(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】荷吊りユニットおよび荷吊りユニットを搭載した移動体
(51)【国際特許分類】
B66C 7/10 20060101AFI20241112BHJP
E01F 8/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B66C7/10
E01F8/00
(21)【出願番号】P 2020124291
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勝久
(72)【発明者】
【氏名】重藤 和英
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】福永 大輝
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 孝義
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-044455(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0260502(US,A1)
【文献】実開平02-094891(JP,U)
【文献】実開平05-046875(JP,U)
【文献】特開昭60-183492(JP,A)
【文献】実開平02-099888(JP,U)
【文献】特開2001-171975(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0029125(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第00656312(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 7/10
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体に支持される一対の走行レールと、
前記一対の走行レールの間隔よりも長い荷吊り用のビームと、
前記一対の走行レールに沿って移動可能に構成されて、前記一対の走行レールに対して、前記ビームを、前記ビームの延在方向に沿って移動可能に、かつ、鉛直方向を回転中心として回転可能に吊り下げる一対の吊り下げ機構と、を備え、
前記枠体は、前記一対の走行レールを含んで構成されており、
前記一対の走行レールの各々は、レール本体と、前記レール本体の延在方向に沿って移動可能に前記レール本体の各端部を支持する一対のレール支持部材と、を有して、前記一対の走行レールの延在方向において伸縮可能に構成されている
荷吊りユニット。
【請求項2】
枠体と、
前記枠体に支持される一対の走行レールと、
前記一対の走行レールの間隔よりも長い荷吊り用のビームと、
前記一対の走行レールに沿って移動可能に構成されて、前記一対の走行レールに対して、前記ビームを、前記ビームの延在方向に沿って移動可能に、かつ、鉛直方向を回転中心として回転可能に吊り下げる一対の吊り下げ機構と、を備え、
前記枠体が、前記一対の走行レールの延在方向および前記一対の走行レールの対向方向の少なくとも一方において拡縮可能に構成されて
おり、
前記枠体は、前記一対の走行レールを含んで構成されているとともに、前記一対の走行レールの対向方向に交差する方向に延びて前記一対の走行レールを接続するレール接続部材をさらに備え、
前記レール接続部材は、前記一対の走行レールに対して鉛直方向を回転中心として回転可能に連結されるとともに、前記レール接続部材の延在方向において伸縮可能に構成されている
荷吊りユニット。
【請求項3】
枠体と、
前記枠体に支持される一対の走行レールと、
前記一対の走行レールの間隔よりも長い荷吊り用のビームと、
前記一対の走行レールに沿って移動可能に構成されて、前記一対の走行レールに対して、前記ビームを、前記ビームの延在方向に沿って移動可能に、かつ、鉛直方向を回転中心として回転可能に吊り下げる一対の吊り下げ機構と、を備え、
前記枠体が、
前記一対の走行レールの端部を支持する複数の支柱と前記複数の支柱の下端部を連結する下部フレーム体とを有して、前記一対の走行レールの延在方向および前記一対の走行レールの対向方向の少なくとも一方において拡縮可能に構成されて
おり、
前記下部フレーム体は、前記一対の走行レールの延在方向に並ぶ一対の支柱を連結するフレームを、前記一対の走行レールの対向方向における一方側に有している
荷吊りユニット。
【請求項4】
前記ビームは、前記枠体の最小対角距離よりも短い長さを最小長さとして、前記ビームの延在方向において伸縮可能に構成されている
請求項
1~3のいずれか一項に記載の荷吊りユニット。
【請求項5】
荷吊りユニットを搭載した移動体であって、
前記荷吊りユニットが
請求項1~4のいずれか一項に記載の荷吊りユニットである
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象を吊り上げて搬送する荷吊りユニット、および、該荷吊りユニットを搭載した移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路や一般道路には、車両走行時などに発生する騒音を遮る遮音壁が構築される場合がある。こうした遮音壁は、例えば、道路に沿って複数のH型支柱を所定間隔で設置するとともに、互いに隣接する一対の支柱の間に遮音パネルを上方から差し込むことにより構築される(例えば、特許文献1,2等参照)。遮音壁の施工現場では、遮音パネルを吊り上げて搬送する荷吊りユニットを搭載した移動体を用い、遮音パネルの設置と移動体の移動とを繰り返しながら遮音壁が構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-091129号公報
