(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】吸収パッド
(51)【国際特許分類】
A61F 13/505 20060101AFI20241112BHJP
A61F 13/47 20060101ALI20241112BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20241112BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20241112BHJP
A61F 13/532 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A61F13/505 100
A61F13/47 300
A61F13/53 200
A61F13/535 200
A61F13/532 200
(21)【出願番号】P 2021043608
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武士俣 航平
(72)【発明者】
【氏名】辻村 織恵
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188714(JP,A)
【文献】特開2004-041311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に着用者の腹側に配される腹側部と着用者の背側に配される背側部とその間に位置する股下部とを有するとともに、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、体液を吸収保持する吸収体と、該吸収体の該縦方向に沿う一対の縦輪郭線から外方に延出する一対のサイドフラップ部とを備え、別体の着用物品に重ねられ、該着用物品とともに着用される吸収パッドであって、
展開且つ伸長状態の前記吸収パッドの平面視において、該吸収パッドの前記縦方向に延びる一対の縦輪郭線は、それぞれ、前記股下部に、該吸収パッドを前記横方向に二等分して該縦方向に延びる横中心線に向かって凸の第1凸部を有するとともに、前記背側部に、該横中心線とは反対側に向かって凸の第2凸部を有し、
前記吸収パッドの前記横方向の長さの最短部の前記縦方向の中央は、該吸収パッドを該縦方向に二等分して該横方向に延びる縦中心線よりも、該吸収パッドの前記背側部側の縦方向端寄りに位置し、
前記吸収体は第1吸収体と、該第1吸収体の非肌対向面側に配された第2吸収体とを含み、
前記第1吸収体及び前記第2吸収体はそれぞれ、少なくとも前記背側部に、前記横方向の中央部を通って前記縦方向に延びる空間部からなるセンター変形誘導部を有し、
前記第1吸収体の前記センター変形誘導部は、該第1吸収体を厚み方向に貫通する空間部からなり、且つ前記吸収パッドの背側縦方向寄りの縦方向端が開口しており、
前記第2吸収体の前記センター変形誘導部は、該第2吸収体を厚み方向に貫通する空間部からなり、前記縦方向の両端が閉じており、且つ前記第1吸収体の前記センター変形誘導部に比べて、前記縦方向の長さ及び前記横方向の長さの双方が長く、
前記第1吸収体の前記センター変形誘導部の全体が前記第2吸収体の前記センター変形誘導部と重複している、吸収パッド。
【請求項2】
展開且つ伸長状態の前記吸収パッドの平面視において、前記吸収体の前記縦輪郭線は、前記股下部に、前記横中心線に向かって凸の第1凸部を有するとともに、前記背側部に、該横中心線とは反対側に向かって凸の第2凸部を有し、
前記吸収体の前記横方向の長さの最短部の前記縦方向の中央は、前記縦中心線よりも、該吸収パッドの前記背側部側の縦方向端寄りに位置している、請求項1に記載の吸収パッド。
【請求項3】
前記吸収体は、前記股下部又は前記背側部における前記横中心線を挟んで両側に、前記縦方向に延びる空間部からなる一対のサイド変形誘導部を有している、請求項1
又は2に記載の吸収パッド。
【請求項4】
一対の前記サイド変形誘導部どうしの前記横方向における最短距離は、60mm以上100mm以下である、請求項
3に記載の吸収パッド。
【請求項5】
前記吸収体は、前記股下部に、該吸収体の前記横方向の長さが前記腹側部側から前記背側部側に向かうに従って漸次短くなる幅変化部を有し、
前記幅変化部は、前記吸収パッドの前記第1凸部と前記縦方向において重複し、且つ該吸収パッドの前記第2凸部よりも、該吸収パッドの前記腹側部側の縦方向端寄りに位置している、請求項1~
4の何れか1項に記載の吸収パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の着用物品と併用され、尿等の排泄物を吸収するのに使用される吸収パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、尿等の排泄物の処理に伴う経済的、労力的な負担の軽減を目的として、尿とりパッド等の吸収パッドが使用されている。一般的に吸収パッドは、排泄物を吸収保持する吸収体と、該吸収体の肌対向面及び非肌対向面を被覆するシートとを備え、該シートは、該吸収体の周縁から延出してフラップ部を形成している。吸収パッドを使い捨ておむつ等の着用物品と着用者の股間部との間に介在させておくことで、着用者が尿等を排泄したときは吸収パッドのみを交換するだけで済むようになるため、着用物品の交換頻度を減らすことができる。
【0003】
