(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】航空機用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241112BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20241112BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20241112BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241112BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241112BHJP
【FI】
F21S2/00 380
F21V31/00 100
F21V29/70
F21V23/00 150
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021045024
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】庄司 晃雄
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0215481(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0164875(US,A1)
【文献】特開2016-066411(JP,A)
【文献】特開2019-153494(JP,A)
【文献】特開2003-187602(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0201112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 31/00
F21V 29/70
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合されることにより内部に灯室が形成されたランプハウジングとカバーを有する灯具外筐と、
一端に開口を有し内部空間が配置空間として形成されると共に前記灯室に配置された基板取付部材と、
前記基板取付部材の外周面に取り付けられ光源が搭載された光源基板と、
前記光源の点消灯を制御する制御基板と、
前記制御基板が取り付けられ前記灯室に配置された基板取付ベースとを備え、
前記基板取付ベースが前記基板取付部材に前記開口側から取り付けられると共に前記基板取付ベースが前記基板取付部材に取り付けられた状態において前記制御基板が前記配置空間に位置され
、
前記光源基板が複数設けられ、
複数の前記光源基板が前記基板取付部材に周方向に並んで又は離隔して取り付けられ、
前記制御基板と複数の前記光源基板とを接続するフレキシブルプリント配線板が設けられ、
前記フレキシブルプリント配線板が前記基板取付部材の外周面に取り付けられる被取付部と前記被取付部から突出され複数の前記光源基板にそれぞれ接続される複数の接続部とを有する
航空機用灯具。
【請求項2】
結合されることにより内部に灯室が形成されたランプハウジングとカバーを有する灯具外筐と、
一端に開口を有し内部空間が配置空間として形成されると共に前記灯室に配置された基板取付部材と、
前記基板取付部材の外周面に取り付けられ光源が搭載された光源基板と、
前記光源の点消灯を制御する制御基板と、
前記制御基板が取り付けられ前記灯室に配置された基板取付ベースとを備え、
前記基板取付ベースが前記基板取付部材に前記開口側から取り付けられると共に前記基板取付ベースが前記基板取付部材に取り付けられた状態において前記制御基板が前記配置空間に位置され、
前記基板取付ベースには前記基板取付部材に取り付けられるベース部と前記ベース部から突出された部材取付部とが設けられ、
前記制御基板が第1の基板と第2の基板を有し、
前記部材取付部の両面に前記第1の基板と前記第2の基板が取り付けられた
航空機用灯具。
【請求項3】
前記基板取付部材と前記基板取付ベースが金属材料によって何れもヒートシンクとして形成された
請求項1又は請求項2に記載の航空機用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機の機体等に取り付けられて使用される航空機用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用灯具には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光源が配置されたものがある(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0003】
