(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】棚装置
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20241112BHJP
F25D 25/02 20060101ALI20241112BHJP
A47F 3/04 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
A47F5/00 C
F25D25/02 F
F25D25/02 J
F25D25/02 N
F25D25/02 P
A47F3/04 L
(21)【出願番号】P 2020047349
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月12~14日幕張メッセにおいて開催された、全国スーパーマケット・トレードショー2020にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】山崎 力弥
(72)【発明者】
【氏名】物井 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】深野 竜志
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-253968(JP,A)
【文献】特開2001-099148(JP,A)
【文献】実開平02-088021(JP,U)
【文献】特開2006-161482(JP,A)
【文献】特開平05-123227(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03942749(DE,A1)
【文献】米国特許第04285560(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04, 5/00
F25D 25/02
A47B 88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚部材と、被取付部材に取付けられ前後方向に延びる一対のブラケットと、固定体および当該固定体に対して前後方向に相対移動可能な可動体により前記ブラケットに対して前記棚部材を相対移動可能に連結するスライドレールと、を備える棚装置であって、
各前記ブラケットと前記棚部材との間に2列の互いに略平行の前記スライドレールが延設されており、
2列の前記スライドレール
の前記固定体は、前記ブラケットから横方向に延びる横板部からさらに上方
かつ前後方向に延びる中空状の立設体の左右側面
にそれぞれ固定され、
2列の前記スライドレールの前記可動体は、前記棚部材の下面から
前記中空状の立設体を挟んで下方に垂下する
一対の垂下体に前記固定体とそれぞれ対向するように固定されていることを特徴とする棚装置。
【請求項2】
前記立設体は、前記ブラケットの前後方向において前端近傍まで延設されていることを特徴とする請求項
1に記載の棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどにおいて商品を陳列するショーケースの棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の売り場には、商品を陳列するショーケースが配置されている。このようなショーケースは、左右一対のブラケットに支持される棚部材を上下に多段に備えて、各棚部材上に商品を陳列できるようになっている。
【0003】
ショーケースの各棚部材上では、例えば後方側に陳列されていた商品を前方側に寄せて購入者が手に取りやすいように整列させる、いわゆる前出しが行われる。そして、品出しの際には、前方側に陳列されている商品を避ける、または前方側の商品を別の場所に一時的に移動させる等して、棚部材の後方側に商品が補充される。このような品出し作業を効率化するために、棚部材を前方側へスライド移動できるようにし、棚部材の後方側へのアクセスを容易にしたスライド式の棚装置が広く用いられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に示される棚装置は、ショーケース室内の後方側に配置された棚支柱に支持された左右一対のブラケットに前後方向に延びるスライドレールを介在させて棚部材が取付けられた構造となっている。スライドレールは、ブラケットの側方に取付けられる固定体と、固定体に対して相対移動可能な可動体とを有し、可動体は棚部材の側端部に取付られる連結部材と、固定体および連結部材に対してそれぞれ前後方向に相対移動可能な中間部材と、からなる。
【0005】
固定体と連結部材は、断面視C字状の対向形状であり、それぞれ上下方向に対向する上方内周面および下方内周面を有し、ブラケットに沿うように前後方向に延設されている。中間部材は、断面視X字状であり、固定体側の側部は、上方外周面および下方外周面を有し、それぞれ固定体の上方内周面または下方内周面と上下方向に対向配置されている。また、連結部材側の側部は、上方外周面および下方外周面を有し、それぞれ連結部材の上方内周面または下方内周面と上下方向に対向配置されている。中間部材の両側部は、それぞれブラケットに沿うように前後方向に延設されている。
【0006】
