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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】組み込み式加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/08 20060101AFI20241112BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20241112BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241112BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
F24C15/08 G
F24C15/08 B
F24C15/20 A
F24C15/20 D
F24F7/007 Z
F24F7/06 101A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020121658
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2021103073
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2019234823
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】森 慶太
(72)【発明者】
【氏名】中川 優
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103791537(CN,A)
【文献】特開2007-003077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0125764(US,A1)
【文献】実開昭54-019169(JP,U)
【文献】特開2005-274037(JP,A)
【文献】実開昭50-079653(JP,U)
【文献】特開2019-007715(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107747754(CN,A)
【文献】実開平03-010146(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0123860(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/08
F24C 15/20
F24F 7/007
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物を加熱する組み込み式加熱調理器であって、
前記加熱対象物が載置される加熱部を天面に有する焜炉本体を備え、
前記天面における前記加熱部の左右両側それぞれに吹出口が形成されており、
前記吹出口から吹き出される気流が、前方から後方に向かうように構成されており、
前記吹出口の下方に設けられて、当該吹出口から落下した異物を受け取る異物タンクと、
前記異物タンクの側壁に形成されたスリットに連通するとともに、内部空間が前記吹出口に向かう気流の流路となるノズル部材とをさらに備えることを特徴とする組み込み式加熱調理器。
【請求項2】
前記吹出口から吹き出される気流を生じさせる送風手段と、
前記吹出口に設けられて、該吹出口から吹き出される気流の向きを前方から後方に制御するルーバとをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項3】
前記スリットと、前記ノズル部材の吐出口とが対向配置されており、
前記吐出口の下辺部が、前記スリットの下辺部よりも下方に位置している、請求項1又は2記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項4】
前記吐出口の下辺部が、前記異物タンクの側壁に向かって膨出して当該側壁に当接する膨出部を有している、請求項記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項5】
前記ノズル部材の内面のうち前記スリットに対面する領域が、上方に向かうに連れて前記スリットに近づくように湾曲しており、その湾曲した領域の最も下流側の辺部を接線方向に延ばした仮想延長上又はこの仮想延長線よりも上方に、前記ルーバの下端部が位置している、請求項2又は請求項2を引用する請求項3若しくは4記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項6】
前記吹出口が、前記天面の前側から後側に延びる長尺状をなし、
前記異物タンクが、前記吹出口に沿った長尺状をなし、
前記異物タンクの長手方向の長さが、前記吹出口の長手方向の長さよりも長いことを特徴とする請求項乃至のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項7】
前記吹出口が、前記天面と面一であることを特徴とする請求項1乃至のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項8】
前記吹出口が形成されるとともに、前記異物タンクを塞ぐ蓋部材をさらに備え、
前記蓋部材の上面が前記天面と面一であることを特徴とする請求項乃至のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項9】
