(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】バッテリパック及び電動アシスト車
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20241112BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241112BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241112BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241112BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20241112BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20241112BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20241112BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20241112BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241112BHJP
【FI】
H01M10/42 A
H02J7/00 P
H02J7/00 302D
H02J7/00 B
H01M10/48 P
H01M10/44 P
B62M6/45
B62M6/90
B62J43/13
B60L53/80
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2020117804
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103528
【氏名又は名称】原田 一男
(72)【発明者】
【氏名】本田 博文
(72)【発明者】
【氏名】保坂 康夫
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175684(JP,A)
【文献】特開2017-216879(JP,A)
【文献】特開平07-250405(JP,A)
【文献】国際公開第2020/012769(WO,A1)
【文献】特開2002-300731(JP,A)
【文献】国際公開第2019/031274(WO,A1)
【文献】特開2012-125045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 50/20-50/298
B62M 1/00-29/02
B62J 1/00-99/00
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと
、
第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と前記第1の省電力状態より前記電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち前記第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、前記第3の状態から前記第2の省電力状態に遷移する管理部と、
を有
し、
前記管理部は、
前記第2の省電力状態における前記バッテリパック外からの第2の指示に応じて、前記第2の省電力状態から前記第3の状態に遷移し、
前記第3の状態に遷移した後、前記指示が無く前記電池セルの残容量が所定値未満であると判断された場合、前記第2の省電力状態に遷移する
バッテリパック。
【請求項2】
前記管理部は、
前記バッテリパック外の外部回路に接続される所定の端子における第1の電位変化を検出する検出部
を有し、
前記管理部は、
前記第3の状態における前記検出部による前記第1の電位変化の検出を、前記指示として特定する
請求項1記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記検出部は、
前記所定の端子における第2の電位変化を検出し、
前記管理部は、
前記第2の省電力状態における前記検出部による前記第2の電位変化に検出に応じて、前記第2の省電力状態から前記第3の状態に遷移する
請求項2記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記管理部は、
前記指示に応じて前記第3の状態から前記第2の省電力状態に遷移する直前に、前記電池セルの残容量を推定し、記憶部に記憶する
請求項1又は2記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記所定の端子が、充電器にバッテリパックの種別を通知するための端子である
請求項2又は
3記載のバッテリパック。
【請求項6】
電池セルと
、
第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と前記第1の省電力状態より前記電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち前記第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、前記第3の状態から前記第2の省電力状態に遷移する管理部と、
を有
し、
前記管理部は、
前記指示に応じて前記第2の省電力状態に遷移する直前に、前記第3の状態から前記第1の省電力状態に遷移し、当該遷移後に前記電池セルの残容量を推定し、記憶部に記憶し、
前記電池セルの残容量の推定後又は前記指示から所定時間後に、前記第1の省電力状態から前記第2の省電力状態に遷移する
バッテリパック。
【請求項7】
電源スイッチを含む操作パネルと、
電池セルと、第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と前記第1の省電力状態より前記電池セルに蓄積された電力を使用する第3の状態とのうち前記第3の状態における前記電源スイッチからの指示に応じて、前記第3の状態から前記第2の省電力状態に遷移する管理部とを有するバッテリパックと、
