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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】雨樋システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20241112BHJP
   E04D 13/068 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
E04D13/08 B
E04D13/068 503A
E04D13/068 504A
E04D13/08 301P
E04D13/068 503C
E04D13/068 503Z
E04D13/08 301L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020187714
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077075
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】元 隆明
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3065139(JP,U)
【文献】特開2019-120068(JP,A)
【文献】特開2007-218020(JP,A)
【文献】特開2000-045467(JP,A)
【文献】特開2019-138090(JP,A)
【文献】特開2006-183321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/08
E04D 13/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒樋と、
竪樋と、
前記軒樋と前記竪樋との間に接続されるか、前記竪樋に設けられた複数の継手と、
サイフォン現象を発生させるためのサイフォン発生部と、
を備える雨樋システムであって、
前記複数の継手のうちの少なくとも1つは、
掃除口が形成された継手本体と、
前記掃除口に着脱可能に取付けられた蓋体と、
を有
前記継手本体は、
前記軒樋、前記サイフォン発生部、及び前記竪樋の少なくとも1つに、少なくとも一方の端部が接続された連結管と、
前記連結管から外側に向かって突出した延長管と、
を有し、
前記掃除口は前記延長管に形成される、
雨樋システム。
【請求項2】
前記継手本体の開口面積は30cm以上である、請求項1に記載の雨樋システム。
【請求項3】
前記継手本体は湾曲している、請求項1又は2に記載の雨樋システム。
【請求項4】
前記継手本体は屈曲している、請求項1又は2に記載の雨樋システム。
【請求項5】
前記蓋体は、
前記掃除口に挿入された挿入部と、
前記挿入部の一端部に設けられ、前記掃除口に着脱可能に取付けられたフランジ部と、
を有し
前記挿入部は、前記延長管の内部空間の少なくとも一部を塞ぎ、前記連結管の内部空間を塞がない、請求項1から4のいずれか一項に記載の雨樋システム。
【請求項6】
前記軒樋に前記複数の継手のうちの1つを介して第1端部が接続され、前記竪樋に前記複数の継手のうちの他の1つを介して第2端部が接続された呼び樋を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の雨樋システム。
【請求項7】
前記蓋体は、挿入部と、フランジ部と、を有し、
前記挿入部は、前記掃除口から前記延長管内に挿入され、
前記フランジ部は、前記挿入部よりも、前記挿入部の径方向外側に向かって突出しており、
前記フランジ部の外径は、前記延長管の外径以上である、請求項1に記載の雨樋システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨樋システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軒樋と、一対のエルボと、呼び樋と、竪樋と、を備える雨樋システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。軒樋の底部には、集水口が形成されている。集水口には、雨樋システムにサイフォン現象を発生させるためのサイフォン発生部が設けられている。サイフォン発生部は、集水口の上方に配置される網と、網に接続された複数の縦リブと、を備えている。
サイフォン発生部では、ベンチュリ効果と類似した効果が発揮され、満流状態が発生し易くなる。このため、サイフォン現象が良好に発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-120068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の雨樋システムでは、落ち葉等のゴミが、複数の縦リブの間等を通して、雨樋システムにおける軒樋よりも下流側の内部に入り込むことがある。この場合、集水口の上方は網及び複数の縦リブで覆われているため、集水口の上方から、雨樋システムの内部に入り込んだゴミが掃除し難くなる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、軒樋よりも下流側の内部に詰まったゴミを容易に掃除できる雨樋システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の雨樋システムは、軒樋と、竪樋と、前記軒樋と前記竪樋との間に接続されるか、前記竪樋に設けられた複数の継手と、サイフォン現象を発生させるためのサイフォン発生部と、を備える雨樋システムであって、前記複数の継手のうちの少なくとも1つは、掃除口が形成された継手本体と、前記掃除口に着脱可能に取付けられた蓋体と、を有することを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、雨樋システムがサイフォン発生部を備えるため、雨樋システムにサイフォン現象が発生し、軒樋、複数の継手、及び竪樋に多量の雨水を流すことができる。また、複数の継手の少なくとも1つは、継手本体及び蓋体を備える。このため、例えば、継手本体の掃除口から蓋体を取り外す。この状態で、掃除口を通して継手本体内に掃除用具等を入れ、軒樋よりも下流側の継手本体及び竪樋等の内部に詰まったゴミを容易に掃除することができる。
