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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】液圧式の操作システム用の操作装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/34 20060101AFI20241112BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20241112BHJP
   B60T 13/122 20060101ALI20241112BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20241112BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
B60T8/34
B60T8/17 B
B60T13/122 A
B60T13/138 Z
B60T13/74 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055982
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2018549513の分割
【原出願日】2017-03-20
(65)【公開番号】P2022088562
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2022-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】102016105232.9
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509159159
【氏名又は名称】アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】IPGATE AG
【住所又は居所原語表記】Churerstrasse 160b, 8808 Pfaeffikon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ライバー
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ライバー
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ヘッカー
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】横山 幸弘
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-20173(JP,A)
【文献】特開2007-269171(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011017436(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/32-8/96
B60T 7/12-8/1769
B60T 13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の液圧式の操作システム用の操作装置であって、以下のコンポーネント:
-ブレーキペダルあるいはクラッチ操作装置の形態の操作装置用の接続部と、
-ピストンポンプまたはダブルアクションピストンポンプの形態の、電気モータ式の駆動部により駆動される圧力供給装置であって、前記電気モータ式の駆動部は、直接的に、または変換伝動機構を介して、前記ピストンポンプまたはダブルアクションピストンポンプのピストンを調節する、圧力供給装置と、
-前記操作装置により操作可能なピストン-シリンダ-ユニットであって、液圧的に圧力媒体貯蔵容器に接続されているピストン-シリンダ-ユニットと、
-電子式の御ユニットと、
を備える操作装置において、
接続要素が、前記ピストン-シリンダ-ユニットの軸線に垂直の差し込み方向で前記電子式の御ユニット内に差し込み可能であり、前記接続要素は、前記ピストン-シリンダ-ユニットの上方に配置されており、前記ピストン-シリンダ-ユニットを少なくとも部分的に覆う
ことを特徴とする、操作装置。
【請求項2】
前記差し込み方向は、前記電子式の御ユニットに向かう方向を向いている、請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記接続要素は、第1のハウジングの上方に配置されており、前記第1のハウジングは、前記ピストン-シリンダ-ユニットおよび前記圧力供給装置のピストンを収容する、請求項1記載の操作装置。
【請求項4】
前記電気モータ式の駆動部は、前記ピストン-シリンダ-ユニットの前記軸線の下方に配置されている、請求項1記載の操作装置。
【請求項5】
前記電気モータ式の駆動部は、前記第1のハウジングに取り付けられ、前記ピストン-シリンダ-ユニットの前記軸線の下方に配置されている、請求項3記載の操作装置。
【請求項6】
前記差し込み方向は、前記車両の外側に向かって方向付けられ、前記車両の中央に向かっては方向付けられていない、請求項1記載の操作装置。
【請求項7】
前記接続要素は、前記電気モータ式の駆動部の上方に配置されている、請求項1記載の操作装置。
【請求項8】
前記圧力媒体貯蔵容器は、前記接続要素に部分的に隣接して延在している、請求項1記載の操作装置。
【請求項9】
前記圧力媒体貯蔵容器は、部分的に前記接続要素の上方で前記接続要素に隣接しかつ前記操作装置の背面側に延在している、請求項1記載の操作装置。
【請求項10】
前記圧力媒体貯蔵容器は、一領域において、前記接続要素のための空所を有する、請求項1記載の操作装置。
【請求項11】
前記接続要素は、前記車両の搭載電源網への接続を可能にするために、前記電子式の御ユニットの側方に隣接して、または前記電子式の御ユニットの端面側に、または前記圧力媒体貯蔵容器の部分的に下方に取着されている、請求項1記載の操作装置。