前記第3の状態において、前記電池セルから電力供給を受けてモータ駆動を制御するモータ駆動制御部と、
を有
し、
前記管理部は、
前記第2の省電力状態における前記バッテリパック外からの第2の指示に応じて、前記第2の省電力状態から前記第3の状態に遷移し、
前記第3の状態に遷移した後、前記指示が無く前記電池セルの残容量が所定値未満であると判断された場合、前記第2の省電力状態に遷移する
電動アシスト車。
【請求項8】
電池セルを有するバッテリパックの制御方法であって、
第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と前記第1の省電力状態より前記電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち前記第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、前記バッテリパックを前記第3の状態から前記第2の省電力状態に遷移させ、
前記第2の省電力状態における前記バッテリパック外からの第2の指示に応じて、前記バッテリパックを前記第2の省電力状態から前記第3の状態に遷移させ、
前記第3の状態に遷移した後、前記指示が無く前記電池セルの残容量が所定値未満であると判断された場合、前記バッテリパックを前記第2の省電力状態に遷移させる
制御方法。
【請求項9】
電源スイッチを含む操作パネルと、
電池セルと、第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と前記第1の省電力状態より前記電池セルに蓄積された電力を使用する第3の状態とのうち前記第3の状態における前記電源スイッチからの指示に応じて、前記第3の状態から前記第2の省電力状態に遷移する管理部とを有するバッテリパックと、
前記第3の状態において、前記電池セルから電力供給を受けてモータ駆動を制御するモータ駆動制御部と、
を有
し、
前記管理部は、
前記指示に応じて前記第2の省電力状態に遷移する直前に、前記第3の状態から前記第1の省電力状態に遷移し、当該遷移後に前記電池セルの残容量を推定し、記憶部に記憶し、
前記電池セルの残容量の推定後又は前記指示から所定時間後に、前記第1の省電力状態から前記第2の省電力状態に遷移する
電動アシスト車。
【請求項10】
電池セルを有するバッテリパックの制御方法であって、
第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と前記第1の省電力状態より前記電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち前記第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、
前記第2の省電力状態に遷移させる直前に、前記バッテリパックを前記第3の状態から前記第1の省電力状態に遷移させ、当該遷移後に前記電池セルの残容量を推定し、記憶部に記憶し、
前記電池セルの残容量の推定後又は前記指示から所定時間後に、前記バッテリパックを前記第1の省電力状態から前記第2の省電力状態に遷移させる
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車等の電動アシスト車で使用するバッテリの省電力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト自転車等の電動アシスト車を含む車両に搭載するバッテリには、自己消費電力とバッテリの繰り返し使用及び自然放電による劣化とを抑えるために、スリープモード及びシャットダウンモードが設けられている。
【0003】
スリープモードは、バッテリを使用しない期間はバッテリの機能を一時的に休止して、自己消費電力を少なくする省電力な待機状態であり、バッテリの使用時には直ちに通常の動作モードに遷移するモードである。
【0004】
一方、シャットダウンモードは、バッテリを使用しない期間が長い場合、又はバッテリが大きく劣化している場合に、バッテリの残容量が大きく低下しているならば自己消費電力を極限まで抑え、バッテリの残容量が無くなるまでの期間とバッテリ自体の製品寿命を延ばすための省電力状態である。シャットダウンモードでは、車両に搭載されるモータやモータ駆動制御部などのバッテリ外部に電力供給をすることはできない。
【0005】
これまでは、車両にバッテリを搭載した状態で、通常は、スリープモードと通常の動作モードとを交互に遷移し、上で述べた特別な事象を検出すると自動的にスリープモードからシャットダウンモードに遷移する。また、バッテリが一旦シャットダウンモードに遷移してしまうと、バッテリを車両から取り外して充電器での充電を行わないと、通常の動作モードに遷移することはできない。但し、特許文献1には、バッテリパックにボタンを設け、当該ボタンが押されると、シャットダウンモードから復帰するような技術が開示されている。
【0006】
電動アシスト自転車等の電動アシスト車を含む車両の航続距離及び使用時間を長くするためには、バッテリを大容量化することが考えられるが、構造上の問題やコストの問題から容易ではない。そのため、回生技術で走行中にバッテリの残容量を増加させる技術も存在するが、バッテリで消費される自己消費電力も無視することができない。この自己消費電力は、バッテリ内に設けられるバッテリ管理システム(BMS:Battery Management System)の消費電力が大部分を占めている。
【0007】
例えば、スリープモードでの自己消費電流はおおよそ数mA程度であるから、仮に300Wh(36V/10Ahの実効電力量)のバッテリの場合、自己消費電力量は1Wh程度となり約300日でバッテリの残容量がゼロになる。
【0008】
一般的な電動アシスト自転車では1週間乃至1か月に1回程度充電するので、これまでは、この程度の自己消費電力は許容できる。しかし、より航続距離を延ばそうとすると、このような自己消費電力を出来る限り小さくすることが好ましい。
【0009】
