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7586790検体性状判別装置の動作確認方法、及び、検体性状判別装置
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  • -検体性状判別装置の動作確認方法、及び、検体性状判別装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】検体性状判別装置の動作確認方法、及び、検体性状判別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20241112BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241112BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N33/483 C
G01N33/68
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021126770
(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公開番号】P2023021723
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 清隆
(72)【発明者】
【氏名】福田 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】林 浩之輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 博樹
(72)【発明者】
【氏名】八須賀 淳
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-277950(JP,A)
【文献】特開2011-112501(JP,A)
【文献】特開平09-089805(JP,A)
【文献】特開2011-153944(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113125451(CN,A)
【文献】特開2011-064537(JP,A)
【文献】特許第6537008(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0018489(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-21/01
21/17-21/61
21/84-21/958
33/48-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体の性状を判別する検体性状判別装置の動作を確認する動作確認方法において、
疑似のフィブリン、または疑似の凝固体を含む疑似検体に光源からの光を照射し、前記疑似検体を間にして前記光源の反対側に設置された撮像部によって前記疑似検体を撮像し、
前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体を含まない非疑似検体に前記光源からの光を照射し、前記撮像部によって前記非疑似検体を撮像し、
前記疑似検体を撮像することで生成された疑似検体画像と、前記非疑似検体を撮像することで生成された非疑似検体画像とに基づいて、前記検体性状判別装置の動作を確認する、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項2】
請求項1に記載の検体性状判別装置の動作確認方法において、
前記疑似検体画像から前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体が検出され、前記非疑似検体画像から前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体が検出されない場合、前記検体性状判別装置の動作は正常であると判定し、それ以外の場合、前記検体性状判別装置の動作は異常であると判定する、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項3】
請求項1に記載の検体性状判別装置の動作確認方法において、
前記疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、前記疑似検体中の前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体の有無を評価し、
前記非疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、前記非疑似検体中の前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体の有無を評価し、
前記疑似検体画像についての評価と前記非疑似検体画像についての評価とに基づいて、前記検体性状判別装置の動作の異常の有無を判定する、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項4】
請求項3に記載の検体性状判別装置の動作確認方法において、
前記疑似検体画像についての評価と前記非疑似検体画像についての評価とに基づいて、前記検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを判定する、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項5】
請求項4に記載の検体性状判別装置の動作確認方法において、
前記検体性状判別装置の動作は、前記光源及び前記撮像部の動作、又は、検体を前記撮像部によって撮像するときに行われる検体の揺動である、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の検体性状判別装置の動作確認方法において、
前記疑似のフィブリンは、所定の型に、血清に似せた色水にフィブリノーゲンとトロンビンが加えられた溶液を所定量入れた後、該溶液を凝固させ、該型から、凝固塊を剥して作製されたものである、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の検体性状判別装置の動作確認方法において、
前記疑似の凝固体は、所定の型に、クエン酸処理ウマ血液にカルシウム水溶液が加えられた溶液を所定量入れた後、該溶液を凝固させ、該型から、凝固塊を剥して作製されたものである、
ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法。
【請求項8】
検体の性状を判別する検体性状判別装置において、
検体の撮像位置の一方側に設置された光源と、
前記撮像位置を間にして前記光源の反対側に設置されて、前記撮像位置にある検体を撮像する撮像部と、
自装置の動作を確認する確認部と、
を含み、
疑似のフィブリン、または疑似の凝固体を含む疑似検体に前記光源から光が照射された状態で、前記疑似検体が前記撮像部によって撮像され、
前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体を含まない非疑似検体に前記光源から光が照射された状態で、前記非疑似検体が前記撮像部によって撮像され、
前記確認部は、前記疑似検体を撮像することで生成された疑似検体画像と、前記非疑似検体を撮像することで生成された非疑似検体画像とに基づいて、自装置の動作を確認する、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【請求項9】
請求項8に記載の検体性状判別装置において、
前記確認部は、前記疑似検体画像から前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体が検出され、前記非疑似検体画像から前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体が検出されない場合、自装置の動作は正常であると判定し、それ以外の場合は、自装置の動作は異常であると判定する、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【請求項10】
請求項8に記載の検体性状判別装置において、
