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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20241112BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M25/14 512
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020561704
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019061209
(87)【国際公開番号】W WO2019211362
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】1800428
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506424209
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ボルドー
(73)【特許権者】
【識別番号】516324917
【氏名又は名称】サントル・オスピタリエ・ユニベルシテール・ドゥ・ボルドー
(73)【特許権者】
【識別番号】519399604
【氏名又は名称】フォンダシオン・ユニベルシテ・ボルドー
(73)【特許権者】
【識別番号】500025477
【氏名又は名称】アンスティテュ、ナショナル、ド、ラ、サント、エ、ド、ラ、ルシェルシュ、メディカル(アンセルム)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICAL (INSERM)
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】デルヴァル ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヤイス ピエール
(72)【発明者】
【氏名】デニス アルノー
(72)【発明者】
【氏名】パンブラン トマス
(72)【発明者】
【氏名】デュシャトー ジョスラン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-205697(JP,A)
【文献】国際公開第2006/093273(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0041225(US,A1)
【文献】特開2017-104547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0016241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル(10)と、カテーテル(10)の遠位端部(13)の一部に配置されたバルーン(20)とを備える医療装置(1)であって、前記バルーン(20)は、管(41)の壁と密着して接触するように形成されており、
医療装置(1)は、
第1の量の治療用溶液(Sol)を注入するための第1のルーメン(LU)であって、前記カテーテル(10)の第1の遠位開口(21')に向かって側面方向に開口する第1のルーメン(LU)と、
前記バルーン(20)を膨張させるための第2の量の気体又は液体(Sol)を注入して送達するための第2のルーメン(LU)と
ガイド又は溶液が通るのに適した第3のルーメン(LU )であって、前記カテーテル(10)の遠位開口(17)で開口し、前記カテーテル(10)と同軸の第3のルーメン(LU )とを備え、
前記バルーン(20)は、
前記第2のルーメン(LU)の遠位開口(25')に接続するように構成され、前記第2の量の気体又は液体(Sol)の前記バルーン(20)への流入を可能にし、前記バルーンを確実に膨張させるための開口(25)と、
前記カテーテル(10)の側面開口の延長線上において、前記カテーテル(10)の長手方向軸(Ac)に対して横方向に開口するチャネル(23)であって、前記カテーテル(10)の前記第1の遠位開口(21')に接続するように構成され、前記第1の量の治療用溶液を前記チャネル(23)へ確実に流入するためのチャネル(23)とを備える、
医療装置(1)。
【請求項2】
前記第1のルーメン(LU )は、前記カテーテル(10)の前記第1の遠位開口(21')に向かって側面方向にのみ開口する、請求項1に記載の医療装置(1)。
【請求項3】
前記バルーンは、前記カテーテル(10)の側面開口の延長線上において、前記カテーテル(10)の長手方向軸(Ac)に対して横方向に開口する少なくとも2つのチャネル(23,23')を備えており、
各チャネル(23,23')は、前記カテーテル(10)の第1の開口(21')に接続するように構成され、少なくとも1つのチャネル(23,23')への前記第1の量の治療用溶液の流入を可能にし、
各第1の開口(21')は、前記カテーテル(10)のルーメン(LU、LU')に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療装置(1)。
【請求項4】
前記バルーン(20)は、少なくとも1つのチャネル(23)を予め形成する少なくとも1つの補強部(24)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項5】
前記バルーン(20)は、前記チャネル(23)の前記遠位端部に配置された周囲リップ(210)を備えており、
前記周囲リップ(210)は、前記バルーン(20)の厚さを局所的に増加させ得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項6】
前記チャネル(23)は、広がった開口(22)を備えており、前記開口の開口角(29)は、90°より大きいことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項7】
前記バルーン(20)は、前記カテーテル(10)の可動部(28)に固定され、前記可動部(28)は、前記カテーテル(10)の主軸(Ac)を中心に回転可能に(ROT)に取り付けられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項8】
