(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】力加減訓練システム、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
(21)【出願番号】P 2024098497
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2024-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516388425
【氏名又は名称】株式会社ユニコーン
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】中島 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷 真由美
(72)【発明者】
【氏名】小川 忍
(72)【発明者】
【氏名】岡部 幸江
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕子
【審査官】三村 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076008(JP,A)
【文献】特開2019-197236(JP,A)
【文献】特開2018-082892(JP,A)
【文献】特許第6901809(JP,B1)
【文献】特開2018-013625(JP,A)
【文献】国際公開第2022/097283(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-29/14
G06F 3/00、3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発達障害児の日常生活における動作の力加減を訓練できる力加減訓練システムであって、
互いに通信可能に接続された情報端末と、力加減を訓練でき、日常生活における所定の動作ごとの複数の訓練手段と、を備え、
前記情報端末は表示画面と情報処理部とを備え、
前記訓練手段は
、訓練者が動作する
、日常生活における前記所定の動作と同じ動作の訓練を可能にする、前記所定の動作ごとの対象となるものに模した複数の形態の操作部と、前記動作の力加減を検出可能な
、日常生活における所定の動作ごとの複数の形態の検出手段とを備え、
前記情報処理部の記憶部に、前記訓練手段に対する前記所定の動作ごとに、前記動作を加える対象の変化が目でわかる画像を、前記訓練手段に対する動作の力加減レベルと関連づけて記憶させ、
前記情報処理部の制御部が、
選択された前記所定の動作に係る画像を前記表示画面に表示し、
前記訓練者が選択した前記所定の動作に係る前記訓練手段の前記操作部に加える動作に合わせてリアルタイムで、
前記訓練手段に備えられた前記検出手段からの力加減情報の受信から、前記力加減情報の力加減レベルを判定し、前記判定結果の力加減レベルと関連づけられた画像を前記表示画面へ表示するまでを実行することを特徴とする力加減訓練システム。
【請求項2】
前記所定の動作が、手指の動作、息を吹く動作、吸う動作、声を出す動作、又は、足の動作であることを特徴とする請求項1に記載の力加減訓練システム。
【請求項3】
動作の力加減レベルと関連づけた前記画像の形態が、
動作の対象が人の場合、動作を加えた前記人の感情の変化が目でわかる感情表現型形態、又は、
動作の対象が物の場合、動作を加えた前記物の状態の変化が目でわかる状態変化型形態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の力加減訓練システム。
【請求項4】
前記制御部が、
前記記憶部に前記画像の感情表現又は状態変化に対応する音声を記憶させ、
力加減レベルと関連づけられた画像をリアルタイムで前記表示画面へ表示するときに、前記画像に対応する前記音声を出力させることを特徴とする請求項3に記載の力加減訓練システム。
【請求項5】
前記情報処理部の制御部が、
前記訓練手段に設けられた前記検出手段からの力加減情報を受信し、記憶し、記憶された同一の発達障害児の同一の所定の動作に係る複数の力加減情報の時間軸の比較の分析をすることを特徴とする請求項4に記載の力加減システム。
【請求項6】
前記情報端末のコンピュータを、請求項5に記載の力加減訓練システムが備える各部として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
前記情報端末のコンピュータを、請求項5に記載の力加減訓練システムが備える各部として機能させるためのプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発達障害児の日常生活での人や物に対する動作の力加減を訓練できる力加減訓練システム、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
発達障害には、友達を軽く叩いたつもりが勢いよく強く叩いてトラブルになったり、紙風船を吹く力が弱くてうまく膨らまなかったり、鉛筆を強く押し付けて鉛筆の芯が折れたり、すぐにものを壊したりするなど、日常生活における動作の力加減の調節がうまくできないという症状があります。
【0003】