また、固定体の上方内周面と中間部材の固定体側の側部の上方外周面との間には、前後方向に複数の球状のベアリングが介在されている。同様に、固定体の下方側内周面と中間部材の固定体側の側部の下方外周面との間、連結部材の上方側内周面と中間部材の連結部材側の側部の上方外周面との間、連結部材の下方側内周面と中間部材の連結部材側の側部の下方外周面との間にも複数のベアリングが介在されている。このような構造であることからスライドレールは、ブラケットに沿って前後方向に伸縮するとともに、複数のベアリングを用いることで、棚部材を陳列されている商品ごと前方に円滑に引き出すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-83774号公報(第3頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1のような棚装置にあっては、商品が前出しされて棚部材の前端側に荷重が集中している状態で棚部材を前方側に引き出した場合、連結部材が中間部材に対して前傾するとともに中間部材が固定体に対して前傾することで、固定体と中間部材との連結部分では前方側において中間部材が固定体を押し下げるように棚部材の荷重が局所的に集中し、後方側において中間部材が固定体を押し上げるように棚部材の荷重が局所的に集中し、これと同様に中間部材と連結部材との連結部分においても前後2か所に棚部材の荷重が集中することになり、棚部材をスムーズにスライド移動させることができなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、棚部材を安定してスムーズにスライド移動可能な棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の棚装置は、
棚部材と、被取付部材に取付けられ前後方向に延びる一対のブラケットと、固定体および当該固定体に対して前後方向に相対移動可能な可動体により前記ブラケットに対して前記棚部材を相対移動可能に連結するスライドレールと、を備える棚装置であって、
各前記ブラケットと前記棚部材との間に2列の互いに略平行の前記スライドレールが延設されており、
2列の前記スライドレールの前記固定体は、前記ブラケットから横方向に延びる横板部からさらに上方かつ前後方向に延びる中空状の立設体の左右側面にそれぞれ固定され、
2列の前記スライドレールの前記可動体は、前記棚部材の下面から前記中空状の立設体を挟んで下方に垂下する一対の垂下体に前記固定体とそれぞれ対向するように固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、棚部材を前方側に引き出すにあたって、棚部材の前端側に商品が集中していても、棚部材の荷重が各ブラケットに対して略平行に取付けられた複数のスライドレールそれぞれに分散されるため、固定体と可動体との連結部分において荷重が局所的に集中することが抑制されて可動体が固定体に対して前傾し難くなり、棚部材を安定してスライド移動させることができる。
【0011】
前記一対のブラケットがそれぞれ有する前記立設体同士は、連結体によって連結されていることを特徴としている。
この特徴によれば、一対のブラケットが被取付部材に対して水平方向に揺動することが防止されるばかりでなく、立設体同士の相対移動が防止されることから、一方のブラケット側の一対のスライドレールと、他方のブラケット側の一対のスライドレールとの平行度を保つことができる。
【0012】
前記連結体は、前記ブラケットに対して略平行に延設された延設部が、前記立設体と面当接して固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、立設体を補強することができる。
【0013】
前記棚部材は、下方に突出する一対の垂下体を有し、
前記ブラケットは、一方の前記スライドレールの固定体が当該ブラケットの側面に固定され、他方の前記スライドレールの固定体が前記立設体の当該ブラケットと対向する側面に固定され、
各前記垂下体は、一方の前記スライドレールの可動体と、他方の前記スライドレールの可動体との間に配設されて、一方または他方の前記可動体に固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、一対のスライドレール同士の一体性が増すため、よりスムーズに移動させることができる。
【0014】
前記垂下体は、中空であることを特徴としている。
この特徴によれば、垂下体の構造強度を保持しつつ軽量化を図ることができる。
【0015】
前記立設体は、前記ブラケットの前後方向において前端近傍まで延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、立設体によってスライドレールの固定体の前端部が支持されることから、可動体を前方側に移動させた際の支持強度が向上するため、棚部材をより安定して前方側に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1における棚装置が用いられたショーケースを示す斜視図である。
【
図2】オープンショーケースの構造を示す側面から見た断面図である。
【
図4】棚装置の要部の構造を示す分解斜視図である。
【
図5】棚装置の要部の構造を示す正面から見た断面図である。
【
図6】(a)は、棚部材が後退位置(商品陳列位置)にある棚装置の要部の構造を示す側面から見た断面図、(b)は、同じく上面から見た断面図である。
【
図7】(a)は、棚部材が前進位置(商品補充位置)にある棚装置の要部の構造を示す側面から見た断面図、(b)は、同じく上面から見た断面図である。
【
図8】本発明の実施例2における棚装置の要部の構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る棚装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1に係る棚装置につき、
図1から
図7を参照して説明する。以下、
