(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ハンドリング装置のための支持フレーム、支持フレームを製造する方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20241112BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B23Q7/04 K
(21)【出願番号】P 2020147756
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】10 2019 123 916.8
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン フーバー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター グレーニング
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-523055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0246290(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0001741(US,A1)
【文献】国際公開第2019/151861(WO,A2)
【文献】特開2018-161722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B23Q 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧で操作可能な少なくとも2つの把持エレメント(12)を有するハンドリング装置(8)のための支持フレーム(10)であって、基体(14)と前記基体(14)から延在する少なくとも2つの構造エレメント(30a~30f)とを備え、
前記少なくとも2つの構造エレメント(30a~30f)は、少なくとも以下の共通の特徴、
細長く形成されていて、第1端(22)及び第2端(24)を有し、前記第2端(24)が空気圧で操作可能な把持エレメント(12)と接続するための接続部分(26)を有する、ラジアル支持体(20a)、
前記ラジアル支持体(20a)と一体に接続されているとともに、前記ラジアル支持体(20a)の前記第1端(22)と前記ラジアル支持体(20a)の前記第2端(24)との間に延びる格子翼部(28a)であって、前記ラジアル支持体(20a)から面状に延在する、格子翼部(28a)
を有するという点では(トポロジー的に)互いに類似の構造であり、
前記少なくとも2つの構造エレメント(30a~30f)の各々において、前記ラジアル支持体(20a)の前記第1端(22)は、前記ラジアル支持体(20a)が前記基体(14)から延在するように前記基体(14)と一体に接続されており、
かつ、それぞれの構造エレメント(30a)の前記格子翼部(28a)は、隣接する構造エレメント(30b)のラジアル支持体(20b)の前記第1端(22)と前記ラジアル支持体の前記第2端(24)との間に前述の格子翼部(28a)が延びるように前記隣接する構造エレメント(30b)と一体に接続され、
少なくとも1つのラジアル支持体(20a~20f)は管状に形成されており、前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記第1端(22)から前記第2端(24)へ延びる内部に位置する流体通路(36)を備え、
前記基体(14)は、少なくとも1つの空気圧接続部分(50)と、前記少なくとも1つの空気圧接続部分(50)と接続された分配室(46)とを有し、前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記流体通路(36)が前記分配室(46)内に通じている、
支持フレーム。
【請求項2】
少なくとも1つのラジアル支持体(20a~20f)は、少なくとも部分的に曲がって延びるように形成されている、
請求項1に記載の支持フレーム(10)。
【請求項3】
少なくとも1つのラジアル支持体(20a~20f)は、前記ラジアル支持体の接続部分(26)の領域において、前記ラジアル支持体の外面に配置され前記ラジアル支持体(20a~20f)の円周に沿って周方向に延びる溝(40)を有する、請求項1
又は請求項2に記載の支持フレーム(10)。
【請求項4】
前記格子翼部(28a~28f)は、前記基体(14)と一体に接続されている、請求項1~
請求項3のいずれか1項に記載の支持フレーム(10)。
【請求項5】
前記格子翼部(28a~28f)は、前記格子翼部と接続されたラジアル支持体(20a~20f)の前記第1端(22)から前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記第2端(24)まで完全に延在する、請求項1~
請求項4のいずれか1項に記載の支持フレーム(10)。
【請求項6】
前記格子翼部(28a)は、前記基体(14)から離反する方向、特に前記格子翼部(28a)と接続された前記ラジアル支持体(20a、20b)の前記第2端(24)の方向に前記格子翼部(28a)を画定する外縁部(34)を有し、前記外縁部(34)は凹状に延びる、請求項1~
請求項5のいずれか1項に記載の支持フレーム(10)。
【請求項7】
前記基体(14)は、前記支持フレーム(10)を外部部品と接続するためのフランジ部分(18)を有する、請求項1~
請求項6のいずれか1項に記載の支持フレーム(10)。
【請求項8】
前記基体(14)は、少なくとも1つの負圧エジェクタ及び/又はバルブ装置を収容するための収容空間(48)をさらに有する、請求項1~
請求項7のいずれか1項に記載の支持フレーム(10)。
【請求項9】
請求項1~
請求項8のいずれか1項に記載の支持フレーム(10)を製造する方法であって、
a)データ処理設備(64)上で前記支持フレーム(10)を設計するために、把持点の数を表す少なくとも1つの第1境界条件と前記把持点の位置を表す第2境界条件とを含む境界条件を提供する工程と、
b)予め定められた境界条件に依存して、前記データ処理設備(64)によって前記支持フレーム(10)の構成を決定する工程であって、
aa)前記把持点の数に依存して構造エレメント(30a~30f)の数を決定する工程と、
bb)前記把持点の前記位置に依存してラジアル支持体(20a)の形状及び配置を決定する工程であって、前記ラジアル支持体の前記第1端が前記基体と一体に接続されているという境界条件下で前記ラジアル支持体の前記形状及び配置が決定される工程と、
cc)ラジアル支持体(20a)に割り当てられた格子翼部(28a)の形状及び配置を決定する工程であって、前記格子翼部(28a)が一方で前述のラジアル支持体(20a)に、他方で隣接するラジアル支持体(20b)に接続され、前記格子翼部(28a)がそれぞれ前記ラジアル支持体(20a、20b)の前記第1端(22)と前記第2端(24)との間に延在するという境界条件下で前記格子翼部(28a)の前記形状及び配置が決定される工程と、を包含する工程と、