前記カテーテル(10)は、
一方側が前記第2のルーメン(LU)の遠位端部(25')に接続され、他方側が前記バルーン(20)の前記開口に接続される第2の開口(25)を備え、
前記カテーテル(10)は、前記第2のルーメン(LU)を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項9】
前記第1のルーメン(LU)の直径は、2F~5Fの間であり、
前記第2のルーメン(LU)の直径は、1F~1.5Fの間であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項10】
前記バルーン(20)は、前記バルーンが膨張したときに第1の管(41)の壁に密着して接触するのに適した外径を有しており、前記チャネル(23)と第2の管(42)の入口とを確実に密着させ、第2の管(42)と前記第1の管(41)の接合部に、第1の量の溶液(SOL)を送達し得る、請求項1~のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項11】
前記カテーテル(10)は、前記カテーテル(10)の本体の前記遠位端部の表面に配置された少なくとも1つの電極を備え、前記管(41)の電気的活動を記録し得ることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の医療装置(1)。
【請求項12】
前記バルーン(20)は、前記バルーン(20)の横方向チャネル(23)の形状を規定する既定の膨張形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療装置(1)
【請求項13】
前記バルーン(20)は、中空の円筒形状又は環状形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療装置(1)
【請求項14】
前記バルーン(20)の横方向チャネル(23)は、円錐形状を規定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療装置(1)
【請求項15】
前記バルーン(20)は、前記ルーン(20)が前記カテーテルの遠位端部(13)に配置されたときにカテーテル(10)のルーメン(LU)の出口に接続するように構成された、前記バルーン(20)の横方向チャネル(23)の入口に、位置決めピン(28)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療装置(1)
【請求項16】
前記バルーン(20)は、前記ルーンの側面に形成された2つの開口(21,25)を備えており、
第1の開口(21)は、前記バルーン(20)の横方向チャネル(23)の入口を規定し、第2の開口(25)は、膨張入口を規定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療装置(1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、人体の管、具体的には血管、特にマーシャル静脈に溶液を導入するための装置に関する。本発明の技術分野は、特定の心疾患の治療のための装置に関する。より詳細には、本発明の技術分野は、例えば、マーシャル静脈のような管に注入される溶液を導くための手段を備えるカテーテルの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、マーシャル静脈は、AFと呼ばれる心房細動等の心臓細動型の心疾患の発生原因に関連する。マーシャル静脈は、必ずしも重要でない心臓の静脈であるが、特定の病気の発生に関連するため、心臓に対してインターベンション心臓学を実施する際に治療される。
【0003】
心房細動AFは、心房の無秩序な活性化によって定義される不整脈である。それは、複数の様々なリエントリーを開始する心房期外収縮により誘発される。肺静脈、期外収縮の源、及びリエントリーに関する基質は、心房細動を開始及び維持する基本的な構造として認識されている。したがって、それらは、切除の主な対象である。他の構造も同様の特徴である上大静脈、冠状静脈洞、マーシャル靭帯を有する。前者の2つは、切除によって治療できるが、マーシャル靭帯は、この種の治療によって容易にアクセスできない。
【0004】
マーシャル靭帯は、左上大静脈とその筋組織の退縮から生じる胚期の遺残である。静脈筋系の不完全なアポトーシスにより、心内膜と心外膜の間のいくつかの筋結合が維持される。したがって、マーシャル靭帯は、口径が小さい静脈のネットワークで構成されており、「マーシャル静脈」とも呼ばれ、筋肉の分枝と密接に関連する。この複雑な構造は、自動性及びリエントリー機構を介した、心房細動の開始と維持にとって都合がよい。マーシャル静脈は、左肺静脈と左心房との間で巻き付いているため、大心臓静脈と合流して、冠状静脈洞に接続する。しかしながら、それは、全ての静脈と同様に、解剖学的な経路変化の影響を受ける。
【0005】
特に、脂肪塊で電気的に絶縁されているため、マーシャル静脈を心内膜切除又は心外膜切除(直径が非常に小さいため、切除カテーテルを導入することができない)で治療することは困難であり、他の治療法が検討されている。
【0006】
心臓細動の発生におけるマーシャル静脈の関与を低減するために、現在使用されている治療法の1つは、アルコール型の溶液を静脈に導入することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、治療用溶液をマーシャル静脈内に導入するカテーテルが存在する。既存のカテーテルは、通常、マーシャル静脈内に導入されて誘導される主なルーメン及び第2のルーメンを備える。しかしながら、第2のルーメンを安全に取り扱い、実際に確実に導入するためには、外科医又はオペレータが、マーシャル静脈内にルーメンをきちんと導入する必要がある。
【0008】
そのため、この処置は、ルーメンが導入される、後者と静脈ネットワークの主静脈との吻合に位置する静脈の領域を治療することは不可能である。その結果、マーシャル静脈は、部分的に治療され、多くの場合、症状は部分的にしか改善されない。