このような航空機用灯具には、使用用途に応じて様々な種類が存在し、外部照明として、例えば、航空機同士の衝突を防止する衝突防止灯、機体の飛行姿勢や飛行方向を示す航空灯、離着陸時に滑走路を照射する着陸灯、機体に記された航空会社等のロゴを照明するロゴ灯等が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-33840号公報
【文献】特開2010-33841号公報
【文献】特開2020-119636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような航空機用灯具においては、他の航空機の操縦者等からの高い視認性が必要であるため、少なくともカバーが機体から露出されており外気に晒されることから内部空間が密閉空間にされているが、航空機の飛行時は気圧の変化や気温の変化等が大きくなる等の飛行環境の大きな変動が生じ易い。従って、これらの飛行環境によって内部空間に意図せず水分が侵入するおそれがある。
【0006】
しかしながら、航空機用灯具においては、万が一、このような内部空間への水分の侵入等が生じた場合においても、光源の点消灯を制御する制御基板への水分の付着を防止して制御回路の安定した駆動状態を確保する必要がある。
【0007】
そこで、本発明航空機用灯具は、航空機の飛行環境の変動に拘わらず光源の点消灯を制御する制御基板への水分の付着を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1に、本発明に係る航空機用灯具は、結合されることにより内部に灯室が形成されたランプハウジングとカバーを有する灯具外筐と、一端に開口を有し内部空間が配置空間として形成されると共に前記灯室に配置された基板取付部材と、前記基板取付部材の外周面に取り付けられ光源が搭載された光源基板と、前記光源の点消灯を制御する制御基板と、前記制御基板が取り付けられ前記灯室に配置された基板取付ベースとを備え、前記基板取付ベースが前記基板取付部材に前記開口側から取り付けられると共に前記基板取付ベースが前記基板取付部材に取り付けられた状態において前記制御基板が前記配置空間に位置されたものである。
【0009】
これにより、ランプハウジングとカバーが結合されて形成された灯室に基板取付部材と基板取付ベースが配置されると共に基板取付部材に基板取付ベースが取り付けられた状態において配置空間に制御基板が位置されるため、空間が二重構造にされた灯室のうち内側の空間である配置空間に制御基板が位置される。
【0010】
第2に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記光源基板が複数設けられ、複数の前記光源基板が前記基板取付部材に周方向に並んで又は離隔して取り付けられることが望ましい。
【0011】
これにより、周方向において光源から光を出射させることが可能になる。
【0012】
第3に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記制御基板と複数の前記光源基板とを接続するフレキシブルプリント配線板が設けられ、前記フレキシブルプリント配線板が前記基板取付部材の外周面に取り付けられる被取付部と前記被取付部から突出され複数の前記光源基板にそれぞれ接続される複数の接続部とを有することが望ましい。
【0013】
これにより、被取付部が基板取付部材の外周面に取り付けられた状態で複数の光源基板が一つのフレキシブルプリント配線板によって制御基板と接続される。
【0014】
第4に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記基板取付部材と前記基板取付ベースが金属材料によって何れもヒートシンクとして形成されることが望ましい。
【0015】
これにより、光源基板に発生する熱がヒートシンクとして形成された基板取付部材に伝達されると共に制御基板に発生する熱がヒートシンクとして形成された基板取付ベースに伝達されて放熱が可能になる。
【0016】
第5に、上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記基板取付ベースには前記基板取付部材に取り付けられるベース部と前記ベース部から突出された部材取付部とが設けられ、前記制御基板が第1の基板と第2の基板を有し、前記部材取付部の両面に前記第1の基板と前記第2の基板が取り付けられることが望ましい。
【0017】
