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特許7586900患者の血管系にアクセスするためのカテーテルアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】患者の血管系にアクセスするためのカテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 580
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022518354
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 US2020052536
(87)【国際公開番号】W WO2021062023
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】62/905,363
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード ハロルド
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0112310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0202006(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0214674(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220786(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0167478(US,A1)
【文献】国際公開第2018/089275(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/06
A61M 25/09
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管系にアクセスするためのカテーテルアセンブリであって、
近位端から遠位端まで延びるとともに、第1の管腔を画定する長尺状のカテーテル本体であって、カテーテル本体は、
中心静脈カテーテル(「CVC」)部分であって、その側壁を貫通して配置された針アクセス開口を含む、中心静脈カテーテル(「CVC」)部分と、
移行部分と、
第1の管腔の末梢静脈内(「PIV」)内腔部分を画定する末梢静脈内(「PIV」)部分と、を備えている、長尺状のカテーテル本体と、
カテーテル本体の近位端に結合されたカテーテルハブと、
末梢静脈内(「PIV」)ハブ内腔を画定する、末梢静脈内(「PIV」)ハブと、
針内腔を画定する針およびその近位端に結合された針ハブであって、針PIVハブ内腔、針アクセス開口およびPIV内腔部分を通って長尺状のカテーテル本体の遠位端より先に延びるように、針ハブはPIVハブの近位端と係合する、針および針ハブと、
第1の管腔の近位部分に配置されるガイドワイヤと、を備えるカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
ガイドワイヤが、その近位端に恒久的に取り付けられるとともに、ガイドワイヤの近位端が第1の管腔内に遠位方向に進むのを防ぐように構成されたガイドワイヤハブを含む、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
針ハブに結合されるとともに、針内腔と連通する注射器をさらに含み、注射器が、針内腔から血流を引き込むための真空を作り出して、血管アクセスを確認する、請求項1または2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
PIVハブがPIVハブをカテーテル本体に結合するためのクリップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
PIVハブが、針の斜端がカテーテル本体の遠位端より遠位にあるように、針の先端をカテーテル本体の遠位端と整列させるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
PIVハブが、針の斜端を所定の位置に向ける回転防止機能を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
回転防止機能が、PIVハブに配置されたスロットおよび針ハブに配置されたリブを含み、リブおよびスロットは、斜端が上向きの位置にある場合にのみPIVハブおよび針ハブが完全に係合するように配向される、請求項6に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
カテーテルハブが、その近位端から近位に延びる延長脚を含み、延長脚は、第1の管腔と連通する延長脚内腔を画定するとともに、その近位端にコネクタを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
針アクセス開口が、針が針アクセス開口から取り外されたときに針アクセス開口を閉じるスリット弁を備えている、請求項1~8のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