特許文献1には吸収パッドとして、吸収体を二層構造とし、該二層構造を構成する各層に、該層を厚み方向に貫通する溝を形成したものが記載されている。特許文献1に記載の吸収パッドの主な技術的特徴は、この吸収体に形成された溝の形状であり、該溝により、着用者の股下部にあて易く、着用感が良好であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収パッドの吸収性能を向上させる方法として、排泄物を吸収保持する吸収体のサイズを大きくする方法が考えられるが、吸収体の大型化は、吸収パッドの面積や厚みの増大につながるため、着用者の身体に対する吸収パッドのフィット性が低下することが懸念される。吸収パッドの身体へのフィット性が低下すると、吸収パッドが着用者の身体に沿い難くなり、着用中に着用者の肌との間に隙間を生じたり、適切な着用位置からずれたりする場合があり、着用感が低下し、排泄物の漏れが誘発される。例えば、吸収パッドの一種である尿とりパッドの着用者は、身体機能の衰えや疾患等により、尿の排泄スピードが比較的遅く排泄時間が比較的長い傾向があるところ、尿とりパッドが着用者の股間部に密着していないと、排泄された尿が尿とりパッドに吸収されずに着用者の身体を伝って背中側に流れてしまい、尿漏れが発生する。したがって、吸収パッドの吸収性能を十分に発揮させるためには、吸収パッドのフィット性を高めることが重要であるが、従来の吸収パッドはその点で改善の余地があった。例えば、従来の吸収パッドを介護者が要介護者に装着させる場合、介護者の装着操作の熟練度等によっては、吸収パッドが要介護者の身体に十分に密着せず、漏れが発生する場合があった。着用者の身体に対するフィット性に優れ、介護者の熟練度等によらずに安定した密着性が得られる吸収パッドが要望されている。
【0006】
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収パッドを提供することにあり、詳細には、着用者の身体に対するフィット性に優れ、漏れを生じ難い吸収パッドを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部と着用者の背側に配される背側部とその間に位置する股下部とを有するとともに、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、体液を吸収保持する吸収体と、該吸収体の該縦方向に沿う一対の縦輪郭線から外方に延出する一対のサイドフラップ部とを備え、別体の着用物品に重ねられ、該着用物品とともに着用される吸収パッドである。
本発明の吸収パッドの一実施形態では、展開且つ伸長状態の前記吸収パッドの平面視において、該吸収パッドの前記縦方向に延びる一対の縦輪郭線は、それぞれ、前記股下部に、該吸収パッドを前記横方向に二等分して該縦方向に延びる横中心線に向かって凸の第1凸部を有するとともに、前記背側部に、該横中心線とは反対側に向かって凸の第2凸部を有している。
本発明の吸収パッドの一実施形態では、前記吸収パッドの前記横方向の長さの最短部の前記縦方向の中央は、該吸収パッドを該縦方向に二等分して該横方向に延びる縦中心線よりも、該吸収パッドの前記背側部側の縦方向端寄りに位置している。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着用者の身体に対するフィット性に優れ、漏れを生じ難い吸収パッドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の吸収パッドの一実施形態の展開且つ伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1のI-I線での模式的な断面図、
図2(b)は、
図1のII-II線での模式的な断面図、
図2(c)は、
図1のIII-III線での模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す吸収パッドの使用例を示す図であり、着用物品である使い捨ておむつの肌対向面に該吸収パッドを重ねた状態における
図1のII-II線での模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す吸収パッドの吸収性本体の展開且つ伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の吸収パッドの他の実施形態の
図4相当図である。
【
図6】
図6は、本発明の吸収パッドの更に他の実施形態の
図4相当図である。
【
図7】
図7は、
図6のIV-IV線での模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の吸収パッドの更に他の実施形態の
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0011】
図1及び
図2には、本発明の吸収パッドの一実施形態である吸収パッド1が示されている。吸収パッド1は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Fと、着用者の背側に配される背側部Rと、腹側部Fと背側部Rとの間に位置する股下部Mとを有する。また吸収パッド1は、腹側部Fから股下部Mを介して背側部Rに延びる縦方向Xと、縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。
【0012】
本実施形態では、吸収パッド1は、
図1に示す如き展開且つ伸長状態において、横中心線CLyを挟んで一方側と他方側とで対称に形成されている。
股下部Mは、陰茎等の排泄部に対向する排泄部対向部(図示せず)を含む領域であり、吸収パッド1の縦中心線CLxを縦方向Xに跨いでいる。
