(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のシートの製造のための方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/12 20060101AFI20241112BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
A24B15/12
A24B3/14
(21)【出願番号】P 2022535614
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020083941
(87)【国際公開番号】W WO2021121931
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-22
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】デル ボレロ ミケーレ
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5499636(US,A)
【文献】米国特許第2592554(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第3483150(EP,A1)
【文献】米国特許第5097851(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/12
A24B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のシートの製造のための方法であって、
〇アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程と、
〇前記スラリーを押し出す工程と、
〇前記押し出されたスラリーを、複数の出口を有するタンク内に収集する工程と、
〇繊維を含む二つ以上の基材シートを提供する工程と、
〇繊維を含む前記二つ以上の基材シート上に複数のスラリーの細片を形成するように前記複数の出口からスラリーを供給して、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートを形成する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の出口からスラリーを供給する前記工程が、
〇前記スラリーを少なくとも一つの基材シート上にスプレーすること、または
〇前記スラリーを少なくとも一つの基材シート上に堆積させること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
〇前記複数のうちの少なくとも一つの出口から供給される前記スラリーの圧力または流量を調節する工程を含む、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記複数の出口のうち少なくとも一つの出口から供給される前記スラリーの前記圧力または前記流量を調節する前記工程が、前記複数の出口のうちの少なくとも一つの出口から供給される前記スラリーの前記圧力または前記流量を、前記複数の出口のうちのその他の出口のうちの少なくとも一つから独立して調節することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
〇押し出している間に、前記スラリー中の前記水の量を低減する工程を含む、請求項1~4に記載の方法。
【請求項6】
〇前記複数のうちの少なくとも一つの出口から供給されるスラリーの流れを、構成要素を用いて前記基材シートの移動方向に沿った向きにする工程を含む、請求項1~5に記載の方法。
【請求項7】
〇前記アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちの少なくとも一つの厚さを評価する工程と、
〇評価された厚さが所与の値の範囲外である場合に、アルカロイドを含有する前記二つ以上の前記材料のシートのうちの少なくとも一つの前記厚さを、アルカロイドを含有する前記二つ以上の材料のシートのうちの前記少なくとも一つを圧縮することによって変更する工程と、を含む、請求項1~6の一項以上に記載の方法。
【請求項8】
アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供することが、
〇前記スラリーの総重量の約40パーセント~約70パーセントから成る量のアルカロイドを含有する前記材料を前記スラリーに提供する工程、
〇前記スラリーの総重量の約30パーセント~約55パーセントから成る量の前記水を前記スラリーに提供する工程、
〇前記スラリーの総重量の約0パーセント~約1パーセントから成る量の結合剤を前記スラリーに提供する工程、または
〇前記スラリーの総重量の約1パーセント~約5パーセントから成る量の前記エアロゾル形成体を前記スラリーに提供する工程、を含む、請求項1~7の一項以上に記載の方法。
【請求項9】
アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する前記工程が、
〇アルカロイドを含有する材料を約8マイクロメートル~200マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程、を含む、請求項1~8の一項以上に記載の方法。
【請求項10】
約0.7ミリメートル~約2.5ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含む前記二つ以上の基材シートのうちの少なくとも一つを提供する工程を含む、請求項1~9の一項以上に記載の方法。
【請求項11】
〇前記タンク内に収集された前記押し出されたスラリーを均質化する工程を含む、請求項1~10の一項以上に記載の方法。
【請求項12】
複数の平行なスラリーの細片を形成するように、前記複数の出口から前記スラリーを供給することが、
〇前記複数の出口の下方に位置する移動ドラムを提供することであって、前記移動ドラムが軸の周りを回転する、提供することと、
〇基材シートの二つ以上のボビンを提供することと、
〇繊維を含む二つ以上の基材シートを得るように、前記二つ以上のボビンを巻き出すことと、
〇前記移動ドラムの回転に起因して移動方向に沿って前記二つ以上の基材シートを移動させるように、繊維を含む前記二つ以上の基材シートを前記移動ドラムと接触して定置することと、
〇繊維を含む前記二つ以上の基材シート上に前記複数の出口からスラリーを供給する一方で、繊維を含む前記二つ以上の基材シートを前記移動ドラムによって前記移動方向に沿って移動させることと、を含む、請求項1~11の一項以上に記載の方法。
【請求項13】
アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートの製造のためのシステムであって、
-繊維を含む基材シートの二つ以上のボビンと、
-繊維を含む前記二つ以上の基材シートにスラリーを供給するための設備であって、
i.スラリーを押し出すように適合されたエクストルーダーと、
ii.スラリーを包含するように適合された、複数の出口を有するタンクと、
iii.スラリーが前記二つ以上の基材シートに適用されるように、前記二つ以上のボビンから巻き出された繊維を含む前記二つ以上の基材シートを、搬送方向に沿って、かつ前記出口の下に移動するように適合された移動要素と、を備える設備と、を備えるシステム。
【請求項14】
前記エクストルーダーがスクリューエクストルーダーである、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートを製造するための方法に関する。
【0002】
特に、アルカロイドを含有する材料は均質化したたばこ材料であり、例えば紙巻たばこ、または「加熱非燃焼式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用されることが好ましい。
【0003】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、キャストリーフまたは再構成たばこのような均質化したたばこ材料も使用されている。
【0004】
「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的に低い温度に加熱される。
