(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】プロジェクタ用フード
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20241112BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241112BHJP
F21V 1/00 20060101ALI20241112BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241112BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
F21S2/00 350
F21V1/00
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2024118272
(22)【出願日】2024-07-23
【審査請求日】2024-07-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年10月31日に「森ビル デジタルアート ミュージアム エプソン チームラボボーダレス」にて、下山佳介および川井滋が発明した「プロジェクタ用フード」を公開。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501041894
【氏名又は名称】チームラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】下山 佳介
(72)【発明者】
【氏名】川井 滋
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第221101252(CN,U)
【文献】中国実用新案第206975371(CN,U)
【文献】特開2020-046678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0063469(US,A1)
【文献】特開2006-162925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
F21S 2/00
F21V 1/00
G03B 21/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタに対してその投射レンズの周りに着脱自在に取り付け可能であり、前記投射レンズから投射される光を遮らずに、少なくとも前記投射レンズの光軸に直交する方向からの前記投射レンズに対する視線を遮るように構成されたプロジェクタ用のフード
であって、
前記プロジェクタは、前記光の進行方向を変えるための導光部と、前記導光部の出射端に設けられた前記投射レンズとを含む、レンズユニットを備え、
前記プロジェクタ用のフードは、
前記プロジェクタの前記レンズユニットに対して着脱自在に取り付けられる取付部と、
前記取付部から前記投射レンズの光軸方向に延在し、前記光が通過する開口が形成され、前記視線を遮るように構成された遮蔽部を備え、
前記取付部は、
前記遮蔽部が固定されているとともに、前記レンズユニットの周囲を一部を空けて囲うように構成された本体部材と、
前記レンズユニットの周囲の前記一部に当接するように、前記本体部材に対して嵌め込まれる嵌合部材を有する
プロジェクタ用のフード。
【請求項2】
前記遮蔽部の開口は、前記光軸方向の先に進むにつれて広がっている
請求項
1に記載のフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像投影用のプロジェクタに取り付けて使用するためのフードに関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、従来から、プロジェクタから壁や床面に映像光を投影することにより、映像空間の中に入り込んだかのような没入感を観客に与えることのできる映像作品を提供している(例えば特許文献1,特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-184776号公報
【文献】特開2023-128843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロジェクタの投射レンズは凸面となっていることから、プロジェクタを横方向から見たときに、この投射レンズに映るプロジェクタ内の光源が観客に視認されることがある。特に、壁や床面に映像光を投影する際にはプロジェクタを作品空間の天井に設置することが多いが、プロジェクタが低い位置(例えば床面から4000mm以下程度の位置)に設置されていると、プロジェクタの投射レンズに映る光源が観客に視認されやすくなる。また、観客に没入感を与えることが重要な映像作品において、プロジェクタの光源が頻繁に観客に視認されることになると、投影されている映像よりもプロジェクタの存在感が観客にとって大きく感じられてしまい、作品体験が損なわれてしまう恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、プロジェクタの投射レンズに映る光源が観客に視認されるのを抑制することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者は、従来技術の課題を解決する手段について鋭意検討した結果、プロジェクタの投射レンズの周囲にフードを取り付けて投射レンズに対する観客の視線を遮ることにより、観客が投射レンズを直接視認するのを避けることができるという知見を得た。そして、本発明者は、上記知見に基づけば従来技術の課題を解決できることに想到し、本発明を完成させた。具体的に説明すると、本発明は以下の構成を有する。