c)前記支持フレーム(10)の前記形状を表す支持フレームデータセットを前記データ処理設備(64)によって決定する工程と、
d)部品を付加製造するための装置(62)、特に3Dプリンタによって、前記支持フレームデータセットに従い前記支持フレーム(10)を製造する工程と
を包含する方法。
【請求項10】
前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記形状及び配置は、さらに、前記ラジアル支持体(20a~20f)が管状に形成されており、前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記第1端(22)から前記第2端(24)へ延びる内部に位置する流体通路(36)を備えるという境界条件下で決定される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記形状及び配置は、さらに、前記ラジアル支持体(20a~20f)が少なくとも部分的に曲がって延びるように形成されているという境界条件下で決定される、
請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記形状及び配置は、さらに、前記ラジアル支持体(20a~20f)が前記ラジアル支持体の接続部分(26)の領域において、前記ラジアル支持体の外面に配置され前記ラジアル支持体(20a~20f)の円周に沿って周方向に延びる溝(40)を有するという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記格子翼部(28a~28f)の前記形状及び配置は、さらに、前記格子翼部(28a~28f)が前記基体(14)と一体に接続されているという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記格子翼部(28a)の前記形状及び配置は、さらに、前記格子翼部(28a)が前記格子翼部と接続されたラジアル支持体(20a)の前記第1端(22)から前記ラジアル支持体(20a)の前記第2端(24)まで完全に延在するという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記格子翼部(28a)の前記形状及び配置は、さらに、前記基体(14)から離反する方向、特に前記格子翼部(28a)と接続された前記ラジアル支持体(20a、20b)の前記第2端(24)の方向に前記格子翼部(28a)を画定する前記格子翼部(28a)の外縁部(34)が凹状に延びるように形成されているという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記格子翼部(28a~28f)の前記形状及び配置は、さらに、前記格子翼部(28a~28f)が格子開口部の最大直径が20mm、特に10mm、さらに特に8mmを上回らないように形成されているという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記格子翼部(28a~28f)の前記形状及び配置は、さらに、前記格子翼部(28a~28f)がハニカム格子として形成されているという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基体(14)の前記形状及び配置は、さらに、前記基体(14)が少なくとも1つの空気圧接続部分(50)と、前記少なくとも1つの空気圧接続部分(50)と接続された分配室(46)とを有するという境界条件下で決定される、
請求項9~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記基体(14)の前記形状及び配置と前記ラジアル支持体(20a~20f)の前記形状及び配置とは、さらに、前記ラジアル支持体(20a~20f)の流体通路(36)が前記基体(14)の前記分配室(46)内に通じているという境界条件下で決定される、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基体(14)の前記形状及び配置は、さらに、前記基体(14)がフランジ部分(18)を有するという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記基体(14)の前記形状及び配置は、さらに、前記基体(14)が負圧エジェクタ及び/又はバルブ装置を収容するための収容空間(48)を有するという境界条件下で決定される、
請求項9~請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記データ処理設備(64)を用いて前記把持点の数が決定され、前記決定は、
前記データ処理設備(64)上でワーク情報を提供する工程と、
特に前記データ処理設備(64)上で把持プロセス情報を入力すること及び/又は選択することによって、前記データ処理設備(64)上で前記把持プロセス情報を提供する工程と、
前記データ処理設備(64)によって、ワークを把持するために必要な把持点の数を前記提供されたワーク情報及び把持プロセス情報に依存して決定する工程と
を包含する、
請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記ワーク情報を提供する工程は、
把持されるべきワークの全体構造を表すワークデータセットを前記データ処理設備(64)に読み込むことによって、又は
前記データ処理設備(64)に格納されたデータベースに入っているワーク標準ジオメトリから1つのワーク標準ジオメトリを選択すること、及びワーク寸法を入力することによって、前記把持されるべきワークのジオメトリデータを提供する工程と、
ワーク特性、特にワーク総重量を入力する工程と
を包含する、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記把持点の数を決定する工程は、追加的に、前記データ処理設備(64)上で提供された把持エレメントのタイプに関する情報に依存して行われ、前記把持エレメントのタイプに関する前記情報を提供する工程は、前記データ処理設備(64)に格納されたデータベースに入っている把持エレメントのタイプから1つの把持エレメントのタイプを選択することを包含する、
請求項22又は請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
データ処理設備(64)によって把持点の位置が決定され、前記決定は、
把持されるべきワークの全体構造を表すワークデータセットを前記データ処理設備(64)に読み込むことによって、
又は
前記データ処理設備(64)に格納されたデータベースに入っているワーク標準ジオメトリから1つのワーク標準ジオメトリを選択すること、及びワーク寸法を入力することによって、前記把持されるべきワークのジオメトリデータを提供する工程と、
前記把持されるべきワークの全体構造を前記データ処理設備(64)と接続された表示装置、特にモニタにより前記ジオメトリデータに従って表示する工程と、
