(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20241112BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
(21)【出願番号】P 2021053436
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 舞
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-097787(JP,A)
【文献】実開昭56-174311(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0193526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を流通させる内部流路を有する筒状のケース体と、
前記内部流路に配置され、前記内部流路の断面に沿った第1方向に延伸する第1基準軸を基準に回転変位する板状のフィンと、
それぞれ、前記内部流路の前記断面に沿った第2方向に延伸する第2基準軸を基準に回転変位する板状であり、前記内部流路のうちの前記フィンよりも上流側で、前記内部流路の前記断面に沿って、かつ、前記第2方向とは垂直な方向に並んで配置される複数のリアフィンと、
前記第1方向に対して交差する面で互いに分離された第1分割ノブと第2分割ノブとを含む操作ノブと、を備え、
前記フィンは、前記第1方向に対して交差する面で互いに分離された第1分割フィンと第2分割フィンとを含
み、
複数の前記リアフィンは、リンクを介して互いに回転変位自在に連結された互いに隣り合う複数の前記リアフィンを含む第1リアフィン群と、前記第1リアフィン群に含まれる複数の前記リアフィンを連結するものとは異なるリンクを介して互いに回転変位自在に連結された複数の前記リアフィンを含む第2リアフィン群とに分類され、
前記第1分割ノブ及び前記第2分割ノブは、それぞれ、前記第1方向に沿って移動し、前記第1分割フィンと前記第2分割フィンとのいずれにも係合自在であり、
前記第1リアフィン群に含まれる少なくとも1つの前記リアフィンは、回転変位自在な状態で前記第1分割ノブの一部と係合し、
前記第2リアフィン群に含まれる少なくとも1つの前記リアフィンは、回転変位自在な状態で前記第2分割ノブの一部と係合する、風向調整装置。
【請求項2】
複数の前記フィンが、前記内部流路の前記断面に沿って、かつ、前記第1方向とは垂直な方向に並んで配置される場合、
各々の前記フィンに含まれる前記第1分割フィンを互いに回転変位自在に連結する第1リンクと、
各々の前記フィンに含まれる前記第2分割フィンを互いに回転変位自在に連結する第2リンクと、を備え、
前記操作ノブは、複数の前記フィンのうちのいずれかに係合する、請求項
1に記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に設置され、車両の空調装置から車室内に供給させる風の向きを調整する風向調整装置がある。特許文献1は、1つのケーシング(ケース体)の内部に複数の水平羽根と複数の垂直羽根とを備えた風向調整装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の風向調整装置では、車室内に対して垂直羽根よりも手前側にある水平羽根は、ケーシングの内部で一定の姿勢に維持されているので、風向を多様に調整することが難しい。
【0005】
そこで、本開示は、1つのケース体の内部で、簡素な構造で風向を多様に調整する風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る風向調整装置は、気体を流通させる内部流路を有する筒状のケース体と、内部流路に配置され、内部流路の断面に沿った第1方向に延伸する第1基準軸を基準に回転変位する板状のフィンと、を備え、フィンは、第1方向に対して交差する面で互いに分離された第1分割フィンと第2分割フィンとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、1つのケース体の内部で、簡素な構造で風向を多様に調整する風向調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る風向調整装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】フィン群(フロントフィン群)の外観を示す斜視図である。
【
図4】フィン群による風向調整の一例を示す斜視図である。
【
図5A】リアフィン群が中立姿勢にあるときの風向を示す断面図である。
【
図5B】リアフィン群による風向調整の第1例を示す断面図である。
【
図5C】リアフィン群による風向調整の第2例を示す断面図である。
【
図6A】リアフィン群による風向調整の第3例を示す断面図である。
【
図6B】リアフィン群による風向調整の第4例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については、図示を省略する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る風向調整装置1の外観を示す斜視図である。風向調整装置1は、自動車等の車両に設置され、車両の空調装置から車室内に供給させる風の向きを調整する。例えば、風向調整装置1は、自動車の車室内にあるインストルメントパネルやセンターコンソール等に設けられた開口部に取り付けられる。なお、同類の風向調整装置を含む空調装置は、ベンチレーターやレジスターなどと呼ばれることもある。
【0011】
風向調整装置1は、ケース体10と、フィン群20と、操作ノブ30と、リアフィン群40とを備える。
【0012】
ケース体10は、操作ノブ30を係合させているフィン群20、及び、リアフィン群40を内部に収容する。ケース体10は、気体を流通させる内部流路11を有する筒状である。ここで、以下の各図では、説明の便宜上、ケース体10の形状を基準としてX,Y,Zの各方向を次のように規定する。X方向は、ケース体10の筒形状を規定する軸方向に沿って、かつ、内部流路11の上流側から下流側に向かう。Y方向とZ方向とは、それぞれX方向に対して垂直で、かつ、互いに垂直である。この規定に従い、以下、内部流路11の断面とは、内部流路11内のYZ断面をいう。