【0008】
また、前記雨樋システムにおいて、前記継手本体の開口面積は30cm以上であってもよい。
ここで言う開口面積は、継手本体の軸に直交する平面による、継手本体の内部空間の断面積を意味する。
この発明によれば、継手本体が比較的大きな開口面積を有するため、例えば、雨樋システムが、大きな屋根面積を有する非住宅建築物に用いられても、継手本体の第1端部から継手本体内に流入した雨水が、継手本体内で滞ることなく、継手本体の第2端部から流出することができる。
【0009】
また、前記雨樋システムにおいて、前記継手本体は湾曲していてもよい。
この発明によれば、雨樋システムの流路を、湾曲した継手本体により接続することができる。
【0010】
また、前記雨樋システムにおいて、継手本体は屈曲していてもよい。
この発明によれば、雨樋システムの流路を、屈曲した継手本体により接続することができる。
【0011】
また、前記雨樋システムにおいて、前記蓋体は、前記掃除口に挿入された挿入部と、前記挿入部の一端部に設けられ、前記掃除口に着脱可能に取付けられたフランジ部と、を有し、前記継手本体は、前記軒樋、前記サイフォン発生部、及び前記竪樋の少なくとも1つに、少なくとも一方の端部が接続された連結管と、前記連結管から外側に向かって突出した延長管と、を有し、前記掃除口は、前記延長管に形成され、前記挿入部は、前記延長管の内部空間の少なくとも一部を塞ぎ、前記連結管の内部空間を塞がなくてもよい。
この発明によれば、掃除口に挿入部を挿入し、掃除口にフランジ部を取付けたときに、挿入部は連結管の内部空間を塞がない。このため、連結管の第1端部から連結管内に流入した雨水の流れが、挿入部により妨げられるのを抑制することができる。また、挿入部は延長管の内部空間の少なくとも一部を塞ぐため、雨水が連結管の内部空間以外の所を流れ、その部分で雨水が渦を巻いたり、雨水に乱流が生じたりして、雨水のサイフォン現象に支障となるのを抑制することができる。
一方で、延長管の掃除口から蓋体を取り外すと、掃除口を通して継手本体内等を掃除用具等により、掃除することができる。
【0012】
また、前記雨樋システムにおいて、前記軒樋に前記複数の継手のうちの1つを介して第1端部が接続され、前記竪樋に前記複数の継手のうちの他の1つを介して第2端部が接続された呼び樋を備えてもよい。
この発明によれば、複数の継手のうちの1つと他の1つと間を呼び樋により接続することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の雨樋システムによれば、軒樋よりも下流側の内部に詰まったゴミを容易に掃除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図2】同雨樋システムのサイフォン発生部における一部を破断した斜視図である。
図3】同雨樋システムの第1継手において、継手本体に蓋体を取付けたときの断面図である。
図4】同雨樋システムの第1継手において、継手本体から蓋体を取外したときの断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の第1変形例における第1継手の断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の第1変形例における雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図7】本発明の第1実施形態の第2変形例における雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図8】本発明の第1実施形態の第3変形例における雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図9】本発明の第2実施形態の雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図10】同雨樋システムにおける第1継手の断面図である。
図11】本発明の第2実施形態の第1変形例における雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図12】本発明の第2実施形態の第2変形例における雨樋システムの一部を破断した正面図である。
図13】本発明の第3実施形態の雨樋システムの斜視図である。
図14】同雨樋システムの一部を破断して、一部を簡略化して示す正面図である。
図15】本発明の第3実施形態の第1変形例における雨樋システムの一部を破断して、一部を簡略化して示す正面図である。
図16】本発明の第4実施形態の雨樋システムにおける要部の斜視図である。
図17】同雨樋システムにおける継手を分解した断面図である。
図18】同雨樋システムの蓋体の斜視図である。
図19】本発明の実施形態の変形例におけるサイフォン発生部の一部を破断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る雨樋システムの第1実施形態を、図1から図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の雨樋システム1は、建築物200に用いられる。雨樋システム1は、軒樋10と、サイフォン発生部15と、第1継手(継手)30と、呼び樋50と、第2継手(継手)55と、竪樋60と、を備えている。