図1の紙面左下側を正面側とし、正面側から見たときの上下左右前後方向を基準として説明する。
【0019】
本実施例の棚装置であるスライド棚10は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で日配食品や生鮮食料品等の商品を保冷した状態で陳列するために設置される冷凍・冷蔵ショーケース1に適用されている。尚、スライド棚10は、冷凍・冷蔵ショーケースに限られず、冷凍・冷蔵機能を有しない商品陳列棚や倉庫などで物品を収納する物品収納棚として利用してもよい。
【0020】
図1に示されるように、冷凍・冷蔵ショーケース1は、商品(図示略)が冷却・陳列される保冷室20を備えるケース本体2と、ケース本体2の下方に配設される基台3と、ケース本体2および基台3の両側部に装着される側板体4と、から主に構成されている。
【0021】
図2に示されるように、ケース本体2は、前面(図の左方)が開放された側面視略コ字形をなす断熱構造の外箱25と、その内方の、同じく前面が開放された側面視略コ字形の内箱26と、を備え、内箱26の内方の空間が保冷室20となっている。
【0022】
図1に示されるように、内箱26の背面部は、左右方向に所定間隔置きに配設された被取付部材である複数の支柱21と、隣り合う一対の支柱21,21の間に配設された複数の背面板22と、から主に構成され、隣り合う一対の支柱21,21にスライド棚10が固定されている。支柱21は、基台3に連結されて立設しており、前端部には、左右方向に2列に並ぶスリット21a(
図3参照)が上下方向に所定間隔置きに複数設けられている。また、内箱26の底部には、左右方向に複数の底板23が配設されている。これら、各スライド棚10の棚板11や底板23の上に、商品を陳列可能となっている。
【0023】
図2に示されるように、外箱25と内箱26との間には、冷気循環経路27が形成され、この冷気循環経路27の鉛直部と水平底部には、冷凍機ユニットを構成する蒸発器24aと送風機24bが設置されている。ケース本体2の上部の前端には、冷気循環経路27と連通する冷気吹出口27aが下向きに形成され、ケース本体2の下部の前端には、上方に開口する冷気の吸込口27bが形成されている。
【0024】
送風機24bを作動させると、蒸発器24aにより冷却された冷気は、矢印のように、冷気循環経路27内を上方に向かって流れ、冷気吹出口27aより、下方の吸込口27bに向かって吹き出される。また、背面板22には、冷気循環経路27に連通する複数の吹出孔22a(
図3参照)が形成されており、吹出孔22aからも保冷室20内に冷気が流入する。これにより、ケース本体2の前面の開放面に冷気のエアカーテン28が形成されるとともに、冷気の一部が保冷室20内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
【0025】
次に、スライド棚10の構成について、
図3~
図5を用いて説明する。尚、スライド棚10は、左側の構造(ブラケット12L側の構造)と右側の構造(ブラケット12R側の構造)とが対向形状であるため、以降の説明では、主に左側の構造について説明し、特に断らない限り右側の構造の説明については省略する。また、本説明を行うにあたって、スライド棚10における左右方向中央側を内側、スライド棚10よりも左右方向外側を外側と記載する場合もある。また、本実施例では、各図において雄ねじの図示を省略しており、
図4では、図示の都合上、一つの雄ねじが挿通される連通孔と、当該雄ねじが緊定される雌ねじ部との対応関係を示す一点鎖線を一部省略している。
【0026】
図3,
図4に示されるように、スライド棚10は、棚板11と、隣り合う一対の支柱21,21の前端部側に取付けられた一対のブラケット12L,12Rと、棚板11をブラケット12L,12Rに対して前後方向にスライド移動可能に連結する4本のスライドレール13(
図4では、ブラケット12Lに固定される2本のスライドレール13を示している。ブラケット12Rにも2本のスライドレール13が固定されている)と、一対のブラケット12L,12Rを連結する連結体14(
図4参照)と、から主に構成されており、棚板11が後退位置(商品陳列位置)にあるとき、すなわち棚板11が支柱21に近接配置され、図示しないストッパによって前後方向への移動が規制されている状態にあるとき、ストッパによる規制を解除しながら棚板11を前方側に移動させることにより、ブラケット12L,12Rに沿って棚板11を所望の前進位置(商品補充位置)までスライド移動させることができるようになっている。また、前進位置にある棚板11を後退位置まで移動させるとストッパが棚板11に係合するようになっている。
【0027】
まず、棚板11について説明する。
図3に示されるように、棚板11は、略長方形状の板状に形成された載置板11aの前端部に着脱可能な前方規制部材11bが立設され、両側端部に着脱可能な側方規制部材11cが立設されており、載置板11aに載置された商品が、前方および両側方から落下することが防止されている。
【0028】
また、
図5を参照して、棚板11は、載置板11aの下面側の両側端部に前後方向かつ下方に延設された垂下体50がそれぞれ固定されている。
【0029】
垂下体50は、押出成型により下向きハット形状に形成されており、左右方向に延設された外側横板部と、外側方横板部の右端部に略直交して下方側に延設された外側縦板部50aと、外側縦板部50aの下端部に略直交して右方(内側)に延設された中央横板部50bと、中央横板部50bの右端部に略直交して上方側に延設された内側縦板部50cと、内側縦板部50cの上端部に略直交して右方(内側)に延設された内側横板部と、を有し、外側横板部と内側横板部は、略同一平面上に形成されて載置板11aと略平行となっており、載置板11aの下面側に溶接固定されている。尚、垂下体50の製法は問わず、例えば曲げ加工により形成されていても良く、複数の板材を溶接することで形成されていても良い。さらに尚、外側横板部と内側横板部は、ボルトナットで固定されていても良く、溶接に限定されない。
