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特許7586621ボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20241112BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241112BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241112BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/68
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023505694
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2021107096
(87)【国際公開番号】W WO2022022315
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202010730827.3
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クオ,リー-トーァ
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,チュエンミーン
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210327773(CN,U)
【文献】特開2020-060726(JP,A)
【文献】特開2014-081504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 30/00
H04N 23/50
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールで用いられるボイスコイルモータであって、該カメラモジュールは当該ボイスコイルモータと、画像センサアセンブリとを含み、該画像センサアセンブリは画像センサ回路基板と、該画像センサ回路基板に配置される画像センサとを含み、当該ボイスコイルモータは、
モータハウジングであって、該モータハウジングは光入射側と、光軸方向において該光入射側とは反対側を有し、該光入射側には入射穴が設けられている、モータハウジングと、
前記モータハウジング内に配置される固定アセンブリ及び移動アセンブリであって、該固定アセンブリ及び該移動アセンブリは、前記光入射側から前記光入射側とは反対側への方向に間隔を置いて順次配置され、該移動アセンブリは、つり線を用いることにより該固定アセンブリに接続されている、固定アセンブリ及び移動アセンブリと、
を含み、
前記固定アセンブリは環状締結部を含み、該環状締結部の、前記移動アセンブリに近い方の側に磁気素子が配置され、
前記移動アセンブリは環状回路基板を含み、該環状回路基板は可撓性機構を用いて外部回路に接続され、該環状回路基板の、前記環状締結部に近い方の側にコイル群が配置され、該コイル群が通電された後に該コイル群と前記磁気素子との間で生じる作用力が前記環状回路基板を駆動して動かし、
前記移動アセンブリの、前記光入射側とは反対側に面する側は、前記画像センサ回路基板に接続されるように構成され、前記移動アセンブリが動作した場合、前記画像センサアセンブリが駆動されて動かされ、
前記可撓性機構は、可撓性基板と、該可撓性基板に接続された可撓性アームとを含み、該可撓性基板は、前記環状回路基板の、前記光入射側とは反対側に近い方の面で覆われ、前記可撓性アームの自由端は、前記環状締結部又は前記モータハウジングに固定されている、ボイスコイルモータ。
【請求項2】
前記つり線の数は3以上であり、前記つり線は前記環状回路基板の周方向に分散している、請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項3】
前記環状締結部の、前記移動アセンブリから離れた側に弾性要素が配置され、前記つり線の一端は該弾性要素に接続され、前記つり線の他端は前記環状回路基板に接続されている、請求項1又は2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項4】
前記コイル群は複数のコイルを含み、該複数のコイルは前記環状回路基板の一方側の面に分散している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項5】
前記磁気素子は前記環状締結部の面に一致する環状磁石であるか、又は、
前記磁気素子は複数の磁石ブロックを含み、該複数の磁石ブロックは、前記環状締結部の面に周方向に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項6】
前記移動アセンブリの、前記光入射側とは反対側に面する側に接続部が配置され、該接続部は前記画像センサ回路基板に接続されるように構成され、
前記接続部はパッド及び/又は導電性プラグコネクタを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項7】
前記接続部は、可撓性基板の、前記光入射側とは反対側に面する面に配置されている、請求項に記載のボイスコイルモータ。
【請求項8】
前記可撓性基板の、前記環状回路基板から離れた側の面及び前記可撓性アームの面のそれぞれに熱伝導層が配置されている、請求項1に記載のボイスコイルモータ。
【請求項9】
レンズアセンブリと、画像センサアセンブリと、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のボイスコイルモータとを含むカメラモジュールであって、
前記レンズアセンブリは前記環状締結部の第1の貫通穴に配置され、
前記画像センサアセンブリは前記移動アセンブリに接続され、前記レンズアセンブリを通過する光を得るために、前記環状回路基板の第2の貫通穴を塞ぐように構成されている、カメラモジュール。
【請求項10】
前記画像センサ回路基板は前記環状回路基板又は前記可撓性機構内の可撓性基板に接続されている、請求項9に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
プロセッサと、請求項9又は10に記載のカメラモジュールとを含む電子装置であって、該プロセッサは、前記画像センサのデータを得るために、前記画像センサアセンブリに電気的に接続されている、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、カメラ装置の分野に関し、具体的にはボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の電子装置の撮影品質に対する消費者の要求が継続的に向上しているため、より多くのメーカーが電子装置等の装置の手ブレ補正効果の改善に取り組んでいる。
