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特許7586928カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルを含む処理組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルを含む処理組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20241112BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20241112BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20241112BHJP
   C08B 37/00 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D7/22
C11D3/395
C11D3/386
C11D3/40
C11D3/50
C11D17/08
C11D17/06
C11D17/04
C11D1/00
D06M15/03
C08B37/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022567262
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021037767
(87)【国際公開番号】W WO2021257793
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】63/040,554
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20183889.3
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バレラ、カローラ
(72)【発明者】
【氏名】フライター、クリスティン・リン
(72)【発明者】
【氏名】デポート、カレル・ジョゼフ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ウォルラヴェンス、ワウテル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロント、セドリック・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】イェーツ、クレア・レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】メンクハウス、ジュリー・アン
(72)【発明者】
【氏名】グッド、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シ、ガン
(72)【発明者】
【氏名】チルトン、ルース
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン、マイケル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バークハート、ブランドン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ウェイミング
(72)【発明者】
【氏名】マクドノウ、キャスリーン・マリー
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-501568(JP,A)
【文献】特開2000-129288(JP,A)
【文献】特表2019-504932(JP,A)
【文献】特開昭57-005701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
D06M 15/03
C08B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理組成物であって、
少なくとも1つの正に帯電した有機基のみで置換されたポリα-1,6-グルカンを含む、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、
前記ポリα-1,6-グルカンが、グルコースモノマー単位の骨格を含み、前記グルコースモノマー単位の少なくとも65%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合しており、
前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、
i)500~2000の重量平均重合度、及び
ii)0.001~3.0の置換度を特徴とし、
前記グルコースモノマー単位の少なくとも3%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有し、
前記処理組成物が、処理補助成分を更に含み、
前記処理組成物が、布地ケア組成物、食器ケア組成物、又はこれらの混合物である、処理組成物。
【請求項2】
前記グルコースモノマー単位の少なくとも5%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有する、請求項1に記載の処理組成物。
【請求項3】
前記正に帯電した有機基が、置換アンモニウム基を含む、請求項1又は2に記載の処理組成物。
【請求項4】
前記置換アンモニウム基が、少なくとも1つのC1~C18アルキル基、少なくとも1つのC1~C4アルキル基、又はこれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の処理組成物。
【請求項5】
前記正に帯電した有機基が、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項6】
前記置換度が、0.01~1.5である、請求項1~5のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項7】
前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、750~1500の範囲の重量平均重合度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項8】
前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、150,000~225,000の重量平均分子量、0.05~0.5の置換度を特徴とし、前記グルコースモノマー単位の5%~20%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項9】
前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、本明細書に記載の生分解性試験方法(すなわち、OECDガイドライン301Bの二酸化炭素放出試験方法)によって決定される場合、試験期間の90日目に、少なくとも5%の生分解性を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項10】
前記処理組成物が、前記処理組成物の0.01重量%~10重量%の前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項11】
前記処理補助成分が、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、泥及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、顔料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項12】
前記処理組成物が、液体組成物、顆粒状組成物、ヒドロコロイド、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、パスティル若しくはビーズ、繊維物品、錠剤、スティック、バー、フレーク、フォーム/ムース、不織シート、又はこれらの混合物の形態である、請求項1~11のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項13】
前記処理組成物が、洗濯洗剤組成物、布地コンディショニング組成物、洗濯添加剤、布地前処理組成物、布地リフレッシュ組成物、自動食器洗浄組成物、手動食器洗浄組成物、又はこれらの混合物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の処理組成物。
【請求項14】
(a)~(d)のうちの少なくとも1つに当てはまる、請求項1~13のいずれか一項に記載の処理組成物:
(a)前記処理組成物が、単区画パウチ若しくは多区画パウチの形態であり、前記処理補助成分が、前記処理組成物の20重量%未満の水を含み、
任意選択的に、前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、150,000~225,000の重量平均分子量、0.05~0.4の置換度を特徴とし、前記グルコースモノマー単位の5%~20%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有し得る、又は
(b)前記処理組成物が、粒子の形態であり、
個々の粒子が、1mg~1グラムの質量を有し、
前記粒子が、水溶性担体中に分散した前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、
任意選択的に、前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、150,000~225,000の重量平均分子量、0.1~0.4の置換度を特徴とし、前記グルコースモノマー単位の5%~10%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有する、又は
(c)前記処理組成物が、液体の形態であり、
前記処理組成物が、前記処理組成物の40重量%~95重量%の水を含み、
前記処理組成物が、前記処理組成物の5重量%~50重量%の界面活性剤を更に含み、
任意選択的に、前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、150,000~225,000の重量平均分子量、0.05~0.4の置換度を特徴とし、前記グルコースモノマー単位の5%~20%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有する、又は
(d)前記処理組成物が、液体の形態であり、
前記処理組成物が、前記処理組成物の40重量%~98重量%の水、
前記処理組成物の1重量%~35重量%の布地柔軟剤を含み、
並びに任意選択的に、前記ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、150,000~225,000の重量平均分子量、0.4~0.5の置換度を特徴とし、前記グルコースモノマー単位の5%~10%が、α-1,2-グリコシド結合を介した分岐を有する。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の処理組成物で表面を処理する方法であって、任意選択的に水の存在下で、前記表面を前記処理組成物と接触させる工程を含み、前記表面が、布地又は食器である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、布地ケア組成物又は食器ケア組成物などの処理組成物に関する。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含み、例えば、約0.001~約3.0の置換度を特徴とする。任意選択的に、骨格グルコースモノマー単位の約5%以上が、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介して分岐していてもよい。本開示はまた、このような組成物の製造方法及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
酵素合成又は微生物の遺伝的操作を使用して新しい構造多糖類を見出すための要望によって駆動され、研究者は、生分解性であり、かつ再生可能な供給原料から経済的に作製され得るオリゴ糖及び多糖類を発見した。カチオン性多糖類は、布地ケア組成物及び食器ケア組成物などの有用性処理組成物を有する。酵素合成又は微生物の遺伝子操作に由来するカチオン性多糖類は、粘度調整剤、乳化剤、結合剤、フィルム形成剤、拡散及び付着助剤、及びそのような処理組成物中の活性成分のレオロジー、有効性、付着、審美性、及び送達を増強するための担体として有用であり得る。
【0003】
特に、香料、香料送達系、又は柔軟化活性物質などの特定の活性成分が、衣服又は皿などの標的表面上に付着することが望ましい。付着助剤は、そのような活性物質の付着効率を改善することができる。しかしながら、付着助剤は、処理組成物及び/又は処理液中の他の成分と適合する必要がある。更に、好ましくは、付着助剤は、使用及び加工性を容易にするために、処理組成物の安定性及び/又は粘度に対する影響を最小限に抑えることが好ましい。このような材料は、再生可能資源から作製され得る供給原料に由来することも好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活性成分の付着又は性能を改善することができるか、又は更に柔軟性又は他の利点自体を提供することができる材料を含む、布地ケア組成物又は食器ケア組成物などの処理組成物に対する継続的な必要性が存在する。そのような処理組成物に付着又は他の性能利点を提供することができる材料もまた必要であり、この材料は、再生可能資源に由来する。そのような材料が製品及び使用条件に適合し、及び/又は便利に加工されることが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物、典型的には布地ケア及び食器ケア組成物、及びそれらに関連する方法に関する。
【0006】
例えば、本開示は、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含むポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、ポリα-1,6-グルカンは、グルコースモノマー単位の骨格を含み、少なくとも65%のグルコースモノマー単位がα-1,6-グリコシド結合を介して結合しており、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、(a)、(b)、又は(c)のうちの少なくとも1つ、又は少なくとも2つ、又は3つ全てを特徴とし、(a)少なくとも5の重量平均重合度、及び/又は(b)約1000~約500,000ダルトンの重量平均分子量及び/又は(c)約900~約450,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンに由来し、少なくとも1つの正に帯電した有機基での置換前に決定され、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3.0の置換度によって更に特性決定され、処理組成物は、処理補助成分を更に含み、処理組成物は、布地ケア組成物、食器ケア組成物又はこれらの混合物である。任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物及び/又はポリα-1,6-グルカン親化合物中の骨格グルコースモノマー単位の少なくとも3%は、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介して分岐を有する。
【0007】
本開示はまた、本明細書に記載の処理組成物により、典型的には布地又は食器である、表面を処理する方法に関し、方法は、任意選択的に水の存在下で、表面を、処理組成物と接触させる工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、布地及び食器ケア組成物などの処理組成物に関する。化合物は、ポリα-1,6-グルカンから誘導され、正に帯電した有機基で置換され得る。そのような化合物は、現在記載されている処理化合物において有利であり得る。例えば、カチオン性グルカンエーテル化合物は、布地などの標的表面に柔軟性の利点を提供し得る。更に、化合物は、付着助剤として作用し、柔軟化活性物質又はフレッシュネス(freshness)活性物質などの処理組成物中の他の活性成分の付着を改善し得る。
【0009】
本開示のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、そのような処理組成物において既知である他のカチオン性ポリマーよりも利点を有し得る。例えば、多くのカチオン性ポリマーは、合成起源のものであるが、本開示のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、再生可能資源に由来する供給原料グルカンから誘導される。カチオン性ヒドロキシエチルセルロース(cationic hydroxyethylcellulose、「catHEC」)などの他のカチオン性多糖類が知られているが、それらは、処理組成物又はセルラーゼなどの処理液中にもあり得る酵素による酵素分解の影響を受けやすい可能性がある。本開示のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、製品中又は処理液中のそのような酵素に耐性があると考えられている。特定のカチオン性ポリマーは、水性組成物の粘度に実質的に影響を及ぼし得、配合物及び安定性の課題をもたらし得るが、本開示のカチオン性グルカンエーテル化合物は、比較的最小限の粘度の影響で比較的高い量で使用され得る。最後に、本開示のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、水に比較的可溶性であり得、好都合な加工、貯蔵、及び輸送をもたらし、一方、他のカチオン性グルカン系化合物(例えば、特定のポリα-1,3-グルカンエーテル化合物)は、比較的不溶性である。
【0010】
本開示の化合物、組成物及び方法を以下でより詳細に述べる。
【0011】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲で使用される場合の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語とは、非限定的であることを意味する。本開示の組成物は、本開示の成分を含み得る、それらから本質的になり得る、又はそれらからなり得る。
【0012】
本明細書では、「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」という用語を使用してもよい。これは、指示される材料が最小限の量であり、組成物の一部を形成するように意図的にその組成物に添加されたものでないこと、又は好ましくは、分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が、意図的に含まれるその他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する、組成物を含むことを意味する。指示される材料は、存在したとしても、組成物の1重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%の濃度で存在してもよい。
【0013】
本明細書で使用するとき、「布地ケア組成物」という語句とは、布地を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。このような組成物としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地増強組成物、布地フレッシュニング組成物、洗濯前洗浄剤、洗濯前処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は中に含まれる洗剤、及び本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用することができ、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加することができる。布地ケア組成物は、自動洗濯機における使用などの自動処理プロセス、又は手による処理などの手動処理プロセスのために意図され得る。追加的又は代替的に、布地ケア組成物は、完成した織物のケア、完成した織物の洗濯、完成した織物の衛生化、完成した織物の消毒、洗剤、染み除去剤、柔軟剤、布地向上剤、染み除去又は完成した織物の処理、予洗及び後洗浄処理、洗濯機の清浄化及びメンテナンス(完成した織物とは、衣類及び布製品を含むことを意図する)を対象とする組成物を含み得る。
【0014】
本明細書で使用するとき、「食器ケア組成物」という語句とは、食器を処理するために設計された組成物及び配合物を含む。そのような組成物には、自動食器洗浄洗剤(典型的には食器洗浄機で使用される)などの食器洗浄洗剤及び手洗い用食器洗剤が含まれる。食器洗浄洗剤組成物は、ゲル、錠剤、又はユニット化された用量の物品を含む、本明細書に開示される任意の乾燥形態又は液体/水性形態であり得る。追加的又は代替的に、食器ケア組成物は、食器洗浄機、利用水、及びその内容物の両方のための洗剤、予備的後処理及び機器清浄化及びメンテナンス製品を含む、自動食洗機における、皿、グラス、陶器、鍋、フライパン、台所用品、カトラリーなどのケアを対象とする組成物を含み得る。食器ケア組成物は、手動/手による食器洗浄洗剤を含み得る。
【0015】
別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0016】
本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。別途記載のない限り、本明細書における全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0017】
本開示の全ての実施形態では、全てのパーセンテージは、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0018】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0019】
引用された全ての特許及び非特許文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「実施形態」又は「開示」という用語は、限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に定義される又は本明細書に記載される実施形態のいずれにも広く適用される。これらの用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0021】
本開示では、多数の用語及び略語が使用される。特に明記しない限り、以下の定義が適用される。
【0022】
要素又は構成要素の前に記載される冠詞「a」、「an」、及び「the」は、その要素又は構成要素の例(すなわち、存在)の数に関して非制限的であることを意図する。「a」、「an」、及び「the」は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、要素又は構成要素の単数形の語形はまた、その数が単数であることを明らかに意味していない限り、複数形も含む。
【0023】
「含む(comprising)」という用語は、請求項で言及されるような、記載された特徴、整数、工程、又は構成要素の存在を意味するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、構成要素、又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではないことを意味する。「含む(comprising)」という用語は、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という用語によって包含される実施形態を含むことを意図する。同様に、「から本質的になる」という用語は、「からなる」という用語によって包含される実施形態を含むことを意図する。
【0024】
存在する場合、全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。例えば、「1~5」の範囲が列挙される場合、列挙される範囲は、範囲「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」などを含むと解釈されるべきである。
【0025】
本明細書全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、このようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むことを意図する。本明細書全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、このようなより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、このようなより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、このようなより狭い数値範囲があたかも本明細書に全て明確に記載されているかのように含む。
【0026】
本出願において指定される様々な範囲における数値の使用は、別途明示的に示されない限り、記載された範囲内の最小値及び最大値が両方とも「約」という語の後に続くかのように近似値として記載される。このようにして、規定の範囲を上回る及び下回るわずかなばらつきを使用して、範囲内の値と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の各値及び全ての値を含む連続範囲として意図される。
【0027】
本開示の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を読むことによって当業者により容易に理解されるであろう。明確にするために、別々の実施形態に関連して上及び下に記載されている本開示の特定の特徴は、単一の要素内で組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される本開示の様々な特徴は、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供されてもよい。加えて、単数への言及はまた、文脈上特に明記されない限り、複数を含んでもよい(例えば、「a」及び「an」は、1つ以上を指してもよい)。
【0028】
本明細書で使用するとき、「多糖」という用語は、グリコシド結合によってともに結合した単糖単位の長鎖からなるポリマー炭水化物分子を意味し、加水分解により、構成単糖又はオリゴ糖が得られる。
【0029】
「重量パーセント」、「重量パーセント(重量%)」、及び「重量-重量パーセント(%w/w)」という用語は、本明細書において互換的に使用される。重量パーセントは、組成物、混合物、又は溶液に含まれるときの質量基準での材料の百分率を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「多糖誘導体」という用語は、グルコースモノマー単位のヒドロキシル基の少なくともいくつかが1つ以上のエーテル基で置き換えられている化学修飾多糖類を意味する。本明細書で使用するとき、「多糖誘導体」という用語は、「ポリα-1,6-グルカンエーテル」及び「ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物」と互換的に使用される。
【0031】
「疎水性」という用語は、非極性であり、水に対してほとんど又は全く親和性を有しておらず、水をはじく傾向があるない分子又は置換基を指す。
【0032】
「親水性」という用語は、極性であり、極性溶媒、特に水、又は他の極性基と相互作用する親和性を有する分子又は置換基を指す。親水性分子又は置換基は、水を引き寄せる傾向がある。
【0033】