前記確認部は、前記疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、前記疑似検体中の前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体の有無を評価し、前記非疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、前記非疑似検体中の前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体の有無を評価し、前記疑似検体画像についての評価と前記非疑似検体画像についての評価とに基づいて、自装置の動作の異常の有無を判定する、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【請求項11】
請求項10に記載の検体性状判別装置において、
前記確認部は、前記疑似検体画像についての評価と前記非疑似検体画像についての評価とに基づいて、自装置の動作の調整が必要か否かを判定する、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【請求項12】
請求項11に記載の検体性状判別装置において、
自装置の動作は、前記光源及び前記撮像部の動作、又は、検体を前記撮像部によって撮像するときに行われる検体の揺動である、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか一項に記載の検体性状判別装置において、
前記疑似のフィブリンは、所定の型に、血清に似せた色水にフィブリノーゲンとトロンビンが加えられた溶液を所定量入れた後、該溶液を凝固させ、該型から、凝固塊を剥して作製されたものである、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【請求項14】
請求項8~12のいずれか一項に記載の検体性状判別装置において、
前記疑似の凝固体は、所定の型に、クエン酸処理ウマ血液にカルシウム水溶液が加えられた溶液を所定量入れた後、該溶液を凝固させ、該型から、凝固塊を剥して作製されたものである、
ことを特徴とする検体性状判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体性状判別装置の動作確認方法、及び、検体性状判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、血清、血漿又は尿等の検体を分析する前に、異常検体の有無の確認や除去が行われる。例えば、作業者が、凝固体やフィブリン等の異物が検体に含まれているか否かを目視で確認し、異物が含まれている検体を異常検体として除外している。しかし、この方法では、作業者の負担が増大する。これに対処するために、検体の性状を判別する検体性状判別装置を用いることで、異常検体を自動的に判別することが考えられる。例えば、検体性状判別装置は、検体を撮像することで検体を表す画像を生成し、その画像に対して画像処理や人工知能(AI)を用いた判別処理を実行することで、異常検体を自動的に判別する。
【0003】
特許文献1には、検体像に基づいてバックライトの輝度を設定し、検体を収容した容器を撮影して画像を取得し、当該画像に含まれる検体像に基づいて検体の性状を判別する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-4782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、様々な種類の異常検体が存在し、その異常検体の状態(例えば異物の形状や色味等)も不安定である。例えば、検体に含まれる異物の形状や色味等は、その検体が採取された患者や管理の状況等によって異なったり、刻々と変化したりすることがある。そのため、そのような検体が検体性状判別装置に導入されて異常検体の判別処理が行われても、その判別の結果に基づいて、検体性状判別装置が正常に動作しているか否かを確認したり、検体性状判別装置の性能を評価したり、検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを判断したりすることが困難である。
【0006】
本発明の目的は、検体の性状を判別する検体性状判別装置の動作を確認することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、検体の性状を判別する検体性状判別装置の動作を確認する動作確認方法において、疑似のフィブリン、または疑似の凝固体を含む疑似検体に光源からの光を照射し、前記疑似検体を間にして前記光源の反対側に設置された撮像部によって前記疑似検体を撮像し、前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体を含まない非疑似検体に前記光源からの光を照射し、前記撮像部によって前記非疑似検体を撮像し、前記疑似検体を撮像することで生成された疑似検体画像と、前記非疑似検体を撮像することで生成された非疑似検体画像とに基づいて、前記検体性状判別装置の動作を確認する、ことを特徴とする検体性状判別装置の動作確認方法である。
【0008】
本発明の1つの態様は、検体の性状を判別する検体性状判別装置において、検体の撮像位置の一方側に設置された光源と、前記撮像位置を間にして前記光源の反対側に設置されて、前記撮像位置にある検体を撮像する撮像部と、自装置の動作を確認する確認部と、を含み、疑似のフィブリン、または疑似の凝固体を含む疑似検体に前記光源から光が照射された状態で、前記疑似検体が前記撮像部によって撮像され、前記疑似のフィブリン、または前記疑似の凝固体を含まない非疑似検体に前記光源から光が照射された状態で、前記非疑似検体が前記撮像部によって撮像され、前記確認部は、前記疑似検体を撮像することで生成された疑似検体画像と、前記非疑似検体を撮像することで生成された非疑似検体画像とに基づいて、自装置の動作を確認する、ことを特徴とする検体性状判別装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1つの態様によれば、検体の性状を判別する検体性状判別装置の動作を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る検体性状判別装置の機能を示すブロック図である。
図2】撮像装置の構成を示す図である。
図3】撮像装置の構成を示す図である。
図4】実施例1に係る動作確認方法の流れを示すフローチャートである。
図5】実施例1に係る画面を示す図である。
図6】実施例2に係る動作確認方法の流れを示すフローチャートである。
図7】実施例2に係る画面を示す図である。
図8】実施例3に係る動作確認方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、実施形態に係る検体性状判別装置について説明する。図1は、実施形態に係る検体性状判別装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
実施形態に係る検体性状判別装置は、例えば、検体性状の異常を透過光による映像の陰影によって計測する装置である。検体性状の異常は、例えば、血液の凝固やフィブリン等である。
【0013】
実施形態に係る検体性状判別装置は、撮像装置10と、撮像装置10を構成するデバイスを制御する機器制御部12と、検体性状判別部14と、動作確認部16と、表示部18と、入力部20とを含む。
【0014】
撮像装置10は、光源と撮像部とを含み、検体30を撮像する装置である。例えば、撮像装置10は、検体30を収容した容器を揺動させながら検体30を撮像してもよいし、容器を揺動させずに検体30を撮像してもよい。この撮像によって検体30を表す画像が生成される。
【0015】
機器制御部12は、検体性状判別装置の動作を制御する。例えば、機器制御部12は、撮像装置10の動作等を制御する。
【0016】
検体性状判別部14は、撮像装置10による撮像によって生成された画像に基づいて、検体30の性状を判別する。例えば、検体性状判別部14は、当該画像に対して画像処理や人工知能(AI)を用いた判別処理を適用することで、検体30の性状の異常の有無を判別し、異常な性状を有する異常検体を検出する。その画像処理や人工知能を用いた判別処理として、公知の画像処理や判定処理が用いられてもよい。
【0017】
動作確認部16は、撮像装置10による撮像によって生成された画像に基づいて、検体性状判別装置の動作を確認する。動作確認部16は、当該画像に基づいて、検体性状判別装置の動作の異常の有無を判定してもよいし、検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを判定してもよい。検体性状判別装置の動作は、例えば、撮像装置10に含まれる光源と撮像部の動作、又は、検体を撮像装置10によって撮像するときに行われる検体の揺動である。