【0003】
現在、光学式手ブレ補正付きの市販のカメラモジュールでは、カメラモジュール全体の体積を低減するために、画像センサはボイスコイルモータ(voice coil motor、VCM)の可動プラットフォームに通常統合されている。しかしながら、既存の可動プラットフォームは変形可能なフレームに通常接続されている。加えて、VCMの移動アセンブリを形成しるためにコイルがフレームに取り付けられ、そして、VCMの固定アセンブリ(例えば、磁石のような要素)はフレーム内に組付けられている。この構造のカメラモジュールが準備された場合、移動アセンブリのフレーム構造内でセンサアセンブリを予め作成する必要がある。しかしながら、センサアセンブリとモータ部品とが異なるメーカーによって製造されている場合、各モジュールに対して機能検証を独立して行うことができない。そのため、配送インターフェイスが分離されない。異なるメーカーの部品を同時に配送する必要があり、これは配送品質の管理及び制御に貢献しない。加えて、準備の間にセンサアセンブリ及びモータ部品を同時に組み立てる必要があるため、全体的な歩留まりが低下しやすい。加えて、不適格な製品を分解するのは難しく、不良品の廃棄コストが大幅に増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、カメラモジュールで用いられるボイスコイルモータ、カメラモジュール及び電子装置を提供する。センサアセンブリ及びモータ部品に対して独立して機能検証を行うことができるため、カメラモジュールの全体的な組み立て歩留まりが改善され、不良品の廃棄コストが削減される。
【0005】
第1の態様によれば、本願はボイルコイルモータを提供する。ボイルコイルモータはカメラモジュールで用いられ得る。カメラモジュールはボイスコイルモータと、画像センサアセンブリとを含み、画像センサアセンブリは画像センサ回路基板と、該画像センサ回路基板に配置される画像センサとを含む。当該ボイスコイルモータは、モータハウジングと、モータハウジング内に配置される固定アセンブリ及び移動アセンブリとを含む。モータハウジングは光入射側及びバックライト側を有し、該光入射側には入射穴が設けられている。固定アセンブリ及び移動アセンブリは、前記光入射側から前記バックライト側への方向に間隔を置いて順次配置され、移動アセンブリは、つり線を用いることにより固定アセンブリに接続されている。固定アセンブリは環状締結部を含み、該環状締結部の、移動アセンブリに近い方の側に磁気素子が配置されている。移動アセンブリは環状回路基板を含み、該環状回路基板は可撓性機構を用いて外部回路に接続され、該環状回路基板の、環状締結部に近い方の側にコイル群が配置され、該コイル群が通電された後に該コイル群と磁気素子との間に生じる作用力が環状回路基板を駆動して動かす。移動アセンブリの、バックライト側に面する側は、画像センサ回路基板に接続されるように構成されているため、移動アセンブリが動作した場合、画像センサアセンブリは駆動され動かされる。
【0006】
ボイスコイルモータでは、固定アセンブリ及び移動アセンブリは光入射側からバックライト側への方向、すなわち光軸方向に積み重ねられ、間隔を置いて配置されている。固定アセンブリ及び移動アセンブリは順次配置され、固定アセンブリと移動アセンブリとの間には特定の隙間が存在する。このように、固定アセンブリ及び移動アセンブリは独立して配置できる。固定アセンブリ及び移動アセンブリは、つり線を用いて接続されている。つり線の一端は固定アセンブリに接続され、つり線の他端は移動アセンブリに接続されている。コイル群が通電されると、磁気素子とコイル群とが相互に作用して、環状回路基板を駆動して動かす作用力を生成する。例えば、環状回路基板は光軸方向に動くことができるようにされ得るか又は光軸に垂直な平面で平行移動又は回転され得る。環状回路基板は、可撓性機構に接続されている。このように、可撓性機構は環状回路基板と共に移動する。移動アセンブリの、バックライト側に面する側は、画像センサ回路基板に接続されるように構成されている。カメラモジュールが組み立てられると、画像センサ回路基板が移動アセンブリに接続され得るため、移動アセンブリが動作すると、画像センサセンブリが駆動されて動く。したがって、ボイスコイルモータを用いることによりカメラモジュールが組み立てられた場合、画像センサセンブリ及びモータ部品の独立した生産及び自由な組み立てを実施できる。画像センサセンブリと、モータ部品とが別々のメーカーによって生産されると、各部品に独立して機能検証を行うことができる。これにより、配達品質の管理及び制御と、カメラモジュールの全体的な歩留まりの改善に貢献する。
【0007】
本願の可能な実施形態では、ボイスコイルモータはカバープレートをさらに含み、カバープレートはモータハウジングのバックライト側に位置する。本願のこの実施形態では、ボイスコイルモータを用いることによりカメラモジュールを組み立てる前に、先ず、モータ部品と、画像センサセンブリとに対して別々に機能検証が行われ、次に画像センサセンブリが環状回路基板に取り付けられ、その後にカバープレートがカバーされる。カバープレートは、汚染物質がモータハウジングに入るのを防止するために配置される。
【0008】
本願の可能な実施では、固定アセンブリの環状締結部に第1の貫通穴が設けられている。カメラモジュールが組み立てられている場合、第1の貫通穴はレンズアセンブリを組み立てるように構成されている。本願の可能な実施では、環状回路基板が具体的に配置されている場合、環状回路基板に第2の貫通穴が設けられ、第2の貫通穴は画像センサセンブリを組み立てるように構成され得る。
【0009】
本願の可能な実施では、移動アセンブリの、バックライト側に面する側に接続部が配置され、該接続部は画像センサ回路基板に接続されるように構成され、接続部はパッド及び/又は導電性プラグコネクタを含む。移動アセンブリと画像センサ回路基板との間の機械的接続及び電気的接続は、パッド又は導電性プラグコネクタを接続部として用いることにより同時に実施できる。
【0010】
本願の可能な実施では、接続部は、環状回路基板の、バックライト側に近い側の面に配置され得る。カメラモジュールが組み立てられる場合、画像センサセンブリは、接続部を用いることにより環状回路基板に固定できる。この接続方法では、画像センサセンブリの電気信号を環状回路基板を用いることにより可撓性機構に伝送し、次に可撓性機構を用いることにより外部に伝送できる。
【0011】