【0005】
均質化したたばこ材料は、たばこ粉末を含む異なる構成成分を混合して、たばこスラリーを形成することによって製造される。さらに、スラリーは一般的に、たばこに含有されている繊維に加えて、セルロース繊維などの繊維を含有する。次に、このスラリーは、適切な送達システムを通してキャスティングシステムに送られる前にタンク内に貯蔵され、キャスティングシステムでは移動コンベヤーの鋼ベルト上にキャストされるために「キャスティングボックス」に入り、その後、乾燥機内で乾燥される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱非燃焼式製品用に使用することができるアルカロイドを含有する代替的な材料を得るためのプロセスに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートの製造のための方法に関し、方法は、アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程と、スラリーを押し出す工程とを含む。方法はまた、出口を有するタンク内に押し出されたスラリーを収集する工程と、繊維を含む基材シートを提供する工程とを含んでもよい。方法はまた、スラリーの細片を形成するように、スラリーを出口から基材シート上に供給する工程を含んでもよく、基材シートは、スラリーの細片とともに、アルカロイドを含有する材料のシートを形成する。
【0008】
本発明はまた、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートの製造のためのシステムに関し、システムは、繊維を含む基材シートの二つ以上のボビンを備える。システムはまた、繊維を含む二つ以上の基材シートにスラリーを供給するための設備も含んでもよい。設備は、スラリーを押し出すように適合されたエクストルーダーと、スラリーを包含するように適合された複数の出口を有するタンクと、二つ以上の基材シートにスラリーが適用されるように、二つ以上のボビンから巻き出された繊維を含む二つ以上の基材シートを、搬送方向に沿って、かつ出口の下に移動させるように適合された移動要素とを含んでもよい。
【0009】
本発明はまた、アルカロイドを含有する材料のシートの製造のためのシステムに関し、システムは、繊維を含む基材シートのボビンと、繊維を含む基材シートにスラリーを供給するための設備とを含む。設備は、スラリーを押し出すように適合されたエクストルーダーと、エクストルーダーからスラリーを受容するように適合された出口を有するタンクと、基材シートにスラリーが適用されるように、ボビンから巻き出された繊維を含む基材シートを、搬送方向に沿って、かつ出口の下に移動させるように適合された移動要素とを含んでもよい。
【0010】
スラリーは、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために繊維を含む基材シートに供給される。それ故に、スラリーのための「繊維の基材」が既に存在し、比較的に高い引張強さを有するアルカロイドを含む材料のシートを得るために、スラリー中に大量の繊維を加える必要がない。この態様は、スラリーでより少ない水を使用することと、それ故に、結果として得られたアルカロイドを含有する材料のシートを乾燥するうえでより少ないエネルギーを使用することとを可能にする場合がある。
【0011】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0012】
本明細書で使用される「スラリー」という用語は、異なる液体様の粘稠な、またはペースト状の材料のエマルションを含んでもよい液体様の粘稠な、またはペースト状の材料を意味する。スラリーは、スラリーが液体様の粘稠な、またはペースト状の挙動を依然として示すという条件で、一定の量の固体状態の粒子を含有してもよい。
【0013】
以下において、「上流」または「下流」という用語を用いて、スラリーの流れの方向を参照する。
【0014】
本明細書で使用される「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも一つの長軸方向で移動するように適合された表面を備える任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、一つの方向で途切れることのない搬送能力を提供するように、閉ループを形成してもよい。しかしながら、移動可能な支持体は往復運動のやり方でも同様に移動してもよい。移動可能な支持体はコンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよい。移動可能な支持体は、構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、シート様の移動可能でかつ曲げることができる帯を含んでもよい。帯は、鋼、銅、鉄合金、銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴムで作製されてもよい。
【0015】
「繊維を含む基材シート」は、スラリーのための基材として使用される、かつ繊維を含む材料で形成されたシートを意味する。シートが形成される材料は、任意のタイプの繊維、例えばセルロース繊維を含んでもよい。材料のシートは、移動可能な支持体の上に定置されてもよく、または自己支持形であってもよい。
【0016】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされうる。
【0017】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、より稀には塩素、臭素、リンなどの他の元素も含有する場合がある。
【0018】
カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンはアルカロイドの例である。
【0019】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0020】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこ粉末と結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後スラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、移動する金属ベルト上に粘稠なスラリーをキャスティングすることによって、たばこシートを作り出すために使用される。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0021】
たばこのシート材料は、再構成シート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状のたばこまたは粒子状のたばこブレンド、湿潤剤、水性溶剤を使用して形成されることができる。
【0022】
均質化したたばこシートは、たばこの他に、結合剤を含んでもよい。結合剤はグアーであってもよい。均質化したたばこシートはまた、エアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンであってもよい。
【0023】
「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成する場合がある揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。典型的に、エアロゾル形成基体は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体は、揮発性アルカロイド風味化合物を含有するアルカロイドを含有する材料を含んでもよく、これは加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化した材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。
【0024】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生するように構成された装置を指す。エアロゾル発生装置は、ヒーターなどのエアロゾル化器を含むことが好ましい。
【0025】
