(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】射出装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
B29C45/17
(21)【出願番号】P 2022560747
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2021039937
(87)【国際公開番号】W WO2022097571
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2020184484
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】中村 京祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 瑛
【審査官】浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-125953(JP,U)
【文献】特開平02-034318(JP,A)
【文献】実開昭48-025048(JP,U)
【文献】実開昭60-109917(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルの先端に設けられたノズル部材から金型内に成形材料を射出して成形を行う射出装置であって、
前記バレルおよび前記ノズル部材の内径中空部に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動が可能なプランジャと、
前記ノズル部材の前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記ノズル部材に設けられた注入孔と、
前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記プランジャに沿って後方向に流れることを防止する環状のシールと、
前記シールを保持し、外径が前記内径中空部の径より大きい筒状のシールケースと、
を備え、
前記シールケースは、前記バレルと前記バレルに取り付けられた前記ノズル部材とによって固定され、且つ、前記プランジャが貫通するための第1内径中空部を形成する第1内径面と、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部と同軸の前記シールが嵌挿される第2内径中空部を形成する第2内径面と、を有し、
前記第1内径面の少なくとも一部には、前記プランジャの径より大きい雌ねじ部が形成されている、射出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の射出装置であって、
前記ノズル部材は、ノズルを有し、
前記ノズルの後端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記ノズルの後端部には前記シールケースが収容される第1の収容用中空部が形成されている、射出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の射出装置であって、
前記ノズル部材は、前記バレルの先端に設けられたノズルアダプタと、前記ノズルアダプタの先端に設けられたノズルと、を有し、
前記プランジャは、前記バレルおよび前記ノズルアダプタの内径中空部に設けられ、
前記注入孔は、前記ノズルアダプタの前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記ノズルアダプタに設けられ、
前記シールケースは、前記バレルと前記ノズルアダプタとによって固定される、射出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の射出装置であって、
前記ノズルアダプタの後端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記ノズルアダプタの後端部には前記シールケースが収容される第2の収容用中空部が形成されている、射出装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の射出装置であって、
前記バレルの前端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記バレルの前端部には前記シールケースが収容される第3の収容用中空部が形成されている、射出装置。
【請求項6】
バレルの先端に設けられたノズルから金型内に成形材料を射出して成形を行う射出装置であって、
前記バレルの内径中空部に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動が可能なスクリュと、
前記バレルの前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記バレルに設けられた注入孔と、
前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記スクリュに沿って後方向に流れることを防止する環状のシールと、
前記シールを保持し、外径が前記バレルの前記内径中空部の径より大きい筒状のシールケースと、
を備え、
前記シールケースは、前記バレルに固定され、且つ、前記スクリュが貫通するための第1内径中空部を形成する第1内径面と、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部と同軸の前記シールが嵌挿される第2内径中空部を形成する第2内径面と、を有し、
前記第1内径面の少なくとも一部には、前記スクリュの径より大きい雌ねじ部が形成されている、射出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の射出装置であって、