本願の可能な実施では、回路配線が可撓性機構上に配置され、可撓性機構を用いることにより、環状回路基板及び画像センサセンブリが外部回路に接続されて、環状回路基板上のコイルに対する電気制御及び画像センサに対する電気制御が実施される。可撓性機構は、例えば、可撓性プリント回路であり、環状回路基板と外部回路との接続を実施するように構成されている。可撓性機構は、環状回路基板と外部回路とを接続するように配置され、環状回路基板のための機械的サポートの特定の役割を果たす。加えて、環状回路基板が移動した場合、環状回路基板の移動は妨げられない。
【0012】
本願の任意の実施の解決策では、接続部は、可撓性基板の、バックライト側に面する面に配置されている。画像センサセンブリが固定される場合、画像センサセンブリは、接続部を用いることにより可撓性基板に固定接続され得る。この接続方法では、画像センサセンブリの電気信号を可撓性機構を用いることにより直接外部に伝送できる。
【0013】
本願の任意の実施の解決策では、可撓性機構が具体的に配置されている場合、可撓性機構は、可撓性基板と、可撓性基板に接続された可撓性アームを含み得る。可撓性基板は、環状回路基板の、バックライト側に近い側の面に取り付けられ、可撓性アームの自由端は、環状締結部又はモータハウジングに接続される。外部回路に接続された電気接続インターフェイスが環状締結部に配置される場合、可撓性アームの自由端は環状締結部に接続され得る。外部回路に接続された電気接続インターフェイスがモータハウジングに配置されている場合、可撓性アームの自由端はモータハウジングに接続され得る。電気接続を実施するために、可撓性基板及び可撓性アームの両方に回路配線が配置される。電気接続の実施に加えて、可撓性機構は、環状回路基板を特定の移動範囲にさらに制限し得る。
【0014】
加えて、本願の任意の実施の解決策では、可撓性機構を具体的に配置される場合、可撓性機構の放熱能力を改善するために、可撓性基板の、環状回路基板から離れた側の面及び可撓性アームの面のそれぞれに熱伝導層がさらに配置され得る。熱伝導層の熱伝導係数は、環状回路基板及び可撓性機構の動作プロセスで生じる熱を可能な限り早く放熱できるように、可能な限り高くあるべきである。熱伝導層は、限定されないが、グラフェン熱伝導層、グラファイト熱伝導層、銅層又は銀層であり得る。グラフェンは熱伝導率が高いため、熱伝導層の材料としてグラフェンを用いることにより、可撓性機構の放熱能力をさらに改善できる。
【0015】
本願の任意の実施の解決策では、つり線が具体的に配置される場合、複数のつり線があってもよく、「複数の」とは2以上を意味し、例えば、つり線の数は3、4、5又はそれ以上である。つり線を環状回路基板に接続されている場合、環状回路基板の移動プロセスにおける安定性を改善するために、複数のつり線は環状回路基板の周方向に散在し得る。
【0016】
つり線を吊り下げた後、磁気素子及びコイルが相互作用力を生成しない場合、環状回路基板の、環状締結部に面する側の面と、環状締結部の、環状回路基板に面する側の面とは、相対的に平行な位置状態にあり得る。環状回路基板の外形が円形の場合、複数のつり線が環状回路基板の周方向に均等に配置され得る。環状回路基板の外形が円形でない場合、例えば、環状回路基板の外形が対称形状の場合、複数の吊り線は環状回路基板に対称に接続され得る。
【0017】
つり線の数は、移動アセンブリに対する力がより均一且つ安定するように、移動アセンブリの幾何学的形状に基づいて選択され得る。例えば、移動アセンブリが安定した状態であることを保証し、不要な揺れが低減されるように3つ以上のつり線が配置される。加えて、つり線の長さ及び直径、移動アセンブリ及び固定アセンブリにおけるつり線の吊り位置等は、駆動荷重(すなわち、移動アセンブリ)によって要求される推力に基づいて、シミュレーション解析を通じてさらに決定され得る。
【0018】
本願の可能な実施では、つり線が接続されている場合、固定アセンブリに接続されているつり線の一端は、環状締結部に直接接続され得る。加えて、つり線の移動距離又は回転角度をさらに大きくするために、本願の任意の実施の解決策では、環状締結部の、移動アセンブリから離れた側に弾性要素が配置され、つり線の一端は弾性要素に接続され、つり線の他端は環状回路基板に接続される。弾性要素は、つり線の移動距離又は回転角度を効果的に増やすために配置される。加えて、移動アセンブリを駆動して初期位置に戻すためにつり線が用いられ得る。
【0019】
本願の任意の実施の解決策では、環状回路基板が具体的に配置されている場合、環状回路基板の輪郭構造は対称構造、例えば、正三角形、長方形、正方形、正五角形又は正六角形等であり得る。環状回路基板の力の条件を改善するために、環状構造は対称形状として配置される。磁気素子とコイル群とが相互作用すると、環状回路基板に対する力を効果的にバランスさせることができ、環状回路基板の移動安定性を改善できる。加えて、環状回路基板が正三角形、長方形、正方形、正五角形又は正六角形の場合、環状締結部の形状及び弾性素子の形状もそれぞれ正三角形、長方形、正方形、正五角形又は正六角形に対応して設定され得る。この場合、つり線の数は3、4、5、6等に設定され得る。
【0020】
本願の任意の実施の解決策では、コイル群は複数のコイルを含み得る。環状回路基板は共通の中心を有する長方形構造のものである。共通の中心を有する長方形構造の環状回路基板は、4つの側端を有し、各側端に複数のコイルが配置され得るか又は側端のうちの2つに複数のコイルが配置され得る。共通の中心を有する長方形構造の環状回路基板は、環状回路基板の各側端に対する力を個別に制御するために配置されているため、環状回路基板は多角度且つ多方向の動きを行う。任意の具体的なの実施では、各側端に2つのコイルが配置されている。画像センサアセンブリの平行移動及び回転移動は、異なるコイルの通電方向を変更することにより実施され得るため、カメラモジュールの5軸の手ぶれ補正機能が実施される。加えて、コイルが具体的に配置されている場合、コイル群の数、厚さ、幅、巻線長さ、巻線層の数、インピーダンス、環状回路基板上でのコイル配置位置等は、駆動負荷(すなわち、移動アセンブリ)によって要求される推力に基づいて、シミュレーション解析を介して決定され得る。
【0021】
本願の任意の実施の解決策では、磁気素子が具体的に配置される場合、磁気素子は複数の磁石ブロックとして配置され得る。複数の磁石ブロックは、閉じた環状構造を取り囲むように環状締結部の面に周方向で配置される。あるいは、複数の磁石ブロックは間隔を置いて環状締結部の面に配置され得る。加えて、磁気素子は、環状締結部の端部を取り囲む環状磁石として代替的に配置され、環状磁石は一体構造であり得る。磁気素子は環状磁石として配置されるため、コイル群の各コイルが位置する磁場がより均一且つ一貫したものとなる。このように、コイルの配置位置がより柔軟になり得るため、コイルに対する力の間で、磁気素子の異なる配置位置によってもたらされる大きな差が回避される。同様に、磁気素子が具体的に配置されている場合、磁石の数、磁石のモデル、磁石の体積、環状締結部上での磁石の配置位置等は、駆動負荷(すなわち、移動アセンブリ)によって要求される推力に基づいて、シミュレーション解析を介して決定され得る。