【0030】
また、垂下体50は、中央横板部50bが、外側横板部および内側横板部と略平行に形成されており、外側縦板部50aと内側縦板部50cが互いに略平行に形成されている。外側縦板部50aと内側縦板部50cには、同一軸心上に形成された水平方向に連通する雌ねじ部(図示を省略)が前後方向に離間して4か所形成されている。
【0031】
垂下体50は、載置板11aに固定された状態において、棚板11の側端部と略平行に配設されている。また、載置板11a、外側縦板部50a、中央横板部50bおよび内側縦板部50cにより前後方向に連通する空間が形成されている。
【0032】
次いで、ブラケット12Lについて説明する。
図4に示されるように、ブラケット12Lは、金属製の板状部材から側面視略横向きL字状に形成され、前後方向かつ上下方向に延びる平板状のアーム板12aと、アーム板12aの後端に設けられる下向き鉤状の4つのフック12bと、アーム板12aの前後方向に沿って前後方向に延びる立設体である正面視クランク形状のクランク杆15と、から構成されている。
【0033】
クランク杆15は、押出成型により形成されており、下方に延設された下方縦板部15aと、下方縦板部15aの上端部に略直交して右方(内側)に延設された横板部15bと、横板部15bの右端部に略直交して上方に延設された上方縦板部15cと、を有している。尚、クランク杆15の製法は問わず、例えば曲げ加工により形成されていても良く、複数の板材を溶接することで形成されていても良い。
【0034】
また、クランク杆15は、アーム板12aにクランク杆15が固定された状態では、上方縦板部15cがアーム板12aと略平行となる。アーム板12aと上方縦板部15cには、同一軸心上に形成された水平方向に連通する連通孔または雌ねじ部が前後方向に離間して4か所形成されている。より詳しくは、アーム板12aには、雌ねじ部のみが形成されており、上方縦板部15cには、前方側から順に連通孔が3つ形成され、3つの連通孔よりも後方側に雌ねじ部が1つ形成されている。
【0035】
次いで、スライドレール13について説明する。尚、スライドレール13は、ブラケット12Lのアーム板12aに固定されるスライドレール13も、クランク杆15の上方縦板部15cに固定されるスライドレール13も同一形状であるため、ここでは、アーム板12aに固定されるスライドレール13を例に説明する。
【0036】
図5に示されるように、スライドレール13は、ブラケット12Lのアーム板12aに固定される固定体である固定部材30と、棚板11の垂下体50の外側縦板部50aに固定される可動体である連結部材31と、固定部材30および連結部材31に対して前後方向に相対移動可能に連結された可動体である中間部材32と、から主に構成されている。
【0037】
固定部材30は、前後方向に延設された正面視C字状に形成されており、上方に向かって湾曲する上方内周面30Uと、下方に向かって湾曲する下方内周面30Dと、が対向配置されている。連結部材31は、固定部材30の対向形状であり、固定部材30と同様に上方内周面31Uと、下方内周面31Dと、が対向配置されている。
【0038】
中間部材32は、前後方向に延設された正面視X字状に形成されており、固定部材30側に配設された側部33と、連結部材31側に配設された側部34と、を備えている。固定部材30側の側部33には、下方に向かって湾曲する上方外周面33Uと、下方に向かって湾曲する下方外周面33Dと、が形成されている。これと同様に、連結部材31側の側部34には、上方外周面34Uおよび下方外周面34Dが形成されている。
【0039】
固定部材30側の側部33は、上方外周面33Uおよび下方外周面33Dが、固定部材30の上方内周面30Uと下方内周面30Dの間に配設されており、対向配置された上方外周面33Uと上方内周面30Uとの間と、対向配置された下方外周面33Dと下方内周面30Dとの間に、ボールリテナに保持された複数の球状のベアリングがそれぞれ介在されている。これにより、側部33が固定部材30に対して前後方向へ円滑にスライド移動可能となっている。連結部材31側の側部34と連結部材31についても同様である。
【0040】
次いで、連結体14について説明する。
図3,
図4を参照して、連結体14は、クランク杆15に連結される左右一対のアンクル杆40と、左右一対のアンクル杆40を連結するチャンネル杆41と、から主に構成されている。
【0041】
アンクル杆40は、押出成型により正面視L字状に形成されており、横板部40bの後端部の後ろ側が矩形状に切断されて上面視L字状に形成されている。アンクル杆40は、上下方向に延設された縦板部40aと、縦板部40aの下端部に略直交して右方(内側)に延設された横板部40bと、を有しており、縦板部40aの前後方向の寸法が横板部40bの前後方向の寸法よりも長尺となっている。尚、アンクル杆40の製法は問わず、例えば曲げ加工により形成されていても良く、複数の板材を溶接することで形成されていても良い。
【0042】
チャンネル杆41は、押出成型により側面視上向きコ字状に形成されており、左右方向に延設された横板部41aと、横板部41aの前端部または後端部に略直交して上方側に延設された壁部41bと、を有しており、各壁部41b間の前後方向の寸法は、アンクル杆40の横板部40bの前後方向の寸法よりもわずかに長尺となっている。尚、チャンネル杆41の製法は問わず、例えば曲げ加工により形成されていても良く、複数の板材を溶接することで形成されていても良い。
