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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】土質管理装置及び土質管理方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/00 20060101AFI20241112BHJP
   E02D 3/02 20060101ALI20241112BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20241112BHJP
   G01V 3/06 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
E02D1/00
E02D3/02
G01N27/04 Z
G01V3/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021113433
(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公開番号】P2023009828
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】福島 陽
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
(72)【発明者】
【氏名】岡本 道孝
(72)【発明者】
【氏名】小原 隆志
(72)【発明者】
【氏名】米丸 佳克
(72)【発明者】
【氏名】松本 聡碩
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 里衣
(72)【発明者】
【氏名】中本 詩瑶
(72)【発明者】
【氏名】坂本 諭
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-062362(JP,A)
【文献】特開平09-127253(JP,A)
【文献】特開平02-089397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00- 3/115
G01N 27/00-27/24
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土工事の施工過程で締固められた地面の土の土質管理装置であって、
前記地面の前記土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電流電極として前記地面の土に近接させ、一対の前記電流電極の間に交流電圧を印加することにより、前記地面の土に交流電流を流しつつ、前記地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電位電極として前記地面の土に近接させ、一対の前記電位電極の間の電位を測定する、キャパシタ電極装置と、
前記キャパシタ電極装置の前記電流電極により前記地面の土に流された交流電流と、前記キャパシタ電極装置の前記電位電極により測定された前記電位電極の間の電位とにより、前記地面の土の電気抵抗を測定する測定部と、
前記地面の土の前記電気抵抗と、前記地面の土の乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、前記測定部により前記電気抵抗を測定された前記地面の土の品質を評価する土質評価部と、
地面に圧力を加えることにより前記地面の土を締固める締固部と、
を備え
前記誘電体は、直接に前記地面と接触しつつ前記締固部により前記地面の上を引き摺られ、当該引き摺られる状況に耐え得る素材によって構成されている、
土質管理装置。
【請求項2】
前記キャパシタ電極装置は、前記地面の土に近接させた一対の前記電流電極に対して、前記地面の土に複数対の前記電位電極を近接させ、複数対の前記電位電極の間の電位を測定する、請求項に記載の土質管理装置。
【請求項3】
前記キャパシタ電極装置の前記電流電極及び前記電位電極は、内部から外部への電磁波の通過を防止しつつ、前記外部から前記内部への電磁波の通過を防止する電極被覆部により被覆されており、
前記電極被覆部は、内側の電波吸収体と、外側の導電体とを有し、前記電波吸収体は、数百kHz~1GHzほどの帯域を対象とするフェライトタイプである、
請求項1または請求項2に記載の土質管理装置。
【請求項4】
土工事の施工過程で締固められた地面の土の土質管理方法であって、
前記地面の前記土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電流電極として前記地面の土に近接させ、一対の前記電流電極の間に交流電圧を印加することにより、前記地面の土に交流電流を流しつつ、前記地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電位電極として前記地面の土に近接させ、一対の前記電位電極の間の電位を測定し、前記電流電極により前記地面の土に流された交流電流と、前記電位電極により測定された前記電位電極の間の電位とにより、前記地面の土の電気抵抗を測定する測定工程と、
