(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】サッシの取付構造
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20241112BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20241112BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
E06B1/62 A
E06B1/56 B
E06B1/60
(21)【出願番号】P 2021070575
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 庸平
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-100085(JP,U)
【文献】実開平07-023178(JP,U)
【文献】実開昭48-027645(JP,U)
【文献】特開平11-324498(JP,A)
【文献】実開昭62-061876(JP,U)
【文献】実開昭48-089627(JP,U)
【文献】実開昭51-032160(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 - 1/70
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/52
E06B 7/16 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、
前記木製躯体と前記アンカーとの間に配置されて前記アンカーの位置を調整するスペーサーと、
前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、
前記アンカーの室外側に配置される不燃性の室外側塞ぎ材と、
前記アンカーの室内側に配置される不燃性の室内側塞ぎ材と、を備え、
前記木製躯体と前記サッシ枠との間は、前記アンカーと、前記室外側塞ぎ材と、前記室内側塞ぎ材とで塞がれている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項2】
木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、
前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、
前記アンカーの室外側に配置される不燃性の室外側塞ぎ材と、
前記アンカーの室内側に配置される不燃性の室内側塞ぎ材と、を備え、
前記木製躯体と前記サッシ枠との間は、前記アンカーと、前記室外側塞ぎ材と、前記室内側塞ぎ材とで塞がれている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のサッシの取付構造において、
前記アンカーは、前記サッシ枠の上枠が取り付けられる上アンカーと、下枠が取り付けられる下アンカーと、縦枠が取り付けられる縦アンカーとを備え、
前記各アンカーの長手方向の端面と、前記木製躯体との間には、不燃性のコーナー塞ぎ材が充填されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のサッシの取付構造において、
前記アンカーは、前記木製躯体に前記アンカー取付ねじで取り付けられる固定面部と、前記固定面部の室外側端縁から折曲されて設けられた室外面部と、前記固定面部の室内側端縁から折曲されて設けられた室内面部とを備え、
前記サッシ枠は、前記室外面部に当接する室外固定面部と、前記室内面部に当接する室内固定面部とを備え、
前記室内面部および前記室内固定面部は、室内側からねじ込まれる第1のねじで固定され、
前記室外面部および前記室外固定面部は、室外側からねじ込まれる第2のねじで固定されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項5】
請求項4に記載のサッシの取付構造において、
前記固定面部には、室内外方向に沿った長穴と、丸穴とが形成され、
前記アンカー取付ねじは、前記長穴および前記丸穴に配置されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【請求項6】
木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、
前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、を備え、
前記アンカーは、前記サッシ枠の上枠が取り付けられる上アンカーと、下枠が取り付けられる下アンカーと、縦枠が取り付けられる縦アンカーとを備え、
前記各アンカーは、前記木製躯体と前記サッシ枠との間を塞ぐ塞ぎ面部を有し、
前記各アンカーの長手方向の端面と、前記木製躯体との間には、不燃性のコーナー塞ぎ材が充填されている
ことを特徴とするサッシの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサッシの取付構造に関し、特に木造建築物に対するサッシの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
