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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ペースト状媒体塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/005 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
B05C17/005
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022523151
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2020059586
(87)【国際公開番号】W WO2021074777
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P-201900197
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SI
(73)【特許権者】
【識別番号】522155006
【氏名又は名称】ホストニク,ブラシュ
【氏名又は名称原語表記】HOSTNIK,Blaz
【住所又は居所原語表記】Pustal 156,4220 Skofja Loka SLOVENIA
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ホストニク,ブラシュ
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9713821(US,B2)
【文献】特開2008-246334(JP,A)
【文献】特開2008-246335(JP,A)
【文献】特開2010-006453(JP,A)
【文献】実開昭62-179069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 17/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状媒体塗布装置(1)であって、
該塗布装置(1)が、塗布装置の入口開口部(2)と、処理すべき表面上にペースト状媒体を塗布するための複数の出口開口部(3)と、塗布装置の入口開口部(2)から出口開口部(3)までペースト状媒体を分配するための分配通路(4)とを備え
該塗布装置(1)が、
四つの側壁及び底部を備え、塗布装置(1)の入口開口部(2)が配置される第一細長半体(5)と、
四つの側壁及び底部を備え、複数の出口開口部(3)が配置される第二細長半体(6)と
で形成され、
前記二つの半体の側壁の各開放端に、一体成形された円形端面(7)が設けられ、
塗布装置の作動位置において、前記二つの半体が分配通路(4)を画定するように前記円形端面が、相互に当接するようにされ、
第一半体(5)及び第二半体(6)が、それらの長手方向側部の一方において、フィルムヒンジ(8)を用いて一体的に連結され、
第一半体(5)及び第二半体(6)に、各々、返し部を有するラッチ要素(9)が設けられ、
第二半体(6)及び第一半体(5)に、各々、ラッチ要素(9)を受ける受け要素(10)が設けられ、
塗布装置(1)の作動位置において、返し部を有する各ラッチ要素(9)が、対応する受け要素(10)にラッチ留めされるように構成されている
ことを特徴とするペースト状媒体塗布装置。
【請求項2】
前記受け要素が、弾性円弧部(10)の形態で形成され、
前記弾性円弧部(10)は、第二半体(6)及び第一半体(5)に各々一体に形成され、
各返し部(11)が傾斜面(11a)によって形成され、
半体を開放位置から作動位置に動かした時に、最初に、各返し部(11)が対応する受け要素(10)に載り、返し部(11)の傾斜面(11a)によって、受け要素(10)及び/又は返し部(11)を有するラッチ要素(9)が弾性変形されるようにされ、半体を、それらが最終的な作動位置に達するまでお互いい向けて動かし続けると、返し部(11)が受け要素(10)にラッチ係合するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記受け要素(10)が、第二及び第一半体に、各々、凹部の形態で形成され、かつ、ラッチ要素が弾性ウェブによって形成され、各返し部が傾斜面によって形成され、
半体を開放位置から作動位置に動かした時に、最初に、各返し部が対応する受け要素に載り、半体が最終作動位置に到達するまで半体を各々に向けて動かし続けると、返し部によって弾性ラッチ要素が偏向され、返し部が受け要素にラッチ係合するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項4】
第一及び第二半体の円形縁面(7)に、各々、少なくとも一つの円形溝部(13)が設けられ、
第二及び第一半体の円形縁面に、各々、少なくとも一つの第一円形隆起部(12)が設けられ、
作動位置において、円形溝部(13)と第一円形隆起部(12)とが互いに係合し、二つの半体(5,6)間のより良い密閉性を確保する
ように構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項5】
第一半体(5)及び/又は第二半体(6)の各底部に、複数の補強リブ(14)が設けられ、前記補強リブ(14)が、半体の長手方向側部に実質的に直交する方向で配置され、半体の対向する長手方向側部を連結するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項6】
塗布装置の両端に、表面にペースト状媒体を均一に塗布することを可能にする一つのスペーサ要素(15)が設けられている
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項7】