【請求項12】
前記電子式の御ユニットの一部分は、弁装置および/または前記第1のハウジングの上方に配置されている、請求項3記載の操作装置。
【請求項13】
前記圧力媒体貯蔵容器は、前記ピストン-シリンダ-ユニットの上方および/または前記電子式の御ユニットの前記一部分の上方に配置されているか、または延在している、請求項12記載の操作装置。
【請求項14】
前記圧力媒体貯蔵容器の一領域は、前記第1のハウジングの側方を下向きに延在し、前記圧力媒体貯蔵容器の前記一領域は、前記第1のハウジングの入口通路および出口通路に接続するために構成された圧式の接続部を有する、請求項3記載の操作装置。
【請求項15】
前記変換伝動機構は、ボール循環型伝動機構を含む、請求項1記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の上位概念部に記載の液圧式の操作システム用の操作装置、特に自動車ブレーキまたは電化されたクラッチアクチュエータおよびギヤアクチュエータ用の操作装置に関する。
【0002】
従来技術
機器の組み込み、特にエンジンルームまたは機器室内への機器の組み込みは、自動車製造元(OEM)の多数の新しいシステムに鑑み、逼迫した組み込みスペースの理由からますます大きな問題に直面している。一部において、例えばABS用機器は、特に前輪駆動および横置きエンジンの場合、エンジンの後方に配置される。このことは、ABS用機器を交換する際には、エンジンが取り外されねばならないという結果を伴う。
【0003】
それゆえ、既存の機器を小型化または新たにできる限りコンパクトに構成すべきというOEMの要求が存在する。右ハンドルと左ハンドルとが存在するという事情もあり、このことは、ブレーキ機器において、いわゆるパッケージングは同じであることが望ましいという結果を伴う。
【0004】
多くの機器は、電気的な機能およびセンサを有しており、これらは、往々にして複数のコネクタを必要とし、このことは、特に組み立てに手間を要する。
【0005】
さらに衝突安全性への要求は、ますます高まっており、このことは、機器室内のシステムの組み込み長さが、特にシステムが前壁に取り付けられていて、隣接する機器または制御器がこの組み込みユニットに対して取着されているとき、できる限り短く細身であるべきという結果を伴う。
【0006】
公知であるように、ブレーキシステムにおいて、今日一般的であるいわゆる「3ボックス解決手段(3-Box-Loesung)」、すなわち、制動倍力装置(Bremskraftverstaerker)、ABS/ESP用機器および真空ポンプがそれぞれ異なる構成ユニットを形成しており、これらの構成ユニットが特に空間的にも隔絶されていることができる解決手段から、統合型の「1ボックス解決手段(1-Box-Loesung)」、すなわち、すべてのコンポーネント、例えば圧力供給部、液圧式の(弁)ユニット(HCU)、制御ユニット(ECU)および主シリンダ(Hauptzylinder)が1つの構成ユニット内に統合されている解決手段に切り換わる強い傾向が存在している。DE102012213216には、例えばこのようなコンパクトな「1ボックスブレーキシステム」が記載されている。主たる特徴は、電気モータの軸線が、第1のシリンダピストンユニットの長手方向軸線に対して垂直であることである。
【0007】
1980年代の中頃、Tevesは、Mark 2でもって、この特徴を有する半統合型の解決手段を、しかし、ポンプを有する電気モータの軸線が操作軸線に対して平行に配置された変化態様としても提供していた。注目すべきは、紹介する本発明とは異なり、モータ、圧力供給部およびECUが1つのハウジングユニット内に統合されていないことである。ここでは、モータは、ポンプとともに取り付けられ、チューブ線路により弁ブロック(HCU)とシリンダピストンユニットとからなるハウジングに接続されていた。極めて細身で短い構成ユニットという目標設定は、まだ達成されていなかった。
【0008】
電気式の駆動モータ用のセンサとして、DE102011017436には、モータターゲットの歯車駆動が記載されている。ここでは、センサ要素は、センサモジュール内に配置されており、センサモジュールは、差し込み接続を介してシステム回路板に接続されている。付加的に、冗長なペダルストロークセンサと、ブレーキ液体容器内の充填レベルを監視するセンサとが必要とされる。
【0009】
DE102012213216に記載のブレーキ設備の場合、車両操縦者により操作される第1のシリンダ-ピストン-アッセンブリと、圧力提供装置と、弁装置とが、同じハウジング内に配置されており、圧力提供装置の電気モータの軸線は、第1のシリンダ-ピストン-アッセンブリの長手方向軸線に対して略垂直に配置されている。この解決手段により、既にある程度のコンパクト性が得られるように努められてはいるものの、さらなる改良の余地がある。特にDE102012213216は、従来慣用の真空式倍力装置の円形の輪郭の空間的な境界条件に合わせて設計されており、車両内の全体的なパッケージング最適化は考慮していない。最適なパッケージングのためには、矩形の構造形態が、円形の輪郭より好ましい。また、特に様々な組み付け状況への適応性、例えばエンジンルーム内での、特にバルクヘッドに組み付けられる電気式制動倍力装置(Elektrischer Bremskraftverstaerker)および統合型のABSを有する電気式制動倍力装置のための組み付け(いわゆる「フロントボルト固定型(front bolted)」)についての適応性等、改良すべき点も残されている。
【0010】
さらなる要求としては:
-短く細身の構造形態、
-液圧式の線路、特にホイールブレーキへのブレーキ線路を組み付けるための良好な接近性、
-コネクタ、特に主線路ハーネスのコネクタのための良好な接近性と、自動車分配器ボックス(セントラルエレクトリックシステム)への短いケーブル長さ、
-最終組み立て状態(真空状態)のみならず、保守中も良好な空気抜き性(ペダル操作による空気抜き)、
