(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ちり取り用補助具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/52 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A47L13/52
(21)【出願番号】P 2024115084
(22)【出願日】2024-07-18
【審査請求日】2024-09-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524272860
【氏名又は名称】今津 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090228
【氏名又は名称】加藤 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】今津 哲夫
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実公昭35-25977(JP,Y1)
【文献】実開昭59-55961(JP,U)
【文献】実公昭7-11607(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3205113(JP,U)
【文献】実公第28718(大正15年)(JP,Y1T)
【文献】実公第26274(大正15年)(JP,Y1T)
【文献】実開昭49-41975(JP,U)
【文献】実開昭57-103062(JP,U)
【文献】実開昭54-153778(JP,U)
【文献】実開昭51-109667(JP,U)
【文献】登録実用新案第3207107(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108968848(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ収納部と、前記ゴミ収納部の背面及び左右側面からそれぞれ上方向に延びる支持ステーが前記ゴミ収納部の上方位置で互いに内向き方向に折り曲げられて接近しかつ連結されて上方から見てT字状に構成された支持部と、前記ゴミ収納部の背面から上方に延びる前記支持ステーの前記内向き方向に折り曲げられて前記ゴミ収納部の前後方向に延びる箇所に、該箇所をその軸回り方向に包囲するようにかつ該箇所の軸方向に沿うように取り付けられた取っ手とを有するちり取りに着脱自在に取付可能なちり取り用補助具であって、
前記ちり取り用補助具は、
前記取っ手の外周面に着脱自在にばね力で嵌合する可撓性を有する嵌合部を具えた下片と、
該下片に対し上方に間隔を空けて配置されて把持部を構成する上片と、
前記下片と前記上片どうしを連結する連結片とを有し、
前記嵌合部は、
前記取っ手を前記下片の軸方向に沿って収容する収容空間と、
前記収容空間に連通して該収容空間の軸方向に沿って開口し前記ばね力に抗する押圧力で拡開する開口部とを有し、
前記嵌合部は、前記取っ手を前記ばね力に抗して前記開口部から前記収容空間に出し入れ自在に進入させて収容することにより該取っ手の外周面に前記ばね力で嵌合するように構成されている
ちり取り用補助具。
【請求項2】
前記嵌合部の前記収容空間が前記下片の上面側に構成され、
前記連結片と前記嵌合部との間に、前記ちり取りの取っ手が前記収容空間に収容された状態で該取っ手の端部又は該端部に隣接する前記支持部の部分が配置される空隙が形成されている
請求項1に記載のちり取り用補助具。
【請求項3】
前記嵌合部が空間を隔てて対向配置され先端部が自由端とされた対の嵌合片を具え、
前記収容空間が前記対の嵌合片に挟まれた空間に構成され、
前記開口部が前記収容空間の軸方向に沿って開口する部分と、該部分に繋がって前記収容空間の軸方向の両端部に開口する部分とを有し、
前記開口部の前記収容空間の軸方向に沿って開口する部分が前記対の嵌合片の前記自由端どうしの間に構成され、
前記開口部の前記収容空間の軸方向の両端部に開口する部分が前記対の嵌合片の軸方向の端部に構成され、
前記開口部の前記収容空間の軸方向に沿って開口する部分の開口幅が前記収容空間の最大幅よりも狭く形成されている
請求項1に記載のちり取り用補助具。
【請求項4】
