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特許7586931データ収集計画生成装置及びデータ収集計画生成方法
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  • 特許-データ収集計画生成装置及びデータ収集計画生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-11
(45)【発行日】2024-11-19
(54)【発明の名称】データ収集計画生成装置及びデータ収集計画生成方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241112BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20241112BHJP
   G05B 13/02 20060101ALN20241112BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05B19/18 W
G05B13/02 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022570013
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2021046078
(87)【国際公開番号】W WO2022131260
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2020210351
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 光徳
(72)【発明者】
【氏名】羽田 啓太
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-064390(JP,A)
【文献】国際公開第2020/184240(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G05B 19/18
G05B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作中の機械からデータを取得する際の動作条件の組み合わせからなるデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成装置であって、
前記機械の仕様を設定する仕様設定部と、
前記機械の動作に係る制約条件を抽出する制約条件抽出部と、
前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記仕様設定部で設定された仕様に係るパラメータの値の組を含む複数の動作条件を生成する動作条件生成部と、
前記動作条件生成部が生成した動作条件からデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成部と、
前記データ収集計画生成部が生成したデータ収集計画を出力する出力部と、
を備えたデータ収集計画生成装置。
【請求項2】
前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記機械の動作条件に含めるパラメータを選択するパラメータ選択部を更に備え、
前記動作条件生成部は、前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記パラメータ選択部で選択されたパラメータの値の組を含む複数の動作条件を生成する、
請求項1に記載のデータ収集計画生成装置。
【請求項3】
動作中の機械からデータを取得する際の動作条件の組み合わせからなるデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成装置によるデータ収集計画生成方法であって、
前記機械の仕様を設定する仕様設定手順と、
前記機械の動作に係る制約条件を抽出する制約条件抽出手順と、
前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記仕様設定手順で設定された仕様に係るパラメータの値の組を含む複数の動作条件を生成する動作条件生成手順と、
前記動作条件生成手順で生成した動作条件からデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成手順と、
前記データ収集計画生成手順で生成したデータ収集計画を出力する出力手順と、
を実行するデータ収集計画生成方法。
【請求項4】
前記制約条件抽出手順の後に、前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記機械の動作条件に含めるパラメータを選択するパラメータ選択手順を更に実行し、
前記動作条件生成手順では、前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記パラメータ選択手順で選択されたパラメータの値の組を含む複数の動作条件を生成する、
