(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】心室フォーカルアブレーションのためのシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241112BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20241112BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10 510
(21)【出願番号】P 2020512611
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050660
(87)【国際公開番号】W WO2019055512
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-13
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ゲイリー エル.
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-509415(JP,A)
【文献】特表2012-508083(JP,A)
【文献】国際公開第2017/070559(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0142801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されており、凹状表面を有する、膨張可能な部材と、
前記カテーテルシャフトの表面上に形成されている、第1の組の電極と、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端に配置されており、かつ前記第1の組の電極から電気的に絶縁されている、第2の組の電極と、
前記膨張可能な部材の前記凹状表面上に形成されている、遠位電極と、を備える、装置。
【請求項2】
前記第2の組の電極の各電極が、独立して制御可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記
遠位電極が、前記長手方向軸に対してほぼ垂直である近似平面上の前記膨張可能な部材上に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の組の電極の各電極が、円形又は楕円形形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記楕円形形状を有する前記第2の組の電極の各電極の長軸が、前記長手方向軸に対して実質的に平行である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カテーテルシャフトが、前記第1の組の電極と前記第2の組の電極との間に形成されている偏向可能な部分を含み、前記偏向可能な部分が、前記長手方向軸に対して約210度まで、偏向するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記膨張可能な部材に結合されており、かつ前記膨張可能な部材を膨張させるように構成されている、流体源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の組の電極及び前記
遠位電極のうちの1つ以上の電極が、それに関連付けられた絶縁導線を有し、前記絶縁導線が、その対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成されており、前記絶縁導線が、前記カテーテルシャフトの内腔内に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の組の電極及び前記
遠位電極のうちの1つ以上の電極が、独立して制御可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の組の電極の最遠位電極が、前記第2の組の電極の最近位電極から約4mm~約10mm離間している、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の組の電極の最遠位電極が、前記膨張可能な部材の近位端から少なくとも約5mm離間している、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の組の電極が、約3mm~約12mmの長さを有する前記カテーテルシャフトの一部分上に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記膨張可能な部材が、約22mmまでの長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の組の電極の各電極が、約1mm~約5mmの幅を有し、前記第1の組の電極の隣接する電極が、約1mm~約5mm離間している、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記膨張可能な部材が、近位から遠位方向において非対称形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記膨張可能な部材の外部表面上に形成されている生体適合性コーティングをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルシャフトの前記遠位端が、前記膨張可能な部材の内部容積内に延在している、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2017年9月12日に出願された米国仮出願第62/557,390号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 組織治療のためのパルス電界の生成は、過去20年間で研究室用途から臨床的用途に移っているが、高い電圧及び大きい電界の短時間のパルスが組織に与える効果は、過去40年以上にわたって調査されている。短時間の高DC電圧を組織に印加することは、典型的に、1センチメートルあたり数百ボルトの範囲で局所的に高い電界を生成し、これは、細胞膜に細孔を生成することによって、細胞膜を破壊する。この電気的に駆動される細孔生成又は電気穿孔の正確なメカニズムが継続して研究されているが、比較的短時間の大きな電界を適用することにより、細胞膜の脂質二重層に非安定性をもたらし、細胞膜に局所的なギャップ又は細孔の分布の出現を引き起こすと考えられている。この電気穿孔は、膜に印加された電界が閾値よりも大きい場合、不可逆的となる可能性があり、その結果、細孔が閉じず、かつ開いたままになり、それにより生体分子材料が膜にわたって交換され、壊死及び/又はアポトーシス(細胞死)を引き起こす。その後、周囲の組織は、自然に治癒し得る。
【0003】
[0003] パルスDC電圧は適正な条件下で電気穿孔を駆動し得るが、健康な組織への損傷を最小化しつつ、関心領域にある心内膜組織に選択的に、高DC電圧電気穿孔アブレーション療法を効果的に送達する、薄く、可撓性であり、非侵襲的なデバイスに対する需要は、依然として満たされていない。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書において、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、及び方法が説明される。一般に、組織にパルス波形を送達するための装置は、長手方向軸を画定するカテーテルシャフトを含み得る。膨張可能な部材は、カテーテルシャフトの遠位端に結合され得る。膨張可能な部材は、1組の電気的伝導性部分を含む外部表面を有し得る。第1の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上に形成され得る。第2の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上の第1の組の電極の遠位に形成され得る。第2の組の電極は、膨張可能な部材の外部表面に電気的に結合され得、かつ第1の組の電極から電気的に絶縁され得る。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸を画定するカテーテルを含み得る。膨張可能な部材は、カテーテルシャフトの遠位端に結合され得る。第1の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上に形成され得る。第2の電極は、膨張可能な部材上に形成され得、かつ第1の組の電極から電気的に絶縁され得る。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸を画定するカテーテルを含み得る。膨張可能な部材は、カテーテルシャフトの遠位端に結合され得る。第1の組の電極は、膨張可能な部材上に形成され得、かつ膨張可能な部材の赤道面の近位に配置され得る。第2の組の電極は、膨張可能な部材上に形成され得、かつ膨張可能な部材の赤道面の遠位に配置され得る。第2の組の電極は、第1の組の電極から電気的に絶縁され得る。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、システムは、パルス波形を生成するように構成された信号生成器を含み得る。アブレーションデバイスは、信号生成器に結合され得、かつパルス波形を受信するように構成され得る。アブレーションデバイスは、ハンドルと、長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に結合された膨張可能な部材と、を含み得る。膨張可能な部材は、1組の電気的伝導性部分を含む外部表面を有し得る。第1の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上に形成され得る。第2の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上の第1の組の電極の遠位に形成され得る。第2の組の電極は、膨張可能な部材の外部表面に電気的に結合され得、かつ第1の組の電極から電気的に絶縁され得る。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、装置は、長手方向軸を画定するカテーテルを含み得る。環状の膨張可能な部材は、カテーテルシャフトの遠位端に結合され得る。膨張可能な部材は、それを通る環状の膨張可能な部材内腔を画定し得る。第1の電極は、環状の膨張可能な部材の遠位端に配置され得る。第1の電極は、実質的に平面状の部分を有し得る。第2の電極は、環状の膨張可能な部材内腔から遠位端に延在し得、かつ第1の電極か離間し得る。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、パルス波形の送達中に、第2の組の電極の極性とは反対の極性を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、パルス波形の送達中に、第2の電極の極性とは反対の極性を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、パルス波形の送達中に、第2の組の電極の極性とは反対の極性を有し得る。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、第1の組の電極と第2の組の電極との間に形成された偏向可能な部分を含み得る。偏向可能な部分は、長手方向軸に対して約210度まで、第2の組の電極及び膨張可能な部材を含むカテーテルの一部分を偏向させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、流体源は、膨張可能な部材に結合され得、かつ膨張可能な部材を膨張させるように構成され得る。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び第2の組の電極のうちの1つ以上の電極は、それに関連付けられた絶縁導線を有し得、絶縁導線は、その対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成され得、絶縁導線は、カテーテルシャフトの内腔内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び第2の電極は、それに関連付けられた絶縁導線を有し得、絶縁導線は、対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成され得、絶縁導線は、カテーテルシャフトの内腔内に配置され得る。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び第2の組の電極のうちの1つ以上の電極は、独立してアドレス可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び第2の電極は、独立してアドレス可能であり得る。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、第1の組の電極の最遠位電極は、第2の組の電極の最近位電極から約2mm~約10mm離間し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極の最遠位電極は、膨張可能な部材の近位端から少なくとも約5mm離間し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、約1mm~約12mmの長さを有するカテーテルシャフトの一部分上に形成され得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、その赤道面において約5mm~約15mmの断面直径を有する。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、約22mmまでの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極の各電極は、約1mm~約5mmの幅を有し、かつ第1の組の電極の隣接する電極は、約1mm~約5mm離間している。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、近位から遠位方向において非対称形状を有し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、球根状形状を有し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、多面体形状を有し得る。いくつかの実施形態では、生体適合性コーティングは、膨張可能な部材の外部表面上に形成され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルの遠位端は、膨張可能な部材の内部容積内に延在し得る。いくつかの実施形態では、1組のスプラインは、カテーテル及び膨張可能な部材の内部表面に結合され得る。1組のスプラインは、1組のスプラインが長手方向軸に対してほぼ平行である第1の構成と、1組のスプラインが長手方向軸から離れて偏倚する第2の構成との間を移行するように、長手方向軸に沿って並進するように構成され得る。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1の組のパルスの形態のパルス波形の階層の第1のレベルを含み得、各パルスは、パルス時間持続期間を有し、第1の時間間隔は、連続するパルスを分離する。パルス波形の階層の第2のレベルは、第2の組のパルスとして、複数の第1の組のパルスを含み、第2の時間間隔は、連続する第1の組のパルスを分離し、第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続期間の少なくとも3倍である。パルス波形の階層の第3のレベルは、第3の組のパルスとして、複数の第2の組のパルスを含み、第3の時間間隔は、連続する第2の組のパルスを分離し、第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも30倍である。いくつかの実施形態では、パルス波形は、パルス波形の階層の第4のレベルを含み、第4の組のパルスとして、複数の第3の組のパルスを含み、第4の時間間隔は、連続する第3の組のパルスを分離し、第4の時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも10倍である。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトの遠位部分は、放射線不透過性部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、それを通るシャフト内腔を画定する。いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、カテーテルシャフトの遠位部分上に形成されている。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、膨張可能な部材の外部表面上に電極が形成されていない。いくつかの実施形態では、伝導性要素は、膨張可能な部材の表面上に形成され得る。いくつかの実施形態では、伝導性要素は、膨張可能な部材の端部間に延在する1組の離間した伝導性ストライプを含み得る。いくつかの実施形態では、伝導性要素は、第2の組の電極に電気的に接続され得る。いくつかの実施形態では、1組のストライプの各ストライプは、膨張可能な部材の近位端及び遠位端のうちの1つ以上において交差し得る。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、伝導性要素は、1組の開口部を画定するインターレース構造を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の伝導性要素は、膨張可能な部材の外部表面上に配置され得、かつ第2の伝導性要素は、膨張可能な部材の内部表面上に配置され得る。第1の伝導性要素は、パルス波形の送達中に、第2の伝導性要素とは反対の極性を有し得る。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、第1の伝導性要素は、膨張可能な部材の外部表面上に配置され、かつ第2の伝導性要素が膨張可能な部材の内部表面上に配置され得る。第1の伝導性要素は、パルス波形の送達中に、第2の伝導性要素とは反対の極性を有し得る。
【0020】
[0020] いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、カテーテルシャフトの外部表面上に配置され得、かつ第2の組の電極の1つ以上の電極は、カテーテルシャフトの内部表面上に配置され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極は、電気生理学データを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極は、遠位電極であり得る。いくつかの実施形態では、第2の電極は、膨張可能な部材の外部表面上に形成された唯一の電極であり得る。
【0021】
[0021] いくつかの実施形態では、膨張可能な部材の遠位端は、膨張可能な部材の近位端から離れて面する凹状表面を有し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、1組の湾曲面を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極のうちの少なくとも1つの電極は、膨張可能な部材の1つの面上に形成される。いくつかの実施形態では、第2の組の電極の1つ以上の電極は、凹状であり得る。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、1組の湾曲した縁部を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極の各電極は、約3mm~約15mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極の最遠位電極は、膨張可能な部材の近位端から少なくとも約3mm離間し得る。いくつかの実施形態では、膨張されたときの膨張可能な部材は、その最大部分において約6mm~約22mmの断面直径を有し得る。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態では、膨張されたときの環状の膨張可能な部材は、約10mm~約15mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の電極は、約2mm~約10mmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、環状の膨張可能な部材内腔は、約4mm~約15mmの直径を有し得る。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態では、第2の組の電極は、第1の組の電極と第2の電極との間の膨張可能な部材上に形成され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極は、独立してアドレス可能であり得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極の各電極は、独立してアドレス可能であり得る。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態では、第2の組の電極は、長手方向軸に対してほぼ垂直である近似平面上の膨張可能な部材上に形成され得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極の各電極は、円形又は楕円形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、楕円形形状を有する第2の組の電極の各電極の長軸は、長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。
【0026】
[0026] いくつかの実施形態では、第2の組の電極は、膨張可能な部材の遠位端に形成された遠位電極を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極の各電極は、円形又は楕円形形状を有し得る。いくつかの実施形態では、遠位電極を除く楕円形形状を有する第2の組の電極の各電極の長軸は、長手方向軸に対して実質的に平行である。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔を介したフォーカルアブレーションの方法は、アブレーションデバイスを心内膜壁に向かって前進させるステップを含む。アブレーションデバイスは、長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端に結合された膨張可能な部材と、を含み得る。膨張可能な部材は、1組の電気的伝導性部分を含む外部表面を有し得る。第1の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上に形成され得る。第2の組の電極は、カテーテルシャフトの表面上の第1の組の電極の遠位に形成され得る。第2の組の電極は、膨張可能な部材の外部表面上に電気的に結合され得、かつ第1の組の電極から電気的に絶縁され得る。パルス波形は、生成され得る。パルス波形は、アブレーションデバイスを介して心内膜壁に送達され得る。
【0028】
[0028] いくつかの実施形態では、第1の組の電極及び第2の組の電極のうちの一方は、アノードとして構成され得る。第1の組の電極及び第2の組の電極うちの他方は、カソードとして構成され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスの膨張可能な部材は、第1の構成から第2の構成に移行され得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材を第1の構成から第2の構成に移行させることは、膨張可能な部材に生理食塩水を注入することを含む。いくつかの実施形態において、パルス電界アブレーションエネルギーは、アブレーションデバイスの第1の組の電極及び第2の組の電極を通して、送達され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、約200V/cm~約800V/cmの電界強度を生成するように構成されている。
【0029】