前記上片、前記連結片、前記下片の側面形状がコ字状、C字状、Z字状、2字状、S字状、I字状のいずれかの形状を有する請求項1に記載のちり取り用補助具。
【請求項5】
前記下片は剛性を有する棒状の基材に前記嵌合部を構成する可撓性を有する嵌合部品を取り付けた構成を有する請求項1から4のいずれか1つに記載のちり取り用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はちり取りに着脱自在に取り付けて使用されるちり取り用補助具に関し、ちり取りの取っ手の上方に別の取っ手を設けて楽な姿勢で清掃作業を行えるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
ちり取りの代用として使用できる手箕(てみ)に着脱自在に取り付けて使用されるちり取り用補助具として下記特許文献1に記載のものがあった。これは手箕(10)(カッコ内の符号は特許文献1で使用されている符号を示す。以下同じ)の取手本体部(3)を構成する金属パイプ(31)内にオプションパーツ(5、ちり取り用補助具)の先端部を差し込んでねじ止めすることによりオプションパーツ(5)を手箕(10)に着脱自在に取り付けることにより、取手本体部(3)の上方にオプションパーツ(5)による取っ手(51)を別の設けて楽な姿勢で清掃作業を行えるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、手箕(10)にオプションパーツ(5)を取り付けるために手箕(10)の取手本体部(3)の金属パイプ(31)にねじ止め用のねじ穴等が必要があった。このため、既存の手箕にオプションパーツ(5)を後付けで取り付けることができなかった。
【0005】
この発明は前記従来の技術における問題点を解決して既存のちり取りにも取り付けられるようにしたちり取り用補助具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のちり取り用補助具は、ゴミ収納部と、前記ゴミ収納部の背面及び左右側面からそれぞれ上方向に延びる支持ステーが前記ゴミ収納部の上方位置で互いに内向き方向に折り曲げられて接近しかつ連結されて上方から見てT字状に構成された支持部と、前記ゴミ収納部の背面から上方に延びる前記支持ステーの前記内向き方向に折り曲げられて前記ゴミ収納部の前後方向に延びる箇所に、該箇所をその軸回り方向に包囲するようにかつ該箇所の軸方向に沿うように取り付けられた取っ手とを有するちり取りに着脱自在に取付可能なちり取り用補助具であって、前記ちり取り用補助具は、前記取っ手の外周面に着脱自在にばね力で嵌合する可撓性を有する嵌合部を具えた下片と、該下片に対し上方に間隔を空けて配置されて把持部を構成する上片と、前記下片と前記上片どうしを連結する連結片とを有し、前記嵌合部は、前記取っ手を前記下片の軸方向に沿って収容する収容空間と、前記収容空間に連通して該収容空間の軸方向に沿って開口し前記ばね力に抗する押圧力で拡開する開口部とを有し、前記嵌合部は、前記取っ手を前記ばね力に抗して前記開口部から前記収容空間に出し入れ自在に進入させて収容することにより該取っ手の外周面に前記ばね力で嵌合するように構成されているものである。これによれば、ちり取りの取っ手を嵌合部のばね力に抗して該嵌合部の開口部から収容空間に出し入れ自在に進入させて取っ手の外周面に嵌合させることにより、ちり取り用補助具をちり取りに取り付けることができる。その結果、ちり取りの既存の取っ手の上方にちり取り用補助具の上片の把持部による取っ手を設けることができるので、楽な姿勢で清掃作業を行うことができる。しかも、このちり取り用補助具をちり取りに取り付けるためにちり取りにねじ穴などを形成する必要がないので、既存のちり取りに取り付けて使用することができる。また、嵌合部は可撓性を有しちり取りの取っ手の外周面に着脱自在にばね力で嵌合するので、取っ手の径の多少の違いを吸収して異なるメーカーのちり取りに取り付けることができる。
【0007】
この発明のちり取り用補助具は、前記嵌合部の前記収容空間が前記下片の上面側に構成され、前記連結片と前記嵌合部との間に、前記ちり取りの取っ手が前記収容空間に収容された状態で該取っ手の端部又は該端部に隣接する前記支持部の部分が配置される空隙が形成されているものとすることができる。これによれば、ちり取り用補助具を介してちり取りを持ち運ぶ際に、下片の上面側にちり取りの取っ手を乗せる形で該取っ手を支持するので、該下片の下面側にちり取りの取っ手を吊り下げる形で該取っ手を支持する場合に比べて、ちり取りの重量を該下片でしっかりと支持することができる。また、ちり取りの取っ手が収容空間に収容された状態で取っ手の端部又は該端部に隣接する支持部の部分が連結片と嵌合部との間の空隙に配置されるので、取っ手の端部又は該端部に隣接する支持部の部分が嵌合部に干渉することなくちり取りの取っ手を嵌合部の収容空間に収容することができる。