請求項3に記載のデータ収集計画生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作中の機械からデータを取得する際の動作条件の組み合わせからなるデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成装置及びデータ収集計画生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の製造現場には工作機械やロボット等の産業機械が設置されている。製造現場では、複数の作業者がこれら複数の産業機械を運転して製品の製造を行っている。産業機械は各部の動作による発熱や環境温度の変化が原因で、産業機械を構成する各部の部材が膨張乃至収縮する。産業機械の各部の膨張乃至収縮は、産業機械の可動部分の位置決めに影響する。そのため、産業機械に精密な動作が求められる場合、例えば精密加工を行っている場合や、ロボットによる部品の組付けを行っている場合等には、産業機械の熱状態に応じて可動部分の位置を補正する、いわゆる熱変位補正をする必要がある。熱変位補正をする一つの方法として、産業機械から取得した動作情報やセンサ等により検出された産業機械の各部の温度に基づいて機械学習を用いて補正量を推定する方法がある(例えば、特許文献1等)。この熱変位補正を機械学習で行う方法もまた公知である。
【0003】
また、製造現場で産業機械を運転し続けていると、産業機械を構成する各部品の経年劣化や外気温の変化、振動等の外的要因、作業者の設定ミス等が原因で産業機械の動作に異常が発生する場合がある。産業機械の動作に異常が発生したと判定された場合、作業者は異常が発生した産業機械の運転を停止し、異常の原因を取り除いた上で産業機械の運転を再開して作業を継続する。
【0004】
産業機械の正常/異常を含む稼働状態は、例えば管理装置により監視されている。産業機械の稼働状態を管理する装置は、例えばネットワークを介してそれぞれの産業機械で検出されたモータの位置、速度、トルク等の時系列データや、所定の時刻における信号の変化を示すデータ、産業機械に取り付けられたセンサで検出された振動や音、動画像等の時系列データを監視し、各データの時間の推移に対する変化状態を検出することで、産業機械の稼働状態を管理している(例えば、特許文献2,3等)。なお、産業機械の稼働状態を判定する一つの方法として、産業機械からセンサ等により検出された物理量に基づいて行う方法がある。その判定方法としての機械学習を用いた方法は公知である。
この様に、製造現場では、様々な局面において機械学習が活用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-166603号公報
【文献】特許6453504号公報
【文献】特開2019-012473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械学習機能を活用して産業機械の熱変位補正や稼働状態の判定等をするためには、産業機械から収集したデータを用いて機械学習を行う必要がある。この時、適切な熱変位補正量の推定や産業機械の稼働状態の適切な判定に用いることができる学習モデル、即ち良い学習モデルを生成するためには、産業機械の仕様範囲をまんべんなくカバーできるデータが必要となる。そのため、データを収集する際には、産業機械の仕様範囲をカバーするように、様々な動作条件でデータを収集しなければならない。しかしながら、仕様範囲をまんべんなくカバーしようとして無闇にデータ数を増加させると、開発工数が大幅に増加してしまう。特に、1回のデータ収集が長時間に及ぶ場合、その開発工数は膨大なものとなってしまう。即ち、収集したデータが過不足なく産業機械の仕様範囲をカバーできるように、データ収集の計画を行わなければならない。このような課題は、機械学習に限らず、他の産業機械や産業システム等を用いた動作実験等においても発生する。
そのため、機械の機能や仕様等、一般的な設定値から適切なデータを収集するための適切なデータ収集計画を生成することを可能とする仕組みが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、動作中の機械からデータを取得する際の動作条件の組み合わせからなるデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成装置であって、前記機械の仕様を設定する仕様設定部と、前記機械の動作に係る制約条件を抽出する制約条件抽出部と、前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記仕様設定部で設定された仕様に係るパラメータの値の組を含む複数の動作条件を生成する動作条件生成部と、前記動作条件生成部が生成した動作条件からデータ収集計画を生成する計画生成部と、前記計画生成部が生成したデータ収集計画を出力する出力部と、を備えたデータ収集計画生成装置である。
【0008】
本発明の他の態様は、動作中の機械からデータを取得する際の動作条件の組み合わせからなるデータ収集計画を生成するデータ収集計画生成装置によるデータ収集計画生成方法であって、前記機械の仕様を設定する仕様設定手順と、前記機械の動作に係る制約条件を抽出する制約条件抽出手順と、前記仕様及び前記制約条件に基づいて、前記仕様設定手順で設定された仕様に係るパラメータの値の組を含む複数の動作条件を生成する動作条件生成手順と、前記動作条件生成手順が生成した動作条件からデータ収集計画を生成する計画生成手順と、前記計画生成手順で生成したデータ収集計画を出力する出力手順と、を実行するデータ収集計画生成方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様により、機械の機能や仕様等、一般的な設定値から適切なデータを収集するための適切なデータ収集計画を生成することを可能とし、機械学習機能の安定的な性能向上と開発工数削減の実現が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態によるデータ収集計画生成装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態によるデータ収集計画生成装置の概略的な機能ブロック図である。