【文献】特開2018-087480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、施工現場においては、遮音壁を構成する遮音パネルの大きさや遮音壁に隣接する道路の広さなどによって適切な移動体の大きさは異なる。そのため、小型の移動体や大型の移動体など、大きさの異なる移動体ごとに適切な荷吊りユニットを搭載する場合には、その移動体の大きさに適した荷吊りユニットを用意する必要があった。なお、こうした問題は、遮音パネルを吊り上げて搬送する荷吊りユニットに限らず、他の部材を搬送対象とする荷吊りユニットにも共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する荷吊りユニットは、枠体と、前記枠体に支持される一対の走行レールと、前記一対の走行レールの間隔よりも長い荷吊り用のビームと、前記一対の走行レールに沿って移動可能に構成されて、前記一対の走行レールに対して、前記ビームを、前記ビームの延在方向に沿って移動可能に、かつ、鉛直方向を回転中心として回転可能に吊り下げる一対の吊り下げ機構と、を備え、前記枠体が、前記一対の走行レールの延在方向および前記一対の走行レールの対向方向の少なくとも一方において拡縮可能に構成されている。
【0006】
上記課題を解決する荷吊りユニットを搭載した移動体は、前記に吊りユニットが、枠体と、前記枠体に支持される一対の走行レールと、前記一対の走行レールの間隔よりも長い荷吊り用のビームと、前記一対の走行レールに沿って移動可能に構成されて、前記一対の走行レールに対して、前記ビームを、前記ビームの延在方向に沿って移動可能に、かつ、鉛直方向を回転中心として回転可能に吊り下げる一対の吊り下げ機構と、を備え、前記枠体が、前記一対の走行レールの延在方向および前記一対の走行レールの対向方向の少なくとも一方において拡縮可能に構成されている。
【0007】
上記構成の荷吊りユニットにおいて、前記ビームは、前記枠体の最小対角距離よりも短い長さを最小長さとして、前記ビームの延在方向において伸縮可能に構成されていることが好ましい。
【0008】
上記構成の荷吊りユニットにおいて、前記枠体は、前記一対の走行レールを含むとともに前記一対の走行レールの延在方向に拡縮可能に構成されており、前記一対の走行レールの各々は、レール本体と、前記レール本体の延在方向に沿って移動可能に前記レール本体の各端部を支持する一対のレール支持部材と、を有して、前記一対の走行レールの延在方向において伸縮可能に構成されていることが好ましい。
【0009】
上記構成の荷吊りユニットにおいて、前記枠体は、前記一対の走行レールを含んで構成されているとともに、前記一対の走行レールの対向方向に交差する方向に延びて前記一対の走行レールを接続するレール接続部材をさらに備え、前記レール接続部材は、前記一対の走行レールに対して鉛直方向を回転中心として回転可能に連結されるとともに、前記レール接続部材の延在方向において伸縮可能に構成されていることが好ましい。
【0010】
上記構成の荷吊りユニットにおいて、前記一対の走行レールの端部を支持する複数の支柱と、前記複数の支柱の下端部を連結する下部フレーム体と、を有し、前記下部フレーム体は、前記一対の走行レールの延在方向に並ぶ一対の支柱を連結するフレームを、前記一対の走行レールの対向方向における一方側に有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、荷吊りユニットを搭載する移動体の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】荷吊りユニットの一実施形態、該荷吊りユニットを搭載した移動体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】移動体の後方から見た吊り下げ機構を模式的に示す図。
【
図3】ビームの張り出し動作開始時を模式的に示す上面図。
【
図4】ビームの張り出し動作の途中経過を模式的に示す上面図。
【
図5】移動体の右側にビームが最大限張り出した状態を模式的に示す上面図。
【
図7】走行レールの対向方向において枠体を拡張する際の様子を模式的に示す上面図。
【
図8】走行レールの延在方向において枠体を拡張する際の様子を模式的に示す上面図。
【
図9】変形例において他の伸縮構造が適用された走行レールの一例を示す斜視図。
【
図10】変形例において上部フレーム体の一例を示す斜視図。
【
図11】変形例において、荷吊りユニット、および、該荷吊りユニットを搭載した移動体を模式的に示す斜視図である。
【
図12】変形例において移動体の後方から見た転倒防止機構を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図8を参照して、荷吊りユニットおよび荷吊りユニットを搭載した移動体の一実施形態について説明する。
図1に示すように、移動体10は、例えば、キャブオーバ型のトラックである。移動体10は、前後方向に延びる車体フレーム11を有している。車体フレーム11の前部にはキャブ12(運転室)が搭載されている。車体フレーム11の中央部から後部には、略矩形状の荷台13が設けられている。荷台13には、荷吊りユニット25が着脱可能に搭載されている。
【0014】
車体フレーム11には、キャブ12の下方に、例えばエンジンやモータ・ジェネレタなどで構成される駆動動力源が搭載されている。車体フレーム11には、キャブ12の下方に操舵輪14が設けられ、荷台13の下方に駆動輪15が設けられている。
【0015】
図1に示すように、荷吊りユニット25は、荷台13に載置された搬送対象を吊り上げて所定位置まで搬送する際に用いられる。搬送対象は、例えば、高速道路や一般道路等において遮音壁を構成する遮音パネルPである。
【0016】
