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特許7586626車両接近報知装置および該装置を備えたピッキングトラック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】車両接近報知装置および該装置を備えたピッキングトラック
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/52 20060101AFI20241112BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20241112BHJP
【FI】
B60Q1/52
H05B47/155
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022197900
(22)【出願日】2022-12-12
(65)【公開番号】P2024083843
(43)【公開日】2024-06-24
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 良平
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-41526(JP,A)
【文献】特開2019-099079(JP,A)
【文献】実開昭50-49838(JP,U)
【文献】特開2006-160408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の昇降可能な運転台に設けられる、車両後方の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、
前記車両の昇降不能な車両本体に設けられる、前記路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、
前記車両本体の走行状態、前記運転台へのオペレータの搭乗状態および前記運転台の昇降位置に応じて前記第1照明部および前記第2照明部の点灯状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、(1)前記車両本体が走行中である場合、および前記車両本体が走行停止中であり、かつ前記運転台の正しい位置に前記オペレータが搭乗している場合は、前記昇降位置と予め定められた閾値との大小関係に応じて前記第1照明部および前記第2照明部のいずれかを点灯させ、(2)前記車両本体が走行停止中であり、かつ前記運転台の正しい位置に前記オペレータが搭乗していない場合は、前記第1照明部および前記第2照明部を消灯させる
ことを特徴とする車両接近報知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記(1)の制御において、前記昇降位置が前記閾値未満であるときは、前記第1照明部を点灯させるとともに前記第2照明部を消灯させ、前記昇降位置が前記閾値以上であるときは、前記第1照明部を消灯させるとともに前記第2照明部を点灯させる
ことと特徴とする請求項1に記載の車両接近報知装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記(2)の制御において、前記運転台の正しい位置に前記オペレータが搭乗していない状態が予め定められた閾値時間にわたって続いた場合に限って前記第1照明部および前記第2照明部を消灯させる
ことを特徴とする請求項2に記載の車両接近報知装置。
【請求項4】
前記第1照明部および前記第2照明部は、前記昇降位置が前記閾値に等しいときに、前記第1報知光および前記第2報知光の軸が前記路面上で交わるように設けられる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両接近報知装置。
【請求項5】
前記第2報知光の色は、前記第1報知光の色と異なっている
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両接近報知装置。
【請求項6】
走行装置を有する車両本体と、
前記車両本体の後方に設けられたマストと、
前記マストに沿って昇降可能な運転台と、
前記運転台に設けられた、車両後方の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、
前記運転台に設けられた、オペレータが正しい位置に搭乗したときに該オペレータの足で必ず操作されるオペレータ検知用ペダルと、
前記車両本体に設けられた、前記路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、
前記車両本体の走行状態、前記オペレータ検知用ペダルの操作状態および前記運転台の昇降位置に応じて前記第1照明部および前記第2照明部の点灯状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、(1)前記車両本体が走行中である場合、および前記車両本体が走行停止中であり、かつ前記オペレータ検知用ペダルが操作されている場合は、前記昇降位置と予め定められた閾値との大小関係に応じて前記第1照明部および前記第2照明部のいずれかを点灯させ、(2)前記車両本体が走行停止中であり、かつ前記オペレータ検知用ペダルが操作されていない場合は、前記第1照明部および前記第2照明部を消灯させる