前記バレルは、前記軸線方向に沿って、前方向側の第1部材と、後方向側の第2部材とに分離可能であり、
前記第1部材の後端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記第1部材の後端部には前記シールケースが収容される第4の収容用中空部が形成されている、射出装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の射出装置であって、
前記バレルは、前記軸線方向に沿って、前方向側の第1部材と、後方向側の第2部材とに分離可能であり、
前記第2部材の前端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記第2部材の前端部には前記シールケースが収容される第5の収容用中空部が形成されている、射出装置。
【請求項9】
請求項
2に記載の射出装置であって、
前記第
1の収容用中空部
の内径面と前記シールケースの外周面との間から後方向に前記成形材料が流れることを防止するOリングを備え、
前記シールケースの外周面、又は、端面に前記Oリングを保持する溝が形成されている、射出装置。
【請求項10】
請求項7に記載の射出装置であって、
前記第4の収容用中空部の内径面と前記シールケースの外周面との間から後方向に前記成形材料が流れることを防止するOリングを備え、
前記シールケースの外周面、又は、端面に前記Oリングを保持する溝が形成されている、射出装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の射出装置であって、
前記第1内径中空部の全面に前記雌ねじ部が形成されている、射出装置。
【請求項12】
請求項1~
5および9のいずれか1項に記載の射出装置であって、
前記射出装置は、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が
前記プランジ
ャに沿って後方向に流れることを防止する環状の第2のシール、を備え、
前記シールケースは、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部および前記第2内径中空部と同軸の、前記第2のシールが嵌挿される第3内径中空部、を有する、射出装置。
【請求項13】
請求項6~8および10のいずれか1項に記載の射出装置であって、
前記射出装置は、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記スクリュに沿って後方向に流れることを防止する環状の第2のシール、を備え、
前記シールケースは、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部および前記第2内径中空部と同軸の、前記第2のシールが嵌挿される第3内径中空部、を有する、射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料を射出する射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、原料樹脂を金型に射出して、樹脂を成形する。実開平06-086912号公報は、射出成形機用の押出し機を開示する。この押出し機では、原料樹脂の外部漏出防止のため、シール材が用いられる。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、実開平06-086912号公報の押出し機から、シール材を取り外すことは必ずしも容易ではない。この結果、シール材の点検、交換等のメンテナンスに時間を要することがあった。また、シール材の取り外し時に、シール材が破損することがあった。すなわち、射出装置において、シール材の取り外しを容易とすることが課題となる。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0005】
一態様に係る射出装置は、バレルの先端に設けられたノズル部材から金型内に成形材料を射出して成形を行う射出装置であって、前記バレルおよび前記ノズル部材の内径中空部に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動が可能なプランジャと、前記ノズル部材の前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記ノズル部材に設けられた注入孔と、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記プランジャに沿って後方向に流れることを防止する環状のシールと、前記シールを保持し、外径が前記内径中空部の径より大きい筒状のシールケースと、を備える。前記シールケースは、前記バレルと前記バレルに取り付けられた前記ノズルとによって固定され、且つ、前記プランジャが貫通するための第1内径中空部を形成する第1内径面と、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部と同軸の前記シールが嵌挿される第2内径中空部を形成する第2内径面と、を有する。前記第1内径面の少なくとも一部には、前記プランジャの径より大きい雌ねじ部が形成されている。
【0006】