【0009】
この問題は、マーシャル静脈に限ったものではなく、直径の小さな管に治療用溶液を導入し、管へアクセスして管41及び管42の接合部を治療することが可能なカテーテル及び/又は構成部材が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方法によれば、上記問題を解決することができる。
【0011】
一態様では、本発明は、カテーテルと、カテーテルの遠位端部の一部に配置されたバルーンとを備える医療装置に関し、
医療装置は、
第1の量の治療用溶液を注入するための第1のルーメンであって、カテーテルの第1の遠位開口に横方向に開口する第1のルーメンと、
バルーンを膨張させるための第2の量の気体又は液体を注入して送達するための第2のルーメンとを備え、
バルーンは、
第2のルーメンの遠位開口に接続するように構成され、かつ、第2の量の気体又は液体のバルーンへの流入を可能にし、バルーンを確実に膨張させるための開口と、
カテーテルの長手方向軸に対して横方向に開口するチャネルであって、カテーテルの第1の開口に接続され、第1の量の治療用溶液をチャネル内に確実に入れるためのチャネルとを備える。
【0012】
利点の一つは、アルコールをマーシャル静脈内の局所領域及びその吻合に導入することができると共に、バルーンが膨張することにより、治療対象の領域を確実に密閉できることである。
【0013】
一実施形態では、バルーンは、管の壁と密着して接触するように構成される。
【0014】
一実施形態では、チャネルは、カテーテルの側面開口の延長線上において、カテーテルの長手方向軸に対して横方向に開口する。
【0015】
一実施形態では、カテーテルの本体の一部は、バルーンの膨張後の体積を規定する壁を形成する。
【0016】
一実施形態では、バルーンは、カテーテルの側面開口の延長線上において、カテーテルの長手方向軸に対して横方向に開口する少なくとも2つのチャネルを備えており、各チャネルは、カテーテルの第1の開口に接続するように構成され、少なくとも1つのチャネルへ第1の量の治療用溶液を流入することができ、各第1の開口は、カテーテルのルーメンに接続される。
【0017】
一実施形態では、バルーンは、少なくとも1つのチャネルを予め形成する少なくとも1つの補強部を備える。
【0018】
一実施形態では、バルーンは、チャネルの遠位端部に配置された周囲リップを備えており、周囲リップは、バルーンの厚さを局所的に増やすことができる。
【0019】
一実施形態では、チャネルは、広がった開口を備えており、その開口角度は90°よりも大きい。
【0020】
一実施形態では、バルーンは、カテーテルの可動部に固定され、可動部は、カテーテルの主軸を中心に回転可能に取り付けられる。
【0021】
一実施形態では、カテーテルは、一方側が第2のルーメンの遠位端部に接続され、かつ、他方側がバルーンの開口に接続される第2の開口を備えており、カテーテルは、第2のルーメンを備える。利点の一つは、バルーンが正しく配置されたときに、バルーンが膨張できることである。そして、カテーテルと一体化されたルーメンによって膨張が行われる。したがって、本発明は、単一のカテーテルの本体を導入することができ、マーシャル静脈及びその吻合をアルコール処理する全ての工程を実施可能な機能を有する。
【0022】
一実施形態では、医療装置は、ガイド又は液体が通るのに適した第3のルーメンを備えており、第3のルーメンは、カテーテルの遠位開口で開口する。利点の一つは、同じカテーテルの本体にガイドを導入できることである。この解決手段は、バルーンを備えた医療装置の誘導及び位置決めを改善する。
【0023】
一実施形態では、第1のルーメンは、2F~5Fの直径、好適には4Fの直径を有し、第2のルーメンは、1F~1.5Fの直径、好適には1.2Fの直径を有する。
【0024】
利点の一つは、大きさが、冠状静脈洞の領域及びマーシャル静脈の領域における血管の大きさによる制約や生理学的な制約に対応すると共に、カテーテルを誘導可能な部材の導入、バルーンの膨張、及び治療用溶液の導入が可能であることである。
【0025】
一実施形態では、開口する横方向チャネルは、側面開口の直径平均がチャネルの入口の直径平均よりも大きくなるように、広がっている。利点の一つは、アルコール溶液がマーシャル静脈の吻合領域を流れるのに有利に働くことである。
【0026】
一実施形態では、バルーンは、バルーンが膨張したときに、第1の管の壁と密着して接触するのに適した外径を有しており、チャネルと第2の管の入口を確実に密着させ、第2の管と第1の管の接合部に第1の量の溶液を送達することができる。利点の一つは、冠状静脈洞の他の領域と共に治療対象の領域を確実に密閉することである。
【0027】
一実施形態では、カテーテルは、カテーテルの本体の遠位端部の表面に配置された少なくとも1つの電極を備え、血管の電気的活動を記録することができる。利点の一つは、治療を始める際に、組織の電気的応答を制御でき、治療対象の領域を確認できることである。別の利点は、治療の終了時に、治療対象の領域の治療を制御することである。
【0028】
別の態様では、本発明は、カテーテルの外周の一部に延在するように構成された内側面と、膨張したときにその最大直径を規定する外側面とを含む膨張式バルーンに関し、このバルーンは、バルーン内を通って、カテーテルの長手方向軸に対して横方向に開口する横方向チャネルを備える。利点の一つは、バルーンを既存のカテーテルに適用し、局所的に導入しなければならないアルコールや任意の他の治療用溶液を導入して血管を治療可能な新規の医療装置を提案することである。
【0029】
一実施形態では、バルーンは、管の壁と密着して接触するように構成される。
【0030】
一実施形態では、バルーンを通る横方向チャネルは、カテーテルの側面開口の延長線上において、カテーテルの長手方向軸に対して横方向に開口する。
【0031】
一実施形態では、膨張式バルーンは、横方向チャネルの形状を規定する予め定められた膨張形状を有する。
【0032】
一実施形態では、バルーンは、実質的に中空又は環状の円筒形状を有する。
【0033】
