IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -半導体装置 図1
  • -半導体装置 図2
  • -半導体装置 図3
  • -半導体装置 図4
  • -半導体装置 図5
  • -半導体装置 図6
  • -半導体装置 図7
  • -半導体装置 図8
  • -半導体装置 図9
  • -半導体装置 図10
  • -半導体装置 図11
  • -半導体装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20241112BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20241112BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20241112BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20241112BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241112BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
H01L29/80 L
H01L29/80 H
H01L29/60
H01L29/78 301B
H01L29/78 301G
H01L29/78 301R
H01L29/78 301W
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019218728
(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公開番号】P2021089934
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-02-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】棚田 一也
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/196187(WO,A1)
【文献】特開2009-060049(JP,A)
【文献】特開2014-175341(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098391(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/096537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/78
H01L 29/812
H01L 21/336
H01L 21/338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層と、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層と、を含む、半導体部材と、
第1方向に沿って延びる第1ソース電極と、
第1部分、第2部分、第3部分及び第4部分を含む第1ゲート電極であって、前記第1ソース電極は、前記第1方向において前記第1部分及び前記第2部分との間にあり、前記第1ソース電極は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第4部分との間にあり、前記第3部分及び前記第4部分は、前記第1方向に沿って延び、前記第1半導体層から前記第2半導体層への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に対して垂直であり、前記平面は、前記第1ソース電極、前記第1ゲート電極及び前記第2半導体層を通り、前記第1ゲート電極は、前記平面において前記第1半導体層と重なる、前記第1ゲート電極と、
前記第1方向に沿って延びる第1ドレイン電極であって、前記第1ソース電極は、前記第2方向において前記第3部分と前記第1ドレイン電極との間にあり、前記第4部分は、前記第2方向において前記第1ソース電極と前記第1ドレイン電極との間にある、前記第1ドレイン電極と、
ソースパッド部と、
前記第1ソース電極と前記ソースパッド部とを電気的に接続する第1ソース接続部と、
第1絶縁領域を含む絶縁部であって、前記第1絶縁領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第1部分と前記第1ソース接続部との間にある、前記絶縁部と、
前記第1方向に沿って延びる第2ソース電極と、
第2ゲート電極と、
第2ソース接続部と、
を備え、
前記第2ゲート電極は、第5部分、第6部分、第7部分及び第8部分を含み、
前記第2ソース電極は、前記第1方向において前記第5部分と前記第6部分との間にあり、
前記第2ソース電極は、前記第2方向において前記第7部分と前記第8部分との間にあり、
前記第7部分及び前記第8部分は、前記第1方向に沿って延び、
前記第7部分は、前記第2方向において前記第1ドレイン電極と前記第8部分との間にあり、
前記第2ソース接続部は、前記第2ソース電極と前記ソースパッド部とを電気的に接続し、
前記第1絶縁領域は、前記第3方向において前記第5部分と前記第2ソース接続部との間にあり、
前記半導体部材は、
素子領域と、
前記平面において前記素子領域の周りの周辺領域と、
を含み、
前記周辺領域は、第1周辺部分及び第2周辺部分を含み、
前記半導体部材は、
前記素子領域と前記第1周辺部分との間の第1境界と、
前記素子領域と前記第2周辺部分との間の第2境界と、
を含み、
前記第1境界から前記第2境界への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1部分の前記第1方向における位置は、前記第1境界の一部の前記第1方向における位置と、前記第2境界の前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第2部分の前記第1方向における位置は、前記第1ソース電極の前記第1方向における位置と、前記第2境界の一部の前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記周辺領域における結晶性は、前記素子領域における結晶性よりも低く、
前記第1境界の別の一部は、前記第2方向において、前記第4部分と前記第7部分との間にあり、
前記第1境界の前記別の一部は、前記第2方向において、前記第1ソース電極と前記第2ソース電極との間にあり、
前記第2境界の別の一部は、前記第2方向において、前記第4部分と前記第7部分との間にあり、
前記第2境界の前記別の一部は、前記第2方向において、前記第1ソース電極と前記第2ソース電極との間にあり、
前記第2境界の前記別の一部は、前記第1境界の前記別の一部から、前記第1方向において離れている、半導体装置。
【請求項2】