これにより、制御基板が第1の基板と第2の基板に分割されて何れも基板取付部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ランプハウジングとカバーが結合されて形成された灯室に基板取付部材と基板取付ベースが配置されると共に基板取付部材に基板取付ベースが取り付けられた状態において配置空間に制御基板が位置されるため、空間が二重構造にされた灯室のうち内側の空間である配置空間に制御基板が位置され、航空機の飛行環境の変動に拘わらず制御基板が保護されて制御基板への水分の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】航空機用灯具を
図2とは異なる方向から見た状態で示す斜視図である。
【
図6】基板取付部材の一部とフレキシブルプリント配線板の一部とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明航空機用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
航空機用灯具は灯具外筐の内部に光源が配置され、灯具外筐がランプハウジングとカバーを有しているが、以下の説明にあっては、ランプハウジングとカバーの結合方向を上下方向とし、カバーを上方とし、ランプハウジングを下方とし、前後上下左右の方向を示すものとする。
【0022】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0023】
以下には、本発明の航空機用灯具を外部照明である衝突防止灯に適用した例を示したが、本発明の適用範囲は衝突防止灯に限られることはなく、航空機に用いられる他の外部照明に適用されてもよい。
【0024】
航空機用灯具1は、例えば、外部照明である衝突防止灯として用いられ、航空機100の機体101、例えば、胴体102の上部や下部に取り付けられる(
図1参照)。尚、航空機用灯具1は翼部、例えば、垂直尾翼103の両面にそれぞれ取り付けられてもよい。
【0025】
航空機用灯具1が胴体102に取り付けられる場合に、胴体102には図示しない配置凹部が形成される。航空機用灯具1は一部が配置凹部に配置され他の部分が胴体102から露出された状態にされる。
【0026】
航空機用灯具1は上方に開放されたランプハウジング2と下方に開放されたカバー3とを備え、ランプハウジング2の上端部とカバー3の下端部とが結合されている(
図2乃至
図5参照)。航空機用灯具1は、胴体102の配置凹部にランプハウジング2とカバー3の結合部分より下側の部分が配置され、それ以外の部分が胴体102から露出される。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部の空間が灯室5として形成されている。
【0027】
ランプハウジング2は放熱性の高い金属材料、例えば、アルミニウム等によって各部が一体に形成されて成る。ランプハウジング2は軸方向が上下方向にされた筒状の周面部6と周面部6の上端部から外方に張り出されたフランジ部7とを有している。周面部6には内周面から内方に突出された内側突部6a、6a、・・・が周方向に離隔して設けられている。フランジ部7の内周部は上方及び内方に開口された凹状の受け部7aとして形成されている。
【0028】
カバー3は透明な樹脂材料によって各部が一体に形成されて成る。カバー3は下方に開放されたキャップ状のカバー部8とカバー部8の下端部から外方に張り出された被押さえ部9とを有している。
【0029】
ランプハウジング2とカバー3は、カバー3の被押さえ部9が上側から金属材料によって形成された円環状のレンズリテーナー10に押さえられ下側からランプハウジング2のフランジ部7の内周部に押さえられ、レンズリテーナー10がフランジ部7にネジ止め等によって固定されることにより結合される。
【0030】
このようにカバー3は被押さえ部9が上側と下側からレンズリテーナー10とフランジ部7に押さえられレンズリテーナー10とフランジ部7に挟持された状態にされるため、カバー3のランプハウジング2からの脱落が防止されると共にカバー3の安定した配置状態が確保される。
【0031】
レンズリテーナー10がフランジ部7に固定されるときには、両者の間に円環状の第1のガスケット11が介在される。また、ランプハウジング2とカバー3はレンズリテーナー10とフランジ部7の結合部分が胴体102等にネジ止め等によって固定されるが、このときフランジ部7の下面と胴体102の間に第2のガスケット12が介在される。
【0032】
第1のガスケット11によって灯室5に対する防水性が図られ、第2のガスケット12によって胴体102に対する航空機用灯具1のガタツキの防止及び胴体102に形成された配置凹部に対する防水性が図られる。
【0033】
