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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】射出成形機、管理システム、コントローラ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20241112BHJP
   B22D 17/32 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B29C45/76
B22D17/32 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021549066
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036376
(87)【国際公開番号】W WO2021060501
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019177742
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】有田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】茂木 浩
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-090535(JP,A)
【文献】特開2007-114210(JP,A)
【文献】特開2016-124259(JP,A)
【文献】国際公開第2019/142472(WO,A1)
【文献】特開2017-087587(JP,A)
【文献】特開2017-132229(JP,A)
【文献】米国特許第06608574(US,B1)
【文献】特開平04-110125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
B22D 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型装置を型締する型締装置と、
前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、
前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、
互いに異なる種類のデータを、互いに異なる周期で取得する複数のデータ取得部と、
前記複数のデータ取得部から取得されたデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部によるデータの受信周期ごとに、データの種類ごとの時系列関係を補償データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部のそれぞれから前記データ受信部により受信されたデータを加工するデータ加工部と、
前記データ加工部により加工されたデータを所定の外部装置に送信するデータ送信部と、を備える、
射出成形機。
【請求項2】
前記データ加工部は、データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部により取得されたデータの取得タイミング又はデータの内容を加工
前記データ送信部は、前記データ加工部により加工されたデータを所定の外部装置に送信する、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記データ受信部は、周期的に起動し、前記複数のデータ取得部のそれぞれから直近で取得されたデータを受信
前記複数のデータ取得部のうちの少なくとも一部のデータ取得部によるデータの取得タイミングと前記データ受信部の起動タイミングとの間にずれが生じる場合があり、
前記データ加工部は、前記データ受信部によりデータが受信された第1のタイミングと前記データ受信部により受信されたデータが前記少なくとも一部のデータ取得部により実際に取得された第2のタイミングとの間にずれがある場合、データの取得タイミングを、前記第1のタイミングから前記第2のタイミングに合わせるように加工する、又は、前記データ受信部により受信された前記第2のタイミングにおけるデータの内容を、前記データ受信部によりデータが受信された前記第1のタイミングにおけるデータの内容に合わせるように加工する、
請求項に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記複数のデータ取得部のそれぞれでデータが取得されるタイミングと、前記データ受信部によりデータが受信されるタイミングとの関係を表す情報を記憶する記憶部を備え、
前記データ受信部は、第1の周期ごとに動作し、前記複数のデータ取得部のそれぞれで第2の周期ごとに取得されるデータのうちの直近のデータを前記複数のデータ取得部のそれぞれから受信し、
前記データ加工部は、前記情報に基づき、前記データ受信部により受信されたデータの取得時刻又はデータの内容を補正する、
請求項に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記複数のデータ取得部により取得されるデータには、前記型締装置を駆動する型締モータに対応するエンコーダデータ、前記型締装置の型厚調整を行う型厚調整モータに対応するエンコーダデータ、前記射出装置のスクリュを回転駆動する計量モータに対応するエンコーダデータ、前記射出装置のスクリュを進退駆動する射出モータに対応するエンコーダデータ、前記射出モータとスクリュとの間で伝達される圧力の検出データ、前記エジェクタ装置を駆動するエジェクタモータに対応するエンコーダデータ、前記射出装置のシリンダの外周の温度の検出データの少なくとも一つが含まれる、
請求項1乃至の何れか一項に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記複数のデータ取得部は、射出成形機のアクチュエータを駆動する駆動装置、射出成形機の稼働状態に関する検出データを出力する検出装置、及び前記データ送信部を含む上位コントローラの制御下にある下位コントローラの少なくとも一つを含む、
請求項1乃至の何れか一項に記載の射出成形機。
【請求項7】
複数の射出成形機と、
前記複数の射出成形機のそれぞれと通信可能な管理装置と、を含み、
前記複数の射出成形機は、それぞれ、金型装置を型締する型締装置と、前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、互いに異なる種類のデータを、互いに異なる周期で取得する複数のデータ取得部と、前記複数のデータ取得部から取得されたデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部によるデータの受信周期ごとに、データの種類ごとの時系列関係を補償データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部のそれぞれから前記データ受信部により受信されたデータを加工するデータ加工部と、前記データ加工部により加工されたデータを前記管理装置に送信するデータ送信部と、を備える、
管理システム。
【請求項8】
前記データ加工部は、データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部により取得されたデータの取得タイミング又はデータの内容を加工する、
請求項に記載の管理システム。
【請求項9】
互いに異なる種類のデータを、互いに異なる周期で取得する複数のデータ取得部のそれぞれから取得されたデータを受信し、データの受信周期ごとに、データの種類ごとの時系列関係を補償データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部のそれぞれから受信したデータを加工し、加工したデータを外部に送信する、
コントローラ。
【請求項10】
第1の周期ごとに動作し、前記複数のデータ取得部のそれぞれで互いに異なる第2の周期ごとに取得されるデータのうちの直近のデータを前記複数のデータ取得部のそれぞれから受信するデータ受信部と、
前記複数のデータ取得部のそれぞれでデータが取得されるタイミングと、前記データ受信部によりデータが受信されるタイミングとの関係を表す情報を記憶する記憶部と、を備える、
請求項に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記情報に基づき、前記データ受信部により受信されたデータの取得時刻又はデータの内容を補正するデータ加工部を備える、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記情報には、前記データ受信部が動作するタイミングごとに、前記データ取得部でデータが取得されるタイミングに対する前記データ受信部によりデータが受信されるタイミングの遅れ量が規定される、
請求項1又は1に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、射出成形機等の産業用の機械では、稼働状態に関するデータ(例えば、各種センサの出力データ等)が収集される場合がある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-105136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、種類の異なるデータ及び異なる機械のデータを大量に収集し、ビッグデータとして活用するニーズが存在する。そのため、例えば、種類の異なるデータ同士や異なる機械のデータ同士を比較可能なように、取得されるデータの整合性が確保されることが望ましい。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、射出成形機等の所定の機械で取得されるデータの整合性を確保することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