【0022】
第2の態様によれば、本願はカメラモジュールをさらに提供する。カメラモジュールは、撮影機能を有する電子装置で用いられ得る。カメラモジュールは、レンズアセンブリと、画像センサセンブリと、本願の第1の態様に係るボイスコイルモータとを含み得る。レンズアセンブリは、環状締結部の第1の貫通穴に配置される。画像センサセンブリは、移動アセンブリに固定接続され、レンズアセンブリを通過する光を得るために、環状回路基板の第2の貫通穴を塞ぐ。
【0023】
この構造のカメラモジュールでは、画像センサセンブリと、モータ部品とが別々のメーカーによって製造されている場合、各部品に対して独立して機能検証を行うことができ、製品の配達を独立して行うことができる。これにより、配達品質の管理及び制御並びにカメラモジュールの全体な歩留まりの改善に貢献する。
【0024】
本願の任意の実施の解決策では、画像センサセンブリが具体的に配置されている場合、画像センサセンブリは画像センサ回路基板を含み、画像センサ回路基板の、レンズアセンブリに面する側に画像センサが配置される。画像センサ回路基板は環状回路基板に接続され得るか又は可撓性機構の可撓性基板に接続され得る。光がレンズアセンブリを通過した後に得られる撮像面は、画像センサが位置する面に位置する。画像センサは撮像光に関する情報を取得し、その情報は画像センサ回路基板上の伝送線を用いて伝送され、可撓性機構は、撮像情報を得るために外への信号出力を行う。したがって、カメラモジュールを形成するためにレンズアセンブリ、画像センサセンブリ及びボイスコイルモータが組み立てられた後、画像センサセンブリは移動アセンブリと共に移動できる。加えて、画像センサによって得られた画像情報は、移動アセンブリを用いることにより外部に伝送される。
【0025】
第3の態様によれば、本願は電子装置をさらに提供する。電子装置は、プロセッサと、本願の第2の態様に係るカメラモジュールとを含む。プロセッサは、画像センサのデータを得るためにカメラモジュール内の画像センサセンブリに電気的に接続されている。
【0026】
電子装置は、限定されないが、携帯電話、コンピュータ、ウェアラブルデバイス(例えば、電話の懐中電灯又はヘッドマウントディスプレイ等)又はセキュリティカメラを含む。電子装置は、多角度及び多方向の手ぶれ補正機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本願の一実施形態に係るボイスコイルモータの分解構造の概略図である。
図2図2は、本願の一実施形態に係る環状回路基板の構造の概略図である。
図3(a)】図3(a)は、本願の一実施形態に係る環状磁石とコイルとの相対位置関係及び環状磁石の磁極を示す。
図3(b)】図3(b)は、X軸方向の作用力及びY軸方向の作用力が生成された場合のコイルの電流の通電方向を示す。
図3(c)】図3(c)は、回転作用力が生成された場合のコイルの電流の通電方向を示す。
図4(a)】図4(a)は、本願の一実施形態に係る非組み立て状態にある可撓性機構の構造の概略図である。
図4(b)】図4(b)は、組み立て状態にある図4(a)に示す可撓性機構の構造の概略図である。
図5図5は、本願の一実施形態に係る、環状回路基板が可撓性機構に取り付けた後の断面構造の概略図である。
図6図6は、本願の一実施形態に係るボイスコイルモータのアセンブリ構造の概略図である。
図7図7は、本願の一実施形態に係るボイスコイルモータの断面構造の概略図である。
図8図8は、本願の一実施形態に係る携帯電話カメラのカメラモジュールの構造の概略図である。
図9図9は、本願の一実施形態に係る別の携帯電話カメラのカメラモジュールの構造の概略図である。
図10図10は、本願の一実施形態に係るカメラモジュールの断面構造の概略図である。
図11図11は、本願の一実施形態に係る電子装置の構造の概略図である。
図12図12は、本願の一実施形態に係る、プロセッサと画像センサセンブリとの間の電気接続構造の概略図である。
【0028】
参照符号
1-レンズアセンブリ;2-ボイスコイルモータ;21-モータハウジング;21a-光入射側;21b-バックライト側;211-カバープレート;
212-入射穴;22-固定アセンブリ;221-環状締結部;221a-第1の貫通穴;222-弾性要素;
222a-環状バネ;223-磁気素子;223a-環状磁石;224-環状ハウジング;23-移動アセンブリ;
231-環状回路基板;231a-プリント回路基板;231b-第2の貫通穴;231c-第1のサイドエッジ;
231d-第2のサイドエッジ;231e-第3のサイドエッジ;231f-第4のサイドエッジ;232-コイル;233-取り付け穴;
24-可撓性機構;241-可撓性基板;242-可撓性アーム;243-接続端子;25-つり線;
3-画像センサセンブリ;31-画像センサ回路基板;32-画像センサ;100-カメラモジュール;
1100-電子装置;及び200-プロセッサ
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、添付の図面を参照しながら以下で本願を詳細にさらに説明する。
【0030】
ボイスコイルモータは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する装置であり、直線運動又は限られた振り子角度の運動を実施するように構成されている。現在、ボイスコイルモータは、カメラ装置の光学手ぶれ補正を実施するために、電子装置のカメラ装置で通常用いられる。光学手ぶれ補正とは、通常、装置のジッタを検出し、そのジッタの量に基づいて特定のユニット(例えば、レンズ、画像センサ又はレンズ及びセンサを含むモジュール)の移動量を制御して光路補正を実施して、外部のジッタにより撮像光路が変化しないようにすることをいう。レンズを動かすことにより実施される光学手ぶれ補正方法は、電気信号を何ら動かさず簡単な実施を有する。しかしながら、レンズを変更するには、手ぶれ補正装置全体を再設計する必要があり、光路(Z軸とも呼ばれる)に垂直な面(X軸及びY軸を含む面)での手ぶれ補正しか実施できない。加えて、X/Y/Z軸の手ぶれ補正は、画像センサを動かすことにより実施される光学式手ぶれ補正方法で実施され得る。画像センサの変化が手ぶれ補正装置に与える影響は小さい。しかしながら、この設計の解決策では画像センサの信号移動を実施する必要があり、モジュールの体積が増加する。加えて、レンズ及び画像センサを含むモジュールを動かすことにより実施される光学式手ぶれ補正方法は、手ぶれ補正範囲が大きく、より良好な性能を有する。しかしながら、画像センサ及びレンズを同時に動かす必要があるため、より大きなモジュール体積が必要になる。したがって、現在の手ぶれ補正装置の大半では、画像センサを動かすことにより光学式手ぶれ補正が実施されている。しかしながら、既存のボイスコイルモータの移動アセンブリ及び固定アセンブリは、通常、クロスオーバー構造として配置される。そのため、画像センサセンブリと、モータ部品とが別々のメーカーによって製造される場合、各モジュールに独立して機能検証を行うことができない。そのため、各部品を独立して配送することができず、製品配送プロセスが分離されない。
