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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】吸着パッド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
B25J15/06 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020212969
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022099162
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】308032699
【氏名又は名称】日清食品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三宅 昌也
(72)【発明者】
【氏名】西村 由紀夫
(72)【発明者】
【氏名】久米 晟樹
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-083740(JP,U)
【文献】特開平07-178691(JP,A)
【文献】特開2002-184835(JP,A)
【文献】米国特許第06193291(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/06
B65H 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を吸着及び脱着する吸引タイプの吸着パッドであって、
当該吸着パッドは、略平坦な吸着面を含む吸着パッド本体部と当該吸着パッド本体部の吸着面の周縁付近を覆う弾性リング部材を備え、
前記吸着パッド本体部の吸着面において、その中央周縁部より吸着面上に放射状に複数設けられた溝状の通気口を有する吸着パッド。
【請求項2】
前記対象物が薄板状部材である請求項1に記載の吸着パッド。
【請求項3】
前記放射状に設けられた通気口の数が4~10である請求項1又は2に記載の吸着パッド。
【請求項4】
前記通気口の通気方向が、吸着面を水平に載置した際の鉛直方向に対して所定の傾斜角を有する請求項1~3のいずれかに記載の吸着パッド。
【請求項5】
前記溝状の通気口が吸着パッド本体部の周縁部まで連続する請求項に記載の吸着パッド。
【請求項6】
前記吸着パッドが即席カップめんのフタ部の移動のために利用される請求項1~5のいずれかに記載の吸着パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着パッドに関するものである。特に、薄板状部材を好適に移載できる吸着装置についての吸着パッドに関するものである。さらに、本発明については、カップ麺の製造において利用される、カップ状容器の開口部を封鎖するフタ部のような薄板状部材の移載を好適に行うことができる吸着装置に好適に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
食品の製造ラインにおいては、吸着パッドによって空気吸引することによって対象物を保持し、当該吸着パッドを移動させることで対象物を移載し、目的の位置に対象物を載置等した後に、空気吸引を停止するとともに、これに加えて今度は逆に空気を短時間排出して対象物を吸着パッドから剥がす、すなわち、対象物を脱着(開放)するという方法が汎用されている。
【0003】
この場合において対象物を目的の位置まで運んだ後、対象物がある程度の重量を有している場合であると、空気吸引を中止・空気排出した際、その対象物の位置が乱されるということは少ない。
一方、対象物の重量が比較的軽く、例えば、即席麺の製造に利用されるアルミキャップのような薄板状のフタ部が対象物である場合、吸着した対象物を所定位置まで移載した後、空気吸引を停止・空気排出して所定位置において当該対象物を脱着(開放)するものの、空気を排出して対象物を吸着パッドから剥がす(脱着する)際に、当該対象物の位置が乱れる場合があった。
【0004】
このような吸着を停止した際の吸着パッドが対象物を脱着(開放)する状態を好適に実施するための先行技術については例えば、光ディスクを対象とするものとして以下の先行技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-33247号 上記先行技術は、吸着パッドから対象物を脱着(開放)させるための押し出し用ピンを備えたものであるが、吸着パッドの構造がやや複雑になることが想定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らはこの点を回避し、より簡易な構造でより空気吸引停止及び空気排出時(真空破壊時)の対象物の吸着パッドからの脱着時の位置ずれを効果的に回避する方法を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはこの目的のために種々の吸着パッドの形状を試験した。本発明者らの鋭意研究の結果、吸着パッドについて吸着面を含む吸着パッド本体部と、当該吸着面の周縁付近を覆う弾性リング部材を備えるという複合的な構成としつつ、吸着パッド本体部の吸着面において、その中央部より放射状に複数設けられた通気口を有する構成とすることで吸引停止及び空気排出の際の対象物の位置ずれを低減できることを見出した本発明を完成させたのである。