【0008】
この発明のちり取り用補助具は、前記嵌合部が空間を隔てて対向配置され先端部が自由端とされた対の嵌合片を具え、前記収容空間が前記対の嵌合片に挟まれた空間に構成され、前記開口部が前記収容空間の軸方向に沿って開口する部分と、該部分に繋がって前記収容空間の軸方向の両端部に開口する部分とを有し、前記開口部の前記収容空間の軸方向に沿って開口する部分が前記対の嵌合片の前記自由端どうしの間に構成され、前記開口部の前記収容空間の軸方向の両端部に開口する部分が前記対の嵌合片の軸方向の端部に構成され、前記開口部の前記収容空間の軸方向に沿って開口する部分の開口幅が前記収容空間の最大幅よりも狭く形成されているものとすることができる。これによれば、嵌合部は対の嵌合片のばね力により取っ手に嵌合することができる。
【0009】
この発明のちり取り用補助具は、前記上片、前記連結片、前記下片の側面形状が例えばコ字状、C字状、Z字状、2字状、S字状、I字状のいずれかの形状を有するものとすることができる。
【0010】
この発明のちり取り用補助具は、前記下片は剛性を有する棒状の基材に前記嵌合部を構成する可撓性を有する嵌合部品を取り付けた構成を有するものとすることができる。これによれば、下片は剛性を有しつつ嵌合部にばね性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】この発明によるちり取り用補助具の実施の形態1を示す斜視図である。
【
図1B】
図1Aのちり取り用補助具の右側面図(ちり取りに取り付けた姿勢でちり取りの右側面側から見た図)である。
【
図1C】
図1Aのちり取り用補助具の背面図(ちり取りに取り付けた姿勢でちり取りの後ろ側から見た図)である。
【
図2】
図1Aのちり取り用補助具を取り付け可能なちり取り(いわゆる鉄道ちり取り)を斜め上方から見た写真である。
【
図3】
図1Aのちり取り用補助具を
図2のちり取りに取り付ける途中状態を示す、ちり取りの右側面側から見た写真である。
【
図4A】
図3の状態からちり取りの取っ手を嵌合部の内部空間に押し込んで該取っ手を該嵌合部に嵌合させ、もってちり取りの取っ手にちり取り用補助具を取り付けた状態を示す、ちり取りの右側面側から見た写真である。
【
図5A】
図2のちり取りをちり取り用補助具を取り付けないで使用して清掃作業を行う様子を示す写真である。
【
図5B】
図2のちり取りを
図1Aのちり取り用補助具を取り付けて使用して清掃作業を行う様子を示す写真である。
【
図6】この発明によるちり取り用補助具の実施の形態2を示す写真である。
【
図7A】
図6のちり取り用補助具を
図2のちり取りに取り付けた状態を示す写真である。
【
図8A】この発明によるちり取り用補助具の実施の形態3を示す右側面図である。
【
図9】
図8Aのちり取り用補助具を
図2のちり取りに取り付けた状態を示す写真である。
【
図10A】この発明によるちり取り用補助具の他の実施の形態を示す側面図である。
【
図10B】この発明によるちり取り用補助具の他の実施の形態を示す側面図である。
【
図10C】この発明によるちり取り用補助具の他の実施の形態を示す側面図である。
【
図10D】この発明によるちり取り用補助具の他の実施の形態を示す側面図である。
【
図10E】この発明によるちり取り用補助具の他の実施の形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明によるちり取り用補助具の各種実施の形態を説明する。はじめにこの発明によるちり取り用補助具(以下「補助具」と略称する)を取り付け可能なちり取りの構造について説明する。