低階層の公共建築物やアパートなどの木造建築物にサッシを取り付ける場合は、戸建て住宅用サッシやビル用の鉄骨納まり用サッシのように、釘ヒレ部を有するサッシを用い、釘ヒレ部を木製躯体の室外面に当接させて固定することが一般的である。この木造建築物を防火構造とする場合、防火認定試験を受けて大臣認定防火設備(個別認定)を取得したサッシを用いる必要がある。
【0003】
ところで、ビル商品においては、RCやALCの外壁に納まるサッシが主流である。これらのRC納まりや、ALC納まりに対応するサッシは、特許文献1に示すように、例えば、FIX窓や縦すべり出し窓等の窓種が異なっても、外壁に対するサッシの取付構造は共通している。このため、防火認定試験を受験して認定を受ける際に、例えば、ALC納まりに対応する複数種類の枠種は包含で受験・認定を受けることができ、商品バリエーションを充実させながら、受験・認定のコスト、時間を短縮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、鉄骨納まりに対応するサッシは、ビル商品として主流ではないため、商品バリエーションが少なく、ALC納まり等とは納まりが異なるため、防火認定試験を別途受験する必要がある。このため、鉄骨納まりに対応するサッシの商品バリエーションを充実させ、かつ、個別認定を取得するには、時間およびコストが増大するという課題がある。そこで、ビル商品で主流のALC納まり等のサッシを木造建築物に取り付けることができるサッシの取付構造が求められている。
【0006】
本発明の目的は、ALC納まり等のサッシを木造建築物に取り付けることができるサッシの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のサッシの取付構造は、木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、前記木製躯体と前記アンカーとの間に配置されて前記アンカーの位置を調整するスペーサーと、前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、前記アンカーの室外側に配置される不燃性の室外側塞ぎ材と、前記アンカーの室内側に配置される不燃性の室内側塞ぎ材と、を備え、前記木製躯体と前記サッシ枠との間は、前記アンカーと、前記室外側塞ぎ材と、前記室内側塞ぎ材とで塞がれていることを特徴とする。
【0008】
本発明のサッシの取付構造は、木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、前記アンカーの室外側に配置される不燃性の室外側塞ぎ材と、前記アンカーの室内側に配置される不燃性の室内側塞ぎ材と、を備え、前記木製躯体と前記サッシ枠との間は、前記アンカーと、前記室外側塞ぎ材と、前記室内側塞ぎ材とで塞がれていることを特徴とする。
【0009】
本発明のサッシの取付構造は、木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、を備え、前記アンカーは、前記サッシ枠の上枠が取り付けられる上アンカーと、下枠が取り付けられる下アンカーと、縦枠が取り付けられる縦アンカーとを備え、前記各アンカーは、前記木製躯体と前記サッシ枠との間を塞ぐ塞ぎ面部を有し、前記各アンカーの長手方向の端面と、前記木製躯体との間には、不燃性のコーナー塞ぎ材が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のサッシの取付構造によれば、ALC納まり等のサッシを木造建築物に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態のサッシの取付構造を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態のサッシの取付構造を示す横断面図である。
【
図3】第1実施形態の下アンカーを示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態のスペーサーを示す分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態のサッシの施工手順を示す図である。
【
図6】第1実施形態の下アンカーの取付構造を示す図である。
【
図7】第1実施形態のコーナー部の塞ぎ材の取付構造を示す図である。
【
図8】第1実施形態の室内側塞ぎ材の取付状態を示す図である。
【
図9】第2実施形態のサッシの施工手順を示す図である。
【
図10】第3実施形態のサッシの取付構造を示す図である。
【
図11】変形例のサッシの取付構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態のサッシの取付構造を図面に基づいて説明する。
図1はサッシ5の取付構造を示す縦断面図であり、
図2は横断面図である。