本発明において、腹側部F、股下部M及び背側部Rは、展開且つ伸長状態の吸収パッド1を縦方向Xに三等分した場合の各領域であり得る。
横中心線CLyは、展開且つ伸長状態の吸収パッド1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線である。縦中心線CLxは、展開且つ伸長状態の吸収パッド1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線である。
前記「展開且つ伸長状態」とは、吸収パッドを平面状に拡げて展開状態とし、その展開状態の吸収パッドの各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0013】
本発明の吸収パッドは、別体の着用物品に重ねられ、該着用物品とともに着用される。本発明の吸収パッドは、着用者の股間部にあてがわれた状態で使用される着用物品に適用可能であり、このような着用物品の一例として、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる吸収性物品が挙げられる。前記吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ等が挙げられる。
【0014】
図3には、吸収パッド1の使用例として、着用物品の一例である使い捨ておむつ100の肌対向面に吸収パッド1を重ねた状態が示されている。使い捨ておむつ100は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート101、非肌対向面を形成する液不透過性の裏面シート102、及び両シート101,102間に介在された吸収体103を具備しており、平面視において吸収パッド1と同様に縦方向Xに長い形状をなしている。使い捨ておむつ100の肌対向面の縦方向Xに沿う両側には、吸収パッド1が備える防漏カフ9と基本構成が同様の一対の防漏カフ104,104が設けられている。
【0015】
吸収パッド1は、
図1及び
図2に示すように、体液を吸収保持する吸収体5と、吸収体5の縦方向Xに沿う一対の縦輪郭線50,50から外方に延出する一対のサイドフラップ部8,8とを備えている。
本実施形態では、吸収パッド1は吸収性本体2を主体として構成されている。吸収性本体2は、吸収体5と、吸収体5の肌対向面側に配された表面シート3と、吸収体5の非肌対向面側に配された裏面シート4と、一対のサイドフラップ部8,8とを含む。
【0016】
吸収性本体2は、
図4に示すように、腹側部F、股下部M及び背側部Rを有し、平面視において縦方向Xに長い形状をなしている。表面シート3は、後述するサイドシート91とともに吸収パッド1の肌対向面を形成し、裏面シート4は、吸収パッド1の非肌対向面を形成する。吸収性本体2を構成する部材どうしは、接着剤、加熱処理又は超音波処理等による融着等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
吸収性本体2の構成部材としてはこの種の吸収パッドにおいて通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。表面シート3としては、液透過性を有する各種のシートを用いることができ、例えば、不織布、織布、紙が挙げられる。裏面シート4としては、防漏性を有するシート、具体的には液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂フィルム、該樹脂フィルムと不織布との積層体が挙げられる。
【0017】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収パッド等の吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体)に着目したときに、吸収性物品の着用時に着用者の肌に向けられる面であり、「非肌対向面」は、吸収性物品の着用時に着用者の肌とは反対側に向けられる面である。つまり、肌対向面は、着用者の肌から相対的に近い側の面であり、非肌対向面は、着用者の肌から相対的に遠い側の面である。また、「着用時」及び「着用状態」は、吸収パッドの適正な着用位置が維持されて着用された状態を指す。
【0018】
本実施形態では、吸収体5は、
図2に示すように、第1吸収体6と、第1吸収体6の非肌対向面側に配された第2吸収体7とを含み、両吸収体6,7の積層構造を有する。第1吸収体6は、相対的に着用者の肌から近い側に配され、第2吸収体7は、相対的に着用者の肌から遠い側に配される。
第1吸収体6は、吸水性材料を主体とする吸収性コア61と、吸収性コア61の肌対向面及び非肌対向面を被覆するコアラップシート62とを含む。コアラップシート62は、吸収性コア61の肌対向面を被覆するもの(肌側コアラップシート)と、吸収性コア61の非肌対向面を被覆するもの(非肌側コアラップシート)とを含み、互いに独立した2枚のコアラップシートからなる。
第2吸収体7は、吸水性材料を主体とする吸収性コア71と、吸収性コア71の肌対向面及び非肌対向面を被覆するコアラップシート72とを含む。コアラップシート72は、横方向Yの長さが吸収性コア71のそれの2倍以上3倍以下である1枚の連続したシートであり、
図2に示すように、吸収性コア71の肌対向面の全域を被覆し、更に、吸収性コア71の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア71の両側面及び非肌対向面の全域を被覆している。
前記吸水性材料としては、典型的には、木材パルプ等の繊維材料及び吸水性ポリマーから選択される1種以上が用いられる。コアラップシート62,72は液透過性を有し、典型的には、紙、不織布等からなる。