ポリα-1,6-グルカン又はポリα-1,6-グルカンエーテルの「分子量」は、統計的に平均化された分子量分布、すなわち、数平均分子量(M)又は重量平均分子量(M)として表すことができ、これらの両方は、一般に、ダルトン(Dalton、Da)の単位、すなわち、グラム/モルで示される。代替的に、分子量は、DPw(weight average degree of polymerization、重量平均重合度)、又はDPn(number average degree of polymerization、数平均重合度)として表すこともできる。高圧液体クロマトグラフィー(high-pressure liquid chromatography、HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography、SEC)、又はゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)、及びゲル濾過クロマトグラフィー(gel filtration chromatography、GFC)などの技術から、これらの分子量を計算するための様々な手段が当該技術分野において既知である。
【0034】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」又は「M」は、
=ΣN /ΣNとして計算され、式中、Mは個々の鎖iの分子量であり、Nは、その分子量の鎖の数である。SECを使用することに加えて、重量平均分子量は、静的光散乱、質量分析、特にMALDI-TOF(マトリックス支援レーザ脱離/イオン化飛行時間)、小角X線又は中性子散乱、超遠心分離などの他の技術によって決定することができる。
【0035】
本明細書で使用するとき、「数平均分子量」又は「M」は、サンプル中の全てのポリマー鎖の統計的平均分子量を指す。数平均分子量は、M=ΣN/ΣNとして計算され、式中、Mは、鎖の分子量であり、Nは、その分子量の鎖の数である。SECを使用することに加えて、ポリマーの数平均分子量は、蒸気圧浸透圧測定、又はプロトンNMR、FTIR、又はUV-visなどの分光法による又は末端基決定などの様々な束一的方法によって決定することができる。
【0036】
本明細書で使用するとき、数平均重合度(DPn)及び重量平均重合度(DPw)は、1つのモノマー単位Mのモル質量で除算することによって、対応する平均分子量Mw又はMnから計算される。非置換グルカンポリマーの場合、M=162である。置換グルカンポリマーの場合、M=162+M×DoSであり、式中、Mは、置換基のモル質量であり、DoSは、その置換基に対する置換度(1グルコース単位当たりの置換基の平均数)である。
【0037】
本明細書で言及されるようなグルコース炭素位置1、2、3、4、5、及び6は、当該技術分野で既知であり、構造Iに示される:
【0038】
【化1】
【0039】
「グリコシド結合」及び「グリコシド連結」という用語は、本明細書では互換的に使用され、炭水化物(糖)分子を別の炭水化物などの別の基に結合させる共有結合の種類を指す。本明細書で使用するとき、「α-1,6-グルコシド結合」という用語は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び6を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書で使用するとき、「α-1,3-グルコシド結合」という用語は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び3を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書で使用するとき、「α-1,2-グルコシド結合」という用語は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び2を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書で使用するとき、「α-1,4-グルコシド結合」という用語は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び4を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書では、「α-D-グルコース」は、「グルコース」と称される。
【0040】
グルカン、デキストラン、置換グルカン、又は置換デキストランのグリコシド結合プロファイルは、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて求めることができる。例えば、結合プロファイルは、核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)分光法(例えば、13C NMR又はH NMR)を使用する方法を使用して求めることができる。使用できるこれら及び他の方法は、Food Carbohydrates:Chemistry,Physical Properties,and Applications(S.W.Cui,Ed.,Chapter 3,S.W.Cui,Structural Analysis of Polysaccharides,Taylor & Francis Group LLC,Boca Raton,FL,2005)に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
多糖又は多糖誘導体の構造、分子量、及び置換度は、NMR分光法及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)などの当該技術分野において既知の様々な生理化学的分析を使用して確認することができる。
【0042】
本明細書で使用するとき、「アルキル基」という用語は、不飽和を含有しない直鎖、分岐鎖、アラルキル(ベンジルなど)、又は環状(「シクロアルキル」)炭化水素基を指す。本明細書で使用するとき、「アルキル基」という用語は、置換アルキル、例えば、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基又はジヒドロキシアルキル基で置換されたアルキル基、並びに炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1つ以上のヘテロ原子を含有するアルキル基を包含する。
【0043】
本明細書で使用するとき、「アリール」という用語は、単一の環(例えば、フェニル)、複数の環(例えば、ビフェニル)、又は少なくとも1つが芳香族である複数の縮合環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アンスリル、又はフェナントリル)を有する芳香族炭素環基を意味し、これは、任意選択的に、アルキル基で一置換、二置換、又は三置換される。アリールはまた、ヘテロアリールが、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5員、6員、又は7員の芳香環系として定義されるヘテロアリール基も意味する。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、イミダゾール、キノリニル、イソキノリニル、チアゾリル、及びチエニルが挙げられ、これらは任意選択的に、アルキル基で置換され得る。
【0044】
本明細書における「水性組成物」という語句は、溶媒が少なくとも約1重量%の水であり、ポリα-1,6-グルカンエーテルを含む溶液又は混合物を指す。
【0045】
「ヒドロコロイド」及び「ヒドロゲル」という用語は、本明細書において互換的に使用される。ヒドロコロイドとは、水が分散媒体であるコロイド系を指す。本明細書において、「コロイド」は、別の物質全体に微視的に分散している物質を指す。したがって、本明細書におけるヒドロコロイドは、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の水又は水溶液中の分散物、エマルジョン、混合物又は溶液を指すこともできる。
【0046】
本明細書における「水溶液」という用語は、溶媒が水である溶液を指す。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、水溶液中に分散、混合、及び/又は溶解することができる。水溶液は、本明細書のヒドロコロイドの分散媒体として機能することができる。
【0047】
「分散化剤」及び「分散剤」という用語は、本明細書において互換的に使用され、ある物質の別の物質中の分散液の形成及び安定化を促進する物質を指す。本明細書における「分散液」とは、水性組成物全体にわたって散在又は均一に分散している1つ以上の粒子、例えば、パーソナルケア製品、医薬品、食品製品、家庭用製品、又は工業製品の任意の成分を含む水性組成物を指す。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、本明細書に開示される水性組成物中の分散剤として作用することができると考えられる。
【0048】
本明細書で使用するとき、「粘度」という用語は、流体又はヒドロコロイドなどの水性組成物が、それを流動させる傾向のある力に抵抗する程度の尺度を指す。本明細書で使用することができる粘度の様々な単位としては、センチポアズ(centipoise、cPs)及びパスカル秒(Pascal-second、Pa・s)が挙げられる。センチポアズは、ポイズの100分の1であり、1ポアズは、0.100kg・m-1・s-1に等しい。したがって、本明細書で使用するとき、「粘度調節剤」及び「粘度調整剤」という用語は、流体又は水性組成物の粘度を変化させる/調整することができる全てを指す。
【0049】
「布地」、「織物」、及び「布」という用語は、本明細書において互換的に使用され、天然及び/又は人工繊維のネットワークを有する織布又は不織布材料を指す。このような繊維は、例えば、糸又は毛糸であってもよい。
【0050】
「セルラーゼ」及び「セルラーゼ酵素」という用語は、本明細書において互換的に使用され、セルロース中のβ-1,4-D-グルコシド結合を加水分解し、それによってセルロースを部分的又は完全に分解する酵素を指す。代替的に、セルラーゼは、例えば「β-1,4-グルカナーゼ」と称される場合もあり、エンドセルラーゼ活性(EC3.2.1.4)、エキソセルラーゼ活性(EC3.2.1.91)、又はセロビアーゼ活性(EC3.2.1.21)を有し得る。本明細書における特定の実施形態では、セルラーゼは、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル誘導体中のβ-1,4-D-グルコシド結合を加水分解することもできる。「セルロース」は、β-1,4-結合D-グルコースモノマー単位の直鎖を有する不溶性多糖を指す。
【0051】
本明細書で使用するとき、「有効量」という用語は、所望の効果を達成するのに好適な、使用又は投与される物質の量を指す。物質の有効量は、用途に応じて変化し得る。当業者は、典型的には、取り消し(undo)実験を行うことなく、特定の用途又は対象ごとに有効量を求めることができるであろう。
【0052】
「酵素加水分解に対する耐性」という用語は、酵素加水分解に対するポリα-1,6-グルカンエーテルの相対的安定性を指す。加水分解に対する耐性を有することは、洗剤、布地ケア、及び/又は洗濯ケア用途などの酵素が存在する用途におけるこれらの物質の使用にとって重要である。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、又はこれらの組み合わせに対して耐性であり得る。任意の特定の酵素に対する耐性は、それぞれの酵素による処理後に、グルカンエーテル物質の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95又は100%が残存するものとして定義される。残存率は、SEC-HPLCを使用して酵素処理後の上清を測定することによって求めることができる。酵素耐性を測定するアッセイは、以下の手順を使用して決定することができる。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のサンプルをバイアル内の水に加え、PTFE磁気撹拌棒を使用して混合して1重量パーセント水溶液を生成する。pH7.0及び20℃で水性混合物を生成する。そのポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が完全に溶解した後、1.0ミリリットル(milliliter、mL)(酵素製剤の1重量パーセント)のセルラーゼ(Puradex(登録商標)EGL)、アミラーゼ(Purastar(登録商標)ST L)プロテアーゼ(Savinase(登録商標)16.0L)、又はリパーゼ(Lipex(登録商標)100L)を添加し、20℃で72時間混合する。72時間撹拌した後、反応混合物を10分間で70℃に加熱して、添加した酵素を不活化し、得られた混合物を室温まで冷却し、遠心分離して任意の沈殿物を除去する。上清を回収したポリα-1,6-グルカンエーテル化合物についてSEC-HPLCによって分析し、酵素を反応混合物に添加しなかった対照と比較する。そのそれぞれのポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の面積カウントの変化率を使用して、それぞれの酵素処理に対する物質の相対的耐性を試験することができる。合計に対する面積の変化率を使用して、特定の酵素で処理した後に残存する物質の相対量を評価する。少なくとも10%、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、95、又は100%の回収率を有する物質は、それぞれの酵素処理に対して「耐性」であると考えることができる。
【0053】
処理組成物
本開示は、処理組成物に関する。処理組成物は、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンと、処理補助成分と、を含むポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る。これら成分は、以下により詳細に記載される。
【0054】
処理組成物は、布地ケア組成物、食器ケア組成物、又はこれらの混合物であり得る。
【0055】
処理組成物は、布地又は食器類などの表面を処理するのに好適であり得る。処理組成物によって提供される利点には、改善された柔軟性、改善された汚れ付着に対する耐性、改善された染色堅牢性、改善された耐摩耗性、改善された耐皺性、改善された形状保持、改善された抗真菌活性、改善された抗菌活性、改善されたフレッシュネス、改善された耐汚染性、洗濯時の改善された清浄化性能、改善された乾燥速度、改善された染料、顔料又はレーキ更新、改善された白色度保持、改善された灰色化防止利点、改善された汚れ再付着防止利点、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。特に、そのような組成物は、そのような表面に柔軟性、ケア、及び/又はフレッシュネスの利点を提供し得る。組成物は、自動洗濯機の洗浄サイクル及び/又はすすぎサイクルを通して布地などの表面を処理することを意図することができる。
【0056】
そのような組成物は、洗濯前処理、洗濯後処理として使用されてもよく、又は洗濯作業のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に、又は更には乾燥プロセス若しくは衣類の仕上げ中に添加されてもよい。そのような組成物は、衣服の着用間など、布地の使用の間に布地に適用され得る。本明細書に開示される処理組成物は、家庭環境(例えば、消費者による家庭内使用)で使用され得るか、又は商業サービス(例えば、専門のドライクリーニング店)で使用され得る。処理組成物は、在宅環境(例えば、大学、病院、ホテル、又はレストラン関連の織物の洗濯)での使用に好適である可能性がある。
【0057】
処理組成物は、任意の好適な形態であってもよい。処理組成物は、液体組成物、顆粒状組成物、ヒドロコロイド、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、パスティル若しくはビーズ若しくは粒子、繊維物品(これは水溶性又は水中分散性、あるいは実質的に不溶性/非分散性であってもよい)、錠剤、スティック、バー、フレーク、フォーム/ムース、不織シート(例えば乾燥機用シート)、スプレー又はこれらの混合物の形態であってもよい。組成物は、液体、固体、又はこれらの組み合わせから選択することができる。この組成物は、液体布地改善剤、フォーム/ムース、乾燥機用シート、又はパスティル/ビーズ/粒子の形態であってもよい。
【0058】
組成物は、液体の形態であってもよい。組成物は水を含んでもよい。組成物は水性であってもよい。液体組成物であり得る組成物は、少なくとも50重量%の水、好ましくは少なくとも75%、又は更に85%超、又は更に90%超、又は更に95%超の水を含み得る。組成物は、組成物の約10重量%~約97重量%、好ましくは約10%~約90%、より好ましくは約25%~約80%、より好ましくは約45%~約70%の水を含み得る。液体組成物は、液体洗濯洗剤又は液体布地エンハンサであってもよい。液体は、注入可能なボトルにパッケージングされてもよい。液体は、エアゾール缶又は他のスプレーボトルにパッケージングされてもよい。
【0059】
組成物は、非水性組成物であってもよい。組成物は、20%未満の水、又は15%未満の水、又は12%未満の水、又は10%未満の水、又は8%未満の水、又は5%未満の水、又は3%未満の水、又は1%未満の水を含み得る。そのような組成物は、例えば環境上の理由から水を輸送するために必要なエネルギーを最小限に抑えることは好ましい場合がある。そのような非水性組成物は、液体、ゲル、又は固体(顆粒/粉末、粒子、及び/又は溶解性シート又はウェブを含む)であり得る。非水性組成物では、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、粒子形態であり得る。
【0060】
組成物は、錠剤、パウチ、シート、又は繊維状物品などの単位用量物品の形態であってもよい。そのようなパウチは、典型的には、組成物を少なくとも部分的にカプセル化する水溶性フィルムを含む。組成物は、単区画パウチ又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有してもよい。多区画パウチは、並べて及び/又は重ねて配置された区画を含んでもよい。パウチ又はその区画に収容される組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであってもよい。パウチにした組成物は、比較的少量の水、例えば、洗剤組成物の約20重量%未満、又は約15重量%未満、又は約12重量%未満、又は約10重量%未満、又は約8重量%未満の水を有してもよい。
【0061】
組成物は、好ましくはパスティル又はビーズなどの粒子の形態の固体の形態であり得る。好適な粒子は、水溶性担体中に分散されたポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る。個々の粒子は、約1mg~約1gの質量を有し得る。水溶性担体は、水溶性ポリマーであり得る。水溶性担体は、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。組成物は、約25重量%~約99.99重量%の水溶性担体と、約0.01重量%~約30重量%のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物と、を含み得る。粒子は、香料、コンディショニング剤(例えば、四級アンモニウム化合物及び/又はシリコーン)、又はこれらの混合物などの追加の有益剤を更に含み得る。粒子は、第1の粒子であり得、第2の粒子を更に含む複数の粒子の一部であり得る。複数の粒子は、第1の粒子及び第2の粒子を含み得、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む粒子は、第1の粒子であり、第2の粒子は、非カプセル化香料、カプセル化香料、又はこれらの混合物であり得る香料などの異なる有益剤を含む。粒子は、洗剤組成物と組み合わせて、例えば、洗浄サイクル中に同時に、又はその後すすぎサイクル中に使用され得る。
【0062】
布地ケア組成物は、20s-1及び21℃において、1~1500センチポアズ(1~1500mPas)、又は100~1000センチポアズ(100~1000mPas)、又は100~500センチポアズ(100~500mPas)、又は100~300センチポアズ(100~300mPas)、又は100~200センチポアズ(100~200mPas)の粘度を有し得る。粘度は、以下に提供されるブルックフィールド試験方法に従って決定される。分配の容易さ及び/又は低い機械残留物を促進するために、比較的低い粘度が好ましい場合がある。
【0063】
本開示の布地ケア組成物は、約2~約12、又は約2~約8.5のpHを特徴とし得る。洗濯洗剤組成物は、典型的には、約6.5~約9.0、又は約7~約8.5のpHを有する。液体布地エンハンサは、典型的には、約2~約6、又は約2~約5、又は約2~約4、又は約2~約3.7、より好ましくは約2~約3.5のpHを有し、好ましくは水性液体の形態である。このようなpHレベルにより、四級アンモニウムエステル化合物の安定性が促進されると考えられる。組成物のpHは、組成物を脱イオン水中に溶解/分散させて、約20℃で10%濃度の溶液を形成することによって測定される。
【0064】
処理組成物の特定の構成要素は、以下により詳細に記載される。
【0065】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物
本開示の処理組成物は、カチオン置換されたポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む。
【0066】
より具体的には、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含み、ポリα-1,6-グルカンは、グルコースモノマー単位の骨格を含み、グルコースモノマー単位の少なくとも65%は、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、(a)少なくとも5の重量平均重合度、(b)約1000~約500,000ダルトンの重量平均分子量、及び/又は(c)約900~約450,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導され、これは少なくとも1つの正に帯電した有機基での置換前に決定されることを特徴とし得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3.0の置換度を特徴とし得る。任意選択的に、骨格グルコースモノマー単位の少なくとも5%、好ましくは約5%~約50%、より好ましくは約5%~約35%は、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する。これらの化合物、基、及び特性について、以下により詳細に記載する。
【0067】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含み、有機基又は複数の有機基が、独立して、ポリα-1,6-グルカン多糖骨格及び/又は存在する場合は任意の分岐にエーテル(-O-)結合を介して結合される。少なくとも1つの正に帯電した有機基は、グルカンの骨格上のグルコースモノマーの2、3、及び/又は4個のグルコース炭素位置において、及び/又は存在する場合、分岐上のグルコースモノマーの1、2、3、4、若しくは6個のグルコース炭素位置において、ポリα-1,6-グルカンを誘導体化することができる。非置換位置では、ヒドロキシル基がグルコースモノマー中に存在する。
【0068】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、1つ以上の正に帯電した有機基の存在に起因して「カチオン性」エーテル化合物と称される。「正に帯電した有機基」、「正に帯電したイオン性基」、及び「カチオン性基」という用語は、本明細書では互換的に使用される。正に帯電した基は、カチオン(正に帯電したイオン)を含む。正に帯電した基の例には、置換アンモニウム基、カルボカチオン基、及びアシルカチオン基が含まれる。
【0069】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含む水溶性ポリα-1,6-グルカンを含み、グルコースモノマー単位の少なくとも65%がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、任意選択的に、骨格グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンは、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が非置換及び置換α-D-グルコース環を含むように、多糖骨格及び/又は存在し得る任意の分岐上の正に帯電した有機基で置換されている。ポリα-1,6-グルカンは、正に帯電した有機基でランダムに置換され得る。本明細書で使用するとき、「ランダムに置換された」という用語は、ランダムに置換された多糖におけるグルコース環上の置換基が非反復的に又はランダムに存在することを意味する。すなわち、置換グルコース環上の置換は、多糖における第2の置換グルコース環上の置換と同一であっても異なっていてもよく(すなわち、多糖におけるグルコース環の異なる原子上の置換基は同一であっても異なっていてもよい)、その結果、ポリマー上の置換全体がパターンを有しなくなる。更に、置換グルコース環は、多糖内にランダムに存在し得る(すなわち、多糖内に置換及び非置換のグルコース環のパターンは存在しない)。
【0070】
ポリα-1,6-グルカンを誘導体化するために使用される反応条件及び特定の置換基に応じて、ポリマー骨格のグルコースモノマーは、存在する場合、α-1,2及び/又はα-1,3結合を介した分岐を含む、任意の分岐のグルコースモノマーに対して不均一に置換され得る。存在する場合、α-1,2及び/又はα-1,3結合を介した分岐を含む分岐のグルコースモノマーは、ポリマー骨格のグルコースモノマーに対して不均一に置換され得る。反応条件及び使用される特定の置換基に応じて、ポリα-1,6-グルカンの置換は、ブロックで起こり得る。
【0071】
ポリα-1,6-グルカンを誘導体化するために使用される反応条件及び特定の置換基に応じて、特定のグルコース炭素位置のヒドロキシル基は、不均一に置換され得ることが可能である。例えば、分岐単位の炭素位置6のヒドロキシルは、他の炭素位置のヒドロキシルよりも置換され得る。炭素位置2、3、又は4のヒドロキシルは、他の炭素位置でのヒドロキシルよりも更に置換され得る。
【0072】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正に帯電した有機基を含み、水中での溶解性に起因して対象となり、置換基及び置換度の適切な選択によって変化させることができる。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物は、洗濯、清浄化、食品、化粧品、工業製品、フィルム、及び紙の製造を含む広範囲の用途において有用であり得る。水中で0.1重量パーセント(重量%)超の溶解度を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、清浄化、洗剤、化粧品、食品、セメント、フィルム、及び紙の製造におけるレオロジー変性剤、エマルジョン安定剤、及び分散剤として有用であり得、生成物は主に水ベースの配合物中にあり、光学的透明性が望まれる。水中で0.1重量%未満の溶解度を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、清浄化、洗剤、化粧品、食品、セメント、フィルム、及び紙の製造におけるレオロジー変性剤、エマルジョン安定剤、及び分散剤として有用であり得、製品は、ポリα-1,6-グルカン誘導体を可溶化又は分散させるために有機溶媒を含有する配合物中にある。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約1.5のDoS、及び25℃の脱イオン水において0.1重量%以上の溶解度を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.05~約1.5のDoS、及び25℃でのpH7の水において0.1重量%未満の溶解度を有し得る。25℃の脱イオン水において、少なくとも0.1%、又は少なくとも1%、又は少なくとも10%、又は少なくとも25%、又は少なくとも50%、又は少なくとも75%、又は少なくとも90重量%の溶解度を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、加工の容易さ及び/又は水性最終使用条件における溶解度の増加に起因して、布地ケア組成物又は食器ケア組成物での使用に好ましい場合がある。
