(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】液体接着剤の流れを監視するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20241112BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
(21)【出願番号】P 2018552230
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(86)【国際出願番号】 US2017025309
(87)【国際公開番号】W WO2017176573
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-02-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】フォート,ウェズレー シー.
(72)【発明者】
【氏名】ラムスペック,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ラモゼヴァク,エネス
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】淺野 美奈
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538672号公報(JP,A)
【文献】特開2013-96415号公報(JP,A)
【文献】特表2009-542430号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C1/00-21/00
B05D1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤の出力を監視する接着剤追跡システムであって、該接着剤追跡システムは、
流入口通路、流出口通路、一対の回転可能な歯車、及び少なくとも1つのセンサーを有する流量計であって、前記流量計と前記流出口通路とから流出するホットメルト接着剤の量を測定するように構成された、流量計と、
前記ホットメルト接着剤を
複数の接着剤アプリケータへ出力するように構成されたマニホールドであって、
前記流量計の前記流入口通路は、前記マニホールド
の流路から前記ホットメルト接着剤を受け取るように構成され、
前記流量計の前記流出口通路は、前記マニホールドの
前記流路へ前記ホットメルト接着剤を戻すよう放出するように構成され、
前記ホットメルト
接着剤が前記複数の接着剤アプリケータの各々へ放出される、マニホールドと、
前記ホットメルト接着剤が塗布される製品の存在を検出するように構成された少なくとも1つの製品検出器であって、前記製品の先端縁
と終端縁
と、製品数
とを求める製品検出器と、
前記流量計及び前記少なくとも1つの製品検出器と通信し、プロセッサを備える制御装置と、
を備え、前記プロセッサは、
前記
ホットメルト接着剤を前記製品に塗布する開始時間及び終了時間を求めることであって、前記製品検出器によって検出された前記製品の前記先端縁と前記終端縁とに基づいて求められた前記開始時間と前記終了時間とを求めることと、
前記開始時間から前記終了時間までに前記流量計の前記流出口通路から流出する前記
ホットメルト接着剤の量を受信することと、
前記製品の検知された前記先端縁と前記終端縁と、前記開始時間と前記終了時間と、前記製品数とを含むデータを使用して、前記制御装置において、前記流出口通路から流出する前記
ホットメルト接着剤の前記受信された量を前記検出された製品に関連付けることと、
前記
ホットメルト接着剤の前記受信された量が
所定の範囲外であるかどうか判断するために、前記
ホットメルト接着剤の前記受信された量と
前記所定の範囲とを比較することと、
を行うように構成される、
接着剤追跡システム。
【請求項2】
前記流量計は、前記流入口通路
及び前記流出口通路を有するハウジングを更に備え、
前記マニホールドは、前記流量計の前記流入口通路と流体連通する入力ポートと、前記流量計の前記流出口通路と流体連通する少なくとも1つの出力ポートとを備える、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項3】
前記マニホールドの前記入力ポートは、接着剤ペレットを溶融するように構成された加熱される接着剤供給部に結合されるように構成される、請求項2に記載の接着剤追跡システム。
【請求項4】
前記流量計は、前記マニホールドに取外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項5】
前記流量計は、前記マニホールドと一体である、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記ホットメルト接着剤の前記受信した量に基づいて、前記流量計の前記流出口通路から流出する前記ホットメルト接着剤の重量を計算するように更に構成される、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項7】
前記流量計は、前記一対の回転可能な
歯車の回転を測定する少なくとも1つのセンサーを更に備える、請求項
6に記載の接着剤追跡システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記ホットメルト接着剤の前記受信した量に基づいて、前記流量計の前記流出口通路から流出する前記ホットメルト接着剤の体積を計算するように更に構成され、