【0008】
すなわち、本願第一の発明は、
「対象物を吸着及び脱着する吸引タイプの吸着パッドであって、
当該吸着パッドは、吸着面を含む吸着パッド本体部と当該吸着パッド本体部の吸着面の周縁付近を覆う弾性リング部材を備え、
前記吸着パッド本体部の吸着面において、その中央部より放射状に複数設けられた通気口を有する吸着パッド。」、である。
【0009】
次に、本発明の吸着パッドは、即席カップ麺のフタ部のような薄板状部材に好適に適用することができる。
すなわち、本願第二の発明は、
「前記対象物が薄板状部材である請求項1に記載の吸着パッド。」、である。
【0010】
次に、前記放射状に設けられた通気口の数は4~10であることが好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
「前記放射状に設けられた通気口の数が4~10である請求項1又は2に記載の吸着パッド。」、である。
【0011】
次に、前記通気口の吸気(排気)方向については、吸着面を水平に載置した際の鉛直方向に対して所定の傾斜角を有することが好ましい。
すなわち、本願第四の発明は、
「前記通気口の通気方向が、吸着面を水平に載置した際の鉛直方向に対して所定の傾斜角を有する請求項1~3のいずれかに記載の吸着パッド。」、である。
【0012】
次に、本願では、通気口の通気方向に沿って、溝部の構造とすることも可能である。
すなわち、本願第五の発明は、
「前記通気口の通気方向に沿って、溝部を備えた請求項1~4のいずれかに記載の吸着パッド。」、である。
【0013】
さらに、当該溝部は吸着パッド本体部の周縁部まで連続する形態であってもよい。
すなわち、本願第六の発明は、
「前記溝部が吸着パッド本体部の周縁部まで連続する請求項5に記載の吸着パッド。」、である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸着パッドを利用することによって、吸着パッドにおいて、対象物が特に薄板状部材であっても、空気吸引停止・排出時(真空破壊時)による吸着パッドから対象物の脱着(開放)時の位置ずれ効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施態様の(a)吸着パッド本体部3、(b)弾性リング部材5、(c)吸着パッド1(吸着パッド本体部及び弾性リング部材)の斜視図である。
図2】第一の実施態様の(a)吸着パッド1の斜視図、(b)(a)におけるAA´線の断面図である。
図3】第一の実施態様の(a)吸着パッド本体部3の斜視図、(b)(a)におけるBB´線の断面図である。(c)吸着面と反対側の通気孔の開口面側の斜視図である。
図4】傾斜角の状態を示す図であり(a)第一の実施態様の吸着パッド本体部3の断面図である。(b)第三の実施態様の吸着パッド本体部3の断面図である。(c)第四の実施態様の吸着パッド本体部3の断面図である。
図5】(a)第一の実施態様の吸着パッド1がアルミフタを吸着している状態の斜視図である。(b)(a)の状態の断面図である。
図6】第一の実施態様の吸着パッド1による(a)対象物への接近、(b)対象物の吸着、(c)対象物の移動、(d)対象物の載置及び吸引停止、(e)空気排出による対象物の脱着、(f)対象物からの遊離、の各状態の断面図である。
図7】第二の実施態様の吸着パッド本体部の斜視図である。
図8】第三の実施態様の(a)吸着パッド本体部3の斜視図、(b)(a)におけるCC´線の断面図である。
図9】第四の実施態様の(a)吸着パッド本体部3の斜視図、(b)(a)におけるDD´線の断面図である。
図10】本発明の吸着パッド1をカップめんの生産ラインで装着した場合の例の生産ラインの斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 吸着パッド
3 吸着パッド本体部
5 弾性リング部材
7 通気孔
9 導管
11 通気口
13 溝部
15 通気路
21 個別ユニット
23 主回転軸
25 吸引ホース
27 突出部
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の内容を以下に詳しく実施態様について図面を参照して説明する。但し、本発明は以下の実施態様に限定されるものではない。
本願第一の発明は、
“対象物を吸着及び脱着する吸引タイプの吸着パッドであって、
当該吸着パッドは、吸着面を含む吸着パッド本体部と当該吸着パッド本体部の吸着面の周縁付近を覆う弾性リング部材を備え、