【0073】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、有効量、例えば、製品又は最終用途に対する以下の物理的特性:増粘、凍結/解凍安定性、潤滑性、湿気の保持及び放出、テクスチャ、稠度、形状保持、乳化、結合、懸濁液、分散、及び/又はゲル化のうちの1つ以上の所望の程度を提供する量で、布地ケア及び/又は食器ケア組成物に含まれ得る。有効量はまた、組成物の所望の最終用途における処理の利点、例えば、付着の利点、フレッシュネスの利点、柔軟性、又は他の調整効果、色の利点、汚れ除去効果、白色度又は灰色化防止の利点、光沢利点、スジ防止利点、及び/又はきしみ状表面利点を提供するように選択され得る。
【0074】
本開示の処理組成物は、処理組成物の約0.01重量%~約10重量%、又は約0.05重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約0.1重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約0.8重量%のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る。処理組成物は、処理組成物の約0.2重量%~約3重量%、又は約0.3重量%~約2重量%、又は約0.4重量%~約1重量%のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る。
【0075】
本開示のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、置換ポリα-1,6-グルカンを含み、典型的には、ポリα-1,6-グルカン出発材料から作製される。「ポリα-1,6-グルカン」及び「デキストラン」という用語は、本明細書において互換的に使用される。デキストランは、周期的に側鎖(分岐)がα-1,3-結合(Ioan et al.,Macromolecules 33:5730-5739)又はα-1,2-結合によって直鎖に結合している、α-1,6-結合グルコースモノマーの鎖を一般的に含む複雑な分岐αグルカンのファミリーを表す。デキストランの生成は、典型的には、スクロースを細菌(例えば、乳酸菌又は連鎖球菌種)で発酵させることによって行われ、スクロースは、デキストラン重合のためのグルコース源として機能する(Naessens et al.、J.Chem.Technol.Biotechnol.80:845~860;Sarwat et al.、Int.J.Biol.Sci.4:379~386;Onilude et al.、Int.Food Res.J.20:1645~1651)。ポリα-1,6-グルカンは、いずれも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/183714号及び同第2017/091533号に記載されているように、GTF1729、GTF1428、GTF5604、GTF6831、GTF8845、GTF0088、及びGTF8117など(であるが、これらに限定されない)のグルコシルトランスフェラーゼを使用して調製することができる。
【0076】
カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の40%以上、例えば、グルコースモノマー単位の40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%以上が、α-1,6-グリコソジン結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格は、α-1,2、α-1,3、及び/又はα-1,4グリコシド結合を介して結合された、グルコースモノマー単位の少なくとも3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を含み得る。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の少なくとも65%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の少なくとも70%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の少なくとも80%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の少なくとも90%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の少なくとも95%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の少なくとも99.5%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、主に直鎖状であり得る。
【0077】
デキストラン「長鎖」は、「実質的に(又は大部分が)α-1,6-グルコシド結合」を含み得、これは、いくつかの態様では、少なくとも約98.0%のα-1,6-グルコシド結合を有し得ることを意味する。本明細書におけるデキストランは、いくつかの態様では、「分岐構造」(分岐した構造)を含み得る。この構造では、恐らく反復的に、長鎖が他の長鎖から分岐している(例えば、長鎖は、別の長鎖からの分岐であってよく、これ自体も別の長鎖からの分岐であってよいなど)と考えられる。この構造中の長鎖は、「類似の長さ」であり得ると考えられ、これは、分岐構造中の全ての長鎖の少なくとも70%の長さ(例えば、DP/重合度(degree of polymerization)によって測定された)が、分岐構造の全ての長鎖の平均長さプラスマイナス30%以内であることを意味する。
【0078】
デキストランは、多糖骨格から分岐する「短鎖」を更に含み得、分岐は、典型的には、1~3グルコースモノマー長であり、デキストランポリマーの全てのグルコースモノマーの約10%未満を構成する。このような短鎖は、典型的には、α-1,2-、α-1,3-、及び/又はα-1,4-グルコシド結合を含む(いくつかの態様では、長鎖中に低い割合のこのような非α-1,6結合が存在し得ることが理解される)。α-1,2-分岐又はα-1,3-分岐の量は、試験方法に開示されるように、NMR法によって決定することができる。
【0079】
デキストランは、α-1,2分岐又はα-1,3分岐で修飾される前に酵素的に生成され得る。特定の実施形態では、デキストランは、全て参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/183714号又は同第2017/091533号、又は米国特許出願公開第2018/0282385号に開示されるようなデキストランスクラーゼ及び/又は方法を用いて合成することができる。これらの参考文献において、GTF8117、GTF6831、又はGTF5604として特定されるデキストランスクラーゼ(又はこれらの特定のデキストランスクラーゼのいずれかと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む任意のデキストランスクラーゼ)を所望に応じて使用することができる。そのような酵素的に生成されたデキストランは、直鎖状(すなわち、100%α-1,6結合)及び水溶性である。
【0080】
分岐しているポリ-1,6-グルカンは、国際公開第2015/183714号及び同第2017/091533号の手順に従って酵素的に生成することができ、この場合、例えば、「gtfJ18T1」又は「GTF9905」などのα-1,2-分岐酵素を、デキストランポリマー(多糖)の生成中又は生成後に添加することができる。α-1,2-分岐を生成することが知られている任意の他の酵素を添加してもよい。例えば、α-1,3-分岐を有するポリ-1,6-グルカンは、参照により本明細書に組み込むVuillemin et al..(2016、J.Biol Chem.291:7687-7702)又は米国特許出願第62/871,796号に開示されるように調製することができる。ポリα-1,6-グルカン又はその誘導体の分岐度は、50%、40%、30%、20%、10%、又は5%以下(又は5%~50%の任意の値)の短分岐、例えば、α-1,2-分岐、1,3-分岐、又はα-1,2-分岐とα-1,3-分岐の両方を有する。ポリα-1,6-グルカン出発物質中の分岐度は、分岐ポリα-1,6-グルカンのエーテル化によって形成される分岐ポリα-1,6-グルカンエーテル中に維持される。α-1,2-分岐又はα-1,3-分岐の量は、以下の試験方法に開示されるように、NMR法によって決定することができる。
【0081】
理論に拘束されることを望むものではないが、分岐は、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の溶解度を増加させることができると考えられ、これにより、より便利な加工性及び/又は輸送につながり得る。分岐度の制限は、最終的な処理組成物における性能の改善をもたらし得るとも考えられる。
【0082】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、50%未満のα-1,2-分岐度を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも5%のα-1,2-分岐度を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約50%は、α-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約35%は、α-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有し得る。
【0083】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の少なくとも約5%は、α-1,2-又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは約5%~約30%、更により好ましくは約5%~約25%、更により好ましくは約5%~約20%が、α-1,2又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,3結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約50%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の70%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約35%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。
【0084】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,3結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約50%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約35%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。
【0085】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカン及びポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、5~6000の範囲の数平均重合度(DPn)を有することができる。DPnは、5~100、又は5~500、又は5~1000、又は5~1500、又は5~2000、又は5~2500、又は5~3000、又は5~4000、又は5~5000、又は5~6000の範囲であり得る。DPnは、50~500、又は50~1000、又は50~1500、又は50~2000、又は50~3000、又は50~4000、又は50~5000、又は50~6000の範囲であり得る。
【0086】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカン及びポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも5の範囲内の重量平均重合度(DPw)を有することができる。DPwは、5~6000、又は50~5000、又は100~4000、又は250~3000、又は500~2000、又は750~1500、又は1000~1400、又は1100~1300の範囲であり得る。DPwは、400~6000、又は400~5000、又は400~4000、又は400~3000、又は400~2000、又は400~1500の範囲であり得る。
【0087】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約1000~約500,000ダルトン、又は約10,000~約400,000ダルトン、又は約40,000~約300,000ダルトン、又は約80,000~約300,000ダルトン、又は約100,000~約250,000ダルトン、又は約150,000~約250,000ダルトン、又は約180,000~約225,000ダルトン、又は約180,000~約200,000ダルトンの重量平均分子量を有することができる。本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、好ましくは約60,000~約500,000、好ましくは約80,000~約500,000、より好ましくは約100,000~約500,000、より好ましくは約100,000~約400,000、より好ましくは約100,000~約300,000、より好ましくは約125,000~約300,000、更により好ましくは約150,000~約300,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。異なるサイズのポリマーが、異なる用途及び/又は意図された利点に好ましい場合がある。
【0088】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正に帯電した有機基での置換前に決定される、約900~約450,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導され得る。本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約5000~約400,000ダルトン、又は約10,000~約350,000ダルトン、又は約50,000~約350,000ダルトン、又は約90,000~約300,000ダルトン、又は約125,000~約250,000ダルトン、又は約150,000~約200,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導され得る。本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約50,000~約450,000ダルトン、好ましくは約60,000~約450,000、より好ましくは約80,000~約450,000、より好ましくは約100,000~約450,000、より好ましくは約100,000~約400,000、より好ましくは約100,000~約300,000、より好ましくは約100,000~約250,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンに由来し得る。異なる用途にとっては、又は意図される置換度に応じて、異なるサイズの供給原料又は骨格ポリマーが好ましい場合がある。
【0089】
特定の用途における性能及び/又は安定性の理由から、カチオン性ポリマーが比較的低い分子量及び比較的高い分岐度を有することが望ましい場合がある。例えば、本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、(a)約1000~約150,000ダルトン、好ましくは約5000~約100,000ダルトン、より好ましくは約10,000~約80,000ダルトン、より好ましくは約20,000~約60,000ダルトンの重量平均分子量、(b)グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合しているグルコースモノマー単位の骨格、(c)グルコースモノマー単位の約20%~約60%、好ましくは約30%~約60%、より好ましくは約30%~約50%、更により好ましくは約35%~約45%、更により好ましくは約40%が、α-1,2-又はα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2-グリコシド結合を有し、並びに(d)約0.001~約3.0のカチオン置換度、を特徴とし得る。
【0090】
本明細書で使用される「置換度」(degree of substitution、DoS)は、骨格内、及び存在し得る任意のα-1,2又はα-1,3分岐内にモノマー単位を含み、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の各モノマー単位(グルコース)で置換されたヒドロキシル基の平均数を指す。ポリα-1,6-グルカンポリマー又はカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位には最大3個のヒドロキシル基が存在するため、全体の置換度は3以下であり得る。本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3.0の置換度を有するため、多糖上の置換基は水素のみではあり得ないことが当業者には理解されるであろう。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の置換度は、特定の置換基に関して、又は全体的な置換度、すなわち本明細書で定義されるエーテル化合物の各異なる置換基のDoSの合計に関して記載することができる。本明細書で使用するとき、置換度が特定の置換基又は置換基に関して記載されていない場合、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の全体的な置換度を意味する。置換度は、カチオン性の置換度、又は更には正味のカチオン性の置換度であり得る。標的DoSは、目的の特定の用途におけるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物の所望の溶解度及び性能を提供するように選択することができる。
【0091】
本開示のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、比較的低い非カチオン性置換度を特徴とし得る。例えば、化合物は、約1.0未満、好ましくは約0.5未満、より好ましくは約0.2未満、更により好ましくは約0.1未満の置換に関するDoSを特徴とし得る。本開示の化合物は、約1.0未満、好ましくは約0.5未満、より好ましくは約0.2未満、更により好ましくは約0.1未満のカチオン性ではない、比較的疎水性の置換に関するDoSを特徴とし得る。本開示の化合物は、約1.0未満、好ましくは約0.5未満、より好ましくは約0.2未満、更により好ましくは約0.1未満、より好ましくは0.05未満、更により好ましくは0.0(例えば、ベンジル置換なし)のベンジル基置換に関するDoSを特徴とし得る。
【0092】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3の範囲の正に帯電した有機基に対してDoSを有し得る。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約1.5のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約0.7のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約0.4のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約0.2のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のDoSは、少なくとも約0.001、0.005、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3.0であり得る。DoSは、約0.01~約1.5、好ましくは約0.01~約1.0、より好ましくは約0.01~約0.8、より好ましくは約0.03~約0.7、又は約0.04~約0.6、又は約0.05~約0.5であり得る。洗浄用途(例えば、洗浄サイクルで使用される洗濯洗剤)における性能上の理由から、DoSは、約0.01~約0.5、又は約0.01~約0.25、又は約0.01~約0.2、又は約0.03~約0.15、又は約0.04~約0.12であることが好ましい場合がある。すすぎ用途(例えば、すすぎサイクルで使用される液体布地向上剤)における性能上の理由から、好ましくは、DoSは、約0.01~約1、又は約0.03~約0.8、又は約0.04~約0.7、又は約0.05~約0.6、又は約0.2~約0.8、又は約0.2~約0.6、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6であり得る。ポリα-1,6-グルカンのDoSは、0.01~約0.6、より好ましくは0.02~約0.5であり得る。
【0093】
本開示のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、カチオン電荷密度を特徴とし得る。カチオン電荷密度は、化合物1グラム当たりの電荷のミリ当量(meq/mol)として表すことができ、試験方法の項に提供される方法に従って判定され得る。本開示のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.05~約12meq/g、又は約0.1~約8meq/g、又は約0.1~約4meq/g、又は約0.1~約3meq/g、又は約0.1~約2.6meq/gのカチオン電荷密度(又はcationic charge density、「CCD」)を特徴とし得る。
【0094】
正に帯電した有機基は、別の原子又は官能基で置換された1つ以上の水素を有する1つ以上の炭素の鎖を含み、置換のうちの1つ以上は、正に帯電した基である。本明細書で使用される「鎖」という用語は、炭素原子の直鎖状、分岐状、及び環状配置、並びにこれらの組み合わせを包含する。
【0095】
ポリα-1,6-グルカン誘導体は、多糖類骨格及び/又は任意の分岐の1つ以上の上で少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含む。置換が骨格に含有されるグルコースモノマー上で行われる場合、多糖は、2、3、及び/又は4個のグルコース炭素位置で、非誘導体化(非置換)ポリα-1,6-グルカン中に元々存在するヒドロキシル基の代わりに、エーテル(-O-)結合を介して多糖類に結合される、本明細書で定義されるような有機基で誘導体化される。置換が分岐に含まれるグルコースモノマー上で行われる場合、多糖は、1、2、3、4、又は6個のグルコース炭素位置で、エーテル(-O-)結合を介して多糖類に結合される、本明細書で定義されるような正に帯電した有機基で誘導体化される。
【0096】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、本明細書において、下部構造-C-O-Cを含むことによって、本明細書においてグルカン「エーテル」と呼ばれ、「-C-」は、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位の炭素を表し、「-C-」は正に帯電した有機基に含まれる。カチオン性ポリα-1,6-グルカンモノエーテルは、1種類の正に帯電した有機基を含有する。カチオン性ポリα-1,6-グルカン混合エーテルは、2種類以上の正に帯電した有機基を含有する。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の混合物も使用することができる。
【0097】
本明細書に開示される処理組成物は、本明細書に開示される1つ以上のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、又は本質的にそれからなることができる。処理組成物は、1つのポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る。処理組成物は、2つ以上のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る、例えば、正に帯電した有機基が異なる。
【0098】
処理組成物は、本明細書に開示されるような1つ以上のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得、未反応/非置換である残留反応物であり得る、非置換及び/又は非カチオン性ポリα-1,6-グルカン化合物を更に含み得る、又は加水分解され得る。典型的には、低レベルは、処理組成物中の置換及び/又は化学的安定性に関する反応の完全性を示し得るため、低レベルの非置換/非カチオン性ポリα-1,6-グルカン化合物が好ましい。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物と非置換/非カチオン性ポリα-1,6-グルカン化合物との重量比は、95:5以上、好ましくは98:2以上、より好ましくは99:1以上であり得る。
【0099】
本明細書で使用される「正に帯電した有機基」は、別の原子又は官能基で置換された1つ以上の水素を有する1つ以上の炭素の鎖を指し、置換のうちの1つ以上は、正に帯電した基である。正に帯電した基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に連結している。正に帯電した有機基は、1つ以上の正に帯電した基を含み、カチオン(正に帯電したイオン)を含むため、正味の正電荷を有するとみなされる。「正に帯電した」有機基又は化合物は、典型的には、電子よりも多くのプロトンを有し、他の正に帯電した物質から反発するが、負に帯電した物質に引き付けられる。正に帯電した基の例には、置換アンモニウム基が含まれる。正に帯電した有機基は、例えば、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(ケトン基を形成する)、アルキル基、及び/又は少なくとも1つの追加の正に帯電した基を有する更なる置換を有し得る。
【0100】
正に帯電した有機基は、置換アンモニウム基を含み得、これは、構造IIで表すことができる:
【0101】
【化2】
【0102】
構造IIにおいて、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、アルキル基、又はC~C24のアリール基を表し得る。構造IIに示される炭素原子(C)は、正に帯電した有機基の炭素鎖の一部である。炭素原子は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーに直接エーテル結合しているか、又はポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された2つ以上の炭素原子の鎖の一部である。構造IIに示される炭素原子は、-CH-、-CH-(Hはヒドロキシ基などの別の基で置換されている)、又は-C-(両Hは置換されている)であり得る。
【0103】
、R、及び/又はRがアルキル基を表す場合、アルキル基は、C~C30アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、デコシル、トリコシル、テトラコシル、C25、C26、C27、C28、C29、又はC30基であり得る。アルキル基は、C~C24アルキル基、又はC~C18、又はC~C20アルキル基、又はC10~C16アルキル基、又はC~Cアルキル基であり得る。正に帯電した有機基が、2つ以上のアルキル基を有する置換アンモニウム基を含む場合、各アルキル基は、他と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0104】
、R、及び/又はRがアリール基を表す場合、アリール基は、任意選択的にアルキル置換基で置換されているC~C24アリール基であり得る。アリール基は、任意選択的にアルキル置換基で置換されているC12~C24アリール基、又は任意選択的にアルキル置換基で置換されているC~C18アリール基であり得る。
【0105】
置換アンモニウム基は、構造IIにおけるR、R、及びRの組成に応じて、「一級アンモニウム基」、「二級アンモニウム基」、「三級アンモニウム基」、又は「四級アンモニウム」基であり得る。一級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、式中、R、R、及びRは、各々、水素原子である(すなわち、-C-NH )。
