(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
E02F9/00 N
(21)【出願番号】P 2021059888
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川島 敏史
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-96822(JP,A)
【文献】特開2007-186170(JP,A)
【文献】特開2009-113658(JP,A)
【文献】特開2011-153427(JP,A)
【文献】特開2017-66784(JP,A)
【文献】中国実用新案第217053571(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00- 9/18
B62D 25/10-25/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体と、
前記上部旋回体に設置されるハウジングと、
前記ハウジングに回動可能に取り付けられるエンジンフードと、
前記エンジンフードを支える支持側ステーと、
前記エンジンフードに取り付けられ、且つ、前記支持側ステーの一端の摺動をガイドするガイド部と、
前記支持側ステーに回動可能に接続される操作側ステーと、を有する、
ショベル。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記操作側ステーの一端の摺動をガイドする、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記操作側ステーは、平板部材を有し、該平板部材を介して前記支持側ステーに回動可能に接続される、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記操作側ステーの他端は、前記エンジンフードが全開状態のときの開口面の中央部分に向かって延びている、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
前記ガイド部には、前記支持側ステーの一端を保持する係止部が設けられている、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のショベル。
【請求項6】
前記ガイド部には、前記支持側ステーを取り付けるための孔が形成されている、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンフードを備えたショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンフードを開いた状態で係止できるステーを備えたショベルが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
このショベルでは、ステーの一端が、ハウジングに取り付けられたガイド板に形成されているガイド溝内を摺動するように構成され、ステーの他端が、エンジンフードの内面に回動可能に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このショベルでは、作業者は、エンジンフードを閉じる際に、ステーの一端(摺動端)をガイド溝内の係止部から取り外すために、エンジンフードの回動軸の近くにあるステーの一端(摺動端)を手で操作する必要がある。そのため、エンジンフードを閉じる作業は、作業者にとって煩雑な作業となってしまうおそれがある。
【0006】
そこで、より容易に閉じることができるエンジンフードを備えたショベルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るショベルは、上部旋回体と、前記上部旋回体に設置されるハウジングと、前記ハウジングに回動可能に取り付けられるエンジンフードと、前記エンジンフードを支える支持側ステーと、前記エンジンフードに取り付けられ、且つ、前記支持側ステーの一端の摺動をガイドするガイド部と、前記支持側ステーに回動可能に接続される操作側ステーと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上述のショベルでは、作業者は、エンジンフードをより容易に閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1のショベルの上部旋回体を概略的に示す上面図である。
【
図3】全開状態にあるエンジンフードの構成例を示す図である。
【
図4】全閉状態にあるエンジンフードの構成例を示す図である。
【
図5】エンジンフードの開閉機構を構成する部材の図である。
【
図6】全開状態にあるエンジンフードの構成例を示す正面図である。
【
図7】エンジンフードの開閉機構を構成する部材の動きを説明する図である。
【
図8】全開状態にあるエンジンフードの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の限定的でない実施形態について説明する。なお、添付図面では同一又は対応する部材又は部品には同一又は対応する参照符号が付される。また、以下では同一又は対応する部材又は部品の重複する説明を省略する。また、図面では部材又は部品は必ずしも縮尺通りには描かれていない。従って、当業者は、以下の限定的でない実施形態を参照して具体的な寸法を任意に決定できる。また、以下の実施形態は発明を限定するものではなく例示するものである。また、実施形態における特徴やそれらの組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械の一例である掘削機としてのショベル100の側面図を示す。ショベル100は、下部走行体1に上部旋回体2が旋回可能に搭載され、上部旋回体2の前方左側部にキャブ3が設けられ、後側にはハウジング2aが設けられている。また、上部旋回体2の前方中央部にはブーム4が回動可能に連結され、ブーム4の先端部にはアーム5が回動可能に連結されている。更に、アーム5の先端部にはバケット6が回動可能に連結されている。また、ハウジング2aの上部にはエンジンフード2bが取り付けられている。なお、本実施形態では、エンジンフード2bは回動(開閉)可能に構成され、エンジンフード2bの左側(Y1側)にはラジエタカバーCV1(