前記表示されたワーク上の把持点をオペレータによって選択する、及び/又は入力する工程と、
を包含する
請求項9~請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧で操作可能な少なくとも2つの把持エレメントを有するハンドリング装置のための支持フレームに関する。本発明は、このような支持フレームを製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドリング装置は、対象物を保持し、且つ/又は取り扱うため、例えばワークを異なった加工場所間で搬送するため、又は加工時にワークを保持するために用いられる。このようなハンドリング装置は、通常、支持フレームに保持されている、空気で操作可能な、例えばいわゆる真空グリッパのような少なくとも2つの、特に2つより多い把持エレメントを備えている。支持フレームを組み立てるため、及び支持フレームに把持エレメントを配置するために、複数の構成部品が互いに接続される必要がある。このことは容易な組立てを実現することを難しくし、多くの場合、複雑な、そしてそれに伴い誤りが起きやすい組み立てとなる。さらに、例えば把持されるべきワークのジオメトリ及び性状にもとづく特定の把持要求に対して、ハンドリング装置を必要に応じて構成することにより対処することは問題を孕む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ハンドリング装置のために、簡単な、かつ種々の要求に適合させ得る構成を可能にするという課題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、請求項1の特徴を有する支持フレームによって解決される。支持フレームは、空気圧で操作可能な少なくとも2つの、特に2つより多い把持エレメントを有するハンドリング装置において使用されるように形成されている。把持エレメントは、例えばベローズ吸着体(Faltenbalgsauger)の形の吸着把持エレメントであってもよい。把持エレメントが、例えば流体エラストマアクチュエータの形の空気圧で作動可能な機械的把持エレメントとして形成されていてもよい。
【0005】
支持フレームは、基体と、基体から延在する少なくとも2つの、特に2つより多い構造エレメントを備えている。少なくとも2つの構造エレメントはすべてがトポロジー的に、厳密には、これらの構造エレメントが少なくとも以下の共通の特徴を有するという点では互いに類似の構造である。
【0006】
細長く形成されていて第1端及び第2端を有し、第2端が空気圧で操作可能な把持エレメントと接続するための接続部分を有する、ラジアル支持体(その限りで、ラジアル支持体は把持エレメントのための支持骨組み(Tragwerk)として用いられる)を有すること。
【0007】
前記ラジアル支持体と一体に、モノリシックに接続されているとともに、前記ラジアル支持体の前記第1端と前記ラジアル支持体の前記第2端との間に接続縁部が延びる格子翼部であって、前記ラジアル支持体から面状に延在する、格子翼部を有すること。
【0008】
少なくとも2つの構造エレメントの各々において、ラジアル支持体が基体から延在するようにラジアル支持体の第1端が基体と一体に接続されている。その限りで、ラジアル支持体の第2(自由)端は基体から離隔して配置されている。
【0009】
それぞれの構造エレメントの格子翼部もまた、前述の格子翼部の別の接続縁部が隣接する構造エレメントのラジアル支持体の第1端とラジアル支持体の第2端との間に延びるように、隣接する構造エレメントと一体に接続されている。構造エレメントは、このように、支持フレームがモノリシックな全体構造となるように格子翼部を介して一体に互いに接続されている。特に、全体構造が完成した場合の最終的な効果として、格子翼部がどのラジアル支持体に属するのかが見分けられなくなる。
【0010】
すなわち異なった把持要求に対して個別に対処するために、支持フレームを構造エレメントの数及び配置に依存して必要に応じて構成することができる。構造エレメントの大きさ、正確な形状、及び配置を必要に応じて設定し、次いで構造エレメントを上述のように互いに接続しさえすればよい。このように、ラジアル支持体と格子翼部とを含む構造エレメントは、支持フレームを組み立てるための基本構成要素をなす。その場合、ラジアル支持体の数によって、特に把持点の数が決まり、その場合、ラジアル支持体の形状及び配置によって把持点の所定位置が決まる。
【0011】
したがって、把持されるべきワークの予め定められた(例えばジオメトリ及び重量に関する)形態に依存して、及び/又は把持プロセスの(例えば予想される把持プロセス中の最大加速度に関する)諸条件に依存して、まず支持フレームが構造エレメントの数、並びにこれらの構造エレメントの形状及び配置に関して必要に応じて(例えばコンピュータ支援により)デザイン及び構成され、続いて支持フレームが個別に、特に生成マニュファクチュアリング技術(generativen Fertigungstechniken)で製造されてもよい。
【0012】
他でもないラジアル支持体と格子翼部とからなる構造エレメントの本発明による構造がこのような支持フレームの個別の製造を容易ならしめる。ラジアル支持体が格子翼部によって互いに接続され、それに伴い補強されることによって、ラジアル支持体と、さらに格子翼部とを比較的薄手に形成することができる。このことは、本発明による支持フレームを生成マニュファクチュアリング法又は付加製造法、特に3Dプリンティングによって効率的に製造することを可能にする。これによって、様々な形状及び配置の構造エレメントを有する支持フレームを製造することが可能であるばかりでなく、特にこのような支持フレーム自体を小量生産(バッチサイズ1)で経済的に製造することも可能である。
【0013】
個別に構成された支持フレームを製造するために、特に以下の工程を包含する方法が、特に記載される順番で実行される。
【0014】
まず、データ処理設備上で支持フレームを設計するための境界条件が提供される。境界条件は、把持点の数を表す少なくとも1つの第1境界条件を含む。その限りで、第1境界条件は、ワークがいくつの点で把持されるべきであるのか、すなわち特にいくつの把持エレメントが必要であるのかを表す。境界条件は、把持点の位置を表す第2境界条件をさらに含む。その限りで、第2境界条件は、把持エレメントがワークのどこを掴むべきであるのかを表す。境界条件は、特に構成データセットの形で提供され、次いでデータ処理設備の記憶装置に格納される。構成データセットは、特に支持フレームの形状条件、及び/又は負荷条件、及び/又はハンドリング装置で取り扱われるべきワークタイプの、例えば重量や材料特性などのワーク情報を表す。
【0015】
境界条件の提供後、境界条件に依存して支持フレームの構成がデータ処理設備によって決定される。この場合、構造エレメントの数は把持点の数に依存して決定される。特に、構造エレメントの数は把持点の数に相当する。さらに、把持点の位置に依存してラジアル支持体の形状及び配置が決定される。その際、ラジアル支持体の形状及び配置は、ラジアル支持体の第1端が基体と一体に接続されるという境界条件下で決定される。特に、ラジアル支持体の形状及び配置は、さらに、ラジアル支持体の第2端がこのラジアル支持体に割り当てられた把持点に相対して設定された距離をおいて配置されるという境界条件下で決定され、距離は、特に選択された把持エレメントのタイプに依存して(下記参照)設定されている。