図1,2に示すように、本実施形態のサッシ5の取付構造は、木製躯体1の開口1Aにアンカー2を介してサッシ5を取り付けるものである。木製躯体1を備える木造建築物は、2階建てアパートなどの低階層の木造建築物である。この木造建築物を防火構造とする場合、大臣認定防火設備(個別認定)のサッシ5を用いる必要がある。
ここで木製躯体1に取り付けるサッシとしては、ビル用の鉄骨納まりのサッシのように釘ヒレ部を有するサッシ枠を用いることが一般的である。しかしながら、鉄骨納まりのサッシはビル商品では主流ではないため、個別認定商品のバリエーションが少ない。そこで、本実施形態では、ビル商品において主流の納まりであるRC、ALC、つらいち納まりのうち、ALC納まりに対応するサッシ5を用いている。
【0013】
木製躯体1は、サッシ5が取り付けられる開口1Aを区画形成する躯体11、12、13を備える。躯体11はサッシ5の上側に設けられる躯体であり、躯体12はサッシ5の下側に設けられる躯体であり、躯体13はサッシ5の左右に設けられる躯体である。これらの躯体11、12、13は、一般的に、まぐさ、窓台、柱で構成されるが、それらに限らず、サッシ5を取り付けることができるものであればよい。木製躯体1の室外側には下地材14を介して外壁材15が設けられている。また、木製躯体1の室内側には内壁材16が設けられている。内壁材16のサッシ5に対応する開口には、上額縁17A、下額縁17B、左右の縦額縁17Cが取り付けられている。
【0014】
木製躯体1の開口1Aの内周面には、不燃性のアンカー2が固定されている。アンカー2は、不燃材料、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等の不燃材料で構成され、スペーサー3を介してアンカー取付ねじ29によって木製躯体1に固定されている。アンカー取付ねじ29は、例えば、ラグスクリューやコーチねじを利用できる。
アンカー2は、躯体11の下面に固定される上アンカー2Aと、躯体12の上面に固定される下アンカー2Bと、左右の躯体13の開口1Aに面した側面に固定される縦アンカー2Cとを備える。
下アンカー2Bは、スチール材を曲げ加工して構成され、
図3にも示すように、固定面部21と、固定面部21の室外側端部から上方に折曲された室外面部22と、室外面部22の上端から室内側に折曲された折曲部23と、固定面部21の室内側端部から上方に折曲された第1室内面部24と、第1室内面部24の上端から室外側に折曲された連結部25と、連結部25の室外側先端から上方に折曲された第2室内面部26とを備えて構成されている。さらに、第2室内面部26の室外面には、断面L字状のアングル材27がねじ止めされている。なお、アングル材27は、第2室内面部26に溶接で固定してもよい。
固定面部21には、アンカー取付ねじ29が挿通される長穴211と丸穴212が形成されている。長穴211は、固定面部21の長手方向つまりサッシ5の左右方向の両端部に形成され、室内外方向つまり見込み方向の長さ寸法が左右方向の幅寸法よりも大きい長穴とされている。一方、丸穴212は、固定面部21の長手方向の中間部、つまり左右両端部の長穴211間に所定間隔で形成されている。なお、丸穴212の数は、固定面部21の長手方向の寸法に応じて設定されている。
また、第2室内面部26は、折曲部23よりも上方まで延長されており、アングル材27の上面は折曲部23よりも上方に位置する。そして、第2室内面部26には、アングル材27の上面よりも上方の位置に、サッシ5をねじ止めするためのねじ穴261が長手方向に沿って複数形成されている。
【0015】
上アンカー2Aは、スチール材を曲げ加工して構成され、下アンカー2Bと類似する断面形状である。すなわち、上アンカー2Aは、固定面部21と、固定面部21の室外側端部から下方に折曲された室外面部22と、固定面部21の室内側端部から下方に折曲された第1室内面部24と、第1室内面部24の下端から室外側に折曲された連結部25と、連結部25の室外側先端から下方に折曲された第2室内面部26とを備えて構成されている。このため、上アンカー2Aは、下アンカー2Bとは折曲部23およびアングル材27を備えない点が相違する。また、上アンカー2Aの室外面部22および第1室内面部24は、高さ寸法が下アンカー2Bの室外面部22および第1室内面部24よりも短い点が相違する。一方、固定面部21に長穴211と丸穴212とが形成されている点は、下アンカー2Bおよび上アンカー2Aで共通する。
なお、上アンカー2Aの第2室内面部26は、室外面部22の下端よりも下方に延長されており、この室外面部22の下端よりも下方の位置に、サッシ5をねじ止めするためのねじ穴261が長手方向(左右方向)に沿って複数形成されている。
【0016】
縦アンカー2Cは、上アンカー2Aと同一断面形状の部品であるため、同一符号を付して説明を省略する。なお、縦アンカー2Cの第2室内面部26は、室外面部22の内周側の先端よりも開口中心側に延長されており、室外面部22の先端よりも延長された位置にサッシ5をねじ止めするためのねじ穴261が長手方向(上下方向)に沿って複数形成されている。