図6参照。)が配置され、エンジンフード2bの右側(Y2側)には排気ガス処理装置カバーCV2(
図6参照。)が配置されている。なお、ラジエタカバーCV1及び排気ガス処理装置カバーCV2は、回動(開閉)不能に構成されているが、回動(開閉)可能に構成されていてもよい。
【0012】
図2は、上部旋回体2を概略的に示す上部旋回体2の上面図である。
図2に示すように、上部旋回体2のハウジング2a内にはエンジンルーム7が形成され、エンジンルーム7内にはエンジン8及び発電機8aが設置されている。また、エンジン8のY1側には冷却ファン12が設置され、冷却ファン12のY1側にはラジエータ等を含む熱交換機ユニット13が設置されている。また、エンジン8のY2側には油圧ポンプ14が設置されている。なお、エンジン8の回転力は、ベルト8bを介して発電機8a及び冷却ファン12のそれぞれに伝達され、且つ、変速機を介して油圧ポンプ14に伝達される。
【0013】
また、エンジン8の下部にはエンジンオイルを溜めておくオイルパン8cが備えられている。そして、エンジン8のY2側にはエンジンオイルの量を測定するためのオイルレベルゲージ8dが取り付けられている。
【0014】
また、エンジン8は、エンジンルーム7の外部に設置されたエアフィルタ9a及び吸気管9bを通じて外気を吸入する。更に、エンジン8には排気管9cが接続され、排気管9cの下流側にはエンジン排気ガス中の窒素酸化物(以下、「NOx」という。)を浄化する排気ガス処理装置10が設置されている。
【0015】
本実施形態では、排気ガス処理装置10は、還元剤として尿素水を用いた尿素選択還元型のNOx処理装置である。排気ガス処理装置10は、排気管9cに備えられた還元触媒(図示せず。)の上流側に尿素水を噴射して排気ガス中のNOxを還元し、この還元反応を還元触媒により促進してNOxを無害化する。
【0016】
尿素水タンク20は、尿素水を蓄えるための容器であり、上部旋回体2において、ブーム4を挟んでキャブ3の反対側(ブーム4のY2側)に配置される。また、尿素水タンク20の後方(X2側)には燃料タンク19が配置され、燃料タンク19の後方(X2側)には作動油タンク18が配置される。また、作動油タンク18、燃料タンク19、及び尿素水タンク20はエンジンルーム7の外部に設置される。また、尿素水タンク20は、尿素水ホース69及び尿素水供給ポンプ70等を介して排気ガス処理装置10に接続される。
【0017】
次に
図3~
図6を参照し、エンジンフード2bの開閉機構FMについて説明する。
図3は、全開状態にあるエンジンフード2bを左側(Y1側)から見たときのエンジンフード2bの図である。具体的には、
図3は、
図6における破線L1を含むXZ平面におけるエンジンフード2bの断面図である。
図4は、全閉状態にあるエンジンフード2bを左側(Y1側)から見たときのエンジンフード2bの図である。具体的には、
図4は、
図3と同じXZ平面におけるエンジンフード2bの断面図である。
図5は、開閉機構FMを構成する部材の図である。
図6は、全開状態にあるエンジンフード2bの正面図である。
【0018】
エンジンフード2bには、
図6に示すように、取っ手35、アシスト機構37、及び開閉機構FM等が取り付けられている。そして、
図3に示すように、エンジンフード2bの開閉機構FMは、主に、支持側ステー30、操作側ステー31、及びガイド板32で構成される。
【0019】
エンジンフード2bは、上部旋回体2に設置されたハウジング2aの上面に形成される開口を開閉可能に覆う部材である。本実施形態では、エンジンフード2bは、
図3に示すように、ハウジング2aに取り付けられた蝶番HGの回動軸2bX回りに回動可能に取り付けられる。エンジンフード2bの開き角度θは、例えば、全開状態で約45度である。なお、以下では、全開状態での開き角度を「最大開き角度」とする。また、全閉状態での開き角度θはゼロ度である。
【0020】
支持側ステー30は、
図3に示すように、エンジンフード2bを開いた状態で支えることができるように構成されている。本実施形態では、支持側ステー30は、下端(第1端)が回動可能に且つ相対移動不能にブラケット36に取り付けられ、上端(第2端)が相対移動可能にガイド板32に取り付けられている。具体的には、支持側ステー30の上端は、ガイド板32に形成されたガイド溝GR内を摺動できるようにガイド板32に取り付けられる。ブラケット36は、フレーム34に締結されている。
【0021】
操作側ステー31は、エンジンフード2bの全開状態を解除できるように構成されている。本実施形態では、操作側ステー31は、エンジンフード2bを閉じる際に、支持側ステー30によって全開状態で維持されたエンジンフード2bの全開状態を解除するために利用される。すなわち、作業者は、所定の動作を行うことによってエンジンフード2bの全開状態を解除できる。具体的には、作業者は、支持側ステー30に回動可能に接続される操作側ステー31を操作することで、支持側ステー30によるエンジンフード2bの全開状態の保持を解除できる。
【0022】
ガイド板32は、支持側ステー30の上端(第2端)の摺動をガイドするガイド部の一例である。本実施形態では、ガイド板32は、エンジンフード2bの天井面に固定されている。そして、ガイド板32は、支持側ステー30の上端(第2端)の摺動をガイドするガイド溝GRを有する。なお、ガイド部は、ガイドレール等の他の部材を利用して構成されていてもよい。
【0023】
ここで、
図5を参照し、開閉機構FMを構成する部材である支持側ステー30、操作側ステー31、及びガイド板32の詳細について説明する。