前記吸着パッド本体部の吸着面において、その中央部より放射状に複数設けられた通気口を有する吸着パッド。“、である。
【0018】
図1は、吸着パッド本体部の斜視図(図1(a))、弾性リング部材の斜視図(図1(b))、弾性リングを嵌め込んだ吸着パッドの全体の斜視図(図1(c))を示す。
図2は、吸着パッドの全体(図2(a))と、図2(a)におけるAA´線の矢印方向への断面図(図2(b))を示している。
図3は、吸着パッド本体部の斜視図(図3(a))、図3(a)におけるBB´線の矢印方向への断面図(図3(b))を示している。また、図3(c)は吸着パッド本体部の吸着面とは逆の通気孔の開口面側の斜視図を示している。
【0019】
─対象物を吸着及び脱着する吸引タイプの吸着パッド─
本発明の吸着パッド1は薄板状の部材を吸着して移載するための吸着パッドである。吸着パッドについては、吸引して減圧状態として対象物を吸着する吸引タイプと、気流を噴出してベルヌーイ効果により減圧状態として吸着するベルヌーイタイプがあるが、本発明においては、吸引して吸着する吸引タイプの吸着パッドを対象とする。
【0020】
本発明の吸着対象物は種々の部材が可能である。例えば、紙、プラスチック、金属等の種々の部材を吸着することが可能である。
特に本発明の吸着パッド1については、軽量な薄板状の部材に好適に適用することができる。すなわち、薄板状の部材としては紙やプラスチック板、金属板等種々を挙げることができる。
【0021】
これらのうち、特にカップめんのフタ部に対して特に好適に利用することができる。
カップめんのフタ部については、紙、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、そして、アルミ蒸着を施した前記各フィルム、あるいは、シリカを蒸着フィルム等の種々の素材を利用できる。
基材は、単層である必要はなく、2種以上の積層体であってもよい。紙にアルミ蒸着した原紙が利用されることが多く、アルミニウム層を基材としてこの上下層に紙やシーラント材などの軟包材をラミネートしたものが一般的である。具体的には、例えば、印刷/紙/AL箔/PE/PE、PET/印刷/PE/紙/PE/AL蒸着層/PE、PET/印刷/紙/PE/AL箔/EMMA等の積層構成が挙げられる。
【0022】
─吸着面を含む吸着パッド本体部と当該吸着パッド本体部の吸着面の周縁付近を覆う弾性リング部材を備える─
本発明の第一の実施態様の吸着パッド1は、吸着パッド本体部3(図1(a))、弾性リング部材5(図1(b))を含む。また、吸着パッド本体部3に対して、その吸着面の周縁部に弾性リング部材5を嵌め込んだ状態(図1(c))とする。
【0023】
図3に示すように、吸着パッド本体部3においては空気が吸引される構造を有する本体部分をいう。当該吸着パッド本体部3の材質は、金属やプラスチック等の種々のタイプを利用することができる。また、成形方法についても、金属であれば、金属加工の他、合成樹脂のプラスチックであれば、プラスチック成形によって成形することが可能である。さらに、3Dプリンターによって成形することも可能である。また、ゴム状等の弾性を有する素材を成形することによって製作してもよい。
【0024】
当該吸着パッド本体部3には、吸着対象物に面する吸着面と、その裏面となる当該吸着のための空気を吸引及び排出する通気孔7が開口している通気孔開口面を有する。図3(b)の断面図に示すように、対象物を吸着する際には当該通気孔7を介して吸着面の側より空気が吸引されるとともに、対象物を脱着(開放)する際には空気を排出する。
また、当該通気孔には、ねじ式の通気用の導管9が挿入されて、吸引及び排気用の真空ポンプ等と接続されており、必要に応じて、吸引及び吸引停止かつ空気排出(真空破壊)を行うように構成されている。
【0025】
また、図1(b)に示す弾性リング部材5については、吸着パッド本体部3の吸着面の周縁付近を覆い弾性リング部材5より構成されている。弾性リング部材5の材質としては種々のゴムやプラスチックを利用することができる。
当該弾性リング部材5によって吸着対象物と吸着パッド1の密着性を高め、吸着パッド1の吸着面と吸着対象物より形成される密封空間の真空度を高め吸着力を向上させることができる。
【0026】
また、図2(b)の吸着パッド1の全体の断面図に示すように弾性リング部材5については、吸着面から吸着対象物に向かう方向に向かって開拡する形状を有する部分を有することが好ましい。
尚、上記の第一の実施態様においては弾性リング部材5と吸着パッド本体部3を分離できる態様を示しているが、例えば一体に成形することによって、分離できないような場合であっても、吸着パッド本体部3と弾性リング部材5の構成を看取できる場合には本発明の構成に該当するものであることは勿論である。
【0027】
─前記吸着パッド本体部の吸着面において、その中央部より放射状に複数設けられた通気口を有する─
本発明の吸着パッド1における吸着パッド本体部3については、図1に示すようにその中央部において、中央部より放射状に複数設けられた通気口11を備えている。