金型装置を型締する型締装置と、
前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、
前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、
互いに異なる種類のデータを、互いに異なる周期で取得する複数のデータ取得部と、
前記複数のデータ取得部から取得されたデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部によるデータの受信周期ごとに、データの種類ごとの時系列関係を補償データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部のそれぞれから前記データ受信部により受信されたデータを加工するデータ加工部と、
前記データ加工部により加工されたデータを所定の外部装置に送信するデータ送信部と、備える、
射出成形機が提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
複数の射出成形機と、
前記複数の射出成形機のそれぞれと通信可能な管理装置と、を含み、
前記複数の射出成形機は、それぞれ、金型装置を型締する型締装置と、前記型締装置により型締された前記金型装置に成形材料を充填する射出装置と、前記射出装置により充填された成形材料が冷却固化した後、前記金型装置から成形品を取り出すエジェクタ装置と、互いに異なる種類のデータを、互いに異なる周期で取得する複数のデータ取得部と、前記複数のデータ取得部から取得されたデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部によるデータの受信周期ごとに、データの種類ごとの時系列関係を補償データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部のそれぞれから前記データ受信部により受信されたデータを加工するデータ加工部と、前記データ加工部により加工されたデータを前記管理装置に送信するデータ送信部と、を備える、
管理システムが提供される。
【0008】
また、本開示の更に他の実施形態では、
互いに異なる種類のデータを、互いに異なる周期で取得する複数のデータ取得部のそれぞれから取得されたデータを受信し、データの受信周期ごとに、データの種類ごとの時系列関係を補償データの種類ごとに時系列で比較可能なように、前記複数のデータ取得部のそれぞれから受信したデータを加工し、加工したデータを外部に送信する、
コントローラが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、射出成形機等の所定の機械で取得されるデータの整合性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】射出成形機を含む射出成形機管理システムの構成の一例を示す図である。
図1B】射出成形機を含む射出成形機管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】射出成形機のデータ収集に関する構成の一例を示す図である。
図3】コントローラ及びデータ取得部の動作の第1例を示すタイミングチャートである。
図4A】データの時系列関係を補償する方法の第1例を説明する図である。
図4B】データの時系列関係を補償する方法の第1例を説明する図である。
図5】コントローラ及びデータ取得部の動作の第2例を示すタイミングチャートである。
図6A】データの時系列関係を補償する方法の第2例を説明する図である。
図6B】データの時系列関係を補償する方法の第2例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0012】
[射出成形機管理システムの構成]
まず、図1図1A,1B)を参照して、本実施形態に係る射出成形機管理システム(以下、単に「管理システム」)SYSの構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る射出成形機管理システムの一例を示す図である。具体的には、図1Aには、射出成形機1の型開完了時の状態を示す側面断面図が描画され、図1Bには、射出成形機1の型締時の状態を示す側面断面図が描画される。以下、本実施形態の図中において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに垂直であり、X軸の正負方向(以下、単に「X方向」)及びY軸の正負方向(以下、単に「Y方向」)は水平方向を表し、Z軸の正負方向(以下、単に「Z方向」)は鉛直方向を表す。
【0014】
管理システムSYSは、複数(本例では、3台)の射出成形機1と、管理装置2とを含む。
【0015】
尚、管理システムSYSに含まれる射出成形機1は、1台であってもよいし、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0016】
<射出成形機>
射出成形機1は、成形品を得るための一連の動作を行う。
【0017】
また、射出成形機1は、所定の通信回線NWを通じて、管理装置2と通信可能に接続され、管理装置2(所定の外部装置の一例)に射出成形機1の稼働状態に関するデータ(以下、「稼働状態データ」)を送信(アップロード)する。これにより、管理装置2(或いは、その管理者や作業者等)は、稼働状態を把握し、射出成形機1のメンテナンスのタイミングや射出成形機1の稼働スケジュール等を管理することができる。通信回線NWは、例えば、基地局を末端とする移動体通信網を含んでよい。また、通信回線NWは、例えば、通信衛星を利用する衛星通信網を含んでもよい。また、通信回線NWは、例えば、インターネット網を含んでもよい。また、通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場内のLAN(Local Area Network)を含んでもよい。また、通信回線NWは、例えば、ブルートゥース(登録商標)通信やWiFi通信等に対応する近距離通信回線であってもよい。
【0018】
射出成形機1は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、コントローラ700とを含む。
【0019】
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、及び型開を行う。型締装置100は、例えば、横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、及び型厚調整機構180を有する。
【0020】
以下、型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中左方向)を後方として説明する。
【0021】
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型11が取付けられる。
【0022】
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型12が取付けられる。
【0023】
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。
【0024】
金型装置10は、固定プラテン110に対応する固定金型11と、可動プラテン120に対応する可動金型12とを含んで構成される。
【0025】
トグルサポート130は、固定プラテン110と所定の間隔Lをおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。トグルサポート130は、例えば、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてよい。この場合、トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通であってもよい。
【0026】
尚、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
【0027】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば、4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられる。タイバー歪検出器141は、例えば、歪みゲージである。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、例えば、型締力の検出等に用いられる。
【0028】
尚、タイバー歪検出器141に代えて、或いは、加えて、型締力を検出するために利用可能な任意の型締力検出器が用いられてもよい。例えば、型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式等であってもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0029】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群等で構成される。各リンク群は、ピン等で屈伸自在に連結される第1リンク152及び第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピン等で揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピン等で揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152及び第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0030】
