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特許7586564広告提供システム、広告提供方法、及び広告提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】広告提供システム、広告提供方法、及び広告提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20241112BHJP
【FI】
G06Q30/0241
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024113985
(22)【出願日】2024-07-17
【審査請求日】2024-08-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524270246
【氏名又は名称】株式会社エレベーターアセット
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新畑 誠
(72)【発明者】
【氏名】後藤 松二
(72)【発明者】
【氏名】内田 誠司
(72)【発明者】
【氏名】加地 美香
(72)【発明者】
【氏名】上野 高広
(72)【発明者】
【氏名】久保 友和
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-081057(JP,A)
【文献】特開2022-099943(JP,A)
【文献】特開2023-059717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの利用者に広告を提供する広告提供システムであって、
記憶部、電波取得部、抽出部、表示処理部、を備え、
前記記憶部は、マップ情報、エレベータ位置情報、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納し、
前記電波取得部は、広告を提供する広告主が所持する広告主端末の現在位置を取得し、
前記表示処理部は、前記現在位置と、前記マップ情報と、前記エレベータ位置情報と、に基づいて、前記広告主が広告を提供可能なエレベータの位置が可視化されたマップを表示処理し、その表示処理結果を、前記広告主端末へ送信し、
更に、前記電波取得部は、前記エレベータの近傍に設けられた検出器から、前記利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得し、
前記抽出部は、前記接近信号、前記利用者情報、前記広告情報、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出する、
広告提供システム。
【請求項2】
前記広告提供システムは、更に、表示処理部を備え、
前記住居には、前記利用者が居住する建物の階層、間取り、築年数、のうちの全部又はいずれかに関する物件情報が含まれ、
前記広告情報には、所定エリアの地域特性が紐づけられ、
前記抽出部は、前記物件情報と、前記地域特性と、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出し、
前記表示処理部は、抽出された広告候補を表示処理し、その表示処理結果を前記利用者端末へ送信する、
請求項1に記載の広告提供システム。
【請求項3】
前記広告提供システムは、更に、登録受付部を備え、
前記登録受付部は、前記広告主端末から、前記マップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付け、選択されたエレベータを前記広告情報に紐づけて前記記憶部へ格納する、
請求項1に記載の広告提供システム。
【請求項4】
前記広告提供システムは、更に、登録受付部を備え、
前記登録受付部は、前記広告主端末から前記マップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付け、
前記表示処理部は、選択されたエレベータに関する詳細情報を表示処理し、その表示処理結果を前記広告主端末へ送信する、
請求項1に記載の広告提供システム。
【請求項5】
前記広告提供システムは、更に、登録受付部、提供部、を備え、
前記記憶部は、所定条件により提供される広告特典を、前記広告情報に対応付けて格納し、
前記登録受付部は、前記利用者端末によって閲覧された広告の閲覧履歴を受け付け、該閲覧履歴と、広告情報と、を紐づけて前記記憶部へ格納し、
前記電波取得部は、前記閲覧された広告に関連する場所に設けられた検出器から、前記利用者端末が該場所へ接近したことを示す場所信号を取得し、
前記提供部は、前記場所信号、前記閲覧履歴、前記広告情報、に基づいて、前記利用者端末へ前記広告特典を提供する、
請求項1に記載の広告提供システム。
【請求項6】
前記閲覧履歴は、前記利用者端末が広告を閲覧した閲覧時刻を含み、
前記場所信号は、前記利用者端末が前記場所へ来着した来着時刻を含み、
前記提供部は、前記閲覧時刻、到着時刻、に基づいて、前記利用者端末へ前記広告特典を提供する、
請求項5に記載の広告提供システム。
【請求項7】
エレベータの利用者に広告を提供する広告提供システムが実行する広告提供方法であって、
前記広告提供システムは、記憶部、電波取得部、抽出部、表示処理部、を備え、
前記記憶部が、マップ情報、エレベータ位置情報、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納するステップと、
前記電波取得部が、広告を提供する広告主が所持する広告主端末の現在位置を取得するステップと、
前記表示処理部が、前記現在位置と、前記マップ情報と、前記エレベータ位置情報と、に基づいて、前記広告主が広告を提供可能なエレベータの位置が可視化されたマップを表示処理し、その表示処理結果を、前記広告主端末へ送信するステップと、を含み、
更に、前記電波取得部が、前記エレベータの近傍に設けられた検出器から、前記利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得するステップと、
前記抽出部が、前記接近信号、前記利用者情報、前記広告情報、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出するステップと、を含む、