【0018】
例えば、動作確認部16は、疑似の異物を含む疑似検体を撮像することで生成された疑似検体画像と、疑似の異物を含まない非疑似検体を撮像することで生成された非疑似検体画像とに基づいて、検体性状判別装置の動作を確認する。疑似の異物は、例えば、疑似の凝固体、又は、疑似のフィブリンである。疑似の異物は、時間が経過しても安定した物体である。例えば、時間が経過しても形状や色が変化しない物体が、疑似の異物として用いられる。
【0019】
具体的には、動作確認部16は、疑似検体画像と非疑似検体画像とを比較し、その比較結果に基づいて、検体性状判別装置の動作を確認する。動作確認部16は、疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、疑似検体中の疑似の異物の有無を評価し、非疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、非疑似検体中の疑似の異物の有無を評価し、それらの評価に基づいて、検体性状判別装置の動作を確認してもよい。
【0020】
表示部18は、液晶ディスプレイやELディスプレイ等のディスプレイである。入力部20は、キーボードやポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、ペンタブレット、タッチパッド、タッチパネル等)である。表示部18と入力部20とを兼ね備えたユーザインターフェース(例えばタッチパネル等)が、検体性状判別装置に含まれてもよい。
【0021】
機器制御部12は、撮像制御部22と、光源制御部24と、駆動制御部26と、システム制御部28とを含む。
【0022】
撮像制御部22は、撮像装置10に含まれる撮像部を制御する。撮像部は、例えば、図2に示されているカメラ34である。撮像制御部22には、カメラ34から出力される撮像データが入力される。撮像制御部22は、例えば、圧縮形式の撮像データをRGB信号等の非圧縮形式の映像データに変換し、映像の輝度及び階調に応じて露出及び焦点調整等を行うための撮像制御信号をシステム制御部28に出力する。撮像制御信号は、システム制御部28に入力される。
【0023】
光源制御部24は、撮像装置10に含まれる光源を制御する。光源は、例えば、図2に示されているバックライト32である。光源制御部24は、システム制御部28から送られる光源制御信号に従ってバックライト32の明るさを制御する。光源制御信号は、光源であるバックライト32の明るさを制御するための信号である。例えば、光源制御部24は、バックライト32の明るさを制御するための光源用電圧信号をバックライト32に出力することで、バックライト32の明るさを制御する。光量不足又はハレーションが発生する場合、撮像制御部22が、カメラ34の絞り等によって露光を調整する。その調整によっても光量不足又はハレーションが解消されない場合、光源制御部24は、バックライト32が出力する光量の調整を行う。もちろん、これは制御の一例に過ぎず、これ以外の制御が行われてもよい。
【0024】
駆動制御部26は、システム制御部28から送られる駆動制御信号に従って、検体を揺動させるためのモータを制御する。駆動制御信号は、揺動の角度や速度や回数等を制御するための信号である。例えば、駆動制御部26は、モータを駆動するためのモータ用電圧信号を当該モータに出力することで、当該モータを制御し、それによって、検体の揺動を制御する。
【0025】
システム制御部28は、光源制御部24に光源制御信号を出力し、駆動制御部26に駆動制御信号を出力することで、光源制御部24と駆動制御部26を制御する。
【0026】
図2には、撮像装置10の構成が示されている。撮像装置10は、光源の一例であるバックライト32と、撮像部の一例であるカメラ34とを含む。
【0027】
バックライト32は、検体の撮像位置の一方側に設置され、カメラ34は、その撮像位置を間にして光源の反対側に設置されている。つまり、バックライト32とカメラ34は、検体を間にして互いに反対側の位置に設置されており、検体は、バックライト32とカメラ34との間に配置される。バックライト32からの光が検体に照射され、検体を間にしてバックライト32の反対側に設置されたカメラ34によって当該検体が撮像される。このようにして、撮像位置にある検体が撮像される。検体は、例えばチューブ状の容器36(例えば採血管等)に収容される。その容器36が、バックライト32とカメラ34との間に配置されて、容器36に収容された検体が、カメラ34によって撮像される。
【0028】
バックライト32は、赤外光源又は可視光源等である。カメラ34は、カラーカメラ、赤外線カメラ又は紫外線カメラ等である。バックライト32から出射した光は、容器36に収容された検体38に照射される。検体38を透過した光は、カメラ34に入射する。このようにして、カメラ34は、容器36内の検体38を撮像する。
【0029】
容器36は、駆動制御部26の制御の下、軸Oを回転軸として、矢印Aが指し示すように、モータによって揺動させられる。図2に示す例では、容器36は0°~90°の範囲内で揺動させられる。この角度の範囲は一例に過ぎず、これ以外の角度の範囲内で容器36が揺動させられてもよい。例えば、容器36を揺動させながら、カメラ34によって容器36内の検体38が撮像されることで、揺動中の検体38の様子を表す画像が生成される。揺動の角度や速度や回数は、駆動制御部26によって制御される。例えば、容器36を揺動させることで、検体38の転倒混和が実現され、検体が攪拌される。
【0030】
検体性状判別装置の動作を確認するために、疑似の異物を含む疑似検体と、疑似の異物を含まない非疑似検体が用いられる。図2に示す例では、疑似の異物の一例である疑似の凝固体40が、検体38に含まれている。疑似の凝固体40を含む検体38は、疑似検体である。
【0031】
また、図3に示すように、疑似の異物の一例である疑似のフィブリン42が、検体38に含まれてもよい。疑似のフィブリン42を含む検体38は、疑似検体である。
【0032】
疑似の凝固体40を含む検体38や、疑似のフィブリン42を含む検体38は、疑似の異常検体であるといえる。疑似の異常検体を用いて、検体性状判別装置の動作の異常の有無が確認される。また、疑似の異常検体を用いて、検体性別判別装置の校正が行われる。疑似の異常検体は、校正用の検体であるといえる。
【0033】
以下、疑似検体の一例である、疑似の凝固体40を含む検体38の作成方法について説明する。
【0034】
まず、クエン酸処理ウマ血液にカルシウム水溶液が加えられる。次に、シリコンチューブ、又は、剥離が可能な型(例えば3Dプリンタによって作製される型)に、規定量の溶液が入れられ、これにより、凝固塊が作成される。次に、当該シリコンチューブ又は当該型から、凝固塊が剥される。その剥された凝固塊が、疑似の異物の一例である疑似の凝固体40として用いられる。その疑似の凝固体40は、検体38の一例である全血試料の中に入れられる。例えば、全血試料は検体38として容器36に収容されており、疑似の凝固体40は、容器36に収容された全血試料の中に入れられる。このようにして、疑似の凝固体40を含む検体38、つまり疑似検体が作成される。なお、シリコンチューブや型を用いずに、容器36に、直接、規定量の溶液が入れられて、凝固塊が作成されてもよい。このようにして作成された疑似の凝固体40は、時間が経過しても形状や色等の状態が変化しない物体である。
【0035】
以下、疑似検体の一例である、疑似のフィブリン42を含む検体38の作成方法について説明する。
【0036】
まず、血清に似せた色水が作成される。次に、その色水にフィブリノーゲンとトロンビンとが添加され、それらが型に入れられて、疑似のフィブリン42が作成される。その疑似のフィブリン42が型から剥され、任意の水溶液の中に入れられる。このようにして、疑似のフィブリン42を含む検体38、つまり疑似検体が作成される。このようにして作成された疑似のフィブリン42は、時間が経過しても形状や色等の状態が変化しない物体である。
【0037】
また、位置が調整された凝固体40又はフィブリン42を含む疑似検体が作成されてもよい。まず、ゲルによって、容器36内において血液又は色水が固化される。次に、疑似の凝固体40又は疑似のフィブリン42が、その固化された物体の上に載せられる。更に、その上から、ゲル又は血液が容器36内に入れられる。血液、色水又はゲルの量を調整することで、任意の位置に疑似の凝固体40又は疑似のフィブリン42が安定して存在する疑似検体が作成される。例えば、1-カラギーナンをゲルとして用いることで、実際の検体に似た疑似検体を作成することができる。