図2はこの発明による補助具を取り付け可能なちり取りを示す。このちり取り10はいわゆる「鉄道ちり取り」と呼ばれる種類のちり取りである。すなわち、ちり取り10は、前部に開口部を有するゴミ収納部12と、下端部がゴミ収納部12の外周面にそれぞれ固定された3本の支持ステー14a,14b,14cを具えた支持部14と、支持部14の頂部に取り付けられた取っ手16を有する。一般的に、ゴミ収納部12と支持ステー14a,14b,14cは金属製、取っ手16はプラスチック製である。ゴミ収納部12の底面から取っ手16の頂面までの高さは、メーカーによっても異なるが55cm~62cm程度である。支持ステー14a,14b,14cは下端部がゴミ収納部12の背面、左壁面、右壁面にそれぞれ固定されて上方向に延びて配置されている。支持ステー14a,14b,14cはゴミ収納部12の上方位置で互いに内向き方向に折り曲げられて接近しかつ連結されて上方から見て(ちり取り10の前側が上側に配置されるように見て)T字状に構成されている。取っ手16はゴミ収納部12の背面から上方に延びる支持ステー14aの内向き方向に折り曲げられてゴミ収納部12の前後方向に延びる箇所に、該箇所をその軸回り方向に包囲するようにかつ該箇所の軸方向に沿うように取り付けられている。取っ手16を構成するプラスチック製の部材は、該箇所のほかに支持ステー14a,14b,14cの連結箇所14dを包囲するように支持部14に取り付けられている。取っ手16は軸直交方向の断面が円形、楕円形又は角に丸みを付けた四角形等に構成されている。取っ手16の下面には手で握りやすいように指を掛ける山谷形状が形成されている。この発明による補助具は取っ手16に嵌合してちり取り10に取り付けることができる。また、この発明による補助具は取っ手16のほかに連結箇所14d、連結箇所14dの左右の支持ステー14b,14cの頂部箇所等に係合又は嵌合してちり取り10に取り付けられるように構成することもできる。
【0013】
《実施の形態1》
図1A~
図1Cはこの発明による補助具の実施の形態1を示す。
図1Aにおいて、補助具20は下片22、連結片24、上片26を有する。下片22は棒状の基材28aと、基材28aの上面に接着剤またはねじ等の固着具で固定取付けされた嵌合部30を具える。上片26は下片22に対し、上方に間隔を空けて対向配置されている。上片26は把持部(取っ手)を構成する。連結片24は下片22と上片26どうしを連結する。下片22と上片26の軸方向の長さは例えば17cm程度、連結片24の軸方向の長さ(下片22と上片26との間隔)は、作業者の身長に応じて、身長が160cmの場合は20cm以上、身長が180cmの場合は40cm以上等に設定することができる。連結片24を例えば釣り竿のように伸縮式にして作業者の身長に応じて連結片の長さを調節可能に構成することもできる。下片22,連結片24、上片26の各基材28a,28b,28c(以下これら全体で「基材28」)は木材、プラスチック、金属パイプ、その他の剛性を有する適宜の材料で堅固に構成されている。基材28は例えば全体を一体物(例えばプラスチックの一体成形品)として製作し、又は基材28a,28b,28cごとに製造された部分を連結して製作することができる。基材28は側面形状(補助具20をちり取り10に取り付けた状態でちり取り10の側方から見た形状)が概ねコ字状を有する。すなわち、基材28は直線状に延在する基材28aと、基材28aの一端部から上方に向けて直角に屈曲して直線状に延在する基材28bと、基材28bの上端部から基材28aに対向する側に直角に屈曲して基材28aと平行に直線状に延在する基材28cを具える。
【0014】
嵌合部30はプラスチック、金属、その他適宜の材料による可撓性を有する嵌合部品で構成されている。嵌合部30はちり取り10の取っ手16の外周面に着脱自在に嵌合部30のばね力で嵌合する。この実施の形態では嵌合部30は塩ビパイプを加工して構成されている。すなわち、嵌合部30は適宜の内径(ちり取り10の取っ手16の外周面にがたつきなく嵌合できる径)の塩ビパイプを適宜の長さにカットし、その塩ビパイプの周壁面の周方向の一部の領域を内径よりも狭幅で軸方向の全長にわたってカットして構成されている。嵌合部30の軸(塩ビパイプの軸)は下片22の軸と平行に配置されている。このような構成により、嵌合部30は対の嵌合片30a,30b(
図1A、
