IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

特許7586798カメラおよびテレビジョンカメラシステム
<>
  • 特許-カメラおよびテレビジョンカメラシステム 図1
  • 特許-カメラおよびテレビジョンカメラシステム 図2
  • 特許-カメラおよびテレビジョンカメラシステム 図3
  • 特許-カメラおよびテレビジョンカメラシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】カメラおよびテレビジョンカメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241112BHJP
   H04N 23/667 20230101ALI20241112BHJP
【FI】
H04N23/60 300
H04N23/667
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021155564
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046779
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昭宏
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-083017(JP,A)
【文献】特開2003-309810(JP,A)
【文献】特開2014-050079(JP,A)
【文献】特開2000-092352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4K撮影モードとHD撮影モードとを備えるカメラであって、
HD撮影モード時に、前記カメラに入力されるサブカメラの映像信号を合わせて1本のケーブルでカメラ制御装置へ伝送が可能なカメラであり、前記サブカメラからの1080pフォーマットと1080iフォーマットとをクロック周波数で判別して、1080pフォーマットの場合は、そのまま多重し、1080iフォーマットの場合は、ダミー映像と多重して伝送る、
カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラであって、
前記カメラに入力される前記サブカメラの映像信号の1080pフォーマットと1080iフォーマットとに基づいてTRSの第4ワードの値を変える、
カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラであって、
前記TRSの第4ワードの値はFビットの値である、
カメラ。
【請求項4】
4K撮影モードとHD撮影モードとを備えるカメラとカメラ制御装置とからなるテレビジョンカメラシステムであって、
HD撮影モード時に、前記カメラに入力されるサブカメラの映像信号を合わせて1本のケーブルで前記カメラ制御装置へ伝送が可能なカメラであり、前記サブカメラからの1080pフォーマットと1080iフォーマットとをクロック周波数で判別して、1080pフォーマットの場合は、そのまま多重し、1080iフォーマットの場合は、ダミー映像と多重して伝送する、
テレビジョンカメラシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のテレビジョンカメラシステムであって、
前記カメラに入力される前記サブカメラの映像信号の1080pフォーマットと1080iフォーマットとに基づいてTRSの第4ワードの値を変える、
テレビジョンカメラシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のテレビジョンカメラシステムであって、
前記TRSの第4ワードの値はFビットの値である、
テレビジョンカメラシステム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラおよびテレビジョンカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビジョンカメラシステムにおいて、カメラ(以下、「カメラヘッド」という場合もある)の映像信号と同時にサブカメラの映像信号を合わせて1本のケーブルでカメラ制御装置へ伝送するトランク映像伝送という技術がある。従来は3Gbpsのケーブル伝送帯域に対して、1.5Gbpsのカメラ映像信号と1.5Gbpsのトランク映像信号が一般的に用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-50079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カメラ映像の高精細化により、従来のHD映像(1920×1080画素)の画素数が4倍の4K映像(3840×2160画素)をカメラヘッドからカメラ制御装置へ伝送するために、ケーブル伝送帯域も3Gbpsから12Gbps以上に増加している。それに伴い、トランク映像信号も、従来の1.5Gbpsの1080i(1920×1080画素のインターレース走査)映像だけでなく3Gbpsの1080p(1920×1080画素のプログレッシブ走査)映像を伝送することも可能になった。
【0005】