【0007】
本発明は、プロジェクタ100に対して取り付け可能なフード200に関する。本発明に係るフード200は、プロジェクタ100に対して、その投射レンズ122の周りに着脱自在に取り付けることができる。すなわち、このフード200は、プロジェクタ100を天井等の所定位置に設置した後であっても、このプロジェクタ100に対して取り付けたり取り外したりすることができる。そして、フード200は、プロジェクタ100の投射レンズ122から投射される光を遮らずに、かつ、少なくともこの投射レンズ122の光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する視線を遮るように構成されている。なお、「投射レンズ122の光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する視線」とは、言い換えると、投射レンズ122の光軸Lと観客等の視線とが投射レンズ122において直交する位置から、投射レンズ122を視認したときの視線である。このように、プロジェクタ100に対して本発明に係るフード200を取り付けることで、プロジェクタ100の投射レンズ122が観客によって直接視認されにくくなる。これにより、投射レンズ122の凸面に映るプロジェクタ100内部の光源が観客に視認されにくくなるため、観客にとってこのプロジェクタ100が目立たないものとなる。その結果、プロジェクタ100を利用して投影する映像作品への没入感を高めることができる。
【0008】
本発明に係るフード200は、取付部210と遮蔽部220を備えることが好ましい。取付部210は、プロジェクタ100に対して着脱自在に取り付けられる部分である。遮蔽部220は、この取付部210らプロジェクタ100の投射レンズ122の光軸方向に延在し、投射レンズ122から投射される光が通過する開口224が形成され、かつ、前述したとおり観客等の視線を遮るように構成されている。
【0009】
本発明に係るフード200において、遮蔽部220の開口224は、投射レンズ122の光軸方向の先に進むにつれて広がっていることが好ましい。投射レンズ122から投射される光(映像光)は一般的に光軸方向に沿って広がるものであるため、遮蔽部220もこの光の広がりに合わせた構造とすることが好ましい。これにより、遮蔽部220は、投射レンズ122からの光を遮らず、投射レンズ122に向かう視線のみを効果的に遮蔽することができる。
【0010】
本発明に係るフード200は、レンズユニット120を備えるプロジェクタ100に対応するものであってもよい。レンズユニット120は、光の進行方向を変えるための導光部121と、この導光部121の出射端に設けられた投射レンズ122とを含む。このようなレンズユニット120をプロジェクタ100に取り付けることで、プロジェクタ100から投射される光の経路を導光部121によって調整することができる。この場合に、本発明に係るフード200は、取付部210がプロジェクタ100のレンズユニット120に取り付けられるように構成されていることが好ましい。プロジェクタ100の本体にフード200を取り付ける場合と比較して、プロジェクタ100のレンズユニット120にフード200を取り付けるほうがフード200の着脱作業が容易になる。
【0011】
本発明に係るフード200において、取付部210は、本体部材211と嵌合部材212を有することが好ましい。本体部材211は、遮蔽部220が固定されているとともに、レンズユニット120の周囲を一部を空けて囲うように構成されている。嵌合部材212は、レンズユニット120の周囲の上記一部(本体部材211によって囲われていない部分)に当接するようにして、本体部材211に対して嵌め込まれるように構成されている。つまり、嵌合部材212は本体部材211から分離可能な部材である。このように、取付部210を互いに分離可能な本体部材211と嵌合部材212とで構成することにより、レンズユニット120に対してフード200を着脱しやすくなる。
【0012】
