(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 3/52 20060101AFI20241112BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20241112BHJP
B65H 3/66 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B65H3/52 330D
B65H3/06 A
B65H3/66
(21)【出願番号】P 2020144181
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋人
(72)【発明者】
【氏名】小澤 政利
(72)【発明者】
【氏名】坂本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚人
(72)【発明者】
【氏名】畑川 和義
(72)【発明者】
【氏名】桧垣 明治
(72)【発明者】
【氏名】堀内 圭
(72)【発明者】
【氏名】西沢 聖児
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 裕
(72)【発明者】
【氏名】横山 尚己
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298616(JP,A)
【文献】特開2017-048013(JP,A)
【文献】特開2003-002474(JP,A)
【文献】特開2017-119554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを給紙する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに圧接してシートを1枚に分離するための分離ローラーと、
前記給紙ローラー側に配置された第1ガイド部材と前記分離ローラー側に配置された第2ガイド部材とで構成され、シートを案内する案内路と、を備えたシート給紙装置において、
前記給紙ローラーに対して前記分離ローラーを離間させる離間機構を設け、
前記離間機構は、
前記分離ローラーの周面の少なくとも一部が前記第2ガイド部材よりも前記案内路の内側に位置する第1の離間位置と、前記分離ローラーが前記案内路の外側に位置する第2の離間位置と、に前記分離ローラーを前記給紙ローラーに対して離間させるシート給紙装置。
【請求項2】
前記分離ローラーが取り付けられるシャフトと、前記分離ローラーを前記シャフトの一端側から引き抜き可能に前記シャフトを支持する支持部材と、を備える
請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記シャフトに取り付けられる第1ギアと、前記第1ギアと歯合し駆動力を伝達するする第2 ギアと、を備え、
前記離間機構は、前記第2ギアの回転軸の同軸上に設けられ、前記シャフトを回転自在に支持するアーム部材と、前記アーム部材を、前記回転軸を支点に回転させて、前記シャフトを前記給紙ローラーから離れる方向に移動させる移動手段と、を有する
請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
筐体と、前記給紙ローラーにて給紙されるシートを収納し、前記筐体から引き出し自在に設けられた収納庫と、を備え、
前記移動手段は、前記収納庫の引き出し動作に連動して移動するスライド部材を有し、前記スライド部材は、該スライド部材の移動に伴って前記アーム部材を回転させる規制部を有する
請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれかに記載のシート給装装置と、
前記シート給装装置から給送されるシートに画像を形成する画像形成装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給紙するシート給送装置に関し、より詳細には、シートを積載して昇降可能な収納庫を備えたシート給送装置に関するものである。更に本発明は、かかるシート給送装置を備えた画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンター等の画像形成装置には、画像形成部にシートを給送するシート給送装置が内蔵され又は外付けで装備されている。一般にシート給送装置は、例えば数千枚に及ぶ大容量のシートを収納可能な収納庫と、収納庫内でシートを積載する積載トレイと、積載トレイ上の最上位シートを給送する給紙機構を備えている。
【0003】
給紙機構としては、積載トレイ上のシートを繰出ローラーで繰り出すと、繰り出されたシートを給紙ローラーと分離ローラーとで1枚のシートに分離して、分離されたシートを画像形成装置に向けて搬送する搬送ローラー対と、を備える構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1のシート給送装置においては、給紙動作が停止してから所定時間したときや、収納庫を引き出す際には、離間レバーによって分離ローラーを給紙ローラーから離間させるように構成されている。これによって、収納庫を引き出す際に収納庫より繰り出されたシートを収納庫内に戻すことができる。
【0005】
また、シート給送装置にあっては、給紙ローラー及び分離ローラーが摩耗により摩擦係数が低下するため、50万枚の通紙、または1年を目安に分離ローラーを交換する必要がある。そこで、分離ローラーのシャフトを片持ち支持する構成とすることで、シャフトの自由端側から分離ローラーを引き抜いて容易に交換できるようにしたシート給送装置も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