-コネクタからモータ制御部の電力部へのパワー線路の短い線路程、
-電力部(出力段、MOSFETおよびドライバ)の良好な冷却および熱導出、
-駆動部および電磁弁のノイズ、バルクヘッドへの固体伝播音伝達の減少、
-THZからの短い孔、HCUへの圧力遅延、
がある。
【0011】
発明の課題
それゆえ本発明の課題は、例えば柔軟に様々な車両あるいは組み込み状況に適した、できる限りコンパクトかつ重量およびコストの面で有利な液圧式のコンポーネント用の操作装置、特に自動車ブレーキ、液圧式のクラッチまたはギヤアクチュエータ用の操作装置を提供することである。
【0012】
課題の解決手段
本発明の課題は、特許請求項1の特徴を備える操作装置により解決される。
【0013】
本発明に係る操作装置は、有利には、コンパクトかつ低コストであり、軽量であり、しかも、様々な車両あるいは組み込み状況に対して柔軟であるという点で優れている。車両ブレーキ用の操作装置として使用したとき、本発明に係る操作装置は、有利には、以下の要求を充足し、以下の利点を有している:
-短く細身の構造形態と、特に矩形の基本形状および良好なコネクタポジショニングにより、車両内の他のコンポーネントにとって最適に利用可能な幾何学形状;
-左ハンドル(LL)および右ハンドル(RL)のために大幅に対称化した構成;
-液圧式および電気式の接続部の組み付けのための良好な接近性;
-車両の前壁(バルクヘッド)への、エンジン側から(フロントボルト固定型)も、フットスペース側からも可能な取り付け;
-とりわけ短い接続孔によるできる限り低いコストおよび重量;
-様々な拡張段階、例えば自律走行のためのモジュール構造;
-エラーに対する高い安全性;
-良好な空気抜き性;
-良好な冷却と、PCBから、高い熱容量を有するハウジングユニットへの熱導出;
-低い固体伝播音伝達によるパッセンジャルーム内のノイズレベルの低減;
-組み付け時および空気抜き時の良好な取り扱い性;
-車両内のすべてのコンポーネントの全体的なパッケージングに合わせて最適化された構成スペース。
【0014】
本発明は、有利には、ピストン-シリンダ-ユニットの軸線と、圧力供給装置のピストンポンプあるいはダブルアクションピストンポンプの軸線とが、互いに平行に、かつ鉛直方向で互いに間隔を置いて配置されていることと、ピストン-シリンダ-ユニットおよび圧力供給ユニットが、第1のハウジング内に配置されており、駆動部が、第1のハウジングに取り付けられており、ピストン-シリンダ-ユニットの軸線の下方に配置されていることとを特徴とする。その際、駆動部と第1のハウジングとの間には、さらに、特に遮音性の中間ハウジングまたは要素が配置されていてもよい。操作装置が車両内で車両のホイールブレーキの圧力制御のために使用される場合、操作装置は、鉛直線に対して5°ないし30°の角度φの分だけ傾倒されてエンジンルーム内に配置されていてもよい。本発明に係る操作装置のこの有利な構成により、特にスリムな構造形式が得られるので、本発明に係る操作機構は、極めて短く構成され、かつ省スペースに例えばエンジンルーム内に配置される。これにより、車両内で本発明に係る操作機構は、有利には、左ハンドル車内での使用にも、右ハンドル車内での使用にも、使用可能である。
【0015】
少数の電磁弁、圧力トランスデューサを有する液圧式のシステム(例えばクラッチアクチュエータおよびギヤアクチュエータ)において、あるいは主ブレーキシリンダを有しない構成(例えば主ブレーキシリンダなしのブレーキ-バイ-ワイヤ式の液圧システム、少数の電磁弁を有する液圧システム)において、極度に細身の構造形態を実現するという意味で、電磁弁および圧力トランスデューサを含むハウジング部分(GH2)も、圧力供給器装置を有する第1のハウジング部分に対して互いに平行に、かつ鉛直方向で互いに間隔を置いて配置され得る。その際、電磁弁は、電磁弁の磁石コイルを含むECUの被せ嵌めにより直接的に接点接続されるように、圧力供給器装置の軸線に対して垂直に配置されている。このことは、モータの回転角トランスデューサがECUに対して僅かな間隔を置いており、より簡単に接点接続され得るという利点も有している。
【0016】
弁装置は、固有の第2のハウジング内に配置されているか、またはともに第1のハウジング内に配置されているか、または第1のハウジングの構成部材であることができる。
【0017】
開ループ・閉ループ制御ユニットの回路板との間の電気的な接続は、有利には、差し込み可能に構成されていることができるので、開ループ・閉ループ制御ユニットを駆動モータおよび弁装置に載置したとき、駆動モータも、センサシステムも、電磁弁も、直接的に開ループ・閉ループ制御ユニットに接点接続される。これにより、有利には、付加的な配線ステップが省略される。
【0018】
さらに、本発明に係る操作装置は、大半のまたはすべての液圧コンポーネント、特に電磁弁、圧力ピストン、主ブレーキシリンダが、1つの液圧ブロック内に配置されているように形成されていてもよい。その際、液圧ブロックは、1つの部分または2つの部分から形成されていることができる。2つの部分からなる構成の場合、第1のハウジングと第2のハウジングとは、有利には、形状結合式または力結合式に互いに結合されている。両ハウジング間に「液圧式の回路板(hydraulische Leiterplatte)」を配置することも可能である。液圧式の回路板は、液圧式の接続、特に液圧式のコンポーネント、THZ、圧力供給部、電磁弁および圧力トランスデューサの液圧式の接続を可能にするあるいは実現する。これにより、有利には、弁プレートの厚さならびに接続孔および閉塞栓の数を減じることができる。付加的に、両ハウジング間の良好な熱の移行が生じると、有利である。
【0019】