[0029] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、ハンドルを含み得る。方法は、ハンドルを使用して、アブレーションデバイスの一部分を偏向させるステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、心内膜壁の第1の電気生理学データは、記録され得る。心内膜壁の第2の電気生理学データは、パルス波形を送達した後に記録され得る。いくつかの実施形態では、第1の電気生理学データ及び第2の電気生理学データは、心内膜壁の心内ECG信号データを含み得る。いくつかの実施形態では、診断カテーテルは、心内膜壁の中に前進され得、かつ診断カテーテルを使用して、第1の電気生理学データ及び第2の電気生理学データを記録し得る。いくつかの実施形態では、第1の電気生理学データ及び第2の電気生理学データは、第2の構成におけるアブレーションデバイスを使用して記録され得る。
【0030】
[0030] いくつかの実施形態では、方法は、経中隔開口部を左心房の中に創出するステップと、ガイドワイヤ及びシースを、経中隔開口部を通して左心房の中に前進させるステップと、アブレーションデバイスを、ガイドワイヤの上で心室の中に前進させるステップと、を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、患者において第1のアクセス部位を創出するステップと、ガイドワイヤを、第1のアクセス部位を通して右心房の中に前進させるステップと、拡張器及びシースを、ガイドワイヤの上で右心房の中に前進させるステップと、拡張器を、右心房から左心房の中に心房中隔を通して前進させて、経中隔開口部を創出するステップと、拡張器を使用して、経中隔開口部を拡張するステップと、を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のアクセス部位は、心臓刺激器を前進させるために、患者において創出され得る。いくつかの実施形態では、方法は、心臓刺激器を右心室の中へ前進させるステップと、心臓刺激器を使用して、心臓の心臓刺激のためのペーシング信号を生成するステップと、心臓刺激器を使用して、心臓にペーシング信号を適用するステップを含み得、パルス波形は、ペーシング信号と同期して生成される。
【0031】
[0031] いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上のステップ中に、アブレーションデバイスの放射線不透過性部分を蛍光透視下で撮像するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のアクセス部位は、大腿静脈である。いくつかの実施形態では、心房中隔は、卵円窩を含む。いくつかの実施形態では、心内膜壁は、心室である。
【0032】
[0032] いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1の組のパルスの形態のパルス波形の階層の第1のレベルを含み得、各パルスは、パルス時間持続期間を有し、第1の時間間隔は、連続するパルスを分離する。パルス波形の階層の第2のレベルは、第2の組のパルスとして、複数の第1の組のパルスを含み、第2の時間間隔は、連続する第1の組のパルスを分離し、第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続期間の少なくとも3倍である。パルス波形の階層の第3のレベルは、第3の組のパルスとして、複数の第2の組のパルスを含み、第3の時間間隔は、連続する第2の組のパルスを分離し、第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも30倍である。いくつかの実施形態では、パルス波形は、パルス波形の階層の第4のレベルを含み、第4の組のパルスとして、複数の第3の組のパルスを含み、第4の時間間隔は、連続する第3の組のパルスを分離し、第4の時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも10倍である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施形態による、電気穿孔システムのブロック図である。
【
図2A】実施形態による、様々な構成のアブレーションデバイスの側面図であり、膨張していないアブレーションデバイスの側面図である。
【
図2B】膨張したアブレーションデバイスの側面図である。
【
図2C】膨張したアブレーションデバイスの別の実施形態の側面図である。
【
図2D】膨張したアブレーションデバイスの別の実施形態の側面図である。
【
図3】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
【
図4A】実施形態による、組織アブレーションのための方法を例解する。
【
図4B】実施形態による、組織アブレーションのための方法を例解する。
【
図5A】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図及び斜視図であり、アブレーションデバイスの側面図である。
【
図5B】
図5Aに描かれたアブレーションデバイスの断面側面図である。
【
図5C】アブレーションデバイスの別の実施形態の断面側面図である。
【
図5D】
図5Cに描かれたアブレーションデバイスの斜視図である。
【
図5E】
図5Cに描かれたアブレーションデバイスの断面側面図である。
【
図5F】アブレーションデバイスの別の実施形態の斜視図である。
【
図5G】
図5Fに描かれたアブレーションデバイスの斜視図である。
【
図5H】
図5Fに描かれたアブレーションデバイスの斜視図である。
【
図5I】アブレーションデバイスの別の実施形態の斜視図である。
【
図5J】
図5Iに描かれたアブレーションデバイスの断面側面図である。
【
図6】実施形態による、各パルスに対して画定されたパルス幅を有する一連の電圧パルスを示す例示的な波形である。
【
図7】実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、及びパルスのグループ分けを示す、パルスの階層を概略的に例解する。
【
図8】実施形態による、異なるレベルの入れ子型階層を表示する単相パルスの入れ子型階層の概略例解図を提供する。
【
図9】実施形態による、異なるレベルの入れ子型階層を表示する二相性パルスの入れ子型階層の概略例解図である。
【
図10】実施形態による、心房及び心室の不応期とともに、かつ不可逆的電気穿孔アブレーションの時間窓を示す、心電図及び心臓ペーシング信号の時系列を概略的に例解する。
【
図11】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
【
図12】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
【
図13】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
【
図14】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
【
図15】他の実施形態による、アブレーションデバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0048] 本明細書において、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、及び方法が説明される。一般に、組織にパルス波形を送達するためのシステムは、パルス波形を生成するように構成された信号生成器と、信号生成器に結合されパルス波形を受信するように構成されたアブレーションデバイスを含み得る。アブレーションデバイスは、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするエネルギーを送達するために、カテーテルシャフトの遠位端に結合された伝導性膨張可能な部材(例えば、バルーン)を含み得る。伝導性金属パターンは、膨張可能な部材の外部表面上に配置され得る。1つ以上の電極は、カテーテルシャフトの表面上の膨張可能な部材の近位に形成され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、双極子を形成する1つ以上の電極及び膨張可能な部材を介して、使用中に、組織にパルス波形を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態において、容量性電圧送達は、膨張可能な部材壁の厚さにわたる二相性波形を使用して提供され得る。本明細書において説明されるアブレーションデバイスの実施形態は、電極として機能するアブレーションデバイスの膨張可能な部材を通って不可逆的な電気穿孔に十分なエネルギーを組織に送達し得る。膨張可能な部材は、電界及び対応するフォーカルアブレーション病変が生成されるように膨張可能である。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、心室壁に広く、かつ深いアブレーションを形成するために好適であり得る、約2mm~約15mm以上の深さでフォーカルアブレーション病変を形成し得る
【0035】
[0049] いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるアブレーションデバイスは、心室で発生し、心臓脱分極信号が正常回路を完了せず、むしろ、ループバックなどの代替回路(例えば、リエントラント回路)による不整脈を引き起こす可能性がある心室性不整脈(例えば、リエントラント心室性頻拍)の治療に有用であり得る。例えば、本明細書において説明されるアブレーションデバイスは、リエントラント回路を電気的に分離及び/又は破壊するために、瘢痕組織の1つ以上の部分をアブレーションし得る瘢痕の均質化又は「減量」に使用し得る。本明細書において説明されるシステム、デバイス、及び方法は、心内膜アプローチを使用して1つ以上のフォーカルアブレーション病変を創出するために使用し得、他の実施形態では心外膜アプローチで使用し得る。
【0036】
[0050] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、ECG信号を受信するように構成され、かつ患者の解剖学的マップを生成するために使用される1つ以上の電極を含み得る。例えば、ECG記録電極は、膨張可能な部材及びカテーテルシャフトのうちの1つ以上に配置され得る。これにより、アブレーションデバイスは、組織のマッピング及びアブレーションの両方を行うことができ、それにより、別個のマッピングカテーテルが使用されないときのコスト、複雑さ、及び手技時間が削減される。
【0037】
[0051] 本明細書において説明されるシステム、デバイス、及び方法を使用して、所望の関心領域に大きな電界の大きさを生成し、不可逆的な電気穿孔を生成し得る。本明細書において説明される不可逆的電気穿孔システムは、信号生成器と、1つ以上の電圧パルス波形を、アブレーションデバイスの選択された組の電極及び膨張可能な部材に適用して、関心領域にエネルギー(例えば、心室内の1組の組織に対するアブレーションエネルギー)を送達するように構成されたプロセッサと、を含み得る。本明細書で開示されるパルス波形は、様々な心不整脈(例えば、心房細動、再入心室性不整脈、心室頻拍など)の治療的処置を支援し得る。信号生成器によって生成されるパルス波形を送達するために、アブレーションデバイスの1つ以上の電極は、その対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成されている絶縁導線を有し得る。いくつかの実施形態では、電極のうちの少なくともいくつかは、各電極が、デバイスのいかなる他の電極からも独立して制御され(例えば、エネルギーを送達し)得るように、独立してアドレス可能であり得る。このようにして、電極は、組織の電気穿孔のために相乗的に異なるタイミングで異なるエネルギー波形を送達し得る。
【0038】
[0052] 本明細書で使用される「電気穿孔」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を変化させるための細胞膜への電界の適用を指す。本明細書で使用される「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を一時的に変化させるための細胞膜への電界の適用を指す。例えば、可逆的電気穿孔を受けている細胞は、電界を除去すると閉じるその細胞膜内の1つ以上の細孔の一時的及び/又は断続的な形成を観察し得る。本明細書で使用される「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞外環境に対する細胞膜の透過性を永久的に変化させるための細胞膜への電界の適用を指す。例えば、不可逆的電気穿孔を受けている細胞は、電界を除去しても持続するその細胞膜内の1つ以上の細孔の形成を観察し得る。
【0039】
[0053] 本明細書に開示される電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低減することにより、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、及び有効性を増強させることができ、それにより送達される総エネルギーの低減を伴うより効果的な切除病変をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される電圧パルス波形は、階層的であり得、かつ入れ子構造を有し得る。例えば、パルス波形は、関連するタイムスケールを有するパルスの階層的なグループ分けを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法、システム、及びデバイスは、その内容が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2016年10月19日に出願された国際出願第PCT/US2016/057664号、名称「SYSTEMS,APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」に説明される方法、システム、及びデバイスのうちの1つ以上を備え得る。
【0040】
[0054] いくつかの実施形態では、システムは、ペーシングされた心拍にパルス波形の生成を同期させるために使用される心臓刺激器をさらに含み得る。心臓刺激器は、心臓刺激器により心臓を電気的にペーシングし、ペーシングの捕捉を確実にして、心周期の周期性及び予測可能性を確立し得る。周期的な心周期の不応期内の時間窓は、電圧パルス波形送達のために選択され得る。したがって、心臓の洞調律の混乱を回避するために、心周期の不応期に電圧パルス波形が送達され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、1つ以上のカテーテル、ガイドワイヤ、膨張可能な部材、及び電極を含み得る。アブレーションデバイスは、心内腔内にデバイスを位置付けるために、異なる構成(例えば、収縮及び膨張)に移行し得る。
【0041】
[0055] 一般に、組織をアブレーションするために、1つ以上のカテーテルは、脈管構造を通って標的位置まで低侵襲的に前進し得る。本明細書において説明される方法は、デバイスを心臓の左心房の心内腔に導入することと、デバイスを心室又は他の心臓表面と接触して配設することと、を含み得る。パルス波形は、生成され、デバイスの1つ以上の電極及び伝導性の膨張可能な部材に送達されて、組織をアブレーションし得る。いくつかの実施形態では、パルス波形は、心臓の洞調律の混乱を回避するために、心臓のペーシング信号と同期して生成され得る。いくつかの実施形態では、電極は、アノード-カソードサブセットで構成され得る。パルス波形は、組織アブレーションを支援し、健康な組織への損傷を低減するために階層波形を含み得る。
【0042】
I.システム
概略
[0056] 本明細書において、不可逆的電気穿孔をもたらす、組織アブレーションを支援するための電圧パルス波形の選択的かつ迅速な適用を介した組織アブレーション用に構成されたシステム及びデバイスが開示される。一般に、本明細書において説明される組織をアブレーションするシステムは、信号生成器と、電気穿孔を駆動するためのDC電圧の選択的かつ迅速な印加のための1つ以上の電極及び膨張可能な部材を有するアブレーションデバイスと、を含み得る。本明細書において説明されるように、システム及びデバイスは、心房細動を治療するために心内膜に展開され得る。好適なアノード/カソード電極を選択して、電圧パルス波形を電極のサブセットに適用し得る。心臓刺激のためのペーシング信号が生成及び使用されて、ペーシング信号と同期して信号生成器によってパルス波形を生成し得る。
【0043】
[0057] 一般に、本明細書において説明されるシステム及びデバイスは、心臓の心室の組織をアブレーションするように構成された1つ以上のカテーテルを含む。
図1は、電圧パルス波形を送達するように構成されたアブレーションシステム(100)を例解する。システム(100)は、信号生成器(122)と、プロセッサ(124)と、メモリ(126)と、心臓刺激器(128)と、を含む、装置(120)を含み得る。装置(120)は、アブレーションデバイス(110)、及び任意選択でペーシングデバイス(130)に結合され得る。
【0044】
[0058] 信号生成器(122)は、例えば、左心室の組織などの心室組織などの組織の不可逆的電気穿孔用のパルス波形を生成するように構成され得る。例えば、信号生成器(122)は、電圧パルス波形生成器であり得、かつパルス波形をアブレーションデバイス(110)に送達するように構成され得る。いくつかの実施形態でのリターン電極(140)は、患者に結合され(例えば、患者の背中に配置され)、電流がアブレーションデバイス(110)から患者を通り、次いでリターン電極(140)に流れ得る。他の実施形態では、リターン電極(140)は、電極双極子が装置上にあるように、アブレーションデバイスの一部分であり得る。プロセッサ(124)は、メモリ(126)、心臓刺激器(128)、及びペーシングデバイス(130)から受信したデータを組み込んで、信号生成器(122)によって生成されるパルス波形のパラメータ(例えば、振幅、幅、デューティサイクルなど)を判定し得る。メモリ(126)は、信号生成器(122)に、パルス波形の生成及び/又は心臓ペーシングの同期などのシステム(100)に関連するモジュール、プロセス、及び/又は機能を実行させる命令をさらに記憶し得る。例えば、メモリ(126)は、それぞれパルス波形生成及び/又は心臓ペーシングのためのパルス波形及び/又は心臓ペーシングデータを記憶するように構成され得る。
【0045】
[0059] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(110)は、以下により詳細に説明されるパルス波形を送達するように構成された膨張可能な部材(例えば、バルーン)を有するカテーテルを含み得る。本明細書において説明される各実施形態では、膨張可能な部材は、気体、液体、それらの組み合わせなどを使用して膨張され得る。例えば、アブレーションデバイス(110)は、心内膜空間に導入され、膨張可能な部材を組織表面に整列させるように配置され、次いで組織をアブレーションするためにパルス波形を送達し得る。アブレーションデバイス(110)は、1つ以上の電極(112)を含み得、これは、いくつかの実施形態では、独立してアドレス可能な電極であり得る。各電極は、その対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成された絶縁導線を含み得る。いくつかの実施形態では、導線の各々の絶縁体は、絶縁破壊を伴わずに、その厚さにわたって約200V~約3,000Vの電位差を維持し得る。例えば、電極(112)は、例えば、1つの近位電極と1つの遠位電極を含むサブセットなどの1つ以上のアノード-カソードサブセットにグループ化され得る。いくつかの実施形態では、遠位電極は、膨張可能な部材の少なくとも一部分を含み得る。本明細書で使用されたように、近位は、アブレーションデバイスのハンドルに向かっており、遠位は、アブレーションデバイスの先端に向かっている。
【0046】
[0060] 使用されるとき、ペーシングデバイス(130)は、患者(図示せず)に好適に結合され得、かつ心臓刺激のために装置(120)の心臓刺激器(128)によって生成された心臓ペーシング信号を受信するように構成され得る。ペーシング信号の指標は、心臓刺激器(128)によって信号生成器(122)に送信され得る。ペーシング信号に基づいて、電圧パルス波形の指標は、プロセッサ(124)によって選択、計算、及び/又は別様に識別され、信号生成器(122)によって生成され得る。いくつかの実施形態では、信号生成器(122)は、ペーシング信号の指標と同期して、(例えば、共通の不応性窓内で)パルス波形を生成するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、共通の不応性窓は、心室ペーシング信号の実質的に直後に(又は非常に小さい遅延の後に)開始し、その後約250ミリ秒以下の持続期間続く。そのような実施形態では、パルス波形全体は、この持続期間内に送達され得る。
【0047】
[0061] プロセッサ(124)は、1組の命令又はコードを実施及び/又は実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであり得る。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又は同様のものであり得る。プロセッサは、システム及び/又はそれに関連するネットワーク(図示せず)に関連するアプリケーションプロセス及び/又は他のモジュール、プロセス及び/又は機能を実施及び/又は実行するように構成され得る。基礎となるデバイス技術は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)などの金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合ロジック(ECL)などのバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマー及び金属共役ポリマー金属構造)、アナログとデジタルとの混合など、様々な構成要素タイプで提供され得る。
【0048】
[0062] メモリ(126)は、データベース(図示せず)を含み得、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどであり得る。メモリ(126)は、プロセッサ(124)に、パルス波形生成、及び/又は心臓ペーシングなど、システム(100)に関連付けられたモジュール、プロセス、及び/又は機能を実行させる命令を記憶し得る。
【0049】
[0063] システム(100)は、例えば、1つ以上のネットワークを介して他のデバイス(図示せず)と通信し得、ネットワークの各々は、任意のタイプのネットワークであり得る。無線ネットワークとは、いかなる種類のケーブルによっても接続されていない、任意のタイプのデジタルネットワークを指し得る。しかしながら、無線ネットワークは、インターネット、他の通信事業者の音声及びデータネットワーク、ビジネスネットワーク、ならびにパーソナルネットワークとインターフェース接続するために、有線ネットワークに接続し得る。有線ネットワークは、典型的には、銅線のツイストペア、同軸ケーブル、又は光ファイバケーブルで搬送される。ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、グローバルエリアネットワーク(GAN)、例えば、インターネット、及び仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む、多くの異なるタイプの有線ネットワークがある。以下、ネットワークとは、典型的にはインターネットを通じて相互接続される、組み合わされた無線、有線、公衆、及び私設データネットワークの任意の組み合わせを指し、統合されたネットワーキング及び情報アクセスソリューションを提供する。
【0050】
アブレーションデバイス
[0064] 本明細書において説明されるシステムは、心室性不整脈などの適応症を治療するために、心室の組織をアブレーションするように構成された1つ以上の多電極アブレーションデバイスを含み得る。
図2Aは、カテーテルシャフト(210)及びカテーテルシャフト(210)の遠位端に結合された膨張可能な部材(例えば、バルーン)(240)を含むアブレーションデバイス(200)(例えば、アブレーションデバイス(110)と構造的及び/又は機能的に類似)の側面図である。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(200)は、本明細書において説明されるように、心室の内部表面など、フォーカルアブレーションを介して病変を心内膜表面に形成するために有用である。膨張可能な部材(240)の遠位部分は、組織への外傷を低減する(例えば、組織穿刺の可能性を防止及び/もしくは低減する)非侵襲的形状を含み得、ならびに/又は非侵襲的形状で形成され得る。カテーテルシャフト(210)及び膨張可能な部材(240)は、心内腔(例えば、左心室)への前進のためにサイズ決定され得る。カテーテルシャフト(210)は、