なお、各アンカー2A~2Cの長手方向の寸法は、木製躯体1の開口1Aの幅寸法や高さ寸法に応じて設定されるが、各アンカー2A~2Cの端部が開口1Aのコーナー部で互いに干渉しないように、開口1Aの寸法に比べて小さくされている。このため、各アンカー2A~2Cを木製躯体1に取り付けた際に、開口1Aの四隅のコーナー部、つまり各アンカー2A~2Cの長手方向の端面と木製躯体1との間にはアンカー2A~2Cが配置されない空間が存在する。
【0017】
木製躯体1とアンカー2との間には、調整用のスペーサー3が配置されている。スペーサー3は、アンカー取付ねじ29が配置される箇所に設けられるピース材であり、スチールやステンレス等で形成される。このスペーサー3は、木製躯体1の開口1Aに対するアンカー2つまりはサッシ5の上下方向および左右方向の位置調整を行うために設けられる。
図4に示すように、スペーサー3は、平面矩形状の板材であり、アンカー取付ねじ29が挿通される挿通溝30が形成されている。
挿通溝30は、スペーサー3の一側面に開口しており、この開口からスペーサー3の平面中央部に向かうにしたがって開口幅が狭くなるテーパ溝部31と、テーパ溝部31から連続して形成されて開口幅が一定の案内溝部32と、案内溝部32から連続して形成されて案内溝部32に比べて幅寸法が大きくされた長溝部33とを備えている。
スペーサー3は、平面形状が同一であるが厚さ寸法が異なる複数種類が用意されている。例えば、
図4では、厚さ寸法が小さいスペーサー3Aと、厚さ寸法がスペーサー3Aに比べて大きいスペーサー3Bとの2種類のスペーサーが2枚ずつ用いられて重ねられている。
【0018】
サッシ5は、
図1,2に示すように、サッシ枠50と、外障子55、内障子56とを備えた引違い窓用のサッシである、このサッシ5は、防火性能の認定を受けたビル用の個別防火商品と同一のものであり、本実施形態では、ALC納まりに用いられるサッシと同一である。
サッシ枠50は、上枠51と、下枠52と、左右の縦枠53、54とを枠組みして構成されている。
上枠51は、室外固定面部511と室内固定面部512とを備える。室外固定面部511は、室内固定面部512よりも上方(外周側)に設けられており、サッシ枠50を室外側からアンカー2に当接させた際に、室外固定面部511は上アンカー2Aの室外面部22の室外面に当接して第2のねじ62でねじ止めされ、室内固定面部512は上アンカー2Aの第2室内面部26の室外面に当接して第1のねじ61でねじ止めされている。
下枠52は、室外固定面部521と室内固定面部522とを備える。室外固定面部521は、室内固定面部522よりも下方(外周側)に設けられており、サッシ枠50を室外側からアンカー2に当接させた際に、室外固定面部521は下アンカー2Bの室外面部22の室外面に当接して第2のねじ62でねじ止めされ、室内固定面部522は下アンカー2Bの第2室内面部26の室外面に当接して第1のねじ61でねじ止めされている。
左右の縦枠53、54は、それぞれ室外固定面部531、541と、室内固定面部532、542とを備える。室外固定面部531、541は、室内固定面部532、542よりも外周側に設けられており、サッシ枠50を室外側からアンカー2に当接させた際に、室外固定面部531、541は縦アンカー2Cの室外面部22の室外面に当接して第2のねじ62でねじ止めされ、室内固定面部532、542は縦アンカー2Cの第2室内面部26の室外面に当接して第1のねじ61でねじ止めされている。
【0019】
木製躯体1とアンカー2との間には、ピース状のスペーサー3が介在されるため、隙間が生じている。この隙間およびアンカー2の見付面を覆う塞ぎ材4が取り付けられている。
塞ぎ材4は、アンカー2の室外側に取り付けられる室外側塞ぎ材41と、室内側に取り付けられる室内側塞ぎ材42とを備えている。室外側塞ぎ材41、室内側塞ぎ材42は、ロックウール、グラスウールなどの不燃材で構成されている。なお、本実施形態では、室内側塞ぎ材42は、第1室内面部24の室内面に接着される第1塞ぎ材421と、第2室内面部26の室内面に接着される第2塞ぎ材422とを備える。これらの各塞ぎ材41、421、422は、シート状に形成され、アンカー2等に接着剤によって接着されている。このため、本実施形態では、第1室内面部24および第2室内面部26によって、室内側塞ぎ材42が接着される室内面部が構成されている。
【0020】
具体的には、上アンカー2Aの室外側に配置される室外側塞ぎ材41は、上アンカー2Aの室外面部22に室外固定面部511がねじ止めされているので、室外固定面部511の室外面に接着されている。この室外側塞ぎ材41は、下地材14と上枠51との間に充填され、躯体11と上アンカー2Aとの間の隙間を塞いでいる。
上アンカー2Aの室内側に配置される室内側塞ぎ材42は、第1塞ぎ材421が第1室内面部24に接着され、第2塞ぎ材422が第2室内面部26に接着されている。この第1塞ぎ材421および第2塞ぎ材422は、第1室内面部24および第2室内面部26の室内面を被覆し、躯体11と上アンカー2Aとの間の隙間を塞いでいる。
【0021】
下アンカー2Bの室外側に配置される室外側塞ぎ材41は、下アンカー2Bの室外面部22の室外面に接着されている。この室外側塞ぎ材41は、下地材14に当接して設けられており、躯体12と下アンカー2Bとの間の隙間を塞いでいる。