広告提供方法。
【請求項8】
エレベータの利用者に広告を提供する広告提供プログラムであって、
コンピュータを、記憶部、電波取得部、抽出部、表示処理部、として機能させ、
前記記憶部は、マップ情報、エレベータ位置情報、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納し、
前記電波取得部は、広告を提供する広告主が所持する広告主端末の現在位置を取得し、
前記表示処理部は、前記現在位置と、前記マップ情報と、前記エレベータ位置情報と、に基づいて、前記広告主が広告を提供可能なエレベータの位置が可視化されたマップを表示処理し、その表示処理結果を、前記広告主端末へ送信し、
更に、前記電波取得部は、前記エレベータの近傍に設けられた検出器から、前記利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得し、
前記抽出部は、前記接近信号、前記利用者情報、前記広告情報、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出する、
広告提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告提供システム、広告提供方法、及び広告提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータで広告を提供する取り組みが実施されている。そして昨今では、その提供方法について様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、利用者情報を取得する取得部、利用者の属性を特定する属性特定部、広告宣伝情報を決定する決定部、広告宣伝情報を端末装置へ出力する出力部、を備えることで、エレベータの利用者(端末装置)に情報を提供できるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-99943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術を利用することで、利用者の性別や年齢、及び場所情報に応じた広告を提供することはできる。しかしながら特許文献1では、利用者の居住環境や地域特性に適合した利便性の高い広告を提供することまでは考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、簡単且つ効果的に利便性の高い広告を利用者へ提供可能な広告提供システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、エレベータの利用者に広告を提供する広告提供システムであって、記憶部、電波取得部、抽出部、を備え、
前記記憶部は、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納し、
前記電波取得部は、前記エレベータの近傍に設けられた検出器から、前記利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得し、
前記抽出部は、前記接近信号、前記利用者情報、前記広告情報、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出する。
【0008】
また、本発明は、エレベータの利用者に広告を提供する広告提供システムが実行する広告提供方法であって、
前記広告提供システムは、記憶部、電波取得部、抽出部、を備え、
前記記憶部が、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納するステップと、
前記電波取得部が、前記エレベータの近傍に設けられた検出器から、前記利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得するステップと、
前記抽出部が、前記接近信号、前記利用者情報、前記広告情報、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出するステップと、を含む。
【0009】
また、本発明は、エレベータの利用者に広告を提供する広告提供プログラムであって、
コンピュータを、記憶部、電波取得部、抽出部、として機能させ、
前記記憶部は、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納し、
前記電波取得部は、前記エレベータの近傍に設けられた検出器から、前記利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得し、
前記抽出部は、前記接近信号、前記利用者情報、前記広告情報、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出する。
【0010】
このような構成にすることで、簡単且つ効果的に利便性の高い広告を利用者へ提供することができる。利用者が普段意識はしていないが生活環境等に適合した利便性の高い情報を提供することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記広告提供システムは、更に、表示処理部を備え、
前記住居には、前記利用者が居住する建物の階層、間取り、築年数、のうちの全部又はいずれかに関する物件情報が含まれ、
前記広告情報には、所定エリアの地域特性が紐づけられ、
前記抽出部は、前記物件情報と、前記地域特性と、に基づいて、前記利用者への広告候補を抽出し、
前記表示処理部は、抽出された広告候補を表示処理し、その表示処理結果を前記利用者端末へ送信する。
【0012】
このような構成にすることで、住居に関する特有の情報から、地域特性に対応した利便性の高い広告を利用者へ提供することができる。例えば、低層階に住んでいる利用者には、地域特性などに応じて防犯グッズなどの広告を提供することができる。また、高層階に住んでいる利用者には、インフラに関する災害グッズなどの広告を提供することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、マップ情報と、エレベータ位置情報と、を格納し、