図3に関してより詳細に示され議論されるように、偏向可能なように可撓性であり得る。本明細書において説明されたカテーテルシャフトのいずれも、それを通るシャフト内腔を含み得る。1組の導線及び/又は流体(例えば、生理食塩水)は、シャフト内腔内に配置され得る。膨張可能な部材(240)は、第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間を移行するように構成され得る。第1の構成では、膨張可能な部材(240)は、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(200)を前進させるのを助けるために、カテーテルシャフト(210)の直径とほぼ同じ直径を有し得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(240)は、カテーテルシャフト(210)の長手方向軸(212)に対してほぼ平行であり得る。例えば、膨張可能な部材(240)は、圧縮された構成又はクリンプされた構成であり得る。第2の構成では、膨張可能な部材(240)は、その最大部分(例えば、その赤道面で)で約5mm~約15mmの範囲の断面直径を有し得る。例えば、膨張されたときの膨張可能な部材(240)は、長手方向軸から離れて偏倚し得る。膨張可能な部材(240)又はその一部分は、パルス波形を組織に送達するためのアノード又はカソードとして構成され得る伝導性外部表面(例えば、
図2C)を含み得る。
【0051】
[0065]
図2A~
図2Dに示すように、1つ以上の電極(220、230)は、カテーテルシャフト(210)の表面に沿って配置された一連の金属バンド又はリングを含み得る。例えば、アブレーションデバイス(200)は、カテーテルシャフト(210)の遠位部分の表面に形成された第1の組の電極(220)(例えば、1つ以上の近位電極)を備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極(220、230)は、その全周に沿ってカテーテルシャフト(210)上に形成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極(220、230)は、カテーテルシャフト(210)の周囲の一部分の表面上に形成され得る。例えば、電極(220)は、カテーテルシャフト(210)の周囲を取り囲み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、二相動作のために誘電体コーティングの薄層によって完全に覆われ得る。
【0052】
[0066]
図2A~
図2Bでは、膨張可能な部材(240)の外部表面上には電極が形成されていない。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(200)は、第2の組の電極(230)(例えば、単一の遠位電極)を備え得る。第2の組の電極(230)は、カテーテルシャフト(210)の遠位部分の表面上の第1の組の電極(210)の遠位に形成され得る。いくつかの実施形態では、電極(220、230)は、カテーテルシャフト(210)の形状に適合するように形作られ得る。例えば、電極は、カテーテルシャフト(210)に圧入(例えば、クリンプされた)されるか、伝導性接着剤を使用して取り付けられ得る。カテーテルシャフト(210)は、電極(220、230)間に可撓性部分(例えば、偏向可能であり得る)を含み得、可撓性を高め、デバイス(200)を偏向させ、脈管構造を通って前進するのを助け得る。他の実施形態では、1つ以上の電極(220、230)は、可撓性を高めるためにらせん巻きを含み得る。
【0053】
[0067] 本明細書議論されたアブレーションデバイスのいずれかの電極のそれぞれは、カテーテルの近位部分に結合されたハンドル(図示せず)に繋がる絶縁導線(図示せず)に接続され得る。導線の各々の絶縁体は、絶縁破壊を伴わずに、その厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持し得る。他の実施形態では、導線の各々の絶縁体は、絶縁破壊を伴わずに、その厚さにわたって約200V~約3,000Vの電位差を維持し得、その間のすべての値及びサブ範囲を含む。これにより、電極及びそれに結合された膨張可能な部材が電気エネルギーを効果的に送達し、不可逆的電気穿孔を通って組織をアブレーションすることが可能になる。電極(220、230)は、例えば、
図1に関して上述したように、信号生成器(122)によって生成されたパルス波形を受信し得る。
【0054】
[0068] 第1の組の電極(220)は、1つ以上の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第2の組の電極(230)は、異なる組の導線を使用して電気的にともに結合され得る。膨張可能な部材(240)の外部表面は、1組の電気的伝導性部分を含み得、第2の組の電極(230)に結合され得、第1の組の電極(220)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(220)は、アノードとして構成され得、第2の組の電極(230)及び膨張可能な部材(240)は、カソードとして構成され得る。したがって、双極子は、第1の組の電極(220)と膨張可能な部材(240)との間に形成され得、組織(例えば、内部表面上又は心室内の心筋細胞)をアブレーションすることができる電界をもたらす。膨張可能な部材(240)及び第1の組の電極(220)は、互いに電気的に絶縁され得る。例えば、第2の組の電極(230)及び第1の組の電極(220)はそれぞれ、それぞれの絶縁導線に結合することができ、各導線が、絶縁破壊を伴わずに、その間の厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(220)は、電圧パルス波形の送達中に、第2の組の電極(230)とは反対の極性を有し得る。
【0055】
[0069] 第1及び第2の組の電極(220、230)は、組織への外傷を低減するために非外傷性形状を含み得る。例えば、電極(220、230)は、丸みを帯びた、平面状の、湾曲した、及び/又は尖っていない部分を含む非外傷性の形状を有し得る。例えば、
図2A~
図2Dの電極(220、230)は、リング電極であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(220)は、第2の組の電極(230)の近位のカテーテルシャフト(210)の任意の部分に沿って配置され得る。第2の組の電極(230)は、カテーテルシャフト(240)の表面上に配置され得、及び/又は膨張可能な部材(240)に電気的に結合されるように、膨張可能な部材(240)の表面と同一平面にあり得る。電極(220、230)は、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又はカテーテルシャフト(210)に沿った位置を有し得る。第1の組の電極(220)の電極間の間隔は、カテーテルシャフト(210)の遠位部分(例えば、偏向可能な部分)が所定量(例えば、約210度までの偏向)を偏向できるように構成され得る。例えば、偏向可能な部分は、第2の組の電極(230)及び膨張可能な部材(240)を含むカテーテルの一部分を、長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。
【0056】
[0070] いくつかの実施形態では、第1の組の電極(220)は、第1の組の電極(220)の近位端から遠位端まで約1mm~約12mmの長さを有するカテーテルシャフト(210)の一部分に沿って配置される電極を含み得る。第1の組の電極(220)は、カテーテルシャフト(210)が可撓性を維持し、かつ偏向を促進しながら、単一電極(例えば、アノード又はカソード)として機能するように、互いに離間し、1つ以上の絶縁リードを介してともに配線され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(220)は、第2の組の電極(230)から約2mm~約10mmの長さ離間し得る。
【0057】
[0071] 本明細書で議論されたアブレーションデバイスのそれぞれについて、電極(220、230)は、チタン、パラジウム、金、銀、白金又は白金合金などの生体適合性金属を含み得る。例えば、電極は、好ましくは、白金又は白金合金を含み得る。いくつかの実施形態では、近位電極は、二相性波形による容量性電圧送達を可能にする生体適合性コーティングを有し得る。各電極(220、230)は、絶縁破壊を伴わずに、その厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する導線を含み得る。他の実施形態では、導線の各々の絶縁体は、絶縁破壊を伴わずに、その厚さにわたって約200V~約3,000Vの電位差を維持し得、その間のすべての値及びサブ範囲を含む。絶縁導線は、アブレーションデバイス(200)の近位ハンドル部分まで走り得、そこから好適な電気コネクタに接続し得る。カテーテルシャフト(210)は、テフロン、ナイロン、ペバックスなどの可撓性ポリマー材料で作られ得る。
【0058】
[0072] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(220、230)の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信、又は感知するように構成され得る。電気生理学データは、エネルギー供給後に記録された電気生理学データを比較するために使用できる解剖学的マップを生成するために使用され得る。電気生理学データは、心臓内心電図信号データを含み得る。アブレーションデバイス(200)は、1つ以上のECG信号電極を含み得る。例えば、第1の組の電極(220)の1つ以上の電極は、ECG信号を受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ECG信号電極は、膨張可能な部材(240)(図示せず)の遠位端の表面に配置され得る。ECG信号電極は、それ自体の絶縁導線に結合され得る。ECG信号電極は、例えば、ECG信号電極を伝導性膨張可能な部材から電気的に絶縁するECG信号電極の周りの絶縁体のリングを使用して、膨張可能な部材(240)から電気的に絶縁され得る。これらの実施形態では、アブレーションデバイスを使用して、組織アブレーションの前及び/又は後に、マッピングカテーテルの代わりに電気生理学データを記録し得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(200)は、脈管構造内に配置されたアブレーションデバイスの位置データを生成し得る、位置センサーを含み得る。電気生理学データ及び位置データを使用して、電気生理学データの解剖学的マップを生成し得る。いくつかの実施形態では、位置センサーは、膨張可能な部材(240)の遠位端に配置された電磁コイルを含み得る。他の実施形態では、位置センサーは、カテーテルシャフト(210)の内腔内に配置され得る。
【0059】
[0073] いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240)は、第2の組の電極(230)に結合され得、使用中に信号生成器から組織にパルス波形を送達するように構成され得る。膨張可能な部材(240)は、カテーテルシャフト(210)の遠位部分に結合され得、かつ不可逆的電気穿孔エネルギーを組織に送達するためのアノード-カソード対の半分として機能するように伝導性に構成され得る。膨張可能な部材(240)は、第1の構成(例えば、
図2Aの収縮した膨張可能な部材)と第2の構成(例えば、
図2B~
図2Dの膨張した膨張可能な部材)との間を移行するように構成され得る。第1の構成の膨張可能な部材(240)は、脈管構造を通って前進するのに好適なコンパクトな収縮状態であり得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(240)は、生理食塩水などの流体を実質的に空にし得る。第2の構成の膨張可能な部材(240)は、膨張可能な部材(240)を所定のサイズ及び形状(例えば、心室の直径に接触する直径を有する)を満たし、及び膨張させる所定量の生理食塩水を保持し得る。膨張可能な部材(240)は、必要に応じて第1及び第2の構成の間の中間構成に移行して、例えば、内腔に適合するか、又は脈管構造を通ってデバイスを前進させ得る。
【0060】
[0074] いくつかの実施形態では、本明細書において説明された膨張可能な部材は、拡張可能な構造を有し得、かつポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、架橋ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体(POC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリマーブレンド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、シリコン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などを含むが、これらに限定されない材料で構成され得る。膨張可能な部材は、金属、絶縁体、ケブラー、ナイロン繊維などを含むが、これらに限定されない他の材料で埋め込まれ得る。
【0061】
[0075] 内腔(例えば、心室)内に配置された膨張可能な部材(240)の遠位部分は、カテーテル(200)の遠位部分の前進に対する後退止めとして機能し得る。膨張可能な部材(240)のサイズを修正し、カテーテルシャフト(210)の偏向を操作することにより、膨張可能な部材(240)は、標的組織部位に、例えば、左心室の壁の近傍に、又は接触して、などで、配置され得る。カテーテルシャフト(210)の遠位部分は、膨張可能な部材(240)が、組織内腔(例えば、心室)の内側放射状表面に接触するように構成され得る1組の電極(220、230)(例えば、電極(複数可)(112)と構造的及び/又は機能的に類似)を含み得る。いくつかの実施形態では、膨張時の膨張可能な部材(240)の断面直径は、膨張されたときの最大部分(例えば、赤道面)であり、約5mm~約15mmであり得る。膨張時の膨張可能な部材(240)の長さは、約22mmまでであり得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240)の長さは、第1の構成と第2の構成との間で実質的に同じであり得る。
【0062】
[0076] 膨張可能な部材(240)の近位端は、好適な導線に結合され得(例えば、第2の組の電極(230)を介して)、かつ
図1の信号生成器(122)に接続され得る。膨張可能な部材(240)は、カソードとして構成され得、かつ第1の組の電極(220)は、アノードとして構成され得、又はその逆でもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で詳細に説明されたように、1組の近位電極(220)及び膨張可能な部材(240)は、双極子を形成し得る。このように、第2の構成の膨張可能な部材(240)は、例えば、極性の任意の好適な組み合わせを使用した第1及び第2の組の電極(220、230)の活性化により、局所的又はフォーカル病変を直接生成するために、左心室の内壁に対して配置され得る。例えば、第1及び第2の組の電極(230、240)は、反対の極性で構成され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、少なくとも約200V/cmの強度を有する電界を生成するように構成され得る。
【0063】
[0077] 1つ以上の二相信号は、心室の所望の位置で組織が膨張可能な部材(240)と第1の組の電極(220)との間でアブレーションされ得るように、双極子に印加され得る。例えば、二相性パルス波形は、反対の極性の組の電極間で送達され得、結果として、膨張可能な部材の周りの領域における不可逆的な電気穿孔アブレーションのゾーンをもたらす。
【0064】
[0078] いくつかの実施形態では、膨張されたときの膨張可能な部材(240)は、心内膜組織に接触するように構成され得、一方、第2の構成の第2の組の電極(「近位電極」と称されることもある)は、心内膜組織に接触しないことがあり得る。血液プール及び組織を通る膨張可能な部材(240)と近位電極(220)との間の伝導によりアブレーションデバイス(200)によって生成された電界は、不可逆的電気穿孔を介した組織のフォーカルアブレーションをもたらし得る。
【0065】
[0079] 一般に、膨張されたときの膨張可能な部材(240)は、近位から遠位方向において非対称の形状を有し、そのため、膨張可能な部材(240)の一端(例えば、遠位端)は、膨張可能な部材(240)の他端(例えば、近位端)よりも球根状であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(240)は、カテーテルシャフト(210)の長手方向軸の周りで回転対称であり得る。そのような球根状の遠位部分は、デバイス(200)を心室内に配置するのを助けることができ、さらにフォーカルアブレーションのサイズと深さをさらに制御するのを助けることができる。このようにして、膨張されたときの膨張可能な部材(240)は、極性の任意の好適な組み合わせ使用して適切な電極(220、230)を作動させることにより、その上に病変を直接生成するために、例えば、心室の内部表面などの心内膜表面に対して配置され得る。例えば、膨張可能な部材(240)は、心内膜表面に配置され得、かつフォーカルアブレーションを介して病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。
【0066】
[0080] いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240)の外部表面は、1組の伝導性(例えば、金属化された)部分を含み得る。この構成では、膨張可能な部材(240)の外部表面と第1の組の電極(220)(例えば、近位電極)との間に双極子が形成され得る。例えば、膨張可能な部材(240)の外部表面は、生体適合性金属材料(例えば、金、銀、白金)の堆積、金属メッキ、印刷金属ナノ粒子インクなどを含み得る。膨張可能な部材の一部分は、金属箔を含み得る。膨張可能な部材(240)の外部表面上に配置された金属材料の密度は、第2の組の電極(230)(例えば、遠位リング電極)との電気的結合を確実にするようなものであり得る。第2の組の電極(230)は、膨張可能な部材(240)がそれぞれの導線に電気的に結合されるように、膨張可能な部材(240)の外部表面の1組の電気的伝導性部分に電気的に結合され得る。電極リードは、本明細書において説明された不可逆的な電気穿孔エネルギーの送達に好適であるように、十分な絶縁体及び高い絶縁強度で構成され得る。
【0067】
[0081]
図2Cに示されるように、アブレーションデバイス(200’)は、遠位端で膨張可能な部材(例えば、バルーン)(240’)に結合されたカテーテルシャフト(210’)を含み得る。第1の組の電極(220’)及び第2の組の電極(230’)は、カテーテルシャフト(210’)の表面に配置され、及び/又は表面と同一平面にあり得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240’)の1つ以上の部分は、伝導性であり得る。例えば、膨張可能な部材(240’)の外部表面全体は、伝導性であり得るか、又は膨張可能な部材(240’)の所定の部分が伝導性であり得、第2の組の電極(230’)に結合され得る。
図2Cに示されるように、膨張可能な部材の外部表面は、膨張可能な部材(240’)の端部の間で近位から遠位方向に延在する1組の離間した伝導性ストライプを有するもう1つの伝導性要素(例えば、パターン)(242’)を含み得る。1つ以上の伝導性要素(242’)は、互いに電気的に絶縁され得る。伝導性ストライプは、マスクされた電着などの技術によって形成され得る。いくつかの実施形態では、伝導性要素(242’)は、膨張可能な部材(240’)上に対称的に配置され得る。伝導性要素(242’)の各ストライプは、遠位電極(230’)に電気的に結合され得る。ストライプは、膨張可能な部材(240’)の近位端及び遠位端で、及び/又は膨張可能な部材(240’)の端部間で互いに交差し得る。膨張可能な部材(240’)は、伝導性要素(242’)の金属ストライプ間で、可撓性及び/又は拡張可能であり得る。伝導性要素(242’)は、第1の構成、第2の構成、及びその間の構成において導線との電気的結合を維持する方法で、膨張可能な部材(240’)上に配置され(例えば、堆積され)得る。伝導性要素(242’)は、膨張可能な部材(240’)に剛さ及び/又は剛性を提供し得、脈管構造を通って膨張可能な部材(240’)の前進を支援し得る。いくつかの実施形態では、伝導性要素(242’)は、1つ以上の螺旋形状の金属部分を含み得る。いくつかの実施形態では、伝導性要素(242’)は、インターレース構造(例えば、メッシュ形状)を含み得る。例えば、インターレース構造は、円形、平行四辺形、六角形などのうちの1つ以上を含む1組の多角形開口部(例えば、開口)を形成し得る。
【0068】
[0082]
図2Dに示されるように、アブレーションデバイス(200’’)は、遠位端で膨張可能な部材(例えば、バルーン)(240’’)に結合されたカテーテルシャフト(210’’)を含み得る。第1の組の電極(220’’)は、カテーテルシャフト(210’’)の外部表面に配置され得る。第2の組の電極(235’’)は、カテーテルシャフト(210’’)の内部表面に配置され得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240 ’’)の1つ以上の部分は、金属電極部分(245’’)(例えば、第2の電極)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の電極(245’’)は、膨張可能な部材の外部表面上に形成される唯一の電極である。膨張可能な部材表面(240’’)の一部分(245’’)は、金属であり得る。例えば、膨張可能な部材(240’’)の一部分(245’’)は、遠位部分であり得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240’’)は、カテーテルシャフト(210’’)の第1の長手方向軸に沿って膨張可能な部材(240’’)の遠位端まで延在する膨張可能な部材内腔(237’’)を画定し得る。導線(239’’)の近位端は、遠位電極(235’’)に結合し、膨張可能な部材内腔(237’’)を通って延在し、膨張可能な部材(240’’)の遠位端で電極部分(245’’)に結合し得る。したがって、電極部分(245’’)は、不可逆的な電気穿孔電圧パルスを送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(240’’)の部分(245’’)(例えば、金属で形成された)は、1つの極性の電極として構成され得、一方、第1の組の電極(220’’)(例えば、近位電極(複数可))は、反対の極性の電極(複数可)として構成され得る。
【0069】
[0083] いくつかの実施形態では、本明細書で議論された膨張可能な部材の金属化外部表面は、生体適合性材料の層によってさらに覆われ得る。生体適合性コーティングは、アブレーションデバイスによる組織への高電圧エネルギー送達によるフィブリン沈着の防止に役立ち得る。この構成では、膨張可能な部材の外部表面と第1の組の電極(例えば、近位電極)との間に双極子が形成され得る。しかしながら、アブレーションデバイスは、膨張可能な部材上の生体適合性コーティング全体に、容量的に1つ以上の二相性波形を使用してエネルギーを送達するように構成され得る。
【0070】
[0084] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(200)は、カテーテルシャフト(210)の外部表面上に配置された第2の組の電極(230)(例えば、遠位電極)を含み得ない。代わりに、膨張可能な部材(240)は、膨張可能な部材(240)を挟む、内側及び外側の金属化表面を含むように構成され得る。内側及び外側の金属化表面は、本明細書において説明された伝導性要素(242)の任意の組み合わせを含み得る。導線は、膨張可能な部材(240)の内側の金属化表面に直接接続され得る。この構成では、膨張可能な部材(240)と第1の組の電極(220)との間に双極子を形成され得る。
【0071】