そこで、本発明では、4K撮影モード、HD撮影モード、HD撮影モードでトランク映像が1080p、HD撮影モードでトランク映像が1080iの、4通りの伝送モードを持ち、トランク映像の1080pと1080iを自動判別して伝送モードを切り替えてカメラ制御装置から出力する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明のカメラの一つは、4K撮影モードとHD撮影モードとを備えるカメラであって、HD撮影モード時に、カメラに入力される外部映像信号の1080pフォーマットと1080iフォーマットとを自動判別してカメラからカメラ制御装置への信号伝送フォーマットを切り替えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、4K撮影モード、HD撮影モード、HD撮影モードでトランク映像が1080p、HD撮影モードでトランク映像が1080iの、4通りの伝送モードを持ち、トランク映像の1080pと1080iを自動判別して伝送モードを切り替えてカメラ制御装置から出力することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例のテレビジョンカメラシステムのブロック図を示す。
図2】1080iと1080pの信号フォーマットを示した図である。
図3】トランク映像が1080iの時の多重フォーマットを示した図である。
図4】トランク映像が1080pの時のフォーマットを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0011】
図1を用いて、本実施例のテレビジョンカメラシステムについて説明する。図1に本実施例のテレビジョンカメラシステムのブロック図を示す。被写体からの光は、カメラヘッド内の光学ブロック1で赤(R)・緑(G)・青(B)に分光されて各色の撮像素子2a~2cでデジタル電気信号に変換されて映像信号となる。映像信号は、デジタル信号処理回路3に入力される。デジタル信号処理回路3では色補正、階調補正、輪郭補正等の各種映像信号処理が行われてもよい。本実施例では4K撮影モードとHD撮影モードの2つのモードを持ち、HD撮影モード時にトランク映像伝送に対応する。
【0012】
デジタル信号処理回路3の後、4K撮影モード時は、4K映像は、水平2画素垂直2画素を4分割し、映像信号セレクタ10a~10dに4分割映像として入力される。HD撮影モード時は、ダウンコンバータ回路4で4K映像からHD映像に画素数変換が行われ、映像信号セレクタ10a、10c、10dに入力される。この時、セレクタ10c、10dには、ダウンコンバータ回路4のHD映像の代わりに、ダミー(黒)映像が入力されてもよい。
【0013】
一方、サブカメラ(図示せず)から出力されたトランク映像はTRUNK IN端子からカメラヘッドに入力される。トランク映像は、シリアル-パラレル変換回路5にてパラレル映像信号に変換され、FIFOメモリ7に送られる。FIFOメモリ7では、トランク映像から再生されるクロックで1ライン毎に映像信号の書き込みを行い、カメラヘッド内部のクロック、すなわちシステムクロックで1ライン毎に読み出す。これにより、クロックおよび水平位相の同期化を行う。
【0014】
ここで、FIFOメモリ7として2ライン分のメモリ領域を確保している理由を説明する。トランク映像のクロックとシステムクロックが互いに非同期の場合、メモリの書き込みアドレスと読み出しアドレスの位相関係が時間の経過と共にずれていき、ついにはアドレスの追い抜きが発生する。このときモニタ画面上では不特定の場所で1ライン増えたり、1ライン減ったりする現象が見えてしまうが、2ライン分のメモリ領域があれば、アドレスの追い抜きの発生場所を垂直ブランキング期間に隠すことができる。そのため、見た目の映像に影響を与えずに済む。
【0015】
フォーマット検出部6では、トランク映像の信号フォーマットをパラレルクロック周波数で判別する。クロック周波数が74MHzの時は1080i、148MHzの時は1080pと、信号フォーマットを判別する。
【0016】
次に、図2を用いて、1080iと1080pの信号フォーマットについて説明する。1080iの信号フォーマットの1フィールド分は、1080pの信号フォーマットの1フレーム分と同じ時間を要するが、簡単のため、同じ図面に表している。輝度チャンネルと色差チャンネルの各々に、水平映像期間と水平ブランキング期間との境界に4ワードからなるTRS(タイミング・リファレンス・シグナル)が挿入されている。最初の3ワードは固定値で3FFh、000h、000h(hは16進数を示す、1ワード10ビット)である。残りの1ワードは挿入位置により変化し、Hビット、VビットおよびFビットの組合せで8通りのパターンがある。各ビットは、水平映像期間の始まり(H=0)、水平映像期間の終わり(H=1)、垂直映像期間(V=0)、垂直ブランキング期間(V=1)、第1フィールド(F=0)、および第2フィールド(F=1)を示している。
【0017】
次に、図3を用いて、トランク映像が1080iの時の多重フォーマットについて説明する。上からカメラ映像の1080pパラレル信号、ダミー映像の1080iパラレル信号、トランク映像の1080iパラレル信号、1080pパラレル信号、XYZ中のFビットの状態となる。
【0018】
トランク映像の信号フォーマットが1080iの時は、信号多重回路8にてダミー映像と多重して1080p信号を生成する。ダミー映像の1080iパラレル信号とトランク映像の1080iパラレル信号は1ライン毎に1080pパラレル信号にマッピングされる。1~1125の番号は走査線ライン番号を示す。
【0019】
ここで、SMPTE425M-Aで規定される1080p信号は本来、走査線1125本のプログレッシブ走査信号を伝送するためのフォーマットである。よって、1080iのインターレース走査信号のように第1/第2フィールドを識別するFビットは不要であり、通常はF=0の固定値である。