前記少なくとも1つの製品検出器は、光電子スイッチである、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記
ホットメルト接着剤の前記受信した量に基づいて、前記流量計の前記流出口通路から流出する前記
ホットメルト接着剤の体積を計算するように更に構成される、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
2つ以上の製品への前記ホットメルト接着剤の塗布の第2の開始時間及び第2の終了時間を求めることと、
前記第2の開始時間から前記第2の終了時間までに前記流量計の前記流出口通路から流出する前記ホットメルト接着剤の量を受信することと、
前記第2の開始時間と前記第2の終了時間との間に前記2つ以上の製品に塗布される
前記ホットメルト接着剤の平均量を計算することと、
前記ホットメルト接着剤の前記量を前記2つ以上の製品のそれぞれに関連付けることと、
を行うように更に構成される、請求項1に記載の接着剤追跡システム。
【請求項11】
ホットメルト接着剤の流れを監視する方法であって、
少なくとも1つの製品検出器を用いることにより、前記ホットメルト接着剤の流れが塗布される製品の存在と、前記製品の先端縁と終端縁と、製品数とを求めることと、
前記ホットメルト接着剤の流れを前記製品に塗布する開始時間及び終了時間を求めることであって、前記製品検出器によって求められた前記製品の前記先端縁と前記終端縁に依存する前記開始時間と前記終了時間とを求めることと、
前記ホットメルト接着剤をマニホールドの流路から流量計の流入口へ流れさせ、前記流量計と前記流量計の流出口とを通って、前記マニホールドの前記流路へ流れさせることと、
前記マニホールドと流体連通する流量計を用いて、マニホールドから吐出される前記ホットメルト接着剤の流れの量を測定することによって、前記開始時間から前記終了時間までに前記製品に塗布される前記ホットメルト接着剤の流れの量を求めることと、
前記製品の前記検出された前記先端縁と前記終端縁と、前記開始時間及び前記終了時間と、前記製品数とを含むデータを使用することと、
前記流出口通路から流出する前記ホットメルト接着剤の前記測定された量を前記検出された製品に関連付けることと、
前記ホットメルト接着剤の前記求められた量が
所定の範囲外であるかどうか判断するために、前記
ホットメルト接着剤の前記求められた量と前記
所定の範囲とを比較することと、
を含み、
前記流量計は、前記マニホールドからのホットメルト接着剤を受け取るように構成された流出口通路と、一対の回転可能な歯車と、前記流量計を通して流れるホットメルト接着剤の量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサー
とを有する、
方法。
【請求項12】
2つ以上の製品への前記ホットメルト接着剤の塗布の第2の開始時間及び第2の終了時間を求めることと、
前記流量計を用いて、前記第2の開始時間から前記第2の終了時間までに前記マニホールドから流出する前記ホットメルト接着剤の量を測定することと、
前記第2の開始時間と前記第2の終了時間との間に前記2つ以上の製品に塗布される前記ホットメルト接着剤の平均量を計算することと、
前記
ホットメルト接着剤の量を前記2つ以上の製品のそれぞれに関連付けることと、
を更に含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記2つ以上の製品に塗布される前記ホットメルト接着剤の平均量が所定のアラーム閾値パラメーター外である場合、アラームをトリガーすることを更に含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記アラームは、可聴信号又は視覚信号である、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定のアラーム閾値パラメーター外の前記ホットメルト接着剤の平均量を有する連続した製品の数を求めることを更に含み、
前記アラームをトリガーすることは、前記連続した製品の数が所定のアラーム遅延パラメーターを超えた場合、前記アラームをトリガーすることを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
前記所定のアラーム遅延パラメーターは、ユーザー調整可能である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
学習プロセス中に前記2つ以上の製品に塗布される前記ホットメルト接着剤の平均量に基づいて、前記所定のアラーム閾値パラメーターを決定することを更に含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年4月4日に出願された米国仮特許出願第62/318,114号明細書の利益を主張し、この出願の開示は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、ホットメルト接着剤システムに関し、より詳細には、ホットメルト接着剤システムから吐出されるホットメルト接着剤又は他の流動性の液体材料の量を監視するように構成された接着剤追跡システムに関する。
【背景技術】
【0003】
熱可塑性ホットメルト接着剤又は他の流動性材料を吐出する吐出システムは、製造及び包装業において広く用いられている。例えば、ホットメルト接着剤は、とりわけ、カートン封止、ケース封止、トレイ形成、パレット安定化、及び不織布用途に用いられる場合がある。通常、ホットメルト接着剤は、接着剤メルターのタンク又はホッパー等の接着剤供給部に収容され、接着剤供給部から提供される。それに応じて、ホットメルト接着剤は、加熱、溶融され、ホットメルト接着剤を製品又は基材に塗布する吐出アプリケーター又は他のアプリケーター等のディスペンサーに圧送される。