別の一態様に係る射出装置は、バレルの先端に設けられたノズルから金型内に成形材料を射出して成形を行う射出装置であって、前記バレルの内径中空部に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動が可能なスクリュと、前記バレルの前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記バレルに設けられた注入孔と、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記スクリュに沿って後方向に流れることを防止する環状のシールと、前記シールを保持し、外径が前記バレルの前記内径中空部の径より大きい筒状のシールケースと、を備える。前記シールケースは、前記バレルに固定され、且つ、前記スクリュが貫通するための第1内径中空部を形成する第1内径面と、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部と同軸の前記シールが嵌挿される第2内径中空部を形成する第2内径面と、を有する。前記第1内径面の少なくとも一部には、前記スクリュの径より大きい雌ねじ部が形成されている。
【0007】
本発明によれば、シールの取り外しが容易な射出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る射出成形機を表す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る射出装置の一部を拡大して表す図である。
【
図3】
図3は、ノズルアダプタからシールおよびシールケースを分離した状態を表す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る射出成形機を表す図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る射出成形機を表す図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係るシールケースを表す図である。
【
図7】
図7は、変形例2に係るシールケースを表す図である。
【
図8】
図8は、変形例3に係るシールケースを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による射出装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0010】
射出成形機は、機台と、型締装置と、射出装置と、を備える。型締装置と射出装置とは、互いに向かい合うように、機台上に設置される。型締装置は、開閉可能な金型を有する。射出装置は、バレルおよびノズルを有する。射出成形機は、制御装置の制御にしたがって、成形サイクルを実行する。成形サイクルは、バレル先端のノズルから、金型内に成形材料を射出することで、成形材料を成形するプロセスである。成形サイクルは、計量工程、および射出工程を含む。本実施形態の射出成形機は、射出装置に特徴がある。このため、射出装置について詳しく説明し、その他の構成については、説明を割愛する。
【0011】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る射出装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る射出成形機10を表す図である。
図1では、主に射出装置12の構成を示し、機台および型締装置の図示を省略している。
【0012】
射出装置12は、バレル14と、ノズル18と、プランジャ20と、を備える。ノズル18は、ノズルアダプタ16を介して、バレル14の先端に取り付けられる。プランジャ20は、バレル14およびノズルアダプタ16の、内部に配置される。プランジャ20は、前後方向への移動と、前後方向回りの回転(プランジャ20の軸回りの回転)と、が可能である。バレル14、ノズルアダプタ16、およびノズル18は、成形材料を射出する、シリンダとして機能する。また、ノズルアダプタ16およびノズル18は、ノズル部材として機能する。バレル14には、内径中空部14aが形成されている。内径中空部14aは、プランジャ20の前後方向への移動を可能とする。また、ノズルアダプタ16には、内径中空部16aが形成されている。内径中空部16aは、プランジャ20の前後方向への移動を可能とする。成形材料を型締装置の金型内に射出するために、ノズル18はノズル孔18aを有する。ノズル孔18aは、ノズルアダプタ16の内径中空部16aと連通する。ノズルアダプタ16の内径中空部16aは、バレル14の内径中空部14aと連通する。内径中空部14aと内径中空部16aとは、好ましくは、同一の内径を有する。なお、プランジャ20が金型に向かって(つまり、ノズル18に向かって)移動する方向を前方向とする。また、プランジャ20が金型とは反対側に向かって(つまり、ノズル18とは反対側に向かって)移動する方向を後方向とする。
【0013】
ノズルアダプタ16には、注入孔22が形成されている。注入孔22は、液状の成形材料を、プランジャ20の前方であって、ノズルアダプタ16の内径中空部16a内に注入するための孔である。注入孔22後方のノズルアダプタ16内に、シールケース24が取り付けられる。シールケース24は、シール72を保持する。シール72は、注入孔22から注入された成形材料が後方に流れること(バックフロー)を防止する。シールケース24は、射出成形機10からのシール72の取り出しを容易とする。なお、この詳細は後述する。
【0014】
バレル14およびノズルアダプタ16の外周面には、温調デバイス26が設けられている。温調デバイス26は、ノズルアダプタ16およびバレル14内の成形材料の温度を調整する。
【0015】
バレル14の基端側には、孔28が設けられている。孔28は、内径中空部14a内に通じる。これにより、成形材料からガスが発生した場合、又は、成形材料にエアが巻き込まれた場合であっても、ガス、又は、エアを、孔28から抜くことができる。この結果、シルバーストリーク、又は、気泡等による、成形不良の発生を低減できる。
【0016】
射出成形機10の成形材料注入装置30は、空圧、油圧、又は、電動式モータによる駆動力等によって、充填圧を発生させる。成形材料注入装置30は、この充填圧によって、注入孔22から、プランジャ20の前方に成形材料を注入する。なお、注入孔22に逆流防止弁32を設けることが好ましい。内径中空部16a内に注入された成形材料が、注入孔22から外部に(成形材料注入装置30内に)、逆流することを防止するためである。