【0043】
次に、冷凍・冷蔵ショーケース1へのスライド棚10の組付け方法について、
図5を参照して説明する。スライド棚10の組付けにあたって、まず、外側のスライドレール13の固定部材30をブラケット12Lのアーム板12aに固定し、内側のスライドレール13の固定部材30をクランク杆15の上方縦板部15cに固定する。尚、この時点では、クランク杆15は、ブラケット12Lに固定されていない。
【0044】
固定部材30には、水平方向に連通する連通孔が前後方向に離間して4か所形成されている。前述したアーム板12aに形成された各雌ねじ部、上方縦板部15cに形成された各連通孔および雌ねじ部は、固定部材30の各連通孔に位置合わせされている。そして、外側のスライドレール13の固定部材30の連通孔に雄ねじを挿通させてアーム板12aの雌ねじ部に緊定する。これにより、外側のスライドレール13の固定部材30の前端は、アーム板12aの前端と略同一平面上に配設される。
【0045】
また、内側のスライドレール13をクランク杆15に固定するにあたって、連結体14のアンクル杆40も一緒に固定される。尚、この時点では、アンクル杆40は、チャンネル杆41に連結されていない。
【0046】
アンクル杆40の縦板部40aには、水平方向に連通する雌ねじ部が前後方向に離間して3か所形成されており、前述した上方縦板部15cに形成された各連通孔に位置合わせされている。そして、上方縦板部15cの右端面(内側の端面)に縦板部40aの左端面(外側の端面)を面当接させた状態で、上方縦板部15cの左側(外側)に配置したスライドレール13の固定部材30の前方側3つの連通孔にそれぞれ雄ねじを挿通させ、上方縦板部15cの連通孔に挿通させて縦板部40aの雌ねじ部に緊定する。また、固定部材30の後端側の連通孔に雄ねじを挿通させ、上方縦板部15cの雌ねじ部に緊定する。これにより、スライドレール13の固定部材30の前端は、クランク杆15の前端と略同一平面上に配設される。
【0047】
次いで、クランク杆15の下方縦板部15aをブラケット12Lのアーム板12aに固定する。アーム板12aには、スライドレール13が取付けられた位置の下方側に水平方向に連通する雌ねじ部が前後方向に離間して3か所形成されている。また、下方縦板部15aには、水平方向に連通する連通孔が前後方向に離間して3か所形成されており、アーム板12aの各雌ねじ部に位置合わせされている。そして、下方縦板部15aをアーム板12aに面当接させた状態で、下方縦板部15aの連通孔に雄ねじを挿通させてアーム板12aの雌ねじ部に緊定する。これにより、クランク杆15の上方縦板部15cは、アーム板12aと略平行に対向配置される。
【0048】
また、前述したように、アーム板12aと上方縦板部15cに形成された各雌ねじ部は、同一軸心上に形成されており、2本のスライドレール13は、同一形状であることから、アーム板12aにクランク杆15を固定することで、外側のスライドレール13と内側のスライドレール13とを互いに略平行に対向配置させてブラケット12に取付ることができるため、ブラケット12Lに対する2本のスライドレール13の位置合わせが容易である。
【0049】
これと同様に、ブラケット12Rに2本のスライドレールの固定部材30をそれぞれ固定した後、ブラケット12L側のアンクル杆40と、ブラケット12R側のアンクル杆40を、チャンネル杆41によって連結する。
【0050】
次いで、ブラケット12Lに固定された2本のスライドレール13のうち、外側のスライドレール13の連結部材31を垂下体50の外側縦板部50aに固定し、内側のスライドレール13の連結部材31を垂下体50の内側縦板部50cに固定する。
【0051】
連結部材31には、水平方向に連通する連通孔が前後方向に離間して4か所形成されている。前述した外側縦板部50aおよび内側縦板部50cに形成された各雌ねじ部は、連結部材31の各連通孔に位置合わせされている。そして、連結部材31の連通孔に雄ねじを挿通させて外側縦板部50aの雌ねじ部または内側縦板部50cの雌ねじ部に緊定する。これにより、外側のスライドレール13と内側のスライドレール13とを互いに略平行に対向配置させて垂下体50の取付ることができるため、垂下体50に対する2本のスライドレール13の位置合わせが容易である。このようにして、ブラケット12Lに2本のスライドレール13を用いて棚板11を連結することができる。
【0052】
これと同様に、ブラケット12R側の2本のスライドレール13と垂下体50とを連結することで、ブラケット12L,12Rに対して前後方向にスライド移動可能に棚板11
を連結することができる。
【0053】
その後、ブラケット12L,12Rそれぞれのフック12bを、支柱21の所望の高さにあるスリット21aに挿通させて支柱21の前端部に掛止させることで、棚板11を支柱21に略直交させた状態で、保冷室20内にスライド棚10を設置することができる。
【0054】
尚、スライド棚10の組立て方法は、前述した例に限らず、適宜変更しても良い。例えばブラケット12Lよりも先に2本のスライドレール13が垂下体50に連結されても良い。
【0055】
次に、棚板11のスライド移動について、
図6,
図7を用いて説明する。尚、
図6(b)は、
図6(a)で示すA矢視図であり、
図7(b)は、
図7(a)で示すB矢視図である。
【0056】