【0016】
さらに、ラジアル支持体に割り当てられる格子翼部の形状及び配置が決定される。その際、格子翼部の形状及び配置は、格子翼部が一方で前述の、この格子翼部に割り当てられたラジアル支持体と接続されており、他方で、接続縁部を有する格子翼部がそれぞれラジアル支持体の第1端と第2端との間に延びるように、隣接するラジアル支持体と接続されるという境界条件下で決定される。
【0017】
特に、基体の形状及び配置が、特にラジアル支持体の形状及び配置に依存してさらに決定される。
【0018】
次いで、方法の次の工程において、データ処理設備によって支持フレームデータセットが決定され、支持フレームデータセットは、支持フレームの形状、特に境界条件に依存して構成された支持フレームの全体構造を表す。
【0019】
次の工程において、支持フレームは、部品を付加製造するための装置、特に3Dプリンタによって支持フレームデータセットに従って製造される。この目的で特に、まず制御信号がデータ処理設備によって生成され、制御信号は、部品を付加製造するための装置に、支持フレームデータセットに従い全体構造を有する支持フレームを製造させ、続いて、次いで部品を付加製造するための装置が制御信号に従って制御される。
【0020】
このような方法は、(例えば取り扱われるべきワークの形状、及び/又は把持プロセスの負荷状態に関する)特定の要求に個別に対応した支持フレームを簡単かつ経済的に提供することを可能にする。
【0021】
データ処理設備は、部品を付加製造するための装置、例えば3Dプリンタのための制御コンピュータであってもよい。殊にデータ処理設備は、例えばサーバ接続を介して、特にクラウド接続を介して制御コンピュータと接続されている別のコンピュータを備える。その場合、境界条件の提供、並びに支持フレームの構成及び/又は支持フレームの製造を空間的に分離された場所で行うことができる。例えばユーザ(例えば支持フレームの製造を依頼する会社の従業員)が、コンピュータのウェブインターフェイスを介して境界条件を提供し、次いでこれらの境界条件が、サーバ接続を介して(例えば製造する会社にある)装置の制御コンピュータに伝達されることが考えられる。
【0022】
殊に、それぞれの構造エレメントのラジアル支持体のうちの少なくとも1つ(又はすべてのラジアル支持体)が管状に形成されており、ラジアル支持体の第1端から第2端へ延びる内部に位置する流体通路を備えている。流体通路は、ラジアル支持体の第2端において、殊に接続部分と接続された把持エレメントが流体通路と流れ接続及び圧力接続されるように接続部分内に通じている。その限りで、このように形成されたラジアル支持体は同時に把持エレメントのための支持骨組みとして、かつ把持エレメントに負圧又は正圧を供給するための流体流路として用いられる。その限りで、把持エレメントを負圧供給源又は正圧供給源とチューブで接続する必要がなくなる。このことは、対象物を取り扱う場合にチューブ接続が妨害輪郭をなすことを回避する。特に、チューブ材料の削減によって、ハンドリング装置の自重が小さくされる。それゆえ自動化された加工設備でこのようなハンドリング装置を使用する場合、比較的小さい質量が移動されればよく、エネルギーを節約することができる。さらに、このようなハンドリング装置は比較的安価である。しかし、ラジアル支持体を流体通路なしに、支柱エレメント(Stutzelement)の機能を備えて形成することも考えられる。
【0023】
次いで、このような支持フレームを製造するために、ラジアル支持体の形状及び配置が、特に、さらにラジアル支持体が管状に形成されており、ラジアル支持体の第1端から第2端へ延びる内側に位置する流体通路を備えるという境界条件下で決定される。
【0024】
流体流路に負圧又は正圧を供給するために、基体が外部の負圧供給源又は正圧供給源と接続するための少なくとも1つの空気圧接続部分と、少なくとも1つの空気圧接続部分と接続された流体分配室とを有するならばさらに好ましい。分配室は、特に基体に組み込まれ、すなわち特に基体の外壁によって周りを囲まれている。その場合、ラジアル支持体の流体通路は、特に、ラジアル支持体の第1端において流体通路が分配室内に通じるように形成及び配置されている。これにより、分配室を介して個々の流体通路に一緒に負圧又は正圧を供給することができる。すなわち、特に流体通路を別々の接続を介して外部の供給管路と接続する必要がない。それゆえこのような支持フレームを有するハンドリング装置はコンパクトな構造である。これに加えて、組付けの手間を低減することができる。
【0025】
殊に、流体通路は別々の入口を介して分配室内に通じている。その場合、流体通路に、特に互いに独立して負圧又は正圧を印可することができる。このことは、個々の把持エレメントを選択的に作動又は停止させることを可能にする。この目的で、支持フレームが追加的に個々の流体通路を制御するためのバルブ装置を収容するための収容空間を備えるならば好ましい。
【0026】
その場合、このような支持フレームを製造するために、特に基体の形状及び配置がさらに、基体が少なくとも1つの空気圧接続部分と、少なくとも1つの空気圧接続部分と接続された分配室とを有するという境界条件下で決定される。さらに、基体の形状及び配置とラジアル支持体の形状及び配置は、特に、ラジアル支持体の流体通路が基体の分配室内に通じているという境界条件下で決定される。
【0027】
殊に、特にデータ処理設備に格納されたデータベースに入っている空気圧接続部分の複数の形態から選択することによって、少なくとも1つの空気圧接続部分の具体的な形態が支持フレームを設計するための境界条件として提供される。
【0028】
支持フレームの有利な一実施形態では、それぞれの構造エレメントのラジアル支持体が、長手方向延在に沿って第1から第2端へ少なくとも部分的に曲がって、特に湾曲して延びるように形成されていてもよい。このことが複数又はすべてのラジアル支持体に適用されてもよい。これによって有利な荷重分布が得られる。その場合、ラジアル支持体と接続された格子翼部の接続縁部も湾曲して延びる。殊に、ラジアル支持体は、それぞれの接続部分に配置された把持エレメントが、把持されるべき表面に対して直交する方向でこの表面を掴むことができるように湾曲させてある。板状の対象物を把持する、及び取り扱うために、ラジアル支持体は、特にラジアル支持体の第2端が共通の平面上に位置するように湾曲して延びてもよい。
【0029】
その場合、このような支持フレームを製造するために、ラジアル支持体の形状及び配置は、特に、さらにラジアル支持体の少なくとも1つが少なくとも部分的に曲がって延びるように形成されているという境界条件下で決定される。製造プロセスについては、ラジアル支持体のこのような実施形態にはさらに、3Dプリンティングプロセスの過程で加工されなかった材料、例えば材料粉末を流体通路から簡単に除去することができるという利点がある。