一実施形態では、チャネルは、実質的に円錐形状を規定する。
【0034】
一実施形態では、バルーンは、カテーテルの遠位端部に配置されたときに、カテーテルのルーメンの出口に接続されるように構成されたチャネルの入口に位置決めピンを備える。利点の一つは、カテーテル及びバルーンの維持を改善できることである。
【0035】
一実施形態では、バルーンは、バルーンの内側面に形成された2つの開口を備えており、第1の開口は横方向チャネルの入口を規定し、第2の開口は膨張入口を規定する。
【0036】
一実施形態では、カテーテルは、一方側が第2のルーメンの遠位端部に接続され、かつ、他方側がバルーンの開口に接続される第2の開口を備え、カテーテルは、第2のルーメンを備える。
【0037】
一実施形態では、バルーンは、予め形成された形状を有する。バルーンは、膨張すると、予め定められた形状になる。
【0038】
別の態様では、本発明は、マーシャル静脈及びその吻合を治療するための本発明の装置の使用に関する。この治療は、特に、化学的な切除を目的とする、この領域のアルコール処理に関する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、次の詳細な説明を読むことにより明らかとなる。
図1】本発明の装置の一実施形態の長手方向の面に沿った断面図である。
図2】本発明の装置の一実施形態の3次元図である。
図3】本発明の装置の一実施形態の短手方向の面に沿った断面図である。
図4】本発明のバルーンの一実施形態の短手方向の面に沿った断面図である。
図5】本発明のバルーンの一実施形態の3次元図である。
図6】血管42及び41の吻合の近傍に配置された装置の一実施形態の図である。
図7】シースを備えた本発明の装置の一実施形態の図である。
図8】マーシャル静脈が表面に表された心臓の3次元図である。
図9】本発明の装置の一実施形態であり、バルーンがカテーテルの表面に取り付けられている。
図10図9の本発明の装置の代替的な実施形態であり、バルーンがカテーテルの長さに沿って実質的に拡張されている。
図11】本発明の装置の一実施形態であり、バルーンは、治療用の液体を一方又は他方のチャネルに送達するための2つのチャネルを備える。
図12図11の実施形態の代替例であり、本発明の装置は、治療用の液体を送達可能な3つのチャネルを有するバルーンを備える。
図13】バルーンが膨張する間にチャネルの形状を強制するためのリングを形成する少なくとも1つの機械的な構成部材を備えた予め形成されたチャネルの一例である。
図14】円周が減少したチャネルとの密着を補強するリップを備えた本発明のバルーンの一例である。
図15】広がった開口を有するチャネルとの密着を補強するリップを備えた本発明のバルーンの一例である。
図16】広がったチャネルを有する本発明のバルーンの一実施形態の短手方向の面に沿った断面図である。
図17】バルーンが配置された回転部を備えた一実施形態に係るカテーテルである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、長手方向の断面として本発明の装置の一実施形態を示す。装置1は、カテーテル10と、バルーン20とを備える。長手方向の断面は、複数のルーメンLU、LU、LUを備えるカテーテル10と、装置1のカテーテル10に取り付けられたバルーン20とを示す。
【0041】
ルーメンLU
カテーテル10は、例えば、静脈等の管42内に注入される第1の溶液SOLを運ぶことが可能なルーメンLUを備える。本発明の装置1は、図6に示すように、溶液がマーシャル静脈内に注入されるのに十分な精度でマーシャル静脈42の吻合43に到達し得るため、本発明は、液体SOLをマーシャル静脈内に導入する場合に特に有利である。図8は、心筋の表面におけるマーシャル静脈42の3次元図を示す。
【0042】
一実施形態では、注入される溶液SOLは、アルコール溶液である。AFの問題の解決における利点は、吻合43に近い領域を治療することである。
【0043】
他の例では、注入される溶液SOLはヨウ素溶液である。利点は、医用画像システムによって取得される画像の品質を改善できることである。
【0044】
図1は、人体の管42に注入される溶液SOLを有する注入器31を示す。溶液SOLをルーメンLUに注入する機能を図示するために、ピストン32が示されている。この例では、バルブ30は、送られる溶液SOLの通路の開閉を可能にする。さらに、バルブは、ルーメンLUの内部の空気の除去及び/又は圧力の制御を可能にする。溶液SOLの圧力を制御するための他の実施形態を考慮することができ、それは、ルーメンLUを延長する横方向チャネル23を介して治療対象の領域に注入され得る。
【0045】
別の例では、第1のルーメンLUにより、ガイドが通過して管42の領域に到達することができる。別の例では、第1のルーメンLUは、静脈42の遠位に注入するための小さなバルーンのような、血管形成バルーンの通過を可能にする大きさにすることができる。利点は、例えば、ガイドを用いてマーシャル静脈の内部に到達することを可能にし、さらに、アルコール型の溶液SOLを注入することにより、管41と管42の口とを含む領域43を連続的に治療できることである。特定の応用例では、管41は冠状静脈洞であり、管42はマーシャル静脈である。
【0046】
一実施形態では、第1のルーメンLUは、直径4Fのルーメンである。
【0047】
バルーン
一実施形態では、本発明の装置1は、カテーテル10の遠位端部13に配置されたバルーン20を備える。ルーメンLUの出口21’が、バルーン20によって形成されたチャネル23と接続されるように、バルーン20は、カテーテル10の外側面に固定される。チャネル23の端部には、第1のルーメンLUの出口21’に対向するように配置された入口21と、横方向開口22が有る。チャネル23は、第1のルーメンLUから注入された溶液SOLを、バルーン20の横方向開口22に導くように設計されている。本発明の利点の1つは、カテーテルの横方向の流れを作ることである。
【0048】
別の実施形態では、チャネル23の最小直径は、オペレーターガイドを通過させ、ガイドを管42内に挿入可能な大きさにすることができる。特定の実施形態では、チャネル23の開口により、溶液SOL及び/又はガイドを注入することができる。