前記電波取得部は、広告を提供する広告主が所持する広告主端末の現在位置を取得し、
前記表示処理部は、前記現在位置と、前記マップ情報と、前記エレベータ位置情報と、に基づいて、前記広告主が広告を提供可能なエレベータの位置が可視化されたマップを表示処理し、その表示処理結果を、前記広告主端末へ送信する。
【0014】
このような構成にすることで、広告主は簡単に広告掲載候補のエレベータを確認することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記広告提供システムは、更に、登録受付部を備え、
前記登録受付部は、前記広告主端末から、前記マップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付け、選択されたエレベータを前記広告情報に紐づけて前記記憶部へ格納する。
【0016】
このような構成にすることで、広告主はマップを閲覧しながら簡単且つ短時間で広告を掲載するエレベータを選択することができ、その結果、広告主の利便性を向上させることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記広告提供システムは、更に、登録受付部を備え、
前記登録受付部は、前記広告主端末から前記マップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付け、
前記表示処理部は、選択されたエレベータに関する詳細情報を表示処理し、その表示処理結果を前記広告主端末へ送信する。
【0018】
このような構成にすることで、広告提供候補のエレベータにおける詳細情報を簡単且つ正確に確認することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記広告提供システムは、更に、登録受付部、提供部、を備え、
前記記憶部は、所定条件により提供される広告特典を、前記広告情報に対応付けて格納し、
前記登録受付部は、前記利用者端末によって閲覧された広告の閲覧履歴を受け付け、該閲覧情報と、広告情報と、を紐づけて前記記憶部へ格納し、
前記電波取得部は、前記閲覧された広告に関連する場所に設けられた検出器から、前記利用者端末が該場所へ接近したことを示す場所信号を取得し、
前記提供部は、前記場所信号、前記閲覧履歴、前記広告情報、に基づいて、前記利用者端末へ前記広告特典を提供する。
【0020】
このような構成にすることで、広告を閲覧した利用者に対し、適切なタイミングで広告特典を提供することができ、その結果、広告主は従来よりも効果的な広告効果を得ることができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記閲覧履歴は、前記利用者端末が広告を閲覧した閲覧時刻を含み、
前記場所信号は、前記利用者端末が前記場所へ来着した来着時刻を含み、
前記提供部は、前記閲覧時刻、到着時刻、に基づいて、前記利用者端末へ前記広告特定を提供する。
【0022】
このような構成にすることで、広告を閲覧した利用者に対し、より適切なタイミングで広告特典を提供することができる。例えば広告を閲覧してから24時間以内に当該広告に対応する店舗へ利用者が来店することで、広告特典を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、利用者の住居に関する情報を利用して所定の処理を実行することで、広告提供システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成のブロック図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び端末のハードウェア構成の一例の概略図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る広告提供システムにおける処理手順のフローチャートを示す。
図4】本発明の一実施形態に係る広告提供システムで利用される各情報の一例を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る広告提供システムにおいて利用者への広告配信イメージを示す。
図6】本発明の一実施形態に係る広告主端末における表示処理結果の一例を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る広告提供システムにおいて広告主が広告を掲載するエレベータを選択するための処理手順のフローチャートを示す。
図8】本発明の一実施形態に係る利用者端末における表示処理結果の一例を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る広告提供システムにおいて利用者へ広告特典を提供するための処理手順のフローチャートを示す。
図10】本発明の一実施形態に係る広告提供システムにおける広告特典の提供イメージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0026】
例えば、本実施形態では広告提供システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0027】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。
【0028】
本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0029】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0030】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示すブロック図である。図1に示すように広告提供システム1は、情報処理装置10及びデータベースDBを備える。広告提供システム1は、ネットワークNWを介して複数の利用者端末2(図1では符号2(a)~2(c))、及び広告主端末3(符号3(a)~3(c))と通信可能に構成されている。なお、本実施形態において、利用者端末2及び広告主端末3をあわせてユーザ端末と呼ぶこともある。
【0031】
