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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】位置検出センサ及び入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241112BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/041 470
G06F3/046
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021548476
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036606
(87)【国際公開番号】W WO2021060556
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2019176314
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】立野 孝治
(72)【発明者】
【氏名】小堀 武
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067279(JP,A)
【文献】特開2012-014461(JP,A)
【文献】特表2017-510065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0021762(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135837(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置指示器と電磁誘導結合する電極を有するデジタイザと、
前記デジタイザの前記位置指示器による指示入力を受ける入力面側とは反対側の面を覆うように設けられ、前記デジタイザの折り曲げ位置において互いに分離されている複数の電磁シートであり、前記デジタイザが開かれている状態では、前記折り曲げ位置にて、前記デジタイザの前記入力面に直交する方向において、互いに重なりあうように構成されている電磁シートと、
を有することを特徴とする位置検出センサ。
【請求項2】
前記電磁シートは、
前記デジタイザの折り曲げ位置で所定の間隔を隔てて設けられている第1の電磁シート及び第2の電磁シートと、
前記デジタイザが開かれている状態で、前記第1の電磁シートと前記第2の電磁シートとの間の前記所定の間隔を覆うと共に、前記第1の電磁シート及び前記第2の電磁シートと重なる第3の電磁シートと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項3】
前記第3の電磁シートは、前記デジタイザが開かれている状態で、前記デジタイザの前記入力面とは反対側の面及び前記第1の電磁シート及び第2の電磁シートとは、前記デジタイザの前記入力面に直交する方向に離間されている
ことを特徴とする請求項2に記載の位置検出センサ。
【請求項4】
前記第1の電磁シートと前記第2の電磁シートとの間の前記所定の間隔の位置に設けられる弾性変形が可能な部材をさらに有し、
前記第3の電磁シートは、前記弾性変形が可能な部材に固着されている
ことを特徴とする請求項2に記載の位置検出センサ。
【請求項5】
前記第3の電磁シートは、前記デジタイザが折り曲げられたときにも折り曲げられない
ことを特徴とする請求項2に記載の位置検出センサ。
【請求項6】
前記電磁シートは、前記デジタイザの折り曲げ位置で分離されている第1の電磁シート及び第2の電磁シートを備え、
前記第1の電磁シート及び前記第2の電磁シートの一方の電磁シートは、前記デジタイザが開かれている状態で、前記折り曲げ部分を跨いで他方の電磁シートの上に、非接触の状態で重なる
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項7】
前記電磁シートは、電磁シールド層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項8】
前記電磁シートは、電磁シールド層と、前記電磁シールドの前記デジタイザ側の対向面側に設けられる磁路材層とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項9】
前記デジタイザは、前記入力面側に折り曲げられる
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項10】
前記デジタイザは、前記入力面側とは反対側の面側に折り曲げられる
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項11】
前記デジタイザは、複数回、折り曲げられるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出センサ。
【請求項12】
電磁誘導結合方式の位置検出センサと、
前記位置検出センサを、折り曲げた状態と、前記折り曲げた状態から開いた状態とを変容可能にするためのヒンジ部を備える外筐部材と、
を備える入力装置であって、
前記位置検出センサは、
位置指示器と電磁誘導結合する電極を有するデジタイザと、
前記デジタイザの前記位置指示器による指示入力を受ける入力面側とは反対側の面を覆うように設けられ、前記デジタイザの折り曲げ位置において互いに分離されている複数の電磁シートであり、前記デジタイザが開かれている状態では、前記折り曲げ位置にて、前記デジタイザの前記入力面に直交する方向において、互いに重なりあうように構成されている電磁シートと、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項13】
折り曲げ可能なシート状の表示素子を備え、
前記位置検出センサは、前記表示素子の表示画面側とは反対側の面側に前記表示画面に重畳して設けられ、
前記外筐部材のヒンジ部は、前記表示素子と前記位置検出センサとを、折り曲げた状態と、前記折り曲げた状態から開いた状態とを変容可能にする
ことを特徴とする請求項12に記載の入力装置。
【請求項14】
前記位置検出センサの前記電磁シートは、
前記デジタイザの折り曲げ位置で所定の間隔を隔てて設けられている第1の電磁シート及び第2の電磁シートと、
前記デジタイザが開かれている状態で、前記第1の電磁シートと前記第2の電磁シートとの間の前記所定の間隔を覆うと共に、前記第1の電磁シート及び前記第2の電磁シートと重なる第3の電磁シートと、