ことを特徴とするピッキングトラック。
【請求項7】
前記制御部は、前記(1)の制御において、前記昇降位置が前記閾値未満であるときは、前記第1照明部を点灯させるとともに前記第2照明部を消灯させ、前記昇降位置が前記閾値以上であるときは、前記第1照明部を消灯させるとともに前記第2照明部を点灯させる
ことと特徴とする請求項6に記載のピッキングトラック。
【請求項8】
前記制御部は、前記(2)の制御において、前記オペレータ検知用ペダルが操作されていない状態が予め定められた閾値時間にわたって続いた場合に限って前記第1照明部および前記第2照明部を消灯させる
ことを特徴とする請求項7に記載のピッキングトラック。
【請求項9】
前記第1照明部および前記第2照明部は、前記昇降位置が前記閾値に等しいときに、前記第1報知光および前記第2報知光の軸が前記路面上で交わるように設けられている
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のピッキングトラック。
【請求項10】
前記第2報知光の色は、前記第1報知光の色と異なっている
ことを特徴とする請求項6~請求項8のいずれか一項に記載のピッキングトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の路面に向けて光を照射することより車両の接近を周辺にいる者に報知する車両接近報知装置、および該装置を備えたピッキングトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1照明部と第2照明部とを含む車両接近報知装置を備えたピッキングトラックが知られている(例えば、特許文献1参照)。第1照明部は、車両の昇降可能な運転台に設けられ、運転台の昇降位置が予め定められた閾値未満であるとき、すなわち低揚高時に点灯し、車両後方の路面に向かって第1報知光を照射する。一方、第2照明部は、車両の昇降不能な車両本体に設けられ、運転台の昇降位置が上記閾値以上であるとき、すなわち高揚高時に点灯し、車両後方の路面に向かって第2報知光を照射する。この車両接近報知装置およびピッキングトラックによれば、第1照明部の第1報知光が路面に十分に届かなくなる高揚高時に該第1照明部に代わって第2照明部が第2報知光を路面に向かって照射するので、車両の接近を周辺にいる者に確実に報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6984987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の車両接近報知装置およびピッキングトラックは、報知の必要性が低い状況でも第1照明部または第2照明部が点灯するため、十分に省電力化されているとはいえない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、従来よりも省電力な車両接近報知装置およびピッキングトラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両接近報知装置は、車両の昇降可能な運転台に設けられる、車両後方の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、車両の昇降不能な車両本体に設けられる、上記路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、車両本体の走行状態、運転台へのオペレータの搭乗状態および運転台の昇降位置に応じて第1照明部および第2照明部の点灯状態を制御する制御部と、を備え、制御部は、(1)車両本体が走行中である場合、および車両本体が走行停止中であり、かつ運転台の正しい位置にオペレータが搭乗している場合は、昇降位置と予め定められた閾値との大小関係に応じて第1照明部および第2照明部のいずれかを点灯させ、(2)車両本体が走行停止中であり、かつ運転台の正しい位置にオペレータが搭乗していない場合は、第1照明部および第2照明部を消灯させる、ことを特徴とする。
【0007】
上記車両接近報知装置の制御部は、例えば、(1)の制御において、昇降位置が閾値未満であるときは、第1照明部を点灯させるとともに第2照明部を消灯させ、昇降位置が閾値以上であるときは、第1照明部を消灯させるとともに第2照明部を点灯させてもよい。
【0008】
上記車両接近報知装置の制御部は、(2)の制御において、運転台の正しい位置にオペレータが搭乗していない状態が予め定められた遅延時間にわたって続いた場合に限って第1照明部および第2照明部を消灯させることが好ましい。
【0009】
上記車両接近報知装置の第1照明部および第2照明部は、昇降位置が閾値に等しいときに、第1報知光および第2報知光の軸が路面上で交わるように設けられることが好ましい。
【0010】