吸収性コア61,71とコアラップシート62,72とは、接着剤によって接合されていてもよい。図示の形態とは逆に、第1吸収体6のコアラップシート62が1枚のシートから構成され、第2吸収体7のコアラップシート72が2枚のシートから構成されていてもよい。吸収体6,7は、コアラップシート62,72を含まず、吸収性コア61,71のみから構成されていてもよい。
【0019】
吸収体5の縦輪郭線50は、
図1又は
図4に示す如き展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、横方向Yの最外方に位置する部分であり、吸収体5の縦方向Xに沿う側縁である。
本実施形態では前述したとおり、吸収体5は第1吸収体6と第2吸収体7との積層構造を有しているところ、展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、両吸収体6,7それぞれの縦方向Xに沿う側縁が一致している場合は、両吸収体6,7それぞれの該側縁が縦輪郭線50であり、これらが一致していない場合は、相対的に横中心線CLyから遠い方が縦輪郭線50である。図示の形態では、前記積層構造において、第2吸収体7の縦方向Xに沿う側縁の方が、第1吸収体6のそれよりも横中心線CLyから遠くに位置している部分が存在しているところ、斯かる部分では、第2吸収体7の該側縁が縦輪郭線50である。
【0020】
本実施形態では、吸収パッド1は、吸収性本体2の縦方向Xに沿う両側部に沿って配された一対の防漏カフ9,9を備えている。各防漏カフ9は、液不透過性且つ通気性のサイドシート91を含む。サイドシート91は、横方向Yの一端側が他の部材(図示の形態では裏面シート4)に固定されて固定端部、横方向Yの他端側が他の部材に非固定の自由端部とされている。サイドシート91の前記自由端部には、弾性部材92が、縦方向Xに伸長状態で固定されることで同方向に伸縮可能に配置されている。サイドシート91としては、裏面シート4として使用可能なシートを用いることができる。
吸収パッド1の着用時には、弾性部材92の収縮力により、少なくとも股下部Mにおいて、サイドシート91の前記自由端部側が、前記固定端部を起立基端として着用者側に起立することで一対の防漏カフ9,9が起立し、これにより尿等の排泄物の横方向Yの外方への流出が阻止される。なお
図2では、説明の便宜上、防漏カフ9を起立した状態で示しているが、
図1に示す如き展開且つ伸長状態の吸収パッド1において防漏カフ9が必ずしも
図2に示すように起立するというわけではない。
【0021】
図1又は
図4に示す如き展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、吸収パッド1の縦方向Xに延びる一対の縦輪郭線10,10、すなわち吸収パッド1の縦方向Xに延びる一対の側縁は、それぞれ、サイドフラップ部8から形成されている。また、吸収パッド1の腹側縦方向端(腹側部F側の縦方向Xの端)18及び背側縦方向端(背側部R側の縦方向Xの端)19も、それぞれ、サイドフラップ部8から形成されている。
サイドフラップ部8は、吸収体5の縦輪郭線50から外方に延出する延出部材から構成されている。本実施形態では、前記延出部材は、
図2に示すように、裏面シート4及びサイドシート91であるが、本発明ではこれに限定されず、吸収性本体2の構成部材のうち吸収体5以外のものは、サイドフラップ部8の構成部材となり得、サイドフラップ部8は、斯かる構成部材のうちの1つ以上を含んでいればよい。例えば、サイドフラップ部8は、裏面シート4及びサイドシート91に加えて更に表面シート3を含んでいてもよく、あるいは裏面シート4のみを含んでいてもよい。サイドフラップ部8を構成する複数の部材どうしは、接着剤、加熱処理又は超音波処理等による融着等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
【0022】
吸収パッド1の主たる特徴の1つとして、
図4に示すように、下記構成1及び2を具備する点が挙げられる。
・構成1:展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、一対の縦輪郭線10,10は、それぞれ、股下部Mに、横中心線CLy(横方向Yの内方)に向かって凸の第1凸部11を有するとともに、背側部Rに、横中心線CLyとは反対側(横方向Yの外方)に向かって凸の第2凸部12を有している。
・構成2:吸収パッド1の横方向Yの長さ(幅)W1の最短部14の縦方向Xの中央は、縦中心線CLxよりも、吸収パッド1の背側縦方向端19寄りに位置している。
【0023】
本発明者の知見によれば、この種の吸収パッドにおいて着用者の肌に特に密着し難い部位は、
図4を参照して、縦中心線CLxよりも背側部R側の横方向Yの中央部を含む領域であり、着用者の股間部から臀部にわたる部分に対応する臀部対応域15である。従来の吸収パッドは、臀部対応域15の周辺のサイドフラップ部8が着用者の大腿部に引っ掛かりやすいため、臀部対応域15が着用者の股間部から臀部にわたる部分に密着し難く、そのことが排泄物の漏れ、着用感の低下を招いていた。
前記構成1及び2の主な役割の1つは、この臀部対応域15の身体に対する密着性を高めることにあり、前記構成1及び2を具備する吸収パッド1は、臀部対応域15の周辺のサイドフラップ部8が着用者の大腿部に引っ掛かりにくく、臀部対応域15が着用者の股間部から臀部にわたる部分に密着しやすく、着用者の身体に対するフィット性に優れているので、排泄物の漏れ、特に背側部Rでの漏れを生じ難く、着用感が良好である。