前記地面の土の前記電気抵抗と、前記地面の土の乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、前記測定工程により前記電気抵抗を測定された前記地面の土の品質を評価する土質評価工程と、
締固部が地面に圧力を加えることにより前記地面の土を締固める締固工程と、
を備え
前記誘電体は、直接に前記地面と接触しつつ前記締固部により前記地面の上を引き摺られ、当該引き摺られる状況に耐え得る素材によって構成されている、
土質管理方法。
【請求項5】
前記測定工程では、前記地面の土に近接させた一対の前記電流電極に対して、前記地面の土に複数対の前記電位電極を近接させ、複数対の前記電位電極の間の電位を測定する、請求項に記載の土質管理方法。
【請求項6】
前記測定工程での前記電流電極及び前記電位電極は、内部から外部への電磁波の通過を防止しつつ、前記外部から前記内部への電磁波の通過を防止する電極被覆部により被覆されており、
前記電極被覆部は、内側の電波吸収体と、外側の導電体とを有し、前記電波吸収体は、数百kHz~1GHzほどの帯域を対象とするフェライトタイプである、
請求項4または請求項5に記載の土質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土質管理装置及び土質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地面と接触する電極により地面の土の電気抵抗を測定することによって、土の土質を測定する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の垂直方向に延在する棒状の電極の下端を転圧機による締固めが行われた盛土に圧接して土の電気抵抗を測定することにより、測定された土の電気抵抗と土の乾燥密度との相関に基づいて当該土の締固め度を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3416908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術では、天候等によっては、締固めが行われた地面に乾燥又は不陸が生じることがある。地面に乾燥が生じたときには、地面の流動性が低下することにより、電極と地面との接触面に微細な隙間が生じ、電極と地面との接触面積が減少する。同様に、地面に不陸が生じたときには、地面の不陸により電極と地面との接触面に微細な隙間が生じ、電極と地面との接触面積が減少する。電極と地面との接触面積が小さいということは、同じ電圧に対して流れる電流が少ないということである。したがって、上記のような技術では、締固めが行われた地面に乾燥又は不陸が生じたときには、地面の土の電気抵抗が高く測定されてしまい、正しく土の乾燥密度を取得できず、正しく地面の土の品質を評価できないという問題点がある。
【0005】
そこで本発明は、地面の乾燥及び不陸の影響を低減させつつ地面の土の品質を評価できる土質管理装置及び土質管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、土工事の施工過程で締固められた地面の土の土質管理装置であって、地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電流電極として地面の土に近接させ、一対の電流電極の間に交流電圧を印加することにより、地面の土に交流電流を流しつつ、地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電位電極として地面の土に近接させ、一対の電位電極の間の電位を測定する、キャパシタ電極装置と、キャパシタ電極装置の電流電極により地面の土に流された交流電流と、キャパシタ電極装置の電位電極により測定された電位電極の間の電位とにより、地面の土の電気抵抗を測定する測定部と、地面の土の電気抵抗と、地面の土の乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、測定部により電気抵抗を測定された地面の土の品質を評価する土質評価部と、地面に圧力を加えることにより地面の土を締固める締固部と、を備え、誘電体は、直接に地面と接触しつつ締固部により地面の上を引き摺られ、当該引き摺られる状況に耐え得る素材によって構成されている
【0007】
この構成によれば、土工事の施工過程で締固められた地面の土の土質管理装置において、キャパシタ電極装置により、地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対が一対の電流電極として地面の土に近接させられ、一対の電流電極の間に交流電圧を印加することにより、地面の土に交流電流が流されつつ、地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対が一対の電位電極として地面の土に近接させられ、一対の電位電極の間の電位が測定される。測定部により、キャパシタ電極装置の電流電極により地面の土に流された交流電流と、キャパシタ電極装置の電位電極により測定された電位電極の間の電位とにより、地面の土の電気抵抗が測定される。土質評価部により、地面の土の電気抵抗と、地面の土の乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、測定部により電気抵抗を測定された地面の土の品質が評価される。キャパシタ電極である電流電極と電位電極とは、地面に近接させられるだけで測定が可能であるため、地面の乾燥及び不陸の影響を低減させつつ地面の土の電気抵抗を測定して地面の土の品質を評価できる。