【0038】
以下、疑似検体を用いて、検体性状判別装置の動作を確認する動作確認方法について説明する。
【0039】
(実施例1)
以下、図4を参照して、実施例1に係る動作確認方法について説明する。図4は、実施例1に係る動作確認方法の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、ユーザが入力部20を用いて、動作チェックモードへの移行を指示すると、システム制御部28は、検体性状判別装置のモードを動作チェックモードに移行させる(S01)。
【0041】
次に、疑似の異物を含まない非疑似検体Nが検体性状判別装置に投入される(S02)。つまり、疑似の凝固体40や疑似のフィブリン42を含まない非疑似検体Nが検体性状判別装置に投入される。
【0042】
次に、撮像装置10は、非疑似検体Nを撮像することで、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像を生成する(S03)。具体的には、非疑似検体Nを収容する容器36が、バックライト32とカメラ34との間に配置され、バックライト32から非疑似検体Nに対して光が照射され、カメラ34によって非疑似検体Nが撮像される。これにより、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像が生成される。複数の非疑似検体Nが撮像されてもよいし、1つの非疑似検体Nのみが撮像されてもよい。非疑似検体画像は、動作確認部16に出力される。非疑似検体Nは、図2に示されている矢印Aが指し示すように、揺動され、その揺動中の非疑似検体Nが、撮像装置10によって撮像されてもよい。
【0043】
次に、疑似の異物を含む疑似検体Pが検体性状判別装置に投入される(S04)。疑似検体Pとして、疑似の凝固体40を含む検体38のみが用いられてもよいし、疑似のフィブリン42を含む検体38のみが用いられてもよいし、疑似の凝固体40を含む検体38と疑似のフィブリン42を含む検体38の両方が用いられてもよい。
【0044】
次に、撮像装置10は、疑似検体Pを撮像することで、疑似検体Pを表す疑似検体画像を生成する(S05)。具体的には、疑似検体Pを収容する容器36が、バックライト32とカメラ34との間に配置され、バックライト32から疑似検体Pに対して光が照射され、カメラ34によって疑似検体Pが撮像される。これにより、疑似検体Pを表す疑似検体画像が生成される。複数の疑似検体Pが撮像されてもよいし、1つの疑似検体Pのみが撮像されてもよい。疑似検体画像は、動作確認部16に出力される。疑似検体Pは、図2に示されている矢印Aが指し示すように、揺動され、その揺動中の疑似検体Pが、撮像装置10によって撮像されてもよい。
【0045】
動作確認部16は、非疑似検体画像と疑似検体画像とに基づいて、検体性状判別装置の動作を確認する。具体的には、動作確認部16は、非疑似検体画像と疑似検体画像に対して画像解析や人工知能を用いた判別処理を適用することで、非疑似検体画像と疑似検体画像から疑似の異物(例えば、疑似の凝固体40や疑似のフィブリン42)を検出する。その画像解析や判別処理として、公知の画像解析や判別処理が用いられてもよい。
【0046】
非疑似検体画像から疑似の異物(例えば疑似の凝固体40や疑似のフィブリン42)が検出されず、かつ、疑似検体画像から疑似の異物が検出された場合(S06,Yes)、動作確認部16は、検体性状判別装置の動作は正常であると判定する(S07)。動作確認部16は、判定結果をユーザに出力する(S08)。例えば、動作確認部16は、判定結果、非疑似検体画像及び疑似検体画像を表示部18に表示させる。この表示については、後で図5を参照して説明する。
【0047】
非疑似検体画像から疑似の異物が検出された場合、疑似検体画像から疑似の異物が検出されない場合、又は、それら両方が成立する場合(S06,No)、動作確認部16は、検体性状判別装置の動作は異常であると判定する(S09)。この場合、動作確認部16は、検体性状判別装置の保守サービスを担当する者等に、検体性状判別装置の動作が異常であることを連絡してもよい。また、動作確認部16は、判定結果をユーザに出力してもよい。例えば、動作確認部16は、判定結果、非疑似検体画像及び疑似検体画像を表示部18に表示させる。
【0048】
なお、複数の非疑似検体N及び複数の疑似検体Pが撮像され、複数の非疑似検体画像及び複数の疑似検体画像が生成されてもよい。この場合、予め定められた第1閾値以上の数の非疑似検体画像から疑似の異物が検出されず、かつ、予め定められた第2閾値以上の数の疑似検体画像から疑似の異物が検出された場合、動作確認部16は、検体性状判別装置の動作は正常であると判定してもよい。これ以外の場合、動作確認部16は、検体性状判別装置の動作は異常であると判定してもよい。
【0049】
図5を参照して、ステップS08やステップS09にてユーザに出力される判定結果について説明する。図5には、表示部18に表示される画面44の一例が示されている。動作確認部16は、画面44を表示部18に表示する。画面44は、画像表示領域46と、装置状態表示領域48と、確認結果表示領域50とを含む。
【0050】
画像表示領域46には、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像52と、疑似検体Pを表す疑似検体画像54とが表示される。装置状態表示領域48には、検体性状判別装置の状態が表示される。確認結果表示領域50には、検体性状判別装置の動作の確認の結果が表示される。動作が正常であると判定された場合、動作が正常であることを示す情報が、確認結果表示領域50に表示される。動作が異常であると判定された場合、動作が異常であることを示す情報が、確認結果表示領域50に表示される。
【0051】
図5に示す例では、疑似検体画像54に、疑似の異物56(例えば、疑似の凝固体又は疑似のフィブリン)が表されている。また、疑似の異物56を検出するための画像処理が適用された認識領域58が、疑似検体画像54上で指し示されている。
【0052】
実施例1に係る動作確認方法によれば、疑似の異物(例えば、疑似の凝固体40や疑似のフィブリン42)を含む疑似検体を用いて、検体性状判別装置が正常に動作しているか否かを確認することができる。疑似の異物は、実際の異物(例えば、患者から採取された検体に含まれる異物)と比べて、時間が経過しても安定であり、疑似の異物の形状や色等の状態は、時間が経過しても一定である。それ故、疑似の異物を含む疑似検体を用いることで、検体性状判別装置の動作を安定して確認することができる。
【0053】
実際の異常検体の種類は様々であり、また、実際の異常検体は不安定であるため、実際の異常検体を用いると、検体性状判別装置の動作を安定して確認することが困難である。また、検体性状判別装置の性能を定量的に評価することが困難である。これに対して、疑似の異物を含む疑似検体を用いることで、検体性状判別装置の動作を安定して確認し、その性能を定量的に評価することができる。
【0054】
また、図5に示すように判定結果を表示することで、判定結果(例えば、検体性状判別装置の動作の異常)をユーザに明示することができる。これにより、ユーザは、検体性状判別装置の動作の異常の有無を視覚的に確認することができる。
【0055】
(実施例2)
以下、図6を参照して、実施例2に係る動作確認方法について説明する。図6は、実施例2に係る動作確認方法の流れを示すフローチャートである。
【0056】
実施例2では、疑似の異物として、疑似のフィブリン42が用いられる。つまり、疑似検体として、疑似のフィブリン42を含む検体が用いられる。また、確認される検体性状判別装置の動作は、撮像装置10に含まれる光源及び撮像部の動作、具体的には、バックライト32及びカメラ34の動作である。
【0057】
まず、ユーザが入力部20を用いて、フィブリン検出の動作モードへの移行を指示すると、システム制御部28は、検体性状判別装置のモードをフィブリン検出の動作モードに移行させる(S11)。
【0058】
次に、システム制御部28は、フィブリンの検出条件の入力を受け付ける(S12)。検出条件は、検体の数やフィブリンの大きさ等である。例えば、システム制御部28は、フィブリンの検出条件を入力するための画面を表示部18に表示させる。ユーザは、その画面上で検出条件を入力する。システム制御部28は、その画面上で入力された検出条件を受け付ける。
【0059】