【0013】
また、ケース体10は、第1壁部10a、第2壁部10b、第3壁部10c及び第4壁部10dとの4つの壁部を組み合わせて形成される。第1壁部10aと第2壁部10bとは、Z方向で互いに対向する。第3壁部10cと第4壁部10dとは、Y方向で互いに対向する。また、第1壁部10aの一辺は、第3壁部10cを介して第2壁部10bの一辺と連結する。第1壁部10aの他辺は、第4壁部10dを介して第2壁部10bの他辺と連結する。つまり、内部流路11は、第1壁部10a、第2壁部10b、第3壁部10c及び第4壁部10dに囲まれた空間領域である。そして、ケース体10は、内部流路11の断面形状が矩形となる角筒状である。第1壁部10a及び第2壁部10bは、それぞれ平板状である。第3壁部10c及び第4壁部10dは、それぞれ板状であるが、互いに対称形状の曲面10eを有する。この曲面10eが存在することにより、内部流路11の上流側の断面よりも下流側の断面の方が大きい。なお、内部流路11の断面形状をX方向に沿って変化させている点については、
図5A等を用いた説明と併せて後述する。
【0014】
第3壁部10c及び第4壁部10dは、互いにY方向で対向する位置に、後述するフィン21を支持する複数の第1軸穴10hを有する。一方、第1壁部10a及び第2壁部10bは、互いにZ方向で対向する位置に、後述する第1リアフィン41又は第2リアフィン42を支持する複数の第2軸穴10iを有する。
【0015】
このようなケース体10の形状によれば、内部流路11の一方の開口が気体吹出口10fとなり、内部流路11の他方の開口が気体導入口10g(
図5A等参照)となる。気体導入口10gは、車両内に設置されている不図示の空調装置に接続され、当該空調装置から供給された気体を導入する。本実施形態のように、適用対象である車両が一般的な自動車である場合には、気体は空気である。気体吹出口10fは、車室内に面し、内部流路11を流通してきた気体を車室側に吹き出す。以下の各図では、必要に応じて、気体吹出口10fから吹き出される風の向き、すなわち風向D
Wを示す。
【0016】
図2は、風向調整装置1から抜粋された、フィン群20の外観を示す斜視図である。フィン群20は、風向D
Wを変化させるための第1の風向可変機構である。
【0017】
フィン群20は、内部流路11に配置される複数のフィン21の集合体である。フィン21は、板状であり、適宜、第1基準軸AX1を基準に回転変位する。第1基準軸AX1は、内部流路11の断面に沿った第1方向に延伸する。第1方向は、本実施形態ではY方向に対応する。第1基準軸AX1は、フィン21において気体吹出口10fの側に突出する下流側エッジ部22aの近傍に設定されている。
【0018】
また、フィン群20は、本実施形態では3つのフィン21を含む。3つのフィン21は、内部流路11の断面に沿って、かつ、第1方向とは垂直な方向に、一定の間隔で並んで配置される。なお、フィン群20に含まれる各々のフィン21の構成及び形状は、互いに同一であるため、図中、一部の符号の表記を省略する。
【0019】
フィン21は、第1方向に対して交差する面で互いに分離された複数の分割フィンを含む。本実施形態では、フィン21は、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの2つの分割フィンを含む。第1方向に対して交差する面は、仮想のXZ面である。
【0020】
また、フィン21は、第1支持軸23aと、第2支持軸23bと、連結軸23cとの3つの軸部を有する。これらの軸部は、それぞれ第1基準軸AX1に合わせて延伸する。第1支持軸23aは、第1分割フィン21Aの一方の側端部24から外部に突出し、ケース体10の第4壁部10dに形成されている第1軸穴10hに係合する。第2支持軸23bは、第2分割フィン21Bの一方の側端部25から外部に突出し、ケース体10の第3壁部10cに形成されている第1軸穴10hに係合する。連結軸23cは、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとを連結する。連結軸23cの一方の側は、第1分割フィン21Aの他方の側端部に形成されている軸穴と係合する。連結軸23cの他方の側は、第2分割フィン21Bの他方の側端部26に形成されている軸穴と係合する。
【0021】
このような構成により、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとは、第1基準軸AX1を基準として、互いに独立して回転変位することができる。ここで、第1軸穴10hに対して第1支持軸23aの回転に要するトルク及び第2支持軸23bの回転に要するトルクは、それぞれ、連結軸23cに対して第1分割フィン21A及び第2分割フィン21Bの回転に要するトルクよりも大きく設定してもよい。このような各係合部分でのトルク設定によれば、後述する操作により一方の分割フィンを回転変位させたときに、他方の分割フィンが追従して回転変位してしまうことを抑えることができる。
【0022】
また、第1分割フィン21Aは、側端部24に、気体導入口10g側に突出する上流側エッジ部22bの一部を切り欠いた切り欠き部24aを有する。そして、第1分割フィン21Aは、切り欠き部24aに、第1支持軸23aと平行な第1回転軸27aを有する。同様に、第2分割フィン21Bは、側端部25に、気体導入口10gの側に突出する上流側エッジ部22bの一部を切り欠いた切り欠き部25aを有する。そして、第2分割フィン21Bは、切り欠き部25aに、第2支持軸23bと平行な第2回転軸27bを有する。
【0023】
更に、フィン群20は、それぞれ棒状である、第1リンク28と、第2リンク29とを備える。第1リンク28は、各々のフィン21に含まれる第1分割フィン21Aを互いに回転変位自在に連結する。第1リンク28は、すべての第1分割フィン21Aの姿勢を同一に維持しつつ、隣り合う第1分割フィン21A同士の間隔を一定に維持するように、各々の第1回転軸27aを個別に係合させる複数の第1連結穴28aを有する。同様に、第2リンク29は、各々のフィン21に含まれる第2分割フィン21Bを互いに回転変位自在に連結する。第2リンク29は、すべての第2分割フィン21Bの姿勢を同一に維持しつつ、隣り合う第2分割フィン21B同士の間隔を一定に維持するように、各々の第2回転軸27bを個別に係合させる複数の第2連結穴29aを有する。
