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特許7586572バイオオイル処理を伴う接触分解システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】バイオオイル処理を伴う接触分解システム
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20241112BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10G11/18
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022501252
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020041679
(87)【国際公開番号】W WO2021007549
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】62/872,965
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595170502
【氏名又は名称】スプレイング システムズ カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】517254868
【氏名又は名称】ティー.イーエヌ プロセス テクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パテル, バンディッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ボートマン, ディグナ
(72)【発明者】
【氏名】グボルドゾー, エウセビウス
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-207388(JP,A)
【文献】特開2008-018335(JP,A)
【文献】特表平11-505168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触分解システム(10)において、
接触分解リアクタ(12)と、
前記接触分解リアクタ(12)に上方に連通するライザ(11)と、
液体炭化水素の供給源と、
前記ライザ(11)の壁に装着され、前記ライザ(11)の壁を通って延び、下流側端部で噴霧先端部(26)を有する第1の送流噴霧ノズルアセンブリであって、前記第1の送流噴霧ノズルアセンブリは、液体炭化水素の供給源および霧化ガスの供給源(25)に結合された上流側端部を有し、前記第1の送流噴霧ノズルアセンブリを通して誘導された液体炭化水素が霧化ガスによって霧化され、微細に霧化された液体炭化水素噴霧として前記噴霧先端部(26)からライザ(11)内に放出される、第1の送流噴霧ノズルアセンブリと、
前記ライザ(11)の壁に装着され、前記壁を通って延び、下流端部に噴霧先端部(26)を有する細長いノズル本体(25)を備えた第2の送流噴霧ノズルアセンブリと、
前記細長いノズル本体(25)の内部に支持され、上流端部が液体バイオオイルの供給源(24)に接続されたバイオオイル送流管(30)であって、液体バイオオイルを前記バイオオイル送流管(30)を通して前記噴霧先端部(26)に誘導し、前記細長いノズル本体(25)は、前記バイオオイル送流管(30)に対して取り囲む関係で環状霧化ガス通路(32)を画成し、前記環状霧化ガス通路(32)は、霧化ガスの供給源(25)に接続される、バイオオイル送流管(30)と、
前記バイオオイル送流管(30)と前記環状霧化ガス通路(32)との間の環状隔離層(51)と、
を備える、接触分解システム。
【請求項2】
前記環状霧化ガス通路は、前記細長いノズル本体と、前記バイオオイル送流管の付近に同心的に支持された中間管状部材との間に画成され、前記中間管状部材および前記バイオオイル送流管は、それらの間で、前記バイオオイル送流管の付近に細長い環状空間を形成し、前記隔離層は、前記バイオオイル送流管と前記中間管状部材との間の前記細長い環状空間内に配置される、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項3】
前記隔離層が微孔性隔離体または同等物を備える、請求項2に記載の接触分解システム。
【請求項4】
前記隔離層が、0.3-2.25mmの粉末粒径を有する粒状微孔性粉末を備える、請求項3に記載の接触分解システム。
【請求項5】
前記隔離層は、前記バイオオイル送流管を通って移送される液体バイオオイルの温度を40℃から70℃の温度範囲内に維持する、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項6】