【0030】
ラジアル支持体への把持エレメントの組付けを簡易化するために、ラジアル支持体がその接続部分の領域において、ラジアル支持体の外面に配置されてラジアル支持体の円周に沿って、特にラジアル支持体の長手方向延在に対して垂直に周方向に延びる溝を有するならばさらに好ましい。このような溝は、把持エレメントの組付け補助として用いられる。その場合、例えば支持フレームの表面品質及び製造精度が最適でない場合でも把持エレメントの組付けを行うことができる。
【0031】
その場合、このような支持フレームを製造するために、ラジアル支持体がその接続部分の領域において、ラジアル支持体の外面に配置されてラジアル支持体の円周に沿って周方向に延びる溝を有するという境界条件下で決定される。
【0032】
支持フレームの安定性向上のために、格子翼部が基体と一体に接続されているならばさらに好ましい。特に、格子翼部の接続縁部は、基体の外壁に沿って格子翼部に割り当てられたラジアル支持体の第1端からこのラジアル支持体と格子翼部を介して接続されたラジアル支持体の第1端へ延びる。
【0033】
その場合、このような支持フレームを製造するために、格子の形状及び配置は特に、さらに格子翼部が基体と一体に接続されているという境界条件下で決定される。
【0034】
格子翼部がそれぞれのラジアル支持体の第1端から第2端へ延在することによって、2つのラジアル支持体間の中間空間の少なくとも1つの部分領域が格子翼部によって閉鎖される。これにより例えばオペレータが、ラジアル支持体間に誤って手を入れること(Eingreifen)から守られる。特に効果的な誤把持防止(Greifschutz)のために、格子翼部の接続縁部が、格子翼部と接続されたラジアル支持体の第1端からこのラジアル支持体の第2端まで完全に延在するならば特に好ましい。それに加えて、このように形成された支持フレームは特に安定する。
【0035】
その場合、このような支持フレームを製造するために、格子翼部の形状及び配置は、特に、さらに格子翼部の接続縁部が、格子翼部と接続されたラジアル支持体の第1端からこのラジアル支持体の第2端まで完全に延在するという境界条件下で決定される。このような実施形態は、例えば3Dプリンティングによる製造をやりやすくすることができる。なぜならプリンティングプロセス中に格子翼部を補助的に支えるためのプロセスに伴う支柱構造を少なくとも部分的に削減できるからである。(8.28,2020)
【0036】
特に、格子翼部は、格子翼部を基体から離反する方向、特にこの格子翼部と接続されたラジアル支持体の第2端の方向に画定する外縁部を有する。この外縁部は、特に、例えば基体に対して凹状に延びて曲がった、又は反った形状を有してもよい。その場合、外縁部は、その限りで、特に外縁部と基体との距離が、第1ラジアル支持体から第2ラジアル支持体への外縁部の長手方向延在に関して中央領域よりも格子翼部と接続されたラジアル支持体の第1端との外縁部のそれぞれの接続領域のほうが大きい弓形に延びるように形成されている。その場合、このような実施形態では、2つの把持エレメント間に比較的多くの空間が利用可能であり、このことは複雑な形状の対象物の把持を容易ならしめる。それにもかかわらず支持フレームの十分な安定性が保証されている。形状要求に応じて、外縁部が基体に対して波形又は凸状に形成されていてもよい。まっすぐな形状も考えられる。外縁部が、格子翼部を基体から離反する方向に画定するクロスバーによって形成されることが可能である。
【0037】
その場合、このような支持フレームを製造するために、格子翼部の形状及び配置は、特に、さらに格子翼部を基体から離反する方向に画定する格子翼部の外縁部が基体に対して凹状に延びるように形成されているという境界条件下で決定される。
【0038】
オペレータの負傷の危険を低減するために、格子開口部の最大直径が20mm、特に10mm、さらに特に8mmを上回らないように格子翼部が形成されているならば好ましい。このことによって、特にオペレータの指が格子開口から取れなくなる危険を低減することができる。
【0039】
その場合、このような支持フレームを製造するために、格子翼部の形状及び配置が、特に、さらに格子開口部の最大直径が20mm、特に10mm、さらに特に8mmを上回らないように格子翼部が形成されているという境界条件下で決定される。
【0040】
負傷の危険を低減するために、ラジアル支持体又は格子翼部を画定する縁部が丸く形成されているならば好ましい。その場合、このような支持フレームを製造するために、ラジアル支持体及び格子翼部の形状及び配置は、特に、さらにラジアル支持体又は格子翼部を画定する、縁部半径を有する縁部が丸くされているという境界条件下で決定される。これは縁部が0.1mmより大きい縁部半径を有することによって行うことができる。
【0041】
基本的に、格子翼部は任意の格子ジオメトリを有することができる。しかし格子翼部がハニカム格子として形成されているならば特に好ましい。このような格子は材料使用量が比較的少なく、高い安定性を特徴とする。ハニカムは多角形、特に対称の多角形の形式で、又は丸形、例えば円形に形成されていてもよい。
【0042】
その場合、このような支持フレームを製造するために、格子翼部の形状及び配置は、特に、さらに格子翼部がハニカム格子として形成されているという境界条件下で決定される。
【0043】
有利な一実施形態では、基体は支持フレームを外部部品と接続するように形成されているフランジ部分をさらに有してもよい。外部部品は、特にロボットアームであってもよい。その場合、フランジ部分は、特にロボットアームの工具フランジと接続されるように形成されている。外部部品が特に電気的な負圧発生ユニットであることも可能である。その場合、負圧発生ユニットは、特にそれが支持フレームのフランジ部分と接続するための側に、接続部分に加えて、支持フレームの空気圧接続部分と接続するための負圧出口も有するように形成されていてもよい。空気圧接続部分がフランジ部分に組み込まれているならば特に好ましい。例えば、基体がフランジ部分の領域において負圧発生ユニットの負圧出口と接続するための接続管を有することが考えられる。その場合、殊に接続管は基体の分配室と流れ接続(stroemungsverbunden)及び圧力接続(druckverbunden)されている。
【0044】
その場合、このような支持フレームを製造するために、基体の形状及び配置は、特に、さらに基体がフランジ部分を有するという境界条件下で決定される。その場合、フランジ部分の具体的な形態は、特にさらなる境界条件として、殊にデータ処理設備に格納されたデータベースに入っているフランジ部分の形態からフランジ部分の1つの形態を選択することによって提供される。具体的なフランジジオメトリ(例えば孔の特定の数及び配置)がユーザによって方法のための他の境界条件として提供されることも可能である。
【0045】