情報処理装置10は、サーバとして動作し、利用者端末2は住居におけるエレベータを利用する利用者などが使用する端末であり、広告主端末3は広告主が広告を掲載するためのエレベータを選択等するために利用する端末である。
【0032】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0033】
なお、情報処理装置10として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、広告提供システム1を構成することも可能である。
【0034】
利用者端末2は、エレベータの利用者などが使用する端末である。利用者端末2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。利用者端末2は、利用者用の広告提供アプリプログラムを記憶し、このアプリプログラムはエレベータに接近した利用者に広告を提供するための機能を有して構成される。
【0035】
広告主端末3は、エレベータでの広告提供を希望する広告主などが利用する端末である。広告主端末3として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。広告主端末3は、広告主用の広告提供アプリプログラムを記憶し、当該システムへ広告を登録し、あるいは広告を掲載するエレベータを選択等するための機能を有して構成される。
【0036】
なお、利用者端末2及び広告主端末3は、それぞれの広告提供アプリプログラムを有していない構成にすることもできる。この場合、利用者端末2及び広告主端末3はウェブブラウザ等を利用して各情報を閲覧、送信等することができる。また、利用者端末2が広告提供アプリプログラムを有していない場合、他の方法により後述する利用者の位置情報を把握することができる。
【0037】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0038】
制御部11は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る広告提供プログラム、OS、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0039】
記憶部12は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、本発明に係る広告提供プログラム及び、制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部11が、記憶部12に記憶されている広告提供プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0040】
通信部13は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0041】
図2(b)は端末90(図1における利用者端末2及び広告主端末3)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末90は、ハードウェア構成として、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、出力部95と、を備える。
【0042】
端末90の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末90の動作処理全体を制御する。端末90の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述の実績管理アプリプログラム並びに、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0043】
端末90の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部91に入力する。端末90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0044】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、登録受付部101、電波取得部102、抽出部103、表示処理部104、提供部105、を備える。これらは、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部11等)によって具体的に実現されたものである。
【0045】
登録受付部101は、ユーザ端末から各種情報を受け付けて登録する。登録受付部101は、利用者端末2や広告主端末3などから利用者情報や広告主情報などの各種情報を受け付ける。本実施形態において登録受付部101は、広告主端末3から、マップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付け、選択されたエレベータを広告情報に紐づけて記憶部12へ格納する。
【0046】
また、登録受付部101は、広告主端末3からマップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付ける。登録受付部101は、利用者端末2によって閲覧された広告の閲覧履歴を受け付け、該閲覧情報を広告情報に紐づけて記憶部12へ格納することもできる。
【0047】
電波取得部102は、各端末から所定の電波を取得する。本実施形態において電波取得部102は、エレベータの近傍に設けられた検出器(例えばビーコン)から、利用者に所持される利用者端末2が該エレベータへ接近したことを示す接近信号(ビーコン信号)を取得する。
【0048】
また、電波取得部102は、広告を掲載する広告主が所持する広告主端末3の現在位置を取得する。更に、電波取得部102は、閲覧された広告に関連する場所(例えば店舗など)に設けられた検出器から、利用者端末2が当該場所へ接近したことを示す場所信号を取得する。
【0049】
抽出部103は、所定条件に基づいて広告候補を抽出する。本実施形態において抽出部103は、接近信号、利用者情報、広告情報、に基づいて、利用者への広告候補を抽出する。抽出部103は、利用者が居住する建物の階層、間取り、築年数、のうちの全部又はいずれかに関する物件情報と、所定エリアの地域特性と、に基づいて、利用者への広告候補を抽出する。
【0050】