一方、シャットダウンモードでは、自己消費電流はおおよそ数十uAであり、仮に300Wh(36V/10Ahの実効電力量)のバッテリの場合、自己消費電力量は数十mWh程度となりスリープモードと比べ数十分の1程度まで抑えられて、省エネ制御にも影響が少ない省電力状態である。このため、スリープモードよりシャットダウンモードの方が省電力という観点からは好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、より省電力を実現するための新規な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様に係るバッテリパックは、(A)電池セルと、(B)第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と第1の省電力状態より電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、第3の状態から第2の省電力状態に遷移する管理部とを有する。
【0013】
本発明の第2の態様に係る電動アシスト車は、(C)電源スイッチを含む操作パネルと、(D)電池セルと、第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と第1の省電力状態より電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち第3の状態における電源スイッチからの指示に応じて、第3の状態から第2の省電力状態に遷移する管理部とを有するバッテリパックと、(E)第3の状態において、電池セルから電力供給を受けてモータ駆動を制御するモータ駆動制御部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
バッテリを使用しない期間における電力消費量を削減することができるようになり、より省電力を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、電動アシスト自転車の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、バッテリパック、モータ駆動制御装置及び操作パネルの構成例を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、バッテリパックのコネクタ部を示す図であり、
図3(b)は、充電器の概要を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における動作フローを示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態における動作フローを示す図である。
【
図6】
図6は、第3の実施の形態における動作フローを示す図である。
【
図7】
図7は、バッテリパック、モータ駆動制御装置及び操作パネルの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車の例をもって説明する。しかしながら、本発明の実施の形態は、電動アシスト自転車だけに適用対象を限定するものではなく、台車、車いす等の電動アシスト車にも適用可能である。さらに、バッテリパックだけであれば、電動アシスト車に適用は限られない。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態における電動アシスト車の一例である電動アシスト自転車を示す外観図である。この電動アシスト自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、バッテリパック101と、モータ駆動制御装置102と、トルクセンサ103と、ペダル回転センサ104と、モータ105と、操作パネル106とを有する。
【0018】
また、電動アシスト自転車1は、前輪、後輪、前照灯、変速機等も有している。
【0019】
バッテリパック101は、例えばリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであってもよい。そして、バッテリパック101は、モータ駆動制御装置102を介してモータ105に対して電力を供給し、回生時にはモータ駆動制御装置102を介してモータ105からの回生電力によって充電も行う。
【0020】
トルクセンサ103は、クランク軸周辺に設けられており、運転者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御装置102に出力する。また、ペダル回転センサ104は、トルクセンサ103と同様に、クランク軸周辺に設けられており、ペダル回転に応じた信号をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0021】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えば電動アシスト自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪の回転をアシストする。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてモータ105内部に備えられるローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御装置102に出力する。
【0022】
モータ駆動制御装置102は、モータ105の回転センサ、トルクセンサ103及びペダル回転センサ104等からの信号に基づき所定の演算を行って、モータ105の駆動を制御し、モータ105による回生の制御も行う。
【0023】
操作パネル106は、例えば電源スイッチのオン及びオフ等の指示をユーザから受け付けて、当該指示等をモータ駆動制御装置102に出力する。また、操作パネル106は、LED(Light Emitting Diode)などによる表示部を有している場合もある。これによって、例えばバッテリパック101のバッテリ残容量(SOC:State Of Charge)や、オンオフの状態、希望アシスト比に対応するモードなどをユーザである運転者に提示する。
【0024】
図2に、本実施の形態に係るバッテリパック101、モータ駆動制御装置102及び操作パネル106の構成例を示す。
【0025】
バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とは、バッテリパック101のコネクタ部1011とモータ駆動制御装置102のコネクタ部1023とで結合するようになっている。バッテリパック101のコネクタ部1011は、充放電用の端子1011aと、通信用の端子1011bと、充電器にバッテリパックの種別を通知するためのID(IDentification)端子1011cと、電位変化検出用の端子1011dと、グランド端子1011eとを有する。
【0026】
モータ駆動制御装置102のコネクタ部1023は、充放電用の端子1023aと、通信用の端子1023bと、端子1023dと、グランド端子1023eとを有する。
【0027】
バッテリパック101とモータ駆動制御装置102とを結合させると、端子1011aと端子1023aとが電気的に接続し、端子1011bと端子1023bとが電気的に接続し、端子1011dと端子1023dとが電気的に接続し、グランド端子1011eとグランド端子1023eとが電気的に接続する。
【0028】
モータ駆動制御装置102は、モータ駆動制御部1021を有しており、当該モータ駆動制御部1021は、端子1023aを介してバッテリパック101からの電力供給を受けたり、バッテリパック101に対して回生電力の供給を行う。また、モータ駆動制御部1021は、端子1023bを介してバッテリパック101とデータ通信を行う。
【0029】
また、モータ駆動制御装置102は、操作パネル106に接続されている。モータ駆動制御部1021も、操作パネル106に接続されており、例えばバッテリ残容量についての表示を表示部に行わせたり、操作パネル106の電源スイッチ1064以外の指示部からの指示に応じた処理を行う。操作パネル106は、電源スイッチ1064を有しており、電源スイッチ1064の一端は、モータ駆動制御装置102のグランド端子1023eに接続されており、他端は、端子1023dに接続されている。本実施の形態では、電源スイッチ1064は、ユーザに押されている間は、端子1023d及び1011dが接地される。なお、本実施の形態では、モータ駆動制御装置102は、端子1023dで伝えられる信号を用いるわけではない。
【0030】
一方、バッテリパック101は、バッテリ管理システム(BMS:Battery Management System)1012と、電池セル1013とを有する。バッテリ管理システム1012は、端子1011bを介してモータ駆動制御部1021と通信を行うために通信回路10121と、ID端子1011cに接続されているID端子回路10122と、電源スイッチ1064の操作による電位変化の発生を検出するための検出回路1023と、バッテリ管理部10125と、バッテリ電流の検出部として機能する抵抗10124と、電池セル1013の状態を監視するバッテリ監視部10126と、充電用FET(Field Effect Transistor)10127と、放電用FET10128とを有する。
【0031】
バッテリ管理部10125は、通信回路10121と接続されており、通信回路10121及び端子1011bを介してモータ駆動制御装置102と、電池セル1013の電圧やバッテリ電流等の通信を行う。また、バッテリ管理部10125は、バッテリ監視部10126と連携して、抵抗10124でバッテリ電流を計測したり、電池セル1013の状態を検出したり、図示しない温度センサで電池セル1013の温度を検出したり、充放電を充電用FET10127及び放電用FET10128によって制御する。また、バッテリ管理部10125は、ID端子回路10122及びID端子1011cを介して、充電器に対してバッテリパック101の種別を、例えば電圧で通知させる。
【0032】
本実施の形態では、端子1011dに接続されている検出回路10123は、電源スイッチ1064がユーザによって押されて端子1011d及び1023dが接地されたことを検出する。ここでは接地することを検出することになっているが、予め定義されている他の電位変化を検出するようにしても良い。検出回路10123は、所定の電位変化を検出すると、検出というイベントをバッテリ管理部10125に通知する。
【0033】
バッテリ管理部10125は、例えばプロセッサ1012aが、メモリ1012bに格納されている所定のプログラムを実行することで実現される。バッテリ管理部10125は、バッテリパック101全体の制御を行うが、その状態をも制御する。すなわち、バッテリ管理部10125は、バッテリ管理システム1012が、スリープモードより電力を消費する通常の動作モード、スリープモード及びシャットダウンモードのいずれかの状態となるように制御する。通常の動作モード、スリープモード及びシャットダウンモードについては、先に述べた状態である。
【0034】
本実施の形態では、ユーザが電源スイッチ1064で指示を行うことで、当該指示が検出回路10123で検出されて、バッテリ管理部10125は、通常の動作モードから、シャットダウンモードに遷移する。これによって、電動アシスト自転車1を使用していない間に消費する自己消費電力をより抑制できるようになる。一方、シャットダウンモードになってしまうと、従前では充電器で充電しないとシャットダウンモードからの復帰が不可能であったが、本実施の形態では、シャットダウンモードで、電源スイッチ1064で指示を行うと、当該指示が検出回路10123で検出されて、バッテリ管理部10125は、通常の動作モードに遷移する。これによって、電力供給が端子1011aを介してモータ駆動制御装置102になされるようになって、モータ駆動制御部1021等の制御が開始される。これによって、ユーザの利便性を全く損なうことなく、省電力が図られ、且つシャットダウンモードからの復帰がなされるようになる。
【0035】
なお、
図3に、バッテリパック101の端子と、充電器120との関係を示しておく。
図3(a)は、バッテリパック101のコネクタ部1011を模式的に示しており、端子1011a乃至1011eが並んでいる。これに対して、
図3(b)は、充電器120の側面を模式的に示しており、充電器120は、端子1011aと電気的に接続する端子1201aと、ID端子1011cと電気的に接続する端子1201cと、グランド端子1011eに電気的に接続する端子1201eと、例えば家庭用電源等の商用電源に接続するための差込プラグ1202とを有する。充電器120は、ID端子1011cから通知されるバッテリパック101の種別に応じて、端子1201aからの充電を制御するようになっている。