図6に示されるように、棚板11が後退位置(商品陳列位置)にあるとき、ブラケット12Lに連結された2本のスライドレール13は、前後方向において各固定部材30、連結部材31、中間部材32が略同一位置に配置された状態となっている。後退位置(商品陳列位置)では、前述したようにストッパによって前後方向への移動が規制されているため、棚板11に陳列されている商品の取出しや前出しを安全かつ容易に行うことができる。
【0057】
このとき、ブラケット12Lのアーム板12aとクランク杆15の上方縦板部15cとの間が前後方向に連通しており、棚板11の載置板11a、垂下体50の外側縦板部50a、中央横板部50bおよび内側縦板部50cとの間も前後方向に連通する筒状であることから、背面板22の吹出孔22a(
図3参照)を通じて保冷室20内に流入する冷気が、アーム板12aと上方縦板部15cとの間、載置板11a、外側縦板部50a、中央横板部50bおよび内側縦板部50cとの間それぞれの後端側に流入して前方側から流出するため、ブラケット12L、クランク杆15、および垂下体50によって吹出孔22aから保冷室20内に流入しようとする冷気の妨げとなることが防止されている。
【0058】
図7を参照して、棚板11を後退位置から前方側に移動させると、前後方向において各固定部材30に対して、各連結部材31、中間部材32が前方側にスライド移動し、各中間部材32に対して、各連結部材31が前方側にスライド移動していく。棚板11に陳列された商品よりも後方側を、当該棚板11よりも上方側の棚板11またはケース本体2の上部よりも前方側に移動させた前進位置(商品補充位置)では、棚板11に陳列された商品よりも後方側へのアクセスが容易となり、商品の補充作業が容易となる。
【0059】
このとき、ブラケット12L,12Rは、連結体14によって連結されていることから、各支柱21に対して個別に傾動し難くなっており、水平方向に揺動することが防止されているため、ブラケット12L,12R同士の互いの平行度が保たれている。加えて、各クランク杆15についても、互いの相対移動が連結体14によって防止されることから、各クランク杆15同士の互いの平行度が保たれている。これにより、ブラケット12L,12R、各クランク杆15に固定されている4本のスライドレール13同士の平行度も保たれている。
【0060】
また、各スライドレール13の伸長が最長となっている状態では、棚板11の前端Fがブラケット12Lから最も離間した状態となるため、棚板11の前端Fから連結部材31と中間部材32との連結部分の後端R1に対するモーメントアームA1が最長となるとともに、棚板11の前端Fから中間部材32と固定部材30との連結部分の後端R2に対するモーメントアームA2も最長となる。
【0061】
例えば、従来技術のスライド棚のように、支柱に支持された左右一対のブラケットにスライドレールを介在させて棚板を取付けた構造であれば、スライドレールの伸長が最長となっている状態において、棚板の前端側に荷重が集中すると、連結部材と中間部材との連結部分の後端と、中間部材と固定部材との連結部分の後端に強い力が集中して固定部材に対して中間部材が前傾し、中間部材に対して連結部材が前傾し、棚板が前傾することがある。
【0062】
これに対して、本実施例のスライド棚10であれば、棚板11の荷重が、従来技術のスライド棚の棚板を前傾させるに足る荷重と同一であっても、ブラケット12L側に作用する棚板11の荷重が、2本のスライドレール13に分散されるため、連結部材31と中間部材32との連結部分の後端R1と、中間部材32と固定部材30との連結部分の後端R2に集中する力が軽減されることから、固定部材30に対して中間部材32が前傾し難くなっているとともに、中間部材32に対して連結部材31が前傾し難くなっている。
【0063】
また、ブラケット12Lに取付けられた2本のスライドレール13のうち一方のスライドレール13に荷重が集中しやすい場合に、前述したように、ブラケット12L側の2本のスライドレール13同士が略平行に配設されていることから、一方のスライドレール13を他方のスライドレール13が確実に支持することができる。すなわち、確実に荷重を2本のレールに分散することができる。
【0064】
このように、棚板11を前方側に引き出すにあたって、棚板11の前端側に商品が集中していても、棚板の荷重がブラケット12Lに対して略平行に取付けられた2本のスライドレール13とブラケット12Rに対して略平行に取付けられた2本のスライドレール13にそれぞれ分散されるため、固定部材30に対して中間部材32が前傾し難くなっているとともに、中間部材32に対して連結部材31が前傾し難くなっているため、棚板11を安定してスライド移動させることができる。
【0065】
また、クランク杆15の前端は、ブラケット12Lのアーム板12aと前端と位置合わせされていることから、クランク杆15によって外側のスライドレール13の固定部材30の前端部が支持されているため、固定部材30に対して連結部材31、中間部材32を前方側に移動させた際の支持強度が向上する。これにより、棚板11をより安定して前方側に移動させることができる。
【0066】
また、棚板11の荷重が垂下体50を介して、対向配置された各スライドレール13の連結部材31に分散されるため、例えば従来技術のように、各ブラケットに1本ずつスライドレールが取付けられている構造よりも、耐荷重性能を高めることができる。
【0067】
ここで、従来技術のスライド棚のような構造で、本実施例のスライド棚10と同等の耐荷重性能を付与する方法として、耐荷重性能が高いスライドレールを使用する方法があるが、スライドレールは、一般的に耐荷重性能が増すほど形状が大型化し価格が上昇する傾向にある。すなわち、スライドレールの耐荷重性能を高めるほどにスライド棚の下方側の空間を圧迫し、製造コストが高コストとなる。特に、スライド棚の下方の区間を圧迫すると、スライドレールの下方に商品を陳列し難くなることがある。また、購入者にスライドレールが見えやすくなるため、意匠性が低下してしまう。