【0024】
第1分割フィン21Aに形成されている切り欠き部24aの形状及び大きさは、第1回転軸27aと第1連結穴28aとを係合させている状態であっても、第1リンク28がケース体10の第4壁部10dと接触しないように規定される。同様に、第2分割フィン21Bに形成されている切り欠き部25aの形状及び大きさは、第2回転軸27bと第2連結穴29aとを係合させている状態であっても、第2リンク29がケース体10の第3壁部10cと接触しないように規定される。
【0025】
操作ノブ30は、フィン群20及び以下で詳説するリアフィン群40の姿勢を乗員が車室側から変更するために用いられる。操作ノブ30は、略平型のブロック体であり、複数のフィン21のうちのいずれかに係合する。本実施形態では、フィン群20に含まれる3つのフィン21のうち、中間位置に配置されているフィン21に係合するものとする。このとき、操作ノブ30は、フィン21に対して、略平型の主平面がフィン21の平板面とおおよそ平行となるように係合される。また、操作ノブ30の大きさは、後述する第1先端部31bや第2先端部32bを車室側にいる乗員が片手でつまむことができ、かつ、隣り合うフィン21同士の間で気体の流れを極力阻害しない程度であることが望ましい。
【0026】
また、操作ノブ30は、第1方向に対して交差する面で互いに分離された複数の分割ノブを含む。本実施形態では、操作ノブ30は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32との2つの分割ノブを含む。第1方向に対して交差する面は、仮想のXZ面である。
【0027】
第1分割ノブ31は、第1方向に沿って少なくとも第1分割フィン21Aを貫通させる第1貫通穴(不図示)を有する。つまり、第1分割ノブ31は、第1貫通穴に第1分割フィン21Aを貫通させる構造で、第1分割フィン21Aに係合する。同様に、第2分割ノブ32は、第1方向に沿って少なくとも第2分割フィン21Bを貫通させる第2貫通穴32aを有する。つまり、第2分割ノブ32は、第2貫通穴32aに第2分割フィン21Bを貫通させる構造で、第2分割フィン21Bに係合する。
【0028】
また、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32は、それぞれ、第1分割フィン21A又は第2分割フィン21Bをガイドレールとして、第1方向に沿ってスライド移動する。つまり、第1分割ノブ31は、第1分割フィン21Aのみならず、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの変位姿勢が同一であれば、第2分割フィン21Bとも係合自在である。同様に、第2分割ノブ32は、第2分割フィン21Bのみならず、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの変位姿勢が同一であれば、第1分割フィン21Aとも係合自在である。
【0029】
ここで、第1分割ノブ31の気体吹出口10f側の第1先端部31b、及び、第2分割ノブ32の気体吹出口10f側の第2先端部32bは、ともに、気体吹出口10fよりも車室側に突出していてもよい。このような第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32の形状によれば、乗員が第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32をつまみやすくなる。
【0030】
また、第1先端部31bには、第1嵌合部31cが形成され、一方、第2先端部32bには、第2嵌合部32cが形成されていてもよい。第1嵌合部31c及び第2嵌合部32cは、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とが同一姿勢で一体的に接続しているときに、互いに嵌合するように形成された部位である。第1嵌合部31cと第2嵌合部32cとは、それぞれ、互いに第1方向とは垂直となる方向で対向する接触面を有する。このような第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32の形状によれば、乗員が第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32を第1基準軸AX1周りに一体的に回転させるとき、一方の分割ノブの動きが他方の分割ノブの動きに追従する。したがって、乗員が第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを一体的に回転させる操作がしやすくなる。
【0031】
更に、第1分割ノブ31は、内部流路11の上流側に向かって突出する第1突出部31d(
図5A等参照)を有する。同様に、第2分割ノブ32は、内部流路11の上流側に向かって突出する第2突出部32dを有する。第1突出部31d及び第2突出部32dの形状及び作用の詳細については後述する。
【0032】
図3は、風向調整装置1から抜粋された、リアフィン群40の外観を示す斜視図である。リアフィン群40は、風向D
Wを変化させるための第2の風向可変機構である。
【0033】
リアフィン群40は、内部流路11に配置される複数のリアフィン(第1リアフィン41及び第2リアフィン42)の集合体である。第1リアフィン41及び第2リアフィン42は、それぞれ板状であり、適宜、第2基準軸AX2を基準に回転変位する。第2基準軸AX2は、内部流路11の断面に沿った第2方向に延伸する。第2方向は、既出の第1方向とは異なる方向であり、本実施形態ではZ方向に対応する。また、第2基準軸AX2は、第1リアフィン41及び第2リアフィン42において、気体吹出口10fの側に突出する下流側エッジ部43aと、気体導入口10gの側に突出する上流側エッジ部43bとのおおよそ中間位置に設定されている。
【0034】
また、リアフィン群40は、内部流路11のうち、フィン群20よりも上流側すなわち気体導入口10g側に配置される。なお、内部流路11におけるフィン群20とリアフィン群40との配置関係に基づくと、フィン群20は、フロントフィン群と表記することもできる。同様に、フィン21は、フロントフィンと表記することもできる。