[0085] 膨張可能な部材の所定の構成を使用する第1及び第2の組の電極の作動は、膨張可能な部材の膨張に基づいてフォーカルアブレーションスポットサイズを制御することにより、目標の正確なフォーカルアブレーションを提供し得る。本明細書において説明されたように、組織のフォーカルアブレーションは、心室性不整脈を治療するために使用され得る。例えば、アブレーションデバイスの膨張可能な部材が生理食塩水で部分的に満たされたとき、比較的小さい/より集中した直径を有する高強度電界は、直径が比較的小さく、深さが浅いフォーカルアブレーション病変をもたらす。アブレーションデバイスの膨張可能な部材が第2の構成(例えば、完全な膨張状態)にあるとき、比較的大きく、より分散した電界が生成され、比較的広く、より深いフォーカルアブレーション病変をもたらす。このようにして、膨張可能な部材の拡張の程度を変えることにより、病変の深さ及び/又はサイズは、単一のアブレーションデバイスで制御され得る。そのような態様は、同じアブレーションデバイスを使用して様々なサイズ及び/又は深度の複数の患部を創出するのに有用である。生理食塩水は、膨張可能な部材を膨張させるために使用され得、伝導のためには使用され得ない。(非多孔性である)膨張可能な部材が穿刺されるか、又は別様に破損した場合、生理食塩水は、膨張可能な部材から安全に漏れ出得る。
【0072】
[0086] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(210)の遠位端は、膨張可能な部材(240)の内部空洞内に延在して、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(200)の前進を支援し得、かつアブレーションデバイス(200)の遠位端に剛さ、及び支持を提供し得る。追加された剛さは、操作者に追加の触覚フィードバックをさらに提供し得る。例えば、膨張可能な部材(240)の遠位端に結合されたカテーテルシャフト(210)の遠位端は、経中隔穿刺を通って膨張可能な部材(240)を前進させる際に十分な支持、及び剛さを提供し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(210)の遠位端は、カテーテルシャフト(210)の長手方向軸から離れて偏倚し、膨張可能な部材(240)の遠位端でともに接続する、膨張可能な部材内の1組のスプラインを含み得る。例えば、1組のスプラインは、カテーテルシャフト(210)及び膨張可能な部材(240)の内部表面に結合され、1組のスプラインが長手方向軸に対してほぼ平行である第1の構成と、1組のスプラインが長手方向軸から離れて偏倚する第2構成との間を移行するように、長手方向軸に沿って並進するように構成され得る。1組のスプラインは、バスケット状の形状を形成して、膨張可能な部材に剛さ、及び支持を提供し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(210)の遠位端は、膨張可能な部材(240)に近位のカテーテルシャフト(210)の剛性とは異なる所定の剛性で構成され得る。例えば、膨張可能な部材(240)内のカテーテルシャフト(210)の遠位端は、カテーテルシャフト(210)の偏向可能な部分よりも硬くなり得る。
【0073】
[0087] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(210)の1つ以上の遠位部分は、放射線不透過性部分を含み得る。例えば、カテーテルシャフト(210)の遠位部分は、膨張可能な部材(240)の空洞内に放射線不透過性プラチナコイルを含み得る。放射線不透過性部分は、患者の1つ以上の体腔内にアブレーションデバイス(200)を位置付け、及び配置する際に、操作者を支援するために蛍光透視下で撮像され得る。放射線不透過性部分は、1組のマーカーバンドを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(210)の遠位部分(例えば、遠位端)の1つ以上のスプラインは、そのスプラインの表面に形成された放射線不透過性部分(図示せず)を含み得る。追加的又は代替的に、位置センサーは、膨張可能な部材(240)内のカテーテルシャフト(210)の遠位端に結合され得る。
【0074】
[0088]
図3は、第2の組の電極(330)の近位に提供された第1の組の電極(320)及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)(340)を有するカテーテルシャフト(310)を含む、アブレーションデバイス(300)(例えば、アブレーションデバイス(110、200)と構造的及び/又は機能的に類似する)の別の実施形態の側面図である。第1の組の電極は、カテーテルシャフト(310)の遠位部分の表面上に形成され得る。使用中、電極(320、330)は、本明細書でより詳細に説明されたように、組織(350)をアブレーションするためにパルス波形を送達するために心室に配置され得る。
【0075】
[0089] いくつかの実施形態では、ハンドル(図示せず)は、アブレーションデバイス(300)の近位部分に結合され得、かつカテーテルシャフトの遠位部(310)の形状を変更するように構成された曲げ機構(例えば、1つ以上のプルワイヤ(図示せず))を含み得る。例えば、ハンドルのプルワイヤの操作は、カテーテルシャフト(310)の遠位部分の偏向可能な部分(312)の曲率(例えば、カテーテルシャフト(310)の曲がり)を増加又は減少させ得る。いくつかの実施形態では、カテーテル(300)は、第2の組の電極(330)及び/又は第1の組の電極(320)の近位に偏向可能な部分(312)を有し得る。偏向可能な部分は、カテーテルシャフト(310)の長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。カテーテルシャフト(310)の偏向可能な部分(312)の曲率は、電極(320、330)及び膨張可能な部材(340)が組織表面(350)の近傍に、及び/又は接触して(例えば、心室の内側放射状表面と接触している)配置されるように修正され得る。このようにして、組織に対するアブレーションデバイス(300)の並置は、所望の位置及び配向で提供され得る(例えば、膨張可能な部材は、組織表面に対して垂直であり得るか、角度を付けられ得るか、又は平行であり得る)。
【0076】
[0090] いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1の組の電極(320)と、アノードの組及びカソードの組で構成された膨張可能な部材(340)との間に印加され得る。本明細書に開示されたパルス波形のいずれも、組のアノード-カソード対に漸進的又は連続的に適用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(320)は、電圧パルス波形の送達中に、第2の組の電極(330)とは反対の極性を有し得る。電極(320、330)は、一連の金属バンド又はリングを含み得、いくつかの実施形態では、独立してアドレス指定可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(320)の少なくとも2つの電極の導線は、例えば、ハンドル内など、アブレーションデバイスの近位部分において、又はその近傍で、電気的に結合され得る。
【0077】
[0091]
図5Aは、カテーテルシャフト(510)及びカテーテルシャフト(510)の遠位端に結合された膨張可能な部材(例えば、バルーン)(540)を含むアブレーションデバイス(500)(例えば、アブレーションデバイス(110)と構造的及び/又は機能的に類似)の側面図である。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(500)は、フォーカルアブレーションを介して病変を心内膜表面(555)に形成するために有用である。
図5Bは、組織表面(555)上にフォーカルアブレーション病変を生成するのに十分に高い電界強度の組織アブレーションゾーンに対応し得る空間ゾーン(530、532)を示す。
図5Aに示されるように、膨張可能な部材(540)は、一般に、第2の電極として構成され得、少なくとも部分的に金属であり得る部分(545)を有し得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(500)の第1の組の電極(520)は、カソードとして構成され得、かつ第2の電極(545)は、アノードとして構成され得、又はその逆でもよい。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(520)は、電圧パルス波形の送達中に、第2の電極(545)とは反対の極性を有し得る。第1の組の電極(520)は、カテーテルシャフト(510)の遠位部分の表面上に形成され得る。膨張可能な部材(540)の平面状遠位の第2の電極(545)は、心室壁(555)などの、組織表面に対して配置され得る。第2の構成の膨張可能な部材(540)は、円形断面を有し得る。例えば、膨張可能な部材(545)は、約12mmの直径を有し得、約2,000Vの電位差は、アノード(520)電極とカソード(545)電極との間に印加され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(520)は、それぞれ約3mmの幅、及び隣接する電極間の約3mmの間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(520)の最遠位電極は、少なくとも約5mmだけ膨張可能な部材(540)から分離され得る。
【0078】
[0092]
図5Bは、約2,000Vの電位差がアノード(520)とカソード(545)との間に印加され、遠位平面状電極(545)が組織壁(555)に対して配置されたときに、少なくとも約460V/cmの大きさの電界強度に対応する第1及び第2の空間ゾーン(530、532)を示す。組織壁(555)と重なる第2の空間ゾーン(532)は、約7mmの深さ、及び約20mmの幅を有し得る。
【0079】
[0093] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(500’)は、膨張可能な部材(540’)の近位端から離れて面する凹状表面を有する遠位部分を有する膨張可能な部材(540’)を含み得る。
図5C及び5Dに示すように、膨張可能な部材(540’)は、第1の湾曲部分(544’)及び第2の湾曲部分(545’)を含み得る。第1の湾曲部分(544’)は、
図5Eに示されるように、心内膜表面(555’)と接触するように構成された膨張可能な部材(540’)の一部分を含み得る。
【0080】
[0094] いくつかの実施形態では、例えば、
図5Cに示すように、膨張可能な部材(540’)は、カテーテルシャフト(510’)の遠位端から膨張可能な部材(540’)の遠位端までカテーテルシャフト(510’)の第1の長手方向軸に沿って延在する膨張可能な部材内腔(537’)を含み得る。導線(539’)の近位端は、第2の組の電極(535’)(例えば、遠位電極)に結合し、膨張可能な部材内腔(537’)を通って延在して、膨張可能な部材の遠位端(540’)の電極部分(545’)に結合し得る。したがって、電極部分(545’)は、不可逆的な電気穿孔電圧パルスを送達するように構成され得る。第1の組の電極(520’)及び部分(545’)は、反対の極性で構成され得る。
【0081】
[0095]
図5Dは、膨張可能な部材(540’)の遠位表面の実質的に全体を覆う金属の凹部(545’)を有する
図5Cの膨張可能な部材(540’)の斜視図である。例えば、膨張可能な部材(545’)は、約12mmの直径を有し得、例えば、約2,000Vの電位差は、膨張可能な部材(545’)(例えば、アノード)と第1の組の電極(520’)(例えば、カソード)との間に印加され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(520’)は、約3mmの幅、及びそれらの間の約3mmの間隔を有し得る。第1の組の電極(520’)の最遠位電極は、膨張可能な部材(540’)から約5mm分離され得る。第1の組の電極(520’)は、約3mmの幅、及びそれらの間の約3mmの間隔を有し得る。第1の組の電極(520’)の最遠位電極は、膨張可能な部材(540’)から約7mm離れ得る。これらの寸法は、例示のみを目的として例として提供されており、臨床応用に便利であると思われる他の値を選択し得る。
【0082】
[0096]
図5Eは、フォーカルアブレーション病変を生成するのに十分な電界強度に対応する第1及び第2の空間ゾーン(530’、532’)を示す。第2のアブレーションゾーン(532’)は、膨張可能な部材(540’)が組織壁(555’)に対して配置されたときの組織アブレーションゾーンに対応し得る。いくつかの実施形態では、電極の第2のセット(535’)及び膨張可能部材(540’)の部分(545’)(例えば、金属を含む)は、1つの極性の電極として構成され得、一方、電極の第1のセット(520’)(例えば、近位電極(複数可))は、反対の極性の電極(複数可)として構成され得る。
図5Eは、約2,000Vの電位差がアノード(520’)電極とカソード(545’)電極との間に印加され、遠位湾曲電極部分(545’)(例えば、凹状)が組織壁(555’)に対して配置されたときに、少なくとも約460V/cmの大きさを有する電界強度に対応する第1及び第2の空間ゾーン(530’、532’)を示す。組織壁(555’)と重なる第2の空間ゾーン(532’)は、約5mmの深さ、及び約21mmの幅を有し得る。いくつかの変形例では、第2の空間ゾーン(532’)は、約10mmまでの深さ、及び約30mmまでの幅を有し得る。
【0083】
[0097]
図5F及び5Gは、カテーテルシャフト(510’’)及びカテーテルシャフトの遠位端(510’’)に結合された膨張可能な部材(540’’)を含むアブレーションデバイス(500’’)(例えば、アブレーションデバイス(110)と構造的及び/又は機能的に類似)を示す。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(500’’)は、フォーカルアブレーションを介して、心内膜表面に病変を形成するのに有用である。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(540’’)は、多面的な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、多面体形状は、一般に、多面体の1つ以上の面(511’’)の部分に配置された1つ以上の第2の電極(504’’)を有する多面体形状であり得る。第1の組の電極(520’)は、カテーテルシャフト(510’)上に配置され得る。膨張可能な部材(540’)は、一般に、第2の組の電極の電極として構成され得、かつ金属を含み得る、1つ以上の第2の電極部分(504’’)を有し得る。第2の構成における膨張可能な部材(540’’)は、1つ以上の面(511’’)を備えた多面体形状を有し得る。第2の電極部分(504’’)は、電気的にともに配線されて単一の電極として機能するか、又は独立した電極として別々に配線され得る。
図5Fは、6つの面(511’’)上に第2の電極部分(504’)を有する、十二面体形状の膨張可能な部材(540’’)を示す。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(520’’)は、電圧パルス波形の送達中に、第2の電極部分(504’’)とは反対の極性を有し得る。いくつかの実施形態では、多面体の1つ以上の面(511’’)は、曲面を有し得る。
【0084】
[0098] いくつかの実施形態では、本明細書において説明されたように、第2の組の電極の第2の電極部分(504’’)のうちの1つ以上は、ECG信号を受信するように構成され得る。1つ以上の第2の電極部分(504’’)によって受信されたECG信号の強度及び/又はパターンは、組織(例えば、心腔壁)を有する第2の電極部分(504’’)のそれぞれが接触するレベルを決定するために使用され得る。第2の組の電極部分(504’’)は、アノード又はカソードとして構成されるECG信号を使用して選択され得る。したがって、膨張可能な部材(540’’)の対応する面(511’’)に配置された1つ以上の第2の電極部分(504’’)は、組織接触に対応するECG信号強度に基づく組織アブレーションに使用され得る。いくつかの実施形態では、面(511’’)の縁部(例えば、多面体表面)は、「柔らかい」面を形成するように丸みを帯び得る。
【0085】
[0099] いくつかの実施形態では、面(511’’)上に配置された第2の組の電極(504’’)の1つ以上は、それらの面(511’’)組織表面に接触するように構成されたポケットを形成し得る。これらの面(511’’)の縁部(515’’)は、面(511’’)自体よりも高い剛性を有し得、第2の構成の膨張可能な部材(540’’)が1つ以上の凹面を有する多面体形状(511’’)を形成し得る。
【0086】
[0100]
図5Gは、膨張可能な部材(540’’)の1つ以上の面(511’’、512’’、513’’、514’’)の一部分上に金属化電極(504’’)が配置された、ほぼ多面体形状を有する膨張可能な部材(540’’)を有するアブレーションデバイス(500’’)の別の斜視図である。)のいくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(510’’)は、生理食塩水を注入して膨張可能な部材(540’’)を膨張させるように構成されたカテーテルシャフト内腔(図示せず)を画定し得る。導線も、カテーテルシャフト内腔内に配置され得、かつ1つ以上の電極(504’’)に接続するように構成され得る。面(511’’、512’’、513’’、514’’)の縁部(515’’)は、丸みを帯び得、第2の構成にあるときに、凹面の面が形成されるよう、面の表面よりも高い剛性を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の構成の膨張可能な部材(540’)の直径は、約6mm~約22mmであり得る。第1の組の電極(520’’)は、膨張可能な部材(540’’)の近位端から少なくとも約3mm以上分離され得る。金属化電極部分(504’’)は、約6mm~約15mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(540’’’)の1つ以上の面(511’’’)の縁部(522’’’)は、湾曲し得る。
図5Hに示すように、第2の組の電極の1つ以上の電極部分(504’’’)は、膨張可能な部材(540’’’)の面(511’’’)上に配置され得る。湾曲した縁部(522’’’)(例えば、多面体表面)は、柔らかい面(511’’’)を形成し得る。
【0087】
[0101]
図5Iは、カテーテルシャフト(510’’’’)及び、カテーテルシャフト(510’’’’)の遠位端に結合された膨張可能な部材(例えば、バルーン)(540’’’’)を含むアブレーションデバイス(500’’’’)(例えば、アブレーションデバイス(110)と構造的及び/又は機能的に類似)を示す。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(500’’’’)は、フォーカルアブレーションを介して病変を心内膜表面に形成するために有用である。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(540’’’’)は、環状の膨張可能な部材内腔(533’’’’)(例えば、環状の形状を有する)を画定し得、かつ第1の電極部分を備えた遠位面(545’’’’)を含み得る。遠位面(545’’’’)は、実質的に平面状の部分を有し得る。第2の電極(535’’’’)(針)は、膨張可能な部材内腔(533’’’’)内に配置され得、かつ膨張可能な部材(540’’’’)の長手方向軸に沿って、膨張可能な部材内腔(533’’’’)から遠位に延在し得る。膨張可能な部材(540’’’’)は、第1電極として金属化及び構成され得る、平面状遠位面(545’’’’)を有し得る。膨張可能な部材内腔(533’’’’)によって画定された環状の空間は、第2の電極(535’’’’)と第1の電極部分(545’’’’)とが反対の電気極性で分極されたときのフラッシュアークを防ぐために、第2の電極を環状の膨張可能な部材(540’’’’)から第2の電極(535’’’’)を分離し得る。例えば、針は、約8mm~約10mm長さを有し得る。膨張可能な部材(540’’’’)は、約12mmの直径を有し得る。膨張可能な部材内腔(533’’’’)は、約4mm~約8mmの直径を有し得る。
【0088】
[0102]
図5Jは、約2,000Vの電位差が電極(535’’’’)と電極部分(545’’’’)との間に印加され、平面状遠位電極(545’’’’)が組織壁(555’’’’)に配置されたときに、少なくとも約460V/cmの大きさの電界強度に対応する空間ゾーン(532’’’’)を示す。組織壁(555’’’’)と重なる空間ゾーン(532’’’’)は、約10mmの深さ及び約14mmの幅を有し得る。
【0089】
[0103]
図11は、第2の組の電極(1130、1132)の近位に提供された第1の組の電極(1120)及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)(1140)を有するカテーテルシャフト(1110)を含む、アブレーションデバイス(1100)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、500、500’、500’’、500’’’’)と構造的及び/又は機能的に類似する)の別の実施形態の側面図である。第1の組の電極(1120)は、カテーテルシャフト(1110)の遠位部分の表面上に形成され得る。すなわち、第1の組の電極(1120)は、カテーテルシャフト(1110)の遠位端の表面上に形成され得る。第2の組の電極(1130、1132)は、膨張可能な部材(1140)の遠位端の表面上に形成され得、かつ第1の組の電極(1120)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極(1132)の長軸(例えば、長手方向軸)は、カテーテルシャフト(1110)及び/又は膨張可能な部材(1140)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。
【0090】
[0104] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1100)は、心室の内部表面など、フォーカルアブレーションを介して心内膜表面に病変を形成するのに有用である。使用中、電極(1120、1130、1132)は、本明細書でより詳細に説明されたように、パルス波形を送達して、組織をアブレーションするために心室に配置され得る。膨張可能な部材(1140)の遠位部分は、組織への外傷を低減する(例えば、組織穿刺の可能性を防止及び/又は低減する)非外傷性形状を含み、及び/又は形成され得る。カテーテルシャフト(1110)及び膨張可能な部材(1140)は、心内膜空間(例えば、左心室)への前進のための大きさであり得る。カテーテルシャフト(1110)は、偏向可能なように可撓性であり得る。例えば、カテーテルシャフト(1110)の偏向可能な部分は、第2の組の電極(1130、1132)及び膨張可能な部材(1140)を含むカテーテル(1100)の一部分を、長手方向軸に対して相対的に約210度まで偏向するように構成され得る。膨張可能な部材(1140)は、第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間を移行するように構成され得る。第1の構成では、膨張可能な部材(1140)は、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(1100)を前進させるのを助けるために、カテーテルシャフト(1110)の直径とほぼ同じ直径を有し得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(1140)は、カテーテルシャフト(1110)の長手方向軸に対してほぼ平行であり得る。第2の構成の膨張可能な部材(1140)は、長手方向軸から離れて偏倚し得る。第1の組の電極(1120)は、
図2A~
図2Dに関して説明された電極(220、230)と構造的及び/又は機能的に類似し得る。
【0091】
[0105] 第1の組の電極(1120)は、1つ以上の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第2の組の電極(1130、1132)は、異なる組の導線を使用して電気的にともに結合され得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材(1140)は、第2の組の電極(1130、1132)に電気的に結合され得る。第1の組の電極(1120)と第2の組の電極(1130、1132)との間で、電気的に結合された膨張可能な部材(1140)に送達された電圧パルス波形は、所定のサイズ及び形状のフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1120)は、アノードとして構成され得、一方、第2の組の電極(1130、1132)及び膨張可能な部材(240)は、カソードとして構成され得、又はその逆でもよい。したがって、第1の組の電極(1120)と膨張可能な部材(1140)との間に双極子が形成され得、かつ組織(例えば、内部表面上又は心室内の心筋細胞)をアブレーションすることができる電界をもたらす。膨張可能な部材(1140)及び第1の組の電極(1120)は、互いに電気的に絶縁され得る。例えば、第2の組の電極(1130、1132)及び第1の組の電極(1120)はそれぞれ、それぞれの絶縁導線に結合することができ、各導線は、絶縁破壊を伴わずに、その間の厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する。