【0009】
この構成によれば、締固部による土の締固めと同時に施工面である地面の土の電気抵抗の測定が可能となる。
【0010】
また、キャパシタ電極装置は、地面の土に近接させた一対の電流電極に対して、地面の土に複数対の電位電極を近接させ、複数対の電位電極の間の電位を測定することが好適である。
【0011】
この構成によれば、キャパシタ電極装置は、地面の土に近接させた一対の電流電極に対して、地面の土に複数対の電位電極を近接させ、複数対の電位電極の間の電位を測定するため、地面における測定範囲が拡大する。
【0012】
また、キャパシタ電極装置の電流電極及び電位電極は、内部から外部への電磁波の通過を防止しつつ、外部から内部への電磁波の通過を防止する電極被覆部により被覆されており、電極被覆部は、内側の電波吸収体と、外側の導電体とを有し、電波吸収体は、数百kHz~1GHzほどの帯域を対象とするフェライトタイプであってもよい
【0013】
この構成によれば、キャパシタ電極装置の電流電極及び電位電極は、内部から外部への電磁波の通過を防止しつつ、外部から内部への電磁波の通過を防止する電極被覆部により被覆されているため、電流電極により放出された電磁波による電位電極への影響、電流電極により放出され、締固部等の周囲の金属で反射された電磁波による電位電極への影響、及び電流電極及び電位電極の外部から放出された電磁波による電位電極への影響を低減できる。
【0014】
また、本発明は、土工事の施工過程で締固められた地面の土の土質管理方法であって、地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電流電極として地面の土に近接させ、一対の電流電極の間に交流電圧を印加することにより、地面の土に交流電流を流しつつ、地面の土に対向する誘電体と誘電体に接続された導電体とからなるキャパシタ電極の一対を一対の電位電極として地面の土に近接させ、一対の電位電極の間の電位を測定し、電流電極により地面の土に流された交流電流と、電位電極により測定された電位電極の間の電位とにより、地面の土の電気抵抗を測定する測定工程と、地面の土の電気抵抗と、地面の土の乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、測定工程により電気抵抗を測定された地面の土の品質を評価する土質評価工程と、締固部が地面に圧力を加えることにより地面の土を締固める締固工程と、を備え 誘電体は、直接に地面と接触しつつ締固部により地面の上を引き摺られ、当該引き摺られる状況に耐え得る素材によって構成されている
【0016】
また、測定工程では、地面の土に近接させた一対の電流電極に対して、地面の土に複数対の電位電極を近接させ、複数対の電位電極の間の電位を測定することが好適である。
【0017】
また、測定工程での電流電極及び電位電極は、内部から外部への電磁波の通過を防止しつつ、外部から内部への電磁波の通過を防止する電極被覆部により被覆されており、電極被覆部は、内側の電波吸収体と、外側の導電体とを有し、電波吸収体は、数百kHz~1GHzほどの帯域を対象とするフェライトタイプである
【発明の効果】
【0018】
本発明の土質管理装置及び土質管理方法によれば、地面の乾燥及び不陸の影響を低減させつつ地面の土の品質を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の土質管理装置の構成を示す平面図である。
図2】(A)はキャパシタ電極装置の電流電極の模式図であり、(B)は(A)の回路図であり、(C)はキャパシタ電極装置の模式図である。
図3】第1実施形態の土質管理方法の工程を示すフローチャートである。
図4】乾燥密度と電気抵抗との関係を示すグラフである。
図5】第2実施形態の土質管理装置の構成を示す平面図である。
図6】第3実施形態の土質管理装置の構成を示す平面図である。
図7】第4実施形態の土質管理装置の構成を示す平面図である。
図8】(A)は第5実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置の模式図であり、(B)は第6実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置の模式図であり、(C)は第7実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置の模式図であり、(D)は第8実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置の模式図である。
図9】(A)は第9実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置の模式図であり、(B)は第10実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置の模式図であり、(C)は(B)の土質管理装置のキャパシタ電極装置による土質管理方法を示す図である。