【0035】
更に、リアフィン群40は、本実施形態では6つのリアフィンを含む。6つのリアフィンは、内部流路11の断面に沿って、かつ、第2方向とは垂直な方向に並んで配置される。以下、6つのリアフィンが並ぶ方向を並列方向という。並列方向は、本実施形態では第1方向である。
【0036】
ここで、リアフィン群40は、更に複数のリアフィン群に分類される。本実施形態では、リアフィン群40は、並列方向で互いに隣り合う、第1リアフィン群40Aと、第2リアフィン群40Bとを含む。第1リアフィン群40Aは、6つのリアフィンのうち並列方向の中心位置よりも一方の側(ケース体10の第4壁部10dに向かう側(
図5A等参照))で互いに一定の間隔で隣り合う3つのリアフィンを含む。第2リアフィン群40Bは、6つのリアフィンのうち並列方向の中心位置よりも他方の側(ケース体10の第3壁部10cに向かう側(
図5A等参照))で互いに一定の間隔で隣り合う3つのリアフィンを含む。
【0037】
また、第1リアフィン群40A及び第2リアフィン群40Bは、それぞれ、第1リアフィン41と、少なくとも1つの第2リアフィン42との組み合わせで構成される。なお、リアフィン群40に含まれる各々の第1リアフィン41の構成及び形状、並びに、各々の第2リアフィン42の構成及び形状は互いに同一であるため、図中、一部の符号の表記を省略する。
【0038】
第1リアフィン41は、第1支持軸44aと、第2支持軸44bとの2つの軸部を有する。これらの軸部は、それぞれ第2基準軸AX2に合わせて延伸する。第1支持軸44aは、第1リアフィン41の一方の側端部45aから外部に突出し、ケース体10の第1壁部10aに形成されている第2軸穴10iに係合する。第2支持軸44bは、第1リアフィン41の他方の側端部45bから外部に突出し、ケース体10の第2壁部10bに形成されている第2軸穴10i(不図示)に係合する。
【0039】
第2リアフィン42は、第1リアフィン41と比較すると、基本となる構成については同様であるが、下流側エッジ部43aに代えて、切り欠き面部47aと、係合軸47bとを有する点が異なる。切り欠き面部47aは、一方の側端部45a及び他方の側端部45bを第1リアフィン41の場合と同様に残存させつつ、第2基準軸AX2の近傍から気体吹出口10fの側に向かって切り欠かれた部位である。係合軸47bは、第1リアフィン41の下流側エッジ部43aにおおよそ合わせた位置で、第2基準軸AX2と平行な方向に延伸する円柱状の部材である。係合軸47bの一端は、側端部45aの下流側先端で支持され、係合軸47bの他端は、側端部45bの下流側先端で支持される。
【0040】
ここで、本実施形態では、第1リアフィン群40A及び第2リアフィン群40Bは、それぞれ、2つの第1リアフィン41と、1つの第2リアフィン42とを含む。この場合、第1リアフィン群40Aに含まれる第2リアフィン42は、その他の第1リアフィン41よりも並列方向の中心位置に最も近い側、すなわち、第2リアフィン群40B側に配置される。一方、第2リアフィン群40Bに含まれる第2リアフィン42は、その他の第1リアフィン41よりも並列方向の中心位置に最も近い側、すなわち、第1リアフィン群40A側に配置される。つまり、第1リアフィン群40Aに含まれる第2リアフィン42と、第2リアフィン群40Bに含まれる第2リアフィン42とは、並列方向のおおよそ中心位置で互いに隣り合うことになる。
【0041】
また、第1リアフィン41及び第2リアフィン42は、側端部45aにおける上流側エッジ部43bに近い側に、第1支持軸44aと平行な回転軸46を有する。
【0042】
更に、第1リアフィン群40Aは、棒状である第3リンク48を備える。第3リンク48は、第1リアフィン群40Aに含まれる2つの第1リアフィン41及び1つの第2リアフィン42を互いに回転変位自在に連結する。第3リンク48は、すべてのリアフィンの姿勢を同一に維持しつつ、隣り合うリアフィン同士の間隔を一定に維持するように、各々の回転軸46を個別に係合させる複数の第1連結穴48aを有する。
【0043】
同様に、第2リアフィン群40Bは、棒状である第4リンク49を備える。第4リンク49は、第2リアフィン群40Bに含まれる2つの第1リアフィン41及び1つの第2リアフィン42を互いに回転変位自在に連結する。第4リンク49は、すべてのリアフィンの姿勢を同一に維持しつつ、隣り合うリアフィン同士の間隔を一定に維持するように、各々の回転軸46を個別に係合させる複数の第2連結穴49aを有する。
【0044】
なお、第3リンク48及び第4リンク49は、ケース体10の第1壁部10aとは接触しない。このように第1壁部10aに対して第3リンク48及び第4リンク49を接触させないようにするために、例えば、第1支持軸44aの長さは、回転軸46の長さよりも長く設定されてもよい。又は、例えば、切り欠き部24aのように、第1リアフィン41及び第2リアフィン42の側端部45aに、第3リンク48又は第4リンク49の一部を収容する切り欠き部を設け、当該切り欠き部に回転軸46を設置する構成としてもよい。
【0045】
ここで、第1リアフィン群40Aにある第2リアフィン42に設けられている係合軸47bは、第1分割ノブ31に設けられている第1突出部31dと係合する。つまり、第1リアフィン群40Aに含まれる少なくとも1つのリアフィンは、回転変位自在な状態で第1分割ノブ31の一部と係合する。第1突出部31dは、例えば、円柱状である係合軸47bを側面方向から挟み込む2つの平板状部材であってもよい。この場合、第1突出部31dは、
図5A等に示すように、互いに対向する平面同士で係合軸47bと接触する。
【0046】
同様に、第2リアフィン群40Bにある第2リアフィン42に設けられている係合軸47bは、第2分割ノブ32に設けられている第2突出部32dと係合する。つまり、第2リアフィン群40Bに含まれる少なくとも1つのリアフィンは、回転変位自在な状態で第2分割ノブ32の一部と係合する。第2突出部32dも、第1突出部31dの例示と同様に、円柱状である係合軸47bを側面方向から挟み込む2つの平板状部材であってもよい(
図2参照)。
【0047】