アルカロイドを含有する材料のシートはそれ故に、任意のアルカロイド、または二つ以上のアルカロイドの組み合わせを含有する材料で形成されているシートである。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約10ミリメートルよりも大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルよりも大きいことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約60ミリメートル~約2500ミリメートルから成ることがなおより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートの厚さは、約50マイクロメートル~約300マイクロメートルから成ることが好ましく、シートの厚さは、約100マイクロメートル~約250マイクロメートルから成ることがより好ましく、約130マイクロメートル~220マイクロメートルから成ることがさらにより好ましい。
【0026】
アルカロイドを含有する材料のシートは、エアロゾル発生装置のためのエアロゾル形成基体として使用されうる。
【0027】
このスラリーは、数多くの異なる構成要素または成分を含んでもよい。これらの構成要素は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートの特性に影響を及ぼす場合がある。第一の成分は、例えば粉末形態のアルカロイドを含有する材料である。この材料は、例えばたばこ粉末ブレンドとすることができる。たばこ粉末ブレンドは、スラリー中に存在するたばこの大半を含有することが好ましい。このように、たばこ粉末ブレンドは、均質化したたばこ材料中のたばこの大半の供与源である。そのため、たばこ粉末ブレンドは、最終製品、例えば均質化したたばこ材料を加熱することによって生成されるエアロゾルへの風味を画定する。スラリー中のたばこ粉末の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約20パーセント~約45パーセントから成ることが好ましい。スラリー中のたばこ粉末の量は、好ましくはスラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約25パーセント~約45パーセントから成ることがより好ましい。
【0028】
均質化したシートの引張特性を強化するために、結合剤がスラリーに添加されることが好ましい。エアロゾルの形成を促進するために、エアロゾル形成体をスラリーに添加することが好ましい。さらに、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャスティングするために特定の粘度および水分に達するために、水がスラリーに添加されてもよい。
【0029】
スラリーに添加される結合剤の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約0パーセント~約1パーセントから成ってもよい。スラリーに添加される結合剤の量は、約0パーセント~約0.5パーセントから成ることがより好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、アルカロイドを含有する材料のシート全体を通してアルカロイド粉末が実質的に分散したままであることを確実にする場合がある。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0030】
アルカロイドを含有する材料のシートのためのスラリーに含める適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0032】
スラリーは、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約1パーセント~約5パーセントから成るエアロゾル形成体含有量を有してもよい。このエアロゾル形成体含有量は、スラリーの総質量の1~3パーセントから成ることが好ましく、これはスラリーの乾燥重量基準で約2.9パーセント~約8.5パーセントから成るエアロゾル形成体の量に対応する。
【0033】
水もまた、スラリー中に存在することが好ましい。水の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約30パーセント~55パーセントから成ることが好ましい。水の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の約45パーセント~55パーセントから成ることがより好ましい。
【0034】
好ましくは粉末形態のアルカロイドを含有する材料は、セルロースを含有してもよい。しかしながら、スラリー中にセルロース繊維は添加されないこと、すなわちアルカロイドを含有する材料中に既に含有されている繊維以外に、スラリー中にさらなる繊維は添加されないことが好ましい。従って、スラリーに添加された繊維(すなわち、アルカロイドを含有する材料中に既に含有されている繊維に加えて)の量は、スラリーの総質量、すなわち水を含むスラリーの質量の0.5パーセントよりも低いことが好ましい。添加された繊維は、スラリーの総質量の約0.1パーセントよりも低い量で存在することがより好ましい。
【0035】
スラリーは所与の場所において形成される。その後、スラリーは貯蔵されてもよい。スラリーは、例えば同じ場所、例えば同じ貯蔵タンク内で貯蔵および形成されることができ、または二つの異なる場所、例えば二つの異なる貯蔵タンク内で貯蔵および形成されることができる。使用される貯蔵タンクは、当該分野で周知であることが好ましい。さらに、スラリーは、単一の貯蔵タンク内で、または複数の貯蔵タンク内で形成または貯蔵されることができる。貯蔵タンク内には、スラリーを均質化するためにミキサーが存在することが好ましい。
【0036】
スラリーは、貯蔵タンクからエクストルーダーに移送される。スラリーは、例えばエクストルーダーの入口の中に導入され、エクストルーダーの出口にてエクストルーダーを出る。エクストルーダーの二つ以上の入口および二つ以上の出口が存在してもよい。エクストルーダーはスクリューを含んでもよく、その回転はスラリーの圧縮を引き起こしてもよい。スラリーを加熱するために、エクストルーダー内に発熱体が存在してもよい。スクリューの回転はまた、スラリーの加熱を引き起こしてもよい。エクストルーダーは、一軸スクリューエクストルーダーを含んでもよい。従って、ここでの押し出しは、スクリューによってスラリーを圧縮することを含んでもよい。圧縮に起因して、スラリーはエクストルーダーの出口に向かって方向付けられる。押し出し後のスラリーは依然としてスラリー形態にある。押し出し工程は、スラリーの粘度を低減することが好ましい。
【0037】
本文脈において、「押し出し」という用語は、その一般的な意味、すなわち「強制的に出すまたは押し出す、排出する」という意味で使用される。押し出し後のスラリーは依然としてスラリー形態のままである。
【0038】
押し出されたスラリーは、出口を有するタンク内に収集される。タンクは底部壁を有し、出口は底部壁内に形成されていることが好ましい。出口は、タンクの底部壁内に形成された開口を含むことが好ましい。タンクは、エクストルーダーの下方に位置してもよい。タンクは、エクストルーダーと一体型であってもよい。
【0039】
従って、二つの構成が存在してもよい。第一の構成において、スラリーは容器内に導入される。容器は、スラリーを出口に向かって圧縮するスクリューを包含する。容器およびスクリューは、エクストルーダーであると見なされてもよい。容器から出る圧縮されたスラリーは、タンク内に導入される。タンクの出口から、またはタンクの複数の出口から、スラリーは基材シートまたは二つ以上の基材シートに供給される。
【0040】
第二の構成において、スクリューはタンク内に含まれる。言い換えれば、タンクはエクストルーダーの一部であり、スクリューはタンク内部に位置する。スラリーはタンク内に導入される。次いで、スラリーはスクリューによって圧縮される。タンクおよびスクリューは、エクストルーダーを形成する。圧縮されたスラリーは、タンクの出口または複数の出口からタンクを出る。タンクの出口から、スラリーは基材シートまたは二つ以上の基材シートに供給される。
【0041】
両方の構成において、スラリーはタンクの出口または複数の出口から出力される。
【0042】