を備える
ことを特徴とする請求項12に記載の入力装置。
【請求項15】
前記第3の電磁シートは、前記デジタイザが開かれている状態で、前記デジタイザの前記入力面とは反対側の面及び前記第1の電磁シート及び第2の電磁シートとは、前記デジタイザの前記入力面に直交する方向に離間されている
ことを特徴とする請求項14に記載の入力装置。
【請求項16】
前記第3の電磁シートは、前記デジタイザが折り曲げられたときにも折り曲げられない
ことを特徴とする請求項14に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り曲げ可能な電磁誘導結合方式の位置検出センサ及び入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯型電話端末や携帯型コンピュータなどの携帯機器は、文字や画像を表示する表示画面を備える表示素子(ディスプレイ素子)を備えるが、最近は、表示画面の大型化が進んでいる。しかし、表示画面の大型化は、携帯機器の大型化を招き、携帯性が損なわれる恐れがある。
【0003】
そこで、折り曲げ可能なフレキシブルディスプレイ素子を用いることで、筐体を折り畳み可能な携帯機器が提案され、携帯機器の小型化を維持しながら、大きな表示画面を確保することができるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1(特表2017-510065号公報)参照)。
【0004】
ところで、最近の携帯機器においては、使用者による入力操作を受け付ける入力装置として、表示画面に重畳して位置検出センサを配設し、使用者が把持する電子ペンによる指示位置を位置検出センサで検出することで、表示画面を通じた種々の操作入力を受け付けることができるように構成されるものが賞用されるようになっている。この場合に、位置検出センサとしては、静電結合方式の位置検出センサのほか、電磁誘導結合方式の位置検出センサのいずれも可能であり、より精細な位置指示を可能とする場合には、電磁誘導結合方式の位置検出センサ(例えば特許文献2(特開2015-26235号公報)参照)が用いられる。
【0005】
図11は、表示素子に重畳して電磁誘導結合方式の位置検出センサが設けられた携帯機器の一部断面図を示すものである。
【0006】
図11に示すように、この例においては、携帯機器の筐体101の上面側に、表示素子102が配設されると共に、この表示素子102に重畳して、その表示画面102Dとは反対側(表示素子102の裏面側)に位置検出センサ103が配設される。位置検出センサ103は、図11に示すように、デジタイザ部104と、電磁シート部105とからなる。
【0007】
デジタイザ部104は、図示は省略するが、基板に、表示画面102Dの横方向(X方向)と縦方向(Y方向)とに、それぞれ複数個のループコイルが配設されたものである。
【0008】
電磁シート部105は、デジタイザ部104の表示素子102との対向側とは反対側の面側の全体を覆うように配設されている。この電磁シート部105は、磁路板と呼ばれるもので、磁路材を構成する第1の層1051と、電磁シールドを行うための第2の層1052とからなる。
【0009】
磁路材を構成する第1の層(磁路材層)1051は、電磁誘導結合方式の電子ペンとの間で送受される電磁波に関し、デジタイザ部104のループコイルによって生成される交番磁界に対する磁路を形成することで、発生した磁束の発散を防止し、これにより電磁誘導結合方式の位置検出センサ103としての、電子ペンに対する検出感度を向上させる。また、電磁シールドを行うための第2の層(電磁シールド層)1052は、電磁誘導結合方式の位置検出センサ103の下側(表示画面102D側とは反対側)の外部に交番磁界が放射されるのを防止する機能を果たすと共に、下側の外部からの電磁波が、電子ペンとの間で送受される電磁波に対してノイズとして混入しないようにするためのものである。
【0010】
第1の層1051としては、高透磁率を有する磁性材料が用いられ、また、第2の層1052は、非磁性体であると共に、高い導電性を備えている金属材料、例えば、アルミニウムなどで構成されている金属シートで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特表2017-510065号公報
【文献】特開2015-26235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した電磁誘導結合方式の位置検出センサ103は、デジタイザ部104の基板としてフレキシブル基板を用いることで、折り曲げ可能とすることができる。そこで、特許文献1に開示されているようなフレキシブルディスプレイ素子と折り曲げ可能な位置検出センサとを組み合わせることで、電子ペンによる位置指示を受け付けることが可能な入力装置を備える携帯機器として、折り畳み式の構成とすることが考えられる。
【0013】
そのような入力装置を備える携帯機器においては、折り畳み状態から全開状態にしたときの筐体の一面側の全体がフレキシブルディスプレイ素子の表示画面とすることができ、折り畳み状態の2倍のサイズの表示画面を形成することができると共に、その表示画面と同じ領域を検出領域として電子ペンによる位置指示を検出することができる。
【0014】
しかしながら、上述のように携帯機器を折り畳み可能な構成にした場合には、次のような問題が生じる恐れがあることが判明した。
【0015】
すなわち、上述のような携帯機器においては、折り畳み状態と開いた状態とを頻繁に繰り返される。このため、位置検出センサ103においては、図12に示すように、当該折り畳みの繰り返しによる折れ曲がり部分103aに劣化が生じることが判明した。特に、電磁シート部105の第2の層1052の金属シート部分の劣化が大きくなることが判明した。
【0016】
そして、位置検出センサ103と電子ペンとの間における電磁結合エネルギのレベルが、当該劣化を生じる折れ曲がり部分103aにおいて局所的に変化してしまうという問題が生じることが判明した。
【0017】
図13は、位置検出センサ103のX方向の複数のループコイルと電子ペンとの電磁結合レベルを示す特性図である。この図13に示すように、位置検出センサ103に図12に示すような折れ曲がり部分における劣化が生じないときには、X方向の複数のループコイルと電子ペンとの電磁結合レベルは、一点鎖線の特性曲線108aに示すように、ほぼ均一のレベルを呈する。
【0018】