前記蓋部材が非磁性体であることを特徴とする請求項記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項10】
前記異物タンクが、前記天面から上方に取り外し可能であることを特徴とする請求項乃至のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項11】
前記異物タンクに設けられた水位センサをさらに備えることを特徴とする請求項乃至10のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項12】
前記焜炉本体の上方に換気装置の吸込口が設けられており、
前記吹出口が、前記天面の前側から後側に延びる長尺状をなし、
前記吹出口の前側部分に連通する前側流路と、
前記吹出口の後側部分に連通する後側流路とを有し、
鉛直方向と前記前側流路の流路方向とのなす角度をθ1、
前記吹出口の前縁から前記吸込口の前縁までの前後方向に沿った距離をX、
前記吹出口から前記吸込口までの鉛直方向に沿った高さをYとした場合に、
θ1≧tan-1(X/Y)を満たすことを特徴とする請求項1乃至1のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項13】
前記前側流路から吹き出される気流が、前記後側流路から吹き出される気流よりも、前方から後方に向かってより傾いて吹き出されることを特徴とする請求項1記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項14】
前記焜炉本体の下部に設けられたオーブンをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至1のうち何れか一項に記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項15】
前記オーブンの左右両側それぞれに、前記吹出口に対応する前記送風手段が設けられていることを特徴とする請求項2を引用する請求項1記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項16】
上流側端部に前記送風手段が設けられ、下流側端部が当該送風手段に対応する前記吹出口に連通するダクト部材をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の組み込み式加熱調理器。
【請求項17】
前記ダクト部材内の1又は複数箇所に気流の偏りを低減するガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の組み込み式加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み込み式加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組み込み式加熱調理器の調理中における油煙は、上方に設けられている換気装置に導かれるが、例えば電気式の加熱調理器であると、ガス式の加熱調理器に比べて、油煙を含む加熱空気の上昇流速度が低く、油煙が換気装置の捕集範囲に到達せずに拡散してしまうことがある。もちろん、換気装置の出力を上げれば捕集範囲を拡大させることはできるが、この場合には、換気装置の騒音や振動が増大するといった別の問題が生じる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されたものは、加熱調理器の天面に吹出口を設けておき、この吹出口から吹き出される気流によって油煙を換気装置に誘うように構成されている。この吹出口は、仮に天面の前側(調理者側)に設けられていると、吹き出される気流が調理者や加熱対象物と干渉して、むしろ油煙が拡散されてしまうことから、天面の後側に設けられている。
【0004】
しかしながら、このように天面の後側に吹出口を設けたとしても、天面の前側で生じる油煙を後側で発生させた気流で誘引するには、例えば大型なファンによる大風量もしくは高風速の気流形成が必要となり、調理器の高コスト化や大型化を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-007715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題を一挙に解決すべくなされたものであり、換気装置の騒音や振動を増大させることなく、しかも調理器の高コスト化や大型化を招くことなく、調理中の油煙を換気装置に誘引できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る組み込み式加熱調理器は、加熱対象物を加熱するものであって、前記加熱対象物が載置される加熱部を天面に有する焜炉本体を備え、前記天面における前記加熱部の左右両側それぞれに吹出口が形成されており、前記吹出口から吹き出される気流が、前方から後方に向かうことを特徴とするものである。
【0008】
このように構成された組み込み式加熱調理器によれば、加熱対象物が載置される加熱部の左右両側に吹出口が形成されており、しかもそれらの吹出口から吹き出される気流が前方から後方に向かうので、調理中の油煙を効果的に換気装置に誘引することができる。
これにより、換気装置の騒音や振動を増大させることなく、しかも調理器の高コスト化や大型化を招くことなく、調理中の油煙を換気装置に誘引することができる。