【0031】
上記の課題を解決するために、本願の実施形態はボイスコイルモータを提供する。ボイスコイルモータは、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ、ウェアラブル電子装置、ドローン又はセキュリティ監視カメラ等の撮影機能を有する電子装置で用いられ得る。
【0032】
以下の実施形態で用いる用語は、特定の実施形態を説明することを意図したものにすぎず、本願を限定することを意図していない。本明細書及び本願の添付の特許請求の範囲で用いられている単数形の「1」、「1つの」及び「この」という用語は、文脈で特段明記されていない限り、「1つ以上」等の表現を含むことも意図する。
【0033】
本明細書に記載されている「一実施形態」、「一部の実施形態」等への言及は、1つ以上の実施形態を参照して説明される特定の特性、構造又は特徴が、本願の1つ以上の実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の異なる箇所に現れる「一実施形態では」、「一部の実施形態では」、「一部の他の実施形態では」及び「他の実施形態では」等の記述は、必ずしも同じ実施形態に言及することを意味しない。代わりに、係る記述は、別の方法で特段強調されていない限り「全てではないが1つ以上の実施形態」を意味する。「含む」、「有する」及びそれらの異形は、別の方法で特段強調されていない限り、全て「限定されないが含む」を意味する。
【0034】
図1は、本願の一実施形態に係るボイスコイルモータの分解構造の概略図である。ボイスコイルモータは、カメラモジュールで用いられ得る。カメラモジュールは、例えば、ボイスコイルモータ及び画像センサセンブリを含んでもよく、画像センサセンブリは、画像センサ回路基板と、画像センサ回路基板上に配置される画像センサとを含む。本願のこの実施形態におけるボイスコイルモータ2は、モータハウジング21と、モータハウジング21内に配置される固定アセンブリ22及び移動アセンブリ23を含む。モータハウジング21の光入射側21aには入射穴212が設けられ、モータハウジング21のバックライト側21bにはカバープレート211が配置されている。
【0035】
図1に示すように、固定アセンブリ22及び移動アセンブリ23は、光軸方向(図1に示すZ軸方向、すなわち、モータハウジング21の入射穴212からカバープレート211への方向)に順次配置され、移動アセンブリ23の移動空間を確保するために、固定アセンブリ22と移動アセンブリ23との間に特定の隙間、例えば、0.1mm~0.2mmの隙間が存在する。移動アセンブリ23が固定アセンブリ22に接続されている場合、移動アセンブリ23は、つり線25を用いることにより固定アセンブリ22から吊り下げられ得る。移動アセンブリ23は、吊り接続を介して固定アセンブリ22の周りで容易にわずかに移動し、該移動は平行移動、回転、傾斜等を含む。
【0036】
本願の一部の実施形態では、固定アセンブリ22が具体的に配置されている場合、固定アセンブリ22は環状締結部221を含んでもよく、環状締結部221の中間部に第1の貫通穴221aが設けられ、第1の貫通穴221aはレンズアセンブリを収容するように構成されている。X軸及びY軸を含む平面(以下、X/Y平面という)における環状締結部221の突出は、例えば、共通の中心を有する正方形構造のものであり得る。共通の中心を有する正方形構造に加えて、X/Y平面における環状締結部221の突出は、代替的に、三角形環状構造、正五角形環状構造、正六角形環状構造等であり得る。これは本願では限定されない。X/Y平面における環状締結部221の投影が共通の中心を有する正方形構造のものの場合、4つのつり線25が選択され、移動アセンブリ23のバランスを改善するために環状締結部221の4つの頂点角にそれぞれ固定される。
【0037】
つり線25の移動距離又は回転角度をさらに増やすために、環状締結部221の、移動アセンブリ23から離れた側に弾性要素222が配置され、つり線25の一端が弾性要素222に接続され、つり線25の他端は移動アセンブリ23に接続される。例えば、弾性要素222は、環状締結部221の周面に配置される環状バネであり得るか又は環状締結部221に散在するV字状バネ又は円弧状バネであり得る。
【0038】
加えて、環状締結部221の、移動アセンブリ23に近い側に磁気素子223が配置されていてもよく、磁気素子223はボイスコイルモータ2に固定磁場を提供する。図1に示す実施形態では、磁気素子223は環状磁石であってもよく、環状磁石の形状は、環状締結部221の端部の面と一致し、共通の中心を有する正方形構造のものであってもよく、環状磁石は、環状締結部221の端部の面に固定取り付けされている。環状磁石を配置することにより、環状締結部221の端部で均一な磁場が周方向に形成され得る。環状磁石に加えて、磁気素子223はブロック構造の複数の磁石を代替的に含んでもよく、複数の磁石は、環状締結部221の端部の面に均一に配置される。
【0039】
本願の可能な実施形態では、移動アセンブリ23が具体的に配置される場合、移動アセンブリ23は環状回路基板231を含み、環状回路基板231の、固定アセンブリ22に近い方の側に、複数のコイル232を含むコイル群が配置される。Z軸方向では、コイル群は磁気素子223と反対側に配置される。このように、コイルが通電された後に、電磁誘導によってコイル群と磁気素子223との間で作用力が生成され、環状回路基板231を駆動してZ軸に沿って動かすか、Z軸に垂直な平面(X/Y平面)内で移動又は回転させるか又は環状回路基板231を駆動して傾斜又はオフセットさせる。X/Y平面における環状回路基板231の投影も共通の中心を有する正方形構造のものであってもよく、環状回路基板231が容易に機械加工し組み立てて、環状締結部221と一致させることができるため、環状回路基板231と環状締結部221との位置合わせが促進される。
【0040】
コイル232が配置される場合、コイル232は環状回路基板231の表面に一体化され得るか又は独立したコイル232が用いられ得る。独立したコイル232が用いられる場合、独立したコイル232のために環状回路基板231の表面に配置位置及び接続界面が確保され得る。コイル232の、磁気素子223に面する側の面は、環状回路基板231の表面と同一平面上にあり得るか又は環状回路基板231の表面から突出し得る。コイル232の配置形状及び配置位置は、実施すべき移動機能に基づいてシミュレーションすることで設計され得る。