荷吊りユニット25は、枠体30とビーム34とを備えている。
枠体30は、支柱31、下部フレーム体32、上部フレーム体33で構成されている。枠体30は、高さ方向、ならびに、後述する左右一対の走行レール45の延在方向および対向方向において拡縮可能に構成されている。左右一対の走行レール45の延在方向は、各走行レール45が延びる方向である。左右一対の走行レール45の対向方向は、走行レール45が互いに向かい合う方向であり、左右一対の走行レール45が並ぶ方向である。なお、枠体30については、左右一対の走行レール45の延在方向および対向方向において拡張が行われておらず最も小さい状態を最小状態、延在方向および対向方向において最大限に拡張が行われている状態を最大状態という。
【0017】
各支柱31は、荷台13の各隅部から上方に延びている。各支柱31は、複数の支柱部によって伸縮可能に構成される。本実施形態においては、各支柱31は、筒状の下側支柱部31Aと、下側支柱部31Aに内挿されて下側支柱部31Aに対して進退移動可能な筒状の上側支柱部31Bとを有する二重筒構造に構成されている。下側支柱部31Aおよび上側支柱部31Bは、例えば角形鋼管で構成される。
【0018】
各支柱31は、移動体10の走行中は、上側支柱部31Bを下側支柱部31Aに格納することにより、荷吊りユニット25を含めた移動体10の車高を低く抑える。また、各支柱31は、施工現場においては、荷吊りユニット25を遮音壁等の施工に適した高さへと調整される。なお、各支柱31は、図示されない固定ピンなどによって下側支柱部31Aに対して上側支柱部31Bの移動が規制されるようになっている。
【0019】
各支柱31は、下側支柱部31Aの下端部に固定されたジャッキ35を介して荷台13に連結される。ジャッキ35は、移動体10の駆動動力源によって駆動される電動機械式のジャッキである。ジャッキ35は、図示されない操作部を通じて、個別に、また、複数同時に駆動可能に構成されている。荷吊りユニット25は、ジャッキ35を選択的に駆動させることにより、移動体10の前後方向および幅方向における相対高さを調整可能に構成されている。ジャッキ35は、例えば、ビーム34の水平出しなどに利用される。なお、ジャッキ35は、流体作動式のジャッキであってもよい。
【0020】
また、前側に位置する一対の支柱31、および、後側に位置する一対の支柱31においては、下側支柱部31Aの上端部が移動体10の幅方向に延びる連結フレーム36によって連結されている。これにより、枠体30の機械的な強度、例えば支柱31を伸張させたときの強度を高めることができる。連結フレーム36は、伸縮可能に構成される。本実施形態においては、連結フレーム36は、右側に位置する下側支柱部31Aに連結された筒状の第1連結フレーム36Aと、左側に位置する下側支柱部31Aに連結された筒状の第2連結フレーム36Bとを有する二重筒構造に構成される。第2連結フレーム36Bは、第1連結フレーム36Aに対して進退移動可能に第1連結フレーム36Aに内挿される。第1連結フレーム36Aおよび第2連結フレーム36Bは、例えば角形鋼管で構成されるとともに、溶接やボルトナットを用いた締結などといった各種接合法によって下側支柱部31Aに連結される。連結フレーム36は、所定の長さまで伸縮させた状態において、図示されない固定ピンなどによって第1連結フレーム36Aに対する第2連結フレーム36Bの進退移動が規制されるようになっている。
【0021】
連結フレーム36の伸縮に関して、荷吊りユニット25は、連結フレーム36を伸縮させる伸縮機88を有することが好ましい。例えば、伸縮機88は、各連結フレーム36の内部に配設される。伸縮機88の一例は、ラックアンドピニオン機構88Aと、ラックアンドピニオン機構88Aのピニオンが係合する出力軸を有するアクチュエータ88Bと、で構成される。ラックアンドピニオン機構88Aのラックは、第1連結フレーム36A側の支柱31と第2連結フレーム36Bの内周部とに連結される。アクチュエータ88Bは、第2連結フレーム36Bの内側に配設されるとともに図示されない操作部によって操作可能に構成される。各伸縮機88は、前後一対の連結フレーム36が同期して伸縮するように駆動される。なお、伸縮機88は、連結フレーム36に内部に配設される構成に限らず、連結フレーム36の外部に配設される構成であってもよい。また、伸縮機88は、電動シリンダや油圧シリンダなどであってもよい。
【0022】
下部フレーム体32は、各支柱31の下端部を繋ぐようにチャンネル状(コ字状)に配設された複数のフレームで構成されている。下部フレーム体32は、移動体10の幅方向に延びる前後一対の下部フレーム37、および、移動体10の前後方向に延びる右側下部フレーム38を有している。各フレーム37,38は、角形鋼管、H形鋼、I形鋼、断面チャンネル状(コ字状)の鋼材などを用いて伸縮可能に構成されている。各フレーム37,38は溶接やボルトナットを用いた締結などといった各種接合法によって下側支柱部31Aに連結される。
【0023】
なお、下部フレーム体32は、走行レール45の延在方向に並ぶ一対の支柱31の下側支柱部31Aを連結するフレームを、走行レール45の対向方向における一方側に有していればよい。そのため、下部フレーム体32は、右側下部フレーム38に代えて、左側に位置する前後一対の支柱31の下側支柱部31Aを連結する左側下部フレームを有する構成であってもよい。
【0024】
本実施形態において、前後一対の下部フレーム37は、前側に位置する一対の支柱31、および、後側に位置する一対の支柱31を連結している。各下部フレーム37は、右側に位置する支柱31に連結された筒状の第1下部フレーム37Aと、左側に位置する支柱31に連結された筒状の第2下部フレーム37Bとを有する二重筒構造に構成される。第2下部フレーム37Bは、第1下部フレーム37Aに対して進退移動可能に第1下部フレーム37Aに内挿される。第1下部フレーム37Aおよび第2下部フレーム37Bは、例えば角形鋼管で構成される。下部フレーム37は、所定の長さまで伸縮させた状態において、図示されない固定ピンなどによって第1下部フレーム37Aに対する第2下部フレーム37Bの進退移動が規制されるようになっている。