尚、トグル機構150の構成は、図1A及び図1Bに示す構成に限定されない。例えば、図1A及び図1Bでは、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0031】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152及び第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構170に連結されてもよい。
【0032】
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0033】
型締装置100は、コントローラ700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程等を行う。
【0034】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば、型締モータエンコーダ161等を用いて検出される。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。
【0035】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、及び、クロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0036】
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型12と固定金型11との間にキャビティ空間14が形成され、射出装置300がキャビティ空間14に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間14の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
【0037】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型12から成形品を突き出す。
【0038】
型閉工程及び型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)や型締力等は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0039】
また、型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0040】
尚、クロスヘッド151の速度や位置等の代わりに、可動プラテン120の速度や位置等が設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば、型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0041】
トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角(以下、「リンク角度」)θに応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0042】
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化等により金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば、可動金型12が固定金型11にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0043】
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
【0044】
ねじ軸181及びねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。
【0045】
尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
【0046】
回転伝達部185は、例えば、歯車等で構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車及び駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。
【0047】
尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリ等で構成されてもよい。
【0048】
型厚調整機構180の動作は、コントローラ700によって制御される。コントローラ700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
【0049】
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。
【0050】
尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0051】
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
【0052】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0053】
また、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0054】
エジェクタ装置200は、金型装置10から成形品を突き出す。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、及びエジェクタロッド230等を有する。
【0055】
以下、エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1A及び図1B中左方向)を後方として説明する。
【0056】
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構220に連結されてもよい。
【0057】
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0058】
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型12の内部に進退自在に配設される可動部材15と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材15と連結されていても、連結されていなくてもよい。
【0059】
エジェクタ装置200は、コントローラ700による制御下で、突き出し工程を行う。
【0060】
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材15を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材15を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えば、エジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。
【0061】
尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0062】
射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。射出装置300は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、及び圧力検出器360等を有する。
【0063】
以下、射出装置300の説明では、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1A及び図1B中左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1A及び図1B中右方向)を後方として説明する。
【0064】
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば、樹脂等を含む。成形材料は、例えば、ペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダ等の冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータ等の加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
【0065】
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(図1A及び図1B中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、コントローラ700が加熱器313を制御する。
【0066】
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、コントローラ700が加熱器313を制御する。
【0067】
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
【0068】
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
【0069】
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図1B参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
【0070】
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1A参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
【0071】
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプとのいずれでもよい。