【0041】
イル232に加えて、環状回路基板231上にコイル駆動回路をさらに配置してもよく、駆動回路は、コイル232内の電流のサイズ及び方向を制御するように構成される。磁気素子223はコイル232と相互作用して推力を生成し、コイル232を保持する環状回路基板231を駆動して動かす。
【0042】
図2は、本願の一実施形態に係る環状回路基板231の構造の概略図である。環状回路基板231は、例えば、環状プリント回路基板又は回路を収容可能な別の基板であり得る。この実施形態では、環状回路基板231は、例えば、プリント回路基板231aと、プリント回路基板231a上に配置されるコイル232とを含む。例えば、プリント回路基板231aは、共通の中心を有する正方形構造のものであり得る。共通の中心を有する正方形構造に加えて、プリント回路基板231aは、代替的に、例えば、三角形環状構造、正五角形環状構造、正六角形環状構造等であり得る。プリント回路基板231aの中間部に第2の貫通穴231bが設けられ、プリント回路基板231aの各側端に2つのコイル232が配置されている。加えて、つり線を接続するように構成された取り付け穴233がプリント回路基板231aの四隅の頂点のそれぞれに設けられる。
【0043】
図3(a)~図3(c)は、いくつかの異なる通電の事例における環状磁石223aの作用下での、図2に示す環状回路基板231上のコイル232に対する力の方向を示す。理解を容易にするために、本願の以下の実施形態では、異なる通電の事例における環状回路基板231に対する力の方向を説明するために、共通の中心を有する正方形構造の環状回路基板231を一例として用いる。図3(a)は、環状磁石223aとコイル232との相対位置関係及び環状磁石223aの磁極を示す。図3(b)は、X軸方向の作用力及びY軸方向の作用力が生成された場合のコイル232の電流の通電方向を示す。図3(c)は、回転作用力が生成された場合のコイル232の電流の通電方向を示す。図3(a)及び図3(b)では、実線の矢印は電流の方向を表し、中空の矢印はコイルに対する力の方向を表す。
【0044】
図3(a)に示すように、例えば、環状磁石223aの内側部分はN極であり、環状磁石223aの外側部分はS極である。図3(b)に示すように、図中のY軸に平行な2つの側端(例えば、図示の第1の側端231c及び第3の側端231e)のコイル232に反時計回り又は時計回りの電流が別々に流されると、X軸方向の作用力が生成されて環状回路基板231を駆動し、X方向に動かし得る。第1の側端231c及び第3の側端231eのコイル232に印加される電流の方向は同じであって、異なっていてもよく、印加される電流の大きさは同じであっても、異なっていてもよい。第1の側端231c及び第3の側端231eのコイル232の電流の方向及び大きさを制御して、環状回路基板231に対する力をX軸方向に制御し、環状回路基板231を駆動してX方向に動かす。図中のX軸に平行な2つの側端(例えば、図示の第2の側端231d及び第4の側端231f)のコイル232に反時計回り又は時計回りの電流が別々に印加された場合、Y軸方向の作用力が生成され、環状回路基板231を駆動してY方向に動かし得る。第2の側端231d及び第4の側端231fのコイル232に印加される電流の方向は同じであっても、異なっていてもよく、印加される電流の大きさは同じであっても、異なっていてもよい。第2の側端231d及び第4の側端231fのコイル232の電流の方向及び大きさを制御して、環状回路基板に対する力をY軸方向に制御し、環状回路基板を駆動してY方向に動かす。4つの側端の各コイル232の電流の方向及び大きさを制御して、環状回路基板231がX軸及び/又はY軸に沿って移動するか又はX軸又はY軸を回転軸として回転するように制御する。図3(c)に示すように、各側端の2つのコイル232に異なる方向の電流がそれぞれ印加されると、X/Y平面に回転作用力が生成され得るため、環状回路基板231は平面内を反時計回り又は時計回りに回転できる。図3(b)及び図3(c)に示す通電ケースでは、通電電流の大きさは同じである。
【0045】
図3(b)及び図3(c)は、コイルの力の状態の例にすぎないことが理解されよう。コイル232の電流の通電方向及び大きさが変更されると、コイル232は異なる作用力を取得し得るため、環状回路基板231の多角度及び多方向移動が実施される。これは、多角度及び多方向の手ブレ補正機能を実施するのに貢献する。加えて、環状回路基板231上のコイル232の配置数及び配置位置等の要因が変更された場合、環状回路基板231を変化させる別の通電方法が存在し得る。
【0046】
依然図1を参照する。本願の一実施形態のボイスコイルモータ2では、環状回路基板231は可撓性機構24にさらに接続され得るため、環状回路基板231は可撓性機構24を用いることにより外部回路に接続できる。回路は可撓性機構24に配置されている。具体的には、可撓性機構は電気信号接続を実施するために可撓性プリント回路を含み得る。加えて、可撓性機構24は、機械的な支持体の役割を果たすために、環状回路基板231のキャリアとしてさらに用いられ得る。可撓性機構24は、環状回路基板231が移動した場合に程度変形できるため、可撓性機構24は環状回路基板231と協調して移動できる。
【0047】
図4(a)及び図4(b)は、本願の一実施形態に係る可撓性機構の構造の概略図である。図4(a)は、組み立てられていない状態の可撓性機構24の構造の概略図である。図4(b)は、組み立てられた状態の可撓性機構24の構造の概略図である。
【0048】
図4(a)に示すように、可撓性機構24は、環状回路基板231に接続するように構成された可撓性基板241と、可撓性基板241に接続された可撓性アーム242とを含み得る。この実施形態の可撓性基板241は、共通の中心を有する正方形構造のものであってもよく、可撓性アーム242は、可撓性基板241の端部から外側に延び、配線端子243は、可撓性アーム242の自由端に配置されている。
【0049】
図4(b)に示すように、2つの可撓性アーム242があり、可撓性アーム242のそれぞれは、可撓性基板241の頂点角から、可撓性基板241を周方向に取り囲む。可撓性基板241及び可撓性アーム242のそれぞれに回路が配置され、可撓性基板241が環状回路基板と組み立てられた後、環状回路基板を外部回路に接続できる。本願では、外部回路は、ボイスコイルモータが位置する電子装置の処理回路であり得る。例えば、ボイスコイルモータが携帯電話で用いられている場合、外部回路は携帯電話のプロセッサであり得る。本願では、外部回路は、可撓性機構24を用いることによりボイスコイルモータを制御(例えば、移動アセンブリ23を動かすためにコイル232の電流の方向及びサイズを変更)し得るか又は可撓性機構24を用いることにより画像センサセンブリ内のデータを取得し得る。