図10】実験例における本実施形態の土質管理装置のキャパシタ電極装置と比較例の車輪型電極とによる地面の土の電気抵抗の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る土質管理装置及び土質管理方法の実施形態について詳細に説明する。本発明の第1実施形態の土質管理装置及び土質管理方法は、例えば、土工事の施工過程でロードローラ等の締固め機械により締固められた後の地面の土の電気抵抗を測定し、電気抵抗と相関がある土の乾燥密度又は湿潤密度を導出することによって地面の土の品質を評価し、締固め機械による締固めの効果を確認するためのものである。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態の土質管理装置1Aは、締固部10、キャパシタ電極装置20A、測定部31及び土質評価部32を備える。締固部10は、地面に圧力を加えることにより地面の土を締固める。締固部10は、具体的には、ロードローラ、タイヤローラ、タンピングローラ、振動ローラ、マカダムローラ、コンバインドローラ及びハンドガイドローラ等のローラ系の締固め機械である。締固部10は、地面の上を自走可能である。また、締固部10は、プレートコンパクタ及びタンパ等の平板式の締固め機械でもよい。
【0022】
キャパシタ電極装置20Aは、ロードローラ等の締固部10により牽引され、地面の上を引き摺られる。キャパシタ電極装置20Aは、一対のキャパシタ電極20である一対の電流電極21と、一対のキャパシタ電極20である一対の電位電極22とを有する。図1図2(A)、図2(B)及び図2(C)に示されるように、締固部10により締固められた地面Sの土Eに対向する誘電体24と誘電体24に接続された導電体23とからなるキャパシタ電極20の一対が一対の電流電極21として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電流電極21の間に交流電源25により交流電圧が印加されることにより、締固部10により締固められた地面Sの土Eに交流電流が流される。
【0023】
図1及び図2(C)に示されるように、締固部10により締固められた地面Sの土Eに電流電極21によって交流電流が流されつつ、締固部10により締固められた地面Sの土Eに対向する誘電体24と誘電体24に接続された導電体23とからなるキャパシタ電極20の一対が一対の電位電極22として地面Sの土Eに近接させられ、電位計26により一対の電位電極22の間の電位が測定される。
【0024】
図2(A)及び図2(C)に示されるように、キャパシタ電極20である電流電極21は、交流電源25に接続された導電体23と、導電体23に接合されて地面Sに対向する誘電体24とを含む。図2(C)に示されるように、キャパシタ電極20である電位電極22は、電位計26に接続された導電体23と、導電体23に接合されて地面Sに対向する誘電体24とを含む。導電体23は、導電性を有する金属からなる平板電極である。誘電体24は、一般的な合成樹脂からなる板状部材である。誘電体24は、直接に地面Sと接触しつつ締固部10により地面Sの上を引き摺られるため、当該状況に耐え得る素材であることが好ましい。誘電体24は、例えば、高密度ポリエチレン、硬質ポリウレタン及びABS(Acrylonitrilebutadiene styrene)樹脂等によりなることが好適である。
【0025】
図2(A)及び図2(B)に示されるように、地面Sに接触していない一対の電流電極21の導電体23に電圧が印加されると、導電体23と地面Sの土Eとの間に電荷が溜まり電流電極21はキャパシタとなる。キャパシタとなった電流電極21が充電又は放電しきる前に、交流電源25により電圧の極性が切り替えられれば、抵抗値を有する土Eに連続的に交流電流が流れる。一方、図2(C)に示されるように、電位計26により、電流電極21と同様にキャパシタとなった一対の電位電極22の電位が測定される。
【0026】
図2(C)の例では、電流電極21及び電位電極22はウェンナー配置により配置されている。ウェンナー配置では、ロードローラ等の締固部10の進行方向と直交する方向に沿って一対の電流電極21が配列され、一対の電流電極21の間でロードローラ等の締固部10の進行方向と直交する方向に沿って一対の電位電極22が配列されている。
【0027】
測定部31及び土質評価部32は、ロードローラ等の締固部10に搭載された電気装置である。測定部31は、キャパシタ電極装置20Aの電流電極21により地面Sの土Eに流された交流電流と、キャパシタ電極装置20Aの電位電極22により測定された電位電極22の間の電位とにより、締固部10により締固められた地面Sの土Eの電気抵抗を測定する。土質評価部32は、地面Sの土Eの電気抵抗と、地面Sの土Eの乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、測定部31により電気抵抗を測定された地面Sの土Eの品質を評価する。地面Sの土Eの品質を評価するとは、例えば、地面Sの土Eの乾燥密度及び湿潤密度のいずれかに基づいて、ロードローラ等の締固部10による地面Sの土Eの締固めの効果を確認することを意味する。
【0028】
なお、土質管理装置1Aは、例えば、GNSS(GlobalNavigation Satellite System)測量、光学測量機能による自動追尾TS(Total Station)等により、キャパシタ電極装置20Aの位置を取得し、測定部31は取得されたキャパシタ電極20の位置と関連付けた地面Sの土Eの電気抵抗を測定し、地面Sの土Eの品質を評価してもよい。