これに対して、位置検出センサ103に、図12に示すような折れ曲がり部分103aにおける劣化が生じたときには、実線の特性曲線108bに示すように、位置検出センサ103の折れ曲がり部分103aの領域のX方向のループコイルと電子ペンとの電磁結合レベルが、他の位置のX方向のループコイルに比して、局所的に変化してしまうことが判明した。
【0019】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置検出センサ及び入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、
位置指示器と電磁誘導結合する電極を有するデジタイザと、
前記デジタイザの前記位置指示器による指示入力を受ける入力面側とは反対側の面を覆うように設けられ、前記デジタイザの折り曲げ位置において互いに分離されている複数の電磁シートであり、前記デジタイザが開かれている状態では、前記折り曲げ位置にて、前記デジタイザの前記入力面に直交する方向において、互いに重なりあうように構成されている電磁シートと、
を有することを特徴とする位置検出センサを提供する。
【0021】
また、
電磁誘導結合方式の位置検出センサと、
前記位置検出センサを、折り曲げた状態と、前記折り曲げた状態から開いた状態とを変容可能にするためのヒンジ部を備える外筐部材と、
を備える入力装置であって、
前記位置検出センサは、
前記デジタイザの前記位置指示器による指示入力を受ける入力面側とは反対側の面を覆うように設けられ、前記デジタイザの折り曲げ位置において互いに分離されている複数の電磁シートであり、前記デジタイザが開かれている状態では、前記折り曲げ位置にて、前記デジタイザの前記入力面に直交する方向において、互いに重なりあうように構成されている電磁シートと、
を備えることを特徴とする入力装置を提供する。
【0022】
上述の構成の位置検出センサ及び当該位置検出センサを備える入力装置においては、電磁シートは、折り畳みの際の折れ曲がり部分で分離されている複数の電磁シートに分割されているので、折れ曲がり部分における折り畳みによる曲げ応力が小さくなり、折り畳みの繰り返しによる劣化が軽減される。
【0023】
そして、電磁シートは、複数の電磁シートに分割されていても、位置検出センサが使用状態とされる開かれた状態においては、折り曲げ位置においては、電磁シート同士で重なりを生じるように構成されているために、電磁シートの分離部分における電磁シールドも確保され、電子ペンとの電磁結合強度が局所的に変化してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明による入力装置の実施形態を備える携帯機器の構成例の概要を説明するための図である。
図2】この発明による入力装置の実施形態の構成例を説明するための分解構成図である。
図3】この発明による入力装置の実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による入力装置の実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
図5】この発明による位置検出センサの他の実施形態を説明するための図である。
図6】この発明による位置検出センサの他の実施形態を説明するための図である。
図7】この発明による入力装置の実施形態を備える携帯機器の他の例を説明するための図である。
図8図7の例の携帯機器の要部の構成例を説明するための図である。
図9】この発明による位置検出センサの他の実施形態を説明するための図である。
図10図9の例の携帯機器の要部の構成例を説明するための図である。
図11】従来の位置検出センサの構成例を説明するための図である。
図12】この発明の課題を説明するために用いる図である。
図13】この発明の課題を説明するために用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明による位置検出センサの実施形態を、当該位置検出センサの実施形態を用いた入力装置の実施形態と共に、図を参照しながら説明する。以下の説明は、入力装置の実施形態の機能が、フレキシブルディスプレイ素子を用いて折り畳み式の構成とされた携帯機器に搭載されたた場合の例である。
【0026】
図1は、この発明による入力装置の実施形態の機能を備える携帯機器の構成の概要を説明するための図である。この例の携帯機器1は、フレキシブルディスプレイ素子を備えると共に、折り畳み可能な電磁誘導結合方式の位置検出センサを用いた入力装置の機能を備えるものである。なお、この図1の例の携帯機器1も、フレキシブルディスプレイ素子の表示画面側に折り畳むこと(谷折り)が可能とされている。
【0027】
図1(A)は、この例の携帯機器1を全開にした状態を、また、図1(B)は折り畳んだ状態を、それぞれ示している。そして、図1(C)は、この例の携帯機器1を折り畳み可能な構成とするためのヒンジ構造の例を示している。この例の携帯機器1では、図1(A)に示すように開いた状態では、フレキシブルディスプレイ素子3の表示画面3Pが露呈される。この表示画面3P上において、電磁誘導結合方式の電子ペン10による指示位置がなされると、その下部(裏側)に設けられる電磁誘導結合方式の位置検出センサ4により、当該電子ペン10による指示位置が検出される。
【0028】
そして、この実施形態では、表示画面3Pの表示領域と位置検出センサ4の位置検出領域とはほぼ同一とされ、表示画面3Pが、電子ペン10による位置指示のための入力面とされ、その全域における電子ペン10の指示位置が位置検出センサ4で検出される。
【0029】
この例の携帯機器1の外筐(筐体)2は、第1のフレーム部材21と、第2のフレーム部材22とが、ヒンジ部23,24において、折り畳み可能に連結された構造を有している。
【0030】
第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22とは、図1に示すように、フレキシブルディスプレイ素子3、位置検出センサ4及びそれらと接続される電子回路部(図示せず)が収納される扁平凹部を形成するように、底部21a,22aの周囲に壁部21b,22bが形成されている。ただし、第1のフレーム部材21及び第2のフレーム部材22の底部21a及び22aの、ヒンジ部23,24側で対向する辺には、壁部21bは形成されない。
【0031】
このため、そのままでは、図1(B)の折り畳み状態においては、当該ヒンジ部23とヒンジ部24との間の部分が開口となってしまい、塵埃の混入の恐れが生じてしまうので、この実施形態では、当該ヒンジ部23とヒンジ部24との間の部分に保護板25(図1(C)参照が配設される。
【0032】