さらに、繊維を含む基材シートが提供される。基材シートは、タンクからスラリーが供給される表面を画定する。表面は水平であってもよく、すなわち水平面に対して平行であってもよく、または傾斜していてもよい。これはまた、実質的に垂直であってもよい。基材シートは、巻き出されるボビンで提供されてもよい。
【0043】
基材シートは搬送方向に沿って移動する。
【0044】
出口を含むタンクは、基材シートの上方に位置付けられていることが好ましい。出口は基材シートの上方に位置することがより好ましい。
【0045】
繊維を含む基材シートは典型的に、比較的に「強い」シートであり、その引張強さは、シートが上で接触する必要のあるいかなる追加的な基材も必要とせずに、ローラーの間で搬送されることができるような引張強さである。基材シートの引張強さは、約0.1ニュートン/(ミリメートル)2~約1ニュートン/(ミリメートル)2から成ることが好ましい。
【0046】
基材シートは、セルロース、麻、ケナフ、竹パルプ、綿、絹、またはこれらの組み合わせを含む、天然または合成の異なる材料で作製されてもよい。材料の選択は、アルカロイドを含有する材料を含む最終的なシートに期待される機械的特性に従って行われる。
【0047】
基材シート中の繊維の含有量は、50グラム/(メートル)2よりも低いことが好ましい。
【0048】
シートを形成するセルロース繊維は当業界で周知であり、これには針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられうるが、これらに限定されないことが好ましい。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切なプロセスに供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維は低いリグニン含有量を含むことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。
【0049】
繊維を含む基材シートは、好ましくは0.7ミリメートル~約50ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を含む。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約25ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約10ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約5ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1.2ミリメートル~約1.8ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがなおより好ましい。
【0050】
繊維の平均長さは、Techpap SASによって商品化されたMORFI COMPACTによって測定される通りのそれらの実際の長さ(それらがカールしているか、またはよれているかにかかわらず)を指す。平均長さは、N本の繊維(N>5である)の測定値に対して、MORFI COMPACTによって測定された繊維の長さの数学的平均である。MORFI COMPACTは、繊維の構造に従って繊維の長さを測定する繊維分析器であり、それ故に繊維の実際の発生された長さを測定する。測定された物体は、その長さが200マイクロメートル~10000マイクロメートルから成り、かつその幅が5マイクロメートル~75マイクロメートルから成る場合に、繊維と見なされる。繊維の長さは、脱イオン水が繊維に添加され、かつMorfiソフトウェアが使用されている時に測定される。
【0051】
基材シート中の繊維は、織られていてもよく、または織られていなくてもよい。織られていない場合、繊維は主として一方向の向きにされていてもよい。また、繊維は、例えば無作為な向きにされていてもよい。織られている場合、様々なパターンを使用することが可能である。
【0052】
基材シートは第一の表面および第二の表面を画定する。例えば、第一の表面または第二の表面は、実質的に平坦な表面であってもよい。第一の表面および第二の表面は、一方がもう一方の反対側であってもよい。スラリーが第一の表面の長さに沿って第一の表面に適用されて、繊維を含む基材シート上にスラリーの細片を形成するように、タンク内に存在するスラリーを基材シートの第一の表面に適用または配分するために、基材シートは移動されることが好ましい。
【0053】
スラリーは、第一の表面全体に適用される必要がない。第一の表面の一部(例えば第一の表面の中央部分)にのみスラリーを適用することができる。
【0054】
従って、基材シートは搬送方向に沿って移動され(例えば直線移動されるなど)、基材シートの第一の表面の一部はスラリーと接触することが好ましい。
【0055】
基材シートと接触するスラリーは、基材シートによって完全に吸収されてもよい。スラリーは、基材シートの第一の表面上に被覆を形成してもよい。スラリーは、基材シートによって部分的に吸収されてもよく、また基材シートの第一の表面を部分的に被覆してもよい。基材シートおよびスラリーによって形成された、結果として得られるシートは、基材シートの第一の表面に垂直に取られた断面中に異なる組成物を有してもよい。第二の表面にて、スラリーの最も低い量が存在してもよい。第一の表面にて、スラリーの最も高い量が存在してもよい。それらの間に、基材シートの材料とスラリーと組み合わせが、異なる濃度で存在してもよい。
【0056】
搬送方向に沿って基材シートを移動させるために、移動要素が提供されてもよい。移動要素は移動可能な支持体を含んでもよく、繊維を含む基材シートは、移動可能な支持体が移動する間に基材シートを搬送するように、移動可能な支持体上に位置付けられてもよい。
【0057】
別の実施形態において、移動要素は移動ドラムを含んでもよく、この移動ドラムはその回転において、基材シートを移動させる。支持シートは、その長さの一部分については自立していてもよい。
【0058】
タンク内のスラリーの量は、実質的に一定に保たれることが好ましい。例えば、タンク内のスラリーの量は、予め定義された量と等しい。タンク内の予め定義された量のスラリーは、一定に維持されることが好ましい。例えば、タンク内のスラリーの予め決定されたレベルが設定される。タンク内の実質的に一定のレベルのスラリーを得るために、スラリーは基材シート上に供給される間、タンクに連続的に供給される。タンク内のスラリーのレベルは、センサーによってチェックされてもよく、またエクストルーダーによってタンクの中に提供されるスラリーの量は、タンク内のレベルを一定に維持するように変化してもよい。
【0059】
先述の通り、スラリーはタンクの出口から、基材シート上に供給される。スラリーは、基材シートの第一の表面上に堆積を形成する。
【0060】
さらに、搬送方向での基材シートの移動に起因して、出口から供給されたスラリーは、スラリーの細片を形成する。基材シートとその第一の表面上に提供されるスラリーの細片との組み合わせは、アルカロイドを含有する材料のシートを形成する。
【0061】
基材シートおよびスラリーの細片に加えて、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために他の要素が組み合わされてもよい。基材シート自体が、多層シートであってもよい。基材シートは、風味シート、ニコチンを含む材料のシート、および他のものを含んでもよい。
【0062】
既に形成された繊維を含む基材シート上にスラリーを供給するアルカロイドを含有する材料のシートを形成することは、スラリー中に添加された繊維を実質的に使用しないことを可能にする。繊維は一般的に、シートの引張強さを増加させるためにスラリー中に添加され、強化剤として作用する。
【0063】
しかしながら、スラリーが供給される基材シートの存在は、結果として得られるアルカロイドを含有する材料のシートに十分な引張強さを提供する。スラリーの中へのセルロース繊維の添加は回避されてもよい。
【0064】