前記第5部分は、前記第7部分及び前記第8部分の少なくともいずれかと直接的に連続した、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第6部分は、前記第7部分及び前記第8部分の少なくともいずれかと直接的に連続した、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2ゲート電極は、前記平面内で前記第2ソース電極を囲む、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1ドレイン電極と電気的に接続されたドレインパッド部をさらに備え、
前記第2部分の前記第1方向における前記位置は、前記第1ソース電極の前記第1方向における前記位置と、前記ドレインパッド部の前記第1方向における位置と、の間にあり、
前記第6部分の前記第1方向における位置は、前記第2ソース電極の前記第1方向における位置と、前記ドレインパッド部の前記第1方向における前記位置と、の間にある、請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
ゲート接続部材をさらに備え、
前記ゲート接続部材は、前記第5部分を前記第1部分と電気的に接続する、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
ソース接続部材をさらに備え、
前記ソース接続部材は、前記第1ソース電極を前記第2ソース電極と電気的に接続する、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/043334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、半導体部材、第1ソース電極、第1ゲート電極、第1ドレイン電極、ソースパッド部、第1ソース接続部及び絶縁部を含む。前記半導体部材は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層と、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層と、を含む。前記第1ソース電極は、第1方向に沿って延びる。前記第1ゲート電極は、第1部分、第2部分、第3部分及び第4部分を含む。前記第1ソース電極は、前記第1方向において前記第1部分及び前記第2部分との間にある。前記第1ソース電極は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第3部分と前記第4部分との間にある。前記第3部分及び前記第4部分は、前記第1方向に沿って延びる。前記第1半導体層から前記第2半導体層への第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する。前記第1ドレイン電極は、前記第1方向に沿って延びる。前記第1ソース電極は、前記第2方向において前記第3部分と前記第1ドレイン電極との間にある。前記第4部分は、前記第2方向において前記第1ソース電極と前記第1ドレイン電極との間にある。前記第1ソース接続部は、前記第1ソース電極と前記ソースパッド部とを電気的に接続する。前記絶縁部は、第1絶縁領域を含む。前記第1絶縁領域の少なくとも一部は、前記第3方向において前記第1部分と前記第1ソース接続部との間にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図2図2(a)~図2(d)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、半導体装置を例示する模式的平面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、半導体装置を例示する模式的平面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図8図8(a)~図8(d)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9図9(a)~図9(d)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図11図11は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図12図12は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図2(a)~図2(d)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2(a)は、図1のA1-A2線断面図である。図2(b)は、図1のB1-B2線断面図である。図2(c)は、図1のC1-C2線断面図である。図2(d)は、図1のD1-D2線断面図である。
【0009】
図1及び図2(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、半導体部材15、第1ソース電極31A、第1ゲート電極32A、第1ドレイン電極33A、ソースパッド部31P、第1ソース接続部31cn及び絶縁部80を含む。
【0010】
図2(a)に示すように、半導体部材15は、第1半導体層11及び第2半導体層12を含む。第1半導体層11は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体層11は、例えば、GaNを含む。第2半導体層12は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。第2半導体層12は、例えば、AlGaNを含む。第2半導体層12におけるAlの組成比は、例えば、0.1以上0.35以下である。
【0011】
例えば、第1半導体層11の上に第2半導体層12が設けられる。第1半導体層11は、例えば、シリコン基板などの上に設けられても良い。
【0012】
図1に示すように、第1ソース電極31Aは、第1方向に沿って延びる。第1方向は、例えば、Y軸方向である。
【0013】
図1に示すように、第1ゲート電極32Aは、第1部分32a、第2部分32b、第3部分32c及び第4部分32dを含む。
【0014】
図1及び図2(c)に示すように、第1ソース電極31Aは、第1方向(Y軸方向)において、第1部分32a及び第2部分32bとの間にある。
【0015】
図1に示すように、第1ソース電極31Aは、第2方向において、第3部分32cと第4部分32dとの間にある。第2方向は、第1方向と交差する。例えば、第2方向は、第1方向に対して垂直である。第2方向は、例えば、X軸方向である。第3部分32c及び第4部分32dは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。
【0016】