上記車両接近報知装置の第2報知光の色は、第1報知光の色と異なっていることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るピッキングトラックは、走行装置を有する車両本体と、車両本体の後方に設けられたマストと、マストに沿って昇降可能な運転台と、運転台に設けられた、車両後方の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、運転台に設けられた、オペレータが正しい位置に搭乗したときに該オペレータの足で必ず操作されるオペレータ検知用ペダルと、車両本体に設けられた、上記路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、車両本体の走行状態、オペレータ検知用ペダルの操作状態および運転台の昇降位置に応じて第1照明部および第2照明部の点灯状態を制御する制御部と、を備え、制御部は、(1)車両本体が走行中である場合、および車両本体が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダルが操作されている場合は、昇降位置と予め定められた閾値との大小関係に応じて第1照明部および第2照明部のいずれかを点灯させ、(2)車両本体が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダルが操作されていない場合は、第1照明部および第2照明部を消灯させる、ことを特徴とする。
【0012】
上記ピッキングトラックの制御部は、例えば、(1)の制御において、昇降位置が閾値未満であるときは、第1照明部を点灯させるとともに第2照明部を消灯させ、昇降位置が閾値以上であるときは、第1照明部を消灯させるとともに第2照明部を点灯させてもよい。
【0013】
上記ピッキングトラックの制御部は、(2)の制御において、オペレータ検知用ペダルが操作されていない状態が予め定められた遅延時間にわたって続いた場合に限って第1照明部および第2照明部を消灯させることが好ましい。
【0014】
上記ピッキングトラックの第1照明部および第2照明部は、昇降位置が閾値に等しいときに、第1報知光および第2報知光の軸が路面上で交わるように設けられていることが好ましい。
【0015】
上記ピッキングトラックの第2報知光の色は、第1報知光の色と異なっていることが好ましい。
【0016】
なお、本明細書中の用語「点灯」には、周辺にいる者が不快に感じることのないように配慮された規則的な点滅が含まれることとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来よりも省電力な車両接近報知装置およびピッキングトラックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施例に係るピッキングトラックの模式的な側面図である。
図2】第1実施例に係る車両接近報知装置のブロック図である。
図3】第1実施例における各照明部の点灯状態および照射距離と昇降位置との関係を示すグラフであって、(A)は走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダルがオフである場合のグラフ、(B)は走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダルがオンである場合のグラフ、(C)は走行中である場合のグラフである。
図4】第1実施例に係るピッキングトラックの模式的な側面図であって、(A)は低揚高時の側面図、(B)は高揚高時の側面図である。
図5】第1実施例における制御部の動作に関するフロー図である。
図6】本発明の第2実施例に係る車両接近報知装置のブロック図である。
図7】第2実施例における制御部の動作に関するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る車両接近報知装置およびピッキングトラックの実施例について説明する。
【0020】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係るピッキングトラック10を示す。同図に示すように、本実施例に係るピッキングトラック10は、走行装置を有する車両本体11と、車両本体11の後方に設けられた左右一致のレッグ12,12およびマスト13と、マスト13に沿って昇降可能な運転台14とを備えている。また、運転台14は、オペレータによって操作される各種レバー等からなる操作盤15と、床板16と、床板16から後方に向かって延びた左右一対のフォーク17,17と、オペレータの頭上を覆うヘッドガード18と、オペレータ検知用ペダル19とを有している。
【0021】
オペレータ検知用ペダル19は、プレゼンススイッチ等と呼ばれているもので、運転台14の床板16に設けられている。オペレータ検知用ペダル19は、オペレータが正しい位置(操作盤15の方を向いた該操作盤15を操作しやすい位置)に搭乗したときに該オペレータの左右どちらかの足で必ず操作される、すなわち踏みつけられるような位置に配置されている。逆に言うと、オペレータ検知用ペダル19のオンは、オペレータが正しい位置に搭乗していることを意味し、オフは、オペレータが正しい位置に搭乗していないことを意味する。
【0022】
なお、ピッキングトラック10は、オペレータ検知用ペダル19がオフであるときに操作盤15が操作されても、車両本体11の走行装置が作動したり、運転台14が昇降したりしないように構成されている。
【0023】
本実施例に係るピッキングトラック10は、さらに、車両接近報知装置20Aを構成する制御部21A、第1照明部22および第2照明部23と、昇降位置検知部30と、走行状態検知部40とを備えている。
【0024】
第1照明部22は、車両後方の路面Fに向かって第1報知光L1を照射するLEDライトからなる。路面Fに現れる第1報知光L1の像は、輪郭が曖昧な円状であってもよいし、第1照明部22に設けられたレンズやスリットの作用により、輪郭が明確なスポット状、ライン状または矢印状とされていてもよい。また、第1報知光L1の色は、報知効果を高めるために、路面Fに対して目立つ色であることが好ましい。本実施例では、第1報知光L1の色は青である。