繊維が添加されるスラリーにおいて、繊維のパルプ化のために水が必要であるため、スラリー中に比較的に大量の水が必要とされる場合がある。加えて、スラリー中に存在する大量の水に起因して、スラリーを乾燥し、アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために、大量のエネルギーが必要である。この「高含水量」プロセスにおいて、スラリーがキャスティングされるコンベヤー鋼ベルトもまた重要な役割を果たす場合がある。すなわち、コンベヤーベルトのあらゆる欠陥はキャストシートに伝達される場合があり、それ故に高質のベルトがしばしば必要とされる。繊維をスラリーから除去することは、スラリーを均質化するために必要な水の量の低減を可能にする。良好な均質化のために、一定の量の水は依然として必要とされる場合がある。この水の量は、押し出しプロセスによってその後さらに低減される場合がある。この比較的に「高密度」のスラリーは、繊維を含む基材シートに適用されるのに適している。
【0065】
本発明に従って製造されるアルカロイドを含む材料のシートの乾燥のためには、より短い乾燥時間またはより少ない乾燥電力しか必要ではない。基材シートは、ボビンに巻かれた時に既に乾燥していることが好ましい。基材シートは、スラリーに接触する前に、湿潤されてもよい(例えば基材シート上に水をスプレーしてもよい)。湿潤は、基材シート内のスラリーの浸透を容易にするために行われる。結果として得られる、アルカロイドを含有する材料の多層シート、またはアルカロイドを含有する複合材料のシートは、「部分的に湿潤」であるだけであり、乾燥時間または乾燥のために必要なエネルギーの量は比較的に低い。「激しい」乾燥がより少ないことは、エアロゾル形成基体として使用された時に、アルカロイドを含有する材料のシートによって生成されたエアロゾルの風味のより良好な制御を有することを可能にする。乾燥中に、アルカロイド、風味、または他の揮発分が蒸発する場合があり、アルカロイドを含有する材料のシート内のそれらの濃度が低減する場合がある。アルカロイドが存在する時に乾燥を最小化することは、エアロゾル特性を制御するのに役立つ。キャストリーフを乾燥するために使用される乾燥機と比較して、より小さい乾燥機しか必要でない場合がある。エネルギーが節約される場合がある。据え付け面積が節約される場合がある。
【0066】
タンクは複数の出口を含むことが好ましく、出口からスラリーを供給する工程は、スラリーの複数の細片を形成するように、複数の出口からスラリーを供給する工程を含むことが好ましい。複数のうちのすべての出口は、タンクの底部壁上に形成されていることが好ましい。複数の出口に起因して、二つ以上の単一のスラリー細片が作り出されてもよい。繊維を含む単一の基材シートが提供されてもよく、この基材シート上に、タンク上に形成された出口の数と等しい数のスラリー細片が供給される。表面上に複数のスラリー細片を有する単一の基材シートは、サブシートに切断されてもよい。別の方法として、単一のスラリー細片が基材シート上に形成されてもよく、他のスラリー細片は他の場所に形成されてもよい。従って、基材シートは一つまたは二つ以上のスラリーの細片を含んでもよい。複数のスラリーの細片は、相互に平行であることが好ましい。
【0067】
例えば、移動可能な支持体が存在する場合、スラリーの細片は基材シート上に形成されてもよく、スラリーの細片は移動可能な支持体上に形成されてもよい。
【0068】
複数の出口からスラリーを供給する工程は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートを形成するために、繊維を含む二つ以上の基材シートの上に複数の出口からスラリーを供給する工程を含むことがより好ましい。アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートが同時に形成されていることが好ましい。繊維を含む二つ以上の基材シートが提供されてもよい。基材シートの数は、タンク内に形成された出口の数と等しくてもよく、または異なってもよい。従って、各基材シートにおいて、単一のスラリーの細片が形成されてもよく、または二つ以上のスラリーの細片が形成されてもよく、またはいかなるスラリーの細片も形成されなくてもよい。基材シートの数が、タンク内に形成された出口の数と等しい場合、単一のスラリーの細片が形成されてもよい。基材シートの数が出口の数よりも少ない場合、二つ以上のスラリーの細片が形成されてもよい。アルカロイドを含有する「幅広」の材料のシートを、より幅狭のシートに細長く切る工程は回避される場合がある。このプロセスは、必要な構成要素(スリットブレードなど)がより少ない。乾燥機などの機械は、より小さくてもよい。
【0069】
さらに、基材シートの数がタンク内の出口の数と等しい場合においてまた、基材シートは、一部の基材シート上にスラリーが供給されない一方で、他の基材シート上に二つ以上のスラリーの細片が形成されるように位置付けられてもよい。
【0070】
二つ以上の基材シートの場合、基材シートは相互に同一であってもよい。特に、基材シートはすべて同じ厚さを有してもよい。基材シートはすべて同じ幅を有してもよい。
【0071】
基材シートの厚さは、約175マイクロメートル~約250マイクロメートルから成ることが好ましい。基材シートの厚さは、約190マイクロメートル~約220マイクロメートルから成ることがより好ましい。基材シートの幅は、約100ミリメートル~約150ミリメートルから成ることが好ましい。
【0072】
複数の出口からスラリーを供給する工程は、基材シート上にスラリーをスプレーすることを含むことが好ましい。複数の出口からスラリーを供給する工程は、二つ以上の基材シートのうちの少なくとも一つ上にスラリーをスプレーすることを含むことが好ましい。複数の出口からスラリーを供給する工程は、二つ以上の基材シートのすべて上にスラリーをスプレーすることを含むことが好ましい。ノズルは、タンクから基材シート上に、好ましくは繊維を含む基材シートの表面上に、好ましくは二つ以上の基材シートの表面上にスラリーを排出することが好ましい。タンク内に存在するスラリーは非常に粘稠であってもよく、例えば約18000センチポアズ~約45000センチポアから成る動粘度を有してもよく、この理由から、スラリーをタンクの出口に向かって押すために一つ以上のポンプを提供することが好ましい。ノズルは、各出口に位置付けられていることが好ましい。
【0073】
複数の出口からスラリーを供給する工程は、基材シート上にスラリーを堆積することを含むことが好ましい。複数の出口からスラリーを供給する工程は、二つ以上の基材シートのうちの少なくとも一つ上にスラリーを堆積することを含むことが好ましい。複数の出口からスラリーを供給する工程は、二つ以上の基材シートのすべて上にスラリーを堆積することを含むことが好ましい。基材シート上のスラリーの供給は、重力のみによって行われてもよい。各出口にローラーが位置付けられてもよい。ローラーは、繊維を含む基材シートと接触していてもよい。スラリーは、重力によってタンクから出口の中に落ち、その後ローラー上に落ちる。このようにして、ローラーは基材シート、または二つ以上の基材シートをスラリーで被覆する。
【0074】
方法は、出口から供給されるスラリーの圧力または流量を調節する工程を含むことが好ましい。方法は、複数の出口のうちの少なくとも一つの出口から供給されるスラリーの圧力または流量を調節する工程を含むことが好ましい。方法は、複数のうちのすべての出口から供給されるスラリーの圧力または流量を調節する工程を含むことが好ましい。出口から供給されるスラリーの圧力または流量を調節する工程は、複数の出口のうちの少なくとも一つの出口から供給されるスラリーの圧力または流量を、複数の出口のうちのその他の出口のうちの少なくとも一つから独立して調節することを含むことがなおより好ましい。N個の出口を所与として、使用可能なN個の中から出口1個を選択すると、選択された出口を出るスラリーの圧力または流量は、その他のN-1個の出口を出るスラリーの圧力または流量のうちの少なくとも一つから独立している。スラリーの流量または圧力は、複数の出口のうちのすべての出口にて独立して調節される。複数の出口のうちの少なくとも一つの出口は、出口を出るスラリーの圧力または流量を調節するためのポンプを含むことが好ましい。複数の出口の各出口は、出口を出るスラリーの圧力または流量を調節するためのポンプを含むことがより好ましい。好ましくは、圧力と流量の両方は各出口にて、複数の出口のうちの少なくとも別の出口から独立して調節されてもよい。
【0075】