【0009】
吹出口からの気流を前方から後方に向かわせるための具体的な実施態様としては、前記吹出口から吹き出される気流を生じさせる送風手段と、前記吹出口に設けられて、該吹出口から吹き出される気流の向きを前方から後方に制御するルーバとをさらに備えることが好ましい。
【0010】
ところで、上述したように吹出口を設けた構成においては、この吹出口から例えば調理物やふきこぼれなどの異物が落下する恐れがある。
そこで、前記吹出口の下方に設けられて、当該吹出口から落下した異物を受け取る異物タンクをさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、吹出口から落下した異物を異物タンクに貯留することができ、例えば吹出口につながる流路内への異物の侵入を防ぐことができる。
【0011】
前記異物タンクの側壁に形成されたスリットに連通するとともに、内部空間が前記吹出口に向かう気流の流路の一部となるノズル部材をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、ノズル部材を異物タンクの側壁に形成したスリットに連通させており、吹出口から落下した異物は重力によって真下に落ちるので、異物をノズル部材に侵入させ難くすることができる。
【0012】
前記スリットと、前記ノズル部材の下流側の吐出口とが対向配置されており、前記吐出口の下辺部が、前記スリットの下辺部よりも下方に位置していることが好ましい。
このような構成であれば、ノズル部材から吹き出される空気をスムーズにルーバへと送り込むことができる。
【0013】
前記吐出口の下辺部が、前記異物タンクの側壁に向かって膨出して当該側壁に当接する膨出部を有していることが好ましい。
このような構成であれば、膨出部によって異物タンクの側壁とノズル部材との隙間を封止することができるので、この隙間に異物が入り込むことを防ぐことができる。
【0014】
前記ノズル部材の内面のうち前記スリットに対面する領域が、上方に向かうに連れて前記スリットに近づくように湾曲しており、その湾曲した内面の最も下流側の辺部を接線方向に延ばした仮想延長上又はこの仮想延長線よりも上方に、前記ルーバの下端部が位置していることが好ましい。
このような構成であれば、ノズル部材から吹き出される空気をスムーズにルーバへと送り込むことができ、調理中の油煙を効果的に換気装置に誘引することができる。
【0015】
前記吹出口が、前記天面の前側から後側に延びる長尺状をなし、前記異物タンクが、前記吹出口に沿った長尺状をなし、前記異物タンクの長手方向の長さが、前記吹出口の長手方向の長さよりも長いことが好ましい。
このような構成であれば、異物タンクの容積を大きく確保することができ、例えばふきこぼれ量が多くても異物を確実に異物タンクに貯留することができる。
【0016】
吹出口が天面よりも下方に位置していると、例えばふきこぼれ等による異物が吹出口に流れ込みやすくなるし、かといって吹出口が天面よりも上方に位置していると、調理中に邪魔になりかねない。
そこで、異物が吹出口に流れ込みやすくすることなく、しかも調理の邪魔にならないようにするためには、前記吹出口が、前記天面と面一であることが好ましい。
【0017】
より具体的な実施態様としては、前記吹出口が形成されるとともに、前記異物タンクを塞ぐ蓋部材をさらに備え、前記蓋部材の上面が前記天面と面一である態様を挙げることができる。
【0018】
前記蓋部材が非磁性体であることが好ましい。
これならば、蓋部材がIH焜炉の熱影響を受けない。
【0019】
前記異物タンクが、前記天面から上方に取り外し可能であることが好ましい。
このような構成であれば、異物タンクの取り外しに際して、加熱調理器自体を移動させることや、使用者が無理な姿勢を取る必要もなく、異物タンクに溜まった異物を簡単に取り除くことができたり、異物タンクを洗浄することができたりするので、メンテナンス性に優れたものとなる。
【0020】
前記異物タンクに設けられた水位センサをさらに備えることが好ましい。
これならば、異物タンクに流れ込んだふきこぼれなどが溢れ出ることを防ぐことができる。
【0021】
前記焜炉本体の上方に換気装置の吸込口が設けられており、前記吹出口が、前記天面の前側から後側に延びる長尺状をなし、前記吹出口の前側部分に連通する前側流路と、前記吹出口の後側部分に連通する後側流路とを有し、鉛直方向と前記前側流路の流路方向とのなす角度をθ1、前記吹出口の前縁から前記吸込口の前縁までの前後方向に沿った距離をX、前記吹出口から前記吸込口までの鉛直方向に沿った高さをYとした場合に、θ1≧tan-1(X/Y)を満たすことが好ましい。
このような構成であれば、焜炉本体の前側で生じる油煙をより確実に換気装置へ誘引することができる。
【0022】
より具体的な実施態様としては、前記前側流路から吹き出される気流が、前記後側流路から吹き出される気流よりも、前方から後方に向かってより傾いて吹き出されることが好ましい。
このような構成であれば、焜炉本体の前側で生じる油煙をより確実に換気装置へ誘引するとともに、後側流路から吹き出される気流が、前側流路から吹き出される気流よりも、より鉛直上向きになるので、油煙を必要以上に後方に誘引せず、換気装置に向かって適切な気流を形成することができ、油煙の捕集効率の向上を図れる。
【0023】