【0025】
第1照明部22は、不図示の適当なブラケットを介してヘッドガード18の後端部に設けられている。第1照明部22は、その照射方向(すなわち、第1報知光L1の軸)が鉛直線Pに対して角度θ1をなすように設けられている。
【0026】
第2照明部23は、車両後方の路面Fに向かって第2報知光L2を照射するLEDライトからなる。路面Fに現れる第2報知光L2の像は、第1報知光L1の像と同様、輪郭が曖昧な円状であってもよいし、輪郭が明確なスポット状、ライン状または矢印状であってもよい。また、第2報知光L2の色は、報知効果を高めるために、路面Fに対して目立つ色であることが好ましく、第1報知光L1の色と異なっていることがさらに好ましい。本実施例では、第2報知光L2の色は赤である。
【0027】
第2照明部23は、不図示の適当なブラケットを介して車両本体11の後方に設けられている。第2照明部23は、その照射方向(すなわち、第2報知光L2の軸)が鉛直線Pに対して角度θ2(ただし、θ2>θ1)をなすように設けられている。
【0028】
図2に示すように、制御部21Aは、昇降位置検知部30が検知した運転台14の昇降位置H、走行状態検知部40が検知した車両本体11の走行状態、およびオペレータ検知用ペダル19の操作状態(オン/オフ)に応じて第1照明部22および第2照明部23の点灯状態を制御するように構成されている。
【0029】
なお、図1では、車両本体11の内部に制御部21Aが設けられているが、制御部21Aの位置は任意に変更することができる。例えば、制御部21Aは、運転台14に設けられていてもよい。また、図1では、車両本体11の内部に昇降位置検知部30および走行状態検知部40が設けられているが、これらの位置も任意に変更することができる。
【0030】
続いて、特に図1図3および図4を参照しながら、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aの動作をさらに詳しく説明する。
【0031】
(1A)走行状態が走行中(前進中/後進中)であり、かつ昇降位置Hが予め定められた閾値Hth未満である場合、制御部21Aは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23を消灯させる。これにより、路面Fに第1報知光L1による青色の像が現れる。なお、「昇降位置Hが閾値Hth未満である場合」の一例は、図4(A)に示す昇降位置Hが下限値Hminである場合である。
【0032】
フォーク17,17の先端から第1報知光L1の像の中心までの距離D1を「第1照射距離」と呼ぶ。図3(C)に示すように、第1照射距離D1は、昇降位置Hに応じて変化する。より詳しくは、第1照射距離D1は、昇降位置Hが高くなると長くなる。
【0033】
本実施例では、閾値Hthは1mである。閾値Hthは、昇降位置Hが該閾値Hthに等しいときに、第2報知光L2が運転台14によって遮られないような値に設定されている。
【0034】
(1B)走行状態が走行中であり、かつ昇降位置Hが閾値Hth以上である場合、制御部21Aは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23を点灯させる。これにより、路面Fに第2報知光L2による赤色の像が現れる。なお、「昇降位置Hが閾値Hth以上である場合」の一例は、図4(B)に示す昇降位置Hが上限値Hmaxである場合である。
【0035】
フォーク17,17の先端から第2報知光L2の像の中心までの距離D2を「第2照射距離」と呼ぶ。本実施例では、昇降位置Hが閾値Hthに等しいときに、第1照射距離D1と第2照射距離D2とが等しくなるように、閾値Hthおよび角度θ1,θ2が決定されている(図1および図3(C)参照)。つまり、本実施例では、昇降位置Hが閾値Hthに等しいときに、第1報知光L1および第2報知光L2の軸が路面F上で交わるようになっている。これにより、昇降位置Hが閾値Hthに等しくなったときに報知光の像が瞬間的に移動して、周辺にいる者が像を見失ってしまうのを防ぐことができる。
【0036】
図3(C)に示すように、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aでは、昇降位置Hが閾値Hthと上限値Hmaxとの間で変化しても第2照射距離D2は変化しない。このため、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、路面Fに常に十分な報知光を届けることができる。言い換えると、ピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、高揚高時の報知効果の低下を防ぐことができる。
【0037】
また、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aでは、昇降位置Hに応じて路面Fに現れる像の色が変化する。ピッキングトラック10のオペレータは、高揚高時に周辺にいる者に気付きにくくなる傾向にあるところ、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、路面Fに現れている像の色に基づいて周辺にいる者が高揚高であることに気付き、周囲をより警戒することで、ピッキングトラック10との接触を自ら回避することができる。