本方法は、押し出しながらスラリー中の水の量を低減する工程を含むことが好ましい。本方法は、スクリューを用いてスラリーを圧縮しながらスラリー中の水の量を低減する工程を含むことが好ましい。押し出しプロセス中に、スラリー中の水の量は低減されてもよい。これは、例えば押し出しプロセス中に存在する熱および圧力に起因する。スラリー中の水を低減することは、スラリーが基材シートに供給された時に乾燥に必要な時間およびエネルギーがより少ない、より高密度のスラリーを得ることを可能にする場合がある。このようにして、結果として得られるアルカロイドを含有する材料のシートにおける結果として得られる風味およびアルカロイド濃度の制御が得られてもよい。押し出し中に除去される水の量は、スラリーの総質量の約50パーセント未満であることが好ましい。押し出し中に除去される水の量は、スラリーの総質量の約25パーセント未満であることが好ましい。押し出し中に除去される水の量は、スラリーの総質量の約15パーセント未満であることが好ましい。押し出し中に除去される水の量は、スラリーの総質量の約2パーセント超であることが好ましい。押し出し中に除去される水の量は、スラリーの総質量の約4パーセント超であることがより好ましい。
【0076】
押し出し後、結合剤の量は(重量で)押し出し前と実質的に同じままである。押し出し後、エアロゾル形成体の量は(重量で)押し出し前と同じままである。押し出し後、アルカロイドを含有する材料の量は(重量で)押し出し前と同じままである。押し出し後、水の量は、押し出しの前のスラリーの総質量の約30パーセント~約55パーセントから、スラリーの総質量の約30パーセント~50パーセントに減少することが好ましい。
【0077】
本方法は、複数の出口のうちの一つ以上から供給されるスラリーの流れを、構成要素を用いて基材シートの移動の方向に沿った向きにする工程を含むことが好ましい。タンクの出口は特定の形状を有することが好ましい。複数の出口のうちの少なくとも一つの出口は、湾曲を有するパイプまたはノズルを含んでもよい。例えば、パイプまたはノズルは弓状の構成を有してもよい。湾曲したノズルが提供されることが好ましい。この湾曲は、基材シートの搬送方向に平行な軸に沿って、ゼロ以外の構成要素を、パイプまたはノズルを出て流れるスラリーの流れに付与するように適合されている。
【0078】
方法は、アルカロイドを含有する材料のシートの厚さを評価する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちの少なくとも一つのシートの厚さを評価する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちのすべての厚さを評価する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する材料のシートを圧縮する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちの少なくとも一つを圧縮する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちのすべてを圧縮する工程を含むことが好ましい。方法は、アルカロイドを含有する材料のシートを圧縮することによって、アルカロイドを含有する材料のシートの厚さを変更する工程を含むことがより好ましい。方法は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちの少なくとも一つを圧縮することによって、アルカロイドを含有する材料のシートの厚さを変更する工程を含むことがより好ましい。方法は、アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートのうちのすべてを圧縮することによって、アルカロイドを含有する材料のシートの厚さを変更する工程を含むことがより好ましい。圧縮工程は、カレンダー加工する工程を含んでもよい。圧縮工程は、二つの圧縮ローラー間にアルカロイドを含有する材料のシートを挿入して実施されてもよい。シートの厚さは、スラリーが堆積されて乾燥した後に、チェックされてもよい。シートの厚さは、光学センサーによって測定されてもよい。適切な光学センサーは、X線センサーもしくはレーザーセンサー、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。測定された厚さが所望の範囲外である場合、シートの厚さを是正するためにフィードバックループが提供されてもよい。
【0079】
アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、スラリーの総重量の約40パーセント~約70パーセントから成る量のアルカロイドを含有する材料をスラリーに提供すること、スラリーの総重量の約30パーセント~約55パーセントから成る量の水をスラリーに提供すること、スラリーの総重量の約0パーセント~約1パーセントから成る量の結合剤をスラリーに提供すること、スラリーの総重量の1パーセント~約5パーセントから成る量のエアロゾル形成体をスラリーに提供することのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0080】
アルカロイドを含有する材料をスラリーに提供する工程は、スラリーの総重量の約40パーセント~約50パーセントから成る量のアルカロイドを含有する材料をスラリーに提供することを含むことがより好ましい。
【0081】
スラリーに水を提供する工程は、スラリーの総重量の約45パーセント~約55パーセントから成る量の水をスラリーに提供することを含むことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシート中の水の量が比較的に少ないことに起因して、必要な乾燥時間はキャストシートと比べて比較的に短い。シートからの揮発分の最小限の損失が達成される場合がある。
【0082】
結合剤をスラリーに提供する工程は、スラリーの総重量の約0パーセント~約0.5パーセントから成る量の結合剤をスラリーに提供することを含むことがより好ましい。結合剤の量は、アルカロイドを含有する材料のシートの所望の特性に依存する場合がある。スラリーが基材シートによって大いに吸収されることが所望される場合、吸収を改善するために結合剤をより少なく使用してもよい。基材シート上のスラリー被覆が好ましい場合、より多い量の結合剤を使用してもよい。結合剤の量はスラリーの粘度を変化させる場合がある。結合剤のより多い量は、スラリーのより高い粘度につながる場合がある。
【0083】
エアロゾル形成体をスラリーに提供する工程は、スラリーの総重量の1パーセント~約3パーセントから成る量のエアロゾル形成体をスラリーに提供することを含むことがより好ましい。
【0084】
アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約8マイクロメートル~200マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことが好ましい。アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約10マイクロメートル~150マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料とエアロゾル形成体と水とを含むスラリーを提供する工程は、アルカロイドを含有する材料を約15マイクロメートル~120マイクロメートルから成るサイズを有する粉末に粉砕する工程を含むことがなおより好ましい。アルカロイドを含有する材料に既に含有されているセルロース繊維に加えて、スラリーがセルロース繊維を含有しない、または非常に少量しか含有しないという事実に起因して、粉末のサイズは「極めて小さい」必要がない。均質なスラリーを得るために、アルカロイドを含有する材料の粒子は「小さい」ことが好ましい。この小さいサイズはまた、キャストリーフ中で「糊」として働く、添加された繊維が存在しないことに起因する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、200マイクロメートルよりも小さい、好ましくは180マイクロメートルよりも小さい、好ましくは160マイクロメートルよりも小さい、好ましくは140マイクロメートルよりも小さい、好ましくは120マイクロメートルよりも小さい、好ましくは100マイクロメートルよりも小さい、好ましくは80マイクロメートルよりも小さい、好ましくは60マイクロメートルよりも小さい、好ましくは40マイクロメートルより小さいサイズを有する。好ましくは、アルカロイドを含有する材料の粉砕された粒子のサイズは、8マイクロメートルよりも大きい、好ましくは12マイクロメートルよりも大きい、好ましくは20マイクロメートルよりも大きい、好ましくは30マイクロメートルよりも大きい、好ましくは50マイクロメートルよりも大きい、好ましくは70マイクロメートルよりも大きいサイズを有する。