図3】動作条件の例を示す図である。
図4図2のデータ収集計画生成装置における動作条件生成部による動作条件の生成方法について説明する図である。
図5】動作条件生成部による動作条件の他の生成方法について説明する図である。
図6】動作条件生成部による動作条件の他の生成方法について説明する図である。
図7】動作条件生成部による動作条件の他の生成方法について説明する図である。
図8】選択ルールの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態によるデータ収集計画生成装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。
本発明のデータ収集計画生成装置1は、例えば、産業機械を制御する制御装置として実装することができ、また、産業機械を制御する制御装置に併設されたパソコンや、有線/無線のネットワークを介して制御装置と接続されたパソコン、セルコンピュータ、フォグコンピュータ、クラウドサーバの上に実装することもできる。本実施形態では、データ収集計画生成装置1を、ネットワーク介して産業機械を制御する制御装置と接続されたパソコンの上に実装した例を示す。
【0012】
本実施形態によるデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11は、データ収集計画生成装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従ってデータ収集計画生成装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0013】
不揮発性メモリ14は、例えばバッテリ(図示せず)でバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、データ収集計画生成装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータ、入力装置71を介して入力されたデータ、インタフェース20を介して制御装置3から取得されたデータ等が記憶される。不揮発性メモリ14に記憶されたデータは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラム等の各種システム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0014】
インタフェース15は、データ収集計画生成装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば他の産業機械等で取得されたデータ等を読み込むことができる。また、データ収集計画生成装置1内で処理されたデータ等は、外部機器72を介して外部記憶手段(図示せず)に記憶させることができる。
【0015】
インタフェース20は、データ収集計画生成装置1のCPU11と有線乃至無線のネットワーク5とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5には、制御装置3やフォグコンピュータ、クラウドサーバ等が接続され、データ収集計画生成装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。
【0016】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、プログラム等が実行された結果として得られたデータ等がインタフェース17を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、作業者による操作に基づく指令,データ等をインタフェース18を介してCPU11に渡す。
【0017】
図2は、本発明の第1実施形態によるデータ収集計画生成装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。
本実施形態によるデータ収集計画生成装置1が備える各機能は、図1に示したデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、データ収集計画生成装置1の各部の動作を制御することにより実現される。本実施形態によるデータ収集計画生成装置1は、動作対象とする機械の機能や仕様等、一般的な設定値から適切なデータを収集するための適切なデータ収集計画を生成する機能を備える。なお、本実施形態では、機械学習を用いて工作機械の熱変位補正を行う場合におけるデータ収集計画の生成を例として示すが、本実施形態によるデータ収集計画生成装置1は、例えば、機械の稼働状態の判定を機械学習で行う場合などにも適用できる。
【0018】