【0017】
射出装置12は、ベース40と、リニアガイド42と、プッシャープレート44と、を備える。ベース40は、前記機台に対して、前後方向に移動可能に、前記機台の上に配設される。リニアガイド42は、ベース40に固定される。プッシャープレート44は、ベース40に対して、前後方向に移動可能に、リニアガイド42に支持される。バレル14の基端部は、フロントプレート46を介して、ベース40に固定されている。プッシャープレート44は、プランジャ20の基端部を回転可能に支持する。プランジャ20の基端には、回転用プーリ48が設けられる。回転用プーリ48の回転に伴って、プランジャ20は、プランジャ20(バレル14)の軸線方向回り(前後方向回り)に回転する。
【0018】
また、プッシャープレート44には、ボールねじ50が螺合している。ベース40にリアプレート52が固定されている。リアプレート52は、ボールねじ50の基端において、ボールねじ50を回転可能に支持する。ボールねじ50の回転に伴って、プッシャープレート44は、リニアガイド42にガイドされた状態で、前後方向に移動する。つまり、ボールねじ50およびプッシャープレート44は、ボールねじ50の回転運動を直進運動に変換する。プッシャープレート44の前後方向の移動に伴って、プランジャ20は、バレル14に対して、前後方向に移動する。
【0019】
射出成形機10は、成形材料注入装置30の他に、サーボモータ60と、サーボモータ62と、制御装置64と、を備える。サーボモータ60は、プランジャ20を回転させる。サーボモータ62は、プランジャ20を前後方向に移動させる。制御装置64は、サーボモータ60およびサーボモータ62を制御する。サーボモータ60の回転駆動力は、不図示の伝達機構(環状のベルト、プーリ等)を介して、回転用プーリ48に伝達される。これにより、回転用プーリ48が回転し、プランジャ20も回転する。また、サーボモータ62の回転駆動力は、不図示の伝達機構(環状のベルト、プーリ等)を介して、ボールねじ50に伝達される。これにより、ボールねじ50が回転することで、プッシャープレート44およびプランジャ20が前後方向に移動する。
【0020】
成形サイクルの計量工程においては、制御装置64は、サーボモータ62を制御してプランジャ20を後退動作させることで、制御装置64は、成形材料を計量する。ここで、成形材料注入装置30は、制御装置64によって制御されることで、注入孔22から成形材料を注入する。計量中に、成形材料が、注入孔22から空間70(計量室)に流れ込む(注入される)。空間70は、プランジャ20の前方に位置し、且つ、ノズルアダプタ16の内径中空部16aとプランジャ20との間に形成される。計量工程の終了後に、制御装置64は、射出装置12全体を前方向に移動させることで、ノズル18を金型にタッチさせる。その後、制御装置64は、射出制御を行う。つまり、制御装置64は、プランジャ20を前方向に移動させることで、計量した成形材料を金型に向けて射出するための射出制御を行う。計量した成形材料は、空間70内にある成形材料を意味する。この射出制御は、サーボモータ62を制御することで、行われる。
【0021】
(シールケース24の詳細)
以下、シールケース24の詳細を説明する。
図2は、第1の実施形態に係る射出装置12の一部を拡大して表す図である。ここでは、シールケース24の近傍を拡大して表している。
図3は、ノズルアダプタ16からシール72およびシールケース24を分離した状態を表す図である。
【0022】
図2および
図3に示すように、シールケース24は、バレル14とノズルアダプタ16とによって固定される。ここでは、
図3に示すように、シールケース24は、収容用中空部16b内(第2の収容用中空部内)に、挿抜可能に収容される。また、シールケース24は、バレル14の前端部によって、収容用中空部16b内に保持される。収容用中空部16bは、ノズルアダプタ16の後端部に形成される。なお、ノズルアダプタ16とバレル14とは、不図示のボルト等によって締結される。
【0023】
シール72は、環状の形状を有し、前述のように、成形材料のバックフローを防止する。具体的には、シール72は、成形材料が、プランジャ20に沿って、後方向に流れることを防止する。すなわち、シール72は、内径中空部16aの内径面Faとプランジャ20の側面との間の隙間を通って、成形材料が流れることを防止する。シールケース24は、筒状の形状を有する。シールケース24は、バレル14の内径中空部14aの内径およびノズルアダプタ16の内径中空部16aの内径より大きい外径を有する。
【0024】
図2に示すように、シールケース24を、プランジャ20が貫通する。シールケース24の内径中空部24aは、内径中空部24b(第1内径中空部)および内径中空部24c(第2内径中空部)を有する。内径中空部24bは、プランジャ20によって貫通される。内径中空部24bは、内径面F1(第1内径面)によって形成される。なお、内径中空部24bの内径は、内径中空部16aの内径、又は、内径中空部14aの内径と等しくてもよい。内径中空部24cは、シールケース24の端部(ここでは、シールケース24の前端部)に配置される。内径中空部24cには、シール72が嵌挿される。内径中空部24cは、内径中空部24bと同軸である。内径中空部24cは、内径中空部24bより大きい内径を有する。内径中空部24cは、内径面F2(第2内径面)によって形成される。内径中空部24bの内径面F1の少なくとも一部(ここでは、内径中空部24bの後端部)には、雌ねじ部24dが形成されている。雌ねじ部24dは、プランジャ20の外径より大きい内径を有する。これにより、後述のように、射出装置12からのシール72の取り外しが容易となる。
【0025】