【0016】
軒樋10は、建築物200の屋根201の軒先に、略水平になるように固定されている。建築物200は、例えば、工場や駅舎等の大きな屋根面積を有する非住宅建築物である。
軒樋10は、上方に向けて開口し、D1方向に延在する。軒樋10は、D1方向に直交する断面視において、底部10bと、底部10bの幅方向(図1のD2方向)の両側から上方に立ち上がる側壁10s,10sとを有する。D1方向及びD2方向は、それぞれ水平面に沿う方向である。
軒樋10は、建築物200の大面積の屋根201から流れ込む雨水を排水するのに十分な流量を確保できることが好ましい。このため、底部10bの幅(D2方向の長さ)は、少なくとも100mm以上が好ましい。底部10bの幅は、120mm以上がより好ましく、150mm以上がさらに好ましい。底部10bの幅の上限は特に限定されないが、底部10bの幅は300mm以下が好ましい。
【0017】
底部10bのD1方向(長手方向)の所定の位置には、底部10bを貫通する集水口12が形成されている。D1方向において、底部10bの上面(即ち、軒樋10において内側の面)は、集水口12に向かってわずかに下降する。なお、底部10bの下面は略水平に形成され、且つ底部10bの上面のみが集水口12に向かって下降してもよい。底部10bの厚みはほぼ一定であり、且つ底部10bそのものが集水口12に向かって下降してもよい。
軒樋10は、公知の吊り具201aにより、屋根201の先端部に固定されている。
【0018】
集水口12には、雨樋システム1(軒樋10、継手30,55、呼び樋50、及び竪樋60)にサイフォン現象を発生させるための、ドレン部材であるサイフォン発生部15が設けられる。
図2に示すように、サイフォン発生部15は、発生部本体13と、下筒14と、を有する。
発生部本体13は、板状に形成された蓋部材16と、落し口部21を有して第1継手30に接続される装着筒17と、蓋部材16と装着筒17とを接続し、上面視で落し口部21に重ならない位置で周方向に間隔をあけて配置された複数の縦リブ18と、を備えている。
本実施形態において、発生部本体13は硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂の射出成型品である。なお、発生部本体13は、合成樹脂に限るものではなく、鋳型を用いた鋳鉄製であっても良い。
【0019】
ここで本実施形態では、蓋部材16は円盤状に形成され、装着筒17は筒状に形成されていて、これらの各中心軸は共通軸上に配置され、鉛直方向に一致している。以下、この共通軸をドレン軸O1という。ドレン軸O1方向に沿う発生部本体13の装着筒17側を下方といい、蓋部材16側を上方という。そして、発生部本体13をドレン軸O1方向から見た平面視において、ドレン軸O1に直交する方向を径方向といい、ドレン軸O1回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
装着筒17は、落し口部21を形成する筒部17Aと、筒部17Aの上端から径方向の外側に延びる板状の鍔部17Bと、を有している。ここで、落し口部21の開口外径R1は、筒部17Aの内径に相当する。落し口部21の開口面積A1は、筒部17Aの内径(落し口部21の開口外径R1)を直径とした面積に相当する。本実施形態においては、開口面積A1は、20cm以上300cm以下とされる。開口面積A1は、30cm以上190cm以下が好ましく、40cm以上100cm以下がより好ましい。
なお、本実施形態では、発生部本体13の中心軸に相当するドレン軸O1にが鉛直方向に一致している。
【0021】
筒部17Aの外周面には、雄ネジ部17eが形成されている。雄ネジ部17eは、周方向の全周にわたって連続して設けられている。
装着筒17において、落し口部21に相当する筒部17Aと、鍔部17Bとが連設される内面側の接続部分17aは、テーパー面、或いは曲面に形成されたベルマウス形状をなしている。この内面側の接続部分17aが曲面である場合、ドレン軸O1と平行な方向の断面の曲率半径は5mm~20mmであることが好ましい。
筒部17Aは、軒樋10の集水口12に上方から貫通され、第1継手30に接続された状態で配置される。
【0022】
鍔部17Bには、外周側の下面に全周にわたって薄肉に切り欠かれた段差部17bが形成されている。この段差部17bが、軒樋10の底部10b上に係止される。本実施形態では、鍔部17Bと蓋部材16の外径寸法が略同径となっている。
そして、蓋部材16の外周縁16aと鍔部17Bの外周縁17cとの間に形成される部分が、軒樋10に溜まった雨水が落し口部21の開口に流入する流入開口15Aとなる。
【0023】
複数の縦リブ18は、装着筒17の鍔部17Bの上面17dと、蓋部材16の下面16cの外周部とを連結している。すなわち、蓋部材16は、複数の縦リブ18,18,…によって下方から支持され、軒樋10の底部10bから所定高さHを確保した位置で保持されている。これら縦リブ18は、流入開口15Aに設けられ、平面視で径方向に対して交差し、かつ湾曲して形成されている。つまり縦リブ18は、流入開口15Aから落し口部21に流入される雨水を整流する機能を有している。
【0024】
蓋部材16は、上述したように複数の縦リブ18,18,…に下方から支持された状態で装着筒17に支持されている。蓋部材16は、上述したように軒樋10の内側に配置されている。蓋部材16は、落し口部21から上方に離間した位置に設置されるとともに、蓋部材16の下方となる軒樋10の底部10bに落し口部21へ雨水を流入させる流入開口15Aを形成している。
【0025】