力加減がうまくできない発達障害児の支援方法として、発達障害児が使いやすい物を選ぶことや、粘土等を使った皮膚感覚を刺激する遊びをすること等の方法があります。
【0004】
日常生活の動作に対する支援として、特許文献1には、訓練対象者の日常生活活動の向上を支援するための訓練プログラムを提供する日常生活 活動向上支援装置であって、人間の少なくとも4段階の発育発達の動作及び順序に関係付けた4種類の動作を定義した訓練指標と、前記4種類の動作の参照画像と、訓練対象者の自立達成度を評価するための参照スコアとを前記訓練指標毎に記憶部に予め格納し、前記訓練対象者に対する初回訓練開始を契機として、前記4種類の動作の基本順序を採用した第1の訓練プログラムを表示部に表示処理し、前記第1の訓練プログラムに基づく獲得動作のスクリーニングの実施により、前記訓練対象者の達成スコアを決定し、前記訓練指標毎に、前記表示部に表示処理するとともに前記記憶部に格納し、前記訓練対象者に対する継続訓練開始を契機として、前記訓練指標毎の前記達成スコアに応じて、前記4種類の動作の基本順序及び変更順序のいずれかを採用した第2の訓練プログラムを前記表示部に表示処理し、前記第2の訓練プログラムに基づく獲得動作のスクリーニングの実施により、前記訓練対象者の前記達成スコアを決定し、前記訓練指標毎に、前記表示部に表示処理するとともに前記記憶部に格納するように構成されたプロセッサを備える日常生活活動向上支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発達障害児が使いやすい物を選ぶことや、粘土等を使った皮膚感覚を刺激する遊びをすること等の支援方法では、発達障害児自らが動作の加減を把握しながら動作をする訓練をすることができないという問題があった。
【0007】
特許文献1の発明は、日常生活活動を支援する技術ではあるが、腹圧及び骨盤の安定や体幹の安定等の人間本来の基礎的な動作パターンを評価し支援する、高齢者の日常生活を支援する技術であるので、発達障害児自らが動作の加減を把握しながら動作をする訓練をすることができないという問題があった。
【0008】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、発達障害児が自分の動作の力加減を把握しながら、力加減の調節ができるようになる力加減訓練システム、プログラム及び記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明において、力加減とは、発達障害児が行動する手指、声、足などの身体を動かせて何かをするときの力の大きさの加減を意味し、例えば、手指で押す力の加減、手指で触る力の加減、手指で叩く力の加減、吸う力の加減、吹く力の加減、声を出す筋肉の力の加減、手指で回す力の加減などがある。
【0010】
請求項1に記載の力加減訓練システムは、発達障害児の日常生活における動作の力加減を訓練できる力加減訓練システムであって、互いに通信可能に接続された情報端末と、力加減を訓練でき、日常生活における所定の動作ごとの複数の訓練手段と、を備え、前記情報端末は表示画面と情報処理部とを備え、前記訓練手段は、訓練者が動作する、日常生活における前記所定の動作と同じ動作の訓練を可能にする、前記所定の動作ごとの対象となるものに模した複数の形態の操作部と、前記動作の力加減を検出可能な、日常生活における所定の動作ごとの複数の形態の検出手段とを備え、前記情報処理部の記憶部に、前記訓練手段に対する前記所定の動作ごとに、前記動作を加える対象の変化が目でわかる画像を、前記訓練手段に対する動作の力加減レベルと関連づけて記憶させ、前記情報処理部の制御部が、選択された前記所定の動作に係る画像を前記表示画面に表示し、前記訓練者が選択した前記所定の動作に係る前記訓練手段の前記操作部に加える動作に合わせてリアルタイムで、前記訓練手段に備えられた前記検出手段からの力加減情報の受信から、前記力加減情報の力加減レベルを判定し、前記判定結果の力加減レベルと関連づけられた画像を前記表示画面へ表示するまでを実行することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の力加減訓練システムは、請求項1において、前記所定の動作が、手指の動作、息を吹く動作、吸う動作、声を出す動作、又は、足の動作であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の力加減訓練システムは、請求項1又は2において、動作の力加減レベルと関連づけた前記画像の形態が、動作の対象が人の場合、動作を加えた前記人の感情の変化が目でわかる感情表現型形態、又は、動作の対象が物の場合、動作を加えた前記物の状態の変化が目でわかる状態変化型形態であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の力加減訓練システムは、請求項3において、前記制御部が、前記記憶部に前記画像の感情表現又は状態変化に対応する音声を記憶させ、力加減レベルと関連づけられた画像をリアルタイムで前記表示画面へ表示するときに、前記画像に対応する前記音声を出力させることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の力加減訓練システムは、請求項4において、前記情報処理部の制御部が、前記訓練手段に設けられた前記検出手段からの力加減情報を受信し、記憶し、記憶された同一の発達障害児の同一の所定の動作に係る複数の力加減情報の時間軸の比較の分析をすることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載のプログラムは、前記情報端末のコンピュータを、請求項5に記載の力加減訓練システムが備える各部として機能させるためのプログラムである。