図2(a)に示すように、第1半導体層11から第2半導体層12への第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第1方向及び第2方向を含む平面は、例えば、X-Y平面である。例えば、第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面に対して垂直である。第3方向は、例えば、Z軸方向である。例えば、第3方向は、第1半導体層11及び第2半導体層12の積層方向に対応する。
【0017】
図1に示すように、第1ドレイン電極33Aは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。図1に示すように、第1ソース電極31Aは、第2方向(例えばX軸方向)において第3部分32cと第1ドレイン電極33Aとの間にある。第4部分32dは、第2方向において第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間にある。
【0018】
図1及び図2(c)に示すように、第1ソース接続部31cnは、第1ソース電極31Aとソースパッド部31Pとを電気的に接続する。この例では、第1ソース接続部31cnは、ソースビア導電部31Vを介して第1ソース電極31Aと電気的に接続されている。
【0019】
図2(c)に示すように、絶縁部80は、第1絶縁領域81を含む。第1絶縁領域81の少なくとも一部は、第3方向(例えばZ軸方向)において、第1部分32aと第1ソース接続部31cnとの間にある。図1及び図2(c)に示すように、第1ソース接続部31cnは、Z軸方向において、第1ゲート電極32Aの第1部分32aと重なる。第1絶縁領域81は、第1ソース電極31Aと第1部分32aとを互いに電気的に絶縁する。
【0020】
第1ゲート電極32Aの電位を制御することで、第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間に流れる電流が制御できる。例えば、第1半導体層11の、第2半導体層12の近傍に、2次元電子ガスが生成される。第1ゲート電極32Aの電位を制御することで、2次元電子ガスの状態が制御される。半導体装置110は、トランジスタである。
【0021】
半導体装置110において、第1ソース電極31Aは、Y軸方向において、第1ゲート電極32Aの第1部分32aと第2部分32bとの間にある。第1ソース電極31Aは、X軸方向において、第1ゲート電極32Aの第3部分32cと第4部分32dとの間にある。例えば、第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間の経路に、第1ゲート電極32Aが存在する。例えば、第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間の経路に、第1ゲート電極32Aが存在しない場合に比べて、リーク電流が抑制できる。実施形態においては、例えば、リーク電流を抑制できる。実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0022】
図1に示すように、例えば、第1ゲート電極32Aにおいて、第1部分32aは、3部分32c及び第4部分32dと連続する。例えば、第1部分32aは、第3部分32c及び第4部分32dの少なくともいずれかと連続しても良い。例えば、第2部分32bは、3部分32c及び第4部分32dと連続する。第2部分32bは、第3部分32c及び第4部分32dの少なくともいずれかと連続しても良い。例えば、リーク電流をより効果的に抑制できる。
【0023】
例えば、第1ゲート電極32Aは、上記の平面内(X-Y平面内)で第1ソース電極31Aを囲むことが好ましい。例えば、第1ソース電極31Aは、X-Y平面内で、第1ゲート電極32Aに囲まれた領域内に設けられる。例えば、リーク電流をより効果的に抑制できる。
【0024】
図1に示すように、半導体部材15は、素子領域16及び周辺領域17を含む。素子領域16は、例えば、アクティブ領域である。周辺領域17は、例えば、非アクティブ領域である。周辺領域17は、上記の平面(X-Y平面)において、素子領域16の周りにある。例えば、素子領域16は、周辺領域17に囲まれる。
【0025】
周辺領域17における結晶性は、素子領域16における結晶性よりも低い。半導体部材1の結晶性が劣化する。1つの例において、半導体部材1の結晶性の劣化は、PL(Photo Luminessence)によって観測できる。PL評価の1つの例において、例えば、325nmのピーク波長を有するHe-Cdレーザを照射したときに、周辺領域17における励起光スペクトルは、素子領域16における励起光スペクトルと異なる。例えば、周辺領域17及び素子領域16における励起光スペクトルにおいて、約360nmの励起光(バンド端発光)の強度に、差異が観測される。例えば、周辺領域17における約360nmの光強度は、素子領域16における、約360nmの光強度よりも低い。例えば、周辺領域17及び素子領域16における励起光スペクトルにおいて、約530nm付近の励起光(イエロールミネッセンス)の強度に差が観測される。例えば、周辺領域17における約530nmの光強度は、素子領域16における約530nmの光強度よりも高い。
【0026】
1つの例において、劣化は、例えば、TEM(Transmission Electron Microscope)によって観測できる。TEM観察の1つの例において、周辺領域17のTEM観察において、半導体部材1の結晶格子の周期性に乱れが観測される。
【0027】
1つの例において、例えば、周辺領域17は、第1元素を含み、素子領域16は、第1元素を実質的に含まない。第1元素は、Ar、P、B及びNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1元素は、例えば、重元素でも良い。第1元素は、例えば、イオンインプランテーションにより導入される。
【0028】
例えば、周辺領域17における第1元素の濃度は、素子領域16における第1元素の濃度よりも高い。例えば、第1元素が周辺領域17に導入される。第1元素が導入された領域において、第1元素の衝突ダメージにより、半導体部材1の結晶性が劣化する。結晶性の劣化により、周辺領域17には、2次元電子ガスが実質的に生成されない。周辺領域17は、例えば、素子分離領域である。一方、第1元素が素子領域16に実質的に導入されない。これにより、素子領域16において2次元電子ガスが生成される。
【0029】
図1図2(b)、図2(c)及び図2(d)に示すように、周辺領域17は、第1周辺部分17a及び第2周辺部分17bを含む。第1周辺部分17aから第2周辺部分17bへの方向は、第1方向(Y軸方向)に沿う。
【0030】
図1及び図2(c)に示すように、半導体部材15は、第1境界18a及び第2境界18bを含む。図2(c)に示すように、第1境界18aは、素子領域16と第1周辺部分17aとの間の境界である。第2境界18bは、素子領域16と第2周辺部分17bとの間の境界である。第1境界18aから第2境界18bへの方向は、第1方向(Y軸方向)に沿う。