灯室5には基板取付部材13が配置され、基板取付部材13はランプハウジング2にネジ止め等によって取り付けられる。基板取付部材13は放熱性の高い金属材料、例えば、アルミニウム等によって各部が一体に形成されて成る。基板取付部材13は放熱性の高い金属材料によって形成されることにより、ヒートシンクとしても機能する。
【0034】
基板取付部材13は、軸方向が上下方向にされた略円環状の環状部14と、下端部が環状部14の内周部に連続された略円筒状の基板取付部15と、外周部が基板取付部15の上端部に連続された略円板状の取付板部16と、環状部14の外周部から下方に突出され周方向に離隔して位置された結合用突部17、17、・・・とを有している。
【0035】
基板取付部材13は下方に開放された形状に形成されており、下端に開口13aを有し、内部の空間が配置空間13bとして形成されている。
【0036】
環状部14には上下に貫通された配線板挿通孔14aが形成されている(
図6参照)。
【0037】
基板取付部15の外周面は、例えば、均等に9分割され、9分割された各面が平面状の基板取付面15a、15a、・・・として形成されている(
図4及び
図5参照)。
【0038】
取付板部16の外周部には上方に突出された位置決めピン16a、16aが設けられ、位置決めピン16a、16aは取付板部16の中心部を挟んで略反対側の位置に設けられている。
【0039】
基板取付部材13の基板取付面15a、15a、・・・にはそれぞれ第1の放熱シート18、18、・・・を介して光源基板19、19、・・・が接着やネジ止め等によって取り付けられている。第1の放熱シート18と光源基板19は、例えば、縦長の矩形状に形成され、光源基板19の外面には、例えば、三つの光源20、20、20が長手方向に離隔して搭載されている。光源20としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。
【0040】
上記のように、基板取付部材13の基板取付面15a、15a、・・・にそれぞれ光源基板19、19、・・・が取り付けられることにより、光源基板19、19、・・・が基板取付部材13に周方向に並んで又は離隔して取り付けられることに成る。従って、全周方向(放射方向)において光源20、20、・・・から光を出射させることが可能になり、航空機用灯具1を標識灯として使用する場合の機能性の向上を図ることができる。
【0041】
光源基板19、19、・・・にはフレキシブルプリント配線板21が接続される(
図4乃至
図6参照)。フレキシブルプリント配線板21は、所定の方向に延びる被取付部21aと、被取付部21aから被取付部21aの長手方向に直交する方向に突出された接続部21b、21b、・・・と、被取付部21aから接続部21bの突出方向に対して反対方向に突出された中継部21cとから成る。接続部21b、21b、・・・は光源基板19と同数が設けられ、被取付部21aの長手方向に離隔して位置されている。
【0042】
フレキシブルプリント配線板21は、中継部21cが基板取付部材13の環状部14に形成された配線板挿通孔14aに上方から挿通され、被取付部21aが基板取付部材13における基板取付部15の下端部に略円弧状に屈曲された状態で接着等によって取り付けられ、接続部21b、21b、・・・がそれぞれ光源基板19、19、・・・の下端部に半田付け等によって接合される。但し、被取付部21aは接着剤を使用しない状態で基板取付部15に取り付けられてもよい。
【0043】
基板取付部材13は基板取付部15と取付板部16がランプハウジング2の周面部6に下方から挿入され、環状部14が内側突部6a、6a、・・・にネジ止め等により取り付けられる(
図4及び
図5参照)。このとき環状部14と内側突部6a、6a、・・・の間には円環状の第2の放熱シート22が介在され、環状部14が内側突部6a、6a、・・・に第2の放熱シート22を介して取り付けられる。基板取付部材13がランプハウジング2に取り付けられた状態においては、基板取付部15の上側略半分の部分と取付板部16がランプハウジング2から上方に突出される。
【0044】
上記したように、航空機用灯具1においては、基板取付部材13の基板取付面15aに第1の放熱シート18を介して光源基板19が取り付けられると共に環状部14が内側突部6a、6a、・・・に第2の放熱シート22を介して取り付けられる。従って、光源20の駆動時に光源基板19や光源20に発生する熱が第1の放熱シート18から基板取付部材13に伝達され基板取付部材13からランプハウジング2に伝達されてランプハウジング2から外部に放出されるため、光源基板19及び光源20の温度上昇が抑制され、光源20の良好な点消灯状態を確保することができる。
【0045】