【0072】
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
【0073】
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば、油圧ポンプ等でもよい。
【0074】
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構等が設けられる。運動変換機構は、例えば、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラ等が設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば、油圧シリンダ等でもよい。
【0075】
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
【0076】
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力等の制御や監視に用いられる。
【0077】
射出装置300は、コントローラ700による制御下で、計量工程、充填工程、及び、保圧工程等を行う。
【0078】
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば、計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。
【0079】
尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0080】
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば、圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
【0081】
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば、射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも称する。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間等に応じて変更されてもよい。
【0082】
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0083】
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも称する。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば、圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号をコントローラ700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間等に応じて変更されてもよい。
【0084】
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0085】
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
【0086】
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
【0087】
移動装置400は、金型装置10に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、及び液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430等を有する。
【0088】
以下、移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1A及び図1B中左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1A及び図1B中右方向)を後方として説明する。
【0089】
尚、移動装置400は、図1A,1Bでは射出装置300のシリンダ310の片側に配置されるが、シリンダ310の両側に配置されてもよく、シリンダ310を中心に対称に配置されてもよい。
【0090】
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば、油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。また、液圧ポンプ410は、タンクから作動液を吸引して第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出させることもできる。
【0091】
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、コントローラ700からの制御信号に応じた回転方向及び回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
【0092】
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、及びピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
【0093】
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
【0094】
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
【0095】
尚、移動装置400は、液圧シリンダ430を含む構成に限定されない。例えば、液圧シリンダ430に代えて、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
【0096】
コントローラ700は、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、及び移動装置400等に直接的に制御信号を送信し、射出成形機1の駆動制御を行う。
【0097】
コントローラ700は、例えば、CPU(Central Processing Unit)701と、メモリ装置702と、補助記憶装置703と、入出力用のインタフェース装置704とを有するコンピュータを中心に構成される。コントローラ700は、補助記憶装置703にインストールされるプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、コントローラ700は、インタフェース装置704を通じて、外部の信号を受信したり、外部に信号を出力したりする。
【0098】
尚、コントローラ700の機能は、複数のコントローラにより分担されてもよい。
【0099】
コントローラ700は、射出成形機1に型閉工程、型締工程、及び型開工程等を繰り返し行わせることにより、成形品を繰り返し製造させる。また、コントローラ700は、型締工程の間に、射出装置300に計量工程、充填工程、及び保圧工程等を行わせる。
【0100】
成形品を得るための一連の動作、例えば、射出装置300による計量工程の開始から次の射出装置300による計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも称する。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも称する。
【0101】
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、及び突き出し工程の順に構成される。この順番は、各工程の開始の順番である。また、充填工程、保圧工程、及び冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。また、型締工程の終了は、型開工程の開始と一致する。
【0102】
尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程が行われてもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。また、射出装置300のノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
【0103】
コントローラ700は、操作装置750及び表示装置760等と接続されている。
【0104】
操作装置750は、ユーザによる射出成形機1に関する操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をコントローラ700に出力する。
【0105】
表示装置760は、コントローラ700による制御下で、各種画像を表示する。
【0106】
表示装置760は、例えば、操作装置750における操作入力に応じた射出成形機1に関する操作画面を表示する。
【0107】
表示装置760に表示される操作画面は、射出成形機1に関する設定等に用いられる。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1に関する成形条件の設定(具体的には、設定値の入力)が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時のロギングデータとして記録される射出成形機1に関する各種センサ等の検出値の種類の選択に関する設定が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時の射出成形機1に関する各種センサ等の検出値(実績値)の表示装置760への表示仕様(例えば、表示する実績値の種類や表示のさせ方等)の設定が含まれる。操作画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760に表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより、射出成形機1に関する設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。