図7には、検出条件を入力するための画面60の一例が示されている。画面60は、表示部18に表示される。画面60は、検出条件が入力される入力欄62と、画像表示領域64と、装置状態表示領域66と、調整結果表示領域68とを含む。
【0060】
入力欄62には、ユーザによって、検体数やフィブリンの大きさ等についての検索条件が入力される。画像表示領域64には、非疑似検体画像や疑似検体画像等の画像が表示される。図5に示されている画面44と同様に、疑似の異物や、画像処理が適用された認識領域等が、表示されてもよい。装置状態表示領域66には、検体性状判別装置の状態が表示される。調整結果表示領域68には、検体性状判別装置の動作の確認の結果や、検体性状判別装置の調整の必要性の有無等が表示される。例えば、検体性状判別装置の調整が不要である場合、調整が不要であることを示す情報が、調整結果表示領域68に表示される。検体性状判別装置の調整が必要である場合、調整が必要であることを示す情報や、行うべき調整を示す情報等が、調整結果表示領域68に表示される。調整によっては解消し得ない重大エラーが検体性状判別装置に発生している場合、重大エラーを示す警告が、調整結果表示領域68に表示される。
【0061】
次に、疑似の異物を含まない非疑似検体Nと疑似のフィブリン42を含む疑似検体Pのそれぞれが、検体性状判別装置に投入される(S13)。ここでは、ステップS12にて入力された検体条件に従って、非疑似検体Nと疑似検体Pのそれぞれが、検体性状判別装置に投入される。例えば、検出条件として非疑似検体Nと疑似検体Pのそれぞれの数が指定された場合、その指定された数の非疑似検体Nと疑似検体Pが、検体性状判別装置に投入される。
【0062】
次に、撮像装置10は、非疑似検体Nを撮像することで、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像を生成し、疑似検体Pを撮像することで、疑似検体Pを表す疑似検体画像を生成する(S14)。図2に示すように、非疑似検体Nを収容した容器36が揺動させられ、撮像装置10は、揺動中の非疑似検体Nを撮像してもよい。同様に、疑似検体Pを収容した容器36が揺動させられ、撮像装置10は、揺動中の疑似検体Pを撮像してもよい。撮像装置10は、検出条件として指定された検体数分の非疑似検体Nと疑似検体Pを対象として撮像することで、その検体数分の非疑似検体画像と疑似検体画像を生成する。
【0063】
指定された検体数分の非疑似検体画像と疑似検体画像が生成されていない場合(S15,No)、ステップS13,S14の処理が繰り返される。
【0064】
指定された検体数分の非疑似検体画像と疑似検体画像が生成された場合(S15,Yes)、動作確認部16は、非疑似検体画像と疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、非疑似検体画像と疑似検体画像のそれぞれから疑似のフィブリン42を検出し、疑似のフィブリン42の有無についてスコアリングする(S16)。
【0065】
その画像解析として、例えば、人工知能等を用いた画像解析が用いられる。その画像解析として、公知の画像解析が用いられてもよい。例えば、画像解析の結果として、0~1の値が得られる。その値は、スコアリングによって得られた値である。値「0」は、疑似のフィブリン42が検出されないことを示しており、値「1」は、疑似のフィブリン42が検出されることを示している。0~1の間の値は、疑似のフィブリン42が存在する確率に対応する値である。値「0」に近い値が得られる画像は、疑似のフィブリン42が存在しない可能性の高い画像であり、値「1」に近い値が得られる画像は、疑似のフィブリン42が存在する可能性の高い画像である。
【0066】
つまり、動作確認部16は、非疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、非疑似検体N中の疑似のフィブリン42の有無をスコアリングによって評価し、疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、疑似検体P中の疑似のフィブリン42の有無をスコアリングによって評価する。動作確認部16は、非疑似検体画像についての評価(つまりスコアリングによって得られた値)と、疑似検体画像についての評価(つまりスコアリングによって得られた値)とに基づいて、検体性状判別装置の動作の異常の有無を判定する。具体的には、動作確認部16は、以下に説明するステップS17以降の処理によって、検体性状判別装置の動作の異常の有無を判定する。また、動作確認部16は、非疑似検体画像についての評価と疑似検体画像についての評価とに基づいて、検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを判定する。以下、ステップS17以降の処理について説明する。
【0067】
動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たすか否かを判定する(S17)。基準1は、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0~0.2の範囲内であり、かつ、疑似検体Pを表す疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0.8~1.0の範囲内である場合、検体性状判別装置の動作は正常であると判断する基準である。つまり、基準1は、非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0.2未満であり、かつ、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0.8以上である場合、検体性状判別装置の動作は正常であると判断する基準である。
【0068】
非疑似検体画像から得られた値と、疑似検体画像から得られた値が、それぞれ、基準1が示す範囲内に含まれる場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たすと判断する(S17,Yes)。この場合、動作確認部16は、検体性状判別装置の動作の調整を終了する(S18)。つまり、非疑似検体画像から得られた値が0.2未満であり、かつ、疑似検体画像から得られた値が0.8以上である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たすと判断し、検体性状判別装置の動作の調整を終了する。
【0069】
動作確認部16は、検体性状判別装置の動作の調整を終了することを示すメッセージや、その調整が不要であることを示すメッセージや、検体性状判別装置は正常に動作していることを示すメッセージ等を、表示部18に表示させてもよい。例えば、これらのメッセージが、図7に示されている画面60中の調整結果表示領域68に表示される。
【0070】
スコアリングによって得られた値が基準1を満たすということは、疑似のフィブリン42が検出されないはずの非疑似検体画像から疑似のフィブリン42が検出されず、疑似のフィブリン42が検出されるはずの疑似検体画像から疑似のフィブリン42が検出されることを意味する。このことは、検体性状判別装置が正常に動作していることを意味する。この場合、検体性状判別装置の動作を調整する必要がないため、その調整は終了する。
【0071】
非疑似検体画像から得らえた値、及び、疑似検体画像から得られた値の中の少なくとも一方の値が、基準1が示す範囲内に含まれない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たさないと判断する(S17,No)。この場合、処理はステップS19に移行する。つまり、非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0.2以上である場合、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0.8未満である場合、又は、それら両方が成立する場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たさないと判断する。
【0072】
スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないということは、疑似のフィブリン42が検出されないはずの非疑似検体画像から疑似のフィブリン42が検出される可能性がある、疑似のフィブリン42が検出されるはずの疑似検体画像から疑似のフィブリン42が検出されない可能性がある、又は、その両方の可能性がある、ということを意味する。このことは、検体性状判別装置の動作を調整する必要がある、又は、検体性状判別装置に重大エラーが発生している可能性がある、ということを意味する。したがって、検体性状判別装置の動作の調整を終了させずに、ステップS19以降の更なる判定処理が行われる。