そして、ケース体10、フィン群20、操作ノブ30又はリアフィン群40を構成する各要素の材質は、例えば、ABS樹脂やPP樹脂等の合成樹脂であってもよい。
【0048】
次に、風向調整装置1の作用について説明する。
【0049】
まず、第1の風向可変機構としてのフィン群20による風向調整について説明する。
図1に示すフィン群20は、風向D
Wが気体吹出口10fの開口方向に沿って一直線状に吹き出す姿勢、すなわち中立姿勢にある。なお、風向調整装置1の全体としては、以下で詳説するリアフィン群40の姿勢によっても風向D
Wが変化する。したがって、実際に風向D
Wが気体吹出口10fの開口方向に沿って一直線状に吹き出すのは、フィン群20とリアフィン群40との双方が中立姿勢にある場合である。本実施形態のように気体吹出口10fの開口方向がX方向に沿っている場合、フィン群20の中立姿勢では、各々のフィン21は、主平面がXY平面と平行となるような姿勢に維持される。
【0050】
また、フィン群20に含まれる複数のフィン21のうちのいずれかには、操作ノブ30が設けられている。車室側にいる乗員が、操作ノブ30を一方の手でつまみながら、操作ノブ30が係合しているフィン21の第1基準軸AX1周りに回転させると、第1リンク28及び第2リンク29で互いに連結されている各々のフィン21の姿勢が一時に変化する。
【0051】
また、操作ノブ30は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とに分割されている。乗員が、第1分割ノブ31の第1先端部31bと、第2分割ノブ32の第2先端部32bとを同時につまみながら第1基準軸AX1周りに回転させると、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの姿勢が一体的に変化する。このとき、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの互いの回転方向及び回転量が一致するので、風向DWは、乗員が操作した方向に集中する。つまり、乗員は、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32の回転方向及び回転量を一体的に変化させることで、風向DWを第1基準軸AX1周りの一様な角度方向に調整することができる。
【0052】
ここで、上記例示のように、第1先端部31bに第1嵌合部31cが形成され、第2先端部32bに第2嵌合部32cが形成されている場合には、乗員は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを一体的に回転させる操作をより行いやすい。
【0053】
一方、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とは、一体的に回転するのみならず、互いに回転方向を異ならせたり、互いに回転量を異ならせたりすることもできる。
【0054】
図4は、フィン群20による風向D
Wの調整の一例を示す斜視図である。
図4に示す例では、第1分割ノブ31は、第1分割フィン21Aにのみ係合し、第2分割ノブ32は、第2分割フィン21Bにのみ係合している。このとき、乗員が第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを第1基準軸AX1周りに互いに逆方向に回転させると、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの姿勢が互いに独立して変化する。このとき、風向D
Wは、複数の第1分割フィン21Aが配置されている側と、複数の第2分割フィン21Bが配置されている側とで異なることになり、結果として、乗員が個別に操作した方向に拡散する。つまり、乗員は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32との回転方向又は回転量を個別に変化させることで、風向D
Wを第1基準軸AX1周りの多様な角度方向に調整することができる。
【0055】
次に、第2の風向可変機構としてのリアフィン群40による風向調整について説明する。
図5Aは、リアフィン群40が中立姿勢にあるときの風向D
Wを示す断面図である。ただし、
図5Aから
図6Bまでの各図は、
図1に示すVA-VA断面に相当し、Z方向の最もプラス側にあるフィン21と、操作ノブ30が係合している中間位置にあるフィン21との間から、Z方向とは反対側に見た図である。
【0056】
リアフィン群40における中立姿勢も、フィン群20と同様に、風向D
Wが気体吹出口10fの開口方向に沿って一直線状に吹き出す姿勢である。なお、上記のとおり、実際に風向D
Wが気体吹出口10fの開口方向に沿って一直線状に吹き出すのは、フィン群20とリアフィン群40との双方が中立姿勢にある場合である。また、説明の便宜上、
図5Aから
図6Bまでの各図では、フィン群20は中立姿勢にあるものとする。本実施形態のように気体吹出口10fの開口方向がX方向に沿っている場合、リアフィン群40の中立姿勢では、各々の第1リアフィン41及び第2リアフィン42は、主平面がXZ平面と平行となるような姿勢に維持される。
【0057】
ここで、上記のとおり、第1分割ノブ31に設けられている第1突出部31dは、第1リアフィン群40Aに含まれる第2リアフィン42の係合軸47bを挟み込んでいる。同様に、第2分割ノブ32に設けられている第2突出部32dは、第2リアフィン群40Bに含まれる第2リアフィン42の係合軸47bを挟み込んでいる。この場合、リアフィン群40が中立姿勢にあるときには、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32との組み合わせである操作ノブ30は、Y方向に沿った移動範囲のおおよそ中間位置にある。
【0058】
図5Bは、リアフィン群40による風向調整の第1例を示す断面図である。この第1例は、乗員が、
図5Aに示す状態にあった第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32をY方向の反対側に一体的にスライド移動させた場合の例示である。
【0059】