前記噴霧先端部が内部混合チャンバを画成し、バイオオイル液体誘導ノーズが、前記混合チャンバの内部に配置され、前記バイオオイル送流管と連通し、前記液体誘導ノーズには、前記霧化ガス通路から前記混合チャンバ内に誘導された霧化ガスによる粉砕および霧化の為に、前記バイオオイル送流管を通って前記混合チャンバ内に誘導されたバイオオイルを径方向外側へと横断方向に誘導する複数の径方向放出通路が形成される、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項7】
前記径方向放出通路は、前記液体誘導ノーズの内部に、加圧された液体バイオオイルが衝突する端壁を画成し、液滴に分解され、前記混合チャンバ内に径方向外側へと誘導される、請求項6に記載の接触分解システム。
【請求項8】
前記噴霧先端部は、前記混合チャンバの下流に膨張チャンバを備え、液体バイオオイルは、噴霧先端部の放出オリフィスから放出するための入射として、更なる破壊および霧化のために前記膨張チャンバ内に誘導される、請求項7に記載の接触分解システム。
【請求項9】
前記噴霧先端部が、高温触媒の放射から前記噴霧先端部を冷却するために前記霧化ガスを前記噴霧先端部の付近に誘導するために、前記霧化ガス供給源と連通する長手方向に延びる冷却チャネルをその周囲の付近に形成する、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項10】
前記細長いノズル本体が2フィートから6フィートの長さを有する、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項11】
前記第2の送流噴霧ノズルアセンブリの霧化ガス通路が接続される霧化ガスの供給源は、蒸気の供給源である、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項12】
前記第2の送流噴霧ノズルアセンブリの前記霧化ガス通路が接続される霧化ガスの前記供給源は、加圧燃料ガス、窒素、または天然ガスの供給源である、請求項1に記載の接触分解システム。
【請求項13】
接触分解システムのライザ(11)内に液体バイオオイルを誘導するための送流噴霧ノズルアセンブリにおいて、
接触分解ライザ(11)の壁の内部に装着され、前記接触分解ライザ(11)の壁を通って延び、下流端部に噴霧先端部(26)を有する細長いノズル本体(25)と、
前記細長いノズル本体(25)の内部に支持され、上流端部を有するバイオオイル送流管(30)であって、前記上流端部は、液体バイオオイルの供給源(24)に接続されて、バイオオイル送流管(30)を通して液体バイオオイルを前記噴霧先端部(26)に誘導し、前記細長いノズル本体(25)は、前記バイオオイル送流管(30)に対して取り囲む関係で環状霧化ガス通路(32)を画成し、前記環状霧化ガス通路(32)は、霧化ガスの供給源(25)に接続される、バイオオイル送流管(30)と、
前記バイオオイル送流管(30)の付近に同心状に支持された中間管状部材(31)であって、前記中間管状部材(31)および前記バイオオイル送流管(30)は、前記中間管状部材(31)と、前記バイオオイル送流管(30)との間で前記バイオオイル送流管(30)の付近に細長い環状空間(50)を画成する、中間管状部材(31)と、
前記バイオオイル送流管(30)と前記中間管状部材(31)との間の前記細長い環状空間(50)内に配置される、隔離層(51)と、
を備える、送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項14】
前記隔離層が微孔性隔離体を備える、請求項13に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項15】
前記隔離層が、0.3-2.25mmの粉末粒径を有する粒状微孔性粉末を含む、請求項14に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項16】
前記隔離層は、前記バイオオイル送流管を通って移送される液体バイオオイルの温度を40℃から70℃の温度範囲内に維持する、請求項13に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項17】
前記細長いノズル本体が2フィートから6フィートの長さを有する、請求項13に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項18】
前記第2の送流噴霧ノズルアセンブリの前記霧化ガス通路が接続される霧化ガスの前記供給源は、蒸気の供給源である、請求項13に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項19】