出口開口部(3)が、塗布装置の中心軸線近傍の出口開口部が小径に形成され、中心軸線から離れるにつれて出口開口部の直径が大きくなるように、異なる直径で形成されている
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項8】
塗布装置が、スクレーパ、こて、ブレード、サイドスペーサ、ストロークリミッタ等の補助ツールを受けるための受け孔(16)を有する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項9】
塗布装置が、プラスチック、好ましくはHDPEで形成されている
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項10】
塗布装置の入口開口部が、ペースト状媒体容器又はペースト状媒体ディスペンサと結合するように適合されている
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項11】
塗布装置の入口開口部がスリーブの形態で形成され、前記スリーブの内側円形表面に、アダプタとの結合のためのステップ(17)が形成され、
塗布装置の入口開口部の入口部分(18)が、アダプタの挿入を容易にするためにテーパー状に構成されている
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の塗布装置。
【請求項12】
請求項11に記載のペースト状媒体塗布装置とアダプタ(19)とを有するキットであって、
前記アダプタ(19)が、アダプタの入口開口部(20)を有し、ペースト状媒体容器又はペースト状媒体ディスペンサに結合するように適合され、
かつ、前記アダプタ(19)が、アダプタの筒状出口開口部(21)を有し、該出口開口部(21)に、第二円形隆起部(22)が周方向に設けられている
ことを特徴とするキット。
【請求項13】
塗布装置の入口開口部の軸線が、作業位置において、塗布装置の横方向における半体の接触面に対して90°未満の角度で傾斜している
ことを特徴とする請求項12に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤、シール材、絶縁材等として使用されるシリコンやポリウレタンフォーム等の媒体を平面に塗布するためのペースト状媒体塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状媒体容器又はペースト状媒体ディスペンサに連結するための入口開口部と、ペースト状媒体を表面に塗布するための複数の出口開口部とを有する多くのペースト状媒体塗布装置が従来技術から知られている。ペースト状媒体容器は円筒形のカートリッジの形態であり得、かつ、使用時に、ペースト状媒体を袋状又は管状の容器から押し出すプランジャが設けられ得る。塗布装置は、ペースト状媒体を吐出するための銃型工具と連結して使用され得る。塗布装置を使用することで、ペースト状媒体は表面に均一に塗布される。塗布装置は、その複雑な形状のために、先行技術から公知のように、プラスチックで成形され、少なくとも2つの射出成形部材で構成されている。従って、塗布装置を製造する時には、異なる部材を、接着、溶接又は他の適切な方法で組み立てて結合する必要がある。この作業には、時間がかかり、製造コストがより高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
技術的課題は、単一式ペースト状媒体塗布装置をどのように提供するかということにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した技術的課題は、下記のように構成されたペースト状媒体塗布装置によって解決される。即ち、前記ペースト状媒体塗布装置は、
ペースト状媒体塗布装置の入口開口部と、
処置すべき表面にペースト状媒体を塗布するための複数の出口開口部と、
塗布装置の入口開口部から出口開口部までペースト状媒体を分配するための分配通路と
を備え、
該ペースト状媒体塗布装置が、
四つの側壁及び底部を備え、塗布装置の入口開口部が配置される第一細長半体と、
四つの側壁及び底部を備え、複数の出口開口部が配置される第二細長半体と
で形成され、
前記二つの半体の側壁の各開放端に、一体成形された円形端面が設けられ、
塗布装置の作動位置において、前記二つの半体が分配通路を画定するように前記円形端面が、相互に当接するようにされ、
第一及び第二半体が、それらの長手方向側部の一方において、フィルムヒンジを用いて一体的に連結され、
第一及び第二半体に、各々、返し部を有するラッチ要素が設けられ、
第二及び第一半体に、各々、ラッチ要素を受ける受け要素が設けられ、
塗布装置の作動位置において、返し部を有する各ラッチ要素が、対応する受け要素にラッチ留めされるように構成されている。
【0005】
本発明による塗布装置の利点は、それが単一構造(モノリシック構造)であることにある。塗布装置の製造工程において、最終製品を製造するために様々な部材を組み立てて接着する必要がなくなり、その結果、製造コストが下がり、製造時間が短くなる。塗布装置の半体は、フィルムヒンジを中心に簡単に折り畳まれた後、お互いに対して押し付けられることによって、開放位置から作動位置まで動かされ、その結果、ラッチ要素が受け要素にロックされる。これは、使用前にエンドユーザによっても行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】塗布装置を開いた状態を示す図である。
図2】塗布装置を開いた状態を示す図である。
図3】塗布装置を開いた状態の横断面図である。
図4】作動位置における塗布装置の半体のヒンジ連結部の詳細を示す断面図である。
図5】作動位置における塗布装置の半体の返し部を有するラッチ要素と受け要素との間の連結状態の詳細を示す断面図である。