シールケース24の外周面上には、Oリング74が設けられてもよい。Oリング74は、ノズルアダプタ16の収容用中空部16bの内径面Fbと、シールケース24の外周面との間の隙間を通って、後方向に成形材料が流れることを防止する。また、シールケース24の外周面に環状の溝24eが形成される。溝24eは、Oリング74を保持している。シールケース24がOリング74を保持する溝24eを有するため、シールケース24と共に、Oリング74を射出装置12から取り外すことができる。
【0026】
なお、複数のOリング74を用いてもよい。すなわち、シールケース24の外周面に複数のOリング74を設けることで、成形材料のバックフローをより効果的に防止できる。この場合、シールケース24の外周面に複数の溝24eを形成して、複数のOリング74をそれぞれ複数の溝24e内に保持させることができる。
【0027】
射出装置12からのシール72の取り外しについて説明する。例えば、シール72のメンテナンス時に、シールケース24の雌ねじ部24dに、取り出し用ボルト(雄ねじ)を螺合させる。これにより、その取り出し用ボルトをシールケース24の持ち手として使用可能となる。まず、バレル14とノズルアダプタ16とを互いに分離することで、例えば、ノズルアダプタ16の後端からシールケース24の後端を露出させる。その後、シールケース24の雌ねじ部24dに取り出し用ボルトを螺合させて、取り出し用ボルトを引っ張る。これにより、シールケース24と共に、シール72をノズルアダプタ16から取り外すことができる。すなわち、射出装置12からのシール72の取り外しが容易になる。この結果、シール72の取り外しに要する時間を短縮できる。また、取り外し中にシール72に加わる過度の負荷によって、シール72が破損することを防止できる。
【0028】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る射出装置12について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る射出成形機10を表す図である。ここでは、判り易さのために、シールケース24の近傍を拡大して表している。なお、第1の実施形態と同一の要素は、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0029】
第2の実施形態に係る射出装置12は、第1の実施形態のノズルアダプタ16およびノズル18に替えて、ノズル80を有する。ノズル80は、ノズル部材として機能する。バレル14の先端に、ノズル80が直接設けられる。ノズル80とバレル14とは、不図示のボルト等によって、互いに締結される。バレル14およびノズル80は、成形材料を射出するシリンダとして機能する。射出装置12は、シリンダ(ノズル80)のノズル孔80cから不図示の金型内に成形材料を射出することで、成形材料を成形する。プランジャ20は、シリンダの内部(具体的には、内径中空部14aおよび内径中空部80aの内部)に設けられる。プランジャ20は、軸線方向に沿って、前後方向に移動可能である。注入孔22は、ノズル80に設けられる。注入孔22は、ノズル80の内径中空部80a内に、成形材料を注入するための孔である。ノズル80の後端部には、シールケース24が収容される、収容用中空部80b(第1の収容用中空部)が形成される。ノズル80の後端部の収容用中空部80bからシールケース24を挿抜できる。
【0030】
次のようにして、射出装置12からシール72を取り外すことができる。まず、バレル14とノズル80とを互いに分離することで、例えば、ノズル80の後端からシールケース24の後端を露出させる。その後、シールケース24の雌ねじ部24dに取り出し用ボルトを螺合させ、取り出し用ボルトを引っ張る。これにより、シールケース24と共に、シール72をノズル80から取り外すことができる。
【0031】
以上の点を除き、第2の実施形態は、第1の実施形態と実質的に同様なので、詳細な説明を省略する。
【0032】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る射出装置12について説明する。
図5は、第3の実施形態に係る射出成形機10を表す図である。なお、第2の実施形態と同一の要素は、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0033】
第3の実施形態に係る射出装置12は、第2の実施形態のプランジャ20に替えて、スクリュ82を有し、注入孔22および成形材料注入装置30を有しない。スクリュ82は、内径中空部14aおよび内径中空部80aの内部に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動および軸の回転が可能である。なお、ノズル80に替えて、ノズルアダプタ16およびノズル18を用いることで、第1の実施形態と対応する構成としてもよい。
【0034】
ここでは、バレル14に設けられた孔28が注入孔として用いられる。すなわち、孔28からバレル14の内径中空部14a内に成形材料が注入される。例えば、ホッパ(図示せず)を用いて、孔28を経由して、成形材料(例えば、ペレット状の樹脂材料)が内径中空部14a内に供給される。成形サイクルの計量工程において、制御装置64は、サーボモータ60およびサーボモータ62を制御して、スクリュ82を回転および後退させることで、成形材料の計量を行う。計量中に、スクリュ82は、回転しながら後退することによって、スクリュ82は、内径中空部14a内の成形材料をスクリュ82の溝に沿って、前方のノズル80の内径中空部80a(空間70)へと送る。計量工程の終了後に、制御装置64は、射出装置12全体を前方向に移動させることで、ノズル80を金型にタッチさせる。その後、制御装置64は、射出制御を行う。つまり、制御装置64は、サーボモータ62を制御して、スクリュ82を前進させることで、制御装置64は、空間70内の成形材料をノズル孔80cの前端から、金型に向けて射出させる。