【0016】
請求項7に記載の記憶媒体は、前記情報端末のコンピュータを、請求項5に記載の力加減訓練システムが備える各部として機能させるためのプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0017】
訓練者である発達障害児の日常生活における動作には、手指で回す、手指で押す、手指で触る、口で吸う、息を吹く、足で踏む、声を出す等がありますが、いずれも手、口、足等の動作における力加減が強すぎたり弱すぎると日常生活でトラブルにつながります。本発明の力加減訓練システムは、発達障害児自らが動作の力加減を把握しながら力加減の調節ができるので、自律的な改善ができるという効果を奏し、日常生活でトラブルにならない動作ができるという効果を奏する。
【0018】
また、発達障害児が人に触ったり、人の肩を叩いたりするときの力加減の訓練を人を対象にして実施することは実現困難であるが、本発明の力加減訓練システムは、人に触ったり人の肩を叩いたりする訓練をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の力加減訓練システムの構成説明図である。
【
図2】本発明の力加減訓練システムの情報端末の構成の説明図である。
【
図3】本発明の力加減訓練システムのフロー図である。
【
図4】実施例1の手指で水道の蛇口を回す力加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は蛇口を回す前の状態の説明図で、(b)は蛇口を少し回した状態の説明図で、(c)は蛇口を大きく回した状態の説明図で、(d)は訓練手段である蛇口の斜視説明図である。
【
図5】実施例2の手指で押さえる力の加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は動作前の状態の顔の表情の説明図で、(b)は力加減が弱いときの顔の表情の説明図で、(c)は力加減が強いときの顔の表情の説明図で、(d)は力加減が強すぎるときの顔の表情の説明図で、(e)は訓練手段である押圧機器の斜視説明図である。
【
図6】実施例3の浮き輪へ空気を入れるエアーステップポンプを手又は足で押す力加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は空気を入れる前の状態の説明図で、(b)は空気を入れる力加減が小の場合の状態の説明図で、(c)は空気を入れる力加減が大の場合の状態の説明図で、(d)は訓練手段であるエアーステップポンプの斜視説明図である。
【
図7】実施例4の吹き戻しに息を吹き込む力の加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は息を吹き込む前の状態の説明図で、(b)は息の吹き込みの力加減が小の状態の説明図で、(c)は息の吹き込みの力加減が大の状態の説明図で、(d)は訓練手段であるストロー機器の斜視説明図である。
【
図8】実施例5のストローで吸い込む力の加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は吸い込む前の状態の説明図で、(b)は吸い込む力加減が小の状態の説明図で、(c)は吸い込む力加減が大の状態の説明図である。
【
図9】実施例6の挨拶等の声掛けするときの声を出す力の加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は声を出す前の状態の説明図で、(b)は静かな声の音を出している状態の説明図で、(c)はうるさい大きな声を出している状態の説明図で、(d)は訓練手段であるマイク機器の斜視説明図である。
【
図10】実施例7のパンチングボールを叩く力の加減の訓練をする力加減訓練システムの説明図で、(a)は叩かれていない状態の顔の表情の説明図で、(b)は軽くトントン叩いたときの顔の表情の説明図で、(c)は叩かれて痛いと感じた顔の表情の説明図で、(d)はひどく叩かれて怒ったときの顔の表情の説明図で、(e)は訓練手段であるパンチングボール機器の斜視説明図である。
【
図11】力加減と画像との関連の説明図で、(a)力加減と感情表現型形態の画像との関連の説明図で、(b)は力加減と状態変化型形態の画像との関連の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、発達障害児の日常生活での人や物に対する力加減を訓練できる力加減訓練システム1であり、種々の力加減の調節がうまくできない発達障害児が力加減の調節ができるようになるのを支援する力加減訓練システム1である。
【0021】