ところで、例えば北米などで用いられる組み込み式加熱調理器は、焜炉本体の下部にオーブンが設けられたものがある。このような構成においては、吹出口からの気流を発生させるファン(送風手段)の配置空間が限られる。
そこで、前記焜炉本体の下部に設けられたオーブンをさらに備える構成において、前記オーブンの左右両側それぞれに、前記吹出口に対応する前記送風手段が設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、送風手段を吹出口それぞれに対応させて設けるので、1つ1つの送風手段としては小型なファンで済み、オーブンの両側の限られた狭小な空間に配置することができる。
【0024】
上流側端部に前記送風手段が設けられ、下流側端部が当該送風手段に対応する前記吹出口に連通するダクト部材をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、送風手段により生じる気流を効率良く吹出口から吹き出すことができ、送風手段たるファンが小型であっても油煙を効果的に換気装置に導くことができる。
【0025】
前記ダクト部材内の1又は複数箇所に気流の偏りを低減するガイド部が設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、ノズル部材内における気流の剥離等の抑制や気流分布の均等化を図ることができ、油煙を換気装置に誘うためのより効果的な気流を発生させることができる。
【発明の効果】
【0026】
このように構成した本発明によれば、換気装置の騒音や振動を増大させることなく、しかも調理器の高コスト化や大型化を招くことなく、調理中の油煙を換気装置に誘引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態における組み込み式加熱調理器の全体構成を示す模式図。
図2】同実施形態における組み込み式加熱調理器の内部構成を示す模式図。
図3】同実施形態における組み込み式加熱調理器の内部構成を示す模式図。
図4】同実施形態における前側流路と換気装置の吸込口との位置関係を示す模式図。
図5】同実施形態における前側流路及び後側流路の傾きを示す模式図。
図6】同実施形態の組み込み式加熱調理器と従来構成との性能を比較したグラフ。
図7】同実施形態の変形例における組み込み式加熱調理器の内部構成を示す模式図。
図8】第2実施形態における組み込み式加熱調理器の全体構成を示す模式図。
図9】同実施形態における組み込み式加熱調理器の全体構成を示す模式図。
図10】同実施形態における異物タンク等を取り外した状態を示す斜視図。
図11】同実施形態における異物タンク等の組み立てられた状態を示す斜視図。
図12】同実施形態における異物タンクやノズル部材の内部構成を示すA-A線断面図。
図13】同実施形態における異物タンクやノズル部材の内部構成を示す拡大断面図。
図14】同実施形態の変形例における異物タンクの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明に係る組み込み式加熱調理器の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
本実施形態に係る組み込み式加熱調理器(以下、単に加熱調理器ともいう)は、キッチンに組み込まれて加熱対象物を加熱する加熱器具であり、電気、気体燃料、液体燃料、又は固定燃料を熱源とするものである。以下では、上述した熱源のうち、他の熱源と比較して、加熱時の加熱空気の上昇流速度が低い電気を熱源とした所謂電磁調理器を例に挙げて説明する。
【0030】
具体的にこの加熱調理器100は、図1に示すように、食料等を収容する鍋やフライパン等の加熱対象物が載置される焜炉本体10を備えており、この焜炉本体10の上方には調理時の油煙を吸気する換気装置Vが設けられている。
【0031】
焜炉本体10は、載置された加熱対象物を加熱するものであり、その天面11には加熱対象物が載置される1又は複数の加熱部12が設けられている。なお、ここでの加熱部12は、誘導加熱ヒータを利用したものであるが、ラジエントヒータを利用したものであっても良い。
【0032】
本実施形態の加熱調理器100は、図1及び図2に示すように、焜炉本体10の下部に設けられたレンジ20をさらに備えており、ここでのレンジ20は、上述した焜炉本体10と一体的に備えつけられている。なお、このレンジ20の内部空間の幅寸法は、焜炉本体10の幅寸法よりも短く設定されている。
【0033】
上述した焜炉本体10の天面11には、加熱部12の左右両側それぞれに吹出口13が設けられており、これらの吹出口13から吹き出される気流によって調理中に生じる油煙や湯気を上述した換気装置Vの吸込口V1に誘うようにしてある。
なお、ここでの左右方向は、本加熱調理器100の使用者から見た左右方向であり、言い換えれば、焜炉本体10の幅方向である。
【0034】
より具体的に説明すると、焜炉本体10の天面11は、平面視略長方形状をなし、その左右の2辺(左辺及び右辺)に沿って吹出口13が設けられている。これにより、焜炉本体10の天面11において、一対の吹出口13に挟まれる位置に1又は複数の加熱部12が配置されることになる。
【0035】
さらにここでは、天面11の前側で生じた油煙を換気装置Vに誘引するべく、図2に示すように、吹出口13それぞれの前側端部を、少なくとも1つの加熱部12の中心12aよりも前側、より好ましくは最も前側に位置する加熱部12の中心12aよりも前側に位置させている。
【0036】