【0004】
通常、液体ホットメルト接着剤を方向付けて複数の流れストリームにし、ホースを通してディスペンサーへと出力するのに、マニホールドが用いられる。ピストンポンプ等の異なるタイプのポンプが、マニホールドを含むホットメルト接着剤システムを通して液体ホットメルト接着剤を駆動する。計量システムは、ホットメルト接着剤吐出システムにおけるホットメルト接着剤の流れを監視することができる。従来の計量システムは、通常、吐出システムの各それぞれの放出口と流体連通し、各出口を通る液体材料の流れを個別に監視することができるようになっている。この構成は、低吐出流量に適しており、1つの液体放出口を通る流れの制限が、残りの液体放出口からの液体の流れに影響を与えないことを保証する。
【0005】
しかしながら、各液体放出口に個別の流量計を設置するコストは、特に、4~6つのアプリケーターを備え得る吐出システムには経済上実際的ではない。その上、複数の流量計は、構成部品の多さから、より多くのメンテナンスコストを必要とする。更に、従来の計量システムは、既存の吐出システムに後付け可能でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、例えば、全ての製品に吐出される接着剤の量を監視する、ホットメルト接着剤システムのマニホールドと直接流体連通する単一の流量計を設けることで、これらの欠点に対処する、ホットメルト接着剤吐出ユニットとともに用いる計量システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様において、ホットメルト接着剤の出力を監視する接着剤追跡システムが開示される。接着剤追跡システムは、流入口及び流出口を有する流量計を備える。流量計は、流出口から流出する接着剤の量を測定するように構成される。接着剤追跡システムは、接着剤を出力するように構成されたマニホールドを更に備える。マニホールドは、流量計と流体連通する。接着剤追跡システムはまた、接着剤が塗布される製品の存在を検知するように構成された少なくとも1つの製品検出器と、流量計及び少なくとも1つの製品検出器と通信する制御装置とを備える。制御装置は、接着剤の製品への塗布の開始時間及び終了時間を求め、開始時間から終了時間までに流量計の流出口から流出する接着剤の量を受信し、その接着剤の量を製品に関連付けるように構成されたプロセッサを備える。
【0008】
別の実施態様において、ホットメルト接着剤の流れを監視する方法が開示される。本方法は、少なくとも1つの製品検出器を用いることにより、接着剤が塗布される製品の存在を検出することと、接着剤を製品に塗布する開始時間及び終了時間を求めることと、マニホールドと流体連通する流量計を用いて、マニホールドから吐出される接着剤の量を測定することによって、開始時間から終了時間までに製品に塗布される接着剤の量を求めることと、接着剤の量を製品に関連付けることとを含む。
【0009】
別の実施態様において、接着剤供給部と、マニホールドと、ヒーターと、吐出アプリケーターに接続された少なくとも1つのホースとを備えるホットメルト接着剤システムにおいて用いられる流量計が開示される。流量計は、中空中央凹部と、マニホールドからホットメルト接着剤を受け取るように構成された流入口通路と、ホットメルト接着剤をマニホールドに戻すよう放出するように構成された流出口通路とを有するハウジング本体を備える。流量計は、ハウジング本体に取外し可能に取り付けられるとともに、ハウジング本体の中空中央凹部に近接する平坦な内面を有するハウジングカバーも備える。流量計は、中空中央凹部内に設けられ、ハウジング本体とハウジングカバーとの間に回転可能に固定された一対の回転可能な歯車と、流量計を通って流れるホットメルト接着剤の量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサーとを更に備える。
【0010】
別の実施態様において、ホットメルト接着剤システムは、固形又は半固形のホットメルト接着剤を保持する接着剤供給部と、固形又は半固形のホットメルト接着剤を溶融して液体ホットメルト接着剤にする、接着剤供給部に関連付けられるヒーターと、接着剤供給部と流体連通する第1のマニホールドと、ヒーターから第1のマニホールドに液体ホットメルト接着剤を圧送するポンプと、空気供給部からポンプへの空気の流れを調節する空気圧レギュレーターと、液体ホットメルト接着剤を基材に塗布するように構成された少なくとも1つの接着剤アプリケーターと、液体ホットメルト接着剤の出力を監視する接着剤追跡システムとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ホットメルト接着剤システムの概略図である。
【
図2A】
図1のホットメルト接着剤システムの吐出ユニット及び接着剤追跡システムの背面斜視図である。
【
図2B】
図1のホットメルト接着剤システムの吐出ユニット及び接着剤追跡システムの流量計の背面斜視図である。
【
図7】流量計の部分的に分解された底面斜視図である。
【
図8】流量計のハウジングカバーの底面の平面図である。
【
図9】
図8の線9-9に沿ったハウジングカバーの断面図である。
【
図10A】吐出ユニットに直接取り付けられた補助マニホールドを備える接着剤追跡システムの一実施態様の背面斜視図である。
【
図10B】吐出ユニットに対して遠隔に取り付けられた補助マニホールドを備える接着剤追跡システムの一実施態様の背面斜視図である。
【