本発明に係るフード200は、一枚のシート状部材を折り曲げることにより立体的に成型されたものであってもよい。このようにフード200を簡易的な構造とすることにより、その製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プロジェクタの投射レンズに映る光源が観客に視認されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るフードを示した側面図であり、フードをプロジェクタに取り付ける前の状態を示している。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るフードを示した側面図であり、フードをプロジェクタに取り付けた後の状態を示している。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るフードについて、嵌合部材を取り外した状態を示す側面図と正面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るフードを示した斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係るフードを示した側面図であり、フードをプロジェクタに取り付ける前の状態を示している。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るフードを示した側面図であり、フードをプロジェクタに取り付けた後の状態を示している。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係るフードを示した展開図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係るフードを組み立てた後の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0016】
まず、
図1から
図4を参照して、本発明に係るフード200の第1の実施形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、第1の実施形態に係るフード200は、レンズユニット120を備えるプロジェクタ100に取り付けて使用することを想定したものである。
【0017】
図1に示すように、フード200をプロジェクタ100に取り付けていない状態において、観客がプロジェクタ100をその投射レンズ122の光軸Lに直交する方向から視認すると、プロジェクタ100の投射レンズ122が観客によって直接視認される場合がある。この場合に、プロジェクタ100のから映像光を投射すると、プロジェクタ100内部の光源(不図示)が投射レンズ122に反射して観客の目に強い光が入射することがある。そうなった場合、観客の立ち位置によってはプロジェクタ100の投射レンズ122から強い光が発せられているように見えるため、プロジェクタ100の存在感が大きくなり、観客がプロジェクタ100から投射される映像光に集中できなくなるおそれがある。
【0018】
一方で、
図2に示すように、フード200をプロジェクタ100に取り付けると、投射レンズ122の光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する視線を、このフード200によって遮ることができる。このようにフード200をプロジェクタ100に取り付けることにより、プロジェクタ100の投射レンズ122の死角(投射レンズ122を直接視認できない角度)が増えることから、投射レンズ122に映る光源が観客に視認されるのを抑制することができる。
【0019】
まず、フード200を取り付ける対象となるプロジェクタ100について説明する。プロジェクタ100は、基本的には市販されている公知のものを利用することができる。
図1~4に示した第1の実施形態に係るフード200は、
図1及び
図2に示すように、天井に固定されたプロジェクタ100に対して取り付けることを想定している。このプロジェクタ100は、室内空間の天井に固定され、壁面に対して映像光を投影するように構成されている。プロジェクタ100は、プロジェクタ本体110と、このプロジェクタ本体110に取り付けられたレンズユニット120を備える。なお、レンズユニット120はプロジェクタ本体110に対して着脱することができる。レンズユニット120をプロジェクタ100に取り付けない場合には、このレンズユニット120に代えて投射レンズ122がプロジェクタ本体110に直接取り付けられる。
【0020】
プロジェクタ本体110は、図示は省略するが、主に光源と、映像信号を処理して光源からの光を変調するためのイメージングデバイス(例えば液晶パネル又はDLPチップ)を内蔵している。なお、プロジェクタの方式は、LCD方式(液晶方式)、DLP方式(デジタル・ライト・プロセッシング)、LCoS方式(液晶オンシリコン方式)、レーザー方式、又はLED方式のいずれであってもよい。また、レンズユニット120は、プロジェクタ本体110により生成された映像光の進行方向を変えるための導光部121と、この導光部121の出射端に設けられた投射レンズ122を備える。本実施形態において、レンズユニット120の導光部121は、プロジェクタ本体110からの映像光の出射方向を180度反転させるように構成されている。つまり、レンズユニット120を取り外してプロジェクタ本体110に投射レンズ122を直接取り付けた場合には、プロジェクタ本体110からの映像光は
図1中の右側に向かって投射されることになるが、レンズユニット120をプロジェクタ本体110に取り付けた場合には、プロジェクタ本体110からの映像光は導光部121により導かれて
図1中の左側に向かって投射されることになる。なお、プロジェクタ本体110には、導光部121の形状が異なるレンズユニット120を適宜取り付けることが可能であり、これにより導光部121の形状に応じて映像光の投射方向を任意に調整することができる。
【0021】
より具体的に説明すると、
図1及び