図1(a)の本発明の第一の実施態様においては、吸着パッド本体部3の吸着対象物に面する側である吸着面において、中央部より放射状であって均等に8方向に向かうような溝部13が設けられており、当該溝部13の中央部側の端部にそれぞれ通気口11が設けられている。
【0028】
このように、それぞれの通気口11の吸気及び排気方向に沿って溝13部が設けられている態様となっている。
また、図2(b)、図3(b)の断面に示すように通気口11から略水平方向に吸・排気用の通気路15が設けられており、当該中央部の下方内部において吸引・排出のための通気孔7と合流している。
本実施態様では、通気口11と通気路15を介して合流する通気孔7は吸着パッド1の内部中央に直径大の状態で設けられているが、本態様に限定されるものではない。
【0029】
すなわち、上述の通気口から空気を吸引(排出)できる状態になるのであれば、内部の通気孔7は種々の形態が可能である。例えば、通気孔7は複数本となってもよいし、その形状も管状に限定されるものではなく、種々の形態が可能である。
次に、前述のように本第一の実施態様においては、中央部より放射状に8方向の通気口11が設けられているが、本発明はこの実施態様に限定されるものではなく、通気口11の数が異なっていてもよいことは勿論である。通気口の数については概ね2~20程度が好適である。また、好ましくは、3~12程度である。さらに好ましくは、4~10程度である。
【0030】
次に、本第一の実施態様においては、各通気口11にそれぞれ対応して溝部13が設けられており、当該溝部13が吸着パッド本体部3の周縁端部まで到達しているが、本発明は当該実施態様に限定されるものでなく、溝部13が途中で途切れている場合や、徐々に浅くなって吸着面の表面に連続する態様でもよい。
さらに、溝部13を設けることなく、後述する本発明の第三の実施態様や第四の実施態様で示すように通気口11を吸着面の表面に設ける態様としてもよいことは勿論である。
【0031】
次に、本発明においては、前記通気口11による通気方向、すなわち、吸気及び排気の方向が、吸着面を水平に載置した際の鉛直方向に対して所定の傾斜角を有することが好ましい。例えば、図1及び図2の本発明の第一の実施態様及び図7の第二の実施態様の場合であると、通気口11の吸気(排気)方向は吸着面を上方として水平に載置した場合において、鉛直方向と略水平方向である90°の傾斜角を有している(図4(a))。また、後述する図8に示す第三の実施態様においては鉛直方向と、45°より大きく90°未満の傾斜角を有している(図4(b))。また、図9に示す第四の実施態様においても鉛直方向と、45°より大きく90°未満の傾斜角を有している(図4(c))。
【0032】
このように、本発明においては、通気口11における通気方向、すなわち、吸気及び排気の方向が、吸着面を水平に載置した際の鉛直方向に対して所定の傾斜角を有することが好ましい。傾斜角については、概ね30°~90°が好適である。さらに、45°~90°がより好ましい。最も好ましくは60°~90°である。
【0033】
─吸着パッドの吸着の態様─
図5には、本発明の吸着パッド1を利用して実際に薄板状部材として、即席カップめんのアルミフタを吸着している状態の例を示している。図5(a)はアルミフタを保持している状態のアルミフタの下面側から見た透視斜視図、図5(b)はアルミフタを吸着している際の断面図を示している。
【0034】
図5(b)に示しているように、薄板状部材としてのアルミフタに対して弾性リング部材5が接触して、空間の密閉度を高め空間内部は負圧となる。これによって吸着対象物であるアルミフタを吸引保持している。尚、吸引の程度は吸着対象物に応じて適宜設定することができる。
また、この際、吸着パッド本体部3の吸着面が対象物に接触する場合又は接触しない場合のいずれも可能であることは勿論である。
このようにして吸引状態として対象物を吸着パッド1で保持するとともに、当該吸着パッド1を移動することによって、対象物も同時に移動することができる。
【0035】
─吸着パッドによる対象物の吸着から脱着のプロセス─
図6には、吸着パッド1の対象物への接近、対象物の吸着、対象物の移動、吸着パッドの脱着(開放)のプロセスの模式図を示している。
通常吸着パッド1による対象物の移載(移動)については、図6に示すようなステップで行われる。すなわち、まず、吸着パッド1による対象物へ接近する(図6(a))。次に、対象物に接触後の前後において吸引して対象物を吸着する(図6(b))。次に、吸着した状態で吸着パッド1を移動させ吸着対象物を移動する(図6(c))。次に、対象物の所定の載置位置まで移動し、当該載置位置で吸引を停止し(図6(d))、対象物の開放のために空気を排出して(図6(e))、対象物を脱着(開放)し、所定位置に載置する。次に、吸着パッド1が別の対象物の移動のために移動する(図6(f))。
【0036】