【0024】
前記構成1に関し、本実施形態では、吸収パッド1の縦輪郭線10は、
図4に示すように、第1凸部11と第2凸部12との重複部13を有している。重複部13は、第1凸部11の背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端部を形成するとともに、第2凸部12の腹側縦方向端18寄りの縦方向Xの端部を形成している。重複部13は、腹側縦方向端18から背側縦方向端19に向かう方向において横方向Yの内方から外方に向かって延びており、すなわち縦方向X及び横方向Yの双方に直交せずに交差する方向に延びている。
縦輪郭線10における重複部13及びその近傍、特に重複部13及び第1凸部11における重複部13寄りの部分(後述する吸収体5の幅変化部58と縦方向Xにおいて同位置にある部分)は、吸収パッド1の着用時に着用者の大腿部と接触する部分であり、臀部対応域15の身体に対する密着性を左右し得る部分である。
前記構成1及び2による作用効果(臀部対応域15の密着性の向上等)を一層確実に奏させるようにする観点から、重複部13は、横方向Yに平行に延びずに、
図4に示す如くに、縦方向X及び横方向Yの双方に直交せずに交差する方向に延びることが好ましい。
【0025】
図4に示す如き展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、第1凸部11及び第2凸部12は、それぞれ、直線のみから構成されていてもよく、曲線のみから構成されていてもよく、直線及び曲線の両方を含んで構成されていてもよい。例えば、
図4に示す形態では、重複部13は、展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において直線であるが、吸収パッド1の外方に向かって凸の弧状でもよく、これとは逆に吸収パッド1の内方に向かって凸の弧状でもよい。
また、
図4に示す形態では、第2凸部12の背側の縦方向Xの端部121は、腹側縦方向端18から背側縦方向端19に向かう方向において横方向Yの外方から内方に向かって延びているが、重複部13と同様に腹側縦方向端18から背側縦方向端19に向かう方向において横方向Yの内方から外方に向かって延びていてもよく、あるいは縦方向Xに平行でもよい。
【0026】
前記構成2に関し、吸収パッド1の幅W1(
図4参照)は、吸収パッド1の一対の縦輪郭線10,10どうしの横方向Yにおける離間距離であり、最短部14は、吸収パッド1において該離間距離W1が最も短い部分である。
本実施形態では、最短部14は、
図4に示すように、縦輪郭線10の第2凸部12の腹側縦方向端18寄りの付け根に位置し、後述する吸収体5の幅変化部58の背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端部と縦方向Xにおいて同位置にある。
なお、前記構成2の「最短部14の縦方向Xの中央」は、最短部14の縦方向Xの長さが短すぎてその特定が困難な場合は、「最短部14」に置換できる。すなわち前記構成2は、「吸収パッド1の最短部14は、縦中心線CLxよりも、吸収パッド1の背側縦方向端19寄りに位置している。」でもよい。
前記構成1及び2による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、最短部14における吸収パッド1の幅W1は、好ましくは70mm以上、より好ましくは80mm以上、そして、好ましくは240mm以下、より好ましくは220mm以下である。
【0027】
前記構成2に関し、吸収パッド1の最短部14の縦方向Xの中央は、縦中心線CLxから吸収パッド1の背側縦方向端19側に100mm以内、特に70mm以内、とりわけ40mm以内の領域に存在することが好ましい。これにより、前記構成1及び2による作用効果がより一層向上し得る。
【0028】
本実施形態では、吸収体5も前記構成1及び2と同様の構成を備えている。具体的には
図4に示すように、展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、吸収体5の縦輪郭線50は、股下部Mに、横中心線CLy(横方向Yの内方)に向かって凸の第1凸部51を有するとともに、背側部Rに、横中心線CLyとは反対側(横方向Yの外方)に向かって凸の第2凸部52を有している(前記構成1に対応する構成)。加えて、吸収体5の横方向Yの長さ(幅)W5の最短部57の縦方向Xの中央は、縦中心線CLxよりも、吸収パッド1の背側縦方向端19寄りに位置している(前記構成2に対応する構成)。このように、吸収体5が前記構成1及び2と同様の構成を備えていることにより、前記構成1及び2による作用効果(臀部対応域15の密着性の向上等)がより一層向上し得る。
【0029】
本実施形態では、吸収体5の縦輪郭線50は、
図4に示すように、第1凸部51と第2凸部52との重複部53を有している。重複部53は、第1凸部51の背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端部を形成するとともに、第2凸部52の腹側縦方向端18寄りの縦方向Xの端部を形成している。重複部53は、腹側縦方向端18から背側縦方向端19に向かう方向において横方向Yの内方から外方に向かって延びており、すなわち縦方向X及び横方向Yの双方に直交せずに交差する方向に延びている。前記構成1及び2による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、重複部53は、横方向Yに平行に延びずに、