カテーテル本体がさらに、カテーテルハブから、その遠位端に近接するCVC部分の側壁を貫通して配置された出口開口まで延びる第2の管腔を有している、請求項1~9のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
カテーテルハブが第2の延長脚を含み、第2の延長脚は、カテーテル本体の第2の管腔と連通する第2の延長脚内腔を画定する、請求項10に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
PIV部分が第1の直径を画定し、CVC部分が第2の直径を画定し、第1の直径が第2の直径よりも小さい、請求項1~11のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
移行部分が、第1の直径から第2の直径まで延びる先細の外面を含む、請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
PIV部分が先端を有しており、先端は、先細の外側プロファイルを形成するとともに内腔直径を画定し、内腔直径は針のシャフトの外径よりも小さい、請求項1~13のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスに関し、特に、一体型のカテーテルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
鋭角状の中心静脈カテーテル(「ACVC」)を配置する現在の方法は、針ハブに取り付けられた注射器を含む誘導針(introducer needle)を用いて超音波ガイド下で血管系にアクセスする多段階の処置を伴う。誘導針ハブから注射器を取り外して血流を観察し、針が動脈ではなく静脈内に適切に配置されていることを確認する。誘導針からガイドワイヤを導入し、ガイドワイヤ上で誘導針を取り外し、メスで切開し、ガイドワイヤ上に1つまたは複数の拡張器を導入して、最終的にガイドワイヤ上にCVCカテーテルを導入する。その後、ガイドワイヤおよび/または誘導針を取り外すことができる。誘導針ハブから針を取り外すなど、異なるデバイスを交換するさまざまな手順により、偶発的な動きが発生し、そのために静脈を失い、そして試行が中止されることがよくある。静脈ではなく動脈にアクセスすることは、深刻な医学的合併症につながる可能性がある。さらに、臨床医は、ガイドワイヤを血管内で紛失しないように処置全体を通してガイドワイヤを保持する必要があり、そのためガイドワイヤは滅菌されていない表面にさらされることで汚染されやすくなる。またさらに、複数のデバイスを交換することで、感染のリスクが高まる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で開示されるのは、一体型のカテーテルアセンブリであり、例示的な実施形態では、遠位端に末梢挿入された静脈カテーテル部分を備えた鋭角状の中心静脈カテーテルを含み、そのカテーテル部分を患者に迅速に挿入することができる。
【0004】
簡単に述べると、本明細書に開示される実施形態は、カテーテルアセンブリおよび関連する方法に関する。カテーテルアセンブリ(迅速挿入中心カテーテルまたは「RICC」とも呼ばれる)は、中心静脈カテーテル(「CVC」)部分を含む長尺状のカテーテル本体、および末梢静脈内カテーテル(「PIV」)を含む。PIV部分は、長尺状の本体の遠位端に配置され、PIV部分の内腔(lumen)内に配置された針を含む。PIV部分は、カテーテルアセンブリの挿入を容易にして、挿入処置を合理化し、感染のリスクを減らし、そして試行が中止されるリスクを減らす。さらに、カテーテルアセンブリは、血管系へのガイドワイヤの紛失を防ぐために、恒久的に取り付けられたハブを備えたガイドワイヤを含む。
【0005】
本明細書に開示されるのは、患者の血管系にアクセスするためのカテーテルアセンブリであって、近位端から遠位端まで延びるとともに、第1の管腔(lumen)を画定する長尺状のカテーテル本体を含み、カテーテル本体が、中心静脈カテーテル(「CVC」)部分であって、その側壁を貫通して配置された針アクセス開口を含む中心静脈カテーテル(「CVC」)部分と、移行部分と、第1の管腔の末梢静脈内(「PIV」)内腔部分を画定する末梢静脈内(「PIV」)部分とを備えている、長尺状のカテーテル本体と、カテーテル本体の近位端に結合されたカテーテルハブと、末梢静脈内(「PIV」)ハブ内腔(hub lumen)を画定する末梢静脈内(「PIV」)ハブと、針内腔(needle lumen)を画定する針およびその近位端に結合された針ハブであって、針がPIVハブ内腔、針アクセス開口およびPIV内腔部分を通って長尺状の本体の遠位端より先に延びる、針および針ハブと、第1の管腔の近位部分に配置されるガイドワイヤと、を備えるカテーテルアセンブリである。