本発明の有利な一構成は、弁装置の一方の側に、圧力供給装置およびピストン-シリンダ-ユニットが配置され、弁装置の反対側に、電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットが配置されているときに得られる。このサンドイッチ状のアッセンブリは、有利には、小型で省スペースのアッセンブリを実現し、電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットおよび弁装置のハウジングは、高さおよび奥行きより大幅に小さい幅を有している。
【0020】
前述の実施の形態は、電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットと、弁装置と、圧力供給装置およびピストン-シリンダ-ユニットを重ね合わせに配置したアッセンブリとからなる配列の端面側に、モータが配置されていることで補われてもよい。さらに電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットのハウジングの一部分が、弁装置および/または第1のハウジングの上方に配置されていてもよい。また、その際、有利には、貯蔵容器が、ピストン-シリンダ-ユニットの上方または電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットのハウジングの上述の部分の上方に配置されていることも可能である。設けねばならない液圧式の連通線路をできる限り少なくすべく、貯蔵容器は、貯蔵容器の一領域が、第1のハウジングの側方を下向きに延在し、この領域が、ハウジングの入口通路および出口通路に接続する接続部を有しているように形成されていてもよい。
【0021】
別の可能な一実施の形態において、有利には、弁装置は、ピストン-シリンダ-ユニットの軸線の上方に配置されている。これにより、同じく、本発明に係る操作装置のすべてのコンポーネントの極めて小さく良好な配置が生じる。この構成の場合、電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットが、横断面図で見てL字形またはU字形に形成されており、第1のハウジングの2面または3面に当接していると、特に有利である。特に電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットのU字形の形成は、コンポーネント間の極めて簡単な電気的な接続と良好な熱導出との点で優れている。その際、開ループ・閉ループ制御ユニットのハウジングは、第1のハウジングを下方より囲繞し、第1のハウジングの側方を上方に延在する両脚片領域は、上方に弁装置まで延在している。これにより、弁装置と開ループ・閉ループ制御ユニットとの間の、間に何も介しない結合も可能である。而して電磁弁の駆動コイルは、開ループ・閉ループ制御ユニット内に格納され、電磁弁の可動子その他の液圧式のコンポーネントは、弁装置内に格納されていることができる。
【0022】
最後に説明した実施の形態の場合、圧力供給ユニットのモータは、間に何も介さずに、またはその間に配置される部分を介して電子式の開ループ・閉ループ制御ユニットに端面側で隣接していることができる。この場合、モータと開ループ・閉ループ制御ユニットとの間の接点接続は、有利には、差し込み接点により実施され、差し込み接点は、コンポーネントを組み付けたとき、電気的な接続を形成する。モータと第1のハウジングあるいは開ループ・閉ループ制御ユニットとの間にハウジングが配置される場合、このハウジングは、有利には、遮音性の材料からなる、かつ/または遮音性の特性を示す。遮音性の特性は、特にその機械的な特性および幾何学的な形状に基づいていてもよい。
【0023】
モータおよびピストンシリンダユニットの平行な配置は、短い構造長さに関して、モータ、圧力供給ユニットおよびその駆動部が短く構成されていることを前提とする。このことは、例えばダブルアクションピストン、段付きピストン、段付けされていないピストンと、DE102008063772に記載の、スピンドルがボールねじ機構(Kugelgewindetrieb:KGTともいう)とともにロータ内に配置された「中空軸モータ」とにより可能である。これにより構造長さは、追って図3に示すように、実質的にピストンストロークおよびボールねじ機構ナットのみにより規定される。
【0024】
第1のハウジング内には、ピストンシリンダユニットの他に、ピストンユニットの吸い込み弁およびストロークシミュレータも格納されていることができる。同じく貯蔵容器への接続は、第1のハウジング内で実現されていることができる。
【0025】
本発明の意味で、同じく弁は、システムコンセプトに応じて第2のハウジング内に配置されていても、第1のハウジング内に配置されていてもよい。その際、第2のハウジング内には、特に電磁弁および圧力トランスデューサが配置されていることができる。電磁弁は、液圧式の回路、例えばブレーキ回路内での、例えばABSと、圧力供給ユニットのための圧力制御と、様々なピストンアッセンブリの加圧とのために必要である。代替的には、電磁弁は、電気式制動倍力装置の場合、HZピストン(主シリンダピストン)の制御および圧力供給および接続のために使用され得る。
【0026】
第2のハウジングユニットの分離は、第1のハウジングユニットから第2のハウジングユニットへの前述の要素のより短い接続孔の利点を有しており、例えば圧力供給用の弁は、対向するようにポジショニングされる。
【0027】
内部にピストン-シリンダ-ユニット、圧力供給ユニット、弁装置の弁および開ループ・閉ループ制御ユニットが配置されているハウジングが、相俟って、機器の高さの70%未満の幅を有していると、特に有利である。これにより、省スペースにかつ構造的に容易にエンジンルーム内に配置されるスリムな構造形態が得られる。より小さな間隔は、例えばブレーキシステムに隣接して電気液圧式のクラッチアクチュエータ操作機構およびギヤアクチュエータ操作機構が設けられているときも、有意義である。この種のシステム配置のためには、液圧ブロックの特に細身かつ矩形の構造形態が企図されるべきである。
【0028】