【0029】
以下、本実施形態の土質管理装置1Aを用いた土質管理方法について説明する。本実施形態の土質管理装置1Aを用いた土質管理方法では、例えば、土工事の施工過程で、土質管理装置1Aが作業現場の地面Sの上で任意の位置に移動し、締固部10により地面Sの土Eを締固めつつ、締固部10により締固められた地面Sの土Eの電気抵抗が測定され、地面Sの土Eの品質が評価される。
【0030】
図3に示されるように、土質管理装置1Aの締固部10により、地面Sに圧力を加えることにより地面Sの土Eを締固める締固工程が実行される(S1)。土質管理装置1Aのキャパシタ電極装置20A及び測定部31により、測定工程が実行される(S2)。
【0031】
測定工程では、締固工程で締固められた地面Sの土Eに対向する誘電体24と誘電体24に接続された導電体23とからなるキャパシタ電極20の一対が一対の電流電極21として地面Sの土Eに近接させられる。一対の電流電極21の間に交流電圧を印加することにより、締固工程により締固められた地面Sの土Eに交流電流が流される。締固工程により締固められた地面Sの土Eに交流電流が流されつつ、締固工程により締固められた地面Sの土Eに対向する誘電体24と誘電体24に接続された導電体23とからなるキャパシタ電極20の一対が一対の電位電極22として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電位電極22の間の電位が測定される。電流電極21により地面Sの土Eに流された交流電流と、電位電極22により測定された電位電極22の間の電位とにより、締固工程で締固められた地面Sの土Eの電気抵抗が測定される。
【0032】
土質管理装置1Aの土質評価部32により、土質評価工程が実行される(S3)。土質評価工程では、地面Sの土Eの電気抵抗と、地面Sの土Eの乾燥密度及び湿潤密度のいずれかとの関係に基づいて、測定工程により電気抵抗を測定された地面Sの土Eの品質が評価される。図4に示されるように、土Eの電気抵抗と土Eの乾燥密度とは相関関係があることが知られている。土Eの電気抵抗と土Eの湿潤密度との相関関係についても同様である。したがって、土Eの電気抵抗に基づいて土Eの乾燥密度及び湿潤密度を導出することができる。
【0033】
導出された土Eの乾燥密度又は湿潤密度により、締固部10による締固めの効果を確認することができる。図3に示されるように、土Eの乾燥密度又は湿潤密度により確認された締固部10による締固めの効果が要求される品質を満たす場合には(S4)、処理は終了される。一方、土Eの乾燥密度又は湿潤密度により確認された締固部10による締固めの効果が要求される品質を満たさない場合には(S4)、再度、締固工程(S1)及び測定工程(S2)が実行される。なお、本実施形態では、電流電極21及び電位電極22の配置がウェンナー配置である例について説明したが、本発明における電流電極21及び電位電極22の配置は、ウェンナー配置に限定されない。
【0034】
上述したように、従来の技術では、締固めが行われた地面に乾燥又は不陸が生じ、電極と地面との接触面積が減少し、地面の土の電気抵抗が高く測定されてしまい、正しく土の乾燥密度を取得できないという問題点がある。締固めが行われた地面に乾燥が生じた場合に、地面の土に水を噴霧する方法が考えられるが、本来、制御されていた施工地盤の含水比を変更してしまう可能性がある。また、締固めが行われた地面に乾燥又は不陸が生じた場合に、地面の下方に電極を到達させる方法が考えられるが、整えられた施工面を乱す可能性がある。
【0035】
一方、本実施形態によれば、土工事の施工過程で締固められた地面Sの土Eの土質管理装置1Aにおいて、締固部10により地面Sに圧力を加えることによって地面Sの土Eが締固められる。キャパシタ電極装置20Aにより、締固部10により締固められた地面Sの土Eに対向する誘電体24と誘電体24に接続された導電体23とからなるキャパシタ電極20の一対が一対の電流電極21として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電流電極21の間に交流電圧を印加することにより、締固部10により締固められた地面Sの土Eに交流電流が流されつつ、締固部10により締固められた地面Sの土Eに対向する誘電体24と誘電体24に接続された導電体23とからなるキャパシタ電極20の一対が一対の電位電極22として地面Sの土Eに近接させられ、一対の電位電極22の間の電位が測定される。
【0036】
測定部31により、キャパシタ電極装置20Aの電流電極21により地面Sの土Eに流された交流電流と、キャパシタ電極装置20Aの電位電極22により測定された電位電極22の間の電位とにより、締固部10により締固められた地面Sの土Eの電気抵抗が測定される。土質評価部32により、測定部31により電気抵抗を測定された地面Sの土Eの品質が評価される。キャパシタ電極20の電流電極21と電位電極22とは、地面Sに近接させられるだけで測定が可能であるため、地面Sの乾燥及び不陸の影響を低減させつつ地面Sの土Eの電気抵抗を測定して地面Sの土Eの品質を評価できる。
【0037】
すなわち、本実施形態では、地面Sと必ずしも接触する必要がないキャパシタとなったキャパシタ電極20である電流電極21及び電位電極22が、地面Sと接触する必要がある特許文献1等の従来技術の電極と同様の役割を果たすため、地面Sの乾燥及び不陸の影響を受けずに地面Sの土Eの電気抵抗を測定できる。