然して、本実施形態の加熱調理器100は、図3及び図4に示すように、吹出口13から吹き出される気流が、前方から後方に向かうように構成されている。
なお、ここでの前方は、加熱調理器100側(使用者に対面する壁側)から使用者側に向かう方向であり、後方は、使用者側から加熱調理器100側(使用者に対面する壁側)であり、言いかえれば、ここでの前後方向は、焜炉本体10の奥行方向である。
【0037】
より具体的に説明すると、本実施形態の加熱調理器100は、図3に示すように、一対の吹出口13それぞれに対応する送風手段たるファン30と、ファン30からの気流を当該ファン30に対応する吹出口13へと導くダクト部材40とをさらに備えている。
【0038】
ファン30は、吹出口13から吹き出される気流を発生させるシロッコファン、ターボファン、プロペラファン、又はクロスフローファン等の送風手段である。ここでのファン30は、上述したオーブンの左右両側それぞれに設けられており、より詳細にはオーブンの内部空間よりも下方に配置されている。
【0039】
ダクト部材40は、図2及び図3に示すように、その上流側端部40aがファン30の吐出口に接続されるとともに、その下流側端部40bが当該ファン30に対応する吹出口13に連通するものであり、その内部がファン30からの気流の流路となる。
【0040】
本実施形態のダクト部材40は、図2及び図3に示すように、略L字状をなすものであり、上流側端部40aから後方に延びるサブ流路部材41と、サブ流路部材41が接続されて上方の下流側端部40bに向かって延びるメイン流路部材42とから構成されている。かかる構成により、ファン30からの気流は、後方に向かって吹き出された後、吹出口13に向かって上昇する。
【0041】
このダクト部材40の下流側端部40bにおいて、その内部には、図3に示すように、前後方向に沿って複数の仕切り板43が並設されており、これらの仕切り板43によって、ダクト部材40の下流側端部40bが複数の分割流路Lに分割されている。かかる構成において、分割流路Lの流路方向は、仕切り板43に沿った方向となる。
【0042】
そして、複数の仕切り板43それぞれが、下端部よりも上端部が後側に位置するように傾いており、これにより複数の分割流路Lの流路方向が前方から後方に向かうように傾く。その結果、これらの分割流路Lを介して吹出口13からの気流が前方から後方に向かって吹き出されることになる。
【0043】
ここで、本実施形態の吹出口13は、図3に示すように、天面11の前後方向(奥行方向)に沿って延びる長尺状のものであり、上述した分割流路Lは、吹出口13の前側部分に連通する前側流路Laと、吹出口13の後側部分に連通する後側流路Lbとに大別されている。
【0044】
かかる構成において、図4に示すように、鉛直方向と前側流路Laの流路方向とのなす角度θ1と、吹出口13の前縁から上述した換気装置Vの吸込口V1の前縁までの前後方向に沿った距離Xと、吹出口13から吸込口V1までの鉛直方向に沿った高さYとの関係が、θ1≧tan-1(X/Y)を満たすように設定されている。
【0045】
さらにこの実施形態の加熱調理器100は、前側流路Laから吹き出される気流が、後側流路Lbから吹き出される気流よりも、前方から後方に向かってより傾いて吹き出されるように構成されている。すなわち、図5に示すように、鉛直方向と前側流路Laの流路方向とのなす角度θ1と、鉛直方向と後側流路Lbの流路方向とのなす角度θ2との関係が、θ1>θ2を満たすように設定されている。なお、後側流路Lbの流路方向は鉛直方向(すなわち、角度θ2=0°)であっても良いし、後方から前方に向かう方向であっても良い。
【0046】
ここで、ダクト部材40の内部における1又は複数個所には、図3に示すように、気流の偏りを低減するガイド部44が設けられている。
【0047】
このガイド部44は、ダクト部材40の内部を流れる気流の偏向箇所に設けられており、具体的には、ダクト部材40において、ファン30から後方に向かう気流が上方に向かって曲げられる曲がり部Zと、気流が吹出口13の長手方向に拡がりながら複数の分割流路Lに分岐する下流側端部40bとに設けられている。なお、曲がり部Zは、上述したサブ流路部材41を流れる気流がメイン流路部材42内に流れ込む合流部でもある。
【0048】
曲がり部Z及び下流側端部40bには、それぞれ少なくとも2つのガイド部44が設けられており、それぞれに3つ又は4つのガイド部44を設けることがより好ましい。
【0049】
曲がり部Zに設けられているガイド部44は、例えば水平方向(前後方向)には等間隔で配置されるとともに、高さ方向にはガイド部44間の風量が等分されるように、気流分布に合わせた間隔で配置されている。これらのガイド部44の具体的な形状としては、例えば部分円弧状(円を4~8分割した形状)などの湾曲形状のものを挙げることができる。
【0050】
一方、下流側端部40bに設けられているガイド部44は、複数の分割流路Lにおける気流分布が均等になるように、すなわち各分割流路Lを流れる気流が等しくなるように配置されている。これらのガイド部44の具体的な形状としては、例えば全体が平らな平板や途中で屈曲させた平板などの平板状のものを挙げることができる。なお、これらのガイド部44の負圧面側での剥離を抑制するべく、ガイド部44よりも短い長さの剥離抑制部(不図示)を、ガイド部44と高さ方向にずらして配置しても良い。
【0051】
なお、曲がり部Zや下流側端部40bにおけるガイド部44の配置、形状、数などは、上述した態様に限らず、適宜変更して構わない。また、各ガイド部44は、ダクト部材40と一体であっても良いし、別体であっても良い。