表示処理部104は、利用者端末2及び広告主端末3の表示画面等を表示処理する。本実施形態において表示処理部104は、抽出部103によって抽出された広告候補を表示処理し、その表示処理結果を利用者端末2へ送信する。
【0051】
また、表示処理部104は、現在位置と、マップ情報と、エレベータ位置情報と、に基づいて、広告主が広告を提供可能なエレベータの位置が可視化されたマップを表示処理し、その表示処理結果を、広告主端末3へ送信する。表示処理部104は、選択されたエレベータに関する詳細情報を表示処理し、その表示処理結果を広告主端末3へ送信することもできる。
【0052】
提供部105は、端末に各種情報を提供する。本実施形態において提供部105は、利用者端末2が場所へ接近したことを示す場所信号、利用者端末2によって閲覧された広告の閲覧履歴、広告情報、に基づいて、利用者端末2へ広告特典を提供する。また、提供部105は、閲覧時刻、到着時刻、に基づいて、利用者端末2へ広告特定を提供することもできる。
【0053】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、利用者情報、広告主情報、物件情報、エレベータ情報、広告情報、掲載情報、配信情報、閲覧履歴情報、その他広告提供に必要な情報などを格納する。これらの一部又は全部は、記憶部12等に格納されてもよいし、これらの一部が別のデータベース等に格納されてもよい。
【0054】
以下、図3~10を参照して、広告提供システム1の説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0055】
<広告提供システムの概要>
本実施形態に係る広告提供システム1は、利用者が住んでいる住居のエレベータに当該利用者が近づいたことを検出し、そのタイミングで利用者端末2に広告候補を表示させることで、当該利用者に従来よりも効果的な広告を提供するためのシステムである。
【0056】
また、広告提供システム1は、広告を掲載可能なエレベータの位置や詳細情報が可視化されたマップを広告主端末3に表示することで、広告主が広告を掲載する際の利便性を格段に高めることができる。更に、広告提供システム1は、広告を閲覧した利用者に対し、適切且つ効果的なタイミングで広告特典を提供することができる。以下、広告提供システム1における処理の流れについて詳しく説明する。
【0057】
<各種情報の登録>
図3には、本発明の一実施形態に係る広告提供システムにおける処理手順のフローチャートを示す。S201において、エレベータを利用する利用者及び広告を掲載予定の広告主などのユーザは、それぞれ事前に利用者情報及び広告主情報を登録する。情報処理装置10の登録受付部101は、広告提供に利用される各種情報を登録する。
【0058】
なお、本実施形態におけるユーザには、住居の住民のみならず、他の住居に住んでいるが利用者用の広告提供アプリ(上記した広告提供アプリケーション)を登録している者(住居のエレベータを利用する住人以外の外部利用者)も含まれる。またユーザには、広告を掲載する広告主に加え、自社で広告を掲載することはないが、広告を掲載予定のクライアントにおける広告掲載の取りまとめやプロデュースをしている事業者なども含まれる。
【0059】
図4(a)に示すように、利用者情報は、利用者の氏名、連絡先、住所、後述する物件ID(物件情報)、利用者が住んでいる居住階、部屋の間取り、利用者端末2の端末情報(端末IDなど)、登録日、居住年数(図示を省略)、などの情報を含んで利用者IDで管理される。本明細書では、利用者が実際に住んでいる居住階や部屋の間取りなどを含めて物件情報と表現することもある。
【0060】
また、図4(b)に示すように、広告主情報は、〇〇会社などの広告主名、広告主の連絡先、住所、飲食やサービス業などの業種、などの情報を含んで広告主IDで管理される。これに加えて広告主情報には、広告主の会社規模、売上規模、取引先企業、当該広告主情報の登録日、などの広告提供や広告掲載に必要な各種情報を含めることができる。
【0061】
その他にも、情報処理装置の記憶部12には、建物に関する物件情報、物件情報に紐づくエレベータ情報、広告情報、などが格納される。これらの情報は当該広告提供システム1の管理者や広告主によって登録される。
【0062】
図4(c)に示すように、物件情報は、物件名、マンションやビルなどの物件種別、〇階~〇階などの居住領域(または居住の有無に関わらず何階建て)を示す階層、物件の築年数、住所、設備情報、エレベータ情報、その他物件の特徴を示すために必要な情報を含んで物件IDで管理される。また、物件情報には、リサーチデータ、統計データ、査定データなどを含めることもできる。
【0063】
設備情報は、物件における各種設備の情報である。例えば、物件における空調設備の情報、非常電源設備の情報、共有スペースの情報、エレベータの情報などである。エレベータの情報として、エレベータの設備数、乗員数、寸法、照度、鏡の有無などの情報を含めることができる(これらの情報はエレベータ情報に含めることもできる)。
【0064】
リサーチデータは、当該広告提供システム1の管理事業者(管理者)が独自にリサーチした物件に関するデータである。例えばリサーチデータには、物件の立地条件、賃料相場、入居率、地域特性、チラシ廃棄状況などが含まれる。
【0065】
統計データは、管理事業者が独自に分析した各種統計のデータである。例えば統計データには、業種分布、広告の掲載期間分布、出稿枠数分布、掲載サイズ分布などが含まれる。査定データは、広告掲載可能なエレベータにおけるエレベータ買取評価内容、広告視聴数の想定値などである。本実施形態における広告提供システム1は、これらの情報を利用して広告候補を抽出することができる。
【0066】
図4(d)に示すように、エレベータ情報は、エレベータの設備やスペック(機能)に関するエレベータ設備情報、ビーコンID(ビーコンに関するビーコン情報、図示は省略)、などの情報を含んでエレベータIDで管理される。この他にもエレベータ情報には、上述した物件におけるエレベータの設備数、乗員数、寸法、照度、鏡の有無などの情報を含めることができる。
【0067】