前述の操作装置の特に有利な可能な一構成は、内部にピストン-シリンダ-ユニット、圧力供給ユニット、弁装置の弁および開ループ・閉ループ制御ユニットが配置されているハウジングが、相俟って、平らな側壁を形成しており、側壁が、例えば車両の少なくとも1つの電子コンポーネント、特に車両バッテリに面している、特にこれに対して平行に配置されている際に、得られる。
【0029】
貯蔵容器は、同じく直接的に圧力供給部の吸い込み入口に通じる側方の接続部を有して完全に上方に配置されていることができる。このことは、ハウジング内の大きな孔を省略するまたは減じる。同じく貯蔵容器は、ピストン-シリンダ-ユニット、圧力供給ユニットおよび開ループ・閉ループ制御ユニットに沿って一部は上方、一部は側方を延在していることが可能である。また貯蔵容器には、ピストン-シリンダ-ユニット、圧力供給ユニットおよび/または弁装置に接続するために用いられる通路が取り付けられ、特に溶接され、または射出成形により付着され、あるいは一体成形されていることができる。これにより、有利には、複数あるハウジングのうちの1つのハウジング内の孔は、省略可能である。
【0030】
而して開ループ・閉ループ制御ユニットは、別の第3のハウジングユニット内に配置されていてもよく、この別の第3のハウジングユニットは、直接的に第2のハウジングに設置され、第2のハウジングに結合されており、磁石コイルは、機能的に第2のハウジングユニットに属している。
【0031】
THZの略すべてのピストン、圧力供給部のピストンおよび吸い込み弁を収容し、かつストロークシミュレータも収容する第1のハウジングは、有利には、車両のバルクヘッドに取り付けるための取り付けフランジと、ペダルセンサ操作部を有するペダルインタフェースとを有している。第1のハウジングは、好ましくはダイカスト法または連続鋳造法で製造され、圧力供給器ユニットおよびブレーキペダルユニットの操作ピストンのピストンガイドのために後加工される。このとき、孔を閉鎖しなければならない場合は、端部にそれぞれ閉鎖キャップをかしめねばならない。
【0032】
特に弁装置をその電磁弁、逆止弁、絞り、圧力トランスデューサとともに収容する第2のハウジングは、取り付けのために、特に、高い流動性を示す材料、例えばアルミニウムによりかしめられるまたはプレス加工される。加えて第2のハウジングは、任意選択的には圧力供給ピストンの一部を収容することができる。
【0033】
第1のハウジングユニットおよび第2のハウジングユニットは、1つの部材として構成されてもよいし、あるいは両ハウジング部分は、接合プロセスで、好ましくはピストンシリンダガイドの加工前に結合されてもよい。
【0034】
第1のハウジングまたは第2のハウジングまたは両ハウジング内にセンサ操作部が格納されており、センサ操作部が、ペダルおよびロータの運動を、回転可能なターゲット(例えば磁石)に伝達し、センサ評価要素が直接的にシステム回路板にポジショニングされているか、またはシステム回路板に結合されていると、有利である。これにより、付加的な線路、差し込み接続器、または保護回路および評価回路(例えばホール素子)を受ける回路板(PCB)は、不要である。
【0035】
搭載電源網への電気式の接続要素(コネクタ)は、好ましくは上側に水平の差し込み方向をもって特に貯蔵容器の下方に配置されている。この位置は、良好にアクセス可能であり、直角の引き出し部を有する線路ハーネスにとって搭載電源網への短い線路長さを実現する。その際、好ましくは、差し込み方向は、車両外側に向かって方向付けられ、車両中央に向かっては方向付けられていないように選択あるいは設定され得る。
【0036】
ホイールブレーキへの液圧式の接続線路は、車室から見て端面側に取着されており、ひいては左ハンドルLLおよび右ハンドルRLにとって良好にアクセス可能であり、簡単な組み立て工具で済ませることができる。
【0037】
場合によっては生じるシールを通した漏れは、下側の部分で拡張されたモータハウジングまたは漏れハウジングにより捕集され、電極を介してセンシングされ得る。後者の場合、所定の漏れ体積時、ブレーキ液体貯蔵容器のレベルトランスデューサが応答することを前提とする。
【0038】
特にフォールバックレベルでの運転のためのすべての液圧式のコンポーネントの良好な空気抜き(ブレーキペダルあるいはクラッチペダルを介した操作)は、重要である。それというのも、通常運転中であれば、空気抜きがそれほど良好でなくても、圧力供給部の制御により補償されるからである。さらに電磁弁の良好な空気抜きは、PWM運転のために必要である。それというのも、このために可動子運動の減衰に影響があるからである。加えて、ホイールブレーキ線路の接続部の出口は、ホイールの圧力制御用の相応の電磁弁より高い位置にあることが必要である。
【0039】
PCB上の電力部の位置は、不都合に実現してしまうと、コストを上昇させるように働く。これに対して、有利であるのは、コネクタのすぐ横へのポジショニングおよび同じ領域でのモータへの接点接続である。
【0040】
モータの駆動制御は、電力部(MOSFETおよびドライバ)内に損失出力を発生させる。このとき、ハウジングユニットへの熱導出が、有利かつ低コストに実現可能である。ブレーキ運転の継続時間は、比較的短いため、熱を伝導して放熱するには、ハウジングユニットの大きな熱容量で十分である。
【0041】
運転中、モータ軸受、KGTおよび電磁弁の操作により固体伝播音が発生する。このためにモータは、減衰作用を有するプラスチックハウジングを介してハウジングユニットに結合される。ハウジングユニットは、他方、プラスチックからなる別体のフランジによりバルクヘッドに結合されている。さらなる改良は、フランジを、減衰作用を有する材料(例えばエラストマー)内で、バルクヘッドへのアダプタ部分内に支持してやれば、果たされる。
【0042】
さもなければ不可避のスピンドル揺動と、圧力供給装置のピストンへの望ましくない横方向力とを大幅に減じ、最良の場合、完全に回避すべく、前述の実施の形態において、任意選択的に、弾性的な撓み棒が駆動部と圧力供給ユニットのピストンとの間に配置されてもよい。
【0043】