図2に示した例において、レンズユニット120の導光部121は、第1部分121aから第4部分11dを有する。第1部分121aは、プロジェクタ本体110から出射された映像光の進路を90度変更するミラー等を含む部分であり、第2部分121bは、第1部分121aで進路変更された映像光が直進する部分であり、第3部分121cは、第2部分121bを通過した映像光の進路を90度変更するミラー等を含む部分であり、第4部分141dは、第3部分121cで進路変更された映像光が直進する部分である。そして、この第4部分121dの先端に投射レンズ122が取り付けられている。このようにして、このレンズユニット120の導光部121により、プロジェクタ本体110から出射された映像光の進行方向は180度反転される。また、レンズユニット120のうち、第4部分121dは、映像光の投射方向と平行に延在しており、つまりこの第4部分121dが映像光の投射方向を定めることになる。また、
図1に示すように、この第4部分121dとプロジェクタ本体110の間には隙間が設けられている。そして、この第4部分121dとプロジェクタ本体110の間の隙間を利用して、後述するフード200が取り付けられることになる。
【0022】
次に、フード200の具体的な構成について説明する。
図1から
図4に示すように、本実施形態に係るフード200は、取付部210と遮蔽部220を基本的な構成として含む。取付部210は、フード200をプロジェクタ100に対して着脱自在に取り付けるための部位である。また、遮蔽部220は、この取付部210に固定されており、プロジェクタ本体110の主に投射レンズ122を覆い隠すことで、この投射レンズ122に対する観客の視線を遮るための部位である。フード200を構成する材料は遮光性を持つものであれば特に制限されず、プラスチックや金属、紙、木材などの公知の材料を用いてフード200を作製することができる。
【0023】
本実施形態において、フード200の取付部210は、プロジェクタ100のうち、レンズユニット120の導光部121に対して取り付けることができるように構成されている。より具体的には、
図1及び
図2に示すように、レンズユニット120の導光部121のうち、最後に映像光が直進する第4部分121dに対してフード200の取付部210は固定される。前述したように、導光部121の第4部分121dとプロジェクタ本体110との間には隙間が設けられているため、この隙間に取付部210の一部を差し込むことで、この取付部210をプロジェクタ100に対して固定することができる。
【0024】
図3には、フード200の取付部210の具体的な構成を示している。
図3に示すように、フード200の取付部210は、本体部材211と嵌合部材212を含む。本体部材211は、レンズユニット120の導光部121の特に第4部分121dに対して、その周囲を一部を空けて囲うように形成された枠状となっている。具体的には、レンズユニット120の導光部121(特に第4部分121d)は断面四角状であるため、フード200の取付部210の本体部材211は、この導光部121の周囲三辺を囲うコの字型となっており、導光部121の残りの一辺は本体部材211から開放されている。図示した例では、本体部材211は、導光部121の下辺、左辺、及び右辺の三辺を囲い、導光部121の上辺は開放する構造となっている。一方で、嵌合部材212は、少なくとも本体部材211によって囲われていない部分に対して当接するようにして、本体部材211に対して嵌め込まれる。前述のとおり、本体部材211によっては導光部121の上辺は囲われていないことから、嵌合部材212は少なくともこの導光部121の上辺に対して当接することになる。
【0025】
より具体的に説明すると、フード200の取付部210の本体部材211は、下枠211a、左外枠211b、及び右外枠211cを有するコの字型となっており、それぞれの部分によって、レンズユニット120の導光部121(特に第4部分121d)の下辺、左辺、及び右辺が囲われることになる。一方で、フード200の取付部210の嵌合部材212は、上枠212a、左内枠212b、及び右内枠212cを有する、本体部材211とは逆向きのコの字型となっており、それぞれの部分によって、レンズユニット120の導光部121の上辺、左辺、及び右辺が囲われることになる。このような構造の本体部材211と嵌合部材212を嵌め合わせると、
図3(b)に示すように、本体部材211の左外枠211bと右外枠211cに対して、嵌合部材212の左内枠212bと右内枠212cとがそれぞれ内接することなる。つまり、本体部材211の左外枠211bの内側に嵌合部材212の左内枠212bが重なり、本体部材211の右外枠211cの内側に嵌合部材212の右内枠212cが重なる。その後、本体部材211に対して嵌合部材212を嵌め合わせた状態で、両者はネジ及びナットなどの締結具213を用いて固定される。図示した例では、本体部材211と嵌合部材212とが重なり合っている部分が締結具213によって固定されている。すなわち、本体部材211の左外枠211bと嵌合部材212の左内枠212bの重なる部分がネジ止めされるとともに、本体部材211の右外枠211cと嵌合部材212の右内枠212cの重なる部分がネジ止めされている。
【0026】