前記噴霧先端部が内部混合チャンバを画成し、バイオオイル液体誘導ノーズが、前記バイオオイル送流管と連通する前記混合チャンバの内部に配置され、前記液体誘導ノーズには、前記霧化ガス通路から前記混合チャンバ内に誘導された霧化ガスによる粉砕および霧化の為に、前記バイオオイル送流管を通って前記混合チャンバ内に誘導されたバイオオイルを径方向外側へと横断方向に誘導する複数の径方向放出通路が形成される、請求項13に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【請求項20】
前記噴霧先端部は、高温の接触の放射から前記噴霧先端部を冷却するために前記噴霧先端部の付近に霧化ガスを誘導するために、前記霧化ガス供給源と連通する長手方向に延びる冷却チャネルが前記噴霧先端部の付近に形成される、請求項1に記載の送流噴霧ノズルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
【0002】
[0001]この特許出願は、2019年7月11日に出願された米国仮特許出願第62/872965号の利益を主張するものであり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[発明の分野]
【0004】
[0002]本発明は、一般的には接触分解システムに関し、より詳細には、流動接触分解反応器に送流されるバイオオイル液体を霧化して噴霧するのに適した噴霧ノズルアセンブリに関する。
【0005】
[発明の背景]
【0006】
[0003]流動接触分解処理は石油精製工場産業において重要であり、重炭化水素を液化石油ガス、ガソリンおよびディーゼル燃料のような生成物に変換するために世界的に使用されている。松チップ、とうもろこしの穂軸、その他の植物および有機物、植物油などのバイオオイルの急速熱分解によって製造されるバイオオイルなどの再生可能なエネルギ源は、加工燃料としての原油の代替物または補足物としてますます重要になってきている。流体接触分解(FCC)プロセスは、同様に、バイオオイルから炭化水素燃料を生成するために使用することができる。バイオオイルを原油の送流物(feed)と共処理することにより、望ましい結果が得られる。バイオオイルは温度に対して不安定であるため、FCCのライザにバイオオイルを注入する際には注意が必要である。バイオオイルを高温に曝露すると、バイオオイルの早期重合およびノズルの詰まりを引き起こす可能性がある。
【0007】
【発明の目的および概要】
【0008】
[0004]本発明の目的は、流体接触分解システムにおいてバイオオイルを炭化水素原料と共処理するための、信頼性があり、詰まりがなく、効果的なバイオオイル霧化および注入システムを提供することである。
【0009】
[0005]別の目的は、接触分解システムに関連した操作温度で、バイオオイルの蒸気、燃料ガス、窒素および他のガスの霧化に関連した合理的な温度で効果的に操作できるバイオオイル送流アセンブリを提供することである。
【0010】
[0006]さらなる目的は、液体バイオオイル送流物が、FCCライザ内の触媒への効率的な霧化のためにその重合温度または分解温度より低い最適温度に維持され、高温蒸気または他の霧化ガスと同時に、長さが2フィートから6フィートまでのような比較的長い送流ノズルを通して移送される、上記の種類のバイオオイル送流ノズルアセンブリを提供することである。
【0011】
[0007]さらに別の目的は、バイオオイルの完全性を維持するための全ての要件を満たし、構造が比較的単純であり、経済的な製造に適した前述のタイプの噴霧ノズルアセンブリを提供することである。
【0012】
[0008]本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、原油供給物とバイオオイル送流物の両方を同時に接触分解ライザに注入するように動作可能な例示的流動接触分解システムの概略図である。
図2図2は、接触分解ライザのライザ壁内部に装着された、本発明によるバイオ送流ノズルアセンブリを示す図である。
図3図3は、本発明のバイオオイル送流噴霧ノズルアセンブリの拡大縦断面である。
図4図4は、放出する液体バイオオイルを冷却するための冷却チャネルを備えた、例示されたバイオオイル送流噴霧ノズルアセンブリ用の噴霧先端部の代替形態の拡大された断面である。[0013]本発明は、様々な変形および代替的な構成の影響を受けやすいが、その特定の例示的な実施形態が図面に示されており、以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、本発明の精神および範囲内にある全ての修正、代替構成、および同等物をカバーする意図があることは理解されるべきである。
【好ましい実施形態の説明】
【0014】