【0092】
[0106] 第1及び第2の組の電極(1120、1130、1132)は、組織への外傷を低減するために非外傷性形状を含み得る。例えば、第1の組の電極(1120)は、リング電極であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1120)は、第2の組の電極(1130、1132)の近位のカテーテルシャフト(1110)の任意の部分に沿って配置され得る。第1の組の電極(1120)は、カテーテルシャフト(1110)が可撓性を維持し、かつ偏向を促進しながら、単一電極(例えば、アノード又はカソード)として機能するように、互いに離間し、1つ以上の絶縁リードを介してともに配線され得る。第2の組の電極(1130、1132)は、膨張可能な部材(1140)の表面上に配置され得、及び/又は膨張可能な部材(1140)に電気的に結合されるように、膨張可能な部材(1140)の表面と同一平面にあり得る。第2の組の電極(1130、1132)は、膨張可能な部材(1140)に沿った、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又は位置を有し得る。
【0093】
[0107] 例えば、第2の組の電極(1130、1132)は、遠位先端電極(1130)、及び膨張可能な部材(1140)の周囲に配置された、ほぼ円形又は楕円形形状の電極(1132)の組を含み得る。例えば、第2の組の電極(1130)は、長手方向軸に対してほぼ垂直である近似平面上の膨張可能な部材(1140)上に形成され得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1130、1132)の各電極は、ともに配線され得る。他の実施形態では、第2の組の電極(1130、1132)の電極のサブセットは、電気的にともに配線され得、一方、他のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得る。いくつかの実施形態では、遠位先端電極(1132)は、第1の組の電極(1120)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1130、1132)の各電極は、独立してアドレス可能であり得る。遠位先端電極(1132)は、膨張可能な部材(1440)の遠位部分に形成され得、かつ第1の組の電極(1120)から電気的に絶縁され得る。遠位先端電極(1132)は、約3mm~約10mmの範囲の直径を有し得る。
【0094】
[0108] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1120、1132)の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信、又は感知するように構成され得る。アブレーションデバイス(1100)は、1つ以上のECG信号電極を含み得る。例えば、第2の組の電極(1130、1132)の1つ以上の電極は、ECG信号を受信するように構成され得る。遠位先端電極(1130)などのこれらのECG信号電極は、それ自体の絶縁導線に結合され得る。ECG信号電極は、例えば、ECG信号電極の周りの絶縁体のリングを使用して、膨張可能な部材(1140)から電気的に絶縁され得る。これらの実施形態では、アブレーションデバイスを使用して、組織アブレーションの前及び/又は後に、マッピングカテーテルの代わりに、電気生理学データを記録し得る。
【0095】
[0109] 1つ以上の二相信号は、心室の所望の位置で、膨張可能な部材(1140)と第1の組の電極(1120)との間で、組織をアブレーションし得るように、双極子に印加し得る。いくつかの実施形態では、第2の構成の膨張可能な部材(1140)は、心内膜組織に接触するように構成され得、一方、第2の構成の第1の組の電極(1130)は、心内膜組織に接触し得ない。血液プール及び組織を通る膨張可能な部材(1140)と第1の組の電極(1120)との間の伝導によりアブレーションデバイス(1100)によって生成された電界は、不可逆的電気穿孔を介した組織のフォーカルアブレーションをもたらし得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1140)は、近位から遠位方向において非対称の形状を有し、そのため、膨張可能な部材(1140)の一端(例えば、遠位端)は、膨張可能な部材(1140)の他端(例えば、近位端)よりも球根状であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1140)は、カテーテルシャフト(1110)の長手方向軸の周りで回転対称であり得る。この構成では、膨張可能な部材(1140)は、心内膜表面に接触し得、かつフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。
【0096】
[0110] いくつかの実施形態において、カテーテルシャフト(1110)は、
図3に示されたのと同じ方法で、第1の組の電極(1120)と第2の組の電極(1130)との間に偏向可能な部分を含み得る。偏向可能な部分は、カテーテルシャフト(1110)の長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ(例えば、流体源)は、膨張可能な部材に結合され得、かつ、例えば、加圧生理食塩水を使用することによって、膨張可能な部材を第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間で移行するように構成され得る。
【0097】
[0111]
図12は、第2の組の電極(1230)の近位に提供された第1の組の電極(1220)及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)(1240)を有するカテーテルシャフト(1210)を含む、アブレーションデバイス(1200)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、500、500’、500’’、500’’’’、1100)と構造的及び/又は機能的に類似する)の別の実施形態の側面図である。第1の組の電極(1220)は、カテーテルシャフト(1210)の遠位部分の表面に形成され得る。すなわち、第1の組の電極(1220)は、カテーテルシャフト(1210)の遠位端の表面上に形成され得る。第2の組の電極(1230)は、膨張可能な部材(1240)の遠位端の表面上に形成され得、かつ第1の組の電極(1220)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1200)は、心室の内部表面など、フォーカルアブレーションを介して心内膜表面に病変を形成するのに有用である。使用中、電極(1220、1230)は、本明細書でより詳細に説明されたように、パルス波形を送達して、組織をアブレーションするために心室に配置され得る。膨張可能な部材(1240)の遠位部分は、組織への外傷を低減する非外傷性形状を含み、及び/又は形成され得る。カテーテルシャフト(1210)及び膨張可能な部材(1240)は、心内膜空間(例えば、左心室)への前進のための大きさであり得る。カテーテルシャフト(1210)は、偏向可能なように可撓性であり得る。例えば、カテーテルシャフト(1210)の偏向可能な部分は、第2の組の電極(1230)及び膨張可能な部材(1240)を含むカテーテル(1200)の一部分を、長手方向軸に対して相対的に約210度まで偏向するように構成され得る。膨張可能な部材(1240)は、第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間を移行するように構成され得る。第1の構成では、膨張可能な部材(1240)は、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(1200)を前進させるのを助けるために、カテーテルシャフト(1210)の直径とほぼ同じ直径を有し得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(1240)は、カテーテルシャフト(1210)の長手方向軸に対してほぼ平行であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1240)は、長手方向軸から離れて偏倚し得る。第1の組の電極(1220)は、
図2A~
図2Dに関して説明された電極(220、230)と構造的及び/又は機能的に類似し得る。
【0098】
[0112] 第1の組の電極(1220)は、1つ以上の導線を使用して互いに電気的に結合され得る。第2の組の電極(1230)のうちの1つ以上は、異なる組の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第1の組の電極(1220)と第2の組の電極(1230)との間に送達された電圧パルス波形は、所定のサイズ及び形状のフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1220)は、アノードとして構成され得、一方、第2の組の電極(1230)は、カソードとして構成されて得、又はその逆も同様である。したがって、第1の組の電極(1220)と第2の組の電極(1230)との間に双極子が形成され得、かつ組織(例えば、内部表面上又は心室内の心筋細胞)をアブレーションすることができる電界が生じる。第2の組の電極(1230)及び第1の組の電極(1220)は、互いに電気的に絶縁され得る。例えば、第2の組の電極(1230)及び第1の組の電極(1220)はそれぞれ、それぞれの絶縁導線に結合することができ、各導線は、絶縁破壊を伴わずに、その間の厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する。
【0099】
[0113] 第1及び第2の組の電極(1220、1230)は、組織への外傷を低減するために非外傷性形状を含み得る。例えば、第1の組の電極(1220)は、リング電極であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1220)は、第2の組の電極(1230)の近位のカテーテルシャフト(1210)の任意の部分に沿って配置され得る。第1の組の電極(1220)は、カテーテルシャフト(1210)が可撓性を維持し、かつ偏向を促進しながら、単一電極(例えば、アノード又はカソード)として機能するように、互いに離間し、1つ以上の絶縁リードを介してともに配線され得る。第2の組の電極(1230)は、膨張可能な部材(1240)の表面上に配置され得、及び/又は膨張可能な部材(1240)に電気的に結合されるように、膨張可能な部材(1240)の表面と同一平面にあり得る。第2の組の電極(1230)は、膨張可能な部材(1240)に沿った、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又は位置を有し得る。
【0100】
[0114] 例えば、第2の組の電極(1230)は、膨張可能な部材(1240)の周囲に配置された、ほぼ円形の電極の組を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1230)の各電極は、ともに配線され得る。他の実施形態では、第2の組の電極(1230)の電極のサブセットは、電気的にともに配線され得、一方、他のサブセットは、独立してアドレス指定可能であり得る。
【0101】
[0115] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1220)の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信、又は感知するように構成され得る。アブレーションデバイス(1200)は、1つ以上のECG信号電極を含み得る。例えば、第2の組の電極(1230)の1つ以上の電極は、ECG信号を受信するように構成され得る。これらのECG信号電極は、それ自体の絶縁導線に結合され得る。これらの実施形態では、アブレーションデバイスを使用して、組織アブレーションの前及び/又は後に、マッピングカテーテルの代わりに、電気生理学データを記録し得る。
【0102】
[0116] 1つ以上の二相性信号は、心室の望ましい位置で、膨張可能な部材(1240)の遠位又は周囲の組織をアブレーションし得るように、第1の組の電極(122)及び第2の組の電極(1230)によって形成された双極子に印加し得る。例えば、二相性のパルス波形は、組の電極間で送達され得、その結果、膨張可能な部材の周りの領域に不可逆的な電気穿孔アブレーションのゾーンがもたらされる。膨張されたときの膨張可能な部材(1240)は、近位から遠位方向において非対称の形状を有し、そのため、膨張可能な部材(1240)の一端(例えば、遠位端)は、膨張可能な部材(1240)の他の端(例えば、近位端)よりも球根状であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1240)は、カテーテルシャフト(1210)の長手方向軸の周りで回転対称であり得る。この構成では、膨張可能な部材(1240)は、心内膜表面に配置し得、かつフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。電極リードは、本明細書において説明された不可逆的な電気穿孔エネルギーの送達に好適であるように、十分な絶縁体及び高い絶縁強度で構成され得る。
【0103】
[0117] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(1210)は、いくつかの実施形態では第1の組の電極(1220)と第2の組の電極(1230)との間に、又は他の実施形態では第1の組の電極(1220)の近位に、偏向可能な部分を含み得る。偏向可能な部分は、カテーテルシャフト(1210)の長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ(例えば、流体源)は、膨張可能な部材に結合され得、かつ、例えば、加圧生理食塩水を使用することによって、膨張可能な部材を第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間で移行するように構成され得る。
【0104】
[0118]
図13は、第2の組の電極(1330、1332)の近位に提供された第1の組の電極(1320)及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)(1340)を有するカテーテルシャフト(1310)を含む、アブレーションデバイス(1300)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、500、500’、500’’、500’’’’、1100、1200)と構造的及び/又は機能的に類似する)の別の実施形態の側面図である。第1の組の電極(1320)は、カテーテルシャフト(1310)の遠位部分の表面上に形成され得る。すなわち、第1の組の電極(1320)は、カテーテルシャフト(1310)の遠位端の表面上に形成され得る。第2の組の電極(1330、1332)は、膨張可能な部材(1340)の遠位端の表面上に形成され得、かつ第1の組の電極(1320)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極(1332)の長軸(例えば、長手方向軸)は、カテーテルシャフト(1310)及び/又は膨張可能な部材(1340)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。
【0105】
[0119] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1300)は、心室の内部表面など、フォーカルアブレーションを介して心内膜表面に病変を形成するのに有用である。使用中、電極(1320、1330、1332)は、本明細書でより詳細に説明されたように、パルス波形を送達して、組織をアブレーションするために心室に配置され得る。膨張可能な部材(1340)の遠位部分は、組織への外傷を低減する非外傷性形状を含み、及び/又は形成され得る。カテーテルシャフト(1310)及び膨張可能な部材(1340)は、心内膜空間(例えば、左心室)への前進のための大きさであり得る。カテーテルシャフト(1310)は、偏向可能なように可撓性であり得る。例えば、カテーテルシャフト(1310)の偏向可能な部分は、第2の組の電極(1330、1332)及び膨張可能な部材(1340)を含むカテーテル(1300)の一部分を、長手方向軸に対して相対的に約210度まで偏向するように構成され得る。膨張可能な部材(1340)は、第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間を移行するように構成され得る。第1の構成では、膨張可能な部材(1340)は、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(1300)を前進させるのを助けるために、カテーテルシャフト(1310)の直径とほぼ同じ直径を有し得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(1340)は、カテーテルシャフト(1310)の長手方向軸に対してほぼ平行であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1340)は、長手方向軸から離れて偏倚する場合がある。第1の組の電極(1320)は、
図2A~
図2Dに関して説明された電極(220、230)と構造的及び/又は機能的に類似し得る。
【0106】
[0120] 第1の組の電極(1320)は、1つ以上の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第2の組の電極(1330、1332)は、異なる組の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第1の組の電極(1320)と第2の組の電極(1330、1332)との間に送達された電圧パルス波形は、所定のサイズ及び形状のフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1320)は、アノードとして構成され得、一方、第2の組の電極(1330、1332)は、カソードとして構成され得、又はその逆でもよい。第2の組の電極(1330、1332)及び第1の組の電極(1320)は、互いに電気的に絶縁され得る。例えば、第2の組の電極(1330、1332)及び第1の組の電極(1320)はそれぞれ、それぞれの絶縁導線に結合することができ、各導線は、絶縁破壊を伴わずに、その間の厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する。
【0107】
[0121] 第1及び第2の組の電極(1320、1330、1332)は、組織への外傷を低減するために非外傷性形状を含み得る。例えば、第1の組の電極(1320)は、リング電極であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1320)は、第2の組の電極(1330、1332)に近位のカテーテルシャフト(1310)の任意の部分に沿って配置され得る。第1の組の電極(1320)は、カテーテルシャフト(1310)が可撓性を維持し、かつ偏向を促進しながら、単一電極(例えば、アノード又はカソード)として機能するように、互いに離間し、1つ以上の絶縁リードを介してともに配線され得る。第2の組の電極(1330、1332)は、膨張可能な部材(1340)の表面上に配置され得、及び/又は膨張可能な部材(1340)に電気的に結合されるように、膨張可能な部材(1340)の表面と同一平面にあり得る。第2の組の電極(1330、1332)は、膨張可能な部材(1340)に沿った、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又は位置を有し得る。
【0108】
[0122] 例えば、第2の組の電極(1330、1332)は、遠位先端電極(1330)、及び膨張可能な部材(1340)の周囲に配置された、ほぼ楕円形形状の電極(1332)の組を含み得る。例えば、第2の組の電極(1330)は、長手方向軸に対してほぼ垂直である近似平面上の膨張可能な部材(1340)上に形成され得る。いくつかの実施形態では、各電極(1332)の長手方向軸は、カテーテルシャフト(1310)及び/又は膨張可能な部材(1340)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1330、1332)の各電極は、ともに配線され得る。他の実施形態では、第2の組の電極(1330、1332)の電極のサブセットは、電気的に互いに配線され得、一方、他のサブセット(例えば、遠位先端電極)は、独立してアドレス指定可能であり得る。いくつかの実施形態では、遠位先端電極(1332)は、第1の組の電極(1320)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1330、1332)の各電極は、独立してアドレス可能であり得る。遠位先端電極(1330)は、膨張可能な部材(1340)の遠位部分に形成され得、かつ第1の組の電極(1320)から電気的に絶縁され得る。
【0109】
[0123] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1320、1330、1332)の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信、又は感知するように構成され得る。アブレーションデバイス(1300)は、1つ以上のECG信号電極を含み得る。例えば、第2の組の電極(1330、1332)の1つ以上の電極は、ECG信号を受信するように構成され得る。遠位先端電極(1330)などのこれらのECG信号電極は、それ自体の絶縁導線に結合され得る。これらの実施形態では、アブレーションデバイスを使用して、組織アブレーションの前及び/又は後に、マッピングカテーテルの代わりに、電気生理学データを記録し得る。
【0110】
[0124] 膨張されたときの膨張可能な部材(1340)は、近位から遠位方向において非対称形状を有し、そのため、膨張可能な部材(1340)の一端(例えば、遠位端)は、膨張可能な部材(1340)の他の端(例えば、近位端)よりも球根状であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1340)は、カテーテルシャフト(1310)の長手方向軸の周りで回転対称であり得る。この構成では、膨張可能な部材(1340)は、心内膜表面に配置し得、かつフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。電極リードは、本明細書において説明された不可逆的な電気穿孔エネルギーの送達に好適であるように、十分な絶縁体及び高い絶縁強度で構成され得る。
【0111】
[0125] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(1310)は、第1の組の電極(1320)と第2の組の電極(1330)との間に、又は第1の組の電極(1320)の近位に、偏向可能な部分を含み得る。偏向可能な部分は、カテーテルシャフト(1310)の長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ(例えば、流体源)は、膨張可能な部材に結合され得、かつ、例えば、加圧生理食塩水を使用することによって、膨張可能な部材を第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間で移行するように構成され得る。
【0112】
[0126]