【0031】
図1及び図2(c)に示すように、第1部分32aの第1方向(Y軸方向)における位置は、第1境界18aの第1方向における位置と、第2境界18bの第1方向における位置と、の間にある。第2部分32bの第1方向における位置は、第1ソース電極31Aの第1方向における位置と、第2境界18bの第1方向における位置と、の間にある。
【0032】
例えば、Y軸方向において、第1境界18aと第2境界18bとの間に、第1ゲート電極32A及び第1ソース電極31Aがある。第1ゲート電極32A及び第1ソース電極31Aは、素子領域16の内部に設けられる。既に説明したように、第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間の経路には、第1ゲート電極32Aが設けられている。上記のような周辺領域17の構造により、リーク電流がより確実に低減できる。
【0033】
図1に示すように、周辺領域17は、第3周辺部分17c及び第4周辺部分17dを含んでも良い。第3周辺部分17cから第4周辺部分17dへの方向は、第2方向(例えば、X軸方向)に沿う。半導体部材15は、第3境界18c及び第4境界18dを含む。第3境界18cは、素子領域16と第3周辺部分17cとの間の境界である。第4境界18dは、素子領域16と第4周辺部分17dとの間の境界である。第3境界18cから第4境界18dへの方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。
【0034】
第3部分32cの第2方向(X軸方向)における位置は、第3境界18cの第2方向における位置と、第4境界18dの第2方向における位置と、の間にある。第1ドレイン電極33Aの第2方向における位置は、第4部分32dの第2方向における位置と、第4境界18dの第2方向における位置と、の間にある。
【0035】
例えば、X軸方向において、第3境界18cと第4境界18dとの間に、第1ゲート電極32A及び第1ソース電極31Aがある。第1ゲート電極32A及び第1ソース電極31Aは、素子領域16の内部に設けられる。第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間の経路には、第1ゲート電極32Aが設けられている。上記のような周辺領域17の構造により、リーク電流がより確実に低減できる。
【0036】
図1及び図2(c)に示すように、第1周辺部分17aは、第3方向(Z軸方向)においてソースパッド部31Pと重なる。ソースパッド部31Pを素子領域16ではなく周辺領域17に設けることで、より安定した動作が得られる。
【0037】
図1及び図2(c)に示すように、半導体装置110は、ドレインパッド部33Pをさらに含んでも良い。ドレインパッド部33Pは、第1ドレイン電極33Aと電気的に接続される。
【0038】
図2(d)に示すように、この例では、ドレインパッド部33Pは、ドレインビア導電部33Vを介して第1ドレイン配線部33cnと電気的に接続される。第1ドレイン配線部33cnは、第1ドレイン電極33Aと電気的に接続される。
【0039】
図1に示すように、第1ゲート電極32Aの第2部分32bの第1方向(Y軸方向)における位置は、第1ソース電極31Aの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。例えば、第2境界18bの第1方向(Y軸方向)における位置は、第1ゲート電極32Aの第2部分32bの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。
【0040】
例えば、ドレインパッド部33Pは、周辺領域17の第2周辺部分17bと重なる。ドレインパッド部33Pを素子領域16ではなく第2周辺部分17bに設けることで、より安定した動作が得られる。
【0041】
図1に示すように、半導体装置110は、ゲートパッド部32Pをさらに含んでも良い。ゲートパッド部32Pは、第1ゲート電極32Aと電気的に接続される。この例では、ゲートパッド部32Pは、第1ゲート配線部32cnにより、第1ゲート電極32Aと電気的に接続される。1つの例において、第1ゲート配線部32cnは、例えば、X軸方向に沿って延びる。
【0042】
図2(c)に示すように、第1絶縁領域81の少なくとも一部が第1ゲート配線部32cnと第1ソース接続部31cnとの間に設けられる。第1絶縁領域81により、ゲートパッド部32Pと第1ソース電極31Aとが、互いに電気的に絶縁される。
【0043】
図1に示すように、半導体装置110は、複数のソース電極31、複数のゲート電極32及び複数のドレイン電極33を含んでも良い。第1ソース電極31Aは、複数のソース電極31の1つである。第1ゲート電極32Aは、複数のゲート電極32の1つである。第1ドレイン電極33Aは、複数のドレイン電極33の1つである。
【0044】
複数のソース電極31の別の1つ(例えば第2ソース電極31B)は、第1ソース電極31Aと同様の構成を有して良い。複数のゲート電極32の別の1つ(例えば第2ゲート電極32B)は、第1ゲート電極32Aと同様の構成を有して良い。複数のドレイン電極33の別の1つ(例えば第2ドレイン電極33B)は、第1ドレイン電極33Aと同様の構成を有して良い。
【0045】
図1に示すように、例えば、半導体装置110は、第2ソース電極31B、第2ゲート電極32B及び第2ソース接続部31Bcnをさらに含む。
【0046】
図1に示すように、第2ソース電極31Bは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。第2ゲート電極32Bは、第5部分32e、第6部分32f、第7部分32g及び第8部分32hを含む。第2ソース電極31Bは、第1方向(Y軸方向)において第5部分32eと第6部分32fとの間にある。第2ソース電極31Bは、第2方向(X軸方向)において第7部分32gと第8部分32hとの間にある。第7部分32g及び第8部分32hは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。
【0047】
図1に示すように、第7部分32gは、第2方向(X軸方向)において第1ドレイン電極33Aと第8部分32hとの間にある。第2ソース接続部31Bcnは、第2ソース電極31Bとソースパッド部31Pとを電気的に接続する。
【0048】
例えば、第2ゲート電極32Bにおける第5部分32eは、第1ゲート電極32Aにおける第1部分32aと同様の構成を有する。例えば、第2ソース接続部31Bcnは、第1ソース接続部31cnと同様の構成を有する。例えば、図2(c)に関して説明した構成と同様に、第1絶縁領域81は、第3方向(Z軸方向)において第5部分32eと第2ソース接続部31Bcnとの間にある。
【0049】