【0035】
シールケース24は、孔28(注入孔)の後方向に配置されるバレル14に固定される。ここでは、バレル14は、軸線方向に沿って、前方向側の第1部材142と、後方向側の第2部材144と、に分離可能である。シールケース24は、第1部材142の後端部に形成された収容用中空部14b内(第4の収容用中空部内)に、挿抜可能に収容される。また、シールケース24は、第2部材144の前端部によって、収容用中空部14b内に保持される。なお、第1部材142と第2部材144とは、不図示のボルト等によって、互いに締結される。
【0036】
次のようにして、射出装置12からシール72を取り外すことができる。まず、バレル14の第1部材142と第2部材144とを互いに分離することで、例えば、第1部材142の後端からシールケース24の後端を露出させる。その後、シールケース24の雌ねじ部24dに取り出し用ボルトを螺合させて、取り出し用ボルトを引っ張る。これにより、シールケース24と共に、シール72を第1部材142から取り外すことができる。
【0037】
以上の点を除き、第3の実施形態は、第1および第2の実施形態と実質的に同様なので、詳細な説明を省略する。
【0038】
(変形例1)
以下、変形例1に係るシールケース24を説明する。
図6は、変形例1に係るシールケース24を表す図である。
図6に示すように、変形例1では、内径中空部24b(第1内径中空部)の内径面F1の全面に、雌ねじ部24dが形成される。これにより、シール72がシールケース24に固着している場合であっても、シールケース24とシール72とを容易に互いに分離することができる。すなわち、取り出し用ボルトをシールケース24の雌ねじ部24dに螺合させ、その後、取り出し用ボルトを回転させる。この結果、取り出し用ボルトの先端を内径中空部24c内(第2内径中空部内)まで到達させることで、シールケース24からシール72を押し出すことができる。
【0039】
以上の点を除き、変形例1に係るシールケース24は、第1~第3の実施形態のシールケース24と同様なので、詳細な説明を省略する。すなわち、変形例1に係るシールケース24は、第1~第3の実施形態のいずれにも適用可能である。
【0040】
(変形例2)
以下、変形例2に係るシールケース24を説明する。
図7は、変形例2に係るシールケース24を表す図であり、ノズルアダプタ16からシール72およびシールケース24を分離した状態を表す。
【0041】
図7に示すように、シールケース24は、複数のシール72(ここでは、前方および後方、計2つのシール24)を保持する。このシールケース24は、内径中空部24b(第1内径中空部)、および前方の内径中空部24c(第2内径中空部)に加えて、後方の内径中空部24c(第3内径中空部)を有する。後方の内径中空部24cには、後方のシール72が嵌挿される。後方の内径中空部24cは、内径中空部24bより大きい内径を有する。後方の内径中空部24cは、内径中空部24bおよび前方の内径中空部24cと同軸である。シール72を嵌挿するための複数の内径中空部24cを設けることで、複数のシール72を保持し、その結果、バックフロー防止機能が向上する。ここでは、シールケース24は、2つのシール72を保持するが、3つ以上のシール72を保持してもよい。
【0042】
変形例2でも、シールケース24の雌ねじ部24dに、取り出し用ボルトを螺合させることで、シールケース24と共に、シール72を取り外すことができる。なお、取り出し用ボルトを螺合させる前に、後方のシール72を取り外してもよい。
【0043】
以上の点を除き、変形例2に係るシールケース24は、第1~第3の実施形態のシールケース24と同様なので、詳細な説明を省略する。すなわち、変形例2に係るシールケース24は、第1~第3の実施形態のいずれにも適用可能である。
【0044】
(変形例3)
以下、変形例3に係るシールケース24を説明する。
図8は、変形例3に係るシールケース24を表す図であり、ノズルアダプタ16からシール72およびシールケース24を分離した状態を表す。
【0045】
図8に示すように、変形例3では、シールケース24の端面上に、Oリング74を設けている。また、シールケース24の端面上に、Oリング74を保持する溝24eを形成している。このように、シールケース24の端面上にOリング74を保持してもよい。シールケース24の端面上のOリング74は、バックフロー防止に寄与し、且つ、シールケース24と共に、取り外すことができる。
【0046】
ここでは、シールケース24の端面上に1つのOリング74を設けているが、Oリング74を追加してもよい。例えば、シールケース24の端面上に、複数のOリング74を設けてもよい。また、シールケース24の端面上および外周面上の双方に、Oリング74を設けてもよい。これにより、成形材料のバックフローをより効果的に防止できる。この場合、シールケース24の端面上(および外周面上)に複数の溝24eを形成し、複数のOリング74をそれぞれ、複数の溝24e内に保持させることができる。
【0047】
以上の点を除き、変形例3に係るシールケース24は、第1~第3の実施形態のシールケース24と同様なので、詳細な説明を省略する。すなわち、変形例3に係るシールケース24は、第1~第3の実施形態のいずれにも適用可能である。
【0048】
(変形例4)
以下、変形例4に係る射出装置12を説明する。
図9A~
図9Cは、変形例4の一例に係る射出成形機10を表す図である。
図10A~
図10Cは、変形例4の他の例に係る射出成形機10を表す図である。
【0049】
図9Aおよび
図10Aは、第1の実施形態に対応する射出装置12において、ノズルアダプタ16からシールケース24を分離した状態を表す。
図9Aおよび