図12A】本開示に係る空気圧レギュレーターの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されているように、ホットメルト接着剤システム10は、ペレット等の固形又は半固形のホットメルト接着剤24aを収容し、溶融する接着剤供給部22と、接着剤供給部22に接続されたマニホールド26と、制御装置28と、ユーザーインターフェース29とを備える吐出ユニット20を備える。接着剤供給部22は、とりわけ、タンク式メルター又はグリッドリザーバーメルター(grid and reservoir melter)とすることができる。溶融の際、接着剤供給部22に格納された固形又は半固形のホットメルト接着剤24aは、液体ホットメルト接着剤24へと変化する。接着剤供給部22は、側壁30と、取外し可能なカバー31と、接着剤供給部22内のホットメルト接着剤24a及び液体ホットメルト接着剤24を溶融及び加熱する1つ以上の接着剤供給部ヒーター34を備えるベース32とを備える。ベース32に近接する接着剤供給部出口36は、マニホールド26の入口40に接続する通路38に結合する。
【0013】
マニホールド26は、マニホールド26が接着剤供給部22の側壁30に取り付けられるようにして、ホットメルト接着剤システム10の吐出ユニット20に直接一体化することができる。そのような一体のマニホールド26を備える吐出ユニット20は、
図2A及び
図2Bに示されている。更に詳細に後述するように、他の実施態様において、補助マニホールドは、吐出ユニット20に直接又は間接的に取り付けることで、他のホットメルト接着剤システムに後付けすることができる。
【0014】
図1を再び参照すると、縦型ピストンポンプ(図示の通り)又は歯車ポンプ等の容積式ポンプ(positive-displacement pump)58が、接着剤供給部22からマニホールド26に液体ホットメルト接着剤24を圧送するためにマニホールド26に結合され、そこで、液体ホットメルト接着剤24が別個の流れに分けられる。ポンプモーター59は、ポンプ58を駆動する。マニホールド26は、スペーサー41によって接着剤供給部22の側壁30に取り付けられ、接着剤供給部22のマニホールド26からの断熱をもたらすのに十分な距離42だけ接着剤供給部22から離間している。マニホールド26は、加熱されるホース46を嵌め込むことができる複数の出口ポート44を有し、ホース46は、アプリケーター48、50に液体接着剤24を供給するために、1つ以上の接着剤アプリケーター48、50に取り付けられる。
図1は、マニホールド26に物理的に近接した接着剤供給部22を示しているが、ホットメルト接着剤の供給源がマニホールドとは物理的に離れた他の構成も可能である。そのような構成では、2つ以上のポンプを用いて、接着剤供給部22から最終塗布点に向けてホットメルト接着剤を移動させることができる。
【0015】
図3に概略的に示されているように、マニホールド26は、複数の流れストリームを生成することができ、それらの複数の流れストリームは、対応する加熱されたホース46によってアプリケーター48、50に運ばれる。アプリケーター48、50は、液体ホットメルト接着剤24を、カートン、パッケージ、又は他の物体等の製品に吐出/塗布するように構成された1つ以上の接着剤吐出モジュール54を備える。接着剤吐出モジュール54は、アプリケーターヒーター53を備えるアプリケーター本体51に取り付けられ、フレーム52に支持される。ホットメルト接着剤システム10は、
図1に示されているように、2つのアプリケーター48、50を備え、吐出ユニット20の各側に1つのアプリケーターが位置するが、接着剤システム10の他の実施態様は、異なる数のアプリケーター、吐出モジュール、及び他の形態を用いることができる。
【0016】
また、
図1に示されているように、マニホールド26は、接着剤供給部22と制御装置28との間で、接着剤供給部22に隣接して位置する。マニホールド26がユニット20の中央に位置する他の形態を用いることもできることが理解されるであろう。マニホールド26の出口ポート44は、実質的に吐出ユニット20の中心に配置され、所与の出口ポート44からユニット20のタンク側又は制御装置側への距離が、実質的に同じになっている。出口ポート44のこの中心型配置は、吐出ユニット20の両側に位置する吐出アプリケーター48、50に液体接着剤24を供給するのに同じ長さのホース46を用いることを可能にする。マニホールド26は、接着剤供給部ヒーター34とは別個であり、制御装置28によって独立して制御することができるマニホールドヒーター56を備えることができる。接着剤供給部22及びマニホールド26を加熱するのに、単一のヒーターを用いることができることが理解されるであろう。
【0017】
吐出ユニット20は、吐出ユニット20の電源供給部及び電子制御部を収容する制御装置28を備える。ホース46は、各ホース46に関連付けられるコードセット62によって、制御装置28に電気的に結合される。制御装置28は、接着剤供給部ヒーター34、マニホールドヒーター56、ホース46、及びアプリケーターヒーター53を個々に監視及び調整し、接着剤供給部22内に収容された固形又は半固形の接着剤24aを溶融し、アプリケーター48、50に供給されるとともに接着剤吐出モジュール54によって吐出される接着剤24の適切な粘度を保証するように、液体接着剤24の温度を維持する。
【0018】