【0025】
本実施形態において、右側下部フレーム38は、右側後方に位置する支柱31に連結される筒状の第1右側下部フレーム38Aと、右側前方に位置する支柱31に連結された筒状の第2右側下部フレーム38Bとを有する二重筒構造に構成される。第1右側下部フレーム38Aは、第2右側下部フレーム38Bに対して進退移動可能に第2右側下部フレーム38Bに内挿される。第1右側下部フレーム38Aおよび第2右側下部フレーム38Bは、例えば角形鋼管で構成される。右側下部フレーム38は、所定の長さまで伸縮させた状態において、図示されない固定ピンなどによって第1右側下部フレーム38Aに対する第2右側下部フレーム38Bの進退移動が規制されるようになっている。
【0026】
第2右側下部フレーム38Bには、足場プレート40が取り付けられている。足場プレート40は、荷吊りユニット25の前後方向の長さと略同等の長板状に形成されている。足場プレート40は、ヒンジ41を介して取り付けられており、第2右側下部フレーム38Bに対して回動可能に構成されている。足場プレート40は、移動体10が走行する際には荷吊りユニット25側に折り畳んで格納可能に、また、荷台13に載置された搬送対象を搬送する際には水平方向に展開可能に構成されている。
【0027】
なお、足場プレート40は、支柱31の所定高さ位置に取り付けてもよい。また、足場プレート40は、回動可能な折り畳み式に限定されず、下部フレーム体32や支柱31に設けられたブラケット等に固定される構成であってもよい。また、足場プレート40は、移動体10の右側および左側の双方に設けられてもよい。
【0028】
上部フレーム体33は、各支柱31の上端部に連結されている。上部フレーム体33は、左右一対の走行レール45、中央上部フレーム48を有している。
左右一対の走行レール45は、移動体10の前後方向に延びているとともに移動体10の幅方向で対向している。枠体30において、走行レール45の延在方向は移動体10の前後方向に対応し、走行レール45の対向方向は移動体10の幅方向に対応している。
【0029】
左右一対の走行レール45のうち、左側の走行レール45は、移動体10の左側に位置する前後一対の支柱31の上端部間に架け渡されている。右側の走行レール45は、移動体10の右側に位置する前後一対の支柱31の上端部間に架け渡されている。
【0030】
本実施形態において、各走行レール45は、レール本体45Aと、前側の支柱31または後側の支柱31に連結されたレール支持部材45Bとによって伸縮可能に構成される。レール本体45Aは、H形鋼またはI形鋼で構成される。レール支持部材45Bは、レール本体45Aが進退移動可能に内挿された角形鋼管で構成される。各レール支持部材45Bは、溶接やボルトナットを用いた締結などといった各種接合法によって支柱31の上端部に連結されている。各走行レール45は、レール本体45Aがレール支持部材45Bに対して進退移動することで走行レール45の延在方向に伸縮する。各走行レール45は、所定の長さまで伸縮させた状態において、図示されない固定ピンなどによってレール支持部材45Bに対するレール本体45Aの進退移動が規制されるようになっている。また、走行レール45には、例えばレール本体45Aおよびレール支持部材45Bの双方に設けられた係合片が係合することにより、レール支持部材45Bからのレール本体45Aの脱落を防止するレール脱落防止機構が設けられている。
【0031】
各レール支持部材45Bには、シャックル49が設けられている。これらのシャックル49にロープなどを巻き掛けることにより、クレーンなどによる荷吊りユニット25の荷台13への積み込みなどが可能となる。
【0032】
中央上部フレーム48は、角形鋼管、H形鋼、I形鋼、断面チャンネル状(コ字状)の鋼材などを用いて伸縮可能に構成される。中央上部フレーム48は、移動体10の幅方向に延びており、レール本体45Aの中央部を連結している。中央上部フレーム48は、溶接やボルトナットを用いた締結などといった各種接合法によってレール本体45Aに連結されている。
【0033】
本実施形態において、中央上部フレーム48は、各レール本体45Aの上面部に連結される筒状の第1中央上部フレーム48Aと、第1中央上部フレーム48Aが内挿されて第1中央上部フレーム48Aに対して進退移動可能な第2中央上部フレーム48Bとを有する二重筒構造に構成される。第1中央上部フレーム48Aおよび第2中央上部フレーム48Bは、例えば角形鋼管で構成される。中央上部フレーム48は、所定の長さまで伸縮させた状態において、図示されない固定ピンなどによって第1中央上部フレーム48Aに対する第2中央上部フレーム48Bの進退移動が規制されるようになっている。
【0034】
上部フレーム体33は、一対の走行レール45を接続する複数のレール接続部材51を有している。各レール接続部材51は、複数のターンバックル52によって伸縮可能に構成されている。複数のレール接続部材51は、一対の走行レール45の前側および後側の各々において、互いに交差するように設けられている。
【0035】
一対の走行レール45の前側において、一方のレール接続部材51は、左側の走行レール45のレール支持部材45Bと右側のレール本体45Aの中央部とに対して、ピン結合などにより鉛直方向を回転中心に回動可能に連結されている。他方のレール接続部材51は、右側の走行レール45のレール支持部材45Bと左側のレール本体45Aの中央部とに対して、ピン結合などにより鉛直方向を回転中心に回動可能に連結されている。