図5(A)は、エンジンフード2bの天井面に取り付けられたガイド板32と協働する支持側ステー30及び操作側ステー31の斜視図である。
図5(B)は、支持側ステー30及び操作側ステー31の斜視図である。
図5(C)は、支持側ステー30と操作側ステー31との間の接続部分の斜視図である。なお、
図5(B)及び
図5(C)では、明瞭化のため、ガイド板32の図示が省略されている。
図5(D)は、操作側ステー31を構成している平板部材31Dを左側(Y1側)から見たときの平板部材31Dの側面図である。
図5(E)は、ガイド板32を左側(Y1側)から見たときのガイド板32の側面図である。
【0024】
支持側ステー30は、
図5(B)に示すように、第1棒状部材30A、第1フランジ部材30B、第2フランジ部材30C、及び第3フランジ部材30Dで構成されている。
【0025】
第1棒状部材30Aは、回動中心となる第1端30A1がブラケット36に形成された貫通孔に回動可能に取り付けられ、第1端30A1の反対端である第2端30A2がガイド板32のガイド溝GR内を摺動可能となるようにガイド板32に取り付けられている。本実施形態では、第1棒状部材30Aは、金属製の部材であり、第1端30A1には第1フランジ部材30Bが溶接され、第2端30A2には第2フランジ部材30C及び第3フランジ部材30Dが溶接されている。また、第1端30A1及び第2端30A2のそれぞれは、第1棒状部材30Aの直線状部に対してほぼ垂直に延びるように構成されている。
【0026】
第1フランジ部材30Bは、支持側ステー30の回動面を規定するように構成されている。本実施形態では、平板状のブラケット36に形成された貫通孔に第1端30A1がほぼ垂直に挿入された状態で、円板状の第1フランジ部材30Bは、ブラケット36の右側(Y2側)の面とほぼ平行な状態で接するように構成されている。ブラケット36の左側(Y1側)では、第1端30A1の抜け落ちを防止するための割ピン(図示せず。)が第1端30A1に差し込まれている。
【0027】
第2フランジ部材30Cは、ガイド板32に形成されたガイド溝GRから第1棒状部材30Aの第2端30A2が抜け落ちることなくガイド溝GRに沿って摺動できるように構成されている。本実施形態では、ガイド溝GRに第2端30A2がほぼ垂直に挿入された状態で、円板状の第2フランジ部材30Cは、ガイド板32の右側(Y2側)の面とほぼ平行な状態で接するように構成されている。
【0028】
第3フランジ部材30Dは、操作側ステー31をガイド板32に沿って摺動させることができるように構成されている。本実施形態では、円板状の第3フランジ部材30Dは、操作側ステー31の平板部材31Dの左側(Y1側)の面とほぼ平行な状態で接するように構成されている。平板部材31Dの右側(Y2側)の面は、ガイド板32の左側(Y1側)の面とほぼ平行な状態で接するように構成されている。
【0029】
このように、支持側ステー30は、第2フランジ部材30Cと第3フランジ部材30Dとの間にガイド板32と操作側ステー31の平板部材31Dとを挟み込んだ状態で、ガイド溝GRに沿って摺動できるように構成されている。
【0030】
操作側ステー31は、
図5(A)に示すように、第2棒状部材31A、第3棒状部材31B、第4フランジ部材31C、及び平板部材31Dで構成されている。
【0031】
第2棒状部材31Aは、第1端31A1が平板部材31Dに溶接され、第1端31A1の反対端である第2端31A2がガイド板32のガイド溝GR内を摺動可能となるようにガイド板32に取り付けられている。本実施形態では、第2棒状部材31Aは、金属製の部材であり、第1端31A1には平板部材31Dが溶接され、第2端31A2には第4フランジ部材31Cが溶接されている。また、第1端31A1は、第2棒状部材31Aの直線状部に対して平行に延びるように構成され、第2端31A2は、第2棒状部材31Aの直線状部に対してほぼ垂直に延びるように構成されている。
【0032】
平板部材31Dは、操作側ステー31を構成している第2棒状部材31Aとガイド板32とが平行な状態で維持されるようにするための部材であり、「フラットバー」とも称される。本実施形態では、平板部材31Dは、略矩形の平らな金属板であり、右側(Y2側)の面がガイド板32の左側(Y1側)の面とほぼ平行な状態で接するように構成されている。また、平板部材31Dは、支持側ステー30の第1棒状部材30Aの第2端30A2が挿入される貫通孔TH(
図5(D)参照。)を有する。
【0033】
第3棒状部材31Bは、第1端31B1が第2棒状部材31Aに溶接され、第1端31B1の反対端である第2端31B2が開放端となるように構成されている。本実施形態では、第3棒状部材31Bは、L字状に折り曲げられ、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図3に示すように、XY平面(仮想水平面)に関して角度αを形成して斜め下方に延びるように構成されている。また、第3棒状部材31Bは、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図6に示すように、XZ平面(ガイド板32の表面を含む仮想鉛直面)に関して角度βを形成して左斜め前方に延びるように構成されている。
【0034】
第4フランジ部材31Cは、
図5(A)及び
図5(B)に示すように、ガイド板32に形成されたガイド溝GRから第2棒状部材31Aの第2端31A2が抜け落ちることなくガイド溝GRに沿って摺動できるように構成されている。本実施形態では、ガイド溝GRに第2端31A2がほぼ垂直に挿入された状態で、円板状の第4フランジ部材31Cは、ガイド板32の右側(Y2側)の面とほぼ平行な状態で接するように構成されている。すなわち、操作側ステー31は、2つの部分がガイド溝GRに沿って移動するように構成されている。2つの部分は、第2棒状部材31Aの第2端31A2と、第1棒状部材30Aに回動可能に取り付けられる平板部材31Dの貫通孔THの部分である。