【0036】
次に、
図2に示した装置の動作概要を、
図4を用いて説明する。
【0037】
ここでは、既にバッテリパック101のバッテリ管理システム1012は、シャットダウンモードに遷移済みであるものとする(
図4:ステップS1)。
【0038】
この状態において、ユーザが操作パネル106の電源スイッチ1064を押すと、これに応じて検出回路10123は、端子1011dが接地されたこと、すなわち所定の電位変化を検出する(ステップS3)。なお、上で述べたように、本実施の形態では、電源スイッチ1064は、ユーザに押されている間だけオンになるスイッチであるので、ユーザが押すのを止めると、元のオフの状態になる。
【0039】
そうすると、検出回路10123は、バッテリ管理部10125に、所定の電位変化というイベント発生の通知を行うが、既にシャットダウンモードに遷移済みであるので、バッテリ管理部10125は、バッテリの起動指示として認識し、起動する(ステップS5)。これによって、バッテリ管理部10125は、通常の動作モードに遷移して、バッテリ管理システム1012内の他の機能も通常の動作をさせるように制御する。
【0040】
バッテリ管理システム1012が通常の動作モードに遷移すれば、バッテリパック101からモータ駆動制御装置102への電力供給が開始され(ステップS7)、モータ駆動制御装置102の動作も開始される。なお、操作パネル106への給電及び表示なども開始される。再度電源スイッチ1064が押されるまでは、通常の動作として、モータ駆動制御装置102は、モータ105の駆動制御や回生制御を行う。バッテリ管理部10125も、バッテリ監視部10126と連携してバッテリパック101全体の制御を行う。これによって、ユーザは、シャットダウンモードに遷移しているバッテリパック101を充電器120のあるところに持って行くといった手間を掛けずに、バッテリパック101を通常の動作モードに復帰させることができ、そのままモータによるアシスト付きの走行ができるようになる。
【0041】
その後、再度、ユーザが操作パネル106の電源スイッチ1064を押すと、これに応じて検出回路10123は、端子1011dが接地されたこと、すなわち所定の電位変化を検出する(ステップS9)。そうすると、検出回路10123は、所定の電位変化というイベント発生の通知を行うが、現在は通常の動作モードであるので、バッテリ管理部10125は、シャットダウン指示として認識し、バッテリ監視部10126を介して電池セル1013からの放電を停止させる(ステップS11)。これによって、モータ駆動制御装置102の動作が停止する。さらに、バッテリ管理部10125は、自身を含むバッテリ管理システム1012をシャットダウンモードに遷移させる(ステップS13)。そして処理はステップS1に戻る。
【0042】
これまでユーザが電源スイッチ1064を押して電源を切る指示をしたとしても、スリープモードにしか遷移しなかった。これは次に電源スイッチ1064を押した場合にすぐさま通常の動作モードに復帰してモータ駆動制御装置102に対する電力供給を即座に開始できるようにするためであるが、その分自己消費電力の抑制度合いは、シャットダウンモードに遷移する場合に比して低い。本実施の形態によれば、ユーザが電源スイッチ1064を押して電源を切る指示をすれば、スリープモードよりも消費電力の抑制度合いが高いシャットダウンモードに遷移するので、電動アシスト自転車1を使用していない間における自己消費電力をより抑制できるようになる。これによって電動アシスト自転車1の航続距離を伸ばすことに寄与する。また、充電器120による充電回数を削減できるようになるため、バッテリパック101における電池セル1013の劣化を抑制できるようにもなる。
【0043】
上でも述べたが、シャットダウンモードから通常の動作モードへの遷移も、電源スイッチ1064を押すことで行うことができるようになるため、ユーザの利便性を損なうことはない。
【0044】
なお、バッテリ管理部10125は、所定のプログラムをプロセッサ1012aが実行することによって実現される例を示したが、専用の回路で、又は専用の回路との組み合わせで同様の機能を実現するようにしても良い。
【0045】
[実施の形態2]
従前のバッテリ管理部は、所定の条件を満たしたと自ら判断してシャットダウンモードに遷移するだけであったので、シャットダウンモードへの遷移は、自ら事前に認識される。よって、シャットダウンモードへの遷移直前に、電池セル1013のセル電圧などを検知して、当該検知結果に基づきバッテリ残容量の推定処理を実行し、メモリ1012bへの保存を行う。これは、シャットダウンモードからの復帰時に、その時点におけるバッテリ残容量を推定するために用いられる。なお、バッテリ残容量の推定処理については、その他のタイミング、すなわち従前のバッテリ管理部に定義されたタイミングでも行われる。
【0046】
しかしながら、第1の実施の形態のような形でユーザの指示に応じてシャットダウンモードに遷移することにすると、バッテリ管理部10125からすると、予期しないタイミングでシャットダウンモードに遷移することになる。たまたまシャットダウンモードへの遷移直前にバッテリ残容量の推定処理を行っていれば問題ないが、バッテリ残容量の推定処理を行うタイミングは、ユーザの指示とは無関係なので、このままではバッテリ残容量の推定処理が、シャットダウンモードへの遷移からずいぶん前に行われる場合もある。そうすると、シャットダウンモードからの復帰時に、自然放電分減った実際のバッテリ残容量と大きな誤差が生じてしまう可能性がある。
【0047】
そこで、本実施の形態では、
図5に示すような動作を行うようにする。
【0048】
本実施の形態でも、既にバッテリパック101のバッテリ管理システム1012は、シャットダウンモードに遷移済みであるものとする(
図5:ステップS21)。
【0049】
この状態において、ユーザが操作パネル106の電源スイッチ1064を押すと、これに応じて検出回路10123は、端子1011dが接地されたこと、すなわち所定の電位変化を検出する(ステップS23)。
【0050】