【0036】
一対の走行レール45の後側において、一方のレール接続部材51は、左側のレール本体45Aの中央部と右側の走行レール45のレール支持部材45Bとに対して、ピン結合などにより鉛直方向を回転中心に回動可能に連結されている。他方のレール接続部材51は、右側のレール本体45Aの中央部と左側の走行レール45のレール支持部材45Bとに対して、ピン結合などにより鉛直方向を回転中心に回動可能に連結されている。
【0037】
図1に示すように、ビーム34は、吊り下げ機構55を介して各走行レール45のレール本体45Aに吊り下げられている。ビーム34は、伸縮可能に構成されている。ビーム34の最小長さは、左右一対の走行レール45の最小離間距離よりも長く、かつ、枠体30の最小対角距離よりも短い長さである。また、ビーム34の最大長さは、左右一対の走行レール45の最大離間距離よりも長く、かつ、枠体30の最大対角距離よりも短い長さである。最小離間距離は、枠体30が最小状態にあるときの左右一対の走行レール45の離間距離である。最大離間距離は、枠体30が最大状態にあるときの左右一対の走行レール45の離間距離である。枠体30の対角距離は、左側の走行レール45の前端と右側の走行レール45の後端との離間距離である。最小対角距離は枠体30が最小状態にあるときの対角距離であり、最大対角距離は枠体30が最大状態にあるときの対角距離である。
【0038】
ビーム34は、各走行レール45に取り付けられた吊り下げ機構55によって、各走行レール45に沿って移動可能に構成されている。また、ビーム34は、右側の走行レール45に取り付けられた吊り下げ機構55によって、後述するビーム本体34Aがビーム34の延在方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0039】
ビーム34には、荷吊り用プレーントロリ56を介して天秤フレーム57が吊り下げられている。天秤フレーム57は、荷吊り用プレーントロリ56によってビーム34を走行可能に構成されている。天秤フレーム57の両端部には、チェーンブロック等、遮音パネルPを保持可能な吊り具58が設けられている。遮音パネルPを保持した状態にある吊り具58を操作することにより、遮音パネルPを昇降させることができる。
【0040】
図2に示すように、本実施形態において、ビーム34は、右側の吊り下げ機構55に吊り下げられたビーム本体34Aと、左側の吊り下げ機構55に吊り下げられたビーム支持部材34Bとで構成される。ビーム本体34Aは、H形鋼またはI形鋼で構成される。ビーム支持部材34Bは、ビーム本体34Aが進退移動可能に内挿された角形鋼管で構成される。こうした構成のビーム34において、ビーム34の延在方向におけるビーム34の移動とは、ビーム支持部材34Bに対してビーム本体34Aが進退移動することをいう。
【0041】
ビーム34は、所定の長さまで伸縮させた状態において、例えば図示されない固定ピンなどによってビーム支持部材34Bに対するビーム本体34Aの進退移動が規制される。また、ビーム34には、例えばビーム本体34Aおよびビーム支持部材34Bの双方に設けられた係合片が係合することにより、ビーム支持部材34Bからのビーム本体34Aの脱落を防止するビーム脱落防止機構が設けられている。
【0042】
図2示すように、吊り下げ機構55は、各走行レール45を走行可能な上側プレーントロリ61を有している。
上側プレーントロリ61は、レール本体45Aを挟んで対向する一対のプレート63と、一対のプレート63を連結する連結軸64と、各プレート63に回転自在に軸支されてレール本体45Aの下側フランジ面を転動するローラ65とを備えている。
【0043】
左側の吊り下げ機構55において、上側プレーントロリ61の連結軸64は、接続部材71を介してビーム支持部材34Bに接続されている。接続部材71は、スイベルやダブルサルカン等で構成される回転継手である。接続部材71は、連結軸64に取り付けられる上側接続部71Aとビーム支持部材34Bに取り付けられる下側接続部71Bとが相対回転可能に構成されている。接続部材71は、鉛直方向を回転中心として上側プレーントロリ61およびビーム支持部材34Bを相対回転可能に接続している。
【0044】
右側の吊り下げ機構55は、ビーム本体34Aを走行可能な下側プレーントロリ62を有している。下側プレーントロリ62は、ビーム34を挟んで対向する一対のプレート68と、各プレート68を連結する連結軸69と、各プレート68に回転自在に軸支されてビーム34の上側フランジ面を転動するローラ70とを備えている。
【0045】
右側の吊り下げ機構55において、上側プレーントロリ61および下側プレーントロリ62は、その連結軸64,69が接続部材72によって接続されている。接続部材72は、スイベルやダブルサルカン等で構成される回転継手である。接続部材72は、連結軸64に取り付けられる上側接続部72Aと連結軸69に取り付けられる下側接続部72Bとが相対回転可能に構成されている。接続部材72は、鉛直方向を回転中心として上側プレーントロリ61および下側プレーントロリ62を相対回転可能に接続している。
【0046】
すなわち、これら一対の吊り下げ機構55では、接続部材71,72の上側接続部71A,72Aおよび下側接続部71B,72Bが相対回転することで、各走行レール45に対する水平方向へのビーム34の傾動動作が円滑に行われるようになっている。
【0047】
また、吊り下げ機構55は、ストッパ74を有している。ストッパ74は、ビーム支持部材34Bとは反対側におけるビーム本体34Aの端部に設けられている。ストッパ74は、荷吊り用プレーントロリ56のビーム本体34Aからの脱落を防止する。
【0048】
図3~
図5を参照して、ビーム34の張り出し動作について説明する。なお、ここでは、枠体30が最小状態、ビーム34の長さが最小長さに設定されているものとする。