【0038】
また、本実施形態によれば、締固部10による土Eの締固めと同時に施工面である地面Sの土Eの電気抵抗の測定が可能となる。これにより、締固めと同時に施工面の品質を評価し、品質不足の箇所を即時に検知して追加で締固めることができ、測定時間の無駄を省くとともに品質向上が図られる。
【0039】
なお、地面Sの土Eの電気抵抗は、土Eの乾燥密度(湿潤密度)及び含水比の両方によって変化してしまう。例えば、図4のグラフの曲線は、含水比により上下方向に平行移動する。このため、乾燥密度(湿潤密度)及び含水比を同定するためには、もう一つ別の物理指標を必要とする。しかし、CSG(CementedSand and Gravel)等のセメント系材料では、材料管理及び製造の段階でその含水状態を厳密に制御されているため、含水比は既知量として扱うことができる。すなわち、乾燥密度(湿潤密度)のみが未知量であり、図4のグラフの横軸が乾燥密度(湿潤密度)となり、土Eの電気抵抗の測定だけで土Eの乾燥密度(湿潤密度)を同定し、管理することが可能である。
【0040】
従来の技術では、一定以上に粒径の大きいロック材に対しては、電極の土との非接触が生じるため、適応性がなかった。しかし、本実施形態のキャパシタ電極装置20Aでは、地面Sの土Eとの非接触が問題とならないので、土Eの最大粒径の適応範囲が拡がることが推察される。
【0041】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図5に示される土質管理装置1Bでは、キャパシタ電極装置20Bの電流電極21及び電位電極22は、ダイポール・ダイポール配置により配置されている。ダイポール・ダイポール配置では、ロードローラ等の締固部10の進行方向に沿って一対の電流電極21が配列され、一対の電流電極21の後方で締固部10の進行方向に沿って一対の電位電極22が配列されている。なお、本実施形態では、電流電極21及び電位電極22の配置がダイポール・ダイポール配置である例について説明したが、本発明における電流電極21及び電位電極22の配置は、ダイポール・ダイポール配置に限定されない。
【0042】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。図6に示される土質管理装置1Cでは、キャパシタ電極装置20Cでは、上記第2実施形態のキャパシタ電極装置20Bのようなダイポール・ダイポール配置により配置された一対の電流電極21及び一対の電位電極22が、ロードローラ等の締固部10の進行方向に直交する方向に3列に配列されている。なお、本実施形態では、ダイポール・ダイポール配置について説明したが、本発明における電流電極21及び電位電極22の配置は、ダイポール・ダイポール配置に限定されない。
【0043】
本実施形態では、ダイポール・ダイポール配置により配置された一対の電流電極21及び一対の電位電極22が、ロードローラ等の締固部10の進行方向に直交する方向に3列に配列されているため、地面Sにおける測定範囲Aが拡大する。本実施形態では、ロードローラ等の締固部10の一往復あたりの測定範囲Aを広くすることができ、施工面全体を測定する際の往復回数を減らせる。
【0044】
以下、本発明の第4実施形態について説明する。図7に示される土質管理装置1Dでは、キャパシタ電極装置20Dは、締固部10により締固められた地面Sの土Eに近接させた一対の電流電極21に対して、締固部10により締固められた地面Sの土Eに複数対の電位電極22を近接させ、複数対の電位電極22の間の電位を測定する。測定工程では、締固部10により締固められた地面Sの土Eに近接させた一対の電流電極21に対して、締固工程で締固められた地面Sの土Eに複数対の電位電極22を近接させ、複数対の電位電極22の間の電位を測定する。
【0045】
本実施形態では、ロードローラ等の締固部10の進行方向と直交する方向に沿って一対の電流電極21が配列されている。一対の電流電極21の左側方及び右側方には、一対の電流電極21が配列された方向に沿って一対の電位電極22がそれぞれ配列されている。一対の電流電極21の後方には、締固部10の進行方向と直交する方向に沿って一対の電位電極22が配列されている。
【0046】
本実施形態では、キャパシタ電極装置20Dは、締固部10により締固められた地面Sの土Eに近接させた一対の電流電極21に対して、締固部10により締固められた地面Sの土Eに複数対の電位電極22を近接させ、複数対の電位電極22の間の電位を測定する。このため、地面Sにおける測定範囲Aが拡大する。したがって、上記第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0047】
以下、本発明の第5実施形態について説明する。図8(A)に示されるように、本実施形態では、キャパシタ電極装置20Eの電流電極21及び電位電極22は、内部から外部への電磁波Wの通過を防止しつつ、外部から内部への電磁波Wの通過を防止する電極被覆部40Aに被覆されている。つまり、測定工程での電流電極21及び電位電極22は、内部から外部への電磁波Wの通過を防止しつつ、外部から内部への電磁波Wの通過を防止する電極被覆部40Aに被覆されている。
【0048】