そして、第1のフレーム部材21及び第2のフレーム部材22の底部21a及び22aの、ヒンジ部23,24側で対向する辺には、保護板25を、第1のフレーム部材21及び第2のフレーム部材22が折り畳みの際に回動可能となる状態で結合保持する結合保持部(図1では図示を省略、後述の図3及び図4参照)が設けられている。
【0033】
この例の携帯機器1のヒンジ部23,24では、第1のフレーム部材21及び第2のフレーム部材22は、それぞれ別の回転軸位置で回動することが可能な2軸ヒンジの構造とされている。ヒンジ部23とヒンジ部24とは同様の構成を備えるので、ここでは、ヒンジ部23の構造のみを説明して、ヒンジ部24についての説明は省略する。
【0034】
すなわち、第1のフレーム部材21の壁部21bのヒンジ部23における端部には、図1(C)に示すように、回動支軸を嵌合させるための貫通孔21cが形成されている。また、同様に、第2のフレーム部材22の壁部22bのヒンジ部23における端部には、図1(C)に示すように、回動支軸を嵌合させるための貫通孔22cが形成されている。
【0035】
そして、貫通孔21c及び貫通孔22cに挿通されるピン231a及びピン231bが形成されているヒンジ構成板231が用意される。この場合に、ピン231a及びピン231bの径は、貫通孔21c及び貫通孔22cの径よりも小さくされている。そして、ヒンジ構成板231のピン231a及びピン231bが、第1のフレーム部材21の壁部21bの貫通孔21c及び第2のフレーム部材22の壁部22bの貫通孔22cにそれぞれ挿通されることで、ヒンジ構成板231により、第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22とが、ヒンジ部23において回動可能に連結される。この場合に、図示は省略するが、貫通孔21c及び貫通孔22cに挿通されたピン231a及びピン231bの先端側には、抜け防止部材が嵌合されて、ヒンジ構成板231が離脱しないように構成される。
【0036】
ヒンジ部24側においても同様に構成され、ヒンジ構成板241が取り付けられて、第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22とが、ヒンジ部24において回動可能に連結される。
【0037】
以上のようにして、この実施形態の携帯機器1においては、ヒンジ部23及びヒンジ部24において、第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22とが回動可能に連結されることで、外筐2が、図1(B)に示すように、折り畳み可能とされる。
【0038】
[フレキシブルディスプレイ素子3及び位置検出センサ4の構成例]
上述したように、外筐2内には、フレキシブルディスプレイ素子3、位置検出センサ4及びそれらと接続される電子回路部が収納される。図2は、そのうちのフレキシブルディスプレイ素子3及び位置検出センサ4を説明するための分解構成図である。
【0039】
フレキシブルディスプレイ素子3は、例えば有機ELディスプレイ(organic electro luminescence display)素子やLCD(Liquid Crystal Display)などで構成されており、表示画素が、X軸方向(横方向)及びY軸方向(縦方向)に多数個配列された表示画面3Pを備えている。
【0040】
このフレキシブルディスプレイ素子3の下方(表示画面3Pとは反対側)には、電磁誘導結合方式の位置検出センサ4が、フレキシブルディスプレイ素子3と重畳する状態で配設されている。
【0041】
位置検出センサ4は、デジタイザ部41と電磁シート部42とからなる。デジタイザ部41は、フレキシブル基板41F上に、X軸方向の複数個のループコイル41X及びY軸方向の複数個のループコイル41Yが配設されて構成されている。図2の例では、フレキシブル基板41Fの表面側に複数個のループコイル41Yが配設され、裏面側に複数個のループコイル41Xが配設されている。そして、このデジタイザ部41は、フレキシブルディスプレイ素子3の表示画面3Pとは反対側の面に例えば被着されて配設される。
【0042】
この例においては、フレキシブルディスプレイ素子3の表示画面3Pの表示領域と、位置検出センサ4のデジタイザ部41の位置検出領域とは、ほぼ同一サイズであることは前述した通りである。そして、デジタイザ部41は、フレキシブルディスプレイ素子3の表示画面3Pを、電子ペン10による位置指示の入力面として、当該電子ペン10による入力面における指示位置を検出するようにする。
【0043】
そして、デジタイザ部41のフレキシブルディスプレイ素子3との被着面側(入力面側)とは反対側の面に、電磁シート部42が例えば被着される。
【0044】
電磁シート部42は、この実施形態では、磁路材層部421と電磁シールド層部422とが積層されて構成される。磁路材層部421は、電子ペン10との間で送受される電磁波に関し、デジタイザ部41のループコイル41X,41Yによって生成される交番磁界に対する磁路を形成することで、発生した磁束の発散を防止し、これにより電磁誘導結合方式の位置検出センサ4としての、電子ペン10に対する検出感度を向上させる。また、電磁シールド層部422は、電磁誘導結合方式の位置検出センサ4の下側の電子回路部に交番磁界が放射されるのを防止する機能を果たすと共に、下側の電子回路部からの電磁波が、電子ペン10との間で送受される電磁波に対してノイズとして混入しないようにするためのものである。
【0045】
磁路材層部421は、高透磁率を有する磁性材料で構成され、この例では、高透磁率の磁性体の粉末、例えばアモルファス合金の粉末を、非磁性および非導電性の高分子材料、この例では樹脂と混合したもので構成する。電磁シールド層部422は、非磁性体であると共に、高い導電性を備えている金属材料、この例では、アルミニウムからなる金属シートで構成されている。
【0046】
この実施形態では、電磁シート部42は、フレキシブルディスプレイ素子3及びデジタイザ部41が、図2において点線3F及び点線4Fで示す折れ曲がり位置で折り曲げられて折り畳み可能の構成とされていることによる問題を回避するため、以下に説明するような構成とされている。
【0047】
すなわち、電磁シート部42は、デジタイザ部41の全面を覆うように形成されるのではなく、折れ曲がり位置において、所定の間隔dだけ開けてデジタイザ部41に対して被着される第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとに分割されると共に、第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとの間の前記所定の間隔dを覆うように配置される第3のシート部分42Cを備えるように構成されている。すなわち、この実施形態では、電磁シート部42は、第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bと第3のシート部分42Cとに分割される。