【0108】
また、表示装置760は、例えば、コントローラ700による制御下で、操作画面上での操作に応じた各種情報をユーザに提供する情報画面を表示する。情報画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。例えば、表示装置760は、射出成形機1に関する設定内容(例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定内容)を表示する。また、例えば、表示装置760は、管理情報(例えば、射出成形機1の稼働実績に関する情報等)を表示する。
【0109】
操作装置750及び表示装置760は、例えば、タッチパネル式のディスプレイとして構成され、一体化されてよい。
【0110】
尚、本実施形態の操作装置750及び表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。
【0111】
<管理装置>
管理装置2は、通信回線NWを通じて、射出成形機1と通信可能に接続される。
【0112】
管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の管理センタ等の遠隔地に設置されるコンピュータ(例えば、クラウドサーバ)である。また、管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場に相対的に近い場所(例えば、工場の近くの無線基地局や局舎等)に設置されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1が設置される工場内のコンピュータ端末であってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1の管理者等が携帯可能な携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等)であってもよい。
【0113】
管理装置2は、例えば、射出成形機1からアップロードされるデータに基づき、射出成形機1の稼働状態を把握し、射出成形機1の稼働状態を管理することができる。また、管理装置2は、把握される射出成形機1の稼働状態に基づき、射出成形機1の異常診断等の各種診断を行うことができる。
【0114】
また、管理装置2は、例えば、通信回線NWを通じて、射出成形機1に対する制御情報(例えば、各種の設定条件に関する情報)を送信することができる。これにより、管理装置2は、例えば、複数の射出成形機1からアップロードされるデータで複数の射出成形機1の稼動状況を把握しながら、複数の射出成形機1に同じ動作を行わせる制御指令を送信し、複数の射出成形機1の動作を同期させることができる。
【0115】
[射出成形機のデータ収集に関する構成の一例]
次に、図2を参照して、射出成形機1のデータ収集に関する機能構成の一例について説明する。
【0116】
図2は、射出成形機1のデータ収集に関する構成の一例を示す図である。
【0117】
射出成形機1は、データ収集に関する構成として、コントローラ700と、データ取得部800とを含む。
【0118】
コントローラ700は、射出成形機1の内部に構成される所定の通信回線(例えば、イーサネット(登録商標)等のローカルネットワーク)を通じて、通信可能に接続される。コントローラ700は、補助記憶装置703にインストールされるプログラムをCPU701上で実施することにより実現される機能部として、データ受信部7001と、データ加工部7003と、データ送信部7005とを含む。また、コントローラ700は、補正情報記憶部7002及びデータ記憶部7004等を利用する。補正情報記憶部7002及びデータ記憶部7004等は、コントローラ700の内部の補助記憶装置703やコントローラ700と通信可能に接続される外部記憶装置等により実現可能である。
【0119】
データ受信部7001は、所定の通信回線を通じて、データ取得部800から送信されるデータを受信する。コントローラ700のデータ収集に関する機能は、相対的に長い周期(以下、「データ収集周期」)(第1の周期の一例)ごとに起動し、データ収集を行う。そのため、データ受信部7001は、データ収集周期ごとに、データ取得部800から周期的に送信されるデータのうちの直近のデータを受信する。データ収集周期は、例えば、1msである。
【0120】
補正情報記憶部7002(記憶部の一例)は、データ受信部7001により受信されるデータの時系列関係を補償する加工(補正)を行うための情報(以下、「補正情報」)を記憶する。
【0121】
データ加工部7003は、補正情報記憶部7002の補正情報に基づき、データ受信部7001により受信されるデータの取得タイミング或いはデータの内容を加工(補正)する。データ加工部7003は、データ及び該データの取得タイミングを表す情報(以下、「取得タイミング情報」)を出力する。
【0122】
データ記憶部7004は、データ加工部7003から出力されるデータ及び該データに対応する取得タイミング情報を記憶する。データ加工部7003から出力されるデータは、データ受信部7001により受信されるデータと異なる場合もあれば、データ受信部7001により受信されるデータのままの場合もある。後述の如く、データ受信部7001により受信されるデータに対する加工(補正)が必要ない場合がありうるからである。
【0123】
データ送信部7005は、所定のタイミングにおいて、データ記憶部7004に記憶されるデータ及び該データの取得タイミング情報を管理装置2に送信(アップロード)する。
【0124】
尚、管理装置2側で、データ受信部7001のデータ収集周期、及びデータ取得部801~803のそれぞれのデータ取得周期が認識され、且つ、データ加工部7003にてデータの内容が加工される場合、取得タイミング情報の送信は、省略されてもよい。
【0125】
データ取得部800は、複数のデータ取得部(本例では、3つのデータ取得部801~803)を含む。
【0126】
尚、データ取得部800に含まれるデータ取得部の数は任意であってよい。例えば、データ取得部800は、一のデータ取得部のみで構成されてもよい。即ち、コントローラ700は、一のデータ取得部800のみからデータを収集(受信)する構成であってもよい。また、データ取得部800は、データ取得部を2つだけ含む構成であってもよい。即ち、データ取得部801~803のうちの何れか一つが省略されてもよい。また、データ取得部800は、4以上のデータ取得部を含む構成であってもよい。
【0127】
データ取得部801~803は、互いに異なる種類の稼働状態データを取得する。また、データ取得部801~803は、例えば、互いに異なる射出成形機1に関する操作入力のデータ(以下、「操作入力データ」)を取得してもよい。操作入力データには、操作装置750により受け付けられる操作入力のデータが含まれてよい。また、操作入力データには、管理装置2等から入力(受信)される外部からの操作入力、即ち、遠隔操作に関する操作入力のデータが含まれてよい。以下、データ取得部801~803により稼働状態データが取得される場合を中心に説明するが、同様の内容は、稼働状態データに代えて、或いは、加えて、操作入力データ等がデータ取得部801~803により取得される場合についても同様に適用可能である。
【0128】
データ取得部801~803は、例えば、射出成形機1の被駆動部の稼働状態データを取得してよい。具体的には、データ取得部801~803には、例えば、稼働状態データとして、射出成形機1の被駆動部を駆動するアクチュエータの動作状態に関するデータを出力する駆動装置(例えば、電動アクチュエータの駆動回路等)が含まれてよい。また、データ取得部801~803には、例えば、稼働状態データとして、射出成形機1の被駆動部の動作状態に対応する検出データを出力する検出装置(例えば、被駆動部の位置や速度等の検出する検出器)が含まれてよい。射出成形機1の被駆動部には、例えば、型締装置100のトグル機構150及び型厚調整機構180、エジェクタ装置200の運動変換機構220、射出装置300のスクリュ330及び逆流防止リング331、並びに移動装置400の液圧ポンプ410等が含まれる。また、アクチュエータには、例えば、型締装置100の型締モータ160及び型厚調整モータ183、エジェクタ装置200のエジェクタモータ210、射出装置300の計量モータ340及び射出モータ350、並びに移動装置400のモータ420等が含まれる。また、検出装置には、例えば、型締装置100の型締モータエンコーダ161及び型厚調整モータエンコーダ184、エジェクタ装置200のエジェクタモータエンコーダ211、射出装置300の計量モータエンコーダ341、射出モータエンコーダ351、及び圧力検出器360等が含まれる。
【0129】
また、データ取得部801~803は、例えば、射出成形機1の被加熱部の稼働状態データを取得してよい。具体的には、データ取得部801~803には、例えば、稼働状態データとして、射出成形機1の被加熱部を加熱する加熱装置の動作状態に関するデータを出力する駆動装置(例えば、電気式の加熱器の駆動回路等)が含まれてよい。また、データ取得部801~803には、例えば、稼働状態データとして、射出成形機1の被加熱部の加熱状態(温度状態)に関する検出データを出力する検出装置(例えば、被加熱部の温度状態を検出する検出器)が含まれてよい。射出成形機1の被加熱部には、例えば、射出装置300のシリンダ310(の外周)等が含まれる。また、加熱装置には、射出装置300の加熱器313等が含まれる。また、検出装置には、射出装置300の温度検出器314等が含まれる。
【0130】