また、蓋部材16には、上面16bから上方に突出し、周方向に間隔をあけて配置される把持リブ23が設けられている。この把持リブ23を掴むことで、サイフォン発生部15を締め込む際の回転操作を容易に行うことができる。把持リブ23は、周方向に延びるリブ本体23Aと、リブ本体23Aの両端から外周側に向けて突出する延出部23Bと、からなる。周方向に隣り合う把持リブ23,23同士の間には、例えばサイフォン発生部15を第1継手30に接続するときに、例えば棒状部材を係合させて、その棒状部材を回転させることで、締め込むことができる。
【0026】
また、蓋部材16には、下面16cの平面視中央部においてドレン軸O1に向かうに従い漸次下方に延びる曲線を有する複数の誘導ガイド24がドレン軸O1から径方向に向けて放射状に延びて設けられている。誘導ガイド24は、軒樋10内の雨水を流入開口15Aから落し口(落し口部21の開口)へ誘導するためのものである。
【0027】
下筒14は、外側筒部26と、固着部27と、を有する。
外側筒部26は、円筒状をなし、軒樋10の底部10bよりも下方に、ドレン軸O1と同軸に配置されている。外側筒部26は、大径部26Aと、小径部26Bと、を備えている。
大径部26Aは、外側筒部26の上端部を形成する。大径部26Aの上端部は、下方から上方に向かうに従い、徐々に拡径している。図示の例では、大径部26Aの上端部は、曲面状に形成されたベルマウス形状をなしている。
小径部26Bは、大径部26Aよりも小径である。小径部26Bの内周面には、雌ネジ部26Cが形成されている。雌ネジ部26Cは、周方向の全周にわたって間欠的に設けられている。小径部26Bは、大径部26Aの下端部に連結されている。大径部26Aのドレン軸O1方向の長さは、小径部26Bのドレン軸O1方向の長さよりも短い。
【0028】
固着部27は、外側筒部26(大径部26A)の上端部から径方向の外側に向かって延びる。
下筒14は、発生部本体13と同様に形成されている。
下筒14の外側筒部26内には、発生部本体13の筒部17Aが配置されている。外側筒部26の雌ネジ部26Cと、筒部17Aの雄ネジ部17eとが、嵌め合っている。下筒14の固着部27と発生部本体13の鍔部17Bとで、軒樋10の底部10bをドレン軸O1方向に挟み込んでいる。このとき、固着部27は、底部10bの下面に接着剤等により固着される。
【0029】
図3に示すように、第1継手30は、いわゆる90°エルボに掃除口が形成された継手(以下では、掃除口付き継手とも言う)である。なお、図3は、第1継手30の後述する曲管部35の軸線を含む平面(以下、基準平面という)による断面図である。
第1継手30は、継手本体31と、蓋体32と、を備えている。
継手本体31は、曲管部(連結管)35と、延長管36と、第1接続部(接続部)37と、第2接続部(接続部)38と、を備えている。
曲管部35は、中心角が約90°となるように湾曲した管状に形成されている。すなわち、曲管部35(継手本体31)は、湾曲している。曲管部35の内径は、曲管部35の軸線方向の位置によらず一定であることが好ましい。曲管部35の内径は、77.55mmを一例として適宜設定される。
【0030】
第1接続部37及び第2接続部38は、受け口であり、それぞれ円筒状に形成されている。第1接続部37は、曲管部35の第1端部に固定されている。第1接続部37の内径は、曲管部35の内径よりも大きい。第2接続部38は、曲管部35における第1端部とは反対の第2端部に固定されている。第2接続部38の内径は、第1接続部37の内径に等しい。第1接続部37と第2接続部38とでは、90°向きを変えられている。接続部37,38の内径は、88.65mmを一例として、52mm以上155mm以下が好ましい。接続部37,38の内径は、75mm以上110mm以下がより好ましい。
【0031】
延長管36は、直管状に形成されている。延長管36は、図3に示す断面上において、曲管部35から、曲管部35の外側に向かって突出している。より詳しく説明すると、延長管36は、曲管部35の第2端部から、曲管部35の第2端部における接線方向に沿って、第2接続部38とは反対側に向かって延びている。本実施形態では、延長管36が延びる先端部に、掃除口36aが形成されている。すなわち、掃除口36aは、継手本体31に形成されている。
延長管36には、溝等の第1係合部が形成されていることが好ましい。
延長管36の内部空間は、曲管部35の内部空間に連なっている。
【0032】
以上のように構成された継手本体31の開口面積は、30cm以上である。ここで言う開口面積は、継手本体31の軸に直交する平面による、継手本体31の内部空間の断面積を意味する。
【0033】
蓋体32は、挿入部41と、フランジ部42と、第2係合部(不図示)と、を備えている。
挿入部41は、周壁部45及び底壁部46を有する、有底筒状に形成されている。周壁部45は、円筒状に形成されている。底壁部46は、円板状に形成され、周壁部45の第1端部に形成された開口を覆っている。挿入部41は、掃除口36aから延長管36内に挿入されている。
フランジ部42は、円板状に形成され、挿入部41の周壁部45の第2端部(挿入部41の一端部)に固定されている。フランジ部42は、挿入部41よりも、挿入部41の径方向外側に向かって突出している。フランジ部42の外径は、延長管36の外径以上である。フランジ部42は、掃除口36aに着脱可能に取付けられている。
【0034】
例えば、第2係合部は、フランジ部42に設けられた、揺動可能なレバーである。第2係合部を揺動させることにより、第2係合部が延長管36の第1係合部に係合する係合状態と、前記係合が解除された非係合状態と、の間で切り替えることができる。
このように、蓋体32は、掃除口36aに着脱可能に取付けられている。
第2係合部を非係合状態に切り替えると、図4に示すように、掃除口36aから蓋体32を取り外すことができる。
なお、第2係合部はレバーに限定されない。
【0035】