図4に示す如くに、縦方向X及び横方向Yの双方に直交せずに交差する方向に延びることが好ましい。
【0030】
図4に示す如き展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において、第1凸部51及び第2凸部52は、それぞれ、直線のみから構成されていてもよく、曲線のみから構成されていてもよく、直線及び曲線の両方を含んで構成されていてもよい。例えば、
図4に示す形態では、重複部53は、展開且つ伸長状態の吸収パッド1の平面視において直線であるが、吸収体5の外方に向かって凸の弧状でもよく、これとは逆に吸収体5の内方に向かって凸の弧状でもよい。
また、
図4に示す形態では、第2凸部52の背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端部521は、腹側縦方向端18から背側縦方向端19に向かう方向において横方向Yの外方から内方に向かって延びているが、重複部53と同様に腹側縦方向端18から背側縦方向端19に向かう方向において横方向Yの内方から外方に向かって延びていてもよく、あるいは縦方向Xに平行でもよい。
【0031】
吸収体5の幅W5(
図4参照)は、吸収体5の一対の縦輪郭線50,50どうしの横方向Yにおける離間距離であり、最短部57は、吸収体5において該離間距離W5が最も短い部分である。
本実施形態では、最短部57は、
図4に示すように、縦輪郭線50の第2凸部52の腹側縦方向端18寄りの付け根に位置し、後述する吸収体5の幅変化部58の背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端部と縦方向Xにおいて同位置にある。
なお、「最短部57の縦方向Xの中央」は、最短部57の縦方向Xの長さが短すぎてその特定が困難な場合は、「最短部57」に置換できる。
最短部57の縦方向Xの長さは特に制限されないが、前記構成1及び2による作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。
【0032】
吸収体5が前記構成1及び2と同様の構成を備えていることによる作用効果を一層確実に奏させるようにする観点から、
図4に示すように、吸収体5の第1凸部51は、吸収パッド1の第1凸部11に沿って縦方向Xに延び、吸収体5の第2凸部52は、吸収パッド1の第2凸部12に沿って縦方向Xに延びることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、
図1~
図4に示すように、吸収体5は、股下部M又は背側部Rにおける横中心線CLyを挟んで両側に、縦方向Xに延びる空間部からなる一対のサイド変形誘導部55,55を有している。
また本実施形態では、吸収体5は、少なくとも背側部Rに、横方向Yの中央部を通って縦方向Xに延びる空間部からなるセンター変形誘導部56を有している。センター変形誘導部56は、吸収パッド1が適正な着用位置で着用された場合に、着用者の臀裂に対応する。
変形誘導部55,56を形成する前記空間部は、吸収性コア61,71の形成材料(吸水性材料)の非存在部である。
【0034】
変形誘導部55,56は、吸収パッド1の着用時において吸収体5が体圧等の外力を受けて屈曲するなどして変形する際の可撓軸として機能し、吸収パッド1の着用感及びフィット性を向上し得る。したがって、吸収体5が変形誘導部55,56の少なくとも一方を有することで、前記構成1及び2による作用効果と相俟って、臀部対応域15の密着性が一層向上し、フィット性及び防漏性が一層向上し得る。特に本実施形態のように、吸収体5が変形誘導部55,56を有すると、吸収体5の変形容易性が一層高まるため、臀部対応域15の密着性がより一層向上し得る。
【0035】
吸収パッド1では、
図4に示すように、一対のサイド変形誘導部55,55は、それぞれ、股下部Mにおいて吸収体5の縦輪郭線50における後述の幅変化部58に対応する部分に沿って延び、平面視で連続直線状をなしている。一対のサイド変形誘導部55,55は、吸収パッド1の横中心線CLyを基準として対称に形成されている。サイド変形誘導部55は、厳密には、縦方向X及び横方向Yの双方に直交せずに交差する方向に延びているが、該方向と縦方向Xとのなす角度は45度未満であり、実質的に縦方向Xに延びている。一方センター変形誘導部56は、横中心線CLyとの重複位置を股下部Mから背側部Rにわたって延在し、平面視で連続直線状をなしている。そして、股下部M(より具体的には幅変化部58)において、一対のサイド変形誘導部55,55それぞれの背側縦方向端(吸収パッド1の背側縦方向端19に相対的に近い方の縦方向Xの端)側と、センター変形誘導部56の腹側縦方向端(吸収パッド1の腹側縦方向端18に相対的に近い方の縦方向Xの端)側とが、縦方向Xにおいて同位置にある。
【0036】
変形誘導部55,56は、吸収体5の厚み方向の全域にわたって存在(すなわち吸収体5を厚み方向に貫通)していてもよく、あるいは吸収体5の厚み方向の一部のみに存在していてもよい。吸収パッド1の変形誘導部55,56は何れも後者の非貫通タイプである。具体的には
図2(a)及び
図2(b)に示すように、サイド変形誘導部55の形成位置では、第1吸収体6に吸収性コア61を厚み方向に貫通する空間部が形成されているが、第2吸収体7には空間部は形成されておらず、サイド変形誘導部55はこの吸収性コア61の空間部からなる。また
図2(b)及び
図2(c)に示すように、センター変形誘導部56の形成位置では、第2吸収体7に吸収性コア71を厚み方向に貫通する空間部が形成されているが、第1吸収体6には空間部は形成されておらず、センター変形誘導部56はこの吸収性コア71の空間部からなる。