図14は、第2の組の電極(1430、1432)の近位に提供された第1の組の電極(1420)及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)(1440)を有するカテーテルシャフト(1410)を含む、アブレーションデバイス(1400)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、500、500’、500’’、500’’’’、1100、1200、1300)と構造的及び/又は機能的に類似する)の別の実施形態の側面図である。第1の組の電極(1420)は、膨張可能な部材(1440)の近位部分の表面上に形成され得る。例えば、第1の組の電極(1420)は、膨張可能な部材(1440)の赤道面の近位に形成され得る。本明細書で使用されたように、膨張可能な部材(1440)の赤道面は、膨張されたときの膨張可能な部材(1440)の最大断面直径と交差する平面を指す。すなわち、膨張可能な部材(1440)の近位部分は、その最大部分で膨張可能な部材(1440)の断面直径より近位にある。第2の組の電極(1430、1432)は、赤道面に対して遠位の膨張可能な部材(1440)の表面に形成され得、かつ第1の組の電極(1420)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1420)及び第2の組の電極(1432)の長軸(例えば、長手方向軸)は、カテーテルシャフト(1410)及び/又は膨張可能な部材(1440)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。
【0113】
[0127] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1400)は、心室の内部表面など、フォーカルアブレーションを介して心内膜表面に病変を形成するのに有用である。使用中、電極(1420、1430、1432)は、本明細書でより詳細に説明されたように、パルス波形を送達して、組織をアブレーションするために心室に配置され得る。膨張可能な部材(1440)の遠位部分は、組織への外傷を低減する非外傷性形状を含み、及び/又は形成され得る。カテーテルシャフト(1410)及び膨張可能な部材(1440)は、心内膜空間(例えば、左心室)への前進のための大きさであり得る。カテーテルシャフト(1410)は、偏向可能なように可撓性であり得る。例えば、カテーテルシャフト(1410)の偏向可能な部分は、第1の組の電極(1420)及び第2の組の電極(1430、1432)及び膨張可能な部材(1440)を含むカテーテル(1400)の一部分を、長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。膨張可能な部材(1440)は、第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間で移行するように構成され得る。第1の構成では、膨張可能な部材(1440)は、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(1400)を前進させるのを助けるために、カテーテルシャフト(1410)の直径とほぼ同じ直径を有し得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(1440)は、カテーテルシャフト(1410)の長手方向軸に対してほぼ平行であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1440)は、長手方向軸から離れて偏倚し得る。
【0114】
[0128] 第1の組の電極(1420)は、1つ以上の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第2の組の電極(1430、1432)は、異なる組の導線を使用して電気的にともに結合され得る。したがって、双極子は、第1の組の電極(1420)と第2の組の電極(1430、1432)との間に形成され得、組織(例えば、内部表面上又は心室内の心筋細胞)をアブレーションすることができる電界をもたらす。例えば、第2の組の電極(1430、1432)及び第1の組の電極(1420)はそれぞれ、それぞれの絶縁導線に結合することができ、各導線は、絶縁破壊を伴わずに、その間の厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する。
【0115】
[0129] 第1及び第2の組の電極(1420、1430、1432)は、組織への外傷を低減するために非外傷性形状を含み得る。例えば、第1の組の電極(1420)は、膨張可能な部材(1440)の周囲に配置された、組のほぼ楕円形形状の電極(1420)の組を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1420)は、第2の組の電極(1430、1432)の近位の膨張可能な部材(1440)の任意の部分に沿って配置され得る。第1の組の電極(1420)は、単一電極(例えば、アノード又はカソード)として機能するように、互いに離間し、1つ以上の絶縁リードを介してともに配線され得る。第2の組の電極(1430、1432)は、膨張可能な部材(1430、1432)の遠位端に配置され、第1の組の電極(1420)から電気的に絶縁され得る。
【0116】
[0130] 第1及び第2の組の電極(1420、1430、1432)は、膨張可能な部材(1440)に沿った、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又は位置を有し得る。例えば、第1及び第2の組の電極(1420、1430、1432)の1つ以上の電極は、ほぼ楕円形の形状を有し得る。例えば、第2の組の電極(1430、1432)は、遠位先端電極(1430)、及び膨張可能な部材(1440)の周囲に配置された、ほぼ楕円形形状の電極(1432)の組を含み得る。いくつかの実施形態では、各電極(1420、1432)の長手方向軸は、カテーテルシャフト(1410)及び/又は膨張可能な部材(1440)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1430、1432)の各電極は、ともに配線され得る。他の実施形態では、第2の組の電極(1430、1432)の電極のサブセットは、電気的にともに配線され得、一方、他のサブセット(例えば遠位先端電極)は、独立してアドレス可能であり得る。いくつかの実施形態では、遠位先端電極(1432)は、第1の組の電極(1420)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1420、1430、1432)の1つ以上の電極は、独立してアドレス可能であり得る。遠位先端電極(1430)は、膨張可能な部材(1440)の遠位部分に形成され得る。
【0117】
[0131] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1420、1430、1432)の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信、又は感知するように構成され得る。アブレーションデバイス(1400)は、1つ以上のECG信号電極を含み得る。例えば、第2の組の電極(1430、1432)の1つ以上の電極は、ECG信号を受信するように構成され得る。遠位先端電極(1430)などのこれらのECG信号電極は、それ自体の絶縁導線に結合され得る。これらの実施形態では、アブレーションデバイスを使用して、組織アブレーションの前及び/又は後に、マッピングカテーテルの代わりに、電気生理学データを記録し得る。
【0118】
[0132] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1420、1430、1432)は、使用中に信号生成器から組織にパルス波形を送達するように構成され得る。膨張可能な部材(1440)は、カテーテルシャフト(1410)の遠位部分に結合され得、かつ不可逆的電気穿孔エネルギーを組織へ送達するために構成され得る。第1の組の電極(1420)及び第2の組の電極(1430、1432)は、パルス波形の送達中に、反対の電気極性を有し得る。
【0119】
[0133] 血液プール及び組織を通る第2の組の電極(1430、1432)と第1の組の電極(1420)と間の伝導によりアブレーションデバイス(1400)によって生成された電界は、不可逆的電気穿孔を介した組織のフォーカルアブレーションをもたらし得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1440)は、近位から遠位方向において非対称形状を有し、そのため、膨張可能な部材(1440)の一端(例えば、遠位端)は、膨張可能な部材(1440)の他端(例えば、近位端)よりも球根状であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1440)は、カテーテルシャフト(1410)の長手方向軸の周りで回転対称であり得る。この構成では、膨張可能な部材(1440)は、心内膜表面に配置され得、かつフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。電極リードは、本明細書において説明された不可逆的な電気穿孔エネルギーの送達に好適であるように、十分な絶縁体及び高い絶縁強度で構成され得る。
【0120】
[0134] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(1410)は、カテーテルシャフト(1410)の遠位部分などの偏向可能な部分を含み得る。偏向可能な部分は、カテーテルシャフト(1410)の長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ(例えば、流体源)は、膨張可能な部材に結合され得、かつ、例えば、加圧生理食塩水を使用することによって、膨張可能な部材を第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間で移行するように構成され得る。
【0121】
[0135]
図15は、第2の組の電極(1530、1532、1534)の近位に提供された第1の組の電極(1520)及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)(1540)を有するカテーテルシャフト(1510)を含む、アブレーションデバイス(1500)(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、500、500’、500’’、500’’’’、1100、1200、1300、1400)と構造的及び/又は機能的に類似する)の別の実施形態の側面図である。第1の組の電極(1510)は、カテーテルシャフト(1510)の遠位部分の表面上に形成され得る。すなわち、第1の組の電極(1520)は、カテーテルシャフト(1510)の遠位端の表面上に形成され得る。第2の組の電極(1530、1532、1534)は、膨張可能な部材(1540)の表面上に形成され得、かつ第1の組の電極(1520)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極(1532、1534)の長軸(例えば、長手方向軸)は、カテーテルシャフト(1510)及び/又は膨張可能な部材(1540)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。
【0122】
[0136] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイス(1500)は、心室の内部表面など、フォーカルアブレーションを介して心内膜表面に病変を形成するのに有用である。使用中、電極(1520、1530、1532、1534)は、本明細書でより詳細に説明されたように、パルス波形を送達して、組織をアブレーションするために心室に配置され得る。膨張可能な部材(1540)の遠位部分は、組織への外傷を低減する非外傷性形状を含み、及び/又は形成され得る。カテーテルシャフト(1510)及び膨張可能な部材(1540)は、心内膜空間(例えば、左心室)への前進のための大きさであり得る。カテーテルシャフト(1510)は、偏向可能なように可撓性であり得る。例えば、カテーテルシャフト(1510)の偏向可能な部分は、第2の組の電極(1530、1532、1534)及び膨張可能な部材(1540)を含むカテーテル(1500)の一部分を、長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。膨張可能な部材(1540)は、第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間を移行するように構成され得る。第1の構成では、膨張可能な部材(1540)は、脈管構造を通ってアブレーションデバイス(1500)を前進させるのを助けるために、カテーテルシャフト(1510)の直径とほぼ同じ直径を有し得る。例えば、第1の構成の膨張可能な部材(1540)は、カテーテルシャフト(1510)の長手方向軸に対してほぼ平行であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1540)は、長手方向軸から離れて偏倚し得る。第1の組の電極(1520)は、
図2A~
図2Dに関して説明された電極(220、230)と構造的及び/又は機能的に類似し得る。
【0123】
[0137] 第1の組の電極(1520)は、1つ以上の導線を使用して電気的にともに結合され得る。第2の組の電極の近位電極(1534)及び第2の組の電極の遠位電極(1532、1530)は、異なる組の導線を使用してそれぞれ別々に電気的に配線され得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1520)は、アノードとして構成され得、一方、第2の組の電極(1530、1532、1534)は、カソードとして構成され得、又はその逆でもよい。代替実施形態では、第1の組の電極(1520)及び第2の組の電極の近位電極(1534)は、アノードとして構成され得、一方、第2の組の電極の遠位電極(1532、1530)は、カソードとして構成され得、又はその逆でもよい。例えば、第2の組の電極の近位電極(1534)、第2の組の電極の遠位電極(1532、1530)、及び第1の組の電極(1520)はそれぞれ、それぞれの絶縁導線に結合することができ、各導線は、絶縁破壊を伴わずに、その厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持するのに十分な電気絶縁体を有する。
【0124】
[0138] 第1及び第2の組の電極(1520、1530、1532、1534)は、組織への外傷を低減するために非外傷性形状を含み得る。例えば、第1の組の電極(1520)は、リング電極であり得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極(1520)は、第2の組の電極(1530、1532、1534)の近位のカテーテルシャフト(1510)の任意の部分に沿って配置され得る。第1の組の電極(1520)は、カテーテルシャフト(1510)が可撓性を維持し、かつ偏向を促進しながら、単一電極(例えば、アノード又はカソード)として機能するように、互いに離間し、1つ以上の絶縁リードを介してともに配線され得る。第2の組の電極(1530、1532、1534)は、膨張可能な部材(1540)の表状面に配置され、及び/又は膨張可能な部材(1540)の表面と同一平面にあり得る。第2の組の電極(1530、1532)は、膨張可能な部材(1540)に沿った、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又は位置を有し得る。
【0125】
[0139] 例えば、第2の組の電極(1530、1532、1534)は、遠位先端電極(1530)、及び膨張可能な部材(1540)の周囲に配置された、ほぼ楕円形形状の電極(1532、1534)の組を含み得る。いくつかの実施形態では、各電極(1532、1534)の長軸(例えば、長手方向軸)は、カテーテルシャフト(1510)及び/又は膨張可能な部材(1540)の長手方向軸に対して実質的に平行であり得る。いくつかの実施形態では、遠位先端電極(1532)は、第1の組の電極(1520)から電気的に絶縁され得る。いくつかの実施形態では、第2の組の電極(1530、1532、1534)の各電極は、独立してアドレス可能であり得る。遠位先端電極(1530)は、膨張可能な部材(1540)の遠位部分に形成され得、かつ第1の組の電極(1520)から電気的に絶縁され得る。
【0126】
[0140] いくつかの実施形態では、第2の組の電極は、第1の組の電極と電気的に結合され得る。例えば、第1の組の電極(1520)及び第2の組の電極の近位電極(1534)は、1つ以上の導線を使用して電気的にともに結合され得る。いくつかの実施形態では、近位電極(1534)は、膨張されたときの膨張可能な部材(1540)の最大断面直径の近位に形成され得る。すなわち、膨張可能な部材(1540)の近位部分は、その最大部分で膨張可能な部材(1540)の断面直径より近位にある。この構成では、第2の組の電極の遠位電極(1530、1532)は、第2の構成において組織に接触するように構成され得、一方、第1の組の電極(1520)及び第2の組の電極の近位電極(1534)は、第2の構成において組織と非接触になるように構成され得る。
【0127】
[0141] いくつかの実施形態では、第1及び第2の組の電極(1520、1530、1532、1534)の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信、又は感知するように構成され得る。アブレーションデバイス(1500)は、1つ以上のECG信号電極を含み得る。例えば、第2の組の電極(1530、1532、1534)の1つ以上の電極は、ECG信号を受信するように構成され得る。遠位先端電極(1530)などのこれらのECG信号電極は、それ自体の絶縁導線に結合され得る。これらの実施形態では、アブレーションデバイスを使用して、組織アブレーションの前及び/又は後に、マッピングカテーテルの代わりに、電気生理学データを記録し得る。
【0128】
[0142] 膨張されたときの膨張可能な部材(1540)は、近位から遠位方向において非対称形状を有し、そのため、膨張可能な部材(1540)の一端(例えば、遠位端)は、膨張可能な部材(1540)の他端(例えば、近位端)よりも球根状であり得る。膨張されたときの膨張可能な部材(1540)は、カテーテルシャフト(1510)の長手方向軸の周りで回転対称であり得る。この構成では、膨張可能な部材(1540)は、心内膜表面に配置し得、かつフォーカルアブレーションを介して、病変(例えば、スポット病変)を形成するために使用され得る。電極リードは、本明細書において説明された不可逆的な電気穿孔エネルギーの送達に好適であるように、十分な絶縁体及び高い絶縁強度で構成され得る。
【0129】
[0143] いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト(1510)は、第1の組の電極(1520)と第2の組の電極(1530)との間に偏向可能な部分を含み得る。他の実施形態では、偏向可能な部分は、第1の組の電極(1520)の近位にあり得る。偏向可能な部分は、カテーテルシャフト(1510)の長手方向軸に対して約210度まで偏向するように構成され得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ(例えば、流体源)は、膨張可能な部材に結合され得、かつ、例えば、加圧生理食塩水を使用することによって、膨張可能な部材を第1の構成(例えば、収縮状態)と第2の構成(例えば、膨張状態)との間で移行するように構成され得る。
【0130】
[0144]
図11~
図15に関して本明細書において説明された実施形態では、第1の組の電極は、第2の組の電極から約2mm~約10mm離間し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極は、約2mm~約12mmの長さを有するカテーテルシャフトの一部分上に形成され得る。いくつかの実施形態では、膨張されたときの膨張可能な部材は、その最大部分で約5mm~約15mmの有効断面直径を有する形状を有し得る。いくつかの実施形態では、膨張可能な部材は、約22mmまでの長さを有し得る。例えば、膨張可能な部材は、第1の構成及び第2の構成において実質的に同じ長さを有し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極の1つ以上の電極は、約1mm~約5mmの幅を有し得、かつ約1mm~約5mm離間し得る。いくつかの実施形態では、第1の組の電極の最遠位電極は、膨張されたときの膨張可能な部材の近位端から少なくとも約5mmだけ離間し得る。
【0131】
II.方法
[0145] また、上記のシステム及びデバイスを使用して心臓腔中の組織をアブレーションするための方法も本明細書において説明される。心臓腔は、右心室、左心室、及び/又は右心房、左心房のうちの1つ以上を含み得る。一般に、本明細書において説明された方法は、心室などの1つ以上のチャンバーと接触するデバイスを導入及び配置することを含む。パルス波形は、組織をアブレーションするために、デバイスの1つ以上の電極及び膨張可能な部材(例えば、バルーン)によって送達され得る。いくつかの実施形態では、心臓ペーシング信号は、送達されたパルス波形を心周期と同期させ得る。追加的又は代替的に、パルス波形は、総エネルギー送達を削減するために階層の複数のレベルを含み得る。このように実行された組織アブレーションは、健康な組織への損傷を減らすために、ペーシングされた心拍と同期して、より少ないエネルギー送達で送達され得る。本明細書において説明されたアブレーションデバイスのいずれかを使用して、必要に応じて以下において説明された方法を使用して組織をアブレーションできることを理解されたい。
【0132】
[0146] いくつかの実施形態では、本明細書において説明されたアブレーションデバイスは、不整脈を引き起こすと特定された心臓の特徴/構造のフォーカルアブレーションのために使用され得る。例えば、心臓電気生理学診断カテーテル(マッピングカテーテルなど)を使用して、リエントラント回路及び心室瘢痕組織などの心臓構造をマッピングし得、その後、本明細書において説明されたアブレーションデバイスのいずれかを使用してフォーカルアブレーションを通してアブレーションすることができる。フォーカルアブレーションは、例えば、周囲の組織を温存しながらリエントラント回路を中和する、スポット病変を創出し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のフォーカルアブレーション病変は、心臓不整脈を治療するために、1つ以上の箱型又は線状の病変と組み合わせて形成され得る。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、システムは、フォーカルアブレーションを介して病変を創出するのに有用な1つ以上のマッピングカテーテル、1つ以上のアブレーションデバイス(例えば、
図2A~
図2C及び
図3に示す)を含むことができる。
【0133】
[0147] 一般に、
図4A~
図4Bに示すように、方法(400)は、心室の心内膜空間へのデバイス(例えば、アブレーションデバイス(110、200、300、500、500’、500’’、500’’’’、1100、1200、1300、1400、1500)の導入を含む。アブレーションデバイスは、第1の構成で導入され得、かつ心室内で第2の構成に移行し得る。一旦心室内に配置されると、電圧パルス波形は、心周期の不応期の間で組織に印加され得る。心室の電気生理学データは、アブレーションの有効性を判断するために記録され得る。
【0134】
[0148] 方法(400)は、患者においてアクセス部位を創出することから始まり得る(402)。例えば、治療のために左心室にアクセスするために、順行性送達アプローチは、使用され得、その場合、第1のアクセス部位は、患者の大腿静脈を介し得る。ガイドワイヤは、大腿静脈を介してアクセス部位に前進され、患者の右心房に前進され得る(404)。拡張器及び偏向可能なシースは、ガイドワイヤ上で右心房の中に前進させられ得る(406)。シースは、例えば、約210度まで偏向するように構成され得る。拡張器は、隔壁を通して右心房から左心房に前進させられ、経中隔開口部を創出し得る(408)。例えば、拡張器は、経中隔開口部を創出するために、右心房から心房中隔を通して左心房の中に前進させられ得る。心房中隔には、患者の卵円窩が含まれ得る。経中隔開口部は、拡張器を使用して拡張され得る(410)。例えば、拡張器は、シースから外に前進させられ得、かつ卵円窩を突いて経中隔開口部を創出するために使用され得る(患者がヘパリン化されていると仮定)。代替的に、経中隔針(例えば、ブロッケンブロー針)を使用して、経中隔開口部を創出し得る。シースは、経中隔開口部を通して右心房から左心房の中に前進させられ得る(412)。アブレーションデバイスは、僧帽弁を介して、ガイドワイヤ上で左心室の中に前進させられ得る(414)。代替的に、左心室は、逆行性アプローチによってアクセスされ得、その場合、第1のアクセス部位は、患者の大腿動脈を介し得、かつガイドワイヤ及びアブレーションデバイスは、患者の大動脈を通り、その後、大動脈弁を通り左心室に前進し得る。右心室の治療のために、第1のアクセス部位は、再び患者の大腿静脈を介し得、ガイドワイヤ及びアブレーションデバイスは、患者の右心房の中に前進し、次いで三尖弁を通り右心室に前進し得る。