以下に、本発明に係る操作装置の可能な実施の形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】最重要要素の概略ブロック図である。
図1a】相応の側面図である。
図2図1に対して代替的な配置を示す図である。
図2a】相応の側面図である。
図2b】バルクヘッドへの遮音作用を伴った配置を示す図である。
図3】モータ、センサ、電気的な接続部、磁石コイルを有するHCUおよびECU、吸い込み弁を有する圧力ピストンを含む断面図である。
図4】可能なアッセンブリの斜視図である。
図4a】ハウジング部分の案内板における部分断面図である。
【0045】
図1は、車両内で車両ブレーキシステムまたはクラッチアクチュエータおよびギヤアクチュエータの圧力供給に使用する本発明に係る操作装置の可能な一実施の形態を示している。本実施の形態において、モータMは、第1のシリンダピストンユニットの軸線Hに対して平行な第2の水平軸線H1上に配置されている。この軸線H上には、ペダルプランジャ26が作用しており、ペダルプランジャ26は、図示しないブレーキペダルに結合可能である。軸線H1上には、モータMの他に、圧力供給装置のピストン11も配置可能である。
【0046】
主軸線Hには、同じくペダルインタフェースP1と、両ブレーキ回路用の圧力ピストンを有する主シリンダアッセンブリ10、例えば一般的にはTHZまたはEP2015/068696に応じたアッセンブリとが配置されている。これらは、圧力供給装置のコンポーネント、例えばピストンシリンダアッセンブリ11とともに、ハウジングユニットGH1の構成部材である。第1のハウジングGH1には、圧力供給装置11を駆動するモータMがフランジ固定されている。上方または鉛直方向には、ホイールブレーキに通じる端面側の接続部15を有する弁装置HCUと、貯蔵容器VBとがポジショニングされている。下方には、コネクタ1を有する開ループ・閉ループ制御ユニットECUが配置されており、コネクタ1は、接点KSを介してPCB25に接続されている。
【0047】
図1aは、図1の操作装置の部分断面図XXである。この場合、横断面図で見てU字形に形成される開ループ・閉ループ制御ユニットECUは、ハウジングユニットGH1を下方より取り囲み、THZピストン10は、圧力供給装置のピストン11の上方に配置されている。第1のハウジングGH1の上方には、弁装置HCUが配置されており、弁装置HCUは、第1のハウジングGH1の両側に、鉛直の軸線VMVを有する電磁弁MVを収容している。電磁弁MVは、その下側で接点KSPにより開ループ・閉ループ制御ユニットECUの回路板PCBに電気的に接続されている。コネクタ1は、端面に代えて開ループ・閉ループ制御ユニットECUの側方に配置されていてもよい。前述した特徴により、開ループ・閉ループ制御ユニットECU、圧力供給装置11およびピストンシリンダユニット10ならびに弁装置HCUを鉛直方向に積み重ねた極度に細身の構造形式が得られる。加えてこのことは、すべての液圧式のコンポーネントの良好な空気抜きが可能な、極度にコンパクトな構造形式を生じる。
【0048】
図2は、操作軸線Hに対して平行なモータMおよび圧力供給部11の軸線H1を有するハウジング構造および主コンポーネントの代替的なアッセンブリを示しており、ここでペダルプランジャ26は、ペダルインタフェースP1に作用し、ペダルインタフェースP1は、少なくとも1つの圧力ピストンと、ペダルストロークセンサ操作部とに結合されている。本明細書ではセンサについて深入りすることはしない。通常はホール素子が使用される。
【0049】
モータMは、遮音性の材料からなる中間部材14を介してハウジングユニットGH1に取り付けねじ14aにより結合されている。中間部材14により、モータMおよびピストン駆動部、例えばKGTの高周波の振動は低減される。第1のハウジングユニットGH1は、本実施の形態では、横断面図で見てL字形の構造形態を呈しており、端面側でフランジ13に結合されている。フランジ13は、前壁にねじ42により取り付けられる。
【0050】
モータMは、その駆動に伴い、好ましくはKGTを介して圧力供給ユニットのピストン11に作用する。この場合、このピストン解決手段、特にダブルアクションピストンでは、特に短い構造長さを可能にする点で、有利である。それというのも、前進ストロークおよび後進ストロークを介して連続的に媒体体積を圧送することで、ピストンストロークは、小さく維持され得るからである。これは、前進ストロークおよび後進ストロークのために、貯蔵容器VBに接続された2つの吸い込み弁SV1およびSV2を有している。シングルピストンの場合は、1つの吸い込み弁のみが必要である。端面側には、ホイールブレーキシリンダ用の接続部15が設けられており、これにより接続部15には、最適にアクセス可能である。第1のハウジングGH1の上方には、コネクタ1が配置されており、コネクタ1は、線路ハーネスの好ましくは側方の引き出し部2を有している。これにより、搭載電源網への短い線路長さが可能である。本実施の形態では、貯蔵容器VBは、部分的にコネクタの上方および側方と、アッセンブリの後面に沿って延在している。このことは、車両の電気的な搭載電源網ボックスがストラットドームの前または後に位置することにつながる。上述したことは、ペダルプランジャをx方向で見た図2aにさらに分かりやすく示してある。
【0051】
図2aには、右側に、第1のハウジングユニットGH1を示してあり、第1のハウジングユニットGH1は、ピストンシリンダユニット10(軸線H)と、圧力供給ユニットのピストン11(軸線H1)とを収容している。
【0052】