下アンカー2Bの室内側に配置される室内側塞ぎ材42は、第1塞ぎ材421が第1室内面部24に接着され、第2塞ぎ材422が第2室内面部26に接着されている。この第1塞ぎ材421および第2塞ぎ材422は、第1室内面部24および第2室内面部26の室内面を被覆し、躯体12と下アンカー2Bとの間の隙間を塞いでいる。
【0022】
縦アンカー2Cの室外側に配置される室外側塞ぎ材41は、縦アンカー2Cの室外面部22に室外固定面部531がねじ止めされているので、室外固定面部531の室外面に接着されている。この室外側塞ぎ材41は、下地材14と縦枠53との間に充填され、躯体13と縦アンカー2Cとの間の隙間を塞いでいる。
縦アンカー2Cの室内側に配置される室内側塞ぎ材42は、第1塞ぎ材421が第1室内面部24に接着され、第2塞ぎ材422が第2室内面部26に接着されている。この第1塞ぎ材421および第2塞ぎ材422は、第1室内面部24および第2室内面部26の室内面を被覆し、躯体13と縦アンカー2Cとの間の隙間を塞いでいる。
【0023】
なお、上アンカー2Aの第2室内面部26に接着される第2塞ぎ材422と、縦アンカー2Cの第2室内面部26に接着される第2塞ぎ材422とは、上額縁17A、縦額縁17Cに当接されて圧縮変形されている。また、第2塞ぎ材422は、連結部25に密着して第1塞ぎ材421に接する位置まで設けられており、連結部25も第2塞ぎ材422で被覆されている。
サッシ5の室外側には、下地材14の室外面にねじ止めされて室外側塞ぎ材41を覆う見切縁7が配置されている。見切縁7は、上見切縁71と、下見切縁72と、縦見切縁73とで構成されている。
【0024】
[サッシの施工手順]
次に、サッシ5の施工手順について
図5~
図8を参照して説明する。
最初に、木製躯体1の開口1Aにアンカー2を取り付ける。木製躯体1には、アンカー2の取付位置を墨出しで設定し、アンカー2の両端の長穴211に対応する位置に下穴を加工する。次に、
図6に示すように、アンカー2の両端の長穴211を介してアンカー取付ねじ29を自立する程度まで木製躯体1にねじ込む。そして、アンカー2と木製躯体1との間にスペーサー3を挿入し、アンカー2を調整できる程度にアンカー取付ねじ29を軽く締め込む。
次に、アンカー2の両端の長穴211を利用してアンカー2の出入方向(見込み方向)の位置を調整し、スペーサー3の枚数でアンカー2の水平方向および垂直方向の位置を調整する。そして、アンカー取付ねじ29を締め付けて固定する。
さらに、アンカー2の丸穴212の位置で木製躯体1に下穴を開け、スペーサー3を配置して丸穴212からアンカー取付ねじ29をねじ込んで固定する。
以上により、
図5(A)に示すように、上アンカー2A、下アンカー2B、縦アンカー2Cが木製躯体1の開口1Aの内周面に取り付けられる。
【0025】
次に、
図5(B)に示すように、サッシ枠50をアンカー2に取り付ける。本実施形態では、ALC枠納まりのサッシ5を利用するため、室外固定面部511、521、531にはねじ穴が加工されていない。このため、サッシ枠50の取付前に施工現場で室外固定面部511、521、531に穴加工を行う。
その後、アンカー2の室外側からサッシ枠50を建て込む。最初に下枠52を下アンカー2Bのアングル材27と、折曲部23との上面に載置し、三方枠つまり上枠51、縦枠53を上アンカー2Aおよび縦アンカー2Cに当接する位置まで建て込む。
【0026】
次に、
図5(B)に示すように、第1のねじ61、第2のねじ62でサッシ枠50をアンカー2に固定する。例えば、下アンカー2Bの室内側から第2室内面部26のねじ穴を通して下枠52の室内固定面部522に第1のねじ61をねじ込む。また、下枠52の室外側から室外固定面部521のねじ穴を通して下アンカー2Bの室外面部22に第2のねじ62をねじ込む。
同様に、上アンカー2Aおよび縦アンカー2Cの室内側および室外側から第2室内面部26および室外固定面部511、531のねじ穴を通して第1のねじ61、第2のねじ62をねじ込んで、上枠51および縦枠53を上アンカー2Aおよび縦アンカー2Cに固定する。
【0027】
次に、
図7に示すように、開口1Aのコーナー部の隙間にコーナー塞ぎ材43を詰める。コーナー塞ぎ材43は、室外側塞ぎ材41、室内側塞ぎ材42と同じ材質のものであり、シート状に切断したものを適宜重ねて隙間の形状にほぼ合わせて形成したものである。コーナー塞ぎ材43は柔軟性があるため、隙間の形状にある程度合っていれば、隙間に押し込むことで隙間に充填することができる。
次に、
図5(C)に示すように、下アンカー2Bの室外面部22と、上枠51、縦枠53の室外固定面部511、531と、各アンカー2A~2Cの第1室内面部24、第2室内面部26に接着剤を塗布し、室内外から室外側塞ぎ材41、第1塞ぎ材421、第2塞ぎ材422を貼り付ける。これにより、
図8に示すように、木製躯体1とアンカー2と間の隙間が室外側塞ぎ材41、室内側塞ぎ材42で塞がれる。
【0028】
その後、
図5(D)に示すように、下アンカー2Bの室外面部22と、下地材14および躯体12とに、下見切縁72をねじ止めする。また、上見切縁71および縦見切縁73を、下地材14および躯体11、躯体13にねじ止めする。その後、見切縁7とサッシ枠50との間や、見切縁7と外壁材15との間をシールする。