【0048】
第1のシート部分42Aは、図2において、折れ曲がり位置よりも左側に位置する磁路材層部421の第1の部分4211と、同じく折れ曲がり位置よりも左側に位置する電磁シールド層部422の第1の部分4221とで構成される。また、第2のシート部分42Bは、図2において、折れ曲がり位置よりも右側に位置する磁路材層部421の第2の部分4212と、同じく折れ曲がり位置よりも右側に位置する電磁シールド層部422の第2の部分4222とで構成される。
【0049】
そして、第3のシート部分42Cは、折れ曲がり位置の所定の間隔dよりも大きい幅を有している磁路材層部4213と電磁シールド層部4223とが被着されると共に、磁路材層部4213上に、樹脂からなるスペーサ部材423が被着形成されたもので構成される。
【0050】
この実施形態では、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bは、デジタイザ部41に、所定の間隔dだけ離間された状態で被着される。この場合に、例えば、デジタイザ部41の入力面側とは反対側の面に、磁路材層部421の第1の部分4211及び第2の部分4212が所定の間隔dだけ離間された状態で被着される。その後、電磁シールド層部422の第1の部分4221及び第2の部分4222が所定の間隔dだけ離間された状態で、磁路材層部421の第1の部分4211及び第2の部分4212の上にそれぞれ被着される。
【0051】
この場合、所定の間隔dは、外筐の折り畳みによりデジタイザ部41が折り曲げられることにより曲面上に曲げられる部分に対応する長さが好ましく、この例では、例えば3~5mm程度とされている。ここで、所定の間隔dは、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bに折れ曲がりにより曲面が全く生じないようにするような長さにする必要はなく、当該所定の間隔dの存在により、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bに折れ曲がりによる曲げ応力が軽減される長さであればよく、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bの所定の間隔dの近傍部分において、折れ曲がりにより曲面が生じてもよい。
【0052】
第3のシート部分42Cは、この実施形態では、デジタイザ部41及び電磁シート部42の第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとは接触することなく離間した状態で配設される。この実施形態では、第3のシート部分42Cは、ヒンジ部23及びヒンジ部24との間に設けられている保護板25上(電磁シート部42側に対向している面上)に被着されて設けられている(図1(C)参照)。
【0053】
次に、以上のような構成の電磁シート部42を備えるこの実施形態の携帯機器1の折れ曲がり位置近傍における構成を、図3及び図4の断面図を参照してさらに説明する。図3は、図1(B)の携帯機器1が折り畳まれた状態の図におけるB-B断面図であり、また、図4は、図1(A)の携帯機器1が全開とされている状態の図におけるA-A断面図である。
【0054】
図3及び図4に示すように、この実施形態の携帯機器1においては、第1のフレーム部材21の底部21aの、ヒンジ部23及び24との間の辺部と、第2のフレーム部材22の底部22aのヒンジ部23及び24との間の辺部とには、前述したように、ヒンジ部23とヒンジ部24との間に設けられる保護板25を、当該保護板25に対して、第1のフレーム部材21及び第2のフレーム部材22が折り畳みの際に回動可能となる状態で結合保持するようにするための結合保持部21d及び22dが設けられている。
【0055】
一方、保護板25には、図3及び図4に示すように、結合保持部21d及び結合保持部22dと回動可能に結合するための爪部25a及び爪部25bが設けられている。なお、図示は省略するが、爪部25a及び爪部25bは、ヒンジ部23とヒンジ部24との間に、2個以上の複数個所に設けられている。
【0056】
そして、保護板25のフレキシブルディスプレイ素子3及び位置検出センサ4側に対向する側の上面には、図3及び図4に示すように、電磁シート部42の第3のシート部分42Cが設けられている。この場合に、図3及び図4に示すように、第3のシート部分42Cは、第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとが折れ曲がり位置で所定の間隔dを隔てて分離されている当該所定の間隔dの隙間42gを覆うような状態で、保護板25の上面に設けられている。
【0057】
また、この場合に、第3のシート部分42Cは、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとは接触してもよいが、この例では、図3の折り畳み状態及び図4の全開状態の両状態において、接触することなく、デジタイザ部41の入力面に直交する方向において離間するようにされて、電気的な接触及び物理的な接触が生じないようにされている。この場合に、第3のシート部分42Cと第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとの、デジタイザ部41の入力面に直交する方向の離間距離(シート厚さ方向離間距離という)は、わずかでよく、例えば図4の全開状態においては、このシート厚さ方向離間距離は0.1mm程度であってもよい。
【0058】
そして、この実施形態では、特に、第3のシート部分42Cの幅(ヒンジ部23とヒンジ部24とを結ぶ方向に直交する方向の長さ)は、第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとの間の所定の間隔dよりも大きくされている。これにより、図4に示すように、デジタイザ部41の使用状態である携帯機器1が開かれた状態のときに、デジタイザ部41の入力面に直交する方向において、第3のシート部分42Cと第1のシート部分42Aとの間、及び第3のシート部分42Cと第1のシート部分42Aとの間において、それぞれ所定の長さOvの重なりを生じるように構成されている。この場合の重なりの所定の長さOvは、第3のシート部分42Cと、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとの離間距離に応じて選定される。例えば、前述のシート厚さ方向離間距離が0.1mm程度の場合には、重なりの所定の長さOvは、例えば2~3mm以上であればよい。シート厚さ方向離間距離が大きくなるに応じて、重なりの所定の長さOvは、より大きい値とされる。