【0006】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、その近位端に恒久的に取り付けられるとともに、ガイドワイヤの近位端が第1の管腔内に遠位方向に進むのを防ぐように構成されたガイドワイヤハブを含む。カテーテルアセンブリは、針ハブに結合されるとともに、針内腔と連通している注射器をさらに含み、注射器は、針内腔から血流を引き込み、血管アクセスを確認するために真空を作り出す。PIVハブは、PIVハブをカテーテル本体に結合するためのクリップを含む。PIVハブは、針の斜端(bevel)がカテーテル本体の遠位端に対して遠位側になるように、針の先端をカテーテル本体の遠位端と整列させるように構成される。PIVハブは、針の斜端を所定の位置に向ける回転防止機能が含まれている。回転防止機能は、PIVハブに配置されたスロットおよび針ハブに配置されたリブを含み、リブおよびスロットは、斜端が上向きの位置にある場合にのみPIVハブおよび針ハブが完全に係合するように配向される。カテーテルハブは、その近位端から近位に延びる延長脚を含み、延長脚は、第1の管腔と連通する延長脚内腔を画定するとともに、その近位端にコネクタを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、針アクセス開口は、針アクセス開口から針が取り外されたときに針アクセス開口を閉じるスリット弁を含む。カテーテル本体はさらに、カテーテルハブから、その遠位端に近接するCVC部分の側壁を貫通して配置された出口開口まで延びる第2の管腔を含む。カテーテルハブは第2の延長脚を含み、第2の延長脚は、カテーテル本体の第2の管腔と連通している第2の延長脚内腔を画定する。PIV部分は第1の直径を画定し、CVC部分は第2の直径を画定し、第1の直径は第2の直径よりも小さい。移行部分は、第1の直径から第2の直径まで延びる先細の外面を含む。PIV部分は、先端を含み、先端は、先細の外側プロファイルを形成するとともに、内腔直径(inner lumen diameter)を画定し、内腔直径は、針のシャフトの外径よりも小さい。
【0008】
本明細書に開示されるのは、カテーテルを患者の血管系に挿入するための方法であって、カテーテルアセンブリを提供することであって、カテーテルアセンブリは近位端から遠位端まで延びるとともに、第1の管腔を画定する長尺状のカテーテル本体を含み、カテーテル本体が、中心静脈カテーテル(「CVC」)部分であって、その側壁を貫通して配置された針アクセス開口を含む、中心静脈カテーテル(「CVC」)部分と、移行部分と、第1の管腔の末梢静脈内(「PIV」)内腔部分を画定する末梢静脈内(「PIV」)部分とを備えている、長尺状のカテーテル本体と、カテーテル本体の近位端に結合されたカテーテルハブと、カテーテル本体の近位端に結合されるとともに、末梢静脈内(「PIV」)ハブ内腔を画定する末梢静脈内(「PIV」)ハブと、針内腔を画定するとともに、PIVハブに結合された針ハブを含む針であって、PIVハブ内腔、針アクセス開口およびPIV内腔部分を通って配置されるとともに、カテーテル本体の遠位端を越えて延びる針と、第1の管腔内に配置されるガイドワイヤと、を備える、カテーテルアセンブリを提供することを含む。方法はさらに、カテーテル本体の遠位端が患者の血管系内に配置されるように針を患者に挿入して血管系にアクセスすることと、針ハブで血流を観察して血管系へのアクセスを確認することと、針ハブをPIVハブから取り外すことと、PIVハブから近位方向に針を引き抜くことと、PIV部分を血管系内で遠位方向に前進させることと、PIVハブをカテーテル本体から取りはずすことと、ガイドワイヤの遠位端がカテーテル本体の遠位端の遠位側にあるように、ガイドワイヤを第1の管腔内に進めることと、CVC部分が血管系内に配置されるように、ガイドワイヤ上でカテーテル本体を前進させることと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、PIV部分は先端を含み、先端は、先細の外側プロファイルを画定するとともに、内腔直径を画定し、内腔直径は、PIV部分の先端を針のシャフトに固定するために針のシャフトの外径よりも小さい。PIV部分は第1の直径を画定し、CVC部分は第2の直径を画定し、第1の直径は第2の直径よりも小さく、移行部分は、第1の直径から第2の直径まで延びる先細の外面を含む。PIVハブは、PIVハブをカテーテル本体に結合するためのクリップを含み、さらに、針ハブを係合して針の斜端を所定の位置に向ける回転防止機能を含む。回転防止機能は、PIVハブに配置されたスロットおよび針ハブに配置されたリブを含み、リブはスロットを係合して、斜端を上向きの位置に配向させる。針アクセス開口は、針が針アクセス開口から取り外されたときに針アクセス開口を閉じる弁を含む。カテーテル本体はさらに、カテーテルハブからCVC部分の側壁を貫通して配置された出口開口まで延びる第2の管腔をさらに含み、カテーテルハブは、第2の管腔と連通する第2の延長脚内腔を画定する第2の延長脚を含む。ガイドワイヤの遠位端は、針が患者の血管系にアクセスする前に、針アクセス開口の近くに配置される。この方法はさらに、針ハブに結合されるとともに、針内腔と連通する注射器を含み、注射器は、針内腔から血流を引き込むための真空を作り出して、血管アクセスを確認する。
【0010】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示されているその特定の実施形態を参照することによって提供される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではない。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、追加の特異性および詳細とともに記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書に開示される実施形態による、針、注射器およびガイドワイヤを含むカテーテルアセンブリの斜視図を示す。