この例では、第5部分32eは、第7部分32g及び第8部分32hと直接的に連続している。例えば、第5部分32eは、第7部分32g及び第8部分32hの少なくともいずれかと直接的に連続しても良い。
【0050】
この例では、第6部分32fは、第7部分32g及び第8部分32hと直接的に連続している。例えば、第6部分32fは、第7部分32g及び第8部分32hの少なくともいずれかと直接的に連続しても良い。
【0051】
例えば、第2ゲート電極32Bは、上記の平面内(X-Y平面内)で第2ソース電極31Bを囲む。このような第2ゲート電極32B及び第2ソース電極31Bにより、第2ソース電極31Bと第1ドレイン電極33Aとの間の経路において、リーク電流が抑制できる。
【0052】
既に説明したように、半導体装置110において、第1ドレイン電極33Aと電気的に接続されたドレインパッド部33Pが設けられる。第2部分32bの第1方向(Y軸方向)における位置は、第1ソース電極31Aの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。第6部分32fの第1方向における位置は、第2ソース電極31Bの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。
【0053】
半導体装置110は、例えば、マルチフィンガー構造を有する横型トランジスタである。例えば、複数のゲート電極32及び複数のソース電極31が、素子分離領域(周辺領域17)の内側の素子領域16の閉鎖系内部に存在する。例えば、複数のソース電極31の1つが、複数のゲート電極32の1つに囲まれた閉鎖系内にある。複数のドレイン電極33の例えば全てが、複数のゲート電極32を境界線とする閉鎖系の外に存在する。半導体装置110においては、例えば、リーク電流が抑制できる。
【0054】
例えば、ドレインパッド部33Pの少なくとも一部は、素子分離境界の外(周辺領域17)に存在する。ドレイン電極33の一部が素子分離領域(周辺領域17)にある。例えば、ドレインパッド部33Pと、複数のドレイン電極33Aとは、ドレインビア導電部33Vを介して接続されている。ソースパッド部31Pは、ソースビア導電部31Vを介して複数のソース電極31の1つと電気的に接続されている。ゲートパッド部32Pは、第1ゲート配線部32cnを介して、複数のゲート電極32の1つと電気的に接続される。
【0055】
図2(a)に示すように、第1半導体層11は、第1部分領域11a、第2部分領域11b、第3部分領域11c、第4部分領域11d、第5部分領域11e及び第6部分領域11fを含む。第2半導体層12は、第1半導体部分12a及び第2半導体部分12bを含む。第2方向(X軸方向)において、第2部分領域11bは、第1部分領域11aと第5部分領域11eとの間にある。第2方向において、第3部分領域11cは、第1部分領域11aと第2部分領域11bとの間にある。第2方向において、第4部分領域11dは、第3部分領域11cと第2部分領域11bとの間にある。第2方向において、第6部分領域11fは、第2部分領域11bと第5部分領域11eとの間にある。
【0056】
第1部分領域11aから第3部分32cへの方向は、第3方向(Z軸方向)に沿う。第2部分領域11bから第4部分32dへの方向は、第3方向に沿う。第3部分領域11cから第1ソース電極31Aへの方向は、第3方向に沿う。第4部分領域11dから第1半導体部分12aへの方向は、第3方向に沿う。第5部分領域11eから第1ドレイン電極33Aへの方向は、第3方向に沿う。第6部分領域11fから第2半導体部分12への方向は、第3方向に沿う。
【0057】
例えば、半導体装置110は、第1絶縁膜85Fをさらに含んでも良い。第1絶縁膜85Fは、第1半導体層11と第1ゲート電極32Aとの間に設けられる。第1絶縁膜85Fはゲート絶縁膜として機能する。第1絶縁膜85Fは、例えば、酸化シリコンなどを含む。第1絶縁膜85Fは、異なる材質の複数の膜を含む積層構造を有しても良い。例えば、第1絶縁膜85Fは、窒化アルミニウム膜と酸化シリコン膜とを含む積層構造を有しても良い。
【0058】
図2(a)に示すように、この例では、第3部分32cと第4部分32dとの間に、第2半導体層12がある。半導体装置110は、例えばノーマリオフの半導体装置である。例えば、第3部分32cと第4部分32dとの間に、第1半導体層11の一部があっても良い。
【0059】
図2(a)に示すように、第2絶縁膜85Gが設けられても良い。第2半導体層12は、第1半導体層11と第2絶縁膜85Gとの間に設けられる。第2絶縁膜85Gは、例えば、窒化シリコンなどを含む。第2絶縁膜85Gは、例えば、第2半導体層12の保護膜として機能する。
【0060】
図2(a)~図2(d)に示すように、絶縁部80は、第2絶縁領域82をさらに含んでも良い。第2絶縁領域82は、例えば、第1ゲート配線部32cnの一部と、第1部分32aとの間にある。
【0061】
以下、半導体装置110の製造方法の例について説明する。
【0062】
図3(a)~図3(c)、及び、図4(a)~図4(c)は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図3(a)に示すように、構造体SB1を準備する。構造体SB1は、第1半導体層11となる第1半導体膜11F、及び、第2半導体層12となる第2半導体膜12Fを含む。この例では、構造体SB1は、第2絶縁膜85Gを含む。第1半導体膜11Fと第2絶縁膜85Gとの間に、第2半導体膜12Fがある。
【0063】
図3(b)に示すように、第2絶縁膜85Gに開口部85oを設ける。開口部85oにおいて、第2半導体膜12Fの一部、及び、第1半導体膜11Fの一部を除去する。除去では、例えばRIE(Reactive Ion Etching)などが行われる。これにより、リセスR1が形成される。第1半導体膜11Fから第1半導体層11が形成され、第2半導体膜12Fから第2半導体層12が形成される。これにより、半導体部材15が形成される。
【0064】
図3(c)に示すように、第1絶縁膜85Fを形成する。第1絶縁膜85Fとして、例えば、酸化シリコン膜などが形成される。この後、熱処理(PDA:Post Deposition Annealing)が行われる。
【0065】
図4(a)に示すように、導電膜を形成することで、第1ゲート電極32Aが形成される。図4(a)では、第3部分32c及び第4部分32dが示されている。第1ゲート電極32Aとなる導電膜は、例えば、Ti、W、Ni、Pt、Au及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0066】