さらには、給紙動作が停止後、すなわち給紙停止中には分離ローラーを給紙ローラーから離間させることで、実質、離間状態で分離ローラーの交換を可能にしたシート給送装置も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-124647号公報
【文献】特開2015-221707号公報
【文献】特開2017-137145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、シートを給紙する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに圧接してシートを1枚に分離するための分離ローラーと、前記給紙ローラー側に配置された第1ガイド部材と前記分離ローラー側に配置された第2ガイド部材とで構成され、シートを案内する案内路と、を備えたシート給紙装置において、前記給紙ローラーに対して前記分離ローラーを離間させる離間機構を設け、前記離間機構は、前記分離ローラーの周面の少なくとも一部が前記第2ガイド部材よりも前記案内路の内側に位置する第1の離間位置と、前記分離ローラーが前記案内路の外側に位置する第2の離間位置と、に前記分離ローラーを前記給紙ローラーに対して離間させる。
【0009】
上記点に鑑み、本発明は、分離ローラーの交換等の保守作業を効率的に行うことのできるシート給送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のシート給送装置は、シートを給紙する給紙ローラーと、前記給紙ローラーに圧接してシートを1枚に分離するための分離ローラーと、前記給紙ローラーに対して前記分離ローラーを所定距離離間させた第1の離間位置と該第1の離間位置よりも大きい距離を離間させた第2の離間位置に移動させる離間機構と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
離間機構によって、シートを収納庫内に戻すための第1位置と、分離ローラーに保守作業を行う第2位置とに分離ローラーを移動できるように構成したことで、シートの「戻し」と「交換」を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の好適な実施形態にかかるシート給送装置を備えた画像形成システムの全体構成図を示す。
【
図2】(a)図は、シート給送装置が画像形成装置から離間した状態を、(b)図はシート給送装置からシート収納部を引き出した状態をそれぞれ概略図で示す。
【
図3】シート給送装置の内部構成を正面側(
図1の手前側)から見た概略図を示す。
【
図5】給紙ローラーに対する分離ローラーの3通りの位置を(a)図,(b)図,(c)図でそれぞれ示す。
【
図6】繰出ローラーと給紙ローラーの配置構成をシートの給送方向からの正面図を示す。
【
図7】(a)は給紙可能状態における離間機構の状態を平面図で示し、(b)は
【
図9】収納庫が筐体に装着された給紙可能状態における離間機構の状態を斜視図で示す。
【
図10】収納庫を筐体から引き出したとき、離間機構が分離ローラーを第1の離間位置に移動させた状態を斜視図で示す。
【
図11】
図10の状態から手動で操作部を規制部に接触する位置まで移動させたとき、離間機構が分離ローラーを第2の離間位置に移動させた状態を斜視図で示す。
【
図12】繰出ローラーの3通りの揺動位置を(a)図,(b)図,(c)図でそれぞれ示す。
【
図13】(a)は繰出ローラーが
図12(c)に示す退避位置にあるときの給紙部の状態の説明図を示し、(b)及び(c)は、繰出ローラー51が垂下位置にあるときの給紙部の説明図を示す。
【
図14】(a)は
図13(b)の状態で、固定のガイド基材に対しガイド板をスライドさせた状態の説明図を示し、(b)は給紙ローラーがシャフトから引き抜かれる状態の説明図を示す。
【
図15】ガイドについて、(a)はガイド板が給紙ローラーに近接した近接位置にある状態の説明図を示し、(b)は給紙ローラーから離れた離間位置にある状態の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の画像形成システム100の全体構成を概略的に示している。画像形成システム100は、画像形成装置1と、シート給送装置2とを備える。シート給送装置2は、画像形成装置1の一方(
図1中、右側)の側面321aに連結されている。画像形成装置1には、原稿読取装置3と原稿給送装置4とシート集積装置5とが一体に装着されている。
【0015】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、所定枚数(例えば、100枚程度)のシートを収納可能な給紙カセット6(図示する実施形態では、2つの給紙カセット6a,6b)を内部に備えている。シート給送装置2は、給紙カセット6a,6bよりも多数枚のシートの積載に対応可能に比較的大容量に構成されている。
【0016】
画像形成装置1は、原稿読取装置3によって原稿シートから読み取られた画像データに基づいて、給紙カセット6a,6b又はシート給送装置2から供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートをシート集積装置5に集積、収納する。原稿読取装置3には、原稿給送装置4によって原稿シートを自動で給送することもできる。ここで、画像形成システム100において扱われるシートには、A4等の小サイズやB4、A3等の大サイズの普通紙の他、規格サイズ以外の長尺シート、OHPシート、トレーシングペーパー、コート紙などの特殊シートを含むものとする。