【0035】
ガイド板32は、平らな金属板で形成された部材であり、
図5(E)に示すように、ガイド溝GRを有する。
【0036】
ガイド溝GRは、支持側ステー30の第1棒状部材30Aの第2端30A2を摺動可能に受け入れてガイドする溝である。第1棒状部材30Aは円形断面を有し、第2端30A2のところでほぼ垂直に折れ曲がっている。そして、その円形断面の直径はガイド溝GRの幅よりも僅かに小さい。そのため、第1棒状部材30Aの第2端30A2はガイド溝GR内を摺動可能である。また、第1棒状部材30Aの第2端30A2には、
図5(C)に示すように、ガイド板32(
図5(C)では図示省略。)と操作側ステー31の平板部材31Dとを挟むように第2フランジ部材30C及び第3フランジ部材30Dが溶接されている。円板状の第2フランジ部材30Cの直径はガイド溝GRの幅よりも大きい。そのため、第2フランジ部材30Cが取り付けられた第1棒状部材30Aの第2端30A2がガイド溝GRから抜け落ちることはない。また、円板状の第3フランジ部材30Dの直径は、平板部材31Dに形成された貫通孔THの直径よりも大きい。そのため、平板部材31Dが第1棒状部材30Aの第2端30A2から抜け落ちることはない。
【0037】
また、ガイド溝GRは、操作側ステー31の第2棒状部材31Aの第2端31A2を摺動可能に受け入れてガイドする溝でもある。第2棒状部材31Aは円形断面を有し、第2端31A2のところでほぼ垂直に折れ曲がっている。そして、その円形断面の直径はガイド溝GRの幅よりも僅かに小さい。そのため、第2棒状部材31Aの第2端31A2はガイド溝GR内を摺動可能である。また、第2棒状部材31Aの第2端31A2には、ガイド板32とほぼ平行になるように第4フランジ部材31Cが溶接されている。円板状の第4フランジ部材31Cの直径はガイド溝GRの幅よりも大きい。そのため、第4フランジ部材31Cが取り付けられた第2棒状部材31Aの第2端31A2がガイド溝GRから抜け落ちることはない。
【0038】
具体的には、
図5(E)に示すように、ガイド溝GRは、主に、端部GRa、延長部GRb、摺動停止部GRc、及び係止部GRdを有する。端部GRaは、ガイド溝GRの前側(X1側)の端部である。端部GRaは、操作側ステー31の第4フランジ部材31C、及び、支持側ステー30の第2フランジ部材30Cのそれぞれをガイド板32に取り付ける際に、或いは、ガイド板32から取り外す際に利用される丸孔H1を有する。端部GRaの丸孔の直径は、第4フランジ部材31C及び第2フランジ部材30Cのそれぞれの直径よりも大きい。第4フランジ部材31C及び第2フランジ部材30Cのそれぞれをガイド板32に取り付け、或いは、ガイド板32から取り外せるようにするためである。
【0039】
第4フランジ部材31C及び第2フランジ部材30Cは、支持側ステー30の第1端30A1がブラケット36から取り外されているときに限り、ガイド溝GRに沿って移動して端部GRaに達することができる。すなわち、エンジンフード2bの開閉状態にかかわらず、支持側ステー30の第1棒状部材30Aの第1端30A1がブラケット36に取り付けられている場合には、第4フランジ部材31C及び第2フランジ部材30Cが端部GRaに達することはない。
【0040】
延長部GRbは、端部GRaと摺動停止部GRcとの間に延びる部分である。本実施形態では、延長部GRbは、第1棒状部材30Aの第2端30A2と第2棒状部材31Aの第2端31A2とが摺動できるように形成された摺動経路の一部を構成する直線状の部分である。
【0041】
摺動停止部GRcは、エンジンフード2bが開かれたときのガイド溝GR内における第1棒状部材30Aの第2端30A2の摺動を停止させる部分である。エンジンフード2bが開かれると、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、ガイド溝GR内を前側(X1側)から後側(X2側)に向かって移動する。そして、エンジンフード2bの開き角度θが所定の角度になったときに、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、摺動停止部GRcと接触し、その移動が停止する。ガイド溝GR内における第2棒状部材31Aの第2端31A2の移動は、第1棒状部材30Aの第2端30A2の移動が停止したときに停止する。第2棒状部材31Aの第1端31A1は、平板部材31Dを介し、第1棒状部材30Aの第2端30A2に対して回動可能に且つ相対移動不能に取り付けられているためである。
【0042】
係止部GRdは、エンジンフード2bが全開状態にあるときに支持側ステー30を構成している第1棒状部材30Aの第2端30A2が接触する部分である。換言すれば、エンジンフード2bの全開状態は、第1棒状部材30Aの第2端30A2が係止部GRdに接触しているときのエンジンフード2bの状態を含む。第1棒状部材30Aの第2端30A2が摺動停止部GRcと接触した後で、作業者がエンジンフード2bの取っ手35から手を離すと、エンジンフード2bは、閉じ方向に自重落下する。このとき、摺動停止部GRcに接触していた第1棒状部材30Aの第2端30A2は、ガイド溝GR内を相対的に移動し、係止部GRdと接触する。エンジンフード2bの天井面に取り付けられたガイド板32がエンジンフード2bとともに閉じ方向に自重落下するためである。
【0043】
その結果、エンジンフード2bの自重落下(閉じ動作)は、支持側ステー30によって阻止され、エンジンフード2bは、支持側ステー30によって全開状態で保持される。
【0044】
ロック機構33は、エンジンフード2bを全閉状態でロックするための機構である。本実施形態では、ロック機構33は、