【0106】
二級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、式中、R及びRは各々、水素原子であり、Rは、C~C30アルキル基又はC~C24アリール基である。「二級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物」は、モノアルキルアンモニウム基を有する正に帯電した有機基を含む。二級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、モノアルキルアンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル、例えば、モノメチル-、モノエチル-、モノプロピル-、モノブチル-、モノペンチル-、モノヘキシル-、モノヘプチル-、モノオクチル-、モノノニル-、モノデシル-、モノウンデシル-、モノドデシル-、モノトリデシル-、モノテトラデシル-、モノペンタデシル-、モノヘキサデシル-、モノヘプタデシル-、又はモノオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテルとして略記され得る。これらのポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、それぞれ、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル-、ペンチル-、ヘキシル-、ヘプチル-、オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、又はオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とも称され得る。オクタデシルアンモニウム基はモノアルキルアンモニウム基の例であり、R及びRの各々が、水素原子であり、Rは、オクタデシル基である。この命名法における「二級」によって暗示される第2のメンバー(すなわち、R)は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された正に帯電した有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0107】
三級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、Rは、水素原子であり、R及びRは、各々独立して、C~C24アルキル基、又はC~C24のアリール基である。アルキル基は、同じであってもよく、異なっていてもよい。「三級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物」は、ジアルキルアンモニウム基を有する正に帯電した有機基を含む。三級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、ジアルキルアンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル、例えば、ジメチル-、ジエチル-、ジプロピル-、ジブチル-、ジペンチル-、ジヘキシル-、ジヘプチル-、ジオクチル-、ジノニル-、ジデシル-、ジウンデシル-、ジドデシル-、ジトリデシル-、ジテトラデシル、ジペンタデシル、ジヘキサデシル-、ジヘプタデシル、又はジオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテルとして略記され得る。ジドデシルアンモニウム基は、ジアルキルアンモニウム基の一例であり、式中、Rは水素原子であり、R及びRは各々ドデシル基である。この命名法における「三級」によって暗示される第3のメンバー(すなわち、R)は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された正に帯電した有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0108】
四級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、R、R、及びRは、各々独立してC~C30アルキル基又はC~C24アリール基である(すなわち、R、R、及びRのいずれも水素原子ではない)。
【0109】
四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、トリアルキルアンモニウム基を含んでもよく、R、R、及びRは各々、独立してC~C30アルキル基である。アルキル基は全て同じであってもよく、又は2つのアルキル基は同じであってもよく、他のものとは異なるものであってもよく、又は3つのアルキル基全てが互いに異なっていてもよい。四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、トリアルキルアンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル、例えば、トリメチル-、トリエチル-、トリプロピル-、トリブチル-、トリペンチル、トリヘキシル-、トリヘプチル-、トリオクチル、トリノニル-、トリデシル-、トリウンデシル-、トリドデシル-、トリトリデシル-、トリテトラデシル-、トリペンダデシル-、トリヘキサデシル-、トリヘプタデシル-、又はトリオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテルとして略記することができる。この命名法における「四級」によって暗示される第4のメンバー(すなわち、R)は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された正に帯電した有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。トリメチルアンモニウム基は、トリアルキルアンモニウム基の一例であり、R、R、及びRは各々メチル基である。
【0110】
置換アンモニウム基を含む正に帯電した有機基は構造IIにより表され、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、又はフェニル基若しくはナフチル基などのアリール基、又はベンジル基などのアラルキル基、又はシクロヘキシル若しくはシクロペンチルなどのシクロアルキル基を表す。R、R、及びRの各々は、アミノ基又はヒドロキシル基を更に含み得る。
【0111】
正に帯電した有機基の置換アンモニウム基は、α-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している1つ以上の炭素の鎖上の置換基である。炭素鎖は、1~30個の炭素原子を含有し得る。炭素鎖は、直鎖状であってもよい。直鎖状の炭素鎖としては、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CHCH-、-CH(CH10CH-が挙げられる。所望に応じて、より長い炭素鎖を使用することもできる。炭素鎖は分岐していてもよく、これは、炭素鎖が1つ以上のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、又はブチル基で置換されていることを意味する。置換点は、炭素鎖に沿ったどこでもよい。分岐した炭素鎖の例には、-CH(CH)CH-、-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CH(CHCH)CH-、-CH(CHCH)CHCH-、-CHCH(CHCH)CH-、-CH(CHCHCH)CH-、-CH(CHCHCH)CHCH-、及び-CHCH(CHCHCH)CH-が含まれる。所望に応じて、より長い分岐炭素鎖を使用することもできる。正に帯電した基が置換アンモニウム基である場合、鎖中の第1の炭素原子は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合し、これらの実施例の各々における鎖の最後の炭素原子は、構造IIのCで表される。
【0112】
1つ以上の炭素の鎖は、1つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得る。ヒドロキシル基との1つ以上の置換を有する炭素鎖の例としては、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒドロキシオクチル)基、及びジヒドロキシアルキル(例えば、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、ジヒドロキシブチル、ジヒドロキシペンチル、ジヒドロキシヘキシル、ジヒドロキシヘプチル、ジヒドロキシオクチル)基が挙げられる。ヒドロキシアルキル及びジヒドロキシアルキル(ジオール)炭素鎖の例としては、-CH(OH)-、-CH(OH)CH-、-C(OH)CH-、-CHCH(OH)CH-、-CH(OH)CHCH-、-CH(OH)CH(OH)CH-、-CHCHCH(OH)CH-、-CHCH(OH)CHCH-、-CH(OH)CHCHCH-、-CHCH(OH)CH(OH)CH-、-CH(OH)CH(OH)CHCH-及び-CH(OH)CHCH(OH)CH-が挙げられる。これらの実施例の各々において、鎖の第1の炭素原子は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合し、鎖の最後の炭素原子は、正に帯電した基に結合している。正に帯電した基が置換アンモニウム基である場合、これらの実施例の各々における鎖の最後の炭素原子は、構造IIのCで表される。
【0113】
四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,6-グルカンである。このエーテル化合物の正に帯電した有機基は、以下の構造によって表すことができる:
【0114】
【化3】
式中、R、R、及びRは各々、メチル基である。上記の構造は、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基の例である。
【0115】
正に帯電した有機基の炭素鎖が、正に帯電した基による置換に加えて置換を有する場合、そのような追加の置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(それによってアルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、及び/又は追加の正に帯電した基であり得る。正に帯電した基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に連結している。正に帯電した基はまた、1つ以上のイミダゾリン環を含むことができる。
【0116】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、塩であり得る。正に帯電した有機基の対イオンは、酢酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩素酸塩、塩化物、亜塩素酸塩、リン酸二水素、フッ化物、炭酸水素塩、リン酸水素、硫酸水素塩、硫化水素、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、リン酸塩、リン化物、亜リン酸塩、ケイ酸塩、スズ酸塩、亜スズ酸塩、硫酸塩、硫化物、硫酸塩、酒石酸塩、又はチオシアアン酸アニオン、好ましくは、塩化物を含む任意の好適なアニオンであり得る。水溶液において、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、カチオン性形態である。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の正に帯電した有機基は、水溶液中に存在し得る塩アニオンと相互作用することができる。
【0117】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正に帯電した有機基を含み得、正に帯電した有機基は、置換アンモニウム基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正に帯電した有機基は、置換アンモニウム基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、置換アンモニウム基は、置換アンモニウム基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、置換アンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約35%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、置換アンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基を含み得る。
【0118】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正に帯電した有機基を含み得、正に帯電した有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正に帯電した有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正に帯電した有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。
【0119】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正に帯電した有機基を含み得、正に帯電した有機基は、四級アンモニウム基を含む置換アンモニウム基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC~C18アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得るが、四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC~C18アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC~Cアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC~Cアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC10~C16アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC10~C16アルキル基を含み得る。
【0120】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、1つのC10~C16アルキル基を含む四級アンモニウム基を含んでもよく、四級アンモニウム基は、2つのメチル基を更に含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、四級アンモニウム基は、1つのC10~C16アルキル基を含み、2つのメチル基を更に含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、四級アンモニウム基は、1つのC10~C16アルキル基を含み、2つのメチル基を更に含む。
【0121】
エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウム基は、1つのC10アルキル基及び2つのメチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウム基は、1つのC10アルキル基及び2つのメチル基を含み得る。
【0122】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正に帯電した有機基を含み得、正に帯電した有機基は、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正に帯電した有機基は、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正に帯電した有機基は、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシメチル基、四級アンモニウムヒドロキシエチル基、又は四級ヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシメチル基、四級アンモニウムヒドロキシエチル基、又は四級アンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシメチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシメチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシエチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシエチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。
【0123】
トリメチルアンモニウム基、置換アンモニウム基、又は四級アンモニウム基などの正に帯電した有機基を含有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0311935号に開示されているものと同様の方法を使用して調製することができる。同第2016/0311935号は、正に帯電した有機基を含み、最大約3.0の置換度を有するポリα-1,3-グルカンエーテル化合物、並びにそのようなエーテル化合物を生成する方法を開示している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルは、アルカリ条件下でポリα-1,6-グルカンと、正に帯電した有機基を含む少なくとも1つのエーテル化剤とを接触させることによって調製され得る。例えば、アルカリ条件は、ポリα-1,6-グルカンと溶媒及び1つ以上のアルカリ水酸化物とを接触させて、溶液又は混合物を提供し、次いで少なくとも1つのエーテル化剤を添加することによって調製され得る。別の例として、少なくとも1つのエーテル化剤をポリα-1,6-グルカン及び溶媒と接触させ、次いでアルカリ水酸化物を添加することができる。ポリα-1,6-グルカン、エーテル化剤、及びアルカリ水酸化物の混合物は、周囲温度に維持することができる、又は任意選択的に、使用されるエーテル化剤及び/又は溶媒に応じて、例えば、約25℃~約200℃の温度まで加熱することができる。ポリα-1,6-グルカンエーテルを生成するための反応時間は、反応温度に対応して変更され、温度が低いほど必要な反応時間が長くなり、温度が高いほど必要な反応時間が短くなる。
【0124】
典型的には、溶媒は水を含む。任意選択的に、追加の溶媒を、アルカリ溶液、例えば、イソプロパノール、アセトン、ジオキサン、及びトルエンなどのアルコールに添加することができる。代替的に、リチウムクロリド(LiCl)/N,N-ジメチル-アセトアミド(DMAc)、SO/ジエチルアミン(DEA)/ジメチルスルホキシド(DMSO)、LiCl/1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)/N、DMSO/テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物(TBAF)、N-メチルモルホリン-N-オキシド(NMMO)、Ni(トレン)(OH)[トレンチ-トリス(2-アミノエチル)アミン]水溶液及びLiClO・3HOの溶融物、NaOH/尿素水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、ギ酸及びイオン液体などの溶媒を使用することができる。
【0125】
エーテル化剤は、ポリα-1,6-グルカンを正に帯電した有機基でエーテル化することができるものであり得、正に帯電した有機基の炭素鎖のみが正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。そのようなエーテル化剤の例としては、ジアルキルサルフェート、アルキルカーボネート、アルキルハロゲン化物(例えば、アルキルクロリド)、ヨードアルカン、アルキルトリフレート(アルキルトリフルオロメタンスルホネート)及びアルキルフルオロスルホネートが挙げられ、これらのエーテル化剤の各々のアルキル基は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での1つ以上の置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジメチルサルフェート、ジメチルカーボネート、メチルクロリド、ヨードメタン、メチルトリフレート、及びメチルフルオロスルホネートが挙げられ、これらの各エーテル化剤のメチル基は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジエチルサルフェート、ジエチルカーボネート、塩化エチル、ヨードエタン、エチルトリフレート及びエチルフルオロスルホネートが挙げられ、これらのエーテル化剤の各々のエチル基は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジプロピルサルフェート、ジプロピルカーボネート、プロピルクロリド、ヨードプロパン、プロピルトリフレート、及びプロピルフルオロスルホネートが挙げられ、これらのエーテル化剤の各々のプロピル基は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での1つ以上の置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジブチルサルフェート、ジブチルカーボネート、塩化ブチル、ヨードブタン、及びブチルトリフレートが挙げられ、これらのエーテル化剤の各々のブチル基は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での1つ以上の置換を有する。エーテル化剤の他の例としては、イミダゾリン環含有化合物のハロゲン化物が挙げられる。
【0126】
エーテル化剤は、正に帯電した有機基でポリα-1,6-グルカンをエーテル化することができるものであり得、正に帯電した有機基の炭素鎖は、正に帯電した基、例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基での置換に加えて、例えばヒドロキシル基での置換を有する。そのようなエーテル化剤の例としては、ヒドロキシアルキルハライド(例えば、ヒドロキシアルキルクロリド)、例えば、ハロゲン化ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルハライドが挙げられ、これらのエーテル化剤の各々の末端炭素は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有し、一例は、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムである。正に帯電した有機基を含むエーテル化剤の追加の例としては、2、3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルココアルキルジメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びイミダゾリン環含有化合物のハロゲン化物などの四級アンモニウム化合物が挙げられる。そのようなエーテル化剤の他の例としては、プロピレンオキシド(例えば、1,2-プロピレンオキシド)及びブチレンオキシド(例えば、1,2-ブチレンオキシド;2、3-ブチレンオキシド)が挙げられ、これらのエーテル化剤の各々の末端炭素は、正に帯電した基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。
【0127】
2つ以上の異なる正に帯電した有機基を含むポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成する場合、それに応じて、2つ以上の異なるエーテル化剤が使用される。本明細書に開示されるエーテル化剤のいずれかを組み合わせて、2つ以上の異なる正に帯電した有機基を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成し得る。そのような2つ以上のエーテル化剤は、同時に反応に使用され得るか、又は反応において順次使用され得る。順次使用される場合、各添加間に温度処理(例えば、加熱)工程のいずれかを任意選択的に使用し得る。エーテル化剤の順次導入を使用して、各正に帯電した有機基の所望のDoSを制御し得る。一般に、エーテル生成物中に形成される有機基が、添加される別の有機基のDoSと比較してより高いDoSで所望される場合、特定のエーテル化剤が最初に使用される。
【0128】
アルカリ条件下での反応においてポリα-1,6-グルカンと接触させるエーテル化剤の量は、エーテル化合物中に望ましい置換度に基づいて選択することができる。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物中の各モノマー単位上のエーテル置換基の量は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して決定することができる。一般に、エーテル化剤は、ポリグルカン1モル当たり少なくとも約0.01モル/グラム、好ましくは少なくとも約0.02、より好ましくは少なくとも約0.03モル、更により好ましくは少なくとも約0.05モルの量で使用することができる。使用することができるエーテル化剤の量に上限はない場合がある。
【0129】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成するための反応は、任意選択的に、Parr反応器、オートクレーブ、シェーカチューブ、又は当該技術分野で周知の任意の他の圧力容器などの圧力容器内で実施され得る。任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、加熱の有無にかかわらず、不活性雰囲気下で調製することができる。本明細書で使用するとき、「不活性雰囲気」という用語は、窒素、アルゴン、又はヘリウムなどの非反応性ガス雰囲気を指す。
【0130】
ポリα-1,6-グルカン、溶媒、アルカリ水酸化物、及びエーテル化試薬をポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成するのに十分な反応時間、接触させた後、反応混合物は、任意選択的に、固体から液体を除去することを可能にする当該技術分野で既知の任意の手段によって濾過することができる。
【0131】
エーテル化に続いて、1つ以上の酸を任意選択的に反応混合物に添加して、pHを、実質的に酸性でも実質的に酸性でもない中性pH範囲、例えば、所望に応じて約6~8、又は約6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、又は8.0まで低下させ得る。この目的に有用な様々な酸には、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、任意の鉱物(無機)酸、任意の有機酸、又はこれらの酸の任意の組み合わせが含まれる。
【0132】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、任意選択的に、化合物を容易に溶解しない液体で1回以上洗浄することができる。例えば、ポリα-1,6-グルカンエーテルは、その中のエーテル化合物の溶解度に応じて(溶解度の欠如が洗浄にとって望ましい)、水、アルコール、イソプロパノール、アセトン、芳香族、又はこれらの任意の組み合わせで洗浄することができる。一般に、アルコールなどの有機溶媒を含む溶媒が洗浄に好ましい。ポリα-1,6-グルカンエーテル生成物は、例えば、メタノール又はエタノールを含有する水溶液で1回以上洗浄することができる。例えば、70~95重量%のエタノールを使用して、生成物を洗浄することができる。別の実施形態では、ポリα-1,6-グルカンエーテル生成物は、メタノール:アセトン(例えば、60:40)溶液で洗浄することができる。
【0133】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、任意選択的に膜濾過によって精製することができる。
【0134】