【0052】
複数の加熱部12において、それぞれの負荷量が異なる場合、複数の加熱部12のうち負荷量の多い加熱部12に近い吹出口13から吹出す流量を、複数の加熱部12のうち負荷量の小さい、もしくは稼働していない加熱部12に近い吹出口13から吹出す流量より大きくしても良い。例えば、図1の使用者から見て左側の加熱部12のみが稼働している場合、左側の吹出口13から吹出す流量を右側の吹出口13から吹出す流量よりも大きくする。こうすることで、油煙が多く発生する位置で十分な流速が得られ、油煙を換気装置Vに誘引することができる。同時に、送風手段であるファン30の回転数を必要以上に上げることなく、騒音および消費電力を最小化できる。また、加熱部12の負荷量が多くなるに従い、吹出口13から吹出す流量を大きくする。こうすることで、より多くの油煙が発生する状況においても、十分な流速により換気装置Vまで誘引することができる。なお、これらの送風制御はそれぞれのファン30の回転数を変化させても良いし、ダクト部材40内に設けたダンパーの開度で調整しても良い。
【0053】
本実施形態の加熱調理機は、図2及び図3に示すように、ダクト部材40の下方に設けられたダストボックスをさらに備えている。
【0054】
このダストボックスは、上述したメイン流路部材42の下方に設けられており、吹出口13から侵入した異物等が、サブ流路部材41に逆流することなく、ダストボックスに落下するように配置されている。
【0055】
より具体的に説明すると、メイン流路部材42は、サブ流路部材41よりもさらに下方まで延びており、そのメイン流路部材42の下端部がダストボックスに接続されている。また、サブ流路部材41とメイン流路部材42との接続箇所において、サブ流路部材41を形成する内周面のうちの下端部41aが、同内周面のうちの上端部41bよりもファン30側、又は、同上端部の直下に設けられている。
これにより、吹出口13から水分や異物等が内部に侵入したとしても、ファン30まで到達させることなく、ダストボックスに集めることができる。
【0056】
さらに、ここでのダストボックスは、ダクト部材40から着脱可能に構成されており、ダストボックス内に集められた異物を容易に取り出すことができ、メンテナンス性に優れるものとしてある。
【0057】
このように構成された加熱調理器100によれば、加熱部12の左右両側に吹出口13が形成されており、しかもそれらの吹出口13から吹き出される気流が前方から後方に向かうので、調理中の油煙を効果的に換気装置Vに誘引することができる。
これにより、換気装置Vの騒音や振動を増大させることなく、しかも調理器の高コスト化や大型化を招くことなく、調理中の油煙を換気装置Vに誘引することができる。
【0058】
ここで、図6に示すグラフは、本発明に係る加熱調理器100と従来構成との性能を比較したものである。
このグラフから分かるように、吹出口からの気流がない場合(A)、焜炉正面から見て、外側から中央側に角度をつけて気流を吐出した場合(B)、吹出口から角度をつけずに鉛直上向きに気流を吐出した場合(C)の何れと比較しても、本発明の構成、すなわち焜炉正面から見て、前方から後方に角度をつけて気流を吐出する場合(D)の方が、優れた排気捕集性能を発揮することが見て取れる。
【0059】
また、オーブンの左右両側それぞれに、吹出口13に対応するファン30を設けているので、1つ1つのファン30は小型なもので済み、オーブンの両側の限られた狭小な空間に配置することができる。
【0060】
さらに、ダクト部材40内の1又は複数箇所に気流の偏りを低減するガイド部44を設けているので、ダクト部材40内における気流の剥離等の抑制や気流分布の均等化を図ることができ、油煙を換気装置Vに誘うためのより効果的な気流を発生させることができる。
【0061】
しかも、図4に示すように、鉛直方向と前側流路Laの流路方向とのなす角度θ1と、吹出口13の前縁から上述した換気装置Vの吸込口V1の前縁までの前後方向に沿った距離Xと、吹出口13から吸込口V1までの鉛直方向に沿った高さYとの関係が、θ1≧tan-1(X/Y)を満たすので、焜炉本体10の前側で生じる油煙を確実に換気装置Vへ誘引することができる。
【0062】
加えて、前側流路Laから吹き出される気流が、後側流路Lbから吹き出される気流よりも、前方から後方に向かってより傾いて吹き出されるので、焜炉本体10の前側で生じる油煙をより確実に換気装置Vへ誘引することができる。また、後側流路Lbから吹き出される気流が、前側流路Laから吹き出される気流よりも、より鉛直上向きになるので、油煙を必要以上に後方に誘引せず、換気装置Vに向かって適切な気流を形成することができ、油煙の捕集効率の向上を図れる。
【0063】
そのうえ、ファン30をオーブンの内部空間よりも下方に設けてあるので、吹出口13からファン30までの距離を十分に確保することができ、ファン30からの気流の分流化や整流化が可能となり、さらにはショートサーキット(再吸入)を防ぐこともできる。
【0064】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0065】
例えば、前記実施形態では、焜炉本体10の天面11における左右両側に吹出口13を設けていたが、図7に示すように、天面11の後側にも吹出口13を設けても構わない。
【0066】