図6に示すように、金属板MPに取り付けられた左右一対のラッチレバー部33Aと、エンジンフード2bに取り付けられる左右一対のラッチベース部33Bとで構成されている。金属板MPは、フレーム34に取り付けられる部材であり、上部旋回体2の上面の一部を構成している。具体的には、金属板MPは、上部旋回体2の上で作業する作業者が通る作業用通路の床面として機能する。なお、ラッチレバー部33Aがエンジンフード2bに取り付けられ、ラッチベース部33Bが金属板MPに取り付けられていてもよい。
【0045】
フレーム34は、エンジンルーム7の骨格を構成する部材である。本実施形態では、フレーム34には、ハウジング2a、ラッチレバー部33A、及びブラケット36等が固定されている。
【0046】
取っ手35はエンジンフード2bの外面側に取り付けられる取っ手である。作業者は、例えば、エンジンフード2bを開く場合には、ロック機構33によるロックを解除した上で、取っ手35を握ってエンジンフード2bを全開状態まで開く。反対に、エンジンフード2bを閉じる場合には、作業者は、取っ手35を握ってエンジンフード2bを僅かに持ち上げた状態で、操作側ステー31の第3棒状部材31Bの第2端31B2を握って操作側ステー31を僅かに手前に引くことにより、支持側ステー30の第1棒状部材30Aの第2端30A2を係止部GRdから引き出す。そして、第2端30A2を係止部GRdから引き出した後で、作業者は、取っ手35を握ってエンジンフード2bを全閉状態まで閉じ、ロック機構33でエンジンフード2bをロックする。
【0047】
エンジンフード2bが
図4に示すような全閉状態まで閉じられると、操作側ステー31を構成している第3棒状部材31Bの第2端31B2は、エンジン8とフレーム34との間にある空間SP内に進入する。空間SPは、エンジンフード2bが全閉状態のときに、エンジンルーム7内に配置されているエンジン8等の部材と第3棒状部材31Bとが干渉しないように第3棒状部材31Bの第2端31B2を受け入れられるように予め配置された空間である。
【0048】
アシスト機構37(
図6参照。)は、作業者によるエンジンフード2bの持ち上げ(開放動作)を支援する機構である。本実施形態では、アシスト機構37はガス圧シリンダで構成されるリフトアシストダンパーである。ガス圧シリンダは、典型的には、ヘッド側端部(上端)が回動可能に且つ相対移動不能にエンジンフード2bに取り付けられ、ロッド側端部(下端)が回動可能に且つ相対移動不能にブラケット38(フレーム34)に取り付けられる、倒立式のガス圧シリンダである。倒立式はシリンダ内に収容されたガスの密閉性を高めるために採用されている。ガスをシリンダ内に密閉するためのオイルがシリンダ内のガスよりも下側に位置するように構成することにより、シリンダ内に収容されたガスの密閉性を高めるためである。但し、アシスト機構37を構成するガス圧シリンダは、ヘッド側端部(下端)が回動可能に且つ相対移動不能にハウジング2aに取り付けられ、ロッド側端部(上端)が回動可能に且つ相対移動不能にブラケット38(フレーム34)に取り付けられる、正立式のガス圧シリンダであってもよい。また、
図6に示す例では、アシスト機構37は、1つのガス圧シリンダで構成されているが、左右一対の2つのガス圧シリンダで構成されていてもよく、3つ以上のガス圧シリンダの組み合わせで構成されていてもよい。また、ガス圧シリンダの上端は、ボールジョイント等のユニバーサルジョイントを介してエンジンフード2bに取り付けられてもよい。
【0049】
具体的には、アシスト機構37は、ヘッド側端部(上端)が回動可能に且つ相対移動不能にエンジンフード2bに取り付けられ、ロッド側端部(下端)が回動軸37X周りで回動可能に且つ相対移動不能にブラケット38に取り付けられている。
【0050】
そして、アシスト機構37は、エンジンフード2bが全閉状態のときに最も収縮した状態となり、エンジンフード2bが全開状態のときに最も伸張した状態となるように配置される。そのため、アシスト機構37が伸張しようとする力(以下、「伸張力」とする。)は、エンジンフード2bが全閉状態のときに最も大きい。具体的には、エンジンフード2bが全閉状態のときの伸張力は、エンジンフード2bが全開状態のときの伸張力よりも大きい。
【0051】
しかしながら、作業者によるエンジンフード2bの持ち上げを支援する際に有効な力(以下、「アシスト力」とする。)は、伸張力のうちのZ1方向を向く成分のみである。そのため、アシスト力は、例えば、エンジンフード2bの開き角度θが所定角度となるまでは開き角度θが増大するにつれて大きくなり、開き角度θが所定角度を超えた後は開き角度θが増大するにつれて小さくなる。所定角度は、最大開き角度より小さい角度である。具体的には、エンジンフード2bが全閉状態のときのアシスト力は、エンジンフード2bの開き角度θが所定角度になったときのアシスト力よりも小さい。また、エンジンフード2bの開き角度θが所定角度になったときのアシスト力は、エンジンフード2bが全開状態のときのアシスト力よりも大きい。
【0052】
この構成により、アシスト機構37は、ロック機構33によるロックを解除した途端に過度のアシスト力が発生してしまうのを防止でき、例えば、ロックを解除した途端にエンジンフード2bが過度に跳ね上がるといった状況が発生するのを防止できる。また、アシスト機構37は、エンジンフード2bの開き角度θが所定角度に達したときのアシスト力が最も大きくなるようにすることで、中腰状態(取っ手35を持ち上げる力を入れにくい姿勢)の作業者によるエンジンフード2bの持ち上げを効果的に支援できる。さらに、アシスト機構37は、エンジンフード2bの開き角度θが所定角度を超えたときのアシスト力を抑えることができる。そのため、アシスト機構37は、アシスト力が、体を伸ばした状態(取っ手35を引く力を入れにくい姿勢)の作業者によるエンジンフード2bの引き下げの妨げとなるのを効果的に防止できる。
【0053】
このように、作業者は、取っ手35を利用することで、無理のない姿勢でエンジンフード2bを開閉できる。また、作業者は、アシスト機構37のアシスト力を利用することでエンジンフード2bの開閉を円滑に且つ容易に行うことができる。
【0054】
次に