【0085】
アルカロイドを含有する材料の粒子のサイズは、Dv95サイズを意味する。上記に列挙された値の各々は、粒子サイズのDv95を示す。Dv95の「v」は、体積分布が考慮されることを意味する。体積分布の使用は、等価球の概念を導入する。等価球は、我々が測定している特性における実際の粒子と等しい球である。それ故にそれは光散乱法では、実際の粒子と同じ散乱強度を生成することになる球である。これは実質的に、同じ体積の粒子を有する球である。さらに、Dv95の「95」は、分布の95パーセントがより小さい粒子サイズを有し、5パーセントがより大きい粒子サイズを有する直径を意味する。それ故に粒子サイズは、粒子の95パーセントが、述べられた値よりも小さい直径(粒子の実質的に同一の体積を有する対応する球の直径)を有する、体積分布によるそのサイズである。60マイクロメートルの粒子サイズとは、粒子の95パーセントが60マイクロメートルよりも小さい直径を有し、直径が粒子よりも対応する体積を有する球の直径であることを意味する。
【0086】
粒子のDv95サイズは、Horiba LA950またはLA960粒子サイズ分布分析器を使用して測定される。HORIBA LA-960粒子サイズ分析器は、レーザー回折法を使用してサイズ分布を測定する。この技法は、第一の原理を使用して、粒子から散乱した光(エッジ回折)と、粒子を通した光(二次散乱屈折)とを使用してサイズを計算する。LA-960はミー散乱理論を組み込んでいる。
【0087】
さらに、スラリーの粘度は、アルカロイドを含有する材料の粉末のサイズに依存する場合がある。サイズが大きいほど、スラリーはより粘稠になる場合がある。
【0088】
方法は、約0.7ミリメートル~約50ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を有する基材シートを提供する工程を含むことが好ましい。方法は、約0.7ミリメートル~約50ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を有する二つ以上の基材シートのうちの少なくとも一つを提供する工程を含むことが好ましい。方法は、約0.7ミリメートル~約50ミリメートルから成る平均繊維長さを有する繊維を有する二つ以上の基材シートのうちのすべてを提供する工程を含むことが好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約25ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約10ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1ミリメートル~約5ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがより好ましい。繊維を含む基材シートの繊維は、約1.2ミリメートル~約1.8ミリメートルから成る平均繊維長さを有することがなおより好ましい。
【0089】
基材シートは編組シートであることが好ましい。編組シートは、繊維が絡み合ったシートである。すべての繊維が絡み合う必要はないが、その一部が絡み合う。編組シートは、均質で、かつ比較的に高い機械的強度を得ることを可能にする。
【0090】
スラリーを押し出して、押し出されたスラリーを複数の出口を有するタンク内に収集する工程は、スクリューによってスラリーを押し出すことを含むことが好ましい。スラリーの押し出しは、一軸スクリューエクストルーダーで行われることが好ましい。一軸スクリュー押し出しは、スラリー内に圧力を作り出す。これはスラリーの押し出しを強制する。一軸スクリューエクストルーダーは、大きい押し出しシステムの一部として、または押し出し用のスタンドアローン機械として使用されることができる。スクリューはホットバレル内に位置してもよい。スクリューが回転するにつれて、スクリューはスラリーをホットバレル内で移動させる。このようにして、スラリーは必要とされる温度に到達するだけでなく、完全に混合されて均質なスラリーを形成する。一軸スクリューエクストルーダーによって高まった圧力は次いで、エクストルーダーからスラリーを強制する。押し出しは、スクリューによってスラリーを圧縮することを含む。押し出しの工程は、一軸スクリューエクストルーダー内にスラリーを挿入する工程を含むことがより好ましい。エクストルーダーの出口にてスラリーが出るものの、プロセスは依然として押し出しであると見なされる。タンクはエクストルーダーの一部であってもよく、またはエクストルーダーの外部であってもよい。
【0091】
本方法は、タンク内に収集された押し出されたスラリーを均質化する工程を含むことが好ましい。エクストルーダーから出るスラリーは、タンクの中に入る。別の方法として、タンクはエクストルーダーの一部であり、また押し出されたスラリーは、スラリーが押し出されたタンクの一部分の中に収集される。タンク内でスラリーは混合される、または別の方法で攪拌されることが好ましい。攪拌または混合は、スラリーの均質性を改善する場合がある。スラリーは、構造または組成全体において均一にされることが好ましい。従って、スラリーの組成およびスラリーの特性(粘度、温度など)は、タンク全体を通して同じである。このようにして、複数の出口によって供給される、あらゆる出口からのスラリーは実質的に同じである。アルカロイドを含有する二つ以上の材料のシートが本発明の方法によって形成される場合、(複数の同一の基材シートが使用されると仮定すると)出口から出力されるスラリーが同じ特性を有するので、すべてのシートは実質的に同じ特性を有する。
【0092】
複数の平行なスラリーの細片を形成するように複数の出口からスラリーを供給する工程は、複数の出口の下方に位置する移動ドラムを提供することと、繊維を含む一つ以上の基材シートを得るように一つ以上のボビンを巻き出すことと、一つ以上の基材シートを移動方向に沿って移動するように、繊維を含む一つ以上の基材シートを移動ドラム上に定置することと、複数の出口からスラリーを、繊維を含む一つ以上の基材シート上に供給する一方で、繊維を含む一つ以上の基材シートが移動ドラムによって移動方向に沿って移動されることとを含むことが好ましい。複数の平行なスラリーの細片を形成するように複数の出口からスラリーを供給する工程は、複数の出口の下方に位置する移動ドラムを提供することと、繊維を含む二つ以上の基材シートを得るように二つ以上のボビンを巻き出すことと、二つ以上の基材シートを移動方向に沿って移動するように、繊維を含む二つ以上の基材シートを移動ドラムの上に定置することと、複数の出口からスラリーを、繊維を含む二つ以上の基材シート上に供給する一方で、繊維を含む二つ以上の基材シートが移動ドラムによって移動方向に沿って移動されることとを含むことが好ましい。
【0093】
一つ以上の基材シートは自己支持形であることが好ましい。移動ドラムの回転は次に、一つ以上の基材シートを移動させる。移動が付与されると、基材シートを支持するためのコンベヤーベルトは必要ない。繊維を含む一つ以上の基材シートは、「自己支持形」であることができる。タンクの出口に面する第一の表面の反対側の一つ以上の基材シートの第二の表面は、少なくともある長さの間隔の間、いかなるさらなる要素とも接触していないことが好ましい。基材シートは、スラリーが供給された後、両面がいかなる他の要素と接触しないで、「自立して」進んでもよい。アルカロイドを含有する材料のシートを支持するためのコンベヤーベルトが実質的にもはや必要ないという事実は、システム全体のより大きい柔軟性を可能にする。スラリーがコンベヤーベルト上にキャスティングされるプロセスにおいて、厳密な寸法要件を有するコンベヤーベルトが概して必要とされる。こうしたベルトは、自己支持基材シートが使用される時、もはや必要ではない場合がある。