【0059】
この場合に、図3及び図4からも明らかなように、第1のフレーム部材21と第2のフレーム部材22とが、ヒンジ部23及びヒンジ部24を回動支軸位置として回動することで、折り畳み状態と全開状態とに変位されるときに、保護板25は移動はするが、当該保護板25の上面に配設されている第3のシート部分42Cと、デジタイザ部41の裏面に形成されている第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとは接触することはないように構成されている。なお、若干接触するようになってもよい。
【0060】
そして、この実施形態では、第3のシート部分42Cは、上述したように、保護板25の上面で外筐2の折り畳み動作に関係なく、常に折り曲げられることなく平面状態を保つものとなっている。したがって、この第3のシート部分42Cは、外筐2の折り畳み動作による劣化は生じない。
【0061】
以上のようにして、この実施形態の携帯機器1の位置検出センサ4においては、デジタイザ部41の一面に設けられる電磁シート部42は、第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとに分離されて、外筐2の折り畳みにより折れ曲がる位置には、電磁シート部42は形成されない所定の間隔dが形成されており、折り畳みの際に大きく屈曲する折れ曲がり位置には、電磁シート部42は存在しないようにできるので、外筐2の折り畳みによる電磁シート部42の劣化が軽減される。
【0062】
そして、この実施形態では、電磁シート部42が形成されていない所定の間隔dは、第3のシート部分42Cにより覆われるように構成されているので、デジタイザ部41のループコイルと電子ペン10との電磁結合の強度が、所定の間隔dの部分でも局所的に変化しないように構成されている。
【0063】
さらに、上述の実施形態では、第3のシート部分42Cは、デジタイザ部41及び第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとは離間しており、かつ、外筐2の折り畳み動作の際に折れ曲がることがないように構成されているので、当該第3のシート部分42Cにおいては、折り畳み動作による劣化が全く生じることはない。
【0064】
[上述の実施形態の変形例]
なお、以上の実施形態では、第3のシート部分42Cは、外筐2の折り畳みにも関係なく、折れ曲がりは全く生じないように構成した。しかし、第3のシート部分42Cは大きく屈曲するような折れ曲がりが生じないようにすることを回避すれば、その幅が狭いことも相まって、平板状から曲面への変位が生じたとしてもその劣化は少ないので、若干の曲面への変位は許容される。したがって、第3のシート部分42Cも、外筐2を開状態から折り畳むときに、若干曲がるように構成してもよい。
【0065】
なお、上述の実施形態では、電磁シート部42は、磁路材層部421と電磁シールド層部422の両方を含んで第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとに分割するようにした。しかし、折れ曲がりによる劣化は、電磁シールド層部422に比較して磁路材層部421の方が少ないので、電磁シート部42の第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bの部分では、電磁シールド層部422のみを、第1の部分4221と第2の部分4222に分割するようにしてもよい。その場合には、第3のシート部分42Cは、磁路材層部を省略して、電磁シールド層部4223のみを有するように構成してもよい。
【0066】
また、上述の実施形態では、位置検出センサ4において、第3のシート部分42Cは、デジタイザ部41及び電磁シート部42の第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとは、非接続の別体として構成するようにした。
【0067】
しかし、例えば図5に示すように構成することで、第3のシート部分42Cを、電磁シート部42の第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bと接続して、位置検出センサ4を構成することもできる。
【0068】
図5は、そのように構成する位置検出センサの例を示すものである。なお、図5では、フレキシブルディスプレイ素子3は省略したが、上述の実施形態の例と同様に、フレキシブルディスプレイ素子3は、デジタイザ部41の、電磁シート部42の第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bが形成される面側とは反対側に設けられるものである。
【0069】
図5(A)は、この例の位置検出センサ4´を折り曲げた状態における断面図、図5(B)は、折り曲げた状態から平面状に全開とした状態における断面図である。なお、この図5において、上述の実施形態の各部と同様の構成部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0070】
この図5の例の位置検出センサ4´においては、図5(A)及び図5(B)に示すように、デジタイザ部41において、第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bとの間の所定の間隔dの位置は空間とせずに、例えば弾性変形が可能な樹脂からなる接合用部材43が設けられる。この接合用部材43は、その厚さ(デジタイザ部41の入力面側とは反対側の面からの高さ)が、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bの厚さよりも大きくされている。
【0071】
そして、図5(A)及び図5(B)に示すように、この接合用部材43のデジタイザ部41の入力面とは反対側の面側の端面に、第3のシート部分42Cが被着されて構成される。この場合、第3のシート部分42Cの幅は、所定の間隔dよりも大きいので、接合用部材43から食み出る部分が生じるが、その部分は、図5(A)及び図5(B)に示すように、第1のシート部分42A及び第2のシート部分42Bとは離間した非接合部分となる。この非接合部分は、図5(A)に示すように、位置検出センサ4´のデジタイザ部41及び電磁シート部42の第1のシート部分42Aと第2のシート部分42Bの部分が折り曲げられた状態となったとしても曲がらない。