本発明の力加減訓練システム1は、発達障害児の日常生活における動作の力加減を訓練できる力加減訓練システム1であって、互いに通信可能に接続された情報端末2と、力加減を訓練でき、日常生活における所定の動作ごとの複数の訓練手段3と、を備え、前記情報端末2は表示画面4と情報処理部5とを備え、前記訓練手段3は訓練者が動作する操作部6と、前記動作の力加減を検出可能な検出手段とを備え、前記情報処理部5の記憶部11に、前記訓練手段3に対する前記所定の動作ごとに、前記動作を加える対象の変化が目でわかる画像を、前記訓練手段3に対する動作の力加減レベルと関連づけて記憶させ、前記情報処理部5の制御部10が、選択された前記所定の動作に係る画像を前記表示画面4に表示し、前記訓練者が選択した前記所定の動作に係る前記訓練手段3の前記操作部6に加える動作に合わせてリアルタイムで、前記訓練手段3に備えられた前記検出手段からの力加減情報の受信から、前記力加減情報の力加減レベルを判定し、前記判定結果の力加減レベルと関連づけられた画像を前記表示画面4へ表示するまでを実行する。
【0022】
本発明の力加減訓練システム1は発達障害児の日常生活における動作の力加減を訓練できる力加減訓練システム1であるので、訓練者は発達障害児である。
【0023】
前記所定の動作が、手指の動作、息を吹く動作、吸う動作、声を出す動作、又は、足の動作である。そして、手指の動作には、手指で触る、手指で押す、手指で叩くという動作が含まれる。そして、前記所定の動作には、日常生活において、遊ぶ友達や家族等の人に対する動作や、蛇口等の物に対する動作がある。
【0024】
そして、前記動作するときの力加減には、例えば、水道の蛇口21を手指で回す力の加減、人を手指で触る力の加減、人を手指で叩く力の加減、浮き輪42に空気を入れるときのエアーステップポンプ41を押す力の加減、コップ61に満たされた飲料水62をストロー53で飲むときの吸い込む力の加減、吹き戻し52に息を吹く力の加減、人に話しかけるときの小声か大声かの声を出す力の加減、小型のゴムプールに空気を入れるときの足で空気ポンプを踏む力の加減等がある。
【0025】
本発明の力加減訓練システム1は、互いに有線又は無線で通信可能に接続された情報端末2と、日常生活における所定の動作ごとに動作の加減を訓練できる訓練手段3とを備え、前記情報端末2と前記訓練手段3とは有線又は無線で通信可能に接続され、前記訓練手段3に対する訓練者の力加減に対応してリアルタイムで前記情報端末2の前記表示画面4に表示される画像を変化させる制御がされる。訓練者としては発達障害児を対象としており、発達障害児が前記情報端末2の前記表示画面4を見ながら前記訓練手段3に力を加え、発達障害児が力の加減の効果をリアルタイムで把握することができるので、発達障害児が自ら力の加減の効果を知り、力加減を調節することができる。
【0026】
特に、友達などの人に対する力加減の訓練は、人を直接に何回も手指で叩くという訓練はできないが、本発明の力加減訓練システム1を使用すると、前記訓練手段3を手指で何回も叩くことで実質的に人を手指で叩くときの訓練をすることができる。
【0027】
前記情報端末2は、訓練者すなわち発達障害児が使用する情報端末であり、本発明の力加減訓練システム1を制御する、前記情報処理部5として、例えばCPU(Central Processing Unit)を備えている。そして、CPUは、プログラムを読みだして実行することにより各部にそれぞれの機能を実行させる。
【0028】
前記情報端末2は、
図1に示すように、前記表示画面4及び前記情報処理部5を備え、前記情報処理部5は、
図2に示すように、制御部10、記憶部11、判定部12、画像表示部13、送受信部14、音声出力部15、分析部16を備える。前記表示画面4と前記情報処理部5は有線で通信可能に接続され、前記情報処理部5と前記訓練手段3の検出手段(図示なし)とは有線(配線9)又は無線で通信可能に接続されている。
【0029】
前記訓練手段3は、発達障害児が日常生活におけて実行している、人に対する動作、又は、物に対する動作と同じ動作の訓練を可能とするものであり、操作部6と検出手段とを備える。前記訓練手段3としては、例えば、
図4(d)に示す前記操作部6である水道蛇口21は水道の蛇口の開け閉めの訓練手段、
図5(e)に示す前記操作部6である押圧機器31は人に触る力の訓練手段、
図6(c)に示す前記操作部6であるエアーステップポンプ41は浮き輪42を膨張させる訓練手段、
図7(d)に示す前記操作部6であるストロー機器51は飲料水62をストロー53で飲む訓練手段、
図9(d)に示す前記操作部6であるマイク機器81は声を出す訓練手段、
図10(e)に示す前記操作部6であるパンチングボール91は人を叩く訓練手段がある。前記訓練手段3としては、発達障害児が日常生活で扱う物であれば前記事例に限定されずいずれでもよい。
【0030】
前記検出手段は、前記訓練者が前記訓練手段3の前記操作部6に加えた前記動作の力の加減を検出する手段であり、前記訓練手段3に備えられている。前記検出手段としては、例えば、
図4に示す水道蛇口21の場合はロータリースイッチのように回転時に所定の回転角度でオン・オフを繰り返すセンサ、
図5に示す押圧機器31の場合は圧力センサ、
図6に示すエアーステップポンプ41の場合は圧力センサ、
図7又は
図8に示すストロー機器51の場合は気圧センサ、
図9に示すマイク機器81の場合は音量測定器、
図10に示すパンチングボール機器91の場合は加速度センサ等がある。前記検出手段としては、前記訓練手段3に対する訓練者の動作の力加減を検出可能な検出手段であれば前記事例に限定されずいずれでもよい。また、前記検出手段は電池などの電源と接続されている。