図7を参照し、エンジンフード2bを開閉する際の支持側ステー30、操作側ステー31、及びガイド板32の動きについて説明する。
図7は、支持側ステー30、操作側ステー31、及びガイド板32を左側(Y1側)から見たときの各部材の位置関係を示す。具体的には、
図7(A)は、エンジンフード2bが全開状態で保持されているときの各部材の位置関係を示す。
図7(B)は、全開状態を解除するために作業者によってエンジンフード2bが押し上げられたときの各部材の位置関係を示す。
図7(C)は、作業者がエンジンフード2bを閉じているときの各部材の位置関係を示す。
図7(D)は、エンジンフード2bが全閉状態でロックされたときの各部材の位置関係を示す。なお、
図7(A)~
図7(D)では、操作側ステー31を構成している第4フランジ部材31Cが破線で示されている。また、
図7(A)及び
図7(B)のそれぞれに示すエンジンフード2bの状態は、全開状態に含まれる。すなわち、
図7(A)の状態から上方に押し上げられたときのエンジンフード2bの状態は、全開状態に含まれる。
【0055】
最初に、作業者がエンジンフード2bを開くときの各部材の動きについて説明する。エンジンフード2bが全閉状態にある場合、
図7(D)に示すように、支持側ステー30を構成している第1棒状部材30Aの第2端30A2は、ガイド溝GRの摺動停止部GRcよりも前側(X1側)に位置している。このとき、第1棒状部材30Aの中心線L2と第2棒状部材31Aの中心線L3との間の角度δは値δ4となっている。また、第1棒状部材30Aの中心線L2と仮想水平面との間の角度γは値γ4となっている。また、第3棒状部材31Bの中心線L4と仮想水平面との間の角度εは値ε4となっている。
【0056】
そして、作業者がロック機構33によるロックを解除した上で取っ手35を握ってエンジンフード2bを開く方向に持ち上げると、
図7(C)に示すように、第1棒状部材30Aの第2端30A2の位置(第3フランジ部材30Dの中心位置)は、延長部GRbに沿って摺動停止部GRcに向かって摺動する。また、
図7(C)に示すように、第2棒状部材31Aの第2端31A2(第4フランジ部材31Cの中心位置)も、延長部GRbに沿って摺動停止部GRcに向かって摺動する。この時点で、角度δは、値δ4より小さい値δ3となっており、角度γは、値γ4より大きい値γ3となっており、角度εは、値ε4より小さい値ε3となっている。
【0057】
このとき、作業者が取っ手35から手を離すと、エンジンフード2bは閉じられる。エンジンフード2bの開き角度θの値θ3が90度より小さいためである。また、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、延長部GRbに沿って端部GRaに向かって移動する。角度γの値γ3が90度より小さく、エンジンフード2bの重量は、角度γが小さくなる方向に第1棒状部材30Aを倒そうとする力を生じさせるためである。
【0058】
作業者がエンジンフード2bを持ち上げているときに、
図7(B)に示すように第1棒状部材30Aの第2端30A2が摺動停止部GRcに達すると、ガイド溝GR内における第2端30A2の摺動は、摺動停止部GRcによって停止させられる。この時点で、角度δは、値δ3より更に小さい値δ2となっており、角度γは、値γ3より更に大きく、90度よりも大きい値γ2となっており、角度εは、値ε3より小さい値ε2となっている。
【0059】
具体的には、第1棒状部材30Aの第2端30A2が摺動停止部GRcに達すると、その摺動は摺動停止部GRcによって停止させられる。このとき、エンジンフード2bは全開状態となり、エンジンフード2bの開き角度θは最大開き角度となる。この時点で、作業者が取っ手35から手を離した場合には、エンジンフード2bは自重により閉じ方向に移動する。エンジンフード2bの開き角度θが90度より小さく、エンジンフード2bの重量は、エンジンフード2bを閉じようとする力を生じさせるためである。そのため、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、相対的には、ガイド溝GR内で摺動停止部GRcの位置から係止部GRdの位置に移動し、その後は係止部GRdの位置に留まる。また、第2端30A2が係止部GRdで保持されているときには、エンジンフード2bを閉じる方向に強風が吹いたとしても、エンジンフード2bの開き角度θはその最大開き角度を下回ることはなく、エンジンフード2bが閉じられることはない。
【0060】
このとき、作業者が取っ手35から手を離すと、上述の場合と同様にエンジンフード2bは閉じる方向に移動する。しかしながら、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、延長部GRbに沿って端部GRaに向かって移動することはなく、
図7(A)に示すように、係止部GRdに入り込む。この時点で、角度δは、値δ2よりも僅かに小さい値δ1となっており、角度γは、値γ2よりも僅かに小さい値γ1となっており、角度εは、値ε2よりも僅かに大きい値ε1となっている。
【0061】
第2端30A2が係止部GRdで保持されているときには、エンジンフード2bを開く方向に強風が吹いたとしても、エンジンフード2bがそのときの開き角度θの値θ1を大きく超えて開かれることはない。第1棒状部材30Aの第2端30A2は、摺動停止部GRcと接触してその摺動が停止されるためである。そして、強風が止むと、第2端30A2は係止部GRdに戻り、エンジンフード2bは、引き続き全開状態で保持される。
【0062】
次に、作業者がエンジンフード2bを閉じるときの各部材の動きについて説明する。例えば、作業者が右手で取っ手35を握ってエンジンフード2bを開く方向に持ち上げると、
図7(B)に示すように、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、係止部GRdから摺動停止部GRcに移動する。
【0063】