上記の方法を使用して生成されたポリα-1,6-グルカンエーテルは単離することができる。この工程は、漏斗、遠心分離機、プレスフィルタ、又は固体からの液体の除去を可能にする当該技術分野で既知の任意の他の方法又は機器を使用して、中和及び/又は洗浄工程の前又は後に実行することができる。単離されたポリα-1,6-グルカンエーテル生成物は、真空乾燥、空気乾燥、又は凍結乾燥などの当該技術分野で既知の任意の方法を使用して乾燥され得る。
【0135】
上記エーテル化反応のいずれも、更なる修飾のために出発材料としてポリα-1,6-グルカンエーテル生成物を使用して繰り返すことができる。このアプローチは、正に帯電した有機基のDoSを増加させる、及び/又は1つ以上の異なる正に帯電した有機基をエーテル生成物に添加するのに好適であり得る。また、このアプローチは、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)及び/又はヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル)などの正に帯電していない1つ以上の有機基を添加するのに好適であり得る。上記エーテル化剤のいずれも、正に帯電した基で置換されていないが、この目的のために使用することができる。
【0136】
上記のように、持続可能/再生可能な原料材料から得られる材料が望ましい場合が多い。同様に、生分解性材料も好ましい場合がある。例えば、生分解性カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、環境フットプリントの観点から非生分解性材料よりも好ましい。材料の生分解性は、例えば、本明細書の以下の生分解性試験方法のセクションに開示されているように、当該技術分野で既知の方法によって評価することができる。ポリα-1,6-グルカン誘導体は、試験期間の90日目に、OECD 301B易分解性二酸化炭素放出試験方法(OECD 301B Ready Biodegradability CO2)によって決定される生分解性が少なくとも10%であり得る。ポリα-1,6-グルカン誘導体は、試験期間の90日目に、OECD 301B易分解性試験方法によって決定される生分解性が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、若しくは80%、又は5%~80%の任意の値であってもよい。ポリα-1,6-グルカン誘導体は、試験期間の60日目に、OECD 301B易分解性二酸化炭素放出試験方法によって決定される生分解性が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、若しくは60%、又は5%~60%の任意の値であり得る。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載の材料の生分解性プロファイルは、材料の置換度、分子量、分岐度、及び/又は溶解度によって影響され得ると考えられる。例えば、比較的低い置換度(例えば、低いカチオン電荷密度)及び/又は増加した溶解度は、より高い生分解度に関連すると考えられる。
【0137】
所望の用途に応じて、本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物は、例えば、様々な組成物、例えば布地ケア及び/又は食器ケア用途で使用するための組成物での使用に好適な1つ以上の他の材料及び/又は活性成分と配合、混合、又は組み込むことができる。
【0138】
処理補助成分
本開示の処理組成物は、処理補助成分を含む。補助成分は、例えば、加工、安定性及び/又は性能上の利点を提供するように選択されてもよい。
【0139】
処理補助成分は、成分、組成物の形態、及び所望の効果に応じて、有効量、例えば0.001%~約50%以上で存在してもよい。
【0140】
処理補助成分は、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、泥及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、顔料、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。補助成分は、処理組成物の形態及び意図される使用法に従って選択され得るため、前述のリストは限定することを意図しない。更に、これらの処理補助成分のいくつかは、以下でより詳細に論じられる。
【0141】
界面活性剤
本開示による処理組成物は、界面活性剤又は更には界面活性剤系を含むことができ、2つ以上の界面活性剤を含むことができる。特に、洗剤(重質液体洗濯洗剤など)は、アニオン性界面活性剤などの洗浄性界面活性剤を含む系などの界面活性剤系を含み得る。処理組成物は、追加的又は代替的に、乳化剤又は他の加工助剤として低レベルの界面活性剤を含んでもよい。
【0142】
本開示の組成物は、組成物の約1重量%~約90重量%、又は約1重量%~約80重量%、又は約1重量%~約70重量%、又は約2重量%~約60重量%、又は約5重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。液体組成物は、組成物の約5重量%~約40重量%の界面活性剤系を含んでもよい。密な配合物、例えば密な、液体、ゲル、及び/又は単位用量形態に好適な組成物は、組成物の約25重量%~約90重量%、又は約25重量%~約70重量%、又は約30重量%~約50重量%の界面活性剤系を含んでもよい。
【0143】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。界面活性剤系は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシル化サルフェート、アルキルサルフェート、アルキルエトキシル化カルボキシレート、エトキシル化アルコールなどの非イオン性界面活性剤、アミンオキシド、又はこれらの混合物を含んでもよい。界面活性剤は、少なくとも部分的に、天然供給原料アルコールなどの天然の資源に由来してもよい。
【0144】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤を含んでもよい。好適なアニオン性界面活性剤は、任意の従来のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。これは、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状、又はこれらの組み合わせのであってもよい。好ましい界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(linear alkyl benzene sulfonate、LAS)、アルキルエトキシル化サルフェート(alkyl ethoxylated sulfate、AES)、アルキルサルフェート(alkyl sulfate、AS)、又はこれらの混合物が挙げられる。その他の好適なアニオン性界面活性剤としては、分枝鎖状変性アルキルベンゼンスルホネート(modified alkyl benzene sulfonate、MLAS)、メチルエステルスルホネート(methyl ester sulfonate、MES)、及び/又はアルキルエトキシル化カルボキシレート(alkyl ethoxylated carboxylate、AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、酸形態、塩形態、又はこれらの混合物で存在してもよい。アニオン性界面活性剤は、部分的に又は全体的に、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)又はアミン(例えば、モノエタノールアミン)によって中和されてもよい。アニオン性界面活性剤は、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、エタノールアミンなどのアミン、又はこれらの混合物で予め中和されてもよい。
【0145】
処理組成物は、組成物の5重量%未満、又は2重量%未満、又は1重量%未満、又は約0.1重量%未満のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、又は更にはアニオン性界面活性剤を実質的に含まなくてもよいことが企図される。アニオン性界面活性剤は、カチオン性構成要素と望ましくない相互作用をする可能性があるため、本発明の組成物の安定性及び/又は性能に悪影響を及ぼす可能性がある。液体布地エンハンサなどの自動洗濯機のすすぎサイクル中に添加されることを意図した組成物は、比較的低レベルのアニオン性界面活性剤を含み得る。追加的又は代替的に、自動洗濯機の洗浄サイクル中に洗剤組成物と組み合わせて使用されることを意図した組成物は、比較的低レベルのアニオン性界面活性剤を含み得る。
【0146】
界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでいてよい。好適な非イオン性界面活性剤としては、エトキシル化脂肪族アルコールなどのアルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。その他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール縮合体、中鎖分岐鎖状アルコール、中鎖分岐鎖状アルキルアルコキシレート、アルキル多糖類(例えば、アルキルポリグリコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、エーテルで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であってもよい。非イオン性界面活性剤は、直鎖状、分岐鎖状(例えば、中鎖分岐状)、又はこれらの組み合わせであってもよい。特定の非イオン性界面活性剤は、平均約12~約16個の炭素を有し、かつ平均約3~約9個のエトキシ基を有するアルコール、例えばC12~C14のEO7非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0147】
好適な双性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインをはじめとするベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド(例えば、C1214ジメチルアミンオキシド)、並びに/又は、N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(ここで、アルキル基は、C~C18又はC10~C14であってもよい)などのスルホ及びヒドロキシベタインなどの、任意の従来の双性イオン界面活性剤を挙げることができる。双性イオン性界面活性剤は、アミンオキシドを含んでもよい。
【0148】
コンディショニング/柔軟化活性物質
本開示の処理組成物は、コンディショニング又は柔軟化活性物質を含んでもよい。柔軟化活性物質は、対象の布地に柔軟性、皺防止、帯電防止、コンディショニング、伸び防止、色及び/又は外観の利点を提供することができる。柔軟化活性物質は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン、非エステル四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪エステル、スクロースエステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、多糖類、脂肪酸、軟化油又はコンディショニング油、ポリマーラテックス、グリセリドコポリマー、又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0149】
この組成物は、四級アンモニウムエステル化合物、シリコーン又はこれらの複数組の組み合わせ、好ましくは一組の組み合わせを含んでもよい。四級アンモニウムエステル化合物とシリコーンとの合計量は、組成物の約5重量%~約70重量%、又は約6重量%~約50重量%、又は約7重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%であってもよい。組成物は、四級アンモニウムエステル化合物及びシリコーンを、約1:10~約10:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:3~約1:3、又は約1:2~約2:1、又は約1:1.5~約1.5:1、又は約1:1の重量比で含んでもよい。
【0150】
本開示の組成物は、柔軟化活性物質として四級アンモニウムエステル化合物を含んでもよい。四級アンモニウムエステル化合物(「エステルクワット」と称することもある)は、組成物の約2重量%~約40重量%、又は約3重量%~約25重量%、好ましくは4重量%~18重量%、より好ましくは5重量%~15重量%の濃度で存在し得る。好ましくは、四級アンモニウム布地化合物が形成される親脂肪酸のヨウ素価(方法を参照)は、0~約90、又は約10~約70、又は約15~約50、又は約18~約30であり得る。ヨウ素価は、約25~50、好ましくは30~48、より好ましくは32~45であってもよい。理論に束縛されるものではないが、四級アンモニウム化合物を形成する親脂肪酸が少なくとも部分的に不飽和であるとき、柔軟化活性物質の加工がより容易な低い融点が得られる。特に、二重不飽和脂肪酸は、容易にプロセスの柔軟化活性物質を可能にする。好ましい液体布地柔軟剤組成物では、四級アンモニウムコンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸は、全脂肪酸鎖の2.0重量%~20.0重量%、好ましくは3.0重量%~15.0重量%、より好ましくは4.0重量%~15.0重量%の二価不飽和C18鎖(「C18:2」)を含む(方法の項を参照されたい)。一方、経時な布地柔軟剤組成物の酸化の結果としての悪臭形成を最小限に抑えるために、非常に高濃度の不飽和脂肪酸鎖は避けるべきである。
【0151】
四級アンモニウムエステル化合物は、組成物の0重量%超~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、約4.0重量%~18重量%、より好ましくは4.5重量%~15重量%、更により好ましくは5.0重量%~12重量%の濃度で存在してもよい。四級アンモニウムエステル化合物の濃度は、組成物(希釈又は濃縮組成物)中の全布地コンディショニング活性物質の所望の濃度、及び他の柔軟化活性物質の存在又は非存在に依存する場合がある。しかしながら、経時的に粘度が増加するリスクは、典型的には、より高い柔軟化活性物質濃度を有する布地処理組成物においてより高い。一方、非常に高い柔軟化活性物質濃度では、粘度はもはや十分に制御されない場合があり、製品が使用に適さなくなる。
【0152】
好適な四級アンモニウムエステル化合物としては、モノエステルクワット、ジエステルクワット、及びトリエステルクワット、並びにこれらの混合物からなる群から選択される物質が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、全四級アンモニウムエステル化合物を基準として、モノエステルクワットの濃度は、2.0%~40.0%であり、ジエステルクワットの濃度は、40.0%~98.0%であり、トリエステルクワットの濃度は、0.0%~25.0%である。
【0153】
四級アンモニウムエステル化合物は、以下:
{R (4-m)-N+-[X-Y-R}A
(式中、
mは、1、2又は3であるが、ただし、各mの値は、同一であり、
各Rは、独立して、ヒドロカルビル基又は分枝状ヒドロカルビル基であり、好ましくは、Rは、直鎖であり、より好ましくは、Rは、部分不飽和直鎖アルキル鎖であり、
各Rは、独立して、C~Cアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、ポリ(C~Cアルコキシ)、ポリエトキシ、ベンジルから選択され、
各Xは、独立して、-(CH)n-、-CH-CH(CH)-又は-CH-(CH)-CH-であり、
各nは、独立して、1、2、3又は4であり、好ましくは、各nは、2であり、
各Yは、独立して、-O-(O)C-又は-C(O)-O-であり、
A-は、独立して、塩化物、硫酸メチル、及び硫酸エチルからなる群から選択され、好ましくは、Aは、塩化物及び硫酸メチルからなる群から選択され、より好ましくは、A-は、硫酸メチルである)を含み得るが、
ただし、Yが-O-(O)C-であるときには、各Rにおける炭素の合計は、13~21、好ましくは、13~19である。好ましくは、Xは、-CH-CH(CH)-又は-CH-(CH)-CH-であって、四級アンモニウムエステル化化合物の加水分解安定性を改善し、ひいては布地処理組成物の安定性を更に改善する。
【0154】
好適な四級アンモニウムエステル化合物の例は、商品名Rewoquat WE18及び/若しくはRewoquat WE20でEvonikから、並びに/又は商品名Stepantex GA90、Stepantex VK90及び/若しくはStepantex VL90AでStepanから市販されている。
【0155】
本開示の布地コンディショニング組成物は、柔軟化活性物質としてシリコーンを含んでもよい。シリコーンの好適な濃度は、組成物の約0.1重量%~約70重量%、又は約0.3重量%~約40重量%、又は約0.5重量%~約30重量%、代替的に約1重量%~約20重量%を含み得る。
【0156】
有用なシリコーンは、任意の好適なシリコーン含有化合物であり得る。シリコーンポリマーは、環状シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコーン、カチオン性シリコーン、シリコーンポリエーテル、シリコーン樹脂、シリコーンウレタン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。シリコーンは、ポリジメチルシリコーン(ポリジメチルシロキサン、又はpolydimethyl siloxane、「PDMS」)などのポリジアルキルシリコーン、又はこれらの誘導体を含み得る。シリコーンは、アミノ官能性シリコーン、アミノ-ポリエーテルシリコーン、アルキルオキシル化シリコーン、カチオン性シリコーン、エトキシル化シリコーン、プロポキシル化シリコーン、エトキシル化/プロポキシル化シリコーン、四級シリコーン、又はこれらの組み合わせを含み得る。シリコーンは、ポリジメチルシリコーン、アミノシリコーン、又はこれらの組み合わせ、好ましくはアミノシリコーンを含み得る。
【0157】
シリコーンは、ランダム又は塊状の有機シリコーンポリマーを含み得る。シリコーンは、エマルジョンとして提供されてよい。
【0158】
シリコーンは、比較的高い分子量によって特徴付けられてよい。シリコーンの分子量を記載するための好適な方法としては、その粘度を記載することが挙げられる。高分子量シリコーンは、約10cSt~約3,000,000cSt、又は約100cSt~約1,000,000cSt、又は約1,000cSt~約600,000cSt、又は更には約6,000cSt~約300,000cStの粘度を有するものであり得る。
【0159】
組成物は、グリセリドコポリマーを含み得る。グリセリドコポリマーは、天然油に由来し得る。天然油の例としては、これらに限定されるものではないが、植物油、藻類油、魚油、動物脂、トール油、これらの油の誘導体、これらの油のいずれかの組み合わせなどが挙げられる。植物油の代表的な非限定的な例としては、低エルカ酸ナタネ油(キャノーラ油)、高エルカ酸ナタネ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム核油、きり油、ジャトロファ油、カラシ油、ペニークレス油、カメリナ油、麻実油、及びヒマシ油、好ましくはキャノーラ油が挙げられる。動物脂の代表的な非限定例としては、ラード、獣脂、家禽油、黄色油脂、及び魚油が挙げられる。トール油は、木材パルプ製造の副生成物である。グリセリドコポリマーは、金属化不飽和ポリオールエステルであってもよい。
【0160】
フレッシュネス活性物質
本開示の処理組成物は、フレッシュネス活性物質を含み得る。フレッシュネス活性物質は、芳香族(例えば、香料)利点及び/又は悪臭低減又は悪臭抑制利点を提供し得る。フレッシュネス活性物質は、ニート製品、処理液、湿潤布地、乾燥布地、又は摩擦布地を含む1つの消費者タッチポイントで意図された利点をもたらすことができる。フレッシュネス活性物質は、芳香活性物質、悪臭制御剤、又はこれらの組み合わせから選択され得る。
【0161】
フレッシュネス活性物質は芳香活性物質であり得る。芳香活性物質は、遊離香料、香料送達系、プロ香料、又はこれらの混合物から選択されてもよい。
【0162】
芳香活性物質は、1つ以上の香料原材料を含み得る。「香料原料」という用語(又はperfume raw material、「PRM」)は、本明細書で使用するとき、少なくとも約100g/モルの分子量を有し、かつ匂い、芳香、エッセンス、又は香りを、単独で又はその他の香料原料とともに付与するのに有用な化合物を意味する。典型的なPRMは、特に、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ナイトライト、及びテルペンなどのアルケンを含む。一般的なPRMのリストは、例えば、「Perfume and Flavor Chemicals」第I巻及び第II巻;Steffen Arctander Allured Pub.Co.(1994)及び「Perfumes:Art,Science and Technology」、Miller,P.M.and Lamparsky,D.,Blackie Academic and Professional(1994)のような様々な元に見出され得る。組成物は、組成物の約0.05重量%~約20重量%、又は約0.1重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の香料原材料を含んでもよく、フレッシュネス活性物質のレベルはそれに応じて選択されてもよい。
【0163】
芳香活性物質は、例えば香料原材料がカプセル化されていないか又は他の構成要素に化学的に結合していない遊離香料を含んでもよい。遊離香料は、希釈せずに、又はエマルジョンとして、及び/又は可溶化剤と組み合わせてベース組成物に添加することができ、組成物中の十分な分散又は安定性を促進することができる。
【0164】
芳香活性物質は、香料送達系を含んでもよい。好適な香料送達系、特定の香料送達系の製造方法、及びそのような香料送達系の使用は、米国特許出願公開第2007/0275866(A1)号に開示されている。香料送達系は、ポリマー支援送達(Polymer Assisted Delivery、PAD)(カプセル化などのマトリックス系又はリザーバシステムを含む)、分子支援送達(Molecule-Assisted Delivery、MAD)、アミン支援送達(Amine-Assisted Delivery、AAD)、シクロデキストリン送達系(Cyclodextrin Delivery System、CD)、デンプンカプセル化アコード(Starch Encapsulated Accord、SEA)、無機担体送達系(ZIC)、又はこれらの混合物を含み得る。
【0165】
本開示の布地コンディショニング組成物は、香料送達系としてカプセル化剤を含む。典型的には2種以上のカプセル化剤が存在するので、組成物は、複数のカプセル化剤又はカプセル化剤の集団を含むものとして記載されてもよい。
【0166】
組成物は、組成物の約0.05重量%~約20重量%、又は約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.2重量%~約2重量%のカプセル化剤を含んでもよい。組成物は、組成物の約0.05重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の香料を組成物に提供するのに十分な量のカプセル化剤を含んでもよい。本明細書で論じる場合、カプセル化剤の量又は重量パーセントは、シェル材料とコア材料との合計を意味する。
【0167】
カプセル化剤は、約0.5マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は更には10~100マイクロメートル、好ましくは約1マイクロメートル~約60マイクロメートル、又は更には10マイクロメートル~50マイクロメートル、又は更には20マイクロメートル~45マイクロメートル、又は代替的に20マイクロメートル~60マイクロメートルの容積重量中央値のカプセル化剤サイズを有してもよい。
【0168】
カプセル化剤は、典型的には、コアを少なくとも部分的に取り囲む壁(又はシェル)を有し、コアを少なくとも部分的に取り囲むことができる壁を有することができる。コアは、香料原材料と、任意選択的に、ミリスチン酸イソプロピル又は他の好適な材料などの分配調整剤と、を含んでもよい。
【0169】
壁は、ポリエチレン;ポリアミド;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アクリル;アミノプラスト;ポリオレフィン;多糖類、例えば、アルギネート及び/若しくはキトサン;ゼラチン;シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機材料;シリコーン;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含み得る。壁材料は、アミノプラスト、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリレート、又はこれらの混合物から選択される材料を含み得る。
【0170】
封入体の外壁は、コーティングを有することができる。特定のコーティングは、布地などの対象面上への封入体の付着性を向上させることができる。コーティングは、効能ポリマーを含んでもよい。コーティングは、カチオン性効率ポリマーを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、多糖類、カチオン変性デンプン、カチオン変性グアー、ポリシロキサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドとビニルピロリドンとのコポリマー、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハライド、イミダゾリウムハライド、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。コーティングは、多糖類(キトサンなど)、ポリビニルアミン、ポリビニルホルムアミド、ポリアリルアミン、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0171】
カプセル化剤は、アミノプラスト材料を含む壁と、ポリビニルホルムアミドを含むコーティングとを含み得る。カプセル化剤は、ポリアクリレート材料を含む壁と、キトサンを含むコーティングとを含み得る。
【0172】
芳香活性物質は、典型的には香料原料と、持続性又は溶解性構成要素と、を含むプロ香料を含み得、香料原料及び持続性又は溶解性構成要素は、典型的には、一緒に結合、錯化、又は別様に連結される。時間又は他のトリガー刺激(例えば、水との接触、pHの変化、又は高温)では、PRM及び構成要素は分離され、PRMは、延伸された様式で放出される。適切な持続性又は溶解性構成要素を選択することにより、製剤化された水中のプロ香料の溶解度、布地に対するプロ香料の持続性の程度、又は材料のバルク特性を制御することができる。
【0173】
例えば、洗濯プロセスが完了し、プロ香料が布地に好適に送達された場合、プロ芳香が香料原料を放出し始め、材料のこの放出が延伸されるため、布地は「フレッシュネス」及び「清潔な」香りが持続する。
【0174】
好適なプロ香料としては、ジメトキシベンゾイン誘導体及び/又はアミン反応生成物が挙げられ得る。
【0175】
フレッシュネス活性物質は、悪臭制御剤であり得る。悪臭制御剤は、オリゴアミンを含み得る。特定のオリゴアミンは、そうでなければ悪臭化合物に酸化し得る特定の化合物の分解の阻害に寄与し得る。
【0176】