【0050】
図5は、環状回路基板231が可撓性機構に取り付けられた後の断面構造の概略図である。可撓性機構の可撓性基板241は、環状回路基板231の表面で覆われている。
【0051】
加えて、画像センサセンブリが環状回路基板231と共に移動できるようにするために、本願の一実施形態では、可撓性基板241の、環状回路基板231から離れた側の面に画像センサセンブリを固定するように構成された接続部が配置され、例えば、パッドが配置され得る。パッドは、可撓性基板241と画像センサセンブリとの間の固定接続及び電気接続の両方を実施するために用いられる。
【0052】
可撓性機構24の放熱能力を改善するために、可撓性基板241の、環状回路基板231から離れた側の面及び可撓性アーム242の面のそれぞれに熱伝導層が配置されている。環状回路基板231及び可撓性機構24の動作プロセスで生じる熱が可能な限り早く放熱されるように、熱伝導層の熱伝導係数は可能な限り高くすべきである。熱伝導層は、例えばグラフェン熱伝導層であり得る。グラフェンは熱伝導率が高いため、熱伝導層の材料にグラフェンを用いることにより、可撓性アームの放熱能力を効果的に改善できる。別の可能な実施形態では、熱伝導層はグラファイト熱伝導層、銅層、銀層等であり得る。
【0053】
上記の構造に加えて、ボイスコイルモータは、レンズアセンブリを取り付けるように構成された位置決め機構をさらに含み得ることが理解されよう。依然図1を参照する。レンズアセンブリがボイスコイルモータ2に取り付けられている場合、位置決め機構は、レンズアセンブリを取り付けるために、環状締結部221の内壁に配置され得る。この実施形態では、位置決め機構は、例えば、環状ハウジング224であり、環状ハウジング224の中間部にある貫通穴部はレンズアセンブリを取り付けるように構成されている。環状ハウジング224が組み立てられると、環状ハウジング224の周面は、位置決めするように環状締結部221の内面に接続され得る。加えて、環状ハウジング224の光軸方向の位置決め部として磁気素子223がさらに用いられ得る。加えて、モータハウジング21の外面に配置されるように、環状ハウジング224の端部にフランジがさらに配置され得る。
【0054】
本願の一実施形態に係るボイスコイルモータの組み立て構造を図6に示す。固定アセンブリ22及び移動アセンブリ23(固定アセンブリ22及び移動アセンブリ23は図6に図示されておらず、詳細については図1を参照のこと)は、モータハウジング21の内部で組み付けられている。環状ハウジング224は、環状締結部221(図6に図示されておらず、詳細については図1を参照のこと)の第1の貫通穴に固定され、カバープレート211はモータハウジング21のバックライト側21bに位置する。
【0055】
本願の可能な実施形態では、図1に示す部品が組み立てられた後に得られたボイスコイルモータの断面構造の概略図を図7に示す。理解を容易にするために、環状締結部221が図7のカバープレート211を指す方向を「上から下」と定義する。この実施形態のボイスコイルモータ2では、モータハウジング21内に組み付けられた環状締結部221及び環状回路基板231は互いに分離され、互いに反対に配置されている。環状締結部221の下面の環状磁石223aと、環状回路基板231の上面にある、複数のコイル232を含むコイル群とは、上から下に互いに反対に配置されている。環状回路基板231は、つり線25を用いることにより、環状締結部221の環状ばね222aに吊り下げられている。各つり線25の一端は環状バネ222aの頂点角に接続され、つり線25の他端は環状回路基板231に接続されている。可撓性基板241は、環状回路基板231の下面に覆われており、可撓性基板241に接続された可撓性アーム242は、環状締結部221とモータハウジング21との間に配置され、モータハウジング21に配置された外部回路インターフェイスに接続されている。
【0056】
本願のこの実施形態のボイスコイルモータ2では、移動アセンブリ23と、固定アセンブリ22とは、光軸方向に順次配置され、移動アセンブリ23と固定アセンブリ22との間に特定の間隙が存在し、移動アセンブリ23及び固定アセンブリ22はつり線25を用いることにより接続されていることが分かる。加えて、画像センサセンブリを組み立てるように構成された接続部は、移動アセンブリ23に確保されている。このように、画像センサセンブリと、モータ部品との独立した生産及び自由な組み立てを実施できる。画像センサセンブリと、モータ部品とが別々のメーカーによって製造されている場合、各部品に対して機能検証を独立して行うことができる。例えば、ボイスコイルモータはコイル及び磁石の両方を有するため、ボイスコイルモータを製造するメーカーは、ボイスコイルモータに対して機能検証を独立して行い得る(例えば、通電後に移動アセンブリの動きが所定の指標を満たすかどうかを確認する)。このように、画像センサセンブリの配送プロセスは、モータ部品のものから独立している。これは、配送品質の管理及び制御と、カメラモジュールの全体的な歩留まりの改善とに貢献する。
【0057】
図2図4(a)、図4(b)及び図7を参照して、本願のボイスコイルモータの組み立てプロセスを以下でさらに説明する。本願の一実施形態に係るボイスコイルモータの組み立てプロセスは以下のステップを含む。
【0058】
状回路基板231の構造を図2に示し、環状回路基板231はプリント回路基板231aと、プリント回路基板231aに配置されるコイル232とを含み、可撓性機構の構造を図4(a)及び図4(b)に示し、可撓性機構は可撓性基板241及び可撓性アーム242を含む。ステップ(S1):可撓性アーム242が可撓性基板241の周方向に屈曲されるように、可撓性基板241をプリント回路基板231aの表面に固定し、可撓性アーム242を屈曲する。
【0059】
ステップ(S2):環状締結部221の一方側の面に環状磁石223aを固定する。
【0060】
ステップ(S3):つり線25を環状締結部221に固定する。例えば、1つのつり線25は、環状締結部221の環状バネ222aの頂角に別々に固定され、つり線25の他端は環状回路基板231の取り付け穴233に固定される。
【0061】
ステップ(S4):接続された環状締結部221及び環状回路基板231をモータハウジング21内に配置し、可撓性アーム242の接続端子243をモータハウジング21の回路インターフェイスに接続する。
【0062】
ステップ(S5):カバープレート211をモータハウジング21に取り付けて、図7に示すボイスコイルモータ2を得る。
【0063】
カメラモジュールを組み立てて形成する場合、レンズアセンブリ及び画像センサセンブリ等の部品をボイスコイルモータに取り付ける必要があることが理解されよう。したがって、本願の一部の可能な実施形態では、光の透過経路を形成するために、モータハウジング21の入射穴212が、環状締結部221の第1の貫通穴221a及び環状回路基板231の第2の貫通穴231bと同軸に配置され得る。