このとき、作業者が、
図7(B)の矢印AR1で示すように左手で第3棒状部材31Bの第2端31B2を持ち上げた状態で、右手で取っ手35を握ってエンジンフード2bを閉じると、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、係止部GRdに入り込むことなく、延長部GRbに沿って端部GRaに向かって摺動する。すなわち、作業者がエンジンフード2bを閉じる方向に取っ手35を引っ張る際に第2端30A2を延長部GRb内に導くように操作側ステー31を左手で操作すると、第2端30A2は、係止部GRdに入り込むことなく、延長部GRbに沿って端部GRaに向かって摺動する。その結果、作業者は、エンジンフード2bを閉じることができる。
【0064】
一方、作業者が第3棒状部材31Bの第2端31B2を持ち上げずにエンジンフード2bを閉じようとしても、第1棒状部材30Aの第2端30A2は、係止部GRdに入り込むため、延長部GRbに沿って端部GRaに向かって摺動することはない。すなわち、作業者は、エンジンフード2bを閉じることができない。これは、第2端30A2が係止部GRdで保持されているときに、エンジンフード2bを開く方向に強風が吹きその後にエンジンフード2bを閉じる方向に逆向きの強風が吹いたとしても、エンジンフード2bが誤って閉じてしまうようなことはないことを意味する。
【0065】
そして、
図7(D)に示すように、第1棒状部材30Aの第2端30A2が摺動停止部GRcから所定距離だけ前側(X1側)の位置に達すると、エンジンフード2bは全閉状態となり、エンジンフード2bの開き角度θはゼロ度となる。
【0066】
次に、
図6及び
図8を参照し、操作側ステー31の配置例について説明する。
図8は、全開状態にあるエンジンフード2bを右側(Y2側)から見たときのエンジンフード2bの図である。具体的には、
図8は、
図6における破線L5を含むXZ平面(仮想鉛直面)におけるエンジンフード2bの断面図である。なお、ガイド板32は、車幅方向(Y軸方向)においてエンジンフード2bの中央部よりもY2側に配置されている。また、第3棒状部材31Bは、ガイド板32のY1側に配置され、ガイド板32の位置からY1方向(左前方)に向かって延びている。この配置は、機体の中央に位置する作業者が操作しやすい位置に第3棒状部材31Bの第2端31B2を位置付けることができる。
【0067】
操作側ステー31を構成している第3棒状部材31Bは、L字状に折り曲げられ、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図8に示すように、XY平面(仮想水平面)に関して角度αを形成して斜め下方に延びるように構成されている。また、第3棒状部材31Bは、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図6に示すように、XZ平面(ガイド板32の表面を含む仮想鉛直面)に関して角度βを形成して左斜め前方に延びるように構成されている。
【0068】
また、作業者が操作側ステー31を操作する際に触れる第3棒状部材31Bの第2端31B2は、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図8に示すように、取っ手35よりも低い位置にある。また、第3棒状部材31Bの第2端31B2は、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図8に示すように、支持側ステー30を構成している第1棒状部材30Aの第2端30A2よりも高い位置にあり、且つ、操作側ステー31を構成している第2棒状部材31Aの第2端31A2よりも低い位置にある。
【0069】
また、第3棒状部材31Bの第2端31B2は、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図8に示すように、ガイド板32よりも手前側の位置(X1側の位置)にあり、且つ、取っ手35よりも奥まった位置(X2側の位置)にある。
【0070】
また、第3棒状部材31Bの第2端31B2は、エンジンフード2bが全開状態のときに、
図8に示すように、エンジンフード2bの開口面PL1から突出しないように、開口面PL1よりも奥まった位置(X2側の位置)にあり、且つ、エンジンフード2bの開口底面PL2から突出するように、開口底面PL2よりも手前側の位置(X1側の位置)にある。
【0071】
なお、
図6に示すように、エンジンフード2bの開口面PL1は、例えば、全開状態にあるときのエンジンフード2bの前面の下端隅の位置に相当する点P1及び点P2と、全閉状態にあるときのエンジンフード2bの前面の下端隅の位置に相当する点P3及び点P4とで形成される面(一点鎖線で囲まれた面)であってもよい。また、エンジンフード2bの開口底面PL2は、例えば、全開状態にあるときのエンジンフード2bの前面の下端隅の位置に相当する点P1及び点P2と、エンジンフード2bの後面の下端隅の位置に相当する点P5及び点P6とで形成される面(二点鎖線で囲まれた面)であってもよい。
【0072】
このように、操作側ステー31の第3棒状部材31Bの第2端31B2は、エンジンフード2bが全開状態のときに、作業者が片手(取っ手35を握る手の反対側の手)で操作し易い位置に位置するように構成されている。なお、エンジンフード2bを閉じようとする作業者は、典型的には、金属板MPの上で膝立ちの状態になっている。
【0073】
また、操作側ステー31は、支持側ステー30に回動可能に接続されている。すなわち、作業者は、支持側ステー30及び操作側ステー31のそれぞれを互いに独立して動かすことができる。これは、操作側ステー31が支持側ステー30に回動不能に接続される場合に比べ、操作側ステー31を構成している第3棒状部材31Bの第2端31B2の回動半径が小さくなることを意味する。そのため、エンジンフード2bが全閉状態のときには、操作側ステー31を構成している第3棒状部材31Bは、エンジンルーム7内に設置されたエンジン8と干渉しないように上方(Z1方向)に回動される。具体的には、第3棒状部材31Bは、