ホットメルト接着剤システム10の加熱機構に関して、制御装置28は、接着剤供給部ヒーター34、マニホールドヒーター56、及びアプリケーターヒーター53、更には任意のホースヒーターを含むヒーターに電気的に結合される。また、制御装置28は、接着剤供給部ヒーター34、マニホールドヒーター56、アプリケーターヒーター53、及び任意のホースヒーターに関連付ける又は含むことができる、ホットメルト接着剤システム10内の種々の温度センサーに結合することができる。制御装置28は、接着剤供給部ヒーター34、マニホールドヒーター56、アプリケーターヒーター53、及び任意のホースヒーターを個々に監視及び調整し、接着剤供給部22内に収容された固形又は半固形のホットメルト接着剤24aを溶融し、アプリケーター48、50に供給されるとともに接着剤吐出モジュール54によって吐出される液体ホットメルト接着剤24の適切な粘度を保証するように、(溶融された)液体ホットメルト接着剤24の温度を維持する。例えば、制御装置28は、温度センサーから温度情報を受信し、ヒーター制御命令を各ヒーターに送信して、温度を調整する。そのようなヒーター制御命令は、ホットメルト接着剤システム10における任意のヒーター又は全てのヒーターの温度を上下させることができる。
【0019】
ポンプ58は、接着剤供給部22の外部に位置し、空気供給部61から空気を受け取る空気圧レギュレーター70に接続される。より詳細には、空気圧レギュレーター70は、吐出ユニット20に取り付けられるとともに、空気供給部61に接続される。いくつかの実施態様において、ポンプ58は、マニホールド26に取り付けることができ、マニホールドヒーター56によって加熱することができる。この構成は、より大きなタンク開口60を可能にし、タンク用量を増加させ、ポンプ58を加熱するのに必要な時間を低減する。更に、流量計80を、マニホールド26に取り付けることができる。流量計80は、各センサーに関連付けられるそれぞれのコード63a、63bによって制御装置28に電気的に結合される一対のセンサーを備える。光センサー等の少なくとも1つの製品検出器90も、制御装置28に電気的に結合される。
【0020】
マニホールド26、流量計80、製品検出器90、制御装置28、及びユーザーインターフェース29は、動作中、有用なシステムデータ及びアラームをユーザーに提供するために、吐出される接着剤の総量及び製品ごとに吐出される接着剤の平均量を含め、製品又は基材に塗布される接着剤を監視する接着剤追跡システム37の構成要素である。
図3を再び参照すると、接着剤追跡システム37及びその制御に関する更なる特徴が開示されている。ポンプ58は、接着剤供給部22からマニホールド26へと液体ホットメルト接着剤24を進め、そこで、液体ホットメルト接着剤24が複数の流れストリームに分けられる。マニホールド26は、内部を通る液体ホットメルト接着剤24の流量を測定する流量計80を備える。他の実施態様において、流量計80は、ホース46の端部に取り付けることができる。流量計80は、ユーザーにフィードバックを与えるために、制御装置28及びユーザーインターフェース29と電気通信する少なくとも1つの流量センサー88を用いて、流量情報を収集する。いくつかの実施態様において、クワドラチャ出力(直交出力)を与える一対の流量センサー88a、88bが設けられる。この理由は、ピストンポンプのストローク中、材料が実際には逆向きにも流れるため、高レベルの精度を維持するために、クワドラチャ出力によって、この逆流を順流から減算することを可能にするためである。逆流のない歯車ポンプを用いる実施態様では、単一のセンサーで十分である。
【0021】
ユーザーインターフェース29は、制御装置28と連動し、ホットメルト接着剤システム10の加熱機能に関する情報をユーザーに提供する。例えば、ユーザーインターフェース29は、接着剤温度、ヒーター温度等に関する情報を提示する。ユーザーインターフェース29は、ホットメルト接着剤システム10の加熱に関連するパラメーターを調整する制御部も含む。更に、ユーザーインターフェース29及び制御装置28は、より詳細に後述するように、接着剤追跡システム37に関する情報もユーザーに提供する。
【0022】
図2A及び
図2Bを再び参照すると、ホットメルト接着剤システムの吐出ユニット20が示されており、マニホールド26、制御装置28、及びユーザーインターフェース29が含まれている。
図2Aにおいて、マニホールド26は、マニホールドが加熱されているときにユーザーを火傷から守る断熱ジャケット26aを有することが示されている。
図2Bにおいて、マニホールド26は、カバー26aを有しない状態で示されており、マニホールド26と流体連通する流量計80が露わになっている。
【0023】
接着剤追跡システム37は、接着剤の出力を直接測定する流量計80を用いる。いくつかの実施態様において、流量計80は、マニホールド26に取外し可能に接続することができる。
図4~
図7を参照すると、例えば、流量計80は、マニホールド26からホットメルト接着剤を受け取るように構成された流入口通路84と、ホットメルト接着剤をマニホールド26に戻すよう放出するように構成された流出口通路85とを有するハウジング本体82を備える。流量計80のハウジング本体82は、ねじ又はボルト等の締結具87aを介してマニホールド26に取外し可能に接続することができる。流量計80は、ねじ又はボルト等の複数の締結具87bによってハウジング本体82に取外し可能に接続されるハウジングカバー83を更に備える。別の実施態様において、流量計80は、マニホールド26に一体化することができる。例えば、ハウジング本体82は、締結具87bを介してハウジングカバー83を取外し可能に接続することができるように、マニホールド26に一体化することができる。別の実施態様において、詳細に後述される歯車86、ピン81、及びブッシュ81a等の流量計80の個別の構成要素を、ハウジングカバー83に組み込むことができ、ハウジングカバー83は、ハウジング本体82が使用されないように、締結具87bを介してマニホールド26に直接取外し可能に接続することができるようになっている。更に別の実施態様において、歯車86、ピン81、及びブッシュ81a等の流量計80の個別の構成要素は、ハウジングカバー83を直接取外し可能に接続することができるように、マニホールド26に直接一体化することができる。