図2】本明細書に開示される実施形態による、図1に示されるカテーテルの斜視図を示す。
図3】本明細書に開示される実施形態による、図2のカテーテルの遠位部分の拡大図を示す。
図4】本明細書に開示される実施形態による、図1のカテーテルアセンブリの遠位部分の拡大図を示す。
図5A】本明細書に開示される実施形態による、図1のカテーテルアセンブリの遠位端の様々な詳細を示す。
図5B】本明細書に開示される実施形態による、図1のカテーテルアセンブリの遠位端の様々な詳細を示す。
図5C】本明細書に開示される実施形態による、図1のカテーテルアセンブリの遠位端の様々な詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、同様の構造が同様の参照指定で提供される図を参照する。図面は、本発明の例示的な実施形態の図式的および模式的な表現であり、限定するものでも、必ずしも縮尺通りに描かれているものでもない。
【0013】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、これらの用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定するものではない。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、特徴またはステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、シリアルまたは数値の制限を提供しない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などの表示は便宜上のものであり、例えば特定の固定された位置、方向、向きなどを意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、または方向を反映するために使用される。「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の単数形には、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の対象が含まれる。
【0014】
明確にするために、「近位」という言葉は、本明細書で説明する装置を使用する臨床医に比較的近い方向を指し、「遠位」という言葉は、臨床医から比較的遠い方向を指す。例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位」、「近位部分」または「近位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0015】
例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位」、「遠位部分」または「遠位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。また、特許請求の範囲を含め、本明細書で使用される「含む」、「有する」、および「有している」という用語は、「含む」という単語と同じ意味を有するものとする。
【0016】
「針」および「カニューレ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、対象の注射部位に挿入するための鋭利なまたは斜めの端部を有する部材を指すことができる。一実施形態では、針は、細い中空の管状部材であり得る。「軸方向」とは、針の長手方向軸に沿った、またはそれに平行なことを意味し、「半径方向」の方向は、軸方向に垂直な方向である。順方向は、デバイスの遠位端に向かう方向である。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0017】
本明細書に開示される実施形態は、合理化された挿入操作を提供および医学的合併症のリスクを低減する特徴を含むカテーテルアセンブリ100に関する。図1および2に関して、流体、薬剤などを導入するために患者の血管系にアクセスするためのカテーテルアセンブリ100が開示されている。図1に示されるように、カテーテルアセンブリ100は、概して、近位端102から遠位端104まで延びる長尺状のカテーテル本体110、近位端102に配置されたカテーテルハブ120、1つまたは複数の延長脚、例えば、延長脚122、124、126、ガイドワイヤ180、針162、注射器160、およびPIVハブ148を含む。長尺状のカテーテル本体110は、流体の投与または吸引、あるいは長尺状の医療デバイスの導入のために、近位端102から遠位端104まで延在する1つまたは複数の管腔を画定する。例えば、図1に示される例示的な実施形態は、3つの管腔の実施形態を含むが、より多いまたはより少ない管腔を有するカテーテルも考えられる。様々な管腔、針、およびガイドワイヤ構成、ならびに関連する方法を含む、同様のカテーテルアセンブリ構成の実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10376675号明細書に開示されている。
【0018】