【0020】
しかしながら本発明では、1080p信号フォーマットを垂直位相の異なる2本の1080iを伝送するために用いる。そのために、本来使用していないFビットを、輝度チャンネルのFビットについてはカメラヘッドの1080pパラレル信号に同期したダミー映像のフィールド識別情報をマッピングし、色差チャンネルのFビットについてはトランク映像の1080iパラレル信号のフィールド識別情報をマッピングする。これにより、垂直位相の異なる2本の1080i信号を、1本の1080p信号に多重して伝送することができる。
【0021】
次に、図4を用いて、トランク映像が1080pの時のフォーマットについて説明する。上からカメラ映像の1080pパラレル信号、トランク映像の1080pパラレル信号、XYZ中のFビットの状態となる。
【0022】
色差チャンネルのFビットにトランク映像の1080pパラレル信号の垂直位相情報をマッピングし、輝度チャンネルのFビットについては0固定にする。
【0023】
次に、トランク映像信号の1080iまたは1080p信号は、セレクタ9で選択された後、セレクタ10bに入力される。次に、セレクタ10a~10dにより、4分割された4Kカメラ映像(4K撮影モード)、または画素数変換されたHDカメラ映像とトランク映像(HD撮影モード)の切替が行われる。信号多重回路11にて4本の3Gbpsの信号を1本の12Gbpsの信号に多重する。その後、パラレル信号は、パラレル-シリアル変換回路12にてシリアル信号に変換される。電気信号は、電気-光変換器13で光信号に変換され、カメラ制御装置へ伝送される。
【0024】
カメラ制御装置ではまず、光信号が光-電気変換器15にて12Gbps信号に戻される。その後、シリアル信号は、シリアル-パラレル変換回路16にて4本の3Gbpsパラレル信号に変換され、遅延吸収メモリ17に送られる。遅延吸収メモリ17は、光ファイバーケーブルの長さによって異なる伝送遅延時間が一律になるように動作する。
【0025】
フォーマット検出部18では、4本の3Gbpsパラレル信号のうち、2本目(セレクタ10bの出力に相当)のFビットの情報を見て、輝度チャンネルと色差チャンネルの両方のFビットが0固定の時は4K撮影モード、輝度チャンネルのみ0固定の時はHD撮影モードでトランク映像が1080pフォーマット、輝度チャンネルと色差チャンネルの両方のFビットが毎フィールド変化している時はHD撮影モードでトランク映像が1080iフォーマットと各々自動判別する。
【0026】
信号分離回路19では、カメラHD映像とトランク映像に分離する。トランク映像はフレームシンクロナイザ20に入力される。色差チャンネルのFビットを元にトランク映像の垂直位相を検出し、ライン1からライン1125まで所定のアドレスにフレームメモリ21に書き込む。フレームメモリの読出しはカメラHD映像の垂直位相に同期したタイミングでライン1からライン1125まで順番に読み出す。フレームメモリから読み出されたトランク映像はパラレル-シリアル変換回路24を経て、カメラ制御装置から出力される。
【0027】
そして、カメラ映像はセレクタ22にて、フォーマット検出結果に基づき4K映像とHD映像の切替を行う。カメラ映像は、パラレル-シリアル変換回路23を経て、カメラ制御装置から出力される。
【0028】
なお、TRUNK IN端子を2つか3つ備え、トランク映像を10c、10dにも入力することも可能である。
【0029】
また、トランク映像の信号フォーマットが1080iの時は、信号多重回路8にてダミー映像に代えて同じ1080i信号と多重して1080p信号を生成してもよい。
【0030】
また、XYZ中のFビットの状態の輝度チャンネルと色差チャンネルの役割を入れ替えてもよい。すなわち、トランク映像の1080iパラレル信号を伝送する場合、色差チャンネルのFビットについてはカメラヘッドの1080pパラレル信号に同期したダミー映像のフィールド識別情報をマッピングし、輝度チャンネルのFビットについてはトランク映像の1080iパラレル信号のフィールド識別情報をマッピングしてもよい。また、トランク映像の1080pパラレル信号を伝送する場合、輝度チャンネルのFビットにトランク映像の1080pパラレル信号の垂直位相情報をマッピングし、色差チャンネルのFビットについては0固定にしてもよい。
【0031】
また、TRSの第4ワード(XYZ)はHVF、リザーブ2ビット、チェック5ビットの10ビットからなるが、このうち、リザーブビットを利用して、トランク映像の1080iパラレル信号を伝送する場合と、トランク映像の1080pパラレル信号を伝送する場合とを区別してもよい。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1:光学ブロック、2a~2c:撮像素子、3:デジタル信号処理回路、4:ダウンコンバータ回路、5:シリアル-パラレル変換回路、6:フォーマット検出部、7:FIFOメモリ、8:信号多重回路、9:セレクタ、10a~10d:セレクタ、11:信号多重回路、12:パラレル-シリアル変換回路、13:電気-光変換器、14:光ファイバーケーブル、15:光-電気変換器、16:シリアル-パラレル変換回路、17:遅延吸収メモリ、18:フォーマット検出部、19:信号分離回路、20:フレームシンクロナイザ、 21:フレームメモリ、22:セレクタ、23:パラレル-シリアル変換回路、24:パラレル-シリアル変換回路。
図1
図2
図3
図4