上記構造の取付部210をプロジェクタ100のレンズユニット120に対して取り付けるには、例えば、まず取付部210の嵌合部材212を、プロジェクタ本体110とレンズユニット120の導光部121(特に第4部分121d)の間の隙間に差し込む。その後、取付部210の本体部材211を下から持ち上げて、嵌合部材212をこの本体部材211に対して嵌め込む。最後に、締結具213を利用して本体部材211と嵌合部材212とを固定する。これにより、既設のプロジェクタ100に対してフード200を後から取り付けることが可能となる。
【0027】
フード200の取付部210の本体部材211には、遮蔽部220が固定されている。つまり、遮蔽部220は、取付部210の本体部材211と一体となっている。遮蔽部220は、
図3及び
図4に示すように、取付部210の本体部材211からプロジェクタ100の投射レンズ122の光軸L方向に延在し、投射レンズ122から投射された映像光が通過する開口224が形成されている。さらに、遮蔽部220は、投射レンズ122に対する観客の視線を遮るための遮蔽板221~223が開口224の周りに設けられている。具体的には、遮蔽部220は、下遮蔽板221、左遮蔽板222、及び右遮蔽板223を有する。下遮蔽板221は取付部210の本体部材211の下枠211aに固定され、左遮蔽板222は取付部210の本体部材211の左外枠211bに固定され、右遮蔽板223は取付部210の本体部材211の右外枠211cに固定されている。なお各遮蔽板221~223の固定は、接着剤や溶接などの着脱できない方法でよい。
【0028】
また、遮蔽板221~223の間の開口224は、映像光の光軸方向の先に進むにつれて広がる形状となっている。
図4の斜視図に示すように、遮蔽板221~223のそれぞれは、外向きに広がるような斜面となっている。言い換えると、遮蔽板221~223の間の開口224は、逆テーパー状であり、先にむかって広がることとなる。プロジェクタ100の投射レンズ122から投射された映像光は、一般的に光軸方向に沿って広がるものであるため、遮蔽部220はこの光の広がりに合わせた構造とすることが好ましい。これにより、遮蔽部220によって、投射レンズ122からの光を遮らずに、投射レンズ122に向かう観客の視線のみを効果的に遮蔽することができる。
【0029】
また、
図3には、遮蔽部20が光軸方向に沿って延びる延出長さを符号Eで示している。この遮蔽部20の延出長さEは、50mm以上であることが好ましく、60mm以上又は70mm以上であることが好ましい。具体的には、遮蔽部20の延出長さEは50~100mmとすると良い。
【0030】
また、
図2に示すように、フード200をプロジェクタ100に取り付けた状態において、フード200の遮蔽部220の上部はプロジェクタ本体110に対して密着しているか、あるいはほぼ隙間を空けずに近接していることが好ましい。フード200の遮蔽部220は、前述のとおり下遮蔽板221、左遮蔽板222、及び右遮蔽板223を有しているが、上遮蔽板に相当する部位は設けられていない。このため、遮蔽部220の左遮蔽板222の上縁と右遮蔽板223の上縁をそれぞれプロジェクタ本体110に対して密着又は近接させることができる。なお、フード200の遮蔽部220の上部はプロジェクタ本体110の間に隙間がある場合でも、その隙間は10mm以下とすることが好ましい。このように、フード200の遮蔽部220プロジェクタ本体110に対して密着又は近接させることで、レンズユニット120の先端に設けられた投射レンズ122をフード200によって効果的に覆い隠すことができる。
【0031】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施形態では投射レンズ122の光軸Lは壁面に向かってほぼ水平に延びている。この「光軸L」とは、投射レンズ122中心と焦点とを結ぶ直線であり、光束の代表となる仮想的な光線に相当する。また、
図2では、この光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する視線を示している。
図2示すように、プロジェクタ100にフード200を取り付けた状態では、このフード200が、光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する視線を遮ることとなる。言い換えると、光軸Lと観客等の視線とが投射レンズ122において直交する位置からこの投射レンズ122を視認したときに、このような観客の視線はフード200によって遮られる。当然、観客の視点によっては投射レンズ122が見える場合もあるが、例えば投射レンズ122の真下や真横の位置からでは、投射レンズ122に対する観客の視線はこのフード200によって遮られる。このように、フード200をプロジェクタ100に取り付けることにより、投射レンズ122に映るプロジェクタ100内の光源が観客によって視認されるのを抑制することが可能となる。
【0032】
続いて、
図5から
図8を参照して、本発明に係るフード200の第2の実施形態について説明する。
図5及び
図6に示すように、フード200は、レンズユニット120を持たないプロジェクタ100に取り付けて使用することを想定したものである。
【0033】
図5及び