そうすると、検出回路10123は、バッテリ管理部10125に、所定の電位変化というイベント発生の通知を行うが、既にシャットダウンモードに遷移済みであるので、バッテリ管理部10125は、バッテリの起動指示と認識し、起動する(ステップS25)。これによって、バッテリ管理部10125は、通常の動作モードに遷移して、バッテリ管理システム1012内の他の機能も通常の動作をさせるように制御する。なお、バッテリ管理部10125のメモリ1012bには、シャットダウンモードへの前回遷移時に推定されたバッテリ残容量のデータが保持されており、そのデータに基づき現在のバッテリ残容量を推定する処理も行う。
【0051】
バッテリ管理システム1012が通常の動作モードに遷移すれば、バッテリパック101からモータ駆動制御装置102への電力供給が開始され(ステップS27)、モータ駆動制御装置102の動作も開始される。なお、操作パネル106への給電及び表示なども開始される。再度電源スイッチ1064が押されるまでは、通常の動作として、モータ駆動制御装置102は、モータ105の駆動制御や回生制御を行う。バッテリ管理部10125も、バッテリ監視部10126と連携してバッテリパック101全体の制御を行う。
【0052】
その後、再度、ユーザが操作パネル106の電源スイッチ1064を押すと、これに応じて検出回路10123は、端子1011dが接地されたこと、すなわち所定の電位変化を検出する(ステップS29)。そうすると、検出回路10123は、所定の電位変化というイベント発生の通知を行うが、現在は通常の動作モードであるので、バッテリ管理部10125は、シャットダウン指示として認識し、本実施の形態では、自身を含むバッテリ管理システム1012をスリープモードに遷移させる(ステップS31)。本実施の形態では、即座にシャットダウンするのではないので、より省電力状態にするためにスリープモードに遷移させる。なお、スリープモードでは、電池セル1013からモータ駆動制御装置102への電力供給は停止されるので、ユーザから見れば、電源が切れたと認識される。
【0053】
その後、バッテリ管理部10125は、電池セル1013のセル電圧の検出などを行い、検知結果に基づきバッテリ残容量の推定処理を実行し、メモリ1012bへの保存を行う(ステップS33)。
【0054】
バッテリ管理部10125は、バッテリ残容量の推定処理が完了した場合、又はステップS29から例えば10秒、20秒などの所定時間経過した場合といった条件を満たしたか判断し(ステップS35)、条件を満たしている場合には、バッテリ管理部10125は、自身を含むバッテリ管理システム1012をシャットダウンモードに遷移させる(ステップS37)。そして処理はステップS21に戻る。なお、条件を満たしていない場合には、条件を満たすまで待機する。
【0055】
このような処理を実行することで、シャットダウンモードへの遷移直前にバッテリ残容量の推定処理が行われるようになるので、シャットダウンモードからの復帰時において、実際のバッテリ残容量とメモリ1012bに保存された推定結果に基づくバッテリ残容量との誤差を少なくすることができるようになる。
【0056】
なお、上ではステップS31でスリープモードに遷移する例を述べたが、モータ駆動制御装置102への電力供給を停止するだけでも良い。また、場合によっては、モータ駆動制御装置102への電力供給を停止しなくても良い。
【0057】
[実施の形態3]
第1及び第2の実施の形態のように、シャットダウンモードに遷移したからと言って、自己消費電力がゼロになるわけではなく、通常の動作モード時にユーザが電源スイッチ1064を押してシャットダウンモードへの遷移を指示した時点で既にバッテリ残容量が相当少なくなっている場合には、シャットダウンモード時においてユーザが再度電源スイッチ1064を押したからと言って、通常の動作モードに遷移すべきではない場合もある。
【0058】
そこで、本実施の形態では、
図6に示すような動作を行うようにする。
【0059】
本実施の形態でも、既にバッテリパック101のバッテリ管理システム1012は、シャットダウンモードに遷移済みであるものとする(
図6:ステップS41)。
【0060】
この状態において、ユーザが操作パネル106の電源スイッチ1064を押すと、これに応じて検出回路10123は、端子1011dが接地されたこと、すなわち所定の電位変化を検出する(ステップS43)。
【0061】
そうすると、検出回路10123は、バッテリ管理部10125に、所定の電位変化というイベント発生の通知を行うが、既にシャットダウンモードに遷移済みであるので、バッテリ管理部10125は、バッテリの起動指示と認識し、起動する(ステップS45)。これによって、バッテリ管理部10125は、通常の動作モードに遷移して、バッテリ管理システム1012内の他の機能も通常の動作をさせるように制御する。なお、バッテリ管理部10125のメモリ1012bには、シャットダウンモードへの前回遷移時に推定されたバッテリ残容量のデータが保持されており、そのデータに基づき現在のバッテリ残容量を推定する処理も行う。
【0062】
バッテリ管理システム1012が通常の動作モードに遷移すれば、バッテリパック101からモータ駆動制御装置102への電力供給が開始され(ステップS47)、モータ駆動制御装置102の動作も開始される。なお、操作パネル106への給電及び表示なども開始される。
【0063】
但し、本実施の形態では、バッテリ管理部10125は、ここで現在のバッテリ残容量が例えば5%や3%等の閾値未満であるか否かを判断する(ステップS49)。現在のバッテリ残容量が閾値未満であれば、これ以上継続して電力供給を行うことは電池セル1013には好ましくないので、バッテリ管理部10125は、通信回路10121を介してモータ駆動制御部1021に対してシャットダウンモードへの遷移を通知する(ステップS51)。これによって、モータ駆動制御部1021は、電源断を認識するようになる。なお、モータ駆動制御部1021は、操作パネル106の表示部に、バッテリ残容量の不足を表す表示をしても良い。
【0064】
その後、バッテリ管理部10125は、バッテリ監視部10126を介して電池セル1013からの放電を停止させる(ステップS52)。これによって、モータ駆動制御装置102の動作が停止する。さらに、バッテリ管理部10125は、自身を含むバッテリ管理システム1012をシャットダウンモードに遷移させる(ステップS53)。そして処理はステップS41に戻る。