【0049】
図6は、実際に、マーシャル静脈42が血管41に開口している状態を示している。カテーテル10が血管41に挿入され、マーシャル静脈42の吻合43に対してバルーンの横方向開口22が配置される。次いで、溶液SOLがマーシャル静脈42に流入して治療が行われる。本発明の利点の一つは、先行技術のカテーテルの部品であるアームをマーシャル静脈42の内部に挿入した場合に治療されない領域43を治療できることである。
【0050】
一実施形態では、バルーン20は、カテーテル10の表面の一部を円周方向に延在する膨張部を形成する。幾つかの実施形態では、バルーン20は、図5に示すような環状形状(toroid shape)を有することができる。別の例では、バルーン20は、図2に示すような中空の円筒形状を有することができ、カテーテル10を通すための中央が中空のチャネルを形成できる。
【0051】
別の実施形態では、バルーン20は、カテーテルの外周部から、バルーン20の最大半径まで徐々に延びる形状を有する。図6に一例が示されている。したがって、バルーン20は、異なる形状を有することができ、カテーテル10が導入される管41の壁を密閉する第1の機能と、第2の管42の接合部へ送達する第2の機能とを確実にする。
【0052】
他の例では、バルーン20は、好ましくは回転対称性を有する異なる3次元形状を有することができる。一実施形態では、バルーン20は、管41の壁に接触する際にバルーン20の形状が非常に良好に適合し得る弾性材料又はプラスチック材料を含む。一実施形態では、バルーン20の壁は、ポリマー材料で作られる。
【0053】
一実施形態では、チャネル23は、広がった形状を有しており、外側の出口直径は、ルーメンLUの出口と接続する入口直径よりも大きい。チャネル23の形状は、例えば、円錐形とすることができる。
【0054】
別の実施形態では、チャネル23は、出口直径が入口直径と実質的に等しい左右対称の円筒形を有する。
【0055】
一実施形態では、バルーン20は、バルーン20の開口21を第1のルーメンLUの出口21’に固定することが可能な位置決めピン27を備える。図3には、位置決めピン27の一例が示されている。そして、位置決めピンは、第1のルーメンLUの出口に挿入されるように配置され、これにより、第1のルーメンLUとチャネル23との連続性を維持することができる。
【0056】
図4に示すような別の実施形態では、位置決めピン28は、第1のルーメンに連続して配置され、カテーテル10の表面の外側に突出部を形成する。次いで、第1のルーメンLUは、その延長線上に、位置決めピン28を形成する終端部を含む。
【0057】
位置決めピン27又は28を設けることの利点の一つは、第1のルーメンLUとチャネル23を、良好かつ確実に連続させる得ることである。さらに、位置決めピンは、チャネル23及び第1のルーメンLUによって形成されるダクトの密閉を改善する。最後に、位置決めピンは、バルーン20が膨張する間に、チャネル23の向きを正しく制御することができる。別の利点は、所定のカテーテルに適合可能な消耗バルーンを利用できることである。位置決めピンにより、調整可能な接続部を規定することができ、一定のクリアランスを吸収することができる。
【0058】
一実施形態では、位置決めピン27,28が存在しない。接続部21-21’は、第1のルーメンLUの出口21’とチャネル23の入口21が連続することにより、直接的に提供される。この実施形態は、例えば接着剤を用いて、バルーン20をカテーテル10の表面に直接固定する場合に有利である。
【0059】
一実施形態では、バルーン20は、バルーン20が膨張するときにチャネル23の形状を形成するように、予め形成される。別の例では、バルーン20が膨張した場合にチャネル23の所定の形状を規定するように、変形可能な機械的な構成部材がバルーンに縫い付けられる。別の例では、変形可能な機械的な構成部材は、接着又は溶接される。一実施形態では、材料又は補強部材により、チャネル23の剛性が高められる。これにより、バルーン20の膨張時にチャネル23が閉塞するのを防ぐことができる。
【0060】
一実施形態では、バルーン20は、次の2つの状態になり得る。
・収縮状態、これは、例えば、カテーテル10がマーシャル静脈へ通過するのを容易にするために利用され、図7は一実施形態を示している。
・膨張状態、これは、例えば、チャネル23内に液体を注入する操作又はガイドを通す操作の間に利用される。
【0061】
バルーン20の使用における関心は、マーシャル静脈42を治療するために導入される、血管41に戻り得るアルコールの逆流を制限することである。そのため、バルーン20は、密閉部材を形成し、アルコール溶液SOLが、マーシャル静脈42以外の管、特にカテーテル10が導入される管41内で確実に拡散されないようにする。
【0062】
第2のルーメンLU
一実施形態では、バルーン20は、第2のルーメンLUによって膨張され得る。一実施形態では、第2のルーメンLUは、カテーテル10と一体化され、別の実施形態では、ルーメンLUは、カテーテル10の外側面に配置することができる。
【0063】
第2のルーメンLUは、例えば、膨張のために空気等の加圧された気体又は液体の注入器の接続部として機能する入口35を含む。バルーンの膨張のために注入される溶液は、SOLと呼ばれる。ルーメンLUは、バルーン20の入口25と接続する出口25'を備える。
【0064】
一実施形態では、接続部25-25’の接続は、カテーテル10の表面において、第2のルーメンLUが、横方向に位置するバルーンの内側の中空の表面に開口するように行われる。
【0065】
別の実施形態では、図2に示すように、第2のルーメンLUがカテーテル10の外側に配置される場合、接続部25-25’がバルーン20の近位表面で接続され、カテーテル10の外側による膨張を可能にする。ルーメンLUは、例えば、それが固定されるカテーテル10に沿って延在する。一実施形態では、ガイドレールにより、第2のルーメンLUをカテーテル10に維持することができる。
【0066】