図6に示した例において、プロジェクタ100は、室内空間の天井に固定され、床面に対して映像光を投影するように構成されている。このプロジェクタ100は、
図1及び
図2に示した例のようなレンズユニット120は備えておらず、プロジェクタ本体110に対して投射レンズ122が直接取り付けられている。プロジェクタ本体110は、前述したものと同様に、主に光源と、映像信号を処理して光源からの光を変調するためのイメージングデバイス(例えば液晶パネル又はDLPチップ)を内蔵しており、このイメージングデバイスにより生成された映像光が投射レンズ122から床面に対して投射される。
【0034】
図6から
図8に示すように、本実施形態に係るフード200は、一枚のシート状部材を折り曲げることにより立体的に成型されたものである。
図7に本実施形態に係るフード200の展開図を示し、
図8に本実施形態に係るフード200の立体成型後の状態を示している。このフード200は、取付部210と遮蔽部220を基本的な構成として含む。取付部210は、フード200をプロジェクタ100に対して着脱自在に取り付けるための部位である。また、遮蔽部220は、この取付部210に固定されており、プロジェクタ本体110の主に投射レンズ122を覆い隠すことで、この投射レンズ122に対する観客の視線を遮るための部位である。フード200を構成する材料は遮光性を持つものであれば特に制限されないが、上記ように折り曲げて成型する必要があることから、プラスチックや、紙、木材などの公知の可撓性材料を用いてフード200を作製することが好ましい。
【0035】
図7に示すように、フード200を展開した状態では、ほぼCの字型のシート状部材となる。このシート状部材は、その中央に開口224が形成されているとともに、この開口224につながるように部分的な切欠き225が形成されている。このため、フード200は展開状態においてCの字状となる。また、開口224の中心に向かって、Cの字型のシート状部材から複数の取付用の爪部214が突出して設けられている。そして、シート状部材の切欠き225の縁同士を接合することで、
図8に示すように、中央に開口224が形成された円錐台状のフード200が成型される。なお、シート状部材の切欠き225の接合方法は特に制限されず、接着剤又は留め具を利用した接合や、あるいは溶接などの方法を採用すればよい。また、フード200の爪部214は、中央の開口224の中心に向かって折り曲げられた状態となる。このようにして、フード200の爪部214が、フード200をプロジェクタ100に取り付けるための取付部210として機能する。また、フード200の爪部214以外のシート状部分が、投射レンズ122を覆うための遮蔽部220として機能する。
【0036】
また、
図7には、フード200の遮蔽部220の幅を符号Wで示している。遮蔽部220の幅Wは、フード200の開口224か外縁までの最短距離である。遮蔽部220の幅Wは、50mm以上であることが好ましく、60mm以上又は70mm以上であることが好ましい。具体的には、遮蔽部220の幅Wは50~100mmとすると良い。
【0037】
本実施形態において、フード200の取付部210は、プロジェクタ100のうち、投射レンズ122に対して直接取り付けることができるように構成されている。具体的には、フード200の取付部210として機能する爪部214を投射レンズ122の根本に差し込むことにより、
図5に示すようにフード200が投射レンズ122の周囲を囲うようにして取り付けられた状態となる。また、フード200の遮蔽部220は、投射レンズ122の光軸Lと同方向に延在し、投射レンズ122に対する観客の視線を遮るように機能する。このようにして、本実施形態に係るフード200は、光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する視線を遮ることができる。言い換えると、光軸Lと観客等の視線とが投射レンズ122において直交する位置からこの投射レンズ122を視認したときに、このような観客の視線はフード200によって遮られる。当然、プロジェクタ本体110の真下など、観客の視点によっては投射レンズ122が見える場合もあるが、例えば投射レンズ122の真横や斜め下の位置からの観客の視線はこのフード200によって遮ることができる。
【0038】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0039】
100…プロジェクタ 110…プロジェクタ本体
120…レンズユニット 121…導光部
122…投射レンズ 200…フード
210…取付部 211…本体部材
211a…下枠 211b…左外枠
211c…右外枠 212…嵌合部材
212a…上枠 212b…左内枠
212c…右内枠 213…締結具
214…爪部 220…遮蔽部
221…下遮蔽板 222…左遮蔽板
223…右遮蔽板 224…開口
225…切欠き L…光軸
【要約】
【課題】プロジェクタの投射レンズに映る光源が観客に視認されるのを抑制する。
【解決手段】プロジェクタ用のフード200は、プロジェクタ100に対してその投射レンズ122の周りに着脱自在に取り付け可能であり、この投射レンズ122から投射される光を遮らずに、少なくとも投射レンズ122の光軸Lに直交する方向からの投射レンズ122に対する観客の視線を遮るように構成されている。
【選択図】
図1