以上により、サッシ枠50をアンカー2を介して木製躯体1の開口1Aに取り付けることができる。
【0029】
[第1実施形態の作用効果]
木製躯体1にアンカー取付ねじ29でアンカー2を取り付け、アンカー2にサッシ枠50を第1のねじ61および第2のねじ62で取り付けているので、サッシ枠50としてビル用のALC枠を利用できる。また、不燃性のアンカー2に加えて、室外側塞ぎ材41および室内側塞ぎ材42を配置し、さらに、開口1Aのコーナー部分にコーナー塞ぎ材43を配置しているので、木製躯体1とサッシ枠50との間を不燃材で塞ぐことができる。そして、ビル用のALC枠であるサッシ枠50を用いているので、短時間かつ低コストで個別認定を取得でき、防火構造のサッシ5のバリエーションも充実させることができる。
【0030】
木製躯体1の開口1Aの寸法精度にばらつきが生じても、厚さ寸法の異なるスペーサー3A、3Bの種類や枚数を選択することで、木製躯体1の内周面に対するアンカー2の水平方向および垂直方向の位置を調整できるので、各アンカー2つまりサッシ枠50を精度良く配置することができる。
また、アンカー2の固定面部21に長穴211を形成したので、アンカー2の見込み方向の位置も調整でき、この点でもアンカー2およびサッシ枠50を精度良く配置できる。
さらに、固定面部21には、長穴211および丸穴212を形成し、長穴211だけでなく丸穴212にもアンカー取付ねじ29を配置して木製躯体1に固定しているので、サッシ5の耐風圧強度を向上できる。すなわち、長穴211のみを利用してアンカー2を木製躯体1に固定すると、サッシ5の取付後に風圧などでアンカー2に見込み方向の力が加わった際にアンカー2が移動してしまう可能性があるが、丸穴212にアンカー取付ねじ29を通してアンカー2を固定することで、アンカー2が見込み方向に移動することを防止でき、サッシ5の耐風圧強度を向上できる。
【0031】
下アンカー2Bに折曲部23およびアングル材27を設けているので、サッシ枠50の建て込み時に下枠52を載置できる。このため、サッシ枠50を建て込んだ際に、下枠52の転びなどの不安定さが軽減するため、容易に施工することができる。
スペーサー3は、挿通溝30に長溝部33を形成したので、スペーサー3を介して縦アンカー2Cを躯体13に取り付けた時に、アンカー取付ねじ29を長溝部33に配置でき、スペーサー3の挿通溝30がアンカー取付ねじ29から外れて落下することを防止できる。また、挿通溝30のテーパ溝部31は開口に向かって幅寸法が広くなるため、アンカー取付ねじ29を容易に挿通溝30に案内できる。
【0032】
サッシ枠50をアンカー2に固定する第1のねじ61、第2のねじ62の頭部は、室外側塞ぎ材41や室内側塞ぎ材42で覆われているので、防火性能をより向上できる。
室外側塞ぎ材41、室内側塞ぎ材42、コーナー塞ぎ材43は、柔軟性を有する不燃材で構成されているので、上額縁17A、縦額縁17C等で押圧されたり、開口1Aのコーナー部に押し込んだ場合に柔軟に変形するため、サッシ枠50と木製躯体1との間を確実に塞ぐことができる。
木製躯体1へのアンカー2の取り付けはアンカー取付ねじ29で行い、アンカー2へのサッシ枠50の取り付けは第1のねじ61、第2のねじ62で行っているので、ねじ固定でアンカー2、サッシ枠50を取り付けることができる。したがって、サッシ5の取り付けにおいて、施工現場で溶接作業を行う必要がなく、作業性を向上できる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のサッシの取付構造について、
図9に基づいて説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、木製躯体1とアンカー2との間にスペーサー3を配置せずに、アンカー2を木製躯体1の内周面に接触させて固定したものである。すなわち、開口1Aの寸法を精度良く施工したり、あるいは、施工後の開口1Aの寸法を測定してアンカー2を製造する場合には、スペーサー3で調整する必要が無い。このような場合は、スペーサー3を配置せずに、アンカー2を木製躯体1に直接固定すればよい。
したがって、
図9においては、スペーサー3が配置されていない点を除き、第1実施形態の施工手順と同じであるため、説明を省略する。なお、室外側塞ぎ材41および第1塞ぎ材421の見付け寸法は第1実施形態よりも小さくされている。例えば、上アンカー2Aおよび下アンカー2Bの室内外に接着される室外側塞ぎ材41および第1塞ぎ材421では高さ寸法が第1実施形態よりも小さくされている。また、縦アンカー2Cの室内外に接着される室外側塞ぎ材41および第1塞ぎ材421では左右方向の寸法つまり見付け寸法が小さくされている。同様に、開口1Aのコーナー部に配置されるコーナー塞ぎ材43も、スペーサー3が配置されていない分だけ高さ寸法等を調整すればよい。
【0034】
第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、スペーサー3を不要にできるので、部品コストを低減でき、現場での作業性を向上できる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のサッシの取付構造について、