【0037】
一対のサイド変形誘導部55,55どうしの横方向Yにおける離間距離は特に制限されないが、吸収体5の変形容易性の向上等の観点から、最短距離は、好ましくは60mm以上100mm以下、より好ましくは70mm以上90mm以下である。
本実施形態では、斯かる一対のサイド変形誘導部55,55どうしの最短距離は、吸収体5の最短部57における一対のサイド変形誘導部55,55どうしの横方向Yにおける離間距離である。
なお本発明には、一対のサイド変形誘導部55,55が縦方向Xに平行に延びる形態が包含され、その形態ではそれらの横方向Yにおける離間距離は一定であるところ、その場合は、その一定の離間距離が前記最短距離である。
【0038】
吸収体5の変形しやすさの向上等の観点から、変形誘導部55,56の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。
変形誘導部55,56それぞれの幅(長手方向と直交する方向の長さ)は、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。
サイド変形誘導部55の縦方向Xの長さは、吸収パッド1の縦方向Xの全長に対して、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、そして、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。
センター変形誘導部56の縦方向Xの長さは、吸収パッド1の縦方向Xの全長に対して、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、そして、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下である。
【0039】
変形誘導部55,56は、それぞれ、吸収性コア61,71の製造工程において、変形誘導部55,56(前記空間部)の形成予定部位にコア形成材料(吸水性材料)を堆積させないか、又は該形成予定部位のコア形成材料の堆積量を周辺部に比べて少量にすることで形成することができる。吸収性コア61,71の製造工程は、常法に従って行うことができ、例えば、公知の積繊装置を用いて行うことができる。前記積繊装置は、典型的には、外周面に集積用凹部を有する回転ドラムを備え、該回転ドラムを回転させつつ、該回転ドラムの外周面にコア形成材料を飛散状態にて供給し、該コア形成材料を該集積用凹部の底面からの吸引により該集積用凹部内に積繊させ、その集積用凹部内の積繊物を、該集積用凹部に対向配置させた吸引手段からの吸引により該集積用凹部から離型して、該吸引手段上に転写する装置である。
変形誘導部55,56の他の形成方法として、コア形成材料の堆積量が均一な吸収性コアを製造し、該吸収性コアにおける変形誘導部55,56の形成予定部位に、エンボス加工等の圧搾加工を施す方法が挙げられる。このような圧搾加工によって形成された変形誘導部55,56は、吸収性コアにおける変形誘導部55,56の周辺部に比べて、高密度且つ高剛性である。
【0040】
本実施形態では、
図4に示すように、吸収体5は、その幅(横方向Yの長さ)W5が腹側部F側から背側部R側に向かうに従って漸次短くなる幅変化部58を有している。幅変化部58は、吸収パッド1の縦輪郭線10の第1凸部11と縦方向Xにおいて重複し、且つ吸収パッド1の縦輪郭線10の第2凸部12よりも、腹側縦方向端18寄りに位置している。第1凸部11は少なくとも股下部Mに位置しているので、第1凸部11と縦方向Xにおいて重複する幅変化部58も少なくとも股下部Mに位置している。また、幅変化部58の縦方向Xに沿う縦輪郭線(側縁)は、吸収体5の縦輪郭線50の第1凸部51の一部を形成するとともに、縦輪郭線50の第2凸部52(重複部53)に連接されている。
幅変化部58が位置する股下部Mは、吸収パッド1の着用者の排泄物が特に集中する部分であることから、吸収パッド1に実用上十分な吸収性能を付与するためには、股下部Mの吸収体5の幅W5が比較的長く該吸収体5が幅広であることが望ましいが、該吸収体5における第2凸部52(重複部13)寄りの部分が幅広であると、臀部対応域15の周辺のサイドフラップ部8が着用者の大腿部に引っ掛かりやすくなり、臀部対応域15の身体に対する密着性が低下することが懸念される。これに対し本実施形態では、幅変化部58の採用により、股下部Mの吸収体5の幅W5が第2凸部52に向かうに従って漸次短くなっているので、斯かる懸念が払拭されており、吸収性能とフィット性との両立が図られている。
幅変化部58による作用効果をより一層確実に奏させるようにする観点から、幅変化部58の縦方向Xの長さは、吸収パッド1の縦方向Xの全長に対して、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、そして、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。
【0041】
図5~
図8には、本発明の吸収パッドの他の実施形態(吸収パッド1A,1B,1C)が示されている。後述の他の実施形態については、前述の吸収パッド1と異なる構成を主に説明し、吸収パッド1と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。後述の他の実施形態において特に説明しない構成は、吸収パッド1についての説明が適宜適用される。
【0042】