【0073】
なお、複数の非疑似検体Nが撮像されて、複数の非疑似検体画像が生成された場合において、当該複数の非疑似検体画像の中の閾値以上の数の非疑似検体画像から得られた値が、基準1を満たさない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。つまり、基準1を満たさない値が得られる非疑似検体画像の数が閾値以上である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。
【0074】
同様に、複数の疑似検体Pが撮像されて、複数の疑似検体画像が生成された場合において、当該複数の疑似検体画像の中の閾値以上の数の疑似検体画像から得られた値が、基準1を満たさない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。つまり、基準1を満たさない値が得られる疑似検体画像の数が閾値以上である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。
【0075】
また、基準1と比較される値は、スコアリングによって得られた値の平均値であってもよい。例えば、動作確認部16は、複数の非疑似検体画像から得られた値の平均値(以下、「非疑似検体平均値」と称する)を算出し、複数の疑似検体画像から得られた値の平均値(以下、「疑似検体平均値」と称する)を算出する。非疑似検体平均値と疑似検体平均値がそれぞれ、基準1が示す範囲内に含まれる場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たすと判断する。非疑似検体平均値及び疑似検体平均値の中の少なくとも一方の値が、基準1が示す範囲内に含まれない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たさないと判断する。
【0076】
ステップS19では、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準2を満たすか否かを判定する。
【0077】
基準2は、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、疑似検体Pを表す疑似検体画像をスコアリングして得られた値よりも大きく、かつ、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0~0.5の範囲内である場合(つまり、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0.5未満である場合)、検体性状判別装置に重大エラーが発生していると判断する基準である。
【0078】
非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、疑似検体画像をスコアリングして得られた値よりも大きく、かつ、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0~0.5の範囲内である場合(つまり、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0.5未満である場合)、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準2を満たすと判断する(S19,Yes)。この場合、動作確認部16は、重大エラーの警告を発する(S20)。
【0079】
例えば、動作確認部16は、重大エラーの警告を示すメッセージを表示部18に表示させる。具体的には、当該メッセージは、図7に示されている画面60中の調整結果表示領域68に表示される。
【0080】
スコアリングによって得られた値が基準2を満たすということは、疑似のフィブリン42が検出されるはずのない非疑似検体画像から疑似のフィブリン42が検出され、疑似のフィブリン42が検出されるはずの疑似検体画像から疑似のフィブリン42が検出されていない可能性が高い、ということを意味する。このことは、バックライト32の明るさやカメラ34の設定の調整では解消し得ない重大エラーが、検体性状判別装置に発生している可能性がある、又は、疑似検体に不具合がある、ことを意味する。この場合、バックライト32の明るさやカメラ34の設定の調整ではエラーを解消することができないので、動作確認部16は、その調整をユーザに促さずに、重大エラーの警告を発する。例えば、動作確認部16は、バックライト32やカメラ34の交換をユーザに促すメッセージや、疑似検体の交換をユーザに促すメッセージを、重大エラーの警告を示すメッセージとして表示部18に表示させる。
【0081】
疑似検体画像から得られた値よりも大きい値が得られた非疑似検体画像が1つでも存在し、かつ、疑似検体画像から得られた値が0~0.5の範囲内である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準2を満たしていると判断してもよい。
【0082】
各値は、平均値であってもよい。つまり、動作確認部16は、複数の非疑似検体画像から得られた値の平均値(つまり非疑似検体平均値)を算出し、複数の疑似検体画像から得られた値の平均値(つまり疑似検体平均値)を算出する。非疑似検体平均値が疑似検体平均値よりも大きく、かつ、疑似検体平均値が0~0.5の範囲内である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準2を満たしていると判断してもよい。
【0083】
非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、疑似検体画像をスコアリングして得られた値よりも大きくない場合、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0~0.5の範囲内に含まれない場合(つまり、その値が0.5以上である場合)、又は、それら両方が成立する場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準2を満たさないと判断する(S19,No)。この場合、光源であるバックライト32及び撮像部であるカメラ34の少なくとも1つの調整が行われる(S21)。例えば、バックライト32の明るさが調整されたり、カメラ34の設定が調整されたりする。その調整は、ユーザによって行われてもよいし、撮像制御部22や光源制御部24によって自動的に行われてもよい。具体的には、疑似検体画像をスコアリングして得られる値が、「1」に近づき、非疑似検体画像をスコアリングして得られる値が、「0」に近づくように、バックライト32の明るさやカメラ34の設定が調整される。
【0084】
バックライト32の明るさやカメラ34の設定が調整されると、処理はステップS12に戻り、ステップS12以降の処理が実行される。
【0085】
動作確認部16は、バックライト32の明るさやカメラ34の設定の調整をユーザに促すメッセージを、表示部18に表示させてもよい。例えば、当該メッセージは、図7に示されている画面60中の調整結果表示領域68に表示される。
【0086】
スコアリングによって得られた値が基準2を満たさないということは、バックライト32の明るさやカメラ34の設定の調整では解消し得ない重大エラーが、検体性状判別装置に発生している可能性がない、又は、疑似検体に不具合が発生していない、ことを意味する。しかし、スコアリングによって得られた値が基準1を満たしていないため、このことは、少なくとも、検体性状判別装置の動作を調整する必要があることを意味する。例えば、このことは、バックライト32の明るさやカメラ34の設定を調整する必要があり、その調整によって、より良い条件下で撮像することができることを意味する。したがって、バックライト32の明るさやカメラ34の設定が調整される。
【0087】
実施例2に係る動作確認方法によれば、疑似のフィブリン42を含む疑似検体を用いて、検体性状判別装置が正常に動作するか否かを確認することができる。また、時間が経過しても安定で形状や色等の状態が一定である疑似のフィブリン42を含む疑似検体を用いることで、検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを、安定して判断することができる。
【0088】
(実施例3)