図4(b)に示すように、マスク88を形成する。マスク88は、例えば、レジストである。マスク88は、開口部88oを有する。開口部88oにおいて露出した半導体部材15に、第1元素E1を導入する。例えば、第1元素のイオンインプランテーションが行われる。第1元素E1は、例えば、Ar、P、B及びNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1元素E1が導入された部分では、半導体部材15は、高い絶縁性が得られる。高い絶縁性は、第1元素E1の導入により半導体部材15の結晶性が低下し、2次元電子ガスが生成されないことに起因する。第1元素E1が導入された部分が周辺領域17となる。図4(b)では、第3周辺部分17cが図示されている。
【0067】
図4(c)に示すように、ソース電極31(例えば、第1ソース電極31A)及びドレイン電極33(例えば、第1ドレイン電極33A)を形成する。この後、絶縁部80、ビア導電部、及び、パッド部などを形成する。これにより、半導体装置110が得られる。
【0068】
例えば、熱処理(PDA)により、高品質の第1絶縁膜85Fが得られる。上記の製造方法において、第1元素E1の導入の後に、熱処理(PDA)が行われると、半導体部材15の結晶性が回復し、第1元素E1が導入された領域の絶縁性が低下する可能性がある。良好な絶縁性を得るために、熱処理の後に第1元素E1の導入が行われる。
【0069】
さらに、第1絶縁膜85Fの形成の後の熱処理(PDA)の直後に導電膜を形成してゲート電極32を形成することが好ましい。これにより、不純物が第1絶縁膜85Fに付着することが抑制でき、良好な特性が得られる。
【0070】
従って、第1元素E1の導入は、ゲート電極32となる導電膜の形成の後に行われる。第1元素E1の導入の処理中において、マスク88から導電膜が露出していると、処理のための装置が導電膜に含まれる元素により汚染される可能性がある。このため、第1元素E1の導入の処理中において、マスク88から導電膜が露出していないことが好ましい。
【0071】
マスク88の形状(開口部88oの形状)により、周辺領域17と素子領域16との間の境界の形状が変化する。以下、周辺領域17と素子領域16との間の境界の形状の例について説明する。
【0072】
図5(a)及び図5(b)は、半導体装置を例示する模式的平面図である。
図5(a)に例示する半導体装置119aにおいては、周辺領域17と素子領域16との間の境界17Eの内側に、ゲート電極32がある。ゲート電極32は、境界17Eから離れている。ゲート電極32と境界17Eとの間に、素子領域16の一部がある。この場合、ソース電極31とドレイン電極33との間の経路cpに沿って、電荷(例えば電子)が移動できる。このため、半導体装置119aにおいては、リーク電流が大きい。
【0073】
半導体装置119aにおいては、ゲート電極32は境界17Eの内側にある。第1元素E1の導入の処理中に、ゲート電極32はマスク88に覆われる。このため、半導体装置119aにおいては、第1元素E1の導入の処理において、処理装置の汚染は抑制される。
【0074】
図5(b)に例示する半導体装置119bおいては、周辺領域17と素子領域16との間の境界17Eの外に、ゲート電極32の一部32Xがある。ゲート電極32は、周辺領域17と重なっている。ソース電極31とドレイン電極33との間の経路cpが存在しないため、半導体装置119bにおいては、リーク電流が抑制される。
【0075】
半導体装置119bにおいては、ゲート電極32の一部32Xは境界17Eの外側にある。第1元素E1の導入の処理中に、ゲート電極32の一部32Xがマスク88に覆われていない。このため、半導体装置119bにおいては、第1元素E1の導入の処理において、処理装置の汚染が生じる。
【0076】
図6(a)及び図6(b)は、半導体装置を例示する模式的平面図である。
図6(a)に例示する半導体装置119aにおいて、複数のゲート電極32、複数のドレイン電極33、及び、ソース電極31が設けられる。半導体装置119aにおいては、ゲート電極32は、境界17Eから離れている。ソース電極31とドレイン電極33との間の経路cpに沿って電荷が移動でき、リーク電流が大きい。既に説明したように、半導体装置119aにおいては、第1元素E1の導入の処理において、処理装置の汚染は抑制される。
【0077】
図6(b)に例示する半導体装置110において、ソース電極31と、境界17Eとの間に、ゲート電極32の一部(この例では、第2部分32b)がある。例えば、ソース電極31の周りに、ゲート電極32(第2部分32b、第3部分32c及び第4部分32dなど)が設けられる。ゲート電極32の周りに、周辺領域17と素子領域16との間の境界17Eがある。ソース電極31とドレイン電極33との間には、ゲート電極32がある。このため、リーク電流が抑制される。半導体装置110においては、ゲート電極32が素子領域16にあるため、第1元素E1の導入の処理において、ゲート電極32はマスクに覆われる。半導体装置110においては、処理装置の汚染は抑制される。
【0078】
図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図7(a)に示すように、半導体装置110においては、例えば、ゲート電極32は、ソース電極31を囲む。ゲート電極32は、境界17Eから離れている。
【0079】
図7(b)に示す半導体装置110aにおいては、X軸方向において素子領域16の1つの終端に設けられる電極は、複数のゲート電極32の1つである。X軸方向において素子領域16の別の終端に設けられる電極は、複数のゲート電極32の1つである。
【0080】
図8(a)~図8(d)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8(a)は、図1のA1-A2線断面に対応する。図8(b)は、図1のB1-B2線断面に対応する。図8(c)は、図1のC1-C2線断面に対応する。図8(d)は、図1のD1-D2線断面に対応する。
【0081】
図8(b)~図8(d)に示すように、半導体装置111においては、ソース接続配線31ccが設けられている。ソース接続配線31ccは、周辺領域17にある。ソース接続配線31ccは、ソース接続ビア導電部31Uを介して、ソースパッド部31Pと接続される。
【0082】
図8(b)~図8(d)に示すように、ドレイン接続配線33ccが設けられている。ドレイン接続配線33ccは、周辺領域17にある。図8(d)に示すように、ドレイン接続配線33ccは、第1ドレイン配線部33cnを介して、ドレイン電極33(例えば第1ドレイン電極33A)と電気的に接続される。ドレイン接続配線33ccは、ドレインビア導電部33Vを介して、ドレインパッド部33Pと接続される。ドレインビア導電部33Vは、X軸方向に延びる帯状である。
【0083】
半導体装置111においては、例えば、ソースパッド部31P及びソース電極31を含む導電部において、低い抵抗が得られる。半導体装置111においては、例えば、ドレインパッド部33P及びドレイン電極33を含む導電部において、低い抵抗が得られる。
【0084】