【0017】
画像形成装置2は、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ等であり、シートに画像を形成し得るものであれば、公知の様々な画像形成機構を採用することができ、例えば床面に設置される。図示される実施形態の画像形成装置2は、画像形成機構として静電式画像形成機構を採用しているが、これに限定されるものではなく、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構等を採用することも可能である。
【0018】
図1に示す画像形成装置2は、投光器(レーザーヘッド等)7と、感光ドラム8と、現像器9と、転写チャージャー10と、定着ローラー11とを備えている。各給紙カセット46a,46bに収納されているシートは、その最上面に接触している送出ローラー12によって送り出され、分離ローラー対13によって1枚ずつに分離され、搬送ローラー対14によって搬送路15を転写チャージャー10へと送られる。シート給送装置2から搬入されたシートは、同様に搬送ローラー対14によって搬送路15を転写チャージャー10へと送られる。
【0019】
給紙カセット6a,6b又はシート給送装置2から供給されたシートには、感光ドラム8の表面に投光器7で形成した静電潜像(静止画像)に現像器9で付着させたトナーが、転写チャージャー10によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラー11に送られて、シート上のトナーを加熱定着させた後、排紙ローラー対16によってシート集積装置5へ排出される。
【0020】
原稿読取装置3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン17と第2のプラテン18とが水平方向に並設されている。第1のプラテン17は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿を載置できるようなサイズに形成されている。第2のプラテン18は、原稿給送装置4から給送されて所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0021】
原稿読取装置3の内部には、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20と、集光レンズ21及び光電変換素子22を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20は、図示されないキャリッジモーターによって駆動されて、第1のプラテン17の下方を副走査方向に往復移動する。第1のプラテン17上に載置された原稿の読み取りを行うとき、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20を移動させながら、第1の読取キャリッジ19のランプから光を第1のプラテン17上の原稿の画像へ照射し、原稿からの反射光を、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20のミラーから集光レンズ21を介して光電変換素子22に案内し、電気信号に変換することによって画像データを生成させる。
【0022】
原稿給送装置4は、給紙トレイ23と、シート搬送機構24と、排紙トレイ25とを備える。給紙トレイ23上に載置された原稿は、シート搬送機構24によって1枚ずつ搬送され、第2のプラテン18上を通過し、排紙トレイ25に排出される。原稿給送装置4から給送されて第2のプラテン18上を通過する原稿を読み取るとき、第1の読取キャリッジ19及び第2の読取キャリッジ20は、第2のプラテン18の下方で予め停止させておき、第2のプラテン18上を通過する原稿から画像データを生成させる。
【0023】
[シート給送装置]
次に、
図1乃至
図3を参照して、シート給送装置2の構造を詳細に説明する。
【0024】
シート給送装置2は、装置全体を収容する筐体31内に、画像形成装置1に供給するシートを収納する収納庫32と、収納庫32内のシートを1枚ずつに分離して画像形成装置1に向けて供給する分離給紙機構33と、昇降機構34とを備える。
図2(a)に示すように、筐体31は、例えばシート給送装置2から画像形成装置1に供給されるシートのジャムを処理するために、その下部に収納されている着脱レール35に沿って、画像形成装置1の側面321aから離間させることができる。
【0025】
[エアー吹き付け機構]
シート給送装置2は、
図3中、奥側に配置された側端規制部材42の背後に、エアー吹き付け機構110を備える。エアー吹き付け機構110は、給紙方向に沿って画像形成装置1側の第1エアーブロワ101と、それより後端側の第2エアーブロワ102とから構成されている。第1エアーブロワ101及び第2エアーブロワ102は、それぞれ送風ファン103,104を有し、第1エアーブロワ101には、送風ファン103の上流側にヒーター105が設けられている。
【0026】
側端規制部材41、42は、分離給紙機構33による給紙位置よりも高く設けられ、その上端部には、それぞれ第1エアーブロワ101及び第2エアーブロワ102のエアー吹き出し口106,107が開設されている。エアー吹き出し口106,107は、その上端が給紙位置に位置する積載トレイ38の最上位のシートよりも幾分上方に位置するように、その下端が前記最上位のシートよりも下側の複数シートを含むような寸法及び形状に形成されている。これにより、第1エアーブロワ101及び第2エアーブロワ102を作動させて、エアー吹き出し口106,107から吹き出されるエアーによって、積載トレイ38の最上位のシートを画像形成装置1側に送り出す際に、該最上位のシートをそれより下側のシートからより容易に分離させることができる。