[0014]次に図面の図1をより詳細に参照すると、原油およびバイオオイルの両方を霧化して接触分解反応装置12のライザ11に誘導するように動作可能な例示された流体接触分解システム10が示されている。当該技術分野で知られているように、システム10は、反応器12と再生ユニット14とを含む。そのようなシステムにおいて、触媒粒子は、原油のような液体炭化水素と接触させられるが、液体炭化水素は、霧化され、液体炭化水素送流ノズル15によってライザ11の入口に誘導される。原油送流ノズル15は、本出願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第5921472号および第8820663号に記載されているような従来のタイプのものであってもよく、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。炭化水素送流物を触媒粒子と接触させるためには、炭化水素送流物の完全な霧化が重要である。なぜなら、液滴サイズの均一で狭い分布は、炭化水素のより速い気化を助け、望ましくないコークスの形成を減少させ、より効果的な生成物収率を可能にするからである。蒸気は、霧化ガスとして典型的に使用され、再生ユニット14から来る高温触媒粒子は、ライザ11内で接触すると送流オイルを蒸発させ、オイル蒸気、蒸気および触媒粒子がライザ11内を上方に移動するにつれて分解を開始する。触媒粒子の温度は、オイルの蒸発および吸熱分解反応が上方移動中に進行するにつれて低下する。分解反応は触媒上にコークスを析出させ、触媒の不活性化を導く。触媒は、反応器12内に置かれるライザの頂部で蒸気混合物から分離され、触媒ストリッパからの蒸気および炭化水素混合物と混合され、そして分留器に送られる。分離されたコークス化触媒は、コークス化触媒が再生ユニット14に送られて空気でコークスを燃焼させる前に、触媒ストリッパ内で蒸気を用いて除去される。コークス堆積物の燃焼から解放された熱は、分解反応に必要な熱を供給するためにライザに戻される触媒粒子の温度を上昇させ、サイクルが繰り返される。
【0015】
[0015]上述したように、バイオオイルから製造されるバイオオイルのような再生可能なエネルギ源は、触媒処理における炭化水素送流物の代替物および補足物としてますます重要になってきている。炭化水素送流物をFCCユニットに注入するように設計された送流ノズル15を通してバイオオイルを注入することは、バイオオイルが分解してコークスを生成し、目詰まりを引き起こし、効率的な霧化およびバイオオイルのライザへの誘導を妨げる傾向があるので、望ましくないことが分かっている。
【0016】
[0016]本実施形態を実行する際には、炭化水素送流ノズル15とは別個のバイオオイル送流ノズルアセンブリ20を設けて、液体バイオオイル送流物をより効率的に霧化し、液体炭化水素送流物と同様の液体粒子分解でFCCユニットのライザ11内に誘導する。炭化水素送流ノズル15と同様に、例示されたバイオオイル送流ノズルアセンブリ20は、従来の方法で、流動接触反応装置12のライザ11の隔離壁11aに装着される。この場合、バイオオイル送流ノズル20は、霧化された液体バイオオイルをライザ11内へと上方に放出するために、垂直に対して一定の角度で壁11a内部に固定された管状スリーブ21内に支持される。管状スリーブ21は、外側に延びるフランジ21aを有し、このフランジ21aに、バイオオイル送流ノズルアセンブリ20に固定された支持フランジ20aを固定することができる。バイオオイル送流ノズルアセンブリ20は、図2および図3に概略的に示す液体バイオオイル供給源24に接続するための液体バイオオイル入口22と、同じく図2および図3に概略的に示す、製油所で処理される蒸気、燃料ガス、窒素、天然ガスなどの霧化ガス供給源25に接続するための霧化ガス入口24とを有する。例示されたバイオオイル送流ノズルアセンブリ20は、炭化水素送流ノズル15の上流に配置されるが、代替的に、バイオオイル送流ノズルアセンブリ20aは、炭化水素送流の上流に配置されてもよい。
【0017】
[0017]この場合、バイオオイル送流ノズルアセンブリ20は、送流ノズルアセンブリ20の全長に実質的に延びる細長い外側円筒形本体またはパイプ部位25を含む。ライザ壁11aの厚さおよび送流ノズルアセンブリ20の傾斜装着部のために、ノズル本体25は、典型的には、FCCユニットのサイズに依存して、約2-6フィートの範囲の比較的長い長さを有する。放出オリフィス28を有する噴霧先端部26は、この場合は十字カットの形をしており、例えば溶接部29によってノズル本体25の下流端部に当接して固定されている。
【0018】