本開示による好適なオリゴアミンとしては、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine、DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-methyl diethylenetriamine、4-MeDETA)、ジプロピレントリアミン(dipropylenetriamine、DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-methyl dipropylenetriamine、5-MeDPTA)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetraamine、TETA)、4-メチルトリエチレンテトラアミン(4-methyl triethylenetetraamine、4-MeTETA)、4,7-ジメチルトリエチレンテトラアミン(4,7-MeTETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリプロピレンテトラアミン(tripropylenetetraamine、TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(tetraethylenepentaamine、TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(tetrapropylenepentaamine、TPPA)、ペンタエチレンヘキサアミン(pentaethylenehexaamine、PEHA)、ペンタプロピレンヘキサアミン(pentapropylenehexaamine、PPHA)、ヘキサエチレンヘプタアミン(hexaethyleneheptaamine、HEHA)、ヘキサプロピレンヘプタアミン(hexapropyleneheptaamine、HPHA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、又はこれらの混合物を挙げることできる。
【0177】
オリゴアミンは、好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、5-メチルジプロピレントリアミン(5-MeDPTA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリプロピレンテトラアミン(TPTA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、テトラプロピレンペンタアミン(TPTA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、より好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン(M5-DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミン(TEPA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、更により好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)、4-メチルジエチレントリアミン(4-MeDETA)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、及びこれらの混合物、最も好ましくは、ジエチレントリアミン(DETA)から選択されてもよい。分子量が低い及び/又は製造コストが比較的低いことから、DETAが最も好ましい場合がある。
【0178】
レオロジー変性剤/構造化剤
本開示の組成物は、レオロジー変性剤及び/又は構造化剤を含んでもよい。レオロジー変性剤は、液体組成物を所望の粘度に「増粘する」又は「減粘する」ために使用されてもよい。構造化剤は、相安定性を促進するために、及び/又は本明細書に記載された封入物などの液体組成物中の粒子を懸濁させるために、又はその凝集を阻害するために使用されてもよい。
【0179】
好適なレオロジー変性剤及び/又は構造化剤としては、非ポリマー結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤(硬化ヒマシ油に基づくものを含む)、ポリマー構造化剤、セルロース繊維(例えば、木材を含む、細菌、真菌、若しくは植物起源から誘導され得るミクロフィブリル化セルロース)、ジアミドゲル化剤、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0180】
ポリマー構造化剤は、天然由来又は合成由来であってもよい。天然由来のポリマー構造化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物を含んでもよい。多糖誘導体は、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物を含んでもよい。合成ポリマー構造化剤は、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物を含んでもよい。ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物を含んでもよい。ポリアクリレートは、不飽和一炭酸又は二炭酸と、(メタ)アクリル酸のC-C30アルキルエステルとのコポリマーを含んでもよい。このようなコポリマーは、商品名Carbopol Aqua 30でNoveon Inc.から入手可能である。別の好適な構造化剤は、BASFから入手可能な商品名Rheovis CDEで販売されている。
【0181】
追加のカチオン性ポリマー
本開示の組成物は、上記のカチオン置換ポリエーテルグルカン(及び存在する場合、カチオン性布地柔軟化活性物質)に加えてカチオン性ポリマーを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、付着助剤として機能することができ、例えば、標的表面上への軟化及び/又はフレッシュネス活性物質の改善された付着効率を促進する。追加的又は代替的に、追加のカチオン性ポリマーは、組成物に安定性、構造化、及び/又はレオロジー利点を提供し得る。
【0182】
組成物は、組成物の重量によって、0.0001重量%~3重量%、好ましくは0.0005重量%~2重量%、より好ましくは0.001重量%~1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.05重量%~約0.3重量%の追加のカチオン性ポリマーを含み得る。
【0183】
全般的なカチオン性ポリマー及びそれらの製造方法は、文献において周知である。好適なカチオン性ポリマーとしては、化粧品成分の国際命名法で命名された「ポリクオタニウム」ポリマーとして知られる四級アンモニウムポリマー、例えば、ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(四級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)を挙げることができる。
【0184】
カチオン性ポリマーは、カチオン性多糖、例えばカチオン性デンプン、カチオン性セルロース、カチオン性グアー、カチオン性キトサン、又はこれらの混合物を含み得る。カチオン性セルロースは、四級化ヒドロキシエチルセルロース、好ましくはトリメチルアンモニウム置換エポキシドで誘導体化されたヒドロキシエチルセルロースを含み得る。天然由来及び/又は持続可能な材料である、多糖類に由来するポリマーが好ましい場合がある。明確にするために、本明細書に記載のカチオン性多糖類は、存在する場合、本明細書に記載のカチオン置換ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物に加えてある。
【0185】
カチオン性ポリマーは、カチオン性アクリレートを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、カチオン性モノマー、非イオン性モノマー、及び任意選択的にアニオン性モノマーを含み得る(ポリマーの全電荷が依然としてカチオン性である限り)。カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性アクリレートは、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムアクリレート、塩化メチル四級化ジメチルアミノエチルアンモニウムメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性モノマーを含み得る。カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性アクリレートは、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性モノマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、任意選択的に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸から選択されるアニオン性モノマー、並びにスルホン酸又はホスホン酸の機能を果たすモノマー、例えば2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(ATBS)及びこれらの塩を含み得る。
【0186】
カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性アクリレートポリマーは、実質的に直鎖状であってもよく、又は架橋されてもよい。組成物は、実質的に直鎖のカチオン性ポリマー(例えば、50ppm未満の架橋剤で形成される)及び架橋カチオン性ポリマー(例えば、50ppmを超える架橋剤で形成される)の両方を含むポリマー系、好ましくはカチオン性アクリレートポリマー系を含んでもよい。そのような組み合わせは、付着及び構造化の利点の両方を提供し得る。
【0187】
酵素
本開示の処理組成物は、清浄化性能及び/又は布地ケア効果をもたらす1つ以上の酵素を含んでもよい。酵素が含まれる場合、酵素は、組成物の総重量に基づいて、約0.0001~0.1重量%の活性酵素で組成物中に存在し得る。
【0188】
好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、ヌクレアーゼ(デオキシリボヌクレアーゼ及び/若しくはリボヌクレアーゼなど)、ホスホジエステラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ホスホジエステラーゼ、及び/又はペクテートリアーゼの混合物が、特に好ましい場合がある。
【0189】
理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載のポリα-1,6-グルカン及び/又はポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、セルラーゼ酵素による分解に対して大部分又は完全に安定(耐性)であると考えられる。例えば、1つ以上のセルラーゼによるポリα-1,6グルカン及び/又はポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の分解パーセントは、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、若しくは1%未満、又は0であり得る。有利には、そのような化合物は、セルラーゼと共製剤化されてもよく、セルラーゼ含有製品と同時に使用されてもよく、又は残留セルラーゼが表面及び/若しくは水性環境に残存し得るそのような製品と連続して使用されてもよい。したがって、処理組成物は、セルラーゼ酵素を含み得る。
【0190】
2つ以上の酵素の組み合わせを組成物に使用することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の酵素は、セルラーゼ、並びにプロテアーゼ、アミラーゼ、マンナーゼ、及び/又はリパーゼなどの異なる酵素のうちの1つ以上である。
【0191】
処理組成物が1つ以上の酵素を含む場合、処理組成物は、以下のような酵素安定化剤を更に含んでもよい。プロピレングリコール又はグリセロールなどのポリオール、糖又は糖アルコール、乳酸、ホウ酸又はホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)、又はこれらの混合物。
【0192】
特定の形態
処理組成物は、以下の非限定的な形態のいずれかであり得る。
(a)処理組成物は、単区画パウチ若しくは多区画パウチ、例えば洗濯洗剤パウチの形態であり、処理組成物は、処理組成物の20重量%未満の水を含み、好ましくは、処理組成物は、約5%~約50%のアニオン性界面活性剤を含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約150,000~約225,000の重量平均分子量、約0.05~約0.4の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約20%は、α-1,2及び/若しくはα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2を介した分岐を有するか、又は
(b)処理組成物は、粒子、例えば洗濯添加剤粒子の形態であり、個々の粒子は、約1mg~約1グラムの質量を有し、粒子は、水溶性担体、好ましくは、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン及びこれらの混合物からなる群から選択される水溶性担体中に分散したポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、好ましくは、粒子は、香料及び/若しくは香料送達系を更に含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、重量平均分子量が約150,000~約225,000、置換度が約0.1~約0.4であることを特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約10%が、α-1,2及び/若しくはα-1,3-グリコシド結合、好ましくは、α-1,2を介して分岐を有するか、又は
(c)処理組成物は、液体、例えば液体洗濯洗剤若しくは食器洗剤、好ましくは液体洗濯洗剤の形態であり、処理組成物は、処理組成物の約40重量%~約95重量%の水を含み、処理組成物は、処理組成物の約5重量%~約50重量%の界面活性剤を更に含み、好ましくは界面活性剤はアニオン性界面活性剤を含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約150,000~約225,000の重量平均分子量、約0.05~約0.4の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約20%は、α-1,2及び/若しくはα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2を介した分岐を有するか、又は
(d)処理組成物は、液体、例えば液体布地柔軟剤組成物の形態であり、処理組成物は、処理組成物の約40重量%~約98重量%の水と、処理組成物の約1重量%~約35重量%の布地柔軟剤と、好ましくは四級アンモニウム化合物及び/若しくはシリコーンとを含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、重量平均分子量が約150,000~約225,000、置換度が約0.4~約0.5であることを特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約10%が、α-1,2及び/若しくはα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2を介した分岐を有する。
【0193】
処理組成物で表面を処理する方法
本開示は更に、処理組成物を使用する方法に関する。例えば、本開示は、本開示による処理組成物で表面を処理する方法に関する。そのような方法は、コンディショニング、清浄化、及び/又はフレッシュニングの利点を提供することができる。
【0194】
方法は、表面を本開示の処理組成物と接触させる工程を含み得る。表面は、衣類などの布地、又は食器類であってもよい。
【0195】
本明細書に記載される布地は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。半合成繊維は、化学的に誘導体化された天然材料を使用して作製され、その例はレーヨンである。本明細書における布地の種類の非限定的な例としては、(i)綿(例えば、ブロードクロス、キャンバス、シャンブレー、シェニール、インド更紗、コーデュロイ、クレトン、ダマスク、デニム、フランネル、ギンガム、ジャカード、ニット、マテラーセ、オックスフォード、パーケール、ポプリン、プリセ、綿繻子、サッカー、シアー、テリー織、綾織、ベルベット)、レーヨン(例えば、ビスコース、モーダル、リオセル)、リネン、及びTENCEL(登録商標)などのセルロース繊維;(ii)絹、羊毛及び関連する哺乳動物繊維などのタンパク質性繊維;(iii)ポリエステル、アクリル、ナイロンなどの合成繊維;(iv)黄麻、亜麻、ラミー、コイヤー、カポック、サイザル、ヘネッケン、アバカ、麻、及びインド麻由来の長植物繊維;並びに(v)(i)~(iv)の布地の任意の組み合わせで作製される布地が挙げられる。繊維の種類(例えば、天然及び合成)の組み合わせを含む布地としては、例えば、綿繊維及びポリエステルの両方を有するものが挙げられる。1つ以上の布地を含有する材料/物品としては、例えば、衣類、カーテン、ドレープ、室内装飾材料、カーペット、ベッドリネン、バスリネン、テーブルクロス、寝袋、テント、自動車内装品などが挙げられる。天然及び/又は合成繊維を含む他の材料としては、例えば、不織布、パッド、紙、及び発泡体が挙げられる。布地は、典型的には、織り又は編み構造体である。
【0196】
処理及び/又は接触させることができる他の表面又は物品は、例えば、食器用洗剤(例えば、自動食器洗浄洗剤又は手洗い用食器洗剤)で処理することができる表面を含む。このような材料及び物品の例としては、セラミック材料、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリスチレン)、及び木材から作製された食器、グラス、ポット、フライパン、耐熱皿、台所用具、及び平皿(本明細書では「食卓用食器」と総称される)の表面が挙げられる。食器洗浄又は食卓用食器洗浄方法を実施するための条件(例えば、時間、温度、洗浄体積)の例は、当該技術分野において既知である。他の例では、布地を含む材料との接触に関して上に開示した条件のいずれかなどの好適な条件セットの下で、食卓用食器物品を本明細書の組成物と接触させることができる。
【0197】
組成物は、そのままの形態であってもよく、又は液体、例えば、洗浄液又はすすぎ液で希釈されてもよい。組成物は、表面又は物品との接触前、接触中、又は接触後に水で希釈されてもよい。表面は、接触工程の前及び/又は後に、任意選択的に洗浄及び/又はすすがれてもよい。組成物は、表面上に直接適用されてもよく、又は自動マシンの分配容器若しくはドラムに供給されてもよい。
【0198】
布地を処理する方法は、(a)任意選択的に、表面(例えば、布地又は食器類)を洗浄、すすぎ及び/又は乾燥する工程と、(b)任意選択的に水の存在下で、表面を本明細書に記載の処理組成物と接触させる工程と、(c)任意選択的に、表面を洗浄及び/又はすすぐ工程と、(d)任意選択的に、受動的(例えば、ラック又はライン乾燥)、及び/又は能動的方法(洗濯乾燥機など)にかかわらず、乾燥させる工程と、含み得る。この方法は、自動洗濯機の洗浄サイクル又はすすぎサイクル、好ましくはすすぎサイクル中に行うことができる。布地は、洗浄サイクルによって処理され得、次いで、1回以上のすすぎサイクルが続く。
【0199】
本開示の目的のために、処理は、擦り洗い及び/又は機械的撹拌を含み得るが、これらに限定されない。
【0200】
布地は、通常の消費者、商業的又は工業的使用条件で洗濯又は処理することができるほとんどの任意の布地を含んでもよい。
【0201】
開示された組成物を含む液体は、約3~約11.5のpHを有してもよい。希釈される場合、このような組成物は、典型的には、溶液中で約500ppm~約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水であり、表面が布地である場合、水温は典型的には約5℃~約90℃の範囲であり、水対布地の比は典型的には約1:1~約30:1であり得る。
【0202】
布地などの表面は、処理組成物と接触させる前に、任意選択的に水の存在下で、アニオン性界面活性剤と接触させてもよい。表面(例えば、布地)は、洗浄工程から残留するアニオン性界面活性剤を含んでもよい。アニオン性界面活性剤の供給源は、重質液体洗濯洗剤などの洗剤組成物、洗剤組成物を含む水溶性パウチ、又は粉末洗濯洗剤であり得る。洗剤組成物は、好適な洗剤補助剤を更に含んでもよい。例えば、洗剤組成物は、セルラーゼ酵素、脂肪酸及び/若しくはそれらの塩、又はこれらの混合物を更に含み得る。
【0203】
アニオン性界面活性剤及び/又はその供給源(例えば、洗剤組成物)は、自動洗濯機のドラムなどの容器内で水により希釈されて、洗浄液を形成することができ、洗浄液は布地と接触してもよい。この方法は、布地と接触させた後に容器から洗浄液を除去することを更に含み得るが、布地がコンディショニング組成物と接触する前である。
【0204】
処理組成物は、任意選択的に自動洗濯機などの容器内で水で希釈されて、すすぎ液を作製し得る。すすぎ液は、洗浄サイクルから残留又は担持され得るアニオン性界面活性剤及び/又はセルラーゼ酵素を含み得る。すすぎ液は、容器から除去され得る。表面(例えば、布地)は、自動乾燥機などの任意の好適なプロセスによって、又はライン乾燥によって乾燥させることができる。乾燥は、任意の好適な温度、例えば少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、170、175、180、又は200℃の温度で行われてもよい。
【0205】
洗浄液及び/又はすすぎ液の一部である水は、特定の硬度を特徴とし得る。例えば、水は、12gpg未満、又は10gpg未満の硬度を有することを特徴とし得る。水は、5gpg超、又は10gpg超の硬度を有することを特徴とし得る。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の組成物の性能は、水が洗浄を通して比較的高い硬度及び/又はすすぎを通して比較的低い硬度を特徴とする場合に改善されると考えられる。
【0206】
処理組成物の製造方法
本開示は、本明細書に記載された組成物のいずれかの製造プロセスに関する。処理組成物を製造するプロセスは、本明細書に記載のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を本明細書に記載の処理補助成分と組み合わせる工程を含み得る。
【0207】
本開示の処理組成物は、任意の好適な形態に製剤することができ、製剤者によって選択される任意のプロセスによって調剤することができる。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物及び処理補助材料は、バッチプロセス、循環ループプロセス、及び/又はインライン混合プロセスで組み合わせることができる。本明細書で開示されたプロセスで使用するのに好適な装置としては、連続撹拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン撹拌機、再循環ポンプ、パドルミキサー、プラウ剪断ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの構成のもの)、噴霧乾燥機、並びに押出成形機を挙げてもよい。
【0208】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、固体(例えば、90%以上の活性、又は更に100%の活性)として提供され得る。輸送及び貯蔵コストを節約するために、高い活性レベルでポリマーを輸送することは効率的である。
【0209】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物をポリマープレミックスとして提供することが望ましい場合がある。プレミックスは、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物(例えば、30重量%)及び水を含み得るか、本質的にそれらからなり得るか、又は更にそれらからなり得る。グルカンエーテルポリマーは、プレミックス中に、プレミックスの約5重量%~約50重量%、好ましくは約10重量%~約40重量%、より好ましくは約20重量%~約35重量%のレベルで存在していてもよい。グルカンエーテルポリマー及び水は、約5:95~50:50、又は約10:90~約40:60、又は約20:80~約35:65、又は約30:70のポリマー:水重量比で存在し得る。ポリマープレミックスを最適化するために、得られた粒子のサイズ及び形状が一致するように、並びにグルカンポリマーが完全に水和され、ゲル相を制御するために、ポリマーを制御された混合、剪断及び時間で調製することができる。水和が完了したら、ベース製品配合物に添加する前に、不均一なゲル形成の場合に均一な流動性を保証するために、ポリマープレミックスを再混合してもよい(例えば、電子ローラ又はオーバーヘッドミキサーを用いて)。一貫したプロトコルの使用は、製剤安定性の変動を減少させ、最終製品全体にわたるポリマープレミックスの様々な濃度から生じ得る一貫性のない性能を最小限に抑えることができる。
【0210】
布地コンディショニング組成物は、単位用量物品を形成するために、周知の方法に従って水溶性フィルムに封入されてもよい。
【0211】
布地コンディショニング組成物は、周知の方法に従ってエアゾール又はその他のスプレー容器に入れられてもよい。
【0212】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の使用
本明細書に記載のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、1つ以上の利点を提供するのに有用であり得る。したがって、本開示は、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む布地ケア又は食器ケア処理組成物で布地及び/又は食器類を処理する場合に、布地及び/又は食器物品に1つ以上の利点:柔軟性の改善、香料及び/又は香料送達系などのフレッシュネス活性物質の付着又は吸着の改善、柔軟性活性物質の付着の改善、汚れ付着に対する耐性の改善、染色堅牢性の改善、耐摩耗性の改善、耐皺性の改善、抗真菌活性の改善、抗菌活性の改善、フレッシュネスの改善、耐汚染性の改善、洗濯時の清浄化性能の改善、乾燥速度の改善、染料、顔料又はレーキの更新の改善、白色度保持の改善、灰色化防止の改善の利点、汚れ再付着防止の改善の利点、又はこれらの組み合わせを提供するための、本開示によるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の使用に関する。そのような使用及び利点は、いくつかの処理サイクルで特に注目することができる。
【0213】
組み合わせ
本開示の具体的に企図される組み合わせを、本明細書において以下のアルファベット付きの項に記載する。これらの組み合わせは、本質的に例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではない。
A.処理組成物であって、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含む、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、ポリα-1,6-グルカンが、グルコースモノマー単位の骨格を含み、グルコースモノマー単位の少なくとも65%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合されており、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、i)少なくとも5、好ましくは約500~約2000の重量平均重合度、及びii)約0.001~約3.0の置換度を特徴とし、処理組成物が、処理補助成分を更に含み、処理組成物が、布地ケア組成物、食器ケア組成物、又はこれらの混合物である、処理組成物。