【0027】
[収納庫]
収納庫32は、例えばシートを補給するために、筐体31内に設けられた引き出し機構36によって、
図2(b)に示すように、シート給送装置2から画像形成装置1へシートを供給する給送方向と直交する正面方向(
図1中、手前側)に引き出し可能に支持されている。引き出し機構36は、例えば収納庫32の左右両外側面に取り付けられたスライドレール36aと、該スライドレールを摺動可能に支持するように、それぞれに隣接する筐体31内の左右側面に取り付けられたガイドレール36bとから構成される。
【0028】
シート給送装置2は、筐体31上面の正面側辺縁付近に開閉スイッチ37が設けられている。ユーザーが開閉スイッチ37を押すと、収納庫32が付勢部材(図示せず)によって開かれて、手前側に引き出し可能位置に押し出される。これにより、ユーザーは、収納庫32をガイドレール36bに沿って手で容易に、シートを補給可能な位置まで引き出すことができる。
【0029】
収納庫32は、上部に開口部を設けた概略箱型形状を有し、その内側には、積載トレイ38が、昇降機構34により上下方向に昇降可能に設けられている。積載トレイ38は、板状のプレート部材からなり、その実質的に平坦な上面に所定サイズのシートの全体を積載できるようになっている。収納庫32が上述したように筐体31から引き出された状態のとき、前記上部の開口部を通して積載トレイ38上にシートを装填、積載することができる。
【0030】
収納庫32内部の積載トレイ38を収容する空間(以下、「積載トレイ収容空間」と称する)には、積載トレイ38上のシートを幅方向(給紙方向に直交する方向)に両側から挟んで位置する左右の側端規制部材41,42と、積載トレイ38上のシートの後端(給紙方向に画像形成装置1から遠い側の端部)側に位置する後端規制部材43とが設けられている。積載トレイ38上のシートSは、幅方向の両側端の位置が側端規制部材41,42によって規制され、給紙方向の後端の位置が後端規制部材43によって規制されるようになっている。
【0031】
本実施形態では、側端規制部材41,42は、例えばラックとピニオンとによって互いに連動してシートの幅方向にスライド可能に収納庫32の底部に立設されている。後端規制部材43は、給紙方向にスライド可能に収納庫32の底部に立設されている。側端規制部材41,42及び後端規制部材43のいずれも、積載トレイ38と干渉しないように、該積載トレイに設けられた窓部(図示せず)を貫通して延びている。このような構成により、積載トレイ38上で積載されるシートのサイズに応じて、側端規制部材41,42及び/又は後端規制部材43を収納庫32の底部上で移動させて、その側端位置及び/又は後端位置を規制することができる。
【0032】
積載トレイ38は、昇降機構34によって収納庫32内で上下方向に昇降可能に支持されている。
図4に示すように、積載トレイ38は、それぞれ幅方向の両側辺の角部近傍の位置から幅方向外向きに突設された4つの支持部45を有する。昇降機構34は、積載トレイ38の各支持部46にそれぞれ一端を固定された吊下げ部材としての4本のワイヤー46と、対応する各ワイヤー46を巻き取る4つの巻取プーリー47と、各巻取プーリー47と対応する支持部45との間に延びるワイヤー46をそれぞれ巻き掛ける複数の中間プーリー48と、巻取プーリー47を回転駆動させる昇降モーターM1とによって構成されている。
【0033】
各巻取プーリー47は、収納庫32の給紙方向後端側の外側面に沿って延びる1本の駆動シャフト49上に固定されている。駆動シャフト49は、図示しない回転伝達機構を介して昇降モーターM1の駆動軸に回転駆動可能に連結されている。例えば、昇降モーターM1を正転駆動すると、駆動シャフト49を介して4つの巻取プーリー47が同時に回転してそれぞれワイヤー46を巻き取ることによって、積載トレイ38は、4つの支持部45が同時に引き上げられ、略水平状態を維持したまま上昇する。昇降モーターM1を逆転駆動すれば、4つの巻取プーリー47が上昇時とは反対方向に回転駆動されて、各ワイヤー46が繰り出されることによって、積載トレイ38は、自重によって略水平状態を維持したまま下降する。昇降機構34は、このように積載トレイ38を略水平状態を保ったまま昇降できるものであればよく、本実施形態のものに限定されない。
【0034】
分離給紙機構33は、積載トレイ38上に積載されたシートの最上面に接触してシートを取り出して給送方向に送り出す給紙手段である繰出ローラー51と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して画像形成装置1へ搬送する分離搬送手段とを含んでいる。前記分離搬送手段は、給紙ローラー52と、該給紙ローラーに圧接して2枚目以降のシートの供給を阻止する分離ローラー53とによって構成される。前記分離搬送手段の下流側には、シートを画像形成装置1の搬送路15内に送り出すための搬送ローラー対54が設けられている。
【0035】
繰出ローラー51は、給紙モーターM2によって回転駆動される。繰出ローラー51は、シートの上面に接触する作動位置とシートの上面から離れた待機位置との間で移動可能に構成されている。給紙ローラー52は、同様に給紙モーターM2によって、図示されていない複数のギアやタイミングベルトを介して駆動されて回転し、繰出ローラー51によって積載トレイ38上から送り出されたシートを画像形成装置1へ供給する。