図9(a)~図9(d)は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9(a)は、図1のA1-A2線断面に対応する。図9(b)は、図1のB1-B2線断面に対応する。図9(c)は、図1のC1-C2線断面に対応する。図9(d)は、図1のD1-D2線断面に対応する。
【0085】
図9(b)~図9(d)に示すように、半導体装置112においては、ドレイン接続配線33ccが設けられている。ドレイン接続配線33ccは、ドレインビア導電部33Vを介して、ドレインパッド部33Pと接続される。例えば、ドレインパッド部33P及びドレイン電極33を含む導電部において、低い抵抗が得られる。
【0086】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図10に示すように、実施形態に係る半導体装置113は、半導体部材15、第1ソース電極31A、第2ソース電極31B、第1ゲート電極32A、第2ゲート電極32B、第1ドレイン電極33A、ソースパッド部31P及び第1ソース接続部31cnを含む。半導体装置113は、ゲート接続部材32CN、及び、絶縁部80(図2(c)参照)をさらに含む。半導体装置113における第1ゲート電極32A及び第2ゲート電極32Bの構成は、半導体装置110におけるそれらの構成と異なる。これらを除く半導体装置113の構成は、例えば、半導体装置110の構成と同様である。以下、半導体装置113における第1ゲート電極32A、第2ゲート電極32B及びゲート接続部材32CNの例について説明する。
【0087】
半導体装置113において、第1ゲート電極32Aは、第1~第4部分32a~32dを含む。この場合も、第1ソース電極31Aは、第1方向(Y軸方向)において、第1部分32a及び第2部分32bとの間にある。第1ソース電極31Aは、第2方向(例えばX軸方向)において、第3部分32cと第4部分32dとの間にある。第3部分32c及び第4部分32dは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。
【0088】
第2ゲート電極32Bは、第5~第8部分32e~32hを含む。第2ソース電極31Bは、第1方向(Y軸方向)において、第5部分32eと第6部分32fとの間にある。第2ソース電極31Bは、第2方向(例えばX軸方向)において、第7部分32gと第8部分32hとの間にある。第7部分32g及び第8部分32hは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。第7部分32gは、第2方向において、第1ドレイン電極33Aと第8部分32hとの間にある。ゲート接続部材32CNは、第5部分32eを第1部分32aと電気的に接続する。
【0089】
半導体装置113においても、例えば、第1ソース電極31Aと第1ドレイン電極33Aとの間の経路cpに、第1ゲート電極32Aが存在する。例えば、第2ソース電極31Bと第1ドレイン電極33Aとの間の経路cpに、第2ゲート電極32Bが存在する。例えば、リーク電流を抑制できる。特性を向上できる半導体装置を提供できる。半導体装置113においても、第1元素E1の導入の処理に用いられる処理装置の汚染が抑制される。
【0090】
半導体装置113においても、第1ソース接続部31cnは、第1ソース電極31Aとソースパッド部31Pとを電気的に接続する。図2(c)に関して説明したように、絶縁部80の第1絶縁領域81の少なくとも一部は、第3方向(Z軸方向)において、第1部分32aと第1ソース接続部31cnとの間にある。
【0091】
半導体装置113において、第1ゲート電極32Aは、X-Y平面内で第1ソース電極31Aを囲む。第2ゲート電極32Bは、X-Y平面内で第2ソース電極31を囲む。例えば、リーク電流をより効果的に抑制できる。
【0092】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図11に示すように、第2実施形態に係る半導体装置120は、半導体部材15、第1ソース電極31A、第2ソース電極31B、第1ゲート電極32A、第2ゲート電極32B、第1ドレイン電極33A、ソースパッド部31P及び第1ソース接続部31cnを含む。半導体装置113は、絶縁部80(図2(c)参照)をさらに含む。半導体装置120における第1ゲート電極32A及び第2ゲート電極32Bの構成は、半導体装置110におけるそれらの構成と異なる。これらを除く半導体装置120の構成は、例えば、半導体装置110の構成と同様である。以下、半導体装置120における第1ゲート電極32A及び第2ゲート電極32Bの例について説明する。
【0093】
半導体装置120において、第1ゲート電極32Aは、第1~第9部分32a~32iを含む。この場合も、第1ソース電極31Aは、第1方向(Y軸方向)において、第1部分32a及び第2部分32bとの間にある。第1ソース電極31Aは、第2方向(例えばX軸方向)において、第3部分32cと第4部分32dとの間にある。第3部分32c及び第4部分32dは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。第1ソース電極31Aは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。
【0094】
第2ソース電極31Bは、第1方向(Y軸方向)において、第5部分32e及び第6部分32fとの間にある。第2ソース電極31Bは、第2方向(例えばX軸方向)において、第7部分32gと第8部分32hとの間にある。第7部分32g及び第8部分32hは、第1方向に沿って延びる。第7部分32gは、第2方向において、第1ドレイン電極33Aと第8部分32hとの間にある。第9部分32iは、第4部分32d及び第7部分32gと接続される。第2ソース電極31Bは、第1方向(Y軸方向)に沿って延びる。
【0095】
例えば、第1部分32aは、第5部分32eと接続される。この際、図11に示すように、第1ゲート電極32Aが第10部分32jを含み、第10部分32jが、第1部分32aと第5部分32eとを接続すると見なしても良い。または、第1部分32aが延びて、第5部分32eと接続されると見なしても良い。または、第5部分32eが延びて、第1部分32aと接続されると見なしても良い。
【0096】
半導体装置120において、複数のソース電極31(第1ソース電極31A及び第2ソース電極31B)と第1ドレイン電極33Aとの間の経路cpに、第1ゲート電極32Aが存在する。例えば、リーク電流を抑制できる。特性を向上できる半導体装置を提供できる。半導体装置120においても、第1元素E1の導入の処理に用いられる処理装置の汚染が抑制される。
【0097】
半導体装置120においては、例えば、第1ゲート電極32Aは、X-Y平面内で第1ソース電極31A及び第2ソース電極31Bを囲む。例えば、リーク電流をより効果的に抑制できる。
【0098】