まず、第1分割ノブ31がスライド移動すると、第1リアフィン群40Aに含まれる第2リアフィン42の係合軸47bは、第1突出部31dの移動に合わせて、ケース体10の第4壁部10dの側に移動する。このとき、係合軸47bが第1突出部31dの表面上を摺動しつつ、第2リアフィン42の第2基準軸AX2(図中、第2支持軸44b)周りに回転変位するので、第2リアフィン42は、第2基準軸AX2周りに回転変位し、姿勢を変化させる。また、第1リアフィン群40Aに含まれるすべてのリアフィンは、第3リンク48で互いに連結されているので、第2リアフィン42の姿勢変化により、第1リアフィン群40Aに含まれるすべてのリアフィンの姿勢が一時に変化する。そして、第1分割ノブ31のY方向の反対側へのスライド移動によれば、第1リアフィン群40Aに含まれるすべてのリアフィンは、下流側エッジ部43aの方が上流側エッジ部43bよりも第4壁部10dに近づくような傾き姿勢となる。これにより、第1リアフィン群40Aが配置されている側の風向DWは、Y方向の反対側へ徐々に寄っていく方向に傾く。
【0060】
ここで、第2リアフィン42には切り欠き面部47aが設けられている。したがって、第1突出部31dは、第2リアフィン42に支持されている係合軸47bに係合しながら移動したとしても、第1突出部31dの先端部分の一部が切り欠き面部47aに入り込むので、第2リアフィン42の主平面と接触しない。すなわち、第1突出部31dの移動が、第2リアフィン42の主平面との接触により妨げられることがない。この点は、後述する第2突出部32dの移動についても同様である。
【0061】
一方、第2分割ノブ32がスライド移動すると、第2リアフィン群40Bに含まれる第2リアフィン42の係合軸47bは、第2突出部32dの移動に合わせて、ケース体10の第4壁部10dの側に移動する。このとき、係合軸47bが第2突出部32dの表面上を摺動しつつ、第2リアフィン42の第2基準軸AX2周りに回転変位するので、第2リアフィン42は、第2基準軸AX2周りに回転変位し、姿勢を変化させる。また、第2リアフィン群40Bに含まれるすべてのリアフィンは、第4リンク49で互いに連結されているので、第2リアフィン42の姿勢変化により、第2リアフィン群40Bに含まれるすべてのリアフィンの姿勢が一時に変化する。そして、第2分割ノブ32のY方向の反対側へのスライド移動によれば、第2リアフィン群40Bに含まれるすべてのリアフィンは、下流側エッジ部43aの方が上流側エッジ部43bよりも第4壁部10dに近づくような傾き姿勢となる。これにより、第2リアフィン群40Bが配置されている側の風向DWも、Y方向の反対側へ徐々に寄っていく方向に傾く。
【0062】
すなわち、乗員は、まず、第1分割ノブ31の第1先端部31bと、第2分割ノブ32の第2先端部32bとを例えば同時につまみながら、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32をY方向の正負いずれかの方向に沿ってスライド移動させる。ここで、乗員が、第1先端部31bと第2先端部32bとをつまみながらY方向の反対側に一体的にスライド移動させると、すべてのリアフィンの姿勢が一体的に変化して、風向DW全体がY方向の反対側へ徐々に寄っていく方向に傾く。
【0063】
このとき、第1リアフィン群40Aに含まれるリアフィンと、第2リアフィン群40Bに含まれるリアフィンとの互いの回転方向及び回転量が一致するので、風向DWは、乗員が操作した方向に集中する。つまり、乗員は、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32の移動方向(スライド方向)及び移動量(スライド量)を一体的に変化させることで、風向DWを第2基準軸AX2周りの一様な角度方向に調整することができる。
【0064】
なお、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを一体的にスライド移動させるに際し、上記説明では、乗員が第1先端部31bと第2先端部32bとを同時につまみながら移動させるものとした。しかし、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とは、1つのフィン21上で互いに隣り合うため、乗員は、一方の分割ノブの先端部をつまんだり又は単にY方向に沿って押圧したりすることで、他の分割ノブを追従させることもできる。
図5Bに示す例では、乗員は、第2分割ノブ32の第2先端部32bのみをY方向の反対側にスライド移動させることで、第1分割ノブ31も追従させてY方向の反対側にスライド移動させることができる。
【0065】
ここで、ケース体10の構成及び形状に関して、第3壁部10c及び第4壁部10dには、内部流路11の上流側すなわち気体導入口10g側の断面よりも、下流側すなわち気体吹出口10f側の断面の方が大きくなるように、曲面10eが設けられている。このように、気体吹出口10f側の断面が大きく設定されることで、風向DWがY方向の一方の側へ徐々に寄っていく方向に傾いたときでも、第3壁部10c又は第4壁部10dによって風の流通が妨げられる範囲を少なくすることができる。
【0066】
図5Cは、リアフィン群40による風向調整の第2例を示す断面図である。この第2例は、乗員が、
図5Aに示す状態にあった第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32をY方向に一体的にスライド移動させた場合の例示である。
【0067】
第2例の作用は、
図5Bを用いて説明した第1例の作用と反対となる。すなわち、乗員が、第1先端部31bと第2先端部32bとをつまみながらY方向に一体的にスライド移動させると、すべてのリアフィンの姿勢が一体的に変化して、風向D
W全体がY方向へ徐々に寄っていく方向に傾く。
【0068】
図6Aは、リアフィン群40による風向調整の第3例を示す断面図である。この第3例は、乗員が、
図5Aに示す状態にあった第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32のうちの第1分割ノブ31のみをY方向の反対側にスライド移動させた場合の例示である。
【0069】