【0065】
一方、現在のバッテリ残容量が閾値以上であれば、通常の動作で問題ない。従って、バッテリ管理システム1012とモータ駆動制御装置102とはそのまま動作する。
【0066】
その後、再度、ユーザが操作パネル106の電源スイッチ1064を押すと、これに応じて検出回路10123は、端子1011dが接地されたこと、すなわち所定の電位変化を検出する(ステップS55)。そうすると、検出回路10123は、所定の電位変化というイベント発生の通知を行うが、現在は通常の動作モードであるので、バッテリ管理部10125は、シャットダウン指示として認識し、本実施の形態では、自身を含むバッテリ管理システム1012をスリープモードに遷移させる(ステップS57)。本実施の形態では、即座にシャットダウンするのではないので、より省電力状態にするためにスリープモードに遷移させる。なお、スリープモードでは、電池セル1013からモータ駆動制御装置102への電力供給は停止されるので、ユーザから見れば、電源が切れたと認識される。
【0067】
その後、バッテリ管理部10125は、電池セル1013のセル電圧の検出などを行い、検知結果に基づきバッテリ残容量の推定処理を実行し、メモリ1012bへの保存を行う(ステップS59)。
【0068】
バッテリ管理部10125は、バッテリ残容量の推定処理が完了した場合、又はステップS29から所定時間経過した場合といった条件を満たしたか判断し、条件を満たしている場合には、バッテリ管理部10125は、自身を含むバッテリ管理システム1012をシャットダウンモードに遷移させる(ステップS61)。そして処理はステップS41に戻る。なお、条件を満たしていない場合には、条件を満たすまで待機する。
【0069】
このようにすれば、バッテリ残容量の極端な低下時における過放電による電池セル1013の劣化を抑制できるようになる。
【0070】
[実施の形態4]
第1乃至第3の実施の形態では、バッテリパック101のコネクタ部1011に端子1011dを追加し、さらにモータ駆動制御装置102のコネクタ部1023に端子1023dを追加して、操作パネル106の電源スイッチ1064と接続するようにして、上で述べたような動作を実現していた。
【0071】
本実施の形態では、ID端子1011cを有効活用することで、バッテリパックのコネクタ部における端子数を削減する。
【0072】
すなわち、
図7に示すように、バッテリパック101bのコネクタ部1011bは、充放電用の端子1011aと、通信用の端子1011bと、ID端子1011cと、グランド端子1011eとを有する。
【0073】
第1乃至第3の実施の形態では、ID端子1011cは、充電器120に接続された場合には利用されるが、モータ駆動制御装置102のコネクタ部1023と接続する際には用いられていない。本実施の形態では、このような場合にも、ID端子1011cを利用する。
【0074】
すなわち、モータ駆動制御装置102のコネクタ部1023bに、操作パネル106の電源スイッチ1064の一端に接続する端子1023cを設けて、ID端子1011cと電気的に接続するようにする。
【0075】
一方、バッテリパック101bのバッテリ管理システム1012bでは、ID端子1011cを、ID端子回路10122と検出回路10123とで共用する。但し、分離を行うためにダイオードD1及びD2を追加する。すなわち、ダイオードD1及びD2のカソードをID端子1011cに接続し、ダイオードD1のアノードをID端子回路10122に接続し、ダイオードD2のアノードを検出回路10123に接続する。
【0076】
充電器120に接続した場合には、ID端子回路10122から所定電圧が出力されるが、ダイオードD2があるので、検出回路10123には電流が流れず、検出回路10123とID端子回路10122とが分離される。一方、
図7のようにバッテリパック101bとモータ駆動制御装置102bとが接続している場合に、電源スイッチ1064が押されると、端子1023c及び1011cとは接地されて、ダイオードD1及びD2を介してID端子回路10122と検出回路10123とにも接地されたことを伝わるが、接地されている場合に動作しないようなID端子回路10122を採用すれば、検出回路10123とID端子回路10122との分離がなされる。
【0077】
このようにすれば、第1乃至第3の実施の形態で示した
図4乃至6の動作を行うことができる。
【0078】
なお、充電器120は、端子1011dを用いないので充電器120の動作には影響がない。
【0079】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目的に応じて、上で述べた各実施の形態における任意の技術的特徴を削除するようにしても良いし、他の実施の形態で述べた任意の技術的特徴を追加するようにしても良い。
【0080】
さらに、上で述べた構成要素群の表現形態は一例であって、1の構成要素を複数の構成要素に分けても良いし、複数の構成要素を1つの構成要素に統合しても良い。動作フローについても、動作内容が変わらない限り、ステップの順番を入れ替えたり、複数のステップを並列に実行するようにしても良い。
【0081】
また、上で述べた実施の形態では、バッテリパック101及び101bの端子を介して、ユーザの指示がなされる例を示したが、例えば、電源スイッチ1064と同様のスイッチを検出回路10123に直接接続するように設けることで、バッテリパック101及び101b単独でもシャットダウンモードへの遷移を指示できるようにしても良い。
【0082】
さらに、電源スイッチ1064で行われる接地に応じてシャットダウンモードからの復帰やシャットダウンモードへの遷移を行うようにしていたが、シャットダウンモードからの復帰とシャットダウンモードへの遷移とを異なる電位変化に応じて行うようにしても良い。また、メモリ1012bとして、1つの構成要素を示しているが、ROM(Read Only Memory)部分とRAM(Random Access Memory)部分とを含んでいる場合もある。プロセッサ1012aについても、1つだけではなく複数のマイクロプロセッサの組み合わせである場合もある。
【0083】