【0068】
本実施例のスライド棚10では、4本のスライドレール13を水平方向に略平行に配置することで耐荷重性能が向上していることから、1本のスライドレール13よりも耐荷重性能の高いスライドレールを適用した構造よりも相対的に下方側の空間を圧迫し難くなっている。すなわち、省スペースで設置可能である。また、省スペースで設置可能であることで、購入者の目につき難くなるため意匠性を損ね難い。さらに、スライドレール1本当たりの価格を抑えることができるため、相対的に製造コストを低くすることができる。
【0069】
また、ブラケット12L側の2本のスライドレール13は、同一形状のものが互いに略平行に対向配置され、かつ前後方向に位置合わせされた状態で、各固定部材30が対向配置されたブラケット12Lのアーム板12aまたはクランク杆15の上方縦板部15cに固定され、各連結部材31が同じ垂下体50に固定されていることから、棚板11をスライド移動させると、各連結部材31が各固定部材30に対して略同一のタイミングで相対移動される。また、各中間部材32も同様に、各固定部材30に対して略同一のタイミングで相対移動されやすくなっている。すなわち、2本のスライドレール13同士の一体性が高められている。
【0070】
また、ブラケット12Lのアーム板12aとクランク杆15の上方縦板部15cとの間に、2本のスライドレール13と垂下体50が配設されていることから、棚板11に載置された商品の位置が左右方向のいずれかに偏る、棚板11をスライド移動させる際に把持する部分が左右方向のいずれかの端部に偏る等により、スライドレール13に対して水平方向の力が作用する場合に、連結部材31が中間部材32に対して相対的に水平方向に移動すること、中間部材32が固定部材30に対して相対的に水平方向に移動することを規制することができる。
【0071】
例えば、外側のスライドレール13の連結部材31が内側のスライドレール13側に移動しようとしても、外側のスライドレール13よりも内側に配置されている垂下体50、内側のスライドレール13、及びクランク杆15の上方縦板部15cによってその移動が規制されることとなる。すなわち、各固定部材30、連結部材31、中間部材32同士の平行度を保ちやすくなっている。すなわち、2本のスライドレール13同士の一体性が高められている。また、固定部材30と中間部材32との間、中間部材32と連結部材31との間で、過度な摩擦力が発生することを防止することができる。
【0072】
また、ブラケット12Lに取付けられた2本のスライドレール13は、互いの連結部材31が対向配置されて垂下体50に固定されていることから、垂下体50に作用する荷重により一方のスライドレール13の連結部材31に対して正面視時計回り方向に回転モーメントが作用し、連結部材31が中間部材32に対して水平軸時計回り方向に傾動しようとしても、他方のスライドレール13においても連結部材31に対して正面視反時計回り方向回転モーメントが作用し、連結部材31が中間部材32に対して水平軸反時計回り方向に傾動しようとする。すなわち、互いに対向方向の回転モーメントが作用することから一方の傾動が他方の傾動により相殺されやすくなっている。これにより、連結部材31と中間部材32との平行度をより保ちやすくなっている。これは、固定部材30と連結部材31についても同様である。
【0073】
また、ブラケット12L,12Rは、前述したように連結体14によって平行度が保たれていることから、各スライドレール13に対して水平方向の力が作用する場合に、ブラケット12L,12Rが相対的に傾動することが防止されている。これにより、各固定部材30、連結部材31、中間部材32同士の平行度をより保ちやすくなっており、2本のスライドレール13同士の一体性が高められている。
【0074】
加えて、クランク杆15は、正面視クランク形状であり、平板形状よりも構造強度が高いばかりでなく、クランク杆15の上方縦板部15cは、アンクル杆40の縦板部40aと面当接されて固定されていることから、上方縦板部15cの板厚ばかりでなく縦板部40aの板厚が加わるため、その構造強度が補強されている。同様に、クランク杆15の下方縦板部15aは、ブラケット12のアーム板12aと面当接されて固定されていることから、その構造強度が補強されている。よって、各スライドレール13に対して水平方向の力が作用する場合に、クランク杆15が変形し難くなっている。これにより、各固定部材30、連結部材31、中間部材32同士の平行度をより保ちやすくなっている。
【0075】
また、垂下体50が前述したように正面視ハット形状であり、平板形状よりも構造強度が高いことから、各スライドレール13に対して水平方向の力が作用する場合に、垂下体50が変形し難くなっている。これにより、各固定部材30、連結部材31、中間部材32同士の平行度をより保ちやすくなっている。
【0076】
このように、スライド棚10は、ブラケット12Lに取付られた2本のスライドレール13の一体性が高められていることから、棚板11をよりスムーズにスライド移動させることができる。
【0077】
また、垂下体50は、外側縦板部50a、中央横板部50bおよび内側縦板部50cとの間が前後方向に連通している正面視ハット形状であるため、中実である略同一形状のものと比較して、垂下体50の構造強度を保持しつつ軽量化を図ることができる。
【実施例2】
【0078】