【0031】
前記記録部11は、前記訓練手段3に対する前記所定の動作ごとに、前記動作により力を加える対象の変化が目でわかる画像を、前記発達障害児の前記訓練手段3に対する動作の力加減レベルと関連づけて記憶させている。そして、動作の力加減レベルと関連づけた前記画像の形態には、動作の対象が人の場合、動作を加えた前記人の感情の変化が目でわかる感情表現型形態の画像、又は、動作の対象が物の場合、動作を加えた前記物の状態の変化が目でわかる状態変化型形態の画像がある。
【0032】
前記感情表現型形態の画像について説明する。
図11(a)に示すように、動作の力加減20の小S~大Lの範囲のうちで、前記訓練者からの何らかの動作による力を受けた人の感情が同じになると思われる、例えば笑顔、泣き顔又は怒り顔という顔の表情が同じになると思われる力加減の範囲を予め定める。例えば、笑顔の範囲7aと泣き顔の範囲7bとの境となる力加減を求め、その境の力加減を基準K1とし、泣き顔の範囲7bと怒り顔の範囲7cとの境となる力加減を求め、その境の力加減を基準K2とする。そして、前記人の感情がわかる画像を力加減と関連づけて前記記憶部11に記憶する。なお、人の感情がわかる画像としては、人の顔、動物の顔、キャラクターの顔、人のアクション、動物のアクション、キャラクターのアクション等、人の感情の変化や反応が訓練者に伝わる画像であれば前記事例に限定されずいずれでもよい。
【0033】
そして、前記送受信部14が受信した、前記訓練手段3に備えられた前記検出手段からの力加減情報を、判定部12が例えば前記範囲7a、7b又は7cのいずれに該当するかを判定し、前記画像表示部13が前記判定結果の力加減レベルと関連づけられた画像を前記表示画面4に表示する。
【0034】
前記状態変化型形態の画像について説明する。
図11(b)に示すように、動作の力加減20の小S~大Lの範囲に亘って、前記訓練者が何らかの動作により力を加えた物の変化を撮影し、力加減20の小S~大Lの範囲に亘って、力加減レベルでほぼ等間隔ごとの画像を力加減レベルと関連づけて前記記憶部11に記憶する。例えば、
図11(b)において、前記記憶部11に記憶する画像として、力加減レベルがほぼ等間隔となるT1、T2、T3、T4、T5、T6等のそれぞれの力加減レベルにおける画像を記憶する。
【0035】
そして、前記送受信部14が受信した、前記訓練手段3に備えられた前記検出手段からの力加減情報を、前記判定部12がいずれの力加減レベルに該当するかを判定し、前記画像表示部13が前記判定結果の力加減レベルと関連づけられた画像を前記表示画面4に表示する。
【0036】
また、前記制御部10が、前記記憶部11に前記画像の感情表現又は状態変化に対応する音声を記憶させ、前記画像表示部13が力加減レベルと関連づけられた画像をリアルタイムで前記表示画面4へ表示するときに、前記音声出力部15に前記画像に対応する前記音声を出力させる。
【0037】
人に対する動作の場合、前記検出手段からの力加減情報が例えば笑顔の範囲7aに該当する力加減レベルと判定されると、笑顔の画像が前記表示画面4に表示され、前記情報端末2に備えられている音声手段のスピーカーから笑い声が出力される。また、物に対する動作の場合、例えば水道の蛇口の場合に前記検出手段からの力加減情報が小さい力加減レベルと判定されると、前記力加減レベルに該当する画像が前記表示画面4に表示され、前記情報端末2に備えられている音声手段のスピーカーから水量の少ない水音が出力される。
【0038】
また、前記情報処理部5の制御部10が、前記訓練手段3に設けられた前記検出手段からの力加減情報を前記送受信部14に受信させ、前記記憶部11に受信した力加減情報を実施した日時と関連づけて記憶させ、前記分析部16に同一の発達障害児の同一の所定の動作に係る複数の実施日時の力加減情報の時間軸の比較の分析をさせる。
【0039】
次に、前記力加減訓練システム1の訓練のフロー100について説明する。
図3に示すように、まず、準備段階として、日常生活の動作の訓練画像記憶ステップ101である。発達障害児が日常生活で困っている力加減がうまくつかめない動作として、例えば、水道の蛇口を回す、人を手指で触る、浮き輪に空気を入れる、コップに満たされたジュースをストローで飲む、人に話しかける、手指で人に軽くトントンと叩くなどがあり、それぞれに該当する画像を製作し、前記訓練手段3に対する前記所定の動作ごとに、前記動作を加える対象の変化が目でわかる画像を、前記訓練手段3に対する動作の力加減レベルと関連づけて前記記憶部11に記憶する。
【0040】
次に、動作選択ステップ102である。ここでは、訓練しようとする動作を選択し、選択した前記訓練手段3の力加減の検出手段と前記情報端末2とを通信可能に有線又は無線で接続し、前記情報端末2の前記表示画面4に選択した動作に係る画像を表示する。
【0041】
次に、力加減検出情報受信ステップ103である。訓練者が前記訓練手段3の前記操作部6に対して動作を加え始めるとリアルタイムで、前記送受信部14に、訓練者の前記訓練手段3の操作部6に対する力加減を検出する前記検出手段から加減検出情報が送信される。
【0042】