電極被覆部40Aは、内側の電波吸収体41と、外側の導電体42とを有する。電波吸収体41は、一般にフェライトタイプとウレタンタイプとがあり、フェライトタイプは数百kHz~1GHzほどの帯域を対象とし、数MHz~110GHzほどの帯域を対象とする。キャパシタ電極装置20Eでは、数百kHz~数十MHzの周波数の電圧が主に用いられるため、フェライトタイプが好適である。また、導電体42は、一般的な金属からなる。
【0049】
キャパシタ電極装置20Eは、地面Sと非接触の状態でも確実に地面Sの土Eに電流を流すために、高周波及び高電圧で使用されることが多い。このとき、図8(A)に示されるように、電流電極21から外部空間中に強力な電磁波Wが放出される可能性がある。電流電極21と電位電極22との物理的距離が近いと、この電磁波Wが電位電極22に影響して、電位電極22で測定される電圧を変動させて、正確な測定ができない可能性がある。一方、電極同士の間隔と計測深度とは相関している。特に、本発明では、締固部10による締固めの効果を確認するために、地面Sから浅い土Eの電気抵抗を測定することが多い。計測深度を浅くするためには、電極間隔を近づける必要がある。電極間隔を近づけると、上記の相互誘導を助長する。したがって、対策が必要となる。
【0050】
また、電流電極21から放出された電磁波Wが施工現場の重機及び締固部10等の周囲の金属で反射し、周囲の金属で反射された電磁波Wが電位電極22に影響を与える可能性がある。また、本実施形態のシステム以外の外部要因から到達する電磁波Wが電位電極22に影響を与える可能性がある。
【0051】
一方、本実施形態では、キャパシタ電極装置20Eの電流電極21及び電位電極22は、内部から外部への電磁波Wの通過を防止しつつ、外部から内部への電磁波Wの通過を防止する電極被覆部40Aにより被覆されているため、電流電極21により放出された電磁波Wによる電位電極への影響、電流電極21により放出され、締固部10等の周囲の金属で反射された電磁波Wによる電位電極22への影響、及び締固部10等の電流電極21及び電位電極22の外部から放出された電磁波Wによる電位電極22への影響を低減できる。
【0052】
本実施形態では、振動ローラ等の締固部10の近傍及び振動ローラ等の締固部10の車体の底部に、キャパシタ電極装置20Eを配置できる。本来、振動ローラのような金属塊がキャパシタ電極装置20Eのすぐ近くに存在すると、電磁波Wの反射による影響が強く、正確な測定が難しいことが考えられる。しかし、本実施形態では、振動ローラ等の締固部10による土Eの締固めと同時に施工面の電気抵抗の正確な測定が可能となる。これにより、締固めと同時に施工面の品質を正確に評価し、品質不足の箇所を即時に検知して追加で締固めることができ、測定時間の無駄を省くとともに品質向上が図られる。
【0053】
なお、図8(B)に示される第6実施形態に係るキャパシタ電極装置20Fのように、電流電極21及び電位電極22の誘電体24が平面視で導電体23からはみ出すように大きくされ、誘電体24が導電体23からはみ出した部位の上に電極被覆部40Aが載置されていてもよい。
【0054】
また、図8(C)に示される本発明の第7実施形態に係るキャパシタ電極装置20Gのように、上記第5実施形態に係るキャパシタ電極装置20Eの電流電極21、電位電極22、電極被覆部40A、交流電源25及び電位計26の全体が電極被覆部40Bにより被覆されていてもよい。また、図8(D)に示される本発明の第8実施形態に係るキャパシタ電極装置20Hのように、上記第6実施形態に係るキャパシタ電極装置20Fの電流電極21、電位電極22、電極被覆部40A、交流電源25及び電位計26の全体が電極被覆部40Bにより被覆されていてもよい。第7実施形態及び第8実施形態では、交流電源25及び電位計26が電極被覆部40Bにより被覆されているため、電磁波Wによる影響をさらに低減し、地面Sの土Eの電気抵抗のより正確な測定が可能となる。
【0055】
以下、本発明の第9実施形態について説明する。図9(A)に示されるように、本実施形態に係るキャパシタ電極装置20Iでは、一対の電流電極21と地面Sとの間と、一対の電位電極22との間とに、共通の中間材27が配置されている。中間材27は、例えば、地面Sの土Eと同じ程度の抵抗率を有する。中間材27が配置されていない場合は、キャパシタ電極装置20Iは測定深度Dを有する。しかし、地面Sの土Eと同じ程度の抵抗率を有し、厚さtの中間材27が配置されている場合は、キャパシタ電極装置20Iは、測定深度Dから中間材27の厚さtを減じた測定深度dを有する。これにより、キャパシタ電極装置20Iは、同じ電流電極21及び電位電極22の配置により、より浅い測定深度dを実現できる。また、測定深度dにおいて、地面Sの土Eの品質を評価できる。
【0056】
なお、中間材27の抵抗率が地面Sの土Eの抵抗率よりも低い場合は、中間材27の抵抗率に応じて、中間材27の抵抗率が地面Sの土Eの抵抗率と同じ場合に比べて測定深度dは深く換算できる。また、中間材27の抵抗率が地面Sの土Eの抵抗率よりも高い場合は、中間材27の抵抗率に応じて、中間材27の抵抗率が地面Sの土Eの抵抗率と同じ場合に比べて測定深度dは浅く換算できる。また、図9(A)の例では、キャパシタ電極装置20Iの電流電極21及び電位電極22は、ダイポール・ダイポール配置により配置されているが、キャパシタ電極装置20Iの電流電極21及び電位電極22は、ウェンナー配置により配置されていてもよい。また、キャパシタ電極装置20Iは、上記第5~第8実施形態に係る電極被覆部40A,40Bを備えていてもよい。