【0072】
したがって、図5の例の位置検出センサ4´も、上述の実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0073】
次に、図6は、非接続の別体の第3のシート部分42Cを備えない位置検出センサ4Mの例を示すものである。図6(A)は、この例の位置検出センサ4Mを折り曲げた状態における断面図、図6(B)は、折り曲げた状態から平面状に全開とした状態における断面図である。なお、この図6においては、上述の実施形態の各部と同様の構成部分には、同一の参照符号にサフィックスMを付して示し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
この図6の例の位置検出センサ4Mにおいても、デジタイザ部41の入力面側とは反対側の面に設けられる電磁シート部42Mは、図6(A)及び図6(B)に示すように、上述の実施形態の電磁シート部42と同様に、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMとは、折り曲げ位置の近傍において分離されると共に、折り曲げ位置には、所定の間隔dだけ、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMとが被着形成されていない部分が形成される。
【0075】
しかし、この図6の例においては、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMの一方、この例では、第2のシート部分42BMは、図6(A)及び図6(B)に示すように、所定の間隔dの部分を覆って、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMの他方、この例では、第1のシート部分42AMと重なりを生じることが可能なように、延長端部42BMaが構成されている。
【0076】
したがって、この図6の例の位置検出センサ4Mにおいては、図6(B)に示すように、折り曲げた状態から平面状に全開とした状態においては、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMとの間の所定の間隔dに空間45を形成しながら、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMとの間に重なり(オーバーラップ部分)Ovを生じる。
【0077】
以上のような構成を備える図6の例の位置検出センサ4Mにおいては、携帯機器が折り畳まれたときには、位置検出センサ4Mも折り曲げられるが、電子シート部42Mにおいては、第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMとに分離されているので、劣化が生じにくくなる。そして、携帯機器が全開状態とされたときには、分離されている第1のシート部分42AMと第2のシート部分42BMとは、互いに重なりを生じるようになるので、分離位置においても、デジタイザ部41Mと電子ペン10との間の電磁結合レベルが局所的に変化することが防止される。
【0078】
[その他の実施形態または変形例]
なお、以上の実施形態は、外筐が谷折りとされる携帯機器の場合の例であるが、外筐が山折りとされる携帯機器の場合にも適用されるものである。
【0079】
また、上述の実施形態の携帯機器においては、折り畳みのための機構としては、2点支持のヒンジ部を用いた構成としたが、1点支持や3点以上の多点支持のヒンジ部の構成であってもよい。
【0080】
図7及び図8は、多点支持のヒンジ部を備え、谷折りの折り畳みが可能な携帯機器1Dの構成例を説明するための図である。図7は、この例の携帯機器1Dの折り畳み変化の概要を示すものであり、この例の携帯機器1Dは、図7(A)に示すような折り畳み状態から、図7(B)に示すような開閉途中の状態を経て、図7(C)に示すような全開状態にすることができるように構成される。そして、図8(A)は、図7(B)におけるC-C断面図を模式的に示した図であり、また、図8(B)は、図7(C)におけるD-D断面図を模式的に示した図である。
【0081】
この例の携帯機器1Dにおいては、図7(A),(B),(C)、図8(A)及び(B)に示すように、外筐(筐体)2Dは、第1のフレーム部材21Dと、第2のフレーム部材22Dとが、多点支持のヒンジ部23D及びヒンジ部24D(図8では、ヒンジ部23Dのみを示している)において、谷折りの折り畳み可能に連結された構造を有している。
【0082】
この例の携帯機器1Dの外筐2Dは、図7(C)及び図8(B)に示すように全開状態としたときに矩形形状の薄型の板状体となると共に、図7(B)及び図8(A)に示すように折り畳まれた状態においては、全開状態のときのほぼ半分の大きさになる。
【0083】
この例の携帯機器1Dにおいては、ヒンジ部23D及びヒンジ部24Dを除く部分については、図1図4を用いて説明した上述の実施形態の携帯機器1と同様の構成を備えるもので、携帯機器1と同様の構成部分には、同一番号にサフィックスDを付与して、その詳細な説明は省略することとする。
【0084】
図7(C)に示すように、この例の携帯機器1Dの外筐2Dを全開状態としたときの矩形形状の板状体の一面側にフレキシブルディスプレイ素子3Dの表示画面3DPが現れるように構成される。そして、図7(A),(C)及び図8(A),(B)に示すように、このフレキシブルディスプレイ素子3Dの表示画面3DPとは反対側(フレキシブルディスプレイ素子3Dの下側(裏側))に、電磁誘導結合方式の位置検出センサ4Dが、表示画面3DPと同じ領域をセンサ検出領域となるように、フレキシブルディスプレイ素子3Dに重畳して設けられる。
【0085】
この例の位置検出センサ4Dは、図7(C)に示すように、携帯機器1Dが開かれた状態において、電磁誘導結合方式の位置指示器である電子ペン10と信号のインタラクションを電磁誘導結合により行うことにより、電子ペン10により指示された位置を検出する。
【0086】
そして、図8(A)及び(B)に示すように、この例の携帯機器1Dにおいても、位置検出センサ4Dは、フレキシブルディスプレイ素子3Dに対向して配設されるデジタイザ部41Dの、フレキシブルディスプレイ素子3Dの対向面側とは反対側の面に、電磁シート部42Dが配設される。
【0087】
この電磁シート部42Dは、図8(A)及び(B)に示すように、上述した携帯機器1の電磁シート部42と、同様に、デジタイザ部41Dの折れ曲がり位置において、所定の間隔dを隔てて離間するように分離されている第1のシート部分42AD及び第2のシート部分42BDと、第1のシート部分42ADと第2のシート部分42BDとの間の所定の間隔dの部分を覆うように構成される第3のシート部分42CDとに分割されている。