図5に示す吸収パッド1Aでは、第1吸収体6が、少なくとも背側部Rに、横方向Yの中央部を通って縦方向Xに延びる空間部からなるセンター変形誘導部561を有するとともに、第2吸収体7が、少なくとも背側部Rに、横方向Yの中央部を通って縦方向Xに延びる空間部からなるセンター変形誘導部562を有し、且つ両変形誘導部561,562どうしが平面視において重複している。
センター変形誘導部561は、第1吸収体6の吸収性コア61(
図2参照)を厚み方向に貫通する空間部からなり、センター変形誘導部562は、第2吸収体7の吸収性コア71(
図2参照)を厚み方向に貫通する空間部からなる。
センター変形誘導部562は、センター変形誘導部561に比べて、縦方向Xの長さ及び横方向Yの長さ(幅)の双方が長く、センター変形誘導部561の全体がセンター変形誘導部562と重複している。
センター変形誘導部562は、縦方向Xの両端が閉じているのに対し、センター変形誘導部561は、吸収パッド1Aの背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端561Rが開口している。
吸収パッド1Aによっても吸収パッド1と同様の効果が奏される。
【0043】
図6及び
図7に示す吸収パッド1Bでは、第1吸収体6が、背側部Rにおける横中心線CLyを挟んで両側に、縦方向Xに延びる空間部からなる一対のサイド変形誘導部551,551を有するとともに、第2吸収体7が、背側部Rにおける横中心線CLyを挟んで両側に、縦方向Xに延びる空間部からなる一対のサイド変形誘導部552,552を有し、且つ両変形誘導部551,552どうしが平面視において重複している。
図7に示すように、サイド変形誘導部551は、第1吸収体6の吸収性コア61を厚み方向に貫通する空間部からなり、サイド変形誘導部552は、第2吸収体7の吸収性コア71を厚み方向に貫通する空間部からなる。
サイド変形誘導部552は、サイド変形誘導部551に比べて、縦方向Xの長さ及び横方向Yの長さ(幅)の双方が長く、サイド変形誘導部551の全体がサイド変形誘導部552と重複している。
サイド変形誘導部552は、縦方向Xの両端が閉じているのに対し、サイド変形誘導部551は、吸収パッド1Bの背側縦方向端19寄りの縦方向Xの端551Rが開口している。
吸収パッド1Bは、以上の点以外は、吸収パッド1Aと同様に構成されている。吸収パッド1Bによっても吸収パッド1と同様の効果が奏される。
【0044】
図8に示す吸収パッド1Cは、
図5に示す吸収パッド1Aと基本的な構成が類似する。両吸収パッド1A,1Cの相違点の1つは、吸収パッド1Aでは、第1吸収体6と第2吸収体7とで、股下部Mから背側部Rの股下部M寄りの部分にわたる縦輪郭線(縦方向Xに延びる側縁)が実質的に同形状(相似又は相似に近い関係)であったのに対し、吸収パッド1Cでは両吸収体6,7でこれが互いに異なる。すなわち吸収パッド1Cでは、
図8に示す如き展開且つ伸長状態の吸収パッド1Cの平面視において、第1吸収体6が縦方向Xに長い長方形形状をなしており、第1吸収体6の縦方向Xに沿う一対の縦輪郭線は縦方向Xに平行である。一方、第2吸収体7は同平面視において、その幅(横方向Yの長さ)が腹側部F側から背側部R側に向かうに従って漸次短くなる幅変化部を有し、この第2吸収体7の幅変化部が、吸収体5の幅変化部58を形成している。また吸収パッド1Cは、第1吸収体6が有する一対のサイド変形誘導部55,55が縦方向Xに平行である点で、これが縦方向Xに平行ではない吸収パッド1Aと相違する。更に吸収パッド1Cは、サイド変形誘導部55とセンター変形誘導部561,562とが縦方向Xにおいて重複していない、換言すれば、吸収体5においてサイド変形誘導部とセンター変形誘導部との間に変形誘導部の非存在領域がある点で、サイド変形誘導部とセンター変形誘導部とが縦方向Xにおいて重複する吸収パッド1Aと相違する。吸収パッド1Cによっても吸収パッド1(1A)と同様の効果が奏される。
【0045】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば前記実施形態では、吸収体5は股下部Mに幅変化部58を有していたがこれを有さず、吸収体5の一対の縦輪郭線50,50それぞれの第1凸部51の頂部(第1凸部51において横方向Yの最内方に位置する部分)は、縦方向Xに平行でもよい。この場合、一対の第1凸部51,51それぞれの縦方向Xに平行な頂部に挟まれた部分の全体が、吸収体5の横方向Yの長さの最短部57となり得る。またこの場合、吸収体5と同様の構成(平面視形状)を有する吸収パッド1,1A,1B,1Cにおいては、その一対の縦輪郭線10,10それぞれの第1凸部11の頂部(第1凸部11において横方向Yの最内方に位置する部分)は、縦方向Xに平行である。
前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1,1A,1B,1C 吸収パッド
10 吸収パッドの縦輪郭線
11 吸収パッドの縦輪郭線の第1凸部
12 吸収パッドの縦輪郭線の第2凸部
13 吸収パッドの第1凸部と第2凸部との重複部
14 吸収パッドの最短部
15 臀部対応域
2 吸収性本体
3 表面シート
4 裏面シート
5 吸収体
50 吸収体の縦輪郭線
51 吸収体の縦輪郭線の第1凸部
52 吸収体の縦輪郭線の第2凸部
53 吸収体の第1凸部と第2凸部との重複部
55,551,552 サイド変形誘導部
56,561,562 センター変形誘導部
57 吸収体の最短部
58 幅変化部
6 第1吸収体
7 第2吸収体
8 サイドフラップ部
9 防漏カフ
91 サイドシート
92 弾性部材
F 腹側部
M 股下部
R 背側部
X 縦方向
Y 横方向
CLx 吸収パッドの縦中心線
CLy 吸収パッドの横中心線