図1C)を具えている。対の嵌合片30a,30bの基端部(下端部)は基材28aに固定された固定端とされ、先端部(上端部)は自由端(非固定端)とされている。したがって、対の嵌合片30a,30bは可撓性を有し、外力に対し撓んでばね力を生じる。対の嵌合片30a,30bに挟まれた空間に収容空間32が構成されている。対の嵌合片30a,30bの周縁部の全周で、収容空間32に連通しかつ連続する開口部34が構成されている。すなわち、対の嵌合片30a,30bの自由端どうしの間に開口部34の、収容空間32の軸方向に沿って開口する部分34aが形成されている。また、対の嵌合片30a,30bの軸方向の両端部に開口部34の、収容空間32の軸方向の両端部に開口する部分34b,34cが形成されている。開口部34の、収容空間32の軸方向に沿って開口する部分34aの開口幅は収容空間の最大幅よりも狭く形成されている(
図1C参照)。嵌合部30の軸方向の長さは、この実施の形態では取っ手16の軸方向の長さと同程度に設定したが、これに限らない。すなわち、嵌合部30の軸方向の長さは、取っ手16の軸方向の長さよりも短く、又は支持部14と干渉しない範囲で取っ手16の軸方向の長さよりも長く設定することもできる。
【0015】
嵌合部30において、収容空間32は下片22の上面側(基材28aの上面側)で取っ手16を下片22の軸方向に沿って収容保持する。開口部34は収容空間32の軸方向の一端部から収容空間32の軸方向に沿って収容空間32の他端部まで収容空間32に連通しかつ連続して開口し、嵌合部30のばね力に抗する押圧力で拡開する。この実施の形態では開口部34は、収容空間32の軸方向に沿って開口する部分34aが、下片22の上面側で上向きの開口として構成されている。下片22の上面側(基材28aの上方位置)において、下片22の軸方向の、連結片24と嵌合部30との間には空隙36が形成されている。
【0016】
嵌合部30は、ちり取り10(
図2)の取っ手16を対の嵌合片30a,30bのばね力に抗して開口部34に押し付けて開口部34を拡開させ、取っ手16を該拡開した開口部34から収容空間32に出し入れ自在に押し込み進入させて収容することにより取っ手16の外周面に該ばね力で嵌合する。取っ手16が嵌合部30に嵌合された状態で、取っ手16の軸方向の両端部又は該両端部に隣接する支持ステー14aの部分は開口部34の、収容空間32の軸方向の両端部に開口する部分34b,34cを通して収容空間32から引き出されている(
図4A、
図4C参照)。また、連結片24と嵌合部30との間の空隙36には支持ステー14a,14b,14cの連結箇所14dが配置されている(
図4A、
図4C参照)。また、左右の支持ステー14b,14cは連結箇所14dから空隙36を通って引き出されている。したがって、支持ステー14b,14cを嵌合部30に干渉させることなく、取っ手16を嵌合部30の収容空間32に収容することができる。
【0017】
以上の構成の補助具20をちり取り10に取り付ける手順を説明する。
図3は補助具20をちり取り10に取り付ける途中状態を示す。補助具20の上片26(把持部)を片手で握って、下片22の先端をちり取り10の前側から左右支持ステー14b,14cで包囲される空間40(
図2)に進入させて(言い換えれば、補助具20のコ字の開口38に支持部14の上部を進入させて)、
図3に示すように嵌合部30を取っ手16の下方位置に配置する。この状態から、補助具20を引き上げて取っ手16の下面に嵌合部30の対の嵌合片30a,30b(
図1A)の頂部を当接させ(つまり、取っ手16の下面で嵌合部30の、収容空間32の軸方向に沿って開口する部分34aを塞ぐような配置となる)、もう一方の手で下片22及び取っ手16の全体を包囲するように掴んで強く握る。この強く握る力により付勢された取っ手16の押圧力で対の嵌合片30a,30bのばね力に抗して開口部34が拡開し、取っ手16が収容空間32に収容され嵌合される。該嵌合した状態では、対の嵌合片30a,30bのばね力により取っ手16の外周面は収容空間32の内周面に強く押し付けられる。このようにして、補助具20はちり取り10に取り付けられ、補助具20はちり取り10に対し起立した状態に保たれる。この取り付けられた状態を
図4A~
図4Cに示す。補助具20をちり取り10から外すときは、上片26を片手で握って下方に押し下げる。これにより取っ手16と嵌合部30との嵌合が外れ、補助具20はちり取り10から外される。
【0018】
ちり取り10を使用して掃除を行う様子を説明する。
図5Aは補助具20を装着せずにちり取り10を単体で使用して掃除を行う様子を示す。このとき作業者は腰を曲げて作業することになり、腰への負担が大きい。