カテーテルハブ120は、長尺状のカテーテル本体110の近位端102に配置されて、長尺状の本体110の1つまたは複数の管腔とそれぞれ連絡する1つまたは複数の開口部を提供する。カテーテルハブ120はさらに、ハブを様々なカテーテル安定化装置に固定するとともに、カテーテル110を患者に固定するための様々な安定化特徴128を含む。安定化特徴128は、様々な翼、タブ、穴、当接部、カラーなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0019】
一実施形態では、カテーテルハブ120は、1つまたは複数の延長脚、例えば、延長脚122、124、126を含む。各延長脚は、カテーテル本体110の管腔と連通している延長脚内腔を画定する。各延長脚はまた、その近位端に配置されたコネクタ、例えば、コネクタ132、134、136を備えており、延長脚内腔と、カテーテル110を経由して流体、薬剤などを患者に導入するための種々の流体ライン、注射器、または同様の装置とを連通させる。コネクタ132、134、136は、ルアーロック、スピンナットなどを含むことができる。
【0020】
一実施形態では、カテーテル本体110の管腔は、ガイドワイヤ、スタイレット、トロカールなど、またはそれらの組み合わせなどの長尺状の医療デバイスを受け入れるように構成することができる。図1に示されるように、ガイドワイヤ180は、コネクタ134、延長脚124、およびカテーテルハブ120を通って、カテーテル本体110の管腔内に配置される。ガイドワイヤ180は、ガイドワイヤ180の近位端に恒久的に取り付けられたガイドワイヤハブ182を含む。一実施形態では、ガイドワイヤハブ182は、コネクタ134と係合して、ガイドワイヤをカテーテル100内に固定するためのロック機能を含む。図示されるように、ガイドワイヤハブ182は、略円筒形の形状を有するが、ガイドワイヤの近位端がカテーテル110の管腔に入るのを防止するように設計された、立方体、球形などの他の形状を含むことができる。任意選択で、延長脚122、124、126のうちの1つまたは複数は、その延長脚を通る流体の流れを選択的に阻止するか、またはその中に配置されたガイドワイヤ180の動きを選択的に阻止するための、あるいはそれら両方を阻止するためのクランプ138を有する。ガイドワイヤ180は、中実、中空、またはワイヤ状であってもよく、ステンレス鋼、ニチノール、合金、プラスチック、ポリマー、または同様の適切な材料で形成されてもよい。
【0021】
長尺状のカテーテル本体110は、長手方向軸に沿って近位端102から遠位端104まで延びる。長尺状の本体110は、中心静脈カテーテル(「CVC」)部分112、移行部分114、および末梢静脈内(「PIV」)部分116を含む。長尺状の本体110は、柔軟性があり生体適合性である、プラスチック、ポリマー、シリコーンゴム、または同様の適切な材料、あるいはそれらの組み合わせで形成することができる。なお、図2に示すように、長尺状の本体110は長手方向軸から偏向しているが、これは説明のためである。カテーテル110またはその一部は、カテーテル100の形状および/または管腔(複数もあり)の開通性を維持するための様々な補強材をさらに含むことができる。
【0022】
CVC部分112は、カテーテルハブ120の遠位端から移行部分114の近位端まで延びる。移行部分114は、CVC部分112の遠位端からPIV部分116の近位端まで延びる。PIV部分116は、移行部分114の遠位端から先細の末梢静脈内カテーテル先端142まで延びる。一実施形態では、PIV部分116は1cm~20cmの間で延在し、好ましい実施形態では7cm延びる。しかしながら、PIV部分116はこれらの測定値を超えて長さを変えることができ、そのようなPIV部分116も本発明の範囲内にある。また、CVC部分112、移行部分114、およびPIV部分116の相対的な長さもまた変えることができ、それも本発明の範囲内にある。
【0023】
一実施形態では、CVC部分112およびPIV部分116は、異なる構造的および機械的特性を規定する。CVC部分112は、比較的大きな直径を画定し、本明細書でより詳細に説明されるように、1つまたは複数の内腔を含む。CVC部分112を形成する材料は、比較的柔らかい約93Aショアのデュロメータを有する。これにより、CVC部分112は患者の蛇行する血管系を通過することが可能になる。
【0024】
PIV部分116は、CVC部分112よりも比較的小さい直径を画定し、通常、単一の内腔のみを画定する。しかしながら、PIV部分116が1つまたは複数の内腔を画定する実施形態も考えられる。PIV部分116を形成する材料は、CVC部分112よりも比較的硬く、デュロメータは約72Dショアである。PIV部分116はまた、CVC部分112よりも大きい柱状強度および大きいフープ強度を規定し、一実施形態では、柱状およびフープ強度を向上させるためにPIV部分116の壁内に配置された補強材を含む。これにより、PIV部分116は、遠位に押し付けられて、また患者の皮膚表面および皮下組織を通して挿入されている間も持続するような、長手方向軸に沿ったより大きな圧縮力に耐えることができる。次に、PIV部分116は、PIV部分116の全体的な形状およびその中に形成された任意の内腔の開存性を維持することができる。
【0025】