【0024】
流量計80は、一対の回転可能な歯車86と、流量計を通って流れる液体接着剤の量を測定するように構成された磁気ピックアップセンサー等の少なくとも1つのセンサー88とを更に備える。図示の流量計80の実施態様では、一対のセンサー88a、88bが示されている。特に、一対のセンサー88a、88bは、回転可能な駆動歯車86の回転を測定し、流出口85から流出する接着剤の量を求めるように構成される。流出口85は、マニホールド26と流体連通し、それにより、液体接着剤は、マニホールド26に返送されて、マニホールド26に直接接続される種々のホース46に分散される。いくつかの実施態様において、流出口85は、接着剤アプリケーターに接続されるホースに直接接続することができる。
【0025】
ハウジング本体82は、長細い又は楕円形状のOリング等のエラストマーシール89も備え、流量計からの流体の漏れを防ぐためにカバーによる水密シールを維持する。更に、また、複数の締結具87a、87bが、流量計80をマニホールド26に取外し可能に固定するように適合されている。他の実施態様において、流量計80は、ポンプ58又は任意のホース46に流体連通状態で接続することができる。
【0026】
歯車86は、回転軸を中心に自由に回転するように、ハウジング本体82の中空中央凹部82a内に収容される。特に、歯車は、ハウジング本体82とハウジングカバー83との間に回転可能に固定される。1つの実施態様において、歯車86は、ハウジング本体82内の対応するブッシュ81aに設けられるそれぞれのピン81の周りに回転するようにそれぞれ構成された、実質的に直線的に一連の噛合する流れ計量平歯車である。平歯車86は、実質的に同一平面上にあり、各平歯車が、少なくとも1つの近傍の平歯車に対して平行かつ離間するように位置決めされる。更に、平歯車86は、歯車のそれぞれの回転軸が、共通の中心線に沿って位置決めされるように位置決めされる。また、平歯車86は、各平歯車の歯が近傍の平歯車の歯と噛合するように位置決めされる。
【0027】
流入口通路84は、マニホールド26の液体供給源と、噛合する一対の歯車86の入口側との間に導管を提供する。同様に、流出口通路85は、噛合する一対の歯車86の放出側と、マニホールド26との間に導管を提供する。歯車86は、液体の加圧ストリームを凹部82a内へと、噛合する一対の歯車の入口側に向けて方向付ける流入口通路84と流体連通する。結果として、加圧液体ストリームは、協働する歯車86を駆動し、それにより、歯車のそれぞれを互いに対して反対方向に回転させる。例えば、歯車のうちの一方は、反時計回り方向に回転するが、そのすぐ近傍の歯車は、時計回り方向に回転する。対向回転する歯車86を用いることで、液体ホットメルト接着剤の正確な計量のための正の容積変位(positive displacement)がもたらされる。
【0028】
歯車86のこの回転の結果として、液体のストリームが流入口通路84を介して歯車の噛合部分の入口側に方向付けられた後、ストリームは、2つの歯車によって半分に分割される。これは、歯車の回転の際、反対方向に回転する噛合する一対の歯車のそれぞれの歯の間の空間に液体が流れ込むことで起こる。したがって、2つの液体ストリームは、反対方向に回転する各歯車の歯によって、中央凹部82aの周縁部の周りでそれぞれ反対方向に運ばれ、2つの液体ストリームは、流出口通路85付近で収束するようになっている。したがって、歯車86と中央凹部82aの周壁との間に流れる液体の体積は、1パルス(pulse:脈動)あたりの液体の体積を表す。近傍の各歯車のそれぞれの歯車の歯が互いに噛み合う際、各歯車の歯車歯間の空間から液体が移動し、それにより、液体を、噛合する一対の歯車に隣接する流出口通路85内に通させる。したがって、このプロセス中、流量計80を通って移動する加圧液体は、歯車86に回転力を及ぼし、歯車86を特定の速度で回転させる。センサー88a、88bは、流量計80を通って移動する液体の流量を求めるために、歯車86のこの回転速度を測定するように構成される。歯車歯流量計80は、例えば、およそ25mgの分解能を提供するように構成される。
【0029】
図7~
図9に示されているように、歯車86は、ハウジングカバー83の平坦な内面によって凹部82a内に制限される。各歯車は、ハウジングカバー83に設けられるそれぞれの硬化された支持シャフト83aによって更に制限されることができる。薄膜83bが、各センサー88a、88bの下でハウジングカバー83の平坦な内面上に設けられ、そのため、薄膜83bは、センサー88a、88bと歯車86との間に位置するようになっている。
【0030】
ホットメルト接着剤システムの別の実施態様において、既存のホットメルト接着剤システムに接着剤追跡システム37を後付けするために、
図10Aに示されているように、付属又は補助マニホールド26’を吐出ユニット20’に直接取り付けることができる。別の実施態様において、付属マニホールド26’は、