また、コントローラ700の機能が複数のコントローラで分担される場合、データ取得部801~803は、上位側のコントローラ700(上位コントローラの一例)の制御下で動作する下位側のコントローラ(以下、「下位コントローラ」)を含んでもよい。この場合、下位コントローラは、例えば、自身の制御下にある駆動装置や検出装置から稼働状態データを取得(受信)し、上位側のコントローラ700に送信してよい。また、下位コントローラは、例えば、自身が生成する射出成形機1の制御指令に関する情報(以下、「制御情報」)を取得し、上位側のコントローラ700に送信してもよい。
【0131】
データ取得部801~803は、それぞれ、所定の周期(以下、「データ取得周期」)(第2の周期の一例)ごとに、射出成形機1の稼働状態データを取得し、コントローラ700に送信する。データ取得部801~803は、データ取得周期が全て同じであってもよいし、その一部又は全部のデータ周期が異なっていてもよい。データ取得部801~803のそれぞれで取得されるデータに対応する被駆動部や被加熱部ごとに、必要とされる制御性能(精度)が異なり、必要とされる精度が高い被駆動部や被加熱部に関する稼働状態データのデータ取得周期は相対的に短くなるからである。
【0132】
[射出成形機のデータ収集に関する動作の具体例]
次に、図3図6を参照して、射出成形機1のデータ収集に関する動作の具体例を説明する。
【0133】
<射出成形機のデータ収集に関する動作の第1例>
図3は、コントローラ700及びデータ取得部801~803の動作の第1例を示すタイミングチャートである。図3には、コントローラ700の動作を示すタイミングチャート30、データ取得部801の動作を示すタイミングチャート31、データ取得部802の動作を示すタイミングチャート32、及びデータ取得部803の動作を示すタイミングチャート33が含まれる。
【0134】
図4A図4Bは、コントローラ700で受信されるデータの時系列関係を補償する方法の第1例を説明する図である。具体的には、図4Aは、補正情報の第1例を示す図であり、図4Bは、補正情報に基づくデータの加工(補正)方法の第1例を示す図である。本例では、データ取得部801~803で取得されるデータ(の種類)は、データX1~X3でそれぞれ表され、時刻tにおけるデータX1~X3をデータX1(t)~データX3(t)でそれぞれ表される。図中のマスタカウンタは、初期値を"0"として、コントローラ700のデータ収集機能(データ受信部7001等)が割り込みにより起動されるたびに"1"だけカウントアップされる。以下、後述の図6A図6Bの場合も同様である。
【0135】
尚、本例では、通信の遅延は無視されるうるほど小さいと仮定する。以下、後述の第2例の場合も同様である。
【0136】
図3に示すように、本例では、コントローラ700は、データ収集周期としての1000μs(=1ms)ごとにデータ収集機能を割り込みにより起動させる。これにより、データ受信部7001は、1000μsecごとに、データ取得部801~803から直近で出力(送信)されるデータX1~X3を受信する。
【0137】
データ取得部801~803は、互いに異なるデータ取得周期でデータを取得する。具体的には、データ取得部801は、100μsecごとにデータX1を取得し、外部(コントローラ700)に出力(送信)する。データ取得部802は、200μsecごとにデータX2を取得し、外部(コントローラ700)に出力(送信)する。データ取得部803は、400μsecごとにデータX3を取得し、外部(コントローラ700)に出力(送信)する。
【0138】
コントローラ700は、データ取得部801~803に対して、データ取得の開始を指示するトリガ信号を送信する。これにより、データ取得部801~803は、略同じタイミングで、データの取得周期を開始する。そのため、コントローラ700は、データ取得部801~803のデータの取得開始のタイミングを合わせることができる。
【0139】
コントローラ700のデータ収集周期(1000μsec)は、データ取得部801,802のそれぞれのデータ取得周期(100μsec、200μsec)で割り切れる。そのため、データ取得部801,802でのデータX1,X2の取得タイミングと、コントローラ700(データ受信部7001)によるデータX1,X2の受信タイミングとは略一致する。
【0140】
一方、コントローラ700のデータ収集周期(1000μsec)は、データ取得部803のデータ取得周期(400μsec)で割り切れない。そのため、2回に1回の頻度で、コントローラ700(データ受信部7001)によるデータX3の受信タイミングがデータ取得部803でのデータX3の取得タイミング対して200μsec遅れる。よって、コントローラ700は、データ取得部801~803でのデータX1~X3の取得タイミングに対するコントローラ700によるデータの受信タイミングの遅れ量の関係を補正情報として予め把握することができる。
【0141】
本例では、図4Aに示すように、補正情報には、マスタカウンタが"0"の場合及び"1"の場合におけるデータX1~X3のそれぞれの取得タイミング対するコントローラ700による受信タイミングの遅れ量が規定される。また、マスタカウンタが"2"以上の場合については省略される。マスタカウンタが"2"以後の場合、マスタカウンタが"0"の場合の遅れ量の状態とマスタカウンタが"1"の遅れ量の状態が繰り返されるからである。
【0142】
図4Bに示すように、コントローラ700は、図4Aの補正情報に基づき、受信時刻から補正情報で規定される遅れ量を減じる形で、データX1~X3の取得タイミング(取得時刻)を補正することができる。例えば、コントローラ700(データ加工部7003)は、時刻"1000"μsecに取得(受信)したデータX3の取得タイミングを、時刻"1000"μsecから遅れ量"200"μsecを減じることで、"800"μsecに補正する。これにより、コントローラ700は、自身がデータX3を取得したタイミング(受信時刻)をデータ取得部803でデータX3が取得されたタイミングに補正することができる。そのため、コントローラ700は、例えば、データX1~X3を時系列で比較可能なようにデータX3の取得タイミングを加工(補正)し、データ取得部803からデータ収集周期ごとに受信されるデータX3の時系列関係を補償することができる。
【0143】
また、コントローラ700(データ加工部7003)は、受信したデータX3を用いて、受信時刻におけるデータX3を外挿してもよい。例えば、受信時刻"1000"μsec及び"3000"μsecにおけるデータX3は、以下の式(1)、(2)により外挿されてよい。
【0144】
X3(1000)=X3(800)・1000/800 ・・・(1)
X3(3000)=X3(2800)・1000/800 ・・・(2)
【0145】
これにより、コントローラ700は、例えば、データX1~X3を時系列で比較可能なように、データX3の内容を加工(補正)し、データ取得部803からデータ収集周期ごとに受信されるデータX3の時系列関係を補償することができる。
【0146】
このように、本例では、コントローラ700は、データ収集タイミングに対するデータ取得部803によるデータX3の取得タイミングのズレ量(遅れ量)を用いて、収集(受信)したデータの取得タイミングやデータの内容を補正することができる。そのため、コントローラ700は、データ取得部803により取得されるデータX3の時系列関係を補償し、データX1~X3ごとに時系列で比較可能な状態で、管理装置2にデータX1~X3を送信することができる。
【0147】
<射出成形機のデータ収集に関する動作の第2例>
図5は、コントローラ700及びデータ取得部801~803の動作の第2例を示すタイミングチャートである。図5には、コントローラ700の動作を示すタイミングチャート50、データ取得部801の動作を示すタイミングチャート51、データ取得部802の動作を示すタイミングチャート52、及びデータ取得部803の動作を示すタイミングチャート53が含まれる。
【0148】
図6A図6Bは、コントローラ700で受信されるデータの時系列関係を補償する方法の第2例を説明する図である。具体的には、図6Aは、補正情報の第2例を示す図であり、図6Bは、補正情報に基づくデータの加工(補正)方法の第2例を示す図である。
【0149】
図5に示すように、本例では、コントローラ700は、上述の1例の場合と同様、データ収集周期としての1000μs(=1ms)ごとにデータ収集機能を割り込みにより起動させる。これにより、データ受信部7001は、1000μsecごとに、データ取得部801~803から直近で出力(送信)されるデータX1~X3を受信する。
【0150】
データ取得部801~803は、上述の第1例の場合と同様、互いに異なるデータ取得周期でデータを取得する。具体的には、データ取得部801は、上述の第1例の場合と同様、100μsecごとにデータX1を取得し、外部(コントローラ700)に出力(送信)する。データ取得部802は、300μsecごとにデータX2を取得し、外部(コントローラ700)に出力(送信)する。データ取得部803は、400μsecごとにデータX3を取得し、外部(コントローラ700)に出力(送信)する。
【0151】
コントローラ700は、上述の第1例の場合と同様、データ取得部801~803に対して、データ取得の開始を指示するトリガ信号を送信する。これにより、データ取得部801~803は、略同じタイミングで、データの取得周期を開始する。そのため、コントローラ700は、データ取得部801~803のデータの取得開始のタイミングを合わせることができる。
【0152】
コントローラ700のデータ収集周期(1000μsec)は、データ取得部801のデータ取得周期(100μsec)で割り切れる。そのため、データ取得部801でのデータX1の取得タイミングと、コントローラ700(データ受信部7001)によるデータX1の受信タイミングとは略一致する。
【0153】