【0064】
同じ技術コンセプトに基づいて、本願はカメラモジュール100をさらに提供する。例えば、図8は、電子装置のカメラにおけるカメラモジュール100の構造の概略図である。カメラモジュール100は、レンズアセンブリ1、ボイスコイルモータ2及び画像センサセンブリ3を含む。レンズアセンブリ1の一方側から入射した光はレンズアセンブリ1を通過し、撮像のために画像センサセンブリ3に伝達される。画像センサセンブリ3は、得られた光情報を電気信号に変換し、該信号を出力する。電子装置が震えると、ボイスコイルモータ2が画像センサセンブリ3を駆動して動かすため、画像センサセンブリ3上の撮像対象の撮像画素の位置は変化しない。ボイスコイルモータ2はアンペア定理に基づいて動作する。ボイスコイルモータ2内に固定磁場が配置されている。コイルに通電することでコイルに作用力が生成され、コイルを運ぶキャリア及び画像センサセンブリ3を駆動して動かすことにより、手ぶれ補正プロセスが実施される。このプロセスは、コイルの電流の方向及び大きさを制御することにより実際に実施される。
【0065】
別の実施では、レンズアセンブリ1、ボイスコイルモータ2及び画像センサセンブリ3に加えて、カメラモジュール100の構造はフィルターモジュール4をさらに含んでもよく、カメラモジュール100の構造を図9に示す。フィルターモジュール4は、フィルタ基板41と、フィルタ基板上に配置されるフィルタ42とを含む。この実施形態では、フィルタ基板41は画像センサセンブリ3に固定接続され、フィルタ42は画像センサセンブリ3内の画像センサ32の表面に配置されている。加えて、フィルタ基板41は、代替的に、ボイスコイルモータ2に固定接続してもよく、例えば、ボイスコイルモータ2の固定アセンブリ又はモータハウジングに固定され得る。
【0066】
図10は、本願の一実施形態に係るカメラモジュール100の断面構造の概略図である。図10に示すように、理解を容易にするために、環状締結部221がカバープレート211を指す方向を「上から下」と定義する。
【0067】
カメラモジュール100では、環状締結部221の第1の貫通穴221aに組み付けられ、レンズアセンブリ1は環状ハウジング224内に先ず締結され、環状ハウジング224はレンズアセンブリ1と共に環状締結部221の第1の貫通穴221aに配置される。環状締結部221の上部に環状バネ222aが配置され、環状締結部221の下部には環状磁石223aが配置されている。
【0068】
環状締結部221の下に環状回路基板231が配置され、環状締結部221とモータハウジング21との間にあるつり線25を用いることにより環状バネ222a上に吊り下げられている。環状回路基板231の上面に複数のコイル232が配置され、コイル232は環状磁石223aの反対側に配置されている。環状回路基板231の下面に可撓性基板241が配置され、可撓性基板241に一体的に接続された可撓性アーム242が可撓性基板241の周囲に配置され、可撓性アーム242はつり線25とモータハウジング21との間に配置され、可撓性アーム242の接続端子はモータハウジング21に接続されている。加えて、接続部としての役割を果たすリザーブドパッドが、可撓性基板241の、カバープレートに面する側の面に配置されている。
【0069】
この実施形態では、画像センサセンブリ3は、画像センサ回路基板31と、画像センサ回路基板31の、レンズアセンブリ1に近い側の面に配置された画像センサ32とを含む。画像センサ回路基板31の、可撓性基板241に面する側の面には、画像センサ回路基板31と可撓性基板241とを固定接続するためにパッド又は溶接脚が配置されている。画像センサ回路基板31は、溶接により可撓性基板241に固定且つ電気的に接続されている。
【0070】
レンズアセンブリ1、ボイスコイルモータ2及び画像センサセンブリ3がカメラモジュール100に組み立てられた後に、光がレンズアセンブリ1を通過した後に得られる撮像平面は、画像センサ32が位置する面上に位置する。画像センサ32は撮像光に関する情報を取得し、画像センサ回路基板31上の伝送線を用いることにより情報が伝送され、次いで該情報は可撓性基板241を用いることにより伝送され、その後、可撓性アーム242は信号出力を行って撮像情報を得る。画像センサセンブリ3は、可撓性基板241を用いることにより環状回路基板231と共に移動し、画像センサ32によって得られた画像情報を可撓性機構24を用いることにより外部に伝送し得る。
【0071】
この構造のカメラモジュール100が組み立てられると、画像センサセンブリ3は可撓性基板241に直接固定され得る。画像センサセンブリ3と、ボイスコイルモータ2とが異なるメーカーによって製造されている場合、各部品に対して機能検証を独立して行うことができる。これは、配送品質の管理及び制御並びにカメラモジュール100の全体的な歩留まりの改善に一層貢献する。
【0072】
同じ発明概念に基づき、本願は電子装置をさらに提供する。電子装置は、限定されないが、携帯電話、コンピュータ、ウェアラブルデバイス(たとえば、電話懐中電灯又はヘッドマウントディスプレイ等)又はセキュリティカメラを含む。図11は、本願の一実施形態に係る電子装置の構造の概略図である。電子装置1100は、カメラモジュールを用いる任意の電子装置、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータ又はテレビであり得る。図11に示すように、電子装置1100はプロセッサ及びカメラモジュール100を含む。図11は説明のための一例にすぎず、カメラモジュール100の数は1、2、3、4等であり得ることが理解されよう。本明細書では、カメラモジュール100の配置数及び配置位置は具体的に限定されない。
【0073】
図12及び図10を参照されたい。プロセッサ200は、画像センサ32のデータを取得するために、カメラモジュール100内の画像センサセンブリ3に電気的に接続されている。図12に示すように、プロセッサ200は、可撓性機構24を用いることによりボイスコイルモータ2を制御し、プロセッサ200は、画像センサ32のデータを取得するために、可撓性機構24を用いることより画像センサセンブリ3への信号接続をさらに実施し得る。
【0074】
上記の説明は、本願の具体的な実施にすぎず、本願の保護範囲を限定することを意図していない。本願で開示した技術範囲内で当業者が容易に理解できる変更又は置き換えは、本願の保護範囲内にあるものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲は保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12