一実施形態では、第2のルーメンLUは、位置決めピン又は接続部を備えており、これにより、導入される溶液SOLが、実際にバルーン20の内部に確実に送られるようにする。一実施形態では、第2のルーメンLUの位置決めピンは、接続部21-21’と接続する種類のピンとすることができる。別の実施形態では、位置決めピンは、適宜、バルーン20の接続部25に配置することができる。
【0067】
一例では、第2のルーメンLUは、1~1.5Fの直径を有する。
【0068】
第3のルーメンLU
一実施形態では、カテーテル10は、第3のルーメンLUを含む。一例では、このルーメンは、カテーテル10と同軸とすることができる。利点の一つは、例えば、管41、例えば冠状静脈洞のような血管へ挿入されるカテーテル10を安定させるガイドを通すことができることである。
【0069】
一実施形態では、第3のルーメンLUは、カテーテル10の遠位開口17に開口する。開口17の直径は、造影剤(contrast product)等の溶液の導入及び/又はガイドが通るのに適した大きさとすることができる。実際、ガイドは、カテーテル10を安定させるために適応させることができる。
【0070】
他の実施形態では、第3のルーメンLUを用いて、リベレータ(revelator)又はいわゆる「放射線不透過性」マーカーを送達して、X線撮像システム等の医療用撮像システムによるカテーテル10の位置の視認性を改善することができる。例えば、第3のルーメンLUを用いて、ヨウ素溶液を管41内で拡散させることができる。利点の一つは、図6の領域43に示すように、チャネル23が管42の外側の出口開口に正確に対向するように、カテーテル10の位置を改善することである。
【0071】
バルーン20を膨張させ、次いで、同軸のルーメンLUを用いてヨウ素を注入することにより、冠状静脈洞の静脈造影を行うことができ、マーシャル静脈42の位置を特定できるため有利である。この工程は、バルーン20のチャネル23を吻合43に対向させる前、すなわち、静脈42の開口に配置する前に行うことができる。これにより、当該静脈42へのアルコールの注入を安全に行うことができる。
【0072】
バルーン20の膨張に関する別の関心は、再び冠状静脈洞内を流れることが許されない血管41の流れを阻止することである。そのため、カテーテル10により、血管41内の血流に影響されることなく、マーシャル静脈42の吻合43にアルコール溶液を導入することができる。したがって、バルーン20の存在により操作が容易になる。
【0073】
別の実施形態では、第3のルーメンLUは、直径が2.5Fのルーメンである。
【0074】
カテーテル
一実施形態では、カテーテル10は、7~9Fの直径を有しており、3つのルーメンLU,LU,LUを備えることができる。一実施形態では、後者は、誘導するためのシース11を備えることができる。
【0075】
一実施形態では、本発明の装置1はさらに、カテーテル10の直径よりも大きい直径を有するシース11を備える。シース11は、バルーン20を管42の接合部へ誘導する間、カテーテル10の表面で収縮状態を維持することができる。図7は、一実施形態を示しており、本実施形態では、シース11により、カテーテル10の表面の縮小空間にバルーンを維持することができる。シース11が管42に導入されると、シースが引き抜かれ、バルーン20を解放して膨張させることができる。
【0076】
マーシャル静脈を治療する必要がある場合、シース11により、カテーテル10を冠状静脈洞に誘導できるため有利である。一実施形態では、シース11は、介入心臓学におけるシースである。
【0077】
本発明の装置1の利点の一つは、1つの装置を用いて複数の機能を実現できることである。誘導する機能、ヨウ素等のリベレータを導入する機能、アルコール等の血管の治療用溶液を導入する機能、又は血管形成バルーンの膨張又は収縮を制御する機能である。
【0078】
一実施形態では、カテーテル10は、カテーテルの本体の遠位面に配置及び固定された電極を備え、管41内の電気的活動を記録することができる。一実施形態では、電極によって収集された電気信号は、カテーテル10、例えば、利用可能なルーメンの一つを通るコネクタによって送信される。別の実施形態では、電気コネクタが、カテーテル10の本体と一体化される。
【0079】
一実施形態では、カテーテル10の向きを変えることができる。カテーテル10の向きは、近位ハンドル12によって制御される。カテーテル10は、例えば、近位ハンドル12を用いて誘導することができる。これは、向きを変更可能なカテーテルと呼ばれ、したがって、カテーテルの向きを変えることができ、冠状静脈洞へ導入し、マーシャル静脈口に導入するのを容易にする。
【0080】
別の態様では、本発明は、本発明の膨張式バルーン20の応用例に関し、マーシャル静脈を治療する装置を形成する。
【0081】
一態様では、本発明は、マーシャル静脈の領域、特に、マーシャル静脈の内部と、マーシャル静脈と冠状静脈洞の吻合に対応する領域とを、アルコール処理するための本発明のカテーテルの使用に関する。したがって、この使用は、高周波による心房細動の切除の前段階となり得る。
【0082】
別の態様では、本発明は、マーシャル静脈の治療方法に関する。
【0083】
この方法は、
冠状静脈洞への本発明の装置を導入することと、
造影システムによって取得される画像のコントラストを改善するためのリベレータ型の溶液、例えばヨウ素を導入することと、当該溶液は、第3のルーメンLUを通して導入され、
バルーン20の出口を実質的にマーシャル静脈の吻合に配置するように、カテーテル10を配置することと、
本発明のバルーン20を膨張させることと、当該バルーン20は、第1のルーメンLUの遠位端部を横方向チャネル23へ延長するためのカテーテル10の開口に接続し、かつ、バルーン20を膨張させるための第2のルーメンLUの遠位端部と接続し、
マーシャル静脈の吻合で開口するように、チャネル23の位置を調整することと、
第1のルーメンに治療用溶液を導入して、接合領域とマーシャル静脈の内部に誘導することとを含む。
【0084】
一実施形態では、治療用溶液は、アルコール溶液である。一実施形態では、治療用溶液を第1のルーメンLUに導入する前に、試験液が導入され、バルーン20が冠状静脈洞41の壁に密着していることが確認される。一例では、試験液は、放射線不透過性の造影剤である。
【0085】