図3に示すように、荷吊りユニット25においては、ビーム34の延在方向を枠体30の略対角方向にすることにより、左右一対の走行レール45間にビーム34が格納される。そして、この状態から、ビーム34をR方向に回動させることで、移動体10の右側へのビーム34の張り出し動作が開始される。
【0049】
図4に示すように、ビーム34をR方向へ回動させると、ビーム34の左端部は、走行レール45よりも左側への張り出しを規制されたまま、吊り下げ機構55の上側プレーントロリ61によって走行レール45のレール本体45Aを後方に向けて移動する。
【0050】
一方、ビーム34の右端部は、右側の走行レール45に取り付けられた吊り下げ機構55の上側プレーントロリ61によって走行レール45のレール本体45Aを前方に向けて移動する。この際、ビーム34の右端部は、吊り下げ機構55の下側プレーントロリ62がビーム34を走行することにより、ビーム34の延在方向に沿うようにして走行レール45よりも右側へ送り出される。
【0051】
図5に示すように、ビーム34を走行レール45に対して90度回動させると、ビーム34の右端部は、走行レール45よりも右側に最大限に張り出した位置に配置される。
すなわち、荷吊りユニット25は、ビーム34をR方向に回動させたり、ビーム34を走行レール45に沿って移動させたりすることによって、移動体10の側方の所望位置まで搬送対象を搬送できるように構成されている。
【0052】
以上のように、荷吊りユニット25は、各部材に設けられた伸縮構造により、移動体10の前後方向および幅方向、すなわち左右一対の走行レール45の延在方向および対向方向において拡縮可能に構成されている。荷吊りユニット25は、移動体10の荷台13の大きさに合うように枠体30を拡縮させてから移動体10に積み込まれる。
【0053】
図6~
図8を参照して、枠体30の拡張方法の一例について説明する。ここでは、最小状態にある枠体30を最大状態まで拡張させる場合を例に説明する。なお、
図6~
図8に示した前、後、右、左は、移動体10における前、後、右、左にそれぞれ対応している。また、枠体30は、各部材がスムーズに伸縮可能となるように、例えばスライダなどを介して設置されることが好ましい。
【0054】
図6に示すように、枠体30を最大状態まで拡張させる際には、固定ピンなどによって伸縮が規制された部材について、その規制を解除する。また、レール接続部材51については、枠体30の拡張に合わせて伸張可能な状態にする。
【0055】
図7に示すように、左右一対の走行レール45の対向方向に枠体30を拡張する場合には、伸縮機88を駆動して、左側の走行レール45から右側の走行レール45が遠ざかるように、右側に位置する一対の支柱31を走行レール45の対向方向に沿って移動させる。
【0056】
このとき、右側の支柱31の移動に合わせて各種部材が伸張する。連結フレーム36は、第1連結フレーム36Aから第2連結フレーム36Bが引き出されることで伸張する。連結フレーム36の下方に位置する下部フレーム37は、第1下部フレーム37Aから第2下部フレーム37Bが引き出されることで伸張する。中央上部フレーム48は、第2中央上部フレーム48Bから一対の第1中央上部フレーム48Aが引き出されることで伸張する。レール接続部材51は、その両端部が鉛直方向を回転中心として回転しながら、ターンバックル52によって伸張する。ビーム34は、各接続部材71,72において鉛直方向を回転中心として回転しながらビーム支持部材34Bからビーム本体34Aが引き出されることで伸張する。
【0057】
走行レール45の離間距離が最大離間距離となる位置まで支柱31が移動すると、連結フレーム36、下部フレーム37、中央上部フレーム48に対して、伸縮の規制が行われる。これにより、走行レール45の対向方向における枠体30の拡張が終了する。
【0058】
図8に示すように、左右一対の走行レール45の延在方向において枠体30を拡張する場合には、前側に位置する一対の支柱31から遠ざかるように、後側に位置する一対の支柱31を走行レール45の延在方向に沿って移動させる。
【0059】
このとき、後側の支柱31の移動に合わせて各種部材が伸張する。右側の走行レール45の下方に位置する右側下部フレーム38は、第1右側下部フレーム38Aが第2右側下部フレーム38Bから引き出されることで伸張する。左右一対の走行レール45の各々は、一対のレール支持部材45Bからレール本体45Aが引き出されることで伸張する。レール接続部材51は、その両端部が鉛直方向を回転中心として回転しながら、ターンバックル52によって伸張する。ビーム34は、各接続部材71,72において鉛直方向を回転中心として回転しながらビーム支持部材34Bからビーム本体34Aが引き出されることで伸張する。
【0060】
枠体30の対角距離が最大対角距離となる位置まで後側の支柱31が移動すると、ビーム34、右側下部フレーム38、走行レール45に対して、固定ピン等による伸縮の規制が行われる。これにより、走行レール45の延在方向における枠体30の拡張が終了する。
【0061】
このようにして枠体30が拡張された荷吊りユニット25は、シャックル49にロープなどを巻き掛けることにより、クレーンなどによって移動体10の荷台13に積み込まれる。
【0062】
本実施形態の作用および効果について説明する。
(1)荷吊りユニット25においては、左右一対の走行レール45の延在方向および対向方向で枠体30が拡縮可能に構成されている。これにより、移動体10の荷台13に合わせて荷吊りユニット25の大きさを変更できることから、荷吊りユニット25を搭載可能な移動体10の自由度が向上する。また、多様なサイズの荷台13に対して、安定した状態で荷吊りユニット25を搭載できる。さらには、遮音パネルPの施工を、その施工現場に適切な大きさの移動体10を用いて行うことができる。