図4に示すように、第2端31B2が空間SP内に位置するように、支持側ステー30を構成している第1棒状部材30Aの第2端30A2を回動中心として上方(Z1方向)に回動される。なお、
図4の破線で表される図形31Vは、仮にエンジンフード2bが全開状態にあるときの支持側ステー30と操作側ステー31との間の位置関係(
図3に示す位置関係)が維持されたままエンジンフード2bが全閉状態になったとき(以下、「比較状態のとき」とする。)の操作側ステー31の位置を表す。図形31Vは、比較状態のときには、エンジン8と操作側ステー31とが干渉してしまうことを表している。また、
図4は、操作側ステー31が支持側ステー30に回動可能に接続された構成では、比較状態のときに比べ、エンジンフード2bが全閉状態になったときであっても、操作側ステー31がエンジンルーム7内に深く入り込まないこと、すなわち、操作側ステー31がエンジンフード2bの内側の空間にコンパクトに収容されることを示している。
【0074】
このように、ショベル100は、エンジンルーム7内のエンジン8等の機械及びフレーム34等と操作側ステー31との干渉を回避しながらも、エンジンフード2bが全開状態にあるときの操作側ステー31の操作端(第2端31B2)を、作業者が操作し易い位置に位置付けることができる。そのため、ショベル100は、作業者がエンジンフード2bを閉じる際の作業者による操作側ステー31に関する操作、すなわち、支持側ステー30によるエンジンフード2bの全開状態の保持を解除するための操作を実行しやすいものにすることができる。作業者は、操作側ステー31の操作端を掴むために、腕を過度に伸ばす必要がなく、無理な姿勢をとる必要もないためである。
【0075】
上述のように、本発明の一実施形態に係るショベル100は、上部旋回体2と、上部旋回体2に設置されるハウジング2aと、ハウジング2aに回動可能に取り付けられるエンジンフード2bと、エンジンフード2bを支える支持側ステー30と、エンジンフード2bに取り付けられ、且つ、支持側ステー30の一端の摺動をガイドするガイド部としてのガイド板32と、支持側ステー30に回動可能に接続される操作側ステー31と、を有する。支持側ステー30の一端は、例えば、第1棒状部材30Aの第2端30A2である。
【0076】
この構成により、作業者は、支持側ステー30に回動可能に接続される操作側ステー31を操作することで、支持側ステー30によるエンジンフード2bの全開状態の保持を容易に解除することができるため、エンジンフード2bを容易に閉じることができる。
【0077】
ガイド部の一例であるガイド板32は、望ましくは、操作側ステー31の一端の摺動をガイドするように構成されている。なお、ガイド部は、ガイドレール等の他の部材で構成されていてもよい。また、操作側ステー31の一端は、例えば、第2棒状部材31Aの第2端31A2である。
【0078】
操作側ステー31は、望ましくは、平板部材31Dを有し、平板部材31Dを介して支持側ステー30に回動可能に接続されている。この構成により、ショベル100は、操作側ステー31をガイド板32に平行に移動させることができる。
【0079】
操作側ステー31の他端は、望ましくは、エンジンフード2bが全開状態のときの開口面PL1の中央部分に向かって延びている。なお、操作側ステー31の他端は、例えば、第3棒状部材31Bの第2端31B2である。この構成により、作業者は、操作側ステー31を容易に操作できる。
【0080】
ガイド板32には、望ましくは、支持側ステー30の一端を保持する係止部GRdが設けられている。また、ガイド板32には、望ましくは、支持側ステー30を取り付けるための丸孔H1(
図5(E)参照。)が形成されている。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0082】
例えば、上述の実施形態では、エンジンフード2bの外面には取っ手35が設けられ、エンジンフード2bの内面(天井面)には内側取っ手が設けられていないが、エンジンフード2bの内面に内側取っ手が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1・・・下部走行体 2・・・上部旋回体 2a・・・ハウジング 2b・・・エンジンフード 2bX・・・回動軸 3・・・キャブ 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・エンジンルーム 8・・・エンジン 8a・・・発電機 8b・・・ベルト 8c・・・オイルパン 8d・・・オイルレベルゲージ 9a・・・エアフィルタ 9b・・・吸気管 9c・・・排気管 10・・・排気ガス処理装置 12・・・冷却ファン 13・・・熱交換機ユニット 14・・・油圧ポンプ 18・・・作動油タンク 19・・・燃料タンク 20・・・尿素水タンク 30・・・支持側ステー 30A・・・第1棒状部材 30A1・・・第1端 30A2・・・第2端 30B・・・第1フランジ部材 30C・・・第2フランジ部材 30D・・・第3フランジ部材 31・・・操作側ステー 31A・・・第2棒状部材 31A1・・・第1端 31A2・・・第2端 31B・・・第3棒状部材 31B1・・・第1端 31B2・・・第2端 31C・・・第4フランジ部材 31D・・・平板部材 32・・・ガイド板 33・・・ロック機構 33A・・・ラッチレバー部 33B・・・ラッチベース部 34・・・フレーム 35・・・取っ手 36・・・ブラケット 37・・・アシスト機構 37X・・・回動軸 38・・・ブラケット 69・・・尿素水ホース 70・・・尿素水供給ポンプ 100・・・ショベル FM・・・開閉機構 GR・・・ガイド溝 GRa・・・端部 GRb・・・延長部 GRc・・・摺動停止部 GRd・・・係止部 HG・・・蝶番 TH・・・貫通孔