本発明のカテーテル10の利点の一つは、AFの切除を容易にすることである。実際に、カテーテル10により、マーシャル静脈に関連する筋伝導組織を破壊することができる。上述したように、マーシャル静脈と、その筋性分枝は、心房細動の過程において様々な方法で関与する。
【0086】
本発明の装置によるマーシャル静脈42のアルコール処理により、化学的な切除が可能となる。このために、カテーテル10は、マーシャル静脈42の吻合43まで導入され、次いで、チャネル23の出口がマーシャル静脈42の吻合43に対向するまで、バルーンが膨張する。バルーン20は膨張して、血管41の壁、冠状静脈洞に接触する。この接触により、吻合43及びマーシャル静脈にアルコールを導入する間、密閉される。バルーンが膨張すると、カテーテル10が位置決めされ、アルコールがルーメンLUに導入される。代替的な手段は、上述した従来技術の問題を有する血管形成材料を利用することである。
【0087】
相補的な方法及び任意の方法では、第1のルーメンLUに導入された装置から、第2の量のアルコールをマーシャル静脈42内に流入させることができる。本実施形態では、アルコールを静脈42に注入し、吻合領域43の近傍の領域を直接越えることができる。例えば、導入される装置は、血管形成バルーンである。
【0088】
図9は、代替的な実施形態を示しており、バルーン20がカテーテル10の本体に取り付けられる。この例では、バルーン20は、カテーテル10の外周部に取り付けられる。バルーン20とカテーテル10の接続部16は、リングを形成する。この接続は、例えば、同軸のクランプを有する管状部材を用いて行われる。一例では、この管状部材による締め付けは、当該管状部材を、例えば、温度場等の物理場に曝露することによって行われる。別の例では、バルーン20は、熱溶融によって溶接される。例えば、サーモボンドである。バルーン20をカテーテル10に固定する他の方法を代わりに用い、又は、当該他の方法を併せて利用することができる。他の例では、バルーン20は、接着剤を用いて接着又は取り付けられる。
【0089】
図9に示す例では、加圧された気体又は液体によって膨張した体積が、バルーンの壁に圧力を加えてバルーンを膨張させ、カテーテル10の外壁に圧力を加える。この場合、カテーテル10の本体の一部は、膨張後の体積を規定する壁を形成する。
【0090】
図10は、バルーン20が、カテーテル10に沿って延在した代替例を示す。利点の一つは、長い管41との境界を形成することである。したがって、この構成は、治療対象の領域と管41の上流部分及び下流部分とを良好に密閉する。
【0091】
図9及び図10の実施形態と、上述した実施形態では、バルーンは、管41の壁に達して密着接続を形成するまで膨張する。一例では、チャネル23は、バルーン20の膨張中に、接合領域43における溶液SOLの流れを方向付ける指向性を有するように予め形成される。別の例では、チャネル23は、バルーン20の膨張のみによって形成される。バルーンは、開口21の周囲で固定されているため、バルーンが膨張することにより、チャネル23を自然に形成することができる。
【0092】
一実施形態では、バルーン20は、バルーンの長手方向の離れた2つの位置でカテーテル10の壁に固定される。バルーンが、カテーテル10の外周全体に配置される場合、固定部材は、環状であることが好ましい。この場合、チャネル23は、カテーテル上のバルーンの2つの固定領域の間の中心に位置することが好ましい。この解決手段は、膨張に対称性を与える。第2のルーメンLUは、カテーテル10の側面開口25'に開口しており、膨張用の気体又は液体SOLを流す。膨張の間、膨張用の気体又は液体は、カテーテル10の壁とバルーン20の壁の間で分散される。この構成では、上述した実施形態と同様に、第1のルーメンLUは、カテーテル10の側面開口21'に開口し、チャネル23の入口21と接続される。
【0093】
図11は、本発明の装置1の断面を示しており、バルーン20は、2つのチャネル23,23’を備える。2つのチャネル23,23’は、バルーン20における2つの対向する周辺位置に配置される。この場合、2つのルーメンLU,LU’は、溶液SOLを流すように配置される。別の場合では、単一のルーメンLUがカテーテル10内に配置され、溶液SOLをチャネル23又はチャネル23’の一方に流すように構成される。第1の例では、溶液SOLの流れ方向を切り替える手段が作動して、ルーメンLUの出口をチャネル23,23’の一方又は他方に向ける。第2の例では、ルーメンLUは、遠位制御により、カテーテル10の出口に向きを合わせ、固定することができる。図11の場合、第2のルーメンLUは図示されていない。これは、図11に示す断面以外の面に配置することができる。
【0094】
この構成により、接合領域43に面するチャネル23又は23’にカテーテル10を容易に向けることができる。
【0095】
図12は、図11の代替例を示しており、3つのチャネル23,23’及び23’'が、バルーン20内に配置される。この実施形態では、3つのルーメンLU,LU’,LU’’は、溶液SOLを、チャネル23,23’又は23’'の1つに送達する可能性がある。別の構成では、単一のルーメンLUが、溶液SOLをチャネル23,23’,23’'の1つに送達するように構成される。後者の場合、ルーメンLUの向きを変えることができ、または、ルーメンLUの出口をチャネル23,23’又は23’'の3つの入口の1つに向けるように作動手段を設定することができる。
【0096】
図12の場合、チャネル23,23’及び23’'は、程度の差こそあるが、指向性を有する開口を備えるように予め形成される。チャネル23は、チャネル23’よりも広がっている。チャネル23’は、チャネル23’'よりも広がっている。この場合、チャネル23’により、治療用溶液SOLを接合領域43に極めて局所的に流すことができる。
【0097】
この構成の利点の一つは、接合領域の幾何学的形状に最も適したチャネル23,23’又は23’'を選択することである。
【0098】