一方、コントローラ700のデータ収集周期(1000μsec)は、データ取得部802,803のそれぞれのデータ取得周期(300μsec、400μsec)で割り切れない。そのため、3回に2回の頻度で、コントローラ700(データ受信部7001)によるデータX2の受信タイミングがデータ取得部802でのデータX2の取得タイミングから100μsec或いは200μsec遅れる。また、上述の第1例の場合と同様、2回に1回の頻度で、コントローラ700(データ受信部7001)によるデータX3の受信タイミングがデータ取得部803でのデータX3の取得タイミングから200μsec遅れる。よって、コントローラ700は、データ取得部801~803でのデータX1~X3の取得タイミングに対するコントローラ700によるデータの受信タイミングの遅れ量の関係を補正情報として予め把握することができる。
【0154】
本例では、図6Aに示すように、補正情報には、マスタカウンタが"0"~"5"の場合のそれぞれにおけるデータX1~X3のそれぞれの取得タイミング対するコントローラ700による受信タイミングの遅れ量が規定される。また、マスタカウンタが"6"以上の場合については省略される。マスタカウンタが"6"以後の場合、マスタカウンタが"0"~"5"のそれぞれの場合の遅れ量の状態が同じ順序で繰り返されるからである。
【0155】
図6Bに示すように、コントローラ700は、図6Aの補正情報に基づき、受信時刻から補正情報で規定される遅れ量を減じる形で、データX1~X3の取得タイミング(取得時刻)を補正することができる。例えば、コントローラ700(データ加工部7003)は、時刻"1000"μsecに取得(受信)したデータX2の取得タイミングを、時刻"1000"μsecから遅れ量"100"μsecを減じることで、"900"μsecに補正する。また、例えば、コントローラ700は、時刻"2000"μsecに取得(受信)したデータX2の取得タイミングを時刻"2000"μsecから遅れ量"200"μsecを減じることで、"1800"μsecに補正する。また、コントローラ700は、データX3についても、上述の一例と同様に、補正する。これにより、コントローラ700は、自身がデータX2,X3を取得したタイミング(受信時刻)をデータ取得部803でデータX2が取得されたタイミングに補正することができる。そのため、コントローラ700は、例えば、データX1~X3を時系列で比較可能なように、データX2,X3の取得タイミングを加工(補正)し、データ取得部803からデータ収集周期ごとに受信されるデータX2,X3の時系列関係を補償することができる。
【0156】
また、コントローラ700(データ加工部7003)は、上述の第1例の場合と同様、受信したデータX2,X3を用いて、受信時刻におけるデータX2,X3を外挿してもよい。これにより、コントローラ700は、例えば、データX1~X3を時系列で比較可能なように、データX2,X3の内容を加工(補正)し、データ取得部803からデータ収集周期ごとに受信されるデータX2,X3の時系列関係を補償することができる。
【0157】
このように、本例では、コントローラ700は、データ収集タイミングに対するデータ取得部802,803によるデータX2,X3の取得タイミングのズレ量(遅れ量)を用いて、収集(受信)したデータの取得タイミングやデータの内容を補正することができる。そのため、コントローラ700は、データ取得部802,803のそれぞれにより取得されるデータX2,X3の時系列関係を補償し、データX1~X3ごとに時系列で比較可能な状態で、管理装置2にデータX1~X3を送信することができる。
【0158】
[射出成形機のデータ収集に関する構成の他の例]
次に、図2を援用して、射出成形機1のデータ収集に関する機能構成の他の例について説明する。以下、上述の一例と異なる部分を中心に説明し、上述の一例と同じ或いは対応する内容について説明を簡略化或いは省略する場合がある。
【0159】
射出成形機1は、上述の一例の場合と同様、データ収集に関する構成として、コントローラ700と、データ取得部800とを含む。
【0160】
本例では、コントローラ700は、データ受信部7001と、データ記憶部7004と、データ送信部7005とを含み、図2のコントローラ700の機能構成のうちの補正情報記憶部7002及びデータ加工部7003が省略される。
【0161】
データ取得部801~803は、それぞれ、稼働状態データの取得タイミングを認識する機能(例えば、時計機能等)を有する。データ取得部801~803は、それぞれ、稼働状態データを取得すると、取得した稼働状態データに加えて、稼働状態データの取得タイミングを表す情報(取得タイミング情報)をコントローラ700に送信する。取得タイミング情報は、稼働状態データとは別のデータとしてコントローラ700に送信されてもよいし、稼働状態データに対応する通信フレームに付加される形で、稼働状態データと共に送信されてもよい。
【0162】
データ受信部7001は、所定の通信回線を通じて、データ取得部800から送信される稼働状態データ及び取得タイミング情報を受信する。
【0163】
データ記憶部7004は、データ受信部7001により受信される稼働状態データ及び対応する取得タイミング情報を記憶する。
【0164】
データ送信部7005は、所定のタイミングにおいて、データ記憶部7004に記憶される稼働状態データ及び取得タイミング情報を管理装置2に送信する。
【0165】
このように、本例では、データ取得部801~803は、それぞれ、取得した稼働状態データと併せて、当該稼働状態データの取得タイミングに関する情報(取得タイミング情報)を出力することができる。そのため、コントローラ700は、データ取得部801~803のそれぞれにより取得される稼働状態データ及び当該稼働状態データに対応する取得タイミング情報を管理装置2に送信することができる。よって、コントローラ700は、管理装置2にアップロードされる互いに異なる種類の複数の稼働状態データの時系列関係を補償し、データの整合性を確保することができる。
【0166】
[射出成形機のデータ収集に関する構成の更に他の例]
次に、図2を援用して、射出成形機1のデータ収集に関する機能構成の更に他の例について説明する。以下、上述の一例及び他の例と異なる部分を中心に説明し、上述の一例や他の例と同じ或いは対応する内容について説明を簡略化或いは省略する場合がある。
【0167】
射出成形機1は、上述の一例等の場合と同様、データ収集に関する構成として、コントローラ700と、データ取得部800とを含む。
【0168】
本例では、コントローラ700は、データ受信部7001と、データ記憶部7004と、データ送信部7005とを含み、上述の他の例の場合と同様、図2のコントローラ700の機能構成のうちの補正情報記憶部7002及びデータ加工部7003が省略される。
【0169】
データ取得部801~803は、それぞれ、上述の一例の場合と同様、所定のデータ取得周期ごとに、稼働状態データを取得し、コントローラ700に送信する。
【0170】
データ受信部7001は、データ取得部801~803のそれぞれのデータ取得タイミングに合わせて起動し、データ取得部801~803のそれぞれにより直近で取得された稼働状態データを収集(受信)する。
【0171】
例えば、図3図5の場合、データ受信部7001は、データ取得部801~803のデータ取得周期の最大公約数に相当する100μsごとに起動してよい。これにより、データ受信部7001は、データ取得部801~803のそれぞれによりデータ取得周期ごとに取得されるデータX1~X3をそれぞれの取得タイミングに合わせて、データ取得部801~803から受信することができる。そのため、データ受信部7001によるデータX1~X3の受信タイミングは、通信遅延等を除けば、データ取得部801~803による実際のデータ取得タイミングに略等しくなる。
【0172】
データ記憶部7004は、データ受信部7001により受信された稼働状態データ及び該稼働状態データに対応する取得タイミング情報を記憶する。本例では、取得タイミング情報は、データ受信部7001による対象の稼働状態データの受信タイミングに相当する。
【0173】
データ送信部7005は、所定のタイミングにおいて、データ記憶部7004に記憶される稼働状態データ及び取得タイミング情報を管理装置2に送信する。
【0174】
尚、管理装置2側で、データ受信部7001の起動周期(データ収集周期)及びデータ取得部801~803のそれぞれのデータ取得周期が認識されている場合、取得タイミング情報の送信は、省略されてもよい。
【0175】
このように、本例では、データ受信部7001は、データ取得部801~803のそれぞれのデータ取得タイミングに合わせて起動し、データ取得部801~803のそれぞれから直近で取得された稼働状態データを受信することができる。そのため、コントローラ700は、データ受信部7001による稼働状態データの受信タイミングを稼働状態データの取得タイミングとみなしても、稼働状態データの種類ごとに時系列で比較可能な状態を補償することができる。よって、コントローラ700は、管理装置2にアップロードされる互いに異なる種類の複数の稼働状態データの時系列関係を補償し、データの整合性を確保することができる。
【0176】
[作用]
次に、本実施形態に係る射出成形機1、管理システムSYS、及びコントローラ700の作用について説明する。
【0177】
本実施形態では、射出成形機1は、型締装置100と、射出装置300と、エジェクタ装置200と、データ取得部801~803と、データ送信部7005とを備える。具体的には、型締装置100は、金型装置10を型締する。また、射出装置300は、型締装置100により型締された金型装置10に成形材料を充填する。また、エジェクタ装置200は、射出装置300により充填された成形材料が冷却固化した後、金型装置10から成形品を取り出す。また、データ取得部801~803は、互いに異なる種類のデータを取得する。そして、データ送信部7005は、データの種類ごとに時系列で比較可能な状態で、データ取得部801~803のそれぞれにより取得されたデータを管理装置2に送信する。