また、ファン30は、必ずしも吹出口13それぞれに対応させて設ける必要はなく、図7に示すように、共通のファン30からの気流が、左右両側の吹出口13に導かれるように構成されていても良い。
【0067】
さらに、前記実施形態では、複数の分割流路Lが前側流路Laと後側流路Lbとに大別されている例を説明したが、前側流路La、中央流路、及び後側流路Lbなど、互いに吹出方向の異なる3種以上の流路に分別されていても良い。
【0068】
加えて、分割流路Lの流路方向は、左右外側から中央に向かうように設定されていてもよい。
特に、後側流路Lbの流路方向が、左右外側から中央に向かうように設定しておくことで、後方に形成される気流の分布が中央に寄るので、左右方向の幅が狭い吸込口V1を有する換気装置Vに対して有効な気流を形成することができる。
【0069】
続いて、本発明に係る組み込み式加熱調理器の第2実施形態について図面を参照して説明する。
【0070】
本実施形態に係る組み込み式加熱調理器100は、図8図11に示すように、吹出口13の下方に設けられて、吹出口13から落下した異物を受け取る異物タンク50をさらに備える。なお、ここでは左右の吹出口13それぞれの下方に異物タンク50を設けてある。
【0071】
この異物タンク50は、天面11に形成された溝に嵌め込まれるものであり、図9図11に示すように、上面が開口した箱状のものである。ここでは、上述した吹出口13が天面11の前側から後側に延びる長尺状をなし、異物タンク50は、吹出口13に沿って前側から後側に延びる長尺状をなす。かかる構成において、異物タンク50の長手方向の長さは、吹出口13の長手方向の長さよりも長く設定されている。なお、この異物タンク50には、異物タンク50に貯留された液状物の水位を検出する水位センサ(不図示)が設けられていても良い。
【0072】
本実施形態の組み込み式加熱調理器100は、図8図10に示すように、異物タンク50の開口を塞ぐ蓋部材60をさらに備えている。
【0073】
この蓋部材60は、上述した吹出口13が形成された平板状のものであり、例えば非磁性体からなる。ここでの蓋部材60は、天面11の溝に嵌め込まれた異物タンク50の開口を塞いだ状態において、蓋部材60の上面が天面11と面一に設けられており、これにより吹出口13も天面11と面一にしている。
【0074】
ここでの吹出口13は、上述したように天面11の前側から後側に延びる長尺状をなし、その内部には、前記第1実施形態で述べた仕切り板43(以下、ルーバ43ともいう)が配置されている。
【0075】
より具体的に説明すると、本実施形態の吹出口13には、複数のルーバ43が一体的に設けられてなる導風構造体70が嵌め込まれており、この導風構造体70により、吹出口13から吹き出される気流を前方から後方に向かわせるように構成してある。
【0076】
この導風構造体70は、図10に示すように、吹出口13の長手方向に沿って延びる一対の側壁71と、これらの側壁71の間に挟持されて長手方向に沿って間欠的に設けられた複数枚のルーバ43とを有するものである。なお、各ルーバ43の傾斜角度などの態様は、前記第1実施形態の仕切り板43の態様と同様であり、詳細は省略する。
【0077】
上述した構成において、導風構造体70、蓋部材60、異物タンク50は、いずれも着脱可能なものであり、具体的には天面11から上方に取り外すことができる。
【0078】
然して、本実施形態では、図12及び図13に示すように、上述した異物タンク50の側壁にスリット51が形成されており、このスリット51に連通するとともに、内部空間が吹出口13に向かう気流の流路の一部となるノズル部材80が設けられている。
【0079】
このノズル部材80は、前記第1実施形態で述べたダクト部材40の下流側端部を構成するものであり、ダクト部材40の上流側端部に設けられたファンによる気流が導かれて、その気流を下流側開口である吐出口81から吐出するものである。ここでは、ノズル部材80の吐出口81は、前方から後方に延びており、その長手方向に沿った長さ寸法は、ダクト部材40の同長手方向に沿った長さよりも長く設定されている。
【0080】
なお、ここでのファンは、前記第1実施形態とは異なり、加熱調理器100の下部背面側に配置されている。これにより、ファンを下部前面側に配置する場合に比べて、回転音を使用者に伝わりづらくなり、静音のメリットがある。また、ファンの吸気口Oは、図8に示すように、加熱調理器100の外面(具体的には背面)に設けて外部に面するようにしてある。これにより、例えばオーブン庫内の温められた空気や排熱された空気ではなく、居室内の空気を吸引するため、ファンモータに自冷作用が働き、温度の上昇が抑えられ、適切な温度範囲内でファンを駆動させることが可能となる。
【0081】
本実施形態では、図11及び図12に示すように、異物タンク50の内側を向く側壁にスリット51が形成されており、このスリット51と、ノズル部材80の吐出口81とが対向配置されている。
【0082】
上述した構成により、ノズル部材80を通過した空気は、吐出口81から異物タンク50のスリット51を介して異物タンク50内に流れ込み、その後、異物タンク50を上昇して、ルーバ43を通過し、吹出口13から吹き出される。
【0083】
本実施形態では、図10に示すように、異物タンク50のスリット51及びノズル部材80の吐出口81が、双方とも矩形状に形成されており、吐出口81の下辺部811が、スリット51の下辺部511よりも下方に位置している。かかる構成において、吐出口81の下辺部811には、図13に示すように、異物タンク50の側壁に向かって膨出して当該側壁に当接する膨出部812が設けられている。