【0135】
[0149] いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスは、カテーテルシャフト内腔、及びシャフト内腔を通って延在する1組の絶縁導線を含み得る。カテーテルシャフトは、シャフトの表面上に形成された1つ以上の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、膨張可能な部材の1つ以上の部分上に配置され得る。例えば、電極は、膨張可能な部材の遠位端上に配置され得る。1つ以上の電極は、心室から電気生理学信号を受信するように構成され得る。
図4A~
図4Bの方法では、アブレーションデバイスは、心室の電気生理学データを記録するように構成され得る。いくつかの実施形態では、アブレーションデバイスが電気生理学データを記録できるようにするために、アブレーションデバイスは、心室(例えば、左心室)内の第1の構成から第2の構成に移行し得る(416)。いくつかの実施形態において、膨張可能な部材は、アブレーションデバイスのハンドルを使用して、第1の構成と第2の構成との間で移行され得る。例えば、ハンドルは、膨張可能な部材内の生理食塩水の体積を制御する生理食塩水流量制御機構を含み得る。ハンドルは、膨張可能な部材の構成を示すために生理食塩水量インジケータをさらに含み得る。第2の構成のアブレーションデバイスは、アブレーションデバイスを使用して電気生理学データを記録するように構成され得る(418)。例えば、カテーテルシャフト及び膨張可能な部材上の1つ以上の電極は、電気生理学データを記録するためのECG信号を受信するように構成され得る。
【0136】
[0150] 他の実施形態では、別個の診断でバイアス(例えば、マッピングカテーテル)を使用して、治療される心室の電気生理学データを記録し得る。電気生理学データを使用して解剖学的マップを生成し、これを使用して、エネルギー送達(例、アブレーション)後に記録された電気生理学データを比較し得る。診断でバイアスは、大腿静脈又は頸静脈を介して選択された心室に進められ得る。これらの実施形態では、診断デバイス(例えば、第2のカテーテル)は、選択された心室の中にアブレーションデバイスを前進させる代わりに、ステップ(412)の後、ガイドワイヤ上で、右心室(三尖弁を介して)又は心室(左心房及び僧帽弁を介して)に前進させられ得る。第2のカテーテルは、1つ以上の心室の電気生理学データを記録するために使用され得る。完了したら、診断でバイアスは、ガイドワイヤ上で身体から引き抜かれ得、その後、アブレーションデバイスは、ガイドワイヤ上で選択された心室の中に前進させられ得る。
【0137】
[0151] さらに
図4A~
図4Bを参照すると、第2のアクセス部位は、心臓刺激用の導線又はカテーテルを患者の心臓に前進させるために、患者において創出され得る。例えば、第2のアクセス部位は、患者の頸静脈を介し得る。心臓刺激のためのデバイスは、第2のアクセス部位(例えば、右心室の頂点近傍)を通り右心室の中に前進させられ得る(420)。ペーシング信号は、心臓刺激器によって生成され得、かつ心臓の心臓刺激のために心臓に適用され得る。ペーシング信号の表示は、心臓刺激器から信号生成器に送信され得る。いくつかの実施形態では、操作者は、ペーシング捕捉を確認し、心室が意図したとおりにペーシング信号に応答していると判断し得る。例えば、ペーシング補足は、信号生成器上のECGディスプレイ上で確認され得る。ペーシング補足の確認は、ペーシングによるQ波の強制的な周期性によるペーシングと同期してアブレーションが送達されるという点で、安全機能である。
【0138】
[0152] アブレーションデバイスは、組織アブレーションのために構成されたパルス波形を送達するために、標的心室に向かって前進させ得る(422)。特に、第2の構成のアブレーションデバイスは、心臓の心室に向かって前進させられて、組織表面に接触し得る。シースは、必要に応じて偏向させて、アブレーションデバイスを標的心室に向けられ得る。膨張可能な部材は、膨張可能な部材が所定の位置で心室に対して膨張可能な部材に接触するように膨張する第2の構成に移行され得る。アブレーションデバイスが心臓内の所定の位置に配置されて1つ以上のパルス波形を送達すると、延長ケーブルを使用して、信号生成器をアブレーションデバイスのハンドルの近位端に電気的に結合し得る。ペーシングデバイスを使用して、右心室をペーシングした(424)後、アブレーションデバイスを使用して、心室にパルス波形を送達して、標的心室の一部分の組織をアブレーションし得る(426)。パルス波形は、ペーシング信号と同期して配信され得る。
【0139】
[0153] 図に詳細に説明されたように(例えば、
図5A~
図5J)、アブレーションデバイスは、心室の心筋組織の領域に電界強度を生成するように構成され得る(例えば、リエントラント回路であり得る、など)、組織に不可逆的な電気穿孔を引き起こすのに十分な大きさである。例えば、
図5Dのアブレーションデバイスの膨張可能な部材は、組織表面と接触し得、かつ、
図5Eの空間ゾーン(532)によって示されるように、約5mm~約8mmの深さで心室を貫通し、1つ以上のフォーカルアブレーション病変を形成する、1組の高強度電界線を生成するために使用され得る。空間ゾーン(532)に対応するアブレーションゾーンは、広く、かつ深くなり得る。膨張可能な部材のサイズは、電界の深さ及び強度を制御するために修正され得る。これにより、エネルギーは、より効率的に送達され、そのため、送達された総エネルギーが最小である組織アブレーションが可能になる。
【0140】
[0154] 不可逆的電気穿孔パルス電界療法の送達のために構成されたアブレーションデバイスの例が本明細書において説明されたが、本明細書において説明された例は例示目的のみのために提供され、当業者は本発明の範囲から逸脱することなく他の変形を考案し得る。例えば、様々な材料、多面体側面、電極直径、デバイスの寸法、電圧レベル、近位電極、及び他のそのような詳細が可能であり、本発明の範囲から逸脱することなく、当面の用途に都合がよいように実装することができる。カテーテルシャフトは、カテーテルハンドルからの偏向を制御することにより、様々な偏向を受け得る。膨張可能な部材の実施形態に配置された金属化電極部分は、ECG信号記録又は不可逆的電気穿孔療法送達又はその両方に使用され得る。
【0141】
[0155] 本明細書で議論されたように、パルス波形は、アブレーションデバイスに結合された信号生成器によって生成され得る。信号生成器は、アブレーションデバイスのハンドルの近位端に電気的に結合され得る。例えば、延長ケーブルは、信号生成器をハンドルの近位端に電気的に結合し得る。いくつかの実施形態では、パルス波形は、ペーシング信号に関する時間オフセットを含み得る。いくつかの実施形態では、パルス波形は、第1の組のパルスを含むパルス波形の階層の第1のレベルを含み得る。各パルスは、パルス時間持続期間と、連続するパルスを分離する第1の時間間隔とを有する。パルス波形の階層の第2のレベルは、複数の第1の組のパルスを第2の組のパルスとして含み得る。第2の時間間隔は、連続する第1の組のパルスを分離し得る。第2の時間間隔は、第1の時間間隔の持続期間の少なくとも3倍であり得る。パルス波形の階層の第3のレベルは、複数の第2の組のパルスを第3の組のパルスとして含み得る。第3の時間間隔は、連続する第2の組のパルスを分離し得る。第3の時間間隔は、第2のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも30倍であり得る。パルス波形の階層の第4のレベルは、複数の第3の組のパルスを第4の組のパルスとして含み得る。第4の時間間隔は、連続する第3の組のパルスを分離し得る。第4の時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも10倍であり得る。
【0142】
[0156] 第2の構成のアブレーションデバイスの1つ以上の電極は、標的心室の電気生理学信号を受信するように構成され得、かつ標的心室の電気生理学データを記録するために使用され得る(428)。電気生理学データは、アブレーションの前に記録されたベースラインデータと比較して、アブレーションが成功したかどうかを判断し得る(430)。
【0143】
[0157] 他の実施形態では、アブレーションデバイスは、ガイドワイヤ上で心臓から引き抜かれ得、かつマッピングカテーテルは、ガイドワイヤ上で前進させられ、標的心室のアブレーション後の電気生理学データを記録し得る。電気生理学データ及び所定の基準に基づいてアブレーションが成功しない場合(430-いいえ)、プロセスは、追加のパルス波形の送達のためにステップ426に戻り得る。パルス波形パラメータは、同じであるか、又は後続のアブレーションサイクルで変更され得る。
【0144】
[0158] 電気生理学データの分析が心室部分のアブレーションが成功したことを示す場合(例えば、組織部分が電気的に無音である)(430-はい)、決定は、アブレーションする他の標的心室部分で行われ得る(432)。別の標的心室部分は、選択される得(424)、他の心室部分がアブレーションされたとき、プロセスは、ステップ422に戻り得る。標的心室間で切り替えるとき、膨張可能な部材は、少なくとも部分的に収縮し得、アブレーションデバイスは、組織の別の部分に向かって前進され得る。他の部分がアブレーションされない場合(432-NO)、アブレーションデバイス、心臓刺激器、シース、ガイドワイヤなどは、患者から除去され得る(436)。
【0145】
[0159] 他の実施形態では、診断デバイス(例えば、マッピングカテーテル)を使用して、アブレーションデバイスによりパルス波形が組織に送達された後、心室の電気生理学データを記録し得る。これらの実施形態では、ステップ426又は436の後、アブレーションデバイスをガイドワイヤ上で患者から引き抜き、診断デバイスをガイドワイヤ上で心室内に前進させて、組織アブレーションを受けた標的心室の電気生理学データを記録し得る。
【0146】
[0160] 本明細書において説明されたステップのいずれかについて、アブレーションデバイスの放射線不透過性部分は、オペレータを支援するために蛍光透視下で撮像され得ることに留意されたい。例えば、視覚的確認は、第2の構成の膨張可能な部材が心室と接触していること、又は心室に対する膨張可能な部材と電極の並置を視覚的に確認するために、蛍光透視下の撮像を通して実行され得る。複数の角度からの撮像を使用して、位置決めを確認し得る。
【0147】
[0161] 本開示の例及び説明は、例示的な目的に役立ち、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、膨張可能な部材の特性、電極の数などの、逸脱及び変形を構築ならびに展開できることを理解されたい。
【0148】
パルス波形
[0162] 不可逆的電気穿孔による組織アブレーションを達成するためのパルス電界/波形の選択的かつ迅速な適用のための方法、システム、及び装置が、本明細書に開示される。本明細書で開示されたパルス波形(複数可)は、本明細書において説明されたシステム(100)、デバイス(例えば、200、300)、及び方法(例えば、400)のいずれでも使用可能である。いくつかの実施形態は、組の電極を介して組織にエネルギーを送達するための順序付けられた送達スキームとともに、パルス化された高電圧波形に関する。いくつかの実施形態では、ピーク電界値を低減及び/又は最小化することができ、同時に、組織アブレーションが望まれる領域で十分に大きい電界強度を維持することができる。いくつかの実施形態では、不可逆的電気穿孔に有用なシステムは、アブレーションデバイスの選択された複数の電極又は電極のサブセットにパルス電圧波形を適用するように構成され得る信号生成器及びプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサは、入力を制御するように構成され、それにより、選択された電極のアノード-カソードのサブセットの対は、所定のシーケンスに基づいて連続的にトリガーされることができ、一実施形態では、シーケンス化された送達は心臓刺激器及び/又はペーシングデバイスからトリガーされることができる。いくつかの実施形態では、心臓の洞調律の混乱を回避するために、アブレーションパルス波形は、心周期の不応期に適用される。これを実施する一例の方法は、心臓刺激器で心臓を電気的にペーシングし、ペーシングの捕捉を確実にして心周期の周期性及び予測可能性を確立し、次いで、アブレーション波形が送達されるこの周期サイクル内の不応期内の時間窓を明確にすることである。
【0149】
[0163] いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるパルス電圧波形は、機構が階層的であり、入れ子構造を有する。いくつかの実施形態では、パルス波形は、様々な関連するタイムスケールを有するパルスの階層的なグループ分けを含む。さらに、関連するタイムスケール及びパルス幅、ならびにパルス及び階層的なグループ分けの数は、心臓ペーシングの周波数が関与するディオファントス不等式の組のうちの1つ以上を満たすように選択され得る。
【0150】
[0164] 本明細書に開示された電気穿孔エネルギー送達のパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることにより、エネルギー送達の安全性、効率、及び有効性を高め、送達される総エネルギーが減少したより効果的な切除病変をもたらし得る。これにより、様々な心臓不整脈の治療的処置を含む電気穿孔の臨床応用分野が拡大し得る。
【0151】
[0165]
図6は、パルス幅又は持続期間に関連付けられたパルス(600)などの、各パルスに関して、一連の矩形ダブルパルスの形態をとるパルス電圧波形を示す。パルス幅/持続期間は、間のすべての値及び部分的な範囲を含めて、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であることができる。
図6のパルス波形は、すべてのパルスの極性が同じである1組の単相パルスを示す(ゼロベースラインから測定した場合、
図6ではすべて正)。不可逆的電気穿孔用途などのいくつかの実施形態では、各パルスの高さ(600)又はパルスの電圧振幅(600)は、間のすべての値及び部分範囲を含めて、約400ボルト、約1,000ボルト、約5,000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルトの範囲であり得る。
図6に示すように、パルス(600)は、時には第1の時間間隔と称されることもある時間間隔(602)だけ、隣接パルスから分離されている。第1の時間間隔は、不可逆的電気穿孔を生成するために、間のすべての値及び部分範囲を含めて、約3マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であり得る。
【0152】
[0166]
図7は、入れ子のパルスの階層構造を有するパルス波形を導入する。
図7は、連続するパルス間の持続期間t
1の(702)などの時間間隔(時には第1の時間間隔と称されることもある)で分離されたパルス幅/パルス時間持続期間wを有するパルス(700)などの一連の単相パルスを示し、その数m
1は、パルスのグループ(710)を形成するように配置される(時には第1の組のパルスと称されることもある)。さらに、波形は、連続するグループ間の持続期間t
2の時間間隔(712)(時には第2の時間間隔と称されることもある)によって分離されたパルスのグループ(時には第2のパルスの組と称されることもある)のような数m
2を有する。
図7の(720)によってマークされた、パルスグループのような数m
2の集合は、パケット及び/又は第3の組のパルスと称され得る、階層の次のレベルを構成する。パルス幅及びパルス間の時間間隔t
1は両方とも、間のすべての値及び部分範囲を含めて、マイクロ秒から数百マイクロ秒の範囲にあることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
2は、時間間隔t
1の少なくとも3倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、比t
2/t
1は、間のすべての値及び部分範囲を含めて約3~約300の範囲にあることができる。
【0153】
[0167]
図8は、入れ子にされたパルス階層波形の構造をさらに詳しく説明している。この図では、一連のm
1個のパルス(個々のパルスは図示せず)がパルスのグループ(800)(例えば、第1の組のパルス)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の持続期間t
2(例えば、第2の時間間隔)のグループ間時間間隔(810)によって分離された一連のm
2個のようなグループは、パケット(例えば、第2の組のパルス)を形成する。1つのパケットと次のパケットとの間の持続期間t
3(例えば、第3の時間間隔)の時間間隔(812)によって分離された一連のm
3個のようなパケットは、階層内の次のレベル、図面においてラベル付けされたスーパーパケット(820)(例えば、第3の組のパルス)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3は、時間間隔t
2よりも少なくとも約30倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3は、時間間隔t
2よりも少なくとも50倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、比t
3/t
2は、間のすべての値及び部分範囲を含めて、約30~約800の範囲にあることができる。パルス階層内の個々の電圧パルスの振幅は、間のすべての値及び部分範囲を含めて、500ボルト~7,000ボルト以上の範囲のいずれかであることができる。
【0154】
[0168]
図9は、階層構造を有する二相性波形シーケンスの例を提供する。図に示されている例では、(900)などの二相性パルスは、パルスの1サイクルを完了するために正の電圧部分及び負の電圧部分を有する。持続期間t
1の隣接サイクルとn
1の隣接サイクル間に時間遅延(902)(例えば、第1の時間間隔)があり、そのようなサイクルは、パルスのグループ(910)(例えば、第1の組のパルス)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の持続期間t
2のグループ間時間間隔(912)(例えば、第2の時間間隔)によって分離された一連のn
2個のようなグループは、パケット(920)(例えば、第2の組のパルス)を形成する。図はまた、パケット間の持続期間t
3の時間遅延(932)(例えば、第3の時間間隔)を有する、第2のパケット(930)を示す。単相性パルスの場合と同様に、より高いレベルの階層構造も、形成されることができる。各パルスの振幅又は二相性パルスの電圧振幅は、間のすべての値及び部分範囲を含めて、500ボルト~7,000ボルト以上の範囲のいずれかであることができる。パルス幅/パルス時間持続期間は、ナノ秒又はサブナノ秒から数十マイクロ秒の範囲であることができ、遅延t
1は、0から数マイクロ秒の範囲であることができる。グループ間時間間隔t
2は、パルス幅よりも少なくとも10倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3は、時間間隔t
2よりも少なくとも約20倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3は、時間間隔t
2よりも少なくとも50倍大きくなることができる。
【0155】
[0169] 本明細書に開示される実施形態は、階層の様々なレベルで波形要素/パルスを含む、階層波形として構造化された波形を含む。
図7の(700)のような個々のパルスは、階層の第1レベルを備え、関連するパルス時間持続期間及び連続するパルス間の第1時間間隔を有する。組のパルス、又は第1のレベル構造の要素は、
図7のパルスのグループ/第2の組のパルス(710)のような階層の第2のレベルを形成する。波形に関連付けられている他のパラメータには、第2の組のパルスの合計時間持続期間(図示せず)、第1のレベル要素/第1の組のパルスの合計数、及び第2のレベル構造/第2の組のパルスを記述する連続する第1のレベル要素間の第2の時間間隔などがある。いくつかの実施形態では、第2の組のパルスの合計時間持続期間は、間のすべての値及び部分範囲を含めて、約20マイクロ秒~約10ミリ秒であることができる。組のグループ、第2の組のパルス、又は第2のレベル構造の要素は、
図7のグループのパケット/第3の組のパルス(720)のような階層の第3のレベルを形成する。他のパラメータの中でも、第3の組のパルスの合計時間持続期間(図示せず)、第2のレベル要素/第2の組のパルスの合計数、及び第3のレベル構造/第3の組のパルスを記述する連続する第2のレベル要素間の第3の時間間隔などがある。いくつかの実施形態では、第3の組のパルスの合計時間持続期間は、間のすべての値及び部分範囲を含めて、約60マイクロ秒から約200ミリ秒の間であることができる。波形の一般的な反復又は入れ子構造は、10レベル以上の構造など、より高い複数レベルを継続することができる。
【0156】
[0170] 例えば、パルス波形は、パルス波形の階層の第4のレベルを含み得、第4の組のパルスとして、複数の第3の組のパルスを含み得、第4のパルス間隔は連続する第3の組のパルスを分離し、第4時間間隔は、第3のレベルの時間間隔の持続期間の少なくとも10倍である。
【0157】
[0171] いくつかの実施形態では、本明細書において説明された入れ子構造及び時間間隔の階層を有する階層波形は、不可逆的電気穿孔アブレーションエネルギー送達に有用であり、異なる組織の種類での用途に十分な制御と選択性を提供する。好適なパルス生成器を用いて、様々な階層波形を生成することができる。本明細書の例では、明確にするために単相性及び二相性の波形を個別に識別しているが、波形階層の一部分が単相性であり、他の部分が二相性である組み合わせ波形も生成/実装できることを理解されたい。
【0158】
[0172] いくつかの実施形態では、心臓の洞調律の混乱を回避するために、本明細書において説明されたアブレーションパルス波形は、心周期の不応期中に適用される。いくつかの実施形態では、処置方法は、心臓刺激器で心臓を電気的にペーシングしてペーシングの捕捉を確実にし、心周期の周期性及び予測可能性を確立し、次いで、1つ以上のパルスアブレーション波形が送達され得る心周期内の不応期内の時間窓を画定することを含む。
図10は、心房ペーシング及び心室ペーシングの両方が適用された例を示す(例えば、それぞれ右心房及び右心室にペーシングリード又はカテーテルが配置されている)。
図10は、横軸に時間を表して、(1000)及び(1010)のような一連の心室ペーシング信号、及び一連の心房ペーシング信号(1020、1030)を、ペーシング信号によって駆動された一連のECG波形(1040、1042)とともに、示す。
図10に太い矢印で示されているように、心房ペーシング信号(1022)及び心室ペーシング信号(1000)にそれぞれ従う心房不応時間窓(1022)及び心室不応時間窓(1002)がある。
図10に示すように、心房及び心室の両方の不応時間窓(1022、1002)内にある、持続期間T
rの共通の不応時間窓(1050)を画定することができる。いくつかの実施形態では、この共通の不応時間窓(1050)に電気穿孔アブレーション波形(複数可)を適用することができる。この不応時間窓(1022)の開始は、
図10に示されるように、時間オフセット(1004)だけペーシング信号(1000)からオフセットされる。いくつかの実施形態では、時間オフセット(1004)は、約25ミリ秒よりも小さくすることができる。次の心拍では、同様に画定された共通の不応時間窓(1052)が、アブレーション波形(複数可)の適用に使用可能な次の時間窓である。このようにして、アブレーション波形(複数可)は、共通の不応時間窓内に留まる各心拍で、一連の心拍にわたって適用され得る。一実施形態では、パルス波形階層において上記で画定されたパルスの各パケットは、所与の電極の組に対して一連のパケットが一連の心拍にわたって適用されるように、心拍にわたって適用されることができる。
【0159】
[0173] 本明細書で使用されたように、数値及び/又は範囲と併せて使用するときの「約」及び/又は「およそ」という用語は、一般に、列挙した数値及び/又は範囲の近傍の数値及び/又は範囲を指す。場合によっては、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値の±10%以内を意味し得る。例えば、場合によっては、「約100[単位]」は、100の±10%以内(例えば、90~110)を意味し得る。「約」及び「およそ」という用語は、同じ意味で使用され得る。