【0063】
(2)ビーム34は、枠体30の最小対角距離よりも短い長さを最小長さとして伸縮可能に構成されている。これにより、最小状態に枠体30にあったとしても、その枠体30にビーム34を格納することができる。また、ビーム34を伸張させることにより、遮音パネルPの搬送範囲を大きくすることができる。
【0064】
(3)走行レール45は、レール本体45Aとレール本体45Aの各端部を支持する一対のレール支持部材45Bとによって構成される。走行レール45は、一対のレール支持部材45Bからレール本体45Aが引き出されることにより伸張する。これにより、走行レール45の伸張時にレール本体45Aの位置が一方側に偏ることが抑えられる。また、走行レール45の伸張量を確保しつつ、ビーム34で遮音パネルPを吊り上げたときに、支柱31とレール支持部材45Bとの連結部分に作用する荷重を抑えることができる。
【0065】
(4)枠体30においては、枠体30の拡縮に合わせて長さおよび角度が調整可能な複数のレール接続部材51によって左右一対の走行レール45が接続されている。これにより、上部フレーム体33の機械的強度、ひいては枠体30の機械的強度を向上させることができるとともに、レール接続部材51を取り付けたままで枠体30の拡縮を行うことができる。
【0066】
(5)下部フレーム体32は、右側に位置する前後一対の支柱31、および、左側に位置する前後一対の支柱31のうち、右側に位置する前後一対の支柱31を連結している。これにより、フォークリフトなどを用いた荷台13への遮音パネルPの積み込みを移動体10の左側から行うことで、フォークリフトのフォーク部が下部フレーム体32に干渉することがない。その結果、作業員は、積み込み作業をスムーズに行うことができる。
【0067】
(6)枠体30には、左右一対の走行レール45の対向方向における枠体30の拡縮時に、前後一対の連結フレーム36を同期させて伸縮させる伸縮機88が設けられている。これにより、走行レール45の対向方向における枠体30の拡縮をスムーズに行うことができる。
【0068】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・枠体30は、左右一対の走行レール45の延在方向および対向方向のいずれか一方にのみ拡縮可能に構成されていてもよい。
【0069】
・左右一対の走行レール45の延在方向においてのみ枠体30が拡縮可能である場合、レール接続部材51は、例えば、レール本体45Aに対して固定される角形鋼管やH形鋼などの鋼材で構成されてもよい。
【0070】
・枠体30は、レール接続部材51を備えていなくともよい。
・各部材の伸縮構造は、多重筒構造に限られない。他の伸縮構造の一例について、走行レール45を例に、
図9を用いて説明する。
【0071】
図9に示すように、走行レール45は、H形を基本構造とする複数のレール本体45Cによって構成される。各レール本体45Cは、他方のレール本体45C側においてウェブが切り欠かれた形状に形成されている。レール本体45Cは、ウェブが切り欠かれた部分において上フランジ同士と下フランジ同士とが重畳するように配置される。レール本体45Cは、各フランジの重畳部分に所定間隔で形成された貫通孔85を用いて締結部材86によって互いに締結される。走行レール45は、上フランジおよび下フランジにおける締結位置を変更することにより伸縮可能に構成される。こうした構造の走行レール45においては、プレーントロリ61が円滑に移動可能となるように下フランジの段差部分に傾斜部87が形成されることが好ましい。
【0072】
・また、
図9に示す伸縮構造においては、その伸縮構造部分における機械的強度の低下が懸念される。そのため、遮音パネルPの吊り上げにともなう荷重が大きく作用する部材については、上述した伸縮構造が複数箇所に設けられることが好ましい。例えば、走行レール45であれば、中央部分の両側に設けられることが好ましい。これにより、遮音パネルPの吊り上げにともなう荷重が分散されて伸縮構造に作用するため、当該荷重に対する走行レール45の機械的強度の低下を抑えることができる。
【0073】
・また、
図9に示す伸縮構造がビーム34に適用されることにより、各プレーントロリ56,61,62の移動範囲を狭めることなくビーム34を伸縮可能にすることができる。また、移動体10の左側へのビーム34の張り出しも可能となる。
【0074】
・ビーム34は、伸縮構造を有しておらず、その長さが固定されていてもよい。こうした構成において、枠体30およびビーム34は、ビーム34の長さが左右一対の走行レール45の最大離間距離よりも長く、かつ、枠体30の最小対角距離よりも短くなるように構成されることが好ましい。
【0075】
・
図10に示すように、枠体30は、下部フレーム体32など、上部フレーム体33以外の部分が移動体10の荷台13の大きさに応じて拡縮可能に構成され、その大きさに応じた上部フレーム体33が支柱31に取り付けられることにより、一対の走行レール45を支持する構成であってもよい。これにより、上部フレーム体33において、各走行レール45や中央上部フレーム48の各々を1つの部材で構成することができるとともに、レール接続部材51を各走行レール45に固定した状態で設けることができる。その結果、機械的な強度の高い上部フレーム体33で荷吊りユニット25を構成することができる。
【0076】
・吊り下げ機構55は、プレーントロリ61,62を用いた構成に限られない。吊り下げ機構55は、例えば、走行レール45やビーム34を走行可能なギヤトロリを用いた構成であってもよいし、走行レール45やビーム34に設けたガイド部材に沿ってスライド移動するスライダを用いた構成であってもよい。
【0077】
・支柱31は、伸縮可能に構成されていればよい。このため、支柱31は、2つの支柱部によって構成されるものに限らず、3以上の支柱部によって構成されてもよい。