図6】ペースト状媒体塗布装置及びアダプタを備えたキットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、様々な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。
【0008】
技術的課題は、以下の構成を有するペースト状媒体塗布装置1によって解決される。
該ペースト状媒体塗布装置1は、
ペースト状媒体塗布装置の入口開口部2と、
処置すべき表面上にペースト状媒体を塗布するための複数の出口開口部3と、
塗布装置の入口開口部から出口開口部までペースト状媒体を分配するための分配通路4と
を備え、
該ペースト状媒体塗布装置が、
四つの側壁及び底部を備え、塗布装置の入口開口部2が配置される第一細長半体5と、
四つの側壁及び底部を備え、複数の出口開口部3が配置される第二細長半体6と
で形成され、
前記二つの半体の側壁の各開放端に、一体成形された円形端面7が設けられ、
塗布装置の作動位置において、前記二つの半体が分配通路を画定するように前記円形端面が、相互に当接するようにされ、
第一及び第二半体が、それらの長手方向側部の一方において、フィルムヒンジ8を用いて一体的に連結され、
第一半体5及び第二半体6に、各々、返し部を有するラッチ要素9が設けられ、
第二半体6及び第一半体5に、各々、ラッチ要素9を受ける受け要素10が設けられ、
塗布装置の作動位置において、返し部を有する各ラッチ要素が、対応する受け要素にラッチ留めされるように構成されている。
【0009】
受け要素は、弾性円弧部10の形態で形成され得、第二半体6及び第一半体5に各々一体に形成され、各返し部11が傾斜面11aによって形成され、半体を開放位置から作動位置に動かした時に、最初に、各返し部11が対応する受け要素10に当接し、返し部11の傾斜面11aによって、受け要素10及び/又は返し部11を有するラッチ要素9が弾性変形されるようにされ、半体5及び6を、それらが最終的な作動位置に達するまでお互いい向けて動かし続けると、返し部11が受け要素10にラッチ係合するようにされている。
【0010】
別の実施形態では、受け要素は、第二及び第一半体に、各々、凹部の形態で形成され、かつ、ラッチ要素は弾性ウェブによって形成され、各返し部は傾斜面によって形成され、半体を開放位置から作動位置に動かした時に、最初に、各返し部が対応する受け要素に載り、半体が最終作動位置に到達するまで半体を各々に向けて動かし続けると、返し部によって弾性ラッチ要素が偏向され、返し部が受け要素にラッチ係合するようにされている。
【0011】
第一及び第二半体の円形縁面7には、各々、少なくとも一つの円形溝部13が設けられ、第二及び第一半体の円形縁面には、各々、少なくとも一つの第一円形隆起部12が設けられ、作動位置において、円形溝部13と第一円形隆起部12が互いに係合し、二つの半体5及び6間のより良い密閉性と、ペースト状媒体の高い圧力に対する塗布装置の適合性とを確保することができるようにされている。
【0012】
第一半体5及び/又は第二半体6の各底部には、複数の補強リブ14が設けられており、前記補強リブ14は、半体の長手方向側部に実質的に直交する方向で配置され、半体の対向する長手方向側部を連結するようにされている。これらの補強リブの機能は、半体の長手方向側部の機械的強度を増加させることにある。これにより、塗布装置の使用時にラッチ要素にかかる圧力が低減される。
【0013】
その長手方向において、塗布装置の両端には、表面にペースト状媒体を均一に塗布することを可能にする一つのスペーサ要素が設けられている。
【0014】
出口開口部3は、塗布装置の中心軸線近傍の出口開口部が小径に形成され、中心軸線から離れるにつれて出口開口部の直径が大きくなるように、異なる直径で形成することができる。塗布時のペースト状媒体の圧力は塗布装置の中心軸線で最も高く、かつ、塗布装置の長手方向両端の方向における分配通路の下流側で徐々に低くなるので、上記した構成により、処理すべき表面へのペースト状媒体の塗布がより均一に行われるようになる。出口開口部の直径は、ペースト状媒体の粘度に応じて選択される。
【0015】
ペースト状媒体塗布装置には、スクレーパ、こて、ブレード、サイドスペーサ、ストロークリミッタ等の補助ツールを受けるための受け孔16が設けられ得る。
【0016】
ペースト状媒体塗布装置は、プラスチック、好ましくはHDPEで形成される。
【0017】
塗布装置の入口開口部2は、ペースト状媒体容器又はペースト状媒体ディスペンサと結合するように適合され得る。代わりに、塗布装置の入口開口部2をスリーブの形態で形成してもよく、この場合、その内側円形表面には、アダプタとの結合のためのステップ17が形成され得る。塗布装置の入口開口部の入口部分18は、アダプタの挿入を容易にするためにテーパー状に構成され得る。
【0018】
本発明は、また、ペースト状媒体塗布装置及びアダプタ19を有するキットに関し、前記アダプタ19は、アダプタの入口開口部20を有し、ペースト状媒体容器又はペースト状媒体ディスペンサに結合するように適合されている。また、前記アダプタ19は、アダプタの筒状出口開口部21を有し、該出口開口部21には、第二円形隆起部22が周方向に設けられている。
【0019】
アダプタが塗布装置の入口開口部に挿入されると、第二円形隆起部22がペースト状媒体塗布装置の入口開口部2のステップ17に係合し、それにより、ペースト状媒体塗布装置は、アダプタ19の所定の位置に固定される。
【0020】
塗布装置の入口開口部の軸線は、作業位置において、塗布装置の横方向における半体の接触面に対して90°未満の角度で傾斜している。塗布装置とアダプタとの間の回転接続により、塗布装置が使用中に作業面に適応することが保証される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6