移行部分114では、CVC部分112とPIV部分116との間における異なる構造的および機械的特性が遷移する。移行部分116は、PIV部分116の比較的小さい直径とCVC部分112の比較的大きい直径との間に滑らかな外側プロファイルを提供するための先細部を含む。有利には、本明細書でより詳細に説明するように、移行部分114は、カテーテル本体110を患者内に進めるときに自己拡張機能を提供する。
【0026】
一実施形態では、PIV部分116、移行部分114、CVC部分112、またはそれらの組み合わせは、潤滑性コーティングを含む。本明細書に記載されるように、カテーテル本体110のCVC部分112、移行部分114、およびPIV部分116は、単一の構造として提供される。一実施形態では、CVC部分112、移行部分114、およびPIV部分116、またはそれらの組み合わせは、別個の構造として提供することもでき、様々な一時的または永久的結合を使用して接続することもできる。例えば、カテーテル本体110の1つまたは複数の部分112、114、116は、別個の構造として提供されて、互いに結合、溶接、融着、または接着されてもよい。1つまたは複数の部分を有する本明細書に記載のカテーテルなどのカテーテルを形成する方法は、2019年9月10日付けで出願された米国仮出願第62/898408号に開示されており、その全体が本出願に組み込まれる。
【0027】
図3は、PIV部分116、移行部分114、およびCVC部分112の遠位端の拡大図を示している。CVC部分112の遠位端は、針アクセス開口144と、1つまたは複数の出口開口、例えば、CVC部分112の側壁を貫通して配置された第1の出口開口146とを含む。本明細書に記載されるように、長尺状の本体110は、1つまたは複数の管腔を含む。第1の管腔152は、第1のコネクタ132から、CVC部分112の側壁を貫通して配置された第1の出口開口146まで延びる。第2の管腔154は、第2のコネクタ134から長尺状の本体110の遠位端104の開口部まで延びる。第3の管腔(図示せず)は、第3のコネクタ136から、第1の出口開口146の反対側の、CVC部分112の側壁を貫通して配置された第2の出口開口(図示せず)まで延びる。一実施形態では、第1および第3の管腔152、156もまた、PIV部分116を通って遠位端104まで延びる。
【0028】
一実施形態では、ガイドワイヤ180は、ガイドワイヤ180の遠位端が、例えば、針アクセス開口144に隣接して、CVC部分112の遠位端に近接して配置されるように、第2の管腔154内に配置される。有利には、ガイドワイヤがカテーテル本体110内に予め装填されて提供され、カテーテル110の遠位端104にすでに近接しているので、ガイドワイヤの迅速な配備が可能になる。一実施形態では、ガイドワイヤ180の外径は第2の管腔154の内径と略同じであるため、管腔154を通って近位方向に流れる流体は、その中に配置されたガイドワイヤ180によって実質的に遮断される。一実施形態では、ガイドワイヤ180は、CVC部分112、移行部分114を通って、第2の管腔154のPIV内腔部分150内に延びる。一実施形態では、ガイドワイヤハブ182がコネクタ134と係合すると、ガイドワイヤ180は、カテーテル110の遠位端104まで延びる。一実施形態では、ガイドワイヤ180は、カテーテル110の遠位端104を超えて遠位方向に延びる。一実施形態では、ガイドワイヤ180は、カテーテル110の遠位端104を超えて15cm延びる。一実施形態では、ガイドワイヤ180は、カテーテル110の遠位端104を十分に超えて延在して、上大静脈(「SVC」)の下側3分の1に到達する。一実施形態では、クランプ138は、ガイドワイヤ180を所定の位置で選択的に固定することができる。
【0029】
図1および4に示されるように、カテーテルアセンブリ100は、注射器160および針162を含む。針ハブ166の近位端は、様々な医療ライン、注射器など、例えば注射器160が針162の内腔と連通することを可能にするコネクタを含んでいる。ハブ166と注射器160との間のコネクタは、ルアーロック、スピンナット、または同様の適切なコネクタであってもよい。一実施形態では、針162および針ハブ166は、注射器160が接続されていないときに針を通る流れを防止する弁装置を含む。一実施形態では、針162および針ハブ166は、針先164が患者の血管系にアクセスしたことを示すための血液フラッシュバックインジケータ装置を含む。一実施形態では、注射器160または同様の装置は、真空を誘導して血流を引き込んで、針先164が血管系に正しくアクセスしたことを確認することができる。一実施形態では、注射器160を針162から選択的に取り外して血流を観察して、針先164が血管系に正しくアクセスしたことを確認することができる。例えば、血流が実質的に安定していて暗赤色である場合、臨床医は静脈アクセスを確認して処置を続行することができる。しかしながら、血流が拍動性で鮮紅色の場合は、臨床医は動脈へのアクセスを確認できる。
【0030】
針162は、針先164がカテーテル本体110の遠位端104を超えて遠位方向に延びるように、針アクセス開口144を通って第2の管腔154のPIV内腔部分150に延びる。一実施形態では、針アクセス開口144は、スリット、U字形スリット、円形または楕円形開口、または同様の構造を含む。一実施形態では、針アクセス開口144は、針162が針アクセス開口114を貫通することを可能にするが、針162が除去されると流体が漏れるのを防ぐ、シリコーンなどの針貫通可能材料を含む。一実施形態では、針アクセス開口144は、針162へのアクセスを可能にするとともに、針162が除去されたときに針アクセス開口144を閉じる弁を含む。