【0178】
また、本実施形態では、管理システムSYSを構成する複数の射出成形機1のそれぞれに、同様の構成(データ取得部801~803、及びデータ送信部7005)が含まれる。
【0179】
例えば、管理装置2では、データ取得部801~803で取得される、互いに異なる種類のデータや互いに異なる射出成形機のデータを統合したり、互いに異なる種類のデータから新たな種類のデータ(以下、「混合データ」)を生成したりして、データ解析が行われる場合がある。具体的には、管理装置2は、互いに異なる種類のデータ、互いに異なる射出成形機1のデータ、及び混合データを利用して、時系列でデータ解析を行い、異常診断や生産性の診断等を行うことができる。この場合、時系列で比較可能な態様のデータの整合性が補償されないと、互いに異なるデータ或いは互いに異なる射出成形機1のデータの間での相関性や、混合データの時系列的な有効性等が失われてしまったりする可能性がある。そのため、管理装置2は、有用な解析を行うことができない可能性がある。
【0180】
また、例えば、上述の如く、複数の射出成形機1の動作を同期させるような場合、データ取得部801~803等で取得されるデータの時系列関係の整合性が取れていないと、複数の射出成形機1を適切に動作させることが難しくなる可能性がある。
【0181】
よって、射出成形機1からアップロードされるデータの時系列関係が補償される必要性が生じうる。
【0182】
仮に、時系列関係が補償されないままのデータが管理装置2にアップロードされると、射出成形機1の実際の通信状態等を把握できないことから、管理装置2側で、そのデータの時系列関係を補償することは非常に難しい。
【0183】
これに対して、射出成形機1(コントローラ700)は、データの種類ごとに時系列で比較可能な状態で、データ取得部801~803により取得されたデータを管理装置2に送信することができる。これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、時系列関係が補償されたデータを管理装置2に提供することができる。
【0184】
また、本実施形態では、データ取得部801~803は、それぞれ、取得したデータの取得タイミングに関する情報(取得タイミング情報)を出力してよい。そして、データ送信部7005は、データ取得部801~803のそれぞれにより取得されたデータ、及び該データに対応する取得タイミング情報を管理装置2に送信してよい。
【0185】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、データ取得部801~803から出力される取得タイミング情報を用いて、データの時系列関係を補償することができる。
【0186】
また、本実施形態では、射出成形機1(コントローラ700)は、データ受信部7001を備えてよい。具体的には、データ受信部7001は、データ取得部801~803のそれぞれのデータの取得周期に合わせて起動し、データ取得部801~803のそれぞれから直近で取得されたデータを受信してよい。そして、データ送信部7005は、データ受信部7001により受信されるデータを管理装置2に送信してよい。
【0187】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、データ受信部7001によるデータの受信タイミングと、データ取得部801~803のそれぞれによるデータの取得タイミングとを略一致させることができる。そのため、射出成形機1(コントローラ700)は、データの時系列関係を補償することができる。
【0188】
また、本実施形態では、射出成形機1(コントローラ700)は、データ加工部7003を備えてよい。具体的には、データ加工部7003は、データの種類ごとに時系列で比較可能なように、データ取得部801~803により取得されたデータの取得タイミング或いはデータの内容を加工してよい。
【0189】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、データの取得タイミング或いはデータの内容を加工することで、データの時系列関係を補償することができる。
【0190】
また、本実施形態では、射出成形機1(コントローラ700)は、データ受信部7001を備えてよい。具体的には、データ受信部7001は、周期的に起動し、データ取得部801~803のそれぞれから直近で取得されたデータを受信してよい。また、データ取得部801~803のうちの少なくとも一部のデータ取得部によるデータの取得タイミングとデータ受信部7001の起動タイミングとの間にずれが生じる場合があってよい。そして、データ加工部7003は、データ受信部7001によりデータが受信された第1のタイミングとデータ受信部7001により受信されたデータが一のデータ取得部により実際に取得された第2のタイミングとの間にずれがある場合、データの取得タイミングを、第1のタイミングから第2のタイミングに合わせるように加工してよい。また、データ加工部7003は、データ受信部7001によりデータが受信された第1のタイミングとデータ受信部7001により受信されたデータが一のデータ取得部により実際に取得された第2のタイミングとの間にずれがある場合、データ受信部7001により受信された第2のタイミングにおけるデータの内容を、データ受信部7001によりデータが受信された第1のタイミングにおけるデータの内容に合わせるように加工してもよい。
【0191】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、具体的に、データの種類ごとに時系列で比較可能なように、データの取得タイミング或いはデータの内容を加工することができる。
【0192】
また、本実施形態では、データ受信部7001は、第1の周期(データ収集周期)ごとに動作し、データ取得部800で第2の周期(データ取得周期)ごとに取得されるデータのうちの直近のデータをデータ取得部800から受信する。そして、補正情報記憶部7002には、データ取得部800でデータが取得されるタイミングと、データ受信部7001によりデータが受信されるタイミングとの関係を表す補正情報が記憶される。
【0193】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、補正情報を用いて、データ受信部7001により受信される、データ取得部800で取得されたデータの時系列関係を補償することができる。
【0194】
また、本実施形態では、データ加工部7003は、補正情報記憶部7002の補正情報に基づき、データ受信部7001により受信されたデータの取得時刻又はデータの内容を補正する。
【0195】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、補正情報に基づき、データ受信部7001により受信されたデータの取得時刻を、データ受信部7001による受信時刻からデータ取得部800での実際の取得時刻に補正することができる。また、射出成形機1(コントローラ700)は、補正情報に基づき、データ受信部7001による受信時刻にデータ取得部800で取得されていると予測されるデータの内容を外挿することができる。よって、射出成形機1は、具体的に、データ取得部800で取得されたデータの時系列関係を補償することができる。
【0196】
また、本実施形態では、補正情報には、データ受信部7001が動作するタイミング(例えば、マスタカウンタの値)ごとに、データ取得部800でデータが取得されるタイミングに対するデータ受信部7001によりデータが受信されるタイミングの遅れ量が規定される。
【0197】
これにより、射出成形機1(コントローラ700)は、データ受信部7001でデータが受信されたタイミングから補正情報で規定される遅れ量を減じることで、具体的に、データの取得時刻を実際にデータ取得部で取得されたタイミングに補正することができる。
【0198】
また、本実施形態では、データ取得部801~803は、射出成形機1のアクチュエータを駆動する駆動装置、射出成形機1の稼働状態に関する検出データを出力する検出装置、及びコントローラ700の制御下にある下位コントローラの少なくとも一つを含んでよい。
【0199】
これにより、射出成形機1は、コントローラ700を用いて、具体的に、駆動装置、検出装置、下位コントローラから稼働状態データを収集させ、その稼働状態データの時系列関係を補償させることができる。
【0200】
[変形、変更]
以上、実施形態について詳述したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0201】
例えば、上述した実施形態では、射出成形機1に関する制御を行うコントローラ700について説明したが、同様の内容は、他の所定の機械(例えば、産業機械や産業ロボット等)に関する制御を行うコントローラで採用されてもよい。
【0202】
同様に、上述した実施形態では、一又は複数の射出成形機1を含む射出成形機管理システムSYSについて説明したが、同様の内容は、他の所定の機械を一又は複数含む他の管理システムで採用されてもよい。
【0203】
最後に、本願は、2019年9月27日に出願した日本国特許出願2019-177742号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0204】
1 射出成形機
2 管理装置(所定の外部装置)
10 金型装置
100 型締装置
200 エジェクタ装置
300 射出装置
400 移動装置
700 コントローラ
750 操作装置
760 表示装置
800 データ取得部
801~803 データ取得部
7001 データ受信部
7002 補正情報記憶部(記憶部)
7003 データ加工部
7004 データ記憶部
7005 データ送信部
SYS 射出成形機管理システム(管理システム)
X1~X3 データ
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B