【0057】
以下、本発明の第10実施形態について説明する。図9(B)に示されるように、本実施形態に係るキャパシタ電極装置20Jは測定深度Dを有する。測定深度Dを有するキャパシタ電極装置20Jにより、地面Sの土Eの電気抵抗が測定される測定工程が行われる。図9(C)に示されるように、土Eの上に厚さTの盛土Edが盛られる盛土工程が行われる。上記第1実施形態と同様に、締固部10により、地面Sに圧力を加えることにより地面Sの盛土Edを締固める締固工程が実行される。図9(C)に示されるように、測定深度Dを有するキャパシタ電極装置20Jにより、地面Sの盛土Ed及び土Eの電気抵抗が測定される測定工程が再び行われる。
【0058】
測定部31又は土質評価部32により、盛土工程前の地面Sから測定深度Dまでの土Eの電気抵抗の測定結果と、盛土工程後の地面Sから測定深度Dまでの盛土Ed及び土Eの電気抵抗の測定結果とが比較される。盛土工程後の地面Sから測定深度Dまでの盛土Ed及び土Eの電気抵抗の測定結果は、既に測定された土Eの電気抵抗に、厚さTの盛土Edの電気抵抗が反映されている。したがって、例えば、盛土工程前の地面Sから測定深度Dまでの土Eの電気抵抗の測定結果、盛土工程後の地面Sから測定深度Dまでの盛土Ed及び土Eの電気抵抗の測定結果、測定深度D及び厚さTに基づいて、キャパシタ電極装置20Jは、同じ電流電極21及び電位電極22の配置により、より浅い厚さTの盛土Edの電気抵抗を測定できる。
【0059】
また、例えば、上記の測定工程の後に上記の土質評価工程が行われ、盛土工程前の地面Sから測定深度Dまでの土Eの土質の評価結果、盛土工程後の地面Sから測定深度Dまでの盛土Ed及び土Eの土質の評価結果、測定深度D及び厚さTに基づいて、厚さTの盛土Edの土質の評価が行われてもよい。また、上記の測定工程、土質評価工程、盛土工程、締固工程、測定工程及び土質評価工程は、3回以上繰り返されてもよい。
【0060】
また、図9(B)及び図9(C)の例では、キャパシタ電極装置20Jの電流電極21及び電位電極22は、ダイポール・ダイポール配置により配置されているが、キャパシタ電極装置20Jの電流電極21及び電位電極22は、ウェンナー配置により配置されていてもよい。また、キャパシタ電極装置20Jは、上記第5~第8実施形態に係る電極被覆部40A,40Bを備えていてもよい。
【0061】
以下、本実施形態の実験例について説明する。図10に示されるように、本実施形態の土質管理装置1Aのキャパシタ電極装置20Aと、地面Sの上を転がりながら地面Sの土Eの電気抵抗を測定する車輪型電極とにより、乾燥及び不陸を有する地面Sの土Eの電気抵抗を測定した。図10より、車輪型電極による電気抵抗の測定結果のバラツキよりも、本実施形態のキャパシタ電極装置20Aによる電気抵抗の測定結果のバラツキの方が小さくなっていることが判る。車輪型電極による測定結果のバラツキは、地面Sの乾燥及び不陸を反映しているものと考えられるため、本実施形態のキャパシタ電極装置20Aの有効性が実証できたといえる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、上記実施形態では、振動ローラ等の締固部10と一体化された土質管理装置1A~1Dについて説明したが、例えば、土工事の施工過程で他の重機により締固められた地面Sの土Eに対して、地面S上で振動ロータ等の締固部10とは別体であるキャパシタ電極装置20A~20Jの電流電極21及び電位電極22が何らかの手段で牽引され、測定部31により地面Sの土Eの電気抵抗が測定され、土質評価部32により地面Sの土Eの土質が評価されてもよい。
【0063】
また、例えば、キャパシタ電極装置20A~20Hの電流電極21及び電位電極22の配置及び牽引方向は、上記実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。また、例えば、上記実施形態の土質管理装置1A~1D及び土質管理方法により電気抵抗を測定される土Eには、一般の土Eのみならず、CSG(CementedSand and Gravel)工法における建設現場で得られた砂礫等にセメントが添加及び混合された物及びRCD(Roller CompactedDam-Concrete)工法におけるセメントの量を少なくした超硬練りのコンクリートが敷均されて振動ローラ等で締め固められた物も含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1A,1B,1C,1D…土質管理装置、10…締固部、20…キャパシタ電極、20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,20J…キャパシタ電極装置、21…電流電極、22…電位電極、23…導電体、24…誘電体、25…交流電源、26…電位計、27…中間材、31…測定部、32…土質評価部、40A,40B…電極被覆部、41…電波吸収体、42…導電体、S…地面、E…土、Ed…盛土、A…測定範囲、D,d…測定深度、t,T…厚さ、W…電磁波。
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図10