本実施形態のデータ収集計画生成装置1は、仕様設定部100、制約条件抽出部110、パラメータ選択部120、動作条件生成部130、データ収集計画生成部135、及び出力部140を備える。また、データ収集計画生成装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、入力装置71、外部機器72、制御装置3等から取得して設定された仕様に係るデータを記憶するための領域としての仕様記憶部200、生成された機械のデータ収集計画に係るデータを記憶する領域としてのデータ収集計画記憶部210、動作条件としてのパラメータを選択するルールが予め記憶された領域としての選択ルール記憶部220が予め用意されている。
【0019】
仕様設定部100は、図1に示したデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース15、18又は20による入力制御処理とが行われることで実現される。仕様設定部100は、制御装置3により制御される産業機械4の動作に関連する仕様に係る情報を取得して設定する。仕様に係る情報は、例えば各軸の移動範囲、各軸の最大移動速度、各軸の最大移動加速度、各軸の最大トルク、最大積載重量、主軸最大回転速度、主軸最大トルク、クーラント最大流量、クーラント最大温度、クーラント最低温度等のように機械の動作に係るパラメータの所定の範囲を規定する情報、環境最大気温、環境最低気温等のように機械の動作環境に係るデータの所定の範囲を規定する情報等であって良い。これらの仕様に係る情報は制御装置3や図示しないフォグコンピュータ、クラウドサーバ等が記憶している情報を取得しても良いし、外部機器72から読み出しても良い。また、必要に応じて入力装置71から作業者が設定できるようにしても良い。仕様設定部100が取得したデータは、仕様記憶部200に記憶される。
【0020】
制約条件抽出部110は、図1に示したデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。制約条件抽出部110は、仕様設定部100が設定した仕様、及び、作業者が入力装置71から入力した他の情報から、機械の動作条件に係る制約条件を抽出する。制約条件抽出部110は、例えば仕様設定部100により設定された仕様に係る情報に基づいて、それぞれの機械の動作に係るパラメータの最大値及び最小値を制約条件として抽出しても良い。制約条件抽出部110は、例えば仕様設定部100により設定された仕様に係る情報に基づいて、それぞれの機械の動作環境に係るデータの最大値及び最小値を制約条件として抽出しても良い。また、制約条件は、所定のパラメータや動作環境が取り得る値のリストや、分布を示す情報や、所定のパラメータ間の関係を制約する条件式であっても良い。制約条件抽出部110は、例えば機械のサイズに伴う動作に係る制限や連続稼働時間の制限、動作回数の制限等の入力を作業者に促し、入力装置71から入力された情報に基づいて制約条件を抽出しても良い。制約条件抽出部110は、例えば制御装置3で実行する加工プログラムから典型的な主軸回転速度や主軸回転時間等の情報を制約条件として抽出しても良い。制約条件抽出部110が抽出した制約条件は、仕様記憶部200に仕様に係る情報と併せて記憶される。
【0021】
パラメータ選択部120は、図1に示したデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。パラメータ選択部120は、機械の動作条件の生成対象とするパラメータを選択する。パラメータ選択部120は、例えば仕様設定部100により設定された仕様に基づいて、産業機械4の動作条件として選択可能なパラメータを出力部140を介して表示装置70に表示させ、その中から産業機械4の動作条件とするパラメータを作業者に選択させるようにしても良い。また、パラメータ選択部120は、例えば作業者から産業機械4の動作条件に係る目的に応じて、選択ルール記憶部220に記憶される選択ルールに沿って産業機械4の動作条件とするパラメータを選択するようにしても良い。このようにする場合、図8に例示するように、予め選択ルール記憶部220に、データ収集の目的に対して、選択するべきパラメータのリストを関連付けた選択ルールを記憶しておく。パラメータ選択部120は、表示装置70に対して選択ルールに含まれるデータ収集の目的を表示し、作業者にその目的を選択させることで、適切なパラメータを容易に選択することができる。なお、仕様設定部100で仕様が設定されたパラメータについては、全て動作条件として選択する場合にはパラメータ選択部120は必ずしも必須の構成ではない。そのような場合には、パラメータ選択部120を備えていないデータ収集計画生成装置1であっても十分に本願発明の効果を十分に享受できる。
【0022】
動作条件生成部130は、図1に示したデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。動作条件生成部130は、産業機械4の動作条件を生成する。図3に例示されるように、動作条件生成部130が生成する各動作条件は、パラメータ選択部120が選択したパラメータの値の組を含む。
【0023】
データ収集計画生成部135は、図1に示したデータ収集計画生成装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。データ収集計画生成部135は、産業機械4から適切なデータを収集するための適切なデータ収集計画を作成する。即ち、動作条件に含まれるパラメータを要素としたベクトルのベクトル空間において、各動作条件に含まれるパラメータの値が、当該ベクトル空間にまんべんなく散らばるように、データ収集に用いる動作条件の組み合わせを生成する。