図3に示すように、本実施形態では、フランジ部42に摘み47が固定されている。摘み47は、フランジ部42から第1継手30の外側に向かって突出している。摘み47は、蓋体32を操作するための部材である。
図2に示すように、第1継手30の第1接続部37内に、サイフォン発生部15の下筒14の小径部26Bが配置されていることで、サイフォン発生部15と第1継手30とが接続されている。第1継手30の曲管部35の第1端部は、第1接続部37を介して、サイフォン発生部15に接続されている。
【0036】
図1に示すように、呼び樋50は、直管状に形成され、水平面に沿って延びている。呼び樋50は、水勾配を有するように配置されていることが好ましい。呼び樋50は、建築物200の軒天井202の下方に配置されている。
第1継手30の第2接続部38内に呼び樋50の第1端部が配置されていることで、第1継手30と呼び樋50とが接続されている。呼び樋50の第1端部は、軒樋10に、サイフォン発生部15及び第1継手30を介して接続されている。この場合、第1継手30の延長管36は水平面に沿って延びている。蓋体32は、建築物200の後述する外壁203とは反対側に向いている。
呼び樋50の全長(呼び樋50全体の長さ)F1は、0mより大きく、2.0m以下である。呼び樋50の全長F1は、0.6m以上1.5m以下が好ましく、0.6m以上1.0m以下がより好ましい。全長F1が前述の範囲内であることによって、第1継手30から流下した雨水が満水状態で円滑に流下する。
【0037】
本実施形態では、第2継手55は、いわゆる90°エルボである。第2継手55は、曲管部56と、曲管部56の両端部に設けられた第1接続部57及び第2接続部58と、を備えている。
第2継手55の第1接続部57内に呼び樋50の第1端部とは反対の第2端部が配置されていることで、呼び樋50と第2継手55とが接続されている。
本実施形態では、継手30,55の一方である第1継手30が、継手本体31及び蓋体32を備える掃除口付きエルボである。
【0038】
竪樋60は、直管状に形成され、D3方向(鉛直方向)に沿って延びている。竪樋60は、建築物200の外壁203に沿って配置されている。
第2継手55の第2接続部58内に竪樋60の上端部が配置されていることで、第2継手55と竪樋60とが接続されている。
前記呼び樋50の第2端部は、第2継手55を介して竪樋60に接続されている。
【0039】
竪樋60の下端部は、地面Gに接続され、地中に埋設された公知の集水マス(排水機構)206に接続される。集水マス206は、連結管207を介して、下水管208等の排水構造に接続される。
集水マス206は、竪樋60より大きな幅を有する。竪樋60の全長F2は、2.0m以上である。竪樋60の全長F2は、3.0m以上が好ましく、4.0m以上がより好ましい。全長F2が前述の範囲内であることによって、竪樋60におけるサイフォン現象が良好に発生及び維持される。
継手30,55は、軒樋10と竪樋60との間に接続されている。
【0040】
軒樋10,継手30,55、呼び樋50および竪樋60をはじめとする雨樋システム1の各構成要素は、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で形成され、特に硬質塩化ビニル樹脂で形成されていることが好ましい。また、これらの合成樹脂で形成された継手や樋をモルタルで被覆して、耐火性を付与してもよい。
【0041】
以上説明した雨樋システム1では、建築物200の屋根201に降った雨水は、軒樋10に流れ込む。雨樋システム1がサイフォン発生部15を備えるため、雨樋システム1にサイフォン現象が発生し、軒樋10、継手30,55、及び竪樋60に多量の雨水を流すことができる。また、継手30,55の1つである第1継手30は、継手本体31及び蓋体32を備える。このため、例えば、継手本体31の掃除口36aから蓋体32を取り外す。この状態で、掃除口36aを通して継手本体31内に掃除用具等を入れ、軒樋10よりも下流側の継手本体31及び竪樋60等の内部に詰まったゴミを容易に掃除することができる。
この実施形態では、特に呼び樋50及び第2継手55の内部が掃除しやすくなる。蓋体32が建築物200から離間しているため、継手本体31から蓋体32を容易に取り外すことができる。
【0042】
継手本体31の開口面積は、30cm以上である。継手本体31が比較的大きな開口面積を有するため、例えば、雨樋システム1が、大きな屋根面積を有する非住宅建築物に用いられても、継手本体31の第1端部から継手本体31内に流入した雨水が、継手本体31内で滞ることなく、継手本体31の第2端部から流出することができる。
継手本体31は、湾曲している。このため、雨樋システム1の流路を、湾曲した継手本体31により接続することができる。
【0043】
雨樋システム1が、呼び樋50を備えている。これにより、継手30,55の間を呼び樋50により接続することができる。
【0044】
本実施形態の第1継手30及び雨樋システム1は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図5に示す第1変形例の第1継手65のように、第1実施形態の第1継手30において、蓋体32に代えて、蓋体66を備えてもよい。蓋体66は、蓋体32の挿入部41に代えて、挿入部67を備えている。
挿入部67は、延長管36の内部空間の少なくとも一部を塞いでいる。挿入部67は、曲管部35の内部空間を塞がない。
より詳しく説明すると、挿入部67は、周壁部68及び底壁部69を有する、有底筒状に形成されている。周壁部68は、延長管36との間の隙間が小さくなるように形成されている。底壁部69における周壁部68とは反対側の外面は、曲管部35の内周面に沿うように形成されている。
【0045】