本実施形態では、リアフィン群40は、互いに独立した第1リアフィン群40A及び第2リアフィン群40Bを含み、かつ、各々のリアフィン群に対応した第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32が存在する。したがって、乗員は、いずれかの分割ノブのみをY方向にスライド移動させることで、第1リアフィン群40Aが配置されている側の風向DWと、第2リアフィン群40Bが配置されている側の風向DWとを互いに異ならせることができる。
【0070】
図6Aに示す第3例では、第1分割ノブ31のみがY方向の反対側にスライド移動したことから、第1リアフィン群40Aが配置されている側の風向D
Wのみ、Y方向の反対側へ徐々に寄っていく方向に傾く。一方、
図6Aに示す第3例とは反対に、乗員が、第2分割ノブ32のみをY方向にスライド移動させれば、第2リアフィン群40Bが配置されている側の風向D
Wのみ、Y方向へ徐々に寄っていく方向に傾くことになる。
【0071】
図6Bは、リアフィン群40による風向調整の第4例を示す断面図である。この第4例は、乗員が、
図5Aに示す状態にあった第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32を互いに反対方向にスライド移動させた場合の例示である。
【0072】
この場合、乗員は、第1分割ノブ31をY方向の反対側にスライド移動させ、一方、第2分割ノブ32をY方向にスライド移動させる。これにより、第1リアフィン群40Aが配置されている側の風向DWのみ、Y方向の反対側へ徐々に寄っていく方向に傾かせ、一方、第2リアフィン群40Bが配置されている側の風向DWのみ、Y方向へ徐々に寄っていく方向に傾かせることができる。
【0073】
図6A及び
図6Bの例示では、第1リアフィン群40Aに含まれるリアフィンと、第2リアフィン群40Bに含まれるリアフィンとの姿勢が互いに異なる。このとき、風向D
Wは、第1リアフィン群40Aが配置されている側と、第2リアフィン群40Bが配置されている側とで異なることになり、結果として、乗員が個別に操作した方向に拡散する。つまり、乗員は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32との移動方向(スライド方向)及び移動量(スライド量)を個別に変化させることで、風向D
Wを第2基準軸AX2周りの多様な角度方向に調整することができる。
【0074】
ここまで、フィン群20による風向調整と、リアフィン群40による風向調整とを個別に説明したが、フィン群20による風向調整とリアフィン群40による風向調整とを組み合わせることで、風向DWは、更に多様に調整される。すなわち、乗員が、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを個別に、第1基準軸AX1周りに回転変位させつつ、更にY方向に沿ってスライド移動させることで、より複雑な風向DWが設定される。
【0075】
次に、風向調整装置1の効果について説明する。
【0076】
本実施形態に係る風向調整装置1は、気体を流通させる内部流路11を有する筒状のケース体10と、内部流路11に配置され、内部流路11の断面に沿った第1方向に延伸する第1基準軸AX1を基準に回転変位する板状のフィン21とを備える。フィン21は、第1方向に対して交差する面で互いに分離された第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとを含む。
【0077】
まず、風向調整装置1は、第1基準軸AX1を基準に回転変位するフィン21を備えるので、フィン21の姿勢を変化させることで、外部に吹き出される気体の風向DWを一様に調整することができる。一様に調整された風向DWの風は、おおよそ集中風となる。
【0078】
また、本実施形態では、フィン21は、互いに分離している第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとを含む。つまり、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとは、第1基準軸AX1を基準として互いに独立して回転変位し得る。したがって、風向調整装置1によれば、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの姿勢を個別に変化させることで、外部に吹き出される気体の風向DWを多様に調整することができる。多様に調整された風向DWの風は、おおよそ拡散風となる。また、拡散風を生成する第1分割フィン21A及び第2分割フィン21Bは、1つのフィン21を分割したものとみなすことができ、各々異なる形状のフィンを組み合わせたものではない。したがって、風向調整装置1は、全体として簡素な構造となる。
【0079】
更に、本実施形態では、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとを含むフィン21は、1つのケース体10の内部に備えられている。つまり、風向DWを多様に調整するための構成が1つのケース体10の内部のみに存在することから、従来のように風向を多様に調整するために複数の風向調整装置を準備する必要がないので、例えば設置費用や省スペース化の点で有利となる。
【0080】
このように、本実施形態によれば、1つのケース体10の内部で、簡素な構造で風向DWを多様に調整する風向調整装置1を提供することができる。
【0081】
また、風向調整装置1は、フィン21に係合する操作ノブ30を備えてもよい。操作ノブ30は、第1方向に対して交差する面で互いに分離された第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを含んでもよい。第1分割ノブ31は、第1分割フィン21Aに係合してもよい。第2分割ノブ32は、第2分割フィン21Bに係合してもよい。
【0082】
この風向調整装置1によれば、車室内にいる乗員は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを一体的に操作することで、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの姿勢を一体的に変化させることができる。一方、乗員は、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とを個別に操作することで、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの姿勢を個別に変化させることができる。また、第1分割ノブ31と第2分割ノブ32とは、1つの操作ノブ30を互いに分離した形状であることから、互いに隣り合う。したがって、乗員は、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32を片手のみで直感的に操作することができる。