図5Bは補助具20を装着したちり取り10を使用して掃除を行う様子を示す。作業者は把持部(取っ手)を構成する上片26を握ってちり取り10を持ち運んで作業を行うことができる。ちり取り10の本来の取っ手16の位置に比べて上片26は高い位置にあるので、作業者は腰を大きく曲げることなく作業を行うことができ、腰への負担を軽くして楽に作業を行うことができる。
【0019】
実施の形態1の補助具20によれば、下片22の上面側に取っ手16を乗せる形で取っ手16を支持するので(
図4B参照)、下片22の下面側に取っ手16を吊り下げる形で取っ手16を支持する場合(
図9の実施の形態3)に比べて、ちり取り10の重量を下片22でしっかりと支持することができる。また、開口部34は、収容空間32の軸方向に沿って開口する部分34aが下片22の上面側で上向きの開口として構成されているので、収容空間の軸方向に沿って開口する部分が下片の下面側で下向きの開口として構成されている場合(
図9の実施の形態3)に比べて、ちり取り10の重量でちり取り10が補助具20から外れて落下する不都合を回避することができる。
【0020】
《実施の形態2》
図6はこの発明による補助具の実施の形態2を示す。これは一般に固定ホルダー等と呼ばれる可撓性を有する嵌合部品を用いて嵌合部を構成したものである。実施の形態2において実施の形態1の各部と対応する箇所には実施の形態1で用いたものと同一の符号を用いる。補助具44において、基材28はここでは木材で構成された棒状の基材28a,28b,28cをL字金具46で連結して構成されている。嵌合部48は基材28aの上面に2個の固定ホルダー50,52を基材28aの軸方向に沿って適宜の間隔を空けて配列し、固定ホルダー50,52をねじ53で基材28aにねじ止めして構成されている。固定ホルダー50,52は可撓性を有する金属板を折り曲げ加工し、対の嵌合片48a,48bにビニールディップコート54を被覆して構成されている。対の嵌合片48a,48bに挟まれた空間が収容空間56として構成されている。対の嵌合片48a,48bにより、収容空間56に連通しかつ連続する開口部58が構成されている。すなわち、対の嵌合片48a,48bの自由端どうしの間に開口部58の、収容空間56の軸方向に沿って開口する部分58aが構成されている。また、対の嵌合片48a,48bの軸方向の両端部(2個の固定ホルダー50,52を1個の連続した嵌合部品と見た場合の軸方向の両端部)に開口部58の、収容空間56の軸方向の両端部に開口する部分58b,58cが構成されている。開口部58の、収容空間56の軸方向に沿って開口する部分の開口幅が収容空間の最大幅よりも狭く形成されている。
【0021】
補助具44は、実施の形態1の補助具20と同様の手順で嵌合部48を取っ手16に嵌合させてちり取り10に着脱自在に取り付けることができる。
図7Aはちり取り10に補助具44を取り付けた状態を示す。
図7AのB-B矢視断面を
図7Bに示す。嵌合部48(固定ホルダー50)の対の嵌合片48a,48bの間の収容空間56に取っ手16が収容され嵌合されている。この該嵌合した状態では、対の嵌合片48a,48bのばね力により取っ手16の外周面は収容空間56の内周面に強く押し付けられている。
【0022】
《実施の形態3》
図8A、
図8Bはこの発明による補助具の実施の形態3を示す。この補助具60は実施の形態2で用いた固定ホルダー50,52を基材28aの下面に取り付けて嵌合部48を構成したものである。実施の形態3において実施の形態2の各部と対応する箇所には実施の形態2で用いたものと同一の符号を用いる。
図9はちり取り10に補助具60を取り付けた状態を示す。補助具60は、嵌合部48を取っ手16の上側から押し下げて取っ手16に嵌合させることによりちり取り10に着脱自在に取り付けられる。補助具60は、実施の形態1,2と異なり下片22の基材28aがちり取り10の支持部14の上側に配置されるので、前後を反転させてちり取り10に取り付けることもできる。
【0023】
《他の実施の形態》
この発明による補助具の他の実施の形態を
図10A~
図10Eに示す。他の実施の形態において実施の形態1の各部と対応する箇所には実施の形態1で用いたものと同一の符号を用いる。
【0024】
図10Aの補助具62は基材28をC字状に構成したものである。すなわち、基材28は下片22の基材28a、連結片24の基材28b、上片26の基材28cが一体に繋がって構成されている。下片22の基材28aの上面側に、開口部34(正確には開口部34の、収容空間32の軸方向に沿って開口する部分34a。以下同じ)を上向きに開口させた嵌合部30が設けられている。