このように構成された第1継手65では、掃除口36aに挿入部67を挿入し、掃除口36aにフランジ部42を取付けたときに、挿入部67は曲管部35の内部空間を塞がない。このため、曲管部35の第1端部(第1接続部37側)から曲管部35内に流入した雨水の流れが、挿入部67により妨げられるのを抑制することができる。また、挿入部67は延長管36の内部空間の少なくとも一部を塞ぐため、雨水が曲管部35の内部空間以外の所を流れ、その部分で雨水が渦を巻いたり、雨水に乱流が生じたりして、雨水のサイフォン現象に支障となるのを抑制することができる。
一方で、延長管36の掃除口36aから蓋体66を取り外すと、掃除口36aを通して継手本体31内等を掃除用具等により、掃除することができる。
【0046】
図6に示す第1変形例の雨樋システム1Aのように、第1実施形態の雨樋システム1において、サイフォン発生部15と第1継手30の第2接続部38とが接続され、第1継手30の第1接続部37と呼び樋50の第1端部とが接続されてもよい。
第1変形例の雨樋システム1Aでは、第1継手30の延長管36は鉛直方向に沿って延びている。蓋体32は、下方に向いている。この第1変形例の雨樋システム1Aでは、特にサイフォン発生部15を、サイフォン発生部15の下方から掃除しやすくなる。
【0047】
図7に示す第2変形例の雨樋システム1Bのように、第1実施形態の雨樋システム1において、サイフォン発生部15と呼び樋50とを第2継手55で接続し、呼び樋50と竪樋60とを第1継手30で接続してもよい。
より詳しく説明すると、サイフォン発生部15と第2継手55の第1接続部57とが接続され、第2継手55の第2接続部58と呼び樋50の第1端部とが接続されている。呼び樋50の第2端部と第1継手30の第1接続部37とが接続され、第1継手30の第2接続部38と竪樋60の上端部とが接続されている。第1継手30の延長管36は鉛直方向に沿って延びている。蓋体32は、上方に向いている。
この第2変形例の雨樋システム1Bでは、特に竪樋60を、竪樋60の上方から掃除しやすくなる。
【0048】
図8に示す第3変形例の雨樋システム1Cのように、第1実施形態の雨樋システム1において、継手30,55に代えて、一対の継手75を備えてもよい。継手75では、第1継手30において、曲管部35における長手方向の中央部から、延長管36が基準平面に直交する方向に延びている。
一対の継手75のうちの一方において、サイフォン発生部15とこの継手75の第1接続部37とが接続され、この継手75の第2接続部38と呼び樋50の第1端部とが接続されている。
一対の継手75のうちの他方において、呼び樋50の第2端部とこの継手75の第2接続部38とが接続され、この継手75の第1接続部37と竪樋60の上端部とが接続されている。継手75の延長管36は水平面に沿って延びている。蓋体32は、水平面に沿う所定の方向に向いている。
このように構成された第3変形例の雨樋システム1Cでは、延長管36から蓋体32を取り外したときに、蓋体32が建築物200に干渉し難い。従って、延長管36から蓋体32を容易に取り外すことができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図9から図12を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9に示すように、本実施形態の雨樋システム2は、第1実施形態の雨樋システム1の第1継手30に代えて、第1継手80及び第2継手90を備えている。
図9及び図10に示すように、第1継手80は、第1継手30の継手本体31に代えて、継手本体81を備えている。
図10に示すように、継手本体81は、屈曲している。継手本体81は、継手本体31の曲管部35に代えて、屈曲管部(連結管)82を備えている。屈曲管部82は、第1管片85と、第2管片86と、を備えている。
管片85,86は、それぞれ直管状に形成されている。第1管片85の中心軸O3と第2管片86の中心軸O4とは、鋭角θ1をなしている。例えば、鋭角θ1は、45°である。
【0050】
この状態で、第1管片85の端部と第2管片86の端部が、互いに接合されている。第1管片85の内部空間は、第2管片86の内部空間に連なっている。
延長管36は、第1管片85と同軸に配置されている。延長管36の内部空間は、第1管片85の内部空間に連なっている。
第1接続部37は、第1管片85における第2管片86に接合された端部とは反対の端部に固定されている。第2接続部38は、第2管片86における第1管片85に接合された端部とは反対の端部に固定されている。
【0051】
図9に示すように、サイフォン発生部15と第1継手80の第1接続部37とが、接続されている。第1継手80の第2接続部38と呼び樋50の第1端部とが、接続されている。この場合、第1継手80の延長管36は鉛直方向に沿って延びている。蓋体32は、下方に向いている。呼び樋50は、水平面に対して傾いて配置されている。
第2継手90は、いわゆる45°エルボである。第2継手90は、曲管部91と、曲管部91の両端部に設けられた第1接続部92及び第2接続部93と、を備えている。
呼び樋50の第2端部と第2継手90の第1接続部92とが、接続されている。第2継手90の第2接続部93と竪樋60の上端部とが、接続されている。
本実施形態の雨樋システム2では、特にサイフォン発生部15を、サイフォン発生部15の下方から掃除しやすくなる。
【0052】
以上説明した本実施形態の雨樋システム2によれば、軒樋10よりも下流側の内部に詰まったゴミを容易に掃除することができる。
さらに、雨樋システム2が継手本体81を備えることにより、雨樋システム2の流路を、屈曲した継手本体81により接続することができる。
【0053】
本実施形態の第1継手80及び雨樋システム2は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図11に示す第1変形例の雨樋システム2Aのように、第2実施形態の雨樋システム2において、サイフォン発生部15と呼び樋50とを第2継手90で接続し、呼び樋50と竪樋60とを第1継手80で接続してもよい。