ここで、(e)のステップで吸引を解除し、空気を排出した際、従来までの吸着パッドでは、対象物を脱着(開放)する際に対象物の位置を乱してしまうという問題があった。本発明の吸着パッド1を利用することで空気排出することによる対象物の脱着(開放)の際における対象物の位置ずれを低減することができるという効果を有する。
【0037】
─第二の実施態様─
次に、本願の第二の実施態様として吸着パッド本体部における通気口11及び溝部13が少ない場合を図7に示す。本第二の実施態様では本願第一の実施態様に比べて少なく、溝部13の数が4の場合を示している。
【0038】
─第三の実施態様─
図8には、本願の第三の実施態様を示している。本願第三の実施態様は、本願第一の実施態様とは異なり、溝部13を設けることなく、通気口11を吸着面の表面に設けた例を示している。すなわち、図8(a)に示すように吸着面の中央部より放射状に均等に8の通気口11が設けられている。また、当該通気口11は、吸着面の表面に設けられている。
また、図8(b)は図8(a)におけるCC´線の矢印方向の断面図を示しているが、本第三の実施態様においては8の各通気口11ごとに通気路15が設けられており、これらの通気路15は、内部中央で吸引のための通気孔7と合流している。本発明はこのような構成も可能である。
【0039】
─第四の実施態様
図9は、本願の第四の実施態様を示している。本願第四の実施態様は、本願第三の実施態様と同様に溝部を設けることなく、通気口11を吸着面の表面に設けた例を示している。
一方、本願の第三の実施態様とは異なり、吸着面上の各通気口11が中央部から近接した位置に設けられている。尚、通気口11からの通気路15は、第三の実施態様と同様に図9(b)に示すように8の通気路15が設けられており、内部中央で吸気及び排気のための通気孔7と合流している。本発明はこのような構成も可能である。
【0040】
─本発明の吸着パッドを製造ラインに設けた場合の例─
本発明の吸着パッド1を加工食品の連続生産ラインに使用した場合の例を示している。図10においては、本吸着パッド1を利用して順次、搬送されてくる麺塊等の必要物が収納された状態のカップ状容器の上部に順次アルミフタを載置していく状態を示している。
具体的には、図10に示すように、カップ状容器が順次、間歇的に矢印方向(紙面手前向き)に搬送されている。尚、図10では吸着パッド1は3列のみを示している。
【0041】
各吸着パッド1は金属製の導管9に連結されており、当該各導管9を支持する個別ユニット21が水平方向に設定された主回転軸23に固定されている。当該主回転軸23は180°回転することが可能となっており、これによって、回転軸の個別ユニット21も回転することができ、同時に各個別ユニット21に支持された各導管9も回転し、各導管9に連結された吸着パッド1の吸着面が180°回転した鉛直上向きと鉛直下向き方向との間を交互に向くことができるようになっている。さらに、主回転軸23は鉛直上向きの状態から上方向に移動可能となっており、同様に鉛直下向きの状態から下方向への移動も可能となっている。
【0042】
次に、各吸着パッド1の通気孔7は吸引用の導管部と接続しており、当該吸引用の導管部9は吸引ホース25と接続されており、真空ポンプに繋がり電子制御されている。そして、所定のタイミングに応じて空気の吸引及び停止・排出を実施できるようにシステム化されている。
次に、アルミフタの積層体が個別ユニット21の上部に積層体の状態で載置されており、吸着パッド1の吸着面が鉛直上向きを向いた場合に、当該積層体の最下面から順次、アルミフタを吸着することができるように露出した状態となるように配置されている。
【0043】
上記のような構成によって、間歇的に順次、搬送されてくるカップ状容器に対して、その上部に対してアルミフタを載置していくことが可能となっている。
【0044】
順次搬送されてくる上部開口のカップ状容器に対して、その上方で吸着パッド1が鉛直上向きを向いて、さらに主回転軸23が上方に移動することによって積層されているアルミフタに接触し、吸引することで吸着する。次に、下方に下がった後、吸着パッド1は180°鉛直下向き方向に回転し、次に、さらに主回転軸23が下方に移動することによってアルミフタを吸着した吸着パッド1が、間歇的に搬送されてくるカップ状容器の開口部に接近し、アルミフタを所定位置とした状態で吸引を解除・空気排出(真空破壊)し、アルミフタを吸着パッドから剥がし、脱着(開放)させる。このようにしてカップ状容器の開口部にアルミフタを順次載置することが可能となる。尚、載置されたアルミフタの位置がずれないように各カップ状容器の開口部の周廻りに4カ所の突出部27が設けられている。
【0045】
アルミフタを載置されてカップ状容器は、次の工程で当該アルミフタがヒートシールされてアルミフタでカップ状容器の開口部がアルミフタで封鎖されたカップめんを順次生産することが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10