好ましくは、ピストンシリンダユニット10,11は、1つの鉛直の軸線上に配置されており、ストロークシミュレータWSと切り換え弁SV1,SV2とは、主として電磁弁MVと単数または複数の圧力トランスデューサとを収容する弁装置HCUに対してできる限り小さな間隔を置いて配置されている。システムコンセプトに応じて、本実施の形態では、約10~25個の電磁弁MVが、ABS/ESPの圧力制御や、圧力供給装置11、ピストンシリンダユニット10およびストロークシミュレータWSの制御のために必要である。加えて、ピストンシリンダユニットから貯蔵容器VBおよび圧力トランスデューサへ向けて、逆止弁が設けられていてもよい。本発明に係るアッセンブリにより、例えばストロークシミュレータ回路用の電磁弁MVが、ストロークシミュレータピストンの横に配置されているとき、短い孔長さが必要であるにすぎない。これにより僅かなコストおよび流動抵抗が達成される。弁装置HCUの横に開ループ・閉ループ制御ユニットECUがフランジ固定されている。開ループ・閉ループ制御ユニットECUの回路板PCB25は、コイル接点KSPを介して電磁弁コイルに接続されている。同じくモータMは、電気的な接続要素12により回路板PCBに接続されている。このアッセンブリについては、図3を参照しながら詳しく説明する。
【0053】
既に言及したように、本明細書では、ペダルストローク、モータ回転、液圧液体のレベルのセンサについて深入りして説明することはしない。目標は、すべてのセンサ要素がシステム回路板PCB25上に配置されており、センサのターゲットがシステム回路板の近傍に配置されており、かつシステム要素に対して僅かな間隔(<5mm)を有していることである。接点が設けられたコネクタ部分は、本実施の形態では、好ましくは、いわゆる圧入接点を介してPCBに接続される。コネクタ1は、本実施の形態では、側方で一般的な機構により嵌合される。コネクタ1は、図2および2aに示した箇所で、特に良好にアクセス可能である。貯蔵容器VBは、コネクタ領域1に空所を有している。液圧消費器、特にホイールブレーキ15の接続部は、鉛直の方向で重ね合わせに配置されることも、水平方向で隣り合わせに配置されることもできる。水平に配置した場合は、第1のハウジング内に接続孔が設けられるべきである。
【0054】
両ハウジング部分GH1およびGH2は、相俟って1つのハウジングを形成することができるか、または別々に形成されている。
【0055】
操作機構は、ハウジングフランジ13により車両の前壁に取り付け可能である。この場合、フランジの右側では、良好にアクセス可能にいわゆる「フロントボルト固定型(front bolted)」ねじが使用され、左側では、「リヤボルト固定型(rear bolted)」ねじが使用可能である。例えば1つのねじだけが「フロントボルト固定型」、つまり車両の前方よりアクセス可能であれば、十分である。これにより、あらゆる組み立て可能性が実現可能である。
【0056】
公知のようにあらゆるシールは漏れる可能性があり、漏れは、もはや外部に漏出してはならないので、本実施の形態では、第1のハウジングGH1の下面に、例えば14cと組み合わされて、漏れリザーバ50を形成することができる。
【0057】
回路板PCBおよび電子式の構成部品の熱は、熱伝導体26を介して弁装置HCUに伝導され、放熱され得る。開ループ・閉ループ制御ユニットECUは、平らに、または、より大きな回路板面積が必要な場合は、下側で直角に構成され得る。
【0058】
構成スペース獲得を評価するために、ここでは小型の真空式BKVの周囲輪郭を記入してある。右側には、電気的な機器、例えばバッテリ用の付加的な容積が生じている。この構成スペース獲得は、特に右ハンドルの場合に重要である。それというのも、右ハンドルの場合、横置きされたエンジンが、多くのスペースを必要とするからである。
【0059】
ハウジング部分GH1またはGH2内には、ピストンおよびばねを有するブレーキシステムのストロークシミュレータも、格納することができる。その際、ストロークシミュレータは、主シリンダの軸線に対して軸線平行に配置されても、これに対して垂直に配置されてもよい。
【0060】
図2には、一点鎖線により、THZの部片とともに2チャンバ型真空式制動倍力装置(2-Kammer-Vacuum-Bremskraftverstaerker)の周囲輪郭52(例えば9インチの直径を有する小型の真空式倍力装置)を示してある。本発明に係るアッセンブリにより可能なスペース獲得は、直ちに明らかとなる。ここでは、略50%の構造長さ獲得、小型のBKVの場合は、略40%の構造長さ獲得が可能である。図2aには、円51により約9インチの小型の真空式BKVの周囲輪郭を示してある。ここでは、貯蔵容器VBとともにハウジング部分GH1およびGH2により規定されて、本発明に係る制動倍力装置の明らかな構成スペース獲得が明らかである。
【0061】
図3は、モータ、駆動部、圧力供給装置DK、弁装置HCUおよび開ループ・閉ループ制御ユニットECUの横断面図をそれらの主要なコンポーネントとともに示している。この図示は、図2に示した図示の鏡像反転である。
【0062】
モータハウジング16は、好ましくは遮音性の材料からなる中間部材14を介して第1のハウジング部分GH1に結合されており、このときセンタリングは、延長部14bを介して実施可能である。モータハウジング16、中間部材14およびECUハウジング35は、封止、例えば矩形にハッチングを施した面でもって封止されている。この面について詳しく説明することはしない。モータハウジング16内には、4点軸受20が圧入されており、4点軸受20は、スピンドル25およびロータ22からの両方向の軸方向力を受け、スピンドル25およびロータ22をセンタリングしている。ロータ22は、軸方向リテーニング部29を介して保持されており、ステータ領域において一般的なロータ金属薄板19を磁石20とともに担持している。
【0063】
さらにロータ22は、端面側で傘歯車28に結合されており、傘歯車28は、第2の傘歯車29を軸41およびターゲット38とともに駆動する。ターゲット38は、ロータ回転を評価するセンサ要素37に対して作用する。この場合、センサ要素は、システム回路板PCBに載置されており、特に低コストであり、障害に対して強い。この機械的な解決手段に代えて、ロータが、円錐車に結合される代わりに、スリーブに結合され、スリーブが、磁石を含み、これにより、モータの回転角を評価するためのターゲット38を形成している図示しない解決手段が実現されてもよい。この場合、ターゲット磁界は、センサ要素をターゲットの近傍に(例えばECUとの差し込み接続により)相応に配置することで検出され得るか、あるいは磁束伝導要素を介してPCB上の離れたセンサ要素へ案内され得る。