図10に基づいて説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
第3実施形態では、室外側塞ぎ材41および室内側塞ぎ材42を設けずに、アンカー2とコーナー塞ぎ材43とでサッシ枠50および木製躯体1間を塞ぐものである。
すなわち、スペーサー3を配置せずに木製躯体1に上アンカー2A、下アンカー2B、縦アンカー2Cを直接固定することで、各アンカー2A~2Cが設けられている部分では、不燃性の各アンカー2A~2Cの室外面部22や第1室内面部24、連結部25、第2室内面部26が木製躯体1とサッシ枠50との間を塞ぐ塞ぎ面部となる。また、各アンカー2A~2Cが設けられていないコーナー部には、不燃性のコーナー塞ぎ材43が充填されている。これにより、木製躯体1とサッシ枠50との間は、各アンカー2A~2Cおよびコーナー塞ぎ材43で塞がれて防火性能を確保できる。
【0036】
第3実施形態においても、前記第1、2実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、スペーサー3に加えて、室外側塞ぎ材41や室内側塞ぎ材42を不要にできるので、部品コストを低減でき、現場での作業性を向上できる。
【0037】
[変形例]
本発明は、以上の各実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態のサッシ5は引違い窓であったが、
図11に示すFIX窓のサッシ5Aでもよい。すなわち、サッシ5Aのサッシ枠50は、FIX窓の窓種に応じて、上枠51A,52Aの構成が相違するが、アンカー2に固定される室外固定面部511、521や室内固定面部512、522は共通し、アンカー2へのサッシ枠50の取付構造は同一である。このため、前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、木製躯体1にはALC納まりのサッシを取り付けることができるので、縦すべり出し窓、開き窓、内倒し窓、外倒し窓、すべり出し窓、段窓、連窓などの防火性能の認定を受けた様々な窓種のサッシを木製躯体1に取り付けることができる。
【0038】
前記第1、2実施形態では、開口1Aのコーナー部にコーナー塞ぎ材43を充填していたが、室外側塞ぎ材41や室内側塞ぎ材42をコーナー部の隙間を覆う位置まで配置してコーナー塞ぎ材43を省略してもよい。
また、室内側塞ぎ材42を第1塞ぎ材421および第2塞ぎ材422の2部材で構成していたが、一体化した室内側塞ぎ材42を用いてもよい。
【0039】
アンカー2の構成は前記実施形態に限定されない。例えば、固定面部21に長穴211と丸穴212とを形成していたが、墨出しでアンカー2の固定位置を精度良く設定できてアンカー2の見込み方向の調整が不要な場合には丸穴212のみを形成してもよい。
また、アンカー2は、第1室内面部24、連結部25、第2室内面部26を備えるものに限定されず、室内面部が平板状に形成されたものでもよく、固定面部21、室外面部22、室内面部を備えていれば、その断面形状は限定されない。
さらに、アンカー2は、サッシ5の枠種に応じて設計すればよい。すなわち、前記実施形態では、ALC枠に応じたアンカー2としていたが、例えば、つらいち枠に応じたアンカー2としてもよい。
【0040】
スペーサー3の構成も前記実施形態に限定されない。例えば、スペーサー3の材質は、スチールやステンレスに限定されず、アルミニウム製、木製、合成樹脂製などでもよい。特に、スチールやステンレスなどの不燃材を用いれば、耐火性能を向上できる点で好ましい。スペーサー3の厚さ寸法は2種類に限定されず、3種類以上でもよい。また、スペーサー3の平面形状や挿通溝30の構成も前記実施形態に限定されない。
【0041】
[本発明のまとめ]
本発明のサッシの取付構造は、木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、前記木製躯体と前記アンカーとの間に配置されて前記アンカーの位置を調整するスペーサーと、前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、前記アンカーの室外側に配置される不燃性の室外側塞ぎ材と、前記アンカーの室内側に配置される不燃性の室内側塞ぎ材と、を備え、前記木製躯体と前記サッシ枠との間は、前記アンカーと、前記室外側塞ぎ材と、前記室内側塞ぎ材とで塞がれていることを特徴とする。
本発明のサッシの取付構造によれば、木製躯体にアンカー取付ねじでアンカーを取り付け、アンカーにサッシ枠をねじで取り付けているので、ビル用のサッシ枠を利用できる。また、不燃性のアンカーに加えて、室外側塞ぎ材および室内側塞ぎ材を配置しているので、木製躯体とサッシ枠との間を不燃材で塞ぐことができる。このため、ビル用のサッシ枠を利用でき、防火構造のサッシのバリエーションを充実させることができる。
さらに、木製躯体とアンカーとの間にスペーサーを配置したので、木製躯体の開口の寸法精度にばらつきが生じても、厚さ寸法の異なるスペーサーの種類や枚数を選択することで、木製躯体の内周面に対するアンカーの水平方向および垂直方向の位置を調整でき、各アンカーつまりサッシ枠を精度良く配置することができる。
