輸送するための、気泡バリアとして寸法設定されている。
【0062】
一例では、サブプレート766は、内部冷却剤通路712を形成するための、ハーフプレート766B(
図14の202Bに類似)に接合されたハーフプレート766A(
図8の102Aに類似)を含んでよい。フラットプレート766Bは、ハーフプレート766Aと同じ材料から形成され得る。ハーフプレート766A、766Bは、例えば溶接、レーザー溶接、ろう付け、熱可塑性接着、または接着剤などの前述の技術のいずれかにより接合されていてよい。接合後、細孔768を、レーザードリリングなどの任意の適当な技術によって形成してよい。
【0063】
さらなる実施形態は、燃料と酸化剤反応物を交換することによって実現され得る。例えば、前の実施形態では、空気が多孔質サブプレート104のチャネルを通って流れ、水素が非多孔質サブプレート102のチャネルを通って流れると説明した。位置を交換すること、つまり水素が多孔質サブプレート104のチャネルを通って流れ、空気が非多孔質サブプレート102のチャネルを通って流れることも、本発明の範囲内であると考えられる。
【0064】
開示された燃料電池システムの改良点の1つは、非多孔質金属サブプレート上の電解腐食の防止である。電解腐食は、多孔質カーボンサブプレートと金属サブプレートとの間の界面164(
図11および13)で、それらの電位差のために、発生する可能性がある。金属が酸化し始めると、酸化物層が非導電性になるために、セルは性能低下し始める。この問題に対する従来技術の解決策としては(システムに非多孔質カーボンが含まれている場合)、腐食を防ぐために金属プレートにコーティングを塗布することが挙げられる。開示された燃料電池システムは、コーティングの恩恵をなお受け得るが、該システムは、脱塩/脱イオン水ループが、金属と炭素との間の界面164を一掃し、通常蓄積して界面を非導電性にする可能性のある、あらゆる腐食生成物を除去するため、コーティングを利用する必要がなくあり得る。実際、該界面を循環する水は酸化物の蓄積を防止する。
【0065】
本明細書に記載される方法のサンプルは、以下のとおりである:
【0066】
(1)燃料電池における炭素/金属界面の腐食を防止する方法であって、該方法は以下のステップを含む、方法:
【0067】
金属サブプレートと多孔質サブプレートとを含むバイポーラプレートを提供するステップであって、該金属サブプレートは少なくとも1つの水管理面を有し、該多孔質サブプレートは反応物面と反対側の水管理面を有し、該多孔質サブプレートの水管理面は、界面を形成するように、該金属サブプレートの水管理面と隣接する、ステップ;
【0068】
該バイポーラプレートに隣接する、ユニット化された電極アセンブリを提供するステップ;
【0069】
燃料および酸化剤反応物を、該バイポーラプレート上の反応物フローフィールドから、該ユニット化された電極アセンブリへと流し、電気化学反応を開始するステップ;
【0070】
界面で形成された腐食生成物を一掃するために、水管理ループを通り、金属サブプレートおよび多孔質サブプレートの水管理面へと、水を流すステップ;および、
【0071】
水管理ループ内を流れる水を脱イオン化および脱塩化するステップ。
【0072】
(2)上記(1)に記載の燃料電池における炭素/金属界面での腐食を防止する方法であって、バイポーラプレート内に内部冷却剤通路を形成し、該内部冷却剤通路に不凍液タイプの冷却剤を流すステップをさらに含む、方法。
【0073】
(10)以下のステップを含む、4流体燃料電池をサーマルブーストモードで動作させる方法:
【0074】
酸化剤フローフィールド、燃料反応物フローフィールド、水管理フローフィールド、および、顕熱を除去するように動作可能な独立した循環冷却剤ループを含む、4流体燃料電池を提供するステップであって、該冷却剤ループは冷却剤フローフィールドと流体連通する、ステップ;
【0075】
冷却剤ループにおける冷却剤の流量を低下させ、顕熱冷却能を低下させるステップ;および
【0076】
蒸発冷却を増加させるために、燃料電池の温度を維持または上昇させるステップ。
【0077】
(11)上記(10)に記載の4流体燃料電池を動作させる方法であって、ここで、該冷却剤は不凍液タイプの冷却剤である、方法。
【0078】