【0036】
給紙ローラー52のシャフト周りにブラケット(図示せず)を回動自在に支持し、該ブラケットの先端に繰出ローラー51を回転可能に支持して、給紙モーターM2による給紙ローラー52のシャフトの回転が、複数のギアを介して伝達されて繰出ローラー51を回転駆動するように構成することができる。この場合、例えばソレノイドによって前記ブラケットを給紙ローラー52のシャフト周りに回動させて、繰出ローラー51を作動位置と待機位置との間で移動させることができる。
【0037】
分離ローラー53は、その回転軸にトルクリミッター(図示せず)が取り付けられている。これにより、給紙ローラー52と分離ローラー53との圧接部でシートが2枚以上重なってニップされたとき、分離ローラー53が停止して上から2枚目以降のシートの供給を阻止するようになっている。例えば複数のシートが重なって給紙ローラー52と分離ローラー53とのニップ部に進入すると、給紙ローラー52の駆動力が最上位のシートに伝達される一方、分離ローラー53の回転が停止されるので、最上位のシートとそれより下のシートとの間で滑りが生じ、最上位のシートだけがそれより下のシートから分離して送り出される。
【0038】
[分離給紙機構]
以下、分離給紙機構33の構成を具体的に説明する。
図6は、繰出ローラー51と給紙ローラー52の配置構成をシートの給送方向の正面から示している。給紙ローラー52は、シャフト60の一端側に取り付けられている。シャフト60は、収納庫32のリア側板61とフレーム63に取り付けられたブラケット62の2つで2ヵ所が支持されている。筐体31に配置される繰出ローラー51は、シャフト67の一端側に取り付けられている。シャフト67は、ガイド64の背面の2ヵ所に形成された支持部64a,64bに支持されている。繰出ローラー51、給紙ローラー52はいずれも片側で支持されている、いわゆる「片持ち支持機構」と言われる構成となっている。この「片持ち支持機構」によって、シャフトを取り外さずに、ローラーをシャフトに対して着脱でき、ローラーの交換作業が容易である。
【0039】
図7及び
図8は、分離ローラー53及び分離ローラー53を給紙ローラー52から離間させる離間機構70についての説明図である。
図8は、
図7の離間機構70で左右を逆にして、給紙ローラー52を省いた状態を示す斜視図である。
【0040】
これら図において、分離ローラー53は、シャフト50の一端側に取り付けられており、分離ローラー53も繰出ローラー51、給紙ローラー52と同様に「片持ち支持機構」となっている。シャフト50は、その他端を収納庫32のリア側板61とアーム部材55とで2箇所を回転自在に支持されている。アーム部材55は、シャフト56(回転軸)の一端側に取り付けられており、シャフト50を支持するとともにシャフト50を下方に移動させる。シャフト56は、リア側板61とブラケット57に回転自在に支持されており、アーム部材55に対してリア側板61側に駆動ギア78が設けられ、分離ローラー53のシャフト50の駆動ギア79と歯合している。すなわち、給紙モーターM2の駆動は、シャフト50、駆動ギア78と駆動ギア79を介してシャフト50に伝達され、分離ローラー53をシート給紙方向と逆方向に回転するようになっている。
【0041】
分離ローラー53は、
図5に示すように、給紙ローラー52との圧接を解除した程度の所定距離離れた第1の離間位置と、この所定距離より大きく離れた第2の離間位置に離間機構70によって移動するようになっている。第1の離間位置は、
図5(b)に示すように分離ローラー53の外周の一部が下ガイド68(第2ガイド)よりも搬送路内側に突出した位置であり、第2の離間位置は
図5(c)に示すように分離ローラー53の外周の下ガイド68の外側の搬送路外の位置である。下ガイド68の上側には、
図5では図示されていないが後述する
図13の説明で明らかとなるガイド69が上ガイド(第1ガイド)として位置しており、両方のガイド68,69の間にシートの案内路77が形成されている。
【0042】
離間機構70は、収納庫32の開閉に連動して、スライド移動するスライド部材71と、このスライド部材71のスライドに連動して回転し、アーム部材55をシャフト56を支軸として回転させる回転部材72と、から成る。この場合、スライド部材71の移動に伴って回転部材72が回動したとき、連動してアーム部材55が回転することで、アーム部材55に装着されている分離ローラー53が給紙ローラー52から離反するよう移動する。よって、この回転部材72は、アーム部材55を回転軸を支点に回転させて、シャフト56を給紙ローラー52から離れる方向に移動させる移動手段を構成している。
【0043】
スライド部材71は、回転部材72の回転を規制して、回転部材72を所定の状態に保持する規制部71aと、回動部材72に当接して回転させる規制部71bとが形成されている。回転部材72は、スライド部材71の規制部71aに当接する第1部分及びスライド部材71の規制部7bに当接する第2部分が形成された操作部72aと、アーム部材55の作動部55aに当接してアーム部材55を回転させるレバー部72bとが形成されている。
【0044】
尚、スライド部材71には、スライド部材71を図中奥側(リア側)に付勢するスライドバネ73が掛けられている。またアーム部材55には、このアーム部材55を図中反時計回り方向に付勢する圧接バネ74が設けられている。さらに、スライド部材71にはスライド方向にスリット75が形成されている。このスリット75には、スライド部材71をスライド自在に支持するとともに、スリット75の手前側(フロント側)端部に当接してスライド部材71の奥側(リア側)への移動を規制する支持具76が設けられている。