B1.処理組成物であって、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含む、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、ポリα-1,6-グルカンが、グルコースモノマー単位の骨格を含み、グルコースモノマー単位の少なくとも65%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合しており、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、a)重量平均分子量約1000~約500,000ダルトン、好ましくは約80,000~約500,000、及び/又はb)約900~約450,000ダルトン、好ましくは約50,000~約450,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンに由来しており、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換する前に決定され(又は別の方法で、ポリα-1,6-グルカンが、約900~約450,000ダルトンの重量平均分子量を特徴とする)、好ましくはa)及びb)の両方を特徴とし、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約0.001~約3.0の置換度を更に特徴とし得、処理組成物が、処理補助成分を更に含み、処理組成物が、布地ケア組成物、食器ケア組成物、又はこれらの混合物である、処理組成物。
B2.処理組成物であって、少なくとも1つの正に帯電した有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含む、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、(a)約1000~約150,000ダルトン、好ましくは約5000~約100,000ダルトン、より好ましくは約10,000~約80,000ダルトン、より好ましくは約20,000~約60,000ダルトンの重量平均分子量、(b)グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合している、グルコースモノマー単位の骨格、(c)グルコースモノマー単位の約20%~約60%、好ましくは約30%~約60%、より好ましくは約30%~約50%、更により好ましくは約35%~約45%、更により好ましくは約40%が、α-1,2-又はα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2-グリコシド結合を有し、並びに(d)約0.001~約3.0のカチオン置換度を有することを特徴とし、処理組成物が、処理補助成分を更に含み、処理組成物が、布地ケア組成物、食器ケア組成物、又はこれらの混合物である、処理組成物。
C.骨格グルコースモノマー単位の少なくとも3%、又は少なくとも約5%、好ましくは約5%~約35%、より好ましくは約5%~約30%、より好ましくは約5%~約30%、より好ましくは約5%~約25%、更により好ましくは約5%~約20%が、α-1、2及び/又はα-1、3-グリコシド結合を介した分岐を有する、項A、B1又はB2のいずれか一項に記載の処理組成物。
D.正に帯電した有機基が、置換アンモニウム基、好ましくは四級アンモニウム基を含む、項A~Cのいずれか一項に記載の処理組成物。
E.四級アンモニウム基が、少なくとも1つのC~C18アルキル基を含む、項Dに記載の処理組成物。
F.四級アンモニウム基が、少なくとも1つのC~Cアルキル基を含む、項D又はEに記載の処理組成物。
G.四級アンモニウム基が、少なくとも1つのC10~C16アルキル基、好ましくは四級アンモニウム基が2つのC~Cアルキル基を更に含む、項D~Fのいずれか一項に記載の処理組成物。
H.四級アンモニウム基が、トリメチルアンモニウム基を含む、項D~Gのいずれか一項に記載の処理組成物。
I.正に帯電した有機基が、四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含み、好ましくは四級アンモニウムヒドロキシアルキル基が四級アンモニウムヒドロキシメチル基、四級アンモニウムヒドロキシエチル基、又は四級アンモニウムヒドロキシプロピル基を含む、項A~Hのいずれか一項に記載の処理組成物。
J.四級アンモニウムヒドロキシアルキル基が、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基、好ましくはトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含む、項Iに記載の処理組成物。
K.置換度が、約0.01~約1.5、好ましくは約0.01~約1.0、より好ましくは約0.01~約0.8、より好ましくは約0.03~約0.7、又は約0.04~約0.6、又は約0.05~約0.5である、項A~Jのいずれか一項に記載の処理組成物。
L.ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約5~約6000、好ましくは約50~5000、又は100~4000、又は250~3000、又は500~2000、又は750~1500、又は1000~1400、又は1100~1300の範囲の重量平均重合度を有する、項A~Kのいずれか一項に記載の処理組成物。
M.ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約10,000~約400,000ダルトン、又は約40,000~約300,000ダルトン、又は約80,000~約300,000ダルトン、又は約100,000~約250,000ダルトン、又は約150,000~約250,000ダルトン、又は約180,000~約225,000ダルトン、又は約180,000~約200,000ダルトンの重量平均分子量を特徴とする、項A~Lのいずれか一項に記載の処理組成物。
N.ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、少なくとも1つの正に帯電した有機基での置換前に決定される、約10,000~約350,000ダルトン、又は約50,000~約350,000ダルトン、又は約90,000~約300,000ダルトン、又は約125,000~約250,000ダルトン、又は約150,000~約200,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導されることを特徴とする、項A~Mのいずれか一項に記載の処理組成物。
O.ポリα-1,6-グルカンが、グルコースモノマー単位の骨格を含み、グルコースモノマー単位の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している、項A~Nのいずれか一項に記載の処理組成物。
P.ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約150,000~約225,000の重量平均分子量、約0.05~約0.5の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約20%が、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2-グリコシド結合を介して分岐を有する、項A~Oのいずれか一項に記載の処理組成物。
Q.ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、本明細書に記載の生分解性試験方法(すなわち、OECDガイドライン301Bの二酸化炭素放出試験方法)によって生分解性が決定される場合、試験期間の90日目に、より好ましくは試験期間の60日目に、少なくとも5%の生分解性、更により好ましくは、少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%の生分解性を特徴とする、項A~Pのいずれか一項に記載の処理組成物。
R.処理組成物が、処理組成物の約0.01重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約重量5%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約0.1重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約0.8重量%のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、項A~Qのいずれか一項に記載の処理組成物。
S.処理補助成分が、界面活性剤、コンディショニング活性物質、付着助剤、レオロジー変性剤若しくは構造化剤、漂白系、安定剤、ビルダー、キレート剤、移染阻害剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、泥及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、シリコーン、色相剤、審美染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、抗凝集剤、コーティング、ホルムアルデヒドスカベンジャー、顔料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、項A~Rのいずれか一項に記載の処理組成物。
T.処理組成物が、液体組成物、顆粒状組成物、ヒドロコロイド、単区画パウチ、多区画パウチ、溶解性シート、パスティル若しくはビーズ、繊維物品、錠剤、スティック、バー、フレーク、フォーム/ムース、不織シート、又はこれらの混合物の形態である、項A~Sのいずれか一項に記載の処理組成物。
U.処理組成物が、20s-1及び21℃において、約1~1500センチポアズ(1~1500mPas)、又は100~1000センチポアズ(100~1000mPas)、又は100~500センチポアズ(100~500mPas)、又は100~300センチポアズ(100~300mPas)、又は100~200センチポアズ(100~200mPas)の粘度を特徴とする液体である、項A~Tのいずれか一項に記載の処理組成物。
V.処理組成物が、洗濯洗剤組成物、布地コンディショニング組成物、洗濯添加剤、布地前処理組成物、布地リフレッシュ組成物、自動食器洗浄組成物、手動食器洗浄組成物、又はこれらの混合物である、項A~Uのいずれか一項に記載の処理組成物。
W.(a)~(d)のうちの少なくとも1つに当てはまる、項A~Vのいずれか一項に記載の処理組成物:(a)処理組成物が、単区画パウチ又は多区画パウチの形態であり、処理補助成分が、処理組成物の20重量%未満の水を含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約150,000~約225,000の重量平均分子量、約0.05~約0.4の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約20%が、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2を介した分岐を有する、又は(b)処理組成物が、粒子の形態であり、個々の粒子が、約1mg~約1グラムの質量を有し、粒子が、水溶性担体中に分散したポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み、好ましくは、水溶性担体が、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約150,000~約225,000の重量平均分子量、及び約0.1~約0.4の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約10%が、α-1,2及び/若しくはα-1,3-グリコシド結合、好ましくは、α-1,2を介して分岐を有する、又は(c)処理組成物が、液体の形態であり、処理組成物が、処理組成物の、約40重量%~約95重量%の水を含み、処理組成物が、処理組成物の、約5重量%~約50重量%の界面活性剤を更に含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約150,000~約225,000の重量平均分子量、及び約0.05~約0.4の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約20%が、α-1,2及び/若しくはα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2を介した分岐を有する、又は(d)処理組成物が、液体の形態であり、処理組成物が、処理組成物の約40重量%~約98重量%の水と、処理組成物の約1重量%~約35重量%の布地柔軟剤と、好ましくは四級アンモニウム化合物及び/又はシリコーンとを含み、任意選択的に、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約150,000~約225,000の重量平均分子量、及び約0.4~約0.5の置換度を特徴とし、骨格グルコースモノマー単位の約5%~約10%が、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合、好ましくはα-1,2を介した分岐を有する。
X.項A~Wのいずれか一項に記載の処理組成物で表面を処理する方法であって、任意選択的に水の存在下で、表面を処理組成物と接触させる工程を含み、表面が、布地又は食器である、方法。
【0214】
試験方法
NMR分光法によるアノマー結合の決定方法
グルコシルトランスフェラーゼGTF8117及びα-1,2分岐酵素によって合成された水溶性オリゴ糖類及び多糖生成物中のグリコシド結合を、H NMR(核磁気共鳴分光法)によって決定する。乾燥オリゴ糖/多糖ポリマー(6mg~8mg)を、DO中1mM DSS(4,4-ジメチル-4-シラペンタン-1-スルホン酸;nmr基準標準)溶液0.7mLに溶解させた。サンプルを周囲温度で一晩撹拌する。透明な均質溶液525uLを5mm NMR管に移す。2D H,13Cホモ/ヘテロ核型NMR実験を使用してAGU(無水グルコース単位)結合を同定する。データを20℃で収集し、500MHz又は600MHzのいずれかで動作するBruker Avance III NMR分光計で処理する。このシステムは、プロトン最適化され、ヘリウム冷却された冷凍プローブを備える。1D H NMRスペクトルを使用して、グリコシド結合分布を定量化する。この結果は、個々の結合タイプを表すNMR共鳴の積分強度を、グルコース結合を表す全てのピークの合計の積分強度で除し、100を乗じた比を反映している。
【0215】
ポリα-1,6-グルカンエーテル誘導体のモル置換を決定するためのH核磁気共鳴(NMR)法
約30mgのポリα-1,6-グルカンエーテル誘導体を、分析天秤上のバイアルに量り入れる。バイアルをバランスから取り出し、1.0mLの酸化重水素をバイアルに添加した。磁気撹拌棒をバイアルに添加し、混合物を撹拌して固体を懸濁する。次いで、重水素化硫酸(DO中50%v/v)、1.0mLをバイアルに添加し、混合物を90℃で1時間加熱して、ポリマーを脱重合及び可溶化する。溶液を室温まで冷却させ、次いで、溶液の0.8mL部分をガラスピペットを使用して5mmNMRチューブに移す。定量的H NMRスペクトルは、5mm自己切り替え可能なQuadプローブを備えたAgilent VNMRS 400MHz NMR分光計を使用して取得する。スペクトルは、6410.3Hzのスペクトルウィンドウ、3.744秒の取得時間、10秒及び64パルスのパルス間遅延を使用して、399.945MHzのスペクトル周波数で取得される。時間領域データは、0.50Hzの指数関数的乗算を使用して変換される。
【0216】
重量平均分子量及び/又は重合度の決定
重合度(DP)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。SEC分析のために、乾燥ポリα-1,6-グルカンエーテル誘導体をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(0.02~0.2mg/mL)に溶解する。使用されるクロマトグラフィーシステムは、Waters Corporation(Milford,MA)製のAlliance(商標)2695液体クロマトグラフであり、3つのオンライン検出器:Waters製の示差屈折計410、Wyatt Technologies(Santa Barbara,CA)製の多角度光散乱光度計Heleos(商標)8+、及びWyatt Technologies製の示差毛細管粘度計ViscoStar(商標)が結合されている。SECに使用されるカラムは、2つのTosoh Haas Bioscience TSK GMPWXLg3K及びg4K G3000PW、及び水性ポリマーのG4000PWポリマーカラムである。移動相はPBSである。使用されるクロマトグラフィー条件は、カラム及び検出器区画で30℃、試料及び注入器区画で30℃、0.5mL/分の流量、及び100μLの注入体積である。データ低減に使用されるソフトウェアパッケージは、Wyatt(カラム較正を用いた三重検出法)からのAstraバージョン6である。
【0217】
ミリ当量計算
本明細書で使用するとき、「用量当たりのカチオン電荷密度(CCD)」という用語は、分配されるべき布地コンディショナー組成物の単回用量の体積中に存在する正電荷の量を意味する。例として、220g/molのモノマー平均分子量及びカチオン置換度0.38を有するカチオン性ポリマーの0.48%を含有する48.5gの布地コンディショナー用量を想定すると、CCDは、以下のように計算され、ポリマー電荷密度は、0.38/220×1000又は1.7meq/gであり、CCDは、用量当たり48.5g×0.0048×1.7meq/g、又は0.40meqである。
【0218】
ゼータ電位測定
ゼータ電位は、Malvern Zeta Sizer ZEN3600及び使い捨てキャピラリ試料セル(緑色セル)を使用して測定される。機器は、適切に機能する場合に機器を保証するために、ゼータ電位移動標準DTS 1235、バッチ#311808、-42mV+/-4.2mを使用して較正される。実験の開始前に、キャピラリーセルを1~2mLのエタノールで洗浄し、次いでDI水で洗浄する。試料は、99.75gのTide HDL溶液を目標濃度で0.25gの布地コンディショナー組成物で混合することによって調製する。Tide HDL溶液は、7gpgの水硬度を使用して、目標量のTide HDL洗剤を希釈することによって調製する。試料を注射器を使用してキャピラリ試料セルに移し、気泡が細胞に存在しないことを確認する。セルを上部に充填し、その後、セル出口及び入口にキャップを置き、再び気泡が試料中に存在しないことを確認する。最後に、電極がシステムの側面に面する状態で、セルを試料チャンバ内に置く。実験は25℃の温度、及び120秒の平衡時間、屈折率1.46を使用して実行する(この数は、懸濁液に対して変化し得、1つは屈折計を使用して任意の粒子懸濁液の屈折率を測定することができる)。この機器は、Smoluchowskiモデルを使用して、試料のゼータ電位を計算する。
【0219】
生分解試験方法
多糖類誘導体の生分解性は、OECD 301B易分解性二酸化炭素放出試験ガイドライン(OECD,1992.Organization for Economic Co-operation and Development,OECD 301 Ready Biodegradability.OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Section 3(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)に従って決定する。この研究では、試験物質は唯一の炭素及びエネルギー源であり、好気性条件下では、微生物が、COを生成するか、又は炭素をバイオマスに組み込む試験物質を代謝する。試験物質によって生成されたCOの量(ブランク接種材料によって発生したCOに対して補正された)は、試験物質中の有機炭素が完全にCOに変換された場合に生成され得るCOの理論量(ThCO)の百分率として表される。
【0220】
均質化
均質化は、IKA ULTRA TURRAX T25デジタルホモジナイザー(IKA、Wilmington,NC)を使用して行う。
【0221】
布地の準備
布地を、その中に含有されるコンディショニング組成物及び/又はポリマーの性能を評価するために、以下の方法に従って調製/処理する。
【0222】
A.装置及び材料
布地は、Kenmore FS600及び/又は80シリーズの洗濯機を使用して評価する。洗濯機は、以下のとおり設定する:洗浄/すすぎ温度32℃/15℃、硬度6gpg、標準サイクル、及び中等度の洗濯量(64リットル)。布地の塊は、綿100%からなる清潔な布地2.5キログラムからなる。試験見本は、この塊に含まれており、綿100%のEuro Touchテリー織タオル(Standard Textile,Inc.Cincinnati,OHから購入)を含んでいた。
【0223】
B.脱色及び糊抜き
任意の試験製品で処理する前に、布地の塊を、試験実施前に布地調製-脱色及び糊抜き(Stripping and Desizing)手順に従って脱色する。
【0224】
布地調製-脱色及び糊抜き手順は、5回の連続する洗浄サイクルに引き続き、乾燥サイクルの間、綿100%のEuroTouchテリー織タオルの試験見本を含む清潔な布地の塊(綿100%を含む布地2.5kg)を洗浄することを含む。AATCC(American Association of Textile Chemists and Colorists)の高効率(High Efficiency、HE)液体洗剤を用いて、試験見本布地及び清潔な布地の塊を脱色/糊抜きする(洗浄サイクル1回当たり1×推奨用量)。洗浄条件は、以下のとおりである:Kenmore FS 600及び/又は80洗濯機(又は等価物)、洗浄/すすぎ温度48℃/48℃、水硬度0gpg、標準洗浄サイクル、及び中等度の洗濯量(64リットル)に設定。乾燥機のタイマーは、綿/高/時限式乾燥設定で55分に設定する。
【0225】
C.試験処理
洗濯機を少なくとも半分充填した後、水の表面下にTide Free液体洗剤(1×推奨用量)を添加する。水の流れが停止し、洗濯機が回り始めたら、清潔な布地の塊を加える。洗濯機がすすぎ水でほぼ満たされ、回り始める前に、確実に布地ケア試験組成物(例えば、液体コンディショニング組成物)が試験見本又は布地の塊と直接接触しないように、布地ケア試験組成物をゆっくり添加する(1×用量)。洗浄/すすぎサイクルが完了したら、各湿潤布地の塊を対応する乾燥機に移す。用いる乾燥機は、Maytag市販シリーズの(又は等価な)電気乾燥機であり、綿/高温加熱/時限式乾燥設定でタイマーを55分に設定した。このプロセスを、合計3回の完全な洗浄-乾燥サイクルの間、繰り返す。3回目の乾燥サイクル後、乾燥機が停止したら、活性物質の付着を分析するために各布地の塊から12枚のテリータオルを取り出す。次いで、一定温度/相対湿度(21℃、相対湿度50%)に制御された採点用の室内に12~24時間布地を置き、次いで、柔軟性及び/又は活性物質の付着について採点する。
【0226】
セカント弾性係数Instron法
セカント弾性係数は、Instronモデル5565(Instron Corp.、Norwood,Massachusetts,U.S.A.)などの引張及び圧縮試験機器を使用して測定される。この機器は、次の設定を選択することによって、布地に応じて構成される:モードはTensile Extensionである;波形形状はTriangle;最大ひずみは、479サンフォライズドでは10%及び7422編物では35%であり、速度は、479サンフォライズドでは0.83mm/秒及び7422編物では2.5mm/秒であり、サイクル数は4であり、保持時間は、サイクル間15秒である。
1.ハサミを使用して、各見本の片側全体のかがった縁部を縦方向に切り取り、均等な縁部が得られるまで布地に応力をかけずに糸を慎重に取り外す。
2.布プレス型を配置し、幅1インチ、少なくとも長さ4インチのストリップを均一な縁部に平行に切断し、縦方向に長手に切断する。
3.処理当たり3個の別個の布見本から織られた試験布479サンフォライズド100%綿又は編まれた試験布7422 50:50ポリコットンの3つのストリップを切断する。分析前に、布地を一定温度(70°F)及び湿度(50%RH)の室内で少なくとも6時間調湿する。
4.引張試験装置の2.54cm把持部内に布ストリップの上部、次いで下部を固定し、2.54cmのギャップを設定し、サンプルへの少量の力(0.0.05N~0.2N)を加える。
5.保持サイクル中、サンプルの下部固定を解放し、再固定し、サンプル上に0.05N~0.2Nの力を加え、同じ力を再度加えることによって弛みを取り除く。
6.サンプルについて4回のヒステリシスサイクルが完了すると、セカント弾性係数がメガパスカル(megapascal、MPa)で報告される。最終結果は、所与の生地タイプにおける所与の処理のための全ての試験ストリップからの個々のサイクル4の弾性率結果の平均である。報告されるセカント弾性係数は、各布タイプの最大ひずみで計算される。
【0227】
粘度の決定方法
布地コンディショニング組成物の粘度は、同心シリンダ形状を有するTA機器AR G2制御応力レオメータを使用して測定する。試験開始前に、温度を20℃で2分間一定に保つ。次いで、粘度は、上昇する10当たり5点の対数定常状態流動勾配を使用して、0.01~100秒-1の異なる剪断速度で測定される。
【0228】
技術的嗅覚パネル
Calderon Textileからの綿テリータオルの乾燥嗅覚性能を、乾燥布地を70°Fの一定温度及び50%の湿度の室内で一晩平衡化した後、20名の専門家のパネルによって評価する。比較は、0~10の強度スケールを使用して行われ、0は検出不能であり、1~3:わずかな芳香、4~7:中程度の芳香、8~10:強い芳香を意味する。パネリストグレードは、10~100スケールに変換され、20名全てのパネリストにわたって平均化される。
【0229】
摩擦係数(CoF)の決定
摩擦係数(CoF、Coefficient of Friction)(又は動摩擦係数(kCoF、kinetic Coefficient of Friction))を決定するために、以下の方法を使用する。
【0230】
5つの布地(Calderon Textile、Indianapolis,Indiana,USAからのRN37002LLなどの32cm×32cmの100%綿テリー洗浄布地)を、標準的な洗浄/乾燥サイクルで3回処理する。
【0231】
第3の乾燥サイクルが完了すると、処理された布地は、23℃及び50%相対湿度で最低8時間平衡化される。処理した布地を平らに置き、平衡化しながら10枚以下の高さで重ねる。試験製品及びnilポリマー(nil-polymer)対照製品の摩擦測定は、平衡化工程中に使用される同じ環境条件下において同じ日になされる。
【0232】
2キログラムの力ロードセルを有する摩擦/剥離試験機を使用して、布地対布地摩擦を測定する(例えば、model FP2250、Thwing-Albert Instrument Company、West Berlin,New Jersey,USA)。6.4×6.4cmのフットプリント及び200gの重量を有するクランプ式スレッドを使用する(例えば、商品番号00225-218、Thwing Albert Instrument Company、West Berlin,New Jersey,USA)。ロードセルとスレッドとの間の距離を10.2cmに設定する。クロスヘッドアームと試料ステージとの間の距離は、クロスアームの底部からステージの上部まで測定して25mmに調整される。器具は以下の設定で構成される:T2反応速度測定時間10.0秒、総測定時間20.0秒、試験速度20cm/分。
【0233】
テリー洗浄布地は、タグ側面を下にして配置され、次いで、布地の面は、上にある側面として定義される。タグがなく、布地が前後で異なる場合、テリー布地の片側を「面」と指定されるように確立し、全てのテリー洗濯布地にわたってその指定と一致させることが重要である。次に、パイルループが左を向くように、テリー洗浄布地を方向付ける。生地の底部及び側縁部から2.54cmで布地剪断を使用して、テリー洗浄布地から11.4cm×6.4cmの布地見本を切断する。布地見本は、11.4cmの長さが布地の底部に平行になり、6.4cmの縁部が布地の左側及び右側に平行になるように位置合わせされるべきである。次いで、見本が切断される洗浄布地を、この同じ配向を維持しながら、器具の試料テーブルに固定する。
【0234】
スレッド上布地見本の布地面が試料プレート上の処理済み洗浄布地面全体に引き広げられ得るように、11.4cm×6.4cmの布地見本を、表面を外側にしてクランピングスレッドに取り付ける。次いで、スレッドは、スレッド上の見本のループが洗浄布地のループの立毛に対して配向されるように洗浄布地上に置かれる。スレッドをロードセルに取り付ける。ロードセルが1.0~2.0gf(グラム重量)を示すまでクロスヘッドを動かし、その後、ロードが0.0gfを指すまで戻す。次いで測定を開始し、スレッドドラッグ中に毎秒器具によって動摩擦係数(kCOF)を記録する。
【0235】
各洗浄布地について、10秒~20秒の測定時間枠にわたる平均kCOFを計算する。
f=(kCOF10s+kCOF11s+kCOF12s+...+kCOF20s)/12
【0236】