(12)上記(10)に記載の4流体燃料電池を動作させる方法であって、ここで、該酸化剤フローフィールドおよび該燃料反応物フローフィールドの少なくとも1つは、水管理フローフィールドと流体接続された複数の細孔を含み、該細孔は気泡バリアとして構成される、方法。
【0079】
(13)上記(10)に記載の4流体燃料電池を動作させる方法であって、ここで、該4流体燃料電池を提供するステップは、酸化剤フローフィールド、燃料反応物フローフィールド、内部冷却剤通路、および水管理フローフィールドを含むハイブリッドバイポーラプレートを提供することを含む、方法。
【0080】
(14)上記(10)に記載の4流体燃料電池を動作させる方法であって、蒸発の増加を補償するために、水管理フローフィールドを通る水の流量を増加させるステップをさらに含む、方法。
【0081】
(15)上記(14)に記載の4流体燃料電池を動作させる方法であって、ここで、該4流体燃料電池を提供するステップは、水管理フローフィールドと流体連通する循環水管理ループを提供することをさらに含む、方法。
【0082】
(20)以下のステップを含む、4流体燃料電池内に生成水を蓄積し保持する方法:
【0083】
酸化剤フローフィールド、燃料反応物フローフィールド、水管理フローフィールド、および、顕熱を除去するように動作可能な独立した循環冷却剤ループを含む、4流体燃料電池を提供するステップであって、該冷却剤ループは冷却剤フローフィールドと流体連通する、ステップ;
【0084】
冷却剤ループにおける冷却剤の流量を増加させ、顕熱冷却能を増加させるステップ;および
【0085】
余剰の生成水を凝縮させるために、温度を維持または低下させるステップ。
【0086】
(21)上記(20)に記載の、4流体燃料電池内に生成水を蓄積し保持する方法であって、余剰の生成水を貯水する貯水槽を提供するステップをさらに含み、該貯水槽は水管理ループと流体連通する、方法。
【0087】
(22)上記(20)に記載の、4流体燃料電池内に生成水を蓄積し保持する方法であって、水管理フローフィールドを通る水の流量を低下させ、余剰の生成水を蓄積し、減少した蒸発を補償するステップをさらに含む、方法。
【0088】
(23)上記(22)に記載の、4流体燃料電池内に生成水を蓄積し保持する方法であって、4流体燃料電池を提供するステップは、水管理フローフィールドと流体連通する循環水管理ループを提供することをさらに含む、方法。
【0089】
(24)上記(10)または(20)のいずれかに記載の方法であって、コントローラが、センサデータに応じて、冷却剤ポンプおよびウォーターポンプの流量設定を命令し、該センサデータは、空気流量、カソード排気温度、カソード排気圧力、総貯水容量、水在庫、水温度、周囲温度、冷却剤戻り温度、および水ループ出口圧力の少なくとも1つを含む、方法。
【0090】
(25)上記(10)または(20)のいずれかに記載の方法であって、コントローラが、環境要因に応じて、冷却剤ポンプおよびウォーターポンプの流量設定を命令し、該環境要因は、ペイロードタイミング、車両ルート、GPS座標、道路勾配、天気予報、時刻、およびドライバーの行動の少なくとも1つを含む、方法。
本明細書の当初の開示は、少なくとも下記の態様を包含する。
〔1〕以下:
非多孔質サブプレートであって、該非多孔質サブプレートは、第1水管理面と、該第1水管理面と反対側の第2水管理面とを含み、以下:
燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路;
酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路;
水管理供給内部マニホールド貫通路および水管理戻り内部マニホールド貫通路;
冷却剤供給内部マニホールド貫通路および冷却剤戻り内部マニホールド貫通路;および
一方の端で前記冷却剤供給内部マニホールド貫通路と流体連通し、他方の端で前記冷却剤戻り内部マニホールド貫通路と流体連通する、内部冷却剤通路であって、該内部冷却剤通路は、燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路と、酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路との間の領域にわたって延びる、内部冷却剤通路