【0088】
図8(A)及び(B)に示すように、第3のシート部分42CDは、上述の携帯機器1の例と同様に、第1のシート部分42ADと第2のシート部分42BDとは離間する状態で配設される。なお、第3のシート部分42CDは、図8では図示を省略するが、ヒンジ部23D及びヒンジ部24Dとの間において、多点支持位置と位置検出センサ4Dとの間の空間に設けられる保護板などの板状体に配設される。
【0089】
この例の携帯機器1Dにおいても、図8(B)に示すように、第3のシート部分42CDは、第1のシート部分42ADと第2のシート部分42BDとの間の所定の間隔dの部分を覆うと共に、デジタイザ部41Dの入力面に直交する方向において、第1のシート部分42ADと第2のシート部分42BDと重なるオーバーラップ部分Ovを有するように構成されている。
【0090】
以上のような構成の携帯機器1Dの位置検出センサ4Dにおいても、上述した携帯機器1の位置検出センサ4と同様の作用効果が得られるものである。
【0091】
次に、多点支持のヒンジ部を備える点は、上述の携帯機器1Dと同様であるが、山折りの折り畳みが可能な携帯機器1Eの構成例を、図9及び図10を参照して説明する。
【0092】
すなわち、図9は、この例の携帯機器1Dの折り畳み変化の概要を示すものであり、この例の携帯機器1Eは、図9(A)に示すような折り畳み状態から、図9(B)に示すような開閉途中状態を経て、図9(C)に示すような全開状態にすることができるように構成される。そして、図10(A)は、図9(B)におけるE-E断面図を模式的に示した図であり、また、図10(B)は、図9(C)におけるF-F断面図を模式的に示した図である。
【0093】
この例の携帯機器1Eおいては、図9(A),(B),(C)、図10(A)及び(B)に示すように、外筐(筐体)2Eは、第1のフレーム部材21Eと、第2のフレーム部材22Eとが、多点支持のヒンジ部23E及びヒンジ部24E(図10では、ヒンジ部23Eのみを示している)において、山折りの折り畳み可能に連結された構造を有している。
【0094】
この例の携帯機器1Eの外筐2Eは、図9(C)及び図10(B)に示すように全開状態としたときに矩形形状の薄型の板状体となると共に、図9(B)及び図10(A)に示すように折り畳まれた状態においては、全開状態のときのほぼ半分の大きさになる。
【0095】
この例の携帯機器1Eにおいては、ヒンジ部23E及びヒンジ部24Eを除く部分については、山折りと谷折りの折り畳みの違いを除けば、上述の実施形態の携帯機器1及び携帯機器1Dと同様の構成を備えるもので、携帯機器1と同様の構成部分には、同一番号にサフィックスEを付与して、その詳細な説明は省略することとする。
【0096】
この例の携帯機器1Eは、図9(A)及び図10(A)に示す折り畳み状態においても、また、図9(B)の折り畳み途中の状態においても、フレキシブルディスプレイ素子3Eの表示画面3EPが現れるように構成されている。そして、この例の携帯機器1Eにおいては、このフレキシブルディスプレイ素子3Eの表示画面3EPとは反対側(フレキシブルディスプレイ素子3Eの下側(裏側))に、表示画面3EPと同じ領域をセンサ検出領域となるように重畳して、電子ペン10と電磁誘導結合方式により結合される位置検出センサ4Eが設けられる。
【0097】
この例の位置検出センサ4Eは、図9(A),(B),(C)に示すように、全開にされた状態のみならず、折り畳み途中状態においても、また、完全に折り畳まれた状態においても、電磁誘導結合方式の位置指示器である電子ペン10と信号のインタラクションを電磁誘導結合により行うことにより、電子ペン10により指示された位置を検出することができる。
【0098】
そして、図10(A)及び(B)に示すように、この例の携帯機器1Eにおいても、位置検出センサ4Eは、フレキシブルディスプレイ素子3Eに対向して配設されるデジタイザ部41Eの、フレキシブルディスプレイ素子3Eの対向面側とは反対側の面に、電磁シート部42Eが配設される。
【0099】
そして、この例の携帯機器1Eの電磁シート部42Eは、図10(B)に示すように、上述した携帯機器1の電磁シート部42と、同様に、デジタイザ部41Eの折れ曲がり位置において、所定の間隔dを隔てて離間するように分離されている第1のシート部分42AE及び第2のシート部分42BEと、第1のシート部分42AEと第2のシート部分42BEとの間の所定の間隔dの部分を覆うように構成される第3のシート部分42CEとに分割されている。
【0100】
図10(A)及び(B)に示すように、第3のシート部分42CEは、上述の携帯機器1の例と同様に、第1のシート部分42AEと第2のシート部分42BEとは離間する状態で配設される。なお、第3のシート部分42CEは、図10では図示を省略するが、ヒンジ部23E及びヒンジ部24Eとの間において、多点支持位置と位置検出センサ4Eとの間の空間に設けられる保護板などの板状体に配設される。
【0101】
この図10の例においても、図10(B)に示すように、第3のシート部分42CEは、第1のシート部分42AEと第2のシート部分42BEとの間の所定の間隔dの部分を覆うと共に、デジタイザ部41Eの入力面に直交する方向において、第1のシート部分42AEと第2のシート部分42BEと重なるオーバーラップ部分Ovを有するように構成されている。
【0102】
以上のような構成の携帯機器1Eの位置検出センサ4Eにおいても、上述した携帯機器1の位置検出センサ4や携帯機器1Dの位置検出センサ4Dと同様の作用効果が得られるものである。
【0103】
なお、上述の実施形態では、携帯機器の外筐を2つ折りに折り畳む場合の例であるが、3つ折り以上に折り畳む場合にも、この発明は適用できる。3つ折り以上に折り畳む場合においては、谷折りと山折りとが存在する場合もあるが、上述したように、この発明は、そのような場合にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0104】
1…携帯機器、2…外筐、3…フレキシブルディスプレイ素子、4…位置検出センサ、21…第1のフレーム部材、22…第2のフレーム部材、23,24…ヒンジ部、41…デジタイザ部、42…電磁シート部、42A…第1のシート部分、42B…第2のシート部分、42C…第3のシート部分、421…磁路材層部、422…電磁シールド層部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13