フランジ部分、特に基体は、ラジアル支持体の第2端を取り囲む(包み込む)線によって画定されている面の中心にあることが可能である。フランジ部分、特に基体が偏心的に配置されていることも可能である。その場合、支持フレームを製造するために、フランジ部分の相対位置が別の境界条件として提供されてもよく、この境界条件下でラジアル支持体及び格子翼部の形状及び配置が決定される。
【0046】
別の有利な実施形態の範囲内で、基体は、少なくとも1つの負圧エジェクタ(圧縮エアから負圧を生成するための)を収容するための収容空間をさらに有してもよい。その場合、少なくとも2つの把持エレメントを操作するために必要な負圧は、ハンドリング装置自体において生成されてもよい。すなわちハンドリング装置に、特に外部の負圧供給管路を介して負圧が供給される必要はない。その代わりに少なくとも1つの空気圧接続部分を介して圧縮エアを供給しさえすればよく、このことは技術的に比較的簡単に実現可能である。その場合、このような実施形態では、基体の分配室は、特に収容空間に収容された負圧エジェクタの負圧出口と流れ接続及び圧力接続するように形成されている。
【0047】
その場合、このような支持フレームを製造するために、基体の形状及び配置は、特に、さらに基体が少なくとも1つの負圧エジェクタを収容するための収容空間をさらに有するという境界条件下で決定される。
【0048】
基体は、バルブ装置を収容するための、例えばハンドリング装置の負圧供給源又は正圧供給源を制御するための収容空間をさらに有してもよい。その限りでバルブ装置が基体に組み込まれていてもよい。このことは対象物を取り扱う場合にバルブ装置が妨害輪郭をなすことを回避する。
【0049】
その場合、このような支持フレームを製造するために、基体の形状及び配置は、特に、さらに基体がバルブ装置を収容するための収容空間を有するという境界条件下で決定される。
【0050】
支持フレームを製造する方法の上述の実施形態では、支持フレームを設計するための第1境界条件を表す把持点の数が、特にデータ処理設備(Datenverarbeitungslage)を用いて決定される。この目的で、まずデータ処理設備において、把持されるべきワークに関するワーク情報、特にワークの形状及び重量に関する情報が提供される。特に、ワーク情報は、データ処理設備の記憶装置に記憶される。さらに把持プロセス情報がデータ処理設備に、特にデータ処理設備の記憶装置に記憶される。把持プロセス情報は、例えば予想される把持プロセス中の最大加速度、予測される把持力などであってもよい。把持プロセス情報の提供は、特にデータ処理設備において、特に入力装置によって把持プロセス情報を入力及び/又は選択することによって行われてもよい。次いで、次の工程においてワークを把持するために必要な把持点の数が、提供されたワーク情報及び把持プロセス情報に依存してデータ処理設備によって決定される。その限りで、ハンドリング装置が把持エレメントを用いてワークをいくつの点で掴む必要があるのかが決定される。方法のこのような実施形態は、支持フレームを構成することを容易にする。その限りで、ユーザは、ワーク及び把持プロセスに関する情報を提供しさえすればよく、次いで、データ処理設備が把持点の必要な数を決定する。
【0051】
ワーク情報は、特に、把持されるべきワークのジオメトリデータが提供され、次いで他のワーク特性、特にワーク総重量がデータ処理設備上でユーザによって、特に入力装置を介して入力されることによって提供されてもよい。把持されるべきワークのジオメトリデータが、把持されるべきワークの全体構造を表すワークデータセット(CADデータ)のデータ処理設備への読み込み、特にアップロードによって提供されることが可能である。まずデータ処理設備に格納されたデータベースに入っているワーク標準ジオメトリから1つのワーク標準ジオメトリ(例えば袋、ボール箱など)が、特にユーザによって選択され、次いで具体的なワーク寸法、特に長さ及び/又は幅及び/又は高さを入力することも可能である。
【0052】
殊に、把持点の数は、追加的に、データ処理設備に提供された後から使用される把持エレメントのタイプに関する情報に依存して決定される。特に、把持エレメントタイプに関する情報は、データ処理設備に格納されたデータベースに入っている把持エレメントタイプから1つの把持エレメントタイプが、特にユーザによって選択されることによって提供される。
【0053】
支持フレームを製造する方法の上述の実施形態では、支持フレームを設計するための第2境界条件を表す把持点の位置が、殊に同様にデータ処理設備によって決定される。この目的で、まず、把持されるべきワークのジオメトリデータが上述のように提供される。次いでデータ処理設備と接続された表示装置、特にモニタによって、把持されるべきワークの全体構造がジオメトリデータに従って表示される。このために、提供されたワークのジオメトリデータにもとづいて特に表示信号が決定され、表示信号は、データ処理設備と接続された表示装置に、把持されるべきワークの全体構造をジオメトリデータに従って表示させる。
【0054】
次いで、次の工程において、表示されたワーク上の相応の把持点がユーザによって選択及び/又は入力される。
【0055】
支持フレームを製造する方法は、特にコンピュータ支援により、データ処理設備のための、特に部品を付加製造するための装置を制御するように設計されているデータ処理設備のためのコンピュータプログラムを用いて行われる。コンピュータプログラムは、相応のコンピュータプログラム製品の形で表され、このコンピュータプログラム製品は、データ処理設備によって実行した場合に、データ処理設備に以下の工程を、特に記載された順番で実施させる。
【0056】
まず、データ処理設備によってユーザ入力を受信するように構成されているユーザインターフェイスが提供される。ユーザ入力は、(特に請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の)支持フレームを設計するための境界条件を表す情報を含む。ユーザインターフェイスの提供は、特にデータ処理設備と接続された表示装置、特にモニタに、相応の入力窓を有するスクリーンマスク(Bildschirmmaske)を表示させる表示信号の提供を含んでもよい。入力窓は、特に、把持されるべきワーク、把持プロセス、及び/又は把持エレメントタイプに関する情報を入力、及び/又は選択するように構成されている(上記参照)。殊に、入力及び/又は選択は、データ処理設備と接続された入力装置を、例えばタッチスクリーン、キーボードなどを介して行われる。
【0057】
次の工程において、ユーザ入力がユーザインターフェイスを介して受信される。特に、受信されたユーザ入力は、データ処理設備の記憶装置に記憶される。
【0058】
次の工程において、ユーザ入力から支持フレームを構成するための境界条件が決定される。特に、把持点の数を表す第1境界条件が決定される。特に、把持点の位置を表す第2境界条件がさらに決定される(上記参照)。
【0059】
次いで、次の工程において、支持フレームの形状を表す支持フレームデータセットが、境界条件が満たされるように決定される。特に支持フレームデータセットは、さらにデータ処理設備の記憶装置に記憶された別の境界条件に依存して決定される。特に、支持フレームデータセットの決定は以下の工程を包含する。