【0024】
データ収集計画生成部135は、動作条件がまんべんなく散らばるようにするために、例えば動作条件に含まれる各パラメータについて、該パラメータの最小値と最大値との間に予め定めた所定の間隔で値を定め、その定めた値の組をデータ収集計画として生成するようにしても良い。
図4は、熱変位補正の値を予測する機械学習装置の機械学習を行うために適切な学習用のデータを収集するために、パラメータとして環境温度及び主軸回転速度を選択してデータ収集計画を生成する例を示している。図4の例では、環境温度及び主軸回転速度のそれぞれについて、最小値と最大値の間に予め定めた所定の間隔で値を定め、この定めた値の組をデータ収集計画として生成している。
【0025】
データ収集計画生成部135は、動作条件がまんべんなく散らばるようにするために、例えば動作条件に含まれる各パラメータについて、該パラメータに関連する物理量の最小値と最大値との間に予め定めた所定の間隔で値を定め、その定めた値の組をデータ収集計画として生成するようにしても良い。
図5は、図4と同様に、熱変位補正の値を予測する機械学習装置の機械学習を行うために適切な学習用のデータを収集するために、パラメータとして環境温度及び主軸回転速度を選択してデータ収集計画を生成する例を示している。図5の例では、環境温度について、最小値と最大値の間に予め定めた所定の間隔で値を定めると共に、主軸回転速度については、主軸からの発熱量が所定の間隔となるように主軸回転速度の値を定め、この定めた値の組をデータ収集計画として生成している。
【0026】
データ収集計画生成部135は、生成しようとするデータ収集計画に含まれる動作条件の数が、制約条件抽出部110が抽出した動作回数の制限よりも多くなる場合、動作条件の間引きをするようにしても良い。例えば、図6に例示されるように、動作条件を一様に間引くようにしても良いし、所定のルールに従って、動作条件がまんべんなく散らばるように間引いても良い。
【0027】
上記した例とは逆に、データ収集計画生成部135は、制約条件抽出部110が抽出した動作回数の制限の範囲内で反復的に動作条件を生成するようにしても良い。例えば、図7に例示されるように、それぞれのパラメータの最小値及び最大値の組を動作条件として生成した後に、パラメータのベクトル空間上で動作条件の密度が最も薄い点を選択し、その点の位置の値の組を動作条件として生成する処理を反復的に繰り返すようにしても良い。この時、動作条件の密度は、ベクトル空間上の軸に応じて異なっても良い。値の変化が機械学習の結果に対してあまり影響を与えないパラメータの軸の密度を薄めることで、動作条件の数を不要に増加させなくすることができる。このように選択することで、パラメータのベクトル空間上にまんべんなく散らばるような任意の動作回数のパラメータ値の組が生成できる。
【0028】
データ収集計画生成部135が抽出したデータ収集計画は、データ収集計画記憶部210に記憶される。データ収集計画記憶部210に記憶されたデータ収集計画は、出力部140を介して表示装置70上に表示するようにしても良い。なお、出力部140は、表示装置70に対する表示出力だけでなく、例えば外部機器72に対する出力処理や、ネットワーク5を介した出力処理を行うように構成しても良い。この場合、データ収集計画記憶部210に記憶されたデータ収集計画は、外部機器72を介して図示しない外部記憶装置に記憶して利用したり、ネットワークを介して制御装置3や図示しないフォグコンピュータ、クラウドサーバに送信して利用したりすることもできる。
【0029】
上記構成を備えた本実施形態によるデータ収集計画生成装置1を用いることで、作業者は、機械の機能や仕様等のような、一般的な設定値から適切なデータを収集するための適切なデータ収集計画を生成することが可能となる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
例えば、上記した実施形態では、データ収集計画生成装置1は、機械の仕様や制約条件に基づいて動作条件を生成しているが、データ収集計画生成装置1が扱う仕様や制約条件は機械の仕様や制約条件に限られるものではない。例えば、生産システムや実験システムなどのような、複数の機械や装置により構成されるシステムの各構成要素の仕様や制約条件に基づいて、そのシステムの動作条件を生成するようにしても良い。このような場合であっても、本願のデータ収集計画生成装置1の機能を効果的に用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 データ収集計画生成装置
3 制御装置
4 産業機械
5 ネットワーク
6 センサ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,17,18,20 インタフェース
22 バス
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 仕様設定部
110 制約条件抽出部
120 パラメータ選択部
130 動作条件生成部
135 データ収集計画生成部
140 出力部
200 仕様記憶部
210 データ収集計画記憶部
220 選択ルール記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8