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
【0084】
本実施の形態に係るバッテリパックは、(A)電池セル(例えば電池セル1013)と、(B)第1の省電力状態(例えばスリープモード)と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態(例えばシャットダウンモード)と第1の省電力状態よりも電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態(例えば通常の動作モード)とのうち第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、第3の態から第2の省電力状態に遷移する管理部(例えばバッテリ管理システム1012)とを有する。
【0085】
このようにすれば、例えばユーザの指示に応じて、第3の状態からより省電力な状態である第2の省電力状態に遷移するようになるので、例えば使用しない期間における電力消費量を削減することができるようになる。
【0086】
なお、上で述べた管理部は、バッテリパック外の外部回路(例えばモータ駆動制御装置102又は操作パネル106の電源スイッチ1064)に接続される所定の端子における第1の電位変化(例えば接地)を検出する検出部(例えば検出回路10123)を有するようにしても良い。この場合、上で述べた管理部は、第3の状態における検出部による第1の電位変化の検出を、上記指示として特定するようにしても良い。このようにすれば、外部回路から、電位変化として上記指示が通知されるようになるので、バッテリパック外の装置との連携が安全にできるようになる。なお、上記所定の端子は、モータ駆動制御装置102と結合するコネクタ部に設けられるようにしても良い。
【0087】
さらに、上で述べた管理部は、第2の省電力状態におけるバッテリパック外からの第2の指示に応じて、第2の省電力状態から第3の状態に遷移するようにしても良い。このようにすれば、バッテリパックの充電器への接続だけではなく、例えばユーザの指示に応じて、第2の省電力状態からの復帰を実現できるようになる。
【0088】
具体的には、上記検出部は、所定の端子における第2の電位変化(例えば第1の電位変化と同じでも異なっても良い)を検出するようにしてもよい。そして、上記管理部は、第2の省電力状態における検出部による第2の電位変化に検出に応じて、第2の省電力状態から第3の状態に遷移するようにしても良い。第2の省電力状態への遷移と同様の仕組みを用いて、第2の省電力状態からの復帰を行うようにしても良い。
【0089】
また、上記管理部は、上記指示に応じて第3の状態から第2の省電力状態に遷移する直前に、電池セルの残容量(バッテリ残容量とも呼ぶ)を推定し、記憶部に記憶するようにしても良い。自動的にシャットダウンモードに遷移する場合(セルフシャットダウンとも呼ぶ)とは異なり、任意のタイミングでシャットダウンするので、このような事態に対処するためである。
【0090】
さらに、上で述べた管理部は、電池セルの残容量の推定前に、第3の状態から第1の省電力状態に遷移するようにしても良い。この場合、電池セルの残容量の推定後又は上記指示から所定時間後に、第1の省電力状態から第2の省電力状態に遷移するようにしても良い。このようにすれば、電池セルの残容量の減少を推定中も抑制できるようになる。
【0091】
さらに、上で述べた管理部は、第3の状態に遷移した後、電池セルの残容量が所定値未満であると判断された場合、第2の省電力状態に遷移するようにしても良い。電池セルの過放電による劣化を抑制できるようになる。
【0092】
さらに、上で述べた所定の端子が、充電器にバッテリパックの種別を通知するための端子(例えばID端子1011c)である場合もある。既に存在する端子を有効活用できるようになる。また、別途端子を設けるようにしても良い。
【0093】
本実施の形態に係る電動アシスト車は、(C)電源スイッチを含む操作パネルと、(D)電池セルと、第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と第1の省電力状態よりも電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち第3の状態における電源スイッチからの指示に応じて、第3の状態から第2の省電力状態に遷移する管理部(例えばバッテリ管理部10125)とを有するバッテリパックと、(E)第3の状態において、電池セルから電力供給を受けてモータ駆動を制御するモータ駆動制御部(例えばモータ駆動制御装置102)とを有する。
【0094】
このような構成を採用することによって、ユーザは、電源スイッチの操作によって、使用しない期間中、バッテリパックをより省電力状態にすることができるようになる。
【0095】
さらに、上で述べた管理部は、第2の省電力状態における電源スイッチからの第2の指示に応じて、第2の省電力状態から第3の状態に遷移するようにしても良い。このようにすれば、手間を掛けずにユーザは第2の省電力状態からの復帰を行わせることができるようになる。
【0096】
本実施の形態に係るバッテリパックの制御方法は、第1の省電力状態と当該第1の省電力状態より省電力な状態である第2の省電力状態と第1の省電力状態より電池セルに蓄積された電力を消費する第3の状態とのうち第3の状態におけるバッテリパック外からの指示に応じて、バッテリパックを第3の状態から第2の省電力状態に遷移させるものである。
【0097】
上記制御方法は、さらに、第2の省電力状態におけるバッテリパック外からの第2の指示に応じて、バッテリパックを第2の省電力状態から第3の状態に遷移させるようにしても良い。
【0098】
このような構成は、実施の形態に述べられた事項に限定されるものではなく、実質的に同一の効果を奏する他の構成にて実施される場合もある。
【符号の説明】
【0099】
101,101b バッテリパック
102,102b モータ駆動制御装置
1012,1012b バッテリ管理システム
10125 バッテリ管理部
1013 電池セル
10122 ID端子回路
10123 検出回路
1011c ID端子
1011d,1023d 端子
106 操作パネル
1064 電源スイッチ