より詳しく説明すると、サイフォン発生部15と第2継手90の第1接続部92とが接続され、第2継手90の第2接続部93と呼び樋50の第1端部とが接続されている。呼び樋50の第2端部と第1継手80の第2接続部38とが接続され、第1継手80の第1接続部37と竪樋60の上端部とが接続されている。第1継手80の延長管36は鉛直方向に沿って延びている。蓋体32は、上方に向いている。
この第1変形例の雨樋システム2Aでは、特に竪樋60を、竪樋60の上方から掃除しやすくなる。また、第2変形例の雨樋システム1Bに比べて、蓋体32が軒天井202から離間している。このため、第1継手80の延長管36から蓋体32を上方に向かって外しやすい。
【0054】
図12に示す第2変形例の雨樋システム2Bのように、第1変形例の雨樋システム2Aにおいて、蓋体32に代えて蓋体66を備えてもよい。蓋体66及び継手本体81で、第1継手95を構成する。蓋体66の挿入部67は、延長管36の内部空間の少なくとも一部を塞いでいる。挿入部67は、屈曲管部82の内部空間を塞がない。底壁部69の外面は、屈曲管部82の内周面に沿うように形成されている。
このように構成された第2変形例の雨樋システム2Bでは、屈曲管部82内に流入した雨水の流れが、挿入部67により妨げられるのを抑制することができる。また、挿入部67は延長管36の内部空間の少なくとも一部を塞ぐため、雨水が屈曲管部82の内部空間以外の所を流れ、その部分で雨水が渦を巻いたり、雨水に乱流が生じたりして、雨水のサイフォン現象に支障となるのを抑制することができる。
【0055】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図13から図15を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図13に示すように、第3実施形態の雨樋システム3は、建築物215に用いられる。例えば、建築物215は、高さ20m以上の工場やショッピングセンター、倉庫や大型の駐車場等である。建築物215の外壁203には、大庇216が固定されている。大庇216は、屋根201よりも下方に配置されている。
図13及び図14に示すように、雨樋システム3は、屋根201用の軒樋10である軒樋10Aと、大庇216用の軒樋10である軒樋10Bと、を備えている。なお、図14及び、後述する図15では、説明の便宜のため、軒樋10B等の位置や向きを変えて示している。
【0056】
雨樋システム3には、継手本体81が用いられている。軒樋10Bには、サイフォン発生部15が接続されている。このサイフォン発生部15に、竪樋60Aの上端部が接続されている。竪樋60Aは、竪樋60と同様に構成されている。後述する竪樋60B,60Cも、竪樋60Aと同様である。
竪樋60Aの下端部は、継手本体81の延長管36に接続されている。継手本体81の第1接続部37は、竪樋60Bの上端部に接続されている。
軒樋10Aには、サイフォン発生部15が接続されている。このサイフォン発生部15に、竪樋60Cの上端部が接続されている。竪樋60Cの下端部は、第2継手90、呼び樋50等を介して、継手本体81の第2接続部38に接続されている。
【0057】
本実施形態では、継手本体81の延長管36に、蓋体32に代えて、竪樋60Aが接続されている。
屋根201に降った雨水は、軒樋10に流れ込む。この雨水は、竪樋60C、第2継手90、呼び樋50等を通り、継手本体81に流れ込む。一方で、大庇216に降った雨水は、軒樋10Bに流れ込む。この雨水は、竪樋60Aを通り、継手本体81に流れ込む。すなわち、屋根201及び大庇216に降った雨水は、継手本体81で合流する。
なお、軒樋10Bに、サイフォン発生部15が接続されていなくてもよい。
【0058】
本実施形態の雨樋システム3は、以下に説明するようにその構成をに変形させることができる。
図15に示す第1変形例の雨樋システム3Aでは、雨樋システム3に対して、軒樋10Aに接続されたサイフォン発生部15と、継手本体81の第2接続部38との接続形態が異なる。
具体的には、軒樋10Aに接続されたサイフォン発生部15が、第2継手90A、呼び樋50A、第2継手90B、竪樋60C、第2継手90C、呼び樋50Bに接続されている。そして、呼び樋50Bの端部が、継手本体81の第2接続部38に接続されている。
第2継手90A,90B,90Cは、第2継手90と同様に構成されている。呼び樋50A,50Bは、呼び樋50と同様に構成されている。
第1変形例の雨樋システム3Aによっても、本実施形態の雨樋システム3と同様の効果を奏することができる。
【0059】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図16から図18を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図16に示すように、本実施形態の雨樋システム4は、第1実施形態の雨樋システム1の竪樋60に代えて、竪樋100を備えている。なお、図16では、竪樋100を二点鎖線で示している。
竪樋100には、継手105が設けられている。より詳しく説明すると、竪樋100は、第1竪樋101と、第2竪樋102と、を備えている。竪樋101,102は、竪樋60と同様にそれぞれ構成されている。第1竪樋101の上端部は、第2継手55の第2接続部58に接続されている。
【0060】
図16及び図17に示すように、継手105は、継手本体106と、蓋体107と、パッキン108と、を備えている。
継手本体106は、連結管111と、延長管112と、第1接続部(接続部)113と、第2接続部(接続部)114と、を備えている。