以下、図8を参照して、実施例3に係る動作確認方法について説明する。図8は、実施例3に係る動作確認方法の流れを示すフローチャートである。
【0089】
実施例3では、疑似の異物として、疑似の凝固体40が用いられる。つまり、疑似検体として、疑似の凝固体40を含む検体が用いられる。また、確認される検体性状判別装置の動作は、検体をカメラ34によって撮像するときに行われる検体の揺動である。具体的には、その揺動は、図2に示されている矢印Aが指し示す、検体を収容した容器36の揺動である。
【0090】
まず、ユーザが入力部20を用いて、凝固体検出の動作モードへの移行を指示すると、システム制御部28は、検体性状判別装置のモードを凝固体検出の動作モードに移行させる(S31)。
【0091】
次に、システム制御部28は、凝固体の検出条件の入力を受け付ける(S32)。検出条件は、検体の数や凝固体の大きさ等である。例えば、システム制御部28は、凝固体の検出条件を入力するための画面を表示部18に表示させる。ユーザは、その画面上で検出条件を入力する。システム制御部28は、その画面上で入力された検出条件を受け付ける。例えば、図7に示されている画面60と同様の画面が表示部18に表示され、ユーザは、その画面上で検索条件を入力する。
【0092】
次に、疑似の異物を含まない非疑似検体Nが、検体性状判別装置に投入される(S33)。ここでは、ステップS32にて入力された検出条件に従って、非疑似検体Nが検体性状判別装置に投入される。例えば、検出条件として非疑似検体Nの数が指定され、その指定された数の非疑似検体Nが、検体性状判別装置に投入される。
【0093】
次に、撮像装置10は、非疑似検体Nを撮像することで、非疑似検体Nを表す非疑似検体画像を生成する(S34)。例えば、図2に示すように、非疑似検体Nを収容した容器36が、軸Oを回転軸として、矢印Aが指し示すようにモータによって揺動させられる。撮像装置10は、揺動中の非疑似検体Nを撮像することで、非疑似検体画像を生成する。
【0094】
なお、検出条件として指定された検体数分の非疑似検体Nの撮像が完了するまで、非疑似検体Nの撮像が行われる。その指定された検体数分の非疑似検体Nの撮像が完了した場合、処理はステップ35に移行する。
【0095】
動作確認部16は、非疑似検体画像に対して画像解析を実行し、非疑似検体画像から得られる輝度値が、予め定められた基準範囲内か否かを確認する(S35)。複数の非疑似検体画像が生成された場合、動作確認部16は、当該複数の非疑似検体画像の輝度値の平均値を算出し、その平均値が、基準範囲内か否かを確認してもよい。
【0096】
輝度値が基準範囲内に含まれない場合(S35,No)、光源であるバックライト32の明るさや、撮像部であるカメラ34の設定が、調整され(S36)、処理は、ステップS33に戻る。その調整は、ユーザによって行われてもよいし、撮像制御部22と光源制御部24によって自動的に行われてもよい。輝度値が基準範囲内に含まれるまで、ステップS33~S36の処理が繰り返される。
【0097】
輝度値が基準範囲内に含まれる場合(S35,Yes)、疑似の凝固体40を含む疑似検体Pが、検体性状判別装置に投入される(S37)。ここでは、ステップS32にて入力された検出条件に従って、疑似検体Pが検体性状判別装置に投入される。例えば、検出条件として疑似検体Pの数が指定され、その指定された数の疑似検体Pが、検体性状判別装置に投入される。
【0098】
次に、撮像装置10は、疑似検体Pを撮像することで、疑似検体Pを表す疑似検体画像を生成する(S37)。例えば、図2に示すように、疑似検体Pを収容した容器36が、軸Oを回転軸として、矢印Aが指し示すようにモータによって揺動させられる。撮像装置10は、揺動中の疑似検体Pを撮像することで、疑似検体画像を生成する。
【0099】
検出条件として指定された検体数分の疑似検体Pの撮像が完了するまで、疑似検体Pの撮像が行われる。指定された検体数分の疑似検体Pの撮像が完了していない場合(S38,No)、ステップS37の処理が繰り返される。
【0100】
指定された検体数分の疑似検体Pの撮像が完了した場合(S38,Yes)、動作確認部16は、非疑似検体画像と疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、非疑似検体画像と疑似検体画像のそれぞれから疑似の凝固体40を検出し、疑似の凝固体40の有無についてスコアリングする(S39)。
【0101】
その画像解析として、例えば人工知能等を用いた画像解析が用いられる。その画像解析として、公知の画像解析が用いられてもよい。例えば、画像解析の結果として、0~1の値が得られる。その値が、スコアリングによって得られた値である。値「0」は、疑似の凝固体40が検出されないことを示しており、値「1」は、疑似の凝固体40が検出されることを示している。0~1の間の値は、疑似の凝固体40が存在する確率に対応する値である。値「0」に近い値が得られる画像は、疑似の凝固体40が存在しない可能性の高い画像であり、値「1」に近い値が得られる画像は、疑似の凝固体40が存在する可能性の高い画像である。
【0102】
つまり、動作確認部16は、非疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、非疑似検体N中の疑似の凝固体40の有無をスコアリングによって評価し、疑似検体画像に対して画像解析を行うことで、疑似検体P中の疑似の凝固体40の有無をスコアリングによって評価する。動作確認部16は、非疑似検体画像についての評価(つまりスコアリングによって得られた値)と、疑似検体画像についての評価(つまりスコアリングによって得られた値)とに基づいて、検体性状判別装置の動作の異常の有無を判定する。具体的には、動作確認部16は、以下に説明するステップS40以降の処理によって、検体性状判別装置の動作の異常の有無を判定する。また、動作確認部16は、非疑似検体画像についての評価と疑似検体画像についての評価とに基づいて、検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを判定する。以下、ステップS40以降の処理について説明する。
【0103】
動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たすか否かを判定する(S40)。実施例3で用いられる基準1は、実施例2にて説明した基準1と同じ基準である。つまり、実施例3で用いられる基準1は、非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0~0.2の範囲内であり、かつ、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が0.8~1.0の範囲内である場合、検体性状判別装置の動作は正常であると判断する基準である。
【0104】
非疑似検体画像から得られた値と、疑似検体画像から得られた値が、それぞれ、基準1が示す範囲内に含まれる場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たすと判断する(S40,Yes)。この場合、動作確認部16は、検体性状判別装置の動作の調整を終了する(S41)。つまり、非疑似検体画像から得られた値が0.2未満であり、かつ、疑似検体画像から得られた値が0.8以上である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たすと判断し、検体性状判別装置の動作の調整を終了する。
【0105】
動作確認部16は、検体性状判別装置の動作の調整を終了することを示すメッセージや、その調整が不要であることを示すメッセージや、検体性状判別装置は正常に動作していることを示すメッセージ等を、表示部18に表示させてもよい。
【0106】
スコアリングによって得られた値が基準1を満たすということは、疑似の凝固体40が検出されないはずの非疑似検体画像から疑似の凝固体40が検出されず、疑似の凝固体40が検出されるはずの疑似検体画像から疑似の凝固体40が検出されることを意味する。このことは、検体性状判別装置が正常に動作していることを意味する。この場合、検体性状判別装置の動作を調整する必要がないため、その調整は終了する。
【0107】
非疑似検体画像から得らえた値、及び、疑似検体画像から得られた値の中の少なくとも一方の値が、基準1が示す範囲内に含まれない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たさないと判断する(S40,No)。この場合、処理はステップS42に移行する。