図4(e)に示すように、広告情報は、広告主ID、広告の保存先(または広告の動画データや静止画データ)、配信期間、所定条件を満たした利用者に提供される広告特典、などの情報を含んで広告IDで管理される。本実施形態において広告情報は、広告主(広告主端末3)によって登録されるが、例えば当該システムの管理者が広告情報を登録する構成にすることもできる。
【0068】
<広告候補の抽出>
図3のS202において、利用者のエレベータへの接近信号を取得する。電波取得部102は、エレベータの近傍に設けられた検出器から、利用者に所持される利用者端末2が当該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得する。本実施形態における検出器は後述するビーコンである。
【0069】
図5には、本実施形態の広告提供システムにおける広告の配信イメージ図を示す。同図に示すように、利用者の住居におけるエレベータ4に当該利用者2A(利用者端末2)が近づくと、ビーコン5からの発信信号を利用者端末2が受信し、その発信信号に基づいて、利用者端末2に予めインストールされた広告提供アプリが起動する(図3のS203)。
【0070】
そして広告提供アプリが発信信号を受信し、すわなち、電波取得部102は利用者端末2がエレベータ4の所定領域内に位置する場合、当該電波取得部102は利用者端末2がエレベータ4へ接近したことを示す接近信号を取得する。本実施形態における所定領域内(利用者のエレベータへの接近が分かる領域)は、例えばエレベータから半径1cm~50mの範囲であり、より好ましくは利用者がエレベータを使用するだろうと想定できる半径10cm~2mの範囲であることが好適である。
【0071】
本実施形態におけるビーコン5は、エレベータ設備内に設置される。ここで言うビーコンとは、近距離無線通信の技術を利用して、ID情報などを発信することができる通信機器である。例えば端末機器(利用者端末2など)に受信用アプリ(広告提供アプリ)をインストールし、且つ、所定の近距離無線通信の設定をONにしておくことで、利用者端末
2は各種情報を受信できるようになる。
【0072】
例えば、後述する店舗の入り口にビーコンを設置し、入口の通過により来店履歴などを残すこともできる。なお、本実施形態では検出器としてビーコン5を利用したが、検出器はこれに限定されるものではない。
【0073】
図3のS204において、抽出部103は、利用者の住居などの情報から、当該利用者への広告候補を抽出する。抽出部103は、接近信号、住居及び端末ID(端末情報)を含んだ利用者情報、配信可能な広告に関する広告情報(及び/又は広告情報を掲載するエレベータに紐づけられた掲載情報)、に基づいて、利用者への広告候補を抽出する。
【0074】
具体的に、住居には利用者が居住する建物の階層、間取り、築年数、のうちの全部又はいずれかに関する物件情報が含まれ、広告情報には、所定エリアの地域特性が紐づけらる。そして抽出部103は、物件情報と、地域特性と、に基づいて、利用者への広告候補を抽出することができる。広告候補は、利用者への配信情報として記憶部12へ格納される。具体的に図4(g)に示すように配信情報は、掲載ID、広告候補が配信されるユーザID、ビーコンID、エレベータID、店舗ビーコンIDなどの情報を含んで配信IDで管理される。
【0075】
上記の住居には、利用者が居住する建物の階層(住んでいる階、〇階)、間取り(3LDKなど)、築年数(10年など)、居住年数、などに関する物件情報が含まれる。また、地域特性には、過去(例えば30年前)から現在までの人口推移、その地域における治安に関する治安情報、特産物や名物、その地域の歴史、などが含まれる。本実施形態では、物件情報と地域特性を利用することで、利用者へ効果的に広告を提供することができる。
【0076】
例えば、ある利用者がマンションの2階(低層階)に住んでおり、その地域における治安があまり良くない場合、抽出部103は、これらの情報(及びこれらの情報に性別等の個人情報を加えた総合的な情報)を利用して、防犯グッズに関する広告候補を抽出することができる。また、利用者の居住年数が比較的長い場合(例えば20年以上同じ住居に住んでいる場合)、抽出部103は当該地域における過去の街並みや当時のトレンドを紹介した記事などを利用した広告候補を抽出することできる。
【0077】
このように本実施形態では、物件情報と地域特性を利用することで、利用者が特定の住居で生活するうえで重要ではあるが後回しにされがちな有益な情報や、無意識ではあるが利用者の気を引く可能性のある広告候補を抽出することができる。個人情報から得られた情報によるお勧め広告は利用者が意識的に欲している可能性はあるが、利用者の気分や状況次第で無価値になる可能性も高い。本実施形態では、利用者が意識的に考えることは少ない一方、当該利用者に利便性の高い広告を提供することができる。
【0078】
<広告候補の表示処理>
図3のS205において、表示処理部104は、抽出された広告候補を表示処理し、その表示処理結果を利用者端末2へ送信する。図6には本実施形態に係る利用者端末2における表示処理結果の一例を示す。同図に示すように、利用者端末2には複数の広告候補が表示される。例えば、低層階の防犯グッズ特集や店舗Eのタイムサービス、〇〇マンション専用クーポンなどの広告候補が表示される。このように本実施形態では、利用者に対する広告をピンポイントで1つ提供するのではなく、関連する広告を複数提供することで、利用者はいずれか興味を示した広告のみを閲覧することができる。
【0079】
例えば、利用者に興味のありそうな広告を提供しても、その時の利用者の気分や状況によって当該広告を閲覧しない場合もあり得るところ、本実施形態では、物件情報や地域特性なども利用して、自身では検索することはないがきっかけがあれば興味が起こり得る利便性の高い広告を効果的に提供することができる。
【0080】
<広告を掲載するエレベータの登録>
次に、広告主が広告を掲載するエレベータを登録(選択)する流れについて説明する。図7には、本実施形態に係る広告提供システムにおいて広告主が広告を掲載するエレベータを選択するための処理手順のフローチャートを示す。
【0081】
S301において、電波取得部102は広告主の現在位置を取得する。具体的に電波取得部102は、広告を提供する広告主が所持する広告主端末3の現在位置を取得する。本実施形態における電波取得部102は、広告主端末3からのGPS信号を取得して当該広告主端末3の現在位置(位置情報)を取得する。また、電波取得部102は、GPS信号以外の他の方法により、広告主端末3の現在位置を取得することもできる。