【0060】
aa)把持点の数に依存して構造エレメントの数を決定する工程、
【0061】
bb)把持点の位置に依存してラジアル支持体の形状及び配置を決定する工程であって、ラジアル支持体の第1端が基体と一体に接続されているという境界条件下でラジアル支持体の形状及び配置が決定される工程、
【0062】
cc)ラジアル支持体に割り当てられた格子翼部の形状及び配置を決定する工程であって、格子翼部が一方で前述のラジアル支持体と、他方で隣接するラジアル支持体と、格子翼部がそれぞれラジアル支持体の第1端と第2端との間に延びるように、接続されているという境界条件下で格子翼部の形状及び配置が決定される工程。
【0063】
次の工程において、データ処理設備と接続された、部品を付加製造するための装置に、全体構造を有する支持フレームを支持フレームデータセットに従って製造させる制御信号が生成される。
【0064】
コンピュータプログラムは、特に境界条件を決定した場合、及び/又は支持フレームデータセットを決定した場合に上述の支持フレームを製造する方法の有利な実施形態をデータ処理設備に実現させるコーディング手段も備えている。
【0065】
方法に関してすでに上述したように、データ処理設備は、特に複数のコンピュータを備えていてもよい。その場合、特に、コンピュータプログラムの個々の部分工程をデータ処理設備の異なったコンピュータで実行することが可能である。
【0066】
以下、図をもとにして本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、本発明による支持フレームを備えるハンドリング装置の一実施形態の斜視概略図である。
【
図2】
図2は、
図1によるハンドリング装置の側面概略図である。
【
図3】
図3は、
図1によるハンドリング装置の垂直断面概略図である。
【
図4】
図4は、
図1によるハンドリング装置の上面概略図である。
【
図5】
図5は、
図1によるハンドリング装置の下面概略図である。
【
図6】
図6は、本発明による支持フレームを製造する方法を実施するためのシステムの例示的実施形態の簡略化された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下の記載及び図において、同じ又は相互に相当する特徴にはそれぞれ同じ参照符号が使用される。
【0069】
図1において、全体として参照符号8が付されたハンドリング装置が示されている。ハンドリング装置8は、本発明による支持フレーム10と、以下にさらに詳しく説明するように支持フレーム10と接続された、ワーク(図示せず)を把持するための把持エレメント12とを備える。把持エレメント12は、図示される本実施例では空気圧で作動可能及び停止可能なベローズ吸着体として形成されている。図示されない実施形態では、把持エレメント12は、空気圧で操作可能な、例えば流体エラストマアクチュエータの形の機械的把持エレメントとして形成されていてもよい。
【0070】
支持フレーム10は、中心軸線16に沿って延在する基体14を備えている。基体14は、上側にフランジ部分18を有し、フランジ部分は、支持フレーム10を、外部の部品(図示せず)と接続するように、例示的に、及び好ましくはロボットアームの工具フランジと接続するように形成されている。
【0071】
基体14には複数の、図示された実施例では6つのラジアル支持体20a~20fが配置されており、これらのラジアル支持体は、それぞれの第1端22で基体14と一体に接続されているとともに、基体14からそれぞれの第2(自由)端24の方へ延在する(
図1及び
図4を参照)。それぞれのラジアル支持体20a~20fの第2端24には接続部分26が配置されており、ラジアル支持体20a~20fはこの接続部分を介して把持エレメント12と接続されている(以下に詳しく説明する)。その限りでは、ラジアル支持体20a~20fは、把持エレメント12のための支持骨組みとして用いられる。図示された実施形態では、ラジアル支持体20a~20fの数は把持エレメント12の数に、したがってワーク上の把持点の数に相当する。その場合、ラジアル支持体20a~20fの形状及び配置は、把持エレメント12相互の相対位置、すなわち把持点の位置を定める。
【0072】
図3から見て取れるように、ラジアル支持体20a~20fは、これらのラジアル支持体の第1端22から第2端24へのそれぞれの長手方向延在に沿って曲がって延びるように形成されている。図示された例では、ラジアル支持体20a~20fは、第2端24が共通の平面上に位置するように湾曲して延びる。その限りで、ラジアル支持体20a~20fと接続された把持エレメント12は、ワーク(図示せず)の平坦な表面を、この表面に対して直交する方向に掴むことができるように互いに平行に向けられている。
【0073】
ラジアル支持体20a~20fは、中心軸線16を中心とした円周に沿って互いにずらして配置されている(
図1及び
図4を参照)。その際、各ラジアル支持体20a~20fは、中心軸線16を中心とした円周方向で次に続くラジアル支持体20a~20fと格子翼部28a~28fを介して接続されている。それぞれ1つのラジアル支持体20a~20fとこのラジアル支持体と接続された格子翼部28a~28fとは共同で、支持フレーム10を組み立てるための基本構成要素をなす1つの構造エレメント30a~30fを形成する。
【0074】
図2から見て取れるように、各格子翼部28aは、それに割り当てられたラジアル支持体20a、20bと一体に接続され、格子翼部のそれぞれの接続縁部30がそれぞれのラジアル支持体20a、20bの第1端22と第2端24との間に延びている。すなわち、構造エレメント30a~30fは、支持フレーム10のモノリシックな全体構造ができるように互いに一体に接続されている。その限りで、どのラジアル支持体20a~20fがどの格子翼部28a~28fと1つの構造エレメント30a~30fを形成するのか見分けがつかない。
【0075】
各格子翼部28a~28fは、さらに基体14と一体に接続されており、基体14の外面で、格子翼部28a~28fと接続されたラジアル支持体20a~20fの第1端22間に別の接続縁部32が延びる。格子翼部28aは、基体14から離反する方向、すなわちそれぞれのラジアル支持体20a~20fの第2端24の方向に外縁部34によって画定されている。
図1から見て取れるように、外縁部34は、基体14に対して例示的に、及び好ましくは凹状に延びる。
【0076】
図示された例では、ラジアル支持体20a、20c、20eのサブセットが所望によりそれぞれの第2格子翼部28a’、28c’、28e’を介して別のラジアル支持体20a、20c、20eと同様に接続されている(
図5を参照)。
【0077】
例示的に、及び好ましくは、格子翼部28a~28e、28a’、28c’、28e’はハニカム格子として形成されている。しかし他の格子タイプも考えられる。
【0078】
図に示された支持フレーム10の形態では、ラジアル支持体20a~20fは、中心軸線16を中心とした円周に沿って均等に配分して配置され、これらのラジアル支持体の形状は同じに形成されている(