【0038】
(2A)走行状態が走行停止中であり、オペレータ検知用ペダル19がオンであり、かつ昇降位置Hが閾値Hth未満である場合、制御部21Aは、上記(1A)の場合と同じ制御を行う(図3(B)参照)。
【0039】
(2B)走行状態が走行停止中であり、オペレータ検知用ペダル19がオンであり、かつ昇降位置Hが閾値Hth以上である場合、制御部21Aは、上記(1B)の場合と同じ制御を行う(図3(B)参照)。
【0040】
走行停止中のピッキングトラック10と周辺にいる者とが接触する可能性は、走行中のピッキングトラック10と周辺にいる者とが接触する可能性に比べてかなり低い。このため、走行状態が走行停止中であれば、省電力の観点から第1照明部22および第2照明部23を消灯するのが好ましいようにも思える。しかしながら、走行状態が走行停止中であっても、オペレータ検知用ペダル19がオンである場合、すなわち、オペレータが操作盤15を操作しやすい位置にいる場合は、ピッキングトラック10がすぐに走行を再開する可能性が高いといえる。このことを考慮して、本実施例では、走行状態が走行停止中であっても、オペレータ検知用ペダル19がオンである場合は、走行状態が走行中である場合と同様に第1照明部22または第2照明部23を点灯させる。これにより、消灯させた第1照明部22および第2照明部23がすぐに再点灯することにより、周辺にいる者が不快な眩しさを感じるのを防ぐことができる。
【0041】
(3)走行状態が走行停止中であり、オペレータ検知用ペダル19がオフである場合は、ピッキングトラック10と周辺にいる者とが接触する可能性が低く、かつピッキングトラック10がすぐに走行を再開する可能性も低い。このため、制御部21Aは、昇降位置Hおよび閾値Hthの大小関係にかかわらず、第1照明部22および第2照明部23を消灯させる(図3(A)参照)。
【0042】
制御部21Aは、図5に示すフローにしたがって上記の制御を行う。
【0043】
最初に実行するステップS1において、制御部21Aは、走行状態検知部40による検知の結果に基づいて走行状態が走行中であるか否かを判定する。そして、走行中である場合はステップS2に進み、そうでない場合はステップS3に進む。
【0044】
ステップS2において、制御部21Aは、昇降位置検知部30による検知の結果(昇降位置H)に基づいて第1照明部22または第2照明部23を点灯させる。
【0045】
ステップS3において、制御部21Aは、オペレータ検知用ペダル19がオフであるか否かを判定する。そして、オフである場合はステップS4に進み、そうでない場合はステップS1に進む。
【0046】
ステップS4において、制御部21Aは、第1照明部22および第2照明部23を消灯させる。
【0047】
走行状態が走行中である場合、すなわち、上記(1A)および(1B)の場合、制御部21Aは、ステップS1,S2を「ステップS1(Yes)→ステップS2→ステップS1(Yes)→・・・」の順に繰り返し実行する。
【0048】
走行状態が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダル19がオンである場合、すなわち、上記(2A)および(2B)の場合、制御部21Aは、ステップS1,S3を「ステップS1(No)→ステップS3(No)→ステップS1(No)→・・・」の順に繰り返し実行する。
【0049】
また、走行状態が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダル19がオフである場合、すなわち、上記(3)の場合、制御部21Aは、ステップS1,S3,S4を「ステップS1(No)→ステップS3(Yes)→ステップS4→ステップS3(Yes)→・・・」の順に繰り返し実行する。
【0050】
このように、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aは、走行状態が走行中である場合、および走行状態が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダル19がオンである場合は、昇降位置Hにしたがって第1照明部22または第2照明部23を点灯させる(図3(B),(C)参照)。また、ピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aは、走行状態が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダル19がオフである場合は、第1照明部22および第2照明部23を消灯させる(図3(A)参照)。したがって、ピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、報知効果が低下したり周辺にいる者が不快に感じたりするのを防ぎながら、第1照明部22および第2照明部23が消費する電力を低減させることができる。
【0051】
[第2実施例]
図6に、本発明の第2実施例に係る車両接近報知装置20Bを示す。車両接近報知装置20Bは、制御部21Aの代わりに制御部21Bを備えている点において図2に示した第1実施例に係る車両接近報知装置20Aと相違しているが、他の点においては車両接近報知装置20Aと共通している。
【0052】