【0094】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら具体的な実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】
図1は、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシートの製造のための設備の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
最初に
図1および
図2を参照すると、本発明によるアルカロイドを含有する材料のシート200の製造のための設備が表されていて、参照番号100で示されている。
【0097】
設備100は、アルカロイドを含有する複数の材料のシート200の製造のために適合されていることが好ましい。この実施形態において、複数のシートは均質化したたばこ材料のシートである。
【0098】
均質化したたばこ材料のシートの製造のための設備100は、エクストルーダー2と、エクストルーダー2の出口20に位置付けられたタンク3と、タンク3の下方に位置する移動ドラム4とを含む。
【0099】
エクストルーダー2は、均質化したたばこ材料のシートを形成するためのスラリー22(
図1において矢印によって示されている)が導入される入口21と、スラリーを押し出すためのスクリュー23と、出口20とを備える。スラリー22は、スクリュー23によって入口から出口20に押される(再度矢印22を参照のこと)。スラリー22を押すスクリュー23は、モーター24によって回転されてもよい(例えば
図2を参照のこと)。
【0100】
スラリー22は、異なる貯蔵タンクまたはサイロ(添付図面に図示せず)からエクストルーダー2に到達する。スラリー22は、たばこ粉末、水、結合剤、エアロゾル形成体を含む。結合剤はグアーであることが好ましい。エアロゾル形成体はグリセリンであることが好ましい。さらなる繊維がスラリーに添加されないことが好ましい。
【0101】
スラリー22は入口にて、総質量中に以下の組成を有する。
水:30%~55%
たばこ粉末:40%~70%
結合剤:0%~1%
エアロゾル形成体:1%~5%
添加された繊維:0.5%未満
【0102】
スラリー22は、エクストルーダー2からタンク3に到達する。上記の組成物から、押し出しプロセスによってスラリーから5%の水が除去される。
【0103】
タンク3は複数の出口を備え、すべてが30で示されている。タンク3は、任意の幾何学的形状を有してもよく、図示された実施形態において、実質的に円錐状である。タンク3は横壁32を含み、また底部壁33もさらに含む。ミキサー34(
図1において矢印によって示されている)はタンク3内部に存在して、スラリーを攪拌および混合することができる。
【0104】
さらに、スラリーの垂直方向のレベルを測定するために、センサー50がタンク3の中に存在している。スラリーがタンク3内で実質的に一定のレベルに保たれるように、センサー30とエクストルーダー2の間にフィードバックが存在することが好ましい。
【0105】
出口30の下方に、移動ドラム4が位置する。移動ドラム4は、
図1および
図2において矢印によって示された回転方向5でその軸6の周りを回転するように適合されている。移動ドラム4は、外部円筒状表面41を画定する。
【0106】
さらに、設備100は複数のボビン7を含む。複数のボビンの各ボビン7は、基材シート8、例えばセルロース繊維シートのコイルで作製されている。ボビンは巻き出されて、ボビン7から巻き出されたシート8の自由部分は、移動ドラム4と接触して位置付けられている。基材シート8は第一の表面11および第二の表面1を含み、一方の表面はもう一方の表面に対して反対側である。第二の表面1は、移動ドラム4の円筒状表面41と接触していることが好ましい。第一の表面11は、複数の出口30のうちの少なくとも一つに面する。移動ドラム4の回転は、
図1および
図3において矢印12で示された共通の搬送方向に沿って、複数の基材シート8の移動を引き起こす。それ故に、ボビン7はドラム4の回転によって連続的に巻き出される。
【0107】
複数の基材シートのうちの各基材シート8は、移動ドラム4の表面41と接触していて、また搬送方向に沿ってドラム4の下流で自立している、すなわち第一の表面11および第二の表面1は、いかなる要素によっても支持されていない。さらなるドラムまたはローラー(図面では見えない)は、複数のシート8を搬送方向12にさらに引っぱってもよい。
【0108】
スラリー22は、出口30から複数の基材シート8に供給される。複数の出口8の各出口30は、
図2で見える通り、複数のシートの単一の基材シート8にスラリー22を供給することが好ましい。スラリーは、重力によって、または例えばポンプ31によって圧力を加えることによって出口30から送達される。タンク3からのスラリーは、ポンプ31によって、複数の出口30を通して、タンク3から基材シート8に移動される。ポンプ31は、基材シート8に送達されるスラリーの量を制御するために、流量の制御(図面では見えない)を備えることが好ましい。
【0109】
基材シートにスラリー22が供給されると、均質化したたばこシート200になる。スラリーは、基材シート8によって部分的に、または完全に吸収されてもよい。スラリーの大半は、基材シート8、特に第二の表面11を被覆する場合がある。
【0110】
一実施形態において、タンク3の底部壁33に、複数の開口35が形成されていて、各開口はパイプ36に接続されている(
図2および
図3を参照のこと)。弁37は、パイプ36を通るスラリーの流れを調節する。スラリーの流れの方向の弁37の下流で、パイプ36は出口30の中で終端する。
【0111】
異なる一実施形態(図示せず)において、複数の開口が底部壁16に対して直接形成されていて、複数のパイプが接続されていて、各パイプは異なる開口に、弁の存在なしに接続されている。
【0112】
各パイプ37は、
図3および
図4で見える通り、出口30が存在するノズル38で終結する。ノズル38は、水平な入口39と、スラリーが出る出口30とを有する湾曲したノズルであり、搬送方向12に沿った構成要素を有する流れを形成する。
【0113】
図2において、より良好に見える通り、基材シート8の数は出口30の数と等しい。基材シートはすべて、ドラム4の表面41とその第二の表面1で接触している。各基材シート8の幅42は、シート200のさらなる加工のために使用される、標準的な「小さいボビン」の幅(例えば、約10ミリメートル~約300ミリメートルであることが好ましい)と等しいことが好ましい。すべての基材シート8の幅42は、同じであることが好ましい。
【0114】
さらに、均質化したたばこシート200の平方センチメートル当たりの重量および厚さを測定するために、追加的なセンサー(図示せず)が、出口30の下流の基材シート200に配設されていることが好ましい。センサーは、例えば核子測定ヘッドであってもよい。均質化したたばこのシート内の欠陥の位置を突き止めて決定するためのセンサー、シート200の水分を決定するセンサー、シートの厚さを測定するセンサー、一枚以上のシートが形成される場合に、正しく整列されていないシートおよびシートの詰まりを回避するためにシートの整列をチェックするセンサーなど、図面に示されていない追加的なセンサーも存在することが好ましい。
【0115】
複数の均質化したたばこシート200を形成するための設備100の機能は以下の通りである。好ましくは、たばこ粉末、水、および他の成分を混合および組み合わせて形成され、好ましくは添加された繊維の含有量がゼロまたは低いスラリー22は、例えばインラインミキサー(図示せず)を使用して、貯蔵タンク(これも図示せず)からエクストルーダー2に移送される。スラリーは、エクストルーダー2でその含水量を低減し、タンク3内部で押し出される。タンク3において、弁36が開かれ、スラリーはポンプ31を必要として、またはポンプの必要なく出口30に到達する。ノズル38は、移動ドラム4と接触して位置付けられている繊維を含む基材シート8上にスラリーを供給する。ドラム4の移動は、搬送方向12に沿った基材シート8の移行を引き起こす。各ノズル38は、異なる基材シート8上にスラリーを堆積させる。それ故に、複数の均質化したたばこシート200が形成される。
【0116】
スラリー供給の直後に核子ゲージによって制御された、シート200の厚さおよび坪量は、スラリー測定装置を使用して連続的にモニターされ、かつフィードバック制御されることが好ましい。