前記実施例1のスライド棚10においては、ブラケット12Lのアーム板12aと、クランク杆15の上方縦板部15cに2本のスライドレール13の固定部材30のいずれかが固定された構造について説明したが、実施例2のスライド棚110では、立設体115に2本のスライドレール13の固定部材30が対向配置されてそれぞれ固定された構造について説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成を省略する。
【0079】
図8に示されるように、立設体115は、ブラケット112Lのアーム板12aに固定される正面視L字状のアンクル杆116と、アンクル杆116の棚板111の左右方向中央側の端部に溶接固定された正面視長方形状の中空杆117と、から構成されている。中空杆117は、前後方向に連通しており、外側のスライドレール13の固定部材30が固定される外側縦板部117aと、内側のスライドレール13の固定部材30が固定される内側縦板部117bを有している。
【0080】
また、棚板111は、載置板11aの下面側に、垂下体としての下向きコ字状のチャンネル杆150が固定されており、チャンネル杆150は、前後方向に連通しており、外側のスライドレール13の連結部材31が固定される外側縦板部150aと、内側のスライドレール13の連結部材31が固定される内側縦板部150bを有している。
【0081】
このように、立設体115に2本のスライドレール13が略平行に配設されて固定された構成であっても、棚板111の荷重を2本のスライドレール13に分散することができるため、棚板111を安定して前後方向にスライド移動させることができる。すなわち、少なくとも複数のスライドレールを略平行に配置可能であれば良いため、例えば外側のブラケット側に棚板の垂下体が複数配設されていても良く、クランク杆15の上方縦板部15cや中空杆117が、ブラケットと略平行に複数配設されていても良い。
【0082】
また、2本のスライドレール13が同一形状であり、互いに略平行に対向配置された状態で、各固定部材30が同じチャンネル杆150に固定され、各連結部材31が同じチャンネル杆150に固定されることで、複数のスライドレールの一体性を高めることができる。
【0083】
以上、本発明の実施例1,2を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0084】
例えば、各ブラケットには、2本のスライドレールが略平行に配設されている構成として説明したが、これに限らず、3本以上のスライドレールが略平行に配設されていても良い。また、3本以上のスライドレールを配設するにあたって、上下方向に複数のスライドレールを配設しても良い。
【0085】
また、前記実施例1において、ブラケット12Lのアーム板12aに取付けられるスライドレール13は、直接アーム板12aに固定される態様として説明したが、これに限らず、アーム板12aに取付けるにあたって、アーム板12aとスライドレール13との間に板状の部材、立設体と異なる支持部材を介在させて固定されていても良い。
【0086】
また、ブラケットは、フック12bを有し、支柱21に掛止させることで棚板を支柱21に略直交させた状態で配設可能な態様として説明したが、これに限らず、1つのフックが複数の掛止位置を有する構成、複数のフックのうちのいずれかのフックを選択して掛止させることが可能な構成とすることで、支柱21に対して棚板を前傾または後傾させて取り付け可能な態様としても良く、棚板の支柱21に対する角度を適宜調節可能としても良い。すなわち、ブラケットは、被取付部材に固定される角度が、被取付部材に対して略90度に限定されない。
【0087】
また、被取付部材は、支柱21に限らず、自由に選択されてよい。また、棚部材は、本実施例における棚板に限定されるものでなく、かご状やフレーム材にガラス板が取付けられた態様であってもよい。
【0088】
また、2本のスライドレール13は、各連結部材31同士が対向配置されている態様、各固定部材30同士が対向配置されている態様について説明したが、これに限らず、2本のスライドレール13が同一方向を向くように、例えば左右方向に一方のスライドレール13の固定体、可動体、他方のスライドレール13の固定体、可動体の順番に配設されていても良い。
【0089】
また、スライドレール13は、固定部材30、連結部材31、中間部材32を有するいわゆる3ピースの態様として説明したが、2ピースや、4ピース以上であっても良い。
【0090】
また、スライドレール13は、固定部材30と中間部材32の間、中間部材32と連結部材31との間に複数のベアリングが介在されている構成として説明したが、これに限らず、水平軸周りに稼働するローラーを有するいわゆるローラー式のスライドレールであっても良く、限定されない。
【0091】
また、クランク杆15の前端は、ブラケット12Lの前端と位置合わせされている態様として説明したが、これに限らず、ブラケット12Lの前端近傍に配設されていればよい。ここでいう近傍とは、クランク杆15の前端からブラケット12Lの前端までの寸法が、ブラケット12Lの前後方向の寸法の10分の1以内であることを意味している。
【0092】
また、垂下体は、前後方向に連通している中空形状であるとして説明したが、これに限らず、中実であっても良い。
【符号の説明】
【0093】
1 冷蔵ショーケース
10,110 スライド棚
11,111 棚板
12L,112L ブラケット
12R ブラケット
13 スライドレール
14 連結体
15 クランク杆(立設体)
21 支柱(被取付部材)
30 固定部材(固定体)
31 連結部材(可動体)
32 中間部材(可動体)
50 垂下体
115 立設体
150 チャンネル杆(垂下体)