・搬送対象は、遮音壁を構成する遮音パネルPに限らず、太陽光パネルといった他の構築物を構成するものであってもよい。
【0078】
・移動体10は、キャブオーバ型のトラックに限らず、荷吊りユニット25を搭載可能なものであれば、例えば、トラック以外の車両や船舶等の他の移動体であってもよい。
・伸縮機88は、連結フレーム36に限らず、枠体30の拡縮時に伸縮する他のフレームに設けられていてもよい。この場合、伸縮機88は、左右一対の走行レール45の対向方向に伸縮するフレームについては、これらが同期して伸縮するように駆動される。また、伸縮機88は、左右一対の走行レール45の延在方向に伸縮するフレームについては、これらが同期して伸縮するように駆動される。
【0079】
・荷吊りユニット25は、伸縮機88を有していなくともよい。
・下部フレーム体32は、移動体10の幅方向における両側に、前後一対の支柱31の下側支柱部31Aを連結するフレームを有していてもよい。
【0080】
例えば、
図11に示すように、荷吊りユニット25は、右側下部フレーム38に加えて、左側に位置する前後一対の支柱31の下側支柱部31Aを連結する左側下部フレーム39を有していてもよい。この場合、左側下部フレーム39は、左側後方に位置する支柱31に連結される第1左側下部フレーム39Aと、左側前方に位置する支柱31に連結される第2左側下部フレーム39Bと、によって構成される。第1左側下部フレーム39Aは、角形鋼管で構成される。第2左側下部フレーム39Bは、第1左側下部フレーム39Aに対して進退移動可能に第1左側下部フレーム39Aに内挿される。左側下部フレーム39は、所定の長さまで伸縮させた状態において、図示されない固定ピンなどによって第1左側下部フレーム39Aに対する第2左側下部フレーム39Bの進退移動が規制されるようになっている。
【0081】
第2左側下部フレーム39Bは、観音開きの要領で移動体10の側方へ開放可能に軸支された前側フレーム部39Baと後側フレーム部39Bbとを有する分割構造とされることが好ましい。前側フレーム部39Baおよび後側フレーム部39Bbを移動体10の側方へ向けて開放することで、例えば、フォークリフトで遮音パネルPを荷台13に積み込む際に、フォークリフトのフォーク部と左側下部フレーム39との干渉を防止できる。なお、こうした観音開きの機構は、下部フレーム37や右側下部フレーム38等の他のフレームに適用してもよい。
【0082】
・また、
図12に示すように、第2左側下部フレーム39BをH形鋼またはI形鋼で構成した場合、その第2左側下部フレーム39Bを利用して、ビーム34の転倒防止機構80を設けてもよい。転倒防止機構80は、シャックル81、チェーンブロック82、プレーントロリ83、ワイヤロープ84を有している。シャックル81は、ビーム支持部材34Bの下面に固定されている。チェーンブロック82は、シャックル81に吊り下げられている。プレーントロリ83は、左側下部フレーム39の第2左側下部フレーム39Bを走行可能に構成されている。ワイヤロープ84は、チェーンブロック82とプレーントロリ83とを連結している。
【0083】
転倒防止機構80においては、チェーンブロック82を巻き上げることで、左側下部フレーム39を支点として、プレーントロリ83、ワイヤロープ84、チェーンブロック82、および、シャックル81を介して、ビーム34に適宜張力が付与される。転倒防止機構80は、ビーム34の移動に追従してプレーントロリ83が第2左側下部フレーム39Bを走行するため、ビーム34に対して所望の張力が常に付与されるように構成されている。
【0084】
こうした転倒防止機構80を設けることにより、カウンタウェイト等を用いることなく、荷吊りユニット25の吊荷側への転倒を防止することができる。また、張力によってビーム34が水平状態に維持されるため、下側プレーントロリ62の各ローラ70が上側フランジ面から浮き上がることも確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0085】
P…遮音パネル、10…移動体、11…車体フレーム、12…キャブ、13…荷台、14…操舵輪、15…駆動輪、25…荷吊りユニット、30…枠体、31…支柱、31A…下側支柱部、31B…上側支柱部、32…下部フレーム体、33…上部フレーム体、34…ビーム、34A…ビーム本体、34B…ビーム支持部材、35…ジャッキ、36…連結フレーム、36A…第1連結フレーム、36B…第2連結フレーム、37…下部フレーム、37A…第1下部フレーム、37B…第2下部フレーム、38…右側下部フレーム、38A…第1右側下部フレーム、38B…第2右側下部フレーム、39…左側下部フレーム、39A…第1左側下部フレーム、39B…第2左側下部フレーム、39Ba…前側フレーム部、39Bb…後側フレーム部、40…足場プレート、41…ヒンジ、45…走行レール、45A…レール本体、45B…レール支持部材、45C…レール本体、48…中央上部フレーム、48A…第1中央上部フレーム、48B…第2中央上部フレーム、49…シャックル、51…レール接続部材、52…ターンバックル、55…吊り下げ機構、56…荷吊り用プレーントロリ、57…天秤フレーム、58…吊り具、61…上側プレーントロリ、62…下側プレーントロリ、63…プレート、64…連結軸、65…ローラ、68…プレート、69…連結軸、70…ローラ、71…接続部材、71A…上側接続部、71B…下側接続部、72…接続部材、72A…上側接続部、72B…下側接続部、74…ストッパ、80…転倒防止機構、81…シャックル、82…チェーンブロック、83…プレーントロリ、84…ワイヤロープ、85…貫通孔、86…締結部材、87…傾斜部、88…伸縮機、88A…ラックアンドピニオン機構、88B…アクチュエータ。