次に、リアルタイム画像表示ステップ104である。前記画像表示部14に、前記力加減と関連付けられて前記記録部11に記憶された画像を前記表示画面4に表示させる。これにより、訓練者である発達障害児は自分の力加減がどのような影響を与えているかをリアルタイムで把握することができ、力加減の調節が促進される。前記力加減検出情報受信ステップ103と前記リアルタイム画像表示ステップ104は、訓練者である発達障害児が前記訓練手段3の前記操作部6に動作を加えている間は常時リアルタイムで実行される。
【0043】
次に、実施例について説明するが、本発明の力加減訓練システム1はこれらの実施例に限定されず、発達障害児の日常生活の困りごとすべてに適用できる技術である。
【0044】
まず、実施例1について説明する。実施例1は、
図4に示すように、手指で回す動作の力加減を調節できる力加減訓練システム1である。
図4(d)に示すような前記訓練手段3の前記操作部6である水道蛇口21には、前記操作部6であるハンドル24と、例えばロータリースイッチ等のように回転時に所定の回転角度ごとにオン・オフを繰り返す検出手段とが備えられている。力加減が小の場合は回転角度が小さく、力加減が大の場合は回転角度が大きくなる。そして、実際の水道蛇口から水を少しずつ出しながら等間隔の回転角度ごとに撮影した画像を、実際の水道蛇口を1回回す力加減レベルと回転角度との関連を把握して、前記力加減レベルと関連づけて前記記録部11に記憶する。これにより前記訓練手段3の水道蛇口21を小の力加減で回すと前記ハンドル24の回転角度が小となり水の流下量の変動量が少なく、前記訓練手段3の水道蛇口21を大の力加減で回すと前記ハンドル24の回転角度が大となり水の流下量の変動量が多くなる。また、蛇口21のハンドル24を正転・逆転させると、これに対応させて前記表示画面4の蛇口21からの水の流下する量を増減させることもできる。さらに、水23の流下する音を記憶させておいて出力するようにしてよい。前記画像は状態変化型形態の画像である。
【0045】
実施例1の力加減訓練システム1は、前記水道蛇口21に対して訓練者が未動作の段階は、
図4(a)に示すように、パイプ22から水23が流下しない画像が前記表示画面4に表示され、訓練者が訓練手段3の水道蛇口21のハンドル24を回し始めると、前記検出手段からの加減検出情報が前記送受信部14に送信され、前記表示画面4には前記状態変化型形態の画像の変化がスタートする。回し始めは、
図4(b)に示すように、少しの量の水23が流下し、しっかりと回すと、
図4(c)に示すように、多くの量の水23が流下する。訓練者である発達障害児は、手指で回す力の加減が弱いと水道蛇口21から水23を出すのに時間がかかり、手指で回す力の加減が強いと水道蛇口21から水23を出すのに時間がからないことを体験し、前記水道蛇口21を回す力加減と、前記水23の流れ出る量との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。また、蛇口の形状を三本の指で回せる三角形にすることにより、三本の指を使うケースである箸を持つときや鉛筆を持つときの指の使い方の訓練も同時にすることができる。
【0046】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、
図5に示すように、手指で触ったり押したりする動作の力加減を調節できる力加減訓練システム1であり、手指で触ったり押したりする対象には友達等の人を想定している。
図5(e)に示すような前記訓練手段3の押圧機器31には、前記操作部6である押圧部32と、例えば圧力センサ等の圧力を検出する検出手段とが備えられている。前記検出手段からの圧力の大きさに応じて、人が感じる表情をした顔を前記表示画面4に表示させる。人に手指で触った圧力や押した圧力と感じる感情との関連を予め検証して、例えば
図11(a)に示すように、人が親しみを込めて触られたと感じる圧力の範囲、人が痛いと感じる圧力の範囲、人が怒りを感じる圧力の範囲を見つけ出し、前記圧力は訓練者の動作の力加減に該当するので、前記動作の力加減の範囲を分けて、その分けた動作の力加減の範囲と、その範囲に対応する顔の表情をした画像とをリンクさせて、前記記録部11に記憶している。また、顔の表情に対応する音声を前記画像にリンクさせて前記記録部11に記憶してもよい。前記画像は感情表現型形態の画像である。
【0047】
実施例2の力加減訓練システム1は、前記押圧部32が押されていない無負荷状態では、例えば
図5(a)に示すように前記表示画面4には落ち着いた表情の顔33が表示され、手指で優しく触れた状態の圧力を検出すると、例えば
図5(b)に示すように前記表示画面4には嬉しい表情の顔33が表示され、手指で強く押した状態の圧力を検出すると、例えば
図5(c)に示すように前記表示画面4には悲しい表情の顔33が表示され、手指で勢いよく強く押した状態の圧力を検出すると、例えば
図5(d)に示すように前記表示画面4には怒った表情の顔33が表示される。これにより、訓練者は、手指で押したり触ったりするときの力加減と、相手の感情との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。
【0048】
次に、実施例3について説明する。実施例3は、
図6に示すように、手指で押す力加減を調節する力加減訓練システム1であり、手指で押す対象に物を想定している場合である。