【0031】
図4に示すように、一実施形態では、PIVハブ148は、長尺状の本体110と結合されて、長手方向軸に実質的に平行な、針アクセス開口144およびPIV内腔部分150と整列するPIVハブ内腔を画定する。PIVハブ148は、針162と針アクセス開口144およびPIV内腔部分150との位置合わせを容易にする。一実施形態では、PIVハブ148は、針162の斜端174を所定の位置、例えば、上方位置、下方位置などに整列させる回転防止機能を含む。一実施形態では、PIVハブ148の近位端は、針162の斜端174を上方位置に合わせるために針ハブ166上の同様の構造に係合する様々な戻り止め、当接部、ガイドなど、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、針ハブ166は、PIVハブ148に配置されたスロットと係合するリブを含む。スロットおよびリブは、PIVハブ148および針ハブ166が、針162の斜端が皮膚穿刺を容易にするために上向きに正しく向けられたときにのみ完全に係合するように配向されている。
【0032】
一実施形態では、PIVハブ148はタブ170をさらに含む。臨床医は、タブ170を使用して、針ハブ166をPIVハブ148から分離させるときに、PIVハブ148を安定させることができる。一実施形態では、PIVハブ148は、PIVハブ148を長尺状の本体110の隣接部分、すなわち、CVC部分112の遠位端に固定するクリップ172を含む。クリップ172は、PIVハブ148、およびPIVハブ148に結合された針162を安定させて、針162が針アクセス開口144から誤って引き抜かれるのを防ぐ。クリップ172はまた、PIVハブ148をデバイス100から選択的に取り外すことを可能にする。さらに、PIVハブ148は、以下でより詳細に説明するように、針先164とカテーテル本体110の遠位端104との間の距離(ライディスタンス、lie distance)が正しく整合するような位置でCVC部分112に結合される。一実施形態では、カテーテル本体110は、PIVハブ148が遠位端104に対してカテーテル本体110上に正しく配置されるように、様々なマーキング、戻り止め、突起、またはそれらの組み合わせを含む。
【0033】
図5A~5Cは、PIV部分116の遠位端の拡大断面図を示している。図5Aは、針162が中に配置されていない、PIV部分116の遠位端を示している。PIV部分116の先端142は、先細の外側プロファイルを画定し、PIV部分116の比較的大きい直径から遠位端104の比較的小さい直径に徐々に減少する。先端部分142の内腔直径も先細になっており、PIV内腔部分150の比較的大きい直径から遠位端104の管腔の比較的小さい直径に徐々に減少している。
【0034】
図5Bは、針162が中に配置された、PIV部分116の遠位端の拡大断面図を示している。針162の外径は、PIV内腔部分150内にぴったりと収まる大きさである。遠位端104の内腔の内径は、針162の外径よりも相対的に小さくなるような大きさである。したがって、針162の斜端174全体がカテーテル110の遠位端104を超えて遠位方向に延びるように、針162が遠位端104を通って配置されると、遠位端104が伸びて針162のシャフトの外径の周りにびったりと係合する。本明細書に記載されるように、PIVハブ148は、例えば、図5Bに示されるように、針先164と遠位端104との間の正しい距離を確保するように配置される。
【0035】
対照的に、図5Cに示されるように、針先164と遠位端104との間の距離がずれている場合、針162の斜端174の一部が遠位端104の近位側に残ってしまう。したがって、カテーテルアセンブリ100を患者内に進める場合、組織および流体は、内腔150の内壁と針162との間に押し込まれ、カテーテルアセンブリ100の円滑な前進を妨害することがある。
【0036】
例示的な使用方法では、カテーテルアセンブリ100は、本明細書に記載されているように、事前に組み立てられた形態で提供される。しかしながら、カテーテルアセンブリ100の構成要素はまた、キットとして組み立てられていない形態で提供されてもよく、あるいは、別個に提供されてもよく、そして使用前に臨床医によって組み立てられてもよい。臨床医は、針先164を使用して患者の血管系にアクセスする。針内腔168を通る近位血流を針ハブ166で観察して、正しい血管アクセスを確認することができる。例えば、暗赤色で比較的安定した血流は、静脈へのアクセスを示し、処置を継続できる。しかし,鮮紅色の拍動性の血流は動脈へのアクセスを示し、処置を中止することができる。従来のCVC留置手技を用いた動脈アクセスは、重篤な医学的合併症を引き起こす可能性があることに留意することが重要である。しかしながら、比較的小径の針162およびPIV部分116を使用する動脈アクセスは、単に圧力を加えることによって解決することができる。一実施形態では、針ハブ166に結合された注射器160または同様のデバイスは、真空を誘導して、針内腔168から近位方向に血流を引き込むことができる。これは、血圧だけでは血流を針ハブ166の近位に進めるには不十分である場合に、正しい血管アクセスを確認するために使用することができる。一実施形態では、注射器160はまた、針ハブ166から流れる任意の血液を含むことができる。一実施形態では、針ハブ166は、注射器160が取り外されたときに血流を防止する弁をさらに含むことができる。