【0082】
S302において、所定エリアのマップを特定(表示)する。表示処理部104は、広告主端末3の現在位置と、予め記憶部12に格納されたマップ情報(図示は省略)と、に基づいて、所定エリアのマップを特定することができる。本実施形態におけるマップ情報には一般的な地図に関する情報を利用することができる。また、マップ情報は、その都度外部サーバから取得することもできる。なお、この特定された領域のマップは必ずしも広告主端末3に表示する必要はなく、後述するエレベータ位置が可視化されたマップのみを表示する構成にすることも出来る。
【0083】
そしてS303において、マップにエレベータ位置を表示する。表示処理部104は、広告主端末3の現在位置と、マップ情報と、エレベータ位置情報(エレベータ情報)と、に基づいて、広告主が広告を提供可能なエレベータの位置が可視化されたマップを表示処理し、その表示処理結果を、広告主端末3へ送信する。
【0084】
図8に示すように、広告主端末3の表示画面W10の上段には、マップ表示画面W20が表示される。マップ表示画面W20には、広告主端末3の現在位置に基づいたマップが表示される。また、マップ表示画面W20には、エレベータ位置情報に基づくエレベータ位置W30が複数表示されている。
【0085】
例えば、図8ではエレベータ位置W30が5ヵ所、すなわち、エレベータが設けられたマンションなどの建物の位置が視認可能に表示されている。この視認可能に表示されたエレベータ位置W30は、広告主が広告を掲載可能なエレベータの位置を示している。広告を掲載可能なエレベータ(または当該エレベータのかご)は、予め広告掲載をするための権利等が当該システムの管理者によって購入されたものである。例えば管理者は、購入されたエレベータにおける「かご」の内部(人の乗車部分)に広告チラシや、端末で読み取り可能な二次元コード(広告のURLを示すため)などを貼ることができる。
【0086】
このように、本実施形態では、広告掲載可能なエレベータの位置がマップに可視化されているので、広告主は簡単且つ短時間で広告を掲載するエレベータを選択することができる。なお、本実施形態では、広告主端末3の現在位置を取得し、その現在位置に基づいてマップを表示させているが、例えば広告主端末3からマップ表示希望(マップを表示するための位置情報)の入力を受け付け、その入力に基づいて特定の領域のマップを表示することもできる。
【0087】
また、上述したとおり、一般的なエレベータ広告は、当該エレベータのかごの内部において実施(チラシを掲載)されるものであるが、本実施形態では端末に直接広告(広告候補)を表示させているので、かごの外部においても(すなわち、エレベータ付近において)広告を提供することができる。
【0088】
図8において、広告主がエレベータ位置W30をタッチ(選択)すると、表示処理部104によって表示画面W10の下段に物件詳細表示W40が表示処理される。図8に示すように、この物件詳細表示W40には、外観画像、内観画像、設備画像、周辺画像などが表示され、更に階建、戸数、現在の入居率、設備、などの詳細な情報も表示される。加えて、物件詳細表示W40には、業種や期間、反響数などの情報を含んだ出稿傾向、広告視聴数などの情報も表示される。これらの情報は、例えば上述したリサーチデータ、統計データ、査定データなどを利用して表示することができる。
【0089】
広告主は、これらの情報を確認しながら広告を掲載するエレベータを選択することができる。表示処理部104は、エレベータ位置が可視化されたマップと、物件詳細表示と、を同一画面に並べて表示処理し、その表示処理結果を広告主端末3へ送信することができる。本実施形態ではこのような表示処理をすることで、広告主のエレベータ選択における利便性を向上させることができる。
【0090】
そしてS304において、広告主端末3に表示されたマップから、広告主がエレベータを選択する。登録受付部101は、広告主端末3から、マップに可視化されたエレベータの選択入力を受け付け、S305において、選択されたエレベータを広告情報に紐づけて(掲載情報として)記憶部12へ格納する。掲載情報は図4(e)に示すように、広告ID、広告の保存先、エレベータID、ビーコンID、などの情報を含んで掲載IDで管理される。本実施形態では、この掲載情報や広告情報を利用して、所定条件に基づいた広告候補が抽出されることとなる。
【0091】
<広告特典の提供>
次に、利用者に広告特典を提供するまでの流れについて説明する。図9には、実施形態に係る広告提供システムにおいて利用者へ広告特典を提供するための処理手順のフローチャートを示す。
【0092】
S401において、記憶部12は、広告の閲覧履歴を格納する。この閲覧履歴は、利用者が広告候補の中から選択し閲覧した広告に関する履歴情報である。図4(h)に示すように、閲覧履歴情報は、配信ID、ユーザID、ビーコンID、広告店舗(広告に関連する場所)、店舗ビーコンID、広告特典、などを含んで履歴IDで管理される。
【0093】
例えば閲覧履歴情報には、閲覧時刻を含めることができる。登録受付部101は、利用者端末2によって閲覧された広告の閲覧履歴(閲覧履歴情報)を受け付け、該閲覧履歴と広告情報とを紐づけて記憶部12へ格納する。また、閲覧履歴情報には、後述する店舗への来着時刻、具体的には利用者端末が広告に関連する場所へ来着した来着時刻を含めることもできる。
【0094】
本実施形態では、この閲覧履歴に広告特典を提供するための条件等を含めて管理することができる。例えば、利用者が広告を閲覧した後、当該広告に関連する店舗へ訪れたことを確認する(ビーコンID、店舗ビーコンIDによる判定をする)ことで利用者に広告特典を提供することができる。また、広告特典を提供するために別のデータテーブルを用意し、この別のデータテーブルを利用して利用者が広告を閲覧した後に店舗へ訪れたことを確認することもできる。
【0095】