図6(c)に示すような前記訓練手段3のエアーステップポンプ41には、前記操作部6のジャバラ本体部43と、例えば圧力センサ等の圧力を検出する検出手段とが備えられている。そして、前記エアーステップポンプ41を1回押す力加減レベルを少しずつ変えて、前記力加減レベルごとに1枚ずつの浮き輪42が膨らむ状態を撮影した画像を前記力加減レベルと関連づけて前記記録部11に記憶する。前記画像は状態変化型形態の画像である。
【0049】
実施例3の力加減訓練システム1は、前記エアーステップポンプ41に対して訓練前の段階は、
図6(a)に示すように前記表示画面4には浮き輪42は萎んだ状態が表示され、前記エアーステップポンプ41に対して手指による押す動作をすると、前記力加減が小の場合には
図6(b)に示すように前記表示画面4には少し膨張した浮き輪42が表示され、前記力加減が大の場合には
図6(c)に示すように前記表示画面4には大きく膨張した浮き輪42が表示される。これにより、訓練者である発達障害児は、前記エアーステップポンプ41を押す力加減と、前記浮き輪42の膨張度合との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。
【0050】
次に、実施例4について説明する。実施例4は、
図7に示すように、ストロー53で息を吹く力加減を調節する力加減訓練システム1であり、息を吹く対象には物を想定している。
図7(d)に示すような前記訓練手段3であるストロー機器51には、前記操作部6であるストロー53と、例えば気圧センサ等の空気圧を検出する検出手段とが備えられている。そして、前記ストロー53に息を1回吹く力加減を少しずつ変えて、前記力加減レベルごとに1枚ずつの吹き戻し52が伸長する状態を撮影した画像を前記力加減レベルと関連づけて前記記録部11に記憶する。また、前記吹き戻し52が伸長するときに、前記吹き戻し52が出す音を前記記憶部11に記録して前記音声出力部15から出力させてもよい。前記画像は状態変化型形態の画像である。
【0051】
実施例4の力加減訓練システム1は、前記ストロー53に対してまだ息を吹いていない段階は、
図7(a)に示すように前記表示画面4には前記吹き戻し52は萎んだ状態が表示され、前記ストロー53に対して力加減が小の息を吹くと、
図7(b)に示すように前記表示画面4には伸長し切っていない吹き戻し52が表示され、力加減が大の息をしっかり吹くと、
図7(c)に示すように前記表示画面4には最後まで伸長した状態の吹き戻し52が表示される。これにより、訓練者である発達障害児は、息を吹くときの力加減と、前記吹き戻し53の伸長との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。
【0052】
次に、実施例5について説明する。実施例5は、
図8に示すように、ストロー53で吸う力加減を調節する力加減訓練システム1であり、
図7(d)に示すような前記訓練手段3のストロー機器51には、前記操作部6であるストロー53と、例えば気圧センサ等の空気圧を検出する検出手段とが備えられている。前記ストロー53で吸う対象はコップ61内の飲料水62を想定している。前記ストロー53で1回の吸う力加減を少しずつ変えて、前記力加減レベルごとに1枚ずつのコップ61の中の飲料水62が減少する状態を撮影した画像を前記力加減レベルと関連づけて前記記録部11に記憶する。また、前記吸う力加減の大小に対応させた吸うときの音を前記記憶部11に記録して前記音声出力部15から出力させてもよい。前記画像は状態変化型形態の画像である。
【0053】
実施例5の力加減訓練システム1は、前記ストロー53に対して吸う前の段階は、
図8(a)に示すように前記表示画面4にはコップ61の中に飲料水62が満たされた状態が表示され、前記ストロー53で吸う力加減が小の場合は
図8(b)に示すように前記表示画面4にはコップ61の中に少し減少した飲料水62が表示され、前記ストロー53で吸う力加減が大の場合は
図8(c)に示すように前記表示画面4にはコップ61の中には飲料水62がほとんど残っていない状態が表示される。これにより、訓練者である発達障害児は、吸うときの力加減と、前記飲料水62の減少の多少との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。
【0054】
次に、実施例6について説明する。実施例6は、
図9に示すように、声を出す力の力加減を調節する力加減訓練システム1であり、声をかける対象には友達等の人を想定している。
図9(d)に示すような前記訓練手段3のマイク機器81には、前記操作部6であるマイク82と、例えば音量測定器等の音の大きさを検出する検出手段とが備えられている。前記検出手段からの音の大きさに応じて、人が感じる表情をした顔を前記表示画面4に表示させる。声の大きさと人が聞いて感じる感情との関連を予め検証して、このときに人が親しみを込めて声をかけられたと感じる声の大きさの範囲、人がうるさいと感じる声の大きさの範囲、人が怒りを感じる声の大きさの範囲を見つけ出し、前記声の大きさは訓練者の声を発する筋肉を動かすという動作の力の加減に該当するので、前記動作の力の加減の範囲を分けて、その分けた動作の力加減の範囲と、その範囲に対応する顔の表情をした画像とをリンクさせて、前記記録部11に記憶している。また、顔の表情に対応する音声を前記画像にリンクさせて前記記録部11に記憶し、前記音声出力部15から出力させてもよい。前記画像は感情表現型形態の画像である。