図2(c)に関して説明した構成と同様に、半導体装置120において、第1ソース接続部31cnは、第1ソース電極31Aとソースパッド部31Pとを電気的に接続する。図2(c)に関して説明したように、絶縁部80の第1絶縁領域81の少なくとも一部は、第3方向(Z軸方向)において、第1部分32aと第1ソース接続部31cnとの間にある。
【0099】
図2(c)に関して説明した第1ソース接続部31cnの構成と同様に、半導体装置120において、第2ソース接続部31Bcnは、第2ソース電極31Bとソースパッド部31Pとを電気的に接続する。図2(c)に関して説明した第1絶縁領域81の構成と同様に、半導体装置120において、第1絶縁領域81は、第3方向(Z軸方向)において、第5部分32eと第2ソース接続部31Bcnとの間にある。
【0100】
図11に示すように、半導体装置120において、ドレインパッド部33Pが設けられている。ドレインパッド部33Pは、ドレイン電極33(例えば第1ドレイン電極33A)と電気的に接続される。ドレインパッド部33Pは、周辺領域17に設けられる。
【0101】
第1ドレイン電極33Aの第1方向(Y軸方向)における位置は、第9部分32iの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。第1ドレイン電極33Aは、例えば、第1ゲート電極32Aで囲まれた領域の外にある。
【0102】
半導体装置120において、第2部分32の第1方向(Y軸方向)における位置は、第1ソース電極31Aの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。第6部分32fの第1方向における位置は、第2ソース電極31Bの第1方向における位置と、ドレインパッド部33Pの第1方向における位置と、の間にある。
【0103】
図12は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図12に示すように、第2実施形態に係る半導体装置121は、半導体部材15、第1ソース電極31A、第2ソース電極31B、第1ゲート電極32A、第2ゲート電極32B、第1ドレイン電極33A、ソースパッド部31P、第1ソース接続部31cn及びソース接続部材31CNを含む。半導体装置121は、絶縁部80(図2(c)参照)をさらに含む。半導体装置121におけるソース接続部材31CNを除く構成は、例えば、半導体装置121の構成と同様である。
【0104】
ソース接続部材31CNは、第1ソース電極31Aを第2ソース電極31Bと電気的に接続する。ソース接続部材31CNの第1方向(Y軸方向)における位置は、第9部分32iの第1方向における位置と、第1ドレイン電極33Aの第1方向における位置と、の間にある。ソース接続部材31CNは、例えば、複数のソース電極31どうしを電気的に接続する。複数のソース電極31及びソース接続部材31CNは、例えば、X-Y平面において、ゲート電極32(例えば第1ゲート電極32A)で囲まれた領域内にある。半導体装置121において、複数のソース電極31(第1ソース電極31A及び第2ソース電極31B)とドレイン電極33(例えば第1ドレイン電極33A)との間の経路cpに、ゲート電極32(例えば第1ゲート電極32A)が存在する。例えば、リーク電流を抑制できる。特性を向上できる半導体装置を提供できる。半導体装置121においても、第1元素E1の導入の処理に用いられる処理装置の汚染が抑制される。
【0105】
実施形態において、複数のソース電極31の少なくともいずれかは、例えば、Ti、Al及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。複数のドレイン電極33の少なくともいずれかは、例えば、Ti、Al及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。複数のゲート電極32の少なくともいずれかは、例えば、Ti、W、Ni、Pt、Au及びTaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0106】
上記の図で例示した構成においては、ゲート電極32の一部(下部分)から第2半導体層12への方向は、X軸方向に沿う。例えば、ゲート電極32の一部(下部分)は、X軸方向において、第2半導体層12と対向する。ゲート電極32の一部(下部分)から第1半導体層11への方向が、X軸方向に沿っても良い。これらの半導体装置は、例えば、リセス構造を有する半導体装置である。実施形態において、ゲート電極32の一部がX軸方向において、第2半導体層12に対向しなくても良い。実施形態は、例えば、横型のJFET(Junction-FET)構造に適用されても良い。実施形態は、例えば、横型のノーマリオン構造に適用されても良い。
【0107】
実施形態によれば、効率を向上できる半導体装置が提供できる。
【0108】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体部材、半導体層、電極、絶縁部及び絶縁膜などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0109】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0110】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0111】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
11…第1半導体層、 11F…第1半導体膜、 11a~11f…第1~第6部分領域、 12…第2半導体層、 12F…第2半導体膜、 15…半導体部材、 16…素子領域、 17…周辺領域、 17E…境界、 17a~17d…第1~第4周辺部分、 18a~18d…第1~第4境界、 31…ソース電極、 31A、31B…第1、第2ソース電極、 31Bcn…第2ソース接続部、 31CN…ソース接続部材、 31P…ソースパッド部、 31U…ソース接続ビザ導電部、 31V…ソースビア導電部、 31cc…ソース接続配線、 31cn…第1ソース接続部、 32…ゲート電極、 32A、32B…第1、第2ゲート電極、 32CN…ゲート接続部材、 32P…ゲートパッド部、 32X…一部、 32a~32j…第1~第10部分、 32cn…第1ゲート配線部、 33…ドレイン電極、 33A、33B…第1、第2ドレイン電極、 33P…ドレインパッド部、 33V…ドレインビア導電部、 33cc…ドレイン接続配線、 33cn…第1ドレイン配線部、 80…絶縁部、 81、82…第1、第2絶縁領域、 85F…第1絶縁膜、 85G…第2絶縁膜、 85o…開口部、 88…マスク、 88o…開口部、 110、110a、111、112、113、119a、119b、120、121…半導体装置、 E1…第1元素、 R1…リセス、 SB1…構造体、 cp…経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12