図10Bに示されているように、移送ホース43を介して、吐出ユニット20’に対して遠隔に取り付けることができる。付属マニホールド26’は、ピストン式ポンプ又は歯車式ポンプを用いるホットメルト接着剤システムに後付けすることができることが理解されるであろう。流量計80は、付属マニホールド26’に取り付けることができるか又は付属マニホールド26’内に一体化することができ、付属マニホールド26’内に受け取られたホットメルト接着剤を流量計80に通して方向付けることができるようになっている。いくつかの実施態様において、付属マニホールド26’は、内部ヒーターを備えることができる。付属マニホールド26’が吐出ユニット20’に対して遠隔に取り付けられる場合、内部ヒーターは、移送ホース43から力の供給を受ける。付属マニホールド26’が吐出ユニット20’に直接取り付けられる場合、内部ヒーターは、吐出ユニット20’自体から力の供給を受ける。
図11Aに示されているように、補助マニホールド26’は、流量計80を保護するとともにユーザーを火傷から守る断熱ジャケット27’を備える。
図11Bに示されているように、断熱ジャケット27’は、補助マニホールド26’から取り外され、したがって、流量計80を直接固定することができる補助マニホールド26’の一実施態様を示している。
【0031】
空気圧レギュレーター70は、
図12A及び
図12Bに示されている。空気圧レギュレーター70は、ダイアフラム型の圧力レギュレーターとすることができ、圧力レベルを監視する圧力ゲージ72と、圧力レベルを所望の大きさに調整するように構成された回転式の圧力調整ノブ74とを備える。空気圧レギュレーター70は、ポンプのオンオフを行うように構成され、およそ1.0cvの流量係数を有する高流量ソレノイドと連動する。したがって、ポンプのストローク時、再加圧に要する時間は約3msである。
【0032】
接着剤追跡システム37は、製品数を求める製品検出器90を更に用いる。製品検出器は、組立てラインに沿って製品を撮像する又は組立てラインに沿って製品間の切れ目を検出する視野を有して取り付けることができる。例えば、製品検出器90は、製造ラインに設置し、最初の吐出位置の直前に取り付けることができる。製品検出器90は、接着剤が塗布される製品の存在を検知するように構成される。
図1に示されているように、製品検出器90は、制御装置28に電気的に接続される。他の実施態様において、製品検出器90は、流量計80、マニホールド26、又は他の実施態様において別個の制御ユニット(図示せず)に電気的に接続することができる。制御装置は、接着剤の流れ出力を監視するために、流量計80及び製品検出器90の双方と電気通信するプロセッサを備える。他の実施態様において、プロセッサは、例えば、マニホールド26又は別個の制御ユニットに含むことができる。接着剤追跡システムによって収集される測定及び報告データは、ホットメルト接着剤システム10のプロセス制御を改善するために用いることができる。
【0033】
プロセッサは、少なくとも1つの製品検出器90から受信した製品の存在に基づいて、製品に接着剤を塗布する開始時間及び終了時間を決定する。プロセッサは、流量計80の流出口85から流出する接着剤の量も常に受信する。そして、プロセッサは、開始時間から終了時間までに流量計80から流出する接着剤の量を製品に関連付ける。例えば、製品検出器90は、製品が製造ラインに沿って移動する際、製品の先端縁から終端縁までを検知し、それに応じて、その時間中の流量計80からの接着剤出力を集計する。プロセッサは、更に、受信した量に基づいて流量計80の流出口85から吐出される接着剤の重量を計算し、及び/又は、受信した量に基づいて流量計80の流出口85から吐出される接着剤の体積を計算することができる。
【0034】
接着剤追跡システム37の動作中、製造ラインの異なる場所に複数の吐出ステーションが存在する場合でも、製品検出器90のピッチにわたって接着剤を測定し、製品ごとの接着剤の平均重量を出すことができる。更に、接着剤追跡システム37が製品の監視を開始する前に、全てのアプリケーター48、50が接着剤を塗布していることを確実にするために、始動時に固定の製品スキップ数を用いて製品を無視することができる。そのようなスキップ数は、確認開始の前に全ての接着剤アプリケーター48、50が接着剤の吐出を開始するのに十分長いものとする。スキップ数は、糊付けステーション間に製品を有しない製造ラインについてはスキップ可能でないように、下限ゼロまでプログラム可能である。
【0035】
製品に塗布される接着剤の量は、2つ以上の製品について平均することができる。1つの実施態様において、例えば、プロセッサは、4つの製品に対する接着剤の塗布の開始時間及び終了時間を求める。プロセッサは、開始時間から終了時間までに流量計80の流出口85から流出する接着剤の量を受信する。そして、プロセッサは、開始時間から終了時間までに製品検出器90によって検出された製品数に対する塗布される接着剤の平均量を計算し、接着剤の平均量を製品のそれぞれに関連付ける。
【0036】
したがって、プロセッサは、製品に吐出される接着剤の総量を求めることができ、製品ごとに、吐出又は付加される接着剤の流出平均量を計算することもできる。更に、プロセッサは、製品ごとの接着剤の平均量が所定のアラーム閾値パラメーター等のユーザー規定範囲外になる場合、通知アラームをトリガーすることができる。そのようなアラームは、高閾値及び低閾値の双方に対して発生させることができる。また、過大又は過小の出力で通過が許される製品の数は、ユーザー調整可能である。特に、プロセッサは、所定の閾値パラメーター外の接着剤平均量を有する連続した製品の数を求め、上述の連続した製品数が所定のアラーム遅延パラメーターを超えた場合にアラームをトリガーすることができる。通知アラームは、ユーザーに警告する可聴信号又は視覚信号とすることができる。更に、アラーム閾値パラメーターは、学習プロセス中に2つ以上の製品に塗布される接着剤の平均量に基づいて決定することができる。例えば、製品に塗布される接着剤の所望量は、学習することができるか又はユーザーが手動入力することができる。