灯室5には基板取付ベース23が配置され、基板取付ベース23は基板取付部材13にネジ止め等によって開口13a側から取り付けられる。基板取付ベース23は放熱性の高い金属材料、例えば、アルミニウム等によって各部が一体に形成されて成る。基板取付ベース23は、上下方向を向く略円板状のベース部24と、ベース部24から上方に突出された部材取付部25とを有している。基板取付ベース23は放熱性の高い金属材料によって形成されることによりヒートシンクとしても機能する。
【0046】
ベース部24にはコネクター26が取り付けられ、コネクター26は一部がベース部24に挿通され下側の部分がベース部24から下方に突出されている(
図3乃至
図5参照)。コネクター26のベース部24から下方に突出された部分には、航空機用灯具1が胴体102に取り付けられた状態において機体101の内部に配置された図示しない電源回路に接続されたケーブルが接続される。ベース部24には上下に貫通された螺孔24aが形成されている。
【0047】
部材取付部25は縦長の略矩形の略平板状に形成され、コネクター26と螺孔24aの間に位置されている(
図4及び
図5参照)。部材取付部25は最も面積が広い両面がそれぞれ水平方向を向く取付面25a、25aとして形成されている。
【0048】
基板取付ベース23には制御基板27が取り付けられている。制御基板27には図示しない電子部品が搭載されている。制御基板27は光源基板19、19、・・・に搭載された光源20、20、・・・の点消灯を制御する機能を有し、第1の基板28と第2の基板29の2枚の基板に分割され第1の基板28と第2の基板29が配線によって接続されている。制御基板27は第1の基板28が一方の取付面25aに取り付けられ第2の基板29が他方の取付面25aに取り付けられている。制御基板27は、第1の基板28にフレキシブルプリント配線板21の中継部21cが接続され、第2の基板29が接続線30によってコネクター26に接続されている。
【0049】
航空機用灯具1においては、電流が電源回路からコネクター26と接続線30を介して第2の基板29に供給され、第2の基板29から第1の基板28を経由してフレキシブルプリント配線板21から光源基板19、19、・・・を介して光源20、20、・・・に供給される。このとき第1の基板28と第2の基板29によって光源20、20、・・・の点消灯が制御される。航空機用灯具1においては、例えば、全ての光源20、20、・・・が同時に点灯され又は消灯されて点滅される点消灯制御が行われる。
【0050】
上記したように、航空機用灯具1においては、制御基板27が第1の基板28と第2の基板29を有し、部材取付部25の両面に第1の基板28と第2の基板29が取り付けられている。
【0051】
従って、制御基板27が第1の基板28と第2の基板29に分割されて何れも部材取付部25に取り付けられるため、制御基板27の配置スペースが小さくなり、航空機用灯具1の小型化を図ることができる。
【0052】
また、航空機用灯具1においては、制御基板27と複数の光源基板19、19、・・・とを接続するフレキシブルプリント配線板21が設けられ、フレキシブルプリント配線板21が基板取付部材13の外周面に取り付けられる被取付部21aと被取付部21aから突出され光源基板19、19、・・・にそれぞれ接続される複数の接続部21b、21b、・・・とを有している。
【0053】
従って、被取付部21aが基板取付部材13の外周面に取り付けられた状態で複数の光源基板19、19、・・・が一つのフレキシブルプリント配線板21によって制御基板27と接続されるため、省スペース化を確保した状態で複数の光源基板19、19、・・・と制御基板27を容易に接続することができる。
【0054】
また、複数の光源基板19、19、・・・と制御基板27を接続線によって各別に接続する必要がないため、配線作業における作業工数が少なく、作業性の向上及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0055】
さらに、複数の光源基板19、19、・・・と制御基板27を接続するための複数の接続線を必要としないため、配線のスペースが小さくて済み、航空機用灯具1の小型化を図ることができる。
【0056】
基板取付ベース23におけるベース部24の外周部にはゴム等のオーリング31が取り付けられている。
【0057】
基板取付ベース23はランプハウジング2の周面部6に下方から挿入され、ベース部24の上面が基板取付部材13の結合用突部17、17、・・・の下面に突き当てられる。このとき基板取付ベース23における部材取付部25の上面と基板取付部材13における取付板部16の下面との間にクッション32が配置され、部材取付部25がクッション32を介して取付板部16に押し付けられる。従って、クッション32によって基板取付部材13に対する基板取付ベース23のガタ付きを防止することができる。