【0084】
ところで、上述したように、異物タンク50の側壁に形成したスリット51とノズル部材80の吐出口81を対向配置させると、ダクト部材40内を下方から上方に向かって流れる気流を、ノズル部材80の内部で側方に向かわせることになり、その気流の偏向による圧力損失が生じるといった問題が起こり得る。
【0085】
そこで、図13に示すように、ノズル部材80の内面のうち異物タンク50のスリット51に対面する領域82を、上方に向かうに連れてスリット51に近づくように湾曲させており、ノズル部材80の吐出口81から吹き出される気流をスムーズにルーバ43に向かわせるガイド面82として機能するように構成してある。
【0086】
より詳細に説明すると、このガイド面82の最も下流側の辺部821は、ここでは吐出口81の上辺部となり、この辺部821を接線方向に延ばした仮想延長線Lx上に、導風構造体70の側壁71の下端部が位置するとともに、ルーバ43の下端部が位置している。
【0087】
このように構成された組み込み式加熱調理器100によれば、例えば調理物やふきこぼれなどの異物が吹出口13から落下したとしても、その異物を異物タンク50で受け取ることができ、例えばノズル部材80の内部への異物の侵入を防ぐことができる。
【0088】
また、ノズル部材80の吐出口81を異物タンク50の側壁に形成したスリット51に対向配置させており、吹出口13から落下した異物は重力によって真下に落ちるので、異物をノズル部材80に侵入させ難くすることができる。
【0089】
さらに、吐出口81の下辺部811がスリット51の下辺部511よりも下方に位置しているので、ノズル部材80から吹き出される空気をスムーズにルーバ43へと送り込むことができる。
【0090】
そのうえ、吐出口81の下辺部811に膨出部812を設けているので、膨出部812によって異物タンク50の側壁とノズル部材80との隙間を封止することができるので、この隙間に異物が入り込むことを防ぐことができる。
【0091】
加えて、ガイド面82の下流側の辺部821を延ばした仮想延長線Lx上に導風構造体70の下端部が位置しているので、ノズル部材80から流れ出た空気をスムーズにルーバ43へと送り込むことができ、調理中の油煙を効果的に換気装置に誘引することができる。
【0092】
さらに加えて、異物タンク50の長手方向の長さが、吹出口13の長手方向の長さよりも長いので、異物タンク50の容積を大きく確保することができ、例えばふきこぼれ量が多くても異物を確実に異物タンク50に貯留することができる。
【0093】
また、吹出口13が天面11と面一であるので、異物が吹出口13に流れ込みやすくすることがなく、しかも吹出口13が調理の邪魔にならない。
【0094】
さらに、蓋部材60が非磁性体であるので、IH焜炉の熱影響を受けない。
【0095】
加えて、異物タンク50が、天面11から上方に取り外し可能であるので、異物タンク50の取り外しに際して、加熱調理器100自体を移動させることや、使用者が無理な姿勢を取る必要もなく、異物タンク50に溜まった異物を簡単に取り除くことができたり、異物タンク50を洗浄することができたりするので、メンテナンス性に優れたものとなる。
【0096】
なお、本発明は、前記第2実施形態に限られるものではない。
【0097】
例えば、前記第2実施形態では、ガイド面82の最も下流側の辺部821を接線方向に延ばした仮想延長線Lx上に導風構造体70の下端部が位置しているが、この仮想延長線Lxの上方に導風構造体70の下端部が位置していても良い。
【0098】
また、前記第2実施形態では、ノズル部材80をダクト部材40の一部として説明したが、ノズル部材80とダクト部材40とは別体であっても良い。
【0099】
さらに、前記実施形態では複数枚のルーバ43が一体的に設けられていたが、これらのルーバ43は互いに独立した別体のものであっても良い。
【0100】
加えて、異物タンク50としては、図14に示すように、側壁の長手方向に沿った所定領域がノズル部材80の接続領域Aとして設定されており、この接続領域Aにおける内部空間の幅寸法L1が、それ以外の領域における内部空間の幅寸法L2よりも狭くなっていても良い。
これならば、接続領域A以外の領域における内部空間を広くすることができ、異物タンク50の内部容積を可及的に大きくすることができる。
【0101】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
100・・・組み込み式加熱調理器
V ・・・換気装置
V1 ・・・吸込口
10 ・・・焜炉本体
11 ・・・天面
12 ・・・加熱部
13 ・・・吹出口
20 ・・・レンジ
30 ・・・ファン
40 ・・・ダクト部材
40a・・・上流側端部
40b・・・下流側端部
43 ・・・仕切り板
44 ・・・ガイド部
L ・・・分割流路
La ・・・前側流路
Lb ・・・後側流路
50 ・・・異物タンク
51 ・・・スリット
511・・・スリットの下辺部
60 ・・・蓋部材
70 ・・・導風構造体
80 ・・・ノズル部材
81 ・・・吐出口
811・・・下辺部
812・・・膨出部
82 ・・・ガイド面
821・・・辺部
L ・・・仮想延長線
X ・・・吸気口
Z ・・・接続領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14