連結管111は、直管状に形成されている。第1接続部113及び第2接続部114は、受け口であり、それぞれ円筒状に形成されている。第1接続部113は、連結管111の第1端部に固定されている。第1接続部113の内径は、連結管111の内径よりも大きい。第2接続部114は、連結管111における第1端部とは反対の第2端部に固定されている。第2接続部114の内径は、第1接続部113の内径に等しい。
【0061】
延長管112は、直管状に形成されている。延長管112は、連結管111の外側に向かって突出している。より詳しく説明すると、延長管112は、連結管111から、連結管111の中心軸O5に直交する方向に突出している。延長管112における連結管111側に形成された管路112aは、連結管111の内部空間に連なっている。
延長管112において、連結管111から離間した側の先端部の内周面には、管路112aよりも内径が拡大された被係合部112bが形成されている。被係合部112bには、延長管112の周方向に間隔を空けて複数の係合溝117が形成されている。
【0062】
図17及び図18に示すように、蓋体107は、挿入部121と、係合部122と、フランジ部123と、を備えている。
挿入部121は、有底筒状に形成されている。挿入部121は、延長管112内に挿入される。
係合部122は、挿入部121における底壁部121aとは反対側の端部に形成されている。係合部122は、挿入部121よりも外側に拡径した円筒状をなしている。係合部122の外径は、延長管112の管路112aの内径よりも大きく、かつ被係合部112bの内径よりも小さい。
係合部122の外周面には、周方向に間隔を空けて、係合溝117と同数の突起122aが形成されている。
フランジ部123は、係合部122における挿入部121とは反対側の端部に、係合部122から外側に延びて形成されている。フランジ部123の外径は、被係合部112bの内径よりも大きい。
図17に示すように、パッキン108は、合成樹脂等の弾性材料により環状に形成されている。
【0063】
以上のように構成された蓋体107は、以下のようにして延長管112に装着される。
蓋体107と延長管112との間に、パッキン108を配置する。挿入部121を延長管112内に挿入し、係合部122を延長管112の被係合部112bに係合させる。係合部122を被係合部112bに係合させるには、各突起122aを、係合溝117に挿入する。
以上の工程で、蓋体107が延長管112に装着される。
【0064】
第1接続部113には、第1竪樋101の下端部が接続されている。第2接続部114には、第2竪樋102の上端部が接続されている。
以上説明した本実施形態の雨樋システム4によっても、第1実施形態の雨樋システム1と同様の効果を奏することができる。
なお、継手105は、パッキン108を備えなくてもよい。第1継手30に代えて、90°エルボである第2継手55が用いられてもよい。
【0065】
以上、本発明の第1実施形態から第4実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第4実施形態では、サイフォン発生部は、雨樋システムにサイフォン現象を発生させられるものであれば、特に限定されない。
例えば、図19に示す、渦流防止部材であるサイフォン発生部130を用いることができる。サイフォン発生部130は、装着筒17、下筒14、及び互いに直交する十字板131を備えている。十字板131の下部には、装着筒17に対応する形状の切欠部131aが形成されている。
【0066】
また、前記第1実施形態では、第2継手55が掃除口付き継手であってもよいし、継手30,55の両方が掃除口付き継手であってもよい。掃除口付き継手の連結管の少なくとも一方の端部が、軒樋、サイフォン発生部、及び竪樋の少なくとも1つに接続されていればよい。第2実施形態及び第3実施形態についても、同様である。
サイフォン発生部は、継手30,55、呼び樋50、及び竪樋60に設けられてもよい。継手本体31の開口面積は、30cm未満であってもよい。蓋体32は、第2係合部を備えなくてもよい。この場合、継手本体31に第1係合部は形成されない。第2実施形態及び第3実施形態についても、同様である。
雨樋システムが、3つ以上の継手を備えてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では軒樋と竪樋を用いた屋外の雨水を排水する雨樋システムとしたが、これに限るものではなく、屋上に設けたルーフドレンと建物内の排水管とを接続した雨樋システム(雨水排水システム)としてもよい。この雨樋システムは、屋上に設けた排水溝と、排水溝に流れ込む雨水が導かれ、サイフォン発生部が設置されたルーフドレンと、ルーフドレンに接続された第1継手と、第1継手の下流側と接続される横管と、横管の下流側と接続される第2継手と、第2継手と接続され、建物内に配置された竪管とを備えたものとされる。また、上記実施形態と同様に、第1継手、第2継手のいずれか一方または両方が掃除口付き継手とされる。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,2,2A,2B,3,4 雨樋システム
10,10A,10B 軒樋
15,130 サイフォン発生部
30,65,80,95 第1継手(継手)
31,81,106 継手本体
32,66,107 蓋体
35 曲管部(連結管)
36,112 延長管
36a 掃除口
41,67,121 挿入部
42,123 フランジ部
50,50A,50B 呼び樋
55,90 第2継手(継手)
60,60A,60B,60C,100 竪樋
75,105 継手
82 屈曲管部(連結管)
111 連結管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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