【0045】
[離間機構の作用]
上述した離間機構70による引き出し時の分離ローラー53の離間動作、及び分離ローラー53の交換等の保守作業時の分離ローラー53の離間について説明する。先ず、収納庫32を筐体31に装着した状態においては、
図9に示すように、スライド部材71の先端は収納庫32の背面板の内側面に当接してスライドバネ73の付勢力に抗して第1のスライド位置にある。スライド部材71は第1のスライド位置において、規制部71aが回転部材72の操作部72aに当接して回転部材72を第1の回転位置で動きを規制している。回転部材72は、
図7(a)に示すように、第1の回転位置においてレバー部72bはアーム部材55の作動部55aから離間した位置にあり、アーム部材55は圧接バネ74の反時計回り方向に付勢され、シャフト56を上方に押し上げている。よって、離間機構70は、分離ローラー53が給紙ローラー52に所定の圧接力で圧接させており、収納庫32からシートを給紙可能な状態としている。尚、
アーム部材55の反時計回り方向への回転は、 分離ローラー53が給紙ローラー52に圧接することで規制されている。因みに、分離ローラー53と給紙ローラー52の圧接力は圧接バネ74の弾性力で決まっている。つまり、離間機構70は、収納庫32の装着時において
分離ローラー53と給紙ローラー52を圧接させている。
【0046】
収納庫32を装着した状態から収納庫32のロックが解除されて、
図2(b)で示したように収納庫32が引き出されると、収納庫32が筐体31の背面板から離れる。これによって、スライド部材71にスライドバネ73の付勢力が作用する。このスライドバネ73の付勢力によってスライド部材71は収納庫32に対してリア側にスライド移動し、
図7(b)に示すように、スリット75のフロント側端部が支持具76に当接して第2のスライド位置で停止する。このスライド移動する過程で規制部71aは操作部72aの第1部分から外れて回転部材72の規制が解除される。その後にスライド部材71の規制部71bが回転部材71の操作部72aの第2部分に当接し、回転部材72を時計回り方向に回転させる。この回転によって、レバー部72bがアーム部55の作動部55aに当接して圧接バネ74の付勢力に抗してアーム部材55を時計方向に回転させる。これによって、シャフト56が下方に移動して分離ローラー53が給紙ローラー52から離間する。スライド部材71が停止した時点では、
図10に示すように回転部材72は第2の回転位置に移動し、アーム部材55は分離ローラー53が第1の離間位置に移動する。これにより、シートの先端が給紙ローラー52と分離ローラー53とのニップ部にある状態で収納庫32の引き出しても、分離ローラー53が給紙ローラー52から確実に離間しているため、シートを容易に収納庫内に戻すことができる。
【0047】
一方、収納庫32を引き出した状態から装着した状態に戻すときには、スライド部材71の先端が筐体31の背面板に当接して、スライドバネ73の付勢力に抗して第2のスライド位置から第1のスライド位置に移動する。この移動する過程で回転部材72の操作部72aが規制部71aに当接して回転部材72が回転する。この回転に伴ってアーム部材55の作動部55aが圧接バネ74の付勢よってレバー部72bの移動に追従し、アーム部材55が反時計回りに回転してシャフト56を上方に移動させる。これによって、分離ローラー53が給紙ローラー52に圧接する。なお、分離ローラー53と給紙ローラー52が圧接するとアーム部材55は停止するが、回転部材72はスライド部材71の移動によって若干移動して第1の回転位置で停止する。なお、第1の回転位置ではレバー部72bはアーム部材55の作動部55aから離間する。
【0048】
分離ローラー53の交換では、先ず、収納庫32を筐体31から引き出す、収納庫32を引き出すと上述した通り、スライド部材71は第2のスライド位置に移動し、回転部材72は第2の回転位置に移動する。これによって、
図10に示すようにアーム部材55がシャフト56を下方に移動して分離ローラー53が第1の離間位置に移動する。このとき、収納庫32が引き出された時点で、回転部材72の操作部72aは、
図10に示すように規制部71bに当接した状態となっている。そして、この操作部72aを手動で規制部71a側(リア側)に移動させる。なお、規制部材72aと当接部材72bとの間は一定距離離れていて、操作部72aが自由に移動できる空間72Sが形成されている。
【0049】
手動で操作部72aを規制部71aに接触する位置まで移動させると、回転部材72が時計回り方向の第3の回転位置に回転する。この第3の回転位置への回転によって、レバー部72bがアーム部材55の作動部55aを更に押し上げ、作動部55aを更に回転させる。これにより、
図11に示すようにシャフト56が更に下方に移動し、分離ローラー53が更に給紙ローラー52から離間した第2の離間位置に移動する。第2の離間位置に移動した分離ローラー53は、下ガイドの外側の位置に移動しており、この状態で下ガイドの外側から分離ローラー53を取り外し、新たな分離ローラー53の装着等の保守作業を行うことができる。
【0050】
尚、
図11に示すように回転部材72が時計回り方向の第3の回転位置に回転したとき、レバー部72bはアーム部材55の作動部55aの下方に潜り込むみ、作動部55aからすれば操作部72aの上に乗り上げることになる。これによって、押圧バネ74の付勢力によってレバー部72bは作動部55aに押圧され、回転部材72の回転が規制され、第3の回転位置で保持される。