【0037】
プロセッサは、学習プロセス中、全ての学習対象の製品に対して吐出される接着剤の総量を求め、製品ごとの接着剤付加の平均量を計算する。次に、この塗布される接着剤の平均量を用いて、アラーム閾値を決定する。例えば、アラーム閾値は、ユーザー調整可能とすることができる。上限アラーム点は、下限アラーム点とは独立である。通知アラームは、学習プロセスの完了時に有効となる。
【0038】
また、動作中、製造ラインの最初の始動時には、製品の最小数、例えば最初の40個の製品を、製品ごとに塗布される接着剤の平均量の計算に用いない場合がある。始動時に製品をスキップすることにより、製品ごとの接着剤付加の平均量を計算する前に全ての接着剤アプリケーター48、50をアクティブにさせる。ユーザーは、スキップする製品の数を設定することができる。例えば、「0」を設定すると、ケース封止のため等の全ての接着剤アプリケーター間に2つ以上の製品を有しないシステムについて、製品のスキップが無効になる。更に、製品信号が或る時間、例えば10秒間見られない場合、製品をスキップすることができる。この時間はユーザーによって調整可能である。製品をスキップするプロセスは、学習プロセスよりも高い優先度を有することができることを理解されたい。例えば、製品をスキップするプロセスは、学習プロセスが選択されているが製品のスキップが必要となる場合、学習プロセスの開始前に実行することができる。
【0039】
製品ごとに塗布される接着剤の平均量は、製品検出器90によって検出される接着剤の流れの開始時間及び終了時間によって規定される吐出期間に基づいて求められる。複数の製品について製品検出器によって検出される接着剤の開始時間及び終了時間は、対応する一連の吐出期間を規定する。プロセッサは、各吐出期間にわたって各製品に付加される接着剤の流出平均量を計算する。
【0040】
例えば、製品の平均付加の計算のために全体で平均される製品の数は、接着剤付加において2%の分解能を達成するために考慮する製品の数に基づくことができる。上述したように、平均される製品の数は、学習プロセス中に決定され、学習プロセス後にユーザーによって調整することができる。2%の分解能は、N個の製品について流量計からのパルスの総数が50以上のときに達成することができる。ここで、Nは、接着剤付加の平均量を得るために平均される製品の数である。別の例において、学習プロセスが、4個の製品を用いて、学習プロセス中に見られる流量計のパルスの総数が21である場合、付加の平均のために全体で平均される製品の数は、見られる4個の製品÷(2%*見られる21のパルス)=9.5個の製品であり、これを次に大きい整数へと切り上げることにより、全体で平均される製品は10個となる。このように、目標値を計算するために、接着剤の量が複数の製品にわたって平均される。
【0041】
製品上に吐出される接着剤の平均量は、時間とともに製品ごとに塗布される重量又は製品ごとに吐出される接着剤の平均体積によって表すことができる。上記で説明したように、製品ごとに塗布される接着剤の流出平均がアラーム閾値外であると判断され、連続した公差外製品の数、すなわち、上限閾値又は下限閾値外となる製品の数が、ユーザーによって許可された公差外製品の数等のアラーム遅延パラメーターによって決定される値を超えた場合、プロセッサは、アラームをトリガーしてユーザーに通知する。いくつかの実施態様において、接着剤の吐出がユーザー指定の上限及び下限を超えて逸脱する場合、アラーム出力信号により、制御装置28をトリガーして製造を停止することができる。
【0042】
測定される重量により、エンドユーザーは接着剤塗布を最適化することが可能になる。更に、ユーザーは、プロセス制御を保証するとともにパターン体積の不一致を特定するために、接着剤量の幅の限度を設定することができる。したがって、ユーザーは、全製品に塗布される接着剤の量を最適化し、塗布された接着剤が過大又は過小である製品を拒絶することができる。その上、ユーザーは、ソレノイド及びモジュールの故障等、流れを低減する動作不良を検出することもできる。他の動作不良として、ノズルの詰まりを挙げることができ、これは、ユーザーが圧力を増大させるか又はメンテナンスを行うことによって修復することができる。
【0043】
更に、較正係数(すなわち、K係数)により、異なる動作条件に対する流量計80の微調整が可能になる。例えば、1つ以上の製品からの実際の接着剤重量が測定され、表示された接着剤重量と比較される。そして、新たなK係数の値を、以下の式を用いて計算することができる。新K係数=旧K係数*表示された重量/実際の重量。
【0044】
接着剤追跡システム37のユーザーインターフェース29は、制御装置28と電気通信し、ユーザーにリアルタイムデータを提供するディスプレイスクリーンを備える。リアルタイムデータは、製品ごとの接着剤付加の平均量、接着剤付加の総量、1時間あたりの接着剤付加の平均量、製品総数及び欠陥製品数、並びにアラームステータス及び総アラームを含む。更に、取得したデータログをコピーするとともにシステムアップグレードのためのアクセスを与えるために、USBポート又は他の電子媒体リーダーをプロセッサと通信状態で設けることができる。そのようなデータログは、例えば、毎日、毎週、又は四半期ごとに、検索のために保持及び記憶することができる。
【0045】
上述したこれらの特定の実施態様は、例示のためのものであり、本明細書において別途記載及び特許請求されるように本開示の範囲を制限することは意図していない。記載の実施態様からの変更及び変形が存在し得る。