を画定する、非多孔質サブプレート;
反応物面と、反対側の水管理面とを含む、第1多孔質サブプレートであって、該反応物面は、前記燃料供給内部マニホールド貫通路および前記酸化剤供給内部マニホールド貫通路のうちの1方と流体連通する第1反応物フローフィールドを含み、該水管理面は、前記非多孔質サブプレートの前記第1水管理面と流体連通する、第1多孔質サブプレート;および
反応物面と、反対側の水管理面とを含む、第2多孔質サブプレートであって、該反応物面は、前記燃料供給内部マニホールド貫通路および前記酸化剤供給内部マニホールド貫通路のうちの他方と流体連通する第2反応物フローフィールドを含み、該水管理面は、前記非多孔質サブプレートの前記第2水管理面と流体連通する、第2多孔質サブプレート
を含む、燃料電池用バイポーラプレート。
〔2〕前記第1多孔質サブプレートおよび前記第2多孔質サブプレートの少なくとも1つは、前記非多孔質サブプレートの凹んだ周囲部(recessed perimeter)内で入れ子状シールを形成する、〔1〕に記載のバイポーラプレート。
〔3〕前記非多孔質サブプレートの少なくとも1つの面は、水管理フローフィールドを画定する、〔1〕に記載のバイポーラプレート。
〔4〕前記水管理フローフィールドは水フローフィールドチャネルを含む、〔3〕に記載のバイポーラプレート。
〔5〕前記非多孔質サブプレートは、第2ハーフプレートに接合された第1ハーフプレートを含む、〔1〕に記載のバイポーラプレート。
〔6〕前記内部冷却剤通路は、接合された前記第1ハーフプレートおよび第2ハーフプレートにより画定される、〔5〕に記載のバイポーラプレート。
〔7〕前記内部冷却剤通路は不凍液タイプの冷却剤に適合性である、〔1〕に記載のバイポーラプレート。
〔8〕前記第1多孔質サブプレートおよび前記第2多孔質サブプレートの少なくとも1つは、気泡バリア細孔構造であって、前記細孔構造を通る液体の移送を可能にし、前記細孔構造を通る反応ガスの移送を防止するのに適した、気泡バリア細孔構造を含む、〔1〕に記載のバイポーラプレート。
〔9〕前記第1多孔質サブプレートおよび前記第2多孔質サブプレートのいずれもが、気泡バリア細孔構造であって、前記細孔構造を通る液体の移送を可能にし、前記細孔構造を通る反応ガスの移送を防止する、気泡バリア細孔構造を含む、〔8〕に記載のバイポーラプレート。
〔10〕燃料電池バイポーラプレートアセンブリ用の非多孔質サブプレートであって、
第1水管理面と、該第1水管理面の反対側の第2水管理面とを含み、
前記非多孔質サブプレートは、以下:
燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路;
酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路;
水管理供給内部マニホールド貫通路および水管理戻り内部マニホールド貫通路;
冷却剤供給内部マニホールド貫通路および冷却剤戻り内部マニホールド貫通路;および
一方の端で前記冷却剤供給内部マニホールド貫通路と流体連通し、他方の端で前記冷却剤戻り内部マニホールド貫通路と流体連通する、内部冷却剤通路であって、該内部冷却剤通路は、燃料供給内部マニホールド貫通路および燃料戻り内部マニホールド貫通路と、酸化剤供給内部マニホールド貫通路および酸化剤戻り内部マニホールド貫通路との間の領域にわたって延びる、内部冷却剤通路
を画定する、非多孔質サブプレート。
〔11〕前記第1水管理面は、第1多孔質サブプレートを受け入れるのに適した第1の凹んだ周囲部を含む、〔10〕に記載の非多孔質サブプレート。
〔12〕前記第1の凹んだ周囲部はさらに、前記第1多孔質サブプレートと共に入れ子状シールを与えるのに適している、〔11〕に記載の非多孔質サブプレート。
〔13〕前記第2水管理面は、第2多孔質サブプレートを受け入れるのに適した第2の凹んだ周囲部を含む、〔11〕に記載の非多孔質サブプレート。
〔14〕前記第2の凹んだ周囲部はさらに、前記第2多孔質サブプレートと共に入れ子状シールを与えるのに適している、〔13〕に記載の非多孔質サブプレート。
〔15〕第2ハーフプレートに接合された第1ハーフプレートをさらに含み、それにより内部冷却剤通路を画定する、〔10〕に記載の非多孔質サブプレート。