次いで、製品当たり5つの洗浄布地の平均kCOFを計算する。
F=(f+f+f+f+f)/5
【0237】
対照洗剤に対する試験製品の摩擦変化は、以下のように計算される。
(対照)-F(試験製品)=摩擦変化
【0238】
四級アンモニウムエステル化合物のヨウ素価を測定する方法
四級アンモニウムエステル布地化合物のヨウ素価は、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価であり、布地コンディショニング化活性物質を形成する親脂肪酸100グラムと反応するヨウ素のグラム数として定義される。
【0239】
まず、四級アンモニウムエステル化合物を、以下のプロトコルに従って加水分解する:処理組成物25gを、水50mL及び水酸化ナトリウム0.3mL(50%活性)と混合する。この混合物が乾燥するのを回避しながら、混合物をホットプレート上で少なくとも1時間沸騰させる。1時間後、混合物を放冷し、pHストリップ又は較正済みpH電極を使用して、25%硫酸でpHを中性(pH6~8)に調整する。
【0240】
次に、ヘキサン又は石油エーテルによる酸性液-液抽出によって混合物から脂肪酸を抽出する:抽出シリンダにおいてサンプル混合物を水/エタノール(1:1)で160mLに希釈し、塩化ナトリウム5グラム、硫酸(25%活性)0.3mL、及びヘキサン50mLを加える。シリンダに栓をして、少なくとも1分間振盪する。次に、2層が形成されるまで、シリンダを静置する。ヘキサン中に脂肪酸を含む最上層を別の受容器に移す。次に、ホットプレートを使用してヘキサンを蒸発させ、抽出した脂肪酸を残す。
【0241】
次に、布地コンディショニング活性物質を形成する親脂肪酸のヨウ素価を、ISO3961:2013に従って測定する。親脂肪酸のヨウ素価を計算する方法は、規定量(0.1~3g)をクロロホルム15mLに溶解することを含む。次に、溶解した親脂肪酸を、酢酸溶液(0.1M)中の一塩化ヨウ素25mLと反応させる。これに、10%ヨウ化カリウム溶液20mL及び脱イオン水150mLを加える。ハロゲンの添加を行った後、ブルースターチ法指示薬粉末の存在下で、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.1M)で滴定することにより、過剰な一塩化ヨウ素を測定する。同時に、同じ量の試薬と同一条件下でブランクを測定する。ブランクに使用したチオ硫酸ナトリウムの量と、親脂肪酸との反応に使用した量との差により、ヨウ素価を算出することができる。
【実施例
【0242】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0243】
以下の製剤例では、特に明記しない限り、成分は以下の略語に従って同定される。
【0244】
【表1】
【0245】
実施例1.合成例
A.ポリα-1,6-グルカン試料の調製
様々な量のα-1,2分岐を含有するポリα-1,6-グルカンを調製する方法は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/091533号に開示されている。スクロース濃度、温度、及びpHなどの反応パラメータを調整して、様々なレベルのα-1,2-分岐及び分子量を有するポリα-1,6-グルカンを提供することができる。
【0246】
5%、10%、24%、及び32%のα-1,2分岐度を有するポリα-1,6-グルカンを調製することができる。
【0247】
B.置換ポリマー(1)
この実施例は、四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物、具体的にはトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,6-グルカンの調製を記載する。
【0248】
多糖類溶液(43%固体、7.3kg、α-(1,6)-グルカン、32%分岐、Mw 53kDa)を、オーバーヘッドスターラを備えた22Lの反応器に入れた。撹拌溶液に、2.72kgの50%NaOH溶液を添加した。混合物を50℃に加熱した。これに、追加の漏斗を用いて3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(QUAB188)の65%溶液7.6kgを2時間45分間にわたって添加した。次いで、反応物を58℃で3時間維持した。反応物を500mLで希釈し、18重量%HClで中和した。限外濾過(10kDa膜)によって生成物を精製し、凍結乾燥させた。置換度は、H NMRによって0.4であると決定した。
【0249】
C.置換ポリマー(2)
この実施例は、四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物、具体的にはトリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,6-グルカンの調製を記載する。
【0250】
オーバーヘッドスターラを装備した1L丸底フラスコに、100mLの水、続いて100gの多糖(10%の分岐を有するα-(1,6)-グルカン、Mw 60kDa)を添加した。溶解後、50%水酸化ナトリウム溶液を5~10分かけて添加した(87g)。混合物を室温で1時間撹拌した。これに、265gの3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(QUAB188)の60%溶液を更に10分間添加した。混合物を窒素下で3時間、60℃で加熱した。混合物を約50℃に冷却し、18%HClで中和した。得られた溶液を水(4L)で希釈し、限外濾過(30kDa膜)によって精製し、凍結乾燥させた。置換度は、H NMRによって0.6であると決定した。
【0251】
D.置換ポリマー(3)
この実施例は、四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物、具体的にはトリメチルアンモニウムプロピルポリα-1,6-グルカンの調製を記載する。
【0252】
オーバーヘッドスターラを取り付けた2L反応器に、多糖溶液(5%のα(1,2)分岐、29%の固形分、Mw 185kDaを有するα-(1,6)-グルカン)690gを添加した。溶液を撹拌した。この撹拌溶液に、12gの50%水酸化ナトリウムを滴下した。混合物を室温で45分間撹拌した。この撹拌混合物に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(QUAB151)の71~75%溶液100gを添加した。混合物を60℃で4時間加熱した。混合物を200mLの水で希釈し、18重量%HClで中和した。限外濾過(30kDa膜)によって生成物を精製し、凍結乾燥させた。置換度は、H NMRによって0.4であると決定した。
【0253】
E.置換ポリマー(4)
この実施例は、四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物、具体的にはトリメチルアンモニウムプロピルポリα-1,6-グルカンの調製を記載する。
【0254】
オーバーヘッドスターラを取り付けた2L反応器に、ポリマー溶液(5%のα(1,2)分岐、29%の固形分、Mw 185kDaを有するα-(1,6)-グルカン)690gを添加した。溶液を撹拌した。この撹拌溶液に、12gの50%水酸化ナトリウムを滴下した。混合物を室温で45分間撹拌した。この撹拌混合物に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(QUAB151)の71~75%溶液33gを添加した。混合物を60℃で4時間加熱した。混合物を200mLの水で希釈し、18重量%HCで中和した。限外濾過(30kDa膜)によって生成物を精製し、凍結乾燥させた。置換度は、H NMRによって0.03であると決定した。
【0255】
F.置換ポリマー(5)
この実施例は、四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物、具体的にはドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,6-グルカンの調製を記載する。
【0256】
機械的撹拌棒、熱電対、及び添加漏斗を備えた4つ口500mL反応器に19gの水を充填した。多糖溶液(21g、32%の1,2分岐を有するα-(1,6)-グルカン、Mw 68kDa)。混合物を137gの40重量%の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルドデシルジメチルアンモニウムクロリド(QUAB342)と同時に撹拌した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。水酸化ナトリウム15.8g(ナトリウム50重量%)を、10分間にわたって添加した。反応混合物を60℃に加熱し(10分)、57~60℃で3時間撹拌した。35℃に冷却した後、反応混合物を水に総体積約3Lまで注ぎ入れた。混合物のpHを、18.5重量%の塩酸の添加によって約7に調整した。生成物を限外濾過(5kDa膜)を用いて精製し、凍結乾燥した。置換度は、H NMRによって0.4であると決定した。
【0257】
G.置換ポリマー(6)
この実施例は、四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物、具体的にはドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,6-グルカンの調製を記載する。
【0258】
機械的撹拌棒、熱電対及び添加漏斗を装備した4つ口500mL反応器に、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルドデシルジメチルアンモニウムクロリド(Quab342、これは32gの塩化物、94ミリモル及び48gの水を含有する)80gを装入した。グルカン粉末(21g、21g、32%の1,2分岐を有するα-(1,6)-グルカン、Mw 68kDa)。混合物を室温で2時間撹拌した。50重量%のナトリウムの水酸化ナトリウム10g(0.125molのNaOH)を10分間にわたって添加した。水(10mL)を添加した。反応混合物を60℃に加熱し(10分)、58~60℃で3時間撹拌した。35℃に冷却した後、反応混合物を水に総体積約3Lまで注ぎ入れた。混合物のpHを、18.5重量%の塩酸の添加によって約7に調整した。混合物を濾過し、フィルタ中に固体は観察されなかった。濾液を限外濾過(10K膜)を用いて精製し、次いで凍結乾燥した。置換度は、H NMRによって0.4であると決定した。
【0259】
実施例2.例示的な四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物
表2は、本開示によるいくつかの例示的な四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の特徴を示す。以下に列挙する化合物において、カチオン性基は、アスタリスク()によって別途明記しない限り、3つのメチル基で置換された四級化アンモニウム基である(すなわち、トリメチルアンモニウム四級アンモニウム)。カチオン性基は、ヒドロキシプロピル基によってエーテル基(したがってグルカン骨格)に結合されるが、それに応じて任意の好適なアルキル基又は他のヒドロキシアルキル基を使用して結合することができる。
【0260】
【表2】
カチオン性基:2つのメチル基及び1つのC12アルキル基で置換された四級化アンモニウム基(ジメチル、C12アンモニウム四級アンモニウム)
**括弧内の数字はエーテル化合物の分子量(すなわち、骨格+誘導体化カチオン性エーテル基)である。
【0261】
実施例3.柔軟性効果
カチオン電荷を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の存在が液体コンディショニング組成物の性能を改善できることを示すために、以下の試験を行う。
【0262】
布地は、上記の布地調製方法に従って処理される。液体コンディショニング組成物は、以下の表3に示す配合物による液体布地エンハンサである。配合物2及び3は、カチオン性ポリグルカン化合物を含み、配合物1は、比較例としてではない。各実施例について、49.5g/用量の布地エンハンサ組成物が提供される。処理後、布地のセカント弾性係数及びフレッシュネス性能を、上述の方法に従ってInstron機器を使用して決定する。
【0263】
【表3】
【0264】
表3に示すように、本開示によるカチオン置換ポリ-α-1,6-グルカンエーテル化合物の添加は、組成物が比較的少量の布地柔軟剤活性物質を含有する場合であっても、改善された柔軟性と相関する、より低いセカント弾性係数測定をもたらすことができる。
【0265】
実施例4.柔軟性及びフレッシュネスの利点(1)
以下の試験を実施して、カチオン性ポリグルカン化合物の分子量が、技術的嗅覚パネルによって決定されたセカント弾性係数値及びフレッシュネス利点に及ぼす影響を示す。
【0266】
布地は、上記の布地調製方法に従って処理される。液体コンディショニング組成物は、上記の表4Aに示される配合物による液体布地エンハンサであり、カチオン性ポリグルカン化合物は、以下の表4Bに示されるように変化する。配合物5は、カチオン性ポリグルカン化合物を含む。配合物4は、比較例としてではない。各実施例について、49.5g/用量の液体コンディショニング組成物が提供される。処理後、布地のセカント弾性係数及びフレッシュネス性能を、Instron機器及び技術的嗅覚パネルを用いて上記の方法に従って決定した。結果を表4Bに示す。
【0267】
【表4】
【0268】
【表5】
**括弧内の数字はエーテル化合物の分子量(すなわち、骨格+誘導体化カチオン性エーテル基)である。
【0269】
相対的に低いセカント弾性係数値及び/又は相対的に高い嗅覚パネルスコアは、性能の増加に関連する。したがって、表4Bのデータは、例えば100,000ダルトン超(好ましくは約150,000~約300,000ダルトン)の重量平均分子量を有する本開示によるポリマーが、より低い分子量を有する比較化合物と比較して改善された利点を提供することができることを示す。
【0270】
実施例5.柔軟性及びフレッシュネスの利点(2)
以下の試験を実行して、カチオン性ポリグルカン化合物のカチオン置換度(DoS)のセカント弾性係数値への影響を示す。
【0271】
布地は、上記の布地調製方法に従って処理される。液体コンディショニング組成物は、表5Aに示される配合物による液体布地エンハンサであり、カチオン性ポリグルカン化合物は、以下の表5Bに示されるように変化する。配合物6~9は、カチオン性ポリグルカンエーテル化合物を含む。
【0272】
【表6】
【0273】
各実施例について、49.5g/用量の液体コンディショニング組成物が提供される。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用して布地のセカント弾性係数を決定した。結果を、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物に起因するとして、用量当たりに送達されるカチオン電荷密度(CCD)を含む表5Bに示す。
【0274】
【表7】
ポリマーJ、M及びKのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
【0275】
表5Bの実施例は、重量平均分子量が約185,000~約200,000Daであり、例えば約5%~約20%の比較的低い分岐度を有する本発明によるポリマーが、布地コンディショナー組成物の用量当たりのカチオン電荷密度の当量が0.1ミリ当量(好ましくは約0.1~約2ミリ当量/用量、より好ましくは約0.2~約1.0ミリ当量/用量、更により好ましくは約0.3~約0.6ミリ当量/用量)を超える場合に改善された利点を提供することを示す。
【0276】
実施例6.粘度効果
以下の試験は、カチオン性ポリα-1,3グルカンエーテル化合物との比較を含む、α-1,2分岐のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の粘度に対する相対的な影響を示すために行われる。
【0277】
以下の表6Bに示される異なるカチオン性多糖類を用いて、表6Aによる配合物を有する液体コンディショニング組成物を調製する。各液体コンディショニング組成物の粘度は、上記の方法に従って決定される。結果を表6Bに示す。
【0278】
【表8】
【0279】
【表9】
ポリマーL、J、K、S及びNのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
145kDaの総MWを有し、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基で誘導体化されたカチオン性ポリα-1,3-グルカンエーテル化合物。
【0280】
表6Bに示すように、配合物11のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物に関連する生成物粘度は、ポリα-1,3-グルカンエーテルなどの他のポリα-グルカンエーテル化合物の粘度よりも比較的低い。ポリα-1,6-グルカンエーテルへの分岐の付加は、ポリα-1,6-グルカン鎖間の内部相互作用を破壊し、生成物の粘度に悪影響を与えることなく組成物に製剤化するのがより容易な規則性の低い結晶構造をもたらすと考えられる。粘度が低いほど、分注経験が向上し得、機械残渣が少なくなる。
【0281】
実施例7.異なるカチオン性官能基の実施例
以下の試験を行って、カチオン性官能基の種類が布地のセカント弾性係数に及ぼす影響を示す。
【0282】
布地は、上記の布地調製方法に従って処理される。液体コンディショニング組成物は、以下の表7Aに示す配合物12による液体布地エンハンサである。各実施例について、80g/用量の布地エンハンサ組成物が提供される。処理後、上記の方法に従ってInstron機器を使用して布地のセカント弾性係数を決定する。結果を表7Bに示す。
【0283】
【表10】
【0284】
【表11】
ポリマーB、D及びEのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
**括弧内の数字はエーテル化合物の分子量(すなわち、骨格+誘導体化カチオン性エーテル基)である。
【0285】
実施例8.カチオン性グルカンポリマー対柔軟化活性物質の比
カチオン性ポリマーは、アニオン性界面活性剤と相互作用して、静電相互作用及び疎水性相互作用を介して一緒に保持された不溶性の複合ポリマーに富む相を生成することが当技術分野で公知である。典型的には、電気陽性である不溶性複合系は、それらのアニオン性のためにセルロース系布地に対して比較的高い親和性を有する。例えば、組成物中の全カチオン活性物質の比を調整することによって、一定の条件セットの下で不溶性複合体系の静電ポテンシャルを変更することが可能である。
【0286】
ゼータ電位は、上記の試験方法に従って決定される。洗剤は、7gpgの水硬度を有する水中の液体TIDE洗剤の3重量%に相当する。液体布地エンハンサ/柔軟剤組成物は、4重量%のカチオン性アルキルエステル四級布地柔軟化活性物質(fabric softening active、「FSA」)を含み、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のレベルは表8に示すとおりである。結果を表8に示す。
【0287】
【表12】
ポリマーK-表2を参照する。
【0288】
表8のゼータ電位測定は、ポリ-α-1,6-グルカンエーテルポリマーを含む本発明による液体布地エンハンサ組成物が、ポリα1,6-グルカンとFSAとの重量比が1:40比を超える、好ましくは1:18比を超える、より好ましくは1:15比を下回る場合、より電気陽性の不溶性複合体系を生成するのにより効果的であることを示す。そのような比は、処理組成物中のFSAのレベルが比較的低い場合、例えば8重量%以下、又は6重量%以下、又は5重量%以下、又は4重量%以下などの場合に特に関連する可能性が高い。
【0289】
実施例9.重質液体洗剤における柔軟性性能
以下の実施例では、布地を、重質液体洗剤配合物で処理する。洗剤配合物を表9Aに提供する。
【0290】
【表13】
【0291】
以下に記載されるように、様々なポリマーを洗剤配合物と組み合わせて試験し、Instronセカント弾性係数(7422)データを回収する。結果を表9Bに示す。
【0292】
【表14】
ポリマーT、K、及びLのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
【0293】
表9Bに示すように、本開示によるポリマーを含む洗剤配合物は、比較的低いセカント弾性係数値を提供し、このようなポリマーを含まない洗剤と比較して、より大きな柔軟性の利点を示す。
【0294】
実施例10.洗濯添加剤粒子(1)における柔軟性性能
以下の実施例では、布地は、粒子(すなわち、パスティル又は「ビーズ」)の形態の洗濯添加剤配合物で処理される。処理は、重質洗濯洗剤と組み合わせて自動洗濯機の洗浄サイクル中に生じた。添加剤配合物を表10Aに提供する。配合物15~17で処理した後、表10Bに提供されるセカント弾性係数値についてInstron機器で布地を試験する。
【0295】
【表15】
【0296】
【表16】
ポリマーJ、K、及びLのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
【0297】
実施例11.洗濯添加剤粒子(1)における柔軟性性能
以下の実施例では、布地は、粒子(すなわち、パスティル又は「ビーズ」)の形態の洗濯添加剤配合物で処理される。処理は、重質洗濯洗剤と組み合わせて自動洗濯機の洗浄サイクル中に生じた。添加剤配合物を表11Aに提供する。処理した後、表11Bに提供されるセカント弾性係数値についてInstron機器で布地を試験する。
【0298】
【表17】
【0299】
【表18】
ポリマーA、B及びCのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
【0300】
表11Bに示すように、本開示によるポリマーを含む配合物は、セカント弾性係数及び摩擦係数の値によって示されるように、柔軟性の利点を提供する。
【0301】
実施例12.可溶性単位用量洗剤配合物における柔軟性性能
以下の実施例では、布地は、多区画パウチとしての水溶性フィルムへの封入に好適な洗剤配合物で処理される。洗剤配合物を表12Aに提供する。布地を、市販の洗濯機(例えば、Miele Honeycomb Care W1724、標準的な機械設定を使用、40℃で1:38の長さの総サイクルで綿短サイクル、で洗剤ベース配合物26.65gで複数サイクル処理し(3)、続いて、一定温度/湿度(70F/50%rH)の室で24時間ライン乾燥する。所与の量のカチオン性ポリマー(38ppm)もまた、存在する場合、各試験レッグに提供される。水溶性フィルム(1g)も処理容器に添加されて、洗剤パウチで処理をシミュレートする。
【0302】
【表19】
【0303】
以下に記載されるように、様々なポリマーを洗剤配合物と組み合わせて試験し、Instronセカント弾性係数(7422)データを回収する。ポリマー量は、洗浄液中の100万当たりの部(parts per million、PPM)として提供される。結果を表12Bに提供する。
【0304】
【表20】
ポリマーJ、K、及びNのカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルに関する情報については表2を参照されたい。
【0305】
表12Bに示すように、本開示によるポリマーを含む配合物は、ポリマーなし配合物と比較して比較的低いセカント弾性係数値を提供し、本発明の実施例が改善された柔軟性の利点を提供することを示す。
【0306】
実施例13.例示的な重質液体洗濯洗剤配合物
表13は、重質液体(heavy-duty liquid、HDL)洗濯洗剤組成物のための例示的な配合物を示す。
【0307】
【表21】
清浄化及び/又は処理組成物の総重量に基づく。酵素濃度は、原材料として報告される。
AE7は、平均エトキシル化度が7のC12~13アルコールエトキシレートである。
AE8は、平均エトキシル化度が8のC12~13アルコールエトキシレートである
AE9は、平均エトキシル化度が9のC12~13アルコールエトキシレートである。
アミラーゼ1は、Novozymesによって供給されているStainzyme(登録商標)(15mg活性/g)である
アミラーゼ2は、Novozymesによって供給されているNatalase(登録商標)(29mg活性/g)である
キシログルカナーゼは、Novozymesによって供給されているWhitezyme(登録商標)(20mg活性/g)である
キレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸である
Dispersin Bは、グリコシドヒドロラーゼ(1000mg活性/gとして報告)である
DTIは、ポリ(4-ビニルピリジン-1-オキシド)(Chromabond S-403E(登録商標)など)又はポリ(1-ビニルピロリドン-co-1-ビニルイミダゾール)(Sokalan HP56(登録商標)など)のいずれかである。
染料制御剤は、好適な染料制御剤、例えば、Suparex(登録商標)O.IN(M1)、Nylofixan(登録商標)P(M2)、Nylofixan(登録商標)PM(M3)、又はNylofixan(登録商標)HF(M4)である
HSASは、米国特許出願第6,020,303号及び同第6,060,443号に開示されている中鎖分岐状アルキルサルフェートである
LASは、C~C15の平均脂肪族炭素鎖長を有する直鎖状アルキルベンゼンスルホネートである(HLASは酸形態である)。
ロイコ色素は、任意の好適なロイコ色素又はこれらの混合物である
リパーゼは、Novozymesによって供給されているLipex(登録商標)(18mg活性/g)である
Liquitint(登録商標)V200は、Millikenよって提供されているチオフェンアゾ染料である
マンナナーゼは、Novozymesによって供給されているMannaway(登録商標)(25mg活性/g)である
ヌクレアーゼは、ホスホジエステラーゼ(1000mg活性/gとして報告)である
光学増白剤1は、二ナトリウム4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホネートである
光学増白剤2は、Optiblanc SPL10(登録商標)(3V Sigma)である
香料カプセルは、コア-シェルメラミンホルムアルデヒド香料マイクロカプセルである(Encapsys製)
研磨酵素は、パラニトロベンジルエステラーゼであり、1000mg活性/gとして報告されている
ポリマー1は、ビス((CO)(CO)n)(CH)-N-C2x-N-(CH)-ビス((CO)(CO)n)[式中、n=20~30、x=3~8である]、又はそのサルフェート化若しくはスルホネート化変異体である
ポリマー2は、エトキシル化(EO15)テトラエチレンペンタアミンである
ポリマー3は、エトキシル化ポリエチレンイミンである
ポリマー4は、エトキシル化ヘキサメチレンジアミンである
ポリマー5は、本開示によるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルであり、例えば上記の表2を参照されたい(ポリマーA~T)。
プロテアーゼは、DuPontによって供給されているPurafect Prime(登録商標)(40.6mg活性/g)である
【0308】
実施例14.例示的な可溶性単位用量配合物
表14は、水溶性単位用量物品に使用するための例示的な配合物を示す。組成物は、単一チャンバ水溶性単位用量物品の一部であってもよく、又は複数の区画にわたって分割されて、以下の「区画全体が平均化された」全物品組成物をもたらす。組成物は、区画を形成する水溶性フィルムによって封入される。多区画のパウチは、隣り合わせの区画、又は重ねられた区画を含むことができる。
【0309】
【表22】
【0310】
実施例15.例示的な粉末洗剤配合物
表15は、固体の自由流動性粒状洗濯洗剤組成物の例示的な構成を示す。
【0311】
【表23】
【0312】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0313】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示若しくは特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、又はそれを単独で若しくは他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0314】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。