【0064】
傘歯車29は、ハウジング40内に支承されており、ハウジング40は、モータハウジング16に結合されている。歯車20は、可撓性の駆動軸41が相応に変形することでバックラッシがないように、ハウジング内に半径方向の遊びSをもって支持されている。この場合、軸は、中間部材14内に取り付けられた軸受ブシュ41内に支持されている。軸41は、歯車29に相対回動不能に結合、例えば回り止めを有する相応の輪郭を介して結合されている。ロータ22には、撓み棒BSが、ナット23を介して取り付けられている。撓み棒BSは、スピンドル25に相対回動不能に、例えば溶接部30により結合されている。スピンドル25は、KGTナット26に作用し、KGTナット26は、例えばねじ山27を介して相対回動不能にピストン11に結合されている。ロータ22およびスピンドル25の回転時、半径方向の公差は、スピンドル揺動を引き起こし、スピンドル揺動は、ピストンに相応に高い横方向力を発生させてしまう。この横方向力は、シールDの摺動面にとって問題である。撓み棒BSの曲げ弾性は、この横方向力を小さな値に低減する。この原理は、図示しない定置のスピンドルおよび回転するナットの場合にも適用可能である。本実施の形態では、ピストンは、段付きピストンとして構成されており、小さなストローク時、短い構造長さを生じる。断面図が示しているように、構造長さは、ストロークH1+H2=2×H1+KGTナットのLから構成されている。これは、KGTナットは、本件出願人のDE102008063772に応じたモータ、中空軸モータ内に配置されているので、ステータと軸受とから構成される本来のモータ構造長さは、この構造長さには含まれない。ストローク成分H1のフリースペースは、巻線のリードフレーム31のために使用される。リードフレーム31は、巻線線材に接続されている。付加的に、ここには、既に説明したように、さらにモータセンシング部28~29が格納され得る。
【0065】
ピストンは、対応する圧力室を封止すべく、3つのシールDを介して封止される。本明細書ではシールDの詳細について深入りすることはしない。中間部材14およびGH1の、このために最適な構成についても深入りすることはしない。
【0066】
ピストンを備えるKGTナットは、回り止めを必要とする。回り止めは、本実施の形態では、端面側で取着されている。四角形または多角形の輪郭を有する対応する部分33は、GH1に相対回動不能に結合されており、滑りブシュ34に支持されている。滑りブシュ34は、相対回動不能にピストンに結合されている。この滑り案内は、ブレーキ液体の小さな潤滑作用に乗じる。ピストン駆動は、定置のスピンドルおよび回転するKGTナットにより実施されてもよい。GH1の一方の側には、吸い込み弁SV1およびSV2が格納されており、吸い込み弁SV1およびSV2は、貯蔵容器VBに通じている対応する接続部に接続されている。一点鎖線で略示したように、これらは、H2のレベルで管形の要素内に配置され得る。反対側には、GH2-HCU(弁装置)が配置され、GH2-HCUは、既に説明したように、MVおよびその他の弁を圧力トランスデューサとともに収容している。この場合、上下にGH1およびGH2の極めて短い接続孔が明瞭に看取可能である。
【0067】
ハウジング部分GH2には、ECUハウジングが結合されており、ECUハウジングは、構成要素BEを有する回路板PCBを収容している。ここには、リードフレーム31からモータあるいはモータ接点Kへの短い電気的な接続も示してあり、モータ接点Kの近傍には、PCB上に、コネクタ1のパワー接点が、モータ制御用のBEとともに配置されている。相応の損失出力は、PCBから熱伝導体を介してHCUの弁ブロック56に導出される。ECUハウジング35は、モータに対して平行にかつ側方で構成され得る。このアッセンブリにより、多くの要求を考慮した有利なコンパクトな解決手段が、低コストに実現され得る。
【0068】
図4は、斜視図で、ABS/ESPユニットが機器室内に配置されているE-BKV(電気式制動倍力装置)に関する実施の形態におけるアッセンブリのコンパクト性を特に明瞭に示している。それゆえ15aにより、ABS/ESP用機器の両ブレーキ回路の2つの液圧式の接続線路のみが、図2、2aに示したような統合型のバージョンにおけるホイール回路に通じる4つの液圧式の接続線路と対比させて示されている。主コンポーネント、図3に対応する圧力供給部を有するモータ、ハウジングユニットGH1およびGH2ならびにECUの配置における主要な相違点は、存在しないので、両バージョンは、モジュール式に構成され、製造され得る。ECU、GH2内のコンポーネント、例えば電磁弁の数および複数の吸い込み弁を有する圧力供給部のピストンのGH3の構成のみが相違する。
【0069】
コネクタ1cは、ECUに接続されるいわゆるオス部分のみを示している。貯蔵容器VBは、1つの吸い込み弁SV1にのみ接続されている。ハウジングフランジ内に設けられた主シリンダとの第2の接続部THZは、前方から取り付けるためのフロントボルト固定型の1つのねじ42であり、42rが付されたその他の1ないし3つのねじは、リヤボルト固定型として設けられている。
【0070】
図4aは、互いにねじ止めされたハウジング部分GH1とハウジング部分GH2と間の液圧式の案内板HLP50の配置を示している。液圧式の案内板HLP50は、相応の通路により、弁ブロック内に設けられる多くの孔と、孔の出口に設けられる盲栓とに置換される。これらは、例えばTHZ、圧力供給部、電磁弁の液圧式の線路を接続するために必要である。HLPは、数を減じ、特に長さを減じ、かつより薄い弁ブロック(GH2)を実現し、このことは、重量を削減する。封止のために、リップシールD1または矩形シールが使用可能である。好ましくは、リップシールD1または矩形シールは、HLPに射出成形により付着される。
図1
図1a
図2
図2a
図2b
図3
図4
図4a