【0051】
保守作業の終了で収納庫32を装着したとき、上述の装着時の離間機構70の動作と同様、分離ローラー53と給紙ローラー52が圧接する。なお、収納庫32を引き出すと、シート給送装置2の給紙方向下流の側部から離間機構70及び分離ローラー53にアクセスできるようになっており、手動による操作部72aの操作、及び分離ローラー53の保守作業は収納庫32の側部から行われる。
【0052】
以上詳述したように、離間機構70は、収納庫32を筐体31から引き出すのに応動してスライド部材71が移動し回転部材72を介してアーム部材55の回転軸であるシャフト56を回転させると、分離ローラー53が給紙ローラー52に対して第1位置に移動することで、ニップ部にあるシートを容易に収納庫32内に戻すことができる。加えて、更に手動で回転部材72を回転させてアーム部材55の回転軸であるシャフト56を回転させれば、シャフト50を給紙ローラー52から離れる方向に移動するため、分離ローラー53は給紙ローラー52に対して第1位置からより離れた第2位置に移動し、分離ローラー53への保守作業を容易にする。
【0053】
このように、本実施形態では、スライド部材71と回転部材72とは、アーム部材55を、回転軸を支点に回転させて、シャフト50を給紙ローラー52から離れる方向に移動させる移動手段を構成している。
【0054】
[繰出ローラー、給紙ローラーの交換]
本実施形態のシート給送装置2は、分離ローラー53の交換に加えて、繰出ローラー51及び給紙ローラー52についても交換可能であり、以下に説明する。
【0055】
繰出ローラー51は揺動して、
図12の(a)に示す垂下位置、(b)に示す給紙位置、(c)に示す退避位置の3通りの位置を移動する。シート給送装置2の給紙部は、
図13に示すように、繰出ローラー51が繰り出すシートを給紙ローラー52に案内するための下ガイド68と、下ガイド68に対向して設けられた上ガイド69(第1ガイド)とで構成されている。さらに、上ガイド69は、繰出ローラー51に対してリア側に設けられた前述のガイド64と、フロント側に設けられたガイド65とで構成されている。
図13(a)は、繰出ローラー51が
図12(c)に示す退避位置にあるときの給紙部の状態を示し、
図13(b),(c)は、繰出ローラー51が
図12(a)に示す垂下位置にあるときの給紙部を示している。
【0056】
ガイド64は、シートの上面をガイドするガイド面が形成されている。ガイド64は、繰出ローラー51、給紙ローラー52、複数の伝達ギアG、ローラーシャフト60,65が一体となったローラーユニット80を構成している。ローラーユニット80は、シートのセットの妨げにならないように、収納庫32が引き出されるときに給紙ローラー52のシャフト60を支点に退避位置に回動して起立状態となる。
【0057】
ガイド65は、表面にシートのガイド面を有する。そして、ガイド65は、
図15に示すように、給紙ローラー52に近接した近接位置と給紙ローラー52から離れた離間位置とにスライド移動するガイド板81と、このガイド板81をスライド可能に支持するガイド基材82とから構成される。
【0058】
ガイド基材82にはシートの幅方向にスリット89が形成されており、ガイド板81の背面にはスリット89に係合する係合片88が設けられている。そして、2つの係合片88をスリット89に係合させることで、ガイド板81がスリット89に沿ってスライド移動するように構成されている。また、ガイド基材82とガイド板81の間には、ガイド板81をリア側に付勢する弾性バネ83が設けられている。なお、係合片88は、T字状に形成されており、ガイド板81は、その背面と断面がT字状の係合片88によってガイド基材82に取り付けられている。
【0059】
ガイド板81の幅方向の側部にはガイド基材82に向かって突き出た突出部84が設けられ、ガイド基材82の幅方向の側部に設けられた凹部85に係合する。これによって、弾性バネ83によるガイド板81の繰出ローラー51側への移動が規制され、またシート搬送方向へのズレが抑えられる。
【0060】
ガイド基材82は、給紙方向下流側の繰出ローラー51側の部分93が切り欠かれた形状となっている。すなわち、ガイド基材82の上流側のバネ83が付いた一部が繰出ローラー51側に延設されている。ガイド基材82には、第1、第2の回動ピン86,87が設けられている(
図6参照)。第1の回動ピン86は、フロント側板90に穿設された係合孔に貫通し、また第2の回動ピン87は、シート給送装置2のステーに取り付けられたブラケット92の穿設された係合孔に貫通している。これによって、ガイド基材82は第1、第2の回動ピン86,87を軸に回動可能にシート給送装置2に取り付けられており、ガイド基材82及びガイド板81からなるガイド65は、シートをガイドするガイド位置と収納庫32の直上から退避して起立した起立位置に回動する可能となっている。なお、ガイド65の回動の上方への回動は、ガイド基材82がシート給送装置2のステーに当接することで規制される。ガイド65の回動の下方への回動は、ガイド板81のシート給紙方向下流の端部がシート給送装置2のステーの下端に当接することで規制される。
【0061】
また、ガイド65のガイド位置は、給紙ローラー52(ローラーユニット80)が給紙位置に移動した際にガイド64のガイド面とガイド板81のガイド面が略同一な位置となるようにしている。通常において給紙ローラー52は、給紙位置よりも低い
図12(a)に示す垂下位置にある。そして、リフタの上昇によって最上シートが当接し、給紙ローラー52が押し上げられ、給紙ローラー52が給紙位置に到達したことが検出されるとリフタが停止する。その後、給紙が指示されたときシートが給紙される。