別の利点は、使用例、形状及び治療方針に応じて構成可能なバルーン20を設計することである。さらに、このようなバルーン20は、いくつかのチャネルを備え、その主要な向きが120°~180°の間隔で配置されており、バルーン20の3つの横方向開口22の間に実質的な密閉領域を保持する。他の構成では、バルーンは、複数のチャネル23を備えることができる。これらのチャネルが、カテーテルの主軸に対する同一の交差面に従って配置された場合、それらの主要な向きは、別のチャネルに対して、少なくとも45°の間隔を空けて配置することが好ましい。
【0099】
別の構成では、バルーン20は、カテーテル10の軸に対して平行及び交差する異なる面に従って配置されたチャネル23を備えることができる。各交差面は、カテーテル10の軸Acに対して垂直であることが好ましい。
【0100】
図11及び図12の実施形態は、本発明の装置1の全ての実施形態と互換性がある。
【0101】
図13は、チャネル23においてバルーン1の膨張の形状を強制する予め形成された形状を有するチャネル23の一例を示す。
【0102】
予め形成されたチャネル23は、チャネル23を円錐形状にする機械的な補強部を形成するリング24によって実現することができる。この例では、チャネル23の主軸Avに垂直な断面は円形である。他の例では、その断面は、円錐形、楕円形、又は実質的に管形状を形成する任意の形状とすることができる。
【0103】
別の実施形態では、剛性部は弾性を有する。この弾性により、バルーン20の内圧に応じてチャネル23の変形を制御することができる。そのため、バルーン20の内圧を調整することにより、チャネル23の開口を制御できる。剛性部の変形は、既定の圧力範囲に依存するスケールに従って変わる。本発明により、所定のチャネルの所定の圧力と変形との間の関連性又は対応を確立することができる。そのため、本発明により、チャネル23の体積を調節することができる。利点の一つは、接合領域43において溶液SOLを拡散させるためにチャネル23に指向性を持たせることである。
【0104】
一例では、剛性部は、弾性を有しており、この弾性は、カテーテル10の表面におけるそれらの距離に依存する。したがって、チャネル23の基部を強化し、チャネル23の出口に液体を分散させることができる。バルーン20の外側縁部における剛性部の弾性が低い場合、膨張がチャネル23の出口の形状に作用し、膨張圧力に応じて広がる。
【0105】
バルーン20の役割は、管41の壁との間で密着境界を形成し、溶液SOLが管41の上流又は下流に流れないようにすることである。溶液SOLは、通常、管に対して毒性のあるアルコール溶液であるため、バルーン20は、接合領域43の周囲に密閉領域を形成するために十分に膨張しなければならない。
【0106】
図14は、本発明の装置1の一例を示しており、当該装置は、チャネル23の端部22に周囲リップ210を有するバルーン20を備える。周囲リップ210は、チャネル23の出口22の周りにリングを形成する。周囲リップ210は、バルーン20の表面の一部によって形成される。周囲リップ210をチャネル23の軸Avの周りに形成するために、バルーン20には、バルーン膨張時に密着を補強することが可能な拡張部210を予め形成することができる。バルーン20の拡張部は、バルーン20の横方向の追加の厚さに対応する。この構成の利点の一つは、接合領域43の周りのバルーン20の厚さを増加させ、接合領域43の近傍又は接合領域43内に位置する管41の一部と確実に接触することである。
【0107】
図15は、広がったチャネル23を有するバルーン20を備える本発明の装置の一例を示す。開口角29は、図15に示すように、90°よりも大きくすることができる。チャネル23は、広がった開口を形成する円錐を実質的に形成する。
【0108】
一実施形態では、周囲リップ210は、チャネル23の出口22の周囲の外周部に設けることができる。別の例では、必要に応じてリップを設けることなく、広がった開口を設けることができる。
【0109】
広がった開口22の利点は、接合領域43に流入する溶液SOLが到達する領域を増加させることである。
【0110】
一実施形態では、チャネル23は、バルーン20の形状によって形成される。バルーン20は、例えば、カテーテル10の開口21の周囲に、取り付けられ、接着され、又は固定される。チャネル23の形状を形成可能な補強部を備えない場合、膨張によってチャネル23が形成される。
【0111】
図16は、本発明の装置1の断面を示しており、カテーテル10の断面及びバルーン20の断面が示されている。この実施形態では、チャネル23の開口は、ルーメンLUに導入された液体SOLが、接合領域43の全体に到達するように広がっている。広がった形状の開口角29は、例えば、90°~180°の間とすることができる。バルーン20は、接続部27でカテーテル10に固定され、チャネル23を形成する。利点の一つは、接合領域43の全体に拡散できると共に、バルーン20と管41の壁が密着して接触した状態を維持することである。
【0112】
全ての実施形態において、バルーン20は膨張して、管41の壁と密着境界を形成する。この密着境界により、膨張したときに、2つの管41,42の接合領域43を確実に密閉にすることができる。これにより、チャネル23が接合領域43に到達し、溶液SOLを注入することができる。次いで、接合領域43及び管42は、チャネル23を延長する。このように形成された領域は、バルーン20の上流及び下流に位置する管41の領域を、溶液SOLから守る。
【0113】
図17は、その壁28が所定の角度を回動可能なカテーテル10の一部に動作可能に取り付けられたバルーン20の実施形態を示す。この実施形態では、ルーメンLUは、例えば、円弧形状のカテーテル10の本体の開口に開口する。この回動部28の実施形態では、カテーテル10の他の実施形態も可能である。例えば、カテーテル10の本体28は、その厚さにリザーバ(reservoir)を備えることができ、過度に開口することなく、実質的に回動することができる。この構成の利点の一つは、チャネル23を接合領域43に簡単に向けることである。このチャネルの向きの制御は、電磁的な制御を利用して行うことができる。実際、回動部28は、電磁石によって作動し、基準角度に対して所定の角度を形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17