【0083】
また、複数のフィン21が、内部流路11の断面に沿って、かつ、第1方向とは垂直な方向に並んで配置される場合を想定する。この場合、風向調整装置1は、各々のフィン21に含まれる第1分割フィン21Aを互いに回転変位自在に連結する第1リンク28を備えてもよい。また、風向調整装置1は、各々のフィン21に含まれる第2分割フィン21Bを互いに回転変位自在に連結する第2リンク29を備えてもよい。操作ノブ30は、複数のフィン21のうちのいずれかに係合されてもよい。
【0084】
この風向調整装置1によれば、乗員が1か所の操作ノブ30を操作するだけで、複数のフィン21における第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとの姿勢変化を一時に行わせることができる。
【0085】
また、風向調整装置1は、それぞれ、内部流路11の断面に沿った第2方向に延伸する第2基準軸AX2を基準に回転変位する板状の複数のリアフィンを備えてもよい。複数のリアフィンは、内部流路11のうちのフィン21よりも上流側で、内部流路11の断面に沿って、かつ、第2方向とは垂直な方向に並んで配置されてもよい。
【0086】
ここで、複数のリアフィンには、上記例示した第1リアフィン41及び第2リアフィン42の双方が含まれる。また、第2方向は、第1方向とは異なる。つまり、第2基準軸AX2は、第1基準軸AX1とは異なる。ここで、上記例示では、第1方向がY方向に相当し、第2方向が、Y方向とは90°ずれたZ方向に相当するものとした。しかし、本開示は、第1方向と第2方向とが90°ずれる形態に限定されるものではなく、その他の角度値でずれていてもよい。
【0087】
この風向調整装置1によれば、第1基準軸AX1を基準に回転変位するフィン21のみならず、第2基準軸AX2を基準に回転変位するリアフィンによっても風向DWを変化させることができるので、風向DWをより多様に調整することができる。
【0088】
また、複数のリアフィンを、互いに隣り合う複数のリアフィンを含む第1リアフィン群40Aと、第1リアフィン群40Aとは異なり、互いに隣り合う複数のリアフィンを含む第2リアフィン群40Bとに分類した場合を想定する。この場合、風向調整装置1は、第1リアフィン群40Aに含まれる複数のリアフィンを互いに回転変位自在に連結する第3リンク48を備えてもよい。また、風向調整装置1は、第2リアフィン群40Bに含まれる複数のリアフィンを互いに回転変位自在に連結する第4リンク49を備えてもよい。
【0089】
この風向調整装置1によれば、第1リアフィン群40Aが配置されている側の風向DWと、第2リアフィン群40Bが配置されている側の風向DWとを互いに異ならせることができるので、風向DWをより多様に調整することができる。
【0090】
更に、風向調整装置1では、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32は、それぞれ、第1方向に沿って移動し、第1分割フィン21Aと第2分割フィン21Bとのいずれにも係合自在であってもよい。第1リアフィン群40Aに含まれる少なくとも1つのリアフィンは、回転変位自在な状態で第1分割ノブ31の一部と係合してもよい。第2リアフィン群40Bに含まれる少なくとも1つのリアフィンは、回転変位自在な状態で第2分割ノブ32の一部と係合してもよい。
【0091】
ここで、第1分割ノブ31の一部は、上記例示の第1突出部31dに相当する。第2分割ノブ32の一部は、上記例示の第2突出部32dに相当する。また、第1リアフィン群40Aに含まれ、第1分割ノブ31の一部と係合するリアフィン、又は、第2リアフィン群40Bに含まれ、第2分割ノブ32の一部と係合するリアフィンは、それぞれ、上記例示の第2リアフィン42に相当する。
【0092】
この風向調整装置1によれば、乗員は、第1分割ノブ31及び第2分割ノブ32の操作だけで、第1分割フィン21A及び第2分割フィン21Bの姿勢変化のみならず、第1リアフィン群40A及び第2リアフィン群40Bの姿勢変化も行わせることができる。
【0093】
なお、上記説明では、例えば、第1分割フィン21A及び第2分割フィン21Bと2つの分割フィンを例示したが、分割フィンの個数が2つに限定されることを意味するのではない。本開示では、フィン21が3つ以上に分割されていてもよい。この場合、3つ以上の分割フィンから選択された互いに隣り合う2つの分割フィンが、上記の第1分割フィン21A及び第2分割フィン21Bに係る各種の規定条件を満たせばよい。この点は、「第1」及び「第2」として規定されているその他の構成要素についても同様である。
【0094】
また、上記説明では、X方向、Y方向及びZ方向の各方向を規定した。ここで、上記の各図では、Z方向が鉛直方向に沿った方向とみなすことができる。これに対して、風向調整装置1は、図中のZ方向が鉛直方向に沿った方向として設置される形態に限定されるものではない。例えば、風向調整装置1は、図中のY方向が鉛直方向に沿った方向として設置されてもよく、又は、それ以外の角度姿勢で設置されてもよい。
【0095】
なお、更に上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。また、上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 風向調整装置
10 ケース体
11 内部流路
21 フィン
21A 第1分割フィン
21B 第2分割フィン
28 第1リンク
29 第2リンク
30 操作ノブ
31 第1分割ノブ
32 第2分割ノブ
40A 第1リアフィン群
40B 第2リアフィン群
41 第1リアフィン
42 第2リアフィン
48 第3リンク
49 第4リンク
AX1 第1基準軸
AX2 第2基準軸
DW 風向