【0055】
実施例6の力加減訓練システム1は、訓練者が声を出していない状態では、例えば
図9(a)に示すように前記表示画面4には落ち着いた表情の顔83が表示され、力加減が小で、やさしく話かける声の大きさを検出すると、例えば
図9(b)に示すように前記表示画面4には嬉しい表情の顔83が表示され、力加減が少し大きくなって騒音と言えるような大きい声の大きさを検出すると、例えば
図9(c)に示すように前記表示画面4には手84で耳を押えてやめてほしいという表情の顔83が表示される。これにより、訓練者である発達障害児は、自分の声を出すときに使用する筋肉を使う力加減と、相手の感情との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。
【0056】
次に、実施例7について説明する。実施例7は、
図10に示すように、手指で叩く力加減を調節する力加減訓練システム1であり、手指で叩く対象には友達等の人を想定している。
図10(e)に示すような訓練手段3のパンチングボール機器91には、前記操作部6であるパンチングボール94と、前記パンチングボール94が叩かれたときの叩かれた力の加減を検出する加速度センサ92等の検出手段とが備えられている。前記検出手段からの力加減の大小に相当する加速度の大きさに応じて、人が感じる表情をした顔を前記表示画面4に表示させる。人に手指で触ったときの加速度や叩いたときの加速度と感じる感情との関連を予め検証して、例えば
図10(a)に示すように、人が親しみを込めて触られたと感じる加速度の範囲、人が痛いと感じる加速度の範囲、人が怒りを感じる加速度の範囲を見つけ出し、前記加速度は訓練者の叩くという動作の力加減に該当するので、前記力加減の範囲を分けて、その分けた力加減の範囲と、その範囲に対応する顔の表情をした画像とをリンクさせて、前記記録部11に記憶している。また、顔の表情に対応する音声を前記画像にリンクさせて前記記録部11に記憶してもよい。前記加速度センサ92からの力加減情報は無線で前記情報端末2に送信される。前記画像は感情表現型形態の画像である。
【0057】
実施例7の力加減訓練システム1は、手指で前記パンチングボール94が叩かれていない状態では、例えば
図10(a)に示すように前記表示画面4には落ち着いた表情の顔93が表示され、手指で優しく触れた状態の加速度を検出すると、例えば
図10(b)に示すように前記表示画面4には嬉しい表情の顔93が表示され、手指で強く叩いた状態の加速度を検出すると、例えば
図10(c)に示すように前記表示画面4には悲しい表情の顔93が表示され、手指で勢いよく強く叩いた状態の加速度を検出すると、例えば
図10(d)に示すように前記表示画面4には怒った表情の顔93が表示される。これにより、訓練者である発達障害児は、手指で叩くときの力加減と、相手の感情との関連をリアルタイムで知ることができ、前記力加減の調節ができるようになる。
【0058】
次に、前記情報端末2のコンピュータを、力加減訓練システム1が備える各部として機能させるためのプログラムを備えている。
【0059】
次に、前記情報端末2のコンピュータを、力加減訓練システム1が備える各部として機能させるためのプログラムを格納した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体を備えている。
【符号の説明】
【0060】
1 力加減訓練システム
2 情報端末
3 訓練手段
4 表示画面
5 情報処理部
6 操作部
7a、7b、7c 範囲
9 配線
10 制御部
11 記憶部
12 判定部
13 画像表示部
14 送受信部
15 音声出力部
16 分析部
20 力加減
21 蛇口
22 パイプ
23 水
24 ハンドル
31 押圧機器
32 押圧部
33 顔
41 エアーステップポンプ
42 浮き輪
43 ジャバラ本体部
51 ストロー機器
52 吹き戻し
53 ストロー
61 コップ
62 飲料水
81 マイク機器
82 マイク
83 顔
84 手
91 パンチングボール機器
92 加速度センサ
93 顔
94 パンチングボール
100 フロー図
101 訓練画像記憶ステップ
102 動作選択ステップ
103 力加減検出情報受信ステップ
104 リアルタイム画像表示ステップ
K 基準
L 大
S 小
【要約】
【課題】発達障害児自らが動作の力加減の調節ができる力加減訓練システム、プログラム及び記憶媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】訓練者からの動作を受けた人の感情が同じとなる範囲ごとに人の感情が目でわかる画像、及び、訓練手段に与える訓練者の力加減の小から大に亘って撮影した物の変化する状態が目でわかる画像を力加減レベルと関連づけて記憶している記録部を備え、選択された種類の動作の進行に合わせてリアルタイムで、検出手段からの加減検出情報の受信から、動作の種類と対応し、受信した加減検出情報の力加減レベルに対応した画像を表示し、前記画像に対応した音声を出力するまでを実行する力加減訓練システムにより解決ができた。
【選択図】
図10