【0058】
基板取付ベース23がランプハウジング2の周面部6に下方から挿入された状態においては、ベース部24に取り付けられたオーリング31が周面部6の内周面に密着される。従って、基板取付部材13における内部の空間である配置空間13bに対する防水性が図られる。
【0059】
基板取付ベース23はベース部24が結合用突部17、17、・・・にネジ止め等によって取り付けられる。基板取付ベース23が基板取付部材13に取り付けられた状態においては、基板取付部材13の配置空間13bに制御基板27が位置される。
【0060】
上記のように、第1の基板28と第2の基板29は部材取付部25の取付面25a、25aに取り付けられるが、それぞれ放熱シートを介して取付面25a、25aに取り付けられてもよい。第1の基板28と第2の基板29が放熱シートを介して取付面25a、25aに取り付けられることにより、第1の基板28と第2の基板29の駆動時に発生する熱が第1の基板28と第2の基板29から基板取付ベース23に伝達され基板取付ベース23から基板取付部材13を介してランプハウジング2に伝達されてランプハウジング2から外部に放出される。従って、第1の基板28と第2の基板29の温度上昇が抑制され、第1の基板28と第2の基板29の良好な駆動状態を確保することができる。
【0061】
上記のように基板取付部材13と基板取付ベース23は金属材料によって何れもヒートシンクとして形成されているため、光源基板19に発生する熱がヒートシンクとして形成された基板取付部材13に伝達されると共に制御基板27に発生する熱がヒートシンクとして形成された基板取付ベース23に伝達されて放熱が可能になる。従って、光源基板19に搭載された光源20と制御基板27に搭載された電子部品の温度上昇が抑制され、光源20と電子部品の安定した駆動状態を確保することができる。
【0062】
基板取付ベース23が基板取付部材13に取り付けられた状態においては、ベース部24に形成された螺孔24aに螺合部を有する制御用部材33が螺合される。制御用部材33には空気を透過するが水分を透過しない機能性材料が含有されている。従って、航空機100の飛行中等に制御用部材33によって空気が航空機用灯具1の内外で流動されて内圧の変動が抑制される。また、制御用部材33が設けられることにより、螺孔24aから航空機用灯具1の内部への水分の侵入が防止され灯室5に配置された各部が保護される。
【0063】
灯室5にはインナーレンズ34が配置され、インナーレンズ34は基板取付部材13にネジ止め等によって取り付けられる。インナーレンズ34は透明な樹脂材料によって各部が一体に形成されて成る。
【0064】
インナーレンズ34は、上下方向を向く略円板状の閉塞部35と、上端部が閉塞部35の外周部に連続された覆い部36と、覆い部36の下端部から外方に張り出された張出部37とを有している。
【0065】
閉塞部35には上下に貫通された位置決め孔35a、35aが形成され、位置決め孔35a、35aは閉塞部35の中心部を挟んで略反対側の位置に形成されている。
【0066】
覆い部36は基板取付部材13の基板取付部15より一回り大きい略円筒状に形成され、軸方向における長さが基板取付部15の軸方向における長さより短くされている。覆い部36には上下に連続して制御レンズ部38、38、38が設けられている。制御レンズ部38は略円環状に形成され、縦断面形状が外方に凸の略半円形状にされている。
【0067】
インナーレンズ34は閉塞部35の位置決め孔35a、35aにそれぞれ位置決めピン16a、16aが挿入されて基板取付部材13に位置決めされる。基板取付部材13の取付板部16には図示しないネジ穴が形成されており、インナーレンズ34の閉塞部35には図示しないネジ挿通孔が形成されており、上記のようにインナーレンズ34が基板取付部材13に位置決めされた状態において、ネジ挿通孔を挿通された図示しない取付ネジがネジ穴に螺合されることにより閉塞部35が取付板部16に取り付けられる。
【0068】
インナーレンズ34が基板取付部材13に取り付けられた状態においては、光源基板19、19、・・・に搭載された光源20、20、・・・に対向する位置にそれぞれ制御レンズ部38、38、38が位置される(
図5参照)。即ち、上段に位置された光源20、20、・・・に対向して上段の制御レンズ部38が位置され、中段に位置された光源20、20、・・・に対向して中段の制御レンズ部38が位置され、下段に位置された光源20、20、・・・に対向して下段の制御レンズ部38が位置される。
【0069】