【0160】
[0174] 本明細書において説明されるいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装動作を実行するための命令又はコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも称される)を備えたコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(又はプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的な伝播信号(例えば、空間やケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ伝播電磁波)を含まないという意味で非一時的である。メディア及びコンピュータコード(コード又はアルゴリズムとも称され得る)は、特定の目的のために設計及び構築されたものである。非一時的コンピュータ可読能媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気記憶媒体コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)などの光学記憶媒体と、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、及びホログラフィックデバイスと、光ディスクなどの光磁気記憶媒体と、搬送波信号処理モジュールと、アプリケーション固有の集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなど、プログラムコードを記憶及び実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスと、が含まれるが、これらに限定されない。本明細書において説明される他の実施形態は、例えば、本明細書に開示される命令及び/又はコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0161】
[0175] 本明細書において説明されたシステム、デバイス、及び/又は方法は、ソフトウェア(ハードウェアで実行される)、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(又はマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、及び/又はその他のオブジェクト指向、プロシージャ型、又は他のプログラミング言語と開発ツールを含む様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードの例は、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、Webサービスの生成に使用されるコード、及び通訳を使用するコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイルを含むが、これらに限定されない。コンピュータコードのその他の例は、制御信号、暗号化コード、及び圧縮コードを含むが、これらに限定されない。
【0162】
[0176] 本明細書の特定の例及び説明は、本質的に例示であり、実施形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で教示する材料に基づいて当業者によって開発され得る。
第1の態様によると、装置であって、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されている、膨張可能な部材と、
前記カテーテルシャフトの表面上に形成されている、第1の組の電極と、
前記膨張可能な部材上に形成されており、かつ前記第1の組の電極から電気的に絶縁されている、第2の電極と、備える、装置を要旨とする。
第2の態様によると、装置であって、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されている、膨張可能な部材と、
前記膨張可能な部材上に形成されており、かつ前記膨張可能な部材の赤道面の近位に配置されている、第1の組の電極と、
前記膨張可能な部材上に形成されており、かつ前記膨張可能な部材の前記赤道面の遠位に配置されている、第2の組の電極であって、前記第2の組の電極が、前記第1の組の電極から電気的に絶縁されている、第2の組の電極と、を備える、装置を要旨とする。
第3の態様によると、装置であって、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されている、膨張可能な部材であって、前記膨張可能な部材が、1組の電気的伝導性部分を含む外部表面を有する、膨張可能な部材と、
前記カテーテルシャフトの表面上に形成されている、第1の組の電極と、
前記カテーテルシャフトの前記表面上の前記第1の組の電極の遠位に形成されている、第2の組の電極であって、前記第2の組の電極が、前記膨張可能な部材の前記外部表面に電気的に結合されており、かつ前記第1の組の電極から電気的に絶縁されている、第2の組の電極と、を備える、装置を要旨とする。
第4の態様によると、システムであって、
パルス波形を生成するように構成されている、信号生成器と、
前記信号生成器に結合されており、かつ前記パルス波形を受信するように構成されている、アブレーションデバイスと、を備え、前記アブレーションデバイスが、
ハンドルと、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されている、膨張可能な部材と、
前記カテーテルシャフトの表面上に形成されている、第1の組の電極と、
前記膨張可能な部材の前記外部表面上に形成されており、かつ前記第1の組の電極から電気的に絶縁されている、第2の組の電極と、を含む、システムを要旨とする。
第5の態様によると、装置であって、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されている環状の膨張可能な部材であって、前記膨張可能な部材が、それを通る環状の膨張可能な部材内腔を画定する、環状の膨張可能な部材と、
前記環状の膨張可能な部材の遠位端に配置されている、第1の電極であって、前記第1の電極が、実質的に平面状の部分を有する、第1の電極と、
前記環状の膨張可能な部材内腔から、及びその遠位に延在しており、かつ前記第1の電極から離間している、第2の電極と、を備える、装置を要旨とする。
第6の態様によると、第1の態様において、
前記第1の組の電極と前記第2の電極との間の前記膨張可能な部材上に形成されている第2の組の電極をさらに含むことを要旨とする。
第7の態様によると、第6の態様において、前記第2の電極が、独立してアドレス可能であることを要旨とする。
第8の態様によると、第6の態様において、前記第2の組の電極の各電極が、独立してアドレス可能であることを要旨とする。
第9の態様によると、第1又は第6の態様において、前記第2の組の電極が、前記長手方向軸に対してほぼ垂直である近似平面上の前記膨張可能な部材上に形成されていることを要旨とする。
第10の態様によると、第1又は第6の態様において、前記第2の組の電極の各電極が、円形又は楕円形形状を有することを要旨とする。
第11の態様によると、第10の態様において、前記楕円形形状を有する前記第2の組の電極の各電極の長軸が、前記長手方向軸に対して実質的に平行であることを要旨とする。
第12の態様によると、第2又は第3の態様において、前記第1の組の電極が、パルス波形の送達中に、前記第2の組の電極の極性とは反対の極性を有することを要旨とする。
第13の態様によると、第1の態様において、前記第1の組の電極が、パルス波形の送達中に、前記第2の電極の前記極性とは反対の極性を有することを要旨とする。
第14の態様によると、第4の態様において、前記第1の組の電極が、前記パルス波形の送達中に、前記第2の組の電極の前記極性とは反対の極性を有することを要旨とする。
第15の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記カテーテルシャフトが、前記第1の組の電極と前記第2の組の電極との間に形成されている偏向可能な部分を含み、前記偏向可能な部分が、前記長手方向軸に対して約210度まで、前記第2の組の電極及び前記膨張可能な部材を含む前記カテーテルの一部分を偏向させるように構成されていることを要旨とする。
第16の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材に結合されており、かつ前記膨張可能な部材を膨張させるように構成されている、流体源をさらに備えることを要旨とする。
第17の態様によると、第2~第4の態様において、前記第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び前記第2の組の電極のうちの1つ以上の電極が、それに関連付けられた絶縁導線を有し、前記絶縁導線が、その対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成されており、前記絶縁導線が、前記カテーテルシャフトの内腔内に配置されていることを要旨とする。
第18の態様によると、第1の態様において、前記第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び前記第2の電極が、それに関連付けられた絶縁導線を有し、前記絶縁導線が、その対応する絶縁体の絶縁破壊を伴わずに、少なくとも約700Vの電位を維持するように構成されており、前記絶縁導線が、前記カテーテルシャフトの内腔内に配置されていることを要旨とする。
第19の態様によると、第2~第4の態様において、前記第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び前記第2の組の電極のうちの1つ以上の電極が、独立してアドレス可能であることを要旨とする。
第20の態様によると、第1の態様において、前記第1の組の電極のうちの1つ以上の電極、及び前記第2の電極が、独立してアドレス可能であることを要旨とする。
第21の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記第1の組の電極の最遠位電極が、前記第2の組の電極の最近位電極から約4mm~約10mm離間していることを要旨とする。
第22の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記第1の組の電極の最遠位電極が、前記膨張可能な部材の近位端から少なくとも約5mm離間していることを要旨とする。
第23の態様によると、第3、及び第4の態様において、前記第1の組の電極が、約3mm~約12mmの長さを有する前記カテーテルシャフトの一部分上に形成されていることを要旨とする。
第24の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材が、その赤道面において約5mm~約15mmの断面直径を有することを要旨とする。
第25の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材が、約22mmまでの長さを有することを要旨とする。
第26の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記第1の組の電極の各電極が、約1mm~約5mmの幅を有し、前記第1の組の電極の隣接する電極が、約1mm~約5mm離間していることを要旨とする。
第27の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材が、近位から遠位方向において非対称形状を有することを要旨とする。
第28の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材が、球根状形状を有することを要旨とする。
第29の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材が、多面体形状を有することを要旨とする。
第30の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記膨張可能な部材の外部表面上に形成されている生体適合性コーティングをさらに含むことを要旨とする。
第31の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記カテーテルの前記遠位端が、前記膨張可能な部材の内部容積内に延在していることを要旨とする。
第32の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記カテーテル及び前記膨張可能な部材の内部表面に結合されている1組のスプラインをさらに含み、前記1組のスプラインが、
前記1組のスプラインが、前記長手方向軸に対してほぼ平行である、第1の構成と、
前記1組のスプラインが、前記長手方向軸から離れて偏倚する、第2の構成と、の間を移行するように、前記長手方向軸に沿って並進するように構成されていることを要旨とする。
第33の態様によると、第4の態様において、前記パルス波形が、
第1の組のパルスを含む前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、各パルスが、パルス時間持続期間を有し、第1の時間間隔が、連続するパルスを分離する、前記パルス波形の階層の第1のレベルと、
複数の第1の組のパルスを第2の組のパルスとして含む前記パルス波形の前記階層の第2のレベルであって、第2の時間間隔が、連続する第1の組のパルスを分離し、前記第2の時間間隔が、前記第1の時間間隔の前記持続期間の少なくとも3倍である、前記パルス波形の前記階層の第2のレベルと、
複数の第2の組のパルスを第3の組のパルスとして含む前記パルス波形の前記階層の第3のレベルであって、第3の時間間隔が、連続する第2の組のパルスを分離し、前記第3の時間間隔が、前記第2のレベルの時間間隔の前記持続期間の少なくとも30倍である、前記パルス波形の前記階層の第3のレベルと、を含むことを要旨とする。
第34の態様によると、第33の態様において、前記パルス波形が、複数の第3の組のパルスを第4の組のパルスとして含む前記パルス波形の前記階層の第4のレベルを含み、第4の時間間隔が、連続する第3の組のパルスを分離し、前記第4の時間間隔が、前記第3のレベルの時間間隔の前記持続期間の少なくとも10倍であることを要旨とする。
第35の態様によると、第1~第5の態様において、前記カテーテルシャフトの遠位部分が、放射線不透過性部分をさらに含むことを要旨とする。
第36の態様によると、第1~第5の態様において、前記カテーテルシャフトが、それを通るシャフト内腔を画定することを要旨とする。
第37の態様によると、第1、第3、及び第4の態様において、前記第1の組の電極が、前記カテーテルシャフトの遠位部分上に形成されていることを要旨とする。
第38の態様によると、第3の態様において、前記膨張可能な部材の前記外部表面上に電極が形成されていないことを要旨とする。
第39の態様によると、第1の態様において、前記膨張可能な部材の表面上に形成されている伝導性要素をさらに含むことを要旨とする。
第40の態様によると、第39の態様において、前記伝導性要素が、前記膨張可能な部材の端部間に延在する1組の離間した伝導性ストライプを含むことを要旨とする。
第41の態様によると、第39の態様において、前記伝導性要素が、前記第2の組の電極に電気的に接続されていることを要旨とする。
第42の態様によると、第39の態様において、前記1組のストライプの各ストライプが、前記膨張可能な部材の近位端及び遠位端のうちの1つ以上において交差することを要旨とする。
第43の態様によると、第39の態様において、前記伝導性要素が、1組の開口部を画定するインターレース構造を含むことを要旨とする。
第44の態様によると、第1及び第2の態様において、前記膨張可能な部材の外部表面上に配置されている第1の伝導性要素と、前記膨張可能な部材の内部表面上に配置されている第2の伝導性要素と、をさらに含み、前記第1の伝導性要素が、パルス波形の送達中に、前記第2の伝導性要素とは反対の極性を有することを要旨とする。
第45の態様によると、第1の態様において、前記第2の電極が、電気生理学データを受信するように構成されていることを要旨とする。
第46の態様によると、第1の態様において、前記第2の電極が、遠位電極であることを要旨とする。
第47の態様によると、第1の態様において、前記第2の電極が、前記膨張可能な部材の前記外部表面上に形成されている唯一の電極であることを要旨とする。
第48の態様によると、第1の態様において、前記膨張可能な部材の遠位端が、前記膨張可能な部材の近位端から離れて面する凹状表面を有することを要旨とする。
第49の態様によると、第29の態様において、前記膨張可能な部材が、1組の湾曲面を有することを要旨とする。
第50の態様によると、第49の態様において、前記第2の組の電極のうちの少なくとも1つの電極が、前記膨張可能な部材の1つの面上に形成されていることを要旨とする。
第51の態様によると、第50の態様において、前記第2の組の電極の1つ以上の電極が、凹状であることを要旨とする。
第52の態様によると、第49の態様において、前記膨張可能な部材が、1組の湾曲した縁部を有することを要旨とする。
第53の態様によると、第29の態様において、前記第2の組の電極の各電極が、約3mm~約15mmの直径を有することを要旨とする。
第54の態様によると、第29の態様において、前記第1の組の電極の最遠位電極が、前記膨張可能な部材の近位端から少なくとも約3mm離間していることを要旨とする。
第55の態様によると、第29の態様において、前記第2の構成における前記膨張可能な部材が、その最大部分において約6mm~約22mmの断面直径を有することを要旨とする。
第56の態様によると、第5の態様において、前記第2の構成における前記環状の膨張可能な部材が、約10mm~約15mmの直径を有することを要旨とする。
第57の態様によると、第5の態様において、前記第2の電極が、約8mm~約10mmの長さを有することを要旨とする。
第58の態様によると、第5の態様において、前記環状の膨張可能な部材内腔が、約4mm~約15mmの直径を有することを要旨とする。
第59の態様によると、第1又は第2の態様において、前記第2の組の電極が、前記膨張可能な部材の遠位端に形成されている遠位電極を含むことを要旨とする。
第60の態様によると、第59の態様において、前記第2の組の電極の各電極が、円形又は楕円形形状を有することを要旨とする。
第61の態様によると、第60の態様において、前記遠位電極を除く前記楕円形形状を有する前記第2の組の電極の各電極の長軸が、前記長手方向軸に対して実質的に平行であることを要旨とする。
第62の態様によると、不可逆的電気穿孔を介したフォーカルアブレーションの方法であって、
アブレーションデバイスを心内膜壁に向かって前進させることであって、前記アブレーションデバイスが、
長手方向軸を画定するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位端に結合されている、膨張可能な部材と、
前記カテーテルシャフトの表面上に形成されている、第1の組の電極と、
前記膨張可能な部材の前記外部表面上に形成されており、かつ前記第1の組の電極から電気的に絶縁されている、第2の組の電極と、を含む、前進させることと、
パルス波形を生成することと、
前記アブレーションデバイスを介して前記心内膜壁にパルス波形を送達することと、を含むことを要旨とする。
第63の態様によると、第62の態様において、前記第1の組の電極及び前記第2の組の電極のうちの一方をアノードとして構成することと、
前記第1の組の電極及び前記第2の組の電極うちの他方をカソードとして構成することと、をさらに含むことを要旨とする。
第64の態様によると、第62の態様において、前記アブレーションデバイスの前記膨張可能な部材を第1の構成から第2の構成に移行させることをさらに含むことを要旨とする。
第65の態様によると、第64の態様において、前記膨張可能な部材を前記第1の構成から前記第2の構成に移行させることが、前記膨張可能な部材に生理食塩水を注入することを含むことを要旨とする。
第66の態様によると、第62の態様において、前記アブレーションデバイスの前記第1の組の電極及び前記第2の組の電極を通して、パルス電界アブレーションエネルギーを送達することをさらに含むことを要旨とする。
第67の態様によると、第62の態様において、前記アブレーションデバイスが、約200V/cm~約800V/cmの電界強度を組織中に生成するように構成されていることを要旨とする。
第68の態様によると、第62の態様において、前記アブレーションデバイスが、ハンドルを含み、前記方法が、
前記ハンドルを使用して、前記アブレーションデバイスの一部分を偏向させることをさらに含むことを要旨とする。
第69の態様によると、第62の態様において、前記心内膜壁の第1の電気生理学データを記録することと、
前記パルス波形を送達した後に、前記心内膜壁の第2の電気生理学データを記録することと、をさらに含むことを要旨とする。
第70の態様によると、第69の態様において、前記第1の電気生理学データ及び前記第2の電気生理学データが、前記心内膜壁の心内ECG信号データを含むことを要旨とする。
第71の態様によると、第69の態様において、診断カテーテルを前記心内膜壁の中に前進させることと、前記診断カテーテルを使用して、前記第1の電気生理学データ及び前記第2の電気生理学データを記録することと、をさらに含むことを要旨とする。
第72の態様によると、第69態様において、前記第1の電気生理学データ及び前記第2の電気生理学データが、前記第2の構成における前記アブレーションデバイスを使用して記録されていることを要旨とする。
第73の態様によると、第62の態様において、経中隔開口部を左心房の中に創出することと、
ガイドワイヤ及びシースを、前記経中隔開口部を通して前記左心房の中に前進させることと、
前記アブレーションデバイスを、前記ガイドワイヤの上で心室の中に前進させることと、をさらに含むことを要旨とする。
第74の態様によると、第72の態様において、
患者において第1のアクセス部位を創出することと、
前記ガイドワイヤを、前記第1のアクセス部位を通して右心房の中に前進させることと、
前記拡張器及びシースを、前記ガイドワイヤの上で前記右心房の中に前進させることと、
前記拡張器を、前記右心房から前記左心房の中に心房中隔を通して前進させて、前記経中隔開口部を創出することと、
前記拡張器を使用して、前記経中隔開口部を拡張することと、をさらに含むことを要旨とする。
第75の態様によると、第74の態様において、
心臓刺激器を心室の中に前進させることと、
前記心臓刺激器を使用して、前記心臓の心臓刺激のためのペーシング信号を生成することと、
前記心臓刺激器を使用して、前記心臓に前記ペーシング信号を適用することと、をさらに含み、前記パルス波形が、前記ペーシング信号と同期して生成されることを要旨とする。
第76の態様によると、第62の態様において、1つ以上のステップ中に、前記アブレーションデバイスの放射線不透過性部分を蛍光透視下で撮像することをさらに含むことを要旨とする。
第77の態様によると、第73の態様において、前記第1のアクセス部位が、大腿静脈であることを要旨とする。
第78の態様によると、第73の態様において、前記心房中隔が、卵円窩を含むことを要旨とする。
第79の態様によると、第62の態様において、前記心内膜壁が、心室であることを要旨とする。
第80の態様によると、第62の態様において、
前記パルス波形が、
第1の組のパルスを含む前記パルス波形の第1のレベルの階層であって、各パルスが、パルス時間持続期間を有し、第1の時間間隔が、連続するパルスを分離する、前記パルス波形の第1のレベルの階層と、
複数の第1の組のパルスを第2の組のパルスとして含む前記パルス波形の第2のレベルの前記階層であって、第2の時間間隔が、連続する第1の組パルスを分離し、前記第2の時間間隔が、前記第1の時間間隔の前記持続期間の少なくとも3倍である、前記パルス波形の第2のレベルの前記階層と、
複数の第2の組のパルスを第3の組のパルスとして含む前記パルス波形の第3のレベルの前記階層であって、第3の時間間隔が、連続する第2の組のパルスを分離し、前記第3の時間間隔が、前記第2のレベルの時間間隔の前記持続期間の少なくとも30倍である、前記パルス波形の第3のレベルの前記階層と、を含むことを要旨とする。
第81の態様によると、第80の態様において、前記パルス波形が、前記パルス波形の第4のレベルの前記階層を含み、複数の第3の組のパルスを第4の組のパルスとして含み、第4の時間間隔が、連続する第3の組のパルスを分離し、前記第4の時間間隔が、前記第3のレベルの時間間隔の前記持続期間の少なくとも10倍であることを要旨とする。