【0108】
スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないということは、疑似の凝固体40が検出されないはずの非疑似検体画像から疑似の凝固体40が検出される可能性がある、疑似の凝固体40が検出されるはずの疑似検体画像から疑似の凝固体40が検出されない可能性がある、又は、その両方の可能性がある、ということを意味する。このことは、検体性状判別装置の動作を調整する必要がある、又は、検体性状判別装置に重大エラーが発生している可能性がある、ということを意味する。したがって、検体性状判別装置の動作の調整を終了させずに、ステップS42以降の更なる判定処理が行われる。
【0109】
なお、複数の非疑似検体Nが撮像されて、複数の非疑似検体画像が生成された場合において、当該複数の非疑似検体画像の中の閾値以上の数の非疑似検体画像から得られた値が、基準1を満たさない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。つまり、基準1を満たさない値が得られる非疑似検体画像の数が閾値以上である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。
【0110】
同様に、複数の疑似検体Pが撮像されて、複数の疑似検体画像が生成された場合において、当該複数の疑似検体画像の中の閾値以上の数の疑似検体画像から得られた値が、基準1を満たさない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。つまり、基準1を満たさない値が得られる疑似検体画像の数が閾値以上である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準1を満たさないと判断してもよい。
【0111】
また、基準1と比較される値は、スコアリングによって得られた値の平均値であってもよい。非疑似検体平均値と疑似検体平均値がそれぞれ、基準1が示す範囲内に含まれる場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たすと判断する。非疑似検体平均値及び疑似検体平均値の中の少なくとも一方の値が、基準1が示す範囲内に含まれない場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準1を満たさないと判断する。
【0112】
ステップS42では、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準2を満たすか否かを判定する。
【0113】
実施例3で用いられる基準2は、実施例2にて説明した基準2と同じ基準である。つまり、実施例3で用いられる基準2は、非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、疑似検体画像をスコアリングして得られた値よりも大きく、かつ、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0~0.5の範囲内である場合、検体性状判別装置に重大エラーが発生していると判断する基準である。
【0114】
非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、疑似検体画像をスコアリングして得られた値よりも大きく、かつ、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0~0.5の範囲内である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準2を満たすと判断する(S42,Yes)。この場合、動作確認部16は、重大エラーの警告を発する(S43)。例えば、動作確認部16は、重大エラーの警告を示すメッセージを表示部18に表示させる。
【0115】
スコアリングによって得られた値が基準2を満たすということは、疑似の凝固体40が検出されるはずのない非疑似検体画像から疑似の凝固体40が検出され、疑似の凝固体40が検出されるはずの疑似検体画像から疑似の凝固体40が検出されていない可能性が高い、ということを意味する。このことは、バックライト32の明るさやカメラ34の設定の調整では解消し得ない重大エラーが、検体性状判別装置に発生している可能性がある、又は、疑似検体に不具合がある、ことを意味する。この場合、バックライト32の明るさやカメラ34の設定の調整ではエラーを解消することができないので、動作確認部16は、その調整をユーザに促さずに、重大エラーの警告を発する。例えば、動作確認部16は、バックライト32やカメラ34の交換をユーザに促すメッセージや、疑似検体の交換をユーザに促すメッセージを、重大エラーの警告を示すメッセージとして表示部18に表示させる。
【0116】
疑似検体画像から得られた値よりも大きい値が得られた非疑似検体画像が1つでも存在し、かつ、疑似検体画像から得られた値が0~0.5の範囲内である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準2を満たしていると判断してもよい。
【0117】
各値は、平均値であってもよい。非疑似検体平均値が疑似検体平均値よりも大きく、かつ、疑似検体平均値が0~0.5の範囲内である場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が基準2を満たしていると判断してもよい。
【0118】
非疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、疑似検体画像をスコアリングして得られた値よりも大きくない場合、疑似検体画像をスコアリングして得られた値が、0~0.5の範囲内に含まれない場合、又は、それら両方が成立する場合、動作確認部16は、スコアリングによって得られた値が、基準2を満たさないと判断する(S42,No)。この場合、検体を揺動する条件(以下、「揺動条件」と称する)が調整される(S44)。例えば、揺動条件は、揺動の角度の範囲、揺動の速度、及び、揺動の回数等の条件を含む。その調整は、ユーザによって行われてもよいし、駆動制御部26によって自動的に行われてもよい。具体的には、疑似検体画像をスコアリングして得られる値が、「1」に近づき、非疑似検体画像をスコアリングして得られる値が、「0」に近づくように、揺動条件が調整される。
【0119】
揺動条件が調整されると、処理はステップS32に戻り、ステップS32以降の処理が実行される。
【0120】
動作確認部16は、揺動条件の調整をユーザに促すメッセージを、表示部18に表示させてもよい。
【0121】
スコアリングによって得られた値が基準2を満たさないということは、揺動条件の調整では解消し得ない重大エラーが、検体性状判別装置に発生している可能性がない、又は、疑似検体に不具合が発生していない、ことを意味する。しかし、スコアリングによって得られた値が基準1を満たしていないため、このことは、少なくとも、検体性状判別装置の動作を調整する必要があることを意味する。例えば、このことは、揺動条件を調整する必要があることを意味する。したがって、揺動条件が調整される。
【0122】
実施例3に係る動作確認方法によれば、疑似の凝固体40を含む疑似検体を用いて、検体性状判別装置が正常に動作するか否かを確認することができる。また、時間が経過しても安定で形状や色等の状態が一定である疑似の凝固体40を含む疑似検体を用いることで、検体性状判別装置の動作の調整が必要か否かを、安定して判断することができる。
【0123】
上記の各構成、機能、処理部及び処理手段の全部又は一部は、例えば、集積回路等のハードウェアによって実現されてもよい。CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することで、上記の各構成、機能、処理部及び処理手段の全部又は一部が実現されてもよい。上記の各構成、機能、処理部及び処理手段の全部又は一部を実現するプログラム、テーブル及びファイル等の情報は、例えば、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、ICカード、SDカード又はDVD等の記憶媒体に記憶される。
【符号の説明】
【0124】
10 撮像装置、16 動作確認部、18 表示部、22 撮像制御部、24 光源制御部、26 駆動制御部、36 容器、38 検体、40 疑似の凝固体、42 疑似のフィブリン。
図1
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図8