S402において、電波取得部102は、店舗への入店に関する場所信号を取得する。図10には、本実施形態に係る広告提供システムにおける広告特典の提供イメージを示す。同図には、利用者2Aが広告を閲覧した後、当該広告に関連する店舗へ訪れた場合を示している。広告店舗のドア6に利用者2A(利用者端末2)が近づくと、店舗ビーコン7からの発信信号を利用者端末2が受信し、その発信信号に基づいて、利用者端末2に予めインストールされた広告提供アプリが起動する(S403)。
【0096】
広告提供アプリが発信信号(アプリの起動命令など)を受信し、すわなち、電波取得部102は利用者端末2が広告店舗におけるドア6の所定領域内に位置する場合、当該電波取得部102は利用者端末2がドア6へ接近したことを示す場所信号を取得する。電波取得部102は、利用者に閲覧された広告に関連する場所(ここでは広告店舗)に設けられた検出器(店舗ビーコン7)から、利用者端末2が該場所へ接近したことを示す場所信号を取得する。
【0097】
S404において、閲覧履歴と場所信号とを判定する。提供部105は、ユーザIDとビーコンID(及び/又は履歴IDや配信IDなど)から利用者がエレベータにおいて広告を閲覧等していることを判定し、さらにユーザIDと店舗ビーコンID(及び/又は履歴IDや配信IDなど)から、利用者が該当する場所に訪れた事を判定することができる。
【0098】
そしてS405において、広告特典を利用者に提供する。提供部105は、場所信号、閲覧履歴、広告情報、に基づいて、利用者端末2へ広告特典を提供する。このように本実施形態では、電波取得部102が、閲覧された広告に関連する広告店舗に設けられた店舗ビーコン7から、利用者端末2が広告店舗(ドア6)へ接近したことを示す場所信号を取得し、提供部105が、場所信号、閲覧履歴、広告情報、に基づいて、利用者端末2へ広告特典を提供することで、広告を閲覧した利用者に対し、適切なタイミングで広告特典を提供することができ、その結果、広告主は従来よりも効果的な広告効果を得ることができる。
【0099】
また、利用者はエレベータ外部に移動し、対象広告の広告店舗に設けられた店舗ビーコンの通信範囲(最大100m~400m)に入った場合に、広告提供アプリ(専用アプリ)の起動命令を受け取る。広告提供アプリ起動時に、端末IDを送信し、記憶部12は利用者に関する各種データを参照し、閲覧フラグがある場合の特定コンテンツ内容(広告特典など)を利用者端末2に提供する。閲覧フラグに対してのアクセス内容を記録し、閲覧フラグを解放する。利用者は、2地点のビーコンに接触した場合にのみ配信されるコンテンツの提供を受けることができる。
【0100】
例えば、一例を挙げると広告特典として、「ただいま当店を通過、ボーナスポイントを加算しました」、「一定ポイント獲得で割引クーポンプレゼント」、「エレベータ広告をご覧のあなたに特別クーポンプレゼント」、「今から30分以内のご来店で全品半額サービス」、「対象店舗を全訪問で特別サービス」などの態様が考えられる。また、利用者のトラフィック情報、訪問回数や頻度、利用者のポイント獲得一覧、利用者の行動範囲などの情報を取得し、当該システムの分析部(図示を省略)によって分析することもできる。
【0101】
また、本実施形態において閲覧履歴は、利用者端末2が広告を閲覧した閲覧時刻を含み、場所信号は利用者端末2が場所へ来着した来着時刻を含み、提供部105は、閲覧時刻、到着時刻、に基づいて、利用者端末2へ広告特典を提供することもできる。
【0102】
本実施形態ではエレベータでの広告を閲覧した後に利用者が店舗へ訪れることで広告特典を提供しているが、例えば利用者が広告に関連する複数の場所を訪れることで、すなわち、複数の場所においてそれぞれのビーコン信号を確認することで(利用者が複数の場所を訪れることで)広告特典を利用者に提供することもできる。
【0103】
更に、本実施形態では、エレベータ内に掲示された紙媒体による掲示物内の二次元コード、非接触型近距離無線通信、ビーコン、による情報配信時に、広告視聴のアクセスを記憶部12にログ保存し、蓄積ないし解析したデータを、広告反響データとして広告主に提供することもできる。広告主が予め設定したURL(例えば、店舗のホームページ)に、広告提供システムが生成した固有パラメータ(広告提供システムから利用者が訪れた履歴を示す値など、例えば訪問履歴ID)を付与して遷移先URLの情報を生成し、転送を実行する。広告主側のコンテンツで固有パラメータを受信することで、広告提供システム1からの反響実績を広告主に提供することができる。
【0104】
以上のように本発明に係る広告提供システム1によれば、物件情報や地域特性を利用し、更に接近信号や場所信号を利用した所定の処理を実行することで、簡単且つ効果的に広告(及び広告特典)を提供することができる。加えて広告提供システム1によれば、広告主の利便性を向上させることもできる。
【0105】
また、本実施形態ではエレベータにおける広告の提供について説明したが、広告提供システム1をエレベータ以外の他の場所で利用する場合にも本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 広告提供システム
2 利用者端末
3 広告主端末
4 エレベータ
5 ビーコン
6 ドア
7 店舗ビーコン
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
90 端末(利用者端末2、広告主端末3)
91 制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 出力部
101 登録受付部
102 電波取得部
103 抽出部
104 表示処理部
105 提供部
NW ネットワーク
W10 表示画面
W20 マップ表示画面
W30 エレベータ位置
W40 物件詳細表示
【要約】
【課題】 本発明は、広告提供システム、広告提供方法、広告提供プログラムに関する。
【解決手段】 広告提供システム1は、記憶部、電波取得部、抽出部、を備える。
記憶部は、住居及び端末情報を含んだ利用者情報、広告情報、を格納する。
電波取得部は、エレベータの近傍に設けられた検出器から、利用者に所持される利用者端末が該エレベータへ接近したことを示す接近信号を取得する。
抽出部は、接近信号、利用者情報、広告情報、に基づいて、利用者への広告候補を抽出する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10