【0062】
したがって、ガイド65の下方への回動が規制される位置は、給紙ローラー52のシャフトの自由端部に当接しない位置となっており、ローラーユニット80の回動の途中でシャフトの自由端部がガイド65と当接してガイド65を回動させる。
【0063】
上述した構成によって、繰出ローラー51、給紙ローラー52の交換は以下のように行われる。先ず、収納庫32の引出ボタンを押すと、昇降モーターM1を逆転させリフタを下降させる。これと同時に給紙モーターM1が逆転する。これによって、ローラーユニット80が給紙ローラー52のシャフト60を支点に上方に回動してローラーユニット80が
図12(c)に示す退避位置に回動する。これによって、繰出ローラー51は給紙ローラー52の直上の位置に移動し、ガイド64は起立した状態となり、収納庫32内にあった繰出ローラー51とガイド64が収納庫32内から退避する。
【0064】
ここで、ローラーユニット80の回動によって繰出ローラー51のシャフト67の自重端部65aは、ガイド基材82の当接部に下方から当接する。そして、ガイド基材82の当接部(7f)を押し上げつつ移動する。これによって、ガイド65は第1、第2の回動ピン86,87を支点に回動し、ガイド位置から起立位置に移動する。
【0065】
ローラーユニット80及びガイド65が退避位置、起立位置にそれぞれ移動すると、収納庫32のクローズ状態に保持するロックが解除され、引き出し可能状態となる。そして、サービスマン等にて収納庫32及びシート給送装置2を引き出し、ローラーの交換作業が行われる。
【0066】
[繰出ローラーの交換]
先ず、繰出ローラー51、給紙ローラー52を交換するために収納庫32を引き出す。収納庫32を引き出したとき、シート給送装置2のローラーユニット80は、
図12(c)と
図13(a)に示すように退避位置に移動している。よって、ガイド65も起立位置に移動した状態となっている。そして、繰出ローラー51の交換においては、退避位置にあるローラーユニット80を
図12(a)と
図13(b)に示すように、給紙位置よりも低い最下位位置(垂下位置)まで手動で移動させて、繰出ローラー51の引き抜きスペースを確保する。引き抜きスペースを確保した上で、繰出ローラー51をシャフト67に沿って手動で移動させ、
図13(c)に示すように、繰出ローラー51をシャフト67から引き抜く。そして、繰出ローラー51を取り外した後に新たな繰出ローラー51を引き抜きスペースからシャフト67に差し込んで取り付ける。つまり、ローラーユニット80が最下位位置にあり、ガイド65は起立位置にあるときに繰出ローラー51を交換する。
【0067】
本実施の形態では、ローラーユニット80のみでガイド65を起立位置で保持しているため、ローラーユニット80を最下位位置に移動させる際にガイド65を手動で保持する。また、ガイド65がガイド位置まで移動してしまったときは、作業者が手動でガイド65を起立位置に移動させ、保持するようにする。このように、ローラーユニット80とガイド65を個別に回動可能にすることで、繰出ローラー51の着脱方向(引抜方向)に重ならない位置に繰出ローラー51またはガイド65を簡単に移動させることができ、繰出ローラー51の引き抜きスペースが確保できるためローラーの交換が容易となる。また、シート給送装置2を引き出した状態でローラーの交換を行うため広い交換スペースが確保でき、更に交換が容易となる。
【0068】
[給紙ローラーの交換]
次に、給紙ローラー52の交換について説明すると、上述した通り、収納庫32を引き出したとき、シート給送装置2のローラーユニット80は退避位置に移動され、ガイド65は起立位置に移動した状態となっている(
図13(a))。退避位置にあるローラーユニット80を給紙位置よりも低い最下位位置(垂下位置)に手動で移動させ、ガイド65を起立状態(起立位置)にする(
図13(b))。この状態で、ガイド板81を手動でフロント側(給紙ローラー52の引き抜き方向)にスライド移動させ、
図14(a)に示すように、給紙ローラー52の引き抜きスペースを確保する。引き抜きスペースを確保したうえで、給紙ローラー52をシャフト60に沿って手動で移動させ、
図14(b)に示すように、給紙ローラー52をシャフト60から引き抜く。そして、給紙ローラー52を取り外した後に新たな給紙ローラー52を引き抜きスペースからシャフト60に差し込んで取り付ける。なお、ガイド板81は手動による保持がなくなる(手を放す)と、弾性バネ83の作用によって自動で給紙ローラー52の隣接位置にスライド移動する。
【0069】
このように、ガイド板81をスライド移動可能に構成し、弾性バネ83の付勢力に抗してスライド移動させることで、給紙ローラー52の着脱スペースが確保でき、ローラーの交換が容易となる。また、ローラーの交換が終了して作業者がガイド板81の保持を止めると弾性バネ83の付勢力にて自動で戻るため、戻し忘れが防止できる。
【0070】
以上、添付図面の実施形態を参照して、本発明によるシート給送装置及びこれを備える画像形成システムについて説明したが、本発明は、図示される実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成装置
2 シート給送装置
31 筐体
32 収納庫
34 昇降機構
52 給紙ローラー
53 分離ローラー
55 アーム部材
56 回転軸
68 下ガイド(第2ガイド)
69 上ガイド(第1ガイド)
70 離間機構
71 スライド部材(移動手段)
71a 規制部
72 回転部材(移動手段)
77 案内路
78 第2ギア
79 第1ギア