図4を参照)。図示されない実施形態では、ラジアル支持体20a~20fが中心軸線16を中心に不規則な間隔で互いにずらして配置されていること、及び/又はラジアル支持体20a~20f若しくは格子翼部28a~28fのそれぞれの形状が互いに異なっていてもよい。
【0079】
図3から見て取れるように、ラジアル支持体20a~20fは、管状に形成されており、内部に位置する流体通路36を備えており、流体通路は、それぞれのラジアル支持体20a~20fの第1端22からこのラジアル支持体20a~20fの第2端24へ延びる。その限りで、流体通路36は、把持エレメント12に負圧又は正圧を供給するための流体管路をなす。
【0080】
図3から見て取れるように、それぞれのラジアル支持体20a~20fの接続部分26の領域において、把持エレメント12の例示的に及び好ましくはねじ山部分の形のそれぞれの取付部分38が、把持エレメント12が流体通路36と流れ接続及び圧力接続されるように流体通路36に配置されている。
【0081】
ラジアル支持体20a~20fへの把持エレメント12の組付けを容易にするために、各ラジアル支持体20a~20fは、接続部分26の領域において、その外面に配置されラジアル支持体20a~20fの円周に沿って、長手方向延在に対して垂直に周方向に延びる溝40を有している。溝40は、ラジアル支持体20a~20fの長手方向延在に沿って互いに離間して配置された、それぞれラジアル支持体20a~20fの周りの外輪郭を越えて突出する2つのリング状隆起42によって形成されている。
【0082】
図3から見て取れるように、流体通路36は、それぞれのラジアル支持体20a~20fの第1端22において相応の入口44を介して基体14と特に一体に形成された分配室46内に通じており、分配室は、流体通路36に負圧又は正圧を印加するように形成されている。
【0083】
分配室46に負圧を印加するために、圧縮エアから負圧を生成するように形成されている負圧エジェクタ(図示せず)が設けられている。負圧エジェクタは、基体14の収容空間48(
図3を参照)内に配置されており、基体14の空気圧接続部分50(
図1を参照)を介して圧縮エアを印可可能である。その場合、分配室46は、負圧エジェクタの負圧出口と接続されている。圧縮エアを吐出するために、さらに、基体14に例示的に、及び好ましくは、消音器54で塞がれている正圧出口52が設けられている。
【0084】
図示されない実施形態では、分配室46が空気圧接続部分50と直接、流れ接続及び圧力接続されている。その場合、空気圧接続部分50は、特に外部の負圧供給源と接続されている。外部の負圧供給源は、例えば負圧供給管路であってもよい。負圧供給源が電気的負圧発生ユニットによってなることも可能である。空気圧接続部分50がフランジ部分18に組み込まれているならば好ましい。
【0085】
基体14は、特にハンドリング装置8の負圧供給源又は正圧供給源を制御するように形成されたバルブ装置58を収容するための収容空間56をさらに有する(
図1を参照)。
【0086】
図示されない実施形態では、さらに、ハンドリング装置8が、個々の流体通路36を互いに独立して制御するように形成されたバルブ装置をさらに有してもよい。
【0087】
図6は、本発明による方法を例示的に説明するために用いられる、支持フレーム10を製造するためのシステム60の簡略化した模式図を示す。
【0088】
システム60は、特に3Dプリンタの形の、部品を付加製造するための装置62を備えている。システム60は、装置62を制御するためのデータ処理設備64をさらに備える。
【0089】
図示された例において、データ処理設備64は、装置62を制御するための制御コンピュータ66と、サーバ接続70を介して、特にクラウドサーバ接続を介して制御コンピュータ66と情報技術的に接続されているオペレーティングコンピュータ68とを備えている。サーバ接続70がさらなるコンピュータ(図示せず)を備ええてもよい。特に、方法の部分工程が異なったコンピュータで実施されてもよい。
【0090】
支持フレーム10を製造するために、まず、把持されるべきワークに関する情報(例えばジオメトリ、重量など)及び/又は把持プロセス情報(例えば予想される加速度)が、例示的に、及び好ましくはウェブインターフェイスを介して提供された構成プログラムを用いてユーザによってオペレーティングコンピュータ68を介して提供される。例えば、ユーザは、ワークの全体構造を表すワークデータセット(CADデータ)を、オペレーティングコンピュータ68を介してアップロードし、次いで入力マスク(Eingabemaske)を介してワーク重量を選択してもよい。殊に、後から使用される把持エレメントタイプに関する情報が、特にデータ処理設備に格納されたデータベースに入っている把持エレメントタイプから1つの把持エレメントタイプを選択することによってさらに提供される。
【0091】
次いで次の工程において、ワーク情報及び把持プロセス情報から、ワークを把持するために必要な把持点の数がデータ処理設備64によって決定される。把持点の数は、データ処理設備によって支持フレーム10を設計するための第1境界条件を表す(下記参照)。
【0092】
次いで、引き続きユーザによって把持点の特定の位置が決定されてもよく、把持点の位置は、支持フレームを設計するための第2境界条件を表す。この目的で、まず、把持されるべきワークの形状がオペレーティングコンピュータ68のモニタに(例示的に、及び好ましくはユーザによってアップロードされたワークデータセットにもとづいて)表示され、次いで、ユーザは図示されたワーク上の把持点を、入力装置(例えばコンピュータマウス)を介して選択することが可能である。
【0093】
所望により、ユーザによって他の境界条件が提供されてもよいし、又はデータ処理設備64の記憶装置にすでに格納されていてもよい。
【0094】
次いで、境界条件に依存して、データ処理設備64によって、支持フレーム10の形状を表す支持フレームデータセットが境界条件が満たされるように決定される。
【0095】
次いで、次の工程において、支持フレームデータセットに従う全体構造を有する支持フレーム10を装置62に製造させるように形成されている制御信号が生成される。
【0096】
次いで、次の工程において、制御コンピュータ66によって制御信号に従い装置62が制御され、それにより装置62が支持フレームデータセットに従う全体構造を有する支持フレーム10を製造する。
【符号の説明】
【0097】
8 ハンドリング装置
10 支持フレーム
12 把持エレメント
14 基体
16 中心軸線
18 フランジ部分
20a ラジアル支持体
22 第1端
24 第2端
26 接続部分
28a 格子翼部
30 接続縁部
30a 構造エレメント
32 接続縁部
34 外縁部
36 流体通路
38 取付部分
40 溝
42 リング状隆起
44 入口
46 分配室
48 収容空間
50 空気圧接続部分
52 正圧出口
54 消音器
56 収容空間
58 バルブ装置
60 システム
62 装置
64 データ処理設備
66 制御コンピュータ
68 オペレーティングコンピュータ
70 サーバ接続