【0025】
図10Bの補助具64は基材28をZ字状に構成したものである。すなわち、基材28は下片22の基材28a、連結片24の基材28b、上片26の基材28cが一体に繋がって構成されている。下片22の基材28aの下面側に、開口部34を下向きに開口させた嵌合部30が設けられている。
【0026】
図10Cの補助具66は基材28を2字状に構成したものである。すなわち、基材28は下片22の基材28a、連結片24の基材28b、上片26の基材28cが一体に繋がって構成されている。下片22の基材28aの上面側に、開口部34を上向きに開口させた嵌合部30が設けられている。
【0027】
図10Dの補助具68は基材28をS字状に構成したものである。すなわち、基材28は下片22の基材28a、連結片24の基材28b、上片26の基材28cが一体に繋がって構成されている。下片22の基材28aの上面側に、開口部34を上向きに開口させた嵌合部30が設けられている。
【0028】
図10Eの補助具70は基材28をI字状に構成したものである。すなわち、基材28は下片22の基材28a、連結片24の基材28b、上片26の基材28cが一体に繋がって構成されている。下片22の基材28aの下面側に、開口部34を下向きに開口させた嵌合部30が設けられている。
【0029】
《変形例》
前記各実施の形態では嵌合部の、開口部の収容空間の軸方向に沿って開口する部分を上向きまたは下向きの開口として構成したが、該部分を横向きまたは斜め横向きの開口として構成して、ちり取りの取っ手を横方向または斜め横方向から嵌合部の収容空間に進入させて収容することもできる。前記各実施の形態では下片22と連結片24と上片26を同一平面上に配置したが、この発明において下片22と連結片24と上片26は必ずしも同一平面上に配置する必要はない。また、前記各実施の形態では上片26は剥き出しの基材28cで把持部を構成したが、上片26を握りやすいように基材28cにプラスチック成形等による握り部品(
図2のちり取り10の取っ手16のようなもの)を被せて把持部を構成することもできる。また、嵌合部には取っ手と嵌合部の嵌合外れやガタつきを防止するために補助的に締付け具を別途設けることもできる。また、この発明の補助具は既存のちり取りに後付け用として単品で販売されるほか、ちり取りとのセットで販売されることもできる。
【符号の説明】
【0030】
10…ちり取り、12…ゴミ収納部、14…支持部、14a,14b,14c…支持ステー、14d…支持ステーの連結箇所、16…取っ手、20…補助具、22…下片、24…連結片、26…上片、28,28a,28b,28c…基材、30…嵌合部(嵌合部品)、30a,30b…対の嵌合片、32…収容空間、34…開口部、34a…開口部の、収容空間の軸方向に沿って開口する部分、34b,34c…開口部の、収容空間の軸方向の両端部に開口する部分、36…空隙、38…コ字の開口、40…左右支持ステーで包囲される空間、44…補助具、46…L字金具、48…嵌合部、48a,48b…対の嵌合片、50…固定ホルダー(嵌合部品)、52…固定ホルダー(嵌合部品)、53…ねじ、54…ビニールディップコート、56…収容空間、58a…開口部の、収容空間の軸方向に沿って開口する部分、58b,58c…開口部の、収容空間の軸方向の両端部に開口する部分、58…開口部、60…補助具、62…補助具、64…補助具、66…補助具、68…補助具、70…補助具。
【要約】
【課題】ちり取りの取っ手の上方に別の取っ手を設けて楽な姿勢で清掃作業を行えるようにする補助具を提供する。
【解決手段】補助具20は、ちり取りの取っ手の外周面に着脱自在にばね力で嵌合する可撓性を有する嵌合部30を具えた下片22と、下片22に対し上方に間隔を空けて配置されて把持部を構成する上片26と、下片22と上片26どうしを連結する連結片24とを有する。嵌合部30は、ちり取りの取っ手を下片22の軸方向に沿って収容する収容空間32と、収容空間32に連通して収容空間32の軸方向に沿って開口し嵌合部30のばね力に抗する押圧力で拡開する開口部34とを有する。嵌合部30は、ちり取りの取っ手を嵌合部30のばね力に抗して開口部34から収容空間32に出し入れ自在に進入させて収容することによりちり取りの取っ手の外周面にばね力で嵌合する。
【選択図】
図1A