【0037】
血管アクセスが確認されると、臨床医は、PIVハブ148を指で安定させ、針ハブ166を近位方向に取り外すことによって、カテーテル110を針162/注射器160アセンブリから取り外すことができる。PIVプッシュオフタブ170は、臨床医がPIVハブ148を安定させることができる表面を提供することができる。一旦取り外されると、PIV部分116は、針162から離れて、患者の血管系内に、遠位方向に前進させることができる。臨床医は、PIVハブ148を把持して、PIV部分116を前進させ、さらに針162/注射器160アセンブリを近位に引き抜いて廃棄することができる。一実施形態では、針162がカテーテル本体110から取り外されると、弁または同様の構造が針アクセス開口144を閉じて、針アクセス開口144を通る血流を止める。次に、PIVハブ148をカテーテル本体110から取り外して廃棄することができる。
【0038】
PIV部分116の先細の先端142は、針162のシャフトの周りにしっかりと取り付けられて固定されている。これは、針162/PIV先端142アセンブリが皮膚表面を貫通し、血管系にアクセスするときに、滑らかな外側プロファイルを提供する。針162が取り外され、PIV先端142が血管系内に配置された状態で、ガイドワイヤ180は、PIV部分116の内腔150を通って血管系内に進むことができる。PIV部分116は、ねじれることなく、ガイドワイヤ180上を遠位方向に血管系内に押し込まれるのに十分な柱状およびフープ強度を提供し、PIV内腔150の開存性を維持する。PIV部分116はまた、血管系への遠位方向の前進を容易にするために、比較的小径であり、また任意選択で潤滑性のコーティングを含む。
【0039】
針162が取り外された状態で、管腔154内に配置されたガイドワイヤ180は、次に、PIV内腔部分150を通って遠位端104を越えて前進し、患者の血管系に入ることができる。ガイドワイヤは、上大静脈の下側3分の1などの目標位置まで進めることができる。ガイドワイヤ180に恒久的に取り付けられたガイドワイヤハブ182は、臨床医が誤ってガイドワイヤを放した場合でも、ガイドワイヤ182が血管系内に進みすぎないようにし、またガイドワイヤ180が血管系内に誤って失われることを防止する。
【0040】
ガイドワイヤ180は、手技の開始前に管腔154内に予め装填されて提供される。針アクセス開口144の近くに配置されたガイドワイヤ180の遠位端は、針162が取り外されると、ガイドワイヤ180の迅速な配備を可能にする。ガイドワイヤ180の遠位端は、血管系にアクセスするために、実質的にPIV部分116の距離を移動するだけでよい。対照的に、CVCカテーテルを配置する従来の方法では、ガイドワイヤをCVCカテーテルの近位端に送り、CVCカテーテルの全長に沿って前進させて血管系に進める必要があり、時間がかかるとともに感染のリスクが高くなる。
【0041】
次に、ガイドワイヤが所定の位置にある状態で、カテーテル110をガイドワイヤ180上で前進させることができる。移行部分114がガイドワイヤ180上を通って挿入部位を通過すると、先細の外側プロファイルは、PIV部分116の直径からCVC部分112の比較的大きな直径まで挿入部位を自動的に拡張する。一実施形態では、移行部分114、CVC部分112、またはそれらの組み合わせは、アクセスを容易にするために、その上に配置された潤滑性コーティングを含むことができる。
【0042】
次に、カテーテル本体110は、出口開口、例えば、出口開口146が所望の位置に配置されるまで、ガイドワイヤ180上を前進する。次に、カテーテルハブ120が挿入部位の近くに固定されると、ガイドワイヤ180を取り外すことができる。さらに、様々な医療ラインをコネクタ132、134、136に接続して、流体、薬剤などを、出口開口(例えば、出口開口146)を介して血管系に導入することができる。一実施形態では、ガイドワイヤ管腔154を使用して、針アクセス開口144、遠位端104の開口部、またはそれらの組み合わせによって流体を導入することができる。
【0043】
有利なことに、カテーテルアセンブリ100は、典型的にはPIVカテーテルに関連する配置の容易さを、CVCカテーテルの機能とともに提供する。CVCカテーテルを配置する従来の方法は、血管系にアクセスするための外科的切開を含む複雑な処置であり、重大な医学的合併症や感染のリスクを高める。これに対して、カテーテルアセンブリ100の配置は、比較的小さな穿刺部位を必要とし、導入および除去されるデバイスの数が少ない。これにより、処置が迅速化されて、合併症や感染のリスクを軽減することができる。
【0044】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適合および/または修正は、当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適合および/または修正もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C