図10Aにおいて、シールケース24は、バレル14とノズルアダプタ16とによって固定される。
【0050】
図9Aでは、第1の実施形態での収容用中空部16bに替えて、バレル14の前端部に収容用中空部14b(第3の収容用中空部)が形成されている。シールケース24は、バレル14の前端部の収容用中空部14bに挿抜可能に収容される。シールケース24は、ノズルアダプタ16の後端部によって、収容用中空部14b内に保持される。
【0051】
図10Aでは、ノズルアダプタ16の後端部およびバレル14の前端部に、収容用中空部16b(第2の収容用中空部)および収容用中空部14b(第3の収容用中空部)が形成されている。シールケース24は、収容用中空部16bおよび収容用中空部14bの内部に収容、且つ、保持される。
【0052】
図10Aでは、収容用中空部16bの長さは、収容用中空部14bより長い。ノズルアダプタ16とバレル14とを互いに分離したときに、シールケース24をノズルアダプタ16に保持させるためである。なお、他の手法を用いて、シールケース24がノズルアダプタ16に保持されてもよい。また、シールケース24は、バレル14に保持されてもよい。さらに、シールケース24は、ノズルアダプタ16およびバレル14の任意の一方に保持されてもよい。
【0053】
図9Bおよび
図10Bは、第2の実施形態に対応する射出装置12において、ノズル80からシールケース24を分離した状態を表す。
図9Bおよび
図10Bにおいて、シールケース24は、バレル14とノズル80とによって固定される。
【0054】
図9Bでは、バレル14の前端部に収容用中空部14b(第3の収容用中空部)が形成される。収容用中空部14b内にシールケース24が収容される。また、
図10Bでは、ノズル80の後端部とバレル14の前端部に、収容用中空部80b(第1の収容用中空部)および収容用中空部14b(第3の収容用中空部)が形成される。収容用中空部80bおよび収容用中空部14bの内部にシールケース24が収容される。
【0055】
図10Bでは、収容用中空部80bの長さは、収容用中空部14bより長い。ノズル80とバレル14との間を分離したときに、シールケース24をノズル80に保持させるためである。但し、シールケース24は、バレル14に保持されてもよい。シールケース24は、ノズル80およびバレル14の任意の一方に保持されてもよい。
【0056】
図9Cおよび
図10Cは、第3の実施形態に対応する射出装置12において、バレル14(第1部材142と第2部材144)からシールケース24を分離した状態を表す。
図9Cおよび
図10Cにおいて、シールケース24は、バレル14(第1部材142と第2部材144)によって固定される。
【0057】
図9Cでは、第2部材144の前端部に収容用中空部14b(第5の収容用中空部)が形成され、収容用中空部14b内にシールケース24が収容される。また、
図10Cでは、第1部材142の後端部と第2部材144の前端部とに2つの収容用中空部14b(第4の収容用中空部および第5の収容用中空部)が形成され、2つの収容用中空部14b内にシールケース24が収容される。
【0058】
図10Cでは、第1部材142の収容用中空部14bの長さは、第2部材144の収容用中空部14bより長い。第1部材142と第2部材144との間を分離したときに、シールケース24を第1部材142に保持させるためである。但し、シールケース24は、第2部材144に保持されてもよい。シールケース24は、第1部材142および第2部材144の任意の一方に保持されてもよい。
【0059】
以上の点を除き、変形例4は、第1の実施形態、第2の実施形態、および、第3の実施形態と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0060】
(変形例5)
以下、変形例5に係る射出装置12を説明する。変形例5は、変形例1~4の適宜な組み合わせである。例えば、変形例1および変形例2を組み合わせることができる。この場合、シールケース24は、複数のシール72を保持し、且つ、内径中空部24b(第1内径中空部)の内径面F1の全面に雌ねじ部24dが形成される。
【0061】
[変形実施形態]
本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0062】
〔実施形態から得られる発明〕
上記各実施形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0063】
〔1〕本発明に係る射出装置(12)は、バレル(14)の先端に設けられたノズル部材([ノズル80]、[ノズルアダプタ16、ノズル18])から金型内に成形材料を射出して成形を行う射出装置であって、前記バレルおよび前記ノズル部材の内径中空部(14a、80a、16a)に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動が可能なプランジャ(20)と、前記ノズル部材の前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記ノズル部材に設けられた注入孔(22)と、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記プランジャに沿って後方向に流れることを防止する環状のシール(72)と、前記シールを保持し、外径が前記内径中空部の径より大きい筒状のシールケース(24)と、を備える。前記シールケースは、前記バレルと前記バレルに取り付けられた前記ノズルとによって固定され、且つ、前記プランジャが貫通するための第1内径中空部(内径中空部24b)を形成する第1内径面(内径面F1)と、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部と同軸の前記シールが嵌挿される第2内径中空部(内径中空部24c)を形成する第2内径面(内径面F2)と、を有する。前記第1内径面の少なくとも一部には、前記プランジャの径より大きい雌ねじ部(24d)が形成されている。これにより、バレルとノズル間を分離し、シールケースの雌ねじ部に取り出し用ボルトを螺合させ、取り出し用ボルトを用いて、シールをシールケースと共に容易に取り外すことができる。