従って、上段に位置された光源20、20、・・・から出射された光は上段の制御レンズ部38によって制御されカバー3を透過されて外部へ向けて照射され、中段に位置された光源20、20、・・・から出射された光は中段の制御レンズ部38によって制御されカバー3を透過されて外部へ向けて照射され、下段に位置された光源20、20、・・・から出射された光は下段の制御レンズ部38によって制御されカバー3を透過されて外部へ向けて照射される。
【0070】
上記のように、インナーレンズ34が基板取付部材13に取り付けられた状態においては、張出部37がランプハウジング2におけるフランジ部7の受け部7aに係合され、インナーレンズ34の灯室5における安定した配置状態が確保される。
【0071】
上記したように、航空機用灯具1にあっては、基板取付ベース23が基板取付部材13に開口13a側から取り付けられると共に基板取付ベース23が基板取付部材13に取り付けられた状態において制御基板27が配置空間13bに位置されている。
【0072】
従って、ランプハウジング2とカバー3が結合されて形成された灯室5に基板取付部材13と基板取付ベース23が配置されると共に基板取付部材13に基板取付ベース23が取り付けられた状態において配置空間13bに制御基板27が位置されている。これにより、空間が二重構造にされた灯室5のうち内側の空間である配置空間13bに制御基板27が位置されるため、航空機100の飛行時に気圧の変化や気温の変化等の飛行環境の大きな変動によって灯室5に意図せず水分が侵入した場合にも制御基板27に水分が付着し難く、航空機100の飛行環境の変動に拘わらず制御基板27が保護されて制御基板27への水分の付着を防止することができる。尚、航空機用灯具1においては、インナーレンズ34の位置決め孔35aと基板取付部材13の位置決めピン16aとの間、インナーレンズ34の張出部37とランプハウジング2の受け部7aとの間、制御用部材33と基板取付ベース23の螺孔24aとの間にシリコン剤等を充填して配置空間13bに対する防水性が図られている。
【0073】
また、航空機用灯具1が胴体102等に取り付けられた状態においては、制御基板27の第1の基板28と第2の基板29が何れも垂直方向(上下方向)以外の方向、例えば、水平方向を向く状態にされる。従って、航空機100の飛行中の気圧や温度の変化等によって、万が一、航空機用灯具1の内部に存在する水蒸気が水滴となって第1の基板28や第2の基板29に付着された場合にも、水滴が第1の基板28と第2の基板29から流れ落ちて水分の第1の基板28と第2の基板29への付着が防止され、制御基板27の安定した駆動状態を確保することができる。
【0074】
さらに、航空機用灯具1においては、基板取付部材13の基板取付部15が筒状に形成されている。
【0075】
従って、筒状の基板取付部15に光源基板19、19、・・・が周方向に並んで又は離隔して取り付けられるため、全周において光源20、20、・・・から光を出射させることが可能になり、航空機用灯具1に対する高い被視認性が確保され航空機用灯具1の機能性の向上を図ることができる。
【0076】
さらにまた、インナーレンズ34に覆い部36の軸方向における一端を閉塞する閉塞部35が設けられ、基板取付部材13に基板取付部15の軸方向における一端を閉塞する取付板部16が設けられ、基板取付部15が覆い部36の内部に位置された状態において閉塞部35が取付板部16に取り付けられている。
【0077】
従って、閉塞部35が取付板部16に取り付けられることにより光源基板19のインナーレンズ34に対する位置決め及びインナーレンズ34と基板取付部材13の結合が行われるため、航空機用灯具1における各部の組付を高い精度で容易に行うことができる。
【0078】
加えて、制御基板27が取り付けられ灯室5に配置された基板取付ベース23が設けられ、制御基板27が基板取付部材13の内部に位置されている。
【0079】
従って、基板取付ベース23に取り付けられた制御基板27が基板取付部材13の内部に位置されると共に基板取付部材13に取り付けられた光源基板19がインナーレンズ34の内部に位置されるため、インナーレンズ34の内部に光源基板19と制御基板27が位置され、スペース効率の向上による航空機用灯具1の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1…航空機用灯具、2…ランプハウジング、3…カバー、4…灯具外筐、5…灯室、13…基板取付部材、13a…開口、13b…配置空間、19…光源基板、20…光源、21…フレキシブルプリント配線板、21a…被取付部、21b…接続部、23…基板取付ベース、24…ベース部、25…部材取付部、27…制御基板、28…第1の基板、29…第2の基板