【0042】
本発明のサッシの取付構造は、木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、前記アンカーの室外側に配置される不燃性の室外側塞ぎ材と、前記アンカーの室内側に配置される不燃性の室内側塞ぎ材と、を備え、前記木製躯体と前記サッシ枠との間は、前記アンカーと、前記室外側塞ぎ材と、前記室内側塞ぎ材とで塞がれていることを特徴とする。
本発明のサッシの取付構造によれば、木製躯体にアンカー取付ねじでアンカーを取り付け、アンカーにサッシ枠をねじで取り付けているので、ビル用のサッシ枠を利用できる。また、不燃性のアンカーに加えて、室外側塞ぎ材および室内側塞ぎ材を配置しているので、木製躯体とサッシ枠との間を不燃材で塞ぐことができる。このため、ビル用のサッシ枠を利用でき、防火構造のサッシのバリエーションを充実させることができる。また、スペーサーを設けないので、部品点数を減少できる。
【0043】
本発明のサッシの取付構造において、前記アンカーは、前記サッシ枠の上枠が取り付けられる上アンカーと、下枠が取り付けられる下アンカーと、縦枠が取り付けられる縦アンカーとを備え、前記各アンカーの長手方向の端面と、前記木製躯体との間には、不燃性のコーナー塞ぎ材が充填されていることが好ましい。
本発明のサッシの取付構造によれば、各アンカーの長手方向の端面と木製躯体との間、つまり木製躯体の開口のコーナー部に隙間が形成されていても、その隙間にコーナー塞ぎ材を充填して塞ぐことができ、防火性能を容易に向上できる。
【0044】
本発明のサッシの取付構造において、前記アンカーは、前記木製躯体に前記アンカー取付ねじで取り付けられる固定面部と、前記固定面部の室外側端縁から折曲されて設けられた室外面部と、前記固定面部の室内側端縁から折曲されて設けられた室内面部とを備え、前記サッシ枠は、前記室外面部に当接する室外固定面部と、前記室内面部に当接する室内固定面部とを備え、前記室内面部および前記室内固定面部は、室内側からねじ込まれる第1のねじで固定され、前記室外面部および前記室外固定面部は、室外側からねじ込まれる第2のねじで固定されていることが好ましい。
本発明のサッシの取付構造によれば、アンカーの室外面部および室内面部を、サッシ枠の室外固定面部、室内固定面部にねじで固定できるので、不燃材である室外面部および室内面部によって木製躯体とサッシ枠との間を塞ぐことができ、この点でも防火性能を向上できる。
【0045】
本発明のサッシの取付構造において、前記固定面部には、室内外方向に沿った長穴と、丸穴とが形成され、前記アンカー取付ねじは、前記長穴および前記丸穴に配置されていることが好ましい。
本発明のサッシの取付構造によれば、固定面部に長穴を形成したので、アンカーの見込み方向の位置も調整できる。また、固定面部には、長穴および丸穴を形成し、長穴だけでなく丸穴にもアンカー取付ねじを配置して木製躯体に固定しているので、サッシの耐風圧強度を向上できる。
【0046】
本発明のサッシの取付構造は、木製躯体にアンカー取付ねじで取り付けられた不燃性のアンカーと、前記アンカーにねじで取り付けられたサッシ枠と、を備え、前記アンカーは、前記サッシ枠の上枠が取り付けられる上アンカーと、下枠が取り付けられる下アンカーと、縦枠が取り付けられる縦アンカーとを備え、前記各アンカーは、前記木製躯体と前記サッシ枠との間を塞ぐ塞ぎ面部を有し、前記各アンカーの長手方向の端面と、前記木製躯体との間には、不燃性のコーナー塞ぎ材が充填されていることを特徴とする。
本発明のサッシの取付構造によれば、アンカーの塞ぎ面部とコーナー塞ぎ材とで木製躯体とサッシ枠との間を不燃材で塞ぐことができる。また、スペーサーや室外側塞ぎ材や室内側塞ぎ材を不要にできるので、部品コストを低減でき、現場での作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0047】
1…木製躯体、1A…開口、2…アンカー、2A…上アンカー、2B…下アンカー、2C…縦アンカー、3…スペーサー、3A…スペーサー、3B…スペーサー、4…塞ぎ材、5…サッシ、5A…サッシ、7…見切縁、11…躯体、12…躯体、13…躯体、14…下地材、15…外壁材、16…内壁材、17A…上額縁、17B…下額縁、17C…縦額縁、21…固定面部、22…室外面部、23…折曲部、24…第1室内面部、25…連結部、26…第2室内面部、27…アングル材、29…アンカー取付ねじ、30…挿通溝、31…テーパ溝部、32…案内溝部、33…長溝部、41…室外側塞ぎ材、42…室内側塞ぎ材、43…コーナー塞ぎ材、50…サッシ枠、51…上枠、51A…上枠、52…下枠、52A…上枠、53…縦枠、54…縦枠、55…外障子、56…内障子、61…第1のねじ、62…第2のねじ、71…上見切縁、72…下見切縁、73…縦見切縁、211…長穴、212…丸穴、261…ねじ穴、421…第1塞ぎ材、422…第2塞ぎ材、511…室外固定面部、512…室内固定面部、521…室外固定面部、522…室内固定面部、531…室外固定面部、532…室内固定面部、541…室外固定面部、542…室内固定面部。