また、本発明の第2実施例に係るピッキングトラックは、車両接近報知装置20Aの代わりに車両接近報知装置20Bを備えている点において図1に示した第1実施例に係るピッキングトラック10と相違しているが、他の点においてはピッキングトラック10と共通している。
【0053】
(1A)走行状態が走行中であり、かつ昇降位置Hが予め定められた閾値Hth未満である場合、制御部21Bは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23を消灯させる。
【0054】
(1B)走行状態が走行中であり、かつ昇降位置Hが閾値Hth以上である場合、制御部21Bは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23を点灯させる。
【0055】
(2A)走行状態が走行停止中であり、オペレータ検知用ペダル19がオンであり、かつ昇降位置Hが閾値Hth未満である場合、制御部21Bは、上記(1A)の場合と同じ制御を行う。
【0056】
(2B)走行状態が走行停止中であり、オペレータ検知用ペダル19がオンであり、かつ昇降位置Hが閾値Hth以上である場合、制御部21Bは、上記(1B)の場合と同じ制御を行う。
【0057】
(3)走行状態が走行停止中であり、オペレータ検知用ペダル19がオフである場合、制御部21Bは、第1照明部22および第2照明部23を消灯させる。
【0058】
制御部21Bは、図7に示すフローにしたがって上記の制御を行う。
【0059】
最初に実行するステップS1において、制御部21Bは、走行状態検知部40による検知の結果に基づいて走行状態が走行中であるか否かを判定する。そして、走行中である場合はステップS2に進み、そうでない場合はステップS5に進む。
【0060】
ステップS2において、制御部21Bは、昇降位置Hに基づいて第1照明部22または第2照明部23を点灯させる。
【0061】
ステップS5において、制御部21Bは、予め定められた遅延時間の間、オペレータ検知用ペダル19のオフが継続したか否かを判定する。そして、継続した場合はステップS4に進み、そうでない場合はステップS1に進む。なお、後者には、オペレータ検知用ペダル19が最初からオンである場合と、上記遅延時間が経過する前にオペレータ検知用ペダル19がオフからオンに切り替わった場合とが含まれる。
【0062】
ステップS4において、制御部21Bは、第1照明部22および第2照明部23を消灯させる。
【0063】
走行状態が走行中である場合、制御部21Bは、ステップS1,S2を「ステップS1(Yes)→ステップS2→ステップS1(Yes)→・・・」の順に繰り返し実行する。
【0064】
走行状態が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダル19がオンまたは短期間のオフである場合、制御部21Bは、ステップS1,S5を「ステップS1(No)→ステップS5(No)→ステップS1(No)→・・・」の順に繰り返し実行する。
【0065】
また、走行状態が走行停止中であり、かつオペレータ検知用ペダル19が長時間のオフである場合、制御部21Bは、ステップS1,S4,S5を「ステップS1(No)→ステップS5(Yes)→ステップS4→ステップS5(Yes)→・・・」の順に繰り返し実行する。
【0066】
このように、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Bは、予め定められた遅延時間を超える比較的長時間にわたってオペレータ検知用ペダル19がオフであった場合に限って第1照明部22および第2照明部23を消灯させる。したがって、ピッキングトラック10および車両接近報知装置20Bによれば、例えば、走行状態が前進から後進に切り替わるときの一瞬の走行停止中にオペレータの足がオペレータ検知用ペダル19からずれただけで第1照明部22および第2照明部23が消灯してしまうのを防ぐことができる。
【0067】
[変形例]
【0068】
以上、本発明に係る車両接近報知装置およびピッキングトラックの第1,第2実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
【0069】
例えば、制御部21A,21Bは、オペレータ検知用ペダル19(プレゼンススイッチ)以外の手段によって検知されたオペレータの搭乗状態に基づいて制御を行ってもよい。
【0070】
また、第1照明部22は、運転台14の任意の位置(ヘッドガード18の後端部以外の位置)に設けられてもよい。
【0071】
また、第1照射距離D1と第2照射距離D2は、昇降位置Hが閾値Hthであるときに必ずしも一致しなくてもよい。
【0072】
また、第1報知光L1の色(青)および第2報知光L2の色(赤)は、単なる例示に過ぎない。例えば、本発明では、第1報知光L1および第2報知光L2の色が同一であってもよい。
【0073】
閾値Hth(1m)も、単なる例示に過ぎない。
【符号の説明】
【0074】
10 ピッキングトラック
11 車両本体
12 レッグ
13 マスト
14 運転台
15 操作盤
16 床板
17 フォーク
18 ヘッドガード
19 オペレータ検知用ペダル
20A,20B 車両接近報知装置
21A,21B 制御部
22 第1照明部
23 第2照明部
30 昇降位置検知部
40 走行状態検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7