【0064】
〔2〕前記ノズル部材は、ノズル(80)を有し、前記ノズルの後端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記ノズルの後端部には前記シールケースが収容される第1の収容用中空部(収容用中空部80b)が形成されている。これにより、ノズルの後端部からシールをシールケースと共に容易に取り外すことができる。
【0065】
〔3〕前記ノズル部材は、前記バレルの先端に設けられたノズルアダプタ(16)と、前記ノズルアダプタの先端に設けられたノズル(18)と、を有し、前記プランジャは、前記バレルおよび前記ノズルアダプタの内径中空部(14a、16a)に設けられ、前記注入孔は、前記ノズルアダプタの前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記ノズルアダプタに設けられる。前記シールケースは、前記バレルと前記ノズルアダプタとによって固定される。これにより、バレルとノズルアダプタ間を分離し、シールケースの雌ねじ部に取り出し用ボルトを螺合させ、取り出し用ボルトを用いて、シールをシールケースと共に容易に取り外すことができる。
【0066】
〔4〕前記ノズルアダプタの後端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記ノズルアダプタの後端部には前記シールケースが収容される第2の収容用中空部(収容用中空部16b)が形成されている。これにより、ノズルアダプタの後端部からシールをシールケースと共に容易に取り外すことができる。
【0067】
〔5〕前記バレルの前端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記バレルの前端部には、前記シールケースが収容される第3の収容用中空部(収容用中空部14b)が形成されている。これにより、バレルの前端部からシールをシールケースと共に容易に取り外すことができる。
【0068】
〔6〕本発明に係る射出装置は、バレルの先端に設けられたノズル(80)から金型内に成形材料を射出して成形を行う射出装置であって、前記バレルの内径中空部に設けられ、軸線方向に沿った前後方向への移動が可能なスクリュ(82)と、前記バレルの前記内径中空部に前記成形材料が注入されるように、前記バレルに設けられた注入孔(孔28)と、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料が前記スクリュに沿って後方向に流れることを防止する環状のシールと、前記シールを保持し、外径が前記バレルの前記内径中空部の径より大きい筒状のシールケースと、を備える。前記シールケースは、前記バレルに固定され、且つ、前記スクリュが貫通するための第1内径中空部を形成する第1内径面と、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部と同軸の前記シールが嵌挿される第2内径中空部を形成する第2内径面と、を有する。前記第1内径面の少なくとも一部には、前記スクリュの径より大きい雌ねじ部が形成されている。これにより、シールケースの雌ねじ部に取り出し用ボルトを螺合させ、取り出し用ボルトを用いて、シールケースと共に、シールを容易に取り外すことができる。
【0069】
〔7〕前記バレルは、前記軸線方向に沿って、前方向側の第1部材(142)と、後方向側の第2部材(144)とに分離可能であり、前記第1部材の後端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記第1部材の後端部には前記シールケースが収容される第4の収容用中空部(収容用中空部14b)が形成されている。これにより、バレルの第1部材の後端部から、シールケースと共に、シールを容易に取り外すことができる。
【0070】
〔8〕前記バレルは、前記軸線方向に沿って、前方向側の第1部材と、後方向側の第2部材とに分離可能であり、前記第2部材の前端部から前記シールケースが挿抜可能に、前記第2部材の前端部には前記シールケースが収容される第5の収容用中空部(収容用中空部14b)が形成されている。これにより、バレルの第2部材の前端部からシールケースと共に、シールを容易に取り外すことができる。
【0071】
〔9〕前記射出装置は、前記第1、第2、第3、第4、および第5の収容用中空部(14b、16b、80b)のいずれかの内径面(Fb)と前記シールケースの外周面との間から後方向に前記成形材料が流れることを防止するOリング(74)を備え、前記シールケースの外周面、又は、端面に前記Oリングを保持する溝(24e)が形成されている。これにより、シールケースに保持されたOリングを用いて、収容用中空部と前記シールケースの外周面との間からの成形材料の漏れを防止できる。
【0072】
〔10〕前記第1内径中空部の全面に前記雌ねじ部が形成されている。これにより、シールケースの雌ねじ部に取り出し用ボルトをねじ込むことで、シールケースの第2内径中空部に保持されるシールをシールケースから押し出すことができる。
【0073】
〔11〕前記射出装置は、前記注入孔の後方向側に設けられ、前記注入孔から注入された前記成形材料がプランジャ、又は、スクリュに沿って後方向に流れることを防止する環状の第2のシール(シール72)、を備える。前記シールケースは、前記第1内径中空部より径が大きく、且つ、前記第1内径中空部および前記第2内径中空部と同軸の、前記第2のシールが嵌挿される第3内径中空部(内径中空部24c)、を有する。