[0018]バイオオイル送流管またはパイプ30は、上流端部が液体バイオオイル供給源24と連通しているノズル本体25内部に中央で支持されている。この場合、中間管またはパイプ部位31は、バイオオイル送流管25に対して周囲に同心状に支持されており、中間管31の外面およびノズル本体25の内面は、霧化ガス供給源25と連通する上流端部を有する環状霧化ガス通路32を画成している。この場合、バイオオイル送流管30および中間管31の下流端部は、同様に、それぞれ溶接部29a、29bによって噴霧先端部26に固定される。
【0019】
[0019]例示されたバイオオイル送流管30は、噴霧先端部26の中央液体流路35に連通しており、この中央液体流路35は、突出する略円筒形の液体誘導ノーズ40内に延びており、液体誘導ノーズ40は、噴霧先端部26の内部で、ノーズ40に対して取り囲む関係で画成された拡大直径混合チャンバ41内部の中央に配置されたいる。中央液体通路35は、この場合、4つの数の複数の交差穴42と連通しており、これらは、噴霧先端部の中央液体流路35の中心軸に対して垂直にかつそれと交差する関係で延びている。この場合の例示された液体誘導ノーズは、噴霧先端部26の一体部であるが、代替的には、バイオオイル送流管30の延長であってもよいことが理解されるであろう。
【0020】
[0020]中央バイオオイル供給管30および通路35を通って誘導される加圧液体バイオオイルは、中央通路35の下流端で端壁45に当たり、この場合、部分的に交差穴42によって画成される。加圧液体バイオオイルは、端壁45に衝突すると、液体粒子に分解され、交差穴42の放出オリフィス42aを通って径方向外側へと誘導される。
【0021】
[0021]同時に、加圧霧化ガスは、環状の霧化ガス通路32を通って、噴霧先端部26の混合ゾーン41内に、それぞれの径方向放出オリフィス42aを横切って横断方向に誘導され、さらに、横断方向に誘導されたバイオオイル流を分解して霧化する。噴霧先端部26の内部で内的に霧化された霧化バイオオイル粒子は、その後、噴霧先端部26の下流膨張チャンバ48内に高速で誘導され、さらに破壊され、入射として霧化されて、噴霧先端部放出オリフィス28を通って放出される。この場合、膨張チャンバ48は、上流混合ゾーン41よりも直径がわずかに小さく、その直径よりも小さい比較的短い軸を有する。
【0022】
[0022]本実施形態の重要な態様に従って、バイオオイル送流ノズルアセンブリ20は、送流ノズルアセンブリ内の液体バイオオイル流ストリームを、同時に誘導された霧化ガスの温度および接触分解システムの周囲温度からの過熱から保護するように設計される。この目的のために、バイオオイル送流管と環状霧化ガス通路との間に隔離層を設けて、送流管を通って誘導される液体バイオオイルを高温曝露から隔離する。例示された実施形態において、中央バイオオイル送流管30と中間管31は、その間に環状空間50を画成して、通過する液体バイオオイルをシステムの周囲の熱から遮蔽する隔離体51をバイオオイル送流管30の実質的な長さに沿って保持する。隔離体51は、微孔性隔離体であることが好ましく、微孔性隔離体は、比較的長いノズル本体25に沿って液体バイオオイル送流管30を取り囲む環状の霧化ガス通路32を通して誘導される高温の蒸気又は他の霧化ガスの非常に低い熱伝導率を可能にする。隔離材料は、好ましくは、粒径が約0.3-2.25mmの間で変化する粒状微孔性粉末である。このような微孔性材料は、バイオオイル送流管30と中間管31との間の空洞51の径方向空間が比較的小さい場合であっても、著しい熱伝達を防止するのに有効であることが分かっている。バイオオイルの、このような温度制御は、実質的に、バイオオイル送流管30を通るその全体の通路に沿って、噴霧先端部の混合チャンバ41への誘導の前に行われる。液体バイオオイルは、周囲の環状霧化ガス通路32内の高温から効果的に遮蔽されるので、液体バイオオイルは、混合チャンバ41内に入ると、約40℃-70℃の最適温度範囲内に維持されて、送流ノズルアセンブリ20からの液体バイオオイルの霧化および誘導を、炭化水素噴霧ノズルから放出される原油の粒度分布と一致する液滴サイズ分布で達成することが、予想外に見出された。
【0023】
[0023]あるいは、図4に示すように、噴霧先端部26は、霧化ガス通路26と連通するその周囲の付近に長手方向に延びる複数の冷却チャネル52を形成して、霧化ガスを噴霧先端部の周囲付近に誘導し、先端部の温度を更に低下させることができる。他の形態の噴霧先端部を使用することもできる。
【0024】
[0024]以上のことから、接触分解ユニットにおいて、よりより効率的かつ効果的な霧化およびバイオオイルの使用に適合した接触分解システムが提供されることがわかる。液体バイオオイルは、最適な霧化と、炭化水素送流ノズルからの送流の霧化および誘導と整合した、送流ノズルからFCCユニットのライザ内への送流ノズルからの放出との為に、送流ノズルアセンブリを通過する間、高温の霧化ガスから効果的に遮蔽される。
図1
図2
図3
図4